JP2011521202A - 走査型プローブ顕微鏡用ステージ及び試料観察方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本願発明は、いずれのSPMにおいても利用することができ、カンチレバーによって照射光が遮蔽されることなく、試料及び試料近傍の溶液に対して効果的に光を照射することができる走査型プローブ顕微鏡用ステージを提供する。
【解決手段】本発明の走査型プローブ顕微鏡用ステージは、観察対象の試料を搭載する光透過性を有する試料基板を固定する走査型プローブ顕微鏡用ステージであり、試料基板が固定される下部に設けられ、平面視にて試料基板面内に含まれる開口面積の開口部を有し、試料に対し、試料基板の裏面から開口部を介して光を照射する。
【選択図】図1

Description

本発明は、走査型プローブ顕微鏡装置において、試料を搭載する試料基板を固定する走査型プローブ顕微鏡用ステージと、そのステージを用いた試料観察方法に関する。
走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscopy、以下SPM)は、試料表面を微小な探針(カンチレバー)をプローブとして走査することによって、試料表面の物理的な情報として、試料表面の三次元形状をナノメートルサイズという高倍率で観察する顕微鏡を総称する名称である。
SPMとしては、上記プローブが試料のいずれの物理量を検出するかによって、図10に示すように、さまざまな種類に分類することができる。
また、SPMは、特に半導体デバイスの評価、量子構造の評価、及び生体分子の観察で大きな利点があり、今後発展していく観察装置として挙げられている。
すなわち、半導体デバイスについては、薄膜化の技術の進歩とともに、薄膜の凹凸の観察が必要となるためSPMの高垂直分解能が期待される。
また、不純物(ドーパント原子)を混入させた半導体材料の電気的性質を、高い精度にて計測し、半導体材料内におけるドーパント原子の分布状況を評価することができるため、SPMが活用されている。
また、量子構造の評価において、10nm程度の大きさを有する量子ドットや量子細線などの個々の形状の量子構造を、高空間分解能にて電気的及び光学的性質について評価することができるほぼ唯一の観察手段としてSPMが用いられる。
さらに、SPMは生体分子の観察において、高い空間分解能が得られ、かつ、真空中の観察や電子照射を行うことが無いため、生体分子にダメージを与えることがなく、生きたままの状態での生体分子の観測を行うことができる。この生体分子の観察には、特に原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)と近接場光学顕微鏡(NSOM:Near field Scanning Optical Microscope)が用いられ、今後も利用の範囲が広がっていくものと考えられる。
この生体分子観察に関しては、AFMやNSOMを用い、抗原抗体反応においてタンパク質などがどのように動き、結合を変化させているのか観察したり、また、筋肉の収縮に関わっているミオシンの動きや力の発生、さらには蛍光ラベルしたATP(adenosine triphosphate)分子の輸送の過程も生きたままのタンパク質を使って観察できるようになってきた。
一方、AFMに関しては、コンタクト、ダイナミック及び位相モードにより試料の高さ、硬さの2次元イメージングができるほか、フォースモジュレーション、磁気力(MFM)、電流、表面電位(KFM)、ナノメートルサイズで試料に穴を開けるナノインデンテーション、雰囲気制御が比較的容易に行うことができる。また試料に制約がないため、生体試料の測定が可能な方法でもある。
しかしながら、SPMにおいても、試料の周囲の環境、特に光学的な環境を変えるためには、大きな装置の改造が必要であり、コスト的にも改造時間についても大きな問題であった。
したがって、SPMにおいては試料に対し、光照射を可能とするような技術はいままでほとんどなかった。
一方、これまで試料への光照射は、光学顕微鏡においては一般的に行われており、ケージド化合物の解除のための光照射も、市販の顕微鏡に付属の機能として、通常に搭載されている。
ここで、ケージド(caged)化合物とは、生体分子等における活性を制御する方法の一つとして、活性を与える物質を光(所定の波長光)によって反応する別の分子によって閉じこめた化合物のことを言う。具体的には、ニトルベンジル基等の光解離性保護基を生理活性物質に結合し、この生理活性物質の活性を制御した化合物を指す。
すなわち、生理活性物質は、光解離性保護基と結合状態にある場合、生理不活性であるが、紫外線等の照射により、光解離性保護基との結合を解離することにより、生理活性物質を活性状態に変化させ、この生理活性物質により生体分子に薬物刺激を与えることができる。
つまり、ケージド化合物に光を照射することにより、溶液に含まれる分子の組成を変えることができ、たとえば、細胞に対して必要なタイミングにて、薬物刺激を与えるなどの操作が可能となる。
上述した光としてレーザー光を照射させるため、光路、集光レンズ、及びしぼりなどの光学部品を精度よく設置する必要がある。
