JP2012001057A - 自動二輪車用タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】トラクション性能及び旋回性能を向上できる。
【解決手段】トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されるベルト層7とを具える自動二輪車用タイヤ1である。ベルト層7は、ベルトコード10がタイヤ周方向に対して50〜85度の角度で配列された少なくとも2枚のカットプライからなる。カットプライのうちタイヤ半径方向の最も外側に配される最外側プライ11は、タイヤ赤道Cを含むクラウン領域Crのベルトコード10の打ち込み本数であるエンズEc(本/5cm)、タイヤ軸方向の最外側の領域であるショルダー領域ShのエンズEs(本/5cm)、及び該クラウン領域Crと該ショルダー領域Shとの間の領域であるミドル領域MdのエンズEm(本/5cm)が、Ec>Em>Esの関係を満たす。
【選択図】図2
【解決手段】トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されるベルト層7とを具える自動二輪車用タイヤ1である。ベルト層7は、ベルトコード10がタイヤ周方向に対して50〜85度の角度で配列された少なくとも2枚のカットプライからなる。カットプライのうちタイヤ半径方向の最も外側に配される最外側プライ11は、タイヤ赤道Cを含むクラウン領域Crのベルトコード10の打ち込み本数であるエンズEc(本/5cm)、タイヤ軸方向の最外側の領域であるショルダー領域ShのエンズEs(本/5cm)、及び該クラウン領域Crと該ショルダー領域Shとの間の領域であるミドル領域MdのエンズEm(本/5cm)が、Ec>Em>Esの関係を満たす。
【選択図】図2
Description
本発明は、トラクション性能及び旋回性能を向上できる自動二輪車用タイヤに関する。
従来より、トレッド部の周方向剛性を高めてトラクション性能を向上させるために、1本又は複数本のタイヤコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻き付けたジョイントレスプライを具える自動二輪車用タイヤが提案されている。しかしながら、このような自動二輪車用タイヤは、タイヤ軸方向の外端側の領域であるショルダー領域の周方向剛性も高められるため、車体を大きく傾けたフルバンク時の接地性が低下し、グリップを高めることができず、ひいては旋回性能を十分に向上できないという問題があった。
そこで、ジョイントレスプライのうち、ショルダー領域のタイヤコードのエンズを、該ショルダー領域間の領域であるクラウン領域のエンズよりも小さくした自動二輪車用タイヤが提案されている(下記、特許文献1参照)。このような自動二輪車用タイヤは、ショルダー領域の剛性を小さくできるため、フルバンク時の接地性を向上させてグリップを高めることができ、旋回性能を向上できる。
しかしながら、上記のような自動二輪車用タイヤは、旋回性能を一部改善できたが、例えば、タイヤコードをタイヤ周方向に対して15〜40度の角度で配列されるカットプライを有する自動二輪車用タイヤと比べると、旋回時のトレッド部の変形を十分に抑制できず、旋回性能の向上には更なる改善の余地があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、少なくとも2枚のカットプライのうち、最外側プライのクラウン領域のエンズEc(本/5cm)、ショルダー領域のエンズEs(本/5cm)、及びミドル領域のエンズEm(本/5cm)を、一定の範囲に限定することを基本として、トラクション性能及び旋回性能を向上できる自動二輪車用タイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスの半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配されるベルト層とを具える自動二輪車用タイヤであって、前記ベルト層は、ベルトコードがタイヤ周方向に対して50〜85度の角度で配列された少なくとも2枚のカットプライからなり、前記カットプライのうちタイヤ半径方向の最も外側に配される最外側プライは、タイヤ赤道を含むクラウン領域の前記ベルトコードの打ち込み本数であるエンズEc(本/5cm)、タイヤ軸方向の最外側の領域であるショルダー領域のエンズEs(本/5cm)、及び該クラウン領域と該ショルダー領域との間の領域であるミドル領域のエンズEm(本/5cm)が、Ec>Em>Esの関係を満たすことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、前記最外側プライは、タイヤ赤道を横切ってのび、かつ長さが異なる複数のベルトコードが、タイヤ周方向に隔設されてなり、前記ベルトコードは、前記クラウン領域のタイヤ軸方向の外端間のみをのびる第1のコードと、前記ミドル領域のタイヤ軸方向の外端間のみをのびる第2のコードと、前記ショルダー領域のタイヤ軸方向の外端間をのびる第3のコードとを含む請求項1に記載の自動二輪車用タイヤである。
