JP2011525476A - 新規の抗原結合二量体複合体、その製造方法及び使用 - Google Patents

新規の抗原結合二量体複合体、その製造方法及び使用 Download PDF

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Abstract

広範な態様において、本発明は概して、単一可変ドメインを含む、新規の二量体複合体(本明細書中では「非融合二量体」又はNFDと呼ばれる)、これらの複合体の製造方法、及びそれらの使用に関する。これらの非共有結合した二量体複合体は、それぞれ単一可変ドメインを1つ若しくは複数含む2つの同一の単量体(ホモ二量体)、又はそれぞれ単一可変ドメインを1つ若しくは複数含む2つの異なる単量体(ヘテロ二量体)から成る。対象のNFDは通常、結合特性が変性している、例えばそれらの単量体相当物を超えて改善している。安定性を改善するために、本発明のNFDを可撓性ペプチド又はシステインによる連結によりさらに改変してもよい。本発明は、このようなNFDが形成される条件、及びこのような二量体の形成を回避することができる条件も説明している。
【選択図】なし

Description

広範な態様において、本発明は概して、例えばナノボディ等の単一可変ドメインを含む、新規の二量体複合体(本明細書中では「非融合二量体」又はNFDと呼ばれる)、これらの複合体の製造方法、及びそれらの使用に関する。これらの非共有結合した二量体複合体は、それぞれ単一可変ドメインを1つ若しくは複数含む2つの同一の単量体(ホモ二量体)、又はそれぞれ単一可変ドメインを1つ若しくは複数含む2つの異なる単量体(ヘテロ二量体)から成る。対象のNFDは通常、結合特性が変化している、例えばそれらの単量体相当物を超えて改善又は低減している。安定性を改善するために、本発明のNFDを可撓性(flexible)ペプチド又はシステインによる連結によりさらに改変してもよい。本発明は、このようなNFDが形成される条件、及びこのような二量体の形成を回避することができる条件も説明している。例えば本発明は、例えばマンニトール又は他のポリオール等の、単一可変ドメインの融点を高くする1つ又は複数の賦形剤を液体製剤に添加することにより、(ヒト血清)アルブミン結合ナノボディの二量体化のようなNFDを抑制する方法も提供する。
従来の抗体の抗原結合部位は、重鎖及び軽鎖両方の可変ドメインからの超可変ループにより主に形成される。しかしながら、機能的な抗原結合部位は、重鎖可変ドメイン(VH)単独でも形成することができる。in vivoでは、このような結合部位は抗体の一部としてラクダ及びラクダ科動物において発達し、これらの結合部位は2つの重鎖のみから成り、軽鎖を欠いている。さらに、これらのラクダの重鎖のみの抗体のVH(VHHとも称される)と、従来のヒト抗体由来のVHドメインとのアミノ酸配列における差異の解析が、改変ヒトVHドメインを設計するのを助けた(非特許文献1)。同様に、抗hCG VHH H14と並行して、抗Her2抗体4D5の界面残基とVH上でのCDR3との突然変異試験により、幾つかの突然変異が自律的なVHドメイン挙動(即ち有益な可溶性及び可逆的リフォールディング)を促進させることが見出された(非特許文献2)。曝された疎水性残基をより親水性の残基に置き換えることによる先の軽鎖界面の親水性の増大が、自律的なVHドメイン挙動を改善することも見出された。これらの改変VHは、高濃度では大部分は単量体であることが分かっていたが、上記改変VHの少量の二量体及び他の凝集体が、VL−VH対の相互作用に関して当該技術分野で説明されたものと同様の比較的弱い相互作用を形成すると推測されることも見出された。同様に、ラクダ化VH(cVH−E2と呼ばれる)が、濃度依存的に、即ち7mg/mlを超える濃度で溶液中に二量体を形成することも主張されている(しかし、データは試験では示されていないことに留意されたい、非特許文献3)。この濃度以下で、二量体は単量体へと解離すると考えられ、これらの二量体が活性(即ち結合抗原)であるか否かは不確かなままである。さらに最近、非常に短いCDR3(わずか6残基)を有する切断ラマ由来VHH(最初の7つのアミノ酸が切断されている)(VHH−R9と呼ばれる)が、結晶構造においてドメインスワップ(swapped)二量体を形成することが報告されている。VHH−R9が、溶液中で機能的であり(ハプテンに対するKdが低い)、単量体のみから成ることが分かっているので、二量体化が、非常にゆっくりした結晶化プロセス(4週間〜5週間)中に起こり、N末端切断、高濃度条件及び短いCDR3等の要素が「縮合」現象に繋がり得る又はその一因となり得ると考えられる(特に非特許文献4の結論部も参照されたい)。非特許文献5は、VH二量体(VHD)の自発的形成が多くの場合許容性であり、抗原結合特異性を有する分子を産生することを見出している。しかしながら、報告された自発的形成(対本明細書中で報告されるPIAにより形成される二量体)と、非融合二量体に関する安定性データの欠如とに基づくと、これらは、非特許文献2(上記)により説明されたものと同程度の弱く相互作用する二量体であると考えられる。まとめると、この文献は、a)主として比較的弱い疎水性相互作用と相互作用し(例えば濃度に依存し、可逆的である)、及び/又はb)結晶化プロセスにおいてのみ別の原因で(例えば結晶充填力(crystal packing forces)の結果として)起こる、単一可変ドメイン及びその断片の二量体形成を説明している。さらに、これらの二量体がもはや結合抗原ではなかったことが説明されているか(非特許文献4(上記)等)、又はこれらの二量体が結合二量体であったか否かは不確かである(非特許文献3(上記)及び非特許文献2(上記)等)。
Lutz Riechmann and Serge Muyldermans, J. of Immunological Methods,Vol. 231, Issues 1 to 2, 1999, 25 - 38 Barthelemy PA et al., 2008, J. of Biol. Chemistry, Vol 283, No 6, pp3639-3654 Dottorini et al., Biochemistry, 2004, 43, 622-628 Spinelli et al., FEBS Letter 564, 2004, 35 - 40 Sepulveda et al. (J. Mol. Biol. (2003) 333, 355-365)
驚くべきことに現在では、単一可変VHHドメインを少なくとも1つ含むポリペプチドのために、好ましくは本明細書中に記載の方法(即ち高温及び高濃度で残基及び/又は保存を脱安定化させる、プロセス誘導会合、CDR3/フレームワーク領域4の導入)を使用して二量体を形成する単一可変VHHドメインを含むポリペプチドのために、より好ましくは配列番号1〜配列番号6の配列及び/又はその変異型を有する単一可変VHHドメイン、例えば配列番号1〜配列番号6と70%以上同一性である配列を有する単一可変VHHドメインを少なくとも1つ含むポリペプチドのために、安定した二量体複合体を溶液中に生成することができることが見出されている。これらの安定した二量体複合体(本明細書中で非融合二量体又はNFD(non-fused-dimers or NFDs; non-fused-dimer or NFD)とも称される)は、それらの単量体構成要素と比較して少なくとも50%の結合機能性を保持することができるか、又はさらに結合親和性を増大させることができるものもあれば、結合機能性が低減している又はもはや結合機能性がないものもある。これらのNFDは、例えば非特許文献2(上記)に記載の「一時的な」濃度依存的な二量体と比較してかなり安定しており、広範な濃度において一度安定して形成される。これらのNFDは、単量体構成要素間でフレームワーク領域4をスワッピングする(swapping)ことにより形成することができ、それによって上記単量体構成要素の両方がかみ合う(ポリペプチドB NFDの結晶構造の実験部を参照されたい)。これらの二量体は通常、本明細書中に記載の方法を使用してプロセス誘導会合(PIA)時に、及び/又は数週間にわたり比較的高温で(例えば4週間にわたり37℃で)、高濃度で(例えば50mg/mlを超える、例えば65mg/mlで)の保存時に形成される。また本発明は、i)例えば非ストレス条件(即ち免疫グロブリンのアンフォールディングに有利に働かない条件)下での単一可変ドメイン(複数可)を含む上記ポリペプチドのスケールアップ(up-scaled)製造又は精製プロセスにおいて、ii)単一可変ドメイン(複数可)の融点を高くする賦形剤による適当な配合により、例えば製剤中にマンニトールを含有させる(having)ことにより、及び/又はiii)CDR3及び/又はフレームワーク4領域の立体配座の安定性を増大させることにより、どのように上記二量体複合体の形成を回避するかを教示している。
定義:
a)特に他に指示又は規定がなければ、使用される全ての用語は、当業者にとって明らかな、当該技術分野における通常の意味を有する。例えば標準的なハンドブック(例えばSambrook et al, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual"(2nd.Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring HarborLaboratory Press(1989)、F.Ausubel et al, eds., "Current protocols in molecular biology", GreenPublishing and Wiley Interscience, New York(1987)、Lewin, "Genes II", John Wiley & Sons, New York, N.Y.,(1985)、Old et al., "Principles of GeneManipulation: An Introduction to Genetic Engineering", 2nd edition,University of California Press, Berkeley, CA(1981)、Roitt et al., "Immunology"(6th.Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh(2001)、Roitt et al., Roitt's EssentialImmunology, 10th Ed. Blackwell Publishing, UK(2001)、及びJaneway et al.,"Immunobiology"(6th Ed.), Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New York(2005))、並びに本明細書で言及される一般的な背景技術を参照する。
b)特に他に指示がなければ、具体的に詳しく説明されていない全ての方法、工程、技法及び操作を実施することができ、当業者にとって明らかなそれ自体が既知の方法で実施する。また例えば、標準的なハンドブック及び本明細書で言及される一般的な背景技術、並びにそこで言及されるさらなる参考文献並びに例えば以下の総説、Presta, Adv. Drug Deliv. Rev. 2006, 58 (5-6): 640-56、Levin and Weiss, Mol. Biosyst.2006, 2(1): 49-57、Irving et al., J.Immunol. Methods, 2001, 248(1-2), 31-45、Schmitzet al., Placenta, 2000, 21 Suppl. A, S106-12、Gonzaleset al., Tumour Biol., 2005, 26(1), 31-43(これらは、親和性成熟等のタンパク質工学技法及び免疫グロブリン等のタンパク質の特異性及び他の所望の特性を改善する他の技法を記載している)を参照する。
c)アミノ酸残基は、表A−2に言及されるように標準的な3文字アミノ酸コード又は1文字アミノ酸コードに従って示す。
表A−2:1文字アミノ酸コード及び3文字アミノ酸コード
d)2つ以上のヌクレオチド配列を比較するために、[第2のヌクレオチド配列における対応する位置のヌクレオチドと同一な第1のヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの数]を[第1のヌクレオチド配列におけるヌクレオチド総数]で除算し、[100%]で乗算することによって、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間の「配列同一性」のパーセントを算出することができ、その際、第1のヌクレオチド配列に比べて、第2のヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの欠失、挿入、置換又は付加のそれぞれは、単一ヌクレオチド(位置)での差異とみなされる。
代替的に、標準的な設定を用いて、NCBI Blast v2.0等の配列アラインメント用の既知のコンピュータアルゴリズムを使用して、2つ以上のヌクレオチド配列間の配列同一性の程度を算出することができる。
配列同一性の程度を決定するための幾つかの他の技法、コンピュータアルゴリズム及び設定は例えば、国際公開第04/037999号パンフレット、欧州特許第0967284号明細書、欧州特許第1085089号明細書、国際公開第00/55318号パンフレット、国際公開第00/78972号パンフレット、国際公開第98/49185号パンフレット及び英国特許出願公開第2357768号明細書に記載されている。通常、上述で概説された算出方法に従って、2つのヌクレオチド配列間の「配列同一性」のパーセントを決定するために、最も多くのヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を「第1の」ヌクレオチド配列とし、他のヌクレオチド配列を「第2の」ヌクレオチド配列とする。
e)2つ以上のアミノ酸配列を比較するために、[第2のアミノ酸配列における対応する位置のアミノ酸残基と同一な第1のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の数]を[第1のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基総数]で除算し、[100%]で乗算することによって、第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列との間の「配列同一性」(本明細書で「アミノ酸同一性」とも称される)のパーセントを算出することができ、その際、第1のアミノ酸配列に比べて、第2のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の欠失、挿入、置換又は付加のそれぞれは、単一アミノ酸残基(位置)での差異、即ち本明細書に規定の「アミノ酸差異」とみなされる。
代替的に、ここでもまた標準的な設定を用いて、既知のコンピュータアルゴリズム(例えばヌクレオチド配列に関する配列同一性の程度を決定するのに上記で言及されるもの)を使用して、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を算出することができる。
通常、上述で概説された算出方法に従って、2つのアミノ酸配列間の「配列同一性」のパーセントを決定するために、最も多くのアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を「第1の」アミノ酸配列とし、他のアミノ酸配列を「第2の」アミノ酸配列とする。
また、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を決定する際、当業者は、いわゆる「保存的な」アミノ酸置換を考慮してもよく、これは一般的に、アミノ酸残基が類似の化学構造を有する別のアミノ酸残基に置き換わり、且つポリペプチドの機能、活性又は他の生物学的特性への影響がほとんど、又は本質的に全くないアミノ酸置換と説明することができる。このような保存的なアミノ酸置換は、例えば国際公開第04/037999号パンフレット、英国特許出願公開第3357768号明細書、国際公開第98/49185号パンフレット、国際公開第00/46383号パンフレット及び国際公開第01/09300号パンフレットから当該技術分野において既知であり、このような置換の(好ましい)種類及び/又は組合せは、国際公開第04/037999号パンフレット及び国際公開第98/49185号パンフレット、並びにそこで言及されるさらなる参考文献からの関連の教示に基づいて選択することができる。
このような保存的な置換は、好ましくは以下の(a)群〜(e)群内の或るアミノ酸が、同じ群内の別のアミノ酸残基に置換される置換である:(a)低分子脂肪族で非極性又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro及びGly、(b)極性で負に荷電した残基及びその(非荷電)アミド:Asp、Asn、Glu及びGln、(c)極性で正に荷電した残基:His、Arg及びLys、(d)巨大な脂肪族で非極性の残基:Met、Leu、Ile、Val及びCys、並びに(e)芳香族残基:Phe、Tyr及びTrp。
特に好ましい保存的置換は以下のようなものである:AlaをGlyに又はSerに、ArgをLysに、AsnをGlnに又はHisに、AspをGluに、CysをSerに、GlnをAsnに、GluをAspに、GlyをAlaに又はProに、HisをAsn又はGlnに、IleをLeuに又はValに、LeuをIleに又はValに、LysをArgに、Glnに又はGluに、MetをLeuに、Tyrに又はIleに、PheをMetに、Leuに又はTyrに、SerをThrに、ThrをSerに、TrpをTyrに、TyrをTrpに、及び/又はPheをValに、Ileに又はLeuに。
本明細書に記載のポリペプチドに適用される任意のアミノ酸置換はまた、Schulz et al., Principles of Protein Structure, Springer-Verlag,1978によって開発された異なる種の相同タンパク質間のアミノ酸変異頻度の解析に、Chou andFasman, Biochemistry 13: 211, 1974及びAdv. Enzymol., 47: 45-149,1978によって開発された構造形成能(structure forming potentials)の解析に、並びにEisenberg et al., Proc. Natl. Acad Sci. USA 81: 140-144, 1984、Kyte & Doolittle; J Molec. Biol. 157: 105-132, 1981、及びGoldman et al., Ann. Rev. Biophys. Chem. 15: 321-353, 1986によって開発されたタンパク質における疎水性パターンの解析に基づき得る(全て全体が参照により本明細書に援用される)。ナノボディの一次構造、二次構造、及び三次構造に関する情報は、本明細書中の記載及び上記で言及された一般的な背景技術で与えられる。またこのため、ラマ由来のVHHドメインの結晶構造は例えば、Desmyter et al., Nature Structural Biology, Vol. 3, 9, 803(1996)、Spinelli et al., Natural StructuralBiology(1996); 3, 752-757、及びDecanniere et al., Structure, Vol. 7, 4, 361(1999)によって与えられる。従来のVドメインにおいてこれらの位置でV/V界面及び潜在的なラクダ化置換を形成する幾つかのアミノ酸残基に関するさらなる情報は、上記で言及された従来技術で見出すことができる。
f)アミノ酸配列及び核酸配列は、その全長にわたって(本明細書に規定のように)100%の配列同一性を有する場合、「全く同じ」であると言える。
g)2つのアミノ酸配列を比較するとき、用語「アミノ酸差異」は、第2の配列に比べて第1の配列の位置での単一アミノ酸残基の挿入、欠失又は置換を表し、2つのアミノ酸配列は、1つ又は2つ以上のこのようなアミノ酸差異を含有し得ることが理解される。
