JP2012001523A - コレステロールの生合成を抑制するために用いられる組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生体内物質を有効成分とする、コレステロールの生合成を阻害する作用を有する組成物を提供すること
【解決手段】 ドリコイン酸またはその前駆体が、コレステロールの生合成を抑制する作用を有し、血中コレステロール値を低下させるための医薬や飲食品などの組成物として極めて有用であることを見出した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ドリコイン酸を有効成分として含むコレステロールの生合成を抑制するために用いられる組成物、並びに、その医薬、飲食品、および試薬としての用途に関する。
生活習慣病の主要因は血中コレステロール値上昇による動脈硬化である。食の欧米化、運動不足そして生活ストレスなどによって悪玉コレステロールが血管壁に蓄積することで動脈硬化となることが知られている。現在、血中コレステロール値を低下させる対処法は、コンパクチン(Compactin)に代表されるスタチン類の投与が一般的に用いられている。スタチン類は世界中で毎日3000万人が服用し、売上高約2兆円の「世界で一番売れている薬」である。一部のスタチン類は横紋筋融解症などの副作用の発生リスクが高まることがあるため、生体内物質であり副作用のより少ない新薬の開発が期待されている(非特許文献1)。
ヒトのコレステロール生合成は、メバロン酸経路で行われる。アセチルCoAがFPPに代謝され、FPPの構造においてαイソプレン側を頭部(Head)、ω末端側を尾部(Tail)としたとき、このFPPが「Head to Head」型に結合反応したスクアレン(Squalene)からコレステロールへと代謝される(非特許文献2)。
メバロン酸経路の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素は、HMG-CoAを基質としてMVAを生成する酵素である。コンパクチンはHMG-CoA還元酵素に対して拮抗的に阻害作用を示すことでコレステロール値の低下を引き起こす。この阻害はコンパクチンがHMG-CoAのキラルな3位炭素周辺に酷似した構造を持つことによる。
実際に報告されている結晶構造中でのHMGとコンパクチンの形態を比較したところ、3位炭素周辺の構造が同じ状態で作用していることが判明している(非特許文献3、4、9)。また、ヒト前骨髄性白血病HL-60細胞に対してコンパクチンあるいはS-2,3-DiGGAを作用させると、両化合物ともにHMG-CoA還元酵素を阻害することが判明している(非特許文献5)。
しかしながら、上記のHMG-CoA還元酵素を阻害する化合物は、生体内物質ではなく(あるいは生体内では未確認であり)、副作用の少ない医薬品などを開発するためにも、上記化合物と同様の活性を有する生体内物質の同定が望まれていた。
Furberg CD, Pitt B. (2001) Curr Control Trials Cardiovasc Med. 2(5):205-207 「ヴォート 基礎生化学 第3版」436ページ、発行者:小澤美奈子、発行:株式会社 東京化学同人 Eva S. Istvan, Maya Palnitkar, Susan K. Buchanan and Johann Deisenhofer, (2000) The EMBO Journal Vol.19 No.5 pp.819-830 Eva S. Istvan and Johann Deisenhofer (2001) Science 292, 1160 鈴木康裕 (2007) 東北大学修士論文 Weslyn C. Ward, Fabio A. Zucca, Chiara Bellei, Luigi Zecca, John D. Simon, (2009) Archives of Biochemistry and Biophysics 484, 94-99 石川乃梨子 (2007) 東北大学修士論文 E. J. Corey and Greg Schmidt, (1979) Tetrahedron Letters No.5, 399-402 DeLano, W.L. The PyMOL Molecular Graphics System (2002) DeLano Scientific, Palo Alto, CA, USA. W. Lee Adair, Jr. and Steven Robertson, (1980) Biochem. J, 189. 441-445