さらに、SPMの装置は高価であるため、一台のSPMを複数名の研究者が共同で使用することも多く、そのたびに簡単に設置、取り外しが可能でなくてはならないが、これまでの光学装置にはそのようなものはない。
光ファイバーを用い、外部からレーザーなどで直接光を照射する方法も考えられるが、その場合においても、レーザー光の光軸調整などが煩雑であり、システムも大規模になり、簡易にSPMから取り外すことが不可能である。
上述した試料への光照射に関しては、新たに高速原子間力顕微鏡が開発され、試料への光照射を行うことができるSPMとして提供されるようになった(例えば、特開2005−106790号公報参照)。
上述した特開2005−106790号公報における試料への光照射の技術は、SPM対して光学顕微鏡を組み合わせたものであり、従来から光学顕微鏡を使った光照射技術に基づくものであり、かつ光照射による反応をケージド化合物を使うことに限定したものである。
上記特開2005−106790号公報のSPMは、試料を溶液中に浸した状態にして、溶液中に存在するカンチレバーと試料を乗せた基板とを相対走査する走査機構と、溶液中又は試料中に存在するケージド化合物の光解離性保護基に対し、解除光を照射する照射機構とが設けられている。
しかしながら、上述したSPMにおける照射機構は、SPMの装置と一体化しており、大がかりで高価な煩雑なシステム構成であり、SPMの装置と一体化しているため、他のSPMと共用して使用できない欠点がある。
また、上述したSPMにおいては、試料近傍の溶液に光照射を行う際、光源と試料との間にカンチレバーが存在するため、このカンチレバーが照射光を遮蔽してしまい、最も光を照射したいカンチレバー下部の試料及び溶液に対し、効果的な光照射を行うことができない。
(発明の開示)
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、いずれのSPMにおいても利用することができ、カンチレバーによって照射光が遮蔽されることなく、試料及び試料近傍の溶液に対して効果的に光を照射することができる走査型プローブ顕微鏡用ステージを提供することを目的とする。
本発明の1つの態様によれば、本発明の走査型プローブ顕微鏡用ステージは、観察対象の試料を搭載する光透過性を有する試料基板を固定する走査型プローブ顕微鏡用ステージであり、前記試料基板が固定される下部に設けられ、平面視にて該試料基板面内に含まれる開口面積の開口部を有し、前記試料に対し、前記試料基板の裏面から前記開口部を介して光を照射することを特徴とする。
本発明の走査型プローブ顕微鏡用ステージは、前記開口部内に、試料に対して影響を与える波長の前記光を照射する光照射部を有することを特徴とする。
本発明の走査型プローブ顕微鏡用ステージは、前記光照射部が光源を有していることを特徴とする。
本発明の走査型プローブ顕微鏡用ステージは、それぞれが異なる波長を有する複数の光源からなる光源部と、該光源部からのそれぞれの波長の光に対応する導波路とをさらに有し、前記各導波路が光照射部にて結合しており、前記光源のオン/オフ制御を行い、いずれかの波長の前記光を前記試料に照射することを特徴とする。
本発明の走査型プローブ顕微鏡用ステージは、前記光照射部によりLEDを光源とする光を照射することを特徴とする。
本発明の走査型プローブ顕微鏡用ステージは、前記光源の電源として、走査型プローブ顕微鏡用ステージから離れた位置に、配線により接続された電池が設けられていることを特徴とする。
本発明の走査型プローブ顕微鏡用ステージは、前記試料基板がマイカ基板であることを特徴とする。
本発明の他の態様によれば、本発明の試料観察方法は、観察対象の試料を搭載する光透過性を有する試料基板を走査型プローブ顕微鏡用ステージに固定し、走査型プローブ顕微鏡によって前記試料を観察する試料観察方法であり、前記試料基板が固定される下部に設けられ、平面視にて該試料基板内に含まれる開口面積の開口部を介し、該試料基板の裏面から、前記試料に対して光を照射することを特徴とする。
通常、試料の観察には試料ステージであるスライドガラスなどの上に、原子レベルで平坦なマイカなどの試料基板に生体分子を載せて行っていた。
上述した構成により、本発明によれば、走査型プローブ顕微鏡用ステージと試料及び試料基板(プラットフォーム)とを一体化して構成しており、試料ステージ自体に光照射の機能を持たせることができ、試料基板を直接に光照射ベース上に固定することが可能となり、容易に試料基板下面から光を照射することができる。
また、本発明の走査型プローブ顕微鏡用ステージは、上述したように、走査型プローブ顕微鏡用ステージと試料及び試料基板(プラットフォーム)とが一体化して構成されているため、容易にSPMより着脱することができ、複数のSPMにより共通に使用することができる。
また、本発明によれば、試料基板の下面からの光照射を行うため、SPMのカンチレバー下部に設置することにより、従来のSPM観察をそのまま行うことが可能である。
また、本発明によれば、試料ステージとして、円筒型や穴の開いた板を利用するなど、従来では難しかった形状並びに材質(ガラスのみならず、プラスチックや金属への変更も容易)を用いることができ、汎用性と操作性が広がる。
