JP2012002702A - 送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】風洞実験や屋外着氷雪実験などにおいて送電線部分模型が大振幅・低振動数で振動することができるようにする。
【解決手段】導体部11及び該導体部11の両端に取り付けられた対向する一対の端板12,12を有する送電線部分模型10と、一対の端板12,12のそれぞれに対向して送電線部分模型10の両側に配置された一対の支持台4,4と、一端は一対の端板12のうちの一方に取り付けられると共に他端は一対の支持台4のうちの一方に支持されて送電線部分模型10を架空させて弾性支持する一対の弾性吊下げ部材2,2とを有し、該一対の弾性吊下げ部材2,2のそれぞれは複数の線状の弾性部材2aからなると共に、支持台4に取り付けられて弾性部材2aの径方向の支持位置を変化させると共に周方向の支持位置を変化させる位置調整機構3を介して弾性吊下げ部材2の他端が支持台4に支持されるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば風洞実験に基づく架空送電線の振動解析に用いたり屋外着氷雪実験における着雪サンプラーとして用いたりする送電線部分模型の支持に適用して好適な送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置に関する。
架空送電線において冬季に雪や氷が付着することによって空力振動が生じることがある。こうした空力振動はギャロッピングと呼ばれている。着氷雪時の架空送電線におけるギャロッピング現象は鉛直振動に加えてねじれや水平振動も伴い振幅も非常に大きくなる。そして、ギャロッピングが大振幅に達すると異なる相の電線間に混触が生じることによる短絡や碍子・鉄塔の損傷などにつながるため、発生条件の究明や対策方法の検討,対策品の開発など様々な研究が行われている(非特許文献1)。送電線におけるギャロッピングの発生条件や応答特性を解明するための方法として、以下に示されるような3つの方法が行われている。
1)実規模送電線における自然着氷雪下若しくは模擬着氷雪を設けての観測
実際の架空送電線や観測用試験線を用いての観測を行い、ギャロッピングの応答特性の把握や対策品の効果検証などが実施されている。観測用試験線では、実際に冬季に着氷雪するような気象条件下における着氷雪形状や送電線の応答などの観測を行う方法と、人工的な模擬着氷雪形状を取り付けて観測を行う方法とが行われている(例えば非特許文献2)。
2)着氷雪送電線断面の空気力係数の測定結果に基づく数値計算による応答解析
ギャロッピングの発生の有無の定式化を試みるものとして、或る瞬間に振動中の物体に作用する空気力がその瞬間の相対迎角及び相対風速で風が静止物体に作用する場合に生じる定常空気力と等しいとする準定常理論を用いて定式化したDen Hartogの条件式が提案されている。これは、風洞実験などで取得した定常空気力係数を用いて断面形状からギャロッピングの発生の可能性を判別しようとするものである。一方で、Den Hartogの条件式は、断面形状が空力的に不安定である(言い換えると、ギャロッピングが発生し得る)かどうかを判断するものであり、ギャロッピングの応答振幅を推定するためには送電線の構造特性を考慮した解析が必要になる。そこで、送電線の幾何学的非線形性を考慮した有限要素法解析プログラム(CAFSSと呼ばれる)が開発され、様々な条件下におけるギャロッピングの時刻歴応答の解析などが実施されている(例えば非特許文献3)。
3)着氷雪送電線の部分模型を用いての風洞における自由振動実験結果に基づく推定
着氷雪送電線をモデル化した部分模型に風を作用させることによって様々な自由振動実験が実施されている。例えば、着氷雪時の4導体送電線の部分模型を風洞内に鉛直方向及びねじれ方向の2自由度で弾性支持してギャロッピング応答が計測されたり、単導体着氷雪送電線模型を風洞内に3自由度弾性支持してその応答が計測されたりしている。これらの測定結果においては、その応答特性は準定常空気力を用いてほぼ評価できるとされている。ただし、これらの実験で測定されたギャロッピングは、装置の制限から、鉛直方向・水平方向の倍振幅は10〜20[cm]程度,ねじれ方向の倍振幅は10[deg.]程度というように比較的小さな振幅の範囲に限られている。しかしながら、実際の送電線におけるギャロッピングでは、鉛直方向・水平方向の倍振幅は数mに達し、ねじれ方向の倍振幅も非常に大きくなると言われている。そこで、4導体送電線の部分模型をスパン方向に離れた2点からワイヤーで支持することによって鉛直方向・水平方向・ねじれ方向の3自由度で大振幅振動を可能とした実験が行われている(例えば非特許文献4)。
架空送電線のギャロッピング現象・解析技術調査専門委員会:架空送電線のギャロッピング現象解析技術,電気学会技術報告,第844号,2001年 大熊武司 他:最上試験線におけるギャロッピング観測結果,AEW技法,第26号,pp.67-76,1997年 清水幹夫 他:送電線のギャロッピングの幾何学的非線形解析,構造工学論文集,Vol.44A,pp.951-960,1998年 清水幹夫 他:着氷雪4導体および単導体送電線のギャロッピング現象の解明(その1)〜部分模型の風洞内ギャロッピング再現実験〜,電中研報告,U04024,2005年
しかしながら、上記1)実規模送電線における観測では、実規模送電線におけるギャロッピング現象が確認されてきたものの、ギャロッピングが発生した時の現象把握を行うために必要なデータ(例えば、径間内の風速分布・着氷雪形状分布,応答振幅,応答モードなど)を全て取得することは非常に困難である。また、風向・風速などの入力条件や着氷雪形状などを任意に調整することができない。また、架線形態や対策品を変えてギャロッピング現象の観測を行う場合には、その度に大規模な工事が必要になる。以上のように、実規模送電線における観測では、実際の着氷雪現象や実規模送電線のギャロッピング現象を捉えることができても、架線形態や対策品の種類、更には気象条件が変わったときにおける応答特性の違いを詳細に検討するためには非常に多くの時間と費用とを必要とするという問題がある。このため、汎用性があるとは言い難い。
また、上記2)数値計算による応答解析では、一般的に、ギャロッピングの解析において入力条件となる空気力は風洞実験や数値計算によって計測された定常空気力係数が準定常理論を用いて入力される。しかし、送電線のギャロッピングにおいては、大振幅振動に達することに加えてねじれ振動も生じるので、空気力が準定常空気力で評価できるかという点が議論の対象とされてきた。そして、着氷雪時の4導体送電線では、大振幅鉛直加振時のモーメント及び大振幅ねじれ加振時の揚力・モーメントなどにおいては空気力に非定常性があり、準定常理論では空気力を厳密には表現できないことが明らかになっている(例えば、木村吉郎 他:大振幅加振時に着氷雪4導体送電線に作用する非定常空気力の特性,構造工学論文集,Vol.46A,pp.1055-1062,2000年)。以上のように、数値計算による応答解析では、様々な条件の設定が容易であるものの、準定常理論を用いた空気力の定式化の適用範囲や数値計算によって求められたギャロッピング応答の推定精度などについては観測や実験で得られた応答特性などと比較して検証する必要があるという問題がある。このため、汎用性があるとは言い難い。