h)ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列が、それぞれ別のヌクレオチド配列若しくはアミノ酸配列を「含む」、又は別のヌクレオチド配列若しくはアミノ酸配列「から本質的に成る」というとき、これは、後者のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列がそれぞれ、初めに言及されたヌクレオチド配列又はアミノ酸配列に組み込まれていることを意味し得るが、より一般的に概してこれは、初めに言及されたヌクレオチド配列又はアミノ酸配列がそれぞれ、実際にどのように初めに言及された配列を生成又は入手するか(例えば本明細書に記載の任意の好適な方法によるものであり得る)に関係なく、その配列内にそれぞれ後者の配列と同じヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を有するヌクレオチド又はアミノ酸残基のストレッチを含むことを意味する。非限定的な例によって、本発明のナノボディがCDR配列を含むというとき、これは、上記CDR配列が、本発明のナノボディに組み込まれていることを意味し得るが、より一般的に概してこれは、本発明のナノボディが、どのように上記本発明のナノボディを生成又は入手するかに関係なく、その配列内に上記CDR配列と同じアミノ酸配列を有するアミノ酸残基のストレッチを含有することを意味する。後者のアミノ酸配列が特異的な生物学的又は構造的な機能を有する場合、初めに言及されたアミノ酸配列において本質的に同じ、類似の又は同等の生物学的又は構造的な機能を有するのが好ましい(言い換えれば、初めに言及されたアミノ酸配列は、後者の配列が本質的に同じ、類似の又は同等の生物学的又は構造的な機能を果たすことができるようなものであるのが好ましい)ということにも留意すべきである。例えば、本発明のナノボディがそれぞれ、CDR配列又はフレームワーク配列を含むというとき、CDR配列及びフレームワークはそれぞれ、上記ナノボディでCDR配列又はフレームワーク配列として機能することができるのが好ましい。また、或るヌクレオチド配列が別のヌクレオチド配列を含むというとき、初めに言及されたヌクレオチド配列は、発現産物(例えばポリペプチド)に発現する場合、後者のヌクレオチド配列でコードされるアミノ酸配列が上記発現産物の一部を形成するようなもの(言い換えれば後者のヌクレオチド配列が、初めに言及されたより大きなヌクレオチド配列と同じリーディングフレーム内にあるようなもの)であるのが好ましい。
i)核酸配列又はアミノ酸配列は、通常上記供給源又は媒体に関連がある少なくとも1つの他の成分(例えば別の核酸、別のタンパク質/ポリペプチド、別の生物学的成分、又は巨大分子)、又は少なくとも1つの混入物質、不純物若しくは微量成分から分離されている場合、(例えばその天然の生物学的供給源及び/又はこれが得られる反応媒体又は培養媒体に比べて)「本質的な単離(形態)」であるとみなされる。特に、核酸配列又はアミノ酸配列は、少なくとも2倍、具体的に少なくとも10倍、より具体的に少なくとも100倍、及び最大1000倍以上精製されている場合に、「本質的に単離された」と考えられる。「本質的に単離形態である」核酸配列又はアミノ酸配列は、好適な技法、例えば好適なクロマトグラフィ技法(例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動法)を使用して決定すると、本質的に均一であるのが好ましい。
j)本明細書で使用される用語「ドメイン」は概して、アミノ酸配列の球状領域(例えば抗体鎖、特に重鎖抗体の球状領域)又は本質的にこのような球状領域から成るポリペプチドを表す。通常、このようなドメインは、例えばシートとして、又はジスルフィド結合によって安定化したペプチドループ(例えば3つ又は4つのペプチドループ)を含む。用語「結合ドメイン」は(本明細書で規定されるように)抗原決定基に指向性を有するようなドメインを表す。
k)用語「抗原決定基」は、抗原結合分子(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)によって、及びより具体的には上記分子の抗原結合部位によって認識される抗原上のエピトープを表す。用語「抗原決定基」及び「エピトープ」は、本明細書で区別なく使用することもできる。
l)特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質(又はその少なくとも1つの部分、断片若しくはエピトープ)と(特異的に)結合することができる、特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質に対する親和性を有する、及び/又は特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質に対する特異性を有するアミノ酸配列(例えば本発明のナノボディ、抗体、ポリペプチド、又は概して抗原結合タンパク質若しくはポリペプチド、又はその断片)は、上記抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質「に対する」、又は「に指向性を有する」と言う。
m)用語「特異性」は、特定の抗原結合分子又は抗原結合タンパク質(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)分子が結合することができる、様々な種類の抗原又は抗原決定基の数を表す。抗原結合タンパク質の特異性は、親和性及び/又は結合活性(avidity:親和力)に基づき決定することができる。親和性(抗原と抗原結合タンパク質との解離に関する平衡定数(K)によって表される)は、抗原決定基と抗原結合タンパク質上の抗原結合部位との間の結合力の評価基準であり、K値が小さくなれば、抗原決定基と抗原結合分子との間の結合力が大きくなる(代替的に、親和性は、1/Kである親和定数(K)としても表すことができる)。(例えば本明細書中のさらなる開示に基づき)当業者にとって明らかなように、対象となる特異的な抗原に応じて、それ自体が既知の方法で親和性を決定することができる。結合活性は、抗原結合分子(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)と関連抗原との間の結合力の評価基準である。結合活性は、抗原決定基と抗原結合分子上のその抗原結合部位との間の親和性、及び抗原結合分子上に存在する関連結合部位の数の両方に関係する。典型的には、抗原結合タンパク質(例えば本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチド)は、10−5モル/L〜10−12モル/L以下、及び好ましくは10−7モル/L〜10−12モル/L以下、及びより好ましくは10−8モル/L〜10−12モル/Lの解離定数(K)で(即ち10L/モル〜1012L/モル以上、及び好ましくは10L/モル〜1012L/モル以上、及びより好ましくは10L/モル〜1012L/モルの結合定数(K)で)これらの抗原と結合する。10−4モル/Lより大きい任意のK値(即ち10−1(L/モル)よりも小さい任意のK値)は一般的に非特異的な結合を示すと考えられる。好ましくは、本発明の一価の免疫グロブリン配列は、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性で所望の抗原と結合する。抗原結合タンパク質と抗原又は抗原決定基との特異的な結合は、それ自体が既知の任意の好適な方法(例えばスキャッチャード解析及び/又は競合的結合アッセイ(例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)及びサンドイッチ競合アッセイ)を含む)及び当該技術分野でそれ自体が既知の様々なその変更方法、並びに本明細書で言及される他の技法で求めることができる。
当業者にとって明らかなように、解離定数は実際又は見掛けの解離定数であってもよい。解離定数を決定する方法は、当業者にとって明らかであり、例えば本明細書で言及される技法が含まれる。これに関して、10−4モル/L又は10−3モル/Lより大きい(例えば10−2モル/Lの)解離定数を測定することが不可能であり得ることも明らかである。任意で、また当業者にとって明らかなように、(実際又は見掛けの)解離定数は、その関係性(K=1/K)から(実際又は見掛けの)結合定数(K)に基づき算出することができる。親和性は、分子相互作用の強さ又は安定性を示す。一般的に親和性はK即ち解離定数として与えられ、その単位はモル/L(又はM)である。親和性は、1/Kに等しい結合定数Kとも表すことができ、その単位は(モル/L)−1(又はM−1)である。本明細書では、2つの分子(例えば本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドと、その目的標的との)間の相互作用の安定性は主に、これらの相互作用のK値で表され、K=1/Kの関係性を考慮して、K値で分子相互作用の強さを特定することを、対応するK値を算出するのに利用することもできることは、当業者にとって明らかである。K値は、DG=RT.ln(K)(等しくはDG=−RT.ln(K))(式中、Rは気体定数に等しく、Tは絶対温度に等しく、lnは自然対数を示す)の既知の関係性から、結合の自由エネルギー(DG)と関連するので、熱力学的意味でも分子相互作用の強さを特徴付ける。
有意(例えば特異的)とみなされる、生物学的相互作用に関するKは典型的に、10−10M(0.1nM)〜10−5M(10000nM)の範囲内である。相互作用が強くなれば、Kは低くなる。
は、(K=koff/kon及びK=kon/koffのように)複合体の解離速度定数(koffと称される)と、その結合速度(konと称される)との比としても表すことができる。解離速度(off-rate)koffの単位は、s−1(sは秒のSI単位表記である)である。結合速度konの単位は、M−1−1である。結合速度は、二分子相互作用に関する拡散律速結合速度定数に近づきながら10−1−1〜約10−1−1の間で変化し得る。解離速度は、t1/2=ln(2)/koffの関係性から所定の分子相互作用の半減期に関連する。解離速度は、10−6−1(t1/2が数日である略不可逆的な複合体)〜1s−1(t1/2=0.69s)の間で変化し得る。
2つの分子間の分子相互作用の親和性は、それ自体が既知の様々な技法(例えば既知の表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサ技法(例えばOber et al., Intern. Immunology, 13, 1551-1559, 2001を参照されたい)(ここで、1つの分子がバイオセンサーチップ上に固定され、もう1つの分子が、kon、koff測定値、及びしたがってK(又はK)値が得られるフロー条件下で固定した分子上を通る)で測定することができる。例えば、既知のビアコアの機器を使用してこれを実施することができる。
測定プロセスが、例えば1つの分子のバイオセンサ上でのコーティングに関するアーチファクト(artefacts:人工産物)によって、示唆した分子の固有の結合親和性に幾らか影響を与える場合、測定されたKは見掛けのKに対応し得ることも、当業者にとって明らかである。また、1つの分子が、もう1つの分子に対して2つ以上の認識部位を含有する場合、見掛けのKを測定することができる。このような状況下で、測定された親和性は、2つの分子による相互作用の結合活性により影響され得る。
親和性を評価するのに使用することができる別のアプローチは、Friguet et al.(J. Immunol. Methods, 77,305-19, 1985)の2段階ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)法である。この方法によって、溶液相の結合平衡測定が確立され、プラスチック等の支持体上での分子の1つの吸着に関連する、考えられ得るアーチファクトが避けられる。
しかし、Kの正確な測定はかなりの労働集約型である可能性があり、結果として2つの分子の結合力を評価するのに、見掛けのK値を求めることが多い。全ての測定が一貫して(例えばアッセイ条件を一定にして)行われていれば、見掛けのK測定値は真のKの近似値として使用することができ、したがって本明細書で、K及び見掛けのKは、等しい重要性又は関連性があるとして処理されるべきであることに留意すべきである。
最後に、多くの状況下で経験豊かな科学者は、幾つかの参照分子との関係で結合親和性を決定するのに都合がいいと判断することができることに留意すべきである。例えば、分子Aと分子Bとの間の結合力を評価するために、例えば分子Bと結合することが知られており、且つELISA又はFACS(蛍光活性化細胞選別)での検出を容易にするためのフルオロフォア若しくはクロモフォア群、又は他の化学部分(例えばビオチン)、又は他のフォーマット(蛍光検出用フルオロフォア、吸光検出用クロモフォア、ストレプトアビジン媒介性ELISA検出用ビオチン)で好適に標識される参照分子Cを使用することができる。典型的に、参照分子Cは固定濃度に維持し、分子Aの濃度は、分子Bの所定の濃度又は量に対して変化する。結果として、分子Aの非存在下で分子Cについて測定されたシグナルが半分になる分子Aの濃度に対応して、IC50値が得られる。参照分子のKであるKDref及び参照分子の総濃度crefが既知であれば、以下の式:K=IC50/(1+cref/KDref)からA−B相互作用に対する見掛けのKを得ることができる。cref<<KDrefの場合、K≒IC50であることに留意されたい。IC50の測定が、比較用の結合因子に関して一貫して(例えばcrefを一定にして)実施されれば、IC50によって分子相互作用の強さ又は安定性を評価することができ、この測定値は、本明細書を通してK又は見掛けのKと同等であると判断される。
n)本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドの半減期は概して、例えば自然機構による配列若しくは化合物の分解及び/又は配列若しくは化合物のクリアランス(clearance)若しくは捕捉(sequestration)のために、in vivoでアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドの血清濃度が50%低減するのにかかる時間と定義することができる。本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのin vivo半減期は、それ自体が既知の任意の方法(例えば薬物動態解析)で求めることができる。好適な技法は当業者にとって明らかであり、例えば概して、好適な用量の本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドを温血動物(即ち、ヒト又は別の好適な哺乳動物、例えばマウス、ウサギ、ラット、ブタ、イヌ又は霊長類(例えばマカク属のサル(例えば特にカニクイザル(マカク・ファシクラリス(Macaca fascicularis))及び/又はアカゲザル(マカク・ムラット(Macacamulatta)))及びヒヒ(パピオ・ウルジヌス(Papio ursinus)))に好適に投与する工程と、血液試料又は他の試料を上記動物から採取する工程と、上記血液試料中の本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのレベル又は濃度を求める工程と、このようにして得られたデータ(のプロット)から本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのレベル又は濃度が投与時の最初のレベルに比べて50%低減するまでの時間を算出する工程とを伴い得る。例えば、以下の実験部、並びに標準的なハンドブック(例えばKenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbookfor Pharmacists及びPeters et al, Pharmacokinete analysis:A Practical Approach(1996))を参照する。"Pharmacokinetics", M Gibaldi & D Perron,published by Marcel Dekker, 2nd Rev. edition(1982)も参照する。
また当業者にとって明らかなように(例えば国際公開第04/003019号パンフレットの6頁及び7頁とそこに言及されたさらなる参考文献とを参照されたい)、半減期は、t1/2−α、t1/2−β及び曲線下面積(AUC)等のパラメータを利用して表すことができる。本明細書において、「半減期の増大」は、これらのパラメータのいずれか1つ、例えばこれらのパラメータのいずれか2つ、又は本質的に3つ全てのこれらのパラメータの増大を表す。本明細書で使用される「半減期の増大」又は「増大した半減期」は特にt1/2−βの増大を表し、t1/2−α及び/又はAUCの一方又は両方は増大しても又は増大しなくてもよい。
o)本発明との関連で、「調節("modulating" or "to modulate")」は一般的に、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ又はin vivoアッセイを使用して測定するような標的又は抗原の活性の低減若しくは阻害のいずれか、又は代替的に活性の増大を意味する。特に「調節すること」は、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ、又はin vivoアッセイ(通常関与する標的又は抗原によって変わる)を用いて測定するような、本発明の構築物が存在しない以外は同じ条件下での同じアッセイにおける標的又は抗原の活性に比べて、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%若しくは少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上、標的又は抗原の活性を低減若しくは阻害すること、又は代替的に(関連又は対象の)生物学的活性を増大させることを意味し得る。
当業者にとって明らかなように、「調節」は、本発明の構築物が存在しない以外は同じ条件に比べて、そのリガンド、結合パートナー、ホモ多量体形態若しくはヘテロ多量体形態で結び付くパートナー、又は基質の1つ又は複数に対する標的又は抗原の親和性、結合活性、特異性及び/又は選択性を変化させること(増大又は減少のいずれであってもよい)、及び/又は標的又は抗原が存在する媒体又は環境における1つ又は複数の条件(pH、イオン強度、補因子の存在等)に対する標的又は抗原の感受性を変化させること(増大又は減少のいずれであってもよい)も伴い得る。当業者にとって明らかなように、関与する標的又は抗原に応じて、任意の好適な方法で、及び/又はそれ自体が既知の任意の好適なアッセイを用いてさらにこれを求めてもよい。
「調節」は、標的又は抗原が関与する(又はその基質(複数可)、リガンド(複数可)若しくは経路(複数可)が関与する、そのシグナル伝達経路若しくは代謝経路及び関連の生物学的作用若しくは生理学的作用のような)1つ又は複数の生物学的な若しくは生理学的な機構、作用、反応、機能、経路又は活性に関して変化させる(即ち標的又は抗原及び所望の生物学的作用若しくは生理学的作用に応じて、それぞれ、アゴニストとしての、アンタゴニストとしての、又は逆アゴニストとしての活性を与える)ことも意味し得る。同様に、当業者にとって明らかなように、関与する標的又は抗原に応じて、任意の好適な方法で、及び/又はそれ自体が既知の任意の好適な(in vitro及び通常は細胞又はアッセイ内)アッセイを使用して、アゴニスト又はアンタゴニストとしてのそのような作用を求めてもよい。特に、アゴニスト又はアンタゴニストとしての作用は、対象の生物学的活性又は生理学的活性をそれぞれ、本発明の構築物が存在しない以外は同じ条件下での同じアッセイにおける生物学的活性又は生理学的活性に比べて少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%若しくは少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上増大又は低減させるようなものであり得る。
調節は例えば、標的又は抗原のアロステリック調節、及び/又は標的若しくは抗原とその基質若しくはリガンドの1つとの結合の低減若しくは阻害及び/又は標的若しくは抗原との結合に対する基質である天然リガンドとの競合も伴い得る。調節は、標的若しくは抗原、又はこれが関与する機構若しくは経路を活性化することも伴い得る。例えば、調節は、標的若しくは抗原のフォールディング若しくは立体配座に関して、又は標的若しくは抗原がフォールディングする能力、(例えばリガンドの結合の際に)その立体配座を変更する能力、他の(サブ)ユニットと会合する能力、又は解離する能力に関して変化させることも伴い得る。調節は例えば、標的若しくは抗原が、他の化合物を輸送する能力、又は他の化合物(イオン等)に対するチャネルとして働く能力を変化させることも伴い得る。