また、請求項3記載の発明は、前記最外側プライは、前記クラウン領域に配されるクラウンプライと、前記ミドル領域に配されかつ前記クラウンプライのベルトコードとは非連続の一対のミドルプライと、前記ショルダー領域に配されかつ前記ミドルプライのベルトコードとは非連続の一対のショルダープライとからなる請求項1に記載の自動二輪車用タイヤである。
また、請求項4記載の発明は、前記ミドル領域の前記エンズEmと、前記クラウン領域の前記エンズEcとの比(Em/Ec)は、0.7〜0.8である請求項1乃至3の何れかに記載の自動二輪車用タイヤである。
また、請求項5記載の発明は、前記ショルダー領域の前記エンズEsと、前記クラウン領域の前記エンズEcとの比(Es/Ec)は、0.4〜0.5である請求項1乃至4の何れかに記載の自動二輪車用タイヤである。
また、請求項6記載の発明は、前記最外側プライは、前記クラウン領域の展開幅Tcと前記最外側プライの展開幅T1との比(Tc/T1)が0.7〜0.8、一対の前記ミドル領域の展開幅Tmの合計2Tmと前記最外側プライの展開幅T1との比(2Tm/T1)が0.1〜0.15、及び一対の前記ショルダー領域の展開幅Tsの合計2Tsと前記最外側プライの展開幅T1との比(2Ts/T1)が0.1〜0.15である請求項1乃至5の何れかに記載の自動二輪車用タイヤである。
また、請求項7記載の発明は、前記トレッド部は、前記ベルト層のタイヤ半径方向の外側に、バンドコードがタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻回させたバンドプライからなるバンド層を具える請求項1乃至6の何れかに記載の自動二輪車用タイヤである。
本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法等は、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において特定される値とする。
なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" とする。
また前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とする。
本発明の自動二輪車用タイヤは、ベルト層が、ベルトコードをタイヤ周方向に対して傾斜して配列した少なくとも2枚のカットプライからなる。このため、自動二輪車用タイヤは、旋回中のトレッド部の変形を十分に抑制でき、旋回性能を高めることができる。しかも、カットプライは、接地面内でパンタグラフ効果により、トレッド部を柔軟に変形できるので、接地性を向上させてグリップ高め、旋回性を高めうる。
また、カットプライのうちタイヤ半径方向の最も外側に配される最外側プライは、タイヤ赤道を含むクラウン領域のベルトコードの打ち込み本数であるエンズEc(本/5cm)、タイヤ軸方向の最外側の領域であるショルダー領域のエンズEs(本/5cm)、及び該クラウン領域と該ショルダー領域との間の領域であるミドル領域のエンズEm(本/5cm)が、Ec>Em>Esの関係を満たす。
このような自動二輪車用タイヤでは、ショルダー領域のエンズが最も小さく設定されるため、フルバンク時の接地性をさらに向上させてグリップを高め、旋回性能を向上できる。また、クラウン領域のエンズが最も大きく設定されるため、トレッド部の周方向剛性を高めることができ、トラクション性能を向上できる。しかも、ミドル領域のエンズが、クラウン領域のエンズとショルダー領域のエンズとの間の大きさに設定されるため、直進走行から旋回走行への移行をスムーズにでき、旋回性能を大幅に向上できる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の自動二輪車用タイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されるベルト層7とを具える。また、本実施形態のタイヤ1は、ベルト層7のタイヤ半径方向の外側に配されたバンド層9を具える。
図1に示されるように、本実施形態の自動二輪車用タイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されるベルト層7とを具える。また、本実施形態のタイヤ1は、ベルト層7のタイヤ半径方向の外側に配されたバンド層9を具える。