また、本発明によれば、現在使用中のSPMの走査型プローブ顕微鏡用ステージとして一般的に用いられているスライドガラスの代わりに設置することにより、簡易でありかつ安価な構成により、試料基板下部から光照射を行う機能を提供することができる。(SPMの価格は、非常に高価であり、新規購入を行うことに対する購入者側の負担が大きい。また、SPMのアタッチメントとしても高価なものとなる)。
また、本発明によれば、実験に必要な波長の光に対応する光源(LED)が複数設けられているため、光源を変更することにより、観察対象の試料に用いる所望の波長の光(赤外から紫外光まで)を照射することが容易にできる。
また、本発明によれば、従来例のように、様々な光学部品を用いることがなく、単純な構造のために汎用性があり、かつ従来例に比較して構造が単純なため壊れにくい。
また本発明によれば、従来例におけるレーザー光源と異なり、光源の電源としてAC電源からDC電圧を生成するものでなく、乾電池や二次電池などの電池若しくはバッテリを使用するため、電源に由来する電磁波ノイズを抑制することができ、計測ノイズを最小限に抑えて、SPMにおける計測ノイズの増加を防止することがきる。
本発明の第1の実施形態による走査型プローブ顕微鏡用ステージの構成例を示す図である。 本発明の第1の実施形態の他の構成による走査型プローブ顕微鏡用ステージの構成例を示す図である。 生理活性物質と、この生理活性物質を非活性化する光解離性保護基とが結合したケージド化合物の説明を行う概念図である。 本発明の第2の実施形態による走査型プローブ顕微鏡用ステージの構成例を示す図である。 本発明の第2の実施形態の他の構成による走査型プローブ顕微鏡用ステージの構成例を示す図である。 本発明の第2の実施形態の他の構成による走査型プローブ顕微鏡用ステージの構成例を示す図である。 応用例におけるUV光の照射前の受容体タンパク質のAFM像及び受容体タンパク質の構成を説明する概念図である。 応用例におけるUV光の照射後の受容体タンパク質のAFM像及び受容体タンパク質の構成を説明する概念図である。 UV光の照射前後における受容体タンパク質の膜構造の変化を説明するグラフである。 SPMとして分類される顕微鏡名と、それぞれの顕微鏡における検出対象となる局所的物理量を示すテーブルである。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態による走査型プローブ顕微鏡用ステージを図面を参照して説明する。図1は同実施形態による走査型プローブ顕微鏡用ステージの構成例を示すブロック図である。
この図1において、走査型プローブ顕微鏡用ステージ1は、穴H11を有した筒形状であり、筒の上部(後述する試料基板12を配置する側の面)に開口部を有する容器11と、この容器11内における穴H11の筒の軸方向の上部に、軸方向に対して基板面が垂直に設けられ、観察対象の試料100を上面に固定するマイカなどの平面基板である試料基板12と、この試料基板12の下面方向から試料に対して予め設定された波長の光を照射する光源13と、光源13の電源14と、光源13のオン(光照射)及びオフ(非光照射)を切り替えるスイッチ15とから構成されている。
上記光源13は、LEDなどであり、上記容器11内において試料基板12の下部に設けられ、試料基板12の下面から、試料基板12上面の試料100に対して光を照射する。
光源13の電源14(例えば、乾電池)と、光源13のオン/オフ制御を行うスイッチ15は、容器11の外部の測定場所と離れた位置に配置し、配線16(例えば、細い電線)により容器11内の光源13と接続しておき、スイッチ15をオン/オフする際の振動及びノイズを、SPMの測定系に対して与えないようにする。
試料100は、試料基板12上に表面張力により付着した溶液102内に浸された状態となっている。
また、この試料100の観察を行う際、この溶液102中の試料100に対し、SPMのプローブであるカンチレバー101が近接した状態で設けられる。
本実施形態における試料のSPMによる観察方法においては、試料100を固定した試料基板12を、容器11の上部開口部に固定し、試料基板12の下面側から光源13の光を照射して、試料100の変化を測定する。
このため、本実施形態によれば、カンチレバー101とは逆側から光が試料100に対して照射され、従来例のように光源13からの光を遮るものがなく、試料100に対して十分な光量の光を照射することが可能である。
また、光源13にLEDを用い、電源14に乾電池(ボタン電池など小型の乾電池)を用いることにより、従来に比較してより小型の走査型プローブ顕微鏡用ステージを構成することが可能である。
また、従来例の様に、本実施形態における試料に対する光照射機構はSPM本体に固定されているものではないため、走査型プローブ顕微鏡用ステージとし、市販されているSPMに対して容易に脱着することが可能である。
また、市販の他のSPMの走査型プローブ顕微鏡用ステージと同一形状にて構成することにより、容易に交換することが可能となり、すみやかに装着及び脱着が行え、複数のSPMにて共通に使用することができる。
上記試料基板12として、試料100を固定するマイカ基板のみでも、また、マイカ基板をスライドガラスなど光透過性を有する材質の基板の上面に固定したものを用いてもよい。