調節は、可逆的であっても又は不可逆的であってもよいが、薬学的及び薬理学的目的では通常、可逆的である。
p)標的又は抗原に関して、標的又は抗原上の「相互作用部位」という用語は、リガンド、受容体若しくは他の結合パートナーとの結合に関する部位、触媒部位、開裂部位、アロステリック相互作用に関する部位、標的又は抗原の多量体化(ホモマー化又はヘテロ二量体化等)に関与する部位である、標的又は抗原上の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン若しくはアミノ酸残基のストレッチ、又は標的若しくは抗原の生物学的作用又は機構に関与する標的又は抗原上の任意の他の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン又はアミノ酸残基のストレッチを意味する。より一般的には、「相互作用部位」は、本発明のアミノ酸配列又はポリペプチドが、(本明細書中に規定のように)標的又は抗原(及び/又は標的又は抗原が関与する任意の経路、相互作用、シグナル伝達、生物学的機構又は生物学的作用)を調節するように結合することができる、標的又は抗原上の任意の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン又はアミノ酸残基のストレッチであり得る。
q)アミノ酸配列又はポリペプチドは、上記アミノ酸配列又はポリペプチドが第2の標的又はポリペプチドと結合する親和性よりも少なくとも10倍、例えば少なくとも100倍、好ましくは少なくとも1000倍、及び最大10000倍以上良好な親和性(上記のように、好適にK値、K値、Koff速度及び/又はKon速度と表す)で第1の抗原と結合する場合、第2の標的又は抗原と比べて、第1の標的又は抗原「に特異的」であると言う。例えば、第1の抗原は、上記アミノ酸配列又はポリペプチドが第2の標的又はポリペプチドと結合するKよりも多くとも10分の1、例えば多くとも100分の1、及び好ましくは多くとも1000分の1、例えば10000分の1以下のK値で標的又は抗原と結合し得る。好ましくは、アミノ酸配列又はポリペプチドが、第2の標的又は抗原に比べて第1の標的又は抗原「に特異的」である場合、そのアミノ酸配列又はポリペプチドは、(本明細書中に規定のように)上記第1の標的又は抗原に指向性を有するが、該第2の標的又は抗原に対しては指向性を有しない。
r)用語「交差遮断("cross-block", "cross-blocked" and"cross-blocking")」は、本明細書中で区別なく使用し、アミノ酸配列又は他の結合剤(本発明のポリペプチド等)が、他の本発明のアミノ酸配列又は結合剤と所定の標的との結合を妨げる能力を意味する。本発明のアミノ酸配列又は他の結合剤が別のアミノ酸配列又は他の結合剤と[標的]との結合を妨げることができる範囲、ひいては本発明に従って交差遮断するということができるか否かを、競合結合アッセイを使用して求めることができる。特に好ましい定量的なアッセイの1つは、表面プラズモン共鳴技術を用いて相互作用の程度を測定することができるビアコア機器を使用する。別の好適な定量的な交差遮断アッセイは、標的とのこれらの結合に関して、アミノ酸配列又は別の結合剤間の競合を測定するELISAに基づくアプローチを使用する。
概して以下に、アミノ酸配列又は他の結合剤が、本発明に従って交差遮断するか、又は交差遮断することができるか否かを求めるのに適したビアコアアッセイを説明している。このアッセイは、本明細書中に記載のアミノ酸配列又は他の結合剤のいずれかと共に使用することができることが理解されよう。ビアコア機器(例えばビアコア3000)は、製造元の推奨に沿って操作する。このように、1つの交差遮断アッセイでは、標的でコーティングされる表面を作製するのに、標準的なアミンカップリングケミストリを用いて、標的タンパク質をCM5ビアコアチップと結合させる。典型的に200個〜800個の標的の共鳴単位をチップに結合させる(容易に測定可能なレベルの結合を与えるが、使用する試験試薬の濃度によって容易に飽和することができる量)。互いに交差遮断する能力を評価する、2つの試験アミノ酸配列(A及びBと呼ばれる)を、好適なバッファー中で、1:1の結合部位のモル比で混合し、試験混合物を作製する。結合部位ベースの濃度を算出する場合、アミノ酸配列の分子量は、アミノ酸配列の全分子量を、このアミノ酸配列上の標的結合部位の数で除算したものであるとみなす。試験混合物中の各アミノ酸配列の濃度は、ビアコアチップ上に捕捉された標的分子上のこのアミノ酸配列に対する結合部位を容易に飽和するのに十分高いものとする。混合物中のアミノ酸配列は、典型的に(結合部位ベースで)1.00マイクロモル〜1.5マイクロモルである(結合ベースで)同じモル濃度にある。A及びBを単独で含有する分離溶液も調製する。これらの溶液中のA及びBは、試験混合物と同じバッファー中で、且つ試験混合物と同じ濃度であるとする。試験混合物を標的コーティングビアコアチップ上に通し、結合総量を記録する。それから、チップ結合標的を損なうことなく、結合したアミノ酸配列を取り除くようにチップを処理する。典型的に、チップを30mMのHClで60秒間処理することによってこれを行う。その後、A単独の溶液を標的コーティング表面上に通し、結合量を記録する。さらに、チップを処理し、チップ結合標的を損なうことなく、結合したアミノ酸配列を全て取り除く。それから、B単独の溶液を標的コーティング表面上に通し、結合量を記録する。次に、AとBとの混合物の最大理論結合を算出し、これは単独で標的表面上を通した際の各アミノ酸配列の結合の合計である。実際に記録された混合物の結合がこの理論最大よりも小さい場合、2つのアミノ酸配列は互いに交差遮断している。このように概して、交差遮断する本発明のアミノ酸配列又は他の結合剤は、アッセイ中、及び本発明の第2のアミノ酸配列又は他の結合剤の存在下で、記録された結合が、組合せた2つのアミノ酸配列又は結合剤の最大理論結合(直前に規定)の80%〜0.1%(例えば80%〜4%)、具体的に最大理論結合の75%〜0.1%(例えば75%〜4%)、及びより具体的に最大理論結合の70%〜0.1%(例えば70%〜4%)であるように、上記のビアコア交差遮断アッセイで標的と結合するものである。上記のビアコアアッセイは、アミノ酸配列又は他の結合剤が本発明に従って互いに交差遮断するかどうかを求めるのに使用する主なアッセイである。稀に、特定のアミノ酸配列又は他の結合剤が、CM5ビアコアチップとアミンケミストリを介して結合した標的と結合しないことがある(通常、標的上の関連の結合部位がチップとの結合によって塞がれるか、又は破壊される場合にこれが起こる)。このような場合、標識型、例えばN末端His標識型の標的(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA;2005 カタログ番号1406−ST−025)を用いて交差遮断を求めることができる。この特定のフォーマットで、抗Hisアミノ酸配列をビアコアチップに結合させた後、His標識した標的をチップの表面上に通し、抗Hisアミノ酸配列で捕捉する。各チップ再生サイクル後に、抗Hisアミノ酸配列コーティング表面上に、新たなHis標識した標的を充填し戻すことを除いて、本質的に上記のように、交差遮断解析を行う。N末端His標識した[標的]を使用する与えられた例の他に、代替的にC末端His標識した標的を使用することができる。さらに、当該技術分野で既知の様々な他の標識及び標識結合タンパク質の組合せをこのような交差遮断解析に使用することができる(例えば、抗HA抗体によるHA標識;抗FLAG抗体によるFLAG標識;ストレプトアビジンによるビオチン標識)。
概して以下に、標的に指向性を有するアミノ酸配列又は他の結合剤が、本明細書中に規定のように、交差遮断するか、又は交差遮断することができるか否か求めるELISAアッセイを説明している。このアッセイは、本明細書中に記載のアミノ酸配列(又は本発明のポリペプチド等の他の結合剤)のいずれかと共に使用することができることが理解されよう。このアッセイの一般原理は、ELISAプレートのウェル上にコーティングした標的に指向性を有するアミノ酸配列又は結合剤を有することである。過剰量の第2の、潜在的に交差遮断する抗標的アミノ酸配列を溶液中に添加する(即ちELISAプレートと結合しない)。それから、限定量の標的をウェルに添加する。コーティングしたアミノ酸配列と溶液中のアミノ酸配列とは、限定数の標的分子の結合に対して競合する。プレートを洗浄し、コーティングしたアミノ酸配列と結合していない過剰な標的を取り除き、また第2の溶液相のアミノ酸配列及び第2の溶液相のアミノ酸配列と標的との間に形成される任意の複合体を取り除く。その後、標的を検出するのに適切な試薬を使用して、結合標的の量を測定する。コーティングしたアミノ酸配列を交差遮断することができる溶液中のアミノ酸配列によって、第2の溶液相のアミノ酸配列の非存在下でコーティングしたアミノ酸配列と結合することができる標的分子の数に比べて、コーティングしたアミノ酸配列と結合することができる標的分子の数を低減させることができる。アミノ酸配列を固定化させるように、第1のアミノ酸配列、例えばAb−Xを選択する場合、第1のアミノ酸配列をELISAプレートのウェル上にコーティングし、その後、プレートを好適な遮断溶液で遮断し、その後添加する試薬の非特異的な結合を最小にする。Ab−Y[標的]結合部位の1つのウェル当たりのモル数が、ELISAプレートのコーティング中に使用したAb−X[標的]結合部位の1つのウェル当たりのモル数の少なくとも10倍になるように、その後、過剰量の第2のアミノ酸配列、即ちAb−YをELISAプレートに添加する。それから、添加した[標的]の1つのウェル当たりのモル数が、各ウェルをコーティングするのに使用したAb−X[標的]結合部位のモル数の多くとも25分の1になるように、[標的]を添加する。好適なインキュベート期間の後、ELISAプレートを洗浄し、標的を検出する試薬を添加し、コーティングした抗[標的]アミノ酸配列(この場合、Ab−X)と特異的に結合した標的の量を測定する。アッセイに関するバックグラウンドシグナルは、コーティングしたアミノ酸配列(この場合、Ab−X)、第2の溶液相のアミノ酸配列(この場合、Ab−Y)、[標的]バッファーのみ(即ち標的が存在しない)及び標的検出試薬を用いてウェル中で得られたシグナルと定義する。アッセイに関する陽性対照シグナルは、コーティングしたアミノ酸配列(この場合、Ab−X)、第2の溶液相のアミノ酸配列バッファーのみ(即ち第2の溶液相のアミノ酸配列が存在しない)、標的及び標的検出試薬を用いてウェル中で得られたシグナルと定義する。陽性対照シグナルがバックグラウンドシグナルの少なくとも6倍になるように、ELISAアッセイを行い得る。どのアミノ酸配列をコーティングアミノ酸配列として使用し、どのアミノ酸配列を第2の(競合)アミノ酸配列として使用するかという選択に起因する任意のアーチファクト(例えば有意に異なる、[標的]に対するAb−XとAb−Yとの親和性)を避けるために、交差遮断アッセイを2つのフォーマットで行い得る:1)フォーマット1は、Ab−Xが、ELISAプレート上にコーティングするアミノ酸配列であり、且つAb−Yが、溶液中にある競合アミノ酸配列である場合であり、また2)フォーマット2は、Ab−Yが、ELISAプレート上にコーティングするアミノ酸配列であり、且つAb−Xが、溶液中にある競合アミノ酸配列である場合である。Ab−X及びAb−Yは、フォーマット1又はフォーマット2のいずれかで、溶液相の抗標的アミノ酸配列が、溶液相の抗標的アミノ酸配列の非存在下で得られた標的検出シグナル(即ち陽性対照ウェル)に比べて、標的検出シグナル(即ちコーティングしたアミノ酸配列で結合した標的の量)の60%〜100%、具体的に70%〜100%、及びより具体的に80%〜100%の低減をもたらすことができる場合、交差遮断すると定義する。
s)本明細書でさらに記載されるように、ナノボディにおけるアミノ酸残基の総数は、110〜120の範囲内、好ましくは112〜115、及び最も好ましくは113であり得る。しかし、ナノボディの部分、断片、類似体又は誘導体(本明細書中にさらに記載されるように)は、本明細書に概説されるさらなる要求を満たし、また好ましくは本明細書に記載の目的に好適であれば、その長さ及び/又はサイズに関して特に限定されないことに留意すべきである。
t)ナノボディのアミノ酸残基は、Riechmann and Muyldermans, J. Immunol. Methods 2000 Jun 23; 240 (1-2):185-195の論文(例えばこの論文の図2を参照されたい)においてラクダ科動物由来のVHHドメインに適用されるように、又は本明細書に参照されるようにKabat et al.("Sequence of proteins ofimmunological interest", US Public Health Services, NIH Bethesda, MD,Publication No. 91)によって与えられたVドメインに関する一般的なナンバリングに従って数字が付けられる。このナンバリングに従うと、ナノボディのFR1は1位〜30位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR1は31位〜35位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR2は36位〜49位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR2は50位〜65位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR3は66位〜94位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR3は95位〜102位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR4は103位〜113位のアミノ酸残基を含む。[これに関して、Vドメイン及びVHHドメインに関して当該技術分野で既知のように、CDRそれぞれにおけるアミノ酸残基の総数は変わる可能性があり、カバットナンバリングで示されるアミノ酸残基の総数に対応していなくてもよい(即ちカバットナンバリングによる1つ又は複数の位置が実際の配列で占められていなくてもよく、又は実際の配列が、カバットナンバリングで可能な数より多くのアミノ酸残基を含有していてもよい)ことに留意すべきである。このことは、概してカバットによるナンバリングは、実際の配列におけるアミノ酸残基の実際のナンバリングに対応していても、又は対応していなくてもよいことを意味する。しかし一般的に、CDRにおけるアミノ酸残基の数に関係なく、カバットナンバリングに従うと、カバットナンバリングによる1位は、FR1の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる36位は、FR2の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる66位は、FR3の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる103位は、FR4の出発点に対応する(逆もまた同様)ということができる]。Vドメインのアミノ酸残基の数字を付ける代替方法(この方法は、類似の方法でラクダ由来のVHHドメイン及びナノボディに適用することもできる)は、Chothia et al.(Nature 342, 877-883(1989))によって説明される方法、いわゆる「AbM定義」及びいわゆる「接触定義」である。しかし本明細書、特許請求の範囲及び図面では、特に他に指示がなければ、Riechmann and MuyldermansによってVHHドメインに適用されるようなカバットによるナンバリングに従う。
u)「標的分子("Target Molecule" or "Target Molecules")」又は「標的」という用語は、細菌及びウイルスを含む生物、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトにおいて、疾患の発症又は進行又は維持に関与し得る生物学的機能を有するタンパク質を意味する。
v)本発明の構築物中に存在する単一可変ドメインは単一抗原結合単位を形成する任意の可変ドメインであり得る。一般的に、このような単一可変ドメインは、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)及び3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)、又は(この場合通常、本明細書中にさらに記載のように、少なくとも1つのCDRを形成するアミノ酸残基を少なくとも幾つか含有する)このようなアミノ酸配列の任意の好適な断片から本質的に成るアミノ酸配列である。このような単一可変ドメイン及び断片は、免疫グロブリンフォールドを含むか、又は好適な条件下で免疫グロブリンフォールドを形成することが可能であるようなものが最も好ましい。したがって、単一可変ドメインは、単一抗原結合単位(即ち例えば、機能的な抗原結合ドメインを形成するのに、例えばV/V相互作用により別の可変ドメインと相互作用する必要がある、例えば従来の抗体及びScFv断片に存在する可変ドメインの場合のように、機能的な抗原結合単位を形成するのに、単一抗原結合ドメインが別の可変ドメインと相互作用する必要がないような本質的に単一可変ドメインから成る機能的な抗原結合単位)を形成することが可能であれば、例えば軽鎖可変ドメイン配列(例えばV配列)若しくはその好適な断片、又は重鎖可変ドメイン配列(例えばV配列又はVHH配列)若しくはそれらの好適な断片を含み得る。
例えば、単一可変ドメインは、ドメイン抗体(又はドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、単一ドメイン抗体(又は単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、「dAb」又はdAb(又はdAbとしての使用に好適なアミノ酸配列)、又はナノボディ(登録商標)(本明細書に規定のように、VHH配列を含むが、これに限定されない)、他の単一可変ドメイン、又はこれらのいずれか1つの任意の好適な断片であり得る。(単一)ドメイン抗体の概説に関しては、上記で言及された従来技術、及び欧州特許第0368684号明細書も参照する。用語「dAb」に関しては、例えばWard et al.(Nature 1989 Oct 12; 341 (6242): 544-6)、Holtet al.(Trends Biotechnol., 2003, 21(11):484-490)、例えば国際公開第04/068820号パンフレット、国際公開第06/030220号パンフレット、国際公開第06/003388号パンフレット、及びDomantis Ltd.の他の公開特許出願を参照する。哺乳動物起源ではないため、本発明との関連ではあまり好ましくはないが、単一ドメイン抗体又は単一可変ドメインは、或る特定種のサメ由来である可能性があることにも留意すべきである(例えばいわゆる「IgNARドメイン」、例えば国際公開第05/18629号パンフレットを参照されたい)。
