JP2012003247A - 光学積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、高い赤外線反射率を有しながら良好な対表面擦過性を備える赤外線反射性の光学積層体を提供することを目的とするものである。
【解決手段】
可視光域で透明な基材の少なくとも片面側に、赤外線反射層を有し、さらに赤外線反射層の外面側にハードコート層を有する積層体であって、該ハードコート層が、炭素原子に対する窒素原子の原子数比率が15〜30%の非晶質窒化炭素から構成され、該非晶質窒化炭素は、以下の(1)および/または(2)を満たすことを特徴とする、光学積層体。
(1)[spC−C結合の数]<[spC=C結合の数]
(2)[spC−N結合の数]<[spC=N結合の数]
【選択図】図1

Description

本発明は、耐表面擦過性、可視光および赤外光透過性が高いハードコート層を有する光学積層体およびその製造方法に関するものである。
ディスプレイ装置、タッチパネル、窓材など透明基材を用いた光学部材では、製造工程、後加工工程、施工時および使用時などにおいて表面の傷対策が重要な品質課題となっている。中でも建築物や自動車などの内部の空調効率を高める為に、窓材として用いられる赤外線反射材は、面積が広く、施工時や清掃時などの際に表面に擦傷キズが入り透明性が低下するといった問題がある。
赤外線反射材の例としては、透明な基材の表面に銀薄膜などの可視光透過性と高い赤外線反射特性を有する層がスパッタリング法などで形成されたものがあり、耐表面擦過性に対し表面に保護層としてハードコート層が形成されるのが一般的である。例えば特許文献1では、ハードコート層が、その質量を基準として、無機微粒子を20質量%以上80質量%未満含有することを特徴とする窓貼用赤外線反射フィルムや、ハードコート層の鉛筆硬度が少なくとも2Hで、且つ、スチールウールによる摩耗前後のヘーズ値の差(△H)が高々5%であることを特徴とする窓貼用赤外線反射フィルムが考案されているが、実用上はまだ不十分であった。
一方、特許文献2では、硬さと固体潤滑性に優れたダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を最表面にコーティングした保護DLCを含む太陽光管理皮膜体系が考案されているが、DLC膜は一般的に絶縁性の膜であり、摩擦帯電による電荷はその表面に蓄積し易い。特許文献2では、静電気に対する対策やDLC膜に導電性を付与する必要性などは一切開示されていない。また、通常のDLC膜は可視光域に吸収をもつため、可視光透過率を確保するためには膜厚を薄くする必要があり、薄い膜で耐表面擦過性を確保するためには特許文献2にあるようにフッ素系の潤滑剤をDLCの表面に更に塗布する必要があった。なお、フッ素系潤滑剤は一般的に電気絶縁性が高いものである。
特開2001−179887号公報 米国特許出願公開第2003/0021997号明細書
本発明が解決しようとする課題は、傷が付きにくい表面を有する赤外線反射材として好適な光学積層体を提供することである。具体的には、可視光透過率が十分に高く、かつ赤外線反射特性に悪影響を及ぼさないハードコート層と赤外線反射層を有する光学積層体を提供することである。
本発明者らは、従来の光学積層体において、表面の硬度を高くしても傷の抑制が十分とはならなかった理由について、従来の光学積層体においては、赤外線反射材表面が摩擦帯電により静電気を帯び易く、施工時や使用時等において、この静電気に砂埃などが引き寄せられ、布帛等で拭いた際にかかる砂埃に擦過されることにより傷が生じるためではないかとの仮説の下、摩擦帯電を生じにくくすることで、傷が付きにくくなるのではないかと考え鋭意検討し、本発明にいたったものである。すなわち、
可視光域で透明な基材の少なくとも片面側に、赤外線反射層を有し、さらに赤外線反射層の外面側にハードコート層を有する積層体であって、該ハードコート層が、炭素原子に対する窒素原子の原子数比率が15〜30%の非晶質窒化炭素から構成され、該非晶質窒化炭素は、以下の(1)および/または(2)を満たすことを特徴とする、光学積層体。
(1)[spC−C結合の数]<[spC=C結合の数]
(2)[spC−N結合の数]<[spC=N結合の数]
また、前記ハードコート層のシート抵抗が10〜1010Ω/□であることが好ましい。
また、赤外線反射層が銀および/または銀合金の層を含む複数の層から構成されることが好ましい。
また、赤外線反射層が銀および/または銀合金の層と金属酸化物の層が積層されたものであることが好ましい。
また、前記金属酸化物の層が導電性を有することが好ましい。
また、前記金属酸化物が透明導電性酸化物であり、表面におけるシート抵抗が10−2〜10Ω/□であることが好ましい。
また、前記基材と赤外反射層との間にアンダーコート層を有することが好ましい。
また、前記ハードコート層の外面側にトップコート層を有することが好ましい。
また、前記基材が樹脂フィルムであることが好ましい。
また、前記樹脂フィルムがポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメタクリレートおよび/またはポリアクリレートフィルム、ポリオレフィンフィルム、塩化ビニルフィルムからなる群より選ばれる1つから構成されるものであることが好ましい。
本発明によれば、高い赤外線反射率を有しながら良好な耐表面擦過性を備えた光学積層体を提供することができる。
実施例1の断面模式図である。
本発明の光学積層体は、可視光域で透明な基材の少なくとも片面側に、赤外線反射層を有し、さらに赤外線反射層の外面側にハードコート層を有する積層体であって、該ハードコート層が、炭素原子に対する窒素原子の原子数比率が15%〜30%の非晶質窒化炭素から構成され、該非晶質窒化炭素は、以下の(1)および/または(2)を満たすことを特徴とする。ここで、赤外線反射層の外面側とは可視光域で透明な基材上に赤外線反射層を配置したときに、赤外線反射層の、基材とは反対側の外気と接している側の面側のことをいう。
(1)[spC−C結合の数]<[spC=C結合の数]
(2)[spC−N結合の数]<[spC=N結合の数]
かかる構成を採ることにより、高い赤外線反射率を有しながら良好な耐表面擦過性を備えた赤外線反射性の光学積層体を提供するものである。