また、容器11としては、図1のように、試料基板12が置かれる位置の面が開口された開口部を有する筒(穴H11を有する)を用いても良いし、図2のように試料基板12が置かれる位置の面に、開口部を有する穴H11Bが設けられた板11Bを用いることもできる。筒の穴H11又は板11Bの穴H11Bの開口部に対して、試料基板12が平面視(穴の深さ方向に対して平行に見た場合)にて重なる位置に配置されている。また、試料基板12の平面視の面積は、穴H11及び穴H11Bの開口部の平面視の開口面積に比較して同様か、あるいは大きく設定されている。穴H11Bは、板11Bの面に対して垂直方向に形成されている。上述した穴H11及び穴H11Bの開口部と、内部の光源13とは、試料100に光を照射する光照射部20を構成している。
また、図2の場合には、走査型プローブ顕微鏡用ステージ1は、穴H11Bを有した平面基板形状であり、穴H11Bの上部(後述する試料基板12を配置する側の面)に開口部を有する板11Bと、この板11Bにおける穴H11の内周面が形成する筒の軸方向の上部に、軸方向に対して基板面が垂直に設けられ、観察対象の試料100を上面に固定するマイカなどの平面基板である試料基板12と、この試料基板12の下面方向から試料に対して、穴H11を介して予め設定された波長の光を照射する光源13と、光源13の電源14と、光源13のオン(光照射)及びオフ(非光照射)を切り替えるスイッチ15とから構成されている。
そして、容器11及び板11Bを形成するベース材料としては、ガラスやアクリル、あるいは金属などを用いることができる。
試料を固定した試料基板12を容器11の穴H11あるいは板11Bの穴H11Bの開口部上部に配置し、穴H11あるいは穴H11Bの内部において、試料基板12の下部に光源13を配置するため、試料100に対し、カンチレバー101と逆方向から光を照射することになる。
このため、すでに述べたように、カンチレバー101に光源13から照射された光が遮蔽されることなく、十分に試料100に対して照射されることになる。
そして、容器11及び板11Bを形成するベース材料として、金属のような光の反射強度が高い材料を利用することができれば、容器11あるいは板11Bの開口部上に置かれた試料基板12の裏面から試料100に照射する光の強度を上げることができる。
光源13のオン/オフ制御を行うスイッチ15は、配線16の末端に設置しておくことにより、スイッチを触れることに依る機械的な振動によって、測定に支障がでることはなく、むしろ測定中において必要なタイミングにおいて、容易に光照射をすることが可能となる。
また、乾電池によって駆動するため、AC電源からDC電圧をレギュレータなどにより生成しないため、測定系及び光源13の光の放射に対する電源ノイズを抑制することができ、観測に問題を与えることがない。
さらに、光源13としてLED(light emitting diode)やレーザーダイオードを用いることにより、容易に試料又は試料近傍の溶液に照射する光の波長を可変することができる。このため、LED又はレーザーダイオードを必要な波長のものに変えることにより、他の種類の試料においてもさまざまな光の影響を観察することができる。
例えば、LEDの波長の種類として、赤外光〜UV(ultraviolet:紫外)光まであり、半導体材料によって放射する光の波長が決まっており、市販されているのは360nm〜1550nmと種類が多い。また、LEDの放射光の場合、太陽光や電球と異なり、発光色が単色、すなわち波長帯域が狭いために必要な波長のみを試料に照射することができる。
また、人間が見える光の範囲(可視光)約380nmから780nmの波長(おおよそ青色が450nm、緑色が520nm、黄色が590nm、赤色が660nm)のほか、380nmより短い紫外光(紫外線)、780nmを超える赤外光(赤外線)のLEDも多数存在する。
上述したように、他種類の波長のLEDを用い、かつカンチレバーに光が遮蔽されないようにする構成により、ナノメートルスケールにて観察対象とする試料の材料の劣化を観察することも可能である。
たとえば、有害なUV光が、ナノメートルサイズの生物学的な試料に対して、どのように機能対して影響を与えるかを観察することも可能となる。
また、UV光を照射することにより、図3(a)及び図3(b)に示すように、ケージド化合物を解除することも可能である。図3(a)は、リガンドが光解離性保護基と結合して、ケージド化合物となっており、試料100に対して生理不活性状態にあることを示している。ここで、図3(a)及び図3(b)は、試料基板12上に固定され、溶液102中で活性を有する試料100の受容体タンパク質を示す概念図である。
一方、図3(b)は、UV光を照射することにより、リガンドすなわち、受容体タンパク質に結合して活性化したり活性を抑制する物質が、光解離性保護基から分離し、試料100(例えば、受容体タンパク質)に対して結合する生理活性状態を示している。
ここで、ケージド化合物とは、生体分子における活性を制御する方法として、活性を与える物質(リガンド)を、特定の波長の光によって反応する別の分子によって閉じこめた化合物のことを指す。具体的には、ニトルベンジル基等の光解離性保護基を、リガンドすなわち生理活性物質に結合したものを指している。