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、コレステロールの生合成を阻害する活性を有する生体内物質を同定することにある。さらなる本発明の目的は、同定した生体内物質またはその前駆体を有効成分とする、コレステロールの生合成を阻害する作用を有する組成物を提供することにある。
近年、ヒトの脳内で存在が確認されたドリコイン酸は、S-2,3-DiGGA同様の3位炭素周辺の構造を持つ化合物である(非特許文献6、10)。予測される生合成経路においてドリコイン酸はコレステロールの前駆体FPPの一部が代謝されたドリコール(Dolichol)が酸化されることで得られる化合物である。しかしながら、生体内でのドリコイン酸及びドリコールの機能は、いまだ解明されていない。一方、ドリコイン酸の他に3位炭素周辺の構造以外の側鎖が異なる幾つかの化合物が存在する(非特許文献7)。
そこで、本発明者らは、生体内物質であるドリコイン酸を含む各種イソプレノイド酸の、コレステロール生合成における作用について鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、ドリコイン酸が、HL-60細胞の増殖抑制効果を示すとともに、細胞内コレステロールの減少による形態異常を誘導することを見出した。
さらに、本発明者らは、コレステロールの生合成に係るメバロン酸経路における、ドリコイン酸の作用点について解析を行ったところ、ドリコイン酸がHMG-CoA還元酵素を阻害するか、または、それ以前の段階を阻害することを見出した。さらに、インシリコにおけるHMG-CoA還元酵素の基質認識部位周辺とドリコイン酸との相互作用の解析から、ドリコイン酸の3位炭素周辺の構造がHMG-CoA還元酵素の基質認識部位に結合して、これら作用が発揮されていることが強く示唆された。
以上から、本発明者らは、ドリコイン酸またはその前駆体を含む組成物が、コレステロールの生合成を抑制し、血中コレステロール値を低下させるための医薬や飲食品として極めて有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、より詳しくは、以下の発明を提供するものである。
(1) 下記化学構造式で表されるドリコイン酸またはその前駆体を有効成分として含んでなる、コレステロールの生合成を抑制するために用いられる組成物。
(式中、nは、自然数を表す。また、「*」は、不斉炭素原子を表す。)
(2) 医薬組成物である、(1)に記載の組成物。
(3) 血中コレステロール値の上昇に起因する疾患の予防または治療のために用いられる、(2)に記載の組成物。
(4) 飲食品である、(1)に記載の組成物。
(5) 血中コレステロール値を改善するために用いられる旨の表示を付した、(1)から(4)のいずれかに記載の組成物。
本発明の組成物を医薬品として投与あるいは飲食品として摂取することによって、細胞におけるコレステロールの生合成を抑制し、これにより、生体における血中コレステロール値の低下を図ることができる。従って、本発明の組成物は、血中コレステロール値の上昇に起因する疾患の予防や治療において有用である。本発明の組成物の有効成分であるドリコイン酸は、生体内物質であるため、安全性が高い。また、本発明の組成物は、健康食品などの飲食品として、健常者が日常的に容易に摂取して、血中コレステロール値を改善することができる。
各イソプレノイド酸のHL-60細胞の増殖への影響を示すグラフである。 コンパクチン添加後0時間目のHL-60細胞の形態を観察した顕微鏡写真である。EtOHをバックグラウンドとした。図左(脂肪油滴と核の重ね)と図中央(脂肪油滴)は、蛍光顕微鏡写真であり、図右は、位相差顕微鏡写真である。脂肪油滴はNile red染色を、核はHoechst33342染色を行った。 各イソプレノイド酸添加後24時間目のHL-60細胞の形態を観察した顕微鏡写真である。図左(脂肪油滴と核の重ね)と図中央(脂肪油滴)は、蛍光顕微鏡写真であり、図右は、位相差顕微鏡写真である。脂肪油滴はNile red染色を、核はHoechst33342染色を行った。 図3Aの続きを示す顕微鏡写真である。 各イソプレノイド酸添加後48時間目のHL-60細胞の形態を観察した顕微鏡写真である。図左(脂肪油滴と核の重ね)と図中央(脂肪油滴)は、蛍光顕微鏡写真であり、図右は、位相差顕微鏡写真である。脂肪油滴はNile red染色を、核はHoechst33342染色を行った。 図4Aの続きを示す顕微鏡写真である。 MVA共存下でコレステロール阻害剤を作用させた場合のコレステロール生合成機構(予想)を示す図である。 