JP2011523353A - 細胞透過のための過剰に荷電されたタンパク質 - Google Patents

細胞透過のための過剰に荷電されたタンパク質 Download PDF

Info

Publication number
JP2011523353A
JP2011523353A JP2011507588A JP2011507588A JP2011523353A JP 2011523353 A JP2011523353 A JP 2011523353A JP 2011507588 A JP2011507588 A JP 2011507588A JP 2011507588 A JP2011507588 A JP 2011507588A JP 2011523353 A JP2011523353 A JP 2011523353A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
overcharged
complex
amino acid
positively charged
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011507588A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011523353A5 (ja
Inventor
デイビッド アール. リュー,
ブライアン アール. マクノートン,
ジェイムス ジョセフ クロニカン,
デイビッド ビー. トンプソン,
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Harvard College
Original Assignee
Harvard College
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Harvard College filed Critical Harvard College
Publication of JP2011523353A publication Critical patent/JP2011523353A/ja
Publication of JP2011523353A5 publication Critical patent/JP2011523353A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

Abstract

本発明は、過剰に荷電されたタンパク質または過剰に荷電されたタンパク質と作用物質(例えば、核酸、ペプチド、タンパク質、小分子)の複合体を細胞に送達するための組成物、調製物、システムおよび関連方法を提供する。そのようなシステムおよび方法は、過剰に荷電されたタンパク質の使用を含む。例えば、過剰に正に荷電されたタンパク質を(典型的には正味負電荷を有する)核酸と静電相互作用によって会合させることができる。いくつかの実施形態において、そのようなシステムおよび方法は、そのタンパク質を「過剰に荷電させる」(例えば、過剰に正に荷電されたタンパク質を生じさせる)ためにタンパク質の一次配列を改変することを含む。いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質と送達すべき1つ以上の作用物質とを含む複合体は、治療薬として有用である。

