JP2011528981A - 粒状個体の分散物の調製方法 - Google Patents

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Abstract

以下を含む粒状固体の分散物の調製方法:粒状固体を分散剤および液体媒体と一緒に分散させる、ここにおいて、該分散剤は、以下を含む組成物の共重合から得たまたは得ることができるランダムコポリマーである:i)1以上のモノエチレン不飽和親水性モノマー、ii)1以上のモノエチレン不飽和疎水性モノマー、iii)1以上のジ−および/または高級−エチレン不飽和モノマー、ならびにiv)1以上の連鎖移動剤;ここにおいて、分散段階は、粒状固体の粒子サイズを小さくする機械的処理により達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、粒状個体の分散物の調製方法およびそのようにして調製された分散物に関する。前記分散物を含有するインクにも関連する。
国際公開WO2006/064193号には、インクジェット印刷インクでの使用に適した分散顔料を提供するための方法が記載されている。該顔料は、モノエチレン不飽和モノマーに由来するランダムコポリマー分散剤でコーティングされている。これらの分散剤は線状構造を有する。その後、該分散剤を顔料の周囲で架橋させる。この方法は有用な性質を有する顔料分散物を提供するが、技術の改善が引き続き必要とされている。
国際公開WO2006/064193号
詳細には、とりわけ光沢のある媒体上で、改善された耐久性を有するプリントを提供することが望まれている。さらに、プリントは、特に普通紙上に印刷したときに、良好な光学濃度を有することが望ましい。顔料の微粉砕を容易にする分散剤を見いだして、サブミクロンの平均粒子サイズを有する粒子の分散物を調製することも望ましい。そのような分散物はまた、貯蔵または使用に関し安定であることが望ましい。本発明は、少なくとも部分的に、上記問題の1以上を解決することを試みるものである。
本発明の第1の観点に従って、以下を含む粒状固体の分散物の調製方法を提供する:
粒状固体を分散剤および液体媒体と一緒に分散させる、
ここにおいて、該分散剤は、以下を含む組成物の共重合から得たまたは得ることができるランダムコポリマーである:
i)1以上のモノエチレン不飽和親水性モノマー、
ii)1以上のモノエチレン不飽和疎水性モノマー、
iii)1以上のジ−および/または高級−エチレン不飽和モノマー、ならびに
iv)1以上の連鎖移動剤;
ここにおいて、分散段階は、粒状固体の粒子サイズを小さくする機械的処理により達成される。
好ましくは、本方法はさらに、粒状固体および液体媒体の存在下で分散剤を架橋剤と架橋して、これにより、粒状固体を架橋分散剤内に封入する段階を含む。
粒状固体は、液体媒体に溶解しない無機もしくは有機粒状固体またはその混合物であることが好ましい。
適した粒状固体の例としては、無機および有機顔料;ペイントおよびプラスチック材料のための増量剤および充填剤;液体媒体中の分散染料および水溶性染料、ここにおいて、該液体媒体は前記染料を溶解しない;蛍光増白剤;溶媒染浴、インクおよび他の溶媒施用システムのための織物用助剤;粒状セラミック材料;磁性粒子(例えば、磁気記録媒体で使用するためのもの);殺生剤;農薬;ならびに医薬品が挙げられる。粒状固体は、好ましくは着色剤、より好ましくは顔料である。
顔料はカーボンブラックまたは有機顔料であることが好ましい。
好ましい粒状顔料は、有機顔料、例えば、Colour Indexの第3版(1971)およびこれに続くその改訂版およびその補遺の“Pigments”という見出しの章に記載されている顔料のクラスのいずれかである。有機顔料の例は、アゾ(ジスアゾおよび縮合アゾを含む)、チオインジゴ、インダントロン、イソインダントロン、アンタントロン、アントラキノン、イソジベンズアントロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドン、ならびにフタロシアニン系列、特に銅フタロシアニンおよびその核ハロゲン化誘導体、ならびに酸性、塩基性および媒染染料のレーキに由来するものである。
カーボンブラックは、通常は無機であると考えられているが、その分散特性においてむしろ有機顔料のような挙動を示し、適した粒状固体のもう一つの例である。
好ましい有機顔料は、フタロシアニン、特に銅フタロシアニン顔料、アゾ顔料、インダントロン、アンタントロンおよびキナクリドンである。
好ましい無機粒状固体としては以下が挙げられる:増量剤および充填剤、例えば、タルク、カオリン、シリカ、バライトおよびチョーク;粒状セラミック材料、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、混合ケイ素−アルミニウム窒化物および金属チタン酸塩;粒状磁性材料、例えば、遷移金属、特に鉄およびクロムの磁性酸化物、例えば、ガンマ−Fe、Fe、およびコバルトをドープした酸化鉄、酸化カルシウム、フェライト、特にバリウムフェライト;ならびに金属粒子、特に、金属鉄、ニッケル、コバルトおよびそれらの合金;ならびにカーボンブラック。とりわけ好ましい無機粒状固体はカーボンブラックである。ガスブラックが特に好ましい。
本発明の方法を用いて、インク、例えばインクジェット印刷インク用の粒状固体分散物を作製する場合、顔料は、シアン、マゼンタ、黄色および黒色顔料であることが好ましい。粒状固体は、単一の化学種であるか、2以上の化学種を含む混合物(例えば、同一または異なる色であることができる2以上の異なる顔料を含む混合物)であることができる。すなわち、2以上の異なる粒状固体を本発明の方法に用いることができる。
顔料は、その表面に共有結合している分散性基を有するように、表面処理を行わないことが好ましい。顔料は、分散剤の補助なしでは液体媒体(特に水)に分散しないことが好ましい。
あらゆる機械的処理の前に、粒状固体は、1ミクロン以上、例えば1〜100ミクロンの体積平均粒子サイズを有することが好ましい。
液体媒体は非極性であってもよいが、極性を有することが好ましい。“極性”液体媒体は一般に、例えば、Journal of Paint Technology,Vol.38,1966の269頁のCrowley et alによる “A Three Dimensional Approach to Solubility”という表題の論文に記載されているように、中程度ないし強い結合を形成することができる。極性液体媒体は一般に、上記論文で定義されているように、5以上の水素結合数を有する。
適した極性液体媒体の例としては、エーテル、グリコール、アルコール、ポリオール、アミドおよび特に水が挙げられる。
液体媒体は、水であるか水を含むことが好ましい。これは、水には、とりわけ安定で微細な分散物をもたらす傾向があるためである。したがって、好ましい液体媒体は水性である。液体媒体は、重量に基づき、好ましくは1〜100%、より好ましくは10〜100%、特に20〜90%、さらに特に30〜80%の水を含む。残りは、1以上の極性有機液体であることが好ましい。とりわけ好ましい極性有機液体は、イソプロパノール、ジプロピレングリコールおよびこれらの混合物である。
好ましい非極性液体媒体としては、非ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン);ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよびクロロトルエン);非ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、完全または部分的に飽和したものを含む、6以上の炭素原子を含有する線状および分枝状脂肪族炭化水素)、ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエタン);天然非極性液体(例えば、植物油、ヒマワリ油、アマニ油、テルペンおよび脂肪グリセリド(fatty glyceride));ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
液体媒体は、極性または非極性液体であることができる液体の混合物を含むことができる。液体媒体の成分の少なくとも1つが極性液体であることが好ましく、より好ましくは、液体媒体の成分のすべてが極性液体である。
