JP2012006782A - 吹付け材料及びそれを用いた吹付け工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1)セメント、骨材、アルギン酸類、及びアルミナセメントを含有するセメントコンクリートと、硫酸アルミニウム又は硫酸アルミニウムとフッ素化合物を含有する液体急結剤と、からなる吹付け材料、さらに、アルミナセメント、凝結調整剤、ポリマーエマルジョン、スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームの中から選ばれる少なくとも1種を含有する該吹付け材料、該吹付け材料を用いる吹付け工法、である。
【選択図】なし
Description
これらの急結剤は、セメントの凝結を促進させる働きがあり、いずれもセメントコンクリートと混合して地山面に吹付けられる。急結剤は地山の緩みを早期に抑えるために吹付けコンクリートには必要な混和剤である。
近年では、粉じん発生量が少なく、人体に対するアルカリ刺激性が少ない作業環境を配慮した硫酸アルミニウム等を主成分とする液体急結剤の使用も増加している(特許文献6〜8)。しかしながら、吹付け直後からの凝結速度が一般の急結剤に比べ遅く、湧水などがある場合や厚付けした場合には、はく落する場合があった。また、セメント量を増加したコンクリート配合で吹き付けると凝結速度の問題は解決する傾向を示すが、材料コストが大幅に上がるといった経済的なデメリットがある。
一方、粉塵発生量が少ない工法として、粉体急結剤を水でスラリー(懸濁液)化しコンクリートに添加して吹付けを実施する技術が知られている(特許文献9〜11)。しかしながら、この方法は、粉じん発生量は低減でき、初期の凝結性状も改善できるが、スラリー化した急結剤はアルカリ性を示し、人体に対するアルカリによる刺激性の点が懸念される。
アルギン酸類は、水溶性の点からアルカリ金属であるナトリウム、カリウム、リチウム、アルカリ土類金属であるカルシウム、マグネシウム等の塩の使用が好ましい。これらの中で、入手しやすさの点でアルギン酸のナトリウムやカルシウム塩の使用が好ましい。
本発明のアルギン酸類の使用量は、セメント100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。0.01質量部未満では、急結剤を添加したときの強ばり状態が不十分な場合があり、5質量部を越えると、必要なセメントコンクリートの流動性が得られない場合がある。
本発明のアルギン酸類はセメントコンクリートを練り混ぜるときに添加しておくことが好ましい。添加方法は特に限定するものではないが、粉体で直接添加する方法や、練り水に溶解して水溶液として添加する方法何れも可能である。
本発明のアルミナセメントとは、通常市販されているものが使用できる。例えば、アルミナセメント1号、アルミナセメント2号(特徴として1号より鉄分が多い)、フォンデュ(特徴として2号よりさらに鉄分が多い)などが使用できる。さらに、アルミ分とカルシウム分以外の成分を極力少なくした純度の高いアルミナセメントも使用できる。
本発明で使用するアルミナセメントの使用量は、セメント100質量部に対して、0.2〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。0.2質量部未満では、凝結性を向上させることが難しく湧水下での付着が確保できない場合があり、20質量部を越えると適切なセメントコンクリートの流動性を確保することが難しくなる場合がある。
フッ化塩としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム、及びクリオライト等が挙げられる。クリオライトは天然物又は合成したものいずれも使用可能である。ケイフッ化塩としては、ケイフッ化アンモニウム、ケイフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウム、及びケイフッ化マグネシウム等が挙げられる。フッ化ホウ素塩としては、フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素モノエチルアミンコンプレックス、三フッ化ホウ素酢酸コンプレックス、及び三フッ化ホウ素トリエタノールアミン、ホウフッ化アンモニウム、ホウフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウム、及びホウフッ化第一鉄等が挙げられる。
本発明では、安全性が高く、製造コストが安く、かつ、凝結性状が優れる点から、フッ化塩やケイフッ化塩、又はフッ化水素酸が好ましい。
