JP2012006018A - 潤滑油供給装置及び潤滑油供給方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】潤滑油原液をエアもしくは不燃性ガスによって粒状化又は霧状化し、圧延機の入側でワークロールに噴射する金属板の圧延における潤滑油供給装置を、圧延機の入側に、ワークロール2に向けて潤滑油原液を噴射する複数個の潤滑油原液の供給端6〜11・12〜17がワークロール2の軸方向に一列に配置された複数の供給端列4,5を、1つのワークロール2に対して設け、いずれかの供給端列の供給端が、ワークロールに対する潤滑油原液の供給量が低下又は供給が停止するような供給不良に陥った場合は、供給不良に陥った供給端に代えて、又は不足する潤滑油原液の供給量を補完可能な構成にする。
【選択図】 図4
Description
このガスアトマイズ法においては、潤滑油原液を直接ワークロールに供給する際に特に有利であり、例えば鋼板の冷間圧延の場合、粘度が高い潤滑油原液であっても、ワークロールに対して広範囲に広げた状態で容易に供給することが可能である。また鋼板の熱間圧延の場合、ワークロールの冷却水が潤滑油原液付着の邪魔をして潤滑効率が悪くなることがあるため、従来広く用いられていたエマルション潤滑よりも、潤滑油原液をワークロールに直接供給する方が潤滑効率がよくなると考えられている。
特許文献2には、ガスアトマイズ法を熱延に適用する際に懸念される火災を防止するために、入側ロール表面に薄い水膜を形成し、その上に潤滑油原液を噴射供給する方法が開示されている。
また、特許文献3には、冷間圧延でガスアトマイズ法を使用することを念頭において、常温で固化している潤滑油原液を加熱液化して噴霧供給することにより、使用環境温度によらず使用できる技術が開示されている。
さらに、特許文献4には、冷間圧延において、複数の潤滑油原液をその圧延状況に応じて選択・組み合わせてガスアトマイズ法で供給し、さらにロール出側に冷却水の水切り装置を備え潤滑油原液がロールに付着しやすいようにする技術が開示されている。
しかしながら、潤滑油供給装置は常時必ずしも理想的な状態とは言えず、例えば圧延機の幅方向、つまりワークロールの軸方向に複数本且つ一列に配置させた潤滑油原液供給用の供給端(ノズル)が詰まると、金属板に対する潤滑油原液の供給量の減少、あるいは供給が停止される異常な供給不良が生じる場合も想定される。
このような場合、潤滑油原液をワークロールに対して不足なく安定的に供給することができなくなるので、冷間圧延においては金属板に部分的にヒートスクラッチが発生したり、熱間圧延においては金属板の板形状が乱れたりするなどの問題が発生したりする可能性がきわめて高い。また、このようなヒートスクラッチや板形状の乱れを防止するために、供給不良が生じた供給端だけを修理することを考えると、予定外の圧延機の休止を伴うため、歩留まりが悪化してしまう。さらに、供給端がいつ使用できなくなるかは分からないため、供給不良の供給端を発見した時には、既に不良な金属板が大量に圧延されてしまっていることも十分にありうる。
また、本発明においては、上記複数の供給端列は、各供給端列それぞれの供給端のワークロールの軸方向に対する位置が、いずれも相互に一致するように設けられているものとすることができる。
あるいは、上記複数の供給端列は、各供給端列における供給端のワークロールの軸方向に対する位置が、少なくとも隣接する供給端列の供給端のワークロールの軸方向に対する位置と相互にずれた位置となるように設けられているものとすることができる。
さらに、本発明においては、上記各供給端は、ワークロールに対する潤滑油原液の供給量を供給端毎に個別に制御することが可能な構成を備えているものとすることができる。
あるいは、上記第1の供給端列群の供給端列のいずれかの供給端においてワークロールに対する潤滑油原液の異常な供給不良を検知した場合には、第1の供給端列群からのワークロールへの潤滑油原液の供給をすべて停止して、第2の供給端列群からのワークロールへの潤滑油原液の供給を開始するようにしてもよい。