また、上記3)風洞を用いた自由振動試験について、上述の4導体送電線の部分模型をスパン方向に離れた2点からワイヤーで支持することによる鉛直・水平・ねじれの3自由度で大振幅振動を可能とした実験では、鉛直・水平方向の倍振幅は50[cm]程度,ねじれ方向の倍振幅は100[deg.]程度の振動を再現することができているものの、実際の送電線における条件に相当するような低い振動数を再現することはできていない。このように、風洞を用いた自由振動試験では、任意の構造特性,風向・風速・乱れの強さ,着氷雪形状を容易に調整した上で応答特性を測定することができるものの、送電線のギャロッピングを対象とした実験ではそれ以外の構造物の空力現象を対象とした実験に比べて模型のサイズ(導体直径など)に対する振幅が非常に大きく振動数も非常に低い実験を行う必要がある。そのため、相似則などを用いても実際の現象を再現した実験が困難であり、実験手法そのものを工夫する必要があるという問題がある。このため、汎用性があるとは言い難い。
以上のような背景を踏まえると、実際の送電線の構造特性を模擬することができる風洞実験や屋外着氷雪実験を実施することができれば、様々な条件下(例えば、構造特性,風向・風速などの入力条件,着氷雪形状)におけるギャロッピングの発生条件や応答特性を明らかにすることが可能になる。さらに、準定常理論を用いた空気力の評価の適用範囲や数値計算によって求められたギャロッピング応答の推定精度を明らかにすることが可能になる。
そこで、本発明は、風洞実験や屋外着氷雪実験などにおいて送電線部分模型が大振幅・低振動数で振動することができる送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、請求項1記載の送電線部分模型の弾性支持方法は、導体部及び該導体部の両端に取り付けられた対向する一対の端板を有する送電線部分模型を、一端は一対の端板のうちの一方に取り付けられると共に他端は一対の端板のそれぞれに対向して送電線部分模型の両側に配置された一対の支持台のうちの一方に支持される一対の弾性吊下げ部材によって架空させて弾性支持すると共に、一対の弾性吊下げ部材のうちの少なくとも一方を複数の線状の弾性部材で構成し、該弾性部材の径方向の支持位置を変化させると共に周方向の支持位置を変化させる位置調整機構を介して弾性吊下げ部材の他端を支持台に支持させるようにしている。
また、請求項6記載の送電線部分模型の弾性支持装置は、導体部及び該導体部の両端に取り付けられた対向する一対の端板を有する送電線部分模型と、一対の端板のそれぞれに対向して送電線部分模型の両側に配置された一対の支持台と、一端は一対の端板のうちの一方に取り付けられると共に他端は一対の支持台のうちの一方に支持されて送電線部分模型を架空させて弾性支持する一対の弾性吊下げ部材とを有し、該一対の弾性吊下げ部材のうちの少なくとも一方は複数の線状の弾性部材からなると共に、支持台に取り付けられて弾性部材の径方向の支持位置を変化させると共に周方向の支持位置を変化させる位置調整機構を介して弾性吊下げ部材の他端が支持台に支持されるようにしている。
したがって、これらの送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置によると、支持台に取り付けられた位置調整機構によって弾性部材の径方向の支持位置を変化させて複数の弾性部材の固定点間隔を適宜変化させることができるので、送電線部分模型のねじれ方向の振動数を実験条件等に合わせて都度に簡易に調整することができる。また、弾性部材として用いる部材を選択することによってたわみ剛性を調整することができるので、送電線部分模型の鉛直方向及びねじれ方向の振動数を実験条件等に合わせて都度に簡易に調整することができる。さらに、弾性吊下げ部材による送電線部分模型の弾性支持の弛度を調整することにより、送電線部分模型の水平方向の振動数を調整することができる。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の送電線部分模型の弾性支持方法において、送電線部分模型の端板に、弾性部材の径方向の取り付け位置を変化させる位置調整機構を設けるようにしている。また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の送電線部分模型の弾性支持装置において、送電線部分模型の端板が、弾性部材の径方向の取り付け位置を変化させる位置調整機構を備えるようにしている。この場合には、送電線部分模型の端板に備えられた位置調整機構によっても弾性部材の径方向の支持位置を変化させて複数の弾性部材の固定点間隔を変化させることにより、送電線部分模型のねじれ方向の振動数を調整することができる。
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の送電線部分模型の弾性支持方法において、支持台に、弾性部材の張力を該弾性部材毎に変化させる張力調整機構を設けるようにしている。また、請求項8記載の発明は、請求項6記載の送電線部分模型の弾性支持装置において、支持台が、弾性部材の張力を該弾性部材毎に変化させる張力調整機構を備えるようにしている。この場合には、支持台が張力調整機構を備えることにより、送電線部分模型の弾性支持の弛度を適宜変化させることができるので、送電線部分模型の水平方向の振動数を実験条件等に合わせて都度に簡易に調整することができる。
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の送電線部分模型の弾性支持方法において、弾性部材の剛性を変化させることによって送電線部分模型の鉛直方向の振動数を変化させるようにしている。この場合には、送電線部分模型の鉛直方向の振動数を実験条件等に合わせて都度に簡易に調整することができる。
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の送電線部分模型の弾性支持方法において、送電線部分模型の鉛直方向の振動数fy,水平方向の振動数fz,ねじれ方向の振動数fθをそれぞれ数式によって表すようにしている。この場合には、送電線部分模型の各方向の振動数のそれぞれを実験条件等に合うように調整して設定することができる。
請求項1,6記載の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置によれば、送電線部分模型の鉛直方向,水平方向,ねじれ方向の振動数を実験条件等に合わせて都度に簡易に調整することができるので、風洞実験や屋外着氷雪実験などにおいて送電線部分模型を大振幅・低振動数で振動させることができ、風洞実験や屋外着氷雪実験などによって得られるデータの有用性と信頼性との向上を図ることが可能になると共に、送電線部分模型の支持装置の調整を簡易に行えるようにし手間を減らして汎用性の向上を図ることが可能になる。また、架空送電線の導体形状を模擬した部分模型を用いて屋外の着氷雪が生じる地域に本発明に係る装置を設置することによって実際の着氷雪現象を再現することができると共に、実際の着氷雪の再現条件下におけるギャロッピング現象の実験を行うこともできるので、着氷雪現象自体や着氷雪現象とギャロッピング現象との関係の解析に対しても有用なデータを提供することができる。
請求項2,7記載の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置によれば、送電線部分模型のねじれ方向の振動数を調整することができるので、風洞実験や屋外着氷雪実験などにおける送電線部分模型の振動数を適切に調整し、風洞実験や屋外着氷雪実験などによって得られるデータの有用性と信頼性との向上を図ることが可能になる。
請求項3,8記載の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置によれば、送電線部分模型の水平方向の振動数を実験条件等に合わせて都度に簡易に調整することができるので、風洞実験や屋外着氷雪実験などにおける送電線部分模型の支持装置の調整を簡易に行えるようにし手間を減らして汎用性の向上を図ることが可能になる。