前記トレッド部2は、その外面2Sが、タイヤ半径方向外側に凸で湾曲するとともに、該トレッド部2の接地端2t、2t間のタイヤ軸方向距離であるトレッド幅TWがタイヤ最大幅をなしている。
前記カーカス6は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4に埋設されたビードコア5に至る本体部6aと、該本体部6aに連なりかつビードコア5の回りで折り返された折返し部6bとを有する少なくとも1枚、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aから構成される。また、カーカスプライ6Aの本体部6aと折返し部6bとの間には、例えば硬質のゴムからなるビードエーペックス8が配設される。
本実施形態のカーカスプライ6Aは、各々のカーカスコードがタイヤ赤道Cに対して、例えば70〜90度の角度で傾けて配列される。また、2枚以上のカーカスプライから構成される場合にも、カーカスコードを略同一の角度で配列されるのが好ましい。これにより、カーカスコードは、ベルト層7のベルトコード10(図2に示す)と確実に交差させることができ、トレッド部2を強固に補強できる。また、カーカスコードには、例えば、ナイロン、ポリエステル又はレーヨン等の有機繊維コード等が好適に採用される。
本実施形態のベルト層7は、図1及び図2に示されるように、タイヤ赤道Cに対して傾斜して配されたベルトコード10を具えた少なくとも2枚のカットプライから構成され、本実施形態では、タイヤ半径方向の最も外側に配される最外側プライ11と、該最外側プライ11のタイヤ半径方向内側に配される内側プライ12とを含んで構成される。最外側プライ11及び内側プライ12は、ベルトコード10がタイヤ赤道Cの位置で互いに交差するように重ねられる。
ここで、カットプライとは、平行に配列されたベルトコード10をトッピングゴム13で被覆されたシート状のプライであって、そのタイヤ周方向の両端部を重ね継ぎされることにより環状に形成されるものである。このようなカットプライは、例えば、路面からの横力によるトレッド部2の変形を十分に抑制でき、旋回性能を高めるのに役立つ。
また、ベルトコード10は、タイヤ周方向に対する角度α1が、50〜85度に設定されるのが好ましい。前記角度α1が50度未満であると、旋回中のトレッド部2の変形を十分に抑制できないおそれがある。逆に、角度α1が85度を越えると、トレッド部2の周方向剛性が過度に小さくなり、トラクション性能が低下するおそれがある。また、前記ベルトコード10には、例えば有機繊維コード又はスチールコードのいずれも採用できるが、とりわけ、アラミド、ナイロン、レーヨン又はポリステルといった有機繊維コードが望ましい。
前記バンド層9は、バンドコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻回させた少なくとも1枚、本実施形態では1枚のバンドプライから形成される。このバンド層9は、前記ベルト層7のタイヤ軸方向の外端をタイヤ半径方向外側で覆うとともに、継ぎ目のない所謂ジョイントレス構造をなす。このようなバンド層9は、タイヤのユニフォミティに優れるとともに、トレッド部2への拘束力を高めてタガ効果を向上させる。
本実施形態の最外側プライ11は、図2に示されるように、タイヤ赤道Cを横切ってのび、かつ長さが異なる複数のベルトコード10が、タイヤ周方向に隔設される。
前記ベルトコード10は、タイヤ赤道Cを含むトレッド部の中央領域であるクラウン領域Crのタイヤ軸方向の外端Cro、Cro間のみをのびる第1のコード10aと、タイヤ軸方向の最外側の領域であるショルダー領域Shのタイヤ軸方向の外端Sho、Sho間をのびる第2のコード10bと、該クラウン領域Crと該ショルダー領域Shとの間のミドル領域Mdのタイヤ軸方向の外端Mdo、Mdo間のみをのびる第3のコード10cとを含んで構成される。
また、この実施形態の最外側プライ11には、そのタイヤ軸方向の最外端11tからベルトコード10の傾斜に沿って切り欠いた溝部14が設けられる。この溝部14は、最外端11tからクラウン領域Crの外端Croまでのびる長溝部14aと、最外端11tからミドル領域Mdの外端Mdoまでのびる短溝部14bとを含み、これらがタイヤ周方向に交互に形成される。これにより、最外側プライ11の最外端11t、11tは、櫛歯状に形成される。
本実施形態の最外側プライ11は、クラウン領域Crのベルトコード10の打ち込み本数であるエンズEcが、例えば26〜50(本/5cm)、ショルダー領域ShのエンズEsが、例えば18〜35(本/5cm)、ミドル領域MdのエンズEmが、例えば10〜20(本/5cm)に設定される。そして、これらのエンズEc、Em、Esは、Ec>Em>Esの関係を満たしている。
