本発明の第1側面によると、複数の視差素子を有する視差光学素子と、グループとして構成される複数の画素を有する表示装置であって、前記グループにおける対応する画素がそれぞれ異なる視認領域において視認可能となるように、各グループが前記視差光学素子の前記視差素子と協働する表示装置と、前記表示装置における任意の第1および第2領域を選択することが可能であり、異なる視認範囲特性の第1および第2表示視認モードを同時に実現するために、前記第1領域の各グループの画素の第1コンビネーション、および前記第1コンビネーションとは異なる、前記第2領域の各グループの画素の第2コンビネーションを、画像表示のために、同時に選択することが可能な制御部(control arrangement)と、を備えるディスプレイを提供する。
前記制御部は、前記表示装置における少なくとも1つのさらなる任意の領域を選択することが可能であり、前記第1および第2表示視認モードの視認範囲特性とは異なる視認範囲特性の少なくとも1つのさらなる同時視認モードを実現するために、前記第1および第2コンビネーションとは異なる、前記少なくとも1つのさらなる領域における各グループの画素の少なくとも1つのさらなるコンビネーションを、画像表示のために、選択することが可能であってもよい。前記少なくとも1つのさらなる領域は、単一の第3領域を含んでもよい。または、前記少なくとも1つのさらなる領域は、複数のさらなる領域を含んでもよい。
前記第1表示視認モードはパブリックモードであってもよい。
前記視認領域のうち、隣接する視認領域は部分的に重なってもよい。
前記視差光学素子は制御可能ではなくてもよい。
表示モードの選択は、各グループの画素選択によってのみ決定されてもよい。
前記表示視認モードのそれぞれが、表示軸を含む視認領域を有する第1プライベートモード、前記表示軸からオフセットされる視認領域を有する第2プライベートモード、パブリックモード、前記表示軸の一方の側に位置する視認領域を有する第1デュアルビューモード、前記表示軸の1つの側に位置する視認領域を有する第2デュアルビューモード、および裸眼立体モードのうちの少なくともいくつかから選択されてもよい。前記表示視認モードのうちの少なくとも1つは前記裸眼立体モードを含み、前記ディスプレイは、前記表示装置による表示のために、ユーザ操作可能な制御装置の3次元画像を生成する画像生成器と、ユーザ操作を検出する入力装置と、を含み、前記画像生成器は、入力装置によるユーザ操作の検出に応じて、前記制御装置画像の知覚される奥行き位置を変更するように構成されていてもよい。前記制御装置は、制御ボタンであってもよい。前記画像生成器は、前記入力装置による検出に応じて、前記制御ボタン画像の上面の知覚される奥行き面を変更するように構成されていてもよい。前記入力装置は、マウス、タッチスクリーン、ジェスチャー認識装置、および近接検出器のうちの1つを含んでもよい。
各視差素子は、2次元視差を実現してもよい。
各視差素子は、1次元視差を実現してもよい。各グループは、協働する前記視差素子の中心に位置合わせされた第1画素と、前記第1画素の両側に位置する第2および第3画素と、前記第2または第3画素における前記第1画素とは反対の側に位置する少なくとも1つの第4画素と、を含んでもよい。前記少なくとも1つの第4画素は、隣接するグループによって共有されてもよい。
各グループは、協働する前記視差素子の中心線を含み、かつ、前記視差光学素子に対して略垂直に延びる面の両側に位置する第1および第2画素と、前記面を基準にして、前記第1および第2画素の両側に位置する第3画素と、を含んでもよい。前記第3画素のうちの少なくとも1つは、隣接するグループによって共有されてもよい。
各グループは、協働する前記視差素子の中心線を含み、かつ、前記視差光学素子に対して略垂直に延びる面の両側に配置されている第1および第2画素と、前記第1および第2画素のそれぞれにおける面とは反対の側に配置されている第3および第4画素と、を含んでもよい。
各グループの画素は同じ色を有してもよい。
前記視差光学素子は、視差素子の1次元アレイを含んでもよい。または、前記視差光学素子は、視差素子の2次元アレイを含んでもよい。
前記視差光学素子は、レンズアレイを含んでもよい。または、前記視差光学素子は、視差バリアを含んでもよい。各視差素子は、レンズを備える開口を含んでもよい。
前記視差光学素子は、前記表示装置の基板上に形成されてもよい。または、前記視差光学素子は、前記表示装置の基板に取り付けられてもよい。
前記視差光学素子は、前記表示装置の複数の外部素子の間に配置されてもよい。
前記表示装置は、透過型装置、反射型装置、および半透過型装置のうちの1つであってもよい。前記表示装置は、液晶装置であってもよい。
前記表示装置は、発光型装置であってもよい。前記表示装置は、発光ダイオード装置、有機発光ダイオード装置、プラズマ表示装置、電界放出装置、およびブラウン管のうちの1つであってもよい。
前記視差光学素子は、前記表示装置と前記視認領域との間に配置されてもよい。
視認モードを手動で選択できるように、前記表示装置と協働する手動入力部(manual input arrangement)を備えてもよい。前記手動入力部は、タッチスクリーン部(touchscreen arrangement)を含んでもよい。