請求項4記載の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置によれば、送電線部分模型の鉛直方向の振動数を実験条件等に合わせて都度に簡易に調整することができるので、風洞実験や屋外着氷雪実験などにおける送電線部分模型の支持装置の調整を簡易に行えるようにし手間を減らして汎用性の向上を図ることが可能になる。
請求項5記載の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置によれば、送電線部分模型の各方向の振動数のそれぞれを実験条件等に合うように調整して設定することができるので、風洞実験や屋外着氷雪実験などにおける多様な実験条件に合わせた送電線部分模型の支持装置の仕様設定を容易に行えるようにし手間を減らして汎用性の向上を図ることが可能になる。
本発明の送電線部分模型の弾性支持装置の実施形態の一例を示す概要斜視図である。 本発明の送電線部分模型の弾性支持装置の位置調整機構の一例を示す概要図である。 本発明の送電線部分模型の弾性支持装置の張力調整機構の一例を示す概要図である。 実施例1の送電線部分模型の構造的特性を表す運動方程式に関わるパラメータの定義を説明する図である。 実施例1の送電線部分模型の構造的特性を表す運動方程式に関わるパラメータの定義を説明する図である。 実施例1の倍振幅に対する振動数特性の解析結果を示す図である。 実施例3の端板の詳細寸法を示す図である。 実施例3の時刻歴波形における振幅・周期の定義を説明する図である。 実施例3の鉛直方向に初期変位を与えた後の鉛直変位波形を示す図である。 実施例3の倍振幅に対する振動数特性の自由振動実験結果及び解析結果を示す図である。 実施例3の倍振幅に対する振動数特性の自由振動実験結果及び解析結果を示す図である。 実施例3の水平方向に初期変位を与えた後の波形を示す図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1から図3に、本発明の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置の実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、4導体送電線の実寸部分模型(以下、送電線部分模型という)を支持する場合を例に挙げて説明する。
本実施形態の送電線部分模型10は、具体的には、四本の導体部11,…,11が相互に軸心方向平行に各導体部11の端部11aの配置が正方形になるように配置され、両端部11a,11aがそれぞれ対向する一対の端板12,12によって固定されて構成される。ここで、以下の説明においては、送電線部分模型10の軸心方向は各導体部11の軸心方向と同じであると定義する。
そして、送電線部分模型10は、例えば風洞実験や屋外着氷雪実験で実際の送電線の応答を模擬する場合であれば、導体形状,導体間隔,質量,質量慣性モーメントが実際の送電線のものと等価になるように構成される。具体的には例えば、導体部11の間隔(本実施形態の場合には、言い換えると、四本の導体部11の端部11aの位置によって形成される正方形の一辺の長さ)は実際の送電線と同じに40〔cm〕程度に設定されることが考えられる。
一方、送電線部分模型10の導体部11の長さは特定の長さに限定されるものではなく、例えば風洞実験設備の規模と送電線部分模型10の大きさから想定される送電線部分模型の弾性支持装置1全体の大きさとを考慮して適当な長さに設定される。具体的には例えば、導体部11の長さは100〔cm〕程度に設定される。
また、導体部11としては、実際の導体の形状を模擬したパイプや、導体として実際に用いられている鋼心アルミ撚り線を切断したものを用いる。また、着氷雪時の送電線を対象とした実験を行う場合には、着氷雪の形状を模擬した着氷雪の模型を製作して当該模型を導体部11に取り付けるようにしても良いし、着氷雪状態の形状を再現した導体の模型を製作して当該模型を導体部11として用いるようにしても良い。
各導体部11を所定の位置関係で固定するために導体部11の両端部11a,11aのそれぞれに取り付けられる対向する一対の端板12は、風洞実験を行う場合には一般的に気流の二次元性を確保するために薄い円形平板状に形成される。なお、気流の二次元性を積極的に確保する必要がない場合には例えば環状に形成されたものを用いても良い。また、端板12の形状は、円形に限られず、正多角形でも良い。なお、以下の説明では、端板12の、導体部11側の面のことを内側面と呼び、反対側の面のことを外側面と呼ぶ。
各導体部11は、端板12に対し、固定して取り付けられるようにしても良いし、任意の角度だけ軸回転すると共にその後固定されるようにして取り付けられるようにしても良い。軸回転可能に取り付けられるようにした場合には、着氷雪形状の発達角を導体部11毎に任意の方向に調整することなどが可能になる。また、各導体部11は端板12に対して個別に着脱可能であって任意の導体部を取り外すことができるので、導体部毎で異なる着氷雪形状を有するような模型(例えば多導体の後流側の着氷雪形状を小さくするなど)についての実験も可能になる。
また、送電線部分模型10全体の質量及び質量慣性モーメントを実際の架空送電線と同じにするために、端板12の例えば外側面に質量調整用の錘を適宜取り付けるようにしても良い。
また、例えば風洞実験などの際に送電線部分模型10の挙動を計測するために端板12の外側面に位置計測用のマークを付けるようにしても良い。そして、目視したり画像解析したりすることによってマークの位置計測を行って送電線部分模型10の鉛直方向・水平方向・ねじれ方向の変位を算出するようにしても良い。例えば、端板12の外側面外縁寄りの位置に等間隔で全て色違いの四つの画像トレース用マーカーを取り付けると共に支持台4の下部にビデオカメラを据え付け、当該ビデオカメラによって撮影された映像をコンピュータに取り込んだ後に画像解析することによって鉛直方向・水平方向・ねじれ方向の変位を算出する。具体的には、撮影された映像において、各コマの中での解析対象とする領域(即ち画素の範囲)及び抽出する色(即ちRGB値の範囲)を指定することによって色違いの各マーカーの座標値を算出することなどが考えられる。
そして、本発明の送電線部分模型の弾性支持方法は、導体部11及び該導体部11の両端に取り付けられた対向する一対の端板12,12を有する送電線部分模型10を、一端は一対の端板12,12のうちの一方に取り付けられると共に他端は一対の端板12,12のそれぞれに対向して送電線部分模型10の両側に配置された一対の支持台4,4のうちの一方に支持される一対の弾性吊下げ部材2,2によって架空させて弾性支持すると共に、一対の弾性吊下げ部材2,2のそれぞれを複数の線状の弾性部材2aで構成し、該弾性部材2aの径方向の支持位置を変化させると共に周方向の支持位置を変化させる位置調整機構3を介して弾性吊下げ部材2の他端を支持台4に支持させるようにしている。
上記送電線部分模型の弾性支持方法は、本発明の送電線部分模型の弾性支持装置として実現される。本発明の送電線部分模型の弾性支持装置1は、導体部11及び該導体部11の両端に取り付けられた対向する一対の端板12,12を有する送電線部分模型10と、一対の端板12,12のそれぞれに対向して送電線部分模型10の両側に配置された一対の支持台4,4と、一端は一対の端板12,12のうちの一方に取り付けられると共に他端は一対の支持台4,4のうちの一方に支持されて送電線部分模型10を架空させて弾性支持する一対の弾性吊下げ部材2,2とを有し、該一対の弾性吊下げ部材2,2のそれぞれは複数の線状の弾性部材2aからなると共に、支持台4に取り付けられて弾性部材2aの径方向の支持位置を変化させると共に周方向の支持位置を変化させる位置調整機構3を介して弾性吊下げ部材2の他端が支持台4に支持されるようにしている。