本発明の光学積層体は、可視光域で透明な基材の少なくとも片面側に、赤外線反射層を有し、さらに赤外線反射層の外面側にハードコート層を有する積層構成を有することにより、赤外線反射層の界面が空気や水蒸気などに直接接触することで起る酸化、水酸化による剥離や腐食等の劣化を低減し、赤外線の反射や可視光透過の性能劣化を抑制することが出来る。また、赤外線反射層の外面側にハードコート層を有するため、赤外反射層が擦過することを抑制することが出来る。
以下各層について詳述する。
基材
本発明の光学積層体は、可視光域で透明な基材の少なくとも片面側に、赤外線反射層を有し、さらに赤外線反射層の外面側にハードコート層を有するものである。本発明において用いられる可視光域で透明な基材とは、波長380〜780nmの光の平均透過率が50%以上である基材をいい、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上の基材を用いることで、積層構成形成時も高い可視光透過率を確保することが出来る。かかる可視光域で透明な基材の波長380〜780nmの光の平均透過率は、基材の材質や厚さを適宜選択することにより調整することができる。また、本発明の光学積層体は、その用途に合わせて樹脂のような有機素材、金属や金属酸化物やセラミックスやガラスなどの無機素材、紙や木材などの天然素材基材など、様々な素材上に配置して用いられるものであり、また、様々な形状の素材上に配置して使用される。かかる場合の取り扱いを容易とするため、基材が可撓性を有することが好ましく、特に樹脂フィルムを基材として用いることで、加工性、取り扱い性、が良くこれにより生産性も向上することから、コストの面でも好ましい。かかる特性を有する可視光域で透明な樹脂フィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表されるポリエステル、ナイロン6やナイロン66に代表される脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよび/またはポリアクリレート、ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィン、塩化ビニル等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表される芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよび/またはポリアクリレート、ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィン、塩化ビニルを樹脂成分とするフィルムがこのましい。さらには、これらの中でも、コストや取り扱いの容易さ、積層体を加工する際に受ける熱に対する耐熱性といった面で、芳香族ポリエステルフィルム、さらにはポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。また、機械強度を高めた二軸延伸フィルム、さらには耐熱性及び機械的強度に優れる、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムや二軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムが好ましく、特に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。2層以上からなる積層体でも良く、積層構成により光学特性が基材でも制御可能となるためよい。また、取り扱いの容易さや、加工単位の長尺化による生産性向上といった点からは、フィルムの厚みは5〜150μmの範囲が好ましく、12〜75μmであることはさらに好ましい。
赤外線反射層
本発明において可視光域で透明な基材の少なくとも片面側に配される赤外線反射層は、波長5〜20μmの赤外線、すなわち赤外線を反射することで、熱エネルギーを遮断する機能を有する。
このような本発明における赤外線反射層としては、単層の金属層や、金属層と金属酸化物の層とを交互に積層してなる複層構造からなる層を適用することができる。金属層を構成する材料としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの金属または前記金属からなる合金を挙げることができる。これらの中でも特に、可視光透過特性や赤外線反射特性に優れた銀(Ag)またはその合金を用い、金属層を形成することが好ましい。また、銀(Ag)またはその合金が硫黄や酸素などと反応して劣化することを抑えるためや、金属層を形成する際に凝集などの欠点が発生するのを防ぐために、銀(Ag)合金を用いることが好ましい。銀合金としては、銀に金、銅、白金、パラジウム、ビスマス、ニッケル、マグネシウム、ネオジウム、ルテニウム、アルミニウム、亜鉛などのうち少なくとも一種を0.05〜3.0質量%の範囲で添加したものを用いると、可視光透過性と赤外線反射性および耐腐食性を両立し易いので好ましい。銀に添加する前記元素は0.05質量%を超えて添加すると耐腐食効果を発現させ易く、3.0質量%未満とすると自由電子による赤外線反射特性を維持し易いためである。
赤外線反射層として単層の金属層を用いる場合の金属層の厚みは、必要とする赤外線反射性能、可視光透過性能などに合わせて選ぶことができる。高い可視光透過率と高い赤外線反射率を両立しようとする場合、表面抵抗値が3〜30Ω/□である金属層を用いることが好ましく、5〜10Ω/□である金属層を用いることがさらに好ましい。
赤外線反射層として前記金属層を金属酸化物の層と交互に積層してなる複層構造として用いることは、光学特性を改善することができることから好ましい。すなわち、金属層は屈折率が低いため界面での反射による影響等で可視光透過性が低減する場合があるが、より屈折率の高い金属酸化物の層と組み合わせた多層構造とすることで光学特性を改善することができるからである。金属酸化物の層は用途に合わせて適宜選択できるものであり、ZnO系(ドーパントとしてAl、Ga、B、In、Y、Sc、F、V、Si、Ge、Ti、Zr、Hf等でドープしてもよい)、SnO系(ドーパントとしてF、Sb、Nb、Ta等でドープしてもよい)、In(ドーパントとしてSn、Ge、Mo、F、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、Te等でドープしてもよい)、Ga系(ドーパントとしてSn等でドープしてもよい)、ZrO(添加物としてCu、Alを含有してもよい)、TiO(添加物としてCu、Alを含有してもよい)などから選ばれる1種類以上のものを用いることができる。