Description

関連出願
本発明は、米国特許法§119(e)の下、2008年4月28日に出願された米国仮特許出願第61/048,370号および2008年10月14日に出願された米国仮特許出願第61/105,287号(これらの各々は、参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
政府の支援
本発明は、National Institutes of Health/NIGMSによって授与された契約番号R01 GM 065400の下、米国政府の支援によってなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
治療、診断または他の用途に応じて使用するためのものである作用物質の有効性は、多くの場合、生物活性の所望の変化を誘導するために細胞膜または組織を透過するその能力に大いに依存する。タンパク質であろうと、核酸であろうと、有機小分子であろうと、無機小分子あろうと、多くの治療薬、診断または他の製品候補が、インビトロで有望な生物活性を示すが、多くの場合、不適当なインビボ生体内分布を生じさせる結果となる生理化学的特性のため、多くのものは、ターゲット細胞に到達してまたはそれらを透過して所望の効果を達成することができない。
特に、核酸は、有効な治療薬としておよび研究ツールとして大きな潜在能力を有する。siRNA媒介遺伝子調節の一般性および配列特異性は、遺伝子特異的治療薬としてのsiRNAの使用の可能性を提起した(非特許文献1;参考として本明細書に援用されている)。短い干渉性RNA(siRNA)による遺伝子発現の抑制も、遺伝子およびタンパク質機能を研究するための価値のあるツールとして浮上してきた(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)。しかし、siRNAなどの核酸の細胞への送達は、予想できないことが判明しており、典型的には役に立たない。細胞への核酸の有効な送達の一つの障害は、核酸を取り込むように細胞を誘導することである。細胞への核酸の送達を助長することができる作用物質を特定するために多くの研究がなされてきた。細胞培養物にsiRNAをトランスフェクトするために、市販のカチオン性脂質試薬が典型的には使用されている。しかし、カチオン性脂質ベースのsiRNA送達の有効性は、細胞タイプによって大きく異なる。また、一部の一次ニューロン、T細胞、線維芽細胞および上皮細胞系をはじめとする多数の細胞系は、一般的なカチオン性脂質トランスフェクション技術に対して耐性であることを明示した(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)。エレクトロポレーション(非特許文献9;参考として本明細書に援用されている)およびウイルス媒介siRNA送達(非特許文献10;非特許文献11;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)をはじめとする代替トランスフェクションアプローチも用いられているが;これらの方法は、細胞毒性である場合があり、または予想できない様式で細胞機能を乱す場合があり、および被験体における治療薬としての核酸(例えば、siRNA)の送達にはあまり価値がない。
核酸送達の挑戦に取り組む最近の努力は、様々な新たな核酸送達の足掛かりをもたらした。これらの方法としては、リピドイド(lipidoids)(Akincら、2008、Nat.Biotechnol.、26:561−69;参考として本明細書に援用されている)、カチオンポリマー(SeguraおよびHubbell、2007、Bioconjug.Chem.、18:736−45;参考として本明細書に援用されている)、無機ナノ粒子(SokolovaおよびEpple、Angew Chem.Int.Ed.Engl.、47:1382−95;参考として本明細書に援用されている)、カーボンナノチューブ(Liuら、2007、Angew Chem.Int.Ed.Engl.、46:2023−27;参考として本明細書に援用されている)、細胞透過性ペプチド(Deshayesら、2005、Cell Mol.Life Sci.、62:1839−49;およびMeadeおよびDowdy、2008、Adv.Drug Deliv.Rev.、60:530−36;これらの両方が参考として本明細書に援用されている)、および化学修飾siRNA(Krutzfeldtら、2005、Nature 438:685−89;参考として本明細書に援用されている)が挙げられる。これらの送達システムのそれぞれが、特定の用途には恩恵をもたらすが、殆どの場合、細胞毒性、調製の容易さ、安定性または一般性については疑問が残る。従って、有意な細胞毒性を伴わずに様々な細胞系に核酸(例えば、siRNA)を有効に送達することができる、容易に調製される試薬には依然として相当な関心が寄せられている。
Bumcrotら、Nat.Chem.Biol.(2006)2:711−19 Dorsettら、Nat.Rev.Drug Discov.(2004)3:318−29 Dykxhoornら、Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.(2003)4:457−67 Elbashirら、Nature(2001)411:494−98 Carlottiら、Mol.Ther.(2004)9:209−17 Maら、Neuroscience(2002)112:1−5 McManusら、J.Immunol.(2002)169:5754−60 Straitら、Am.J.Physiol.Renal Physiol.(2007)293:F601−06 Jantschら、J.Immunol.Methods(2008)337:71−77 Brummelkampら、Cancer Cell(2002)2:243−47 Stewartら、RNA(2003)9:493−501
RNAi療法および他の核酸ベースの療法に関する現在の関心を考えると、核酸ならびに他の作用物質(例えば、ペプチド、タンパク質、小分子)を様々な細胞タイプに予測どおりにおよび効率的に送達するために用いることができる試薬およびシステムが当該技術分野において依然として必要とされている。
本発明は、タンパク質上の総表面電荷の増加または減少を生じさせる(今後、「過剰に荷電させる」と言う)ように修飾されたタンパク質を使用する、核酸および他の作用物質(例えば、ペプチド、タンパク質、小分子)を細胞に送達するための新規システム、組成物、調製物および関連方法を提供する。従って、過剰に荷電させることを用いて、過剰に荷電されたタンパク質、または一緒に複合体を形成する過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質(単数もしくは複数)のインビボまたはインビトロでの細胞への侵入を促進することができる。そのようなシステムおよび方法は、遺伝子工学で作られた過剰に荷電されたタンパク質の使用を含む場合があり、これらに限定されないが、荷電部分の該タンパク質への取り付けばかりでなくアミノ酸配列の変更を含むものを含めて、すべてのそのような修飾を包含し得る。遺伝子工学で作られた過剰に荷電されたタンパク質の例は、国際PCT特許出願、2007年12月13日にWO 2007/143574として発行された2007年6月1日出願のPCT/US07/70254;ならびに米国特許仮出願、2006年6月2日出願のU.S.S.N.60/810,364および2006年8月9日出願のU.S.S.N.60/836,607(これらのそれぞれが、「Protein Surface Remodeling」と題し、およびこれらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)に記載されている。薬物送達に有用な過剰に荷電されたタンパク質のさらなる例は、本明細書にも記載する。本発明は、天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質を使用して、一緒に複合体を形成する会合している作用物質の細胞透過を増進させる、または天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質それ自体の細胞透過を増進させることも考えている。典型的には、遺伝子工学で作られたまたは天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質は、正電荷を有する。ある実施形態では、過剰に正に荷電されたタンパク質を、静電相互作用によって(一般には正味負電荷を有する)核酸と会合させ、それによってその核酸の細胞への送達を助長することができる。別の方法で、過剰に正に荷電されたタンパク質と送達すべき核酸とを、共有結合的にまたは非共有結合的に会合させて、送達することもできる。ペプチドまたは小分子などの他の作用物質を、送達すべきその作用物質と共有結合するまたは別様に会合する(例えば、静電相互作用)過剰に荷電されたタンパク質を使用して、細胞に送達することもできる。ある実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質を二次タンパク質配列と融合する。例えば、ある実施形態では、送達すべき作用物質および過剰に荷電されたタンパク質を一緒に、単一ポリペプチド鎖内で融合タンパク質として発現させる。ある実施形態において、融合タンパク質は、過剰に荷電されたタンパク質と他のタンパク質成分の間にリンカー、例えば切断可能なリンカーを有する。ある実施形態では、送達すべき作用物質と、過剰に荷電されたタンパク質、例えば、過剰に正に荷電されたタンパク質とを、切断可能なリンカー(例えば、プロテアーゼまたはエステラーゼによって切断することができるリンカー、ジスルフィド結合)によって互いに会合させる。本発明において有用な過剰に荷電されたタンパク質、例えば、過剰に正に荷電されたタンパク質は、典型的には、非抗原性、生体分解性、および/または生体適合性である。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、生物活性を有さず、またはいずれの有害な生物活性も有さない。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、過剰に荷電させる前のそのタンパク質によって示される生物活性を減少させるまたは完全に破壊する突然変異または他の改変(例えば、翻訳後修飾、例えば切断または他の共有結合性修飾)を有する。これは、その過剰に荷電されたタンパク質が、それ自体の生物活性のためではなく作用物質の細胞への送達での使用のために興味深いものであるとき、特に興味深い。特定の理論により拘束されることを望まないが、アニオン性細胞表面プロテオグリカンは、そのペイロードに結合した過剰に正に荷電されたタンパク質のアクチン依存性エンドサイトーシスのための受容体としての役割を果たすと考えられる。本発明の過剰に荷電されたタンパク質、または過剰に荷電された、例えば過剰に正に荷電された、タンパク質を使用する送達システムは、他の医薬的に許容され得る賦形剤、例えば、ポリマー、脂質、炭水化物、小分子、ターゲッティング部分、エンドソーム溶解剤、タンパク質、ペプチドなどの使用を含む場合がある。例えば、過剰に荷電されたタンパク質、または過剰に荷電されたタンパク質、例えば過剰に正に荷電されたタンパク質、と送達すべき作用物質との複合体を、マイクロ粒子、ナノ粒子、ピコ粒子、ミセル、リポソーム、または他の送達システムの中に収容するまたはそれらと会合させることができる。他の実施形態では、送達すべき作用物質および過剰に荷電されたタンパク質だけを使用して、その作用物質を細胞に送達する。ある実施形態において、前記過剰に荷電されたタンパク質は、それ自体をまたは会合している作用物質を特定の細胞または組織タイプに送達するために選択される。ある実施形態では、前記過剰に荷電された、例えば過剰に正に荷電された、タンパク質、または送達すべき作用物質および過剰に荷電されたタンパク質を、エンドソーム溶解性小胞を破壊するまたはエンドソームの分解を増進させる作用物質(例えば、クロロキン、ピレン酪酸、融合性ペプチド、ポリエチレンイミン、血球凝集素2(HA2)ペプチド、メリチンペプチド)と併用する。このようにして、送達すべき作用物質のエンドソームからサイトゾルへの脱出を増進させる。
いくつかの実施形態において、本発明のシステムおよび方法は、タンパク質の一次配列を改変して、そのタンパク質を「過剰に荷電させる」ことを含む。他の実施形態において、本発明のシステムおよび方法は、荷電部分をタンパク質に取り付けて、そのタンパク質を「過剰に荷電させる」ことを含む。すなわち、修飾されたタンパク質の全体の正味電荷は、未修飾タンパク質と比較して増加される(より大きな正電荷またはより大きな負電荷のいずれか)。ある実施形態では、タンパク質を過剰に荷電させて、例えば過剰に正に荷電させる、核酸または他の作用物質の細胞への送達を可能にする。任意のタンパク質を「過剰に荷電させる」ことができる。典型的には、タンパク質は、非免疫原性であり、および自然に、または過剰に荷電させることによって、それ自体をまたは会合している作用物質を細胞にトランスフェクトまたは送達する能力を有する。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質の活性は、修飾を伴わないタンパク質とほぼ同じまたは実質的に同じである。他の実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質の活性は、修飾を伴わないタンパク質と比較して実質的に減少される。そのような活性は、それ自体のまたは会合している作用物質、例えば核酸、の本明細書に記載するような細胞への送達に密接に関連していない場合がある。いくつかの実施形態において、タンパク質の過剰に荷電させることは、それ自体をまたは会合している作用物質、例えば核酸、を細胞に送達するそのタンパク質の能力を増加させるばかりでなく、タンパク質の耐凝集性、溶解度、リフォールディング能力、および/または広範な条件下での一般的な安定性を増加させる結果となる。ある実施形態において、前記過剰に荷電されたタンパク質は、それ自体または会合している送達すべき作用物質を特定の細胞タイプ、組織または器官にターゲッティングするのに役立つ。ある実施形態において、タンパク質の過剰に荷電させることは、(a)対象となるタンパク質の表面残基を特定する工程;(b)場合により、対象となるタンパク質に関連した他のタンパク質の間で高度に保存されない特定の表面残基を特定する(すなわち、どのアミノ酸が、そのタンパク質の活性または機能にとって必須でないかを判定する)工程;(c)特定された表面残基の親水性を判定する工程;および(d)特定された荷電または極性、溶媒露出残基の少なくとも1つ以上を、生理的なpHで電荷を有するアミノ酸で置換する工程を含む。国際公開PCT特許出願、2007年12月13日にWO 2007/143574として発行された2007年6月1日出願のPCT/US07/70254;ならびに米国特許仮出願、2006年6月2日出願のU.S.S.N.60/810,364および2006年8月9日出願のU.S.S.N.60/836,607を参照のこと(これらのそれぞれが、「Protein Surface Remodeling」と題し、およびこれらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)。過剰に荷電されたタンパク質の例示的調製方法および方法の使用を説明する例示的タンパク質配列を本明細書に記載する。ある実施形態では、正電荷を有する「過剰に荷電された」タンパク質を作るために、修飾用に特定された残基をリシン(Lys)またはアルギニン(Arg)残基のいずれか(すなわち、生理的なpHで正電荷を有するアミノ酸)に突然変異させる。ある実施形態では、負電荷を有する「過剰に荷電された」タンパク質を作るために、修飾用に特定された残基をアスパラテート(Asp)またはグルタメート(Glu)残基のいずれか(すなわち、生理的なpHで負電荷を有するアミノ酸)に突然変異させる。上記工程のそれぞれは、当該技術分野において公知の任意の技術、コンピュータソフトウェア、アルゴリズム、方法論、パラダイムなどを用いて行うことができる。修飾タンパク質を作製した後、その活性および/または求められている望ましい特性(例えば、核酸または他の作用物質を細胞に送達する能力)についてそれを試験することができる。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、凝集しにくい。ある実施形態において、正電荷を有する「過剰に荷電された」タンパク質(例えば、過剰に正に荷電された緑色蛍光タンパク質(GFP)、例えば+36GFP)は、核酸(例えばsiRNA剤)の細胞(例えば、哺乳動物細胞、ヒト細胞)への送達に有用である。ある実施形態において、本発明のシステムは、通常はトランスフェクションに耐性の細胞(例えば、ニューロン細胞、T細胞、線維芽細胞、および上皮細胞)への核酸の送達を可能にする。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質を遺伝子工学で作るのではなく、天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質を特定し、本発明の薬物送達システムにおいて使用する。天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質の例としては、サイクロン(番号:Q9H6F5)、PNRC1(番号:Q12796)、RNPS1(番号:Q15287)、SURF6(番号:O75683)、AR6P(番号:Q66PJ3)、NKAP(番号:Q8N5F7)、EBP2(番号:Q99848)、LSM11(番号:P83369)、RL4(番号:P36578)、KRR1(番号:Q13601)、RY−1(番号:Q8WVK2)、BriX(番号:Q8TDN6)、MNDA(番号:P41218)、H1b(番号:P16401)、サイクリン(番号:Q9UK58)、MDK(番号:P21741)、ミッドカイン(番号:P21741)、PROK(番号:Q9HC23)、FGF5(番号:P12034)、SFRS(番号:Q8N9Q2)、AKIP(番号:Q9NWT8)、CDK(番号:Q8N726)、ベータ−ディフェンシン(番号:P81534)、ディフェンシン3(番号:P81534);PAVAC(番号:P18509)、PACAP(番号:P18509)、エオタキシン−3(番号:Q9Y258)、ヒストンH2A(番号:Q7L7L0)、HMGB1(番号:P09429)、C−Jun(番号:P05412)、TERF 1(番号:P54274)、N−DEK(番号:P35659)、PIAS 1(番号:O75925)、Ku70(番号:P12956)、HBEGF(番号:Q99075)、およびHGF(番号:P14210)が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質が得られたら、本発明によるシステムおよび方法は、1つ以上の核酸または他の作用物質とその過剰に荷電されたタンパク質を会合させる工程、および結果として得られた複合体と細胞を、その細胞がペイロールを取り込むために適する条件下で接触させる段階を含む。核酸は、DNAである場合もあり、RNAである場合もあり、および/またはそれらのハイブリッドもしくは誘導体である場合もある。ある実施形態において、核酸は、RNAi剤、RNAi誘導剤、短い干渉性RNA(siRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒性DNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、ベクター、プラスミド、ウイルスゲノム、人工染色体などである。いくつかの実施形態において、核酸は、一本鎖である。他の実施形態において、核酸は、二本鎖である。いくつかの実施形態において、核酸は、1つ以上の検出可能な標識(例えば、蛍光タグおよび/または放射性原子)を含む場合がある。ある実施形態では、核酸を(例えば、分解しにくくなるように、またはトランスフェクション効率を向上させるように)修飾または誘導体化する。ある実施形態において、核酸の修飾は、その核酸の分解を防止する。ある実施形態において、核酸の修飾は、その核酸の細胞への送達を助長する。過剰に荷電されたタンパク質を用いて送達することができる他の作用物質としては、小分子、ペプチドおよびタンパク質が挙げられる。その後、結果として得られた複合体を他の医薬的に許容され得る賦形剤(単数または複数)と併せてまたは会合させて、細胞、組織、器官または被験体へのその作用物質の送達に適する組成物を形成することができる。
過剰に荷電されたタンパク質を非共有結合性相互作用によって核酸(または他の作用物質)と会合させて複合体を形成することができる。過剰に荷電されたタンパク質と核酸の共有結合性会合は可能であるが、典型的には核酸の送達には必要ではない。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質を静電相互作用によって核酸と会合させる。他の非共有結合性相互作用または共有結合性相互作用によって過剰に荷電されたタンパク質を核酸と会合させることもできる。過剰に荷電されたタンパク質は、少なくとも+5、+10、+15、+20、+25、+30、+35、+40または+50の正味正電荷を有する場合がある。いくつかの実施形態では、過剰に正に荷電されたタンパク質を、全体の正味負電荷を有する核酸と会合させる。結果として得られる複合体は、正味負電荷を有する場合もあり、正味正電荷を有する場合もある。ある実施形態において、複合体は、正味正電荷を有する。例えば、+36GFPを、負の電荷を有するsiRNAと会合させることができる。
核酸に加えて他の作用物質と過剰に荷電されたタンパク質を非共有結合性または共有結合性相互作用によって会合させることができる。例えば、負の電荷を有するタンパク質と過剰に正に荷電されたタンパク質とを静電相互作用によって会合させることができる。電荷を有さないまたは十分な電荷を有さない作用物質については、その作用物質と過剰に荷電されたタンパク質とを共有結合的に会合させて、その作用物質の細胞への送達を果たすことができる。例えば、ペプチド治療薬を過剰に荷電されたタンパク質と融合させて、そのペプチド治療薬を細胞に送達することができる。ある実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質とペプチドを、切断可能なリンカーによって連結させることができる。しかし別の例を挙げると、細胞への送達のために小分子を過剰に荷電されたタンパク質に結合体化させることができる。非共有結合性相互作用(例えば、リガンド−受容体相互作用、双極子−双極子相互作用など)によって、作用物質を過剰に荷電されたタンパク質と会合させることもできる。
本発明は、過剰に荷電されたタンパク質と送達すべき作用物質の1つ以上の分子とを含む複合体を提供する。いくつかの実施形態において、そのような複合体は、過剰に荷電されたタンパク質1分子につき多数の作用物質分子を含む。いくつかの実施形態において、そのような複合体は、過剰に荷電されたタンパク質1分子につき1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20またはそれ以上の作用物質(例えば、核酸)分子を含む。ある特定の実施形態において、複合体は、おおよそ1個の過剰に荷電されたタンパク質に対しておおよそ1〜2個の核酸分子(例えば、siRNA)を含む。他の実施形態において、そのような複合体は、作用物質1分子につき多数のタンパク質分子を含む。いくつかの実施形態において、そのような複合体は、作用物質1分子につき1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20またはそれ以上のタンパク質分子を含む。ある実施形態において、そのような複合体は、作用物質おおよそ1分子と過剰に荷電されたタンパク質おおよそ1分子を含む。ある実施形態において、作用物質/過剰に荷電されたタンパク質複合体の全体の正味電荷は、負である。ある実施形態において、作用物質/過剰に荷電されたタンパク質複合体の全体の正味電荷は、正である。ある実施形態において、作用物質/過剰に荷電されたタンパク質複合体の全体の正味電荷は、中性である。ある特定の実施形態において、核酸/過剰に荷電されたタンパク質複合体の全体の正味電荷は、正である。
もう一つの態様において、本発明は、本発明によるa)1つ以上の過剰に荷電されたタンパク質;b)過剰に荷電されたタンパク質と送達すべき作用物質との1つ以上の複合体;またはc)a)の1つ以上もしくはb)の1つ以上と、少なくとも1つの医薬的に許容され得る賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。組成物中の複合体の量は、細胞において所望の生体応答を誘導するために、例えば、細胞における特定の遺伝子の発現を増加させるまたは減少させるために有用な量である。ある実施形態では、特定の細胞、細胞タイプ、組織または器官に作用物質の送達を方向づけるために使用されるターゲッティング部分(例えば、小分子、タンパク質、ペプチド、炭水化物など)と複合体を会合させる。
いくつかの実施形態において、遺伝子工学によって作られたまたは天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質、または過剰に荷電されたタンパク質と1つ以上の核酸とを含む複合体(および/またはそれらの医薬組成物)は、治療薬として有用である。いくつかの実施形態において、核酸および/または過剰に荷電されたタンパク質は、治療活性を有する。ある実施形態において、核酸は、治療活性を有する。例えば、一部の状態(例えば、癌、炎症性疾患)は、一定のmRNAおよび/またはタンパク質の発現と関係づけられる。発現されるmRNAをターゲットにするRNAi剤と会合している過剰に荷電されたタンパク質は、そのような状態の治療に有用であり得る。あるいは、一部の状態(例えば、癌、先天性代謝異常)は、一定のmRNAおよび/またはタンパク質の発現不良と関係づけられる。不完全なmRNAおよび/またはタンパク質の発現を誘導するベクターと会合している過剰に荷電されたタンパク質は、そのような状態の処置に有用であり得る。
本発明は、本発明の過剰に荷電されたタンパク質もしくは過剰に荷電されたタンパク質/作用物質複合体もしくはそれらの組み合わせの生産、および/または過剰に荷電されたタンパク質もしくは作用物質を細胞にトランスフェクトもしくは送達するためのそのような複合体の使用に有用なキットも提供する。本発明のキットは、本発明の過剰に荷電されたタンパク質もしくは複合体またはそれらの医薬組成物の投与または使用についての指示書も含む場合がある。例えば、キットは、医薬組成物を被験体に処方するための指示書を含む場合がある。キットは、作用物質の多数の単回投与に十分な材料を含む場合がある。キットを治療または研究のために設計することができる。キットは、送達すべき作用物質(例えば、siRNA、ペプチド、薬物)を場合によっては含むことがあり、もしくは使用者がその作用物質を供給できる。
本発明は、過剰に荷電されたタンパク質もしくは過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質またはその両方を細胞に導入する方法も提供する。本発明の方法は、過剰に荷電されたタンパク質、または過剰に荷電されたタンパク質およびその過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質を細胞と、例えば、前記過剰に荷電されたタンパク質、または過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質の細胞への透過を可能にする条件下で、接触させる工程、それによって過剰に荷電されたタンパク質、もしくは過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質、またはその両方を細胞に導入する工程を含む。ある実施形態では、十分な過剰に荷電されたタンパク質または作用物質が細胞に進入して、次のうちの1つ以上の検出が可能となる:細胞中の過剰に荷電されたタンパク質もしくは作用物質;細胞の生物学的特性、例えば細胞の増殖速度、遺伝子発現パターンもしくは生存率、の変化;または過剰に荷電されたタンパク質もしくは作用物質の生物学的作用の検出。ある実施形態において、接触は、インビトロで行われる。ある実施形態において、接触は、インビボで、例えば、被験体、例えばヒトまたは他の動物、の体内で行われる。一つのインビボ実施形態では、被験体において検出可能な効果、例えば治療効果、を生じさせるために十分な過剰に荷電されたタンパク質、作用物質、またはその両方が、細胞内に存在する。一つのインビボ実施形態では、透過された1つ以上の細胞または組織のイメージングを可能にするために十分な過剰に荷電されたタンパク質、作用物質またはその両方が、細胞内に存在する。ある実施形態では、観察されるまたは検出可能な効果が、細胞透過から生ずる。
本発明は、過剰に荷電されたタンパク質を細胞透過について評価する方法であって、過剰に荷電されたタンパク質を場合によっては選択する工程;前記過剰に荷電されたタンパク質を提供する工程;および前記過剰に荷電されたタンパク質と細胞とを接触させ、その過剰に荷電されたタンパク質が細胞を透過するかどうかを決定し、それによって過剰に荷電されたタンパク質を細胞透過について評価する工程を含む、方法も提供する。
本発明は、過剰に荷電されたタンパク質を細胞透過について評価する方法であって、過剰に荷電させるべきタンパク質を選択する工程;変更すべき1つまたは複数の残基のセットを得て、過剰に荷電されたタンパク質を生成する工程であって、本明細書に記載する方法によって生成されたものであるセットを得る工程(この得る工程は、そのセットを生成すること、またはそのセットの1つ以上の構成員の素性を他の関係者から受け取ることを含む);前記変更される残基のセットを有する過剰に荷電されたタンパク質を(例えば、それを作ることまたは別の関係者から受け取ることによって)提供する工程;および前記過剰に荷電されたタンパク質と細胞とを接触させ、その過剰に荷電されたタンパク質が細胞を透過するかどうかを決定し、それによって過剰に荷電されたタンパク質を細胞透過について評価する工程を含む、方法も提供する。この方法によって、関係者は、過剰に荷電されたタンパク質を開発することまたはそうするために他の者と共同研究することができる。
定義
送達すべき作用物質:本明細書において用いる場合、「送達すべき作用物質」というフレーズは、被験体、器官、組織、細胞、細胞内現場、および/または細胞外マトリックス現場に送達することができる任意の物質を指す。いくつかの実施形態において、送達すべき作用物質は、生物活性作用物質であり、すなわち、生体系および/または生物において活性を有する。例えば、生物に投与されたとき、その生物に対して生物学的作用を及ぼす物質を生物活性であると考える。特定の実施形態において、送達すべき作用物質が生物活性作用物質である場合、作用物質の少なくとも1つの生物活性を全体として共有するその作用物質の一部分を、典型的に、「生物活性」部分と呼ぶ。いくつかの実施形態において、送達すべき作用物質は、治療薬である。本明細書において用いる場合、「治療薬」は、被験体に投与されたとき、有益な効果を及ぼす任意の作用物質を指す。用語「治療薬」は、被験体に投与されたとき、治療、診断および/もしくは予防効果を及ぼす、ならびに/または所望の生物学的および/もしくは薬理学的作用を惹起する、任意の作用物質を指す。本明細書において用いる場合、用語「治療薬」は、過剰に荷電されたタンパク質とのその会合によって細胞に送達される核酸である場合がある。ある実施形態において、送達すべき作用物質は、核酸である。ある実施形態において、送達すべき作用物質は、DNAである。ある実施形態において、送達すべき作用物質は、RNAである。ある実施形態において、送達すべき作用物質は、ペプチドまたはタンパク質である。ある実施形態において、送達すべき作用物質は、小分子である。いくつかの実施形態において、送達すべき作用物質は、インビボまたはインビトロイメージング剤として有用である。これらの実施形態の一部においてそれは生物活性であり、他においてそれは生物活性でない。
動物:本明細書において用いる場合、用語「動物」は、動物界の任意の構成員を指す。いくつかの実施形態において、「動物」は、任意の成長段階のヒトを指す。いくつかの実施形態において、「動物」は、任意の成長段階の非ヒト動物を指す。ある実施形態において、非ヒト動物は、哺乳類(例えば、齧歯動物、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類またはブタ)である。いくつかの実施形態において、動物としては、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、および蠕虫が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子操作された動物、またはクローンである。
おおよそ:本明細書において用いる場合、対象となる1つ以上の値に適用されるときの用語「おおよそ」または「約」は、述べられている参照値に類似している値を指す。ある実施形態において、用語「おおよそ」または「約」は、別様に述べられていないまたはその文脈から別様に明らかでない限り、述べられている参照値のどちらの方向にでも25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ以下(大きいまたは小さい)の範囲内に入る値の範囲を(そのような数が、可能な値の100%を超える場合を除き)指す。
と会合している:本明細書において用いる場合、2つ以上の部分に関して用いられるときの用語「と会合している」、「結合体化している」、「連結している」、「付いている」および「係留されている」は、その部分が、その構造が用いられる条件、例えば生理条件下で物理的に会合したままであるために十分安定な構造を形成するように、それらの部分が、互いに直接、または連結剤としての役割を果たす1つ以上の追加の部分によって、物理的に会合または連結していることを意味する。典型的には、過剰に荷電されたタンパク質は、非共有結合(例えば、静電相互作用)を含むメカニズムによって核酸と会合している。ある実施形態では、正電荷を有する過剰に荷電されたタンパク質と核酸が静電相互作用によって会合して、複合体を形成する。いくつかの実施形態では、十分な数のより弱い相互作用によって、部分は、様々な異なる条件下で物理的に会合したままであるために十分な安定性を得ることができる。ある実施形態において、送達すべき作用物質は、過剰に荷電されたタンパク質に共有結合している。
生体適合性:本明細書において用いる場合、用語「生体適合性」は、細胞に対して毒性でない物質を指す。いくつかの実施形態において、物質は、インビボでの細胞へのその添加が、インビボで炎症および/または他の有害作用を誘導しない場合、「生体適合性」と考えられる。いくつかの実施形態において、物質は、インビボまたはインビトロでの細胞へのその添加が、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、または約5%未満の細胞死を生じさせる結果となる場合、「生体適合性」と考えられる。
生体分解性:本明細書において用いる場合、用語「生体分解性」は、生理条件下で分解する物質を指す。いくつかの実施形態において、生体分解性物質は、細胞機械によって破壊される物質である。いくつかの実施形態において、生体分解性物質は、化学的プロセスによって破壊される物質である。
生物活性:本明細書において用いる場合、「生物活性」というフレーズは、生態系および/または生物において活性を有する任意の物質の特性を指す。例えば、生物に投与されたとき、その生物に対して生物学的作用を及ぼす物質を、生物活性と考える。特定の実施形態では、核酸が生物活性である場合、全核酸の少なくとも1つの生物活性を共有する核酸の一部を、典型的に、「生物活性」部分と呼ぶ。
炭水化物:用語「炭水化物」は、糖または糖のポリマーを指す。用語「糖類」、「多糖類」、「炭水化物」および「オリゴ糖類」を同義で用いることがある。大部分の炭水化物は、多くのヒドロキシル基、通常はその分子のそれぞれの炭素原子上に1個のヒドロキシル基、を有するアルデヒドまたはケトンである。炭水化物は、一般に、分子式C2nを有する。炭水化物は、単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖類、または多糖類である場合がある。最も基本的な炭化水素は、単糖類、例えば、グルコース、スクロース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロースおよびフルクトースである。二糖類は、2つの連結された単糖類である。例示的二糖類としては、スクロース、マルトース、セロビノースおよびラクトースが挙げられる。典型的にはオリゴ糖類は、3個と6個の間の単糖類単位(例えば、ラフィノース、スタキオース)を含み、および多糖類は、6個以上の単糖類単位を含む。例示的多糖類としては、デンプン、グリコーゲンおよびセルロースが挙げられる。炭水化物は、修飾された糖類単位、例えば、ヒドロキシル基が除去されている2’−デオキシリボース、ヒドロキシル基がフッ素で置換されている2’−フルオロリボース、またはN−アセチルグルコサミン、グルコース(例えば、2’−フルオロリボース、デオキシリボースおよびヘキソース)の窒素含有形態を含有する場合がある。炭水化物は、多数の異なる形態、例えば、配座異性体、環式形態、非環式形態、立体異性体、互変異性体、アノマー、および異性体で存在することがある。
特性部分:本明細書において用いる場合、物質の「特性部分」という用語は、最も広義で、ある程度の配列および/もしくは構造同一性ならびに/または少なくとも1つの機能的特性を関連無損傷物質と共有するものである。例えば、タンパク質またはポリペプチドの「特性部分」は、タンパク質またはポリペプチドの特性を協力して示す、アミノ酸の連続伸長部、またはアミノ酸の連続伸長部の集まりを含有するものである。いくつかの実施形態において、それぞれのそのような連続伸長部は、一般に、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも50、またはそれ以上のアミノ酸を含有するであろう。核酸の「特性部分」は、核酸の特性を協力して示す、ヌクレオチドの連続伸長部、またはヌクレオチドの連続伸長部の集まりを含有するものである。いくつかの実施形態において、それぞれのそのような連続伸長部は、一般に、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも50、またはそれ以上のヌクレオチドを含有するであろう。いくつかの実施形態において、特性部分は、生物活性である。
保存される:本明細書において用いる場合、用語「保存される」は、比較される2つ以上の関連配列の同じ部分に変わることなく存在する、ポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列のヌクレオチドまたはアミノ酸残基をそれぞれ指す。相対的に保存されるヌクレオチドまたはアミノ酸は、より関係性の高い配列間で、それらの配列内の他の場所に出現するヌクレオチドまたはアミノ酸より保存されるものである。いくつかの実施形態において、2つ以上の配列は、それらが互いに100%同一である場合、「完全に保存される」と言われる。いくつかの実施形態において、2つ以上の配列は、それらが互いに少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合、「高度に保存される」と言われる。いくつかの実施形態において、2つ以上の配列は、それらが互いに約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%同一、約98%同一、または約99%同一である場合、「高度に保存される」と言われる。いくつかの実施形態において、2つ以上の配列は、それらが互いに少なくとも30%同一、少なくとも40%同一、少なくとも50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合、「保存される」と言われる。いくつかの実施形態において、2つ以上の配列は、それらが、互いに約30%同一、約40%同一、約50%同一、約60%同一、約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%同一、約98%同一、または約99%同一である場合、「保存される」と言われる。
発現:本明細書において用いる場合、核酸配列の「発現」は、次の事象の1つ以上を指す:(1)DNA配列からのRNAテンプレートの(例えば、転写による)生産;(2)RNA転写産物の(例えば、スプライシング、エディティング、5’キャップ形成、および/または3’末端プロセッシングによる)プロセッシング;(3)ポリペプチドまたはタンパク質へのRNAの翻訳;および(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。
機能性:本明細書において用いる場合、「機能性」生体分子は、生体分子であって、それを特徴づける特性および/または活性を示す形態でのものを指す。
融合タンパク質:本明細書において用いる場合、「融合タンパク質」は、第二のタンパク質部分とのペプチド結合を有する第一のタンパク質部分、例えば過剰に荷電されたタンパク質、を含む。ある実施形態において、融合タンパク質は、単一融合遺伝子によってコードされる。
遺伝子:本明細書において用いる場合、用語「遺伝子」は、当該技術分野において理解されているとおりのその意味を有する。用語「遺伝子」が、遺伝子調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)および/またはイントロン配列を包含し得ることは、通常の当業者には理解されるであろう。遺伝子の定義が、タンパク質をコードするのではなく、むしろ機能性RNA分子、例えばRNAi剤、リボザイム、tRNAなど、をコードする核酸への言及を含むことは、さらに理解されるであろう。明瞭さのために、本発明者らは、本出願において用いる場合の用語「遺伝子」が、タンパク質をコードする核酸の部分を一般には指すことを注記する。通常の当業者には文脈から明らかであろうが、この用語は、調節配列を場合によっては包含し得る。この定義は、用語「遺伝子」の非タンパク質コーディング配列単位への適用を排除するためのものではなく、むしろ、本書類において用いるときのこの用語が、殆どの場合、タンパク質コーディング核酸を指すことを明らかにするためのものである。
遺伝子産物または発現産物:本明細書において用いる場合、用語「遺伝子産物」または「発現産物」は、一般に、遺伝子(プロセッシング前および/または後)から転写されたRNAまたは遺伝子から転写されたRNAによってコードされたポリペプチド(修飾前および/または後)を指す。
緑色蛍光タンパク質:本明細書において用いる場合、用語「緑色蛍光タンパク質」(GFP)は、青色光線に暴露されたときに緑色蛍光を発するくらげAequorea victoriaからそもそも単離されたタンパク質またはそのようなタンパク質の誘導体(例えば、そのタンパク質の過剰に荷電されたバージョン)を指す。野生型GFPのアミノ酸配列は、次の通りである:
少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%相同であるタンパク質も緑色蛍光タンパク質と考えられる。ある実施形態では、緑色蛍光タンパク質を過剰に荷電させる。ある実施形態において、緑色蛍光タンパク質を過剰に正に荷電させる(例えば、本明細書に記載するような+15GFP、+25GFP、および+36GFP)。ある実施形態では、そのタンパク質の精製を容易にするためにポリヒスチジンタグを含むようにGFPを修飾することができる。ある実施形態では、GFPを別のタンパク質またはペプチド(例えば、血球凝集素2(HA2)ペプチド)と融合させることができる。ある実施形態では、GFPを生物学的にまたは化学的にさらに修飾すること(例えば、翻訳後修飾、タンパク質分解など)ができる。
相同性:本明細書において用いる場合、用語「相同性」は、ポリマー分子間、例えば核酸分子(例えば、DNA分子および/もしくはRNA分子)間ならびに/またはポリペプチド分子間の総体的関係性を指す。いくつかの実施形態において、ポリマー分子は、それらの配列が、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である場合、互いに「相同」であると考えられる。いくつかの実施形態において、ポリマー分子は、それらの配列が、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%類似している場合、互いに「相同」であると考えられる。必然的に、用語「相同の」は、少なくとも2つの配列(ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列)間の比較を指す。本発明によると、2つのヌクレオチド配列は、それらがコードするポリペプチドが、少なくとも約20アミノ酸の少なくとも1つの伸長部について少なくとも約50%同一、少なくとも約60%同一、少なくとも約70%同一、少なくとも約80%同一、または少なくとも約90%同一である場合、相同であると考えられる。いくつかの実施形態において、相同ヌクレオチド配列は、一意的に指定される少なくとも4〜5アミノ酸の伸長部をコードする能力を特徴とする。相同と考えられる核酸配列については、これらのアミノ酸の互いに関する同一性および近似的間隔の両方を考えなければならない。長さが60ヌクレオチド未満のヌクレオチド配列については、一意的に指定された少なくとも4〜5アミノ酸の伸長部をコードする能力によって相同性を決定する。本発明によると、2つのタンパク質配列は、それらのタンパク質が、少なくとも20アミノ酸の少なくとも1つの伸長部について少なくとも約50%同一、少なくとも約60%同一、少なくとも約70%同一、少なくとも約80%同一、または少なくとも約90%同一である場合、相同であると考えられる。
親水性:本明細書において用いる場合、「親水性」物質は、極性分散媒に可溶性であり得る物質である。いくつかの実施形態において、親水性物質は、極性分散媒と一時的に結合することができる。いくつかの実施形態において、親水性物質は、水素結合によって極性分散媒と一時的に結合することができる。いくつかの実施形態において、前記極性分散媒は水である。いくつかの実施形態において、親水性物質は、イオン性である場合がある。いくつかの実施形態において、親水性物質は、非イオン性である場合がある。いくつかの実施形態において、ある物質は、別の物質に比べて、それが他の物質より水、極性分散媒または水性分散媒に溶けるので、親水性である。いくつかの実施形態において、ある物質は、別の物質に比べて、それが他の物質より油、非極性分散媒または疎水性分散媒に溶けないので、親水性である。
疎水性:本明細書において用いる場合、「疎水性」物質は、非極性分散媒に可溶性であり得る物質である。いくつかの実施形態において、疎水性物質は、極性分散媒からはじかれる。いくつかの実施形態において、前記極性分散媒は水である。いくつかの実施形態において、疎水性物質は、非極性である。いくつかの実施形態において、ある物質は、別の物質と比べて、それが他の物質より油、非極性分散媒または疎水性分散媒に溶けるので、疎水性である。いくつかの実施形態において、ある物質は、別の物質に比べて、それが他の物質より水、極性分散媒または親水性分散媒に溶けないので、疎水性である。
同一性:本明細書において用いる場合、用語「同一性」は、ポリマー分子間、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子および/もしくはRNA分子)間ならびに/またはポリペプチド分子間の総体的関係性を指す。2つの核酸配列間の同一性パーセントの計算は、例えば、最適な比較のために2つの配列をアラインすることによって行うことができる(例えば、最適なアラインメントのために第一の核酸配列および第二の核酸配列の一方またはもしくは両方にギャップを導入することができ、ならびに比較のために非同一配列を無視することができる)。ある実施形態において、比較のためにアラインする配列の長さは、その参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。その後、対応するヌクレオチド位置のヌクレオチドを比較する。第一の配列におけるある位置が、第二の配列における対応する位置と同じヌクレオチドによって占められているときには、それらの分子は、その位置では同一である。2配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数およびそれぞれのギャップの長さを考慮に入れて、それらの配列が共有する同一の位置の数の関数である。2配列間の配列の比較および同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて遂行することができる。例えば、2ヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、Computational Molecular Biology、編者:Lesk,A.M.、Oxford University Press、New York、1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、編者:Smith,D.W.、Academic Press、New York、1993;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、編者:Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.、Humana Press、New Jersey、1994;およびSequence Analysis Primer、編者:Gribskov,M.およびDevereux,J.、M Stockton Press、New York、1991(これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)に記載されているものなどの方法を用いて決定することができる。例えば、2ヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、PAM120重量残基表と12のギャップ長ペナルティーと4のギャップペナルティーを用いるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているMeyersおよびMillerのアルゴリズム(CABIOS、1989、4:11−17)を用いて決定することができる。あるいは、2ヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマトリックスを用いるGCGソフトウェアパッケージの中のGAPプログラムを用いて決定することができる。配列間の同一性パーセントを決定するために一般に利用されている方法としては、参考として本明細書に援用されているCarillo,H.およびLipman,D.、SIAM J Applied Math.、48−1073(1998)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。同一性を決定するための技術は、一般に利用できるコンピュータプログラムに体系的にまとめられている。2配列間の相同性を決定するための例示的コンピュータソフトウェアとしては、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research、12(1)、387(1984))、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.、215,403(1990))が挙げられるが、これらに限定されない。
遺伝子の発現を阻害する:本明細書において用いる場合、「遺伝子の発現を阻害する」というフレーズは、遺伝子の発現産物の量の減少を引き起こすことを意味する。発現産物は、遺伝子から転写されたRNA(例えば、mRNA)である場合もあり、または遺伝子から転写されたmRNAから翻訳されたポリペプチドである場合もある。典型的には、mRNAレベルの低下は、それらから翻訳されるポリペプチドレベルを低下させる結果となる。発現レベルは、mRNAまたはタンパク質を測定するための標準的な技術を用いて決定することができる。
インビトロ:本明細書において用いる場合、用語「インビトロ」は、生物(例えば、動物、植物または微生物)内部でではなく、人工的環境において、例えば、試験管または反応器内、細胞培養中、ペトリ皿の中、などで発生する事象を指す。
インビボ:本明細書において用いる場合、用語「インビボ」は、生物(例えば、動物、植物または微生物)内部で発生する事象を指す。
単離された:本明細書において用いる場合、用語「単離された」は、(1)(自然界においてであろうと、実験環境においてであろうと)最初に生産されたときにそれが会合していた成分の少なくとも一部から分離された、ならびに/または(2)人間の手で生産、調製および/もしくは製造された、物質またはエンティティーを指す。単離される物質および/またはエンティティーは、それらが最初に会合していた他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれ以上から分離することができる。いくつかの実施形態において、単離された作用物質は、約80%より高い、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%より高い純度である。本明細書において用いる場合、ある物質は、それに他の成分が実質的にない場合、「純粋」である。
マイクロRNA(miRNA):本明細書において用いる場合、用語「マイクロRNA」または「miRNA」は、長さがおおよそ21ヌクレオチド(nt)〜23ntであるRNAi剤を指す。miRNAは、長さが18nt〜26ntの間にわたることがある。典型的には、miRNAは、一本鎖である。しかし、いくつかの実施形態において、miRNAは、少なくとも部分的に二本鎖である場合がある。ある実施形態において、miRNAは、RNAデュプレックス(本明細書では「デュプレックス領域」と呼ぶ)を含むことがあり、場合によっては、1つから3つの一本鎖オーバーハングをさらに含むことがある。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、長さが15bpから29bpにわたり、場合によっては1つまた2つの一本鎖オーバーハングをさらに含むものである、デュプレックス領域を含む。miRNAは、互いにハイブリダイズする2つのRNA分子から形成されることがあり、または代替的に、自己ハイブリダイズ部分を含む単一RNA分子から産生されることがある。一般に、miRNA分子の遊離5’末端は、リン酸基を有し、遊離3’末端は、ヒドロキシル基を有する。miRNAのデュプレックス部分は、必ずではないが通常は、1つ以上の非対合ヌクレオチドからなる1つ以上のバルジを含む。miRNAの一方の鎖は、ターゲットRNAとハイブリダイズする部分を含む。ある実施形態において、miRNAの一方の鎖は、ターゲットRNAの一領域に正確に相補的でなく、これは、そのmiRNAが1つ以上のミスマッチを伴うターゲットRNAにハイブリダイズすることを意味する。いくつかの実施形態において、miRNAの一方の鎖は、ターゲットRNAの一領域に正確に相補的であり、これは、そのmiRNAがミスマッチを伴わないターゲットRNAにハイブリダイズすることを意味する。典型的には、miRNAは、ターゲット転写産物の翻訳を阻害することによって遺伝子発現の阻害を媒介すると考えられる。しかし、いくつかの実施形態において、miRNAは、ターゲット転写産物の分解を引き起こすことによって遺伝子発現の阻害を媒介することがある。
核酸:本明細書において用いる場合、用語「核酸」は、最も広義で、オレゴヌクレオチド鎖に組み込まれているまたは組み込むことができる任意の化合物および/または物質を指す。いくつかの実施形態において、核酸は、ホスホジエステル結合によってオレゴヌクレオチド鎖に組み込まれているまたは組み込むことができる化合物および/または物質である。いくつかの実施形態において、「核酸」は、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を指す。いくつかの実施形態において、「核酸」は、個々の核酸残基を含むオレゴヌクレオチド鎖を指す。本明細書において用いる場合、ヌクレオチドのポリマー(少なくとも2ヌクレオチドの糸)を指すために「オレゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」を同義で用いることがある。いくつかの実施形態において、「核酸」は、RNAならびに一本および/または二本鎖DNAおよび/またはcDNAを包含する。さらに、用語「核酸」、「DNA」、「RNA」および/または類似の用語は、核酸類似体、すなわち、ホスホジエステル主鎖以外の主鎖を有する類似体を含む。例えば、当該技術分野において公知であり、その主鎖にホスホジエステル結合ではなくペプチド結合を有する、いわゆる「ペプチド核酸」は、本発明の範囲内であると考えられる。用語「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの変性バージョンである、および/または同じアミノ酸配列をコードする、すべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質および/またはRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含むことがある。核酸を天然源から精製すること、組換え発現系を使用して生産して場合によっては精製すること、化学的に合成することなどができる。適切な場合、例えば、化学合成分子の場合、核酸は、ヌクレオシド類似体、例えば、化学的に修飾された塩基または糖、主鎖修飾などを有する類似体を含むことがある。別の指示がなければ、核酸配列を5’から3’への方向で提示する。用語「核酸セグメント」は、より長い核酸配列の一部分である核酸配列を指すために本明細書では用いる。多くの実施形態において、核酸セグメントは少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれ以上の残基を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロ−ピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、2−アミノアデノシン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、2−アミノアデノシン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、および2−チオシチジン);化学的に修飾された塩基;生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基);介在塩基;修飾された糖(例えば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース);および/または修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’−N−ホスホロアミダイト結合)である、またはこれらを含む。いくつかの実施形態において、本発明は、「未修飾核酸」に特に関し、「未修飾核酸」は、送達を助長または達成するために化学的に修飾されていない核酸(例えば、ポリヌクレオチド、ならびにヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドをはじめとする残基)を意味する。
ポリマー:本明細書において用いる場合、用語「ポリマー」は、互いに会合している少なくとも2つの反復構造単位(すなわち、「モノマー」)を含む任意の物質を指す。いくつかの実施形態において、モノマーは、互いに共有結合的に会合している。いくつかの実施形態において、モノマーは、互いに非共有結合的に会合している。ポリマーは、ホモポリマーである場合もあり、または2種類以上のモノマーを含むコポリマーである場合もある。配列の点から、コポリマーは、ランダム、ブロック、グラフトである場合があり、またはランダム配列、ブロック配列および/もしくはグラフト配列の組み合わせを含む場合がある。いくつかの実施形態において、ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマーである。いくつかの実施形態において、ブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーである。いくつかの実施形態において、ポリマーは、線状ポリマーまたは分岐ポリマーである場合がある。いくつかの実施形態において、本発明によるポリマーは、本明細書に記載する任意のポリマーのブレンド、混合物、および/または付加体を含む。典型的には、本発明によるポリマーは、有機ポリマーである。いくつかの実施形態において、ポリマーは、親水性である。いくつかの実施形態において、ポリマーは、疎水性である。いくつかの実施形態において、ポリマーは、1つ以上の部分および/または官能基で修飾されている。
タンパク質:本明細書において用いる場合、用語「タンパク質」は、ポリペプチド(すなわち、ペプチド結合によって互いに連結された少なくとも2つアミノ酸の糸)を指す。タンパク質は、アミノ酸以外の部分を含む場合があり(例えば、糖タンパク質である場合があり)および/または別様にプロセッシングまたは修飾されている場合がある。「タンパク質」が、(シグナル配列を用いてまたは用いずに)細胞によって生産されるような完全ポリペプチド鎖である場合もあり、またはその機能性部分である場合もあることは、通常の当業者には理解されるであろう。タンパク質が、例えば1つ以上のジスルフィド結合によって連結されているまたは他の手段によって会合している、1つより多くのポリペプチド鎖を時として含む場合があることは、当業者にはさらに理解されるであろう。ポリペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸、またはその両方を含有する場合があり、および当該技術分野において公知の任意の様々なアミノ酸修飾または類似体を含有する場合がある。有用な修飾は、例えば、結合体化、官能化、または他の修飾(例えば、アルファアミド化)などのための、化学的エンティティー、例えば、炭水化物基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、アミド基、末端アセチル基、リンカーの付加を含む。好ましい実施形態において、ペプチドの修飾は、より安定なペプチド(例えば、より長いインビボ半減期)をもたらす。これらの修飾としては、ペプチドの環化、D−アミノ酸の組み込みなども挙げることができる。いずれの修飾もペプチドの所望の生物活性に実質的に干渉してはならない。ある実施形態において、ペプチドの修飾は、より生物活性が高いペプチドをもたらす。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、アミノ酸類似体、およびこれらの組み合わせを含む場合がある。用語「ペプチド」は、約100未満のアミノ酸長を有するポリペプチドを指すために典型的に用いる。
RNA干渉(RNAi):本明細書において用いる場合、用語「RNA干渉」または「RNAi」は、RNA(このRNAは、ターゲットRNAに実質的に相補的である部分を含む)によって媒介される遺伝子発現の配列特異的阻害および/またはターゲットRNAレベルの低下を指す。典型的には、この実質的に相補的な部分の少なくとも一部は、RNAの二本鎖領域内にある。いくつかの実施形態において、RNAiは、RNAの選択的細胞内分解によって起こる場合がある。いくつかの実施形態において、RNAiは、翻訳的抑制によって起こる場合がある。
RNAi剤:本明細書において用いる場合、「RNAi剤」または「RNAi」は、RNAiメカニズムによって遺伝子発現の阻害を媒介することができる分子に特有の構造を有するRNAであって、場合によっては1つ以上のヌクレオチド類似体または修飾形を含むものを指す。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、ターゲット転写産物の分解を引き起こすことによって遺伝子発現の阻害を媒介する。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、ターゲット転写産物の翻訳を阻害することによって遺伝子発現の阻害を媒介する。一般に、RNAi剤は、ターゲットRNAに実質的に相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、少なくとも部分的に二本鎖である。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、一本鎖である。いくつかの実施形態において、例示的RNAi剤としては、siRNA、shRNA、および/またはmiRNAを挙げることができる。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、天然RNAヌクレオチド(すなわち、アデニン、グアニン、シトシンおよびウラシル)で完全に構成される場合がある。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、1つ以上の非天然RNAヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド類似体、DNAヌクレオチドなど)を含む場合がある。非天然RNA核酸残基を含めることを利用して、RNAi剤をRNAより耐細胞分解性にすることができる。いくつかの実施形態において、用語「RNAi剤」は、RNAi作用(例えば、ターゲットRNAの分解および/または翻訳の阻害)を誘導する任意のRNA、RNA誘導体、および/またはRNAをコードする核酸を指す場合がある。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、ダイサー基質として作用することができる、平滑末端を有する(すなわち、オーバーハングを伴わない)dsRNAを含む場合がある。例えば、そのようなRNAi剤は、免疫応答を廃止するように場合によっては化学的に修飾されていることがある、25塩基対以上の長さである、平滑末端を有するdsRNAを含む場合がある。
RNAi誘導体:本明細書において用いる場合、用語「RNAi誘導剤」は、RNAi剤の活性を送達する、調節するおよび/または修飾する任意のエンティティーを包含する。いくつかの実施形態において、RNAi誘導剤は、ベクター(人間の手によって修飾されていない天然に存在する分子以外)であって、細胞内のその存在が、RNAiを生じさせる結果となり、そのRNAi誘導剤のターゲットになる転写産物の発現低減をもたらすものであるベクターを含む場合がある。いくつかの実施形態において、RNAi誘導剤は、RNAi誘導ベクターである。いくつかの実施形態において、RNAi誘導剤は、RNAi剤と1つ以上に医薬的に許容され得る賦形剤および/または担体とを含む組成物である。いくつかの実施形態において、RNAi誘導剤は、「RNAi誘導ベクター」であり、「RNAi誘導ベクター」は、細胞内のその存在が、RNAi剤(例えば、siRNA、shRNA、および/またはmiRNA)を形成するように自己ハイブリダイズするまたは互いにハイブリダイズする1つ以上のRNAの生産を生じさせる結果となるベクターを指す。様々な実施形態において、この用語は、細胞内のその存在が、RNAi剤を形成するように自己ハイブリダイズするまたは互いにハイブリダイズする1つ以上のRNAの生産を生じさせる結果となるプラスミド、例えば、DNAベクター(この配列は、ウイルスに由来する配列要素を含む場合がある)、またはウイルス(人間の手によって修飾されていない天然に存在するウイルスまたはプラスミド以外)を包含する。一般に、ベクターは、発現シグナル(単数または複数)に作動可能に連結されている核酸を含むので、そのベクターが細胞内に存在するときにRNAi剤を形成するようにハイブリダイズするまたは自己ハイブリダイズする1つ以上のRNAが転写される。従って、ベクターは、RNA(単数もしくは複数)またはその(それらの)前駆体の細胞内合成のためのテンプレートとなる。RNAiを誘導するために、(例えば、ウイルスエンベロープと細胞膜融合の後の)細胞内のウイルスゲノムの存在は、細胞内のウイルスの存在を構成するために十分なものであると考えられる。加えて、RNAiを誘導するために、ベクターは、それが細胞に導入された場合、細胞に進入した場合、または親細胞から遺伝された場合、それが後にその細胞内で修飾またはプロセッシングされるかどうかに関係なく、その細胞内に存在すると考えられる。RNAi誘導性ベクターは、細胞内のそのベクターの存在が、転写産物をターゲットにするRNAi剤を形成するように互いにハイブリダイズするまたは自己ハイブリダイズする1つ以上のRNAの生産を生じさせる結果となる場合、すなわち、細胞内のそのベクターの存在が、転写産物をターゲットにする1つ以上のRNAi剤の生産を生じさせる結果となる場合、転写産物をターゲットにすると考えられる。
短鎖、干渉RNA(siRNA):本明細書において用いる場合、用語「短鎖、干渉RNA」または「siRNA」は、長さがおおよそ19塩基対(bp)であるRNAデュプレックス(本明細書では「デュプレックス領域」と呼ぶ)を含み、場合によっては1つから3つの一本鎖オーバーハングをさらに含む、RNAi剤を指す。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、長さが15bpから29bpにわたるデュプレックス領域を含み、場合によっては1つまたは2つの一本鎖オーバーハングをさらに含む。siRNAは、互いにハイブリダイズする2つのRNA分子から形成される場合があり、あるいは、自己ハイブリダイズする部分を含む単一のRNA分子から生成される場合もある。一般に、siRNA分子の遊離5’末端は、リン酸基を有し、遊離3’末端は、ヒドロキシル基を有する。siRNAのデュプレックス部分は、1つ以上の非対合ヌクレオチドからなる1つ以上のバルジを含む場合があるが、典型的には含まない。siRNAの一方の鎖は、ターゲット転写産物とハイブリダイズする部分を含む。ある実施形態において、siRNAの一方の鎖は、ターゲット転写産物と正確に相補的であり、これは、そのsiRNAが1つのミスマッチも伴わずにターゲット転写産物にハイブリダイズすることを意味する。いくつかの実施形態では、siRNAとターゲット転写産物のターゲットとなる部分との間に1つ以上のミスマッチが存在する場合がある。完全相補性が達成されないいくつかの実施形態では、一般に、いずれのミスマッチもsiRNA末端にまたは付近に位置する。いくつかの実施形態において、siRNAは、ターゲット転写産物の分解を引き起こすことによって遺伝子発現を媒介する。
短いヘアピンRNA(shRNA):本明細書において用いる場合、用語「短いヘアピンRNA」または「shRNA」は、RNAiを媒介するために十分な長さ(典型的には、少なくともおおよそ19bpの長さ)の二本鎖(デュプレックス)構造を形成するようにハイブリダイズしているまたはハイブリダイズすることができる少なくとも2つの相補部分と、ループを形成する、典型的にはおおよそ1ヌクレオチド(nt)とおおよそ10ntの間にわたる長さの、少なくとも1つの一本鎖部分とを有するRNAを含むRNAi剤を指す。いくつかの実施形態において、shRNAは、15bpから29bpにわたる長さのデュプレックス部分と、ループを形成する、典型的にはおおよそ1ntとおおよそ10ntの間にわたる長さの、少なくとも1つの一本鎖部分とを含む。デュプレックス部分は、1つ以上の非対合ヌクレオチドからなる1つ以上のバルジを含む場合があるが、典型的には含まない。いくつかの実施形態において、siRNAは、ターゲット転写産物の分解を引き起こすことによって遺伝子発現の阻害を媒介する。shRNAは、保存された細胞RNAi機械によってsiRNAにプロセッシングされると考えられる。従って、shRNAは、siRNAの前駆体であり得る。それにもかかわらず、siRNAは、一般に、siRNAに似て、ターゲットRNAの発現を阻害することができる。
小分子:一般に、「小分子」は、実験室において調製される、または自然界において見つけられる、実質的にペプチドでなく、オリゴマーでない有機化合物を指す。本明細書において用いる場合、「天然産物様」である化合物を指す場合があるが、用語「小分子」は、「天然産物様」化合物に限定されない。どちらかというと、小分子は、いくつかの炭素−炭素結合を含有し、1500g/mol未満、1250g/mol未満、1000g/mol未満、750g/mol未満、500g/mol未満、または250g/mol未満の分子量を有することを典型的には特徴とするが、本発明のために、この特徴づけは、限定的であると解釈されない。ある他の実施形態では、天然産物様小分子を利用する。
類似性:本明細書において用いる場合、用語「類似性」は、ポリマー分子間、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子および/もしくはRNA分子)間ならびに/またはポリペプチド分子間の総合的関連性を指す。ポリマー分子の互いとの類似性パーセントの計算は、類似性パーセントの計算が、当該技術分野において理解されているような保存的置換を考慮にいれることを除き、同一性パーセントの計算と同様に行うことができる。
安定な:本明細書において用いる場合、タンパク質に適用されるときの「安定な」は、タンパク質安定性の任意の態様を指す。原未修飾タンパク質と比較して安定な修飾タンパク質は、次の特徴のうちのいずれか1つ以上を有する:より大きな可溶性、より大きな耐凝集性、より大きな耐変性性、より大きな耐アンフォールディング性、不適当なまたは望ましくないフォールディングに対するより大きな耐性、より高い復元能力、熱安定性増加、様々な環境(例えば、pH、塩濃度、洗剤の存在、変性剤の存在など)における安定性増加、および非水性環境における安定性増加。ある実施形態において、安定な修飾タンパク質は、上の特徴のうちの少なくとも2つを示す。ある実施形態において、安定な修飾タンパク質は、上の特徴のうちの少なくとも3つを示す。そのような特徴は、活性タンパク質の高レベルでの生産を可能にすることができる。例えば、修飾タンパク質は、そのタンパク質の未修飾バージョンより凝集を伴わずに高レベルで発現され得る。そのような特徴は、そのタンパク質の治療薬または研究ツールとしての使用も可能にすることができる。
被験体:本明細書において用いる場合、用語「被験体」または「患者」は、本発明による組成物を例えば実験、診断、予防および/または治療のために投与することができる任意の生物を指す。典型的な被験体としては、動物(例えば、哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、およびヒト)ならびに/または植物が挙げられる。
実質的に:本明細書において用いる場合、用語「実質的に」は、対象となる特徴または特性についての提示する全またはほぼ全程度または度合の定性条件を指す。生物学的または化学的現象が、まずめったに、完了まで行かないおよび/もしくは完全へと進まないまたは絶対的な結果に達しないもしくは絶対的な結果を避けられないことは、生物学技術分野の通常の技術者には理解されるであろう。従って、本明細書では、多くの生物学的および化学的現象に固有の完全性の潜在的欠如を表現するために用語「実質的に」を用いる。
に罹患している:疾患、障害および/または状態「に罹患している」個体は、疾患、障害および/もしくは状態を有すると診断された、または疾患、障害および/もしくは状態の1つ以上の症状を示す。
過剰に荷電させる:本明細書において用いる場合、「過剰に荷電させる」は、タンパク質の全体の正味電荷の増加または減少を生じさせる結果となるタンパク質の任意の修飾を指す。修飾としては、アミノ酸配列の改変または荷電部分(例えば、カルボン酸基、リン酸基、硫酸基、アミノ基)の付加が挙げられるが、これらに限定されない。過剰に荷電させることは、作用物質と、天然に存在するまたは修飾された荷電タンパク質とが会合して、その作用物質単独と比較して増加したまたは減少した電荷を有する複合体を形成することも指す。
過剰に荷電された複合体:本明細書において用いる場合、「過剰に荷電された複合体」は、遺伝子工学で作られたまたは天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質と会合している1つ以上の作用物質の結合体であって、その作用物質単独と比較して増加したまたは減少した電荷を共同で有するものを指す。
罹患しやすい:疾患、障害および/または状態に「罹患しやすい」個体は、疾患、障害および/もしくは状態を有すると診断されておらず、ならびに/または疾患、障害および/もしくは状態の症状を示さない場合がある。いくつかの実施形態において、疾患、障害および/または状態(例えば、癌)に「罹患しやすい」個体は、次のうちの1つ以上によって特徴づけることができる:(1)疾患、障害および/または状態の発現と関係づけられる遺伝子突然変異;(2)疾患、障害および/または状態の発現と関係づけられる遺伝子多型;(3)疾患、障害および/または状態と関係づけられるタンパク質および/または核酸の発現および/または活性増加および/または減少;(4)疾患、障害および/または状態の発現に関係づけられる習慣および/または生活習慣;(5)疾患、障害および/または状態の家族歴;ならびに(6)疾患、障害および/または状態の発現に関係づけられる微生物への暴露および/または感染。いくつかの実施形態において、疾患、障害および/または状態に罹患しやすい個体は、その疾患、障害および/または状態を発現するであろう。いくつかの実施形態において、疾患、障害および/または状態に罹患しやすい個体は、その疾患、障害および/または状態を発現しないであろう。
ターゲッティング剤またはターゲッティング部分:本明細書において用いる場合、用語「ターゲッティング剤」または「ターゲッティング部分」は、細胞、組織および/または器官に随伴する成分に結合する任意の物質を指す。そのような成分を「ターゲット」または「マーカー」と呼ぶ。ターゲッティング剤またはターゲッティング部分は、ポリペプチド、糖タンパク質、核酸、小分子、炭水化物、脂質などであり得る。いくつかの実施形態において、ターゲッティング剤またはターゲッティング部分は、抗体またはその特性部分である。いくつかの実施形態において、ターゲッティング剤またはターゲッティング部分は、受容体またはその特性部分である。いくつかの実施形態において、ターゲッティング剤またはターゲッティング部分は、リガンドまたはその特性部分である。いくつかの実施形態において、ターゲッティング剤またはターゲッティング部分は、細胞タイプ特異的マーカーに結合する核酸ターゲッティング剤(例えば、アプタマー)である。いくつかの実施形態において、ターゲッティング剤またはターゲッティング部分は、有機小分子である。いくつかの実施形態において、ターゲッティング剤またはターゲッティング部分は、無機小分子である。
ターゲット遺伝子:本明細書において用いる場合、用語「ターゲット遺伝子」は、RNAiまたは他の作用物質によってその発現が改変される任意の遺伝子を指す。
ターゲット転写産物:本明細書において用いる場合、用語「ターゲット転写産物」は、ターゲット遺伝子から転写された任意のmRNAを指す。
治療有効量:本明細書において用いる場合、用語「治療有効量」は、疾患、障害および/または状態に罹患しているまたは罹患しやすい被験体に投与されたとき、その疾患、障害および/または状態の処置、症状改善、診断、予防、および/または発症遅延に十分である、送達すべき作用物質(例えば、核酸、薬物、治療薬、診断薬、予防薬など)の量を意味する。
処置:本明細書において用いる場合、用語「治療」は、特定の疾患、障害および/または状態の1つ以上の症状または特徴の部分的もしくは完全な軽減、改善、向上、寛解、発症遅延、進行阻害、重症度低下、および/または発生率低下を指す。例えば、癌の「処置」は、腫瘍の生存、増殖および/または拡散の阻害を指す場合がある。処置は、疾患、障害および/もしくは状態の症候を示さない被験体に、および/または疾患、障害および/もしくは状態の初期症候しか示さない被験体に、その疾患、障害および/または状態に関連した病状を発現するリスクを低下させるために施与される場合がある。いくつかの実施形態において、処置は、その必要がある被験体への、治療活性核酸と会合している過剰に荷電されたタンパク質の送達を含む。
未修飾の:本明細書において用いる場合、「未修飾の」は、過剰に荷電させる前の、または遺伝子工学で作られたまたは天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質と複合体の形態で会合する前の、タンパク質または作用物質を指す。
ベクター:本明細書において用いる場合、「ベクター」は、それに連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。いくつかの実施形態において、ベクターは、それらに連結されている核酸の染色体外置換および/または発現を宿主細胞、例えば真核および/または原核細胞において達成することができる。作動可能に連結された遺伝子の発現を指示することができるベクターを本明細書では「発現ベクター」と呼ぶ。
図1は、過剰に荷電された緑色蛍光タンパク質(GFP)を示す図である。(A)蛍光体形成残基を緑色で強調し、負電荷を有する残基を赤色で強調し、および正電荷を有する残基を青色で強調した、GFP変異体のタンパク質配列。(B〜D)−25kT/e(赤色)から+25kT/e(青色)までを着色した、sfGFP(B)、GFP(+36)(C)、およびGFP(−30)(D)の静電表面電位。 図1は、過剰に荷電された緑色蛍光タンパク質(GFP)を示す図である。(A)蛍光体形成残基を緑色で強調し、負電荷を有する残基を赤色で強調し、および正電荷を有する残基を青色で強調した、GFP変異体のタンパク質配列。(B〜D)−25kT/e(赤色)から+25kT/e(青色)までを着色した、sfGFP(B)、GFP(+36)(C)、およびGFP(−30)(D)の静電表面電位。 図1は、過剰に荷電された緑色蛍光タンパク質(GFP)を示す図である。(A)蛍光体形成残基を緑色で強調し、負電荷を有する残基を赤色で強調し、および正電荷を有する残基を青色で強調した、GFP変異体のタンパク質配列。(B〜D)−25kT/e(赤色)から+25kT/e(青色)までを着色した、sfGFP(B)、GFP(+36)(C)、およびGFP(−30)(D)の静電表面電位。 図1は、過剰に荷電された緑色蛍光タンパク質(GFP)を示す図である。(A)蛍光体形成残基を緑色で強調し、負電荷を有する残基を赤色で強調し、および正電荷を有する残基を青色で強調した、GFP変異体のタンパク質配列。(B〜D)−25kT/e(赤色)から+25kT/e(青色)までを着色した、sfGFP(B)、GFP(+36)(C)、およびGFP(−30)(D)の静電表面電位。 図2は、GFP変異体の細胞内特性を示す図である。(A)精製GFP変異体の染色およびUV蛍光。それぞれのレーンおよびチューブが0.2μgのタンパク質を含有する。(B)GPF変異体の円偏光二色性スペクトル。(C)グアニジニウム誘導アンフォールディングによって測定した、GFP変異体の熱力学的安定性。 図2は、GFP変異体の細胞内特性を示す図である。(A)精製GFP変異体の染色およびUV蛍光。それぞれのレーンおよびチューブが0.2μgのタンパク質を含有する。(B)GPF変異体の円偏光二色性スペクトル。(C)グアニジニウム誘導アンフォールディングによって測定した、GFP変異体の熱力学的安定性。 図2は、GFP変異体の細胞内特性を示す図である。(A)精製GFP変異体の染色およびUV蛍光。それぞれのレーンおよびチューブが0.2μgのタンパク質を含有する。(B)GPF変異体の円偏光二色性スペクトル。(C)グアニジニウム誘導アンフォールディングによって測定した、GFP変異体の熱力学的安定性。 図3は、過剰に荷電されたタンパク質の分子間特性を示す図である。(A)精製GFP変異体(「自然状態」)のUV照明サンプル、1分間、100℃で加熱したそれらのサンプル(「煮沸」)、およびその後、2時間、25℃に冷却したそれらのサンプル(「冷却」)。(B)40%TFEを用いて25℃でGFP変異体の凝集を誘導し、直角の光散乱によってモニターした。(C)過剰に荷電されたGFPは、逆の電荷を有する高分子に可逆的に接着する。サンプル1:30μLの25mM Tris pH7.0および100mM NaCl中の6μgのGFP(+36)。サンプル2:サンプル1に添加した6μgのGFP(−30)。サンプル3:サンプル1に添加した30μgのサケ精子DNA。サンプル4:サンプル1に添加した20μgのE.coli tRNA。サンプル5:サンプル4への1M NaClの添加。サンプル6〜8:GFP(+36)の代わりにsfGFPを使用したことを除き、それぞれ、サンプル1、2および4と同じ。すべてのサンプルを微量遠心分離機で短時間回転させ、UV光のもとで可視化した。 図3は、過剰に荷電されたタンパク質の分子間特性を示す図である。(A)精製GFP変異体(「自然状態」)のUV照明サンプル、1分間、100℃で加熱したそれらのサンプル(「煮沸」)、およびその後、2時間、25℃に冷却したそれらのサンプル(「冷却」)。(B)40%TFEを用いて25℃でGFP変異体の凝集を誘導し、直角の光散乱によってモニターした。(C)過剰に荷電されたGFPは、逆の電荷を有する高分子に可逆的に接着する。サンプル1:30μLの25mM Tris pH7.0および100mM NaCl中の6μgのGFP(+36)。サンプル2:サンプル1に添加した6μgのGFP(−30)。サンプル3:サンプル1に添加した30μgのサケ精子DNA。サンプル4:サンプル1に添加した20μgのE.coli tRNA。サンプル5:サンプル4への1M NaClの添加。サンプル6〜8:GFP(+36)の代わりにsfGFPを使用したことを除き、それぞれ、サンプル1、2および4と同じ。すべてのサンプルを微量遠心分離機で短時間回転させ、UV光のもとで可視化した。 図3は、過剰に荷電されたタンパク質の分子間特性を示す図である。(A)精製GFP変異体(「自然状態」)のUV照明サンプル、1分間、100℃で加熱したそれらのサンプル(「煮沸」)、およびその後、2時間、25℃に冷却したそれらのサンプル(「冷却」)。(B)40%TFEを用いて25℃でGFP変異体の凝集を誘導し、直角の光散乱によってモニターした。(C)過剰に荷電されたGFPは、逆の電荷を有する高分子に可逆的に接着する。サンプル1:30μLの25mM Tris pH7.0および100mM NaCl中の6μgのGFP(+36)。サンプル2:サンプル1に添加した6μgのGFP(−30)。サンプル3:サンプル1に添加した30μgのサケ精子DNA。サンプル4:サンプル1に添加した20μgのE.coli tRNA。サンプル5:サンプル4への1M NaClの添加。サンプル6〜8:GFP(+36)の代わりにsfGFPを使用したことを除き、それぞれ、サンプル1、2および4と同じ。すべてのサンプルを微量遠心分離機で短時間回転させ、UV光のもとで可視化した。 図4は、GFP変異体の(A)励起および(B)発光スペクトルを示す図である。490nmでの発色基吸収によって定量したところ、それぞれのサンプルが等量のタンパク質を含有した。 図5は、過剰に荷電された表面が分子間相互作用を支配することを示す図である。過剰に荷電されたGFPは、逆の電荷を有する高分子(「タンパク質ベルクロ(Velcro)」)と非特異的におよび可逆的に付着する。そのような相互作用は、沈殿の形成を生じさせる場合がある。変性タンパク質の凝集体とは異なり、これらの沈殿は、フォールディングされた蛍光GFPを含有し、1Mの塩に溶解する。+36GFPのみ;−30GFPと混合した+36GFP:tRNAと混合した+36GFP;1M NaCl中のtRNAと混合した+36GFP;sfGFP(−7);および−30GFPと混合したsfGFPをここに示す。 図6は、過剰に正に荷電されたGFPがsiRNAに結合することを示す図である。GFP−siRNA複合体は、アガロースゲルの中でsiRNAと共に移動しない−+36GFPをsiRNAと共にインキュベートし、結果として得られた複合体をアガロースゲル電気泳動に付した。様々な+36GFP:siRNA比をこのアッセイで試験した:0:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5および1:10。+36GFPは、約1:3の化学量論比でsiRNAと安定な複合体を形成することが明らかになった。過剰に正に荷電されていないタンパク質は、siRNAに結合しないことが明らかになった。50:1のsfGFP:siRNA比を試験したが、そのような高い過剰レベルででさえ、sfGFPは、siRNAと会合しなかった。 図7は、過剰に正に荷電されたGFPが細胞を透過することを示す図である。HeLa細胞をGFP(sfGFP(−7)、−30GFP、または+36GFPのいずれか)と共にインキュベートし、洗浄し、固定し、染色した。+36GFPは、HeLa細胞を強力に透過したが、sfGFPおよび−30GFPはしなかった。左:細胞をはっきり示すためのDNAのDAPI染色。中央:GFPの細胞内取り込みがどこで発生したのかをはっきり示すためのGFP染色。右:それが発生したときの+36GFP局在を示す動画。 図8は、過剰に正に荷電されたGFPがsiRNAをヒト細胞に送達することを示す図である。+36GFPは、siRNAをHeLa細胞に強力に送達することが明らかになった。左:リポフェクタミン2000およびCy3−siRNA;右:+36GFPおよびCy3−siRNA。+36GFPは、siRNAをHeLa細胞に強力に送達することが明らかになった。Hoeschtチャンネル、青色、を用いてDNAを可視化し、それによって細胞の位置をはっきり示した;Cy3チャンネル、赤色、を用いてCy3タグ付きsiRNAを可視化した;GFPチャンネル、緑色、を用いてGFPを可視化した;黄色は、siRNAとGFPの間の共局在部位を示す。 図9は、従来のトランスフェクションに対して耐性の細胞系:ネズミ3T3−L脂肪細胞前駆細胞(「3T3L細胞」)へのsiRNAの送達を示す図である。3T3L細胞をリポフェクタミン2000およびCy3−siRNA(左);または+36GFPおよびCy3−siRNA(右)のいずれかで処理した。3T3L細胞は、リポフェクタミンによってあまりトランスフェクトされなかったが、+36GFPによって効率的にトランスフェクトされた。Hoeschtチャンネル、青色、を用いてDNAを可視化し、それによって細胞の位置をはっきり示した;Cy3チャンネル、赤色、を用いてCy3タグ付きsiRNAを可視化した;GFPチャンネル、緑色、を用いてGFPを可視化した。黄色は、siRNAとGFPの間の共局在部位を示す。 図10は、従来のトランスフェクションに対して耐性の細胞系:ラットIMCD細胞へのsiRNAの送達を示す図である。ラットIMCD細胞をリポフェクタミン2000およびCy3−siRNA(左);または+36GFPおよびCy3−siRNA(右)のいずれかで処理した。ラットIMCD細胞は、リポフェクタミンによってあまりトランスフェクトされなかったが、+36GFPによって効率的にトランスフェクトされた。Hoeschtチャンネル、青色、を用いてDNAを可視化し、それによって細胞の位置をはっきり示した;Cy3チャンネル、赤色、を用いてCy3タグ付きsiRNAを可視化した;GFPチャンネル、緑色、を用いてGFPを可視化した。黄色は、siRNAとGFPの間の共局在部位を示す。 図11は、従来のトランスフェクションに対して耐性の細胞系:ヒトST14AニューロンへのsiRNAの送達を示す図である。ヒトST14Aニューロンをリポフェクタミン2000およびCy3−siRNA(左);または+36GFPおよびCy3−siRNA(右)のいずれかで処理した。ヒトST14Aニューロンは、リポフェクタミンによってあまりトランスフェクトされなかったが、+36GFPによって効率的にトランスフェクトされた。DAPIチャンネル、青色、を用いてDNAを可視化し、それによって細胞の位置をはっきり示した;Cy3チャンネル、赤色、を用いてCy3タグ付きsiRNAを可視化した;GFPチャンネル、緑色、を用いてGFPを可視化した。黄色は、siRNAとGFPの間の共局在部位を示す。 図12は、siRNAトランスフェクションのフローサイトメトリー分析を示す図である。左:リポフェクタミン。それぞれのカラムは異なるトランスフェクション方法で行った実験:リポフェクタミン(青色);および20nM+36GFP(赤色)、に対応する。それぞれのチャートは、異なる細胞タイプ:IMCD細胞、PC12細胞、HeLa細胞、3T3L細胞およびジャーカット細胞、で行った実験に対応する。X軸は、siRNA蛍光の読み取り値である、Cy3チャンネルから得られた測定値を表す。Y軸は、フローサイトメトリー実験における細胞数を表す。フロー・サイトメトリー・データは、細胞が、リポフェクタミンより+36GFPを使用するほうが効率的にsiRNAでトランスフェクトされたことを示している。 図13は、+36GFPで送達されたsiRNAが遺伝子ノックアウトを誘導できることを示す図である。約2μMのリポフェクタミン2000(黒色バー)または20nMの+36GFP(緑色バー)のいずれかを使用して、50nM GAPDH siRNAを5つの異なる細胞タイプ(HeLa、IMCD、3T3L、PC12、およびジャーカット細胞系)にトランスフェクトした。Y軸は、GAPDHタンパク質レベルをチューブリンタンパク質レベルの関数として表す。 図14は、細胞透過のメカニズムプローブを示す図である。HeLa細胞を様々なプローブでのうちの1つで30分間処理し、その後、5nMの+36GFPで処理した。サンプルは、次のものを含んだ:(A)プローブなし;(B)4℃プレインキュベーション(エネルギー依存性プロセスを阻害する);(C)100mMのスクロース(クラスリン媒介エンドサイトーシスを阻害する)、左、および25μg/mLのナイスタチン(カベオラ機能を破壊する)、右;(D)25μMのサイトカラシンB(マクロピノサイトーシスを阻害する)、左、および5μMモネンシン(エンドソーム受容体再循環を阻害する)、右。 図14は、細胞透過のメカニズムプローブを示す図である。HeLa細胞を様々なプローブでのうちの1つで30分間処理し、その後、5nMの+36GFPで処理した。サンプルは、次のものを含んだ:(A)プローブなし;(B)4℃プレインキュベーション(エネルギー依存性プロセスを阻害する);(C)100mMのスクロース(クラスリン媒介エンドサイトーシスを阻害する)、左、および25μg/mLのナイスタチン(カベオラ機能を破壊する)、右;(D)25μMのサイトカラシンB(マクロピノサイトーシスを阻害する)、左、および5μMモネンシン(エンドソーム受容体再循環を阻害する)、右。 図14は、細胞透過のメカニズムプローブを示す図である。HeLa細胞を様々なプローブでのうちの1つで30分間処理し、その後、5nMの+36GFPで処理した。サンプルは、次のものを含んだ:(A)プローブなし;(B)4℃プレインキュベーション(エネルギー依存性プロセスを阻害する);(C)100mMのスクロース(クラスリン媒介エンドサイトーシスを阻害する)、左、および25μg/mLのナイスタチン(カベオラ機能を破壊する)、右;(D)25μMのサイトカラシンB(マクロピノサイトーシスを阻害する)、左、および5μMモネンシン(エンドソーム受容体再循環を阻害する)、右。 図14は、細胞透過のメカニズムプローブを示す図である。HeLa細胞を様々なプローブでのうちの1つで30分間処理し、その後、5nMの+36GFPで処理した。サンプルは、次のものを含んだ:(A)プローブなし;(B)4℃プレインキュベーション(エネルギー依存性プロセスを阻害する);(C)100mMのスクロース(クラスリン媒介エンドサイトーシスを阻害する)、左、および25μg/mLのナイスタチン(カベオラ機能を破壊する)、右;(D)25μMのサイトカラシンB(マクロピノサイトーシスを阻害する)、左、および5μMモネンシン(エンドソーム受容体再循環を阻害する)、右。 図15は、細胞透過活性の一因となる要因を示す図である。電荷の大きさが細胞透過活性の一因となることが明らかになった。詳細には、+15GFPまたはLys20〜50は、細胞を透過しないことが明らかになった。左:20mMの+15GFPおよび50nMのsiRNA−Cy3。中央:20nMの+36GFP。右:60nMのLys20〜50および50nMのsiRNA−Cy3。Hoeschtチャンネル、青色、を用いてDNAを可視化し、それによって細胞の位置をはっきり示した;GFPチャンネル、緑色、を用いてGFPを可視化した。 図16は、過剰に荷電されたGFP変異体および細胞を透過するそれらの能力を示す図である。(A)−25kT/e(濃赤色)から+25kT/e(濃青色)までを着色した、GFP変異体の算出静電表面電位。(B)200nMのそれぞれのGFP変異体で独立して処理し、ヘパリンを含有するPBSで3回洗浄して細胞表面に結合したGFPを除去したHeLa細胞における内在(internatlized)GFPの量を示すフローサイトメトリー分析。(C)未処理細胞におけるバックグラウンド蛍光(黒色)と比較してHeLa、IMCD、3T3−L、PC12およびジャーカット細胞における内在+36GFP(緑色)の量を示すフローサイトメトリー分析。 図17は、以下のことを示す図である。(A)37℃で1時間のコ・インキュベーション後のHeLa細胞における+36GFPの内在化。(B)4℃で1時間インキュベートしたHeLa細胞における+36GFP細胞透過の阻害。+36GFP細胞が一部は細胞表面に結合したままであることができるように、細胞を軽度にしか洗浄しなかった。(C)および(D)(A)における条件下、しかし、それぞれ、カベオリン依存性エンドサイトーシス阻害剤フィリピンおよびナイスタチンの存在下での+36GFPの内在化。(E)(A)における条件下、しかし、クラスリン依存性エンドサイトーシス阻害剤クロルプロマジンの存在下での+36GFPの内在化。(F)エンドサイトーシスの20分後のAlexa Fluor 647標識トランスフェリン(赤色)および+36GFP(緑色)の細胞局所化。(G)アクチン重合阻害剤サイトカラシンDの存在下でのHeLa細胞における+36GFP内在化の阻害。(H)80mMの塩素酸ナトリウムで処理したHeLa細胞における+36GFP内在化の阻害。(I)37℃で1時間インキュベートしたCHO細胞における+36GFPの内在化。(J)PDG−CHO細胞における+36GFP内在化の欠如。(I)および(J)では、細胞核をDAPI(青色)で染色した。 図18は、以下のことを示す図である。(A)過剰に正に荷電されたGFP:siRNAの結合の化学量論比を決定するために、臭化エチジウムによって染色した未結合siRNA(33)を示すゲルシフトアッセイ。10ピコモルのsiRNAを10分間、25℃で様々なモル比のそれぞれのGFPと混合し、その後、非変性PAGEによって分析した。それぞれの列の最も右のレーンは、sfGFPとsiRNAの100:1混合物を示す。(B)50nMのCy3−siRNAと200nMの+15、+25または+36GFPとの混合物で処理し、その後、ヘパリンで3回洗浄して非内在タンパク質を除去したHeLa細胞における内在siRNAレベルを示すフローサイトメトリー分析(図22参照)。siDNAで処理したが、トランスフェクション試薬ではしていないHeLa細胞のデータを黒で示す。(C)トランスフェクション試薬を用いずにsiRNAで処理した細胞(黒色)と比較して、50nMのCy3−siRNAと200nMの+36GFP(緑色)または約2μMのリポフェクタミン2000(青色)いずれかとの混合物とのインキュベーション後のHeLa、IMCD、3T3−L、PC12およびジャーカット細胞に送達されたCy3標識siRNAレベルを示す、フローサイトメトリー分析。上で説明したようにフローサイトメトリーの前に細胞を洗浄した。(D)200nMの+36GFPおよび50nMのCy3−siRNAでの4時間処理の24時間後の安定な付着細胞系(HeLa、IMCDおよび3T3−L)の蛍光顕微鏡画像。それぞれの画像は、3つのチャンネル:青色(DAPI染色)、赤色(Cy3−siRNA)および緑色(+36GFP)のオーバーレイであり;黄色は、赤色と緑色の共局在を示す。3つの画像すべてについて倍率は40倍であった。 図19は、siRNA送達の結果として生ずるGAPDH mRNAおよびタンパク質レベルの抑制を示す図である。(A)RT−QPCRによって測定したときの、50nMのsiRNAおよび約2μMのリポフェクタミン2000での、または50nMのsiRNAおよび200nMの+36GFPでの処理の48、72および96時間後のHeLa細胞におけるGAPDH mRNAレベルの抑制。示す抑制レベルは、β−アクチン mRNAレベルに正規化したものであり;0%抑制は、約2μMのリポフェクタミン2000および50nMのスクランブル陰性対照siRNAで処理した細胞におけるmRNAレベルと定義する。(B)siRNAおよび2M以下のリポフェクタミン2000での、またはsiRNAおよび200nMの+36GFPでの処理の48、72および96時間後のHeLa細胞におけるGAPDHタンパク質レベルの抑制。(C)50nMのsiRNAおよび約2μMのリポフェクタミン2000、200nMの+36GFP、または200nMの+36GFP−HA2での処理の96時間後のHeLa、IMCD、3T3−L、PC12およびジャーカット細胞におけるGAPDHタンパク質レベルの抑制。(B)および(C)について、示す抑制レベルは、ウエスタンブロットによって測定し、β−チューブリンタンパク質レベルに正規化したものであり;0%抑制は、約2μMのリポフェクタミン2000およびスクランブル陰性対照siRNAで処理した細胞におけるタンパク質レベルと定義する。値およびエラーバーは、(A)および(B)の場合は3回の独立した実験、ならびに(C)の場合は5回の独立した実験の平均値および標準偏差を表す。 図20は、+15および+36GFPのものと比較した様々なカチオン性合成ペプチドのsiRNAトランスフェクション活性を示す図である。50nMのCy3−siRNAと200nMまたは2μMいずれかの示すペプチドまたはタンパク質との混合物で4時間処理したHeLa細胞における内在Cy3−siRNAレベルを測定するために、フローサイトメトリーを用いた。 図21は、リポフェクタミン2000、+36GFP、または+36GFP−HA2によるHeLa、IMCD、3T3−L、PC12およびジャーカット細胞へのプラスミドDNAトランスフェクションを示す図である。細胞を800ngのpSV−β−ガラクトシダーゼプラスミドおよび200nMまたは2μMの+36GFPまたは+36GFP−HA2で4時間処理した。24時間後、β−Fluorキット(Novagen)を使用して、β−ガラクトシダーゼ活性を測定した。値およびエラーバーは、3回の独立した実験の平均値および標準偏差を表す。 図22は、細胞表面に結合した過剰に荷電されたGFPを除去するために用いた洗浄プロトコルの有効性を示す図である。4℃で(GFPの細胞取り込みを阻止するため、本文参照)1時間、200nMの+36GFPでHeLa細胞を処理した。その後、細胞を4℃のPBSでまたは4℃のPBS中の20U/mL硫酸ヘパリンで3回(各洗浄について1分)洗浄し、その後、フローサイトメトリーで分析した。PBSで洗浄した細胞は、おそらく細胞表面結合GFPから生ずる有意なGFP蛍光を示す。対照的に、PBS中の20U/mLヘパリンで洗浄した細胞は、未処理細胞と等価のGFP蛍光レベルを示す。 図23は、HeLa細胞における+36GFP細胞透過の濃度依存性を示す図である。HeLa細胞を無血清培地において4時間、+36GFPで処理した。細胞をトリプシン処理し、Matrigel(BD Biosciences)をコーティングしたスライドガラス上のDMEM中の10%FBSの中に置いた。37℃で24時間後、PBS中の4%ホルムアルデヒドで細胞を固定し、DAPIで染色し、Leica DMRB倒立顕微鏡を使用してイメージングした。すべての画像について倍率は20倍である。 図24は、Fugene 6(Roche)トランスフェクション剤を使用すると蛍光顕微鏡検査がIMCDおよび3T3−L細胞における内在Cy3−siRNAを示さないことを示す図である。細胞を無血清培地において4時間、Fugene 6でその製造業者のプロトコルに従って処理した。細胞をトリプシン処理し、ペレット化した。トリプシン含有培地を吸引によって除去し、細胞をDMEM中の10%FBSに再び懸濁させ、その後、Matrigel(商標)を事前にコーティングしておいたスライドガラスでプレーティングした。細胞を24時間放置して付着させ、PBS中の4%ホルムアルデヒドで固定し、DAPIで染色し、Leica DMRB倒立顕微鏡を使用してイメージングした。すべての画像について倍率は20倍である。Cy3蛍光は観察されなかった(図18Dと比較)。 図25は、以下のことを示す図である。(A)50nMのsiRNAと約2μMのリポフェクタミン2000、+36GFP、または+36GFP−HA2とで処理した5つの哺乳動物細胞系についてのMTT細胞毒性アッセイ。処理の24時間後にデータを取った。値およびエラーバーは、3つの独立した実験の平均値および標準偏差を表す。MTT試薬でではなく+36GFPまたは+36GFP−HA2で処理した細胞は、これらの条件下で有意な蛍光を示さなかった。(B)50nMのsiRNAと200nMまたは2μMいずれかのカチオン性ポリマーとで処理したHeLa細胞のMTT細胞毒性アッセイ。クロロキンまたは酪酸ピレンでの処理は、細胞毒性であることが判明した(それぞれ、レーン9および10)。 図25は、以下のことを示す図である。(A)50nMのsiRNAと約2μMのリポフェクタミン2000、+36GFP、または+36GFP−HA2とで処理した5つの哺乳動物細胞系についてのMTT細胞毒性アッセイ。処理の24時間後にデータを取った。値およびエラーバーは、3つの独立した実験の平均値および標準偏差を表す。MTT試薬でではなく+36GFPまたは+36GFP−HA2で処理した細胞は、これらの条件下で有意な蛍光を示さなかった。(B)50nMのsiRNAと200nMまたは2μMいずれかのカチオン性ポリマーとで処理したHeLa細胞のMTT細胞毒性アッセイ。クロロキンまたは酪酸ピレンでの処理は、細胞毒性であることが判明した(それぞれ、レーン9および10)。 図26は、+36GFP:プラスミドDNAの結合の化学量論比を決定するための未結合線形化pSV−β−ガラクトシダーゼプラスミドDNA(Promega)を示すゲルシフトアッセイ。それぞれのレーンにおいて、EcoRI消化によって線形化した22fmolのpSV−β−ガラクトシダーゼを様々なモル比の+36GFPと併せ、25℃で10分間インキュベートした。臭化エチジウムを含有する1%アガロースゲルを用いる50分間、140Vでの電気泳動によって、サンプルを分析した。 図27は、この研究において使用した精製GFP変異体のSDS−PAGE分析を示す図である。クマシーブルーでの染色によって、タンパク質を可視化した。分子量マーカーの移動点を左側に記載する。過剰に荷電されたGFPが、SDS−PAGE中に、実際の分子量のみに依存せず、理論正味電荷の大きさにも一部依存する様式で、移動することに注目。 図28は、この研究において使用したすべてのGFP類似体(10nMの各タンパク質、488nmで励起)の蛍光スペクトルを示す図である。 図29は、以下のことを示す図である。(A)約2μMのリポフェクタミン2000および50nMの陰性対照siRNAとで処理した4日後の代表ウエスタンブロットデータ。(B)200nMの+36GFPおよび50nMの陰性対照siRNAで処理した4日後の代表ウエスタンブロットデータ。(C)50nMのGAPDH siRNAと約2μMのリポフェクタミン2000または200nMの+36GFPのいずれかとで処理した48、72および96時間後のGAPDHおよびβ−チューブリンレベルを示す代表な代表ウエスタンブロットデータ。(D)約2μMのリポフェクタミン2000と50nMのGAPDH siRNAとで処理した4日後の代表ウエスタンブロットデータ。(E)200nMの+36GFPおよび50nMのGAPDH siRNAとで処理した4日後の代表ウエスタンブロットデータ。(F)200nMの+36GFP−HA2および50nMのGAPDH siRNAとで処理した4日後の代表ウエスタンブロットデータ。(G)約2μMのリポフェクタミン2000および50nMの陰性対照siRNA、約2μMのリポフェクタミン2000および50nMのβ−アクチンターゲッティングsiRNA、200nMの+36GFPおよび50nMのβ−アクチンターゲッティングsiRNA、または200nMの+36GFPおよび50nMの陰性対照siRNAで処理した4日後のHeLa細胞からの代表ウエスタンブロットデータ。 図30は、蛍光顕微鏡検査が、いずれも4℃で処理したHeLa細胞において、またはサイトカラシンD(10μg/mL)で前処理したHeLa細胞において、内在Cy3−siRNAもGFPも示さないことを示す図である。画像は、200nMの+36GFPと50nMのsiRNAとを含有する溶液で処理した1時間後の細胞のものである。GFP発光を検出するためのフィルターを装備したスピニングディスク型共焦点倒立顕微鏡を用いて画像を撮影した。可視化を助長するために、細胞をPBS中の20U/mLのへパリンで2回(それぞれ1分)洗浄して(すべてではないが)大部分の表面結合GFP−siRNAを除去した。 図31は、以下のことを示す図である。(A)20μMの+36GFPと5μMの二本鎖RNA20量体との混合から形成された粒子の流体力学的半径(Hr)を示す動的光散乱(DLS)データ。(B)上記サンプルの蛍光顕微鏡画像。示す画像は、明視野画像およびGFPチャンネル画像のオーバーレイである。乾燥したサンプルの場合、像が大きいほど、共に会合している粒子が実際には小さいことに注意。スケールバー=10μm。 図32は、以下のことを示す図である。(A)プロテイナーゼKによる+36GFPおよびウシ血清アルブミンの消化。100pmolの+36GFPまたはウシ血清アルブミン(BSA)を0.6単位のプロテイナーゼKで、37℃で処理した。サンプルをSDSタンパク質ローディングバッファーと混合し、10分間、90℃に加熱し、クマシーブルーでの4〜12%アクリルアミドゲル染色でのSDS−PAGEによって分析した。(B)ネズミ血清中での+36GFPおよびBSAの安定性。BPS中のそれぞれのタンパク質100pmolを5μLのネズミ血清と混合して合計10μLの量にし、37℃でインキュベートした。サンプルをSDSタンパク質ローディングバッファーと混合し、10分間、90℃に加熱した。得られた混合物を4〜12%アクリルアミドゲルでのSDS−PAGEによって分析し、+36GFPおよびBSAタンパク質バンドをウエスタンブロットによって明らかにした。一番下の画像は、+36GFP−siRNA複合体(Cで論じる)の5μLのサンプルであり、GFPについてウエスタンブロットにより分析したものである。(C)+36GFPと複合体を形成したsiRNAのネズミ血清中での安定性。siRNA(10pmol)をsfGFP(40pmol)または+36GFP(40pmol)と混合し、4μLのPBS中で10分間、25℃でインキュベートした。得られた溶液を4倍量のマウス血清(合計20μL)に添加し、示されている時間、37℃でインキュベートし、エタノールで沈殿させ、15%アクリルアミドゲルでのゲル電気泳動によって分析した。(D)+36GFPまたはsfGFPと複合体を形成したプラスミドDNAのネズミ血清中での安定性。プラスミドDNA(0.026pmol)を4μLのPBS中の12.8pmolの+36GFPまたはsfGFPのいずれかと10分間混合した。この溶液に16μLのマウス血清添加した(合計20μL)。サンプルを示されている時間、37℃でインキュベートした。フェノール−クロロホルムでの抽出によってDNAを単離し、エタノールで沈殿させ、1%アガロースゲルでのゲル電気泳動によって分析した。 図33は、(1)mCherry−TAT;(2)mCherry−Arg;(3)mCherry−ALAL−+36GFPを使用してHeLa、PC12およびIMCD細胞系におけるmCherryの内在化を示す図である。 図34は、50nMのmCherry−ALAL−+36GFPでの処理の4時間後のHeLa、PC12およびIMCD細胞の蛍光顕微鏡画像を示す図である。それぞれの画像は、3つのチャンネル:青色(DNAについてのDAPI染色)、赤色(mCherry)および緑色(+36GFP)のオーバーレイである。黄色は、赤色と緑色の共局在を示す。 図35は、ヒトタンパク質がsiRNAをHeLa細胞に送達することを示す図である。(A)ヒトタンパク質をsiRNAと漸増質量比で混合し、PAGEおよび臭化エチジウム染色によって未結合siRNAについてアッセイした。漸減するバンド強度は、ヒトタンパク質によるsiRNA結合を明示している。(B)ヒトタンパク質をCy3標識siRNAと混合し、4時間、HeLa細胞に適用した。その後、細胞を洗浄し、フローサイトメトリーによってCy3蛍光についてアッセイした。右へのピークのシフトは、siRNA内在化を明示している。(C)ヒトタンパク質を使用してHeLa細胞をsiRNAでトランスフェクトし、3日間インキュベートし、ターゲットとなるmRNAの分解についてアッセイした。ターゲットとなるGAPDH mRNAレベルをβ−アクチン mRNAレベルに対して比較した。「対照」は、非ターゲッティングsiRNAの使用を示す。リポフェクタミン2000を陽性対照として使用した。
本発明は、過剰に荷電されたタンパク質それ自体の過剰に荷電させることによるまたはタンパク質もしくは他の作用物質(例えば、ペプチド、タンパク質、小分子)と過剰に荷電されたタンパク質を会合させることによるタンパク質または他の作用物質の細胞への送達を増進させるための組成物、調製物、システムおよび関連方法を提供する。そのようなシステムおよび方法は、一般に、過剰に荷電されたタンパク質の使用を含む。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質それ自体を細胞の内部に送達して、例えば、それが透過する細胞に対する生物学的作用を治療的恩恵のために生じさせる。過剰に荷電されたタンパク質を使用して他の作用物質を送達することもできる。例えば、過剰に正に荷電されたタンパク質を、負電荷を有する作用物質、例えば、核酸(典型的に、正味負電荷を有する)または負の電荷を有するペプチドもしくはタンパク質と静電相互作用によって会合させて、複合体を形成することができる。超負電荷を有するタンパク質を、正電荷を有する作用物質と会合させることもできる。送達すべき作用物質を、共有結合性連結または他の非共有結合性相互作用によって、超負電荷を有するタンパク質と会合させることもできる。いくつかの実施形態において、そのような組成物、調製物、システムおよび方法は、タンパク質の一次配列を改変して、そのタンパク質を「過剰に荷電させる」(例えば、過剰に正に荷電されたタンパク質を生じさせる)ことを含む。ある実施形態において、本発明のシステムは、自然に存在するタンパク質を使用して複合体を形成する。ある実施形態において、本発明の複合体は、過剰に荷電されたタンパク質と送達すべき1つ以上の作用物質(例えば、核酸、タンパク質、小分子)とを含む。細胞取り込みの一例では、過剰に荷電されたタンパク質が細胞によるエンドサイトーシスを受けることが判明した。過剰に荷電されたタンパク質、またはタンパク質/作用物質複合体を形成するために送達すべき作用物質と混合された過剰に荷電されたタンパク質は、細胞に有効にトランスフェクトされる。メカニズムの研究は、これらの複合体のエンドサイトーシスが、硫酸化された細胞表面プロテオグリカンを必要とするが、クラスリンおよびカベオリンを必要としないことを示す。いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質、または過剰に荷電されたタンパク質と送達すべき1つ以上の作用物質とを含む複合体は、治療薬、診断薬、または研究ツールとして有用である。いくつかの実施形態において、作用物質および/または過剰に荷電されたタンパク質は、治療活性であり得る。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質または複合体を使用して、細胞における遺伝子の発現を調節する。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質または複合体を使用して、細胞内の生体経路(例えば、シグナリング経路、代謝経路)を調節する。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質または複合体を使用して、細胞における酵素の活性を阻害する。いくつかの実施形態では、本発明の過剰に荷電されたタンパク質またはそれらの複合体および/もしくは医薬組成物をその必要がある被験体に投与する。いくつかの実施形態では、本発明の過剰に荷電されたタンパク質またはそれらの複合体および/もしくは組成物を、細胞(例えば、ヒト細胞、哺乳動物細胞、T細胞、ニューロン、幹細胞、前駆細胞、血球、線維芽細胞、上皮細胞など)に作用物質をトランスフェクトするために有効な条件下で、細胞と接触させる。いくつかの実施形態において、細胞への過剰に荷電されたタンパク質または複合体の送達は、過剰に荷電されたタンパク質、または治療薬と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体をその必要がある被験体に投与することを含む。
過剰に荷電されたタンパク質
過剰に荷電されたタンパク質は、タンパク質の表面の非保存アミノ酸をより極性の高いアミノ酸残基または荷電アミノ酸残基に変更することによって生成することができる。修飾すべきアミノ酸残基は、疎水性である場合もあり、親水性である場合もあり、電荷を有する場合もあり、またはそれらの組み合わせである場合もある。過剰に荷電されたタンパク質は、タンパク質に荷電部分を付けてそのタンパク質を過剰に荷電させることによって生成することもできる。過剰に荷電されたタンパク質は、多くの場合、耐凝集性であり、増加されたリフォールディング能力を有し、不適切にフォールディングしにくく、向上された溶解度を有し、および熱または洗剤の存在などの変性条件をはじめとする広範な条件下で一般により安定である。
本発明のシステムを使用して任意のタンパク質を修飾して、過剰に荷電されたタンパク質を生成することができる。天然ならびに非天然タンパク質(例えば、遺伝子工学で作られたタンパク質)を修飾することができる。修飾することができるタンパク質の例としては、受容体、膜結合タンパク質、膜貫通タンパク質、酵素、転写因子、細胞外タンパク質、治療用タンパク質、サイトカイン、メッセンジャータンパク質、DNA結合タンパク質、RNA結合タンパク質、シグナル伝達に関与するタンパク質、構造タンパク質、細胞質タンパク質、核タンパク質、疎水性タンパク質、親水性タンパク質などが挙げられる。修飾すべきタンパク質は、植物、動物、および/または微生物の任意の種に由来するものであり得る。ある実施形態において、タンパク質は、哺乳動物タンパク質である。ある実施形態において、タンパク質は、ヒトタンパク質である。ある実施形態において、タンパク質は、研究において典型的に使用されている生物に由来する。例えば、修飾すべきタンパク質は、霊長類(例えば、類人猿、サル)、齧歯動物(例えば、ウサギ、ハムスター、アレチネズミ)、ブタ、イヌ、ネコ、魚(例えば、Danio rerio)、線虫(C.elegans)、酵母(例えば、Saccharomyces cervisiae)、または細菌(例えば、E.coli)であり得る。ある実施形態において、タンパク質は、非免疫原性である。ある実施形態において、タンパク質は、非抗原性である。ある実施形態において、タンパク質は、固有生物活性を有さず、または生物活性を有さないように修飾されている。ある実施形態において、タンパク質は、そのターゲッティング能力に基づいて選択される。ある実施形態において、タンパク質は、緑色蛍光タンパク質である。
いくつかの実施形態において、修飾すべきタンパク質は、その構造が、例えばNMRまたはX線結晶学によって、特性づけされているものである。いくつかの実施形態において、修飾すべきタンパク質は、その構造と生化学的活性(例えば、酵素活性、タンパク質−タンパク質相互作用など)との相関関係および/または関係が示されているものである。いくつかの実施形態において、そのような情報は、(例えば、生体機能を維持するために、または生物活性を低下させるもしくは除去することができるように)修飾すべきアミノ酸残基または修飾することとならないアミノ酸残基の選択のためのガイドラインとなる。ある実施形態では、タンパク質の固有生物活性は、有害なおよび/または望ましくない作用のリスクを低下させるために、低下または除去される。
いくつかの実施形態において、修飾すべきタンパク質は、細胞への核酸または他の作用物質の送達に有用なものである。いくつかの実施形態において、修飾すべきタンパク質は、イメージング剤、標識剤、診断薬、予防薬または治療薬である。いくつかの実施形態において、修飾すべきタンパク質は、特定の細胞に作用物質、例えば核酸、を送達するために有用であるものである。いくつかの実施形態において、修飾すべきタンパク質は、望ましい生物活性を有するものである。いくつかの実施形態において、修飾すべきタンパク質は、望ましいターゲッティング活性を有するものである。いくつかの実施形態では、対象となるタンパク質の非保存表面残基を特定し、それらの少なくとも一部を、親水性である、極性である、および/または生理的なpHで電荷を有する残基で置換する。いくつかの実施形態において、対象となるタンパク質の非保存表面残基を特定し、それらの少なくとも一部を、生理的なpHで正電荷を有する残基で置換する。
修飾すべきタンパク質の表面残基は、当該技術分野において公知の任意の方法(単数または複数)を用いて特定される。ある実施形態では、タンパク質のコンピューターモデリングによって表面残基を特定する。ある実施形態において、タンパク質の三次元構造は、公知であり、および/または決定されており、ならびにタンパク質の表面を可視化することによって表面残基を特定する。いくつかの実施形態では、コンピュータソフトウェアを使用して表面残基を予測する。ある特定の実施形態では、側鎖原子あたりの平均隣接原子(Average Neighbor Atoms per Sidechain Atom:AvNAPSA)値を用いて表面露出を予測する。AvNAPSAは、コンピュータプログラムとして実装されている表面露出の自動測定単位である。低いAvNAPSA値は、表面露出残基を示し、これに対して高い値は、そのタンパク質の内部の残基を示す。ある実施形態では、ソフトウェアを用いて、タンパク質の二次構造および/または三次構造を予測し、この予測に基づいて表面残基を特定する。いくつかの実施形態において、表面残基の予測は、残基の疎水性および親水性、ならびにそのタンパク質の一次配列内でのそれらのクラスター化に基づく。インシリコ法に加えて、様々な生化学的技法、例えばプロテアーゼ切断、表面修飾など、を用いてタンパク質の表面残基を特定することもできる。
場合によっては、その後、表面残基のうち、どれが保存されているのか、またはどれがタンパク質の機能化にとって重要であるのか決定する。タンパク質の基礎生物活性を保存する必要がない場合、どの残基が保存されるかを決定する段階は、任意である。保存残基の特定は、当該技術分野において公知の任意の方法を用いて決定することができる。ある実施形態では、対象となるタンパク質の一次配列を関連タンパク質とアラインすることによって保存残基を決定することができる。これらの関連タンパク質は、同じタンパク質ファミリーからのものである場合もある。例えば、そのタンパク質が免疫グロブリンである場合、他の免疫グロブリン配列を使用することができる。関連タンパク質は、異なる種からの同じタンパク質である場合もある。例えば、異なる種からの同じタンパク質の配列をアラインすることによって、保存残基を特定することができる。しかし、別の例を挙げると、類似した機能または生物活性のタンパク質をアラインする場合がある。好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9または10の異なる配列を使用して、タンパク質内の保存アミノ酸を決定する。ある実施形態において、配列の50%より多く、60%より多く、70%より多く、75%より多く、80%より多く、90%より多く、または95%より多くが、特定の位置に同じアミノ酸を有する場合、残基は保存されていると考えられる。他の実施形態において、配列の50%より多く、60%より多く、70%より多く、75%より多く、80%より多く、90%より多く、または95%より多くが、特定の位置に同じまたは類似した(例えば、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;グリシンおよびアラニン;グルタミンおよびアスパラギン;またはアスパラギン酸およびグルタミン酸)アミノ酸を有する場合、残基は保存されていると考えられる。本明細書に記載するようなタンパク質配列のアラインメントおよび比較に、多くのソフトウェアパッケージを利用することができる。当業者には理解されるように、最初に保存残基を決定してもよいし、最初に表面残基を決定してもよい。順序は問題ではない。ある実施形態において、コンピュータ・ソフトウェア・パッケージは、表面残基と保存残基を同時に決定することができる。そのタンパク質中の重要な残基をタンパク質の突然変異誘発によって特定することもできる。例えば、タンパク質のアラニンスキャンを用いて、そのタンパク質中の重要なアミノ酸残基を決定することができる。いくつかの実施形態では、部位特異的突然変異誘発を用いる場合がある。ある実施形態において、タンパク質の原生物活性の保存は重要でなく、従って、保存残基を特定する段階および過剰に荷電されたタンパク質においてそれらを保護する段階を行わない。
表面残基のそれぞれを疎水性または親水性として識別する。ある実施形態では、残基に疎水性スコアを割り当てる。例えば、それぞれの表面残基にオクタノール/水logP値を割り当てることができる。他の疎水性パラメータを用いてもよい。アミノ酸のそのような尺度は、Janin、1979、Nature、277:491;Wolfendenら、1981、Biochemistry、20:849;Kyteら、1982、J.Mol.Biol.、157:105;Roseら、1985、Science、229:834;Cornetteら、1987、J.Mol.Biol.、195:659;ChartonおよびCharton、1982、J.Theor.Biol.、99:629において論じられており、これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている。これらの疎水性パラメータのいずれかを本発明の方法において用いて、どの残基を修飾するかを決定することができる。ある実施形態では、親水性または荷電残基を修飾のために特定する。
その後、特定された少なくとも1つの表面残基を修飾のために選択する。ある実施形態では、疎水性残基(単数または複数)を修飾のために選択する。他の実施形態では、親水性および/または荷電残基(単数または複数)を修飾のために選択する。ある実施形態では、1つより多くの残基を修飾のために選択する。ある実施形態では、特定された残基の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個を修飾のために選択する。ある実施形態では、10より多くの、15より多くの、20より多くの、または25より多くの残基を修飾のために選択する。当業者には理解されるように、タンパク質が大きいほど、修飾を必要とする残基は多い。また、タンパク質が疎水性であるほど、または凝集もしくは沈殿しやすいほど、多くの残基を修飾する必要があるだろう。ある実施形態では、異なる修飾をそれぞれが伴う、タンパク質の多くの変異体を生成し、細胞への核酸の送達、安定性、生体適合性および/または生物活性に関して試験して最良の変異体を決定する。
ある実施形態では、修飾のために選択された残基をより親水性の高い残基(荷電残基を含む)に突然変異させる。典型的には、残基をより親水性の高い天然アミノ酸に突然変異させる。ある実施形態では、生理的なpHで電荷を有するアミノ酸に残基を突然変異させる。例えば、残基をアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジンまたはリシンに変更することができる。ある実施形態では、修飾すべきすべての残基をそれらの異なる残基に変更する。例えば、選択された残基のすべてをリシン残基に変更する。他の実施形態では、選択された残基を異なる残基に変更するが、すべての最終残基は、生理的なpHで正電荷または負電荷を有し得る。ある実施形態では、負電荷を有するタンパク質を作るために、突然変異させるすべての残基をグルタミン酸および/またはアスパラギン酸残基に転化させる。ある実施形態では、正電荷を有するタンパク質を作るために、突然変異させるすべての残基をリシン残基に転化させる。例えば、修飾のために選択されるすべての残基は、アスパラギン、グルタミン、リシンおよび/またはアルギニンであり、これらの残基をアスパラギン酸またはグルタミン酸残基に突然変異させる。しかし、別の例を挙げると、修飾のために選択されるすべての残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、および/またはグルタミンであり、これらの残基をリシンに突然変異させる。このアプローチは、タンパク質の正味電荷を最大限まで修飾することができる。
いくつかの実施形態では、未修飾タンパク質のものと同じ正味電荷を修飾されたタンパク質が保持するようにタンパク質を修飾することができる。いくつかの実施形態では、タンパク質の全体の正味電荷を減少させ、その上、表面の荷電残基の総数を増加させるように、タンパク質を修飾することができる。ある実施形態では、理論正味電荷を少なくとも+1、少なくとも+2、少なくとも+3、少なくとも+4、少なくとも+5、少なくとも+10、少なくとも+15、少なくとも+20、少なくとも+25、少なくとも+30、少なくとも+35、または少なくとも+40増加させる。ある実施形態では、理論正味電荷を少なくとも−1、少なくとも−2、少なくとも−3、少なくとも−4、少なくとも−5、少なくとも−10、少なくとも−15、少なくとも−20、少なくとも−25、少なくとも−30、少なくとも−35、または少なくとも−40減少させる。ある実施形態では、選択されたアミノ酸を非イオン性極性残基(例えば、システイン、セリン、トレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン)に変更する。
ある実施形態において、荷電アミノ酸残基に突然変異させるアミノ酸残基は、互いに少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、または少なくとも25アミノ酸残基、離れている。ある実施形態において、正電荷を有するアミノ酸残基(例えば、リシン)に突然変異させるアミノ酸残基は、互いに1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、または少なくとも25アミノ酸残基、離れている。典型的に、これらの介在配列は、荷電化されるタンパク質の主アミノ酸に基づく。ある実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質において2つの荷電アミノ酸しか連続して存在させない。ある実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質において3つの荷電アミノ酸しか連続して存在させない。ある実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質において4つ以下の荷電アミノ酸しか連続して存在させない。ある実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質において5つ以下の荷電アミノ酸しか連続して存在させない。
ある実施形態において、表面露出ループ、らせん、ターン、または他の二次構造は、荷電残基を1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個しか含有できない。タンパク質上の荷電残基の分布が、タンパク質をより安定にさせると典型的には考えられる。ある実施形態では、一次配列のアミノ酸15〜20個あたり1、2、3、4または5個の残基しか荷電アミノ酸(例えば、リシン)に突然変異させない。ある実施形態では、一次配列のアミノ酸10個あたり平均で1、2、3、4または5個の残基しか荷電アミノ酸(例えば、リシン)に突然変異させない。ある実施形態では、一次配列のアミノ酸15個あたり平均で1、2、3、4または5個の残基しか荷電アミノ酸(例えば、リシン)に突然変異させない。ある実施形態では、一次配列のアミノ酸20個あたり平均で1、2、3、4または5個の残基しか荷電アミノ酸(例えば、リシン)に突然変異させない。ある実施形態では、一次配列のアミノ酸25個あたり平均で1、2、3、4または5個の残基しか荷電アミノ酸(例えば、リシン)に突然変異させない。ある実施形態では、一次配列のアミノ酸30個あたり平均で1、2、3、4または5個の残基しか荷電アミノ酸(例えば、リシン)に突然変異させない。
ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質の突然変異荷電アミノ酸残基の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%は、溶媒に露出される。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質の突然変異荷電アミノ酸残基の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%は、タンパク質の表面に存在する。ある実施形態において、突然変異荷電アミノ酸残基の5%未満、10%未満、20%未満、30%未満、40%未満、50%未満は、溶媒に露出されない。ある実施形態において、突然変異荷電アミノ酸残基の5%未満、10%未満、20%未満、30%未満、40%未満、50%未満は、内部アミノ酸残基である。
いくつかの実施形態では、1つ以上の所定の基準を用いて、修飾するためのアミノ酸残基を選択する。例えば、過剰に正に荷電されたタンパク質を生成するために、AvNAPSA値を用いて、一定の閾値より下のAvNAPSA値を有するアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよび/またはグルタミン残基を特定することができ、これらの残基の1つ以上(例えば、すべて)をリシンに変更することができる。いくつかの実施形態において、過剰に正に荷電されたタンパク質を生成するために、AvNAPSA値を用いて、一定の閾値より下のAvNAPSA値を有するアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよび/またはグルタミン残基を特定することができ、これらの1つ以上(例えば、すべて)をアルギニンに変更することができる。いくつかの実施形態において、超負電荷のタンパク質を生成するために、AvNAPSA値を用いて、一定の閾値より下のAvNAPSA値を有するアスパラギン、グルタミン、リシンおよび/またはアルギニン残基を特定することができ、これらの1つ以上(例えば、すべて)をアスパラギン酸残基に変更することができる。いくつかの実施形態において、超負電荷を有するタンパク質を生成するために、AvNAPSA値を用いて、一定の閾値より下のAvNAPSA値を有するアスパラギン、グルタミン、リシンおよび/またはアルギニン残基を特定することができ、これらの1つ以上(例えば、すべて)をグルタミン酸残基に変更することができる。いくつかの実施形態において、一定の閾値は、40以下である。いくつかの実施形態において、一定の閾値は、35以下である。いくつかの実施形態において、一定の閾値は、30以下である。いくつかの実施形態において、一定の閾値は、25以下である。いくつかの実施形態において、一定の閾値は、20以下である。いくつかの実施形態において、一定の閾値は、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下である。いくつかの実施形態において、一定の閾値は、0である。
いくつかの実施形態では、隣接するものの数によって溶媒露出残基を特定する。一般に、隣接するものをより多く有する残基は、隣接するものをより少く有する残基より溶媒露出が少ない。いくつかの実施形態では、溶媒露出残基を、アミノ酸側鎖の方向の原因となる半球露出(Hamelryck、2005、Proteins、59:8−48;参考として本明細書に援用されている)によって特定する。いくつかの実施形態では、溶媒露出表面積、接触可能表面積、および/またはそれぞれの残基の溶媒排除表面を算出することによって溶媒露出残基を特定する。例えば、Leeら、J.Mol.Biol.55(3):379−400、1971;Richmond、J.Mol.Biol.178:63−89、1984参照(これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)。
当該技術分野において公知の任意の技術を用いて、タンパク質における所望の修飾または突然変異を果たすことができる。タンパク質配列にそのような変更を導入するための組み換えDNA技術は、当該技術分野において周知である。ある実施形態では、タンパク質をコードするポリヌクレオチドの部位特異的突然変異誘発によって修飾を行う。突然変異を導入するための他の技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、編者:Sambrook、Fritsch、およびManiatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press:1989);the treatise、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.、N.Y.);Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons,Inc.、New York、1999)において論じられており、これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている。修飾されたタンパク質を発現させ、試験する。ある実施形態では、一連の変異体を調製し、それぞれの変異体を試験してその生物活性およびその安定性を決定する。後の使用のために選択される変異体は、最も安定なものである場合もあり、最も活性の高いものである場合もあり、または活性および安定性が総合的に最も高い組み合わせである場合もある。第一の変異体セットを調製した後、第一のセットから学んだことに基づいて、追加の変異体セットを調製することができる。典型的には、当該技術分野において公知の組み換え技術を用いて変異体を作り、過剰発現させる。
過剰に荷電されたタンパク質をさらに修飾することができる。当業者に公知の技術を用いて、過剰に荷電されたタンパク質を含むタンパク質を修飾することができる。例えば、過剰に荷電されたタンパク質を化学的にまたは生物学的に修飾することができる。1つ以上のアミノ酸残基をその一次配列に付加させることができ、その一次配列から欠失させるまたは変更することができる。例えば、ポリヒスチジンタグまたは他のタグを過剰に荷電されたタンパク質に付加させて、そのタンパク質の精製を助長することができる。他のペプチドまたはタンパク質を過剰に荷電されたタンパク質に付加させて、そのタンパク質の生物学的、生化学的、および/または生理的特性を改変することができる。例えば、エンドソーム溶解性ペプチドを過剰に荷電されたタンパク質の一次配列に付加させることができ、またはターゲッティングペプチドを過剰に荷電されたタンパク質の一次配列に付加させることができる。過剰に荷電されたタンパク質の他の修飾としては、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、アシル化、脂質化、ファルネシル化、アセチル化、タンパク質分解など)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質を、その免疫原性を低下させるように修飾することができる。ある実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質を、細胞に核酸を送達するその能力を強化するように修飾することができる。ある実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質を、ポリマーに結合体化させることができる。例えば、タンパク質をポリエチレングリコール(PEG)ポリマーに結合体化させることによって、そのタンパク質をPEG化することができる。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、過剰に荷電されたタンパク質を修飾する多数の方法を思い描くことができる。本明細書に記載する方法は、過剰に荷電させるべきタンパク質のタンパク質配列に変更を課すことによって、タンパク質を荷電化することができる。他の方法を用いて、タンパク質配列を修飾せずに過剰に荷電されたタンパク質を生成することができる。例えば、電荷を変える部分を、タンパク質に(例えば、化学または酵素反応によって)付けて、表面電荷を与えて、過剰に荷電させることを達成することができる。ある実施形態では、Shawら、Protein Science 17:1446、2008に記載されているタンパク質修飾方法を用いて、タンパク質を過剰に荷電させることができる。
国際PCT特許出願(「Protein Surface Remodeling」と題する2007年12月13日にWO 2007/143574として発行された、2007年6月1日出願のPCT/US07/70254;参考として本明細書に援用されている)および米国特許仮出願(2006年6月2日出願のU.S.S.N.60/810,364、および2006年8月9日出願のU.S.S.N.60/836,607;両方とも「Protein Surface Remodeling」と題するものであり、および両方とも参考として本明細書に援用されている)には、いくつかの異なるタンパク質の変異体の設計および生成が記載されている。これらの変異体が、より安定であることおよびそれらの蛍光を保持することが証明されている。例えば、Aequorea victoriaからの緑色蛍光タンパク質(GFP)は、GenBankアクセッション番号P42212に記載されており、これは、参考として本明細書に援用されている。この野生型GFPのアミノ酸配列は、次のとおりである:
野生型GFPは、−7の理論正味電荷を有する。−29、−30、−25、+15、+25、+36、+48、および+49の理論正味電荷を有する変異体が生成された。+36GFPは、95℃に加熱した後でさえ、変異タンパク質の100%が可溶性であり、タンパク質は、その蛍光の70%以上を保持する。+15、+25および+36GFPは、細胞への核酸のトランスフェクションに特に有用であることが判明した。詳細には、+36GFPは、高細胞透過性であること、および他のトランスフェクション法を用いるとトランスフェクションに対して耐性の細胞系を含む様々な哺乳動物細胞に核酸を効率的に送達できることが判明した。従って、少なくとも+25、少なくとも+30、少なくとも+35、または少なくとも+40の正味電荷を有するGFPまた他のタンパク質は、細胞への核酸のトランスフェクションに特に有用であると考えられる。
生成されたGFPの変異体のアミノ酸配列としては、次のものが挙げられる:
エンドソームからの過剰に荷電されたタンパク質、または送達された作用物質、例えば核酸、の脱出を促進するために、エンドソーム分解またはエンドソームの溶解を増進することが公知であるタンパク質、ペプチドまたは他のエンティティーと過剰に荷電されたタンパク質を融合させるまたは会合させることができる。ある実施形態において、ペプチドは、エンドソーム分解を増進することが公知である、血球凝集素2(HA2)ペプチドである。ある特定の実施形態では、HA2ペプチドを過剰に荷電されたGFP(例えば、+36GFP)と融合させる。ある特定の実施形態において、融合タンパク質は、次の配列のものである:
ある実施形態において、エンドソーム溶解性ペプチドは、メリチンペプチド(GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、配列番号:XX)(Meyerら、JACS 130(11):3272−3273、2008;これは参考として本明細書に援用されている)である。ある実施形態では、メリチンペプチドを1、2、3、4または5アミノ酸置換、欠失、および/または付加によって修飾する。ある実施形態において、メリチンペプチドは、配列:CIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ(配列番号:XX)のものである。ある特定の実施形態では、メリチンペプチドを過剰に荷電されたGFP(例えば、+36GFP)と融合させる。
ある実施形態において、エンドソーム溶解性ペプチドは、ペネトラチンペプチド(RQIKIWFQNRRMKWKK−アミド、配列番号:XX)、ウシPrP(1−30)ペプチド(MVKSKIGSWILVLFVAMWSDVGLCKKRPKP−アミド、配列番号:XX)、MPGΔNLSペプチド(これは、K−>S置換のため機能性核酸局在配列を欠く)(GALFLGWLGAAGSTMGAPKSKRKV、配列番号:XX)、TP−10ペプチド(AGYLLGKINLKALAALAKKIL−アミド、配列番号:XX)、および/またはEB1ペプチド(LIRLWSHLIHIWFQNRRLKWKKK−アミド、配列番号:XX)(Lundbergら、2007、FASEB J.21:2664;参考として本明細書に援用されている)である。ある実施形態では、ペネトラチン、PrP(1−30)、MPG、TP−10、および/またはEB1ペプチドを、1、2、3、4または5アミノ酸置換、欠失、および/または付加によって修飾する。ある特定の実施形態では、PrP(1−30)、MPG、TP−10、および/またはEB1ペプチドを、過剰に荷電されたGFP(例えば、+36GFP)に融合させる。
他のペプチドまたはタンパク質も過剰に荷電されたタンパク質に融合させることができる。例えば、ターゲッティングペプチドを過剰に荷電されたタンパク質に融合させて、過剰に荷電されたタンパク質、または会合している作用物質、例えば核酸、を特定の細胞タイプに選択的に送達することができる。核酸のトランスフェクションを増進するペプチドまたはタンパク質も使用することができる。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質に融合させるペプチドは、ペプチドホルモンである。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質に融合させるペプチドは、ペプチドリガンドである。
当業者には理解されるように、相同タンパク質も本発明の範囲内であると考えられる。例えば、上記配列のいずれかと約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約100%同一である約20、約30、約40、約50、または約100アミノ酸の伸長部を含む任意のタンパク質を本発明に従って利用することができる。あるいは、または加えて、本発明に従って付加および欠失変異体を利用することができる。ある実施形態では、上記配列のいずれかに示したような突然変異残基を有する任意のGFPを本発明に従って利用することができる。ある実施形態において、本発明に従って利用するためのタンパク質配列は、上記配列のいずれかに示したような突然変異を2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上含む。
過剰に荷電させることができ、および例えば、作用物質、例えば核酸、の送達に用いることができる他のタンパク質は、他のGFP型蛍光タンパク質を含む。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、青色蛍光タンパク質の過剰に荷電されたバージョンである。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、シアン蛍光タンパク質の過剰に荷電されたバージョンである。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、黄色蛍光タンパク質の過剰に荷電されたバージョンである。例示的蛍光タンパク質としては、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)、AcGFP、TurboGFP、Emerald、Azami Green、ZsGreen、EBFP、Sapphire、T−Sapphire、ECFP、mCFP、Cerulean、CyPet、AmCyan1、Midori−Ishi Cyan、mTFP1(Teal)、強化黄色蛍光タンパク質(EYFP)、Topaz、Venus、mCitrine、YPet、PhiYFP、ZsYellow1、mBanana、Kusabira Orange、mOrange、dTomato、dTomato−Tandem、DsRed、DsRed2、DsRed−Express(T1)、DsRed−Monomer、mTangerine、mStrawberry、AsRed2、mRFP1、JRed、mCherry、HcRed1、mRaspberry、HcRed1、HcRed−Tandem、mPlum、およびAQ143が挙げられるが、これらに限定されない。
過剰に荷電させることができ、および例えば、作用物質、例えば核酸、の送達に用いることができるさらに他のタンパク質としては、ヒストン成分またはヒストン様タンパク質が挙げられる。ある実施形態において、ヒストン成分は、ヒストンリンカーH1である。ある実施形態において、ヒストン成分は、コアヒストンH2Aである。ある実施形態において、ヒストン成分は、コアヒストンH2Bである。ある実施形態において、ヒストン成分は、コアヒストンH3である。ある実施形態において、ヒストン成分は、コアヒストンH4である。ある実施形態において、タンパク質は、古細菌ヒストン様タンパク質(archael histone−linke protein)、HPhAである。ある実施形態において、タンパク質は、細菌ヒストン様タンパク質、TmHUである。
過剰に荷電させることができ、および例えば、作用物質、例えば核酸、の送達に用いることができる他のタンパク質としては、高速移動群タンパク質(HMG)が挙げられる。ある実施形態において、タンパク質は、HMG1である。ある実施形態において、タンパク質は、HMG17である。ある実施形態において、タンパク質は、HMG1−2である。
過剰に荷電させることができ、および例えば、作用物質、例えば核酸、の送達に用いることができる他のタンパク質としては、抗癌剤、例えば、抗アポトーシス剤、細胞周期調節剤などが挙げられる。
過剰に荷電させることができ、および例えば、作用物質、例えば核酸、の送達に用いることができる他のタンパク質は、アミラーゼ、ペクチナーゼ、ヒドロラーゼ、プロテアーゼ、グルコースイソメラーゼ、リパーゼ、フィターゼなどを含む(しかし、これらに限定されない)酵素である。いくつかの実施形態において、過剰に荷電させることができ、および例えば、作用物質、例えば核酸、の送達に用いることができるタンパク質は、アルグルセラーゼ、イミグルセラーゼ、アガルシダーゼベータ、α−1−イズロニダーゼ、酸性α−グルコシダーゼ、イズロン酸−2−スルファターゼ、N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼなどを含む(しかし、これらに限定されない)リソソーム酵素(Wangら、2008、NBT、26:901−08;参考として本明細書に援用されている)である。
過剰に荷電させることができ、および例えば、作用物質、例えば核酸、の送達に用いることができる他のタンパク質を表1に提示する。表1に列挙するタンパク質の一部は、それらのタンパク質を過剰に荷電させるように修飾することができる残基のリストを含む。残基の素性は、対象となるタンパク質のPDBファイルをダウンロードすることによってコンピュータで特定した。avNapsa値を上昇させることによってpdbファイルの残基がソートされ、最初の15のASP、GLU、ASNまたはGLN残基がLYSへの突然変異のために提案された。
PDBファイルは、規定により、アミノ酸に野生型タンパク質におけるそれらの順序によって番号を付与する。しかし、PDBファイルは、完全長野生型タンパク質を含有しない場合がある。インプットタンパク質配列は、PDBに含まれているアミノ酸の配列である。提案突然変異によって、完全長野生型タンパク質中およびまたインプットタンパク質配列中のアミノ酸の数が規定される。提案突然変異を次の形式で提供する:野生型残基_鎖:野生型タンパク質鎖中の残基番号(インプット鎖中の残基番号)_提案残基。野生型残基は、野生型タンパク質中のアミノ酸の素性を指す。鎖は、明記する突然変異のペプチド鎖の呼称を指す。野生型タンパク質中の残基番号は、完全長野生型タンパク質における明記する突然変異の指定タンパク質鎖中のアミノ酸の数を指す。インプット鎖中の残基番号は、分析したPDBに含まれていた指定タンパク質鎖中のアミノ酸の数を指す。
表2.過剰に荷電され得る例示的転写因子
それらの調節機能による分類:
I.構成的に活性 − すべての細胞に常に存在 − 一般的な転写因子、Sp1、NF1、CCAAT
II. 条件付きで活性−活性化を必要とする
II.A 発生的(細胞特異的)− 発現はしっかりと制御されるが、一旦発現されると、さらなる活性化を一切必要としない−GATA、HNF、PIT−1、MyoD、Myf5、Hox、翼状らせん
II.B シグナル依存性 − 活性化に外部シグナルを必要とする
II.B.1 細胞外リガンド依存性 − 核受容体
II.B.2 細胞内リガンド依存性 − 細胞内小分子によって活性化される − SREBP、p53、オーファン核受容体
II.B.3 細胞膜受容体依存性 − 転写因子のリン酸化を生じさせる二次メッセンジャー・シグナリング・カスケード
II.B.3.定住核性因子 − 活性化の状態にかかわらず核内に定住する − CREB、AP−1、Mef2
II.B.3.b 潜在細胞質因子 − 不活性形が細胞質中に定住しているが、活性化されると、核内に転座する − STAT、R−SMAD、NF−kB、Notch、TUBBY、NFAT