弾性吊下げ部材2を構成する線状(言い換えると、紐状)の弾性部材2aは、送電線部分模型10の各端板12の外側面に、本実施形態では、四本ずつ取り付けられる。なお、弾性吊下げ部材2を構成する線状(紐状)の弾性部材2aは四本には限られない。また、送電線部分模型10の両側で弾性部材2aの本数が異なっていても構わない。具体的には例えば、本実施形態のように両側共に四本ずつの他に、両側共に二本ずつや三本ずつでも良いし、一方が二本で他方が三本でも良いし、一方が一本で他方が二本や三本などでも良い。すなわち、送電線部分模型10の両側の一対の弾性吊下げ部材2,2のうちの少なくとも一方が複数本の線状の弾性部材2aから構成されていれば良い。
弾性部材2aは、剛性が伸びに対してなるべく一定である(言い換えると、線形性が保たれる)ことが好ましい。また、弾性部材2aとしては、これによって構成される弾性吊下げ部材2として送電線部分模型10を支持するのに十分な強度があるものが用いられる。具体的には例えばウレタンゴム製やニトリルゴム製や天然ゴム製で直径3〔mm〕程度の丸断面形状の紐部材が用いられる。
二つの支持台4,4は、送電線部分模型10の軸心方向の両側に、送電線部分模型10と離れて対向して配置される。本実施形態の支持台4は、直方体形状のフレーム構造として構成される。なお、図1においては、支持台4を構成する直方体形状のフレーム構造のうち、底部矩形フレーム4aと、当該底部矩形フレーム4aと底辺が共通する前部矩形フレーム4bのみを表している。
そして、支持台4の前部矩形フレーム4bに水平部材4cが取り付けられ、当該水平部材4cに、送電線部分模型10両端の端板12と対向させて位置調整機構3が取り付けられる。
位置調整機構3は、図2に示すように、円形平板状の本体3aを有し、当該本体3aの中心を貫通する中心ボルト3cによって水平部材4cに取り付けられる。なお、本体3aの形状は、円形に限られるものではなく、多角形でも良い。
位置調整機構3の本体3aには、弾性吊下げ部材2を構成する各弾性部材2a端部の取り付け・固定位置を径方向に調整するための径方向位置調整機構を構成するものとして径方向のスリット3bが四つ形成される。四つの径方向スリット3b,…,3bは、本体3aの中心ボルト3cを中心とする十字の各辺の位置に、言い換えると、隣り合うスリットとの方向が90°ずつずれて形成される。
径方向のスリット3bは、本実施形態では弾性吊下げ部材2を構成する弾性部材2aの本数が四本であるので四つ形成されており、すなわち弾性部材2aの本数と同じ個数だけ少なくとも形成される。したがって、例えば、弾性部材2aが三本の場合には隣り合うスリットとの方向が120°ずつずれて三つの径方向スリット3bが形成されるようにしても良く、弾性部材2aが二本の場合には中心ボルト3cを通る一直線上に二つの径方向スリット3bが形成されるようにしても良い。
位置調整機構3の径方向スリット3bには、それぞれ、径方向位置調整機構を構成するものとしてスライダ5が一つずつ取り付けられる。スライダ5は、径方向スリット3bの長手方向(即ち、本体3aの径方向)と直交する方向の両側のそれぞれに固定用ボルト5b,5bを有する。
位置調整機構3は径方向スリット3bを有することによってスライダ5を、ボルト5b,5bを緩めた場合には径方向スリット3bの長手方向(即ち、本体3aの径方向;図2中の両矢印3f)に摺動可能にさせると共に、ボルト5b,5bを締め付けた場合には摺動不能に固定する。
スライダ5には、さらに、中央位置に貫通孔5aが設けられている。そして、当該貫通孔5aを弾性部材2aが貫通する。そして、各弾性部材2aは、スライダ5を経由して(言い換えると、スライダ5に係止されて)支持台4に支持される。
ここで、弾性部材2aを係止して当該弾性部材2aの固定点を位置決めする各スライダ5は、中心ボルト3cを中心とする円周上に、即ち中心ボルト3cから同じ距離だけ離れた位置に配置され固定される。このため、本実施形態では、径方向スリット3bの長手方向の両側部に目盛3hが付されている。
位置調整機構3の本体3aには、さらに、各弾性部材2a端部の取り付け・固定位置を周方向に調整するための周方向位置調整機構を構成するものとして周方向のスリット3dが二つ形成される。二つの周方向スリット3d,3dは、本体3aの外縁寄りの位置に、各々が周方向一周の四分の一の長さを有するものとして対向して形成される。そして、周方向スリット3dを貫通して支持台4の水平部材4cに嵌められる周縁ボルト3eが備えられる。なお、周方向のスリット3dは、本体3aが回転する際のガイドとして機能し、また、本体3aを任意の角度に設定することができるように90度以上の回転を許容するガイドとして機能するものであればどのような形状であっても良く、例えば、周方向一周の四分の一を超える長さを有するものであっても良い。また、周方向のスリット3dは一つでも良い。
位置調整機構3は周方向スリット3dを有することによって本体3aを、中心ボルト3c及び周縁ボルト3e,3eを緩めた場合には中心ボルト3cを中心に回転(図2中の矢印3g)可能にさせると共に、これらボルト3c,3e,3eを締め付けた場合には回転不能に固定する。
なお、支持台4の水平部材4cに対する位置調整機構3の取り付けの初期状態において、例えば、各径方向スリット3b,…,3bは水平部材4cに対して45度の角度をなし、二つの周方向スリット3d,3dは水平に(言い換えると左右に)対向している。ただし、位置調整機構3の取り付けの初期状態(姿勢)はこれに限られるものではなく、実験の内容等に応じた所望の角度に設定することができるように適宜調整される。
本実施形態の送電線部分模型の弾性支持装置1は張力調整機構6を更に備える。張力調整機構6は各弾性部材2aの張力を個別に調整するためのものである。張力調整機構6は、図3に示すように、滑車6aと錘6bとからなり、支持台4に備えられる。そして、位置調整機構3に取り付けられたスライダ5の貫通孔5aを貫通した弾性部材2aが滑車6aにかけられる。そして、滑車6aを通過して下方に垂れ下がる弾性部材2aの先端部(言い換えると、下端部)に錘6bが取り付けられる。
なお、図3では、滑車6aと錘6bとを二組のみ表示するようにしているが、本実施形態では弾性吊下げ部材2を構成する弾性部材2aの本数が四本であるので一つの支持台4には四組の滑車6aと錘6bとが備えられている。すなわち、弾性部材2aの本数と同じ組数の滑車6aと錘6bとが備えられる。
張力調整機構6の錘6bの重さを調整することによって各弾性部材2aの張力が個別に調整される。そして、実験の内容等に合わせた各弾性部材2aの張力及び送電線部分模型10の角度三成分(即ち、水平角,傾斜角,仰角)が確保された状態で、弾性部材2aのスライダ5貫通部分の両側を固定治具で挟むなどによってスライダ5に対して弾性部材2aが固定される。これにより、実験の内容等に合わせて各弾性部材2aの任意の張力及び任意の姿勢に設定した状態で送電線部分模型10を弾性支持することが可能になる。
上述の構成により、送電線部分模型10は、軸心方向両側のそれぞれに離れて対向配置された支持台4,4の間に弾性吊下げ部材2によって弾性支持される。そして、弾性吊下げ部材2を構成する弾性部材2aは、位置調整機構3によって支持位置(係止位置)の調整が可能であるように、且つ、張力調整機構6によって張力の調整が可能であるようにされつつ支持台4に支持される。