あるいは、上記いずれかの供給端列の供給端においてワークロールに対する潤滑油原液の異常な供給不良を検知した場合には、その供給不良の供給端を含む供給端列からのワークロールへの潤滑油原液の供給をすべて停止して、他の供給端列の各供給端のワークロールへの潤滑油原液供給量を増加させるようにすることができる。
これにより、ワークロールに潤滑油原液を常時安定的に供給することが可能であるため、ワークロールに対する潤滑油原液の供給不良に起因する問題、つまり冷間圧延においては金属板のヒートスクラッチの発生、熱間圧延においては金属板の板形状の乱れをそれぞれ確実に防止することができ、安定的な圧延が可能となる。
具体的に、この潤滑油供給装置は、圧延機の入側に、ワークロール2に向けて潤滑油原液3を噴射する複数個の潤滑油原液用の供給端がワークロール2の軸方向に配置された供給端列を、1つのワークロールに対して複数列設けた構成となっている。
この実施の形態においては、上記供給端列は、1つのワークロール2に対して、ワークロールの高さの中段近傍に位置する第1の供給端列4、及び該第1の供給端列4よりも上段側に配設された第2の供給端列5の2列を配設したものとなっている。
なお、図においては、圧延機の上側ワークロールの場合のみを示し、下側ワークロール等その他の圧延機の構成部材については省略している。
この実施の形態においては、これらの第1及び第2の供給端列は、ワークロールの軸方向に沿うように延びる各主管4a,5aに、それぞれ6個の第1〜第6供給端6〜11・12〜17を相互に等間隔に並設したものとなっている。
また、これらの第1及び第2の供給端列4,5の各供給端は、ワークロール2の軸方向に対する位置が、相互に一致するように配設されている。したがって、第1の供給端列4の第1〜第6供給端6〜11の上方に、これらの供給端にそれぞれ対応する第2の供給端列5の第1〜第6供給端12〜17が位置したものとなっている。これにより、第1の供給端列4の第1〜第6供給端6〜11と、これらの位置に対応する位置に配設された第2の供給端列5の第1〜第6供給端12〜17とは、潤滑油原液のワークロールの軸方向(横方向)に対する供給範囲がそれぞれ一致する(例えば、第1の供給端列4の第1供給端6と、第2の供給端列5の第1供給端12とは、潤滑油原液のワークロールの軸方向の供給範囲が同じとなる。)ようになっている。
なお、上記各主管4a,5aは、基端側が潤滑油原液タンク18に連通されていて、第1〜第6供給端6〜11,12〜17には、これらの主管4a,5aを通じて潤滑油原液タンク18からの潤滑油原油が送出される。
上記第1の供給端列4は、各供給端6〜11内に設けられ、上流側の上記主管4aを通じて潤滑油原液を送出させる潤滑油原液用配管6a〜11aと、上流側がエア源19に連結されて該エア源19からエアを送出させるエア用配管6b〜11bとを備えている。さらに、これら潤滑油原液用配管及びエア用配管の下流側が連結されたノズル6c〜11cを備えていて、これらのノズル6c〜11cを通じて潤滑油原液をエアで粒状化又は霧状化させてワークロールの外周面に噴射可能となっている。図中19aは、エア源19からのエアの供給をオン/オフするスイッチであり、6d〜11dは後で詳述する供給量制御手段ポンプである。また、6g〜11gは流量計であり、ノズルの異常があればこれを検出する。
なお、図1、及び後述する図4〜図7においては、上記潤滑油原液タンク、潤滑油原液用配管、エア源、エア用配管、ノズル、スイッチ、ポンプの具体的な表示を省略している。
この実施の形態では、各供給端のノズル6c〜11cは、内部混合型の2流体混合ノズルを用い、ワークロール2の外周面に対して、潤滑油原液3が横長の略楕円形状に広がった範囲に供給、付着されるように噴射されるようにしている。また、各供給端のワークロールに対する潤滑油原液の供給範囲は、隣接する他の供給端のワークロールに対する潤滑油原液の供給範囲と一部重複するように設定されている。
なお、上記第2の供給端列の各供給端12〜17の構成については、基本的な構成は第1の供給端列の供給端6〜11と同じ構成であるため、詳しい説明は省略する。