配列類似性および従ってそれらのDNA結合ドメインの三次構想に基づく分類:
1 スーパークラス: 塩基性ドメイン(塩基性らせん−ループ−らせん)
1.1 クラス: ロイシンジッパー因子(bZIP)
1.1.1 ファミリー:AP−1(様)成分;(c−Fos/c−Jun)を含む
1.1.2 ファミリー:CREB
1.1.3 ファミリー:C/EBP様因子
1.1.4 ファミリー:bZIP / PAR
1.1.5 ファミリー:Plant G−box阻害因子
1.1.6 ファミリー:ZIPのみ
1.2 クラス:らせん−ループ−らせん因子(bHLH)
1.2.1 ファミリー:ユビキタス(クラスA)因子
1.2.2 ファミリー:筋原性転写因子(MyoD)
1.2.3 ファミリー:Achaete−Scute
1.2.4 ファミリー:Tal/Twist/Atonal/Hen
1.3 クラス: らせん−ループ−らせん /ロイシンジッパー因子(bHLH−ZIP)
1.3.1 ファミリー:ユビキタスbHLH−ZIP因子;USF(USF1、USF2);SREBP(SREBP)を含む
1.3.2 ファミリー:細胞周期制御因子;c−Mycを含む
1.4 クラス:NF−1
1.4.1 ファミリー:NF−1(A、B、C、X)
1.5 クラス:RF−X
1.5.1 ファミリー:RF−X(1、2、3、4、5、ANK)
1.6 クラス:bHSH