液体媒体が1より多くの液体を含む場合、前記液体媒体は多相液体(例えば液−液エマルション)の形にあってもよいが、単相(均質)液体の形にあることが好ましい。
水以外の極性液体は、水混和性であることが好ましい。
好ましい態様において、液体媒体は水および水混和性有機液体を含む。そのような液体媒体が好ましいのは、それが機械的処理段階の効率を高め、粒状固体の平均粒子サイズの低減を速めるためである。
液状媒体中に包含させるのに好ましい水混和性有機液体としては、C1−6−アルカノール、好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール 、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノールおよびシクロヘキサノール;線状アミド、好ましくは、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド;水混和性エーテル、好ましくは、テトラヒドロフランおよびジオキサン;ジオール、好ましくは、2〜12個の炭素原子を有するジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびチオジグリコール、ならびに、オリゴ−およびポリ−アルキレングリコール、好ましくは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール;トリオール、好ましくは、グリセロールおよび1,2,6−ヘキサントリオール;ジオールのモノ−C1−4−アルキルエーテル、好ましくは、2〜12個の炭素原子を有するジオールのモノ−C1−4−アルキルエーテル、特に、2−メトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)−エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−エトキシエトキシ)−エトキシ]−エタノールおよびエチレングリコールモノアリルエーテル;環状アミド、好ましくは、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、カプロラクタムおよび1,3−ジメチルイミダゾリドンが挙げられる。上記したように、イソプロパノールおよびジプロピレングリコールがとりわけ好ましい。これらのうち、ジプロピレングリコールは、機械的処理段階を補助するのに特に有効であることが判明している。
液体媒体は、水および1以上、特に1〜3種の水混和性有機液体を含むことが好ましい。
水と水混和性有機液体がともに液体媒体中に存在する場合、水と水混和性有機液体の重量比は、好ましくは99:1〜5:95、より好ましくは95:5〜50:50、特に95:5〜75:25である。
該方法はさらに、分散剤を非溶媒と混合して分散剤の沈殿物を形成し、沈殿した分散剤を非溶媒から分離し、分離した分散剤を未使用の溶媒に加える段階を、所望により含むことができる。このさらなる段階は、分散剤を粒状固体と接触させる前に実施することが好ましい。典型的には、非溶媒は非極性液体(例えばヘキサン)であり、溶媒は極性液体(例えば、水または水と1以上の水混和性有機液体との混合物)である。
分散剤がイオン性基を含む場合、これらは塩の形にあることが好ましい。酸性基に好ましい塩としては、アルカリ金属、アンモニウムおよび有機アミン塩が挙げられる。カチオン性基に好ましい塩としては、ハロゲン化物、硝酸塩および硫酸塩が挙げられる。分散剤はカチオン性基を有さないことが好ましい。
分散剤が酸性基(例えばカルボキシおよび/またはスルホ基)を含む場合、該方法はさらに、例えばアルカリ金属塩(特に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)を用いて、そのような酸性基を中和する段階を含むことが好ましい。
分散剤は、好ましくは4.0以下、より好ましくは1.0〜4.0のLogPの計算値を有する。LogPの計算値は、国際公開WO2005/061087号、9頁35行〜10頁21行に記載されている方法により決定することができ、これを本明細書中で参考として援用する。
分散剤は、1以上の酸基を有することが好ましい。酸基は、好ましくはスルホン酸、リン酸、ホスホン酸、および特にカルボン酸である。分散剤中に存在する唯一の酸基(1以上)がカルボン酸基(1以上)であることが好ましい。
分散剤は、1分子あたり好ましくは平均2以上、特に10以上のカルボン酸基を有する。
分散剤を架橋剤と架橋させる場合、分散剤は1分子あたり10以上のカルボン酸基を有することが好ましい。
カルボン酸基(1以上)は、遊離酸(−COOH)の形か、より好ましくは塩の形で、分散剤中に存在することができる。塩は、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウム、置換アンモニウム、第四アンモニウムまたはピリジニウム塩であることができる。
カルボン酸基(1以上)は、例えば、少なくとも1つのカルボン酸基を含有する1以上のモノエチレン不飽和親水性モノマーを共重合することにより、分散剤中に組み込むことができる。そのようなモノマーの例としては、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、より好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸およびベータカルボキシエチルアクリレートが挙げられる。
カルボン酸基(1以上)が分散剤中に存在する場合、これを、架橋剤中のカルボン酸基に対し反応性を示す基(例えば、エポキシ、イソシアネート、オキサゾリン、アジリジン、カルボジイミド、N−メチロール基)と架橋するのに用いることができる。これに加えて、未反応カルボン酸基はいずれも、凝集および凝結に対する最終封入粒状固体の安定化を補助することができる。カルボン酸基は、極性およびさらに特に水性媒体中で安定化基として有効である。
カルボン酸基(1以上)が、液体媒体中に分散している最終封入粒状固体を安定化するための唯一の基であり、架橋剤がエポキシ基を有する場合、架橋反応が終了した後に未反応カルボン酸基が確実に残るように、エポキシ基に対しモル過剰のカルボン酸基を有することが好ましい。一態様において、カルボン酸基のモルとエポキシ基のモルとの比は、好ましくは10:1〜1.1:1、より好ましくは5:1〜1.1:1、特に好ましくは3:1〜1.1:1である。
分散剤は、所望により他の安定化基を有していてもよい。安定化基の選択およびそのような基の量は、液体媒体の性質に大幅に依存する。安定化基は、事実上親水性である(例えば極性液体媒体の場合)か、事実上疎水性である(例えば非極性液体媒体の場合)かのいずれかである傾向がある。
しかしながら、分散剤は親水性非イオン性基を有さないことが好ましい。存在しないことが好ましい親水性非イオン性基としては、ポリアルキレンオキシ(特にポリエチレンオキシ)およびヒドロキシ基が挙げられる。
モノエチレン不飽和親水性モノマーは、すべて同一の化学式のものであることができ、または、2以上(例えば2〜10)の異なるモノエチレン不飽和親水性モノマーを含むことができる。
モノエチレン不飽和親水性モノマーは、イオン性および/または非イオン性親水性基を有することができる。イオン性基はカチオン性であってもよいが、好ましくはアニオン性である。両性安定化を得るために、カチオン性およびアニオン性基の両方が存在していてもよい。好ましいアニオン性基は、フェノール酸、スルホン酸、スルファト、ホスホン酸、ポリリン酸、リン酸、および特にカルボン酸基であり、これらは、上記したように遊離酸または塩の形にあることができる。好ましいカチオン性基は、第四アンモニウム、ベンザルコニウム、グアニジン、ビグアニジンおよびピリジニウムである。これらは、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物およびフッ化物などの塩の形にあることができる。適した親水性非イオン性基は、グルコシド、サッカリド、ピロリドン、アクリルアミド、ヒドロキシ基、ポリ(アキレンオキシド(akyleneoxide))基、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(プロピレンオキシド)基、例えば、式−(CHCHO)Hまたは−(CHCHO)1−4−アルキル[式中、nは3〜200(好ましくは4〜20)である]の基である。しかしながら、これらの親水性非イオン性基は、分散剤中に存在しないことが好ましい。