なお、例えば支持台4の前部矩形フレーム4bへの水平部材4cの取り付け位置を変えられるようにし、送電線部分模型10の弾性支持の弛度に合わせて位置調整機構3の高さを変えて送電線部分模型10の支持点の高さを調整することが可能であるようにしても良い。
以上の構成を有する本発明の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置によれば、複数の弾性部材2aの径方向の支持位置や周方向の支持位置を変化させたり、複数の弾性部材2aの張力を該弾性部材2a毎に調整したりすることができる。
これにより、送電線部分模型10を鉛直方向・水平方向・ねじれ方向の3自由度で大振幅振動させることが可能になる。また、弾性挙動を示す(言い換えると、剛性が低い)紐部材である弾性部材2aを送電線部分模型10の軸心方向に長く用いることによって実際の送電線と同等の低い振動数で振動させることが可能になる。そして、送電線部分模型の各方向の振動特性のそれぞれを実験条件等に合うように調整して設定することが可能になる。
具体的には、本発明では、弾性吊下げ部材2を構成する弾性部材2aの支持台4による支持点が、位置調整機構3の径方向位置調整機構としての径方向スリット3b及びスライダ5並びに周方向位置調整機構としての周方向スリット3dによって任意の位置に調整される(言い換えると、支持点の角度及び間隔が任意の位置に調整される)と共に任意の位置で固定される。
そして、弾性部材2aによって構成される弾性吊下げ部材2の支持点(固定点)の角度を位置調整機構3によって調整することにより、送電線部分模型10の軸心方向の軸を回転中心とする設置角度を調整することが可能になる。なお、風洞を用いて実験をする場合には風は一般的に水平方向に吹いているところ、本発明によれば、位置調整機構3を軸回転させて送電線部分模型10を回転させることによって風に対する仰角の調整が可能であり、任意の吹き上げ角・吹き下ろし角を設定することができる。
また、弾性吊下げ部材2を構成する弾性部材2aの支持点(固定点)の間隔を位置調整機構3によって調整することにより、送電線部分模型10のねじれ方向の振動数を調整することが可能である。
さらに、送電線部分模型10の弾性支持の弛度(言い換えると、弾性吊下げ部材2を構成する弾性部材2aの張力)を張力調整機構6によって調整することで水平方向の振動数を調整することが可能であり、また、弾性吊下げ部材2を構成する弾性部材2aのたわみ剛性を調整することで送電線部分模型10の鉛直方向及びねじれ方向の振動数を調整することが可能である。
したがって、風洞実験や屋外着氷雪実験などで実際の送電線の応答を模擬するためには導体形状,導体間隔,質量,質量慣性モーメントに加えて振動数特性を実際の送電線と等価にする必要があるところ、本発明では、上述の構成・機構を組み合わせることにより、鉛直方向・水平方向・ねじれ方向のそれぞれの振動数を調整して目的の値にすることができる。これにより、様々な架線形態や対策品を取り付けた状況における振動数特性を再現することができ、これらの違いによるギャロッピングの応答特性の違いを検討することができる。
以上の構成を有する本発明の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置によれば、また、架空送電線の導体形状を模擬した部分模型を用いて屋外の着氷雪が生じる地域に本実験装置を設置することによって実際の着氷雪現象を再現することができると共に、実際の着氷雪の条件下におけるギャロッピング現象の解析を行うこともできる。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、本発明の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置によって支持される送電線部分模型として四本の導体部11を有する4導体送電線の部分模型10を例に挙げて説明したが、本発明が対象とし得る送電線の種類は4導体送電線に限られるものではなく、単導体送電線や2〜8導体送電線でも良い。
また、上述の実施形態では、位置調整機構3の径方向位置調整機構は径方向スリット3b及びスライダ5を有するものとして構成されているが、径方向位置調整機構の構成はこれに限られるものではなく、弾性吊下げ部材2を構成する各弾性部材2aの支持位置をこれら支持位置の中心に対して放射方向(即ち径方向)に移動させて各弾性部材2aの固定点間隔を調整可能であればどのような構成であっても良い。
また、上述の実施形態では、位置調整機構3の周方向位置調整機構は周方向スリット3dを有するものとして構成されているが、周方向位置調整機構の構成はこれに限られるものではなく、弾性吊下げ部材2を構成する各弾性部材2aの支持位置(固定点)をこれら支持位置の中心に対して回転させて周方向に調整可能であればどのような構成であっても良い。
また、送電線部分模型10の端板12が、当該端板12への各弾性部材2aの取り付け位置を径方向に位置調整する機構を備えるようにしても良い。この場合は、端板12への各弾性部材2aの取り付け位置を送電線部分模型10の軸心に対して径方向に移動させて各弾性部材2aの固定点間隔を調整することによっても送電線部分模型10のねじれ方向の振動数を調整することができる。
また、上述の実施形態では、張力調整機構3は滑車6aと錘6bとからなるものとして構成されているが、張力調整機構の構成はこれに限られるものではなく、弾性吊下げ部材2を構成する弾性部材2aの張力を調整可能であればどのような構成であっても良い。具体的には例えば錘6bの代わりに巻き取り器を備えるようにして弾性部材2aを巻き取ることによって張力を調整するようにしても良い。なお、本発明において張力調整機構3は必須の構成ではない。本発明では、張力調整機構3がなくても、弾性吊下げ部材2による送電線部分模型10の弾性支持の弛度を調整することによって送電線部分模型10の水平方向の振動数を調整することが可能である。
本発明の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置における送電線部分模型の各方向の振動数の調整方法を検討した実施例を図4から図6を更に用いて説明する。本実施例の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置の構成は上述の実施形態で説明したものと同様とする。なお、図4においては弾性部材2aを片側当たり二本のみ表示するようにしているが、これは弾性部材2a同士の水平位置が重複しているためであり、弾性部材2aは実際には片側当たり四本である。
送電線部分模型10の無風時における構造的特性を表す運動方程式に関わるパラメータとして以下のものを用いた。各パラメータの定義を図4及び図5に示す。なお、送電線部分模型側の弾性部材の固定とは送電線部分模型10の端板12の外側面への各弾性部材2aの取り付けのことであり、また、支持台側の弾性部材の固定とは位置調整機構3及びスライダ5による各弾性部材2aの支持点(固定点)のことである。
l :導体部の長さ〔m〕
m :送電線部分模型の質量〔kg〕
I :送電線部分模型の質量慣性モーメント〔kgm2
r:送電線部分模型側の弾性部材固定半径〔m〕
r:支持台側の弾性部材固定半径〔m〕
αB,:送電線部分模型側の弾性部材固定角度〔rad.〕
αD :支持台側の弾性部材固定角度〔rad.〕
L :支持台と送電線部分模型との間隔〔m〕
H :送電線部分模型の弾性支持の弛度〔m〕
T :弾性部材の張力〔N〕
E :弾性部材のヤング率〔N/m2
A :弾性部材の断面積〔m2