2 スーパークラス:亜鉛配位DNA結合ドメイン
2.1 クラス:核受容体タイプのCys4ジンクフィンガー
2.1.1 ファミリー:ステロイドホルモン受容体
2.1.2 ファミリー:甲状腺ホルモン受容体様因子
2.2 クラス: 多様なCys4ジンクフィンガー
2.2.1 ファミリー:GATA因子
2.3 クラス:Cys2His2ジンク・フィンガー・ドメイン
2.3.1 ファミリー:ユビキタス因子;TFIIIA、Sp1を含む、
2.3.2 ファミリー:発育/細胞周期調節因子;Krueppelを含む
2.3.4 ファミリー:NF−6B様結合特性を有する大きな因子
2.4 クラス:Cys6システイン−亜鉛クラスター
2.5 クラス:交互組成のジンクフィンガー

3 スーパークラス:らせん−ターン−らせん
3.1 クラス:ホメオドメイン
3.1.1 ファミリー:ホメオドメインのみ;Ubxを含む
3.1.2 ファミリー:POUドメイン因子;Octを含む
3.1.3 ファミリー:LIM領域を有するホメオドメイン
3.1.4 ファミリー:ホメオドメインとジンク・フィンガー・モチーフ
3.2 クラス: 対合ボックス
3.2.1 ファミリー:対合ドメインとホメオドメイン
3.2.2 ファミリー:対合ドメインのみ
3.3 クラス:フォークヘッド/翼状らせん
3.3.1 ファミリー:発育調節因子;フォークヘッドを含む
3.3.2 ファミリー:組織特異的調節因子
3.3.3 ファミリー:細胞周期制御因子
3.3.0 ファミリー:他の調節因子
3.4 クラス: 熱ショック因子
3.4.1 ファミリー:HSF
3.5 クラス:トリプトファンクラスター
3.5.1 ファミリー:Myb
3.5.2 ファミリー:Etsタイプ
3.5.3 ファミリー:インターフェロン調節因子
3.6 クラス: TEA(転写エンハンサー因子)ドメイン
3.6.1 ファミリー:TEA(TEAD1、TEAD2、TEAD3、TEAD4)

4 スーパークラス: 少数の溝接点を有するベータ−足場因子
4.1 クラス: RHR(Rel相同領域)
4.1.1 ファミリー:Rel/アンキリン;NF−カッパB
4.1.2 ファミリー:アンキリンのみ
4.1.3 ファミリー:NFAT(活性化T細胞の核性因子)(NFATC1、NFATC2、NFATC3)
4.2 クラス:STAT
4.2.1 ファミリー:STAT
4.3 クラス:p53
4.3.1 ファミリー:p53
4.4 クラス:MADSボックス
4.4.1 ファミリー:分化の調節因子;(Mef2)を含む
4.4.2 ファミリー:外部シグナルに対する応答因子、SRF(血清応答因子)(SRF)
4.5 クラス:ベータ−バレル・アルファらせん転写因子
4.6 クラス:TATA結合タンパク質
4.6.1 ファミリー:TBP
4.7.1 ファミリー:SOX遺伝子、SRY
4.7.2 ファミリー:TCF−1(TCF1)
4.7.3 ファミリー:HMG2関連、SSRP1
4.7.5 ファミリー:MATA
4.8 クラス:ヘテロメリックCCAAT因子
4.8.1 ファミリー:ヘテロメリックCCAAT因子
4.9 クラス:グレイニーヘッド
4.9.1 ファミリー:グレイニーヘッド
4.10 クラス:低温ショックドメイン因子
4.10.1 ファミリー:csd
4.11 クラス:Runt
4.11.1 ファミリー:Runt

0 スーパークラス:他の転写因子
0.1 クラス:銅フィストタンパク質
0.2 クラス:HMGI(Y)(HMGA1)
0.2.1 ファミリー:HMGI(Y)
0.3 クラス:ポケットドメイン
0.4 クラス:E1A様因子
0.5 クラス:AP2/EREBP関連因子
0.5.1 ファミリー:AP2
0.5.2 ファミリー:EREBP
0.5.3 スーパーファミリー:AP2/B3
0.5.3.1 ファミリー:ARF
0.5.3.2 ファミリー:ABI
0.5.3.3 ファミリー:RAV

