JP6948774B2 - ウロリチン類を含有する前駆脂肪細胞分化抑制剤 - Google Patents
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エラジタンニンやエラグ酸は体内の腸管吸収性は非常に低いと言われているが、これらが摂取された際、ヒト結腸微生物叢によって更に代謝されることによってウロリチン類に変換されることが知られている。このようにして生成されるウロリチン類は生体内で最も重要な化合物の1つである。近年、ウロリチン類を生成する腸内細菌としてGordonibacter urolithinfaciensが報告されている(非特許文献1)。
また、ウロリチン類を用いてミトコンドリア活性を亢進させることにより肥満を防止・改善すること(特許文献4)や、ウロリチン類を用いてオートファジーを亢進させ、脂肪
肝を予防・治療する試み(特許文献5)もある。しかしながら、未だ十分な効果がなく、新規な前駆脂肪細胞分化抑制剤が望まれている。
〔1〕ウロリチン類を含有する前駆脂肪細胞分化抑制剤。
〔2〕前記ウロリチン類がウロリチンAである、〔1〕に記載の前駆脂肪細胞分化抑制剤。
〔3〕ウロリチン類を含有する前駆脂肪細胞分化抑制用飲食品。
〔4〕ウロリチン類を含有する前駆脂肪細胞分化抑制用化粧料。
本発明の第一の実施態様は、下記一般式(1)で表されるウロリチン類を含有する前駆脂肪細胞分化抑制剤である。
第一の実施態様におけるウロリチン類は特に限定されないが、その構造が上記一般式(1)で表される物質である。また、表1に示すように、ウロリチン類は化学式におけるR1〜R6によって、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD、ウロリチンE、ウロリチンM3、ウロリチンM4、ウロリチンM5、ウロリチンM6、ウロリチンM7、及びイソウロリチンAなどを含む。
市販のウロリチン類としては、例えば、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、
ウロリチンD、ウロリチンE(Dalton Pharma社製)などを挙げることができる。
また、化学合成による合成方法としては常法に従うことができ、例えば、本明細書の実施例で説明するように、2−ブロモ−5−メトキシ安息香酸と塩化アルミニウムとを原料に用いてウロリチンAを合成する方法が挙げられる。
植物の種類は特段限定されず、ザクロ、ラズベリー、ブラックベリー、クラウドベリー、ボイセンベリー、イチゴ、クルミ、ゲンノショウコ等が挙げられる。このうち、エラジタンニン及び/又はエラグ酸を高含有していることから、ザクロ、ボイセンベリー、ゲンノショウコが好ましく、ザクロがより好ましい。
これらの植物は、いずれか1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、該植物からの抽出方法及び抽出条件は特段限定されず、常法に従えばよい。例えば、水抽出、熱水抽出、温水抽出、アルコール抽出、超臨界抽出等の公知の抽出方法を用いることができる。
抽出したプニカラジンなどのエラジタンニンをエラグ酸に加水分解する方法としては特段限定されないが、酸、酵素、微生物によって加水分解する方法が挙げられる。
微生物を用いてエラグ酸をウロリチン類に変換する方法としては特段限定されないが、例えば、Food Funct., 5, 8, 1779-1784 (2014)に記載にされている公知の方法を用いる
ことができる。
ウロリチン類は、高い安全性で卓越した前駆脂肪細胞の分化抑制活性を有しており、前駆脂肪細胞分化抑制、脂肪蓄積阻害、肥満症の治療、肥満症の改善、肥満症の予防などの用途に好ましく用いられ、ウロリチン類を含有する好ましい形態としては、飲食品、医薬、サプリメント及び化粧料である。以下では、前駆脂肪細胞分化抑制用途の場合について記載するが、上記した他の用途の場合でも同様である。また、肥満症のほかには、前駆脂肪細胞分化抑制により予防又は改善される症状や疾患が挙げられ、例えば、高血糖、高脂血症、糖尿病、動脈硬化症などの生活習慣病が挙げられる。
本実施態様に係る前駆脂肪細胞分化抑制剤とは、前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化を抑制するものである。体内における成熟脂肪細胞数の増加が抑制されることで、体内に蓄積される脂肪の量が小さく抑えられることから、肥満症を治療し、改善し、予防するものである。前駆脂肪細胞分化抑制活性は公知の方法に従って評価することができる。例えば、Oil Red O 染色液で染色し、蛍光測定法で定量することにより評価できる。
本実施態様に係る前駆脂肪細胞分化抑制剤はウロリチン類を含有することから、上記と同様に、脂肪蓄積阻害、肥満症の治療、肥満症の改善、肥満症の予防などの用途に好ましく用いられ、その好ましい形態としては、飲食品、医薬、サプリメント及び化粧料である。
0.001質量%以上であり、また、通常20質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
また、通常40μM以上、好ましくは50μM以上、より好ましくは60μM以上であり、細胞生存率を顕著に低下させないことから、通常1000μM以下、好ましくは500μM以下、より好ましくは200μM以下である。