MVA(10μM)共存下および非共存下で各種濃度のコンパクチンをHL-60細胞に作用させ、その後の形態を観察した顕微鏡写真である。図左(脂肪油滴と核の重ね)は、蛍光顕微鏡写真であり、図右は、位相差顕微鏡写真である。脂肪油滴はNile red染色を、核はHoechst33342染色を行った。 MVA(10μM)共存下および非共存下で各種濃度のS-2,3-DiGGAをHL-60細胞に作用させ、その後の形態を観察した顕微鏡写真である。図左(脂肪油滴と核の重ね)は、蛍光顕微鏡写真であり、図右は、位相差顕微鏡写真である。脂肪油滴はNile red染色を、核はHoechst33342染色を行った。 MVA(10μM)共存下および非共存下で各種濃度のドリコイン酸をHL-60細胞に作用させ、その後の形態を観察した顕微鏡写真である。図左(脂肪油滴と核の重ね)は、蛍光顕微鏡写真であり、図右は、位相差顕微鏡写真である。脂肪油滴はNile red染色を、核はHoechst33342染色を行った。 各イソプレノイド酸(10μM)添加後の、細胞液10ml中のコレステロール総量の変化を示すグラフである。 各イソプレノイド酸(10μM)添加後の、細胞液10ml中のタンパク質量の変化を示すグラフである。 各イソプレノイド酸(10μM)添加後の、タンパク質量当たりのコレステロール総量の変化を示すグラフである。 各イソプレノイド酸(10μM)添加後の細胞増殖曲線を示すグラフである。 HMG-CoA、コンパクチン及びS-2,3-DiGGAの構造を示す図である。疎水性の側鎖部分を四角で囲んだ。 ドリコイン酸の構造を示す図である。疎水性の側鎖部分を四角で囲んだ。 HMG-CoA還元酵素の基質認識部位周辺(基質コンパクチン)の構造を示す図である。ドリコイン酸が相互作用を示す可能性のある疎水性部分を枠で囲んだ。 HMG-CoA還元酵素の基質認識部位周辺(基質S-2,3-DiGGA予想)の構造を示す図である。ドリコイン酸が相互作用を示す可能性のある疎水性部分を枠で囲んだ。
本発明は、ドリコイン酸またはその前駆体を有効成分として含んでいる、コレステロールの生合成を抑制するために用いられる組成物を提供する。
本発明において「コレステロールの生合成を抑制する」とは、メバロン酸経路によるコレステロールの生合成の過程を抑制することを意味する。本発明の組成物の有効成分であるドリコイン酸の典型的な作用は、HMG-CoA還元酵素の基質認識部位に結合することにより、該酵素がHMG-CoAに結合することを競合的に阻害する作用である。この作用により細胞内のコレステロールの生合成が抑制される。
本発明における「ドリコイン酸」は、下記化学構造式であらわされる化合物である。
式中、nは自然数であり、コレステロールの生合成を抑制する限り、特に数に制限はない。例えば、主たるドリコイン酸が、古細菌ではC60、ラットではC90〜95、ウシとヒトではC95〜100、ペンギンでは最長C105であることから、nの数は、典型的には、7〜16である。また、「*」は、不斉炭素原子を表す。
本発明における「ドリコイン酸の前駆体」とは、生体内の代謝過程においてドリコイン酸が生成する前の段階の物質を意味する。ドリコイン酸の前駆体としては、生体への投与により、ドリコイン酸に代謝され、その結果、コレステロールの生合成を抑制しうる物質である限り、特に制限はないが、例えば、ドリコール、ドリカール(ドリコールのアルデヒド誘導体)、ポリプレノール(デヒドロドリコール)、ポリプレナール(ポリプレノールのアルデヒド誘導体)が挙げられる。
本発明の組成物は、コレステロールの生合成を抑制するために用いられる医薬組成物、飲食品(動物用飼料を含む)、あるいは研究目的(例えば、インビトロやインビボの実験)に用いられる試薬の形態であり得る。
本発明の組成物の作用により、細胞内のコレステロールが減少した場合、主に肝細胞がコレステロールを取り込む働きを強め、これにより血中コレステロール値が低下する。
本発明の組成物は、血中コレステロール値を低下させる作用を有するため、血中コレステロール値の上昇に起因する疾患、例えば、脂質異常症、動脈硬化、心筋梗塞、脳出血、脳梗塞、狭心症、胆石などの予防や治療のために投与される医薬組成物として、また、血中コレステロール値の改善のために(上記疾患の予防を含む)、日常的に摂取される飲食品として好適に用いることができる。