ある実施形態では、特定のタンパク質について表1において提案した突然変異のサブセットを生じさせて、過剰に荷電されたタンパク質を生成する。ある実施形態では、少なくとも2つの突然変異を生じさせる。ある実施形態では、少なくとも3つの突然変異を生じさせる。ある実施形態では、少なくとも4つの突然変異を生じさせる。ある実施形態では、少なくとも5つの突然変異を生じさせる。ある実施形態では、少なくとも10個の突然変異を生じさせる。ある実施形態では、少なくとも15個の突然変異を生じさせる。ある実施形態では、少なくとも20個の突然変異を生じさせる。ある実施形態では、提案突然変異すべてを生じさせて、過剰に正に荷電されたタンパク質を生成する。ある実施形態では、提案突然変異を生じさるのではなく、むしろ1つ以上の荷電部分をタンパク質に付加させて過剰に正に荷電されたタンパク質を作る。
ある実施形態において、前記過剰に荷電されたタンパク質は、天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質である。ある実施形態において、前記天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質の理論正味電荷は、少なくとも+1、少なくとも+2、少なくとも+3、少なくとも+4、少なくとも+5、少なくとも+10、少なくとも+15、少なくとも+20、少なくとも+25、少なくとも+30、少なくとも+35、または少なくとも+40である。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ0.8の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ1.0の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ1.2の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ1.4の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、前記過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ1.5の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、前記過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ1.6の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ1.7の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ1.8の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ1.9の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ2.0の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ2.5の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、少なくともおおよそ3.0の電荷:分子量比を有する。ある実施形態において、タンパク質の分子量は、おおよそ4kDaからおおよそ100kDaにわたる。ある実施形態において、タンパク質の分子量は、おおよそ10kDaからおおよそ45kDaにわたる。ある実施形態において、タンパク質の分子量は、おおよそ5kDaからおおよそ50kDaにわたる。ある実施形態において、タンパク質の分子量は、おおよそ10kDaからおおよそ60kDaにわたる。ある実施形態において、天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質は、ヒストンに関連するものである。ある実施形態において、天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質は、リボソームに関連するものである。天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質の例としては、サイクロン(番号:Q9H6F5);PNRC1(番号:Q12796);RNPS1(番号:Q15287);SURF6(番号:O75683);AR6P(番号:Q66PJ3);NKAP(番号:Q8N5F7);EBP2(番号:Q99848);LSM11(番号:P83369);RL4(番号:P36578);KRR1(番号:Q13601);RY−1(番号:Q8WVK2);BriX(番号:Q8TDN6);MNDA(番号:P41218);H1b(番号:P16401);サイクリン(番号:Q9UK58);MDK(番号:P21741);ミッドカイン(番号:P21741);PROK(番号:Q9HC23);FGF5(番号:P12034);SFRS(番号:Q8N9Q2);AKIP(番号:Q9NWT8);CDK(番号:Q8N726);ベータ−ディフェンシン(番号:P81534);ディフェンシン3(番号:P81534);PAVAC(番号:P18509);PACAP(番号:P18509);エオタキシン−3(番号:Q9Y258);ヒストンH2A(番号:Q7L7L0);HMGB1(番号:P09429);C−Jun(番号:P05412);TERF 1(番号:P54274);N−DEK(番号:P35659);PIAS 1(番号:O75925);Ku70(番号:P12956);HBEGF(番号:Q99075);およびHGF(番号:P14210)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、本発明において利用する過剰に荷電されたタンパク質は、U4/U6.U5トリ−snRNP関連タンパク質3(番号:Q8WVK2);ベータ−ディフェンシン(番号:P81534);タンパク質SFRS12lP1(番号:Q8N9Q2);ミッドカイン(番号:P21741);C−Cモチーフケモカイン26(番号:Q9Y258);遺伝子座過剰タンパク質(surfeit locus protein)6(番号:O75683);オーロラキナーゼA相互作用タンパク質(番号:Q9NWT8);NF−カッパ−B−活性化タンパク質(番号:Q8N5F7);ヒストンH1.5(番号:P16401);ヒストンH2Aタイプ3(番号:Q7L7L0);60Sリボソームタンパク質L4(番号:P36578);高セリンドメイン1を有するRNA結合タンパク質のアイソフォーム1(番号:Q15287−1);サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2Aのアイソフォーム4(番号:Q8N726−1);プロキネチシン−2のアイソフォーム1(番号:Q9HC23−1);ADPリボシル化因子様タンパク質6相互作用タンパク質4のアイソフォーム1(番号:Q66PJ3−1);線維芽細増殖長因子5のアイソフォームlong(番号:P12034−1);またはサイクリン−L1のアイソフォーム1(番号:Q9UK58−1)である。本発明に利用することができるヒトプロテオームからの他の可能な天然に存在する過剰に荷電されたタンパク質を下のリストに含める。列挙するタンパク質は、0.8より大きい電荷:分子量比を有する。
核酸
本発明は、細胞への核酸のインビボまたはインビトロ送達のためのシステムおよび方法を提供する。そのようなシステムおよび方法は、典型的には、複合体を形成するための過剰に荷電されたタンパク質と1つ以上の核酸の会合、および1つ以上の細胞へのその複合体の送達を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、治療活性を有することがある。いくつかの実施形態において、複合体の細胞への送達は、核酸と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体を、その必要がある被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、核酸は、独力で細胞に進入できない場合があるが、過剰に荷電されたタンパク質と複合体を形成すると細胞の内部に進入することができる。いくつかの実施形態では、核酸を細胞に進入させるために過剰に荷電されたタンパク質を利用する。本発明による核酸は、それら自体、治療活性を有することができ、または治療活性を有するRNAおよび/もしくはタンパク質の発現を指示することができる。核酸の治療活性は、下でさらに詳細に論じる。
用語「核酸」は、その最も広義で、オレゴヌクレオチド鎖に組み込まれているまたは組み込むことができる任意の化合物および/または物質を包含する。本発明に従って使用するための例示的核酸としては、下でさらに詳細に説明する、DNA、RNA、これらのハイブリッド、RNAi誘導剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒性DNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、ベクターなどが挙げられるが、それらに限定されない。
本発明に従って使用するための核酸は、化学合成、酵素的合成、より長い前駆体の酵素的または化学的切断などをはじめとする(しかし、これらに限定されない)任意の利用可能な技術に従って調製することができる。RNAの合成方法は、当該技術分野において公知である(例えば、Gait,M.J.(ed.)Oligonucleotide synthesis:a practical approach,Oxford[Oxfordshire],Washington,DC:IRL Press,1984;およびHerdewijn,P.(ed.)Oligonucleotide synthesis:methods and applications,Methods in Molecular Biology,v.288 (Clifton,N.J.)Totowa,N.J.:Humana Press,2005参照;これらの両方が参考として本明細書に援用されている)。
核酸は、天然に存在するヌクレオシド;修飾ヌクレオシド;1つ以上のヌクレオシドの間に挿入された炭化水素リンカー(例えば、アルキレン)もしくはポリエーテルリンカー(例えば、PEGリンカー)を伴う天然に存在するヌクレオシド;1つ以上のヌクレオシドの間に挿入された炭化水素もしくはPEGリンカーを伴う修飾ヌクレオシド;またはこれらの組み合わせを含む場合がある。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを炭化水素リンカーまたポリエーテルリンカーで置換することができるが、但し、核酸の機能がその置換によって実質的に低下されないことを条件とする。
本発明による核酸が、天然に存在する核酸中でもっぱら見つけられるタイプのヌクレオチドを含むこともあり、または、その代わりに1つ以上のヌクレオチド類似体を含む、もしくは天然に存在する核酸のものとは別様に異なる構造を有することもあることは、通常の当業者には理解されるであろう。米国特許第6,403,779号;同第6,399,754号;同第6,225,460号;同第6,127,533号;同第6,031,086号;同第6,005,087号;同第5,977,089号(これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている);およびそれらの中に開示されている参考文献には、用いることができる多種多様な具体的なヌクレオチド類似体および修飾が開示されている。Crooke,S.(ed.)Antisense Drug Technology:Principles,Strategies,and Applications(1sted),Marcel Dekker;ISBN:0824705661;1st edition(2001;参考として本明細書に援用されている)およびその中の参考文献を参照のこと。例えば、2’修飾は、ハロ、アルコキシおよびアリルオキシ基を含む。いくつかの実施形態では、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH、NHR、NRまたはCNから選択される基によって2’−OH基を置換し、この場合のRは、C〜Cアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、およびハロは、F、Cl、BrまたはIである。修飾結合の例としては、ホスホロチオエートおよび5’−N−ホスホロアミダイト結合が挙げられる。
様々な異なるヌクレオチド類似体、修飾された主鎖、または天然に存在しないヌクレオシド間結合を含む核酸を本発明に従って利用することができる。本発明の核酸は、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)を場合もあり、または修飾ヌクレオシドを含む場合もある。修飾ヌクレオチドの例としては、塩基修飾ヌクレオシド(例えば、アラシチジン、イノシン、イソグアノシン、ネブラリン、プソイドウリジン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、2−チオチミジン、3−デアザ−5−アザシチジン、2’−デオキシウリジン、3−ニトロピロール、4−メチルインドール、4−チオウリジン、4−チオチミジン、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、2−チオウリジン、5−ブロモシチジン、5−ヨードウリジン、イノシン、6−アザウリジン、6−クロロプリン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−アザアデノシン、8−アジドアデノシン、ベンズイミダゾール、M1−メチルアデノシン、ピロロ−ピリミジン、2−アミノ−6−クロロプリン、3−メチルアデノシン、5−プロピニルシチジン、5−プロピニルウリジン、5−ブロモウリジン、5−フルオロウリジン、5−メチルシチジン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアノシン、および2−チオシチジン)、化学的にまたは生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基)、修飾糖(例えば、2’フルオロリボース、2’−アミノリボース、2’−アジドリボース、2’−O−メチルリボース、L−エナンチオマーヌクレオシドアラビノース、およびヘキソース)、修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’−N−ホスホロアミダイト結合)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。核酸の化学的合成のための天然および修飾ヌクレオチドモノマーは、容易に入手することができる。場合により、そのような修飾を含む核酸は、天然に存在するヌクレオチドのみからなる核酸に比べて改善された特性を提示する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する核酸修飾を利用して、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼなど)による消化を減少および/または防止する。例えば、消化を減少させるために一方またはその両方の鎖の3’末端にヌクレオチド類似体を含めることによって、核酸の構造を安定させることができる。
修飾核酸を分子の全長に沿って均一に修飾する必要はない。異なるヌクレオチド修飾および/または主鎖構造が核酸内の様々な位置に存在する場合がある。ヌクレオチド類似体または他の修飾(単数または複数)が、その核酸の機能に実質的に影響を及ぼさないような核酸のいずれの位置(単数または複数)にあってもよいことは、通常の当業者には理解されるであろう。1つだが例を挙げると、修飾は、ターゲットに特異的に結合する核酸ターゲッティング部分の能力に実質的に影響を及ぼさないような核酸ターゲット部分のいずれの位置にあってもよい。修飾領域は、一方またはその両方の鎖の5’末端にある場合もあり、および/または3’末端にある場合もある。例えば、両方の鎖のいずれかの5’および/または3’末端のおおよそ1個からおおよそ5個の残基がヌクレオチド類似体である、および/または主鎖修飾を有する、修飾核酸ターゲッティング部分を利用した。修飾は、5’末端修飾である場合もあり、または3’末端修飾である場合もある。一方またはその両方の核酸鎖が、少なくとも50%未修飾ヌクレオチド、少なくとも80%未修飾ヌクレオチド、少なくとも90%未修飾ヌクレオチド、または100%未修飾ヌクレオチドを含む場合がある。
本発明による核酸は、例えば、米国特許公開第2003/0175950号、同第2004/0192626号、同第2004/0092470号、同第2005/0020525号、および同第2005/0032733号(これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)に記載されているものなどの、糖、ヌクレオシド、またはヌクレオシド環結合への修飾を含む場合がある。本発明は、それらの中に記載されている修飾のいずれか1つ以上を有する任意の核酸の使用を包含する。例えば、多数の末端結合体、例えば、脂質、例えばコレステロール、リトコール酸、アルル酸または長いアルキル分岐鎖が、細胞の取り込みを向上させると報告されている。例えば、当該技術分野において公知の任意の適するアッセイを用いて類似体および修飾を試験して、例えば、RNAi剤によってターゲット遺伝子サイレンシング向上をもたらすものなどを選択することができる。いくつかの実施形態において、本発明による核酸は、1つ以上の非天然ヌクレオシド結合を含む場合がある。いくつかの実施形態では、核酸ターゲッティング部分の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方における1つ以上の内部核酸を転化させて、3’−3’結合または5’−5’結合などの結合を生じさせる。
いくつかの実施形態において、本発明による核酸は、合成エンティティーではなく、それらの自然環境から単離された天然に存在するエンティティーである。
RNAi剤
RNA干渉
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質と会合させることができる核酸は、RNA干渉(RNAi)を媒介する作用物質を含む。RNAiは、特定の遺伝子の発現を阻害するメカニズムである。RNAiは、典型的には、翻訳レベルで遺伝子発現を阻害するが、転写レベルで遺伝子発現を阻害することによって機能する場合もある。RNAiターゲットは、細胞転写産物、病原体転写産物(例えば、ウイルス、細菌、真菌などからのもの)、トランスポゾン、ベクターなどをはじめとする(しかし、これらに限定されない)、細胞内に存在し得る任意のRNAを含む。
RNAi経路は、一方またはその両方の末端に少数の非対合オーバーハング塩基を場合によっては有する20〜25塩基対の短いフラグメントに、長い二本鎖RNA(dsRNA)分子を切断する、酵素ダイサーによって開始される。その後、ガイド鎖として公知の、それぞれのフラグメントの2本の鎖のうちの一方が、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、相補配列と対合する。他方の鎖は、RISC活性化中に分解される。この認識事象の最もよく研究された結論は、転写後遺伝子サイレンシングである。これは、ガイド鎖がターゲット転写産物と特異的に対合し、アルゴノート(argonaute)、RISC複合体の触媒成分、によるターゲット転写産物の分解を誘導すると、発生する。もう1つの結論は、遺伝子が転写される程度に影響を及ぼす、遺伝子に対する後成的変更(例えば、ヒストン修飾およびDNAメチル化)である。
長い二本鎖RNA(例えば、30bpより大きいもの)の哺乳動物細胞への導入は、インターフェロン応答の活性化に起因して、翻訳の系統的非特異的阻害を生じさせる結果となる。外因的に送達することができる(Elbashirら、2001,Nature,411,494;参考として本明細書に援用されている)またはRNAポリメラーゼIIもしくはIIIプロモーターから内因的に発現させることができる合成短鎖RNA(例えば、19〜25bp)の使用によってこの障害を克服できることが判明したとき、飛躍的な進歩が生じた。
RNAiの現象は、例えば、以下の参考文献(これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)の中でより詳細に論じされている:Elbashirら,2001,Genes Dev.,15:188;Fireら,、1998,Nature,391:806;Tabaraら、1999,Cell,99:123;Hammondら,Nature,2000,404:293;Zamoreら,、2000,Cell,101:25;Chakraborty,2007,Curr.Drug Targets,8:469;およびMorris and Rossi,2006,Gene Ther.,13:553。
本明細書において用いる場合、用語「RNAi剤」は、RNAiメカニズムによって遺伝子発現の阻害を媒介することができる分子に特有の構造を有する、1つ以上のヌクレオチド類似体または修飾を場合によっては含む、RNAを指す。一般に、RNAi剤は、ターゲットRNAに実質的に相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、少なくとも部分的に二本鎖である。いくつかの実施形態において、RNAiは、一本鎖である。いくつかの実施形態において、例示的RNAiとしては、短い干渉性RNA(siRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、および/またはマイクロRNA(miRNA)を挙げることができる。いくつかの実施形態において、用語「RNAi剤」は、RNAi効果(例えば、ターゲットRNAの分解、および/または翻訳の阻害)を誘導する任意のRNA、RNA誘導体、および/またはRNAをコードする核酸を指すだろう。
本明細書において用いる場合、用語「RNAi誘導剤」は、RNAi剤の活性を送達する、調節する、および/または修飾する任意のエンティティーを包含する。いくつかの実施形態において、RNAi誘導剤は、ベクター(人間の手によって修飾されていない天然に存在する分子以外)であって、細胞内のその存在が、RNAiを生じさせる結果となり、およびそのRNAi誘導体のターゲットになる転写産物の発現減少をもたらすものであるベクターを含む場合がある。いくつかの実施形態において、RNAi誘導剤は、「RNAi誘導ベクター」であり、「RNAi誘導ベクター」は、細胞内のその存在が、RNAi剤(例えば、siRNA、shRNA、および/またはmiRNA)を形成するように自己ハイブリダイズするまたは互いにハイブリダイズする1つ以上のRNAの生産を生じさせる結果となるベクターを指す。様々な実施形態において、この用語は、細胞内のその存在が、RNAi剤を形成するように自己ハイブリダイズするまたは互いにハイブリダイズする1つ以上のRNAの生産を生じさせる結果となるプラスミド、例えば、DNAベクター(この配列は、ウイルスに由来する配列要素を含む場合がある)、またはウイルス(人間の手によって修飾されていない天然に存在するウイルスまたはプラスミド以外)を包含する。一般に、ベクターは、発現シグナル(単数または複数)に作動可能に連結されている核酸を含むので、そのベクターが細胞内に存在するときにRNAi剤を形成するようにハイブリダイズするまたは自己ハイブリダイズする1つ以上のRNAが転写される。従って、ベクターは、RNA(単数もしくは複数)またはその(それらの)前駆体の細胞内合成のためのテンプレートとなる。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、RNAi剤と1つ以上の医薬的に許容され得る賦形剤および/または担体とを含む組成物である。本発明のために、本明細書に記載するような任意の部分的または完全二本鎖短鎖RNA、またはターゲット転写産物に結合してその発現を減少させる(すなわち、転写レベルを減少させる、および/または転写産物によってコードされたポリペプチドの合成を減少させる)一方の鎖を、それが分解を誘発することによって作用するのか、転写を阻害することによって作用するのか、または他の手段によって作用するのかにかかわらず、RNAi誘導剤であると考える。加えて、インビボで(すなわち、細胞または生物体内で)プロセッシングされてそのようなRNAi誘導剤を生じさせることができる任意の前駆RNA構造が、本発明において有用である。
本発明によるRNAi剤は、転写産物の任意の部分をターゲットにすることができる。いくつかの実施形態において、ターゲット転写産物は、遺伝子のコーディング配列内に位置する。いくつかの実施形態において、ターゲット転写産物は、非コーディング配列内に位置する。いくつかの実施形態において、ターゲット転写産物は、エキソン内に位置する。いくつかの実施形態において、ターゲット転写産物は、イントロン内に位置する。いくつかの実施形態において、ターゲット転写産物は、遺伝子の5’非翻訳領域(UTR)または3’UTR内に位置する。いくつかの実施形態において、ターゲット転写産物は、エンハンサー領域内に位置する。いくつかの実施形態において、ターゲット転写産物は、プロモーター内に位置する。
任意の特定の遺伝子ターゲットのための、RNAi剤および/またはRNAi誘導剤の設計は、一定のガイダンスに典型的には従う。一般に、分解が望ましくない他の転写産物と共有され得るターゲット転写産物の区画を避けることが望ましい。いくつかの実施形態において、RNAi剤および/またはRNAiを誘導する実体は、高度に保存される転写産物および/またはそれらの部分をターゲットにする。いくつかの実施形態において、RNAi剤および/またはRNAiを誘導する実体は、高度に保存されない転写産物および/またはそれらの部分をターゲットにする。
siRNAおよびshRNA
本明細書において用いる場合、「siRNA」は、おおよそ19塩基対(bp)の長さであり、場合によっては1つまたは2つの一本鎖オーバーハングをさらに含むRNAデュプレックス(本明細書では「デュプレックス領域」とも呼ぶ)を含む、RNAi剤を指す。いくつかの実施形態において、siRNAは、長さが15bpから29bpにわたり、場合によっては1つまたは2つの一本鎖オーバーハングをさらに含む、デュプレックスを含む。siRNAは、互いにハイブリダイズする2つのRNA分子(すなわち、2本の鎖)から典型的には成る。siRNAの一方の鎖は、ターゲット転写産物とハイブリダイズする部分を含む。いくつかの実施形態において、siRNAは、ターゲット転写産物の分解を引き起こすことによって遺伝子発現の阻害を媒介する。
本明細書において用いる場合、「shRNA」は、RNAiを媒介するために十分な長さ(典型的には、少なくともおおよそ19bpの長さ)の二本鎖(デュプレックス)構造を形成するようにハイブリダイズしたまたはハイブリダイズすることができる少なくとも2つの相補部分と、ループを形成する典型的にはおおよそ1ヌクレオチド(nt)とおおよそ10ntの間にわたる長さの少なくとも1つの一本鎖部分とを有するRNAを含むRNAi剤を指す。いくつかの実施形態において、shRNAは、15bpから29bpにわたる長さのデュプレックス部分と、ループを形成する典型的にはおおよそ1ntとおおよそ10ntの間にわたる長さの少なくとも1つの一本鎖部分とを含む。いくつかの実施形態において、一本鎖部分は、おおよそ1nt、おおよそ2nt、おおよそ3nt、おおよそ4nt、おおよそ5nt、おおよそ6nt、おおよそ7nt、おおよそ8nt、おおよそ9nt、またはおおよそ10ntの長さである。いくつかの実施形態において、shRNAは、細胞RNAi機械によって(例えば、ダイサーによって)siRNAにプロセッシングされる。従って、いくつかの実施形態において、shRNAは、siRNAの前駆体である場合がある。それにもかかわらず、siRNAは、一般に、siRNAに似てターゲットRNAの発現を阻害することができる。本明細書において用いる場合、用語「短鎖RNAi剤」は、siRNAおよびshRNAを一括して指すために用いる。
上で述べたように、短鎖RNAi剤は、おおよそ15ntとおおよそ29ntの間の長さ、例えば、おおよそ19ntの長さの塩基対合領域(「デュプレックス領域」)を典型的には含み、場合によっては1つ以上の遊離またはループ状末端を有することがある。いくつかの実施形態において、短鎖RNAi剤は、約15nt、約16nt、約17nt、約18nt、約19nt、約20nt、約21nt、約22nt、約23nt、約24nt、約25nt、約26nt、約27nt、約28nt、約29ntの長さのデュプレックス領域を有する。しかし、投与する薬剤がこの構造を有する必要はない。例えば、RNAi誘導剤は、短鎖RNAi剤の構造にインビボでプロセッシングされ得る任意の構造を含むことができる。いくつかの実施形態において、RNAi誘導剤は、細胞に送達され、そこで、1つ以上のプロセッシング工程を受けた後、機能性短鎖RNAi剤になる。そのような場合、RNAi誘導剤が、そのプロセッシングに必要および/または有用であり得る配列を含むことが望ましいことは、通常の当業者には理解されるであろう。
RNAi誘導剤および/または短鎖RNAi剤を説明する場合、作用物質を二本の鎖を有するものと言うのが適便である。一般に、RNAi誘導剤および/または短鎖RNAi剤の一方の鎖のデュプレックス部分の配列は、この領域ではターゲット転写産物に実施的に相補的である。RNAi誘導剤および/または短鎖RNAi剤の他方の鎖のデュプレックス部分の配列は、典型的には、ターゲット転写産物のターゲットとなる部分と実質的に同一である。ターゲットに相補的な部分を含む鎖は、「アンチセンス鎖」と呼ばれ、その一方で、他方の鎖は、多くの場合、「センス鎖」と呼ばれる。ターゲットに相補的であるアンチセンス鎖の部分は、「阻害領域」と呼ばれる場合がある。
RNAi誘導剤および/または短鎖RNAi剤は、典型的には、1つの領域(「デュプレックス領域」)を含み、この一方の鎖が、ターゲット転写産物の一部分(「ターゲット部分」)に十分に相補的である15ntから29ntの長さの阻害領域を含有し、そのためインビボでこの鎖とターゲット転写産物とでハイブリッド(「コア領域」)が形成し得る。コア領域がオーバーハングを含まないことは理解される。
いくつかの実施形態において、短鎖RNAi剤は、約15nt、約16nt、約17nt、約18nt、約19nt、約20nt、約21nt、約22nt、約23nt、約24nt、約25nt、約26nt、約27nt、約28nt、約29ntの長さの阻害領域を有する。いくつかの実施形態において、短鎖RNAi領域は、約19ntの長さの阻害領域を有する。いくつかの実施形態において、短鎖RNAi剤の一方の鎖のそのターゲット転写産物へのハイブリダイゼーションは、約15nt、約16nt、約17nt、約18nt、約19nt、約20nt、約21nt、約22nt、約23nt、約24nt、約25nt、約26nt、約27nt、約28nt、約29ntの長さのコア領域を生じさせる。いくつかの実施形態において、短鎖RNAi剤の一方の鎖のその転写産物へのハイブリダイゼーションは、約19ntの長さのコア領域を生じさせる。
ターゲット転写産物は、多くの場合、デュプレックス領域の中央付近で切断される。いくつかの実施形態において、転写産物は、siRNAとターゲット転写産物とで形成するデュプレックスの第一の塩基対の下流11ntまたは12ntで切断される(例えば、Elbashirら、2001,Genes Dev.,15:188参照;これは、参考として本明細書に援用されている)。
いくつかの実施形態において、siRNAは、デュプレックス領域の一方またはその両方の末端に3’−オーバーハングを含む。いくつかの実施形態において、shRNAは、その遊離末端に3’オーバーハングを含む。いくつかの実施形態において、siRNAは、ヌクレオチド3’−オーバーハングを含む。いくつかの実施形態において、siRNAは、2ntの3’−オーバーハングを含む。いくつかの実施形態において、siRNAは、1ntの3’−オーバーハングを含む。オーバーハングは、存在する場合、ターゲット転写産物に相補的である場合があるが、ある必要はない。3’末端上の2nt〜3ntオーバーハングを有するsiRNAは、平滑末端を有するsiRNAよりターゲット転写産物レベルを減少させる点で有効である場合が多い。
任意の所望の配列(例えば、UU)をアンチセンスおよび/またはセンスコア領域の3’末端に単に追加して、3’−オーバーハングを生成することができる。一般に、1つ以上のピリミジンを含有するオーバーハング、通常はU、TまたはdT、が利用される。RNAi誘導剤を合成するとき、オーバーハング(単数または複数)にUではなくTを用いるほうが適便である場合がある。TではなくdTを使用したほうが安定性増加をもたらす場合がある。
いくつかの実施形態において、短鎖RNAi剤の阻害領域は、ターゲット転写産物の一領域に100%相補的である。しかし、いくつかの実施形態において、短鎖RNAi剤の阻害領域は、ターゲット転写産物の一領域に100%までは相補的でない。阻害領域は、例えば、細胞において生理条件下でおよび/またはRNAiを支持するインビトロ系(例えば、Drosophilaエキス系)において、ハイブリダイゼーションが発生できるために十分なターゲット転写産物に対する相補性しか必要としない。
短鎖RNAi剤デュプレックスが、ミスマッチおよび/またはバルジ、特に、そのデュプレックス中の中央領域内のミスマッチを許容でき、その上、尚、有効なサイレンシングをもたらすことができることは、通常の当業者には理解されるであろう。短鎖RNAi剤/ターゲット転写産物コア領域の中央部分でのミスマッチを避けることが望ましい場合があることも、当量者には理解されるであろう(例えば、Elbashirら、EMBO J.20:6877,2001参照)。例えば、siRNAのアンチセンス鎖の3’ヌクレオチドは、多くの場合、ターゲット識別の特異性に有意に寄与せず、ターゲット切断にとってあまり重要でない場合がある。
いくつかの実施形態において、1つ以上のミスマッチを示すデュプレックス領域を有する短鎖RNAi剤は、典型的には、6以下の全ミスマッチを有する。いくつかの実施形態において、短鎖RNAi剤は、それらのデュプレックス領域に1、2、3、4、5または6の全ミスマッチを有する。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域は、少なくとも5nt(例えば、6、7、またはそれ以上のnt)の長さである完全相補性の伸長部を有する。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域内のヌクレオチドの20%以下がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域内のヌクレオチドの15%以下がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域内のヌクレオチドの10%以下がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域内のヌクレオチドの5%以下がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域内のいずれのヌクレオチドもミスマッチしていない。デュプレックス領域は、ミスマッチの領域によって隔てられた完全相補性の2つの伸長部を含むことがある。いくつかの実施形態では、多数のミスマッチエリアが存在する。
いくつかの実施形態において、典型的には、1つ以上のミスマッチを示すコア領域(例えば、短鎖RNAi剤の一方の鎖とターゲット転写産物のハイブリダイゼーションによって形成されたもの)は、6以下の全ミスマッチを有する。いくつかの実施形態において、コア領域は、1、2、3、4、5または6の全ミスマッチを有する。いくつかの実施形態において、コア領域は、少なくとも5nt(例えば、6、7、またはそれ以上のnt)の長さである完全相補性の伸長部を含む。いくつかの実施形態において、コア領域内のヌクレオチドの20%以下がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、コア領域内のヌクレオチドの15%以下がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、コア領域内のヌクレオチドの10%以下がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、コア領域内のヌクレオチドの5%以下がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、コア領域内のいずれのヌクレオチドもミスマッチしていない。コア領域は、ミスマッチの領域によって隔てられた完全相補性の2つの伸長部を含むことがある。いくつかの実施形態では、多数のミスマッチエリアが存在する。
いくつかの実施形態において、短鎖RNAi剤の一方またはその両方の鎖は、「バルジ」を形成する1つ以上の「余分な」ヌクレオチドを含む場合がある。1つ以上のバルジ(例えば、5nt〜10ntの長さ)が存在する場合がある。
いくつかの実施形態では、多数の利用可能なアルゴリズムのうちの1つ以上を用いて、短鎖RNAi剤を設計および/または予測することができる。少数だが例を挙げると、以下の資源を利用して、RNAi剤を設計および/または予測することができる:Alnylum Online、Dharmacon Online、OligoEngine Online、Molecula Online、Ambion Online、BioPredsi Online、RNAi Web Online、Chang Bioscience Online、Invitrogen Online、LentiWeb Online GenScript Online、Protocol Online;Reynoldsら、2004,Nat.Biotechnol.,22:326;Naitoら,2006,Nucleic Acids Res.,34:W448;Liら,2007,RNA,13:1765;Yiuら,2005,Bioinformatics,21:144;およびJiaら、2006,BMC Bioinformatics,7:271(これらのそれぞれが、参考として本明細書に援用されている)で見つけられるアルゴリズム。
マイクロRNA
マイクロRNA(miRNA)は、特に発育中の遺伝子発現の調節に役立つ、約21〜23ヌクレオチドの長さの、ゲノムにコードされた非コーディングRNAである(例えば、Bartel,2004,Cell,116:281;Novina and Sharp,2004,Nature,430:161;および米国特許公開第2005/0059005号参照;Wang and Li,2007,Front.Biosci.,12:3975;およびZhao,2007,Trends Biochem.Sci.,32:189に概説されているものも参照;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)。広く定義すると、RNA干渉の現象は、miRNAの内因的に誘導される遺伝子サイレンシング作用、ならびに外来dsRNAによって誘発されるサイレンシングを含む。成熟miRNAは、外因性dsRNAから生産されるsiRNAに構造的に類似しているが、成熟に達する前に、miRNAは、先ず、転写後修飾を受ける。miRNAは、はるかに長いRNAコーディング遺伝子から、プリmiRNAとして公知の一次転写産物として典型的には発現され、それが、細胞核において、マイクロプロセッサー複合体により、プレmiRNAと呼ばれる70ヌクレオチド幹−ループ構造にプロセッシングされる。この複合体は、Droshaと呼ばれるRNアーゼIII酵素と、dsRNA結合タンパク質Pashaとからなる。このプレmiRNAのdsRNA部分は、ダイサーにより結合および分解されて成熟miRNA分子を生成し、その成熟miRNA分子がRISC複合体に組み込まれ得る;従って、miRNAおよびsiRNAは、それらの初期プロセッシングの下流で同じ細胞機械を共有する(Gregoryら、2006,Meth.Mol.Biol.,342:33;参考として本明細書に援用されている)。一般に、miRNAは、それらのターゲット転写産物と完全には相補的でない。
いくつかの実施形態において、miRNAは、18nt〜26ntにわたる長さであり得る。典型的には、miRNAは、一本鎖である。しかし、いくつかの実施形態において、miRNAは、少なくとも部分的に二本鎖であることがある。ある実施形態において、miRNAは、RNAデュプレックス(本明細書では、「デュプレックス領域」と呼ぶ)を含むことがあり、場合によっては、1つまたは2つの一本鎖オーバーハングをさらに含むことがある。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、長さが15bpから29bpにわたり、場合によっては1つから3つの一本鎖オーバーハングをさらに含む、デュプレックス領域を含む。互いにハイブリダイズする2つのRNA分子からmiRNAを形成することができ、または代替的に、自己ハイブリダイズ部分を含む単一RNA分子からmiRNAを生じさせることができる。miRNAのデュプレックス部分は、1つ以上の非対合ヌクレオチドからなる1つ以上のバルジを、必ずではないが、通常は含む。miRNAの一方の鎖は、ターゲットRNAとハイブリダイズする部分を含む。ある実施形態において、miRNAの一方の鎖は、ターゲットRNAの一領域に正確には相補的でなく、これは、miRNAが1つ以上のミスマッチを伴うターゲットRNAにハイブリダイズすることを意味する。いくつかの実施形態において、miRNAの一方の鎖は、ターゲットRNAの一領域に正確に相補的であり、これは、そのmiRNAがミスマッチを伴わないターゲットRNAにハイブリダイズすることを意味する。典型的には、miRNAは、ターゲット転写産物の翻訳を阻害することによって遺伝子発現の阻害を媒介すると考えられる。しかし、いくつかの実施形態において、miRNAは、ターゲット転写産物の分解を引き起こすことによって遺伝子発現の阻害を媒介する場合がある。
いくつかの実施形態において、miRNAは、約15nt、約16nt、約17nt、約18nt、約19nt、約20nt、約21nt、約22nt、約23nt、約24nt、約25nt、約26nt、約27nt、約28nt、約29ntの長さのデュプレックス領域を有する。いくつかの実施形態において、miRNA領域は、約15nt、約16nt、約17nt、約18nt、約19nt、約20nt、約21nt、約22nt、約23nt、約24nt、約25nt、約26nt、約27nt、約28nt、約29ntの長さの阻害領域を有する。
いくつかの実施形態において、miRNAは、それらのデュプレックス領域において1つ以上のミスマッチを示す、デュプレックス領域を有する。いくつかの実施形態において、miRNAは、それらのデュプレックス領域において1、2、3、4、5、6、7、8または9の全ミスマッチを示す、デュプレックス領域を有する。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域は、1、2、3、4、5、6、7、8または9ntの長さである完全相補性の伸長部を有する。デュプレックス領域は、ミスマッチの領域によって隔てられた完全相補性の2つの伸長部を含む場合がある。いくつかの実施形態では、多数のミスマッチエリアが存在する。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域内のヌクレオチドの約50%がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域内のヌクレオチドの約40%がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域内のヌクレオチドの約30%がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域内のヌクレオチドの約20%がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域内のヌクレオチドの約10%がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、デュプレックス領域内のヌクレオチドの約5%がミスマッチしている。
いくつかの実施形態において、コア領域(例えば、miRNAの一方の鎖とターゲット転写産物のハイブリダイゼーションによって形成されたもの)は、1、2、3、4、5、6、7、8または9の全ミスマッチを有する。いくつかの実施形態において、コア領域は、1、2、3、4、5、6、7、8または9ntの長さである完全相補性の伸長部を含む。コア領域は、ミスマッチの領域によって隔てられた完全相補性の2つの伸長部を含む場合がある。いくつかの実施形態では、多数のミスマッチエリアが存在する。いくつかの実施形態では、多数のミスマッチエリアが存在する。いくつかの実施形態において、コア領域内のヌクレオチドの約50%がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、コア領域内のヌクレオチドの約40%がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、コア領域内のヌクレオチドの約30%がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、コア領域内のヌクレオチドの約20%がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、コア領域内のヌクレオチドの約10%がミスマッチしている。いくつかの実施形態において、コア領域内のヌクレオチドの約5%がミスマッチしている。
いくつかの実施形態において、miRNAの一方またはその両方の鎖は、「バルジ」を形成する1つ以上の「余分な」ヌクレオチドを含む場合がある。1つ以上のバルジ(例えば、5nt〜10ntの長さ)が存在する場合がある。
いくつかの実施形態では、多数の利用可能なアルゴリズムのうちの1つ以上を用いて、短鎖RNAi剤を設計および/または予測することができる。少数だが例を挙げると、以下の資源を利用して、RNAi剤を設計および/または予測することができる:PicTar Online、Protocol Online、EMBL Online;Rehmsmeierら、2004,RNA,10:1507;Kimら、2006,BMC Bioinformatics,7:411;Lewisら、2003,Cell,115:787;およびKrekら、2005,Nat.Genet.,37:495(これらのそれぞれが、参考として本明細書に援用されている)において見つけられるアルゴリズム。
アンチセンスRNA
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質と会合させることができる核酸としては、アンチセンスRNAが挙げられる。典型的には、アンチセンスRNAは、ターゲット転写産物に結合して(例えば、mRNAの分解によって、および/または翻訳プロセスの重大な工程を立体的に障害することによって)それらの翻訳を阻止する、様々な長さのRNA鎖である。
アンチセンスRNAは、上で説明したRNAi剤と同じ特徴の多くを示す。例えば、アンチセンスRNAは、アンチセンスRNAのターゲット転写産物へのハイブリダイゼーションを可能にするために十分なターゲット転写産物への相補性を示す。ターゲットへのハイブリダイゼーションが依然として発生し得るのであれば、RNAi剤について上で説明したように、ミスマッチが許容される。一般に、アンチセンスRNAは、短鎖RNAi剤より長く、ハイブリダイゼーションが依然として発生し得るのであればいずれの長さのものであってもよい。いくつかの実施形態において、アンチセンスRNAは、約20nt、約30nt、約40nt、約50nt、約75nt、約100nt、約150nt、約200nt、約250nt、約500ntであるか、それより長い。いくつかの実施形態において、アンチセンスRNAは、約20nt、約30nt、約40nt、約50nt、約75nt、約100nt、約150nt、約200nt、約250nt、約500ntの、またはそれより長いターゲット転写産物とハイブリダイズする阻害領域を含む。
リボザイム
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質と会合させることができる核酸としては、リボザイムが挙げられる。リボザイム(リボ核酸酵素(ribonucleic acid enzyme)から;RNA酵素または触媒性RNAとも呼ばれる)は、化学反応を触媒するRNA分子である。多くの天然リボザイムは、それら自体のホスホジエステル結合の1つの加水分解、または他のRNAにおける結合の加水分解のいずれかを触媒するが、それらがリボソームのアミノトランスフェラーゼ活性を触媒することも判明した。
いくつかの実施形態において、遺伝子ノックダウン用途に使用されるリボザイムは、ターゲット転写産物に相補的な配列に隣接している触媒ドメインを有する。遺伝子サイレンシングのメカニズムは、ワトソン・クリック塩基対合によるターゲット転写産物へのリボザイムの結合、続いて、エステル交換反応によるそのターゲット転写産物のホスホジエステル主鎖の切断を含む(Kurreck,2003,Eur.J.Biochem.,270:1628;Sunら、2000,Pharmacol.Rev.,52:325;Doudna and Cech,2002,Nature,418:222;Goodchild,2000,Curr.Opin.Mol.Ther.,2:272;Michienzi and Rossi,2001,Methods Enzymol.,341:581;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)。ターゲット転写産物が破壊されると、リボザイムは解離し、その後、追加の基質に対する切断を繰り返すことができる。いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質と会合させるためのリボザイムは、ハンマーヘッドリボザイムである。最初、ハンマーヘッドリボザイムは、部位特異的自己切断を被るウイロイドRNAからそれらの転写プロセスの一部として単離された。
いくつかの実施形態において、リボザイムは、ペプチジルトランスフェラーゼ23S rRNA、RNアーゼP、グループIおよびグループIIイントロン、GIR1分岐リボザイム、リードザイム、ヘアピンリボザイム、ハンマーヘッドリボザイム、HDVリボザイム、哺乳動物CPEB3リボザイム、VSリボザイム、glmSリボザイム、およびCoTCリボザイムをはじめとする(しかし、これらに限定されない)、天然に存在するリボザイムである。
いくつかの実施形態において、リボザイムは、人工リボザイムである。例えば、良好な酵素活性を有する人工生産自己切断性RNAが生産された。TangおよびBreaker(1997,Proc.Natl.Acad.Sci.,97:5784;参考として本明細書に援用されている)は、ランダム配列RNA起源のRNAのインビトロ選択によって自己切断性RNAを単離した。生産された合成リボザイムの幾つかは、新規構造を有したが、幾つかは、天然に存在するハンマーヘッドリボザイムに類似していた。
いくつかの実施形態において、人工リボザイムを見つけるために用いる技術は、ダーウィン進化を含む。このアプローチは、触媒と情報ポリマーの両方としてRNAの二重性を利用し、それによって研究者は、ポリメラーゼ酵素を使用してRNA触媒を大量生産することができる。リボザイムを、逆転写酵素でそれらを様々なcDNAに逆転写し、突然変異誘発PCRで増幅させることによって、突然変異させる。これらの実験における選択パラメータは、多くの場合、異なる。1つだが例を挙げると、リガーゼリボザイムを選択するためのアプローチは、基質に共有結合的に連結されているビオチンタグの使用を含む。候補リボザイムが所望のリガーゼ活性を有する場合には、ストラプタビジンマトリックスを使用して、それらの活性分子を回収することができる。
デオキシリボザイム
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質と会合させることができる核酸としては、触媒性DNA(「デオキシリボザイム」)が挙げられる。デオキシリボザイムは、リボザイムと同様に、典型的にはワトソン・クリック塩基対合によってRNA基質に結合し、ターゲット転写産物を部位特異的に切断する。DNA酵素の天然例は知られていないので、デオキシリボザイム分子は、インビトロ進化によって生産されている。異なる切断部位特異性を有する2つの異なる触媒モチーフが特定されている。研究者がすべての可能なジヌクレオチド配列をターゲットにできるように、様々な切断特異性を有するデオキシリボザイムが生産されている。
アプタマー
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質と会合させることができる核酸としては、アプタマーが挙げられる。アプタマーは、ターゲット分子を特異的に結合するオリゴ核酸分子である。アプタマーは、様々な分子ターゲット、例えば小分子、タンパク質、核酸、細胞、組織および/または生物、に結合するように、インビトロ選択ラウンドの反復によって(例えば、指数関数的富化によるリガンドの系統的進化(systematic evolution of ligands by exponential enrichment)、「SELEX」によって)遺伝子工学により作られる。アプタマーは、典型的には、そのアプタマーの三次元構造に起因してそれらのターゲットに結合する。一般に、アプタマーは、それらのターゲットに、従来のワトソン・クリック塩基対合によって結合しない。
米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)によって加齢黄斑変性(AMD)の処置に認可された最初のアプタマーは、MACUGEN(登録商標)(OSI Pharmaceuticals)と呼ばれるものであった。加えて、ARC1779(マサチューセッツ州、ケンブリッジのArchemix)は、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)の強力で選択的なファースト・イン・クラスのアンタゴニストであり、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けている急性冠症候群(ACS)と診断された患者において評価中である。
一般に、未修飾アプタマーは、通常、血流から急速に除去され、数分から数時間の半減期を有する。おそらく、これは、ヌクレアーゼ分解、およびアプタマーに低分子量を有する傾向があるために起こる腎臓による身体からのクリアランスに起因する。未修飾アプタマーは、一過性の状態(例えば、血液凝固)の処置に、および/または局所送達が可能である器官(例えば、目、皮膚など)の処置に特に適するであろう。急速なクリアランスは、インビボ画像診断などの用途に望ましいであろう。例えば、テネイシン結合アプタマー(Schering AG)を癌のイメージングに利用することができる。いくつかの実施形態では、半減期が増加されたアプタマーが望ましい。一定の修飾(例えば、2’−フッ素置換ピリミジン、ポリエチレングリコール(PEG)結合など)は、アプタマーの半減期を増加させることができる。
三重らせん形成を誘導するRNA
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質と会合させることができる核酸としては、三重らせん形成を誘導するRNAが挙げられる。いくつかの実施形態では、ターゲット遺伝子の調節領域(すなわち、ターゲット遺伝子のプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なデオキシリボヌクレオチド配列をターゲッティングすることにより内因性ターゲット遺伝子発現を誘導して、体内のターゲット筋肉細胞におけるターゲット遺伝子の転写を防止する三重らせん構造を形成することができる(一般に、Helene,1991,Anticancer Drug Des.6:569;Heleneら、1992,Ann,N.Y.Acad.Sci.660:27;およびMaher,1992,Bioassays 14:807参照)。
ベクター
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質と会合させることができる核酸としては、ベクターが挙げられる。本明細書において用いる場合、「ベクター」は、それが連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。いくつかの実施形態において、ベクターは、真核および/または原核細胞などの宿主においてそれらが連結している核酸の染色体外複製および/または発現を達成することができる。例示的ベクターとしては、プラスミド、コスミド、ウイルス、ウイルスゲノム、人工染色体、細菌人工染色体、および/または酵母人工染色体が挙げられる。ある実施形態において、ベクターは、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位などの要素を含む。
いくつかの実施形態において、ベクターは、作動可能に連結された遺伝子の発現を指示することができる(「発現ベクター」)。いくつかの実施形態において、その作動可能に連結された遺伝子の発現は、機能性核酸(例えば、RNAi剤、アンチセンスRNA、アプタマー、リボザイムなど)の生産を生じさせる結果となる場合がある。いくつかの実施形態において、その作動可能に連結された遺伝子の発現は、タンパク質(例えば、治療用、診断用、および/または予防用タンパク質)の生産を生じさせる結果となる場合がある。いくつかの実施形態において、治療用タンパク質は、タンパク質ベースの薬物(例えば、抗体ベースの薬物、ペプチドベースの薬物など)である。いくつかの実施形態において、予防用タンパク質は、タンパク質抗原および/または抗体であり得る。いくつかの実施形態において、診断用タンパク質は、過剰に荷電されたタンパク質によって細胞に送達される前に一定の特性を示すが、送達後は検出可能に異なる特性を示すものであり得る。
いくつかの実施形態において、ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは、細菌起源のものである。いくつかの実施形態において、ベクターは、真菌起源のものである。いくつかの実施形態において、ベクターは、真核生物起源のものである。いくつかの実施形態において、ベクターは、原核生物起源のものである。いくつかの実施形態では、ベクターを過剰に荷電されたタンパク質によって細胞に送達することができ、そこでそれは後にインビボ複製する。いくつかの実施形態では、ベクターを過剰に荷電されたタンパク質によって細胞に送達することができ、そこでそれは後にインビボ転写される。
標識核酸
いくつかの実施形態では、本発明による核酸に検出可能なタグを付ける。本発明に従って使用することができる適切な標識としては、蛍光標識、化学発光標識、リン光標識、および/または放射性標識が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、核酸は、少なくとも蛍光部分(例えば、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、シアニン−3、シアニン−5、Alexa Fluor、およびDyLight Fluorなど)に付いている少なくともヌクレオチドを含む。核酸と会合させることができる任意の蛍光部分を、本発明に従って利用することができる。いくつかの実施形態において、核酸は、少なくとも1つの放射性ヌクレオチド(例えば、32Pまたは35Sを含有するヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、少なくとも1つの放射性部分に付いている少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
送達される核酸によってターゲッティングされる細胞核酸
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質を使用して細胞に送達すべき核酸(例えば、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイムなど)は、細胞核酸を分解のターゲットにするために有用である。任意の細胞核酸を分解のターゲットにすることができる。分解のターゲットにすることができる例示的細胞核酸としては、GAPDH、β−アクチン、β−チューブリンおよびc−mycが挙げられるが、これらに限定されない。
ペプチドおよびタンパク質
本発明は、インビボまたはインビトロで細胞にタンパク質またはペプチドを送達するためのシステムおよび方法を提供する。そのようなシステムおよび方法は、1つ以上のペプチドまたはタンパク質と過剰に荷電されたタンパク質とを会合させて複合体を形成すること、およびその複合体を1つ以上の細胞に送達することを典型的には含む。いくつかの実施形態において、タンパク質またはペプチドは、治療活性を有する場合がある。いくつかの実施形態において、複合体の細胞への送達は、ペプチドまたはタンパク質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体を、その必要がある被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、ペプチドまたはタンパク質は、独力で細胞の内部に進入できない場合があるが、過剰に荷電されたタンパク質と複合体を形成すると細胞の内部に進入することができる。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質を利用して、ペプチドまたはタンパク質を細胞に進入させる。本発明によるペプチドまたはタンパク質は、それら自体、治療活性を有する場合がある。
小分子
本発明は、インビボまたはインビトロで細胞に小分子を送達するためのシステムおよび方法を提供する。そのようなシステムおよび方法は、1つ以上の小分子と過剰に荷電されたタンパク質とを会合させて複合体を形成すること、およびその複合体を1つ以上の細胞に送達することを典型的には含む。いくつかの実施形態において、小分子は、治療活性を有する場合がある。必ずではないが、好ましくは、薬物は、適切な政府機関または規制団体によって人間または動物での使用について安全であり有効であるとすでに考えられているものである。ある実施形態において、小分子は、米国食品医薬品局によって人間または他の動物での使用が認可されている薬物である。例えば、人間での使用が認可されている薬物は、FDAにより21C.F.R.§§330.5、331から361、および440から460(参考として本明細書に援用されている)のもとに記載されており、獣医学用の薬物は、FDAによって21C.F.R.§§500から589(参考として本明細書に援用されている)のもとに記載されている。記載されているすべての薬物が本発明による使用に許容され得ると考えられる。いくつかの実施形態において、複合体の細胞への送達は、小分子と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体を、その必要がある被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、小分子は、独力で細胞の内部に進入できない場合があるが、過剰に荷電されたタンパク質と複合体を形成すると細胞の内部に進入することができる。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質を利用して、小分子を細胞に進入させる。
複合体の形成
本発明は、送達すべき1つ以上の作用物質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体を提供する。いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、送達すべき1つ以上の作用物質と非共有結合性相互作用によって会合している。いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、1つ以上の核酸と静電相互作用によって会合している。ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、全体の正味正電荷を有し、および核酸などの送達すべき作用物質は、全体の正味負電荷を有する。
ある実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、送達すべき1つ以上の作用物質と共有結合性相互作用によって会合している。例えば、過剰に荷電されたタンパク質を、送達すべきペプチドまたはタンパク質に融合させることができる。共有結合性相互作用は、直接的である場合もあり、または間接的である場合もある。いくつかの実施形態において、そのような共有結合性相互作用は、1つ以上のリンカーによって媒介される。いくつかの実施形態において、リンカーは、切断可能なリンカーである。ある実施形態において、切断可能なリンカーは、アミド、エステル、またはジスルフィド結合である。例えば、リンカーは、細胞の酵素によって切断され得るアミノ酸配列である場合がある。ある実施形態において、酵素は、プロテアーゼである。他の実施形態において、酵素は、エステラーゼである。いくつかの実施形態において、酵素は、一定の細胞タイプにおいて、他の細胞タイプにおけるより高度に発現されるものである。例えば、酵素は、非腫瘍細胞におけるより腫瘍細胞におけるほうが高度に発現される。例示的リンカーおよびそれらのリンカーを切断する例示的酵素を表3に提示する。
1つだが特定の例を挙げると、+36GFPを送達すべき作用物質と切断可能なリンカー、例えばALAL(配列番号:XX)によって会合させて、+36GFP−(GGS)−ALAL−(GGS)−X(この場合、Xは、送達すべき作用物質である)を生成することができる。
いくつかの実施形態において、送達すべき作用物質は、核酸である。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質と核酸をインキュベートすることによって複合体を形成する。いくつかの実施形態では、複合体の形成を緩衝溶液中で行う。いくつかの実施形態では、複合体の形成をpH7でまたはpH7付近で行う。いくつかの実施形態では、複合体の形成を約pH5、約pH6、約pH7、約pH8、または約pH9で行う。複合体の形成は、過剰に荷電されたタンパク質および/または核酸の機能に負の影響を及ぼさないpHで典型的には行われる。
いくつかの実施形態では、複合体の形成を室温で行う。いくつかの実施形態では、複合体の形成を37℃でまたは37℃付近で行う。いくつかの実施形態では、複合体の形成を4℃未満で、約4℃で、約10℃で、約15℃で、約20℃で、約25℃で、約30℃で、約35℃で、約37℃で、約40℃で、または約40℃より高温で行う。複合体の形成は、過剰に荷電されたタンパク質および/または核酸の機能に負の影響を及ぼさない温度で典型的には行われる。
いくつかの実施形態では、複合体の形成を無血清培地において行う。いくつかの実施形態では、複合体の形成をCO(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、またはそれ以上)の存在下で行う。
いくつかの実施形態では、約100nmの核酸の濃度を用いて、複合体の形成を行う。いくつかの実施形態では、約25nM、約50nM、約75nM、約90nM、約100nM、約110nM、約125nM、約150nM、約175nM、または約200nMの核酸の濃度を用いて、複合体の形成を行う。いくつかの実施形態では、約40nMの過剰に荷電されたタンパク質の濃度を用いて、複合体の形成を行う。いくつかの実施形態では、約10nM、約20nM、約30nM、約40nM、約50nM、約60nM、約70nM、約80nM、約90nM、または約100nMの過剰に荷電されたタンパク質の濃度を用いて、複合体の形成を行う。
いくつかの実施形態では、核酸過剰条件下で複合体の形成を行う。いくつかの実施形態では、約20:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、または約1:1の核酸:過剰に荷電されたタンパク質の比率で複合体の形成を行う。いくつかの実施形態では、約3:1の核酸:過剰に荷電されたタンパク質の比率で複合体の形成を行う。いくつかの実施形態では、約20:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、または約1:1の過剰に荷電されたタンパク質:核酸の比率で複合体の形成を行う。
いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質と核酸を混合し、その混合物を(例えば、反転により)攪拌することによって、複合体の形成を行う。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質と核酸を混合し、その混合物を静置しておくことによって、複合体の形成を行う。いくつかの実施形態では、医薬的に許容され得る担体または賦形剤の存在下で複合体の形成を行う。いくつかの実施形態では、その複合体を医薬的に許容され得る担体または賦形剤とさらに併せる。例示的賦形剤または担体としては、水、溶媒、脂質、タンパク質、ペプチド、エンドソーム溶解剤(例えば、クロロキン、ピレン酪酸など)、小分子、炭水化物、緩衝剤、天然ポリマー、合成ポリマー(例えば、PLGA、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリホスファゼン)、医薬調製物などが挙げられる。
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質と核酸とを含む複合体は、ゲル電気泳動アッセイにおいて、過剰に荷電されたタンパク質のみまたは核酸のみよりゆっくりと移動する。
用途
本発明は、過剰に荷電されたタンパク質、または送達すべき作用物質と会合している、天然に存在するまたは遺伝子工学で作られた、過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体、ならびにそのような複合体の使用方法を提供する。本発明のシステムを用いて、任意の作用物質を送達することができる。核酸を送達する場合、核酸は、一般に負電荷を有するので、核酸と会合する過剰に荷電されたタンパク質は、典型的には過剰に正に荷電されたタンパク質である。本発明の過剰に荷電されたタンパク質または複合体は、例えば細胞への作用物質の送達の恩恵を受けることができる任意の疾患を処置または予防するために使用することができる。本発明の過剰に荷電されたタンパク質または複合体を使用して、研究のために細胞を移入するまたは処理することもできる。
いくつかの実施形態では、本発明による過剰に荷電されたタンパク質または複合体を、研究のために、例えば研究に関連して核酸を細胞に効率的に送達するために、使用することができる。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質を研究ツールとして使用して、核酸で細胞を効率的に形質転換することができる。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質を研究ツールとして使用して、RNAiメカニズムを研究するためにRNAi剤を細胞に効率的に導入することができる。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質を研究ツールとして使用して、細胞において遺伝子をサイレンシングすることができる。ある実施形態では、ペプチドまたはタンパク質の生物活性を研究するために、過剰に荷電されたタンパク質を使用して、ペプチドまたはタンパク質を細胞に送達することができる。ある実施形態では、ペプチドまたはタンパク質の生物活性を研究するために、過剰に荷電されたタンパク質を細胞に導入することができる。ある実施形態では、小分子の生物活性を研究するために、過剰に荷電されたタンパク質を使用して小分子を細胞に送達することができる。
いくつかの実施形態では、本発明による過剰に荷電されたタンパク質または複合体を、治療のために使用することができる。いくつかの実施形態では、本発明による過剰に荷電されたタンパク質または複合体を使用して、次のものの1つ以上を含む(しかし、これらに限定されない)様々な疾患、障害および/または状態のいずれかの処置することができる:自己免疫疾患(例えば、糖尿病、狼瘡、多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ);炎症性疾患(例えば、関節炎、骨盤内感染症);感染症(例えば、ウイルス感染(例えば、HIV、HCV、RSV)、細菌感染、真菌感染、敗血症);神経疾患(例えば、アルツハイマー病、ハンチントン病;自閉症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー);心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、血栓症、凝固障害、血管新生性疾患、例えば黄斑変性);増殖性疾患(例えば、良性新生物);呼吸器疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患);消火器疾患(例えば、炎症性腸疾患、潰瘍);骨格筋疾患(例えば、線維筋痛症、関節炎);内分泌、代謝および栄養障害(例えば、糖尿病、骨粗しょう症);泌尿器疾患(例えば、腎臓病);精神障害(例えば、うつ病、統合失調症);皮膚疾患(例えば、創傷、湿疹);血液およびリンパ系疾患(例えば、貧血、血友病)など。
本発明の過剰に荷電されたタンパク質またはタンパク質を臨床現場で使用することができる。例えば、治療用途に用いることができる核酸と過剰に荷電されたタンパク質を会合させることができる。そのような核酸としては、1つ以上のターゲット転写産物のレベルを低下させるために使用される機能性RNA(例えば、siRNA、shRNA、マイクロRNA、アンチセンスRNA、リボザイムなど)を挙げることができる。いくつかの実施形態において、疾患、障害および/または状態は、1つ以上の特定のmRNAおよび/またはタンパク質の異常に高いレベルと関連している場合がある。1つだが特定の例を挙げると、乳癌の多くの形態は、上皮増殖因子受容体(EGFR)の発現増加と関連している。過剰に荷電されたタンパク質は、EGFR mRNAをターゲットにするRNAi剤を細胞(例えば、乳癌腫瘍細胞)に送達するために利用することができる。過剰に荷電されたタンパク質は、腫瘍細胞に効率的に取り込まれ、その結果、RNAiを送達することができる。送達されると、RNAi剤は、EGFR mRNAのレベル低下、それによりEGFRタンパク質のレベル低下に有効であり得る。そのような方法は、乳癌(例えば、EGFRのレベル上昇と関連している乳癌)の有効な処置であり得る。類似の方法を用いて、1つ以上の特定のmRNAおよび/またはタンパク質のレベル上昇と関連している任意の疾患、障害および/または状態を処置できることは、通常の当業者には理解されるであろう。
いくつかの実施形態において、疾患、障害および/または状態は、1つ以上の特定のmRNAおよび/またはタンパク質の異常に低いレベルと関連している。1つだが特定の例を挙げると、チロシン血症は、身体がアミノ酸チロシンを有効に分解できない障害である。3つのタイプのチロシン血症があり、それぞれ異なる酵素の欠乏によって引き起こされる。過剰に荷電されたタンパク質を使用して、その欠乏酵素を発現させるベクターを送達することによりチロシン血症を処置することができる。ベクターが細胞に送達されると、細胞機械は、欠乏酵素の発現を命令し、それによって患者のチロシン血症を処置することができる。類似の方法を用いて、1つ以上の特定のmRNAおよび/またはタンパク質の異常に低いレベルと関連している任意の疾患、障害および/または状態を処置できることは、通常の当業者には理解されるであろう。
実施例2および3において実証するように、細胞への過剰に荷電されたタンパク質ベースの核酸送達は、従来のカチオン性脂質ベースのトランスフェクション法を用いる核酸トランスフェクションに対して耐性の細胞系を用いても成功する。従って、いくつかの実施形態では、他の核酸送達法(例えば、カチオン性脂質ベースのトランスフェクション法、例えばリポフェクタミンの使用)に対して耐性の細胞に核酸を送達するために過剰に荷電されたタンパク質を利用する。さらに、本発明者らは、驚くべきことに、過剰に正に荷電されたタンパク質を低ナノモル(nM)濃度(例えば、1nmから100nm)で使用して、細胞に核酸を有効に送達できることを実証した。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質を約1nm、約5nm、約10nm、約25nm、約50nm、約75nm、約100nm、または約100nmより上で使用して、細胞に核酸を有効に送達することができる。
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、治療薬である場合がある。例えば、過剰に荷電されたタンパク質は、タンパク質薬(例えば、アバタセプト、アダリムマブ、アレファセプト、エリスロポエチン、エタネルセプト、ヒト成長ホルモン、インフリキシマブ、インスリン、トラスツズマブ、インターフェロンなど)の過剰に荷電された変異体である場合がある。いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、治療薬である場合があり、および会合している核酸は、ターゲット部位へのその治療薬のターゲッティング送達に有用であり得る。例えば、過剰に荷電されたタンパク質は、タンパク質薬(例えば、アバタセプト、アダリムマブ、アレファセプト、エリスロポエチン、エタネルセプト、ヒト成長ホルモン、インフリキシマブ、インスリン、トラスツズマブ、インターフェロンなど)の過剰に荷電された変異体である場合があり、および会合している核酸は、ターゲット器官、組織および/または細胞にその治療用タンパク質を効率的にターゲッティングするアプタマーである場合がある。過剰に荷電されたタンパク質は、イメージング剤、診断薬、または他の検出薬である場合もある。
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質および(存在する場合には)送達すべき作用物質の一方またはその両方が、検出可能な特質を有することがある。例えば、過剰に荷電されたタンパク質および作用物質の一方またはその両方が、少なくとも1つの蛍光部分を含む場合がある。いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質は、固有蛍光性(例えば、GFP)を有する。いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質および送達すべき作用物質の一方またはその両方が、少なくとも1つの蛍光部分と会合している(例えば、蛍光体、蛍光色素などに結合体化している)場合がある。あるいは、または加えて、過剰に荷電されたタンパク質および送達すべき作用物質の一方またはその両方が、少なくとも1つの放射性部分を含む場合がある(例えば、タンパク質が35Sを含む場合がある;核酸は、32Pを含む場合がある;など)。そのような検出可能な部分は、ターゲット部位への過剰に荷電されたタンパク質または複合体の送達の検出および/またはモニタリングに有用であろう。
いくつかの実施形態において、過剰に荷電されたタンパク質および過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質は、検出可能な標識を含む。これらの分子は、検出、イメージング、疾病病期分類、診断、または患者選択の際に使用することができる。適切な標識としては、蛍光標識、化学発光標識、酵素標識、比色標識、リン光標識、密度に基づく標識、例えば電子密度に基づく標識、ならびに一般に造影剤、および/または放射性標識が挙げられる。
医薬組成物
本発明は、過剰に荷電されたタンパク質、および送達すべき少なくとも1つの作用物質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体を提供する。従って、本発明は、1つ以上の過剰に荷電されたタンパク質または1つ以上のそのような複合体と、1つ以上の医薬的に許容され得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、1つ以上の追加の治療活性物質を場合によっては含むことがある。いくつかの実施形態に従って、1つ以上の過剰に荷電されたタンパク質を含む医薬組成物、または送達すべき1つ以上の作用物質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む1つ以上の複合体を含む医薬組成物を、その必要がある被験体に投与する方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物をヒトに投与する。本開示のために、「活性成分」というフレーズは、本明細書に記載するような、過剰に荷電されたタンパク質、または過剰に荷電されたタンパク質と送達すべき少なくとも1つの作用物質とを含む複合体を一般に指す。
本明細書に提供する医薬組成物の説明は、ヒトへの投与に適する医薬組成物に主として関するが、そのような組成物がすべての種類の動物への投与に一般に適することは当業者には理解されるであろう。ヒトへの投与に適する医薬組成物に対する、その組成物を様々な動物への投与に適するようにするための修飾は、十分に理解されており、通常技能の獣医薬理学者は、あったとしても通常の実験だけで、そのような修飾を計画および/または実施することができる。医薬組成物の投与が考えられる被験体としては、ヒトおよび/または他の霊長類;商業関連哺乳動物を含む哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウスおよび/もしくはラット;ならびに/または;商業関連鳥類を含む鳥類、例えば、ニワトリ、カモ、ガチョウおよび/もしくはシチメンチョウが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載する医薬組成物の調合薬は、薬理学技術分野において公知のまたは今後開発される任意の方法によって調製することができる。一般に、そのような調製方法は、活性成分を賦形剤および/または1つ以上の他の補助成分と会合させる工程、そしてその後、必要なおよび/または望ましい場合には、その生成物を所望の単回または多回投与単位に成形および/または包装する工程を含む。
本発明による医薬組成物は、バルクで、単回単位用量として、および/または多数の単回単位用量として、調製、包装および/または販売することができる。本明細書において用いる場合、「単位用量」は、活性成分の所定量を含む医薬組成物の個別量である。活性成分の量は、被験体に投与されることとなる活性成分の投薬量および/またはそのような投薬量の、例えばそのような用量の二分の一もしくは三分の一などの、適便な小部分に一般に等しい。
本発明による医薬組成物中の活性成分、医薬的に許容され得る賦形剤および/または任意の追加の成分の相対量は、処置する被験体の素性、サイズおよび/または状態に依存して、ならびにその組成物を投与することとなる経路にさらに依存して、変わるであろう。例として、組成物は、0.1%と100%(w/w)の間の活性成分を含む場合がある。
医薬調合物は、医薬的に許容され得る賦形剤をさらに含む場合があり、前記賦形剤としては、ここで用いる場合、所望される特定の剤形に適するような任意のおよびすべての溶媒、分散媒、希釈剤または他の液体ビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘または乳化剤、保存薬、固体結合剤、滑沢剤およびこれらに類するものが挙げられる。Remington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro(Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2006;参考として本明細書に援用されている)には、医薬組成物の調合に使用される様々な賦形剤、およびその調製のための公知技術が開示されている。いずれの従来の賦形剤媒質も、物質またはその誘導体と非相溶性ある場合、例えば、何らかの望ましくない生物学的作用を生じさせるまたは別様にその医薬組成物の任意の他の成分(単数または複数)と有害に相互作用することで非相溶性である場合を除き、その使用は、本発明の範囲内であると考えられる。
いくつかの実施形態において、医薬的に許容され得る賦形剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の純度である。いくつかの実施形態において、賦形剤は、人間での使用または獣医学的使用に認可されている。いくつかの実施形態において、賦形剤は、米国食品医薬品局によって認可されている。いくつかの実施形態において、賦形剤は、医薬品グレードである。いくつかの実施形態において、賦形剤は、米国薬局方(USP)、ヨーロッパ薬局方(EP)、英国薬局方、および/または国際薬局方の基準を満たしている。
医薬組成物の製造に使用される医薬的に許容され得る賦形剤としては、希釈剤、分散および/または造粒剤、界面活性剤および/または乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存薬、緩衝剤、滑沢剤、および/または油が挙げられるが、これらに限定されない。そのような賦形剤を場合によっては医薬調合物に含めることがある。調合者の判断に従って、カカオ脂および坐剤ワックス、着色剤、コーティング剤、甘味料、着香剤および/または香料などの賦形剤が、組成物中に存在する場合がある。
例示的希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、トウモロコシデンプン、粉砂糖など、および/またはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
例示的造粒および/または分散剤としては、馬鈴薯デンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クレー、アルギン酸、グアガム、柑橘パルプ、寒天、ベントナイト、セルロースおよび木材製品、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル−ピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカメロース)、メチルセルロース、α−デンプン(デンプン1500)、微結晶性デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、ラウリル硫酸ナトリウム、第四アンモニウム化合物など、ならびに/またはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
例示的界面活性剤および/または乳化剤としては、天然乳化剤(例えば、アラビアゴム、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカントゴム、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、およびレシチン)、コロイドクレー(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]およびVeegum(登録商標)[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリン酸トリアセチン、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、およびモノステアリン酸プロピレングリコール、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、およびカルボキシビニルポリマー)、カラゲナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン[Tween(登録商標)20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween(登録商標)60]、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン[Tween(登録商標)80]、モノパルミチン酸ソルビタン[Span(登録商標)40]、モノステアリン酸ソルビタン[Span(登録商標)60]、トリステアリン酸ソルビタン[Span(登録商標)65]、モノオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン[Span(登録商標)80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレン[Myrj(登録商標)45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシメチレン、およびSolutol(登録商標))、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、Cremophor(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテ[Brij(登録商標)30])、ポリ(ビニル−ピロリドン)、モノラウリン酸ジエチレングリコール、オレイン酸トリエタノールアミン、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、Pluronic(登録商標)F 68、Poloxamer(登録商標)188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンズアルコニウム、ドキュセートナトリウムなど、ならびに/またはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
例示的結合剤としては、デンプン(例えば、トウモロコシデンプンおよびデンプンペースト);ゼラチン;糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール);天然および合成ゴム(例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アイルランドゴケ抽出物、パンワールゴム(panwar gum)、ガッチゴム、イサポール外皮(isapol husks)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニル−ピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum(登録商標))、およびカラマツアラボガラクタン);アルギン酸塩;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメチルアクリレート;ワックス;アルコールなど;ならびに/またはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
例示的保存薬としては、抗酸化物質、キレート剤、抗菌性保存薬、抗真菌性保存薬、アルコール保存薬、酸性保存薬および/または他の保存薬が挙げられるが、これらに限定されない。例示的抗酸化物質としては、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アコルビル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、および/または亜硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。例示的キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸・一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、および/またはエデト酸三ナトリウムが挙げられる。例示的抗菌性保存薬としては、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、および/またはチメロサールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的抗真菌性保存薬としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、および/またはソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルコール保存薬としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール系化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸塩、および/またはフェニルエチルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的酸性保存薬としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータ−カロチン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、および/またはフィチン酸が挙げられるが、これらに限定されない。他の保存薬としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシレート(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ亜硫酸カリウム、Glydant Plus(登録商標)、Phenonip(登録商標)、メチルパラベン、Germall(登録商標)115、Germaben(登録商標)II、Neolone(商標)、Kathon(商標)、および/またはEuxyl(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的緩衝剤としては、クエン酸緩衝溶液、酢酸緩衝溶液、リン酸緩衝溶液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D−グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化カルシウムリン酸塩、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱物質不含水、等張食塩水、リンガー溶液、エチルアルコールなど、および/またはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
例示的滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸グリセリル、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、レシチン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
例示的油としては、扁桃油、杏仁油、アボカド油、ババス油、ベルガモット油、クロフサスグリ種子油、ルチジサ油、カデ油、カミツレ油、カノーラ油、カラウェー油、カルナウバ油、ヒマシ油、桂皮油、カカオ脂、ヤシ油、タラ肝油、コーヒー油、トウモロコシ油、綿実油、エミュー油、ユーカリ油、マツヨイグサ油、魚油、アマニ油、ゲラニオール油、ヒョウタン油、ブドウ種子油、ハーゼルナッツ油、ヒソップ油、ミリスチン酸イソプロピル油、ホホバ油、ククイナッツ油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、リツェアクベバ油、マカデミアナッツ油、ゼニアオイ油、マンゴー種子油、メドウフォーム種子油、ミンク油、ニクズク油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラッフィー油、パーム油、パーム核油、桃仁油、ピーナッツ油、ケシ種子油、カボチャ種子油、菜種油、米ぬか油、ローズマリー油、ベニバナ油、ビャクダン油、サザンカ油、セイバリー油、シーバックソーン油、ゴマ油、シアバター、シリコーン油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、アザミ油、ツバキ油、ベチバル油、クルミ油、および小麦胚芽油挙げられるが、これらに限定されない。例示的油としては、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコーン、セバシン酸ジエチル、ジメチコーン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーンオイルおよび/またはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
経口および非経口投与のための液体剤形としては、医薬的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、および/またはエリキシルが挙げられるが、これらに限定されない。活性成分に加えて、液体剤形は、当該技術分野において一般に用いられている不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒など、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含む場合がある。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、着香剤、および/または香料を含む場合がある。非経口投与のためのある実施形態では、組成物を可溶化剤、例えばCremophor(登録商標)、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、および/またはこれらの組み合わせと混合する。
注射用調製物、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、適する分散剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って調合することができる。滅菌注射用調製物は、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性で非経口的に許容され得る希釈剤および/または溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液および/またはエマルジョンである場合がある。利用することができる許容され得るビヒクルおよび溶媒には、リンガー溶液、U.S.P.、および等張塩化ナトリウム溶液などがある。滅菌、固定油は、溶媒または懸濁媒質として従来用いられている。このために、合成モノまたはジグリセリドをはじめとする任意の無菌固定油を用いることができる。オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の調製の際に用いることができる。
注射用調合物は、例えば、細菌保留フィルターによる濾過によって、および/または使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒質に溶解もしくは分散させることができる滅菌個体組成物の形態の滅菌剤を添合することによって、滅菌することができる。
活性成分の作用を持続させるために、皮下または筋肉内注射からの活性成分の吸収を遅らせることが望ましい場合が多い。これは、不良な水溶性を有する結晶質または非晶質材料の懸濁液の使用によって果たすことができる。このときの薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、そしてまたその溶解速度は、結晶のサイズおよび結晶形に依存するだろう。あるいは、非経口投与薬物の吸収遅延は、油性ビヒクルに薬物を溶解または懸濁させることによって果たすことができる。注射用デポー形は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生体分解性ポリマー中の薬物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作られる。薬物のポリマーに対する比率、および利用する特定の薬物の性質に依存して、薬物放出速度を制御することができる。他の生体分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用調合物は、体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョンに薬物を捕捉することによって調製される。
直腸内または膣内投与のための組成物は、典型的には坐剤であり、坐剤は、周囲温度では個体であるが体温で液体であり、従って直腸または膣腔内で溶融し、活性成分を放出する適切な無刺激性賦形剤、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックス、と組成物を混合することによって調製することができる。
経口投与のための固体剤形としては、カプセル、錠剤、ピル、粉末、および顆粒が挙げられる。そのような固体剤形では、少なくとも1つの不活性で医薬的に許容され得る賦形剤、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または充填剤もしくは増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアラビアゴム)、保湿剤(例えば、グリセロール)、崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯またはタピオカデンプン、アルギン酸、一定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム)、溶解抑制剤(例えば、パラフィン)、吸収促進剤(例えば、第四アンモニウム化合物)、湿潤剤(例えば、エチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイトクレー)、および滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、ならびにこれらの混合物と、活性成分を混合する。カプセル、錠剤およびピルの場合、その剤形は、緩衝剤を含むことがある。
同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコールおよびこれらに類するものを使用する軟および硬ゼラチンカプセルにおける充填剤として利用することができる。錠剤、糖衣丸、カプセル、ピルおよび顆粒の固体剤形は、医薬調合分野において周知のコーティングおよび外皮、例えば腸溶コーティングおよび他のコーティング、を用いて調製することができる。それらは、場合によっては不透明剤を含むことがあり、および活性成分(単数もしくは複数)を腸管の一定の部分においてのみまたは優先的に、場合によっては遅延様式で放出する組成のものである場合がある。使用することができる包埋組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられる。同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコールおよびこれらに類するものを使用する軟および硬ゼラチンカプセルにおける充填剤として利用することができる。
組成物の局所および/または経皮投与のための剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー剤、吸入剤および/またはパッチを挙げることができる。一般に、活性成分は、滅菌条件下で医薬的に許容され得る賦形剤ならびに/または必要とされる場合には任意の必要とされる保存薬および/もしくは緩衝剤と混合される。加えて、本発明は、経皮パッチの使用を考えており、これらは、化合物の身体への制御送達をもたらす付加的利点を有することが多い。そのような剤形は、例えば、化合物を適切な媒質に溶解および/または分散させることによって調製することができる。あるいは、または加えて、速度制御膜を設けることによって、ならびに/またはポリマーマトリックスおよび/もしくはゲルに化合物を分散させることによって、速度を制御することができる。
本明細書に記載する経皮医薬組成物の送達に使用するために適する器具としては、短針器具、例えば、米国特許第4,886,499号;同第5,190,521号;同第5,328,483号;同第5,527,288号;同第4,270,537号;同第5,015,235号;同第5,141,496号;および同第5,417,662号に記載されているものが挙げられる。経皮組成物は、皮膚への有効針入長を制限する器具、例えば、PCT公報WO 99/34850に記載されているものおよびそれらの機能等価物によって投与することができる。液体ジェット注射器によっておよび/または角質層に刺し入れ、真皮に達するジェットを生じさせる針によって真皮に液体組成物を送達するジェット注射器具が適する。ジェット注射器具は、例えば、米国特許第5,480,381号;同第5,599,302号;同第5,334,144号;同第5,993,412号;同第5,649,912号;同第5,569,189号;同第5,704,911号;同第5,383,851号;同第5,893,397号;同第5,466,220号;同第5,339,163号;同第5,312,335号;同第5,503,627号;同第5,064,413号;同第5,520,639号;同第4,596,556号;同第4,790,824号;同第4,941,880号;同第4,940,460号;ならびにPCT公報WO 97/37705およびWO 97/13537に記載されている。圧縮ガスを使用して粉末形態のワクチンを皮膚の外層を通して真皮に加速する弾道粉末/粒子送達器具が適する。あるいは、または加えて、経皮投与の古典的マントー法で従来の注射器を使用してもよい。