フッ素化合物の使用量は、硫酸アルミニウム100質量部に対して3〜38質量部が好ましい。3質量部未満では、凝結の伸びが期待できず湧水下での付着が悪い場合があり、38質量部を越えると凝結を阻害し付着を悪く可能性がある。
これらの中で、流動性を良好にし、液体急結剤を添加したときに、凝結性や強度発現性に影響を与えにくい、オキシカルボン酸類や、オキシカルボン酸類と無機塩を併用したものの使用が好ましい。
本発明の凝結調整剤の使用量は、セメント100質量部に対して0.02〜3質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。0.02質量部未満では、流動性を向上する効果がない場合があり、3質量部を越えると、液体急結剤を添加したときの強度発現性を阻害する場合がある。
本発明のポリマーエマルジョンとしては、特に限定されるものではないが、JIS A 6203に規定されているセメント混和剤ポリマーディスパージョンであれば使用可能である。例えば、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、及び天然ゴム等のゴムラテックスや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、酢酸ビニルビニルバーサテート系共重合体、及びスチレン・アクリル酸エステル共重合体やアクリロニトリル・アクリル酸エステルに代表されるアクリル酸エステル系共重合体等の樹脂エマルジョン等が挙げられる。ポリマーの形態としては、再乳化型粉末タイプや液体タイプがある。これらを混合して使用してもよい。
各材料の単位量、セメント400kg/m3、細骨材1,058kg/m3、粗骨材710kg/m3、水200kg/m3、セメント100質量部に対してアルミナセメントを8質量部、アルギン酸類を表に示すように加え、さらに、高性能減水剤4kg/m3を加え吹付けコンクリートを調製し、この吹付けコンクリートを吹付け圧力0.4MPa、吹付け速度10m3/hの条件下で、コンクリート圧送機「MKW−25SMT」によりポンプ圧送した。5m3/minの圧縮空気でミスト化した液体急結剤をノズル先端から0.6mの位置に接続した合流管で圧送されてくるコンクリートと混合して吹き付けた。液体急結剤はセメント100質量部に対して固形分で2.5質量部となるように添加した。この急結性吹付けコンクリートについて厚付け性、湧水下の付着性、コンクリート圧縮強度を測定した。なお、比較のために、アルギン酸類及びアルミナセメントを除いたコンクリート配合で、市販の硫酸アルミニウムを主成分とする液体急結剤を用いて同じ試験を行った。結果を表1に示す。
高性能減水剤:ポリカルボン酸系、市販品
粗骨材:新潟県糸魚川市姫川産川砂利、表乾状態、比重2.66、最大寸法13mm
細骨材:新潟県糸魚川市姫川産川砂利、表乾状態、比重2.62、最大寸法5mm
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品
アルギン酸類a:アルギン酸ナトリウム、市販品
アルギン酸類b:アルギン酸カルシウム、市販品
セルロースエーテル類(CE):メチルセルロース、重合度1000、市販品
ポリオキシアルキレンオキサイド類(PEO):ポリエチレンオキサイド、重合度10000、市販品
アルミナセメント:アルミナセメント1号、市販品
液体急結剤(1):硫酸アルミニウム100質量部に対してフッ化ナトリウム15質量部の混合物を30質量%水溶液にしたもの。硫酸アルミニウム及びフッ化ナトリウムは市販品。
液体急結剤(2):硫酸アルミニウム、固形分濃度27質量%
液体急結剤(3):カルシウムアルミネート系、電気化学工業社製 商品名ナトミックTYPE−5
液体急結剤(4):アルカリ金属アルミン酸塩系、電気化学工業社製 商品名ナトミックTYPE−L
液体急結剤(5):ケイ酸ソーダ(3号水ガラス)、市販品
液体急結剤(6):カルシウムサルホアルミネート系、電気化学工業社製 商品名ナトミックUS−50
スランプ:JIS A 1101に準拠して測定した。測定は練り上がり直後とした。
厚付け性:吹付けノズルを1mの範囲で繰り返し動かしながら吹付けコンクリートを天井面に吹き付け、はく落するまでの厚みを計測した。30cm以上の厚みになったら良好な吹付け性と判断し試験を止めた。なお、試験を止めてから24時間以内ではく落した場合は厚付け性が不良と判断した。吹き付けた下地は鉄板。