分散剤は、例えば、単一の親水性非イオン性基か、分散剤の全体でいくつかの親水性非イオン性基か、または親水性非イオン性基を含有する1以上のポリマー鎖を、含有することができる。ヒドロキシ基は、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシル官能性アクリル系誘導体およびセルロースなどのポリマー鎖を用いて組み込むことができる。エチレンオキシ基は、ポリエチレンオキシドなどのポリマー鎖を用いて組み込むことができる。
適した親水性モノエチレン不飽和モノマーとしては、親水性非イオン性およびイオン性(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
適した親水性非イオン性モノエチレン不飽和モノマーは、サッカリド、グルコシド、アミド、ピロリドン、ならびに特にヒドロキシおよびエトキシ基を含有するものである。
親水性非イオン性モノエチレン不飽和モノマーの適した例としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、エトキシ化(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
親水性イオン性モノエチレン不飽和モノマーはカチオン性であってもよいが、好ましくはアニオン性である。
好ましい親水性アニオン性モノエチレン不飽和モノマーは、カルボン酸基、リン酸基および/またはスルホン酸基を含むものであり、これらの基は遊離酸の形にあるかその塩であることができる。塩のタイプは上記したとおりである。好ましい例は、アクリル酸、メタクリル酸、ベータカルボキシエチルアクリレート、スチレンスルホン酸、ビニルベンジルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、アクリロイルオキシメチルスルホン酸、アクリロイルオキシエチルスルホン酸、アクリロイルオキシプロピルスルホン酸およびアクリロイルオキシブチルスルホン酸)、メタクリロイルオキシメチルスルホン酸、メタクリロイルオキシエチルスルホン酸、メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸、およびメタクリロイルオキシブチルスルホン酸)、2−アクリルアミド−2−アルキルアルカンスルホン酸(例えば、2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸)、2−メタクリルアミド−2−アルキルアルカンスルホン酸(例えば、2−メタクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および2−メタクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸)、モノ−(アクリロイルオキシアルキル)ホスフェート(例えば、モノ(アクリロイルオキシエチル)ホスフェートおよびモノ(3−アクリロイルオキシプロピル)ホスフェート)、およびモノ(メタクリロイルオキシアルキル)ホスフェート(例えば、モノ(メタクリロイルオキシエチル)ホスフェートおよびモノ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ホスフェート)である。
これらのうち、メタクリル酸が特に好ましい。モノエチレン不飽和親水性モノマー(1以上)はメタクリル酸を含むことが好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。
分散剤が親水性非イオン性基を有さず、唯一の親水性イオン性基がカルボン酸またはその塩であることが、とりわけ好ましい。
適した親水性カチオン性モノエチレン不飽和モノマーは、第三アミン、第四アミン、ピリジン、グアニジンおよびビグアニジン基を含むものである。
モノエチレン不飽和疎水性モノマーは、すべて同一の化学式のものであることができ、または、2以上(例えば2〜10)の異なるモノエチレン不飽和疎水性モノマーを含むことができる。
モノエチレン不飽和疎水性モノマーは、典型的にはイオン性および非イオン性親水性基を含まない。好ましい例としては(メタ)アクリル酸のエステルが挙げられる。1以上のモノエチレン不飽和疎水性モノマーが(メタ)アクリル酸のエステルを含むことが好ましい。より好ましくは、1以上のモノエチレン不飽和疎水性モノマーのすべてが、(メタ)アクリル酸のエステルである。
好ましいモノエチレン不飽和疎水性モノマーとしては、C1−20−ヒドロカルビル(メタ)アクリレート、スチレンおよびビニルナフタレンが挙げられる。特に好ましいものは、C1−10−ヒドロカルビル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、およびベンジル(メタ)アクリレートである。
ジエチレン不飽和モノマーは、2つのエチレン不飽和基を有する。
ジエチレン不飽和モノマーおよび高級エチレン不飽和モノマーは、すべて同一の化学式のものであることができ、または2以上(例えば2〜10)の異なるジエチレン不飽和モノマーおよび高級エチレン不飽和モノマーを含むことができる。
本明細書中で用いる“高級”という語は、エチレン不飽和基に適用する場合、3以上のエチレン不飽和基を意味する。
好ましいジエチレン不飽和モノマーおよび高級エチレン不飽和モノマーは、1分子あたり平均して2〜5個のエチレン不飽和基を有する。
共重合組成物は、高級エチレン不飽和モノマーを含有しないことが好ましい。
ジ−および/または高級−エチレン不飽和モノマーは、事実上オリゴマーであることができる。
ランダムコポリマーは、高級エチレン不飽和モノマーの共重合に由来する反復単位を含有しないことが好ましい。
ジエチレン不飽和モノマーの例としては、限定するものではないが、ジビニルベンゼン、ビス−(4−エテニルフェニル)メタン、ジビニルジオキサン、ジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,3−ジニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ジビニル1,3−ジフェニル−1,3−ジメチルジシラザン、ジビニルテトラエトキシ−1,3−ジシラザン、ジビニルテトラメトキシ−1,3−ジシラザン、ジビニル1,3−ジフェニル−1,3−ジメチル−1,3−ジシロキサン、ジビニルアセチレン、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルカルビノール、炭酸ジビニル、1,2−ジビニルシクロブタン、cis−1,2−ジビニルシクロヘキサン、trans−1,2−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルシクロヘキサンジメタノールジエーテル、ジビニルジブチルスズ、2,5−ジビニルジオキサン、1,1’−ジビニルフェロセン、ジビニルホルマール、ジビニルグリコール、1,4−ジビニルペルフルオロブタン、1,6−ジビニルペルフルオロヘキサン、ジビニルフェニルホスフィン、3,9−ジビニルスピロビm−ジオキサン、ジビニルスルホン、1,4−ジビニル−1,1,4,4−テトラメチルジシリルエチレン、ジビニルスズジクロリド、ジビニルトリエチレングリコールジエーテル、1,5−ビス−ジビニルオキシ−3−オキサペンタン、ジビニルシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、ジビニルジフェニルシラン、1,1’−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)−4,4’−イソプロピリデンジフェノール、エチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールA2−ヒドロキシエチルジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ブテンジオールジメタクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、2−ブチン−1,4−ジイルジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジメタクリレート、デカメチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルジメタクリレート、1,6−ジメチルヘキサンジオールジメタクリレート、2,5−ジメチルヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、1,12−ドデカンジオールジメタクリレート、エチリデンジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、1,5−テトラヒドロペルフルオロペンチルジメタクリレート、ヘキサフルオロビスフェノールAジメタクリレート、ヘキシレングリコールジメタクリレート、水素化ビスフェノールAジメタクリレート、メチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサンジオール1,6−ジメタクリレート、ペンタエリトリトールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、ペルフルオロシクロヘキシル1,4−ジメチルジメタクリレート、o−フェニレンジメタクリレート、p−フェニレンジメタクリレート、スチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール600ジメタクリレート、ポリエチレングリコール400ジメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ソルビトールジメタクリレート、4,4’−スルホニルジフェノールジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、テトラクロロビスフェノールAジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロブタンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルペンタンジオールジメタクリレート、ウレタンジメタクリレート、ジメタクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸ジルコニウム(IV)、ブタンジオールジアクリレート、N,N−ジアクリロイルアクリルアミド、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA2−ヒドロキシエチルジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレートおよびジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリ−プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチル1,3−プロパンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジメチルビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチル1,3−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレンジアクリレート、エチリデンジアクリレート、ヘキサフルオロビスフェノールAジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2,5−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナメチレンジアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサンジオール1,6−ジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、p−フェニレンジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、1,2−プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ソルビトールジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロブタンジオールジアクリレート、チオールジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ウレタンジアクリレート、ジアクリル酸亜鉛、ジエチレングリコールジアクリルオキシプロピオネート、ビス−アクリロイルピペラジン、およびマレイン酸ジアリルが挙げられる。
好ましいジエチレン不飽和モノマーは、ジビニルベンゼンおよび/またはジウレタンジ(メタ)アクリレートである。
高級−エチレン不飽和モノマーは、3以上のエチレン不飽和基、例えば3または4個のそのような基を有する。好ましい高級エチレン不飽和モノマーとしては、トリエチレン不飽和モノマーおよびテトラエチレン不飽和モノマーが挙げられる。
トリエチレン不飽和モノマーの例としては、トリアクリルホルマール、ペンタエリトリトールトリアリルエステル、グリセリルプロポキシトリアクリレート、トリアクリル酸鉄(ferric triacrylate)、ペンタエリトリトールトリアクリレート、トリアジン−2,4,6−トリイル−1,2−エタンジイルトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールエタントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリメタクリレート、プロプロキシ化(proproxylated)グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、1,2,5−ペンタントリオールトリメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレートが挙げられる。
テトラエチレン不飽和モノマーの例としては、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、テトラアクリル酸ジルコニウム(IV)、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、およびテトラメタクリル酸ジルコニウム(IV)が挙げられる。
モノマー混合物中のモノエチレン不飽和モノマー(親水性および疎水性)の全量は、分散剤を調製するのに用いられるエチレン不飽和モノマーの全重量に対する重量に基づき、50%〜99.7%、好ましくは70%〜99%、特に85%〜98.5%の範囲にある。
ジ−および高級−エチレン不飽和モノマーの量は、分散剤を調製するのに用いられるエチレン不飽和モノマーの全重量に対する重量に基づき、好ましくは0.3%〜50%、好ましくは1%〜30%、特に1.5〜15%である。
分散剤は、分散剤を調製するために本方法で用いられる液体媒体のほか、粒状固体が用いられることになるあらゆる最終的に意図された組成物(例えばインク)に用いられる液状ビヒクルに、適合するように選ぶことが好ましい。したがって、例えば、粒状固体を水性インクジェット印刷インクに用いる場合、分散剤はかなりの割合の親水性基を有することが好ましい。同様に、粒状固体を油に基づく(非水性)インクに用いる場合、分散剤はかなりの量の疎水性基を有することが好ましい。
分散剤を作製するのに用いられる組成物はさらに、開始剤、特にラジカル開始剤を含むことが好ましい。開始剤は熱的に活性化されることが好ましい。
ラジカル開始剤の例としては、アゾ化合物、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチル)ブタンニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパンおよび2,2’−アゾビス[2−メチル−N−ヒドロキシエチル)]−プロピオンアミドが挙げられる。他の可溶性ラジカル開始剤を用いることもでき、その例としては、ペルオキシ化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化水素、ならびにナトリウム、カリウムおよびアンモニウムの過硫酸塩が挙げられる。レドックス開始剤系を用いることもでき、その例としては、レドックス対、例えば、過硫酸アンモニウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。一般に、エチレン不飽和化合物100グラムあたり0.1〜15グラムのラジカル開始剤が用いられる。