したがって、リガンドに光解離性保護基が結合した状態において生理不活性であるが、UV光の照射により、リガンドに対する光解離性保護基の結合を解離させることで、リガンドを生理活性状態に変化させることができ、任意のタイミングにおいて、生体分子に薬物刺激を与えることができる。
図3(a)に示すように、溶液102中にはケージド化合物が含まれており、受容体タンパク質にはリガンドが結合するサイト(リガンド結合部位)があるが、ケージド化合物はそのままではリガンド結合部位には結合しない。
そして、溶液102にUV光を照射することにより、図3(b)に示すように、溶液102中のケージド化合物が解除され、リガンドが溶液102中に放出された状態になる。この結果、リガンドは受容体タンパク質のリガンド結合部位に結合することとなり、受容体タンパク質は薬物刺激を受け、形状の変化を起こすことになる。
UV光によりケージド化合物の解除を行う場合、ケージド化合物を構成するリガンドの種類により、さまざまな刺激を行うことが可能である。たとえば、リガンドとして、ATP(Adenosine TriPhosphate)、AMP(Adenosine MonoPhosphate)、GTP(Guanosine TriPhosphate)、GMP(Guanosine MonoPhosphate)、グルタミン酸、Ca2+、イノシトールリン酸などがある。
また、UV光を含めて、ケージド化合物を用いない場合、光反応により励起した反応をナノメートルレベルで観察することができる。
たとえば、UV光による劣化の分子レベル観察、可視光による光合成に関与するタンパク質の分子構造観察、及び光による光硬化樹脂などの高分子の構造変化などに応用できる。
また、試料基板12にマイカを劈開して用いることにより、試料基板12として、毎回(試料の観察を行う毎に)、原子レベルで汚染のない平滑な平面を有し、かつ透明な(光透過性)基板を容易に得ることができる。
また、マイカ表面にITO(Indium Tin Oxide)などの金属類をコーティングして用いることにより、光照射による電気特性の変化をモニターすることも可能となる。
上述した構成は、いずれのSPMに対しても同様に、容易に用いることができる。
また、試料基板12の温度を変化させる構成とし、走査型プローブ顕微鏡用ステージにおいて異なる温度によって試料を観察できるようにすることができる。この場合、試料基板12の温度を変化させるために、この試料基板12にヒータを組み込むことにより加温する、ペルチェ素子を組み込んで冷却させる、及びグリセリール(glycerol)などの溶媒を、試料基板12に密着させたチューブ内に環流させるなどの方法がある。
(第2の実施形態)
第1の実施形態にて説明したように、LEDは1個のみ用いた構成でも良いが、第2の実施形態の様に、複数のLEDを使用する波長に応じて一つを選び、任意の波長の光を試料100に対して照射する構成としてもよい。また、この第2の実施形態において、複数のLEDを順番に一つずつ選択し、時系列的に複数の異なる波長の光を試料100に対して照射し、波長に対応した変化を観察するように構成しても良い。
第2の実施形態によれば、図4(a)〜図4(c)は、走査型プローブ顕微鏡用のステージにおいて、それぞれが放射する波長が異なる複数のLED(LED1、LED2、LED3、…)が内蔵されたLEDボックス30が設けられていることを示している。図4(a)は本実施形態の走査型プローブ顕微鏡用のステージの上面図を示し、図4(b)及び図4(c)は、図4(a)の線A−Aによる線示断面図である。本実施形態においても、図1及び図2におけるカンチレバー101が、試料基板12の上面(図4(b)及び図4(c)の試料基板12の上部の面)と対向する位置に設けられている。従って、試料100に照射される光は、穴H11Bを介し、試料基板12の裏面から試料100に照射されるため、図1及び図2と同様に、カンチレバー101により遮蔽されることはない。
図4(a)〜図4(c)の構成においては、試料基板12から離れた位置に、LEDボックス30を配置して、各LEDの放射する光を、光ファイバを介して、それぞれのLEDに対応する光導波路40(例えば、スラブ型導波路)を用いて、穴H11Bに導き、ミラー51にて反射されることによって試料100へ、それぞれのLEDの放射した光を照射する構成となっている。図には示していないが、各LEDにはそれぞれ図1あるいは図2と同様に、電源14と、この電源14から駆動電力を供給するか否かを制御するスイッチ15とが走査型プローブ顕微鏡用のステージから離れた位置に設けられている。それぞれのLEDのスイッチ15をオン/オフすることにより、任意の波長の光を試料100に照射させることができる。
図4(b)の構成は、LEDボックス30が板11B上面に配置されており、このLEDボックス30が配置された下部に穴53が設けられ、穴53の底部にLED毎にミラー52が設けられている。各LEDからそれぞれ光ファイバを介して、ミラー52に対して光を出射する構成となっている。そして、穴53と穴H11Bとの間に光導波路40がミラー52毎にLEDに対応して設けられている。
LEDボックス30のLED毎に設けられたミラー52が、LEDボックス30の各LEDの放射する光を入射し、光導波路40に対して出射させる。