さらに、本発明における赤外線反射層中の金属酸化物の層は導電性を有するものであることが好ましい。金属酸化物の層が導電性を有することにより、赤外線反射層を前記金属層と金属酸化物の層とを交互に積層してなる複層構造として用いる場合に、赤外反射性能の低下を低減し、かつ可視光透過の吸収特性を制御するとともに制電性を維持することが出来るためである。前記金属酸化物の層として透明導電性酸化物を用いることが好ましい。前記透明導電性酸化物としては、AZO(ZnO系、ドーパント:Al)、GZO(ZnO系、ドーパント:Ga)、BZO(ZnO系、ドーパント:B)、ITO(Inドーパント:Sn)、ATO(SnO系、ドーパント:Sb)FTO(SnO系、ドーパント:F)あるいはこれらのうちいずれかを含む複合酸化物などを用いることができる。
金属酸化物の層の厚みは、必要とする赤外線反射性能、可視光透過性能などに合わせて選ぶことができる。
さらに、赤外線反射層の最表面におけるシート抵抗が10-2〜10Ω/□とすると比較的大面積であっても端部のみ接地することにより表面電荷を速やかに漏洩させることが可能になる。シート抵抗が10-2Ω/□に満たないと、金属層もしくは金属酸化物の層の膜厚が厚くなり、高い可視光透過率を確保することが困難になる。また、シート抵抗が10Ω/□を超えると電荷が帯電しやすく、静電気により埃等が付着しやすくなる。
前記金属層および前記金属酸化物の層は真空蒸着法(誘導加熱式、電子ビーム加熱式)パルスレーザー蒸着法、マグネトロンスパッタリング法により形成することができる。また、金属酸化物の層は、化学気相成長法(CVD)法や、有機金属化学気相成長法(MOCVD)法等の方法でも形成することができる。また、基材が長尺のフィルムまたはフィルム状のものであれば、ロール・ツー・ロール方式の真空蒸着法やスパッタリング法を用いて形成することもできる。この場合、金属層と金属酸化物の層の各成膜雰囲気圧力が同等または金属酸化物の層の成膜雰囲気圧力を低くすると、連通した減圧空間で連続成膜が可能となるので生産点の観点からも好ましい。連通した減圧空間で連続成膜することにより、誘電体層が金属層の保護膜として作用し、金属層の擦過や酸化などの変質を抑制できるという効果もあるため好ましい。一方、金属酸化物の層の成膜雰囲気圧力が金属層の成膜雰囲気圧力よりも高いと、金属酸化物成膜雰囲気に存在する酸素などが金属成膜雰囲気に混入して金属膜を変質させてしまうため、連通した減圧空間で連続成膜することが困難となる。また、基材が水分やオリゴマー成分を含有している場合は、真空成膜装置に搬入する前に少なくとも真空成膜加工面側にバリア機能を持つ層を付与しておくと、金属層成膜時に金属膜内に不純物の混入を抑制できるので好ましい。なお、このバリア機能を持つ層はハードコート層などと機能を統合することもできる。また、真空成膜装置内で、金属層成膜前にプラズマ、赤外線または紫外線などに基材表面を暴露することにより、水分やオリゴマーを事前に放出させることにより、金属層内への不純物混入を抑制することもできる。さらに、金属酸化物の層は、金属原子に対する酸素原子の数の比が1.5未満の材料を主成分として用いると、十分に酸化した膜を形成し易いのでよい。具体的には、ZnOなどがIn、Al、SnO、TiO、ZrO、などよりも真空成膜時に酸素ガスの導入量を少なくできるのでよい。すなわち、金属層を連通した減圧空間で連続成膜する場合には金属層内に酸素が取り込まれることを抑制できるのでよい。また、金属酸化物の層の蒸着材料またはスパッタターゲット材料としては金属ではなく酸化物を用いる方が真空成膜時に酸素の導入量を減らせるのでよい。さらに、金属酸化物として導電性酸化物を用いると、スパッタ法では直流スパッタにより高速成膜し易くなり、電子ビーム蒸着では電子ビームの電流値を高めて成膜速度を高め易いのでよい。
ハードコート層
本発明において、赤外線反射層の外面側に配されるハードコート層は、炭素原子に対する窒素原子の原子数比率が15〜30%の非晶質窒化炭素から構成される。非晶質窒化炭素とは、ダイヤモンドやグラファイトのように規則的な構造をとる炭素素材とは異なり、非晶質構造を有する炭素素材である。かかる材質のハードコート層を赤外線反射層の外面側にに有することにより、赤外線反射層が銀(Ag)を主成分とする場合においても、硫黄や酸素により赤外線反射特性が変質されてしまうことがなく、優れた赤外線反射特性と耐表面擦過性を両立されることができる。また、本発明におけるハードコート層に用いる非晶質窒化炭素は、炭素原子に対する窒素原子の原子数比率が15〜30%であることが好ましい。窒素原子数の比率が15%に満たない、または30%を超えると、摺動性が低下し、良好な耐表面擦過性を得ることが出来ない。
本発明においてハードコート層に用いる非晶質窒化炭素における、炭素原子に対する窒素原子の原子数比率を15〜30%に調整するためには、導入ガス種に窒素を用い窒素導入量、分圧、基材温度を変更することで調整可能である。窒素導入量、窒素分圧を上げることで窒素の原子数比率を増やすことが出来る。そして窒素原子の原子数比率は、光電子分光法により、測定することができる。
また、ハードコート層の非晶質窒化炭素の各元素の結合状態は、以下の(1)および/または(2)を満たすことが好ましい。
(1)[spC−C結合の数]<[spC=C結合の数]
(2)[spC−N結合の数]<[spC=N結合の数]
[spC−C結合の数]>[spC=C結合の数]かつ[spC−N結合の数]>[spC=N結合の数]であると、摺動性および導電性が低下し、良好な耐表面擦過性を得ることが出来なく、また、ハードコート層の可視光の吸収が大きくなり充分な可視光透過率を得ることが困難になる。逆に、(1)[spC−C結合の数]<[spC=C結合の数]および/または(2)[spC−N結合の数]<[spC=N結合の数]を満たすことで、良好な耐表面擦過性と充分な可視光透過率を両立することができる。かかる[spC−C結合の数]と[spC=C結合の数]の大小関係は、成膜時の導入ガス種、ガス分圧、基材温度により調整可能であり、特に導入ガスに窒素を用い、窒素分圧を上げることで「spC=C結合の数」を増やすことが出来る。また、かかる[spC−N結合の数]と[spC=N結合の数]の大小関係は、上記導入ガス種、ガス分圧、基材温度により調整可能であり、特に導入ガスに窒素を用い、窒素分圧を上げることで「spC=N結合の数」を増やすことが出来る。そしてこれらについては、ラマン分光測定、赤外分光測定により、確認することができる。
