JP5405418B2 - セメント凝結促進剤およびそれを用いた吹付け材料、吹付け工法 - Google Patents
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ポリシリカ鉄水溶液の製造方法は、例えば、ケイ酸ソーダと硫酸を反応させ、さらに塩化第二鉄を加え反応させる方法が挙げられる。固形分濃度としては鉄と酸化ケイ素の含有割合によってことなるが4〜12質量%に調整される。ポリシリカ鉄固形分以外の成分は水が基本であるが、ポリシリカ鉄水溶液の安定性に支障がない範囲および凝結性状や強度発現性などに影響がない範囲で、各種添加物が混入されていてもよい。
水溶液の粘度を調整し安定性を向上させる添加剤としては、メチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロースエーテル類、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、アクリルアミド類、アルギン酸塩類、カルボン酸やオキシカルボン酸などが挙げられ、これらを2種以上併用して使用してもよい。
本発明のポリシリカ鉄を含有する凝結促進剤の水溶液の粘度は、特に限定するものではないが、1〜10mPa・Sであればよい。あまり粘度が高すぎると安定性が低下する場合がある。
本発明のポリシリカ鉄を含有する凝結促進剤の水溶液のSiO2/Feモル比は、溶液の安定性や凝結特性の点で0.2〜3.0が好ましく、0.25〜2.0がより好ましい。0.2未満では、初期の強度発現性が小さくなる場合があり、3.0を越えると、凝集力が低下する場合がある。また、水溶液のFe濃度は0.7%〜4.3%、SiO2濃度は0.9%〜2.3%が好ましい。
また、これらセメント類に、通常市販されているものが使用できる。たとえば、アルミナセメント1号、アルミナセメント2号(特徴として1号より鉄分が多い)、フォンデュ(特徴として2号よりさらに鉄分が多い)を1種又は2種以上併用してもよい。
本発明の凝結促進剤の使用量は、セメント100部に対して、溶液として0.5〜15部が好ましく、2〜10部がより好ましい。0.5未満では十分な凝結作用を付与することができない場合があり、15部を越えると、凝結促進剤に含有する水が水/セメント比を増加させることで長期強度発現性が大きく低下する場合がある。
カルシウムアルミネートの粒度はブレーン値で3000cm2/g以上が好ましい。3000cm2/g未満だと急結力が低下する場合がある。
本発明のカルシウムアルミネートとセメント凝結促進剤を併用してセメントコンクリートに適用すると、硫酸アルミニウムを主成分とする凝結促進剤を併用したときと異なり、瞬間的な凝集作用が適度に弱まり、配管内への付着物が付着しにくく、脈動も少ない吹付けが可能となる。従って、閉塞等のトラブルも減少する。また、凝集作用が適度に弱まることから、コンクリートとの混合距離を長くすることができるため、混合性の良い急結性吹付けコンクリートを施工することが可能となる。
本発明のカルシウムアルミネート類の使用量は、特に限定するものではないが、セメント100部に対して0.5〜15部が好ましい。
セメント100部に対して、砂300部、水50部を加えモルタルを練り混ぜた。練り混ぜたモルタル中のセメント100部に対して、表1に示すポリシリカ鉄を含有するセメント凝結促進剤を3部加え、10秒間モルタルミキサーで練り混ぜ、こわばり状態と圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
セメントa:普通ポルトランドセメント、市販品
砂:ISO規格標準砂、セメント協会品
セメント凝結促進剤(1):SiO2/Feモル比0.2、Fe:4.3%、SiO2:0.9%の水溶液(pH1.5、粘度1.2mPa・S)
セメント凝結促進剤(2):SiO2/Feモル比0.25、Fe:4.0%、SiO2:1.1%の水溶液(pH2.2、粘度1.6mPa・S)
セメント凝結促進剤(3):SiO2/Feモル比0.5、Fe:2.5%、SiO2:1.4%の水溶液(pH2.4、粘度2.8mPa・S)
セメント凝結促進剤(4):SiO2/Feモル比0.75、Fe:2.2%、SiO2:1.8%の水溶液(pH2.5、粘度4.6mPa・S)
セメント凝結促進剤(5):SiO2/Feモル比1.0、Fe:2.0%、SiO2:2.2%の水溶液(pH2.7、粘度6.9mPa・S)
セメント凝結促進剤(6):SiO2/Feモル比2.0、Fe:1.0%、SiO2:2.2%の水溶液(pH3.3、粘度7.2mPa・S)
セメント凝結促進剤(7):SiO2/Feモル比3.0、Fe:0.7%、SiO2:2.3%の水溶液(pH4.5、粘度7.4mPa・S)