このようなタイヤ1では、最外側プライ11のショルダー領域ShのエンズEsが最も小さく設定されるため、フルバンク時のトレッド部2の外面2sの接地性を向上させてグリップを高め、旋回性能を向上できる。また、クラウン領域CrのエンズEcが最も大きく設定されるため、トレッド部2の中央部の周方向剛性を高め、トラクション性能を向上できる。
しかも、ミドル領域MdのエンズEmは、クラウン領域CrのエンズEcとショルダー領域ShのエンズEsとの間の大きさに設定されるため、クラウン領域Crが主に接地する直進走行から、ショルダー領域Shが主に接地する旋回走行時のトレッド剛性の変化を小さくすることができる。従って、直進走行時から旋回走行時への過渡特性を滑らかなものとし、旋回性能及び操縦フィーリングを大幅に向上できる。このように、ベルト層7のタイヤ半径方向の最も外側に配される最外側プライ11の各エンズEc、Em、Esを、上記の範囲に設定することにより、該最外側プライ11に覆われる内側プライ12のエンズを変更するよりも、トレッド部2の剛性を効果的に設定できる。
さらに、本実施形態の各コード10a、10b、10cは、それぞれタイヤ赤道Cを横切り、かつ各領域Cr、Sh、Mdの外端間を連続してのびるため、トレッド部2の剛性を高めつつ、トラクション性能と旋回性能とを高い次元で両立しうる。
また、最外側プライ11には、長溝部14a及び短溝部14bが形成されて、ベルトコード10及びトッピングゴム13の量が減少する。これは、タイヤ1を軽量化するのに役立つ。なお、最外側プライ11は、その最外端11t、11tが櫛歯状に形成されるが、その最外端11t、11tはバンド層9で覆われる強固にタガ締めされるため、該最外端11tでの剥離等の損傷が防止され、耐久性を維持しうる。
なお、ミドル領域MdのエンズEmと、クラウン領域CrのエンズEcとの比(Em/Ec)は、好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.74以上が望ましく、また、好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.76以下が望ましい。前記比(Em/Ec)が0.7未満であると、ミドル領域Mdとクラウン領域Crとの剛性差が過度に大きくなり、逆に、前記比(Em/Ec)が0.8を超えると、ミドル領域Mdとクラウン領域Crとの剛性差が過度に小さくなり、いずれの場合も、直進走行から旋回走行への移行を十分スムーズにできず、旋回性能が十分に向上できないおそれがある。
さらに、ショルダー領域ShのエンズEsと、クラウン領域CrのエンズEcとの比(Es/Ec)は、好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.44以上が望ましく、また、好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.46以下が望ましい。前記比(Es/Ec)が、0.4未満であると、ショルダー領域Shの剛性が過度に低下して、フルバンク時のトレッド部2の変形量が著しく大きくなり、旋回性能が悪化するおそれがある。逆に、前記比(Es/Ec)が、0.5を超えると、フルバンク時のトレッド部2の接地性を十分に向上させることができず、旋回性能が悪化するおそれがある。
また、クラウン領域Crの展開幅Tcと最外側プライ11の展開幅T1との比(Tc/T1)は、好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.74以上が望ましく、また、好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.76以下が望ましい。前記比(Tc/T1)が0.7未満であると、直進時の安定性が十分に得られないおそれがある。逆に、比(Tc/T1)が0.8を超えると、エンズが相対的に小さいミドル領域Md及びショルダー領域Shが過度に狭くなり、旋回走行を十分に向上できないおそれがある。
さらに、一対の前記ミドル領域Mdの展開幅Tmの合計2Tmと前記最外側プライ11の展開幅T1との比(2Tm/T1)は、好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.12以上が望ましく、また、好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.13以下が望ましい。前記比(2Tm/T1)が0.1未満であると、エンズの小さいミドル領域Mdを十分な幅で形成できず、旋回性能を十分に向上できないおそれがある。逆に、比(2Tm/T1)が0.15を超えると、クラウン領域Cr及び/又はショルダー領域Shが過度に狭くなるため、トラクション性能及び/又は旋回性能を十分に向上できないおそれがある。