局所投与に適する調合物としては、液体および/または半液体調製物、例えば、糊膏、ローション、水中油型および/もしくは油中水型エマルジョン、例えばクリーム、軟膏、ならびに/または溶液および/もしくは懸濁液が挙げられるが、これらに限定されない。局所投与可能な調合物は、例えば、約1%から約10%(w/w)活性成分を含むが、活性成分の濃度は、溶媒中のその活性成分の溶解限度ほども高い場合がある。局所投与用の調製物は、本明細書に記載する追加の成分の1つ以上をさらに含む場合がある。
医薬組成物を、口腔経由での肺投与に適する調合物で、調製、包装、および/または販売することができる。そのような調合物は、活性成分を含み約0.5nmから約7nmまたは約1nmから約6nmの範囲の直径を有する、乾燥粒子を含む場合がある。適便には、そのような組成物は、噴射剤の流れによって粉末を分散させる乾燥粉末レザバーを含む装置を使用する投与、ならびに/または自己噴射性溶媒/粉末分散容器、例えば低沸点噴射剤に溶解および/もしくは懸濁された活性成分を密閉容器内に含む装置、を使用する投与のための乾燥粉末形態である。そのような粉末は、粒子を含み、この場合、それらの粒子の重量で少なくとも98%は、0.5nmより大きい直径を有し、およびそれらの粒子の数で少なくとも95%は、7nm未満の直径を有する。あるいは、それらの粒子の重量で少なくとも95%は、1nmより大きい直径を有し、およびそれらの粒子の数で少なくとも90%は、6nm未満の直径を有する。乾燥粉末組成物は、糖などの固体微粉希釈剤を含む場合があり、単位用量形態で適便に提供される。
低沸点噴射剤としては、大気圧で65°F未満の沸点を有する液体噴射剤が一般に挙げられる。一般に、噴射剤は、組成物の50%から99.9%(w/w)を構成することがあり、および活性成分は、組成物の0.1%から20%(w/w)を構成することがある。噴射剤は、追加の成分、例えば液体非イオン性および/もしくは固体アニオン性界面活性剤ならびに/または固体希釈剤(活性成分を含む粒子と同じオーダーの粒径を有するだろう)をさらに含むことがある。
肺送達のために調合される医薬組成物は、溶液および/または懸濁液の液滴の形態で活性成分を供給することができる。そのような調合物は、活性成分を含む、場合によっては滅菌された、水性および/または希アルコール溶液および/または懸濁液として調製、包装および/または販売することができ、ならびに任意の噴霧および/または霧化装置を使用して適便に投与することができる。そのような調合物は、着香剤、例えばサッカリンナトリウム、精油、緩衝剤、界面活性剤、および/または保存薬、例えばヒドロキシ安息香酸メチルをはじめとする(しかし、これらに限定されない)1つ以上の追加の成分をさらに含む場合がある。この投与経路によって供給される液滴は、約0.1nmから約200nmの範囲の平均直径を有するだろう。
肺送達に有用であると本明細書に記載する調合物は、医薬組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内送達に適するもう1つの調合物は、活性成分を含み約0.2μmから500μmの平均粒子を有する、粗末である。そのような調合物は、かぎタバコを吸う仕方で、すなわち、鼻の近くに保持された粉末の容器からの鼻孔を通した急速吸入により、投与される。
鼻腔内投与に適する調合物は、例えば、約0.1%(w/w)ほどもの少ない活性成分から100%(w/w)ほどもの多い活性成分までを含むことがあり、および本明細書に記載する追加の成分の1つ以上を含むことがある。口内投与に適する調合物で医薬組成物を調製、包装および/または販売することができる。そのような調合物は、例えば、従来の方法を用いて作られた錠剤および/またはロゼンジの形態である場合があり、例えば、0.1%から20%(w/w)活性成分と、経口溶解性および/または分解性組成物を含むバランスと、場合によっては、本明細書に記載する追加の成分の1つ以上とを含むことがある。あるいは、口内投与に適する調合物は、活性成分を含む粉末ならびに/またはエーロゾル化および/もしくは霧化溶液および/もしくは懸濁液を含む場合がある。そのような粉末、エーロゾル化、および/または霧化調合物は、投与したとき、約0.1nmから約200nmの範囲の平均粒径および/または液滴径を有することがあり、および本明細書に記載する追加の成分の1つ以上を含むことがある。
眼科投与に適する調合物で医薬組成物を調製、包装および/または販売することができる。そのような調合物は、例えば、水性または油性液体賦形剤中の活性成分の0.1/1.0%(w/w)溶液および/または懸濁液を例えば含む点眼剤の形態である場合がある。そのような滴剤は、緩衝剤、塩、および/または本明細書に記載する他の任意の追加の成分をさらに含む場合がある。有用である他の眼科投与可能な調合物としては、微結晶形態でおよび/またはリポソーム調製物で活性成分を含むものが挙げられる。点耳剤および/または点眼剤は、本発明の範囲内であると考えられる。
医薬調製物の調合および/または製造の際の一般的な考慮事項は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005(参考として本明細書に援用されている)において見つけることができる。
投与
本発明は、本発明による過剰に荷電されたタンパク質または複合体を、それを必要とする被験体に投与することを含む。疾患、障害および/または状態(例えば、作動記憶障害に関連した疾患、障害および/または状態)の予防、処置、診断またはイメージングに有効な任意の量および任意の投与経路を用いて、過剰に荷電されたタンパク質もしくは複合体、または医薬組成物、イメージング用組成物、診断用組成物もしくは予防用組成物を被験体に投与することができる。必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢および全般的な健康状態、その疾病の重症度、特定の組成物、その投与方式、その活性様式およびこれらに類するものに依存して、被験体によって異なるであろう。本発明による組成物は、投与の容易さおよび投薬量の均一性のため投薬単位で典型的には調合される。しかし、本発明の組成物の1日の合計使用料が、堅実な医学的判断の範囲内で担当医によって決められることは理解されるであろう。任意の個々の患者についての特定の治療有効、予防有効、または適切なイメージング用量レベルは、処置する障害およびその障害の重症度;利用する特定の化合物の活性;利用する特定の組成物;患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食事;利用する特定の化合物の投与回数、投与経路および排泄率;処置期間;利用する特定の化合物と併用するまたは同時に使用する薬物;ならびに医学分野において周知のこれらに類する要因をはじめとする様々な要因に依存するであろう。
過剰に荷電されたタンパク質、もしくは送達すべき少なくとも1つの作用物質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体、および/またはそれらの医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物もしくはイメージング用組成物を、動物、例えば哺乳動物(例えば、ヒト、家畜、ネコ、イヌ、マウス、ラットなど)に投与することができる。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質もしくは複合体および/またはそれらの医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物もしくはイメージング用組成物をヒトに投与する。
本発明による過剰に荷電されたタンパク質、もしくは送達すべき少なくとも1つの作用物質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体、および/またはそれらの医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物もしくはイメージング用組成物を任意の経路によって投与することができる。いくつかの実施形態では、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、動脈内経路、骨髄内経路、クモ膜下経路、皮下経路、心室内経路、経皮経路、皮内経路、直腸内経路、膣内経路、腹腔内経路、局所経路(例えば、粉末、軟膏、クリーム、ゲル、ローションおよび/もしくは滴剤により)、粘膜経路、鼻経路、口内経路、経腸経路、硝子体経路、腫瘍内経路、舌下経路をはじめとする様々な経路の1つ以上によって;気管内滴剤注入、気管支滴剤注入、および/もしくは吸入により;経口スプレー、鼻スプレー、および/もしくはエーロゾルとして;ならびに/または門脈カテーテルによって、過剰に荷電されたタンパク質もしくは複合体および/またはそれらの医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物もしくはイメージング用組成物を投与する。いくつかの実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質もしくは複合体および/またはそれらの医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物もしくはイメージング用組成物を全身性静脈注射によって投与する。特定の実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質もしくは複合体および/またはそれらの医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物もしくはイメージング用組成物を静脈内投与することができ、および/または経口投与することができる。特定の実施形態では、過剰に荷電されたタンパク質もしくは複合体および/またはそれらの医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物もしくはイメージング用組成物を、その過剰に荷電されたタンパク質または複合体が血液脳関門、血管関門または他の上皮関門を横断することができるように投与することができる。
しかし、本発明は、薬物送達の科学研究に関する可能性の高い進歩を考慮に入れて任意の適切な経路による過剰に荷電されたタンパク質もしくは複合体および/またはそれらの医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物もしくはイメージング用組成物の送達を包含する。
一般に、最も適切な投与経路は、過剰に荷電されたタンパク質、または送達すべき少なくとも1つの作用物質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体の性質(例えば、胃腸管、血流などの環境でのその安定性)、患者の状態(例えば、患者が特定の投与経路を許容できるかどうか)などをはじめとする様々な要因に依存するであろう。本発明は、薬物送達の科学研究に関する可能性の高い進歩を考慮に入れて任意の適切な経路による医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物またはイメージング用組成物の送達を包含する。
ある実施形態では、本発明による組成物を、1日に1回以上、1日あたり被験体体重の約0.0001mg/kgから約100mg/kg、約0.01mg/kgから約50mg/kg、約0.1mg/kgから約40mg/kg、約0.5mg/kgから約30mg/kg、約0.01mg/kgから約10mg/kg、約0.1mg/kgから約10mg/kg、約1mg/kgから約25mg/kgを送達するために十分な投薬レベルで投与して、所望の治療、診断、予防またはイメージング効果を得ることができる。所望の投薬量を1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに、3日おきに、週1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回、送達することができる。ある実施形態では、多回投与(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、またはそれ以上の投与)を用いて所望の投薬量を送達することができる。
過剰に荷電されたタンパク質、または送達すべき少なくとも1つの作用物質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体を、1つ以上の他の治療薬、予防薬、診断薬またはイメージング剤と併用することができる。「併用で」とは、作用物質を同時に投与および/または合わせて調合しなければならないという意味するためのものではないが、これらの送達方法は、本発明の範囲内である。組成物を、1つ以上の他の所望の治療薬もしくは医療手順と同時に施与することもあり、それらの前に施与することもあり、またはそれらの後に施与することもある。一般に、それぞれの作用物質は、その作用物質について決められた用量でおよび/またはタイムスケジュールで投与されるであろう。いくつかの実施形態において、本発明は、医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物またはイメージング組成物を、それらのバイオアベイラビリティーを向上することができる、それらの代謝を減少および/もしくは調節することができる、それらの排泄を抑制することができる、ならびに/またはそれらの体内分布を調節することができる作用物質と併用で送達することを包含する。
併用される治療、予防、診断またはイメージング活性作用物質が、単一組成物で一緒に投与されることもあり、または異なる組成物で別々に投与される場合もあることは、さらに理解されるであろう。一般に、併用される作用物質は、それらが個々に利用されるレベルを超えないレベルで利用されると予想される。いくつかの実施形態において、併用されるレベルは、個々に利用されるレベルより低いであろう。
併用レジメンで用いられる療法(治療薬または手順)の個々の組み合わせは、所望の治療薬および/または手順と達成すべき所望の治療効果の適合性を考慮にいれることとなる。用いられる療法が同じ障害について所望の効果を達成する場合があり(例えば、本発明による癌の処置に有用な組成物を化学療法薬と同時に投与することができる)、またはそれらが異なる効果(例えば、有害作用の制御)を達成する場合があることも理解されるであろう。
キット
本発明は、本発明の方法を適便におよび/または有効に行うための様々なキットを提供する。典型的には、キットは、使用者が被験体(単数もしくは複数)の多数の処置を行うことができるおよび/または多数の実験を行うことができる十分な量および/または数の成分を含むであろう。
いくつかの実施形態において、キットは、(i)本明細書に記載するような、過剰に荷電されたタンパク質;(ii)送達すべき作用物質;(iii)少なくとも1つの作用物質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体を形成するための指示書、のうちの1つ以上を含む。
いくつかの実施形態において、キットは、(i)本明細書に記載するような、過剰に荷電されたタンパク質;(ii)核酸;(iii)少なくとも1つの核酸と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体を形成するための指示書、のうちの1つ以上を含む。
いくつかの実施形態において、キットは、(i)本明細書に記載するような、過剰に荷電されたタンパク質;(ii)ペプチドまたはタンパク質;(iii)送達すべき少なくとも1つのペプチドまたはタンパク質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体を形成するための指示書、のうちの1つ以上を含む。
いくつかの実施形態において、キットは、(i)本明細書に記載するような、過剰に荷電されたタンパク質;(ii)小分子;(iii)少なくとも1つの小分子と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体を形成するための指示書、のうちの1つ以上を含む。
いくつかの実施形態において、キットは、(i)本明細書に記載するような、過剰に荷電されたタンパク質、または送達すべき少なくとも1つの作用物質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体;(ii)少なくとも1つの医薬的に許容され得る賦形剤;(iii)医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物またはイメージング用組成物の被験体への投与のための注射器、針、アプリケーターなど;ならびに(iv)医薬組成物調製するための、およびその組成物の被験体への投与のための指示書、のうちの1つ以上を含む。
いくつかの実施形態において、キットは、(i)本明細書に記載するような、過剰に荷電されたタンパク質を含む医薬組成物、または送達すべき少なくとも1つの作用物質と会合している過剰に荷電されたタンパク質を含む複合体を含む医薬組成物;(ii)医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物またはイメージング用組成物の被験体への投与のための注射器、針、アプリケーターなど;および(iii)医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物またはイメージング用組成物の被験体への投与のための指示書、のうちの1つ以上を含む。
いくつかの実施形態において、キットは、過剰に荷電されたタンパク質を生成するように対象となるタンパク質を修飾するために有用な1つ以上の成分を含む。これらのキットは、過剰に荷電されたタンパク質を作るために必要な試薬のすべてまたは大部分を典型的には含む。ある実施形態において、そのようなキットは、研究者が本発明による過剰に荷電されたタンパク質を設計するのに役立つコンピュータソフトウェアを含む。ある実施形態において、そのようなキットは、部位特異的突然変異誘発を行うために必要な試薬を含む。
いくつかの実施形態において、キットは、追加の成分または試薬を含むことがある。例えば、キットは、緩衝剤、試薬、プライマー、オレゴヌクレオチド、ヌクレオチド、酵素、緩衝剤、細胞、媒質、プレート、チューブ、指示書、ベクターなどを含むことがある。いくつかの実施形態において、キットは、使用のための指示書を含むことがある。
いくつかの実施形態において、キットは、過剰に荷電されたタンパク質、または過剰に荷電されたタンパク質と送達すべき少なくとも1つの作用物質とを含む複合体を含む、医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物、またはイメージング組成物の多数の単位投薬量を含む。記憶を助けるものが、例えば、投薬量を投与することができる処置スケジュールにおける日/時を示す、番号、文字および/もしくは他の標示の形態で、ならびに/またはカレンダー挿入物と共に、供給される場合もある。医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物またはイメージング組成物の投薬量と同様のまたは異なる形態いずれかでプラセボ投薬量および/またはカルシウム栄養補助食品を含めて、投薬量を毎日摂取するキットを提供する場合もある。
キットは、個々の成分または試薬の幾つかを別々に収容することができるように1つ以上の器または容器を含むことがある。キットは、商業販売のために比較的密閉状態で個々の容器を密封する手段(例えば、指示書、包装材料、例えばスタイロフォームなどを密封することができるプラスチックボックス)を含むことがある。キットは、実験室での適便な使用のために典型的には包装される。
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の実施形態の考慮によってさらに理解されるであろう。これらの実施形態は、本発明のある特定の実施形態を例証するためのものであり、請求項によって定義するとおりの本発明の範囲を制限するためのものではない。
実施例1:過剰に荷電されたタンパク質は並はずれたレジリエンスを付与することができる
方法および材用
設計手順および過剰に荷電されたタンパク質配列
公表されている構造データ(Weberら、1989,Science,243:85;Dirrら、1994,J.Mol.Biol.,243:72;Pedelacqら、2006,Nat.Biotechnol.,24:79;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)から溶媒露出残基(下にグレーで示す)をAvNAPSA<150(AvNAPSAは、側鎖原子あたりの平均隣接(10Å以内)原子数である)を有するものと特定した。荷電または高極性溶媒露出残基(DERKNQ)を、負電荷を持たせるためにAspもしくはGluに;または正電荷を持たせるためにLysもしくはArgに突然変異させた。緑色蛍光タンパク質(GFP)変異体における突然変異させる追加の表面露出位置を、GFPホモログの間のこれらの位置での配列変異性に基づいて選択した。
タンパク質発現および精製
E.coliコドン使用量について最適化された合成遺伝子をDNA 2.0から購入し、pET発現ベクター(Novagen)にクローニングし、E.coli BL21(DE3)pLysSにおいて5〜10時間、15℃で過剰発現させた。遠心分離によって細胞を回収し、音波処理によって溶解した。Ni−NTAアガロースクロマトグラフィー(Qiagen)によって、タンパク質を精製し、100mM NaCl、50mM リン酸カリウムpH7.5に緩衝剤を交換し、限外濾過(Millipore)によって濃縮した。すべてのGFP変異体を自然状態下で精製した。
静電表面電位計算(図1B〜D)
−30および+48過剰に荷電されたGFP変異体のモデルは、スーパーフォルダーGFP(Pedelacqら、2006,Nat.Biotechnol.,24:79;参考として本明細書に援用されている)の結晶構造に基づくものであった。APBS(Bakerら、2001,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,98:10037;参考として本明細書に援用されている)を用いて静電位を計算し、−25kT/e(赤色)から+25kT/e(青色)のスケールを用いてPyMol(Delano,2002,The PyMOL Molecular Graphics System,www.pymol.org;参考として本明細書に援用されている)で描画した。
タンパク質染色およびUV誘導蛍光(図2A)
0.2μgのそれぞれのGFP変異体を10%変性ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動によって分析し、クマシー・ブリリアント・ブルー色素で染色した。100mM NaClを伴う25mM Tris pH8.0中の0.2μgの同じタンパク質を0.2mLエッペンドルフチューブに入れ、UV線(360nm)のもとで撮影した。
熱変性および凝集(図3A)
精製GFP変異体を25mM Tris pH8.0、100mM NaClおよび10mM ベータ−メルカプトエタノール(BME)中、2mg/mLに希釈し、その後、UV照明下で撮影した(自然状態)。それらのサンプルを1分間、100℃に加熱し、その後、UV照明下で再び撮影した(「煮沸」)。最後に、それらのサンプルを2時間、室温に冷却し、UV照明下で再び撮影した(「冷却」)。
化学的に誘導した凝集(図3B)
2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)を添加して、1.5mg/mL タンパク質、25mM Tris pH7.0、10mM BME、および40%TFEを有する溶液を生成した。25℃で凝集を90°光散乱によってモニターした。
サイズ排除クロマトグラフィー(表4)
Superdex 75ゲル濾過カラムで20〜50μgのタンパク質を分析することによって、GFP変異体の多量体状態を決定した。緩衝剤は、100mM NaCl、50mM リン酸カリウム pH7.5であった。同じ条件下で別に分析した既知分子量の1セットの単量体タンパク質標準物質との比較により、分子量を決定した。
過剰に荷電されたタンパク質GFP
「スーパーフォルダーGFP」(sfGFP)と呼ばれる緑色蛍光タンパク質(GFP)の変異体は、フォールディング効率および変性耐性について高度に最適化されている(Pedelacqら、2006,Nat.Biotechnol.,24:79;参考として本明細書に援用されている)。スーパーフォルダーGFPは、野生型GFPのものに類似した、−7の正味電荷を有する。アミノ酸の溶媒露出を計算するための簡単なアルゴリズム(材料および方法参照)に導かれて、GFPの過剰に荷電された変異体を設計した。過剰に荷電されたGFPは、+36の理論正味電荷を有するものであり、およびその最も溶媒に露出された29の残基を、正電荷を有するアミノ酸に突然変異させることによって作った(図1)。sfGFPまたは過剰に荷電されたGFP(「GFP(+36))」)のいずれかをコードする遺伝子の発現は、強緑色蛍光細菌を生じさせた。タンパク質精製後、GFP(+36)の蛍光特性を測定し、sfGFPのものに非常に類似していることが判明した。
+48、−25および−30の正味電荷を有する追加の過剰に荷電されたGFPを設計し、精製し、それらのすべてもsfGFP様蛍光を示すことが判明した(図2A)。すべての過剰に荷電されたGFP変異体は、sfGFPのものに類似した円偏光二色性スペクトルを示した。これは、それらのタンパク質が、類似した二次構造含量を有することを示している(図2B)。過剰に荷電されたGFP変異体の熱力学的安定性は、36ほどもの多さの突然変異の存在にもかかわらず、sfGFPのものよりほんのわずかに低かった(1.0〜4.1kca/mol、図2Cおよび表4参照)。
sfGFPは、GFP最適化の長い歴史の産物である(Giepmansら、2006,Science,312:217;参考として本明細書に援用されている)が、熱的または化学的アンフォールディングによって誘導される凝集を依然として受けやすい。100℃へのsfGFPの加熱は、その定量的沈殿および蛍光の不可逆的喪失を誘導した(図3A)。対照的に、過剰に荷電されたGFP(+36)およびGFP(−30)は、100℃に加熱しても可溶性のままであり、冷却すると有意に回復した(図3A)。40% 2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)は、25℃で数分以内にsfGFPの完全凝集を誘導したが、+36および−30過剰に荷電されたGFP変異体は、数時間、同じ条件下で有意な凝集および蛍光喪失を被らなかった(図3B)。
過剰に荷電されたGFP変異体は、反対の電荷の高荷電高分子に対して強い可逆的親和力を示す(図3C)。1:1の化学量論比で互いに混合すると、GFP(+36)およびGFP(−30)は、直ちに緑色蛍光共沈物を形成した。これは、フォールディングしたタンパク質の会合を示している。GFP(+36)は、高濃度のRNAまたはDNAと同様に共沈した。NaClの添加は、これらの複合体を溶解させるために十分であった。これは、それらの形成の静電学的論拠と一致する。対照的に、sfGFPは、GFP(−30)、RNA、またはDNAの添加による影響を受けなかった(図3C)。
結論
まとめると、様々な構造および機能の単量体および多量体タンパク質を、それらの最も溶媒に露出した残基を、同様の電荷を有するアミノ酸で単に置換することによって、「過剰に荷電」させることができる。過剰に荷電させることは、タンパク質の分子間特性を大いに改変して、顕著な耐凝集性、および「分子ベルクロ」のような正電荷を有する高分子とフォールディングした形態で会合する能力を付与する。
これらの劇的な分子間作用とは対照的に、フォールディング、蛍光、リガンド結合および酵素触媒作用を含む、ここで研究した7つの過剰に荷電されたタンパク質についての分子内特性は、大半は手つかずのままであった。従って、過剰に荷電させることは、タンパク質凝集傾向を低下させるために、およびタンパク質の可溶性を、それらの機能を損なうことなく向上させるために有用なアプローチと言える。これらの原理は、凝集を含む予測できないタンパク質取扱適性が依然として有意な難題である新規タンパク質設計努力に特に有用であり得る。
これらの観察によって、天然タンパク質のわずかな正味電荷分布(Knightら、2004,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,101:8390;Gitlinら、2006,Angew Chem Int Ed Engl,45:3022;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)も説明することができる:例えば、Proten Data Bank(PDB)ポリペプチドの84%の正味電荷は、±10以内に入る。上の結果は、高い正味電荷がアンフォールディングを強いるために十分な静電反発力を作るという仮説と相反する。実際、GFP(+48)は、現在、PDBにおけるいずれのポリペプチドより高い正の正味電荷を有するが、フォールディングするおよび蛍光を発する能力を保持する。それよりも、これらの調査結果は、非特異的分子間付着が、多すぎる高荷電天然タンパク質の発生を嫌ったのかもしれないことを示唆している。RNAに結合するリポソームタンパク質L3(+36)およびL15(+44)またはカルシウムカチオンに結合するカルセクエストリン(−80)などの、非常に高い正味電荷を有するほぼすべてのタンパク質が、それらの本質的な細胞機能の一部として正電荷を有する化学種と会合する。
実施例2:過剰に荷電されたタンパク質を使用して核酸を細胞に効率的に送達することができる。
図5は、過剰に荷電されたGFPが、正電荷を有する高分子(「タンパク質ベルクロ」)と非特異的におよび可逆的に会合することを明示している。そのような相互作用は、沈殿の形成を生じさせる場合がある。変性タンパク質の凝集とは異なり、これらの沈殿は、フォールディングした蛍光GFPを含有し、1Mの塩に溶解する。+36GFPのみ;−30GFPと混合した+36GFP;tRNAと混合した+36GFP;1MのNaCl中のtRNAと混合した+36GFP;スーパーフォルダーGFP(「sfGFP」;−7GFP);および−30GFPと混合したsfGFPをここに示す。
図6は、過剰に正に荷電されたGFPがsiRNAを結合することを明示している。+36GFPとsiRNAとの結合化学量論比を、様々な比率のこれら2成分を(25℃で30分)混合し、3%アガロースゲル状でその混合物を遊走させること(Kumarら、2007,Nature,449:39;参考として本明細書に援用されている)によって決定した。試験した+36GFP:siRNAの比率は、0:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5および1:10であった。+36GFP/siRNA複合体は、アガロースゲル中でsiRNAと共に移動しなかった。+36GFPは、約1:3の化学量論比でsiRNAと安定な複合体を形成することが明らかになった。これは、1個の過剰に荷電されたGFPがおおよそ3個のsiRNA分子を結合することを示している。この特性により、過剰に正に荷電されたGFPの少ない量の適用で細胞に有効にsiRNAを送達することができる。さらに、送達試薬が蛍光性であるため、および従って、送達試薬を蛍光顕微鏡検査によって観察できるため、この顕微鏡技術を用いてsiRNA送達を評価することができる。対照的に、過剰に正に荷電されていないタンパク質は、siRNAを結合しなかった。50:1比のsfGFP:siRNAも試験したが、そのように高い過剰レベルででさえ、sfGFPはsiRNAと会合しなかった。
図7は、過剰に正に荷電されたGFPが、細胞を透過することを明示している。HeLa細胞を1nM GFPと共に3時間インキュベートし、洗浄し、固定し、染色した。この実験では3つのGFP変異体を試験した:sfGFP(−7)、−30GFPおよび+36GFP。+36GFPは、数分以内に強力にHeLa細胞を透過するが、sfGFPおよび−30GFPはしないことが明らかになった。細胞膜で始まり、点状になり、そしてその後、細胞内への局在が明らかになった。+36GFPは、HeLa細胞において5日以上の間、安定であることが明らかになった。結果を図7に示す。細胞の位置をはっきりと示すためのDNAのDAPI染色が左側にある。どこでGFPの細胞取り込みが発生するのかを示すためのGFP染色が中央にある。局在を発生につれて示す動画が右側にある。
siRNA送達のための過剰に正に荷電されたGFPの利用を実証するために、本発明者らは、HeLa細胞において、リポフェクタミン2000(商標)(Invitrogen)、一般に使用されている市販のカチオン性脂質トランスフェクション試薬、を使用して、siRNAトランスフェクション効率を、過剰に正に荷電されたGFPベースのsiRNAトランスフェクションと比較した。
一般に、1mLの総量での細胞培養条件については、細胞を10%血清/培地中、約80%集密までプレーティングする。血清/培地溶液を除去し、細胞をPBSおよび500μLの無血清培地で2回洗浄する。別の器に500μLの無血清培地を添加し、それに1μLの50μM siRNA溶液(総濃度100nM)および1.66μLの15μM sc(+36)GFP(総濃度40nM)を添加する。反転によって内容物を混合し、5分間、インキュベートさせておく。そのような時間の後、その混合物を、500μLの無血清培地が入っているウエルに添加して、50nM siRNAおよび20nM scGFPの最終濃度を得る。この溶液を37℃のインキュベーター(5%CO)の中に4時間置き、取り出し、PBSで2回洗浄する。その後、1mL 10%PBS/培地で細胞を処理する。細胞を4日間インキュベートさせておき、その後、回収して遺伝子ノックダウンを判定した。
図8は、過剰に正に荷電されたGFPがsiRNAをヒト細胞に送達できることを明示している。詳細には、+36GFPはsiRNAをHeLa細胞に送達することが明らかになった。+36GFPは、リポフェクタミンより大量のsiRNAをはるかに高いトランスフェクション効率で送達した。HeLa細胞を、約2μM リポフェクタミン2000および50nM(125pmol)Cy3−siRNA(左);または30nMの+36GFPおよび50nM(125pmol)Cy3−siRNA(右)のいずれかで処理した。リポフェクタミンとは異なり、+36GFPは、特に、ペニシリンおよびストレプトマイシンなどの抗生物質の添加により、細胞毒性を誘導しなかった。
核酸送達のための過剰に荷電されたタンパク質の幅広い使用効果を実証するために、カチオン性脂質ベースのsiRNAトランスフェクションに対して耐性である細胞を含む様々な細胞でこの実験を繰り返した。図9〜11は、過剰に正に荷電されたGFPが、従来のトランスフェクション法に対して耐性である細胞系にsiRNAを送達できることを明示している。図9は、過剰に正に荷電されたGFPが、3T3−L脂肪細胞前駆細胞(「3T3L細胞」)にsiRNAを送達できることを明示している。3T3L細胞を、約2μM リポフェクタミン2000および50nM(125pmol)Cy3−siRNA(左);または30nMの+36GFPおよび50nM(125pmol)Cy3−siRNA(右)のいずれかで処理した。マウス3T3−L脂肪細胞前駆細胞は、リポフェクタミンによって然程トランスフェクトされなかったが、+36GFPによって効率的にトランスフェクトされた。Hoeschtチャンネル、青色、を用いてDNAを可視化し、それによって細胞の位置をはっきりと示し;Cy3チャンネル、赤色、を用いてCy3タグ付きsiRNAを可視化し;GFPチャンネル、緑色、を用いてGFPを可視化した。黄色は、siRNAとGFPの間の共局在部位を示す。リポフェクタミンとは異なり、+36GFPは、特に、ペニシリンおよびストレプトマイシンなどの抗生物質の添加により、細胞毒性を誘導しなかった。
図10は、過剰に正に荷電されたGFPラットIMCD細胞にsiRNAを送達できることを明示している。ラットIMCD細胞を、約2μM リポフェクタミン2000および50nM(125pmol)Cy3−siRNA(左);または20nMの+36GFPおよび50nM(125pmol)Cy3−siRNA(右)のいずれかで処理した。ラットIMCD細胞は、リポフェクタミンによって然程トランスフェクトされなかったが、+36GFPでは効率的にトランスフェクトされた。Hoeschtチャンネル、青色、を用いてDNAを可視化し、それによって細胞の位置をはっきりと示し;Cy3チャンネル、赤色、を用いてCy3タグ付きsiRNAを可視化し;GFPチャンネル、緑色、を用いてGFPを可視化した。黄色は、siRNAとGFPの間の共局在部位を示す。リポフェクタミンとは異なり、+36GFPは、特に、ペニシリンおよびストレプトマイシンなどの抗生物質の添加により、細胞毒性を誘導しなかった。
図11は、過剰に正に荷電されたGFPがヒトST14AニューロンにsiRNAを送達できることを明示している。ヒトST14Aニューロンを、約2μM リポフェクタミン2000および50nM(125pmol)Cy3−siRNA(左);または50nMの+36GFPおよび50nM(125pmol)Cy3−siRNA(右)のいずれかで処理した。ヒトST14Aニューロンは、リポフェクタミンによって弱くトランスフェクトされたが、+36GFPによって効率的にトランスフェクトされた。DAPIチャンネル、青色、を用いてDNAを可視化し、それによって細胞の位置をはっきりと示し;Cy3チャンネル、赤色、を用いてCy3タグ付きsiRNAを可視化し;GFPチャンネル、緑色、を用いてGFPを可視化した。黄色は、siRNAとGFPの間の共局在部位を示す。図9〜11に提示したものに類似した結果が、従来のトランスフェクション法に対して耐性である2つの他の細胞タイプ(すなわち、ジャーカット細胞およびPC12細胞)において観察された。リポフェクタミンとは異なり、+36GFPは、特に、ペニシリンおよびストレプトマイシンなどの抗生物質の添加により、細胞毒性を誘導しなかった。
図13は、siRNAトランスフェクション実験のフローサイトメトリー分析を提示するものである。それぞれのカラムは、異なるトランスフェクション法:リポフェクタミン(青色);および20nMの+36GFP(赤色)、で行った実験に対応する。それぞれのチャートは、異なる細胞タイプ:IMCD細胞、PC12細胞、HeLa細胞、3T3L細胞、およびジャーカット細胞、で行った実験に対応する。X軸は、siRNA蛍光の読み取り値である、Cy3チャンネルから得られた測定値を表す。Y軸は、フローサイトメトリー実験における細胞数を表す。フロー・サイトメトリー・データは、リポフェクタミンより+36GFPを使用したほうが細胞がsiRNAで効率的にトランスフェクトされたことを示している。
遺伝子発現を抑制する+36GFP送達siRNAの有効性を実証するために、GAPDHの細胞レベルをウエスタンブロットによって調査した。図13に示すように、+36GFPは、siRNAを細胞に有効に送達し、リポフェクタミンのものに匹敵するレベルでGAPDHを抑制した。約2μM リポフェクタミン2000(黒色棒)または20nMの+36GFP(緑色棒)のいずれかを使用して、50nM GAPDH siRNAを5つの異なる細胞タイプ(HeLa、IMCD、3T3L、PC12、およびジャーカット細胞系)にトランスフェクトした。Y軸は、チューブリンタンパク質レベルの関数としてGAPDHタンパク質レベルを表す。
図14は、過剰に正に荷電されたGFPによって媒介されるsiRNAトランスフェクションに対する細胞透過性の様々なメカニズムプローブの効果を実証するものである。HeLa細胞を様々なプローブのうちの1つで30分間処理し、その後、5nMの+36GFPで処理した。その後、細胞をヘパリン+プローブで洗浄し、PBS+プローブ中でイメージングした。サンプルは、次のものを含んだ:プローブなし;4℃プレインキュベーション(エネルギー依存性プロセスを阻害する);100mM スクロース(クラスリン媒介エンドサイトーシスを阻害する);25μg/mL ナイスタチン(カベオラ機能を破壊する);25μM サイトカラシンB(マクロピノサイトーシスを阻害する);および5μM モネンシン(エンドソーム受容体再循環を阻害する)。4℃での実験は、+36GFPの細胞透過がエネルギー消費を必要とすることを明示している。スクロースおよびナイスタチンでの実験は、+36GFPの細胞取り込みがクラスリン媒介エンドサイトーシスおよびカベオラエンドサイトーシスを必要としないことを明示している。サイトカラシンBおよびモネンシンでの実験は、+36GFPの細胞取り込みがマクロピノサイトーシスを必要としないが、初期エンドソームを必要とする可能性が高いことを明示している。
図15は、細胞透過活性一因となる要因を実証するものである。電荷密度が細胞透過活性の一因となることが明らかになった。例えば、60nM ArgはsiRNAをトランスフェクトしないことが明らかになった。電荷の大きさが細胞透過活性の一因となることが明らかになった。例えば、+15GFPは、細胞を透過せず、siRNAをトランスフェクトしないことが明らかになった。「タンパク質様」特性も細胞透過活性の一因となることが明らかになった。例えば、60nMのLys20〜50は、siRNAをトランスフェクトしないことが明らかになった。本発明は、いくつかの実施形態において、電荷密度がタンパク質を細胞に透過させるために十分なものではないことを実証する。本発明は、いくつかの実施形態において、電荷の大きさがタンパク質を細胞に透過させるために十分なものではないが必要である場合があることを実証する。本発明は、さらに、一部のタンパク質様特徴が細胞透過の一因となる場合があることをさらに証明する。
実施例3:過剰に荷電された緑色蛍光タンパク質による哺乳動物細胞透過、siRNAトランスフェクション、およびDNAトランスフェクション
最近、本発明者らは、タンパク質を、非保存、溶媒露出残基の広範囲の突然変異誘発による、それらの構造または機能を損なわない、タンパク質の表面置換(resurfacing)を記載した(Lawrence MS,Phillips KJ,Liu DR(2007)Supercharging proteins can impart unusual resilience.J.Am.Chem.Soc.129:10110−10112;国際PCT特許出願、2007年12月13日にWO 2007/143574として発行された、2007年6月1日出願のPCT/US07/70254;米国特許仮出願、2006年6月2日出願のU.S.S.N.60/810,364および2006年8月9日出願のU.S.S.N.60/836,607;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)。残基の置換がすべて正電荷またはすべて負電荷を有する場合、結果として生ずる「過剰に荷電された」タンパク質は、それらの活性を維持しながら、強い耐凝集性、および正電荷を有する高分子に結合する能力などの、並はずれた特性を得ることができる。例えば、本発明者らは、+36正味理論電荷を有する緑色蛍光タンパク質(+36GFP)が高耐凝集性であり、煮沸および冷却された後でさえ蛍光を保持することができ、ならびに静電相互作用によってDNAおよびRNAと可逆的に複合体を形成することを報告した。
HIV Tatに由来するペプチド(Frankel AD,Pabo CO(1988)Cellular uptake of the tat protein from human immunodeficiency virus.Cell 55:1189−1193;Green M,Loewenstein PM(1988)Automonous functional domains of chemically synthesized human immunodeficiency virus tat trans−activator protein.Cell 55:1179−1188;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)およびアンテナペディアホメオドメインからのペネトラチン(Thoren PE,Persson D,Karlsson M,Norden B(2000)The antennapedia peptide penetratin translocates across lipid bilayers−the first direct observation.FEBS Lett 482:265−268;参考として本明細書に援用されている)をはじめとする、哺乳動物細胞を透過する能力を有する様々なカチオン性ペプチドが、以前に記載されている。Schepartzおよび共同研究者は、タイプIIポリプロリンらせん内に包埋された最小カチオン性モチーフを含有する小さな、フォールディングしたタンパク質が、真核細胞を効率的に透過することを、最近、明らかにした(Daniels DS,Schepartz A(2007)Intrinsically cell−permeable miniature proteins based on a minimal cationic PPII motif.J Am Chem Soc 129:14578−14579;Smith BA,Daniels DS,Coplin AE,Jordan GE,McGregor LMら,(2008)Minimally cationic cell−permeable miniature proteins via alpha−helical arginine display.J Am Chem Soc 130:2948−2949;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)。Rainesおよび共同研究者は、細胞を透過する能力を付与する表面露出ポリアルギニンパッチを有するタンパク質を、最近、遺伝子工学で作った(Fuchs SM,Raines RT(2007)Arginine grafting to endow cell permeability.ACS Chem Biol 2:167−170;Fuchs SM, Rutkoski TJ,Kung VM,Groeschl RT,Raines RT(2007)Increasing the potency of a cytotoxin with an arginine graft.Protein Eng Des Sel 20:505−509;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)。これらの研究にかんがみて、本発明者らは、+36GFPなどの過剰に正に荷電されたタンパク質が、細胞膜の負電荷を有する成分と、細胞透過を生じさせるように相互作用するという仮説を立てた。
本実施例において、本発明者らは、+15、+25および+36の正味電荷を有する過剰に正に荷電されたGFP変異体の細胞透過特性を説明する。本発明者らは、+36GFPが、硫酸化ペプチドグリカン媒介、アクチン依存性エンドサイトーシスによって細胞に強力に進入することを発見した。siRNAと予備混合したとき、+36GFPは、カチオン性脂質媒介トランスフェクションに対して耐性であることが知られている幾つかのものを含む様々な細胞系に、有効におよび細胞毒性を伴わずに、siRNAを送達する。+36GFPを使用して細胞に送達されたsiRNAは、試験した5つの哺乳動物細胞のうち4つで遺伝子サイレンシングを果たすことができた。+36GFPのsiRNAトランスフェクション能力と、匹敵するまたはより大きい電荷の大きさおよび電荷密度の幾つかの合成ペプチドのものとの比較は、観察されたsiRNA送達方式が、カチオン性ペプチドには存在しない+36GFPのタンパク質様特性を必要とし得ることを示唆している。血球凝集素に由来するエンドソーム溶解性ペプチドに融合すると、+36GFPは、カチオン性脂質媒介トランスフェクションを受けにくい幾つかの細胞系にプラスミドDNAを、プラスミドベースの遺伝子発現を可能にするように、トランスフェクトすることもできる。
結果
過剰に荷電されたGFPによる哺乳動物細胞透過
本発明者らは、蛍光を保持する−30から+48にわたる理論正味電荷を有する「スーパーフォルダーGFP」(sfGFP)(Pedelacq JD,Cabantous S,Tran T,Terwilliger TC,Waldo GS(2006)Engineering and characterization of a superfolder green fluorescent protein.Nat Biotechnol 24:79−88;参考として本明細書に援用されている)の一連の表面置換変異体を以前に生成し、特性付けした(Lawrence MS,Phillips KJ,Liu DR(2007)Supercharging proteins can impart unusual resilience.J Am Chem Soc 129:10110−10112;参考として本明細書に援用されている)。哺乳動物細胞を透過するこれらの過剰に荷電されたGFPの能力の評価には、表面に結合した非内在化GFPを除去する方法が必要である。従って、本発明者らは、細胞から表面に結合したカチオン性タンパク質を除去することが知られている洗浄条件(Pedelacq JD,Cabantous S,Tran T,Terwilliger TC,Waldo GS(2006)Engineering and characterization of a superfolder green fluorescent protein.Nat Biotechnol 24:79−88)が、細胞表面に結合した、過剰に正に荷電されたGFPも有効に除去することを確認した。本発明者らは、細胞の外面に+36GFPを結合させるが内在化を阻止する温度である4℃(下記参照)で、+36GFPでHeLa細胞を処理した。細胞を4℃で、PBSでまたはヘパリンを含有するPBSで3回洗浄し、GFP蛍光についてのフローサイトメトリーによって分析した。PBSで洗浄した細胞は、(おそらく表面に結合した)GFPの有意なレベルを有することが判明したが、ヘパリンを含有するPBSで洗浄した細胞は、未処理細胞のものに非常に類似したGFP蛍光強度を示した(図22)。表面に結合した、過剰に正に荷電されたGFPの除去に対するヘパリンでの3回の洗浄の有効性が、これらの観察によって裏付けられた。
次に、本発明者らは、HeLa細胞を10〜500nM sfGFP(−7の理論正味電荷)、−30GFP、+15GFP、+25GFP、または+36GFPと共に4時間、37℃でインキュベートした(図16A)。インキュベーション後、ヘパリンを含有するPBSで細胞を3回洗浄し、フローサイトメトリーによって分析した。sfGFPまたは−30GFPで処理した細胞では、検出可能な内在化タンパク質が観察されなかった。しかし、+25GFPまたは+36GFPで処理したHeLa細胞は、高レベルの内在化GFPを含有することが判明した。対照的に、+15GFPで処理した細胞は、10倍少ない内在化GFPを含有した。これは、正電荷の大きさが有効な細胞透過の重要な決定要素であることを示している(図16B)。本発明者らは、+36GFPが、10nMほども低い濃度でさえ、HeLa細胞を容易に透過することを発見した(図23)。
+36GFPによる細胞透過の一般性を試験するために、本発明者らは、4つの追加の哺乳動物細胞タイプ:髄質内層集合管(IMCD)細胞、3T3−L脂肪細胞前駆体、ラット褐色細胞腫PC12細胞、およびジャーカットT細胞、を使用してこれらの実験を繰り返した。フローサイトメトリー分析は、200nMの+36GFPが、試験した5つすべての細胞タイプを有効に透過したことを示した(図16C)。安定付着HeLa、IMCDおよび3T3−L細胞系における+36GFPの内在化をフローサイトメトリーによって確認した(下記参照)。実時間イメージングは、真核細胞による取り込みと一致して、+36GFPがHeLa細胞の細胞膜に容易に結合し、細胞の内部に移動する点状巣として数分以内に内在化し、大きな巣へと統合することを示した。
+36GFP細胞透過のメカニズムプローブ
+36GFPが細胞に入るメカニズムを例証するために、本発明者らは、それぞれがエンドサイトーシス経路の異なる成分を阻止する様々な条件下で、HeLa細胞において細胞透過実験を繰り返した(Payne CK,Jones SA,Chen C,Zhuang X(2007)Internalization and trafficking of cell surface proteoglycans and proteoglycan−binding ligands.Traffic 8:389−401;Veldhoen S,Laufer SD,Trampe A,Restle T(2006)Cellular delivery of small interfering RNA by a non−covalently attached cell−penetrating peptide:quantitative analysis of uptake and biological effect.Nucleic Acids Res 34:6561−6573;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)。+36GFP処理前および中にHeLa細胞を4℃に冷却したとき、+36GFPの細胞透過は、観察されなかった(図17B)。これは、+36GFPの取り込みが、エンドサイトーシスと一致して、エネルギー依存性プロセスを必要とすることを示唆している(Deshayes S,Morris MC,Divita G,Heitz F(2005)Cell−penetrating peptides:tools for intracellular delivery of therapeutics.Cell Mol Life Sci 62:1839−1849;参考として本明細書に援用されている)。次に、本発明者らは、5μg/mLのフィリピンまたは25μg/mLのナイスタチン(カベオリン依存性エンドサイトーシスを阻害することが知られている小分子)の効果を評価した。いずれの阻害剤も、+36GFP内在化を有意に改変しなかった(それぞれ、図17Cおよび17D)。クロルプロマジン(クラスリン媒介エンドサイトーシスの公知阻害剤)での処理は、同様に、+36GFP細胞透過に対して殆ど効果がなかった(図17E)。加えて、50nMの+36GFPと10μg/mLの蛍光標識トランスフェリン(クラスリン依存的様式で内在化されることが知られているタンパク質(Hopkins CR,Trowbridge IS(1983)Internalization and processing of transferrin and the transferrin receptor in human carcinoma A431 cells.J Cell Biol 97:508−521;参考として本明細書に援用されている))でのHeLa細胞の同時処理は、GFP/トランスフェリン共局在を殆ど生じさせなかった(図17F)。しかし、サイトカラシンD(アクチン重合阻害剤)での処理は、+36GFP細胞透過を有意に減少させた(図17G)。考え合わせると、これらの結果は、+36GFP取り込みが、エネルギー依存性であるエンドサイトーシス経路によって進行し、アクチン重合を必要とし、クラスリンまたはカベオリンを必要としないモデルと一致する。
カチオン性ペプチドの細胞取り込みのメカニズムに関する以前の研究(Payne CK,Jones SA,Chen C,Zhuang X(2007)Internalization and trafficking of cell surface proteoglycans and proteoglycan−binding ligands.Traffic 8:389−401;Fuchs SM,Raines RT(2004)Pathway for polyarginine entry into mammalian cells.Biochemistry 43:2438−2444;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)に基づいて、本発明者らは、アニオン性細胞表面プロテオグリカンが、+36GFP内在化を媒介するために受容体としての役割を果たすとうい仮説を立てた。この仮説をプローブするために、本発明者らは、80mM 塩素酸ナトリウム(硫酸化プロテオグリカンの生合成に必要な酵素であるATPスルフリラーゼの阻害剤(Baeuerle PA,Huttner WB(1986)Chlorate−a potent inhibitor of protein sulfation in intact cells.Biochem Biophys Res Commun 141:870−877;参考として本明細書に援用されている))でHeLa細胞を前処理した。これらの条件は、+36GFP透過を完全に阻止した(図17H)。+36GFP取り込みにおいてプロテオグリカンが果たす役割のさらなるプローブとして、本発明者らは、野生型チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における内在化を、キシロシルトランスフェラーゼ(グリコサミノグリカン合成に必要な酵素)を欠くプロテオグリカン欠失CHO細胞(PGD−CHO)と比較した。野生型CHO細胞(図17I)は、+36GFPを効率的に内在化したが、PDG−CHO細胞(図17J)はしなかった。これらの調査結果は、哺乳動物細胞の+36GFP透過が硫酸化細胞表面ペプチドグリカンを必要とすることを示唆している。
+36GFPはsiRNAに結合し、様々な哺乳動物細胞系にsiRNAを送達する
本発明者らは、DNAおよびtRNAと複合体を形成する、過剰に正に荷電されたタンパク質の能力を観察した(Lawrenceら、(2007)Supercharging proteins can impart unusual resilience.J Am Chem Soc 129:10110−10112;参考として本明細書に援用されている)。これらの結果にかんがみて、本発明者らは、siRNAにインビボで結合する+15、+25および+36GFPの能力を様々な化学量論比で評価した。ゲルシフトアッセイ(Kumar P,Wu H,McBride JL,Jung KE,Kim MHら、(2007)Transvascular delivery of small interfering RNA to the central nervous system.Nature 448:39−43;参考として本明細書に援用されている)を用いて、本発明者らは、+25および+36GFPのsiRNAへの結合を約2:1の化学量論比で観察したが、単一のsiRNA分子と複合体を形成するために平均して5個より多くの+15GFPタンパク質を必要とした(図18A)。対照的に、100当量のsfGFPは、このアッセイ条件下でsiRNAに検出可能に結合しなかった。
次に、本発明者らは、結合したsiRNAをHeLa細胞に送達する+15、+25および+36GFPの能力を調査した。Cy3に結合体化しているGAPDH siRNA(Ambion)を200nMの+36GFPと短時間、混合し、結果として得られた混合物を無血清培地中の細胞に4時間にわたって添加した。それらの細胞を、ヘパリンを含有するPBSで3回洗浄し、Cy3−siRNA取り込みについてフローサイトメトリーによって分析した。本発明者らは、+25および+36GFPが、siRNAのみでの処理よりそれぞれ100および1000倍多くsiRNAをHeLa細胞に送達すること(図3B)、および一般的なカチオン性脂質トランスフェクション試薬リポフェクタミン2000での送達より約20倍多くsiRNAを送達すること(図18C)を観察した。対照的に、+15GFPは、HeLa細胞にsiRNAを効率的に送達しなかった(図18B)。
HeLa細胞に加えて、+36GFPは、IMCD細胞、3T3−L脂肪細胞前駆体、ラット褐色細胞腫PC12細胞、およびジャーカットT細胞(リポフェクタミン2000を使用するsiRNAトランスフェクションに対して耐性である4つの細胞系統)(Carlotti F,Bazuine M,Kekarainen T,Seppen J,Pognonecら、(2004)Lentiviral vectors efficiently transduce quiescent mature 3TL−L1 adipocytes.Mol Ther 9:209−217;Ma H,Zhu J,Maronski M,Kotzbauer PT,Lee VM,Dichter MAら、(2002)Non−classical nuclear localization signal peptides for high efficiency lipofection of primary neurons and neuronal cell lines.Neuroscience 112:1−5;McManus MT,Haines BB,Dillon CP,Whitehurst CE,van Parijs Lら、(2002)Small interfering RNA−mediated gene silencing in T lymphocytes.J Immunol 169:5754−5760;Strait KA,Stricklett PK,Kohan JL,Miller MB,Kohan DE(2007)Calcium regulation of endothelin−1 synthesis in rat inner medullary collecting duct.Am J Physiol Renal Physiol 293:F601−606;これらのそれぞれが参考として本明細書に援用されている)内にsiRNAを効率的に送達することができた。リポフェクタミン2000およびCy3−siRNAでの処理は、HeLa細胞内への効率的なsiRNA送達を生じさせたが、IMCD、3T3−L、PC12およびジャーカット細胞へのsiRNAの有意な送達は生じさせなかった(図18C)。Fugene 6(Roche)(別のカチオン性脂質トランスフェクション剤)およびCy3−siRNAでのIMCDまたは3T3−L細胞の処理も、これらの細胞への有意なsiRNA送達を生じさせなかった(図24)。対照的に、+36GFPおよびCy3−siRNAでの処理は、試験した5つすべての細胞系において有意なsiRNAレベルを生じさせた(図18C)。リポフェクタミン2000と比較して、+36GFPは、すべての場合、20から200倍高いCy3シグナルレベルを生じさせた。非内在化+36GFPの除去に対する3回のヘパリン洗浄の有効性に基づき(図22)、本発明者らは、これらのより高いCy3レベルの原因が、細胞に表面結合した+36GFP/Cy3−siRNA複合体にではなくより高い内在化Cy3−siRNAレベルにあるとした。この解釈と一致して、この研究において使用した付着細胞系(HeLa、IMCDおよび3T3−L)の蛍光顕微鏡検査は、本発明者らがエンドソームであると考える点状巣に内在化したCy3−siRNAおよび+36GFPを示した(図18D)。ひとまとめにして、これらの結果は、+36GFPが、一般に用いられているカチオン性脂質トランスフェクション試薬によってあまりトランスフェクトされない幾つかのものを含む様々な哺乳動物細胞にsiRNAを有効に送達できることを示している。
サイトカラシンDの存在下で、または4℃で、200nMの+36GFPと50nMのCy3−siRNAを含有する予混溶液でHeLa細胞を処理したとき、内在化したGFPおよびCy3 siRNAは、一切、観察されなかった(図30)。これらのデータは、siRNA不在下での+36GFPの本発明者らのメカニズムの研究と一致して、エンドサイトーシスおよびアクチン重合に依存するsiRNA送達のメカニズムを裏付ける。
+36GFP−siRNA複合体のサイズおよび細胞毒性
トランスフェクションのための用いたものと同一の化学量論比を用いて、動的光散乱(DLS)により、+36GFP−siRNA複合体を分析した。20μMの+36GFPおよび5μMのsiRNAを含有する混合物から、本発明者らは、顕微鏡検査データ(図31B)と一致して、880.6±62.2nmの流体力学的半径(Hr)を有する粒子の完全単分散集団を観察した(図31A)。これらの観察は、+36GFPが、siRNAと混合すると大きな粒子を形成する(カチオン性送達試薬を使用する以前の研究によって観察された現象;Deshayesら、2005,Cell Mol.Life Sci.,62:1839−49;およびMeade and Dowdy,2008,Adv.Drug Deliv.Rev.,60:530−36;これらの両方が参考として本明細書に援用されている)可能性を明示している。
+36GFP−siRNA複合体の細胞毒性を評価するために、本発明者らは、0.2から2μMの+36GFPおよび50nMのsiRNAでの処理の24時間後に5つすべての細胞系に関してMTTアッセイを行った。これらのアッセイは、HeLa、IMCD、3T3−L、PC12またはジャーカット細胞に対して有意で明白な細胞毒性を示さなかった(図25A)。
+36GFP送達siRNAでの遺伝子サイレンシング
上の結果は、様々な哺乳動物細胞にsiRNAを送達する+36GFPの能力を明示しているが、それらは、遺伝子サイレンシングについてのこのsiRNAの有効性を立証していない。細胞内+36GFPの点状局在(図18D)に基づいて、本発明者らは、遺伝子サイレンシングが、エンドソームから+36GFPによってトランスフェクトされたsiRNAの少なくとも部分的な脱出を必要とすると予想した。+36GFPで送達されたsiRNAの遺伝子抑制活性を評価するために、本発明者らは、50nMのGAPDHターゲッティングsiRNAと、約2μMのリポフェクタミン2000または200nMの+36GFPのいずれかとを含有する溶液で、HeLa、IMCD、3T3−L、PC12およびジャーカット細胞を処理した。細胞を4時間、そのsiRNAトランスフェクション溶液に暴露し、その後、4日までの間、増殖させた。
HeLa細胞において観察されたGAPDH mRNAおよびタンパク質レベルの低下は、リポフェクタミン2000と+36GFPの両方が、同様の動態でGAPDH発現の効率的なsiRNA誘導抑制を媒介することを示している。リポフェクタミン2000または+36GFPで送達されたGAPDHターゲッティングsiRNAは、72時間後にGAPDH mRNAレベルの約85%低下を生じさせた(図19A)。類似して、約75%のGAPDHタンパク質レベル低下が、リポフェクタミン2000または+36GFPでのsiRNA送達の96時間後にHeLa細胞において観察された(図19B)。類似して、約2μMのリポフェクタミン2000または200nMの+36GFPいずれかでのβ−アクチンターゲッティングsiRNAの送達は、両方のトランスフェクション剤について70〜78%のβ−アクチンタンパク質レベル低下をHeLa細胞において生じさせた(図19B)。
HeLa細胞における遺伝子抑制の効率とは対照的に、IMCD、3T3−L、PC12およびジャーカット細胞におけるリポフェクタミン2000および50nM siRNAでの処理は、これらの細胞系のカチオン性脂質媒介トランスフェクションに対する耐性(図18C)と一致して、GAPDHタンパク質レベルの有意な低下を果たさなかった(図19C)。しかし、200nMの+36GFPおよび50nMのsiRNAでの処理は、IMCD、3T3−LおよびPC12細胞においてGAPDHタンパク質レベルの44〜60%抑制を生じさせた(図19C)。+36GFPによる効率的なsiRNA送達(図18C)にもかかわらず、本発明者らは、ジャーカット細胞においてGAPDH発現の有意なsiRNA媒介抑制を観察しなかった(図19C)。
本発明者らは、エンドソームからの+36GFP送達siRNAの脱出の増進は遺伝子サイレンシングの有効性を増大させるだろうと推測した。エンドサイトーシス性小胞を化学的に破壊しようとして、クロロキン、エンドサイトーシス活性を有することが知られている小分子(Erbacher P,Roche AC,Monsigny M,Midoux P(1996)Putative role of chloroquine in gene transfer into a human hepatoma cell line by DNA/lactosylated polylysine complexes.Exp Cell Res 225,186−194;参考として本明細書に援用されている)または内在化ポリアルギニンのサイトゾル分布を増加させることが証明されているピレン酪酸(Takeuchi T,Kosuge M,Tadokoro A,Sugiura Y,Nishi Mら、(2006)Direct and rapid cytosolic delivery using cell−penetrating peptides mediated by pyrenebutyrate.ACS Chem Biol 1:299−303;参考として本明細書に援用されている)と共に、200nMの+36GFPおよび50nMのsiRNAで細胞を処理した。+36GFPおよびsiRNAを含有する混合物へのこれらの試薬の添加は、試験した細胞系において細胞毒性であることが判明した。加えて、本発明者らは、+36GFPと、エンドソーム分解を増進することが報告されている血球凝集素2(HA2)ペプチド(Lundberg P,El−Andaloussi S,Sutlu T,Johansson H,Langel U(2007)Delivery of short interfering RNA using endosomolytic cell−penetrating peptides.FASEB J 21:2664−2671;参考として本明細書に援用されている)とのC末端融合体を生成して精製した。+36GFPでの場合と同様に、HA2融合変異体は、試験した5つの細胞系で低い細胞毒性を示した(図25A)。+36GFP−HA2融合体でのsiRNAの送達は、HeLa、IMCD、3T3−L、およびPC12細胞においてGAPDHタンパク質レベル低下を生じさせたが、抑制度は、+36GFPの使用から生じるものに匹敵していた(図19C)。
併せて、これらの結果は、+36GFPおよび+36GFP−HA2が、siRNAおよびカチオン性脂質ベースのトランスフェクション剤で処理したときには遺伝子サイレンシングを示さなかった幾つかの細胞系を含む様々な哺乳動物細胞においてsiRNAを送達することができ、遺伝子サイレンシングを果たすことができることを示している。
+36GFPの安定性ならびに+36GFPと複合体を形成しているRNAおよびDNAの安定性
様々な哺乳動物細胞タイプにわたる一般性および低い細胞毒性に加えて、siRNA送達剤は、急速分解対して耐性であり得る。プロテイナーゼK(強い、広域スペクトルのプロテアーゼ)での+36GFPの処理は、ウシ血清アルブミンと比較して+36GFPが有意にプロテアーゼ耐性であることを示す。カテプシンK消化の1時間後に未切断のBSAは残存しなかったが、1時間後、+36GFPの68%は未切断のままであり、6時間後、48%が未切断のままであった(図32A)。本発明者らは、37℃で、マウス血清で+36GFPを処理した(図32B)。6時間後、有意な分解は観察されなかった。これは、その潜在的インビボ血清安定性を示唆している。対照的に、ウシ血清アルブミンをマウス血清中で同じ期間、インキュベートしたとき、3時間後に71%分解、そして4時間までに完全な分解が観察された。
siRNAおよびプラスミドDNAを分解から保護する+36GFPの能力を評価した。siRNA、または+36GFPと予め複合体を形成していたsiRNAを、37℃で、マウス血清で処理した。3時間後、+36GFPを欠くサンプルではsiRNAの5.9%しか無損傷のままでなく、+36GFPと予め複合体を形成していたサンプルではsiRNAの34%が無損傷のままであった(図32C)。類似して、プラスミドDNAは、37℃で30分後、マウス血清によってほぼ完全に分解されたが、+36GFPと予め複合体を形成していた事実上すべてのプラスミドDNAは、30分後に無損傷のままであり、プラスミドDNAの84%は、1時間後に無損傷のままであった(図32D)。これらの結果は、併せて、+36GFPが血清媒介siRNAおよびプラスミドDNA分解を有意に阻害できることを示している。
+36GFPと合成カチオン性ペプチドの比較
siRNAを細胞に送達するそれらの能力を付与する、過剰に正に荷電されたGFPの特徴をプローブするために、本発明者らは、200nMでの+36GFPのsiRNAトランスフェクション能力と、200nMまたは2μMでの合成カチオン性ペプチドのパネルのものとを比較した。このパネルは、ポリ−(L)−Lys(ポリペプチドあたり平均約30のLys残基を含有する混合物)、ポリ−(D)−Lys、Arg、および+36GFPと同じ理論正味電荷およびLys:Arg比を有する合成+36GFPペプチド((KKR)11RRK)から成った。これらの合成ポリカチオンで処理したHeLa細胞でのMTTアッセイは、過剰に正に荷電されたGFPのものと一致して、用いた濃度で低い毒性を示した(図25B)。フローサイトメトリーによってアッセイすると、+36GFPが効率的なsiRNA送達を果たすためにまたは+15GFPが検出可能なsiRNAを果たすために必要とされるものより10倍高い濃度で使用したときでさえ、試験した4つの合成ペプチドはいずれも、検出可能な量のCy3−siRNAをHeLa細胞に送達しなかった(図20)。
+15GFPが、+25および+36GFPと比較して低い細胞透過性およびsiRNA結合活性を示すという本発明者らの観察(図18Aおよび18B)と併せて、これらの結果は、細胞に進入してsiRNAを効率的に輸送する能力を獲得するために十分な正電荷をGFPは有さねばならないが、正電荷の大きさおよび電荷密度はトランスフェクション活性を付与するために十分なものでないことを示している。もしろ、本発明者らの調査結果は、本発明者らが観察した細胞透過およびsiRNAトランスフェクション活性のフルセットを達成するには、サイズ、球形状、または安定性などの+36GFPのタンパク質様特徴が必要とされるであろうということを示唆している。
プラスミドDNAの+36GFP媒介トランスフェクション
siRNAでの場合に類似して、本発明者らは、+36GFPがプラスミドDNAと複合体を形成することをゲルシフトアッセイによって観察した(図26)。+36GFPが、プラスミドDNAを、プラスミドベースの遺伝子発現を支持するように細胞に送達できるかどうかを試験するために、本発明者らは、リポフェクタミン2000、+36GFP、または+36GFPとエンドソーム分解を増進すると報告されている血球凝集素2(HA2)ペプチド(Lundbergら,2007,Faseb J.,21:2664−71;参考として本明細書に援用されている)とのC末端融合体と予備混合したβ−ガラクトシダーゼ発現プラスミドで、HeLa、IMCD、3T3−L、PC12、およびジャーカット細胞を処理した。24時間後、蛍光原基質ベースのアッセイを用いて細胞をβ−ガラクトシダーゼ活性について分析した。
本発明者らの以前の結果(図18および19)と一致して、リポフェクタミン2000処理は、HeLa細胞において有意なβ−ガラクトシダーゼ活性を生じさせたが、PC12細胞ではほんのわずかなβ−ガラクトシダーゼ活性しか生じさせず、試験した他の3つの細胞系のいずれにおいても検出可能か活性を生じさせなかった(図21)。対照的に、2μMの+36GFP−HA2によって媒介されるプラスミドトランスフェクションは、HeLa、IMCDおよび3T3−L細胞において有意なβ−ガラクトシダーゼ活性を、およびPC12細胞においてわずかな活性を生じさせた(図21)。興味深いことに、プラスミドDNAおよび2μMの+36GFPでの処理は、検出可能なβ−ガラクトシダーゼ活性を生じさせなかった(図21)。これは、血球凝集素由来のペプチドが、siRNA媒介遺伝子サイレンシングに対するその効果欠如にもかかわらず、DNAトランスフェクションまたはプラスミドベースの発現を増進することを示唆している(図19C)。
これらの結果は、+36GFP−HA2が、カチオン系脂質媒介トランスフェクションに対して耐性の幾つかの細胞系を含む哺乳動物細胞に、プラスミドDNAを、プラスミドベースの遺伝子発現を可能にするように送達できることを示唆している。十分なsiRNAトランスフェクションを誘導するために必要とされる+36GFPまたは+36GFP−HA2の量より高濃度の+36GFP−HA2が、プラスミドDNAトランスフェクションを媒介するために必要とされる。
結論
本発明者らは、+15、+25および+36の正味電荷を有する3つの過剰に正に荷電されたGFP変異体の細胞透過、siRNA送達、siRNA媒介遺伝子サイレンシングおよびプラスミドDNAトランスフェクションを特性づけした。本発明者らは、+36GFPが、高細胞透過性であること、およびカチオン性脂質ベースのトランスフェクションに対して耐性のものを含む様々な哺乳動物細胞系に低い細胞毒性でsiRNAを効率的に送達できることを発見した。
メカニズムの研究により、+36GFPが、硫酸化細胞表面プロテオグリカンおよびアクチン重合を必要とするクラスリンおよびカベオリンイオン非依存性エンドサイトーシス経路によって細胞に進入することが明らかになった。この送達経路は、それらの核酸カーゴを局在させる細胞特異的ターゲッティングに依存する真核細胞への核酸送達のための以前に記載された戦略(Songら、2005,Nat.Biotechnol.,23:709−17;Kumarら、2007,Nature,448:39−43;およびCardosoら、2007,J.Gene Med.,9:170−83;これらのすべてが参考として本明細書に援用されている)とは異なる。細胞培養における使用には、および一定のインビボ用途における使用でさえ、核酸送達のための一般的な非細胞タイプ特異的アプローチが望ましいであろう。
試験した5つの細胞系のうちの4つにおいて、+36GFP媒介siRNA送達は、遺伝子発現の有意な抑制を誘導した。さらに、+36GFP−血球凝集素ペプチド融合体は、同4細胞系において、プラスミドベースの遺伝子発現を可能にするようにプラスミドDNAトランスフェクションを媒介することができる。21塩基対の長さのRNAならびに5,000bpを超える長さのプラスミドDNAをトランスフェクトする今般実証した能力は、+36GFPおよびその誘導体が一般的な核酸送達ベクターとしての役割を果たし得ることを示唆している。
多くの従来の送達法は、共有結合的に連結されたトランスフェクション剤−核酸結合体、例えば、カーボンナノチューブ−siRNA(Liuら,2007,Agnew Chem.Int.Ed.Engl.,46:2023−27;参考として本明細書に援用されている)、ナノ粒子−siRNA(Rosiら、2006,Science,312:1027−30;参考として本明細書に援用されている)、TATペプチド−siRNA(Fisherら、2002,J.Biol.Chem.,277:22980−84;参考として本明細書に援用されている)、コレステロール−siRNA(Soutschekら、2004,Nature,432:173−78;参考として本明細書に援用されている)、および動的ポリコンジュゲート−siRNA(Rozemaら,2007,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,104:12982−87;参考として本明細書に援用されている)の合成に依存する。+36GFPの使用は、タンパク質と核酸を互いに混合することしか必要としない。さらに、ここに記載する試薬は、細菌細胞から直接精製し、外因性カルシウムまたはクロロキンなどの化学的コ・トランスフェクタントなしで用いる。
本発明者らは、+36GFPが、熱力学的にsfGFPとほぼ同様に安定であるが、sfGFPとは異なり煮沸および冷却後にリフォールディングできることを以前に報告した(Lawrenceら、2007,J.Am.Chem.Soc.,129:10110−12;参考として本明細書に援用されている)。本発明者らは、+36GFPが、耐タンパク質分解性を示し、マウス血清中での安定性を示し、および複合体を形成しているsiRNAのマウス血清中での有意な保護を示すことを今般実証した。従って、本発明は、これらのシステムが(例えば、ヒト、哺乳動物、非ヒト、または非哺乳動物細胞への)インビボ核酸送達に有用であり得るという認識を包含する。
従って、本発明は、哺乳動物細胞への核酸の効力ある送達のためのタンパク質表面置換法の使用を初めて記載するものである。この驚くべきおよび有意な効力(Deshayesら、2007,Meth.Mol.Biol.,386:299−308;およびLundbergら、2007,Faseb J.,21:2664−71;これらの両方が参考として本明細書に援用されている)を、低い毒性、哺乳動物血清中での安定性、従来のトランスフェクションを受けにくい幾つかのものを含む様々な哺乳動物細胞タイプにわたっての一般性、小さなRNAと大きなDNAプラスミドの両方をトランスフェクトする能力、E.coli細胞からの直接調製、および対象となる未修飾核酸との混合による簡単な使用によって補足する。従って、本発明は、過剰に荷電されたタンパク質が、哺乳細胞における一般的核酸送達問題に対する解答の新たな種類を象徴するものであるとうい認識を包含する。
材料および方法
細胞培養
HeLa、IMCD、PC12および3T3−L細胞は、10%ウシ胎仔血清(FBS;Sigmaから購入)と2mMのグルタミンと5I.U.のペニシリンと5μg/mLのストレプトマイシンとを伴うダルベッコ変性イーグル培地(DMEM;Sigmaから購入)において培養した。ジャーカット細胞は、10%FBSと2mMのグルタミンと5I.U.のペニシリンと5μg/mLのストレプトマイシンとを伴うRPMI 1640(Sigma)において培養した。すべての細胞を37℃、5%COで培養した。PC12細胞は、ATCCから購入した。
過剰に荷電されたGFPタンパク質の発現および精製
本発明者らが以前に報告した方法の変形を用いて、過剰に荷電されたGFP変異体(タンパク質配列を下に列挙する)を精製した。簡単に言うと、GFPをBL21(DE3)E.coliにおいて過剰発現させた。単離されたGFPの全収率を増加させることが判明したPBS中の2M NaCl中での音波処理によって細胞を溶解し、以前に記載したように精製した(Lawrence MS,Phillips KJ,Liu DR(2007)Supercharging proteins can impart unusual resilience.J Am Chem Soc 129:10110−10112;参考として本明細書に援用されている)。精製したGFPを、8.33×10−1cm−1の吸光係数を仮定して488nmでの吸収により定量した(Pedelacq JD,Cabantous S,Tran T,Terwilliger TC,Waldo GS(2006)Engineering and characterization of a superfolder green fluorescent protein.Nat Biotechnol 24:79−88;参考として本明細書に援用されている)。SDS PAGEおよびクマシーブルー染色によってタンパク質純度を評価した(図27)。この作業で用いたGFP変異体の蛍光発光スペクトルは、類似している(図28)。
過剰に荷電されたGFP変異体のタンパク質配列
ゲルシフトアッセイ
ゲルシフトアッセイは、Kumarらの方法(Kumar P,Wu H,McBride JL,Jung KE,Kim MHら、(2007)Transvascular delivery of small interfering RNA to the central nervous system.Nature 448:39−43;参考として本明細書に援用されている)に基づくものであった。siRNA(10pmol)またはプラスミドDNA(22fmol)をリン酸緩衝食塩水(PBS)中の指定量のGFP変異体と10分間、25℃で混合した。得られた溶液を、siRNAについては15%アクリルアミドゲルをまたはプラスミドDNAについては1%アガロースゲルを使用する非変性電気泳動によって分析し、臭化エチジウムで染色し、UV線で可視化した。
カチオン性脂質ベースのおよびGFPベースのトランスフェクション
リポフェクタミン2000(Invitrogen)およびFugene 6(Roche)を使用するトランスフェクションを、製造業者のプロトコルに従って行った。これらの試薬の分子量は、製造業者によって提供されていないが、トランスフェクション中のリポフェクタミン2000の作業濃度は、2μg/mLであり、本発明者らは、このカチオン性脂質の分子量が≦1,000Daであるという仮説に基づいて、この濃度を≧約2μMに相当すると推定した。
12ウエル組織培養プレートにおいてウエルあたり細胞80,000の密度で細胞をプレーティングした。37℃で12時間後、細胞を4℃(PBS)で洗浄し、HeLa、IMCD、3T3−LおよびPC12細胞については培地を4℃で500μLの無血清DMEMで置換した。
ジャーカット細胞を組織培養プレートのウエルから個々の1.5mLチューブに移し、遠心分離によってペレット化し、4℃で500μLの無血清RPMI 1640に再び懸濁させた。
GFPとsiRNAまたはプラスミドDNAいずれかとの溶液を、500μLの4℃ DMEM(HeLa、IMCD、3T3−LおよびPC12細胞について)または4℃ RPMI 1640(ジャーカット細胞について)に混入した。25℃で5分後、この溶液を細胞に添加し、弱く攪拌して混合した。37℃で4時間後、その溶液を細胞から除去し、10%FBSを含有する37℃の培地で置換した。GAPDHターゲッティングCy3標識siRNAおよび未標識siRNAをAmbionから購入した。pSV−β−ガラクトシダーゼ(Promega)を使用して、プラスミドトランスフェクションを行った。β−蛍光体アッセイキット(Novagen)をその製造業者のプロトコルに従って使用して、β−ガラクトシダーゼ活性を測定した。
固定細胞イメージング
GFPおよびCy3−siRNAでの処理の4時間後、細胞をトリプシン処理し、Matrigelをコーティングしたスライドガラス(BD Biosciences)上の10%FBSを含有する培地において再びプレーティングした。37℃で24時間後、細胞をPBS中の4%ホルムアルデヒドで固定し、指示されている場合にはDAPIで染色し、GFPおよびCy3発光のためのフィルターを装備したLeica DMRB倒立顕微鏡でイメージングした。OpenLabソフトウェア(Improvision)を使用して画像を作製した。GFPおよびCy3に対する露光時間をそれぞれ350ミリ秒および500ミリ秒に固定した。
生細胞イメージング
小分子阻害剤を使用する実験については、ガラス底の組織培養プレート(MatTek;#1.5ガラス厚および14mmガラス径を有する50mmの未コーティングプラスチック皿)上で細胞をプレーティングし、1時間、37℃で阻害剤と共にインキュベートし、その後、50nMの+36GFPおよび阻害剤でさらに1時間、37℃で処理した。得られた細胞を、阻害剤と20U/mLのヘパリンとを含有するPBSで3回洗浄して、表面会合GFPを除去したが、例外として、4℃で50nMの+36GFPで処理した細胞は、スライドガラスに結合しているGFPを除去するが多少の細胞表面結合GFPの境界面をまだ見ることができるようにするために、20U/mLのヘパリンを含有するPBSで1回しか洗浄しなかった。
油浸対物レンズ(開口数1.45、60X、Olympus)を有するエピ蛍光構造の倒立顕微鏡(Olympus IX70)を使用して細胞をイメージングした。488nmラインのアルゴンイオンレーザー(Melles−Griot)でGFPを励起させ、633nmのヘリウム−ネオンレーザー(Melles−Griot)でAlexa Fluor 647を励起させた。短および長波長発光を650nmロングパス・ダイクロイック・ミラー(Chroma)によってスペクトル分離し、CCDカメラ(CoolSnap HQ)でイメージングした。Alexa Fluor 647検出には665nmロングパスフィルターを、およびGFPには535/20nm帯域フィルター使用した。イメージングは37℃で行った。
RT−QPCR
トランスフェクションの48、72または96時間後に細胞をPBSで洗浄し、Ribopureキット(Ambion)をその製造業者のプロトコルに従って使用して全RNAを抽出した。サンプルを1uLのDNアーゼI(Ambion)で処理し、30分間、37℃でインキュベートした。DNアーゼI不活性化試薬(Ambion)をその製造業者のプロトコルに従って用いて、DNアーゼIを不活性化した。Retroscriptキット(Ambion)をその製造業者のプロトコルに従って使用して、800ngのRNAから相補DNAを生成した。QPCR反応は、1× IQ SYBR green Master Mix(BioRad)、3nM ROXリファレンス色素(Stratagene)、2.5μLの逆転写反応混合物、ならびに200nMのフォワードおよびリバース、両方のプライマー:
を含有した。
QPCR反応をStratagene MX3000p QPCRシステムで以下のプログラムに付した:95℃で15分、その後、40サイクルの(95℃で30秒、55℃で1分、そして72℃で30秒)。72℃工程の間に増幅を定量した。95℃で1分、55℃で30秒、そして95℃で30秒にサンプルを付し、55℃から95℃への加熱中の蛍光をモニターすることによって、解離曲線を得た。MxPro v3.0ソフトウェア(Stratagene)を使用してサイクル閾値を決定し、ΔΔCt法によって分析した。
ウエスタンブロッティング
トランスフェクションの96時間後に細胞を4℃のPBSで1回洗浄した。プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を含有する200μLのRIPAバッファー(Boston Bioproducts)で細胞を5分間溶解した。得られた細胞溶解産物を、4〜12%アクリルアミドゲル(Invitrogen)でのSDS−PAGEによって分析した。
ゲル上のタンパク質を、メタノールに予め浸漬しておいたPVDF膜(Millipore)に、エレクトロブロッティングによって移した。膜を5%ミルクで1時間ブロックし、5%ミルク中の一次抗体中で、一晩、4℃でインキュベートした。すべての抗体は、Abcamから購入した。膜をPBSで3回洗浄し、ブロッキングバッファ(Li−COR Biosciences)中の二次抗体(Alexa Fluor 680ヤギ抗ウサギIgG(Invitrogen)またはAlexa Fluor 800ウサギ抗マウスIgG(Rockland))で30分間処理した。150mM NaClと0.05% Tween−20とを含有する50mM Tris、pH7.4でその膜を3回洗浄し、Odyssey赤外イメージングシステム(Li−COR Biosciences)を使用してイメージングした。Odysseyイメージング・ソフトウェア・バージョン2.0を使用して画像を分析した。代表データを図29に示す。示すGAPDH抑制レベルは、β−チューブリンタンパク質レベルに正規化したものであり;0%抑制を、約2μM リポフェクタミン2000および50nM 陰性対照siRNAで処理した細胞中のタンパク質レベルと定義する。
フローサイトメトリー
PBS中の20U/mL ヘパリン(Sigma)で細胞を3回洗浄して、非内在化GFPを除去した。付着細胞をトリプシン処理し、1%FBSと75U/mL DNアーゼ(New England Biolabs)とを伴う1mLのPBSに再び懸濁させた。25℃でBD LSRII装置を用いてフローサイトメトリーを行った。GFR(FITC)およびCy3発光用のフィルターを使用して、PBS中で細胞を分析した。少なくとも10個の細胞をそれぞれのサンプルについて分析した。
合成カチオン性ペプチド
(Arg)および(KKR)11(RRK)をChi Scientificから購入し、≧95%の純度で使用した。ポリ−(L)−Lysおよびポリ−(D)−Lysは、Sigmaから購入した。ポリ−(L)−Lysは、1,000〜5,000Daの分子量領域および3,000Daのメジアン分子量を有する混合物である。ポリ−(D)−Lysは、1,000〜5,000Daの分子量領域および2,500Daのメジアン分子量を有する混合物である。すべての合成ペプチドの保存溶液をPBS中20μMの濃度で調製した。
+36GFP−siRNA粒径特性づけ
PBS中の20μMの+36GFPおよび5μMのsiRNAを使用して、25℃でProtein Solution DynaPro装置を使用して動的光散乱を行った。これらの実験では、精製された20bp RNAデュプレックス(IDTからの、5’GCAUGCCAUUACCUGGCCAU 3’;配列番号:XX)を使用した。等方球形に合うようにデータをモデリングした。DLSによって分析した5μLの溶液(PBS中の20μMの+36GFPおよび5μMのsiRNA)を、Leica DMRB倒立顕微鏡を使用してイメージングした。
安定性分析
マウス血清中でのsiRNA安定性を評価するために、siRNA(10pmol)をsfGFP(40pmol)と混合し、+36GFP(40pmol)と混合し、またはPBS中、単独で、10分間、25℃でインキュベートした。得られた溶液を4倍量のマウス血清(合計20μL)に添加し、指示した時間、37℃でインキュベートした。得られた溶液の15μLを水で希釈して100μLの合計量にした。100μLのTRI試薬(Ambion)および30μLのクロロホルムを添加した。激しく攪拌し、15分間1,000Gで遠心分離した後、水性層を回収した。15μLの3M 酢酸ナトリウム、pH5.5および2倍量の95%エタノールの添加によって、siRNAを再沈した。10mM Tris pH7.5にsiRNAを再び懸濁させ、15%アクリルアミドゲルでのゲル電気泳動によって分析した。siRNAと複合体を形成したときの+36GFPの血清安定性を、抗GFPウエスタンブロットによって5μLのインキュベーションと同時に測定した。
+36GFPと複合体を形成しているプラスミドDNAのマウス血清中での安定性を評価するために、プラスミドDNA(0.0257pmol)を、10分間、4μLのPBS中の、2.57pmol、100当量、または12.84pmol、500当量のいずれかの、sfGFPまたは+36GFPのいずれかと混合した。この溶液に、16μLのマウス血清(合計20μL)を添加し、指示した時間、37℃でインキュベートした。フェノールクロロホルム抽出によってDNAを単離し、1%アガロースゲルでのゲル電気泳動によって分析し、臭化エチジウムで染色し、UV光で可視化した。
マウス血清中でのタンパク質の安定性を評価するために、2μLのPBS中のそれぞれのタンパク質100pmolを8μLのマウス血清(Sigma)と混合し、37℃でインキュベートした。それらのサンプルをSDSタンパク質ローディングバッファーと混合し、10分間、90℃に加熱した。得られた混合物を、4〜12%アクリルアミドゲル(Invitrogen)でのSDS−PAGEによって分析し、ウエスタンブロットによってイメージングした。
プロテイナーゼKの存在下での安定性を評価するために、100pmolの+36GFPまたはBSAを37℃で、0.6単位のプロテイナーゼK(New England Biosciences)で処理した。それらのサンプルをSDSタンパク質ローディングバッファーと混合し、10分間、90℃に加熱し、4〜12%アクリルアミドゲル(Invitrogen)でのSDS−PAGEによって分析した。
実施例4:過剰に荷電されたタンパク質は有効なタンパク質送達試薬である
mCherry、蛍光タンパク質、を、+36GFP(アミノ酸配列ALAL、配列番号:XXを有する切断可能なリンカーにより)、TAT、およびArgのそれぞれに融合させて、3つのmCherry融合タンパク質を生成した。これらの融合体を、HeLa、IMCDおよびPC12細胞にmCherryを送達するそれらの能力について試験した。
+36GFPがタンパク質を細胞にどれ程よく送達するかを評価するために、HeLa、PC12および3T3−L細胞を(1)mCherry−TAT、(2)mCherry−R、または(3)mCherry−+36GFPのいずれかで処理した。DMEM中で4時間、50nM、500nM、1μM、または2μMの材料で細胞を処理し、その後、ヘパリンおよびFACSで洗浄した。
mCherry−ALAL−+36GFPは、mCherry−TATまたはmCherry Argよりはるかに強く細胞を透過した(図33)。図34は、蛍光顕微鏡検査によりこれら3つの融合体の内在化を示すものである。データは、+36GFPが非常に強力で一般的なタンパク質送達試薬であることを示している(図34)。
実施例5:天然過剰に荷電されたタンパク質についてのゲノムの調査
本発明は、ゲノム(例えば、ヒトゲノム)を調べて、作用物質(例えば、核酸、タンパク質など)の送達に有用であるかもしれない天然過剰に荷電されたタンパク質を特定することできるという認識を包含する。10のヒトタンパク質(すなわち、C−Jun(タンパク質アクセッション番号(Protein Accession No.:P05412);TERF 1(P54274);ディフェンシン3(P81534);エオタキシン(Q9Y258);N−DEK(P35659);PIAS 1(O75925);Ku70(P12956);ミッドカイン(P21741);HBEGF(Q99075);HGF(P14210);SFRS12−IP1(Q8N9Q2);サイクロン(Q9H6F5))を発現させ、精製した。これらのうちの4つ(すなわち、HBEGF、N−DEK、C−junおよび2HGF)は、siRNAに結合してsiRNAを細胞(すなわち、培養HeLa細胞)に送達する能力を示した。
ヒトタンパク質をゲルシフトアッセイによってsiRNAへの結合についてアッセイした。ゲルシフトアッセイは、Kumarらの方法(Kumar P,Wu H,McBride JL,Jung KE,Kim MHら、(2007)Transvascular delivery of small interfering RNA to the central nervous system.Nature 448:39−43;参考として本明細書に援用されている)に基づくものであった。Ambion陰性対照siRNA(約150ng)を10分間、25℃でリン酸緩衝食塩水(PBS)中の指定量のヒトタンパク質と混合した。得られた溶液を、siRNAのための15%アクリルアミドゲルを使用して非変性電気泳動により未結合siRNAについて分析し、臭化エチジウムで染色し、UV線で可視化した(図35A)。
ヒトタンパク質を、HeLa細胞へのsiRNAの送達についてアッセイした。細胞を12ウエル組織培養プレートにおいてウエルあたり細胞80,000の密度でプレーティングした。37℃で12時間後、細胞を4℃(PBS)で洗浄し、4℃で500μLの無血清DMEMで置換した。ヒトタンパク質およびAmbion陰性対照Cy3標識siRNAの溶液を500μLの4℃のDMEMと混合した。25℃で5分後、この溶液を細胞に添加し、弱く攪拌して混合した。ヒトタンパク質の最終濃度は、1マイクロモルであり、siRNAは、50マイクロモルであった。37℃で4時間後、その溶液を細胞から除去し、10%FBSを含有する37℃の培地で置換した。その後、細胞を、固定細胞イメージングおよびフローサイトメトリーによって、siRNA送達について分析した。タンパク質−siRNA複合体の内在化を図35Bに示す。
ヒトタンパク質を使用して、HeLa細胞をAmbion Cy3標識siRNAでトランスフェクトし、3日間インキュベートし、その後、ターゲットとなるmRNAの分解についてアッセイした(図35C)。ターゲットとなるGAPDH mRNAレベルをβ−アクチン mRNAレベルと比較した。「対照」は、非ターゲッティングsiRNAの使用を示す。リポフェクタミン2000を陽性対照として使用した。
実施例6:ピレン酪酸は遺伝子サイレンシングの一貫性を向上させる
発明者らは、酪酸ピレン、エンドソーム溶解剤(Futakiら,2006,ACS Chem.Biol.,1:299;参考として本明細書に援用されている)が、遺伝子サイレンシング効果を増加させ、バッチごとのばらつきを減少させることを発見した。いずれか1つの特定の理論により拘束されることを望まないが、そのようなばらつきは、可変的なイオンエンドソーム脱出効率によって引き起こされるであろう。従って、本発明者らは、遺伝子サイレンシングの効率、一貫性および再現性(reproducability)を向上させる方法を開発した。
下のプロトコルは、+36GFPおよびピレン酪酸(PBA)を利用するが、任意の過剰に荷電されたタンパク質および任意のエンドソーム溶解剤(例えば、クロロキン、HA2、メリチン)に容易に一般化することができる。
HeLa細胞を12ウエルプレートにおいて集密度約80%まで増殖させた。DMEM/10%FBSを除去し、細胞をPBSで3回洗浄した。それぞれのウエルにPBS中の50μM PBAを含有する溶液1mLを添加した。細胞をこの溶液と共に5分間、37℃でインキュベートした。小型プラスチックチューブにおいて、200fmolのGAPDH抑制siRNA(2μLの100μM siRNA溶液)および800fmolの+36GFPを予混し、5分間、25℃でインキュベートさせておいた。siRNA/+36GFP複合体の全量の四分の一(1/4)を、PBS中の50μM PBAが1mL入っているそれぞれのウエルに添加した。その組織培養トレーを弱く攪拌してそれぞれのウエル内の溶液を均質にし、その結果、50μMのsiRNAと200μMの+36GFPとを含有する溶液を得た。細胞をこれらの条件下で3時間、37℃でインキュベートした。50μM PBA/PBS溶液を除去し、細胞をPBSで3回洗浄し、その後、10%FBS中の1mLのDMEMを添加した。細胞をこれらの条件下で4日間インキュベートし、GAPDH発現のノックダウンをウエスタンブロットによって定量した。
50μM PBA/PBS中での3時間のインキュベーションの後、約20%細胞毒性が観察された。HeLa細胞を50μM PBA/PBS中で4時間以上インキュベートしたとき、はるかに高い細胞毒性(約80%)が観察された。PBAの細胞毒性は、細胞タイプによって変わり得る。
等価物および範囲
当業者には、本明細書に記載する特定の実施形態の多くの等価物がわかるであろうし、または常例的な実験以上のものを用いることなくそれらを突き止めることができるであろう。本発明は、上の説明に限定されると解釈されず、むしろ添付の請求項に記載するとおりである。
当業者には、本明細書に記載する本発明による特定の実施形態の多くの等価物がわかるであろうし、または常例的な実験以上のものを用いることなくそれらを突き止めることができるであろう。本発明は、上の説明に限定されると解釈されず、むしろ添付の請求項に記載するとおりである。
請求項における「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」などの冠詞は、相反する指示がないまたはその文脈から別様に明らかでない限り、1つを意味する場合もあり、または1つより多くを意味する場合もある。1つの群の1つ以上の構成員の間に「または」を含む請求項および説明は、相反する指示がないまたはその文脈から別様に明らかでない限り、その群の構成員の1つ、1つより多く、またはすべてが、所与の製品またはプロセス中に存在する、それらに利用されている、またはそれらと別様に関連している場合を満たすと考える。本発明は、その群のまさに1つの構成員が、所与の製品またはプロセス中に存在する、それらに利用されている、またはそれらと別様に関連している実施形態を含む。本発明は、その群の構成員の1つ以上またはすべてが、所与の製品またはプロセス中に存在する、それらに利用されている、またはそれらと別様に関連している実施形態を含む。さらに、本発明が、列挙する請求項1つ以上からの1つ以上の制限、要素、条項、記載用語などが別の請求項に導入されているすべての変形、組み合わせおよび順列を包含することは、理解されるはずである。例えば、別の請求項に依存する任意の請求項を、同じ基本請求項に依存する任意の他の請求項において見つけられる1つ以上の制限を含むように修飾することができる。さらに、請求項が組成物を説明している場合、別様に示されていない限り、または矛盾もしくは不一致が生じることが通常の当業者に明らかでない限り、本明細書に開示する目的のいずれかのためのその組成物の使用方法が含まれること、および本明細書に開示する製造方法もしくは当該技術分野において公知の他の方法のいずれかによるその組成物の製造方法が含まれることは、理解されるはずである。
要素を、例えばマーカッシュ群形式で、リストとして提示している場合、それらの要素のそれぞれの部分群も開示していること、および任意の要素(単数または複数)をその群から除去できることは、理解されるはずである。一般に、本発明または本発明の態様を、特定の要素、特徴などを含むと言う場合、本発明または本発明の態様のある実施形態が、そのような要素、特徴などからなるまたは本質的に成ることは、理解されるであろう。簡略化のために、そのような実施形態を、本明細書にこのとおりの言葉で具体的に述べていない。用語「含む」は、開放的であると解釈し、追加の要素または工程を含めることを許容する。
範囲を与えている場合には、終点を含む。さらに、別の指示がない、またはその文脈および通常の当業者の知識から別様に明らかでない限り、範囲として表示する値は、その文脈が明確に別様に命じていない限り、本発明の様々な実施形態において述べている範囲内の任意の特定の値またはサブ範囲を、その範囲の下限の単位の十分の一まで、とることができることは理解されるはずである。
加えて、先行技術の範囲内に入る本発明の任意の特定の実施形態は、本請求項のいずれか1つ以上から明確に除外されるだろうということは、理解されるはずである。そのような実施形態は、通常の当業者には公知であると思われるので、それらは、ここに明確に除外が述べられていない場合でも除外されるだろう。本発明の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、任意の過剰に荷電されたタンパク質;任意の核酸;任意の生産方法;任意の使用方法など)は、先行技術の存在に関係あろうと、なかろうと、何らかの理由で、いずれか1つ以上の請求項から除外される場合がある。