本発明における組成物は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、液剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、フィルムコーティング剤、ペレット剤、トローチ剤、舌下剤、咀嚼剤、バッカル剤、ペースト剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤、乳剤、塗布剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、経皮吸収型製剤、ローション剤、吸引剤、エアゾール剤、注射剤、坐剤などとして、経口的または非経口的に使用することができる。本発明は、生体内物質であるドリコイン酸を有効成分とする組成物であり、安全性が高い点で有利である。
これら製剤化においては、薬理学上もしくは飲食品として許容される担体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合には、血中コレステロール値の上昇に起因する疾患の予防や治療に用いられる公知の医薬組成物と併用してもよい。
本発明の組成物を飲食品として用いる場合、当該飲食品は、例えば、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、病者用食品、食品添加物、あるいは動物用飼料であり得る。本発明の飲食品は、上記のような組成物として摂取することができる他、種々の飲食品として摂取することもできる。飲食品の具体例としては、食用油、ドレッシング、マヨネーズ、マーガリンなどの油分を含む製品;ジュース,清涼飲料水,茶飲料,ドリンク剤,ゼリー状飲料,機能性飲料等の各種飲料;ビール等のアルコール飲料;飯類,麺類,パン類およびパスタ類等の炭水化物含有食品;魚肉ハム,ソーセージ,水産練り製品等の練製品;カレー,あんかけ,中華スープ等のレトルト製品;スープ類、牛乳,乳飲料,アイスクリーム,チーズ,ヨーグルト等の乳製品;みそ,ヨーグルト,発酵飲料,漬け物等の発酵物;豆製品;ビスケット,クッキーなどの洋菓子類;饅頭や羊羹等の和菓子類,キャンディー類,ガム類,グミ,ゼリー,プリンなどの冷菓や氷菓などの各種菓子類;インスタントスープ,インスタントみそ汁等のインスタント食品や電子レンジ対応食品等が挙げられる。さらには、粉末、穎粒、錠剤、カプセル剤、液状、ペースト状またはゼリー状に調製された健康飲食品も挙げられる。
本発明の組成物は、ヒトを含む動物を対象として使用することができるが、ヒト以外の動物としては特に制限はなく、種々の家畜、家禽、ペット、実験用動物などを対象とすることができる。具体的には、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、カモ、ダチョウ、アヒル、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット、サルなどが挙げられるが、これらに制限されない。
本発明における飲食品の製造は、当該技術分野に公知の製造技術により実施することができる。当該飲食品においては、血中コレステロール値の改善に有効な1種もしくは2種以上の成分を添加してもよい。また、血中コレステロール値の改善以外の機能を発揮する他の成分あるいは他の機能性食品と組み合わせることによって、多機能性の飲食品としてもよい。
本発明の組成物を投与または摂取する場合、その投与量または摂取量は、対象の年齢、体重、症状、健康状態、組成物の種類(医薬品、飲食品など)などに応じて、適宜選択される。例えば、1回当たりの本発明の組成物の投与量または摂取量は、一般に、0.01mg/kg体重〜100mg/kg体重である。本発明は、このように、本発明の組成物を対象に投与もしくは摂取させることを特徴とする、対象における血中コレステロール値を改善する方法(低下させる方法)をも提供するものである。また、本発明の組成物を対象に投与することを特徴とする、対象における血中コレステロール値の上昇に起因する疾患の予防または治療の方法をも提供するものである。
本発明の組成物の製品(医薬品、飲食品、試薬)またはその説明書は、血中コレステロール値を改善するために用いられる旨の表示を付したものであり得る。ここで「製品または説明書に表示を付した」とは、製品の本体、容器、包装などに表示を付したこと、あるいは製品の情報を開示する説明書、添付文書、宣伝物、その他の印刷物などに表示を付したことを意味する。血中コレステロール値を改善するために用いられる旨の表示においては、本発明の組成物を投与もしくは摂取することにより血中コレステロール値が改善される機序についての情報を含むことができる。機序としては、例えば、メバロン酸経路によるコレステロールの生合成の過程を抑制すること、HMG-CoA還元酵素の基質認識部位に結合することにより、該酵素がHMG-CoAに結合することを競合的に阻害すること、に関する情報が挙げられる。また、血中コレステロール値を改善するために用いられる旨の表示においては、血中コレステロール値の上昇に起因する疾患の予防または治療のために用いられること、に関する情報を含むことができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1] 天然ドリコイン酸の調製