ハードコート層の非晶質窒化炭素の窒素濃度や各元素の結合状態は、必要とする耐表面擦過性と赤外線反射性能、可視光透過性能などに合わせて上記条件の範囲内で調整することができ、ハードコート厚みとの組み合わせについても適宜選ぶことができる。また、厚み方向で組成や構造を変えてもよい。例えば、表面側の炭素濃度やspC=C結合を多くすることにより、導電性や摺動性を高めることができるので好ましい。また、下地層との界面では数nmの厚みの範囲で混合層を形成して密着力を高めることも可能である。
非晶質窒化炭素薄膜は目的に合わせて膜厚や膜成分を選ぶことができる。例えば、加工時間を短縮してコスト低減をはかる観点からは、非晶質窒化炭素薄膜の厚みは1nm〜30nmであることが好ましい。本発明において用いるハードコート層は、カーボンターゲットを用いたスパッタリングやイオンビーム蒸着法などにより形成することができる。また、スパッタリングガスとしてArの他に水素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素あるいはこれらのいずれかを用いた混合ガスを反応ガスとして同時に用いることにより、ターゲット表面でのスパッタ現象に化学的な気相エッチング効果が付与されることにより成膜速度を向上させることができるので好ましい。この場合、反応ガスのArに対する混合比は80mol%以下とすると成膜速度を向上させ易いのでよい。混合比を80mol%よりも多くすると、非晶質窒化炭素薄膜自体がエッチングされたり、ターゲット表面に有機物が重合してしまい、成膜速度がかえって低下する。
本発明において用いるハードコート層は、シート抵抗が10〜1010Ω/□であれば、摩擦による帯電を防止することができ好ましい。シート抵抗は好ましくは10Ω/□以下とすると比較的大面積であっても端部のみを接地することにより表面の帯電電荷を速やかに漏洩させることが可能になるため好ましい。10Ω/□未満にしようとすると、ハードコート層の膜厚を厚くする必要があり可視光吸収が大きくなるため、高い可視光透過率を確保することが困難になる。かかるシート抵抗10〜1010Ω/□は該ハードコート層の膜厚、成膜時の導入ガス種に窒素を用い窒素導入量、窒素分圧を変更することで調整可能である。シート抵抗については4端子抵抗測定法により測定することが出来る。
本発明において用いるハードコート層は、波長380nm〜20μmの範囲の光の平均透過率が85〜100%であれば、積層体を構成した際でも可視光域で透明であり、赤外反射層で反射された赤外線を透過するため、熱エネルギーがハードコート層に蓄積し難くなり、熱エネルギーの遮蔽を高めるため好ましい。かかる光の平均透過率はハードコート層の膜厚、成膜時の導入ガス種に窒素を用い、導入窒素量を変更することで調整可能である。透過率は分光光度計により測定することが出来る。
アンダーコート層
本発明の光学積層体において、表面擦過時、赤外線反射層の内部や赤外線反射層と基材との界面に応力が集中して破壊されることを防ぐために、基材と赤外線反射層との間にアンダーコート層を設けることが好ましい。
本発明におけるアンダーコート層の種類は、必要とする表面擦過時の赤外線反射層の内部や赤外線反射層と基材との界面の耐破壊性と可視光透過性などに合わせて、厚みとの組み合わせを適宜選ぶことが出来る。アンダーコート層として、感光性のアクリル系ハードコート剤は、紫外線などの放射線を照射することによって短時間で硬化してコート層を形成することから硬化を制御しやすく好ましい。また、コート層の収縮や表面硬度を改質するために無機粒子を配合することは好ましい。かかる無機粒子として、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウムなど、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムのうち少なくとも一つの元素を含む酸化物粒子が挙げられ、これらを単独で、または、2種以上の粒子を組み合わせて用いることができる。かかる無機粒子の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、不定形状などであり必要特性に合わせて適宜選択することができる。更に、この無機粒子の表面に官能基を導入するような表面処理を行なうことで、硬化性樹脂と無機粒子の架橋反応が進み、よりハードコート特性を向上させることができる。例えば、官能基を導入する表面処理としては、重合性不飽和基を含む有機化合物を無機粒子と結合させることができる。重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基を挙げることができる。
アンダーコート層の厚みは、必要とする表面擦過時の赤外線反射層の内部や赤外線反射層と基材との界面の耐破壊性と可視光透過性などに合わせてハードコート剤の種類との組み合わせを適宜選ぶことが出来る。例えば、感光性のアクリル系ハードコート剤を用いたアンダーコート層においては、良好な耐表面擦過性を得るためにはコート層の膜厚は厚い方が好ましいが、膜厚が厚くなるとハードコート形成時の膜収縮による基材界面への応力や材料代などからくるコスト面で不利となるため、0.5〜10μm厚であることが好ましく、0.5〜5μm厚であることがより好ましい。
トップコート層
本発明の光学積層体において、ハードコート層の外面側にトップコート層を有することが好ましい。ハードコート層の外面側にさらにトップコート層を設けることで耐表面擦過性が向上するメカニズムについては必ずしも明らかにはなっていないが、次のように推定している。すなわち、表面擦過時に応力がかかった場合においても、そのような応力に起因する赤外線反射層とハードコート層との界面への応力集中が緩和され、赤外線反射層とハードコート層との界面が破壊されることを防ぐことができるため、赤外反射層上にハードコート層のみを設けたときに比較し、耐表面擦過性をさらに向上させることが出来るものと考えている。また、ハードコート層とトップコート層との層間の接着力は、赤外反射層に直接トップコート層を設けたときの接着力に比較して大きいので、表面擦過時に層間の剥離を抑制できることが、赤外反射層上に直接トップコート層のみを設けたときに比較し、耐表面擦過性をさらに向上させることが出来るものと考えている。