特に、本発明のアミノ酸配列はナノボディ(登録商標)又はその好適な断片であり得る(備考:ナノボディ(Nanobody)(登録商標)、ナノボディ(Nanobodies)(登録商標)及びナノクローン(登録商標)は、Ablynx N. V.の商標である)。VHH及びナノボディのさらなる説明に関しては、Reviews in Molecular Biotechnology 74(2001), 277-302におけるMuyldermansによる総説、及び一般的な背景技術として言及される以下の特許出願:Vrije Universiteit Brusselの国際公開第94/04678号パンフレット、国際公開第95/04079号パンフレット、及び国際公開第96/34103号パンフレット;Unileverの国際公開第94/25591号パンフレット、国際公開第99/37681号パンフレット、国際公開第00/40968号パンフレット、国際公開第00/43507号パンフレット、国際公開第00/65057号パンフレット、国際公開第01/40310号パンフレット、国際公開第01/44301号パンフレット、欧州特許第1134231号明細書及び国際公開第02/48193号パンフレット;Vlaams Instituut voor Biotechnologie(VIB)の国際公開第97/49805号パンフレット、国際公開第01/21817号パンフレット、国際公開第03/035694号パンフレット、国際公開第03/054016号パンフレット及び国際公開第03/055527号パンフレット;Algonomics N.V.及びAblynx N. V.の国際公開第03/050531号パンフレット;カナダの国家研究会議(National Research Council)による国際公開第01/90190号パンフレット;Institute of Antibodiesによる国際公開第03/025020号パンフレット(=欧州特許第1433793号明細書);並びにAblynx N.V.による国際公開第04/041867号パンフレット、国際公開第04/041862号パンフレット、国際公開第04/041865号パンフレット、国際公開第04/041863号パンフレット、国際公開第04/062551号パンフレット、国際公開第05/044858号パンフレット、国際公開第06/40153号パンフレット、国際公開第06/079372号パンフレット、国際公開第06/122786号パンフレット、国際公開第06/122787号パンフレット及び国際公開第06/122825号パンフレット、並びにAblynx N.V.によるさらなる公開特許出願を参照する。これらの出願で言及されるさらなる従来技術、特に国際出願国際公開第06/040153号パンフレットの41頁〜43頁で言及される参考リストも参照する(このリスト及び参考文献は参照により本明細書に援用される)。これらの参考文献で記載のように、ナノボディ(特にVHH配列及び部分ヒト化ナノボディ)は特に、1つ又は複数のフレームワーク配列における1つ又は複数の「特徴的な(Hallmark)残基」の存在を特徴とし得る。
ナノボディのヒト化及び/又はラクダ化、及び他の修飾体(modifications)、その一部又は断片、誘導体又は「ナノボディ融合体」、多価構築物(リンカー配列の幾つかの非限定的な例を含む)、並びにナノボディ及びその調製物の半減期を増大する様々な修飾を含む、ナノボディのさらなる説明は例えば、国際公開第07/104529号パンフレットに見ることができる。
w)「非融合二量体」との関連で「非融合」という用語は、直接的な遺伝子連結を介して、又は文献で既知のような専用の二量体化配列(例えばJun−Fos相互作用、重鎖のCH2−CH3ドメインの相互作用等)を介しては得ることができない正常な(例えば保存及び/又は生理的)条件下で存在する全てが安定した連結(又はまた本明細書中で「安定した」と言及されるより特異的な条件)を意味する。このような連結は、例えばファンデルワールス力、水素結合及び/又はアミノ酸残基の反対の電荷を保有するペプチド間の力等の化学的な力によるものであり得る。さらに、構造変化等の付加的な構成要素が役割を果たし得る。このような構造変化は、例えばフレームワーク領域の交換、例えばフレームワーク領域4のフレームワーク領域に由来するβ鎖の交換(「ドメインスワッピングパターン」とも呼ばれる現象)であり、単量体構造立体配座におけるCDR3−FR4領域を安定化することにより防ぐことができる。対照的に、遺伝子的に連結した又は融合した構築物では、融合が2つのエンティティ(entities)を融合タンパク質として発現させ、連結が共有結合的性質を有する(例えば2つのエンティティ間にペプチドリンカーを使用して、或るタンパク質ドメインのC末端と他のタンパク質ドメインのN末端とを連結する)。「安定した二量体」又は「安定したNFD」(複数可)(stable NFDs)との関連で「安定した」という用語は、50%、より好ましくは60%、より好ましくは70%、より好ましくは80%、さらにより好ましくは90%、さらにより好ましくは95%、最も好ましくは99%が、測定の時点でNFDの形態であることを意味し、ここで100%はNFDとその対応する単量体との量(例えば体積当たりのモル量、又は体積量当たりの重量)を表す。本明細書中で規定のような、即ちその二量体の性質に関する安定性の測定は、サイズ排除クロマトグラフィを使用する(室温でのPBSバッファーのような標準的な実験室条件を使用する)こと、及び必要に応じて、試験される試料の前濃縮工程により実施することができる。同定された二量体及び単量体のピークのサイズ排除クロマトグラムにおけるピーク下面積は、単量体及び二量体、即ちNFDの相対量を表す。NFD(NFD and/or NFDs)は本明細書において区別なく使用し、このためNFDが使用される場合はいつでも、NFD(NFDs)も意味することとなり、NFD(NFDs)が使用される場合はいつでも、NFDも意味することとなる。
非融合二量体(NFD)
或る特定の条件又はアミノ酸配列変化は、それがなければ安定した単量体単一可変ドメインを安定した二量体分子、及び場合によっては多量体分子に変換させることができる。このプロセスにおける鍵は、2つの単一可変ドメインが非共有的相互作用の増大を示すことが可能である条件を提供することである。NFDは、例えばプロセス誘導会合と(以下「PIA」とも)呼ばれるプロセスで作製される。この二量体化はとりわけ、濃度駆動型(driven)事象であり、例えば調製プロセスにおいて高タンパク質濃度(例えば50mg/mlを超えるタンパク質)、迅速なpH変動(例えば1カラム容量以内の2単位のpH変動)及び/又は迅速な塩交換(例えば1カラム容量での塩交換)を組合せることにより高めることができる。高濃度は、個々の単量体分子の相互作用の可能性を高めるが、pH及び塩変化は、一時的(部分的)アンフォールディングを誘導し、及び/又はタンパク質構造の疎水性相互作用及び/又は転位を促進する可能性がある。これらのNFDは最終的に治療剤若しくは予防剤中に、又は治療剤若しくは予防剤として使用することができるため、「NFD(単数又は複数)」という用語は、NFDが、(NFDが安定している条件、例えば特別な選別条件、例えば最大2.5年間の保存条件が具体的に説明されていなければ)NFD(単数又は複数)を含む溶液中、例えば生理学的調製物、例えば生理学的バッファー中にあることを意味するように(又は区別なく使用されることが)意図される。代替的に、NFDは、数週間、例えば4週間にわたって例えば比較的高温(例えば37℃)のようなストレスの多い保存条件下でも作製することができる。さらに、NFDを、二量体化しやすい単一可変ドメインのCDR3及び/又はフレームワーク領域4の近くに不安定なアミノ酸残基を導入することにより(さらに改善した、即ちより迅速な反応速度で)作製することができる(実験部を参照されたい、ポリペプチドF(即ち突然変異ポリペプチドB)が、同じ条件下でポリペプチドBよりも迅速にNFDを形成している)。
二量体化する必要がある構成要素の高濃度は、例えばクロマトグラフィ(例えばプロテインA、イオン交換、固定化金属アフィニティクロマトグラフィ、即ちIMAC等のアフィニティクロマトグラフィ、及び疎水性相互作用クロマトグラフィ、即ちHIC)、単一可変ドメインのTm付近の温度曝露、及びアンフォールディングペプチドである1M〜2Mのグアニジンのような溶媒により、単一可変ドメイン、例えばナノボディの免疫グロブリン構造を部分的にアンフォールディングする条件を含む多種多様の手順を用いて達成することができる。例えばクロマトグラフィでは、即ち例えばpH変動又は塩勾配(後で説明する)を使用する、カラムからのタンパク質の溶出プロセス中に、NFDを形成することができる。通常要求される濃度及び/又はNFDを形成する正確な方法は、本発明のポリペプチドそれぞれに対して確定しなければならず、本発明のポリペプチドそれぞれでは不可能であり得る。単独(例えばポリペプチドB及びF)及び/又は構築物(例えばポリペプチドA、C、E、F)のいずれかで或る特定の単一可変ドメインが存在し、それらがNFDを形成することは本発明者らの経験から得た知識(experience)である。二量体化に重要なのは、比較的短いCDR3(例えば3〜8アミノ酸、より好ましくは4〜7アミノ酸、さらにより好ましくは5〜6アミノ酸、例えば6アミノ酸))及びCDR3及び/又はFR4の近くの不安定因子であり得る。さらに、例えば使用濃度での単一可変ドメイン(複数可)を含むポリペプチドの最大可溶性等の高濃度(例えばプロテインA樹脂1ml当たり5mgのポリペプチドA−実験部を参照されたい)、又は数週間にわたる高温(例えば4週間にわたる37℃)、低pH(例えばpH6より低いpH)、高濃度(50mg/mlを超える、例えば65mg/ml)での保存が、適度な収率のNFD形成を得るのに要求され得る。
例えば最大カラム装填量で働くカラムクロマトグラフィの次に、NFDを得るのに同様に要求される高濃度を、限外濾過及び/又はダイアフィルトレーション(diafiltration:膜分離)等の濃縮方法、例えば低イオン強度バッファーでの限外濾過により達成することができる。
このプロセスは、NFDの形成が一価、二価及び三価の単量体構成要素(即ち単一可変ドメイン(複数可)を含むポリペプチド)で、またさらに単一可変ドメイン−HSA融合体で観察されたので、特定数の単一可変ドメインとは連結していない。ポリペプチドが2つの異なる単一可変ドメインを含む場合、NFDは、同一の又は異なる(好ましくは同一の)単一可変ドメインのみで、及び通常単一可変ドメイン(複数可)の1つ、例えばNFDを形成しやすいとして同定されるもの(例えばポリペプチドB)のみで形成され得る(図2bも参照されたい)。
本発明の目的は、可溶性で安定性した、例えば或る特定の濃度範囲、バッファー及び/又は温度条件内で安定している、分子を標的化し、及び/又はこれにより細胞応答を阻害又は促進するのに使用され得るNFDと呼ばれる二量体複合体を提供することである。単一可変ドメイン等の単量体構成要素を含むNFD(NFD−Moとも呼ばれる);2つの共有結合した単一可変ドメイン等の二量体構成要素を含むNFD(NFD−Diとも呼ばれる);3つの共有結合した単一可変ドメイン等の三量体構成要素を含むNFD(NFD−Triとも呼ばれる);4つの共有結合した単一可変ドメイン等の四量体構成要素を含むNFD(NFD−Teとも呼ばれる);及び多量体で共有結合した単一可変ドメイン等の4つを超える(即ち多量体)構成要素を含むNFD(NFD−Muとも呼ばれる)が本明細書中に記載される(このような構造の概要図に関しては図2a及び図2bを参照されたい)。NFDは、同一の単一可変ドメイン又は異なる単一可変ドメインを含有してもよい(図2b)。構成要素(ポリペプチド)が異なる単一可変ドメイン、例えばナノボディから成る場合、ポリペプチドにおける単一可変ドメインの1つだけが二量体化することが好ましいことは本発明者らの経験から得た知識である。例えば三価ポリペプチドの二量体化単位(単一可変ドメイン、例えばポリペプチドB又はポリペプチドF等のナノボディ)(図2bを参照されたい)は構築物の中心部、C末端又はN末端にあり得る。
本発明の別の目的は、上記NFDを作製方法及び使用を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、このようなNFDをどのように回避するかという情報を提供することである。
これらの上記の及び他の目的は本発明により提供され、本発明は広範な意味で、新生物性、免疫性又は他の障害の治療に使用され得る方法、キット、非融合二量体に関する。このため、本発明は、多種多様の障害を患う患者を治療するのに使用され得る、例えばナノボディ(単数又は複数)(例えばポリペプチドB)等の単一可変ドメイン(単数又は複数)を含む安定したNFDを提供する。これに関して、本発明のNFDは驚くべきことに、該NFDを、患者の治療に、患者における疾患の診断評価に、及び/又はそれを必要とする患者における疾患モニタリング評価に特に有用なものにする生化学的特性を示すことが見出されている。より具体的には、予想外なことに、或る特定の単一可変ドメイン、そのサブグループ(ヒト化VHH又は真のラクダ化ヒトVHを含む)、及びそのフォーマット化型(実際、これはヒトVH及びその誘導体でも実行可能である)を作製し、例えば製造可能性及び有効性に関して有益な特性を有する、安定した二量体(即ちNFD−Mo、NFD−Di、NFD−Tri、NFD−Te又はNFD−Mu)を形成することができることが見出された。単一可変ドメインは、例えば温度変動時には変性しないが、冷却時には凝集を伴わず可逆的に再フォールディングし(Ewert et al Biochemistry 2002, 41:3628-36)、この特徴が抗原結合二量体の効率的な形成に寄与し得ることが知られている。
NFDには多くの用途で特定の利点がある。治療的用途では、NFD−Mu、例えばNDF−Di結合剤は、標的となる受容体のオリゴマー化が必要である状況で、例えば致死受容体(TRAIL受容体とも称される)に関して有益であり得る。例えばNFD−Diは、その各構成要素の密接な相互作用のために、「従来の」共有結合した対応する四量体とは異なる空間的アラインメントを有すると推測され、このため抗原結合に対する正の又は負の効果を提供し得る(或る特定のNFDの概略図に関しては図2を参照されたい)。さらに、NFD、例えばNFD−Moは、従来の共有結合した単一可変ドメイン二量体よりも効果的に多量体標的分子と結合し得る。その上、ヘテロマーNFDは、長い半減期を伴って、標的となる特異的な結合剤、及び血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミンとの結合剤を含み得る。さらに、「従来の」共有結合した二量体(例えばアミノ酸配列リンカーを介する)は発現の課題を有し(或る特定の反復コドンに利用可能な十分なtRNAを有しないことによる)、このため初めに単量体を作製し、その後例えば本明細書中に記載のプロセスにより、発現後プロセスで単量体をNFDに変換させることが有益であり得る。これにより、共有結合した二量体と比較してNFDでより高い収率を得ることができる。同様に、例えばNFD−Di又はNFD−Triの全収率が関連の共有結合した四量体又は六量体と比較して高くなることが期待され得る。全体的な発現レベルが高くなることは、NFDアプローチを選択するための、例えばコスト決定における最も重要な因子であり得る。例えば、組換えタンパク質の発現収率及び分泌効率は鎖の大きさに応じて決まることが報告されている(Skerra & Pluckthun, 1991, Protein Eng. 4, 971)。その上、低いリンカー領域は、タンパク質全体でプロテアーゼに対する感受性が低いリンカー領域を意味し得る。本明細書中に記載の方法に従って、in vitro及び/又はin vivoで単一可変ドメインの多量体化の影響を試験することも有用であり得る。全体としてみれば、本発明の研究結果は、これまでに知られるアプローチ、即ち主に共有結合した単一可変ドメインフォーマットを用いるよりも、基本的なスカフォールド構造としてフォーマット化単一可変ドメインを使用して薬物開発においてさらに効果的な解決策を提供し得ることが期待される。
本発明のNFDは、広範な濃度(即ち通常は低nM範囲)、温度(37℃)、時間(数週間、例えば3週間〜4週間)及びpH(中性、pH5、pH6又はpH1のような胃pH)等の所望の範囲の生物学的に関連する条件下で安定であり得る。さらなる実施の形態では、本発明のNFDは、in vivoで、例えばヒトの身体内で、長期間、例えば1週間〜4週間又は1ヶ月〜3ヶ月、及び最大6ヶ月〜12ヶ月にわたって(例えば95%の割合で、ここで100%は単量体形態と二量体形態との量である)安定であり得る。さらに、本発明のNFDは、広範な濃度(例えばml当たりでmg範囲のような高濃度)、温度(−20℃、4℃、20℃又は25℃)、時間(数ヶ月、数年間)、有機溶媒及び洗剤に対する耐性(配合、製剤を得るプロセスにおける)等の所望の範囲の保存に関連する条件下でも安定であり得る。さらに、驚くべきことに、グアニジンHCl(GdnHCl)による変性には、約1Mを超えるGdnHClが必要であり、それ以外が同じ条件下ではポリペプチドB単量体よりもポリペプチドB二量体を変性することが見出されている(実験部を参照されたい)。さらに、ポリペプチドB NFD−MoにおいてFR4がスワッピングされているという驚くべき研究結果(本発明による他のNFDでも同様である可能性がある)は、実際にこの二量体が安定した複合体を形成し、単一可変ドメイン又はナノボディ構造をさらに安定化することができることを示している。さらに、ヒト化部位の1つ(実験部:ポリペプチドE対ポリペプチドBを参照されたい)がフレームワークとのより弱いCDR3相互作用を引き起こす可能性があり、このため二量体化を誘発しやすいより伸長可能なCDR3が利用可能であるという証拠が存在する。
このため、本発明の好ましいNFDは以下の範囲内で(二量体性質に関して)安定している(ここで、上記範囲はさらに組合せてもよく、例えば2、3、4又はそれ以上の範囲を以下に記載のように組合せて、他の有用な実施の形態を形成してもよい):
好ましい実施の形態のNFDは、生理学的温度条件下で、即ち37℃付近の温度で、長時間、例えば薬物を必要とする患者に送達した時点から最大1日間、より好ましくは1週間、より好ましくは2週間、さらにより好ましくは3週間、最も好ましくは4週間にわたって(二量体性質に関して)安定している;
好ましい実施の形態のNFDは、様々な保存温度条件下で、即ち−20℃、より好ましくは4℃、より好ましくは20℃、最も好ましくは25℃等の温度で、長時間、例えば最大6ヶ月、より好ましくは1年間、最も好ましくは2年間にわたって(二量体性質に関して)安定している;
好ましい実施の形態のNFDは、様々な生理学的pH条件下で、即ちpH6〜8、より好ましくはpH5〜8、最も好ましくはpH1〜8等のpH範囲で、長時間、例えば薬物を必要とする患者に送達した時点から最大1週間、より好ましくは2週間、さらにより好ましくは3週間、最も好ましくは4週間にわたって(二量体性質に関して)安定している;
好ましい実施の形態のNFDは、様々な生理学的濃度条件下で、即ち例えばリン酸緩衝溶液等のpH7バッファー及び/又は例えばまた血清、例えばヒト血清中でNFD濃度が200ng(NFD)/mlに満たない溶媒、より好ましくは100ng(NFD)/mlに満たない溶媒、さらに好ましくは50ng(NFD)/mlに満たない溶媒、最も好ましくは10ng(NFD)/mlに満たない溶媒で(二量体性質に関して)安定している。さらに好ましい実施の形態では、NFDは上記の濃度で、37℃で、最大1日及びそれ以上、例えば1週間、より好ましくは2週間、より好ましくは3週間、及び最も好ましくは最大4週間、安定している;
好ましい実施の形態のNFDは、様々な生理学的濃度条件下で、即ち約1mg/ml、より好ましくは5mg/ml、より好ましくは10mg/ml、より好ましくは15mg/ml、より好ましくは20mg/ml、より好ましくは30mg/ml、より好ましくは40mg/ml、より好ましくは50mg/ml、より好ましくは60mg/ml、より好ましくは70mg/mlのNFD濃度で、37℃付近の温度で、長時間、例えば薬物を必要とする患者に送達した時点から1日間、より好ましくは1週間、より好ましくは2週間、さらにより好ましくは3週間、最も好ましくは4週間にわたって(二量体性質に関して)安定している;
好ましい実施の形態のNFDは、様々な保存濃度条件下で、即ち例えばリン酸緩衝溶液等のpH7バッファー中でNFD濃度が0.1mg(NFD)/mlを超える溶媒、より好ましくは1mg(NFD)/mlを超える溶媒、より好ましくは5mg(NFD)/mlを超える溶媒、より好ましくは10mg(NFD)/mlを超える溶媒、及び最も好ましくは20mg(NFD)/mlを超える溶媒で(二量体性質に関して)安定している。さらに好ましい実施の形態では、NFDは上記の濃度で、−20℃で、最大6ヶ月及びそれ以上、例えば1年間、より好ましくは2年間、より好ましくは3年間、及び最も好ましくは最大4年間、安定している。さらに好ましい実施の形態では、NFDは上記の濃度で、4℃で、最大6ヶ月及びそれ以上、例えば1年間、より好ましくは2年間、より好ましくは3年間、及び最も好ましくは最大4年間、安定している。さらに好ましい実施の形態では、NFDは上記の濃度で、25℃で、最大6ヶ月及びそれ以上、例えば1年間、より好ましくは2年間、より好ましくは3年間、及び最も好ましくは最大4年間、安定している;