本発明の第2側面によると、視差光学素子と、グループとして構成される複数の画素を有する表示装置と、を備え、各グループは、前記視差光学素子の視差素子と協働し、前記視差素子に位置合わせされている第1画素と、前記第1画素の両側に位置する第2および第3画素と、前記第2および第3画素における前記第1画素とは反対の側に位置する少なくとも1つの第4画素と、を含むディスプレイを提供する。
本発明の第3側面によると、表示装置と、前記表示装置による表示のために、ユーザ操作可能な制御装置の3次元画像を生成する画像生成器と、ユーザ操作を検出する入力装置と、を備え、前記画像生成器は、前記入力装置によるユーザ操作の検出に応じて、前記制御装置画像の知覚される奥行き位置を変更するように構成される双方向3次元ディスプレイを提供する。
前記表示装置は、裸眼立体型表示装置であってもよい。
前記制御装置は、制御ボタンであってもよい。前記画像生成器は、前記入力装置による検出に応じて、制御ボタン画像の上面の知覚される奥行き面を変更するように構成されてもよい。
前記入力装置は、マウス、タッチスクリーン、ジェスチャー認識装置、および近接検出器のうちの1つを含んでもよい。
このため、異なる視野角特性を有する異なる視認モードを同時に実現可能なディスプレイを提供することができる。異なるモードはディスプレイのどこにおいても実現し得、これによって、所望の操作を行うためのディスプレイを構成する上で完全な柔軟性を実現する。各グループにおいてどの画素がアクティブであるかを選択することによってモードが選択されるので、領域の選択は全く任意に行われる。このため、画素グループの全てによって、同じ視認領域能力が実現される。所望であれば、ディスプレイ全体は単一モードで操作されてもよく、特定の実施形態において利用可能なモードのいずれかから選択されてもよい。しかしながら、ディスプレイは、ディスプレイにおける任意の領域内の利用可能なモードから視認モードのいずれかを提供し、ディスプレイにおける他の任意の領域内の他の利用可能なモードのいずれかも同時に提供する能力を有する。
典型的な実施形態では、ピクセル型画像ディスプレイと組み合わされる視差光学素子は、画像ディスプレイの画素に対する角度依存視認ゾーンを作り出す。データを画像ディスプレイの画素に適切に適用することを通じて、少なくとも4つの明確な画像表示機能が実現され得る。これらの画像表示機能は、限定するわけではないが、パブリックモード、プライベートモード、デュアルビューモード、および裸眼立体3Dモードを含む。パブリックモードでは、表示される画像が全方向から視認可能である。プライベートモードでは、異なる方向から視認可能な少なくとも2つの独立した画像が表示され、これにより、1つの画像が実質的に軸上で視認可能である一方、もう一方の画像は実質的に軸外で視認可能である。デュアルビューモードでは、少なくとも2つの独立した画像が表示され、これにより、1つの画像がディスプレイの左において実質的に軸外で視認可能である一方、もう一方の画像はディスプレイの右において実質的に軸外で視認可能である。裸眼立体3Dモード(以下、3Dモード)では、奥行きを有しているように見える画像が表示され、こうして3次元画像が実現される。
ピクセル型画像表示装置は、限定するわけではないが、液晶ディスプレイ(LCD)、または有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、またはプラズマディスプレイパネル(PDP)、または泳動ディスプレイ、またはプラズマディスプレイパネル、または電界放射ディスプレイ(FED)、または表面伝導電子放出ディスプレイ(SED)、または発光ダイオードLEDディスプレイ、またはプラズマディスプレイ(PDP)、または電界放出ディスプレイ(FED)などを含み得る。
ピクセル型画像ディスプレイは、限定するわけではないが、透過型ディスプレイ、または発光型ディスプレイ、反射型ディスプレイ、または半透過型ディスプレイであり得る。
画像パネルの上の画素の構成配置は重要ではない。したがって、ピクセル型画像ディスプレイは、限定するわけではないが、画素カラーの一次元のアレイであってもよく、または、Pentile RGBWTMにおいて構成されるカラーまたは画素の2次元アレイであってもよい。
視差光学素子は、透過型および非透過型の領域からなる視差バリアであってもよい。視差光学素子は、レンズアレイからなってもよい。視差光学素子は、視差バリアおよびレンズアレイからなってもよい。視差光学素子は、一次元において周期的であってもよい。視差光学素子は、2次元において周期的であってもよい。レンズ素子は、光を面(円柱レンズ)に焦点を合わせてもよく、点(球面レンズ)に焦点を合わせてもよい。
視差光学素子は、画像表示装置に後から取り付けられる基板上に組み立てられてもよい。視差光学素子は、観察者に最も近い画像パネルの基板上に直接形成されてもよい。視差光学素子は、画像パネルを形成する基板間に形成されてもよい。
視差光学素子上の構造のピッチは、ディスプレイの中心軸の周りに位置するユーザに対して、画像パネルディスプレイの広さにわたって均一な画像視認を可能にするように選択される。