本発明に適用できるトップコート層の種類は、必要とする耐表面擦過性と遠赤外線反射性、可視光透過性などに合わせて、厚みとの組み合わせを適宜選ぶことが出来る。トップコート層として、感光性のアクリル系ハードコート剤は、紫外線などの放射線を照射することによって素早く硬化してコート層を形成することから硬化を制御しやすく好ましい。また、コート層の収縮や表面硬度を改質するために無機粒子を配合することは好ましい。かかる無機粒子として、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウムの粒子からなる群から選択される、単独の無機粒子や2種以上の無機粒子を組み合わせて用いることができる。かかる無機粒子の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、不定形状などがあり必要特性に合わせて適宜選択することができる。更に、この無機粒子の表面に官能基を導入するような表面処理を行なうことで、硬化性樹脂と無機粒子の架橋反応が進み、よりハードコート特性を向上させることができる。例えば、官能基を導入する表面処理としては、重合性不飽和基を含む有機化合物を無機粒子と結合させることができる。重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基をとして挙げることができる。
トップコート層の厚みは、必要とする耐表面擦過性と遠赤外線反射性、可視光透過性などに合わせてハードコート剤の種類との組み合わせを適宜選ぶことが出来る。例えば、感光性のアクリル系ハードコート剤を用いたトップコート層においては、遠赤外線反射性を大幅に低下させないためには3μm厚以下であることが好ましく、遠赤外線反射性と耐表面擦過性を両立するためには、0.3〜2μm厚であることが好ましく、0.5〜1.2μm厚であることはより好ましく、0.5〜1μm厚であることはさらに好ましい。
光学積層体の赤外線反射率
本発明の光学積層体は、トップコート層の種類や厚み、ハードコート層、金属酸化物の層、金属層の膜厚や抵抗値などの特性を組み合わせることで用途に合わせた赤外線反射率を設計することができる。光学積層体の赤外線反射率は60%以上を満足することが好ましく、70%以上を満足することはより好ましく、80%以上を満足することがさらに好ましい。かかる赤外反射率は赤外分光光度計を用いることで測定可能である。
光学積層体の可視光透過率
本発明の光学積層体は、トップコート層、ハードコート層、金属酸化物の層及び金属層からなる赤外線反射層、アンダーコート層および基材の厚みや屈折率、消衰係数などの光学特性を組み合わせることで用途に合わせた可視光透過率を設計することができる。光学積層体の可視光透過率が40%以上を満足することが好ましく、可視光透過率が50%以上を満足することがさらに好ましい。
用途
本発明の光学積層体は、赤外線反射性と耐表面擦過性に優れた特性を生かし、建築物や乗り物などの窓から流出入する熱エネルギー遮断による冷暖房効果の向上、植物育成用のケースやハウスにおける熱環境保持性の向上、あるいは冷凍冷蔵ショーケースにおける保冷効果向上、高低温作業時に監視窓から流出入する熱輻射の低減などの用途に利用できる。また、本発明の光学積層体を壁や天井などの内装材や家具、家電製品などの表面に使用することで、赤外線の放射によって空間内から流出する熱エネルギーを低減することに利用することができる。本発明の光学性積層体は電磁波遮蔽性能を有することから、電磁波シールド材として用いることができる。また、樹脂フィルム基材を用いた光学積層体は、粘着剤などを用いてガラス板などに貼り合わせて使用することでガラス板などが破損した場合の飛散防止やガラス板などを保護して破損を低減することに利用することができる。樹脂フィルム基材が紫外線により劣化するのを防ぐためには、樹脂フィルム基材表面や粘着剤などの接着層に紫外線吸収剤を付与しておくことも好ましい。
評価方法
・窒素原子濃度
50mm角のサンプルを、3mm幅×3mm長にカットしハードコート層側から入光し窒素原子濃度を測定した。
装置:(株)島津製作所製 ESCA-1000
光源:Mg/Al
加速電圧:10kV
加速電流:10mA
分解能:31.5eV
・ラマン分光分析
以下の条件により得られたラマンスペクトルより差スペクトルを用いて解析を行った。
測定装置:Photo Design製PDP320
測定モード:顕微ラマン
対物レンズ:×90
ビーム径:1μm
クロススリット:100μm
光源:Ar+レーザー
レーザーパワー:6mW
回折格子:600gr/mm
スリット:100μm
検出器:OCD/Roper Scientific
・赤外線反射率
50mm角の赤外線反射性積層体サンプルを、7.5mm幅×50mm長にカットした両面テープ((株)ニトムズ製PROSELF No.539R)で50mm角の3mm厚ガラス板に片端部を固定し、積層体表面側(ハードコート層側)から入光して中央部の赤外線反射率を測定した。
JIS R 3106−1998に準拠して、波長5〜25μmの分光反射率より、283Kの熱放射に対する反射率を求めたものを赤外線反射率(%)とした。分光反射率は以下の装置・測定条件より求めた。
測定装置:(株)島津製作所製 IRPrestige−21
正反射測定ユニット:SRM−8000A
波数範囲:400〜4000cm−1
測定モード:%Transmittance
アボダイズ係数:Happ−Genzel
積算回数:10
分解:4.0
・可視光透過率
50mm角の光学積層体サンプルを、7.5mm幅×50mm長にカットした両面テープ((株)ニトムズ製PROSELF No.539R)で50mm角の3mm厚ガラス板に片端部を固定し、積層体表面側(ハードコート層1側)から入光して中央部の可視光透過率を測定した。
JIS R 3106−1998に準拠して、波長380〜780nmの分光透過率より求めたものを可視光透過率(%)とした。分光透過率は以下の装置・測定条件より求めた。
測定装置:(株)島津製作所製 UV−3150
波長範囲:380〜780nm
スリット幅:(20)
スキャンスピード:高速
サンプリング:1nm
グレーティング:720nm
・耐表面擦過性
50mm角の光学積層体サンプルを、擦過方向と平行な両端部を7.5mm幅×50mm長にカットした両面テープ((株)ニトムズ製PROSELF No.539R)で50mm角の3mm厚ガラス板に固定して表面擦過試験用サンプルとし、以下の装置・条件でスチールウールを固定した摩擦子を用いて積層体表面側(ハードコート層1側)を以下に示す所定回数の擦過後、サンプル中央部20mm角部分の表面にて目視できる長さ10mm以上のキズの本数を観察し、class判断は以下の手順で行った。
擦過装置:(株)大栄科学精器製作所製 RT−200
擦過速度:10回/分、ストローク:50mm
擦過回数:10往復、30往復、50往復、100往復
荷重:100g
摩擦子:30mm(幅方向)×10mm(摩擦方向)
スチールウール:日本スチールウール(株)製 ボンスター No.0000
class判断の手順
(1) 擦過回数10往復時
目視キズ10本以上→class1(評価終了)
目視キズ0〜9本→さらに20往復の擦過を加え(2)へ
(2) 擦過回数30往復時
目視キズ10本以上→class2(評価終了)
目視キズ0〜9本→さらに20往復の擦過を加え(3)へ
(3) 擦過回数50往復時
目視キズ10本以上→class3(評価終了)
目視キズ0〜9本→さらに50往復の擦過を加え(4)へ
(4) 擦過回数100往復時
目視キズ10本以上→class4
目視キズ1〜9本 →class5
目視キズ 0本 →class6
・表面抵抗率
(株)三菱化学アナリテック製 ロレスタEP MCP−T360型(4端子4探針法定電流印加方式)にて表面抵抗値率(Ω/□)を測定した。
・ハードコート層、金属層、金属酸化物の層、トップコート層、アンダーコート層の厚み評価
1.評価方法
試料からの反射光の偏光状態の変化を測定し試料の光学定数および厚みを以下の測定装置上の解析ソフトにより以下のように計算して求めた。計算は、試料で測定されたΔ(位相差)とψ(振幅反射率)のスペクトルを計算モデルから算出された(Δ、ψ)と比較し、測定値(Δ、ψ)に近づくように誘電関数を変化させて測定値と理論値がベストフィット(平均二乗誤差が最小に収束)するところにフィッティングしていき、厚みはかかる計算により求められた、光学定数を用いて算出される。
2.装置
高速分光エリプソメーター
M−2000(J.A.Woollam社製)
回転補償子型(RCE:Rotating Compensator Ellipsometer)
300mm R−Theta ステージ
3.測定条件
入射角:65度、70度、75度
測定波長:195nm〜1680nm
解析ソフト:WVASE32
ビーム径:12mm 程度
以下の方法で準備した実施例および比較例のサンプルについて、各5サンプルを赤外線反射率、耐表面擦過性、可視光透過率の試験を行い、その平均値を取った。各試験の評価および総合評価1および2の判定基準は以下とした。
・赤外線反射率
A:80%以上
B:60%以上80%未満
C:60%未満
・耐表面擦過性
A:class5以上
B:class2〜4
C:class1
・総合判定1
赤外線反射率、耐表面擦過性の判定において以下の基準で判定した。
A:すべての判定がA
B:判定にBを1つ含み、かつCを含まない
C:判定にBを2つ以上含む、もしくはCを含む
総合判定1において、判定がB以上であれば、高い赤外反射を有しながら、壁、窓に施工する際にキズの影響を最小限にとどめながら良好な施工が可能となる。
・可視光透過率
A:50%以上
B:30%以上50%未満
C:30%未満
・総合判定2
赤外線反射率、可視光透過率、耐表面擦過性の判定において以下の基準で判定した。
A:すべての判定がA
B:判定にBを1つ含み、かつCを含まない
C:判定にBを2つ以上含む、もしくはCを含む
総合判定2において、判定がB以上であれば、高い赤外反射を有し、かつ高い可視光透過率を有するため、窓用の赤外反射材として良好に利用することが出来る。また、窓に施工する際にキズの影響を最小限にとどめながら良好な施工が可能となる。
(実施例1)
可視光域で透明な基材としてアクリル系ハードコートを有するフィルムである東レフィルム加工(株)製タフトップC0T0(100μm厚)を用い、到達圧力:3.0E−3Pa、Ag合金ターゲット(56mm×106mm×5mm:1質量% Au含有)、搬送速度:0.8m/min、スパッタガス:Ar 0.5Pa、投入電力:DC 105Wにて金属層をスパッタ加工にて赤外線反射層として形成した後、到達圧力:3.0E−3Pa、カーボンターゲット(56mm×106mm×5mm)、搬送速度:0.2m/min、スパッタガス:Ar+N (N50%)0.5Pa、投入電力:DC 100Wにて非晶質窒化炭素の薄膜をスパッタ加工にてハードコート層として形成して光学積層体を得た。表面抵抗値を測定したところ、10Ω/□であった。窒素濃度は15at%、ピーク強度比で[spC=C結合の数]/「spC−C結合の数]=1.3、[spC=N結合の数]/「spC−N結合の数]=1.1であった。赤外線反射率がA、耐表面擦過性がclass3でB、可視光透過率がAで、総合評価1はB、総合評価2はBだった。
(実施例2)
可視光域で透明な基材としてアクリル系ハードコートを有するフィルムとして東レフィルム加工(株)製タフトップC0T0(100μm厚)に、到達圧力:3.0E−3Pa、Ag合金ターゲット(56mm×106mm×5mm:1質量% Au含有)、搬送速度:0.8m/min、スパッタガス:Ar 0.5Pa、投入電力:DC 105Wにて金属層をスパッタ加工にて赤外線反射層として形成した後、到達圧力:3.0E−3Pa 、カーボンターゲット(56mm×106mm×5mm)、搬送速度:0.2m/min、スパッタガス:N 0.5Pa、投入電力:DC 100Wにて非晶質窒化炭素薄膜をスパッタ加工にてハードコート層として形成して光学積層体を得た。表面抵抗値を測定したところ、9Ω/□であった。窒素濃度は29at%、ピーク強度比で[spC=C結合の数]/「spC−C結合の数]=1.2、[spC=N結合の数]/「spC−N結合の数]=1.3であった。赤外線反射率がA、耐表面擦過性がclass3でB、可視光透過率がAで、総合評価1はB、総合評価2もBだった。
(実施例3)