ウシ甲状腺は仙台市食品監視センター(宮城県仙台市宮城野区扇町6-3-6)から1個100円で購入した。PDCはAlfa Aesarより購入した。順相シリカゲルプレート(シリカゲル60, F254)、カラムクロマトグラフィー用順相シリカゲル(シリカゲル60)、逆相シリカゲルプレート(HPTLC,RP18)はMerckより購入した。MeOH、CHCl3、ヘキサン、ベンゼン、酢酸エチル、DMFは和光純薬株式会社から購入した。KOH、HClはナカライテスクから購入した。シトロネリル酸及びシトロネロールはSigma Aldrichから購入した。
(1) ウシ甲状腺由来ドリキルドリコエート(Dolichyl dolichoate)の抽出
約8kgのウシ甲状腺(300個)を液体窒素で凍らせ、2mm程度の厚さにスライスした。スライスした甲状腺を溝付きリンゴ型フラスコに50個ごと入れMeOH:CHCl3(1:2,v/v)で水分を含む脂質成分を3回抽出した。抽出液はフィルターろ過することで肉片を取り除き、エバポレーターで溶媒を除去した。エバポレーター処理後はコレステロール成分が析出していることを確認した。
析出物の主成分コレステロールはドリキルドリコエートよりも疎水性が低いため、Hexaneを完全に溶解するまで加え、低温でフィルターろ過することで物理的に析出成分を取り除いた。最終的に4℃でHexane 200mlに溶解した抽出物を濃縮しカラムクロマトグラフィー操作を行った。カラム条件は、シリカゲル60;170×30mm、溶媒;ベンゼン、流速;0.4ml/min、室温である。1フラクション4mlずつ回収した内、ドリキルドリコエートを含む画分はfr.56-74で回収した。
ドリキルドリコエートを含む画分を再度濃縮し、同条件で再度カラムクロマトグラフィー操作を行った。ドリキルドリコエート画分としてフラクション54〜60本目を回収した。結果ドリキルドリコエート(C200)を51mg(19μmol)得た。
(2) ウシ甲状腺由来ドリコイン酸の精製(天然ドリコイン酸)
ドリキルドリコエート画分を回収後、エバポレーターで濃縮した。15% KOH(EtOH)で50℃の浴槽で加水分解し、4N HClで中和後、ベンゼンで3回抽出した。ドリコイン酸を含む加水分解物をカラムクロマトグラフィー操作で精製し、乾燥して計測した。結果、得られたドリコイン酸(C100)は5mg(約3.5mol)以下であった。
(3) ウシ甲状腺由来ドリコイン酸の解析(天然ドリコイン酸)
1次元目に順相TLC、2次元目に逆相TLCで展開する2次元TLC法を用いて、ドリキルドリコエートの加水分解で得られる物質を確認するとともに未だ報告の無いドリコイン酸の逆相TLC上での挙動(C18に対する挙動)を提唱すること目的とした。
(1)において見出されたドリキルドリコエートのみの画分(fr.54)を15% KOHで加水分解、4N HClで中和後にベンゼンで3回抽出した。その結果、ドリコイン酸の順相TLC上でのRf値(挙動)はドリコールよりも低くかった。これは順相TLC上で水酸基よりもカルボキシル基の極性の違いに起因する。また、逆相TLCでのRf値(挙動)はドリコールと同じであった。
[実施例2] 化学的酸化物ドリコイン酸の調製
(1) トリ肝臓・心臓由来ドリコールの抽出(化学合成ドリコイン酸)
トリ肝臓・心臓1380gを22.5% KOH(50% EtOH)を1倍加え、0.5% ピロガロールを抗酸化剤として加え、60℃で7時間ケン化反応を行った。その後、ドリコールを含むケン化液をヘキサンで3回抽出し、蒸留水でpH7付近まで洗浄し、硫酸ナトリウムで一晩室温に放置することで脱水した。ケン化液は濃縮した後、カラムクロマトグラフィー操作及び分取用順相TLCでドリコールのみに精製した。カラム条件はシリカゲル60 700×130mm、トルエン/酢酸エチル(19:1,v/v)、0.8ml/min、1フラクション5ml回収、室温である。結果、ドリコール(主成分C95)を133.4mg(約100μmol)得た。カラムクロマトグラフィー操作後のドリコールを含む画分は分取用順相TLCで更に精製した。
(2) トリ肝臓・心臓由来ドリコールのPDC酸化(化学合成ドリコイン酸)