開始剤は、組成物中に存在するエチレン不飽和モノマーの全量に基づき、重量で0.1〜15%、特に1〜5%の量で組成物中に存在することができる。より高レベルの連鎖移動剤を用いる場合、場合によっては開始剤のレベルも上昇させることも有利である。
分散剤の酸価(AV)は、好ましくは50〜320、より好ましくは50〜200mg KOH/gである。そのような酸価を有する分散剤は、とりわけ高い安定性および良好なODを示す分散剤を結果としてもたらす。高い安定性は、インクジェット印刷に用いられるが、粒状固体をより分散させにくい、要求の厳しい液状ビヒクルに特に有用である。
分散剤の分子量はばらつきが大きくてもよく、数平均分子量は、好ましくは500〜100000、より好ましくは1000〜50000、特に1000〜35000である。分子量は、三重検出(triple detection)ゲル透過クロマトグラフィー(“GPC”)により測定することが好ましい。分散剤は液体媒体に完全に溶解する必要はない。すなわち、完全に透明で散乱のない溶液は必須ではない。分散剤が界面活性剤様ミセル状に凝結して、液体媒体中にわずかに曇った溶液をもたらしてもよい。分散剤は、分散剤のいくらかの割合にコロイドまたはミセル相を形成する傾向があるようなものであってもよい。分散剤は、静置状態において沈降または分離しない均一で安定な分散物を液体媒体中にもたらすことが好ましい。
分散剤は液体媒体(特に水)に実質的に溶解して、透明または曇った溶液を生じさせることが好ましい。
分散剤を架橋する場合、比較的安定な分散物が形成するように、架橋前に分散剤を粒状固体上に吸着させることが好ましい。その後、この分散物を、好ましくはボレート化合物の存在下で、架橋剤を用いて架橋する。この予備吸着および予備安定化は、コアセルベーションのアプローチとは異なる。コアセルベーションのアプローチでは、ポリマーまたはプレポリマー(分散剤ではない)を粒状固体、液体媒体および架橋剤と混合し、得られた架橋ポリマーが粒状固体上に沈殿するのは、架橋中または架橋後だけである。
架橋剤は、分散剤分子を架橋することができるという条件で、あらゆる適した種類のものであることができる。分散剤がカルボン酸基を含有する場合、好ましい架橋剤としては、イソシアネート、オキサゾリン、アジリジン、カルボジイミド、メラミンホルムアルデヒド樹脂、および特にエポキシド架橋剤が挙げられる。架橋剤は2以上の架橋性基を有することができる。好ましい架橋剤は、2〜10、特に2〜5個の架橋性基を有する。
架橋剤は、オリゴマー分散性基を含有していても含有していなくてもよい。
存在する場合、オリゴマー分散性基は、好ましくはポリアルキレンオキシド、より好ましくはポリC2−4−アルキレンオキシド、特にポリエチレンオキシドであるか、これらを含む。ポリアルキレンオキシド基は立体安定化をもたらし、これにより、得られる封入粒状固体の安定性が改善される。
ポリアルキレンオキシドは、好ましくは3〜200、より好ましくは5〜50のアルキレンオキシド、特に5〜20のアルキレンオキシド反復単位を含有する。
架橋剤および分散剤それぞれに包含されることができる反応性基および反応しうる基の対は、国際特許出願WO2005/061087号、6頁、表1に開示されているとおりであり、これを本明細書中で参考として援用する。分散剤は2以上のカルボン酸基を有し、架橋剤は2以上のエポキシ基を有することが好ましい。
2つのエポキシ基を有しオリゴマー分散性基を有さない好ましい架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルおよびポリブタジエンジグリシジルエーテルである。
2つのエポキシ基および1以上のオリゴマー分散性基を有する好ましい架橋剤は、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテルおよびポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルである。
3以上のエポキシ基を有しオリゴマー分散性基を有さない好ましい架橋剤は、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテルおよびトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルである。
ポリマー架橋剤の好ましい例は、メタ(アクリル)酸グリシジルを含むポリビニルコポリマーである。
架橋剤は、特に液体媒体が水性である場合、液体媒体に溶解することが好ましい。より好ましくは、架橋剤は、25℃で少なくとも1重量%の水溶性を有する。
架橋剤は、架橋剤の可溶化を補助するために、1以上のエチレングリコール基を有することができる。
本方法では、1以上の架橋剤を用いることができる。1より多くの架橋剤を用いる場合、これらは同一または異なる数の架橋性基を有することができる。
架橋剤上に存在する唯一の架橋性基がエポキシ基であることが好ましい。
連鎖移動剤(CTA)の機能は、通常ならジ−および/または高級−エチレン不飽和モノマーの存在により生じる分散剤の早期架橋およびこれに続くゲル化を回避することである。何れかの理論に拘束または限定しようとするわけではないが、ジ−および/または高級−エチレン不飽和モノマーの存在は、成長中のランダムコポリマー中にランダムな分枝点を作り出し、連鎖移動剤は、分散剤の全体的分子量をとりわけ制限することなく個々のポリマー鎖の分子量を制限し、これによりゲル化を回避する働きをすると考えられる。
したがって、分散剤は分枝した分散剤、好ましくは高度に分枝した分散剤である。
好ましい連鎖移動剤としては、メルカプタン、例えば、3−メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタンおよびt−テトラデシルメルカプタン、ブチル3−メルカプトプロピオネート;キサントゲンジスルフィド、例えば、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィドおよびジイソプロピルキサントゲンジスルフィド;チウラムジスルフィド、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドおよびテトラブチルチウラムジスルフィド;ハロゲン化炭化水素、例えば、四塩化炭素および臭化エチレン;炭化水素、例えばペンタフェニルエタン;不飽和環状炭化水素化合物、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、テルピノレン、アルファテルピネン、ガンマテルピネン、ジテルペン、アルファメチルスチレン二量体、9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデンおよび1,4−シクロヘキサジエン;不飽和複素環式化合物、例えば、キサンテンおよび2,5−ジヒドロフラン;コバルトキレート化合物などが挙げられる。これらの連鎖移動剤は、単独で、または少なくとも2種を混合した状態で、用いることができる。
連鎖移動剤として用いることができるコバルトキレート化合物は、好ましくはコバルトIIまたはIII化合物、より好ましくは、米国特許公報第5770665号、式Iに記載されているコバルトII化合物であり、これを、1欄52行〜2欄16行における定義を含め、本明細書中で参考として援用する。
組成物中に用いられる連鎖移動剤の最適量は、存在するジ−および/または高級−エチレン不飽和モノマーの量、それらが有するエチレン不飽和基の数、およびそれらの反応性に依存する。用いられる連鎖移動剤の最適量は、例えば、最初に組成物を連鎖移動剤の存在なしで重合した後、連鎖移動剤の量を増加させながら用いて重合を繰り返すことにより、実験的に決定することができる。ゲル化が起こらなくなる点が、用いられる連鎖移動剤の最小量を示す。ゲル形成を確実に回避するために、通常この最小量より少し多い量を用いる。
われわれの実験において、われわれは、近似として、組成物中に存在する各ジ−または高級−エチレン不飽和モノマー1モルあたりに用いられる連鎖移動剤のモル数(MCTA)が、式:
CTA=y(n−1)
[式中、
nは、ジ−または高級−エチレン不飽和モノマー中のエチレン不飽和基の数であり;そして
yは、0.9〜6、より好ましくは0.9〜3、特に0.9〜2、もっとも特に約1である]
により与えられることを観察した。