好ましい実施の形態のNFDは、有機溶媒、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサノール及び/又はその他等のアルコールとの混合物(例えば医薬製剤又はプロセス中間体)中で(二量体性質に関して)安定しており、ここでアルコール(好ましくはエタノール)は、長期間、特定の温度で、例えば−20℃で最大6ヶ月及びそれ以上、例えば1年間、より好ましくは2年間、より好ましくは3年間及び最も好ましくは最大4年間のような長期保存にわたって最大5%、より好ましくは10%、さらにより好ましくは15%、さらにより好ましくは20%、最も好ましくは30%で添加することができる。さらに好ましい実施の形態では、NFDは上記の混合物中で、4℃で、最大6ヶ月及びそれ以上、例えば1年間、より好ましくは2年間、より好ましくは3年間及び最も好ましくは最大4年間、安定している。さらに好ましい実施の形態では、NFDは上記の混合物中で、25℃で、最大6ヶ月及びそれ以上、例えば1年間、より好ましくは2年間、より好ましくは3年間及び最も好ましくは最大4年間、安定しており、ここで例えばアルコール(好ましくはエタノール)等の有機溶媒を、最大5%、より好ましくは10%、さらにより好ましくは15%、さらにより好ましくは20%、最も好ましくは30%で添加することができる;
好ましい実施の形態のNFDは、長期間、特定の温度で、例えば−20℃で最大6ヶ月及びそれ以上、例えば1年間、より好ましくは2年間、より好ましくは3年間及び最も好ましくは最大4年間のような長期保存にわたって、最大0.01%、より好ましくは0.1%、最も好ましくは1%の洗剤、例えばTriton−Xのような非イオン系洗剤との混合物(例えば医薬製剤又はプロセス中間体)中で、(二量体性質に関して)安定している。さらに好ましい実施の形態では、NFDは上記の混合物中で、4℃で、最大6ヶ月及びそれ以上、例えば1年間、より好ましくは2年間、より好ましくは3年間及び最も好ましくは最大4年間、安定している。さらに好ましい実施の形態では、NFDは上記の混合物中で、25℃で、最大6ヶ月及びそれ以上、例えば1年間、より好ましくは2年間、より好ましくは3年間及び最も好ましくは最大4年間、安定している。
本発明の別の実施の形態は、NFDが単量体と比較して、2つの構成要素の内の少なくとも1つの結合親和性を保持する、例えば上記親和性又はNFDの親和性が、元の単量体ポリペプチドの結合親和性の10%以上、より好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、若しくはさらに好ましくは90%以上であり得る、又はNFDが、単量体と比較して改善された見掛けの親和性を伴って複数の機能的な結合構成要素を有する、例えばNFDが、元の単量体ポリペプチドと比較して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍、より好ましくは50倍、より好ましくは100倍、より好ましくは1000倍改善された親和性を有することである。
本発明の別の実施の形態は、NFDが、単量体と比較して、2つの構成要素の内の少なくとも1つの結合親和性を部分的に又は完全に喪失した、例えば上記親和性又はNFDの親和性が、元の単量体ポリペプチドの結合親和性の90%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは60%以上、より好ましくは50%以上、さらにより好ましくは30%以上、さらにより好ましくは20%以上、さらにより好ましくは10%以上、若しくはさらにより好ましくは1%以上であり得る、又は最も好ましくは結合親和性は全く検出することができない、又はNFDが、単量体と比較して低減された見掛けの親和性を伴って複数の機能的な結合構成要素を有する、例えばNFDが、元の単量体ポリペプチドと比較して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍、より好ましくは50倍、より好ましくは100倍、より好ましくは1000倍低減された親和性を有し得ることである。
さらに、本発明の実施の形態は、NFDとその単量体構成要素とを含む調製物、例えば30%を超えるNFDを含む調製物(例えば上記NFDを形成する2つの同一の単量体構成要素)、例えばより好ましくは35%を超えるNFDを含む調製物、さらにより好ましくは40%を超えるNFDを含む調製物、さらにより好ましくは50%を超えるNFDを含む調製物、さらにより好ましくは60%を超えるNFDを含む調製物、さらにより好ましくは70%を超えるNFDを含む調製物、さらにより好ましくは80%を超えるNFDを含む調製物、さらにより好ましくは90%を超えるNFDを含む調製物、さらにより好ましくは95%を超えるNFDを含む調製物、及び/又は最も好ましくは99%を超えるNFDを含む調製物である(ここで100%はNFDとその対応する単量体単位との総量を表す)。好ましい実施の形態では、調製物中の上記比率は、例えばNFDに関して本明細書中に記載のように決定することができる。
その上、本発明の別の実施の形態は、NFDを含む、より好ましくは30%を超えるNFDを含む医薬組成物(例えば2つの同一の単量体構成要素が上記NFDを形成する)、例えばより好ましくは35%を超えるNFDを含む医薬組成物、さらにより好ましくは40%を超えるNFDを含む医薬組成物、さらにより好ましくは50%を超えるNFDを含む医薬組成物、さらにより好ましくは60%を超えるNFDを含む医薬組成物、さらにより好ましくは70%を超えるNFDを含む医薬組成物、さらにより好ましくは80%を超えるNFDを含む医薬組成物、さらにより好ましくは90%を超えるNFDを含む医薬組成物、さらにより好ましくは95%を超えるNFDを含む医薬組成物、及び/又は最も好ましくは99%を超えるNFDを含む医薬組成物である(ここで100%はNFDとその対応する単量体単位との総量を表す)。
本発明の別の実施の形態は、単量体形態及び二量体形態、即ちNFDのポリペプチドを含む混合物であり、上記調製物は、1ヶ月間、4℃で、1mM、より好ましくは0.1mM、より好ましくは0.01mM、より好ましくは0.001mM又は最も好ましくは100nMの全濃度(即ち単量体形態及び二量体形態の濃度)で中性pHバッファー中で安定しており、また上記調製物は、25%を超える、より好ましくは30%を超える、より好ましくは40%を超える、より好ましくは50%を超える、より好ましくは60%を超える、より好ましくは70%を超える、より好ましくは80%を超える、又はより好ましくは90%を超える二量体、即ちNFDを含む。
本明細書中に記載の方法論は原則として、Fab断片、Fv断片、scFv断片又は単一可変ドメインのいずれかを二量体化又は多量体化するのに適用可能である、又は適用可能であり得るが、単一可変ドメインに対して使用するのが最も有益である。この場合、二量体断片、即ちNFDを構築することができ、該NFDは安定しており、明らかにされると共に、現在の展望を超えて上記単一可変ドメインの適用性を拡大する。好ましい実施の形態では、NFDは本明細書中に記載の方法に従って天然由来の、例えばラマ若しくはラクダ由来のVHHから、又はそのヒト化型、特に例えば国際公開第2006/122825号パンフレット、若しくは本明細書中の図1にも記載される、或る特定のいわゆる特徴的な(hallmark)残基、例えば前の軽鎖界面残基を形成する残基が自然状態で得られる単一可変ドメインに由来するものと変わらないままであるヒト化型から得ることができる。さらに好ましい実施の形態では、NFDはポリペプチドBと類似のCDR3及びFR4アミノ酸残基(配列番号9)を有する単一ドメイン抗体(又はナノボディ)を少なくとも1つ含むポリペプチドから得ることができ、例えばNFDは、配列番号9と80%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%、96%、97%、98%、99%配列同一性であるCDR3及びFR4領域を有するナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチドから得ることができる。
これまでは、単一可変ドメインに基づく結合部位の数の増大は、遺伝子レベルで又は他の相互作用ドメインを介して(例えばFc、Jun−Fos、重鎖相互作用、VL−VH抗体ドメイン相互作用等のCH2/CH3定常ドメインとの融合を介して)共有結合したドメインの調製を意味していたが、現在では代替的に後でタンパク質レベルでこのようなエンティティを形成することが可能である。これらの非融合二量体は3つの主な特徴を組合せている:(a)(遺伝子的方法に対して)生化学的方法により、(例えば半減期が長い、標的分子に対する及び血清タンパク質に対する)1つ又は複数の特異性を有する、1つ又は複数の単一可変ドメインをNFDに組合せる可能性、(b)(「制御していない(uncontrolled)」凝集に対して)抗原結合を保持又は消失させる制御した二量体相互作用、並びに(c)(実用的及び経済的理由から)例えば長期保存に十分な安定性、及びin vivo適用、即ち例えば37℃での長時間にわたる適用(これらのNFDの商業的使用に関する重要な要件)。
このため、本発明のさらなる目的は、二重官能性又はさらに多重官能性の結合部位を有する新たな個々の及び安定したNFDを作り出すことである。単一可変ドメインを含有する抗体断片融合タンパク質は、例えば本明細書中に記載のように特異的で且つ改善された特性を示す生化学的方法により作製することができることが見出されている。例えば、本発明の特定の実施の形態は、標的分子に対する、単一可変ドメイン(複数可)、例えばナノボディ(単数又は複数)を含む第1のポリペプチドと、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミンに対する、単一可変ドメイン(複数可)、例えばナノボディ(単数又は複数)を含む第2のポリペプチドとを含むNFD(単数又は複数)である(例えば実験部におけるポリペプチドC及びポリペプチドE(それぞれが受容体標的及びヒト血清アルブミンと結合する)を参照されたい;また図2a及び図2bも参照されたい)。二重特異性を利用する他の例は、Kufer et al, Trends in Immunology 22 : 238 (2004)で見出すことができる。2つの異なる抗原結合単一可変ドメインを使用する場合、NFDを産生する手順は、ホモ二量体に対してヘテロ二量体の形成を促進するように微調整することができ、又は代替的にその後にこれらの形態を分離する手順を続けることができる。
したがってさらに、本発明の目的は、第1の工程で本質的に単一可変ドメインから成る単量体ポリペプチドを提供する(又は選択する)ことであり、上記ポリペプチドは、プロセス誘導会合(PIA)又は本明細書中に記載の他の代替方法により、互いに(with itself)二量体化することが可能である。
より具体的には、本発明者らは本発明において、例えば、本明細書中に記載のプロセスにより二量体を形成する、抗体断片を含む調製物又は単一可変ドメイン(複数可)を含むポリペプチドに関してスクリーニングする工程を含む方法により得ることができるNFDを説明している。したがって上記ポリペプチドを同定することを含む上記スクリーニング方法は、NFDの生成における第1の工程であり得る。本明細書中に記載の複数の「PIA」方法は、その単量体構成要素を含む出発調製物において二量体を形成させるのに使用することができる。現在のところ、二量体が好適な条件下で、例えば本明細書中に記載のようなプロセス誘導会合(PIA)で形成され得るという兆候がある。兆候は、現在のところ十分であり、サイズ排除クロマトグラフィにおける例えばプロテインA精製画分が少量だけ、標準的な精製プロトコルにおいて二量体と推定されるものとして溶出されていることを単に意味し得る。二量体化が示唆され、後に(例えば解析用SEC、動的光散乱及び/又は解析用超遠心分離により)確認されると、(例えばカラム装填量の増大、部分的なアンフォールディングに有利に働く条件、疎水性相互作用に有利に働く条件、多少の時間、例えば数週間、例えば4週間の例えば37℃のような高温曝露、アミノ酸残基を不安定にさせるCDR3の導入等により)二量体化に有利に働くため、又は二量体化を最小限に抑えるため(反対の戦略)、さらなる改善を開始することができる(例えば収率の増大のために)。
本発明はさらに、本発明に従って及び本明細書中に規定のように、NFDを形成することが可能である、単一可変ドメインを少なくとも1つ、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含む単量体ポリペプチドを選択する方法であって、NFDが安定しており、好ましくは単量体ポリペプチドに比べて、標的分子に対する見掛けの親和性が同程度である又はより良好であることを特徴とする、方法に関し、このことは結合部位が活性であるか、又は少なくとも一部が活性であることを示す。上記親和性が、元の単量体ポリペプチドの結合親和性の10%以上、より好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、又はさらにより好ましくは90%以上であり、例えば元の単量体ポリペプチドと比較して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍、より好ましくは50倍、より好ましくは100倍、より好ましくは1000倍改善された見掛けの親和性を有し得る。上記親和性は、当該技術分野で既知の特徴、例えば解離定数、即ちKd、親和性定数、即ちKa値、koff値及び/又はkon値で表すことができ、これら及び他のものはNFDとその標的分子との結合強度を合理的に説明することができる。
その上さらに、本発明は、本発明に従って及び本明細書中に規定のように、NFDを形成することが可能である、単一可変ドメインを少なくとも1つ、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含む単量体ポリペプチドを選択する方法であって、NFDが安定しており、好ましくは標的分子、例えばヒト血清アルブミンに対する見掛けの親和性を有しないことを特徴とする、方法に関する。
上記選択する方法は、単量体出発材料を含む調製物、即ち単一可変ドメインを少なくとも1つ含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチドを、当業者に既知の方法により、例えば上記ポリペプチドをカラム、例えばプロテインAカラムに装填することにより、樹脂において高濃度、例えば5mg/mlを超える濃度に、カラム容積(capacity)の過装填量近くまで(例えば樹脂プロテインA 1ml当たり最大2mg〜5mgのポリペプチド)濃縮する工程と、それから任意で「急な(steep)」pH変動で(「急な」とは、例えば特に1工程における(即ち迅速なバッファー交換)又は1カラム体積、2カラム体積若しくは3カラム体積以内での(より好ましくは1カラム体積又は迅速なバッファー交換)pHの変動又は変化(例えばH+濃度の10倍、より好ましくは100倍又はより好ましくは1000倍の低減又は増大)を意味する)、上記ポリペプチドを溶出する工程とを含み得る。さらに、「急な」pH変動は選択されたpH変化と同時に起こってもよい。即ちpHはポリペプチドのpI超又はpI未満から始まり、その後上記ポリペプチドのpI未満又はpI超のpHに変化し得る。代替的に、NFD形成をもたらす上記ポリペプチドの濃度は、例えば固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィ(IMAC)又は限外濾過等の他の手段により得ることができる。好ましくは、本発明のポリペプチドがアンフォールディングすると思われる条件(極端なpH及び高温)、及び/又は例えばポリペプチドのpI付近のpH変化及び低い塩濃度のような疎水性相互作用に有利に働く条件の組合せが使用される。さらに、これらの二量体を離すのに使用される条件は、これらの二量体を産生するためのさらなる方法を決定する際に、即ちこれらの手順(例えばポリペプチド濃度が高いポリペプチドAでは、約70℃の温度への15分間の曝露、及びその後の冷却)を組合せることを研究するのにも有用であり得る。
NFDを得る方法の例はさらに、本発明の実験部で非限定的に説明されている。
本発明の別の目的は、NFDを得る方法であって、単一可変ドメインを少なくとも1つ(例えば1つ、2つ、3つ又は4つの単一可変ドメイン)、又は単一可変ドメイン(複数可)の官能部分(例えば本明細書中に記載のスクリーニング法により得られるような)を含む完全な単量体ポリペプチドをコードする遺伝子が少なくとも1つの発現プラスミドにクローニングされ、宿主細胞を上記発現プラスミド(複数可)で形質転換すると共に、栄養溶液中で培養し、上記単量体ポリペプチドを細胞中で又は培地へと発現させ、融合タンパク質の一部分だけがクローニングされた場合、さらにタンパク質工学工程を標準的な技法に従って行うことを特徴とする、方法である。
さらに、本発明の別の目的は、単一可変ドメインを少なくとも1つ(例えば1つ、2つ、3つ又は4つの単一可変ドメイン)、又は単一可変ドメイン(複数可)の官能部分を含む2つの同一な単量体ポリペプチドを結び付け、NFDを形成する、結び付ける方法であって、上記方法が、上記ポリペプチドの疎水性相互作用及び/又は部分的な再フォールディングが、例えば単量体ポリペプチドを含む調製物の上方濃縮(up-concentrating)、塩析、洗剤又は有機溶媒の添加、上記ポリペプチドの総電荷の中和(即ち上記ポリペプチド(単数又は複数)のpI付近のポリペプチド溶液のpH)、及び/又は二量体化プロセス中、例えば数週間、例えば1週間、2週間、3週間、4週間又はそれ以上、好ましくは4週間のような長時間にわたる、二量体化しやすいポリペプチド又は単一可変ドメインの融点近くの高温、例えば37℃付近又はそれ以上、例えば40℃、45℃若しくは50℃以上の温度によって有利な影響を受け、したがってポリペプチド間の密接な相互作用を可能にする環境を作り出す工程を含む、方法である。興味深く且つ驚くべきことに、上記条件は、一度二量体が形成されれば、NFDを安定化するために展開させる必要はない。即ち溶液中のNFDは、本明細書中で言及されるような広範な生物学的に関連した条件下で驚くほど安定している。
本発明によるNFDは、対応する抗原に対する高い結合活性及び十分な安定性を示し得る。これらの新規のNFD構造は例えば、ポリペプチドと、遺伝子操作した原核宿主生物又は例えば大腸菌及びメタノール資化酵母(Pichia pastoris:ピキア・パストリス)等の真核宿主細胞により得られる他のタンパク質及び/又はペプチドとの混合物から、精製プロセス中で容易に調製することができる。
さらに、NFDを形成することが可能な単量体構成要素は、本明細書中の上記で及びさらに記載されるような選択又はスクリーニング方法を行う前に、一次アミノ酸配列と利用可能であれば結晶構造情報とを考慮して予め選択することができる。その上、これらの非融合タンパク質ドメインにおける潜在的な相互作用を理解するために、非融合単一可変ドメイン、即ちNFDの様々なX線又はNMR構造を解析することが望まれ得る。したがってこのことは、溶液中でNFDにおいて相互作用がどのくらいの可能性で起こり得るかを例示するが、NFD構成要素間で相互作用が起こり得る領域に関して完全に説明することは決してない。
さらに、二量体のさらなる安定化が有益であり、相互作用部位でポリペプチド末端及び/又はシステインを連結させる好適なリンカーにより行われ得る。例えば2つのドメインの共有結合は、例えばダイアボディ(diabodies)を用いて行われているように(Holliger &Hudson, Nat Biotech 2004, 23 (9): 1126)、相互作用の新たな部位で、又はNFDのN末端領域若しくはC末端領域でジスルフィド架橋を形成させるために、空間的に反対の位置にある2つの構成要素それぞれに2つのシステインを導入することにより可能であり得る。さらに、2つの単量体構成要素の末端間に可撓性ペプチドを導入することが有益であり得る。例としては、マウスIgG3の上方のヒンジ領域を使用することができる。しかしながら、多種多様のヒンジ又は他のリンカーを使用してもよい。これは、二量体化自体には必要ないが、2つの構成要素の固定(locking)を与える。抗体の自然発生的なヒンジはヒンジの合理的な実施の形態である。このような場合、本発明のポリペプチドは、精製中にNFDが形成され、その後酸化によりシステイン対合がもたらされ、NFDを固定状態にし得るように、初めに還元条件下で存在している必要がある。NFDの場合、ヒンジ又はリンカーは、従来の共有結合した単一可変ドメイン含有ポリペプチドよりも短くてもよい。これは、単量体構成要素の期待される密接な相互作用を妨げることがなく、二量体の可撓性は必要とされない。ヒンジの選択は所望の残基配列の長さ(Argos, 1990, J. Mol. Biol. 211, 943-958)、二量体のフォールディング及び安定性との適合性(Richardson & Richardson, 1988, Science 240, 1648-1652)、プロテアーゼの分泌及びプロテアーゼに対する耐性に左右され、必要であれば実験により決定又は最適化することができる。