そして、穴H11Bの底部に、上記光導波路40毎に設けられたミラー51により、各光導波路40から出射される光を反射することにより、試料100に対して出射させる。すなわち、試料100に対して各LEDの放射した光を、試料基板12の下部から照射する構成となっている。
また、図4(c)の構成は、LEDボックス30が穴53内部に配置され、各LEDの放射する光が、それぞれLEDに対応する光導波路40に対して直接に入射されるよう構成されている。
そして、穴H11Bの底部に、上記光導波路40毎に設けられたミラー51により反射することで、各光導波路40から出射される光を、試料100に対して出射させて、試料100に対して各LEDの放射した光を照射する。すなわち、試料100に対して各LEDの放射した光を、試料基板12の下部から照射する。
上述した図4(b)、図4(c)において、上述した穴H11Bの開口部と、穴H11Bの底部にあるミラー51とは、試料100に光を照射する光照射部20を構成している。そして、穴H11Bの底部において、上記光導波路40毎に設けられたミラー51により、各光導波路40から出射される光を、試料100に対して出射させる。
そして、外部のスイッチ15により、選択してオン/オフ制御することにより、試料の観察に必要な波長のLEDの点灯を行うことにより、穴H11Bの開口部からその光を試料に対して照射することができる。試料100は光照射する部分を含めた周囲に置くことができ、試料100上部からカンチレバー101で観察しつつ、同時に試料基板12の下部から光照射することができる。
また、光導波路40は、上述したように、走査型プローブ顕微鏡用ステージ内部に内蔵されていても、ステージ表面に設置されていても、最終的に試料基板12の下部から試料100に対して光が照射される機構となっていればかまわない。
光導波路40は、それぞれの光導波路40に対応するLEDの放射する、所望の波長の光の伝播が減衰しないような材料である必要がある。
電源14やスイッチ15は、図4(a)〜図4(c)には記載されていないが、第1の実施形態と同様に、走査型プローブ顕微鏡用ステージから離れたところに置くことは十分可能である。
また、LEDボックス30のいずれのLEDを選択するかに関し、予めシーケンス制御のプログラムを作成しておき、このプログラムを用いてコンピュータを動作させて、スイッチ15を自動で制御することもできる。
光源13が試料基板12から離れているため、ノイズをより効率的に避けることが可能となり、かつ、穴H11Bの開口部のサイズによって、試料基板12に対して広い範囲への照射や狭い範囲への光照射(すなわち照射領域)を制御することが可能である。
また、上述の説明においては、LEDボックス30には複数のLEDを配置するとして説明したが、LEDボックス30にLEDを1つのみ配置し、第1の実施形態と同様に、一つの波長のみを使用する構成としても良い。
次に、図5(a)及び図5(b)は、LEDボックス30を、走査型プローブ顕微鏡用ステージ本体から離れた位置に配置し、各LEDの出射する光を、それぞれのLEDに対応した光ファイバ60に入射させることを示している。そして、各光ファイバ60を、この光ファイバ60毎に設けられた光導波路40に対して光コネクタ55により接続している。
図5(a)は本実施形態による他の構成の走査型プローブ顕微鏡用のステージの上面図を示し、図5(b)は図5(a)の線A−Aによる線示断面図である。
この光導波路40は、板11Bの側面に光取り入れ口、すなわち、光コネクタ55を接続する接続部が設けられている。
図5(a)及び図5(b)の構成において、上述した穴H11Bの開口部と、穴H11Bの底部にあるミラー51とは、試料100に光を照射する光照射部20を構成している。
本実施形態においても、図1及び図2におけるカンチレバー101が、試料基板12の上面(図5(b)の試料基板12の上部の面)と対向する位置に設けられているため、試料100に照射される光は、穴H11Bを介し、試料基板12の裏面から試料100に照射されるため、図1及び図2と同様に、カンチレバー101により遮蔽されることはない。
LEDボックス30の各LEDの出射した光は、光ファイバ60、光コネクタ55及びミラー51を介し、試料基板12の下部方向から、試料100に対して照射される。ミラー51は、図4(a)〜図4(c)の構成と同様に各光導波路40に対して設けられている。
LEDボックス30の各LEDから放射された光は、光ファイバ60及び光コネクタ55を介し、光導波路40に入射される。
各LEDに対応する光導波路40から出射された光は、ミラー51により反射されて、穴H11Bを介して試料基板12の裏面から試料100に対して照射される。
図には示していないが、各LEDにはそれぞれ図1あるいは図2と同様に、電源14から駆動電力を供給するか否かを制御するスイッチ15が設けられている。それぞれのLEDのスイッチ15をオン/オフすることにより、任意の波長の光を試料100に照射させることができる。この電源14及びスイッチ15は、LEDボックス30から離れた位置に配置され、配線によりLEDボックスの各LEDに対して接続されている。