同様に、一対のショルダー領域Shの展開幅Tsの合計2Tsと最外側プライ11の展開幅T1との比(2Ts/T1)は、好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.12以上が望ましく、また、好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.13以下が望ましい。
また、長溝部14a及び短溝部14bのタイヤ軸方向の幅W1は、各領域Md、ShのエンズEm、Esに応じて設定されるが、一定の幅W1で形成されるのが良く、好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.2mm以上が望ましく、また、好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.3mm以下が望ましい。
図1に示されるように、最外側プライ11の最外端11tは、内側プライ12のタイヤ軸方向の最外端12tよりもタイヤ軸方向内側に配されるのが好ましい。これにより、トレッド部2の接地端2t側の剛性を低下させ、フルバンク時の接地性を向上させることができる。なお、最外側プライ11の最外端11tと内側プライ12のタイヤ軸方向の最外端12tとの展開幅W2は、好ましくは5mm以上、さらに好ましくは7mm以上が望ましく、また、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは8mm以下が望ましい。前記展開幅W2が5mm未満であると、最外側プライ11の最外端11t及び内側プライ12の最外端12tの近傍で大きな剛性段差が生じ、耐久性が低下するおそれがある。逆に、前記展開幅W2が10mmを超えると、トレッド部2の接地端2t側の剛性を過度に低下させ、フルバンク時のトレッド部2の変形量を著しく大きくさせるおそれがある。
図3には、本実施形態の最外側プライ11の製造方法の一例を説明する図が示される。
本実施形態の最外側プライ11は、連続した一定幅のカットプライ19の側縁に、前記溝部14を隔設することにより形成される。カットプライ19に溝部14を形成するには、外周面に、各溝部14a、14bを反転させた大きさでカットプライ19を打ち抜きできる第1、第2の切歯部17a、17bが取付けられたローラー状のカッター18が用いられる。
本実施形態の最外側プライ11は、連続した一定幅のカットプライ19の側縁に、前記溝部14を隔設することにより形成される。カットプライ19に溝部14を形成するには、外周面に、各溝部14a、14bを反転させた大きさでカットプライ19を打ち抜きできる第1、第2の切歯部17a、17bが取付けられたローラー状のカッター18が用いられる。
水平に配されたカットプライ19の上に、カッター18を移動させることにより、溝部14a、14bの形状に、トッピングゴム13及びベルトコード10が打ち抜き切断される。この切断により形成された切端20を、カットプライ19から取り除くことにより、最外側プライ11が形成される。このような製造方法により、最外側プライ11を容易かつ効率的に形成できる。
図4には、本発明の他の実施形態の最外側プライ11が示される。
この実施形態の最外側プライ11は、クラウン領域Crに配されるクラウンプライ11cと、ショルダー領域Shに配される一対のショルダープライ11sと、ミドル領域Mdに配される一対のミドルプライ11mとが、タイヤ軸方向に並べられて構成される。
この実施形態の最外側プライ11は、クラウン領域Crに配されるクラウンプライ11cと、ショルダー領域Shに配される一対のショルダープライ11sと、ミドル領域Mdに配される一対のミドルプライ11mとが、タイヤ軸方向に並べられて構成される。
前記クラウンプライ11cは、そのタイヤ軸方向の外縁11co、11co間で終端するベルトコード21cがタイヤ周方向に隔設される。このクラウンプライ11cのエンズEcは、先の実施形態のエンズEcと同一範囲に設定される。
前記ミドルプライ11mは、そのタイヤ軸方向の内縁11miと外縁11moとの間のみをのび、かつクラウンプライ11cのベルトコード21cとは非連続のベルトコード21mがタイヤ周方向に隔設される。また、ミドルプライ11mは、その内縁11miがクラウンプライ11cの外縁11coに突き合わされている。このミドルプライ11mのエンズEmも、先の実施形態のエンズEmの範囲に設定される。
前記ショルダープライ11sは、そのタイヤ軸方向の内縁11siと外縁11soとの間のみをのび、かつミドルプライ11mのベルトコード21mとは非連続のベルトコード21sがタイヤ周方向に隔設される。また、ショルダープライ11sは、その内縁11siがミドルプライ11mの外縁11moに突き合わされている。このエンズEsも、先の実施形態のエンズEsの範囲に設定される。