湧水下の付着性:鉄板(幅90cm×高さ180cm)で垂直面を作り、その鉄板表面に沿って上部から水を流した。流水量は3L/min(鉄板幅の端部から22.5cm部、45cm部、67.5cm部に合計3箇所の流水孔を設け、各孔より1L/minの水を流した。)。その流水下の鉄板に向けてコンクリートを吹き付けたときの、付着状態を観察し、材齢1日後の付着強度を測定した。付着強度はコアドリルで円形の切れ目(φ5cm)を入れて建研式付着力試験機で測定した。
コンクリート圧縮強度:材齢1時間、24時間の圧縮強度は、幅25cm×長さ25cmのプルアウト型枠に設置したピンを、プルアウト型枠表面から急結性吹付けコンクリートで被覆し、型枠の裏側よりピンを引き抜き、その時の引き抜き強度を求め、(圧縮強度)=(引き抜き強度)×4/(供試体接触面積)の式から圧縮強度を算出した。材齢28日の圧縮強度は、幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの型枠に急結性吹付けコンクリートを吹付け、1日後にコアドリルで採取した直径5cm×長さ10cmの供試体を20トン耐圧機で測定し、圧縮強度を求めた。測定までの養生は20℃水中養生とした。
セメント100質量部に対してアルギン酸類a0.5質量部、液体急結剤(1)を2.5質量部用い、アルミナセメントの量を表に示すように変えた以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に示す。
アルギン酸類aをセメント100質量部に対して0.5質量部、アルミナセメントを8質量部用い、急結剤中の硫酸アルミニウムとフッ化ナトリウムの量を表に示すように変えた以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に示す。
液体急結剤(7):硫酸アルミニウム100質量部に対してフッ化ナトリウム3質量部の混合物を30質量%水溶液にしたもの。硫酸アルミニウム及びフッ化ナトリウムは市販品
液体急結剤(8):硫酸アルミニウム100質量部に対してフッ化ナトリウム25質量部の混合物を30質量%水溶液にしたもの。硫酸アルミニウム及びフッ化ナトリウムは市販品
液体急結剤(9):硫酸アルミニウム100質量部に対してフッ化ナトリウム38質量部の混合物を30質量%水溶液にしたもの。硫酸アルミニウム及びフッ化ナトリウムは市販品
アルギン酸類aをセメント100質量部に対して0.5質量部とし、凝結調整剤の量を表に示すように変えた以外は実験例1と同様に行った。結果を表4に示す。
凝結調整剤A:クエン酸ナトリウム 市販品
凝結調整剤B:クエン酸100質量部に対して炭酸カリウムを200質量部混合した混合物。炭酸カリウムは市販品
実験No.1-5、実験No.4-4の配合に下記に示す混和材を表に示すように加えた以外は実験例1と同様に行った。結果を表5に示す。
ポリマーエマルジョン(P):アクリル−スチレン系共重合体系、粉末タイプ 市販品
シリカフューム(S):金属シリコン製造時の副産品 BET比表面積18m2/g 市販品
高炉スラグ(B):ブレーン比表面積4600cm2/g 市販品
フライアッシュ(F):ブレーン比表面積4200cm2/g 市販品
空隙率:ASTM C 502(煮沸吸水試験)に準拠し測定した。試験体は圧縮強度試験と同様にコアで採取し、20℃で水中養生し材齢は28日後に測定した。
Claims (6)
- セメント、骨材、アルギン酸類、及びアルミナセメントを含有するセメントコンクリートと、硫酸アルミニウム又は硫酸アルミニウムとフッ素化合物を含有する液体急結剤とからなる吹付け材料。
- セメント100質量部に対してアルギン酸類が0.01〜5質量部であることを特徴とする請求項1記載の吹付け材料。
- セメント100質量部に対してアルミナセメントが0.2〜20質量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の吹付け材料。
- さらに、凝結調整剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項記載の吹付け材料。
- さらに、ポリマーエマルジョン、スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームの中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1項記載の吹付け材料。
- 請求項1〜5のうちのいずれか1項記載の吹付け材料を用いる吹付け工法。
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