ウロリチン類を前駆脂肪細胞分化抑制用医薬の素材として用いる場合、医薬としての適用方法は、経口投与又は非経口投与のいずれも採用することができる。投与に際しては、有効成分を経口投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態で投与することができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤、凍結乾燥製剤などが挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングルコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
与の場合、一般に1日当たり、ウロリチン類の総量として、0.001〜1000mg/kg体重程度、1日に数回に分けて投与してもよい。
ウロリチン類を前駆脂肪細胞分化抑制用飲食品の素材として用いる場合、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品、食品添加物等(これらには飲料も含まれる。本明細書において同じ。)として使用できる。飲食品の形態としては、ウロリチン類を含有する植物自体や動物自体ではなく、例えば、適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して食用に供してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。
サプリメントとは、dietary supplementからなる飲食品区分の1つであり、本明細書では、前駆脂肪細胞分化抑制作用等を発揮する機能補助物質をいう。
本実施態様に係る前駆脂肪細胞分化抑制剤をサプリメントの素材として用いる場合、固形物、ゲル状物、液状物の何れの形態とすることができる。サプリメントの形態としては、例えば、各種加工飲食品、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、ゼリー、顆粒等の形態にすることができる。
ウロリチン類を前駆脂肪細胞分化抑制用化粧料の素材として使用する場合、例えば、ウロリチン類を小麦胚芽油あるいはオリーブ油に添加して前駆脂肪細胞分化抑制剤含有組成物とし、これを化粧料素材として使用することができる。ウロリチン類の添加量は、特に限定されるものではないが、一例としてあげると、小麦胚芽油あるいはオリーブ油に対して、ウロリチン類の総量として、0.1質量%以上60質量%以下、好ましくは0.5質量%以上50質量%以下である。
また、ウロリチン類を直接、化粧料成分として使用し、前駆脂肪細胞分化抑制作用を有する化粧料を製造することができる。
例えば、アニオン性界面活性剤(脂肪酸石鹸、スルホン酸塩型アニオン性界面活性剤、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤、リン酸エステル型アニオン性界面活性剤、アシルメチルタウリン塩、モノアルキルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、イセチオン酸エステル塩等)、カチオン性界面活性剤(アミン塩型カチオン性界面活性剤、第四アンモニウム
型カチオン性界面活性剤(テトラアルキルアンモニウム型、ピリジニウム型))、非イオン性界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル等)、両性界面活性剤(イミダゾリン型、ベタイン型、アミノ酸型)、フッソ系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の天然、合成界面活性剤、
アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アラビアガム、キサンタンガム、ペクチン、トラガント、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カチオン化セルロース、カチオン化デキストラン、カチオン化デキストリン、キトサン、カチオン化ビニルピロリドンポリマー、塩化N,N−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウムポリマー、乳タンパク、大豆タンパク、ゼラチン、卵タンパク、カゼインナトリウム、ホエータンパク等の水溶性高分子、
イチョウ、ツボクサ、トウヤク、ニンジン、シコッピ、カイカ、インチコウ、ヤシャジツ、甘草分画物、ゴカヒ、センプクカ、ヒカイ、ユズリハ、カミツレ、マロニエ、エスシン、テルミナリア、ルスコゲニン、ブッチャーブルーム、コラ、ガラナ、マテ、コーヒー、カカオ、プレクトランタス、タンジン、ビスナガ、シリマリン、ロイコシアニン、オトギリ草、クマハゼ、シソ、オウゴン、ケイガイ、ローズマリー、セージ、タイム、ヨモギ、カワラヨモギ、ソウジュツ、セイヨウノコギリソウ、シコン、ウイキョウ、オウバク、ショウキョウ、トウキ、センキュウ、チンビ、カノコソウ、ビャクシ、トウヒ、芍薬、紅花、菖蒲、ブクリョウ、ハッカ等の植物成分、