(1)で得られたドリコール(C95)の内100mg(76μmol)を用いて、PDC酸化反応を行った(非特許文献8)。50mlナス型フラスコにドリコールを入れ、窒素で溶媒を完全に飛ばした後、DMF 600μlに溶解したPDC 1.9g(5.1mmol、約70当量)を加え、塩化カルシウム管を接続し、室温で12時間反応させた。反応開始から1時間、2時間、3時間、4時間、12時間後の生成物を順相TLCで確認した。
反応開始から12時間後、ドリコイン酸を含む反応液にpH2付近になるまでH2SO4 aqを加え、酢酸エチルで3回抽出した。抽出液にNa2SO4を加え、室温で1晩脱水を行った。後、フィルターろ過でNa2SO4を取り除き、濃縮した。ドリコイン酸を含む抽出液はカラムクロマトグラフィー操作でドリコイン酸のみに精製した。カラム条件はシリカゲル60 170×30mm、トルエン/酢酸エチル(9:1,v/v)、0.27ml/min、1フラクション5ml回収、室温である。
ドリコイン酸の画分fr.26-29を回収した。得られたドリコイン酸(C95)は26.8mg(20μmol 収率26.3%)あり、これを用いてHL-60細胞に対する導入実験(後述の実施例3)を行った。
(3) PDC酸化で得られたドリコイン酸の解析(化学合成ドリコイン酸)
実施例1(3)に記述したように、ドリコイン酸の逆相TLC上での挙動は未だ報告されていない。従って、化学的に調製したドリコイン酸を確認するとともに、逆相TLC上での挙動を調べた。また、1H-NMRによる解析も行った。
順相TLCで調製したドリコイン酸を確認した。結果、天然物ドリコイン酸の2D-TLCの結果と同様に、ドリコイン酸のRf値はドリコールよりも低く、ドリコイン酸であることを確認した。
また、逆相TLC上での挙動を確認した結果、ドリコイン酸はドリコールよりもRf値が高かった。これはドリキルドリコエートが報告された論文に記述された挙動と同じである。論文ではHPLC検出であるが、C18に対してドリコイン酸はドリコールよりも相互作用が低いことが報告されている。従って、今回得られた酸化物がドリコイン酸であることを確認した。
-COOH基のHのピーク値は11.00ppm付近と予想されるが、1H-NMRによる本解析では確認する事が出来なかった。カルボン酸基存在の有無を調べる為のトリメチルシリルジアゾメタンによるメチル化反応では、活性を示した。また、α位のCH3のピークはドリコールの時(α-CH3値0.88ppm)よりも低磁場にシフトし、1H-NMR分析によりドリコイン酸の生成を支持できた。
[実施例3] キラルな3位炭素周辺構造を持つイソプレノイド酸のヒト前骨髄性白血病HL-60細胞に対する作用の検討
HL-60細胞は東北大学加齢研究所附属医用細胞資源センターより購入した。S-2,3-DiGGAは鈴木康裕修士が調製したものを用いた(非特許文献5)。rac-フィタン酸は石川乃梨子修士が調製したものを用いた(非特許文献7)。RPMI 1640は日本製薬より購入、NaHCO3はIRVINE SCIENTIFICより購入した。カナマイシン、EtOH、Hoechst33342、MVAは和光純薬工業株式会社より、ペニシリン G-ストレプトマイシンはGIBCOより、PBSはTakaraより購入した。CO2は田沼酸素より購入した。Nile RedはMolecular Probesより購入した。FBSはBIOLOGICAL INDUSTRIES社製を購入した。MilliQ製造装置はMILLIPOREより購入した。Tフラスコはナカライテスクより購入した。コンパクチンは東京農工大学の遠藤章博士から頂いた。S-シトロネリル酸はSigma Aldrichから購入し、L-リンゴ酸は東京化成工業株式会社から購入した。
(1)各イソプレノイド酸の細胞増殖への影響
保存されたHL-60細胞を37℃で溶かし、20倍量のRPMI1640(10% FBS)培地に加え、1200rpmで10分間遠心し、上清を除いた後に5mlのRPMI1640(10% FBS)培地に溶解し、50ml T-フラスコ内で37℃,5% CO2条件(CO2インキュベーター)で培養した。継代は2〜3日ごとに2倍希釈した。
コンフルエント状態に達した細胞液を30mlずつファルコンチューブに入れ1200rpmで10分間遠心した後、上澄みを除き、1.5×105cells/mlの濃度になるように調製した。調製した細胞液は2.5mlずつ6穴プレートに分注した。分注した細胞液に対して終濃度10μMとなるように各イソプレノイド酸(0.04% EtOH)を添加した。但し、コンパクチンは終濃度1μMとなるように添加した。ドリコイン酸(C95で算出した)は分子量が他の化合物より10倍近く大きいため特に調製に気をつけた。24時間ごとに細胞数計測用25μlと形態観察用75μlをそれぞれ1.5mlエッペンチューブに入れた。