可視光域で透明な基材として東レ (株)製ルミラーT60(50μm厚)に、到達圧力:3.0E−3Pa、Ag合金ターゲット(56mm×106mm×5mm:1質量% Au含有)、搬送速度:0.8m/min、スパッタガス:Ar 0.5Pa、投入電力:DC 105Wにて金属層をスパッタ加工にて赤外線反射層として形成した後、到達圧力:3.0E−3Pa、カーボンターゲット(56mm×106mm×5mm)、搬送速度:0.2m/min、スパッタガス:Ar+N (N50%)0.5Pa、投入電力:DC 100Wにて非晶質窒化炭素の薄膜をスパッタ加工にてハードコート層として形成して光学積層体を得た。表面抵抗値を測定したところ、10Ω/□であった。窒素濃度は15at%、ピーク強度比で[spC=C結合の数]/「spC−C結合の数]=1.3、[spC=N結合の数]/「spC−N結合の数]=1.1であった。赤外線反射率がA、耐表面擦過性がclass2でB、可視光透過率がAで、総合評価1はB、総合評価2はBだった。
(実施例4)
可視光域で透明な基材として東レ (株)製ルミラーT60(50μm厚)に、到達圧力:3.0E−3Pa、Ag合金ターゲット(56mm×106mm×5mm:1質量% Au含有)、搬送速度:0.8m/min、スパッタガス:Ar 0.5Pa、投入電力:DC 105Wにて金属層をスパッタ加工にて赤外線反射層として形成した後、到達圧力:3.0E−3Pa、カーボンターゲット(56mm×106mm×5mm)、搬送速度:0.2m/min、スパッタガス:Ar+N (N50%)0.5Pa、投入電力:DC 100Wにて非晶質窒化炭素の薄膜をスパッタ加工にてハードコート層として形成した。表面抵抗値を測定したところ、10Ω/□であった。窒素濃度は15at%、ピーク強度比で[spC=C結合の数]/「spC−C結合の数]=1.3、[spC=N結合の数]/「spC−N結合の数]=1.1であった。続いて、アクリル系ハードコート剤としてJSR(株)製オプスターZ7535を希釈溶媒にメチルエチルケトンを用いて固形分濃度7.5%に希釈し、バーコーター(番手No.10)を用いて塗布し、80℃で3分乾燥した後、UV硬化(水銀ランプ使用、670mJ/cm)させて光学積層体を得た。遠赤外線反射率がA、耐表面擦過性がclass3でB、可視光透過率がAで、総合評価1はB、総合評価2もBだった。
(実施例5)
可視光域で透明な基材として東レ (株)製ルミラーT60(50μm厚)に、到達圧力:3.0E−3Pa、Ag合金ターゲット(56mm×106mm×5mm:1質量% Au含有)、搬送速度:0.8m/min、スパッタガス:Ar 0.5Pa、投入電力:DC 105Wにて金属層をスパッタ加工にて赤外線反射層として形成した後、到達圧力:3.0E−3Pa、カーボンターゲット(56mm×106mm×5mm)、搬送速度:0.2m/min、スパッタガス:Ar+N (N50%)0.5Pa、投入電力:DC 100Wにて非晶質窒化炭素の薄膜をスパッタ加工にてハードコート層として形成した。表面抵抗値を測定したところ、10Ω/□であった。窒素濃度は15at%、ピーク強度比で[spC=C結合の数]/「spC−C結合の数]=1.3、[spC=N結合の数]/「spC−N結合の数]=1.1であった。続いて、アクリル系ハードコート剤としてJSR(株)製オプスターZ7535を希釈溶媒にメチルエチルケトンを用いて固形分濃度15%に希釈し、バーコーター(番手No.10)を用いて塗布し、80℃で3分乾燥した後、UV硬化(水銀ランプ使用、670mJ/cm)させて光学積層体を得た。遠赤外線反射率がB、耐表面擦過性がclass5でA、可視光透過率がAで、総合評価1はB、総合評価2もBだった。
(実施例6)
可視光域で透明な基材としてアクリル系ハードコートを有するフィルムとして東レフィルム加工(株)製タフトップC0T0(100μm厚)に、到達圧力:3.0E−3Pa、Ag合金ターゲット(56mm×106mm×5mm:1質量% Au含有)、搬送速度:0.8m/min、スパッタガス:Ar 0.5Pa、投入電力:DC 105Wにて金属層をスパッタ加工にて赤外線反射層として形成した後、到達圧力:3.0E−3Pa、カーボンターゲット(56mm×106mm×5mm)、搬送速度:0.2m/min、スパッタガス:Ar+N (N50%)0.5Pa、投入電力:DC 100Wにて非晶質窒化炭素の薄膜をスパッタ加工にてハードコート層として形成した。表面抵抗値を測定したところ、10Ω/□であった。窒素濃度は15at%、ピーク強度比で[spC=C結合の数]/「spC−C結合の数]=1.3、[spC=N結合の数]/「spC−N結合の数]=1.1であった。続いて、アクリル系ハードコート剤としてJSR(株)製オプスターZ7535を希釈溶媒にメチルエチルケトンを用いて固形分濃度7.5%に希釈し、バーコーター(番手No.10)を用いて塗布し、80℃で3分乾燥した後、UV硬化(水銀ランプ使用、670mJ/cm)させて光学積層体を得た。遠赤外線反射率がA、耐表面擦過性がclass5でA、可視光透過率がAで、総合評価1はA、総合評価2もAだった。
(実施例7)
可視光域で透明な基材としてアクリル系ハードコートを有するフィルムとして東レフィルム加工(株)製タフトップC0T0(100μm厚)に、到達圧力:3.0E−3Pa、Ag合金ターゲット(56mm×106mm×5mm:1質量% Au含有)、搬送速度:0.8m/min、スパッタガス:Ar 0.5Pa、投入電力:DC 105Wにて金属層をスパッタ加工にて赤外線反射層として形成した後、到達圧力:3.0E−3Pa、カーボンターゲット(56mm×106mm×5mm)、搬送速度:0.2m/min、スパッタガス:Ar+N (N50%)0.5Pa、投入電力:DC 100Wにて非晶質窒化炭素の薄膜をスパッタ加工にてハードコート層として形成した。表面抵抗値を測定したところ、10Ω/□であった。窒素濃度は15at%、ピーク強度比で[spC=C結合の数]/「spC−C結合の数]=1.3、[spC=N結合の数]/「spC−N結合の数]=1.1であった。続いて、アクリル系ハードコート剤としてJSR(株)製オプスターZ7535を希釈溶媒にメチルエチルケトンを用いて固形分濃度15%に希釈し、バーコーター(番手No.10)を用いて塗布し、80℃で3分乾燥した後、UV硬化(水銀ランプ使用、670mJ/cm)させて光学積層体を得た。遠赤外線反射率がB、耐表面擦過性がclass6でA、可視光透過率がAで、総合評価1はB、総合評価2もBだった。
(比較例1)