Claims (93)

  1. 過剰に荷電されたタンパク質の調製物であって、該過剰に荷電されたタンパク質は、その対応する未修飾タンパク質より大きい全体の正味負電荷または正電荷を有し、かつ細胞への透過のために十分な量で存在し、かつそのために調合されるものである、調製物。
  2. 医薬的に許容され得る調製物である、請求項1に記載の調製物。
  3. 過剰に荷電されたタンパク質、もしくは過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質、またはその両方を細胞に導入する方法であって、
    該過剰に荷電されたタンパク質、または過剰に荷電されたタンパク質および該過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質を、該細胞と、該過剰に荷電されたタンパク質、または該過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質の該細胞への透過を可能にするために十分な条件下で接触させ、それによって過剰に荷電されたタンパク質、もしくは該過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質、またはその両方を細胞に導入する工程、
    を含む、方法。
  4. 前記過剰に荷電されたタンパク質または前記過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質が前記細胞を透過したことを、標識の検出、該細胞における生物学的変化の検出、または該過剰に荷電されたタンパク質もしくは過剰に荷電されたタンパク質と会合している作用物質を投与した被験体における応答、例えば障害の処置、の検出のうちの1つ以上によってさらに確認する、請求項3に記載の方法。
  5. 過剰に荷電されたタンパク質であって、その対応する未修飾タンパク質より大きい全体の正味電荷を有する、過剰に荷電されたタンパク質と、
    1つ以上の核の作用物質(nucleic agent)と、
    を含む、複合体。
  6. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、全体の正味正電荷を有する、請求項5に記載の複合体。
  7. 前記全体の正味正電荷が、約+5である、請求項6に記載の複合体。
  8. 前記全体の正味正電荷が、約+10である、請求項6に記載の複合体。
  9. 前記全体の正味正電荷が、約+15である、請求項6に記載の複合体。
  10. 前記全体の正味正電荷が、約+20である、請求項6に記載の複合体。
  11. 前記全体の正味正電荷が、約+25である、請求項6に記載の複合体。
  12. 前記全体の正味正電荷が、約+30である、請求項6に記載の複合体。
  13. 前記全体の正味正電荷が、約+35である、請求項6に記載の複合体。
  14. 前記全体の正味正電荷が、約+40である、請求項6に記載の複合体。
  15. 対象となる前記過剰に荷電されたタンパク質が、生理的なpHで、その対応する未修飾タンパク質よりもより正に荷電される、請求項6に記載の複合体。
  16. 対象となる前記過剰に荷電されたタンパク質が、生理的なpHで、その対応する未修飾タンパク質より少なくとも+5より正に荷電される、請求項6に記載の複合体。
  17. 対象となる前記過剰に荷電されたタンパク質が、生理的なpHで、その対応する未修飾タンパク質より少なくとも+10より正に荷電される、請求項6に記載の複合体。
  18. 対象となる前記過剰に荷電されたタンパク質が、生理的なpHで、その対応する未修飾タンパク質より少なくとも+5より正に荷電される、請求項6に記載の複合体。
  19. 対象となる前記過剰に荷電されたタンパク質が、生理的なpHで、その対応する未修飾タンパク質より少なくとも+5より正に荷電される、請求項6に記載の複合体。
  20. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、蛍光タンパク質である、請求項5に記載の複合体。
  21. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、緑色蛍光タンパク質(GFP)である、請求項5に記載の複合体。
  22. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、過剰に正に荷電されたGFPである、請求項5に記載の複合体。
  23. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列:
    の過剰に正に荷電されたGFP(+36 GFP)である、請求項5に記載の複合体。
  24. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の複合体。
  25. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列の約20アミノ酸の伸長部を含む、請求項5に記載の複合体。
  26. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列の約30アミノ酸の伸長部を含む、請求項5に記載の複合体。
  27. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列の約40アミノ酸の伸長部を含む、請求項5に記載の複合体。
  28. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列の約50アミノ酸の伸長部を含む、請求項5に記載の複合体。
  29. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列の約100アミノ酸の伸長部を含む、請求項5に記載の複合体。
  30. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列と約40%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の複合体。
  31. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列と約50%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の複合体。
  32. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列と約60%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の複合体。
  33. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列と約70%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の複合体。
  34. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列と約80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の複合体。
  35. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列と約90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の複合体。
  36. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列番号:7に記載のアミノ酸配列と約95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の複合体。
  37. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、緑色蛍光タンパク質と血球凝集素2(HA2)ペプチドの融合タンパク質である、請求項5に記載の複合体。
  38. 前記過剰に荷電されたタンパク質が、配列:
    の、緑色蛍光タンパク質と血球凝集素2(HA2)ペプチドの融合タンパク質である、請求項5に記載の複合体。
  39. 前記核酸が、RNAを含む、請求項5に記載の複合体。
  40. 前記核酸が、DNAを含む、請求項5に記載の複合体。
  41. 前記核酸が、RNAi剤を含む、請求項5に記載の複合体。
  42. 前記RNAi剤が、短い干渉性RNA、短いヘアピンRNA、マイクロRNA、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項41に記載の複合体。
  43. 前記核酸が、RNAiを誘導する実体を含む、請求項5に記載の複合体。
  44. 前記核酸が、アンチセンスRNAを含む、請求項5に記載の複合体。
  45. 前記核酸が、リボザイムまたはデオキシリボザイムを含む、請求項5に記載の複合体。
  46. 前記核酸が、三重らせん形成を誘導するRNAを含む、請求項5に記載の複合体。
  47. 前記核酸が、RNAアプタマーを含む、請求項5に記載の複合体。
  48. 前記核酸が、ベクターを含む、請求項5に記載の複合体。
  49. 前記核酸が、mRNAの発現を駆動するベクターを含む、請求項5に記載の複合体。
  50. 前記核酸が、タンパク質の発現を駆動するベクターを含む、請求項5に記載の複合体。
  51. 過剰に荷電されたタンパク質の核酸に対する比率が、約1:1である、請求項5に記載の複合体。
  52. 過剰に荷電されたタンパク質の核酸に対する比率が、約1:2である、請求項5に記載の複合体。
  53. 過剰に荷電されたタンパク質の核酸に対する比率が、約1:3である、請求項5に記載の複合体。
  54. 過剰に荷電されたタンパク質の核酸に対する比率が、約1:4である、請求項5に記載の複合体。
  55. 過剰に荷電されたタンパク質の核酸に対する比率が、約1:5である、請求項5に記載の複合体。
  56. 過剰に荷電されたタンパク質であって、その対応する未修飾タンパク質より大きい全体の正味電荷を有する、過剰に荷電されたタンパク質と、
    1つ以上のペプチドまたはタンパク質と、
    を含む、複合体。
  57. 過剰に荷電されたタンパク質であって、その対応する未修飾タンパク質より大きい全体の正味電荷を有する、過剰に荷電されたタンパク質と、
    1つ以上の小分子と、
    を含む、複合体。
  58. サイクロン(番号:Q9H6F5)、PNRC1(番号:Q12796)、RNPS1(番号:Q15287)、SURF6(番号:O75683)、AR6P(番号:Q66PJ3)、NKAP(番号:Q8N5F7)、EBP2(番号:Q99848)、LSM11(番号:P83369)、RL4(番号:P36578)、KRR1(番号:Q13601)、RY−1(番号:Q8WVK2)、BriX(番号:Q8TDN6)、MNDA(番号:P41218)、H1b(番号:P16401)、サイクリン(番号:Q9UK58)、MDK(番号:P21741)、PROK(番号:Q9HC23)、FGF5(番号:P12034)、SFRS(番号:Q8N9Q2)、AKIP(番号:Q9NWT8)、CDK(番号:Q8N726)、ベータ−ディフェンシン(番号:P81534)、PAVAC(番号:P18509)、エオタキシン−3(番号:Q9Y258)、ヒストンH2A(番号:Q7L7L0)、およびHMGB1(番号:P09429)からなる群より選択されるタンパク質と;1つ以上のポリヌクレオチドとを含む複合体。
  59. サイクロン(番号:Q9H6F5)、PNRC1(番号:Q12796)、RNPS1(番号:Q15287)、SURF6(番号:O75683)、AR6P(番号:Q66PJ3)、NKAP(番号:Q8N5F7)、EBP2(番号:Q99848)、LSM11(番号:P83369)、RL4(番号:P36578)、KRR1(番号:Q13601)、RY−1(番号:Q8WVK2)、BriX(番号:Q8TDN6)、MNDA(番号:P41218)、H1b(番号:P16401)、サイクリン(番号:Q9UK58)、MDK(番号:P21741)、PROK(番号:Q9HC23)、FGF5(番号:P12034)、SFRS(番号:Q8N9Q2)、AKIP(番号:Q9NWT8)、CDK(番号:Q8N726)、ベータ−ディフェンシン(番号:P81534)、PAVAC(番号:P18509)、エオタキシン−3(番号:Q9Y258)、ヒストンH2A(番号:Q7L7L0)、およびHMGB1(番号:P09429)からなる群より選択されるタンパク質と;1つ以上のペプチドまたはタンパク質とを含む複合体。
  60. サイクロン(番号:Q9H6F5)、PNRC1(番号:Q12796)、RNPS1(番号:Q15287)、SURF6(番号:O75683)、AR6P(番号:Q66PJ3)、NKAP(番号:Q8N5F7)、EBP2(番号:Q99848)、LSM11(番号:P83369)、RL4(番号:P36578)、KRR1(番号:Q13601)、RY−1(番号:Q8WVK2)、BriX(番号:Q8TDN6)、MNDA(番号:P41218)、H1b(番号:P16401)、サイクリン(番号:Q9UK58)、MDK(番号:P21741)、PROK(番号:Q9HC23)、FGF5(番号:P12034)、SFRS(番号:Q8N9Q2)、AKIP(番号:Q9NWT8)、CDK(番号:Q8N726)、ベータ−ディフェンシン(番号:P81534)、PAVAC(番号:P18509)、エオタキシン−3(番号:Q9Y258)、ヒストンH2A(番号:Q7L7L0)、およびHMGB1(番号:P09429)からなる群より選択されるタンパク質と;1つ以上の小分子とを含む複合体。
  61. 過剰に荷電されたタンパク質であって、該過剰に荷電されたタンパク質は、その対応する未修飾タンパク質より大きい全体の正味電荷を有し;該過剰に荷電されたタンパク質は、該対応する未修飾タンパク質では正に荷電されない、少なくとも5つの正に荷電されたアミノ酸残基を含み;および該正に荷電されたアミノ酸残基のそれぞれが少なくとも1つのアミノ酸残基によって隔てられている、過剰に荷電されたタンパク質。
  62. 前記対応する未修飾タンパク質では正に荷電されない、少なくとも10個の正に荷電されたアミノ酸残基を含む、請求項61に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  63. 前記対応する未修飾タンパク質では正に荷電されない、少なくとも15個の正に荷電されたアミノ酸残基を含む、請求項61に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  64. 前記対応する未修飾タンパク質では正に荷電されない、少なくとも20個の正に荷電されたアミノ酸残基を含む、請求項61に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  65. 前記対応する未修飾タンパク質では正に荷電されない、少なくとも25個の正に荷電されたアミノ酸残基を含む、請求項61に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  66. 正に荷電されたアミノ酸残基のそれぞれが少なくとも2つのアミノ酸残基によって隔てられている、請求項61に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  67. 正に荷電されたアミノ酸残基のそれぞれが少なくとも3つのアミノ酸残基によって隔てられている、請求項61に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  68. 正に荷電されたアミノ酸残基のそれぞれが少なくとも5つのアミノ酸残基によって隔てられている、請求項61に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  69. 正に荷電されたアミノ酸残基のそれぞれが少なくとも10のアミノ酸残基によって隔てられている、請求項61に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  70. 過剰に荷電されたタンパク質であって、該過剰に荷電されたタンパク質は、その対応する未修飾タンパク質より大きい全体の正味電荷を有し;該過剰に荷電されたタンパク質は、少なくとも5つの正に荷電されたアミノ酸残基を含み;該少なくとも5つの正に荷電されたアミノ酸残基が、該対応する未修飾タンパク質中に存在する対応するアミノ酸残基とは異なり;および該正に荷電されたアミノ酸残基のそれぞれが、少なくとも1つのアミノ酸残基によって隔てられている、過剰に荷電されたタンパク質。
  71. 前記少なくとも5つの正に荷電されたアミノ酸残基のアミノ最末端とカルボキシ最末端の間の距離が、約10アミノ酸である、請求項61または70に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  72. 過剰に荷電されたタンパク質であって、該過剰に荷電されたタンパク質は、その対応する未修飾タンパク質より大きい全体の正味電荷を有し;該過剰に荷電されたタンパク質は、少なくとも5つの正に荷電されたアミノ酸残基を含み;該少なくとも5つの正に荷電されたアミノ酸残基が、該対応する未修飾タンパク質中に存在する対応するアミノ酸残基とは異なり;および該少なくとも5つの正に荷電されたアミノ酸残基の少なくとも60%が、該タンパク質の表面に位置する、過剰に荷電されたタンパク質。
  73. 前記少なくとも5つの正に荷電されたアミノ酸残基の少なくとも70%が、前記タンパク質の表面に位置する、請求項72に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  74. 前記少なくとも5つの正に荷電されたアミノ酸残基の少なくとも80%が、前記タンパク質の表面に位置する、請求項72に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  75. 前記少なくとも5つの正に荷電されたアミノ酸残基の少なくとも90%が、前記タンパク質の表面に位置する、請求項72に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  76. 前記少なくとも5つの正に荷電されたアミノ酸残基の少なくとも95%が、前記タンパク質の表面に位置する、請求項72に記載の過剰に荷電されたタンパク質。
  77. 過剰に荷電されたタンパク質であって、少なくとも5つのアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、またはグルタミンアミノ酸残基が、対応する未修飾タンパク質の対応するアミノ酸残基と異なり;最高AvNAPSAスコアを有する該対応する未修飾タンパク質の少なくとも5つのアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、またはグルタミンアミノ酸残基がリシンに変異され;および該少なくとも5つのアミノ酸残基が正に荷電される、過剰に荷電されたタンパク質。
  78. 請求項5〜60のいずれか一項に記載の複合体と、
    医薬的に許容され得る賦形剤と、
    を含む、医薬組成物。
  79. 疾患、障害もしくは状態に罹患しやすいか、疾患、障害もしくは状態に罹患しているか、または疾患、障害もしくは状態の1つ以上の症状を示す被験体を提供する工程;および
    請求項1〜77のいずれか一項に記載の過剰に荷電されたタンパク質もしくは複合体または請求項78に記載の医薬組成物を、該被験体に、少なくとも1つの症状が改善されるように投与する工程、
    を含む、方法。
  80. 前記投与する工程が、前記過剰に荷電されたタンパク質または複合体が前記被験体の細胞を透過するために十分な条件下で行われる、請求項79に記載の方法。
  81. 前記疾患、障害または状態が、mRNA、タンパク質、またはそれらの組み合わせの異常に上昇したレベルに関連している、請求項79に記載の方法。
  82. 前記複合体が、異常に上昇したmRNAまたはタンパク質レベルを低下させる核酸を含む、請求項81に記載の方法。
  83. 前記疾患、障害または状態が、mRNA、タンパク質、またはそれらの組み合わせの発現に関連している、請求項79に記載の方法。
  84. 前記複合体が、発現した前記mRNAまたはタンパク質レベルを低下させる核酸を含む、請求項83に記載の方法。
  85. 前記核酸が、RNAi剤、RNAiを誘導する実体、アンチセンスRNA、リボザイム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項84に記載の方法。
  86. 前記疾患、障害または状態が、異常に低いmRNAまたはタンパク質レベルに関連している、請求項79に記載の方法。
  87. 前記複合体が、異常に上昇したmRNAまたはタンパク質レベルを上昇させる核酸を含む、請求項79に記載の方法。
  88. 前記核酸が、発現ベクターを構成する、請求項87に記載の方法。
  89. 前記投与する工程が、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、皮下、心室内、局所、吸入および粘膜送達からなる群より選択される投与経路を含む、請求項79に記載の方法。
  90. 請求項79〜89のいずれか一項に記載の方法を行うためのキット。
  91. 請求項5〜60のいずれか一項に記載の複合体または請求項78に記載の医薬組成物を含むキット。
  92. 過剰に荷電されたタンパク質を細胞透過について評価する方法であって、
    過剰に荷電されたタンパク質を場合によっては選択する工程;
    該過剰に荷電されたタンパク質を提供する工程;
    該過剰に荷電されたタンパク質と細胞とを接触させる工程;および
    該過剰に荷電されたタンパク質が該細胞を透過するかどうかを決定し、それによって過剰に荷電されたタンパク質を細胞透過について評価する工程、
    を含む、方法。
  93. 過剰に荷電されたタンパク質を細胞透過について評価する方法であって、
    過剰に荷電させるべきタンパク質を選択する工程;
    変更すべき1つまたは複数の残基のセットを得て、過剰に荷電されたタンパク質を生成する工程;
    該変更された残基のセットを有する過剰に荷電されたタンパク質を提供する工程;
    該過剰に荷電されたタンパク質と細胞とを接触させる工程;および
    該過剰に荷電されたタンパク質が該細胞を透過するかどうかを決定し、それによって過剰に荷電されたタンパク質を細胞透過について評価する工程、
    を含む、方法。
JP2011507588A 2008-04-28 2009-04-28 細胞透過のための過剰に荷電されたタンパク質 Pending JP2011523353A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US4837008P 2008-04-28 2008-04-28
US61/048,370 2008-04-28
US10528708P 2008-10-14 2008-10-14
US61/105,287 2008-10-14
PCT/US2009/041984 WO2009134808A2 (en) 2008-04-28 2009-04-28 Supercharged proteins for cell penetration