次に、図6(a)及び図6(b)は、図5(a)及び図5(b)と同様に試料に照射する光を放射する光源ボックス35が板11Bから離れた位置に配置されていることを示している。図6(a)は本実施形態による他の構成の走査型プローブ顕微鏡用のステージの上面図を示し、図6(b)は図6(a)の線A−Aによる線示断面図である。この光源ボックス35は、図4(a)〜図4(c)、及び図5(a)及び図5(b)のLEDボックス30と異なり、LEDではなく無数の波長の電磁波(光)を有する自然光を放射する光源が設けられており、この光源が放射する無数の波長の光が光ファイバ61によりAWG(Arrayed. Waveguide Grating)波長分波器70へ、波長多重光として入射される。
AWG波長分波器70は、波長分波器の一例であり、入射される波長多重光を、予め設定された波長(波長帯域)それぞれを有する光に分波する。
分波された各光に対応し、それぞれ光スイッチ71が設けられており、各光スイッチ71からそれぞれ対応した光ファイバ60を介し、分波された各光が光導波路40へ入射される。光導波路40に入射された光は、図4(a)〜図4(c)の構成と同様に、ミラー51に反射されることにより、穴H11Bを介して試料基板12の裏面から試料100に対して放射される。
図には示していないが、光源ボックス35にはそれぞれ図1あるいは図2と同様に、電源14と、この電源14から駆動電力を供給するか否かを制御するスイッチ15とが走査型プローブ顕微鏡用のステージから離れた位置に設けられている。そして、分波された光毎に設けられた光スイッチ71をオン/オフすることにより、任意の波長の光を試料100に照射させることができる。
また、板11Bに設けられている光導波路40は、図6(a)及び図6(b)に示すように、板11Bの内部に構成しても、あるいは板11Bの表面に設けても、いずれの構成でも良い。
図4(a)〜図4(c)と同様にステージの上面にAWG波長分波器70を設けても良く、この場合、光源ボックス35から放射される光は、板11Bの側面から光ファイバ60により、光コネクタ55を介して、光導波路40に入射される。
板11Bとしては、シリコン基板などを一般的に用いるが、光を透過しないものであれば、導体、半導体及び絶縁体のいずれでもかまわない(図1及び図2の容器11も同様)。
(応用例)
次に、第1及び第2の実施形態における走査型プローブ顕微鏡用ステージを用いた応用例の一例を、図7(a)〜図7(c)及び図8(a)〜図8(c)を用いて説明する。図7(a)〜図7(c)及び図8(a)〜図8(c)は、人工脂質二分子膜中に再構成した受容体タンパク質を観察した結果を示すAFM像(AFMにて観察した試料基板12上の受容体タンパク質の表面画像)及び、このAFM像により解析される受容体タンパク質の概念図である。本応用例においては、SPMとしてAFMを用いて観察を行った。
図7(a)及び図8(a)は受容体タンパク質のAFM像(すなわち、上面からカンチレバー101により観察した画像)を示し、図7(b)及び図8(b)は受容体タンパク質を側面から見た概念図を示し、図7(c)及び図8(c)は受容体タンパク質を上面から見た概念図を示している。
また、図7(a)〜図7(c)はUV光の照射前の観察結果を示す図であり、図8(a)〜図8(c)はUV光の照射後の観察結果を示す図である。
人工脂質二分子膜中に受容体タンパク質を再構成して試料100を生成し、この再構成した試料100を試料基板12であるマイカ上にて、予め試料毎に設定された温度及び時間にてインキュベートし、洗浄を行うことで試料基板12上に固定されていない試料を除去する。
そして、上記試料100を溶液102中にて、AFMのカンチレバー101により観察を行った。この溶液102中には、2mM(モル)のケージドグルタミン酸が溶解している。
上述したように、図7(a)〜図7(c)はUV光の照射を受ける前のAFM像であり、図8(a)〜図8(c)はUV光の照射を受けた後のAFM像であり、それぞれの図において、突起部が構成している一塊が受容体タンパク質の1分子を示している。すなわち、図7(a)及び図8(a)それぞれにて破線にて囲まれている部分が突起部分であり、それぞれの突起部分から受容体タンパク質の1分子が構成されている。
図7(a)において、大きな突起物が1個と、小さな突起物2個とが観察されており、これら3個の突起物を合わせた平面形状は、正方形に近い形状(略正方形)となっている。
すなわち、図7(a)における受容体タンパク質の構造は、図7(b)及び図7(c)に示すように、理論的には4量体構造が保たれており、受容体タンパク質のサブユニットが四回対称の位置に配置した構造をしている。
しかしながら、図7(a)のAFM像においては、4つの突起物が観察されずに、破線で囲んである部分が示す1個の大きな突起物と、2個の小さな突起物とが観察されている。この理由としては、破線で囲まれている大きな突起物が、実際には2個の小さな突起物(サブユニット)から構成されており、その突起物間の距離が短く、AFMにより観察できる解像度以下の距離だったため、1個の突起物(サブユニット)のように観察されてしまったことが考えられる。
あるいは、試料100でる受容体タンパク質を観察中に、突起物が熱などによって揺らいだため、2個の突起物が1個の突起物として観察されたということも考えられる。