したがって、yが0.9〜2であることを考慮すると、ジエチレン不飽和モノマーの場合、ジエチレン不飽和モノマー1モルあたり0.9〜2モルの連鎖移動剤を用いることができる。トリエチレン不飽和モノマーの場合、トリエチレン不飽和モノマー1モルあたり1.8〜4モルの連鎖移動剤を用いることができる。テトラエチレン不飽和モノマーの場合、テトラエチレン不飽和モノマー1モルあたり2.7〜6モルの連鎖移動剤を用いることができる。ジ−およびトリエチレン不飽和モノマーの混合物の場合、各モノマーに必要な連鎖移動剤の量を上記のように算出し、その量を組成物中に包含させる。簡単に言うと、ジ−または高級−エチレン不飽和モノマー1モルあたり0.9(n−1)〜3(n−1)モルの連鎖移動剤を用いることができ、ここにおいて、nは、ジ−または高級−エチレン不飽和モノマー中のエチレン不飽和基の数である。
われわれは、コバルトキレート化合物をCTAとして用いる場合、この式がまったく同様に当てはまるとは言えない傾向があることを見いだした。該式は、硫黄含有CTAにとりわけ有効である。該式は、(メタ)アクリレートモノマーを含む組成物と併せて用いる場合、硫黄含有CTAに特に良好な効果がある。
好ましい組成物は以下を含む:
a)20〜40mol%のモノエチレン不飽和親水性モノマー;
b)50〜70mol%のモノエチレン不飽和疎水性モノマー、
c)1〜30mol%、より好ましくは2〜20mol%のジ−および/または高級エチレン不飽和モノマー;
ここにおいて、mol%はa)〜c)のすべてのモノマーの全モル数に基づき、a)〜c)のモノマーの全mol%は100%である;ならびに、
d)ジ−または高級−エチレン不飽和モノマー(1以上)1モルあたり0.9(n−1)〜3(n−1)モルの連鎖移動剤、ここにおいて、nは、ジ−または高級−エチレン不飽和モノマー(1以上)中のエチレン不飽和基の数である;ならびに、
e)成分a)〜c)の合計重量に基づき0.5〜3重量%のラジカル開始剤(1以上)。
該組成物は、当然ながら、成分a.〜e.に加えさらなる構成成分(例えば希釈剤)を含有することができる。典型的には、上記成分を、液体媒体中に、例えば1:1.5〜1:10、より好ましくは1:1.5〜1:4.0の成分a.〜e.と液体媒体の重量比で、溶解または分散させる。
粒状固体、液体媒体および分散剤は、任意の順序で、または同時に、混合することができる。
該混合物を機械的処理に付して、粒状固体の粒子サイズを小さくする。適した機械的処理の例としては、ボールミル粉砕、ビーズミル粉砕、グラベルミル粉砕(gravel milling)、または、より複雑な技術、例えば、超音波処理、マイクロ流動化(MicrofluidicsTM機を使用)によるか、流体力学的キャビテーション(例えばCaviProTM装置を使用)の使用が挙げられる。
機械的処理プロセス後の粒状分散物の体積平均粒子サイズは、好ましくは50〜300nm、より好ましくは50〜250nm、特に50〜200nmである。体積平均粒子サイズは、あらゆる適した方法により測定することができる。好ましい方法としては、レーザー散乱、光子相関分光法、ディスク遠心光沈降法(disc centrifuge photosedimentometry)および透過型電子顕微鏡法が挙げられる。
望ましい場合、所望による架橋の前に分散物を濾過または遠心分離して、十分に分散していないかサイズが大きすぎるあらゆる粒状材料を除去することができる。とりわけ、該プロセスは、分散剤、粒状固体および液体媒体を含む混合物を、好ましくは10ミクロン未満、より好ましくは5ミクロン未満、特に1ミクロン未満の細孔径を有するフィルターに通して濾過することを含むことが好ましい(好ましくは、架橋を実施する場合は架橋前に)。
先に記載したように、分散剤を粒状固体および液体媒体の存在下で架橋剤と架橋し、これにより、粒状固体を架橋分散剤内に封入することができる。
液体媒体中の粒状固体の凝集および粒子サイズ成長のレベルがより低くなるため、架橋には低温が好ましい。架橋反応は、好ましくは100℃未満、例えば10℃〜90℃、より好ましくは30℃〜70℃の温度で実施する。
架橋反応を実施する場合、架橋反応に関するpHは、好ましくは少なくとも6、例えば7〜14、より好ましくは7〜12、特に好ましくは8〜11である。
架橋反応を開始する前に、分散剤中のあらゆる酸基は、上記したように塩および/または遊離酸の形にあることができる。しかしながら、100℃未満の温度において酸基と例えば架橋剤中のエポキシ基との反応をより良好に生じさせるためには、少なくともいくつかのカルボン酸基が塩の形で存在することが好ましい。塩の形は、架橋前に(本発明の第1の観点に従った方法に存在するすべての成分の)pHを少なくとも6に調整することにより得ることができる。
pH調整は、任意の適した塩基を加えることにより行うことができる。好ましい塩基としては、金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩のほか、アミン、置換アミンおよびアルカノールアミンが挙げられる。特に好ましい塩基は、アルカリ金属水酸化物、アンモニア、トリエチルアミンおよびトリエタノールアミンである。特に好ましいアルカリ金属水酸化物は水酸化カリウムである。
架橋反応にかかる時間は、温度およびpHにある程度依存する。しかしながら、好ましい時間は1〜24時間、より好ましくは1〜8時間である。
架橋は、粒状固体、分散剤、架橋剤および液体媒体を混合することを含む方法により実施することが好ましい。
成分は、任意の適した方法、例えば、振とう、攪拌などにより、混合することができる。
架橋は、以下の成分を特定の割合で含む組成物を混合することを含む方法により実施することが好ましい:
a)30〜99.7部、好ましくは50〜97部の液体媒体;
b)0.1〜50部、好ましくは1〜30部の粒状固体;
c)0.1〜30部、好ましくは1〜30部の分散剤;
d)0.001〜30部、好ましくは0.01〜10部の架橋剤;
ここにおいて、部は重量に基づき、部の合計a)+b)+c)+d)=100である。
組成物は、架橋剤中のエポキシ基(存在する場合)1モルあたり好ましくは0〜4、より好ましくは0〜3モル当量のボレート化合物を含有する。例えば、組成物が1モルのジエポキシド架橋剤を含有する場合、架橋剤中のエポキシ基1モルあたり4モル当量のボレート化合物の要件を満たすには8モルのボレート化合物が必要になる。組成物がエポキシ架橋剤を含有しない場合、ボレート化合物は存在しないことが好ましい。好ましいボレート化合物はホウ酸またはその塩である。
架橋剤が粒状固体の機械的処理中に存在する場合、これが、固体の粒子サイズが十分に小さくなる前に分散剤の望ましくない予備架橋を引き起こす可能性がある。粒状固体を分散剤および液体媒体の存在下で微粉砕する場合、温度は好ましくは40℃以下、特に30℃以下にする。
架橋剤は、粒状固体の粒子サイズを小さくするためのあらゆる機械的処理の後に、粒状固体、分散剤および液体媒体を含む混合物に加えることが好ましい。架橋剤を加えている間に架橋が起こる可能性があるが、架橋の少なくともより多くの部分が架橋剤の添加終了後に起こることが、より好ましい。これにより、組成物の全体にわたる架橋剤のより均一な分散が促進され、より均一な架橋がもたらされる。
粒状固体、分散剤および液体媒体を含む混合物に架橋剤を加えている間の架橋を抑制するために、架橋剤を前記混合物に40℃未満、特に30℃未満の温度で加えることが好ましい。
該方法は、架橋剤を加える前の粒状固体の体積平均粒子サイズに比べ、好ましくは最大でも50%、より好ましくは最大でも25%しか大きくない体積平均粒子サイズを有する封入粒状固体をもたらす。
封入粒状固体は、好ましくは50〜300nm、より好ましくは50〜250nm、特に50〜200nmの体積平均粒子サイズを有する。通常、300nm未満の体積平均サイズを有する粒状固体は効果的に安定化するのが難しい。
このサイズの粒状固体は、インク、特にインクジェット印刷インクにとりわけ有用である。
視覚的定性評価または定量的なデジタル画像の取り込みおよび解析のいずれかによる光学顕微鏡法を用いて、プロセス中の凝結および/または凝集の程度を測定することも可能である。
ランダムコポリマーは、所望の場合は供給者から得ることができる。この場合、本発明の第1の観点で用いるランダムコポリマーを実際に調製することは、プロセス段階として必要ない。
あるいは、ランダムコポリマーは、本発明の第1の観点に従った方法の一部として実施される共重合により調製してもよい。