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014114885A Division JP2014159484A (ja) 2008-04-28 2014-06-03 細胞透過のための過剰に荷電されたタンパク質

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011523353A true JP2011523353A (ja) 2011-08-11
JP2011523353A5 JP2011523353A5 (ja) 2012-05-24

Family

ID=41255735

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011507588A Pending JP2011523353A (ja) 2008-04-28 2009-04-28 細胞透過のための過剰に荷電されたタンパク質
JP2014114885A Pending JP2014159484A (ja) 2008-04-28 2014-06-03 細胞透過のための過剰に荷電されたタンパク質

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014114885A Pending JP2014159484A (ja) 2008-04-28 2014-06-03 細胞透過のための過剰に荷電されたタンパク質

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20110112040A1 (ja)
EP (1) EP2297182A4 (ja)
JP (2) JP2011523353A (ja)
CN (1) CN102066405B (ja)
AU (1) AU2009243187C1 (ja)
CA (1) CA2725601A1 (ja)
WO (1) WO2009134808A2 (ja)

Cited By (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016534132A (ja) * 2013-09-06 2016-11-04 プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ 機能的なヌクレアーゼのための送達システム
JP2018105712A (ja) * 2016-12-26 2018-07-05 学校法人 久留米大学 生体標本作製器具および生体標本作製方法
US10260055B2 (en) 2014-10-31 2019-04-16 President And Fellows Of Harvard College Delivery of cargo proteins via ARRDC1-mediated microvesicles (ARMMs)
US10323236B2 (en) 2011-07-22 2019-06-18 President And Fellows Of Harvard College Evaluation and improvement of nuclease cleavage specificity
US10465176B2 (en) 2013-12-12 2019-11-05 President And Fellows Of Harvard College Cas variants for gene editing
US10508298B2 (en) 2013-08-09 2019-12-17 President And Fellows Of Harvard College Methods for identifying a target site of a CAS9 nuclease
US10597679B2 (en) 2013-09-06 2020-03-24 President And Fellows Of Harvard College Switchable Cas9 nucleases and uses thereof
US10704062B2 (en) 2014-07-30 2020-07-07 President And Fellows Of Harvard College CAS9 proteins including ligand-dependent inteins
US10745677B2 (en) 2016-12-23 2020-08-18 President And Fellows Of Harvard College Editing of CCR5 receptor gene to protect against HIV infection
US10858639B2 (en) 2013-09-06 2020-12-08 President And Fellows Of Harvard College CAS9 variants and uses thereof
US10947530B2 (en) 2016-08-03 2021-03-16 President And Fellows Of Harvard College Adenosine nucleobase editors and uses thereof
US11046948B2 (en) 2013-08-22 2021-06-29 President And Fellows Of Harvard College Engineered transcription activator-like effector (TALE) domains and uses thereof
US11214780B2 (en) 2015-10-23 2022-01-04 President And Fellows Of Harvard College Nucleobase editors and uses thereof
US11268082B2 (en) 2017-03-23 2022-03-08 President And Fellows Of Harvard College Nucleobase editors comprising nucleic acid programmable DNA binding proteins
US11306324B2 (en) 2016-10-14 2022-04-19 President And Fellows Of Harvard College AAV delivery of nucleobase editors
US11319532B2 (en) 2017-08-30 2022-05-03 President And Fellows Of Harvard College High efficiency base editors comprising Gam
US11447770B1 (en) 2019-03-19 2022-09-20 The Broad Institute, Inc. Methods and compositions for prime editing nucleotide sequences
US11542496B2 (en) 2017-03-10 2023-01-03 President And Fellows Of Harvard College Cytosine to guanine base editor
US11542509B2 (en) 2016-08-24 2023-01-03 President And Fellows Of Harvard College Incorporation of unnatural amino acids into proteins using base editing
US11560566B2 (en) 2017-05-12 2023-01-24 President And Fellows Of Harvard College Aptazyme-embedded guide RNAs for use with CRISPR-Cas9 in genome editing and transcriptional activation
US11661590B2 (en) 2016-08-09 2023-05-30 President And Fellows Of Harvard College Programmable CAS9-recombinase fusion proteins and uses thereof
US11732274B2 (en) 2017-07-28 2023-08-22 President And Fellows Of Harvard College Methods and compositions for evolving base editors using phage-assisted continuous evolution (PACE)
US11795443B2 (en) 2017-10-16 2023-10-24 The Broad Institute, Inc. Uses of adenosine base editors
US11898179B2 (en) 2017-03-09 2024-02-13 President And Fellows Of Harvard College Suppression of pain by gene editing
US11912985B2 (en) 2020-05-08 2024-02-27 The Broad Institute, Inc. Methods and compositions for simultaneous editing of both strands of a target double-stranded nucleotide sequence

Families Citing this family (48)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PT2540309T (pt) * 2005-08-05 2017-12-29 Araim Pharmaceuticals Inc Péptidos protectores de tecidos e suas utilizações
EP2030015B1 (en) 2006-06-02 2016-02-17 President and Fellows of Harvard College Protein surface remodeling
DK2396347T3 (en) 2009-02-11 2017-07-24 Albumedix As ALBUMIN VARIANTS AND CONJUGATES
EP2424877A4 (en) * 2009-04-28 2013-01-02 Harvard College SUPERCHARGED PROTEINS FOR CELL PENETRATION
BR112012009450A2 (pt) 2009-10-30 2017-05-23 Novozymes Biopharma Dk As variantes de albumina
CN102939304B (zh) 2010-04-09 2017-04-19 阿尔布麦狄克斯公司 白蛋白衍生物和变体
CA2807552A1 (en) 2010-08-06 2012-02-09 Moderna Therapeutics, Inc. Engineered nucleic acids and methods of use thereof
DK3590949T3 (da) 2010-10-01 2022-07-11 Modernatx Inc Ribonukleinsyrer indeholdende n1-methyl-pseudouracil og anvendelse heraf
US9127283B2 (en) 2010-11-24 2015-09-08 Clontech Laboratories, Inc. Inducible expression system transcription modulators comprising a distributed protein transduction domain and methods for using the same
EP2668276A4 (en) * 2011-01-26 2014-04-23 Clontech Lab Inc IMPROVED PROTEIN TRANSDUCTION
CA2831613A1 (en) 2011-03-31 2012-10-04 Moderna Therapeutics, Inc. Delivery and formulation of engineered nucleic acids
US9297013B2 (en) * 2011-06-08 2016-03-29 University Of Cincinnati pRNA multivalent junction domain for use in stable multivalent RNA nanoparticles
WO2013012674A1 (en) 2011-07-15 2013-01-24 The General Hospital Corporation Methods of transcription activator like effector assembly
WO2013013105A2 (en) 2011-07-19 2013-01-24 Vivoscript,Inc. Compositions and methods for re-programming cells without genetic modification for repairing cartilage damage
EP2748182B1 (en) * 2011-08-23 2016-10-19 President and Fellows of Harvard College Peptide nanoparticles and uses thereof
US9464124B2 (en) 2011-09-12 2016-10-11 Moderna Therapeutics, Inc. Engineered nucleic acids and methods of use thereof
SG10201602654SA (en) 2011-10-03 2016-05-30 Moderna Therapeutics Inc Modified nucleosides,nucleotides,and nucleic acids,and uses thereof
EP2780364A2 (en) 2011-11-18 2014-09-24 Eleven Biotherapeutics, Inc. Proteins with improved half-life and other properties
WO2013090648A1 (en) 2011-12-16 2013-06-20 modeRNA Therapeutics Modified nucleoside, nucleotide, and nucleic acid compositions
WO2013101690A1 (en) * 2011-12-29 2013-07-04 modeRNA Therapeutics Modified mrnas encoding cell-penetrating polypeptides
KR20140136934A (ko) 2012-03-16 2014-12-01 노보자임스 바이오파마 디케이 에이/에스 알부민 변이체
US9714274B2 (en) 2012-03-23 2017-07-25 Suzhou Kunpeng Biotech Co., Ltd. Fusion proteins of superfolder green fluorescent protein and use thereof
US9303079B2 (en) 2012-04-02 2016-04-05 Moderna Therapeutics, Inc. Modified polynucleotides for the production of cytoplasmic and cytoskeletal proteins
US9283287B2 (en) 2012-04-02 2016-03-15 Moderna Therapeutics, Inc. Modified polynucleotides for the production of nuclear proteins
US9572897B2 (en) 2012-04-02 2017-02-21 Modernatx, Inc. Modified polynucleotides for the production of cytoplasmic and cytoskeletal proteins
JP2015516143A (ja) 2012-04-02 2015-06-08 モデルナ セラピューティクス インコーポレイテッドModerna Therapeutics,Inc. ヒト疾患に関連するタンパク質の産生のための修飾ポリヌクレオチド
US9890364B2 (en) 2012-05-29 2018-02-13 The General Hospital Corporation TAL-Tet1 fusion proteins and methods of use thereof
CN103031337A (zh) * 2012-09-28 2013-04-10 北京吉利奥生物科技发展有限公司 一种小核酸分子快递技术
US20150267176A1 (en) 2012-10-12 2015-09-24 The General Hospital Corporation Transcription activator-like effector (tale) - lysine-specific demethylase 1 (lsd1) fusion proteins
KR20150082422A (ko) 2012-11-08 2015-07-15 노보자임스 바이오파마 디케이 에이/에스 알부민 변이체
LT2922554T (lt) 2012-11-26 2022-06-27 Modernatx, Inc. Terminaliai modifikuota rnr
EP3345991B1 (en) 2013-02-07 2019-09-04 The General Hospital Corporation Tale transcriptional activators
US8980864B2 (en) 2013-03-15 2015-03-17 Moderna Therapeutics, Inc. Compositions and methods of altering cholesterol levels
WO2016070129A1 (en) 2014-10-30 2016-05-06 President And Fellows Of Harvard College Delivery of negatively charged proteins using cationic lipids
WO2015048744A2 (en) 2013-09-30 2015-04-02 Moderna Therapeutics, Inc. Polynucleotides encoding immune modulating polypeptides
AU2014329452B2 (en) 2013-10-03 2019-06-20 Moderna Therapeutics, Inc. Polynucleotides encoding low density lipoprotein receptor
EP3363903B1 (en) 2013-11-07 2024-01-03 Editas Medicine, Inc. Crispr-related methods and compositions with governing grnas
CN104127868B (zh) * 2014-05-06 2016-03-02 卢戌 一种肿瘤疫苗及其应用
CN113929766A (zh) * 2015-02-18 2022-01-14 麻省理工学院 水溶性跨膜蛋白及其制备和使用方法
CA2989966A1 (en) 2015-08-20 2017-02-23 Albumedix A/S Albumin variants and conjugates
CN105219877B (zh) * 2015-11-06 2018-09-25 中国医学科学院北京协和医院 Ccdc59的激动剂在制备骨性关节炎药物中的应用
US10604558B2 (en) 2016-01-05 2020-03-31 Colorado State University Research Foundation Compositions comprising resurfaced cell-penetrating nanobodies and methods of use thereof
TWI772324B (zh) * 2016-09-12 2022-08-01 日商廣津生物化學股份有限公司 基於線蟲嗅覺的對氣味物質之趨性行動之評價方法、以及用於該評價方法的培養皿及行動評價系統
JP2020534261A (ja) 2017-09-08 2020-11-26 ザ ユニバーシティ オブ ブリストル 膜へのタンパク質送達
US20220127317A1 (en) 2019-03-06 2022-04-28 Cytoseek Ltd Antitumor cell comprising a charge modified globin
US20210023236A1 (en) * 2019-07-26 2021-01-28 Massachusetts Institute Of Technology Multi-targeted, tunable, sustained delivery of payloads to charged avascular tissues
WO2022226537A2 (en) * 2021-04-22 2022-10-27 The General Hospital Corporation Supercharged biovesicles and methods of use thereof
CN114452266B (zh) * 2022-02-09 2023-05-19 南京凯玛生物科技有限公司 一种基于重组核糖体蛋白的核酸药物递送系统及其制备方法和应用

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20030134352A1 (en) * 2002-01-04 2003-07-17 Freimuth Paul I. Facilitating protein folding and solubility by use of peptide extensions
US20030236214A1 (en) * 1999-06-09 2003-12-25 Wolff Jon A. Charge reversal of polyion complexes and treatment of peripheral occlusive disease
US20040102606A1 (en) * 2001-04-24 2004-05-27 Danuta Balicki Histone H2A -derived peptides useful in gene delivery
US20070105182A1 (en) * 2005-11-07 2007-05-10 Raines Ronald T Cell-permeable green fluorescent protein
WO2007143574A1 (en) * 2006-06-02 2007-12-13 President And Fellows Of Harvard College Protein surface remodeling

Family Cites Families (52)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4270537A (en) * 1979-11-19 1981-06-02 Romaine Richard A Automatic hypodermic syringe
US4596556A (en) * 1985-03-25 1986-06-24 Bioject, Inc. Hypodermic injection apparatus
US4902505A (en) * 1986-07-30 1990-02-20 Alkermes Chimeric peptides for neuropeptide delivery through the blood-brain barrier
CA1283827C (en) * 1986-12-18 1991-05-07 Giorgio Cirelli Appliance for injection of liquid formulations
GB8704027D0 (en) * 1987-02-20 1987-03-25 Owen Mumford Ltd Syringe needle combination
US4790824A (en) * 1987-06-19 1988-12-13 Bioject, Inc. Non-invasive hypodermic injection device
US4940460A (en) * 1987-06-19 1990-07-10 Bioject, Inc. Patient-fillable and non-invasive hypodermic injection device assembly
US4941880A (en) * 1987-06-19 1990-07-17 Bioject, Inc. Pre-filled ampule and non-invasive hypodermic injection device assembly
US5339163A (en) * 1988-03-16 1994-08-16 Canon Kabushiki Kaisha Automatic exposure control device using plural image plane detection areas
FR2638359A1 (fr) * 1988-11-03 1990-05-04 Tino Dalto Guide de seringue avec reglage de la profondeur de penetration de l'aiguille dans la peau
US5312335A (en) * 1989-11-09 1994-05-17 Bioject Inc. Needleless hypodermic injection device
US5064413A (en) * 1989-11-09 1991-11-12 Bioject, Inc. Needleless hypodermic injection device
US6399754B1 (en) * 1991-12-24 2002-06-04 Isis Pharmaceuticals, Inc. Sugar modified oligonucleotides
US6005087A (en) * 1995-06-06 1999-12-21 Isis Pharmaceuticals, Inc. 2'-modified oligonucleotides
US5190521A (en) * 1990-08-22 1993-03-02 Tecnol Medical Products, Inc. Apparatus and method for raising a skin wheal and anesthetizing skin
US5527288A (en) * 1990-12-13 1996-06-18 Elan Medical Technologies Limited Intradermal drug delivery device and method for intradermal delivery of drugs
GB9118204D0 (en) * 1991-08-23 1991-10-09 Weston Terence E Needle-less injector
SE9102652D0 (sv) * 1991-09-13 1991-09-13 Kabi Pharmacia Ab Injection needle arrangement
US5328483A (en) * 1992-02-27 1994-07-12 Jacoby Richard M Intradermal injection device with medication and needle guard
US5383851A (en) * 1992-07-24 1995-01-24 Bioject Inc. Needleless hypodermic injection device
US5569189A (en) * 1992-09-28 1996-10-29 Equidyne Systems, Inc. hypodermic jet injector
US5334144A (en) * 1992-10-30 1994-08-02 Becton, Dickinson And Company Single use disposable needleless injector
US5798340A (en) * 1993-09-17 1998-08-25 Gilead Sciences, Inc. Nucleotide analogs
WO1995024176A1 (en) * 1994-03-07 1995-09-14 Bioject, Inc. Ampule filling device
US5466220A (en) * 1994-03-08 1995-11-14 Bioject, Inc. Drug vial mixing and transfer device
US5596091A (en) * 1994-03-18 1997-01-21 The Regents Of The University Of California Antisense oligonucleotides comprising 5-aminoalkyl pyrimidine nucleotides
US5599302A (en) * 1995-01-09 1997-02-04 Medi-Ject Corporation Medical injection system and method, gas spring thereof and launching device using gas spring
US5893397A (en) * 1996-01-12 1999-04-13 Bioject Inc. Medication vial/syringe liquid-transfer apparatus
US5922695A (en) * 1996-07-26 1999-07-13 Gilead Sciences, Inc. Antiviral phosphonomethyoxy nucleotide analogs having increased oral bioavarilability
US6127533A (en) * 1997-02-14 2000-10-03 Isis Pharmaceuticals, Inc. 2'-O-aminooxy-modified oligonucleotides
US5993412A (en) * 1997-05-19 1999-11-30 Bioject, Inc. Injection apparatus
US6897297B1 (en) * 1997-12-03 2005-05-24 Curis, Inc. Hydrophobically-modified protein compositions and methods
US6403779B1 (en) * 1999-01-08 2002-06-11 Isis Pharmaceuticals, Inc. Regioselective synthesis of 2′-O-modified nucleosides
US20050020525A1 (en) * 2002-02-20 2005-01-27 Sirna Therapeutics, Inc. RNA interference mediated inhibition of gene expression using chemically modified short interfering nucleic acid (siNA)
US8202979B2 (en) * 2002-02-20 2012-06-19 Sirna Therapeutics, Inc. RNA interference mediated inhibition of gene expression using chemically modified short interfering nucleic acid
US20050032733A1 (en) * 2001-05-18 2005-02-10 Sirna Therapeutics, Inc. RNA interference mediated inhibition of gene expression using chemically modified short interfering nucleic acid (SiNA)
CA2406233A1 (en) * 2000-04-12 2001-10-18 Implyx Ltd. Compositions for drug delivery
DE60117977D1 (de) * 2000-06-05 2006-05-11 Boston Scient Ltd Vorrichtungen zur behandlung von harninkontinenz
AU2001287000A1 (en) * 2000-09-01 2002-03-13 The Center For Blood Research, Inc. Modified polypeptides stabilized in a desired conformation and methods for producing same
US20030175950A1 (en) * 2001-05-29 2003-09-18 Mcswiggen James A. RNA interference mediated inhibition of HIV gene expression using short interfering RNA
EP2390330B1 (en) * 2001-09-28 2018-04-25 Max-Planck-Gesellschaft zur Förderung der Wissenschaften e.V. MicroRNA molecules
EP1523553B1 (en) * 2002-01-16 2009-12-02 Genencor International, Inc. Multiply-substituted protease variants
US7271241B2 (en) * 2002-04-24 2007-09-18 Los Alamos National Security, Llc Directed evolution methods for improving polypeptide folding and solubility and superfolder fluorescent proteins generated thereby
US9637528B2 (en) * 2002-04-24 2017-05-02 Los Alamos National Security, Llc Method of generating ploynucleotides encoding enhanced folding variants
WO2003105780A2 (en) * 2002-06-18 2003-12-24 Epigenesis Pharmaceuticals, Inc. A dry powder oligonucleotide formulation, preparation and its uses
JP3996028B2 (ja) * 2002-09-30 2007-10-24 株式会社日本触媒 蛋白質又はペプチドの細胞内導入方法
JP2006517790A (ja) * 2003-01-09 2006-08-03 インヴィトロジェン コーポレーション ポリペプチド−核酸複合体の細胞の送達および活性化
EP1593060A2 (en) * 2003-01-21 2005-11-09 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Computational design of a water-soluble analog of a protein, such as phospholamban and potassium channel kcsa
US20040162235A1 (en) * 2003-02-18 2004-08-19 Trubetskoy Vladimir S. Delivery of siRNA to cells using polyampholytes
ES2399563T3 (es) * 2005-11-04 2013-04-02 Evrogen, Jsc Proteínas verdes fluorescentes modificadas y método para la utilización de las mismas
US8748567B2 (en) * 2006-05-22 2014-06-10 Children's Medical Center Corporation Method for delivery across the blood brain barrier
EP2424877A4 (en) * 2009-04-28 2013-01-02 Harvard College SUPERCHARGED PROTEINS FOR CELL PENETRATION

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20030236214A1 (en) * 1999-06-09 2003-12-25 Wolff Jon A. Charge reversal of polyion complexes and treatment of peripheral occlusive disease
US20040102606A1 (en) * 2001-04-24 2004-05-27 Danuta Balicki Histone H2A -derived peptides useful in gene delivery
US20030134352A1 (en) * 2002-01-04 2003-07-17 Freimuth Paul I. Facilitating protein folding and solubility by use of peptide extensions
US20070105182A1 (en) * 2005-11-07 2007-05-10 Raines Ronald T Cell-permeable green fluorescent protein
WO2007143574A1 (en) * 2006-06-02 2007-12-13 President And Fellows Of Harvard College Protein surface remodeling

Non-Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015002267; CMLS, Cell Mol. Life Sci. vol.62, 2005, pp.1839-1849 *
JPN6015002268; MOLECULAR THERAPY vol.5 no.2, 2002, pp.104-114 *
JPN6015002269; Biochemistry vol.36, 1997, pp.3008-3017 *
JPN6015002271; Biochemical and Biophysical Research Communications vol.291, 2002, pp.367-371 *
JPN6015002272; THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY vol.275 no.43, 2000, pp.33213-33221 *
JPN6015002274; JOURNAL OF VIROLOGY vol.79 no.19, 2005, pp.12185-12198 *

Cited By (43)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10323236B2 (en) 2011-07-22 2019-06-18 President And Fellows Of Harvard College Evaluation and improvement of nuclease cleavage specificity
US10508298B2 (en) 2013-08-09 2019-12-17 President And Fellows Of Harvard College Methods for identifying a target site of a CAS9 nuclease
US11920181B2 (en) 2013-08-09 2024-03-05 President And Fellows Of Harvard College Nuclease profiling system
US10954548B2 (en) 2013-08-09 2021-03-23 President And Fellows Of Harvard College Nuclease profiling system
US11046948B2 (en) 2013-08-22 2021-06-29 President And Fellows Of Harvard College Engineered transcription activator-like effector (TALE) domains and uses thereof
JP2020073463A (ja) * 2013-09-06 2020-05-14 プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ 機能的なヌクレアーゼのための送達システム
JP2021090422A (ja) * 2013-09-06 2021-06-17 プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ 機能的なヌクレアーゼのための送達システム
JP7324523B2 (ja) 2013-09-06 2023-08-10 プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ 機能的なヌクレアーゼのための送達システム
US10682410B2 (en) 2013-09-06 2020-06-16 President And Fellows Of Harvard College Delivery system for functional nucleases
US11299755B2 (en) 2013-09-06 2022-04-12 President And Fellows Of Harvard College Switchable CAS9 nucleases and uses thereof
JP2016534132A (ja) * 2013-09-06 2016-11-04 プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ 機能的なヌクレアーゼのための送達システム
US10858639B2 (en) 2013-09-06 2020-12-08 President And Fellows Of Harvard College CAS9 variants and uses thereof
US10912833B2 (en) 2013-09-06 2021-02-09 President And Fellows Of Harvard College Delivery of negatively charged proteins using cationic lipids
US10597679B2 (en) 2013-09-06 2020-03-24 President And Fellows Of Harvard College Switchable Cas9 nucleases and uses thereof
US11053481B2 (en) 2013-12-12 2021-07-06 President And Fellows Of Harvard College Fusions of Cas9 domains and nucleic acid-editing domains
US11124782B2 (en) 2013-12-12 2021-09-21 President And Fellows Of Harvard College Cas variants for gene editing
US10465176B2 (en) 2013-12-12 2019-11-05 President And Fellows Of Harvard College Cas variants for gene editing
US10704062B2 (en) 2014-07-30 2020-07-07 President And Fellows Of Harvard College CAS9 proteins including ligand-dependent inteins
US11578343B2 (en) 2014-07-30 2023-02-14 President And Fellows Of Harvard College CAS9 proteins including ligand-dependent inteins
US11001817B2 (en) 2014-10-31 2021-05-11 President And Fellows Of Harvard College Delivery of cargo proteins via ARRDC1-mediated microvesicles (ARMMs)
US10260055B2 (en) 2014-10-31 2019-04-16 President And Fellows Of Harvard College Delivery of cargo proteins via ARRDC1-mediated microvesicles (ARMMs)
US11827910B2 (en) 2014-10-31 2023-11-28 President And Fellows Of Harvard College Delivery of CAS9 via ARRDC1-mediated microvesicles (ARMMs)
US11214780B2 (en) 2015-10-23 2022-01-04 President And Fellows Of Harvard College Nucleobase editors and uses thereof
US10947530B2 (en) 2016-08-03 2021-03-16 President And Fellows Of Harvard College Adenosine nucleobase editors and uses thereof
US11702651B2 (en) 2016-08-03 2023-07-18 President And Fellows Of Harvard College Adenosine nucleobase editors and uses thereof
US11661590B2 (en) 2016-08-09 2023-05-30 President And Fellows Of Harvard College Programmable CAS9-recombinase fusion proteins and uses thereof
US11542509B2 (en) 2016-08-24 2023-01-03 President And Fellows Of Harvard College Incorporation of unnatural amino acids into proteins using base editing
US11306324B2 (en) 2016-10-14 2022-04-19 President And Fellows Of Harvard College AAV delivery of nucleobase editors
US10745677B2 (en) 2016-12-23 2020-08-18 President And Fellows Of Harvard College Editing of CCR5 receptor gene to protect against HIV infection
US11820969B2 (en) 2016-12-23 2023-11-21 President And Fellows Of Harvard College Editing of CCR2 receptor gene to protect against HIV infection
JP2018105712A (ja) * 2016-12-26 2018-07-05 学校法人 久留米大学 生体標本作製器具および生体標本作製方法
US11898179B2 (en) 2017-03-09 2024-02-13 President And Fellows Of Harvard College Suppression of pain by gene editing
US11542496B2 (en) 2017-03-10 2023-01-03 President And Fellows Of Harvard College Cytosine to guanine base editor
US11268082B2 (en) 2017-03-23 2022-03-08 President And Fellows Of Harvard College Nucleobase editors comprising nucleic acid programmable DNA binding proteins
US11560566B2 (en) 2017-05-12 2023-01-24 President And Fellows Of Harvard College Aptazyme-embedded guide RNAs for use with CRISPR-Cas9 in genome editing and transcriptional activation
US11732274B2 (en) 2017-07-28 2023-08-22 President And Fellows Of Harvard College Methods and compositions for evolving base editors using phage-assisted continuous evolution (PACE)
US11932884B2 (en) 2017-08-30 2024-03-19 President And Fellows Of Harvard College High efficiency base editors comprising Gam
US11319532B2 (en) 2017-08-30 2022-05-03 President And Fellows Of Harvard College High efficiency base editors comprising Gam
US11795443B2 (en) 2017-10-16 2023-10-24 The Broad Institute, Inc. Uses of adenosine base editors
US11447770B1 (en) 2019-03-19 2022-09-20 The Broad Institute, Inc. Methods and compositions for prime editing nucleotide sequences
US11795452B2 (en) 2019-03-19 2023-10-24 The Broad Institute, Inc. Methods and compositions for prime editing nucleotide sequences
US11643652B2 (en) 2019-03-19 2023-05-09 The Broad Institute, Inc. Methods and compositions for prime editing nucleotide sequences
US11912985B2 (en) 2020-05-08 2024-02-27 The Broad Institute, Inc. Methods and compositions for simultaneous editing of both strands of a target double-stranded nucleotide sequence

Also Published As

Publication number Publication date
US20110112040A1 (en) 2011-05-12
JP2014159484A (ja) 2014-09-04
EP2297182A2 (en) 2011-03-23
EP2297182A4 (en) 2012-08-15
AU2009243187B9 (en) 2015-11-12
AU2009243187C1 (en) 2015-12-24
WO2009134808A3 (en) 2010-06-10
WO2009134808A2 (en) 2009-11-05
AU2009243187B2 (en) 2015-09-17
CN102066405B (zh) 2015-09-30
CA2725601A1 (en) 2009-11-05
CN102066405A (zh) 2011-05-18
AU2009243187A1 (en) 2009-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2014159484A (ja) 細胞透過のための過剰に荷電されたタンパク質
JP2011523353A5 (ja)
JP2016008217A (ja) 細胞透過のための過剰に荷電されたタンパク質
EP3280739B1 (en) Polypeptide-based shuttle agents for improving the transduction efficiency of polypeptide cargos to the cytosol of target eukaryotic cells, uses thereof, methods and kits relating to same
US10538570B2 (en) Targeted and modular exosome loading system
KR101590674B1 (ko) 세포-투과 펩티드 및 이의 용도
KR101317100B1 (ko) 세포-침투성 펩티드로서 유용한 펩티드
KR101258279B1 (ko) 세포 투과능을 개선한 개량형 신규 거대 분자 전달 도메인 개발 및 이의 이용방법
JP6001082B2 (ja) 細胞透過能を改善した改良形の新規巨大分子伝達ドメインの開発及びその利用方法
KR101647804B1 (ko) 신규 세포투과 펩타이드 및 이의 용도
JP2014527801A (ja) ハイスループットペプチドミメティックを調製するための方法、経口バイオアベイラブルな薬物およびそれを含有する組成物
KR101559974B1 (ko) siRNA 전달을 위한 재조합 단백질 및 이를 포함하는 조성물
EP2394665A1 (en) Cell-penetrating peptides and uses therof
KR101579879B1 (ko) siRNA 전달을 위한 히알루론산-콜레스테롤 나노파티클 및 이를 포함하는 조성물
US8653236B2 (en) Therapeutic agents
WO2013165262A1 (en) Peptides, constructs and uses therefor
JP2023521999A (ja) 修飾ミニヌクレオソームコアタンパク質及び核酸送達における使用
WO2023135264A1 (en) Binding proteins specific for cd32a
Okuda et al. Enhanced gene delivery and/or efficacy by functional peptide and protein

Legal Events

Date Code Title Description
A524 Written submission of copy of amendment under article 19 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A524

Effective date: 20120330

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120330

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130326

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131203

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20140228

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20140307

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20140402

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20140409

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150122

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20150421

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20150522

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150622

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150821