さらに、単量体のさらなる安定化(即ち二量体化又は場合によっては可能性として多量体化の回避)が有益であり、CDR3領域及び/又はFR4領域にある又はその近くのポリペプチド末端及び/又はシステインを連結させる好適なリンカーを選択することにより行われ、これにより単一可変ドメインが二量体化するのを防ぎ得る。例えば、CDR3及び/又はFR4の共有結合的な安定化は、例えば改変したジスルフィド結合によりスワッピングされる三次元ドメインに対して安定化したシスタチンを用いて行われているように(Wahlbom et al., J. ofBiological Chemistry Vol. 282, No. 25, pp. 18318-18326, June 22, 2007)、ジスルフィド架橋を形成させるために、空間的に反対の位置にあるCDR3領域及び/又はFR4領域近くに、又は/及びそれらの領域内に2つのシステインを導入することにより可能であり得る。さらに、1つのシステイン(その後CDR3領域の前に例えばシステインと結合したジスルフィドを形成する)を有するように改変させた可撓性ペプチドを導入することが有益であり得る。このような場合、本発明のポリペプチドは、単量体が形成され、その後酸化によりシステイン対合がもたらされ、単量体を固定された安定状態にし得るように、初めに還元条件下で存在している必要がある。
さらに、単量体のさらなる安定化(即ち二量体化又は場合によっては可能性として多量体化の回避)が有益であり、不安定なアミノ酸残基(単数又は複数)(例えば突然変異体のスクリーニングにより、例えば親和性成熟法により同定される、例えば国際公開第2009/004065号パンフレットを参照されたい)を、CDR3及び/又はFR4の近くの安定したアミノ酸残基(単数又は複数)に置き換えることにより行われ得る。
本発明の他の態様において、単量体のさらなる安定化(即ち二量体化又は場合によっては可能性として多量体化の回避)が、好適な製剤により達成され得る。特に、本発明はマンニトール又は他のポリオールを液体製剤に与えることにより、(ヒト血清)アルブミン結合ナノボディ(例えばポリペプチドB)及びナノボディを含む他のポリペプチドの二量体化及び多量体化を抑制する方法を提供する。マンニトールは一般的に液体タンパク質製剤の安定性及び等張性を維持するのに使用される。マンニトールは製剤の凍結乾燥のための一般的な増量剤でもある。驚くべきことに、本発明は、マンニトールが幾つかのアルブミン結合ナノボディの保存中(高温で)に観察される二量体の形成を特異的に阻害することができることを発見した。結果として、マンニトール含有製剤はタンパク質安定性を増大させ、生物学的活性を維持することにより、薬物製品の貯蔵寿命を延ばす。マンニトールの安定化効果は、マンニトール濃度が増大するにつれてタンパク質製剤におけるTm(融点)値が高くなることを示すデータにより支持されている。
本発明は、他のポリオール、非還元型糖、NaCl又はアミノ酸の使用も包含する。
例えば本発明の血清アルブミン結合ナノボディ「ポリペプチドB」により形成される二量体(配列番号2)は、HSAとの結合に関しては完全に不活性であることが分かっており(ビアコア解析)、このことにより二量体界面でのアルブミン結合部位が二量体形成により阻止されることが示唆された。したがって本発明により提起される液体製剤へのマンニトールの添加は二量体化プロセスを抑制するだけでなく、重要なことにナノボディのHSA結合活性を保存すると共に、不活性化を減速させる。概して、本発明によるマンニトール含有製剤は配合タンパク質/薬物製品の貯蔵寿命を延ばす。本発明は任意のアルブミン結合ナノボディに適用可能であると考えられ、一般的に二量体を形成する傾向があるナノボディ全てに適用可能であり得る。このため、本発明のマンニトール製剤はプロセス中間体、製剤原料又は薬物製品として任意のナノボディ製剤に用いられる。本発明は、任意の緩衝剤、生物学的に有効な量のタンパク質、およそ0.6Mほどの濃度のマンニトール、及びポリオール、非還元型糖、NaCl又はアミノ酸を含む他の賦形剤とから成り得る多種多様の液体製剤で使用することができる。液体製剤は後の使用のために直接保存してもよく、又は例えば凍結乾燥により乾燥形態で調製してもよい。マンニトールは、凍結乾燥後の保存、凍結、解凍及び再構築中に観察される二量体のような高分子量種の形成を阻害するために、任意の製剤で使用することができる。
本発明に記載のNFDの特定の利点は、例えば製造プロセス(例えば調製工程等)中に、制御可能に官能的に又は一部官能的に会合する能力である。ホモ二量体の形成を可能にする二量体化の原理を用いる。本明細書中に記載のNFDの例としては、NFD−Mo、NFD−Di及びNFD−Triが挙げられる。これらの場合、単量体構成要素は、細菌系で発現され、その後高濃度で分離クロマトグラフィ装置、例えばプロテインA又はIMACと結合し、相当な収率で所望の二量体複合体、即ちNFDを保持するように迅速に溶出する。これらの条件下では、ホモ二量体タンパク質自体が形成され、上記分離工程により二量体形態で直接単離することができ、及び/又はサイズ排除クロマトグラフィによりさらに単離することができる。
単一可変ドメインにおける特徴的な残基を示す図である。 様々な非融合二量体(即ちNFD)と従来の遺伝子的に融合した分子との比較を表す図である。各構築物又はNFDにおける単一可変ドメインは異なっていても又は同一であってもよい。点線はNFDに安定性を与える2つのVHドメイン間での概略的な相互作用(本明細書では、表面相互作用を示しているが、これらは、本明細書中に記載のように他の相互作用であってもよい)。 様々な非融合二量体(即ちNFD)と従来の遺伝子的に融合した分子との比較を表す図である。各構築物又はNFDにおける単一可変ドメインは異なっていてもよい。点線はNFDに安定性を与える2つのVHドメイン間での概略的な相互作用(本明細書では、表面相互作用を示しているが、これらは、本明細書中に記載のように他の相互作用であってもよい)。 有意な量のNFDが得られる条件下でのポリペプチドA(配列番号1)のプロテインA親和性精製を示す図である。タンパク質を小さなカラム(400μlの樹脂MabSelectXtra、GE Healthcare)に装填し、グリシン(100mM、pH2.5)の注入により溶出させた。溶出ナノボディ(登録商標)溶液のpHを、1MのTris(pH8.8)を使用して迅速に中和した。 ポリペプチドAの親和性精製したプロテインAのサイズ排除クロマトグラフィの結果を示す図である。解析用Superdex75カラム(GE Healthcare)での濃縮ポリペプチドAの分離を示す(画分6、図3を参照されたい)。ナノボディ画分を単量体及び二量体ポリペプチドAの分子量に対応する2つの特異的な画分に分散する(resolved)(分子量マーカーの位置を示す)。SDS−PAGEによる解析(右側のパネル)によると、2つの画分間では全く差異が示されず、このことは自然条件下ではこれらのナノボディが単量体及び二量体として挙動することを示す。二量体は変性すると(SDS洗剤及び熱処理)単量体立体配座に変換される。 低カラム装填量でのポリペプチドAのプロテインA親和性精製の結果を示す図である。限られた量のタンパク質(およそ2.5mg/mlの樹脂)を小さなカラム(400μlの樹脂MabSelectXtra、GE Healthcare)に装填し、グリシン(100mM、pH2.5)の注入により溶出した。溶出ナノボディ(登録商標)溶液のpHを、1MのTris(pH8.8)を使用して迅速に中和した。 ポリペプチドAの親和性精製したプロテインAのサイズ排除クロマトグラフィの結果を示す図である。解析用Superdex75カラム(GE Healthcare)での濃縮ポリペプチドAの分離を示す(画分7、図5を参照されたい)。ナノボディ画分は単量体ポリペプチドの分子量に対応する特定の画分に分散される。 ポリペプチドAのプロテインA溶出の結果を示す図である。前処理したペリプラズム抽出物をプロテインA MabSelectXtraカラムに装填した後、ベースラインが安定するまでPBS洗浄を行った。溶出を、100mMのグリシン(pH2.5)を使用してpH変動により行った(点線)。 ポリペプチドAの単量体及び二量体のサイズ排除クロマトグラフィの結果を示す図である。プレピーク(画分2)が安定性試験に使用された二量体ポリペプチドAを含有している。 二量体ポリペプチドAの熱処理試料のサイズ排除クロマトグラフィの結果を示す図である。ポリペプチドA NFD(0.68mg/mlで)を幾つかの実験に使用した:20μlの二量体画分を90μlのD−PBSで希釈し、異なる温度でインキュベートし、100μlをD−PBS中で平衡にしたSuperdex75(商標)10/300GLカラムで解析した。 ポリペプチドA NFDのpH処理試料のサイズ排除クロマトグラフィの結果を示す図である。ポリペプチドA NFD(0.68mg/mlで)を幾つかの実験に使用した:20μlの二量体試料を100mMのピペラジン(pH10.2)又は100mMのグリシン(pH2.5)90μlで希釈し、4℃で一晩(ON)インキュベートした。対照をD−PBS中でインキュベートした。翌日、試料をSECで解析した。高pHでのインキュベーションは解離に対する影響はなかったが、低pH(グリシン(pH2.5))によりおよそ15%の単量体が得られた。室温で15分間、1%TFA中でのより大胆な(drastic)インキュベーションによりほぼ100%の単量体が得られた。 ポリペプチドA NFDの熱/有機溶媒処理を組合せた試料のサイズ排除クロマトグラフィの結果を示す図である。ポリペプチドA NFD(0.68mg/mlで)を幾つかの実験に使用した:20μlの二量体画分を10%イソプロパノール又は30%イソプロパノール90μlで希釈し、4℃で一晩(ON)又は20℃で15分間インキュベートした。組合せた処理(熱及びイソプロパノール)を15分間行った。対照をD−PBS中でインキュベートした。試料をSECで解析した。有機溶媒との高温でのインキュベーションにより単量体への解離の加速が起こった。 リガンド−NFD複合体形成のサイズ排除クロマトグラフィの結果を示す図である。リガンドA(配列番号6)の試料20μlをHBS−EP(Biacore)+0.5MのNaCl 90μlで希釈し、室温で数時間インキュベートした(リガンドミックス)。それから、NFD又はポリペプチドAを添加し、短時間のインキュベーション(通常30分)後、材料をSECで分散させた。ポリペプチドA(3.91mg/ml):17μl(HBS−EPで10倍希釈)をリガンドミックスに添加し、100μlを注入した。 ポリペプチドA、リガンドA、ポリペプチドA+リガンドA、ポリペプチドAのNFD−Di及びポリペプチドA+リガンドAのNFD−Diの分子量(MW)を、同じ条件下で同じカラム上を移動する分子量標準(Biorad #151−1901)の曲線適合を基に算出した図である(この図の読み取りに関しては表2を参照されたい)。 二量体に存在する単量体A(上部)及びポリペプチドBの単離した単量体(下部)を示す図である。 ポリペプチドB−二量体(NFD−Moの例)を示す図である。単量体Aのフレームワーク4を単量体Bのフレームワーク4に置き換え、また逆に単量体Bのフレームワーク4を単量体Aのフレームワーク4に置き換える。 単量体Bの電子密度を黒色で示す図である。単量体Aは灰色のリボンで示している。 ポリペプチドB(上部)及び45位にProを有するポリペプチドF(下部)を示す図である。 Superdex75 XK 26/60カラムでのプロテインAアフィニティカラムから溶出した材料のサイズ排除クロマトグラフィの結果を示す図である。 ポリペプチドB及びポリペプチドB−二量体の存在下での蛍光発光Syproオレンジを示す図である(Alb11=ポリペプチドB)。 グアニジン濃度に応じたポリペプチドB(即ちAlb11)単量体及びポリペプチドB−二量体(即ちAlb11−二量体)のアンフォールディング示す図である。固有の蛍光測定、及びそのためアンフォールディングパラメータとしてCSMを使用することによりアンフォールディングをモニタリングした。 純度をクマシー染色ゲルで解析した結果を示す図である(パネルA:ポリペプチドG、パネルB:ポリペプチドH)。 HSAでのポリペプチドF、ポリペプチドG及びポリペプチドHの結合を示す図である。
実験部:
実施例1:NFDの生成
ポリペプチドA(配列番号1)産生大腸菌クローンの発酵
ポリペプチドA(配列番号1)クローン1(国際公開第2006/122825号パンフレットで開示されるものとして特定される)の発酵を、100μg/mlのカルベニシリンを有するTerrific Broth(Biostat Bplus, Sartorius)中で10リットル規模で行った。前培養物の2%接種材料(TB、2%グルコース、100μg/mlのカルベニシリン中で一晩成長させた)を、生成物培養を開始するのに使用した(22℃/1vvm)。誘導(1mMのIPTGを使用する)を8.0のOD600で開始させた。22℃での短期間誘導の後、細胞ペーストを遠心分離により回収し(Sigma 8K、ローター12510、7000rpmで30分間)、−20℃で凍結させた。
ポリペプチドAの精製
精製ポリペプチドA(単量体及び二量体)を6つの工程から成るプロセスにより生成した:
1.細胞ペレットからの抽出
凍結細胞ペレットを解凍し、細胞をUltra Turrax(Ika Works、S25N−25Gプローブ、11000rpm)を使用して冷PBS中で再懸濁し、4℃で1時間かき混ぜた。この第1のペリプラズム抽出物を遠心分離により回収し、第2の抽出を、得られた細胞ペレットで同様に行った。両方の抽出物は、ペリプラズムポリペプチドA含量が90%超であった(第2の抽出の収率は約25%であった)。
2.酸性化による主要な混入物質の除去
ペリプラズム抽出物を、1Mのクエン酸(VWR(Merck)#1.00244.0500)を使用してpH3.5まで酸性化し(10mMのモル濃度、最終pH3.5)、さらに1MのHClでpHを調整した。溶液を4℃で一晩かき混ぜた。析出したタンパク質及び残屑を遠心分離でペレット状にして沈降させた(pelleted down)。
3.抽出物の精密濾過及び濃縮
Hydrosart 0.20μm膜(305186070 10−−SG、Sartorius)を備えたSartocon Slice Crossflowシステム(17521−101、Sartorius)を使用して上清を無粒子にし、限外濾過により陽イオン交換クロマトグラフィ(CEX)でさらに調製した。CEXに適用するのに必要となる量を、Hydrosart 10000MWCO膜(305144390 1E−−SG、Sartorius)を備えたSartocon Slice Crossflowシステムを使用して限外濾過によりおよそ2リットルに減らした。ここでは、導電率(5mS/cm未満)及びpH(=3.5)が確認された。
4.CEXによる捕捉及び精製
清浄化及び酸性化した上清を、バッファーA(10mMのクエン酸(pH3.5))中で平衡となったSource 30Sカラム(17−1273−01、GE Healthcare)に適用し、結合タンパク質を、10CVの線形勾配で100%Bまで溶出した(1MのNaClのPBS溶液)。ポリペプチドA画分を回収し、4℃で保存した。
5.プロテインAカラムでの親和性精製
ポリペプチドA(量はカラム容量よりはるかに少ない)をプロテインAアフィニティクロマトグラフィ(MabSelect Xtra(商標)、17−5269−07、GE Healthcare)でさらに精製した。1工程溶出を、100mMのグリシン(pH2.5)を使用して行った。回収した試料を、1MのTris(pH7.5)を使用して迅速に中和した(図7を参照されたい)。
6.サイズ排除クロマトグラフィ(任意で、例えばNFDを単離するため、及び/又はNFD量を決定するため)
精製ナノボディ(登録商標)画分を、D−PBS(Gibco#14190−169)中で平衡になったHiload(商標)XK26/60 Superdex75カラム(17−1070−01、GE Healthcare)を使用してSECでさらに分離すると共に、D−PBSへと移した。画分2は二量体ポリペプチドAを含有していた(図8を参照されたい)。
さらなる実験において、ポリペプチドA(配列番号1)をプロテインAカラムに集積させ(その濃度は樹脂1ml当たり5mgをはるかに超えるポリペプチドAであった)、急なpH変動(100mMのグリシン(pH2.5)への1工程のバッファー交換)により溶出した。カラムからのポリペプチドAの溶出中、ポリペプチドAは「局所的に」非常に高濃度で構成される(溶出後の実測値は5mg/mlを超える)溶出の前面に「積み重ねられ(stacked)」、pH変動との組合せにより、約50%の安定した二量体が単離された(図3を参照されたい)。
単量体から二量体への移行はサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)により実証され、これにより二量体化パーセントを決定することが可能になる(図4を参照されたい)。プロテインAでのポリペプチドAの装填量が少ないと(即ちそうでなければ上記と同じ条件下で2mg/mlの樹脂、即ち100mMのグリシン(pH2.5)による1工程溶出)、SEC中では二量体がほとんど検出されなかった(5%未満)(図5及び図6を参照されたい)。同様に、単一可変ドメインを1つ含むポリペプチドのNFD(NFD−Mo)、単一可変ドメインを3つ含むポリペプチドのNFD(NFD−Tri)及びヒト血清アルブミン(HSA)を含むポリペプチドのNFD及び単一可変ドメイン融合体が得られた(表1を参照されたい)。
表1:得られたNFDの例
実施例2:NFDの安定性
ポリペプチドAの精製中、安定した非融合二量体(NFD)を生成した(上記を参照されたい)。この非共有結合的相互作用の安定性及び性質をより理解するために、安定したポリペプチドA NFDを、二量体を単量体に解離することを目的とする特殊な条件に供した。複合体の安定性を3つの基準で評価した:熱安定性、pH安定性、有機溶媒耐性及びそれらの組合せ。
実験構成
ポリペプチドAの調製中、ポリペプチドA NFDを生成し(上記を参照されたい)、−20℃で2.5年間保存した。この二量体材料は、PBS中でのプロテインAクロマトグラフィ及びサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)により得られた。SECでは、単量体と二量体との材料を二量体純度が95%を超える調製物に分離した。解凍時には、約5%の単量体材料が検出された(図9での矢印を参照されたい)。二量体材料の濃度は0.68mg/mlであった。
解析用サイズ排除クロマトグラフィ
Akta Purifier10ワークステーション(GE Healthcare)を使用して、Superdex75 10/300GLカラム(17−5174−01、GE Healthcare)での解析用SECにより、ポリペプチドA NFD二量体の安定性を解析した。カラムは室温(20℃)でD−PBS中で平衡にした。流速は1ml/分を使用した。タンパク質を214nmでの吸光により検出した。ポリペプチドA NFDの試料12μgを注入した。
概略的な(Overview)解析用SECを以下の通りに操作した:
20μlのポリペプチドA NFD+90μlのD−PBS→15分/50℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+90μlのD−PBS→15分/20℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+90μlのD−PBS→30分/45℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+90μlのD−PBS→15分/60℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+90μlのD−PBS→15分/70℃→100μlを解析

20μlのポリペプチドA NFD+100mMのピペラジン(pH10.2)90μl→ON/4℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+100mMのグリシン(pH2.5)90μl→ON/4℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+10%のイソプロパノール90μl→ON/4℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+30%のイソプロパノール90μl→ON/4℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+1%TFA 90μl→ 15分/20℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+30%のイソプロパノール90μl→15分/50℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+30%のイソプロパノール90μl→15分/20℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+30%のイソプロパノール90μl→15分/40℃→100μlを解析