一態様において、分散剤は鎖中(in-chain)ポリエステル基を含まない。他の態様において、分散剤は鎖中ポリアミド基を含まない。これらの態様において、分散剤は末端エステルまたはアミド(例えば、(メタ)アクリル酸エステルおよびアミドの重合に由来するようなもの)を含んでいてもよい。しかしながら、ポリエステルおよびポリアミドに見いだされる種類の鎖中エステルおよびアミド基は存在しない。他の態様において、分散剤は鎖中ポリエーテル基を含まない。
本発明の第2の観点に従って、本発明の第1の観点の方法により得ることができるまたは得た分散物を提供する。
好ましくは、(上記したように)分散物は、本発明の第1の観点に従った方法であって、さらに、粒状固体および液体媒体の存在下で分散剤を架橋剤と架橋し、これにより、粒状固体を架橋分散剤内に封入する段階を含む方法により、得るまたは得ることができる。
分散物は‘そのままで’インクとして用いることができ、または、より一般には、望ましい性質を有するインクを提供するために、分散物を1以上のさらなる構成成分と混合する。分散物をインクに転化する前に、分散物中のあらゆる酸性基を中和することが好ましい。
さらなる構成成分としては、水、有機溶媒(特に水混和性有機溶媒)、界面活性剤(特にSurfynolTM界面活性剤)、バインダー、防腐剤、しわ防止剤、コゲーション防止剤、金属キレート化剤、殺生剤、およびインク配合物に用いられる他の構成成分が挙げられる。
適したバインダーとしては、天然および合成ポリマーが挙げられる。好ましいバインダーとしては、ポリ(メタ)アクリレート、スチレン系樹脂(polystyrenics)、ポリエステル、ポリウレタン、アルキド、多糖類(例えばセルロース)およびタンパク質(例えばカゼイン)が挙げられる。バインダーは、粒状固体および任意の分散剤の重量に基づき、好ましくは100重量%より多く、より好ましくは200重量%、さらにより好ましくは300重量%、もっとも好ましくは400重量%より多く、組成物中に存在する。
好ましいインク組成物は以下を含む:
a)本発明の第1の観点に従った方法により得ることができるまたは得た分散物を0.1〜50部、より好ましくは1〜25部、特に1〜15部;および
b)水および/または水混和性有機液体を含む液状ビヒクルを50〜99.9部、より好ましくは75〜99部、特に85〜99部;
ここにおいて、部はすべて重量に基づき、成分a)およびb)を合計すると100部になる。
インクは、インクジェット印刷機での使用に適していることが好ましい。
インクジェット印刷の場合、インクは、25℃の温度で測定して、好ましくは30mPa.s未満、より好ましくは20mPa.s未満、特に10mPa.s未満の粘度を有する。
インクジェット印刷の場合、インクは、25℃の温度で測定して、好ましくは20〜65ダイン/cm、より好ましくは25〜50ダイン/cmの表面張力を有する。
本発明の第3の観点に従って、像を基材上に印刷するための方法であって、インク(上記のような)を基材に好ましくはインクジェット印刷機により施用することを含む方法を提供する。
本発明の第4の観点に従って、インク(上記のような)を好ましくはインクジェット印刷機により印刷した基材を提供する。
好ましい基材は、紙、例えば、酸性、アルカリ性もしくは中性の性質を有することができる普通紙または処理紙、特に光沢のある基材である。市販の紙の例は、国際特許出願WO2007/148035号、13頁、24行〜37行の最後に記載されているとおりであり、これを本明細書中で参考として援用する。
本発明の第5の観点に従って、チャンバーおよびインク(上記のような)を含むインクジェット印刷機用カートリッジであって、前記インクがチャンバー内に存在するものを提供する。
本発明の方法は、顔料分散物であって、インクジェット印刷インクに用いると、とりわけ普通紙または光沢紙上に、良好な耐久性および光学濃度を有するプリントを提供することができるものを提供する。
本発明の第6の観点に従って、普通紙上に印刷するための上記のようなインクの使用を提供する。印刷は、改善された反射率光学濃度(reflectance optical density)を達成する技術的目的のためであることが好ましい。
本発明を以下の実施例によりさらに例示する。ここにおいて、すべての部および百分率は、特記しない限り重量に基づく。ポリマー分散剤の合成
実施例1〜6および比較例1
工程(a)−分散剤の調製
分散剤D1〜D5および比較分散剤CD1を、表1に挙げた成分から以下に示す方法により調製した。比較分散剤CD1には、ジ−または高級−エチレン不飽和モノマーが存在していなかった。中和分散剤溶液を、示した中和剤を用いて各分散剤から調製した。
Figure 2011528981
上記表中、MAAはメタクリル酸(モノエチレン不飽和親水性モノマー)であり、2−EHMAはメタクリル酸2−エチルヘキシル(モノエチレン不飽和疎水性モノマー)であり、MMAはメタクリル酸メチル(モノエチレン不飽和疎水性モノマー)であり、DVBはジビニルベンゼンであり、DUDMAはジウレタンジメタクリレートであり、EGDMAはエチレングリコールジメタクリレートであり、B−3MPはブチル−3−メルカプトプロピオネートであり、VazoTM 67は2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)であり、TriganoxTM 21Sはtert−ブチルペルオキシ−2−エチル−ヘキサノエートであり、DPGはジプロピレングリコールである。DMFはジメチルホルムアミドである。IPAはイソ−プロピルアルコールである。
溶媒(固形分w/w)は共重合組成物中の固形物の重量をさし、例えば、固形物20%は、80部の溶媒とともに固形物が20部の量で存在していたことを意味する。本明細書中で用いる“固形物”という語は、重合後に固体材料を形成するすべての成分(すなわち、モノマーおよび連鎖移動剤)をさす。
分散剤D1は、表1に示したモノエチレン不飽和モノマー、ジ−および高級−エチレン不飽和モノマーならびに連鎖移動剤を、IPA(231.3g)とDPG(138.8g)の混合物に溶解して、20重量/重量%溶液を得ることにより調製し、これを反応器に装入した。その後、開始剤を反応器に加え、内容物を85℃の窒素ガス雰囲気下で4時間にわたり継続的に攪拌した。その後、開始剤の第2の装入を加え、窒素下での攪拌を85℃でさらに4時間継続した。その後、反応器の内容物を25℃の温度まで冷却し、ロータリーエバポレーターのフラスコに注入し、蒸発させて、混合物を約40重量/重量%の固形分まで濃縮した。その後、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を、DMF溶媒およびポリスチレン標準液を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより測定した。得られた分散剤D1(220.5g)をKOH溶液の添加により中和し、固形分35%まで水で希釈して、中和D1を得た。
分散剤D2〜D5および中和D2〜D5は、以下の変更点を除き、表1に示した構成成分を用いてD1と同様の方法で調製した:
D2では、IPAおよびDPGの量は、それぞれ270gおよび162gであった;
D3では、(a)IPAとDPGの混合物の代わりに345.1gのIPAを用いた;(b)反応器の内容物を最後にロータリーエバポレーターのフラスコに注入し、溶媒蒸発させて、得られた分散剤を濃縮した。その後、該分散剤を最小量のテトラヒドロフランに再び溶解し、冷却および攪拌されているヘキサン(20体積(volume))に加えた。沈殿したD3を濾過により収集し、50℃で真空乾燥した。MnおよびMwを、DMF溶媒およびポリスチレン標準液を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより測定した;(c)D3(10.0g)は、DPG(12.0g)、水(29.3g)およびKOH溶液(45重量/重量%、2.5g)を添加した後、60℃で攪拌しつつ加熱することにより中和した。これにより中和D3を得た;
D4およびD5およびそれらの中和バージョンは、それぞれ369.9gおよび335.6gのIPAを用いた点を除き、表1に示した構成成分を用いてD3と同様の方法で調製した。
比較分散剤CD1およびその中和バージョンは、IPAおよびDPGの量がそれぞれ231.3gおよび138.8gであった点を除き、表1に示した構成成分を用いてD1と同様の方法で調製した。
工程(b)−顔料分散物の調製