上記潤滑油原液の供給量制御手段としては、この実施の形態においては、図2に示すように、各供給端の個別の潤滑油原液用配管6a〜11a中に、潤滑油原液をあらかじめ定めた一定の量ずつ圧送可能であり且つ圧送量(供給量)を調整可能な、例えばギアポンプ等のポンプ6d〜11dを個別に設けたものとしている。そして、必要に応じてこれらのポンプ6d〜11dからの潤滑油原液の圧送量を増減させることにより、供給端からワークロール2に対して供給される潤滑油原液の量を調整することが可能となっている。
なお、この供給量制御手段としては、各供給端の個別配管中、あるいは個別配管に分岐する前に設けられたポンプと、該ポンプよりも下流側(潤滑油原液ノズル側)に設けた流量制御弁とによって構成したものであってもよい。
具体的には、図2に示すように、潤滑油原液をノズル6c〜11c側に送出する方向と、ノズルへの送出を止めて潤滑油原液タンク側に戻す方向とに切換える方向切換弁6e〜11e、及び潤滑油原液を潤滑油原液タンク側に戻す際に使用する循環用配管6f〜11fとを備えている。そして、各方向切換弁6e〜11eにおいて潤滑油原液の送出方向を切換えることにより、潤滑油原液のノズル6c〜11cからの噴射をオン/オフさせることができるようになっている。ここで、循環用配管の戻り先は必ずしも潤滑油原液タンク18である必要はなく、各供給端用のポンプと潤滑油原液タンクとの間の配管であってもよく、各供給量制御手段内で個別に循環させるようにしてもよい。
なお、上記第2の供給端列の各供給端12〜17に係る潤滑油原液の供給量制御手段、及びこれに含まれる切換手段の構成については、第1の供給端列の供給端6〜11と同じ構成であるため、詳しい説明は省略する。
図2の場合、各供給端内の潤滑油原液用配管におけるノズル6c〜11cと方向切換弁6e〜11eとの間に、ワークロール2に対して供給される潤滑油原液の供給量を計測する流量計6g〜11gを配設している。これにより、何らかの異常によって潤滑油原液の供給量が低下、あるいは供給が停止した場合には即座に感知することができる。
なお、上記監視手段としては、上記流量計以外の任意の手段を用いることができ、例えば潤滑油原液の液圧を計測する圧力計を上記流量計と同じ位置に配設し、潤滑油原液用配管内の圧力の変化によって潤滑油原液の供給量が低下、あるいは供給が停止したことを感知させるようにしてもよい。あるいは、ノズルからの潤滑油原液の吐出状態をビデオカメラにより撮影し、その映像を画像解析することによって潤滑油原液の供給状態を監視することもできる。
これにより、ワークロールに潤滑油原液を常時安定的に供給することができるため、ワークロールに対する潤滑油原液の供給不良に起因する問題、つまり冷間圧延においては金属板のヒートスクラッチの発生、熱間圧延においては金属板の板形状の乱れをそれぞれ確実に防止することができ、安定的な圧延が可能となる。
図4は本発明に係る潤滑油供給方法の第1の実施形態を示すものである。
この潤滑油供給方法の第1の実施形態を実施するに際しては、上記第1及び第2の供給端列4,5のうち、第1の供給端列4を、主に使用する第1の供給端列群22とする一方、第2の供給端列5を、非常時に使用する第2の供給端列群23とし、これらの第1及び第2の供給端列4,5の使用目的を予め分けておく。
その上で、第1及び第2の供給端列群22,23(この第1の実施形態の場合は第1及び第2の供給端列4,5)のすべての供給端のワークロール2に対する潤滑油原液の供給状態を、上記監視手段によってそれぞれ常時監視する。
そして、鋼板1の圧延時においては、まず第1の供給端列群22のみからワークロール2に対する潤滑油原液の供給を行う。その後、この第1の供給端列群22の供給端列のいずれかの供給端について、ワークロール2に対する潤滑油原液の供給量の低下又は供給の停止のいずれかの異常な供給不良を検知した場合には、上記第2の供給端列群23の供給端列からワークロール2に対する潤滑油原液の供給を開始する。