可視光域で透明な基材としてアクリル系ハードコートを有するフィルムである東レフィルム加工(株)製タフトップC0T0(100μm厚)を用い、到達圧力:3.0E−3Pa、Ag合金ターゲット(56mm×106mm×5mm:1質量% Au含有)、搬送速度:0.8m/min、スパッタガス:Ar 0.5Pa、投入電力:DC 105Wにて金属層をスパッタ加工にて赤外線反射層として形成した後、到達圧力:3.0E−3Pa、カーボンターゲット(56mm×106mm×5mm)、搬送速度:0.2m/min、スパッタガス:Ar+N (N30%)0.5Pa、投入電力:DC 100Wにて非晶質窒化炭素の薄膜をスパッタ加工にてハードコート層として形成して光学積層体を得た。表面抵抗値を測定したところ、12Ω/□であった。窒素濃度は10at%、ピーク強度比で[spC=C結合の数]/「spC−C結合の数]=1.0、[spC=N結合の数]/「spC−N結合の数]=0.9であった。赤外線反射率がA、耐表面擦過性がclass1でC、可視光透過率がAで、総合評価1はC、総合評価2はCだった。
(比較例2)
可視光域で透明な基材としてアクリル系ハードコートを有するフィルムである東レフィルム加工(株)製タフトップC0T0(100μm厚)を用い、到達圧力:3.0E−3Pa、Ag合金ターゲット(56mm×106mm×5mm:1質量% Au含有)、搬送速度:0.8m/min、スパッタガス:Ar 0.5Pa、投入電力:DC 105Wにて金属層をスパッタ加工にて赤外線反射層として形成した後、到達圧力:3.0E−3Pa、カーボンターゲット(56mm×106mm×5mm)、搬送速度:0.2m/min、スパッタガス:N 0.1Pa、投入電力:DC 100Wにて非晶質窒化炭素の薄膜をスパッタ加工にてハードコート層として形成して光学積層体を得た。表面抵抗値を測定したところ、10Ω/□であった。窒素濃度は12at%、ピーク強度比で[spC=C結合の数]/「spC−C結合の数]=0.9、[spC=N結合の数]/「spC−N結合の数]=1.1であった。赤外線反射率がA、耐表面擦過性がclass1でC、可視光透過率がAで、総合評価1はC、総合評価2はCだった。
(比較例3)
可視光域で透明な基材としてアクリル系ハードコートを有するフィルムである東レフィルム加工(株)製タフトップC0T0(100μm厚)を用い、到達圧力:3.0E−3Pa、Ag合金ターゲット(56mm×106mm×5mm:1質量% Au含有)、搬送速度:0.8m/min、スパッタガス:Ar 0.5Pa、投入電力:DC 105Wにて金属層をスパッタ加工にて赤外線反射層として形成した後、アクリル系ハードコート剤としてJSR(株)製オプスターZ7535を希釈溶媒にメチルエチルケトンを用いて固形分濃度15%に希釈し、バーコーター(番手No.10)を用いて塗布し、80℃で3分乾燥した後、UV硬化(水銀ランプ使用、670mJ/cm)させて光学積層体を得た。遠赤外線反射率がB、耐表面擦過性がclass2でB、可視光透過率がAで、総合評価1はB、総合評価2もBだった。
(比較例4)
ポリオレフィン系樹脂を表層に有している帝人デュポンフィルム(株)製レフテルZC05G(基材(PETフィルム)/金属層/誘電体層(酸化チタン)/OPPフィルム)について比較例1と同様の評価を行った。赤外線反射率がB、耐表面擦過性がclass1でC、可視光透過率がAで、総合評価1はC、総合評価2もCだった。
Figure 2012003247
Figure 2012003247
本発明のハードコート層は可視光および赤外領域での透明性が高いため、赤外線反射材料等のハードコートとして適している。また、本発明の光学積層体は高い赤外線反射率を有しながら良好な対表面擦過性を備えるため、可視光透過性を有しながら流出入する熱エネルギーの遮蔽することで熱環境を保持することが容易となるために窓などの用途で好適に用いることができるが、その適用範囲がこれらに限定されるものではない。
1:ハードコート層
2:金属酸化物の層
3:金属層
4:基材
5:赤外反射層
6:アンダーコート層
7:トップコート層

Claims (10)

  1. 可視光域で透明な基材の少なくとも片面側に、赤外線反射層を有し、さらに赤外線反射層外面側にハードコート層を有する積層体であって、該ハードコート層が、炭素原子に対する窒素原子の原子数比率が15〜30%の非晶質窒化炭素から構成され、該非晶質窒化炭素は、以下の(1)および/または(2)を満たすことを特徴とする、光学積層体。
    (1)[spC−C結合の数]<[spC=C結合の数]
    (2)[spC−N結合の数]<[spC=N結合の数]
  2. 前記ハードコート層のシート抵抗が10〜1010Ω/□である、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 赤外線反射層が銀および/または銀合金の層を含む複数の層から構成される、請求項1または2に記載の光学積層体。
  4. 赤外線反射層が銀および/または銀合金の層と金属酸化物の層とが積層されたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層体。
  5. 前記金属酸化物の層が導電性を有する、請求項4に記載の光学積層体。
  6. 前記金属酸化物が透明導電性酸化物であり、表面におけるシート抵抗が10−2〜10Ω/□である、請求項5に記載の光学積層体。
  7. 前記基材と赤外反射層との間にアンダーコート層を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の光学積層体。
  8. 前記ハードコート層の外面側にトップコート層を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の光学積層体。
  9. 前記基材が樹脂フィルムである、請求項1〜8のいずれかに記載の光学積層体。
  10. 前記樹脂フィルムがポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリオレフィンフィルムおよび塩化ビニルフィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つから構成されるものである、請求項9に記載の光学積層体。
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