時間経過ごとの細胞液25μlに対し0.4%トリパンブルーを1μl加え、5分間氷中で浸透させ、このうち3μlを血算盤に載せ、空気が入らないようにカバーグラスで固定し、倒立顕微鏡10×10倍で計測した。
各イソプレノイド酸添加後のHL-60細胞の増殖曲線を、図1に示した。EtOHをバックグラウンドとした時、5日後のドリコイン酸はS-2,3-DiGGA及びコンパクチンと同様の成長阻害効果を示した。そのほかにもL-リンゴ酸とrac-フィタン酸も同様に効果を示した。しかしS-シトロネリル酸とMVAに関しては、それほど高い抑制効果を示さなかった。なお、図1では、Day5でのバックグランド(0.04% EtOH)の数値の半分以下の条件を「あり」と表現し、それ以外は「なし」と表現している。
(2)各イソプレノイド酸の細胞形態への影響
時間経過ごとの細胞液75μlに対し1mM Nile redを1μMになるように加え、37℃で2時間浸透させた。この後、1200rpmで遠心し、上清を除き、1% グルタルアルデヒド20μlを加え、4℃で一晩固定した。細胞を固定した後、1200rpmで遠心し、上清を除き、沈殿をPBS(-)10μlで懸濁した。細胞浮遊液10μlに対し1mM Hoechst33342 2μlを加え、5μlをスライドグラスに取り、蛍光顕微鏡40×10倍で細胞形態を観察した。先ず、Hoechst33342染色を確認するために励起フィルター365nm(Band Pass)とバリアフィルター397nm(Long Pass)で観察した。次にNile red染色を観察するためにバリアフィルターを515-565nm(Long Pass)に切り替え観察した。最後に細胞の全体を確認するためにバリアフィルターを掛けずに位相差を観察した。細胞形態写真は観察された過半数(80%以上)に観られた形態のうち細胞1個体を示している。
各イソプレノイド酸添加後のHL-60細胞の形態は添加後0時間、24時間及び48時間の顕微鏡写真を図2〜4に示す。添加後0時間では条件の差が見られなかったことから、図2には、バックグランドのEtOHと形態異常を引き起こすことが報告されているコンパクチンを示した。
48時間後に条件ごとの差が見られた。細胞形態に関しては予想通りドリコイン酸にS-2,3-DiGGA及びコンパクチンと同様の異常が観察された。油滴形成誘導に関しては全ての条件で存在が確認された。アポトーシス作用に関しては全ての条件で観られなかった。
以上の結果のまとめを表1に示す。
増殖抑制に関して、ドリコイン酸はHL-60細胞に対してコンパクチンと同等の効果を示した。細胞形態観察に関して、内在性化合物の内ドリコイン酸のみにコンパクチン及びS-2,3-DiGGAを作用させた時と同様に形態異常が観察された。
[実施例4] メバロン酸によるコレステロール生合成の回復実験
実施例3で得られた結果より、ドリコイン酸とS-2,3-DiGGAはHMG-CoA還元酵素を阻害することでコレステロール阻害することが予想された。HMG-CoA還元酵素もしくはそれ以前が阻害されている場合、コレステロール生合成はMVAを供給することで阻害されることは無いと考えられる(図5)。従って、HL-60細胞に対してMVA共存下でドリコイン酸、S-2,3-DiGGA及びコンパクチンを添加した場合の各化合物のメバロン酸経路内阻害作用を検討した。
本実施例における実験操作、使用試薬・機器は、実施例3に記載した通りである。但し、MVA共存下条件ではMVAを10μM共存させた。また10μM、5μM及び1μMの3種類の濃度条件では0.04% EtOH(同量EtOH)に調製したものを添加した。細胞形態写真は観察された過半数(80%以上)に観られた形態のうち細胞1個体を示している。
S-2,3-DiGGAとコンパクチンを作用させた場合、MVA共存下での細胞形態の異常は見られなくなった(図6、7)。得られた結果より、実施例3で観察された細胞形態の異常はHMG-CoA還元酵素を阻害することで引き起こされることが再現的に示された。また、細胞形態の異常に関してはS-2,3-DiGGAとコンパクチンの濃度による差は見られなかった。
次にドリコイン酸の結果を示す(図8)。ドリコイン酸を作用させた場合、MVA共存下での細胞形態の異常は見られなくなった。これにより、ドリコイン酸もコンパクチンと同様にHMG-CoA還元酵素を阻害するまたはそれ以前の段階を阻害する事が強く示された。また、ドリコイン酸はコンパクチン及びS-2,3-DiGGAに比べ低濃度(5μM)では作用を示さなかった。以上の結果のまとめを表2に示す。