その後、例えば第1の供給端列4の第2供給端7においてノズル詰まり等の異常が生じ、上記監視手段によって潤滑油原液の供給が停止あるいは供給量の異常な低下等の供給不良が検知された場合、この第1の供給端列4の第2供給端7については、該第2供給端7用の潤滑油原液の供給量制御手段により、潤滑油原液の供給を制御上において完全に停止させる。それと同時に、図4に示すように、上記第2の供給端列群23(この第1の実施形態の場合は第2の供給端列5のみ)からワークロール2に対する潤滑油原液3の供給を開始する。
このとき、第2の供給端列群23は、潤滑油原液の供給が停止された範囲、即ち上記第1の供給端列群22(つまり第1の供給端列4)の第2供給端7が潤滑油原液を供給していたワークロール2の軸方向の供給範囲に対し、その範囲に潤滑油原液を供給可能な供給端についてのみからの潤滑油原液の供給を開始する。したがって、この場合は、第2の供給端列5の第2供給端13についてのみ、該第2供給端専用の潤滑油原液の供給量制御手段による制御によってワークロールに対する潤滑油原液の供給を開始する。
その際、第2の供給端列5の第2供給端13がワークロール2に対して供給する潤滑油原液3の供給量は、基本的には、第1の供給端列4の第2供給端7が供給する予定であった供給量とほぼ同量である。
なお、供給不良となった第1の供給端列(群)の第2供給端7については、供給不良を解消するためのメンテナンスに供される。
これにより、その供給不良による影響を抑止させることができるため、ワークロールに対する潤滑油原液の供給量不足の発生を防止することができる。したがって、冷間圧延においては金属板のヒートスクラッチの発生、熱間圧延においては金属板の板形状の乱れをそれぞれ確実に防止することができ、潤滑油原液の供給量不足に起因する問題を解消して安定的な圧延が可能となる。更に,第一の供給端列の7だけのためにラインを止める必要もなくなり,生産性を阻害する要因を削除することができる。
上記潤滑油供給方法の第1の実施形態では、第1の供給端列群22のいずれかの供給端において異常な供給不良が発生した場合には、第2の供給端列群23の特定の供給端のみから潤滑油原液を供給し、補完するようにしていた。これに対し、次に述べる潤滑油供給方法の第2の実施形態は、第1の供給端列群22のいずれかの供給端で異常な供給不良が発生した場合には、この第1の供給端列群22のすべての供給端からの潤滑油原液の供給を停止する一方、第2の供給端列群23のすべての供給端から供給を開始する。
なお、この潤滑油供給方法の第2の実施形態において、第1の供給端列4を、主に使用する第1の供給端列群22、第2の供給端5を、非常時に使用する第2の供給端列群23として、これらの第1及び第2の供給端列4,5の使用目的を分けておく点、第1及び第2の供給端列群22,23のすべての供給端のワークロールに対する潤滑油原液の供給状態を、上記監視手段によってそれぞれ常時監視しておく点については、上記潤滑油供給方法の第1の実施形態と同様である。
その後、第1の供給端列群22のいずれかの供給端においてノズル詰まり等の異常が生じ、上記監視手段によって潤滑油原液の供給不良が検知された場合、この第1の供給端列群22については、各供給端用の潤滑油原液の供給量制御手段により、すべての供給端6〜11からの潤滑油原液の供給を制御上において完全に停止させる。
それと同時に、図5に示すように、上記第2の供給端列群23(この場合は第2の供給端列5のみ)のすべての供給端12〜17からワークロール2に対する潤滑油原液3の供給を開始する。
このとき、第2の供給端列群23の各供給端12〜17がワークロール2に対して供給する潤滑油原液の供給量は、基本的には、第1の供給端列22群の各供給端6〜11が供給していた供給量とほぼ同量である。
これに対し、次の述べる潤滑油供給方法の第3及び第4の実施形態は、通常時に潤滑油供給装置のすべての供給端列の供給端から潤滑油原液をワークロールに供給し、いずれかの供給端列の供給端について、ワークロールに対する潤滑油原液の供給量の低下又は供給の停止のいずれかの異常な供給不良を検知した場合には、他の供給端列の供給端からのワークロールへの潤滑油原液供給量を増加させる。