コハク酸、フマル酸、クエン酸、ピルビン酸、グルクロン酸、2−ヒドロキシ酪酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ビタミンA酸、ビタミンC誘導体、ビタミンD、ビタミンE、オリゴペプチド、トラネキサム酸エステル等の活性成分、・多価アルコール、アミノ酸、ムコ多糖類、蛋白質、生体抽出物、発酵代謝物、多糖類、植物抽出物、リン脂質、セラミドなどの保湿剤、
油脂類(大豆油、ヌカ油、ホホバ油、アボガド油、アーモンド油、カカオ油、オリーブ油、ゴマ油、パーシック油、ヒマシ油、ヤシ油、ミンク油、牛脂、豚脂等の天然油脂、これらの天然油脂を水素添加して得られる硬化油およびミリスチン酸グリセリド、2−エチルヘキサン酸グリセリド等の合成トリグリセリド、ジグリセリド等)、ロウ類(カルナウバロウ、鯨ロウ、ミツロウ、ラノリン等)、炭化水素類(流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、プリスタン等)、高級脂肪酸類(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸等)、高級アルコール類(ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、コレステロール、2−ヘキシルデカノール等)、エステル類(オクタン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレスチール等)、精油類(ハッカ油、ジャスミン油、シヨウ脳油、ヒノキ油、トウヒ油、リュウ油、テレピン油、ケイ皮油、ベルガモット油、ミカン油、シヨウブ油、パイン油、ラベンダー油、ベイ油、クローブ油、ヒバ油、バラ油、ユーカリ油、レモン油、ペパーミント油、タイム油、ローズ油、セージ油、メントール、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネラール、ボルネオール、リナロール、ゲラニオール、カンファー、チモール、スピラントール、ピネン、リモネン、テルペン系化合物等)、シリコーン油類等の油脂成分(エモリエント成分)、
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、ホウ砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硝酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、り
ん酸ナトリウム、塩化カリウム、硫化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機塩類、
ホウ酸、メタケイ酸、無水ケイ酸等の無機酸類、
黄色4号、青色1号、黄色202号、クロロフィル、リボフラビン、紅花、クロシン、アントラキノン等の色素類、
香料類、
アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラフルオロエタン等の高分子、これらの高分子のコポリマー、ケイ酸、ケイ酸カルシウム、天然ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、ゼオライト、酸化チタン、タルク、カオリン、マイカ、ベントナイト等の微粉体、
硫黄、湯の花、鉱砂、雲母末、中性白土、いり糠、殺菌剤、防腐剤、
をはじめ、その他製剤上必要な成分などが挙げられる。
ウロリチン類を含有する前駆脂肪細胞分化抑制剤、前駆脂肪細胞分化抑制用飲食品、前駆脂肪細胞分化抑制用医薬、前駆脂肪細胞分化抑制用サプリメント、前駆脂肪細胞分化抑制用化粧料は、前駆脂肪細胞分化抑制のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品、医薬、サプリメント、化粧料として販売することができる。
尚、必ずしも、「前駆脂肪細胞分化抑制のために用いられるものである旨」の表示である必要はなく、例えば、「前駆脂肪細胞分化抑制用」や「前駆脂肪細胞の分化を抑制する旨」等の表示であってもよく、さらに、前駆脂肪細胞分化抑制によって生じる効果の表示も含まれる。
健康食品としては、例えば、栄養補助食品、健康補助食品、美容飲食品の名称で提供される食品が挙げられる。また、保健機能食品とは、食品衛生法又は健康増進法により定義されるものであり、特定の保健の効果や栄養成分の機能、疾病リスクの低減などが表示できる。保健機能食品には、特定保健用食品(トクホ;条件付き特定保健用食品を含む。)及び栄養機能食品(トクホと異なり、個別に消費者庁長官の許可を受けている食品ではない。)が含まれる。
本発明における「表示」には、このような飲食品や医薬部外品としての表示が含まれる。
ウロリチン類の一例としてウロリチンAを用いた場合を説明する。ウロリチンAの分析
はHPLCを用いて行った。即ち、ウロリチンA(Dalton Farma社製)を適当な溶媒に溶解させて調製した溶液を下記のHPLC条件下で分析し、純度(%)(A)およびHPLCにおけるピーク面積値(B)を用いて、下記算出式(1)及び算出式(2)によりウロリチンAのファクター及びサンプルのウロリチンA濃度を算出した。
ウロリチンAのファクター=(B)/(ウロリチンAの標準液の濃度(mg/L)×(A)/100) ・・・(1)
(サンプルのウロリチンA濃度算出式)
サンプルのウロリチンA濃度(mg/L)=サンプル中のウロリチンAのピーク面積値/ウロリチンAのファクター ・・・(2)