このような最外側プライ11も、ショルダー領域ShのエンズEsが最も小さく、かつクラウン領域CrのエンズEcが最も大きく設定される。従って、旋回性能及びトラクション性能を向上できるとともに、直進走行から旋回走行への移行をスムーズにできる。しかも、各ベルトコード21c、21m、21sは、トッピングゴム13に完全に被覆されるため、耐久性を向上しうる。
また、最外側プライ11は、クラウンプライ11c、ミドルプライ11m及びショルダープライ11sがそれぞれ独立したベルトコード21c、21m、21sで形成されているため、トレッド部2の接地端2t側の剛性を小さくして、フルバンク時の接地性を向上させることができる。なお、最外側プライ11は、バンド層9によって覆われるため、各プライ11c、11m、11sの分離等が抑制され、耐久性の低下を防ぎうる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す基本構造を有し、かつ表1に示す最外側プライを有する自動二輪車用タイヤが試作され、それらの性能がテストされた。また、比較のために、図5に示されるベルトコードの打ち込み本数であるエンズが26(本/5cm)の最外側プライを具える自動二輪車用タイヤ(比較例1乃至2)、及び図6に示される最外側プライを内側プライのタイヤ半径方向内側に配したベルト層を具える自動二輪車用タイヤ(比較例5)についても同様にテストされた。なお、共通仕様は以下のとおりである。
タイヤサイズ:210/60R420
リムサイズ:MT6.00×420
内側プライのエンズ:26(本/5cm)
テストの方法は次の通りである。
タイヤサイズ:210/60R420
リムサイズ:MT6.00×420
内側プライのエンズ:26(本/5cm)
テストの方法は次の通りである。
<トラクション性能、旋回性能(フルバンク性能、直進走行から旋回走行への移行時の旋回安定性能)>
各試供タイヤを上記リムにリム組みしかつ内圧130kPaを充填して、排気量1000ccのレース用自動二輪車の後輪に装着し、プロのテストドライバーの運転でアスファルト路面で構成されたサーキットコースを走行したときの直進時のトラクション性能、車体をフルバンクさせて旋回したときの性能であるフルバンク性能、及び直進走行から旋回走行への移行時のスムーズさを示す旋回安定性能を、ドライバーの官能評価により、比較例1を5点とする10点法で評価した。数値が大きい程良好である。
各試供タイヤを上記リムにリム組みしかつ内圧130kPaを充填して、排気量1000ccのレース用自動二輪車の後輪に装着し、プロのテストドライバーの運転でアスファルト路面で構成されたサーキットコースを走行したときの直進時のトラクション性能、車体をフルバンクさせて旋回したときの性能であるフルバンク性能、及び直進走行から旋回走行への移行時のスムーズさを示す旋回安定性能を、ドライバーの官能評価により、比較例1を5点とする10点法で評価した。数値が大きい程良好である。
<耐久性>
各試供タイヤを上記リムにリム組みし、内圧150kPaを充填して、縦荷重2.16kN、速度120km/h、キャンバー角30度、スリップ角3度で直径1.7mのドラムを走行させ、トレッド面に損傷が発生するまでの走行距離を求めた。結果は、比較例1の走行距離を100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
各試供タイヤを上記リムにリム組みし、内圧150kPaを充填して、縦荷重2.16kN、速度120km/h、キャンバー角30度、スリップ角3度で直径1.7mのドラムを走行させ、トレッド面に損傷が発生するまでの走行距離を求めた。結果は、比較例1の走行距離を100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
<タイヤ質量>
タイヤ1本当たりの質量を測定し、比較例1を100とする指数で表示している。数値が小さいほど良好である。
テストの結果を表1に示す。
タイヤ1本当たりの質量を測定し、比較例1を100とする指数で表示している。数値が小さいほど良好である。
テストの結果を表1に示す。
テストの結果、実施例の自動二輪車用タイヤは、トラクション性能及び旋回性能を向上できることが確認できた。また、実施例の自動二輪車用タイヤは、耐久性の低下を抑制できることも確認できた。
7 ベルト層
10 ベルトコード
11 最外側プライ
Cr クラウン領域
Sh ショルダー領域
Md ミドル領域
10 ベルトコード
11 最外側プライ
Cr クラウン領域
Sh ショルダー領域
Md ミドル領域
Claims (7)
- トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスの半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配されるベルト層とを具える自動二輪車用タイヤであって、