図5(a)における点D1,点D2,点D3,点D4は各スライダ5によって係止される四本の弾性部材2aの支持点(固定点)の位置であり、点D0は位置調整機構3の中心ボルト3cの位置であって各スライダ5が配置される円周の中心である。また、同(b)における点B1,点B2,点B3,点B4は四本の弾性部材2aの端板12への取り付け点であり、点B0は四本の弾性部材2aの端板12への取り付け点の中心である。そして、送電線部分模型の弾性支持の弛度Hは、図5(a)における点D0と同(b)における点B0との間の距離である。
本実施例では、片側四本ずつ計八本の均一・等質な弾性部材2aが全て等しい張力で固定されており、四本の弾性部材2aの固定点間隔は支持台4側においては等間隔D、送電線部分模型10側においては等間隔Bで固定されている状態を考えた。なお、支持台4側における固定点の等間隔Dと弾性吊下げ部材固定半径Drとの間には数式1−1の関係が成り立ち、送電線部分模型10側における固定点の等間隔Bと弾性吊下げ部材固定半径Brとの間には数式1−2の関係が成り立つ。なお、以下の検討においては、弾性部材2aの質量は無視し得るとする。
図4中における左側の四本の弾性部材2aに着目し、支持台4側の支持点(固定点)の中心(即ち点D0)を原点と考えることにより、支持台4側の弾性部材2aの固定点D1〜D4及び送電線部分模型10側の弾性部材2aの固定点B1〜B4は以下のような座標で表される。
このとき、それぞれの固定点間の弾性部材2aの長さL* 10〜L* 40は数式3のように表される。
また、弾性部材2aのヤング率E及び断面積Aが伸びに関わらず一定であるとすると、弾性部材2aのもとの長さLi0(ただし、i=1,2,3,4)は数式4のように表される。
ここで、送電線部分模型10がつり合い位置から鉛直方向,水平方向,ねじれ方向に変位したとすると、各弾性部材2aの長さL1〜L4は数式3と同様に導かれて数式5のように表される。
ただし、送電線部分模型10の各方向の変位を図5に示す座標系に従ってそれぞれ以下のように定義する。
y:つり合い位置からの鉛直変位〔m〕
z:つり合い位置からの水平変位〔m〕
θ:つり合い位置からのねじれ変位〔rad.〕
また、送電線部分模型10にはスパン方向(即ち、軸心方向;図4に示すx軸方向)の回転変位(具体的には、ローリング変位及びヨーイング変位)は生じないことを前提とした。
ここで、減衰力などの非保存力を考慮しないときのラグランジュの運動方程式は数式6のように表される。
ここに、 T :送電線部分模型の運動エネルギー,
k:送電線部分模型の弾性部材による位置エネルギー,
g:送電線部分模型の重力による位置エネルギー,
q :或る方向の変位(具体的には、y,z,θのいずれか)
をそれぞれ表す。
ここで、送電線部分模型10の運動エネルギーTは数式7のように表される。
また、送電線部分模型10の弾性部材2aによる位置エネルギーUkは数式8のように表される。
また、送電線部分模型10の重力による位置エネルギーUgは、重力加速度gを用いて数式9のように表される。
数式6に数式7〜9を代入して整理すると、鉛直方向の運動方程式は数式10のように、水平方向の運動方程式は数式11のように、ねじれ方向の運動方程式は数式12のようにそれぞれ表される。
<鉛直方向の運動方程式>
<水平方向の運動方程式>
<ねじれ方向の運動方程式>
続いて、数式10〜12で表される運動方程式を用い、各パラメータを変化させたときの本発明の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置における送電線部分模型の振動数特性の変化を検討した。
具体的には、表1に示す諸元を基本ケースとし、支持台側の弾性部材固定点間隔D,弾性部材のたわみ剛性EA,送電線部分模型の弾性支持の弛度H,弾性部材固定角度αD(=αB)をそれぞれ変化させたときの振動数特性を比較した。なお、表1においては、弾性部材2aをゴム紐と表記している。
数式10〜12はそれぞれの変位に関して非線形項が含まれる方程式であるので、応答振幅によって振動数特性が異なると考えられた。このため、減衰を考慮しない数式10〜12を用いて異なる初期変位を与えた後の時刻歴の定常応答波形を導出し、当該波形をスペクトル解析することによって各振幅における卓越周波数を読み取った。本実施例では、4次のルンゲ・クッタ法を用いて時刻歴応答解析を行った。
まず、数式10〜12の運動方程式を変形して数式13のように表した。なお、数式10〜12においては減衰項を考慮していないため、鉛直方向,水平方向,ねじれ方向の運動方程式に速度項が含まれない。このため、数式13のそれぞれの式の右辺は変位項のみの関数である。
数式13は数式14のように行列表示することができる。
そして、4次のルンゲ・クッタ法を用いると、iステップ目の応答は(i−1)ステップ目(ただし、iは自然数)の応答を用いて数式15のように表される。
ここに、 X0:解析を行う際の初期値,
h :時間刻み〔秒〕
をそれぞれ表す。
各自由度の、異なる振幅における振動数特性を得るため、初期値X0は以下に示されるようにそれぞれの方向の成分のみが含まれるものを用いた。
鉛直方向の振動数特性を求める場合 :X0=[y0 0 0 0 0 0]T
水平方向の振動数特性を求める場合 :X0=[0 z0 0 0 0 0]T
ねじれ方向の振動数特性を求める場合:X0=[0 0 θ0 0 0 0]T
なお、y0,z0としては、0.01,0.25,0.50,0.75,1.00,1.25,1.50〔m〕を与え、θ0としては、0.1,25,50,75,100,125,150〔deg.〕を与えた。
また、ルンゲ・クッタ法を行う際には、時間刻みhを0.01秒として50000ステップ(即ち500秒間)の計算を行い、初期変位を与えた方向の波形を用いてスペクトル解析を行ってピーク値をとる振動数を読み取った。
各パラメータを基本ケースから変化させたときの倍振幅に対する振動数特性について図6に示す結果が得られた。図6(a)には支持台側弾性部材固定点間隔Dのみを基本ケースから0.200,0.600〔m〕と変化させたときの振動数特性を示し、同(b)には弾性部材のたわみ剛性EAのみを基本ケースから49.0,196.0〔N〕と変化させたときの振動数特性を示し、同(c)には送電線部分模型の弾性支持の弛度Hのみを基本ケースから1.400,1.800〔m〕と変化させたときの振動数特性を示し、同(d)には弾性部材固定角度(αB=αD)のみを基本ケースから30.0,45.0〔deg.〕と変化させたときの振動数特性を示している。
図6に示されるように、振動数特性には振幅に対する依存特性があることが確認された。特にねじれ方向の振動数においてその特徴は顕著であり、振幅が大きくなると振動数は低下することが確認された。一方、鉛直方向及び水平方向の振動数は振幅に対してほぼ一定であるものの、振幅が大きくなると鉛直方向では振動数がわずかに低くなると共に水平方向では振動数がわずかに高くなる傾向があることが確認された。
図6(a)に示す結果から、支持台側の弾性部材固定点間隔Dのみを変化させると、鉛直方向及び水平方向の振動数は変わらないものの、ねじれ方向の振動数が変化することが確認された。このことから、支持台側の弾性部材固定点間隔Dを小さくすることにより、ねじれ方向の振動数を低くすることができることが確認された。
また、図6(b)に示す結果から、弾性部材のたわみ剛性EAのみを変化させると、水平方向の振動数はあまり変化しないものの、鉛直方向及びねじれ方向の振動数は変化することが確認された。このことから、弾性部材のたわみ剛性EAを大きくすることにより、鉛直方向及びねじれ方向の振動数を高くすることができることが確認された。
また、図6(c)に示す結果から、送電線部分模型の弾性支持の弛度Hのみを変化させると、鉛直方向及び水平方向及びねじれ方向の振動数が変化することが確認された。その変化は水平方向の振動数において顕著にみられ、このことから、送電線部分模型の弾性支持の弛度Hを大きくする(言い換えると、弾性部材の張力Tを小さくする)ことにより、水平方向の振動数を低くすることができることが確認された。