分析カラム:Inertsil ODS−3(250×4.6mm)(GL Science社製)
検出波長:305nm
移動相:水/アセトニトリル/酢酸 = 74/25/1
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
上記条件下、ウロリチンAは保持時間を16.5分とした。
2−ブロモ−5−メトキシ安息香酸5g(和光純薬工業株式会社製)と塩化アルミニウム15gを150mLのクロロベンゼン中で2.5時間還流した。冷却後、反応液を氷水に移し、250mLのジエチルエーテルを用いて3回抽出を行った。得られた抽出液を減圧濃縮してジエチルエーテルを留去し、2−ブロモ−5−ヒドロキシ安息香酸4.2gを得た。得られた2−ブロモ−5−ヒドロキシ安息香酸3.9gとレゾルシノール3.9g(東京化成工業株式会社製)を9mLの4M NaOH水溶液中で60℃、30分間加熱した。この反応液に10%硫酸銅水溶液1.8mLを加えた後、更に80℃、10分間の加熱を行った。生成した沈殿物をろ過によって回収し、ウロリチンAの白色粉末を得た。
[脂肪蓄積率の測定]
(実施例1)
96ウェルプレートに、3T3−L1細胞を1.5×103細胞/ウェルで播種し、48時間培養することでコンフルエントとした(0day)。その後、1μg/mL INS、1μM DEX、0.5mM IBMX、D‐(+)‐グルコース(SIGMA社)を加えた培地(Dulbecco's Modified Eagle Medium (DMEM)(Gibco(登録商標),Thermo Fisher Scientific Inc.)に交換し、2日間分化誘導刺激を加えた(2day)。こ
のとき血清は、細胞の過剰な増殖を防ぐため、5%ウシ胎児血清に変更した。それ以降は通常の培養培地(DMEM)に1μg/mL INS、5%ウシ胎児血清、D‐(+)‐グルコースを加えた培地に交換し、5日間培養した後、Oil Red O 染色を行った(7day)。また、この5日間の培地交換は毎日行った。また、同様の方法で、最終濃度が10、30、又は100μMとなるようにウロリチンAを−1dayから7dayまで継続的に添加した。
Oil Red O染色液は、Oil Red O(SIGMA社)をイソプロパノール(Wako社)に30%の濃度で溶解させたものを原液とし、原液を純水で60%に希釈したものを用いた。
除いた量だけ10%ホルマリン(Wako社)を添加して、20分間静置した。その後、10%ホルマリンで20分間静置することで細胞を固定し、純水によって2回洗浄した。純水で60%に希釈したイソプロパノールを細胞に3分間馴染ませ、調製したOil Red O染色液を添加して60分間静置した。60分後、60%イソプロパノール、純水の順に洗浄を行い、顕微鏡で観察を行った。その後、48時間室温で乾燥させ、乾燥後100%イソプロパノールを添加して60分間静置し、染色した脂肪滴の抽出を行った。抽出した脂肪滴の定量として、Spectra Max(日本モレキュラーデバイス株式会社)を用いて波長510nmにおける吸光度を測定した。
ウロリチンAを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にした。
(実施例2)
96ウェルプレートに、3T3−L1細胞を1.5×103細胞/ウェルで播種し、24時間培養した(−1day)。その後、最終濃度が10、30、又は100μMとなるように培地(DMEM)にウロリチンAを添加し、24時間後にWST−1(Roche社)10%含有血清培地(DMEM)に交換した。WST−1試薬添加から1時間後に、Spectra Maxを用いて波長440nmにおける吸光度を測定した。
ウロリチンAを添加しなかったこと以外は実施例2と同様にした。
Claims (3)
- ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD、ウロリチンE、ウロリチンM3、ウロリチンM4、ウロリチンM5、ウロリチンM6、ウロリチンM7、及びイソウロリチンAからなる群より選択される1種以上のウロリチン類を含有する前駆脂肪細胞分化抑制剤(ただし、肥満、新陳代謝速度低下、メタボリックシンドローム、糖尿病、心血管疾患、高脂血症、神経変性疾患、認知障害、気分障害、ストレス及び不安障害の治療又は予防の用途と、脂肪蓄積阻害の用途と、体重管理の用途と、筋機能又は精神能力の向上の用途を除く。)。
- 前記ウロリチン類がウロリチンAである、請求項1に記載の前駆脂肪細胞分化抑制剤。
- ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD、ウロリチンE、ウロリチンM3、ウロリチンM4、ウロリチンM5、ウロリチンM6、ウロリチンM7、及びイソウロリチンAからなる群より選択される1種以上のウロリチン類を含有する前駆脂肪細胞分化抑制用飲食品(ただし、肥満、新陳代謝速度低下、メタボリックシンドローム、糖尿病、心血管疾患、高脂血症、神経変性疾患、認知障害、気分障害、ストレス及び不安障害の治療又は予防の用途と、脂肪蓄積阻害の用途と、体重管理の用途と、筋機能又は精神能力の向上の用途を除く。)。
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