なお、この潤滑油供給方法の第3及び第4の実施形態において、第1及び第2の供給端列4,5のすべての供給端のワークロール2に対する潤滑油原液の供給状態を、上記監視手段によってそれぞれ常時監視しておく点については、上記潤滑油供給方法の第1及び第2の実施形態と同様である。
上記潤滑油供給方法の第3の実施形態は、鋼板1の圧延時においては、第1及び第2の供給端列4,5の両方からワークロール2に対する潤滑油原液3の供給を行う。
その後、いずれか一方の供給端列のいずれかの供給端について、ワークロール2に対する潤滑油原液の供給量の低下又は供給の停止のいずれかの異常な供給不良を検知した場合には、他方の供給端列の特定の供給端からのワークロールへの潤滑油原液供給量を増加させる。
そして、例えば第1の供給端列4の第2供給端7においてノズル詰まり等の異常が生じ、上記監視手段によって潤滑油原液の異常な供給不良が検知された場合には、この第1の供給端列4の第2供給端7については、該第2供給端用の潤滑油原液の供給量制御手段により、潤滑油原液の供給を制御上において完全に停止させる。
それと同時に、第2の供給端列5については、図7に示すように、第1の供給端列において潤滑油原液の供給が停止された範囲、即ち、供給不良となった上記第1の供給端列4の第2供給端7が潤滑油原液を供給していたワークロール2の軸方向の供給範囲に対して、その範囲に潤滑油原液を供給可能な供給端からの潤滑油原液の供給を増加させる。つまり、この場合は、第2の供給端列5の第2供給端13のみについて、該第2供給端専用の潤滑油原液の供給量制御手段による制御によってワークロールに対する潤滑油原液の供給を増加させる。
その際、第2の供給端列5の第2供給端13がワークロール2に対して供給する潤滑油原液の供給量の増加量は、基本的には、第1の供給端列4の第2供給端7が供給する予定であった供給量とほぼ同量である。したがって、この第2の供給端列5の第2供給端13からワークロール2に対して供給させる潤滑油原液の供給量は通常の約2倍程度となる。
なお、供給不良となった第1の供給端列4の第2供給端7、及び潤滑油原液の供給量を倍増させた第2の供給端列5の第2供給端13以外の供給端については、従前通りの供給量が維持された状態でワークロール2に対する潤滑油原液の供給が続けられる。
そして、第1の供給端列4のいずれかの供給端においてノズル詰まり等の異常が生じ、上記監視手段によって供給不良が検知された場合、第1の供給端列4については、各供給端用の潤滑油原液の供給量制御手段により、すべての供給端6〜11からの潤滑油原液の供給を完全に停止させる。
それと同時に、第2の供給端列5については、すべての供給端12〜17について、各供給端専用の潤滑油原液の供給量制御手段による制御によってワークロール2に対する潤滑油原液の供給を増加させる(つまり、潤滑油原液の供給状態は図5と同じ状態となるが、第2の供給端列の各供給端12〜17からの潤滑油原液の供給量が異なる。)。
このとき、第2の供給端列5の各供給端12〜17がワークロール2に対して供給する潤滑油原液の供給量の増加量は、基本的には、第1の供給端列4の各供給端6〜11が供給する予定であった供給量とほぼ同量である。したがって、この第2の供給端列5の各供給端12〜17からワークロール2に対して供給させる潤滑油原液の供給量は、通常からほぼ倍増されることとなる。
したがって、ワークロールに対する潤滑油原液の供給量不足の発生を防止することができるため、上述した潤滑油供給方法の第1及び第2の実施形態と同様、冷間圧延においては金属板のヒートスクラッチの発生、熱間圧延においては金属板の板形状の乱れをそれぞれ確実に防止して、安定的な圧延が可能となる。
さらに、上記実施の形態においては、潤滑油原液の供給量制御手段は、主に潤滑油供給方法の第1〜第4の実施形態を実施する際に、監視手段と連動して、いずれかの供給端列の供給端が供給不良となった場合に潤滑油原液の供給量不足を補完するために使用されている。