セメント凝結促進剤(8):SiO2/Feモル比1.0、Fe:2.0%、SiO2:2.2%の水溶液100部に対し硝酸カルシウムを3%溶解させた溶液(pH2.9、粘度7.0mPa・S)
セメント凝結促進剤(9):SiO2/Feモル比1.0、Fe:2.0%、SiO2:2.2%の水溶液100部に対しポリエチレングリコール(分子量5万)を0.2%溶解させた溶液(pH2.8、粘度120mPa・S)
セメント凝結促進剤(10):SiO2/Feモル比0.15、Fe:5.0%、SiO2:0.8%の水溶液(pH0.8、粘度1.1mPa・S)
セメント凝結促進剤(11):SiO2/Feモル比3.2、Fe:0.6%、SiO2:2.1%の水溶液(pH5.1、粘度10.5mPa・S)
セメント凝結促進剤(12):硫酸アルミニウム水溶液、固形分27%、市販品
こわばり状態:凝結促進剤を加える前の練り混ぜたモルタルのJIS R 5201に規定されたフロー値、凝結促進剤を加えた後のモルタルのフロー値を測定し、下記のようにフロー低減率を求めた。
フロー低減率(%)=(1−凝結促進剤を加えた後のモルタルフロー/凝結促進剤を加える前のフロー)×100
フロ−低減率が50%以上の場合は○、30〜50%の場合は△、30%未満の場合は×とした。
圧縮強度:JIS R 5201に準拠して測定した。測定材齢は、1時間、28日。
実験例1と同様に、セメント100部に対して、標準砂300部、水50部を加えモルタルを練り混ぜた。練り混ぜたモルタル中のセメント100部に対して、セメント凝結促進剤(5)を表2に示すように加え、10秒間モルタルミキサーで練り混ぜ、こわばり状態と圧縮強度を測定した。結果を表2に示す。
市販の吹付け用補修モルタルに水を加えて練り混ぜた。練り混ぜたモルタルをスクイズポンプで圧送し、ノズル手前に設置した合流管より圧縮空気と表3に示す、実験例1で使用したセメント凝結促進剤を補修モルタル中のセメント100部に対し1部となるように導入し、ボックスカルバート内の天井面に吹き付けた。なお、ボックカルバートにはエンジン式発電機を載せ、吹付け中は常に吹付け箇所に微振動がかかるようにした。ノズル吐出口と吹付け面の距離は30cm程度に固定し、さらにノズルを動かさないで吹付けを行い、はく落するまでの厚みと圧縮強度を測定した。圧縮強度試験体はJIS R 5201の型枠に直接吹き付けて採取した。結果を表3に示す。
なお、補修モルタルbについては、ノズル内の付着物の有無および脈動状態を確認した。結果を表4に示す。
スクイズポンプ:岡三機工社製、OKG−05型
ミキサー:岡三機工社製、ダマカットミキサー2.0型
モルタル圧送距離およびホース径:圧送距離3m、ホース径1.5インチ
ノズル:セメント凝結促進剤の導入管を有するテーパノズル(モルタル入り口1.5インチ、モルタル吐出口0.45インチ、ノズル長さ30cm)、セメント凝結促進剤は圧縮空気でミスト化した状態でコンクリートに導入する方式
モルタル吐出量:0.4m3/hr
コンプレッサ−:50馬力、エンジン式
セメント凝結促進剤添加ポンプ:プランジャー式ポンプ
吹付け用補修モルタルa:電気化学工業社製、商品名「スプリードエース」、ポリマーセメントモルタル系、練混ぜ配合(スプリードエース25kgに対し水3.4kg)
吹付け用補修モルタルb:普通ポルトランドセメント100部に対して、0.6〜1.2mmのふるいに留まる珪砂120部、0.15〜0.6mmのふるいに留まる珪砂65部、0.15mmのふるいを通過する珪砂15部、CaO42%を含有するブレーン比表面積5500cm2/gの非晶質カルシウムアルミネート7部、無水セッコウ7部からなる急硬性モルタル、本発明のセメント凝結促進剤を添加しないときの硬化時間:30分程度、練混ぜ配合(急硬性モルタル25kgに対し水3.2kg)
配管内の付着物:5分間連続的に吹き付けた後、セメント凝結促進剤の導入管とノズルの接続部を取り外し、ノズル側内部の付着物の有無を確認した。
脈動:ノズルからセメント凝結促進剤を含む圧縮空気とともにモルタルが吐出している状態を観察した。
Claims (5)
- ポリシリカ鉄を含有するセメント凝結促進剤。
- ポリシリカ鉄のSiO2/Feモル比が0.2〜3.0である請求項1記載のセメント凝結促進剤。
- セメントと請求項1または2記載のセメント凝結促進剤を含有する吹付け材料。
- さらに、カルシウムアルミネートを含有する請求項3記載の吹付け材料。
- 請求項3または4記載の吹付け材料を用いることを特徴とする吹付け工法。
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