[実施例5] HL-60細胞のコレステロールとタンパク質分析
HL-60細胞のコレステロールとタンパク質分析は、次の通り行った。1×106cells/mlの細胞液10mlを用いて10%FBS存在下、ドリコイン酸(10μM)、S-2,3-DiGGA(10μM)、コンパクチン(10μM)を作用させた。作用後に凡そ107個の細胞を遠心分離法(1,000×g、10min)により集め、PBS(phosphate-buffered saline)を加えて懸濁した。再度遠心法により集めた細胞に対して300μlのPBSを加えて懸濁した。ブランソン製の超音波破砕機(出力2、50% dutyで2分間)を用いて細胞を超音波処理し破壊した。
300μl液のうち250μlはコレステロール定量用に用いた。250μlをガラス試験管にとり1.5mlのクロロホルム:メタノール(2:1)液を加えて脂質を抽出した。上層の水溶液を除いた後、下層のクロロホルム液の濃縮乾燥を窒素ガスを用いて行った。得られた脂質に対して150μlのイソプロパノールを加えた。さらにコレステロール検出キットとしてのセロテック社製の酵素液Aを700μl加えて37℃で5分間インキュベーションした。更に酵素液Bを350μl加えて同様5分間インキュベーションした。吸光度を600nm波長で測定した。
一方、300μl液のうち50μlはタンパク質定量用に用いた。バイオラド社製タンパク質アッセイ液を用い、800μlサンプル液に対して色素試薬200μlを加え室温で5分間反応させた。吸光度を595nm波長で測定した。
細胞液10ml中のコレステロール総量とタンパク質量の変化について、図9と10に示す。また、タンパク質量当たりのコレステロール総量の変化について、図11に示す。また、細胞増殖曲線を図12に示す。
徐々にコレステロール量が増加しているコンパクチンと比較して、ドリコイン酸は1日目から3日目の増加は劇的ではあるものの3日目から5日目での増加は停滞しているように観察された。細胞数の増減も考慮すると、ドリコイン酸は、コンパクチンと比べ、穏やかに作用している事が示唆された。
[参考例1]
実施例3及び4で得られた結果より、ドリコイン酸はコンパクチン及びS-2,3-DiGGAと同様にHL-60細胞に対して、増殖抑制効果と形態異常の作用を観察した。また、形態異常に関してドリコイン酸以外の内在性化合物では観られなかったことから、3位炭素周辺の構造のみならず、HMG-CoAとコンパクチンのように側鎖部分の疎水性がある位程度必要であることが示唆された(図13)。ドリコイン酸は3位炭素周辺の構造と側鎖に疎水性を持つ(図14)。また、HMG-CoA還元酵素の基質認識部位の周辺に目を向けた時、近辺に大きな疎水性箇所(図15、16)が存在することが分かった(非特許文献4)。
この構造によってコンパクチンと同様にドリコイン酸はHMG-CoA還元酵素に対して基質認識部位に3位炭素周辺の構造を作用させ、かつ、図15と16に示す大きな疎水性部位に側鎖を相互作用させることで阻害能を示している事が考えられる。その結果として、細胞内のコレステロール量は減少し、膜の構成に障害が生じることで細胞形態に異常が観察されたと考えられる。
以上説明したように、本発明の組成物は、細胞におけるコレステロールの生合成を抑制する作用を有するため、これを用いれば、生体における血中コレステロール値の低下を図ることができる。また、本発明の組成物の有効成分たるドリコイン酸は、生体内物質であるため、安全性が高い。従って、本発明の組成物は、血中コレステロールの上昇に起因する疾患の予防や治療のための医薬品や、血中コレステロール値の改善を図るための健康食品などとしての利用が期待される。

Claims (5)

  1. 下記化学構造式で表されるドリコイン酸またはその前駆体を有効成分として含んでなる、コレステロールの生合成を抑制するために用いられる組成物。
    (式中、nは、自然数を表す。また、「*」は、不斉炭素原子を表す。)
  2. 医薬組成物である、請求項1に記載の組成物。
  3. 血中コレステロール値の上昇に起因する疾患の予防または治療のために用いられる、請求項2に記載の組成物。
  4. 飲食品である、請求項1に記載の組成物。
  5. 血中コレステロール値を改善するために用いられる旨の表示を付した、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
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