しかしながら、上記供給量制御手段は、金属板の板形状の測定結果や計算による推定、金属板の板幅方向の摩擦係数分布や先進率分布、荷重分布の測定結果等に基づいて、ワークロール2と金属板との間に潤滑不足が生じている部分があることが判明した場合等に機能させ、その潤滑不足が生じているワークロールの位置に対して潤滑油原液を積極的に増加させてもよい。
また、金属板の板幅方向の両端部分に対する潤滑油原液の供給量を積極的に増加させることにより摩擦係数を減少させ、端伸び形状の金属板としたり、逆に金属板の板幅方向の中央部分に対する潤滑油原液の供給量を積極的に増加させ、中伸び形状の金属板としたりすることも可能である。
また、各供給端列の供給端の間隔も相互に異なる間隔とすることが可能であり、いずれも金属板の圧延条件に応じて任意に設定することができる。
なお、供給端列を3列以上設けた場合、上述した潤滑油供給方法の第1及び第2の実施形態においては、これらの供給端列を第1及び第2の供給端列群に分けて、両供給端列群が他方の供給端列群の潤滑油原液の供給能力を相互且つ十分に補完できるようにする必要がある。また、通常使用する供給端列群は、金属板の入側において、供給異常時に使用する供給端列群よりもワークロールの回転方向の下流側(図1の場合、下段側)に配設することが望ましい。
しかしながら、次に述べるように、各供給端列における供給端のワークロールの軸方向に対する位置は、少なくとも隣接する供給端列の供給端、つまり、第1の供給端列の供給端と第2の供給端列の供給端とが、ワークロールの軸方向に対する位置が相互にずれた位置となるように設けてもよい。
この潤滑油供給装置は、第1の供給端列24には6個の供給端26〜31、第2の供給端列25には7個の供給端32〜38をそれぞれ設け、平面視において、第1の供給端列24の各供給端は、第2の供給端列25において隣接する供給端の間に位置するように配置されている。
なお、各供給端列の供給端の構成については、潤滑油原液の供給量制御手段の構成も含めて、上述した図1〜図7の潤滑油供給装置と基本的に同じであるため、詳しい説明は省略する。また、図8及び後述する図9においては、上記潤滑油原液タンク、潤滑油原液用配管、エア源、エア用配管、ノズル、スイッチ、ポンプの具体的な表示を省略している。
このような潤滑油供給装置によって上記潤滑油供給方法の第1の実施形態を実施する場合、第1の供給端列群(第1の供給端列24)において供給異常が発生した供給端(第2供給端27)が供給していたワークロール2の軸方向の供給範囲に対して、第2の供給端列群(第2の供給端列25)の複数の供給端(第2及び第3供給端33,34)からワークロール2に対する潤滑油原液の供給を同時に行う。これにより、第1の供給端列群の供給異常が発生した供給端の潤滑油原液供給範囲に対して確実に潤滑油原液を供給し、補完することができる。
2 :ワークロール
3 :潤滑油原液
4,24 :第1の供給端列
4a :第1の供給端列の主管
5,25 :第2の供給端列
5a :第2の供給端列の主管
6〜11,26〜31 :第1の供給端列の供給端
6a〜11a :潤滑油原液用配管
6b〜11b :エア用配管
6c〜11c :ノズル
6d〜11d :ポンプ
6e〜11e :方向切換弁
6f〜11f :循環用配管
6e〜11e :流量計
12〜17,32〜38 :第2供給端列の供給端
18 :潤滑油原液タンク
19 :エア源
19a :スイッチ
20 :エア
21 :チャンバ
22 :第1の供給端列群
23 :第2の供給端列群
Claims (11)
- 潤滑油原液をエアもしくは不燃性ガスによって粒状化又は霧状化し、圧延機の入側でワークロールに噴射する金属板の圧延における潤滑油供給装置において、圧延機の入側に、ワークロールに向けて潤滑油原液を噴射する複数個の潤滑油原液の供給端がワークロールの軸方向に一列に配置された供給端列を、1つのワークロールに対して複数列設けたことを特徴とする潤滑油供給装置。
- 上記複数の供給端列は、各供給端列の供給端が、ワークロールの軸方向に等間隔に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油供給装置。