さらに、図6(d)に示す結果から、弾性吊下げ部材2を構成する弾性部材2aの固定角度(αB=αD)のみを変化させても、鉛直・水平・ねじれ方向の振動数は変化しないことが確認された。この傾向はD=0.200〔m〕とした場合においても同様であり、弾性吊下げ部材2(弾性部材2a)の固定角度(αB=αD)は振動数特性に影響しないことが確認された。そして、ギャロッピングなどの空力現象の応答特性においては断面の仰角の影響が非常に大きいところ、本発明の構成における弾性吊下げ部材(弾性部材)の固定角度は振動数特性に影響を殆ど与えないので、本発明によれば位置調整機構3によって送電線部分模型の設置角度を目的の値に調整した上で当該模型の構造特性に影響を与えることなく再現性の高い実験を行って所望のデータ入手や解析を行うことができるという有用性が確認された。
続いて、本発明の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置における送電線部分模型の構造的な特性を表す線形式の誘導について説明する。なお、本実施例の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置の構成は上述の実施形態や実施例で説明したものと同様とする。
上述の実施例1の数式10〜数式12においてそれぞれの変位を微小変位と仮定して支持台側・送電線部分模型側それぞれの弾性吊下げ部材2(弾性部材2a)の固定角度αD=αB=0のように単純化することにより、鉛直方向運動方程式を線形化した式は数式16のように、水平方向運動方程式を線形化した式は数式17のように、ねじれ方向運動方程式を線形化した式は数式18のようにそれぞれ表される。
<鉛直方向線形式>
<水平方向線形式>
<ねじれ方向線形式>
ただし、Ld,Lu,Hdは数式19の通りである。
また、張力Tは静的つり合い条件より数式20のように表される。
数式16〜数式18を用いて固有値解析を行うことにより、微小振幅における各方向の振動数を算出することができる。その結果は、数式10〜数式12を用いてなるべく小さな値を初期変位X0として与えて時刻歴応答解析を行って卓越周波数を読み取った値と対応することを確認した。
また、数式16〜数式18において、支持台側と送電線部分模型側との弾性部材固定点間隔が同じ(即ち、D=B)場合には、鉛直方向,水平方向,ねじれ方向の方程式にはそれぞれの方向以外の変位項が含まれないので、微小振幅の範囲では鉛直方向,水平方向,ねじれ方向の振動はそれぞれお互いに独立した振動をすることが確認された。
一方で、支持台側と送電線部分模型側との弾性部材固定点間隔が異なる(即ち、D≠B)場合には、水平方向及びねじれ方向の運動方程式にお互いの変位項が含まれる。このことから、水平方向とねじれ方向とは構造的に連成した振動をする。水平方向とねじれ方向との構造的な連成作用は、空力不安定現象において非常に重要な役割を果たすとの知見も報告されており、風洞実験を行う際にはこの影響についても十分に検討する必要があることが確認された。
さらに、数式21が成り立つときには、鉛直方向の振動数fy,水平方向の振動数fz,ねじれ方向の振動数fθはそれぞれ数式22のように表される。
ただし、弾性吊下げ部材2(弾性部材2a)の長さLg及び送電線部分模型10のx軸周りの回転半径Rは数式23の通りである。
数式22から、水平方向の振動数fzは弾性支持の弛度Hで振動数特性が決まり、このことからも弾性部材の張力Tを調整することによって水平方向の振動数fzを調整できることが確認された。鉛直方向の振動数fyはそれに加えて弾性吊下げ部材のたわみ剛性EAが含まれる項があるため、弾性吊下げ部材の剛性を変えることによって鉛直方向の振動数fyを調整できることが確認された。また、ねじれ方向の振動数fθはこれらに加えて弾性部材の固定位置Brを変えることによって調整できることが確認された。そして、これらの特性は実施例1で確認された特徴とも一致することが確認された。
なお、支持台側の弾性部材固定点間隔Dと送電線部分模型側の弾性部材固定点間隔Bとが異なるときには、数式16〜数式18を用いて固有値解析によってそれぞれの微小振幅における振動数を求める必要があり、鉛直方向の振動数fy及び水平方向の振動数fzは数式22によって算出される値とあまり変わらないが、ねじれ方向の振動数fθは数式22によって算出される値と大きく変わる。
続いて、本発明の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置における送電線部分模型の構造的な特性を確認するため、無風時において送電線部分模型に初期変位を与えてその自由振動波形を計測した実験の実施例を図7から図11を更に用いて説明する。本実施例の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置の構成は上述の実施形態や実施例で説明したものと同様とする。
本実施例では、弾性部材2aの支持台4側の固定点間隔D及び固定角度αDを変化させる実験を実施して得られた振動数特性を上述の実施例1の解析結果と比較した。
本実施例では、実際の鋼心アルミ撚り線の4導体送電線を実寸大で模擬した実験を想定し、導体間隔・質量・慣性モーメントは実際の鋼心アルミ撚り線送電線における値と等しい送電線部分模型10を製作した。導体部の長さlを1.000〔m〕とし、質量m及び質量慣性モーメントIが表2に示す値である送電線部分模型10を製作した。質量m及び質量慣性モーメントIは、端板12及び当該端板12に取りつけられた弾性部材2aの固定具なども含めて表2に示す値と等しくなるように調整した。
本実施例では、無風時における構造特性のみの把握を目的としているために導体形状を模擬する必要はないので、導体部11はパイプ(直径28.0〔mm〕)で製作した。また、端板12は枠のみで構成されるもの(具体的には環状フレーム)を用いた。端板12の詳細寸法を図7に示す。
また、本実施例では、全ての計測ケースにおいて、表2に示す模型諸元に加え、支持台4と送電線部分模型10との固定点間隔L,送電線部分模型側の弾性部材固定点間隔B,張力調整用の錘(言い換えると、張力)を同じ値に設定して実験を行った。これら共通の実験諸元を表3に示す。なお、本実施例では、弾性部材2aとして直径3〔mm〕の丸断面形状を有するウレタンゴムを用いた(本実施例では、弾性部材のことをゴム紐ともいう)。
そして、本実施例では、支持台4側のゴム紐の固定点間隔Dと固定角度αDとを変化させながら実験を行った。本実施例における計測ケース(Case)を表4に示す。なお、支持台側固定角度が0.0〔deg.〕の計測ケース(Case1,4)においてはそれぞれゴム紐の張力を調整した後にゴム紐を固定しているのに対し、それ以外の計測ケースのCase2,3及びCase5,6ではそれぞれCase1及びCase4の支持台側固定角度が0.0〔deg.〕でゴム紐を固定した状態から位置調整機構3を回転させてそれぞれの固定角度に設定した。
本実施例では、送電線部分模型10を人力で引っ張ることによって鉛直・水平・ねじれのそれぞれの方向に初期変位を与えた後、静かに手を離すことによって送電線部分模型10を自由振動させた。この際にはできる限り対象とする方向以外の変位が生じないようにして初期変位を与えた。
そして、デジタルビデオカメラレコーダーを用いてサンプリング周波数29.97〔Hz〕で送電線部分模型10の振動をミニDVテープに撮影した。なお、送電線部分模型10の端板12の外側面外縁寄りの位置に等間隔で青色,赤色,黄色,緑色の四つの画像トレース用マーカーを予め取り付けた。また、撮影の際には、これらマーカーを識別し易くするために模型の後方には黒い幕を設置した。