20μlのポリペプチドA NFD+30%のイソプロパノール90μl→15分/45℃→100μlを解析
この材料を幾つかの実験に使用した:20μlの二量体画分を90μlのD−PBS又は他の溶媒で希釈し、異なる条件下でインキュベートして、100μlの試料を解析用SECにより解析した。
試験:
第1の実験組では、温度を上昇させて15分間、インキュベーションを行った後(45℃、50℃、60℃及び70℃)、解析用SECを行った(Superdex 75(商標) 10/300GL)。70℃で15分間のインキュベーションにより、単量体ポリペプチドAへとほぼ完全に移行したのに対し、低温(例えば50℃)でのインキュベーションでは、このような劇的な効果は得られなかった。60℃で15分後、約25%の解離材料を検出した(図9を参照されたい)。
第2の実験組では、ポリペプチドA NFDの安定性に対するpHの効果を探索した。20μlのNFDを100mMのピペラジン(pH10.2)90μl又は100mMのグリシン(pH2.5)90μlと混合し、4℃で一晩(ON)インキュベートした。20μlのNFDを室温で15分間、1%のTFA 90μlと混合し、それから迅速にSECにより解析した。対照をD−PBS中でインキュベートした。翌日、試料をSECにより解析した(図10を参照されたい)。
第3の実験組は組合せた処理から成っていた:温度及び有機溶媒(イソプロパノール)。4℃で一晩、10%又は30%のイソプロパノール中でのインキュベーション、又は室温で15分間の10%又は30%のイソプロパノール中でのインキュベーションのいずれによっても、何ら有意な解離は得られなかった。しかしながら、温度の上昇と有機溶媒との処理を組合せることで、単量体へのかなり迅速な解離が得られた。45℃での又は30%イソプロパノール中でのインキュベーションは単独では効果がなかったが、両方を組合せると(15分間)、単量体へのほぼ完全な解離が得られた。40℃でのイソプロパノール処理によりわずか30%の解離が得られた(図11を参照されたい)。
考察
二量体/単量体平衡の濃度依存的な特性は、生理学的条件下での相互作用の略不可逆性によりさらに実証された。さらに、単量体への二量体の(部分的な)解離に適用するのに必要とされるさらに抜本的な対策(drastic measures)は固有の強い相互作用を提示している。解離は、条件を劇的に変える(例えば2.0より低いpHを適用する)こと、又は分子を高エネルギー条件に供することでしか得られない。温度安定性試験(データ図示せず)は、ポリペプチドA NFDのTmが73℃であり、このため観察される単量体への解離が実際、(部分的な)アンフォールディングと結び付き得ることを示している。
親水性を増大させる、極めて低いpHでプロトン付加と組合せたTFAの可溶化特性によっても解離が起こる。
高温と有機溶媒解離との組合せは、相互作用が主に、例えば疎水性(例えばファンデルワールス力)、水素結合及び/又はイオン相互作用に基づいていることを示している。
これらの二量体を離すのに使用される条件を調べることは、これらの二量体を産生するためのさらなる方法を決定する際に、即ち高いポリペプチド濃度でこれらの手順(例えば75℃より高い温度)を組合せることを研究するのにも有用であり得る。
実施例3:NFDのリガンド結合
解析用サイズ排除クロマトグラフィによるポリペプチドA及びポリペプチドA NFD−DiとのリガンドA(配列番号6)結合試験
リガンドA産生:
リガンドAはポリペプチドAの結合ドメインである、即ちポリペプチドAのエピトープを含むことが知られている(即ちリガンドAはvWFのA1ドメインを表す)。
リガンドA(1.46mg/ml)は振盪フラスコ内でピチア属により産生された。バイオマスをBGCM培地中に産生させた。誘導のために、標準培地をメタノール含有培地(BMCM)に切り替えた。分泌タンパク質を培地からIMACにより捕捉し、さらにヘパリンアフィニティカラムで精製して、最終的にサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)(Superdex75 HiLoad 26/60)により、350mMのNaClの入った50mMのHepesバッファー中に配合した。
Superdex200 10/300GLでの解析用SEC(図12):
ポリペプチドA(2つの予測結合部位を有する)及びその対応するNFD(4つの予測結合部位を有する)を実施例1に開示されるように得て、5倍過剰のリガンドA(配列番号1)に添加した。得られた分子量の変動をサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)により試験した。保持量(retention)の変動は、ポリペプチドA又は対応するNFDと結合するリガンドA分子の数を示す。リガンドAの分子量は約20kDaである。NFD単独又はポリペプチドAとのポリペプチド/リガンドA複合体と比較した、NFD/リガンドA複合体の分子量変動は、結合したNFD又はポリペプチドA当たりのリガンドAの数を示す(表2を参照されたい)。
概略的な解析用SECをSuperdex75 10/300GLで操作する
(B7)040308.1:リガンド−NFD複合体5μlミックス(4℃で一晩保存)+80μlのバッファーA
(B7)040308.2:20μlの分子量マーカー+80μlのバッファーA
(B7)040308.3:リガンド複合体20μl+90μlのバッファーA(室温で4時間)+ポリペプチドA(17μl 10倍希釈)(解析前に室温で30分)
(B7)040308.4:ポリペプチドA(90μlのバッファーA中、17μl)
(B7)040308.5:バッファーA(室温で1時間)中のリガンド+ポリペプチドA(解析前に室温で15分)
(B7)040308.6:リガンド+バッファーA+NFD
(B7)040308.7:室温で1時間後の停止(rest)試料番号6
(B7)040308.8:バッファーA+NFD
表2:MWは、同じ条件下で同じカラムで操作した分子量標準(Biorad #151−1901)の曲線適合に基づき算出した(図13を参照されたい)。
予測MWの相関関係は、2つを超えるリガンド(SECでのリガンドA複合体の不規則な挙動からおそらくは3つ、また4つの可能性もある)がNFDに結合していることを示す。
実施例4:ポリペプチドBとのNFDのさらなる特徴付け
実施例4.1:非融合二量体:ポリペプチドBの結晶構造
結晶化
初めにタンパク質を約30mg/mLの濃度まで濃縮した。精製タンパク質をおよそ1200個の異なる条件による結晶化試験に使用した。標準的な戦略を使用し、温度、タンパク質濃度、滴下速度のような、結晶化に強く影響するパラメータを体系的に変更して、初めに得られた条件を最適化した。これらの条件は、pH又は沈殿剤濃度を体系的に変更することによっても改善された。
データ回収及び処理
結晶を100Kの温度で急速冷凍すると共に測定した。極低温状態を使用して、SWISS LIGHT SOURCE(SLS、Villingen, Switzerland)で結晶からX線回折データを回収した。
結晶は、非対称ユニットで2つの分子を有する空間群P2に属する。データを、XDS及びXSCALEプログラムを使用して処理した。データ回収統計値を表3で要約する。
構造のモデル化及び精密化
構造を決定及び解析するのに必要となる位相情報を分子置換により得た。
その後、ソフトウェアパッケージCCP4及びCOOTを用いた標準的なプロトコルに従って、モデル構築及び精密化を実施した。最終モデルの正確性を交差検証するための評価基準であるR因子の算出のために、1.6%の測定された反射を精密化手順から除いた(表4)。
リガンドのパラメータ化を、CHEMSKETCHプログラムで行った。LIBCHECK(CCP4)を対応するライブラリファイルの作成に使用した。
最終構造及び精密化プロセスの統計値を表4に列挙する。
全体構造
結晶の非対称ユニットは2つの単量体から構成される。ナノボディは電子密度図により十分に分散される。
構造
ポリペプチドB二量体を形成する、2つのポリペプチドB−単量体(NFD−Mo)は適切にフォールディングされたCDR1及びCDR2及びフレームワーク1〜フレームワーク3を有する。フレームワーク4残基(カバットナンバリングスキームによると残基103〜113)を2つの単量体間で交換する。これにより、二量体に存在する両方の単量体のアンフォールディングCDR3が得られる(図14を参照されたい)。二量体形成は、両方の単量体間でのQ105からSer113までのβ鎖の交換により媒介される(図15を参照されたい)。鎖交換は電子密度により完全に規定される(図16を参照されたい)。
二量体を形成する単量体のフレームワーク1〜フレームワーク3並びにCDR1及びCDR2の残基は、従来のVHHフォールドを有しており、正しくフォールディングされたポリペプチドBのVHHドメイン上でほぼ完璧に重ね合わせることができる(骨格rmsd<0.6Å)。ポリペプチドBと同様の配列を有するVHHドメインの構造と比較した、ポリペプチドBにおけるCDR3の安定化の低減は、フレームワーク4が交換された二量体化の原因の1つであり得る。45位にプロリンを有するポリペプチドBのわずかに変更された形態はY91とL98の主鎖との間の水素結合を示す。この水素結合はCDR3立体配座に対する安定化効果を有する。
ポリペプチドBでは45位にロイシンがあるため、チロシン91はロイシン98の主鎖との水素結合を形成することができない。これにより、ポリペプチドBにおけるCDR3立体配座の安定化の低減が起こる(図17)。
実施例4.2:ポリペプチドBとのNFDの安定性及び様々な他の研究
ポリペプチドBの産生及び単離
標識していない(Tagless)ポリペプチドBは、1mMのIPTGによる一晩誘導後、28℃で大腸菌TOP10株において過剰発現した。集菌後、培養物を4500rpmで30分間遠心分離し、細胞ペレットを−20℃で凍結させた。その後、ペレットを解凍し、300mMのNaClを含有する50mMのリン酸バッファー中で再懸濁し、室温で2時間振盪した。懸濁液を4500rpmで60分間遠心分離し、抽出物からの細胞残屑を取り除いた。その後、ポリペプチドBを含有する上清を、Aktaクロマトグラフシステムに組み込んだPoros MabCapture Aカラムに装填した。D−PBSで広範にアフィニティカラムを洗浄した後、結合ポリペプチドBタンパク質を100mMのグリシン(pH2.7)バッファーで溶出した。酸でカラムから溶出した画分を、1.5MのTRIS(pH8.5)バッファーを添加することにより迅速に中和した。この段階で、タンパク質は既に、予測される分子量の単一バンドだけがクマシー染色SDS−PAGEゲル上で観察されるくらい非常に純粋である。ポリペプチドBを含有する画分をプールし、その後カットオフ値が5kDaであるポリエーテルスルホン膜(Millipore)による撹拌細胞での限外濾過により濃縮した。その後、濃縮タンパク質溶液をSuperdex75 XK 26/60カラムに装填した。クロマトグラムで(図10を参照されたい)、210mLと240mLとの間で溶出する主ピークとは別に、180mLと195mLとの間で溶出する微小ピークが存在した。
SDS−PAGEでの解析は、両方の主ピークが同じ移動度の単一ポリペプチドを含有していることを明らかにした(図18)。この観察結果は、180mLと195mLとの間で溶出するピークが二量体種であり、210mLと240mLとの間で溶出する材料が単量体であることの第1の指標であった。二量体種及び単量体種の逆相クロマトグラフィ及びLC/MSでのさらなる解析は、その両方が分子量が約12110ダルトンの同じポリペプチドを含有していることを明らかにした。このような方法で、作動させる10L容の発酵槽から、全体で30mgのポリペプチドBの二量体種と1200mgのポリペプチドBの単量体形態とが単離された。
抗原結合特性
ポリペプチドB単量体及びポリペプチドB二量体とヒト血清アルブミンとの結合をビアコア3000機器で表面プラズモン共鳴により試験した。これらの実験では、ヒト血清アルブミンを標準的なアミンカップリング法によりCM5チップ上で固定した。10ナノモル濃度で単量体ポリペプチドB及び二量体ポリペプチドBの両方の結合を試験した。単量体でのみ、結合が観察され、二量体ポリペプチドBではシグナルの増大は全く観察されなかった。
単量体ポリペプチドBと二量体ポリペプチドBとの間の物理化学的特性における差異
蛍光染料Syproオレンジ(5000× 分子プローブ)を、タンパク質の熱アンフォールディングをモニタリングするのに、又はタンパク質での疎水性パッチの存在を検出するのに使用することができる。本実験では、150マイクログラム/mL濃度で単量体ポリペプチドB及び二量体ポリペプチドBをSyproオレンジと混合した(最終濃度 10×)。その後、溶液を石英キュベットに移し、蛍光スペクトルを日本分光株式会社のFP6500機器で読み取った。励起は465nmであり、発光は475nm〜700nmでモニタリングした。図19で示されるように、二量体ポリペプチドBだけでシグナルが強く、ポリペプチドB単量体種では蛍光発光強度の増大は全く観察されなかった。この観察結果は、ポリペプチドBの単量体形態及び二量体形態が異なる立体配座を有することを強く示唆している。
AUC−EQ − 沈降−拡散平衡
材料及び方法
Beckman-Coulter製の解析用超遠心分離機XL−Iを用いて、この機器の光学干渉(interference optics)を利用して実験を行った。20℃の温度で25000rpmと40000rpmとの回転速度でデータを回収した。150μLを12mm径の2つのセクターチタンセンターピース(sector titanium centerpieces)の試料セクターに充填した。試料を標準PBSで希釈し、この標準PBSを光学的参照にも使用した。見掛けの化学及び沈降平衡の到達は、経時的な濃度変化が観察されなくなるまで、連続スキャンを比較することにより検証した。データは、NONLINを使用して、モデル非依存的なM−関数及び様々な明示的モデルを用いて評価した。タンパク質のν及び溶媒の濃度に関しては標準値を使用した。必要に応じて、95%信頼限界を括弧内に与える。
結果
ポリペプチドBは、適合からモル質量が11.92kg/モル(11.86〜11.97kg/モル)であることを見出し、単一の単分散構成要素であると推測される。このことは、濃度0で12.25kg/モルであるモデルフリー解析からの結果と十分一致する。データから推測される自己会合、非理想性又は多分散性を説明する試みは適合の全体的なrmsdを改善しなかった。
ポリペプチドBは同様に明らかにされ、単一の単分散構成要素と推測される直接適合に基づき、モル質量が23.06kg/モル(22.56〜23.44kg/モル)である。モデルフリー解析はモル質量が22.69kg/モルであることを明らかにしている。熱力学的な非理想性からの小さな寄与により適合がわずかに改善したが、モル質量は変わらなかった。
可逆的な自己会合に関する兆候は全く見出すことができなかった。
M(ポリペプチドB−二量体)/M(ポリペプチドB)の比は1.93である。予測される倍数2からの小さい偏差は、ポリペプチドBと比較してポリペプチドB二量体の異なるν、ポリペプチドBがわずかに異なることに起因する異なる希釈率でのわずかな密度差異、わずかに異なる使用バッファー(希釈溶液ではPBS、及びストック溶液ではD−PBS)に起因する希釈率に関するわずかな密度差異、並びに利用可能なデータにより信頼性をもって説明するには小さすぎる非理想性からの寄与により説明することができる。
4℃、25℃及び37℃でのポリペプチドF及びポリペプチドBの安定性試験
D−PBS中で配合された単量体ポリペプチドF及びポリペプチドBの溶液を20mg/mLまで濃縮し、4℃、25℃及び37℃で保存した。3週間後及び6週間後、試料をPhenomenex製のBioSep SEC S−2000カラムでサイズ排除クロマトグラフィにより解析した。ポリペプチドF及びポリペプチドBの両方のSECクロマトグラムでは、プレピークの存在は、37℃で保存した試料のクロマトグラムでのみ観察された。二量体に対応するプレピークは、4℃、25℃で保存した試料、又は−20℃で保存した参照材料で観察されなかった。
以下の表5では、ポリペプチドF及びポリペプチドBの両方に関して、37℃で保存した試料中に存在する二量体パーセント(総面積に対する二量体の面積パーセントとして表す)をまとめた。この表で観察され得るように、ポリペプチドBはポリペプチドFよりも二量体形成しやすいと考えられる。
別々の実験において、製剤バッファー中の賦形剤としてのマンニトールの効果を評価した。この場合、単量体ポリペプチドBを、D−PBS又は5%マンニトールを含有するD−PBS中でそれぞれ、18mg/mLのタンパク質濃度で配合した。試料を37℃で保存し、2週間、4週間、6週間及び8週間後のPhenomenex製のBioSep SEC S−2000カラムでサイズ排除クロマトグラフィにより解析した。
以下の表6では、D−PBS及びD−PBS/5%マンニトール中で保存したポリペプチドBに関して、37℃で保存した試料中に存在する二量体パーセント(総面積に対する二量体の面積パーセントとして表す)をまとめた。この表で示されるように、バッファー中のマンニトールの存在は、37℃でのポリペプチドBの二量体形成の速度に明らかな影響がある。
別の実験において、D−PBS中で、5mg/ml、10mg/mL及び20mg/mLの濃度で単量体ポリペプチドF及びポリペプチドBの両方の溶液を37℃で保存した。6週間後、試料をPhenomenex製のBioSep SEC S−2000カラムでサイズ排除クロマトグラフィにより解析した。以下の表では、5mg/mL、10mg/mL及び20mg/mLで保存したポリペプチドF及びポリペプチドBに関して、37℃で保存した試料中に存在する二量体パーセント(総面積に対する二量体の面積パーセントとして表す)をまとめた。本実験から、先で見られるように、ポリペプチドFよりもポリペプチドBでより迅速に二量体形成が進行することだけでなく、二量体形成の速度はタンパク質濃度に大きく依存することも分かった。
同様に、二量体及び可能性としては多量体形成は、ポリペプチドB及び他の単一可変ドメインを含むポリペプチド、例えばポリペプチドNを1つ及び治療標的と結合するナノボディを2つ(例えば治療標的に指向性を有する同一のナノボディを2つ)含むポリペプチドで観察された。例えばポリペプチドB及び他のナノボディを含む上記ポリペプチドの二量体/多量体形成は、液体製剤を含有するマンニトールで配合された場合、減速又は場合によってはほとんど回避される場合がある。二量体(NFD)及び他の可能な高次の多量体の形成を低減又は回避するのが有益であると考えられる他のポリオール及び/又は糖が表8に挙げられる。任意の緩衝剤、生物学的に有効な量の本発明のポリペプチド、およそ0.6Mほどの濃度のマンニトール、及びポリオール、非還元型糖、NaCl又はアミノ酸を含む他の賦形剤から成り得る、多種多様の液体製剤が有用であり得る。
ポリペプチドB及びポリペプチドB二量体のカオトロピック薬剤誘導性のアンフォールディング
カオトロピック薬剤誘導性のアンフォールディングはタンパク質の安定性を評価するのに頻繁に使用される技法である。カオトロピック薬剤誘導性のアンフォールディングをモニタリングするために、トリプトファン又はチロシン残基の固有の蛍光を使用することができる。アンフォールディングパラメータとして、「スペクトル質量中心」(CSM=Σ(蛍光強度×波数)/Σ(蛍光強度))を使用することができる。ポリペプチドB単量体及びポリペプチドB二量体によるアンフォールディング実験を、0M〜6Mの濃度範囲でグアニジン溶液中、25μg/mLで行った。これらの溶液の一晩インキュベーション後、蛍光スペクトルを日本分光株式会社のFP−6500機器で読み取った。励起は295nmであり、スペクトルは310nm〜440nmで読み取った。スペクトルデータを使用して、CSM値を、上記式を使用して算出した。図20では、グアニジン濃度に関してCSMを示す。図20で示されるように、ポリペプチドB(即ちAlb11)二量体はより高いグアニジン濃度でアンフォールディングし、本発明者らは、単量体が、ポリペプチドB−二量体よりも安定性が低いと結論付けている。
実施例5:ポリペプチドG及びポリペプチドHとのNFDのさらなる特徴付け
ポリペプチドFの異なる突然変異体を構築、発現及び精製した。配列情報を以下に与える。