顔料分散物PD1〜PD5および比較顔料分散物CPD1を、以下の一般的方法を用いて中和分散剤D1〜D5およびCD1から調製した:
カーボンブラック顔料(DegussaからのNipexTM 1701Q)(15部)を、中和分散剤溶液(例えばD1)(60部)および脱イオン水(25部)と混合した。その後、混合物を数分間撹拌して予備分散物を形成した。その後、予備分散物を、平坦な先端を有する1.25cmのタップトホーン(tapped horn)を取り付けたBranson Digital S450D Ultrasonifierに入れた。試料を、氷浴を用いて冷却し、振り幅60%で60分間分散させた。得られた顔料分散物は、NanotracTM計測器により測定して約90nmのMV平均粒子サイズを有していた。
PD1の架橋バージョンを、PD1(40部)、エポキシ官能性架橋剤DenacolTM EX321(0.11部)および水中のホウ酸の6.2重量/重量%溶液(0.8部)を一緒に混合することにより調製した。該混合物を65℃の温度で5時間攪拌した後、25℃に冷却した。これにより架橋顔料分散物XLPD1を調製した。
インク1〜6および比較インク1
インク1〜6および比較インク1を、以下の構成成分を含有する密封ボトルをローラー上で30分間にわたり回転させることにより調製した:脱イオン水(32.5部)、工程(b)からの顔料分散物(40部)、ならびに、2−ピロリドン(3部)、グリセロール(14.7部)、1,2−ヘキサンジオール(4.3部)、エチレングリコール(5部)およびSurfynolRTM 465(0.5部、Air Productsから得た)を含む有機溶媒混合物(27.5部)。インク1〜6および比較インク1を、以下の方法を用いてHP上級IJ紙に施用した:
100マイクロリットルのインクを紙の表面上に正確にピペットで移した。その後、K−コントロールK−バー(K-control K-bar)(No1、6ミクロン湿潤フィルム)を用いてインクを紙の表面の全体にわたり均一に引き下ろして、紙上にインクの縞模様を得た。その後、インクを紙上で24時間にわたり放置して乾燥させた。
Figure 2011528981
RODは、反射率光学濃度を意味する。
改善度は、以下のように算出する:
100%×(評価中のインクのROD−比較インク1のROD)/比較インク1のROD
同様の結果を、以下の紙上で見いだした:Xerox 4200、4CC artおよびEpson Crispia IJ紙。
本発明の方法により得た分散物を含有するインクは、普通(未処理)紙基材を含むさまざまな範囲の紙基材上で、顕著で望ましいRODの改善を示した。架橋した態様も、特に、高い割合の有機溶媒を含有するインクビヒクルに対し、改善した貯蔵安定性を示した。
さらなるインク
表IおよびIIに記載したさらなるインクを調製することができ、ここにおいて、顔料分散物PD1〜PD5は先に定義したとおりであり、インク添加剤は以下に定義するとおりである。以下の第2段で引用されている数は、関連する構成成分の部数をさし、部はすべて重量に基づく。インクは、サーマル、圧電式またはMemjetインクジェット印刷により紙に施用することができる。
以下の略語を表IおよびIIに用いる:
PG=プロピレングリコール
DEG=ジエチレングリコール
NMP=N−メチルピロリドン
DMK=ジメチルケトン
IPA=イソプロパノール
MEOH=メタノール
2P=2−ピロリドン
MIBK=メチルイソブチルケトン
P12=プロパン−1,2−ジオール
BDL=ブタン−2,3−ジオール
Surf=AirproductsからのSurfynolTM 465
PHO=NaHPO
TBT=第三ブタノール
TDG=チオジグリコール
GLY=グリセロール
nBDPG=ジプロピレングリコールのモノ−n−ブチルエーテル
nBDEG=ジエチレングリコールのモノ−n−ブチルエーテル
nBTEG=トリエチレングリコールのモノ−n−ブチルエーテル
PD=顔料分散物
Figure 2011528981
Figure 2011528981

Claims (18)

  1. 以下を含む粒状固体の分散物の調製方法:
    粒状固体を分散剤および液体媒体と一緒に分散させる、
    ここにおいて、該分散剤は、以下を含む組成物の共重合から得たまたは得ることができるランダムコポリマーである:
    i)1以上のモノエチレン不飽和親水性モノマー、
    ii)1以上のモノエチレン不飽和疎水性モノマー、
    iii)1以上のジ−および/または高級−エチレン不飽和モノマー、ならびに
    iv)1以上の連鎖移動剤;
    ここにおいて、分散段階は、粒状固体の粒子サイズを小さくする機械的処理により達成される。
  2. 組成物が、3以上のエチレン不飽和基を有するモノマーを含有しない、請求項1に記載の方法。
  3. ジエチレン不飽和モノマーがジビニルベンゼンおよび/またはジウレタンジ(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
  4. 分散剤が、50〜200mg KOH/分散剤1gの酸価を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 分散剤が1〜4のLogPの計算値を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 分散剤が親水性非イオン性基を有さない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 液体媒体が水性液体媒体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法であって、さらに、以下を含む組成物の共重合により分散剤を調製する段階を含む方法:
    i)1以上のモノエチレン不飽和親水性モノマー、
    ii)1以上のモノエチレン不飽和疎水性モノマー、
    iii)1以上のジ−および/または高級−エチレン不飽和モノマー、ならびに
    iv)1以上の連鎖移動剤。
  9. 粒状固体がカーボンブラックまたは有機顔料である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. モノエチレン不飽和親水性モノマーが(メタ)アクリル酸を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. モノエチレン不飽和疎水性モノマーが(メタ)アクリル酸のエステルを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 組成物が以下を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法:
    a)20〜40mol%のモノエチレン不飽和親水性モノマー(1以上);
    b)50〜70mol%のモノエチレン不飽和疎水性モノマー(1以上)、
    c)2〜20mol%のジ−および/または高級エチレン不飽和モノマー(1以上);
    ここにおいて、mol%はa)〜c)のすべてのモノマーの全モル数に基づき、a)〜c)のモノマーの全mol%は100%である;ならびに、
    d)ジ−または高級−エチレン不飽和モノマー(1以上)1モルあたり0.9(n−1)〜3(n−1)モルの連鎖移動剤(1以上)、ここにおいて、nは、ジ−または高級−エチレン不飽和モノマー(1以上)中のエチレン不飽和基の数である;ならびに、
    e)成分a)〜c)の合計重量に基づき0.5〜3重量%のラジカル開始剤(1以上)。
  13. さらに、粒状固体および液体媒体の存在下で分散剤を架橋剤と架橋して、これにより、粒状固体を架橋分散剤内に封入する段階を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 請求項13に記載の方法により得たまたは得ることができる、粒状固体の分散物。
  15. 請求項14に記載の粒状固体の分散物を含む、インクジェット印刷での使用に適したインク。
  16. チャンバーおよびインクを含むインクジェット印刷機用カートリッジであって、該インクがチャンバー内に存在し、該インクが請求項15で定義したとおりである、前記カートリッジ。
  17. 請求項16に記載のカートリッジを含むインクジェット印刷機。
  18. 普通紙上に印刷するための請求項15に記載のインクの使用。
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