そして、撮影された映像をパソコンにAVI形式(DV codec形式,記録画素数:640×480ドット)で取り込んだ後、端板12の外側面に取り付けたマーカーの座標を算出するためにMath Works社・MATLAB上で製作したプログラムを用いて画像トレースを実施した。
本実施例では、各画像に対して解析対象とする領域(即ち画素の範囲)や抽出したい色(即ちRGB値の範囲)などを指定することにより、条件を満たす画素群を抽出した。それぞれのマーカーに対して条件を設定し、抽出された複数の画素群の中心座標をそのマーカーの位置とした。その後、四つのマーカーの位置関係に基づいて送電線部分模型10のつり合い位置からの鉛直変位,水平変位,ねじれ変位をそれぞれ算出した。
また、得られた変位のうち初期変位を与えた方向の変位については、3Hzローパスフィルターをかけた後、図8に示すように各波の極大値・極小値を求め、それらから半波毎の周期Ti(ただし、i=1,2,3,…)を読み取った。そして、数式24を用いて振動数fiを算出した。
(数24) fi=1/Ti (ただし、i=1,2,3,…)
Case1において鉛直方向に初期変位を与えた後の送電線部分模型10の挙動を画像トレースすることによって求めた鉛直変位波形を図9に示す。図9には、各波における極大値・極小値も併せて示している。
図9に示す結果から、トレースされた波形は滑らかに減衰振動していることが確認された。また、図9に示す結果から、数式24を用いる上述の方法で各振幅における振動数特性を読み取った。他の方向に初期変位を与えた場合並びに他の計測ケースについても同様の滑らかな減衰波形が得られており、それぞれについて振動数特性を読み取った。
各計測ケースについて求められたそれぞれの変位の倍振幅に対する振動数の変化特性を図10A及び図10Bに示す。また、図10A及び図10Bには、実験結果と共に、数式10〜12を用いて解析的に求めた各振幅における振動数特性も示した。本実施例では、実施例1で説明したように、各方向に初期変位を与えた後の時刻歴応答波形をスペクトル解析することによって各倍振幅に対する振動数特性を算出した。なお、ゴム紐のたわみ剛性EAは98.0〔N〕として解析を行った。
図10A及び図10Bに示す結果から、本発明の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置によれば、鉛直方向・水平方向に倍振幅1〜2〔m〕程度,ねじれ方向に倍振幅180〔deg.〕以上の振動を再現することが可能であること、及び、0.5〔Hz〕以下の低振動数の振動を再現することが可能であることが確認された。
なお、支持台4の位置調整機構3(具体的には弾性部材固定部分)の高さを調整することによってより一層大きな鉛直方向の振幅を再現することが可能であり、支持台4と送電線部分模型10との間隔Lを長くとることによってより一層の大振幅・低振動数の振動を再現することが可能である。
図10A及び図10Bに示す結果から、さらに、実験結果と解析結果とがほぼ一致しており、本発明の送電線部分模型の弾性支持方法及び弾性支持装置における送電線部分模型の振動数特性が数式10〜12によって正確に表現できていることが確認された。
また、Case1及びCase4における水平方向に初期変位を与えた後の波形の一部として図11に示す結果が得られた。図11(a)に示す結果から、支持台4側と送電線部分模型10側とのゴム紐固定点間隔D,Bを等しくしたCase1では、水平以外の方向の振動は殆ど生じていないことが確認された。一方で、図11(b)に示す結果から、支持台4側と送電線部分模型10側とのゴム紐固定点間隔D,Bが異なるCase4では、水平方向の振動に伴ってねじれ方向の振動が生じていることが確認された。また、この現象については、数式10〜12を用いた時刻歴応答解析でも同様の特徴が見られた。
そして、水平方向とねじれ方向との構造的な連成作用はギャロッピングの発生において非常に重要な役割を果たすことがある。このため、風洞実験を行う場合には振動数特性だけではなく支持台4側と送電線部分模型10側とのゴム紐の固定点間隔D,Bをそれぞれ変えた場合における応答特性の違いにも着目することにより、架空送電線の振動解析のための風洞実験においてより一層有益なデータ収集が可能になることが確認された。
1 弾性支持装置
2 弾性吊下げ部材
2a 弾性部材
3 位置調整機構
4 支持台
5 スライダ
10 送電線部分模型
11 導体部
12 端板

Claims (8)

  1. 導体部及び該導体部の両端に取り付けられた対向する一対の端板を有する送電線部分模型を、一端は前記一対の端板のうちの一方に取り付けられると共に他端は前記一対の端板のそれぞれに対向して前記送電線部分模型の両側に配置された一対の支持台のうちの一方に支持される一対の弾性吊下げ部材によって架空させて弾性支持すると共に、前記一対の弾性吊下げ部材のうちの少なくとも一方を複数の線状の弾性部材で構成し、該弾性部材の径方向の支持位置を変化させると共に周方向の支持位置を変化させる位置調整機構を介して前記弾性吊下げ部材の他端を前記支持台に支持させることを特徴とする送電線部分模型の弾性支持方法。
  2. 前記端板に、前記弾性部材の径方向の取り付け位置を変化させる位置調整機構を設けることを特徴とする請求項1記載の送電線部分模型の弾性支持方法。
  3. 前記支持台に、前記弾性部材の張力を該弾性部材毎に変化させる張力調整機構を設けることを特徴とする請求項1記載の送電線部分模型の弾性支持方法。
  4. 前記弾性部材の剛性を変化させることによって前記送電線部分模型の鉛直方向の振動数を変化させることを特徴とする請求項1記載の送電線部分模型の弾性支持方法。
  5. 前記送電線部分模型の鉛直方向の振動数fy,水平方向の振動数fz,ねじれ方向の振動数fθを数式1によって表すことを特徴とする請求項1記載の送電線部分模型の弾性支持方法。
    ここに、 m:送電線部分模型の質量〔kg〕,
    I:送電線部分模型の質量慣性モーメント〔kgm2〕,
    r:送電線部分模型側の弾性部材固定半径〔m〕,
    L:支持台と送電線部分模型との間隔〔m〕,
    H:送電線部分模型の弾性支持の弛度〔m〕,
    T:弾性部材の張力〔N〕,
    E:弾性部材のヤング率〔N/m2〕,
    A:弾性部材の断面積〔m2〕,
    g:重力加速度〔m/s2〕 をそれぞれ表す。
  6. 導体部及び該導体部の両端に取り付けられた対向する一対の端板を有する送電線部分模型と、前記一対の端板のそれぞれに対向して前記送電線部分模型の両側に配置された一対の支持台と、一端は前記一対の端板のうちの一方に取り付けられると共に他端は前記一対の支持台のうちの一方に支持されて前記送電線部分模型を架空させて弾性支持する一対の弾性吊下げ部材とを有し、該一対の弾性吊下げ部材のうちの少なくとも一方は複数の線状の弾性部材からなると共に、前記支持台に取り付けられて前記弾性部材の径方向の支持位置を変化させると共に周方向の支持位置を変化させる位置調整機構を介して前記弾性吊下げ部材の他端が前記支持台に支持されることを特徴とする送電線部分模型の弾性支持装置。
  7. 前記端板が、前記弾性部材の径方向の取り付け位置を変化させる位置調整機構を備えることを特徴とする請求項6記載の送電線部分模型の弾性支持装置。
  8. 前記支持台が、前記弾性部材の張力を該弾性部材毎に変化させる張力調整機構を備えることを特徴とする請求項6記載の送電線部分模型の弾性支持装置。
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