- 上記複数の供給端列は、各供給端列それぞれの供給端のワークロールの軸方向に対する位置が、いずれも相互に一致するように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の潤滑油供給装置。
- 上記複数の供給端列は、各供給端列における供給端のワークロールの軸方向に対する位置が、少なくとも隣接する供給端列の供給端のワークロールの軸方向に対する位置と相互にずれた位置となるように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の潤滑油供給装置。
- 上記各供給端は、ワークロールに対する潤滑油原液の供給量を供給端毎に個別に制御することが可能な構成を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の潤滑油供給装置。
- 上記請求項5に記載の潤滑油供給装置を用いた金属板の圧延における潤滑油供給方法であって、
上記複数の供給端列を、少なくとも1つの供給端列を有する第1の供給端列群と、該第1の供給端列群の供給端列以外の供給端列からなる第2の供給端列群とに分けると共に、
各供給端列における各供給端のワークロールに対する潤滑油原液の供給状態をそれぞれ監視し、
金属板の圧延時においては、まず第1の供給端列群のみからワークロールに対する潤滑油原液の供給を行って、該第1の供給端列群の供給端列のいずれかの供給端について、ワークロールに対する潤滑油原液の供給量の低下又は供給の停止のいずれかの異常な供給不良を検知した場合には、上記第2の供給端列群の少なくとも1つの供給端列からワークロールに対する潤滑油原液の供給を開始することを特徴とする潤滑油供給方法。 - 上記第1の供給端列群の供給端列のいずれかの供給端においてワークロールに対する潤滑油原液の異常な供給不良を検知した場合には、該供給不良となった供給端からの潤滑油原液の供給を停止すると共に、その潤滑油原液の供給が停止された範囲に対しては、該範囲に潤滑油原液を供給可能な第2の供給端列群の少なくとも1つの供給端列からワークロールへの潤滑油原液の供給を開始することを特徴とする請求項6に記載の潤滑油供給方法。
- 上記第1の供給端列群の供給端列のいずれかの供給端においてワークロールに対する潤滑油原液の異常な供給不良を検知した場合には、第1の供給端列群からのワークロールへの潤滑油原液の供給をすべて停止して、第2の供給端列群からのワークロールへの潤滑油原液の供給を開始することを特徴とすることを特徴とする請求項6に記載の潤滑油供給方法。
- 上記請求項5に記載の潤滑油供給装置を用いた金属板の圧延における潤滑油供給方法であって、
各供給端列における各供給端のワークロールに対する潤滑油原液の供給状態を監視すると共に、金属板の圧延時においては、上記複数の供給端列の供給端すべてからワークロールに対して潤滑油原液をそれぞれ供給し、
いずれかの供給端列の供給端について、ワークロールに対する潤滑油原液の供給量の低下又は供給の停止のいずれかの異常な供給不良を検知した場合には、他の供給端列の供給端からのワークロールへの潤滑油原液供給量を増加させることを特徴とする潤滑油供給方法。 - 上記いずれかの供給端列の供給端においてワークロールに対する潤滑油原液の異常な供給不良を検知した場合には、該供給不良となった供給端からの潤滑油原液の供給を停止すると共に、その潤滑油原液の供給が停止された範囲に対しては、該範囲に潤滑油原液を供給可能な他の供給端列の供給端からのワークロールへの潤滑油原液供給量を増加させることを特徴とする請求項9に記載の潤滑油供給方法。
- 上記いずれかの供給端列の供給端においてワークロールに対する潤滑油原液の異常な供給不良を検知した場合には、その供給不良の供給端を含む供給端列からのワークロールへの潤滑油原液の供給をすべて停止して、他の供給端列の各供給端のワークロールへの潤滑油原液供給量を増加させることを特徴とする請求項9に記載の潤滑油供給方法。
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