前記ベルト層は、ベルトコードがタイヤ周方向に対して50〜85度の角度で配列された少なくとも2枚のカットプライからなり、
前記カットプライのうちタイヤ半径方向の最も外側に配される最外側プライは、タイヤ赤道を含むクラウン領域の前記ベルトコードの打ち込み本数であるエンズEc(本/5cm)、タイヤ軸方向の最外側の領域であるショルダー領域のエンズEs(本/5cm)、及び該クラウン領域と該ショルダー領域との間の領域であるミドル領域のエンズEm(本/5cm)が、Ec>Em>Esの関係を満たすことを特徴とする自動二輪車用タイヤ。 - 前記最外側プライは、タイヤ赤道を横切ってのび、かつ長さが異なる複数のベルトコードが、タイヤ周方向に隔設されてなり、
前記ベルトコードは、前記クラウン領域のタイヤ軸方向の外端間のみをのびる第1のコードと、前記ミドル領域のタイヤ軸方向の外端間のみをのびる第2のコードと、前記ショルダー領域のタイヤ軸方向の外端間をのびる第3のコードとを含む請求項1に記載の自動二輪車用タイヤ。 - 前記最外側プライは、前記クラウン領域に配されるクラウンプライと、前記ミドル領域に配されかつ前記クラウンプライのベルトコードとは非連続の一対のミドルプライと、前記ショルダー領域に配されかつ前記ミドルプライのベルトコードとは非連続の一対のショルダープライとからなる請求項1に記載の自動二輪車用タイヤ。
- 前記ミドル領域の前記エンズEmと、前記クラウン領域の前記エンズEcとの比(Em/Ec)は、0.7〜0.8である請求項1乃至3の何れかに記載の自動二輪車用タイヤ。
- 前記ショルダー領域の前記エンズEsと、前記クラウン領域の前記エンズEcとの比(Es/Ec)は、0.4〜0.5である請求項1乃至4の何れかに記載の自動二輪車用タイヤ。
- 前記最外側プライは、前記クラウン領域の展開幅Tcと前記最外側プライの展開幅T1との比(Tc/T1)が0.7〜0.8、一対の前記ミドル領域の展開幅Tmの合計2Tmと前記最外側プライの展開幅T1との比(2Tm/T1)が0.1〜0.15、及び一対の前記ショルダー領域の展開幅Tsの合計2Tsと前記最外側プライの展開幅T1との比(2Ts/T1)が0.1〜0.15である請求項1乃至5の何れかに記載の自動二輪車用タイヤ。
- 前記トレッド部は、前記ベルト層のタイヤ半径方向の外側に、バンドコードがタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻回させたバンドプライからなるバンド層を具える請求項1乃至6の何れかに記載の自動二輪車用タイヤ。
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JP2010136354A JP2012001057A (ja) | 2010-06-15 | 2010-06-15 | 自動二輪車用タイヤ |
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JP2010136354A JP2012001057A (ja) | 2010-06-15 | 2010-06-15 | 自動二輪車用タイヤ |
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Cited By (2)
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CN110167766A (zh) * | 2017-01-06 | 2019-08-23 | 株式会社普利司通 | 两轮车用充气轮胎 |
KR20220165053A (ko) * | 2021-06-07 | 2022-12-14 | 넥센타이어 주식회사 | 밀착형 벨트가 적용된 그린타이어 |
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2010
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110167766A (zh) * | 2017-01-06 | 2019-08-23 | 株式会社普利司通 | 两轮车用充气轮胎 |
CN110167766B (zh) * | 2017-01-06 | 2022-03-15 | 株式会社普利司通 | 两轮车用充气轮胎 |
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KR102561848B1 (ko) * | 2021-06-07 | 2023-08-01 | 넥센타이어 주식회사 | 밀착형 벨트가 적용된 그린타이어 |
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