いずれにしても、UV光が照射されておらず、ケージド化合物であるケージドグルタミン酸が分解されておらず、非生理活性状態の環境に受容体タンパク質が置かれており、従って受容体タンパク質のサブユニット間が狭い状態にあるため、図7(a)のように、正方形の形状にて観察されていると考えられる。
次に、図8(a)において、破線にて囲まれている大きな突起物が2個観察されており、この2個の突起物を合わせた形は細長い楕円形に近い形状をしている。
これは、UV光の照射により、溶液102中のケージドグルタミン酸が分解、すなわちグルタミン酸と、光解離性保護基とが解離し、グルタミン酸によって受容体タンパク質が活性化、すなわち刺激を受けて、サブユニット間の立体形状が変化し、受容体タンパク質の構造が変化したと考えられる。
そして、図8(a)のAFM像において、2個の突起物が観察されたということは、図8(b)及び図8(c)に示すように、四量体をつくっていた各サブユニットが、2個ずつ会合したことにより、サブユニット間の距離が小さくなって解像度以下になり、図8(c)のイメージ図のように2個の突起として観察されたと考えられる。
また、図8(a)においては、図7(a)と比較して、会合した2個の突起間の距離Dが長くなっていることが観察できる。
図9に示すグラフは、会合した2個の突起物(構造物)の距離Dの変化を示したものであり、縦軸が距離Dを示し、横軸が画面の時系列の順番(すなわち、時刻に相当する)を示している。この図9において、UV光の照射はAFM像の39枚目と40枚目との間のタイミングにて行っている。
この図9のグラフからも分かるように、UV光の照射前において、上記構造物間の距離Dは狭くなったり、広くなったりと、距離Dが揺らいで変動していた状態であることが分かる。
しかしながら、UV光の照射後において、それぞれが円形に見られる2個の構造物の距離Dが明確に広くなり、距離Dの揺らぎによる変動が、ほとんど観察されなくなっていることが確認できた。
この観察結果は、UV光の照射によって、溶液102中のケージドグルタミン酸が解離し、解離したグルタミン酸によって受容体タンパク質が刺激を受け、上述したようにサブユニットの立体構造が変化したと考えられる。
本願の好ましい態様が上述されたが、これらは本願の典型例であり、これらに限定されるものではない。本願の範囲から外れない範囲で、追加、省略、代用、及び他の改良を行うことができる。従って、本願は上記により限定されるものではなく、本願請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (9)

  1. 観察対象の試料を搭載する光透過性を有する試料基板を固定する走査型プローブ顕微鏡用ステージであり、
    前記試料基板が固定される下部に設けられ、平面視にて該試料基板面内に含まれる開口面積の開口部を有し、
    前記試料に対し、前記試料基板の裏面から前記開口部を介して光を照射することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡用ステージ。
  2. 前記開口部内に、試料に対して影響を与える波長の前記光を照射する光照射部を有することを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡用ステージ。
  3. 前記光照射部が光源を有していることを特徴とする請求項2に記載の走査型プローブ顕微鏡用ステージ。
  4. それぞれが異なる波長を有する複数の光源からなる光源部と、
    該光源部からのそれぞれの波長の光に対応する導波路とをさらに有し、
    前記各導波路が光照射部にて結合しており、前記光源のオン/オフ制御を行い、いずれかの波長の前記光を前記試料に照射することを特徴とする請求項2記載の走査型プローブ顕微鏡用ステージ。
  5. 前記光照射部によりLEDを光源とする光を照射することを特徴とする請求項2に記載の走査型プローブ顕微鏡用ステージ。
  6. 前記光源の電源として、走査型プローブ顕微鏡用ステージから離れた位置に、配線により接続された電池が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の走査型プローブ顕微鏡用ステージ。
  7. 前記光源部の電源として、走査型ブローブ顕微鏡ステージから離れた位置に、配線により接続された電池が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の走査型プローブ顕微鏡用ステージ。
  8. 前記試料基板がマイカ基板であることを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡用ステージ。
  9. 観察対象の試料を搭載する光透過性を有する試料基板を走査型プローブ顕微鏡用ステージに固定し、走査型プローブ顕微鏡によって前記試料を観察する試料観察方法であり、
    前記試料基板が固定される下部に設けられ、平面視にて該試料基板内に含まれる開口面積の開口部を介し、該試料基板の裏面から、前記試料に対して光を照射することを特徴とする試料観察方法。
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