純度をクマシー染色ゲル(図21)及びウェスタンブロット法で解析した。
ビアコアにおける血清アルブミンとの結合
ナノボディとヒト血清アルブミン(HSA)との結合は、ビアコア3000機器での表面プラズモン共鳴により特徴付けされ、平衡定数Kが決定される。要するに、HSAは、反応単位の増大が500に達するまで、アミンカップリングによりCM5センサーチップ表面に共有結合した。残りの反応基は不活性化した。ナノボディ結合を、異なる濃度列を使用して評価した。それぞれのナノボディ(商標)濃度を45μl/分の流速で4分間注入し、チップ結合抗原との結合を可能にした。次にナノボディなしで、結合バッファーを同じ流速でチップによって送り、結合ナノボディを解離させた。15分後、残りの結合分析物を、再生溶液(50mMのNaOH)の注入により除去した。
様々な濃度の分析物それぞれでセンサーグラムを得た(図22)。K値を速度論的データ解析により算出した。ポリペプチドH(EPの代わりにGLを導入して、特にPをLに置き換える、図17及び上記実施例も参照されたい)のkoff速度はより大きい。
表9:HSAとの結合に関してビアコアで求められるような、ポリペプチドFと、ヒト化誘導体であるポリペプチドG及びポリペプチドHとのkoff
保存時の安定性
D−PBS中に配合された単量体ポリペプチドG及びポリペプチドHの溶液を20mg/mLまで濃縮し、4℃、25℃及び37℃で保存した。3週間後及び6週間後、試料をPhenomenex製のBioSep SEC S−2000カラムでサイズ排除クロマトグラフィにより解析した。
表A:配列表:
用いられている用語及び表現は、説明するために使用され、限定するものではなく、図示及び説明される特徴、又はその一部の任意の同等物を排除するそれらの用語及び表現の使用は意図されない。様々な修正が本発明の範囲内で可能であることが認識される。
本明細書中に記載の参考文献は全て、特に本明細書中の上記で言及される教示は、参照により援用される。
好ましい態様:
1. 安定したNFD
2. 安定したNFD溶液。
3. 単一可変ドメインを少なくとも1つ含むポリペプチドを濃縮する工程を含むプロセスによって、及び/又は例えば1週間〜4週間、例えば4週間のような長期間にわたって、高温、例えば融点に近い温度又は例えば37℃で保存する工程を含むプロセスによって得ることができる安定したNFD。
4. 単一可変ドメイン(複数可)及びリンカーから成るポリペプチドを濃縮する工程を含むプロセスによって得ることができる安定したNFD。
5. 該濃縮する工程をアフィニティクロマトグラフィ又はイオン交換クロマトグラフィにより行う、態様2又は4に記載の安定したNFD。
6. 該濃縮する工程をプロテインAカラムで行い、大量のポリペプチド(例えば樹脂プロテインA 1ml当たり2mg〜5mg)が該カラムに装填される、態様2〜5に記載の安定したNFD。
7. 該ポリペプチドが急なpH勾配により溶出される、例えば1工程でのpH変化が2である、態様5又は6に記載の安定したNFD。
8. 該NFDが−20℃で最大2年間にわたって安定している、態様1〜7に記載の安定したNFD。
9. 該NFDが4℃で最大2週間にわたって安定している、態様1〜8に記載の安定したNFD。
10. 該NFDが50℃で最大15分間にわたって安定している、態様1〜9に記載の安定したNFD。
11. 該NFDが酸性pHで安定している、態様1〜10に記載の安定したNFD。
12. 該NFDが長期間にわたって酸性pHで安定している、態様1〜11に記載の安定したNFD。
13. 該NFDが長期間にわたって塩基性pHで安定している、態様1〜12に記載の安定したNFD。
14. 該NFDがpH3〜pH8で安定している、態様1〜13に記載の安定したNFD。
15. 該NFDがpH2.5〜pH8で安定している、態様1〜14に記載の安定したNFD。
16. 該NFDが4℃で4週間、pH3〜pH8で安定している、態様1〜15に記載の安定したNFD。
17. 該NFDが有機溶媒と混合した場合に安定している、態様1〜16に記載の安定したNFD。
18. 該NFDがアルコール、例えばイソプロパノールと混合した場合に安定している、態様1〜17に記載の安定したNFD。
19. 該NFDが30%(v/v)のアルコール、例えばイソプロパノールと混合した場合に安定している、態様1〜18に記載の安定したNFD。
20. NFDとその標的分子との解離定数が、その対応する単量体構成要素と上記標的分子との解離定数とほぼ同じである、態様1〜19に記載の安定したNFD。
21. その標的分子との特異的な結合が存在しない、態様1〜20に記載の安定したNFD。
22. NFDとその標的分子との解離定数が、その対応する単量体構成要素と上記標的分子との解離定数の30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である、態様1〜21に記載の安定したNFD。
23. NFDとその標的分子との解離定数が、100nM以下、好ましくは10nM以下、より好ましくは1nM以下である、態様1〜22に記載の安定したNFD。
24. NFDとその標的分子とのkoff値が、その対応する単量体構成要素のkoff値とほぼ同じである、態様1〜23に記載の安定したNFD。
25. NFDとその標的分子とのkoff値が、その対応する単量体構成要素のkoff値よりも90%超、より好ましくは50%超、さらにより好ましくは40%超、さらにより好ましくは30%超、さらにより好ましくは20%超、最も好ましくは10%超高くない、態様1〜24に記載の安定したNFD。
26. NFDとその標的分子とのkoff値が、その対応する単量体構成要素のkoff値よりも50%超高くない、態様1〜25に記載の安定したNFD。
27. NFDとその標的分子とのkoff値が、その対応する単量体構成要素のkoff値よりも10%超高くない、態様1〜26に記載の安定したNFD。
28. 単一可変ドメインがVHH、ヒト化VHH、親和性成熟、安定化した若しくはそうでなければ改変VHH又はこれらの構築物等のナノボディである、態様1〜27に記載の安定したNFD。
29. 単一可変ドメインが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10から成る群から選択され、好ましくは配列番号2である、態様1〜28に記載の安定したNFD。
30. 単一可変ドメインが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10から成る群から選択され、好ましくは配列番号2である、態様1〜28に記載の安定したNFD。
31. 単一可変ドメインが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10から成る群から選択され、好ましくは配列番号2であり、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10のいずれか、好ましくは配列番号2と少なくとも70%、より好ましくは80%、さらにより好ましくは90%、さらにより好ましくは90%、最も好ましくは95%同一性である機能的配列を有する、態様1〜30に記載の安定したNFD。
32. 単一可変ドメインが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10から成る群から選択され、好ましくは配列番号2であり、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10のいずれか、好ましくは配列番号2と少なくとも70%、より好ましくは80%、さらにより好ましくは90%、さらにより好ましくは90%、最も好ましくは95%同一性である機能的配列を有し、上記配列がそれらの標的分子(複数可)と特異的に結合し、より好ましくは二重特異性又は多重特異性であれば、それらの標的分子の少なくとも1つに対して100nM以下の解離定数、さらにより好ましくは10nM以下の解離定数、最も好ましく1nM以下の解離定数を有する、態様1〜31に記載の安定したNFD。
33. 態様1〜32に記載のNFDの機能的断片。
34. 単一可変ドメインを少なくとも1つ含むポリペプチドであって、上記単一可変ドメインの少なくとも1つが例えば態様1〜32に記載のNFDを形成することができる、ポリペプチド。
35. 態様1〜32に記載のNFD、態様33に記載の機能的断片、又は態様34に記載のポリペプチドを含む、調製物。
36. 態様1〜32に記載のNFD、態様33に記載の機能的断片、又は態様34に記載のポリペプチドを含む、調製物であって、NFDとその対応する単量体構成要素との比が、約1部のNFD対1部の対応する単量体構成要素〜約1部のNFD対2部の対応する単量体構成要素である、調製物。
37. 態様1〜32に記載のNFD、態様33に記載の機能的断片、又は態様34に記載のポリペプチドを含む、調製物であって、NFDとその対応する単量体構成要素との比が、約1部のNFD対1部の対応する単量体構成要素〜約2部のNFD対1部の対応する単量体構成要素である、調製物。
38. 態様1〜32に記載のNFD、態様32に記載の機能的断片、又は態様33に記載のポリペプチドを含む、調製物であって、NFDとその対応する単量体構成要素との比が25%NFD:75%単量体構成要素である、調製物。
39. 態様1〜32に記載のNFD、態様33に記載の機能的断片、又は態様34に記載のポリペプチドを含む、調製物であって、NFDとその対応する単量体構成要素との比が75%NFD:25%単量体構成要素である、調製物。
40. 態様1〜32に記載のNFD、態様33に記載の機能的断片、又は態様34に記載のポリペプチドを作製する方法であって、疎水性相互作用に有利に働く条件を有する方法工程を含む、方法。
41. 上記方法工程が精製工程である、態様40に記載のNFDを作製する方法。
42. 上記方法工程内で、該条件が、部分的なタンパク質のアンフォールディングを促進するようなものである、態様40に記載のNFDを作製する方法。
43. 上記方法工程が精製工程である、態様42に記載のNFDを作製する方法。
44. NFDを作製する方法であって、例えばアフィニティクロマトグラフィカラム、例えばプロテインA又はIMACで単一可変ドメイン(複数可)を含む上記ポリペプチドと結合することにより、上記NFDの単量体構成要素を上方濃縮する工程を含む、方法。
45. NFDを作製する方法であって、アフィニティクロマトグラフィカラム、例えばプロテインA又はIMACで単一可変ドメイン(複数可)を含むポリペプチドと結合すると共に、上記ポリペプチドの放出を可能にするpH工程で溶出する工程を含む、方法。
46. NFDを作製する方法であって、アフィニティクロマトグラフィカラム、例えばプロテインAで単一可変ドメイン(複数可)を含むポリペプチドと結合すると共に、1カラム容量以内での上記ポリペプチドの放出を可能にするpH工程で溶出する工程を含む、方法。
47. 限外濾過の工程を含む、NFDを作製する方法。
48. 限外濾過を低塩条件下で行う、態様46に記載の方法。
49. 高温で長時間にわたって単一可変ドメインを少なくとも1つ含む適切なポリペプチドを保存する方法工程を含む、態様1〜32に記載のNFDを作製する方法。
50. 上記高温が37℃であり、時間が1週間、2週間、3週間、4週間、5週間又は6週間、好ましくは4週間である、態様49に記載のNFDを作製する方法。
51. 上記高温が部分的なタンパク質のアンフォールディングを促進するようなものであり、曝露が1週間、2週間、3週間、4週間、5週間又は6週間、好ましくは4週間にわたる、態様49又は50に記載のNFDを作製する方法。
52. 上記高温がポリペプチドの融点に近く、曝露が1週間、2週間、3週間、4週間、5週間又は6週間、好ましくは4週間にわたる、態様49〜51に記載のNFDを作製する方法。
53. 上記単一可変ドメインのCDR3が不安定化する、態様48〜52に記載のNFDを作製する方法。
54. 上記単一可変ドメインが、例えばVHH、ヒト化VHH、親和性成熟、安定化又はそうでなければ改変VHH等のナノボディである、態様49〜53に記載のNFDを作製する方法。単一可変ドメイン(複数可)、例えばVHH、ヒト化VHH、親和性成熟、安定化又はそうでなければ改変VHH等のナノボディを含む単量体ポリペプチドを作製する方法であって、上記ポリペプチドの作製における工程のそれぞれが、10%(w/w)、より好ましくは5%(w/w)、さらにより好ましくは4%(w/w)、さらにより好ましくは3%(w/w)、さらにより好ましくは2%(w/w)、さらにより好ましくは1%(w/w)、最も好ましくは0.1%(w/w)を超える対応するNFDを生成しない、方法。
55. 上記方法における工程のそれぞれが疎水性相互作用に有利に働く条件を避ける、態様54に記載の方法。
56. 疎水性相互作用に有利に働く上記条件が、高濃度の上記ポリペプチド、即ち例えば樹脂カラム材料1ml当たりポリペプチドが10mgを超える濃度の上記ポリペプチドであり、このため上記相互作用を避ける方法は、その作製工程のそれぞれにおいてこのような条件を避ける、態様54又は55に記載の方法。
57. 例えばアフィニティカラムのカラム装填量を慎重に評価し、カラムの過剰装填を避ける、即ちカラム最大装填量を求める必要があり、ここで10%(w/w)、より好ましくは5%(w/w)、さらにより好ましくは4%(w/w)、さらにより好ましくは3%(w/w)、さらにより好ましくは2%(w/w)、さらにより好ましくは1%(w/w)、最も好ましくは0.1%(w/w)を超えるNFDは生成されない、態様56に記載の方法。
58. NFDを欠いている、又はNFDが50%、より好ましくは40%、さらにより好ましくは30%、さらにより好ましくは20%、最も好ましくは10%以下である、態様53〜56に記載の単一可変ドメイン(複数可)、例えばVHH、ヒト化VHH、親和性成熟、安定化又はそうでなければ改変VHH等のナノボディを含む単量体ポリペプチドを作製する方法であって、上記方法における工程のそれぞれが疎水性相互作用に有利に働く条件を避け、ここで例えば該方法がプロテインA工程から成ることはない及び/又は該方法が、上記単一可変ドメインが部分的にアンフォールディングされる条件を避ける、例えばCDR3が、例えばポリペプチドの融点に近い温度又は例えば37℃等の高温で、例えば数週間、例えば4週間のような長時間にわたって、不安定化及び/又は部分的にアンフォールディングされる、方法。
59. 二量体化しやすいポリペプチド、例えば態様1〜態様32に記載のポリペプチド、例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10の少なくとも1つを含むポリペプチド、例えばポリペプチドBを含むポリペプチドとポリオールとを含む医薬製剤。
60. ポリオールが例えば0.6M以下の濃度である、態様59に記載の医薬製剤。
61. ポリオールがソルビトール、マンニトール、キシリトール、リビトール及び/又はエリスリトールである、態様59又は60に記載の医薬製剤。
62. ポリオールがマンニトールであり、例えば0.6M以下のマンニトール濃度である、態様59〜61に記載の医薬製剤。
63. ポリペプチドがポリペプチドBを含む、態様59〜62に記載の医薬製剤。
64. 例えばスクロース及び/又はトレハロース等の非還元型糖と、任意でNaCl及び/又はアミノ酸とをさらに含む、態様59〜63に記載の医薬製剤。
65. 液体製剤である、態様59〜64に記載の医薬製剤。
66. 乾燥形態で、例えば凍結乾燥により調製される、態様59〜64に記載の医薬製剤。
67. 注入物質として使用される、態様59〜64に記載の医薬製剤。
68. 皮下製剤として使用される、態様59〜64に記載の医薬製剤。
69. NFD、NFD断片、又は態様1〜68に記載の、例えば本明細書中で記載のNFDを形成することができる(又は形成している)単一可変ドメインを含むポリペプチドであって、単一可変ドメインが、Spinelli et al, FEBS Letters 564 (2004) 35-40に記載のVHH−R9ではない、NFD、NFD断片、又は態様1〜68に記載の、例えば本明細書中で記載のNFDを形成することができる(又は形成している)単一可変ドメインを含むポリペプチド。

Claims (15)

  1. 少なくとも1つの単一可変ドメインを含むポリペプチドを濃縮する工程を含む方法によって得ることができる安定したNFD。
  2. 単一可変ドメインが、VHH、ヒト化VHH、親和性成熟、安定化若しくはそうでなければ改変VHH又はこれらの構築物等のナノボディである、請求項1に記載の安定したNFD。
  3. 単一可変ドメインが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10から成る群から選択される、請求項1に記載の安定したNFD。
  4. 単一可変ドメインが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10から成る群から選択される、請求項1に記載の安定したNFD。
  5. 単一可変ドメインが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10から成る群から選択され、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10のいずれかと少なくとも70%同一性である機能的配列を有する、請求項1に記載の安定したNFD。
  6. 単一可変ドメインが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10から成る群から選択され、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号9及び配列番号10のいずれかと少なくとも70%の同一性を示す機能的配列を有し、前記配列がそれらの標的分子の内の少なくとも1つと特異的に結合する、請求項1に記載の安定したNFD。
  7. ポリペプチドが、単一可変ドメイン(単数又は複数)、リンカー(単数又は複数)から本質的に成る、請求項1〜6のいずれか一項に記載の安定したNFD。
  8. 濃縮する工程をプロテインAカラムで行い、大量のポリペプチド(例えば樹脂プロテインA 1ml当たり2mg〜5mg)が該カラムに装填される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の安定したNFD。
  9. NFDとその標的分子との解離定数がその対応する単量体構成要素と前記標的分子との解離定数とほぼ同じである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の安定したNFD。
  10. NFDとその標的分子との特異的な結合が存在しない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の安定したNFD。
  11. NFDとその標的分子との解離定数が100nM以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の安定したNFD。
  12. 少なくとも1つの単一可変ドメインを含むポリペプチドであって、前記単一可変ドメインの少なくとも1つが請求項1〜11のいずれか一項に記載のNFDを形成することができる、ポリペプチド。
  13. 疎水性相互作用が好まれる条件を有する方法工程を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のNFDを作製する方法。
  14. 少なくとも1つの単一可変ドメイン、例えばナノボディを含む請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリペプチドの単量体ポリペプチドを作製する方法であって、
    前記ポリペプチドを作製する方法のそれぞれの工程が、50%、好ましくは40%、より好ましくは30%、より好ましくは20%、さらにより好ましくは10%を超える対応NFDを生成せず、及び
    前記方法のそれぞれの工程が、疎水性相互作用が好まれる条件を避け、及び/又は
    前記方法が、前記単一可変ドメインが一部アンフォールディングされる、例えばCDR3が、例えば数週間、例えば4週間のような長時間にわたって、該ポリペプチドの融点に近い温度又は例えば37℃のような高温で一部アンフォールディングされる条件を避けるものである、
    単量体ポリペプチドを作製する方法。
  15. i)二量体化しやすいナノボディを含むポリペプチド、及びii)ポリオール
    を含む医薬製剤。
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