視差光学素子のピッチは、4つの画素のピッチと略同一である。視差光学素子は、各画素について、角度依存視認ゾーンを生成する。第1画素は、画像ディスプレイの軸上で実質的に視認可能であってもよい。第2画素は、軸上で部分的に視認可能であってもよく、画像ディスプレイの右の軸外で部分的に視認可能であってもよい。第3画素は、軸上で部分的に視認可能であってもよく、画像ディスプレイの左の軸外で部分的に視認可能であってもよい。第4画素は、画像ディスプレイの軸外で実質的に視認可能であってもよい。
ピクセル型画像表示装置に画像を表示する視差光学素子および方法は、あらゆるタイプのピクセル型情報ディスプレイと連動して用いられてもよく、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、またはプラズマディスプレイ、または電界放出ディスプレイ(FED)、または電気泳動ディスプレイなどと連動して用いられてもよい。このような技術はまた、透過型、放射型、反射型、および半透過型のピクセル型ディスプレイタイプと互換性がある。あらゆるタイプのピクセル型情報ディスプレイに対するこのような普遍的な適用性は、商業的に有利な点を有する。それは、たった1つの技術の開発によって、複数画像機能性があらゆるピクセル型情報ディスプレイに適用可能だからである。
視差光学素子は、情報ディスプレイに付加される物理的要素のみであり得る。視差光学素子は比較的薄く(<500μm)、結果として、画像ディスプレイに適用可能な厚さまたは重さを増加することはない。ディスプレイ用の複数画像機能を実現するために、視差光学素子を画像ディスプレイの画素に近接して配置できるように、画像ディスプレイにおける基板の厚さを低減することが必要な場合がある。その結果、画像表示装置および視差光学素子を含む、ディスプレイの全体的な厚さおよび重さは、変更が施されていない元の画像ディスプレイパネルのものと同じである。この特徴は、厚さおよび重さが重要な測定基準となる、携帯電話、ラップトップコンピュータなど、携帯表示製品について特に重要な利点である。
一度、視差光学素子が正確に画像ディスプレイに取り付けられると、全ての複数画像機能を、画像表示方法を介して起動させることができる。したがって、複数画像機能間の切替は、安価であり、信頼性があり、速い。画像表示方法はまた非常に単純であり、このため、演算パワーをほとんど必要としない。例えばプライバシーなどの画像機能は、非常に速く起動させることができる。概して、画像表示機能のいずれかの起動時間は、ディスプレイのリフレッシュ時間と密接に関連し、典型的には100msよりも速く、例えば、ある表示については1msよりも速い場合もある。
さらなる長所は、適切に視差光学素子を設計することによって、水平・垂直の両方向および対角線方向(360°)におけるプライバシーが実現される。さらなる有利な点は、デュアルビューモードまたは3Dモードを用いつつ、プライバシー機能を起動させることができることである。
さらなる長所は、複数のプライバシー強度オプションが与えられ得ることである。その結果、ユーザは自分たちの要求および環境に合うように、プライバシー強度およびプライバシー方向を選択することができる。例えば、ユーザは、自分の左に“標準”画像プライバシー強度を選択し得るが、自分の右には画像プライバシーを選択しない。他の例では、ユーザは、自分の左に“強い”画像プライバシー強度を選択し得るが、自分の右には画像プライバシーを選択しない。プライバシーモードの汎用性によると、ユーザは、画像プライバシーの所望のレベルを維持しつつ、画像ディスプレイの軸上輝度および解像度を最大化することができる。
さらなる長所は、表示用の複数画像機能は、ディスプレイの表面上の異なる空間的位置において同時に起動し得ることである。したがって、表示の一部が極秘情報(パスワードまたは像など)を隠し、表示の他の部分は3Dコンテンツを示し、表示の他の部分がデュアルビューコンテンツを示すといった表示を実現することができる。概して、表示における空間的位置は、上記画像機能のいずれかを提供し得る。
輝度および解像度の点から、パブリックモード性能は、複数画像表示機能を提供する他の指向性ディスプレイよりもはるかに高い。パブリックモードは大部分の時間においてアクティブであるので、パブリックモードの有利な性能は非常に重要である。シャープ株式会社のトリプルビューディスプレイにおける軸上解像度は、本来の画像表示の1/3であり、本発明の典型的実施形態の軸上解像度は、本来の画像表示の3/4である。
本発明の上記、また他の目的、特徴、および長所は、添付の図面を参照して、以下の発明の詳細な説明を読めば容易に理解できるであろう。
図29は、限定するわけではないが、4つの異なる画像機能40、41、42、43を同時に発揮する複数画像機能ディスプレイ22を示す。画像機能40、41、42、43は、任意のサイズ及び形状を有し、ディスプレイ上の異なる空間に配置される。画像機能は、限定するわけではないが、標準モード40、3Dモード41、プライベートモード42、およびデュアルビューモード43であり得る。画像機能40、41、42、43は、ディスプレイにおける予め規定された領域またはディスプレイ50(図30)におけるユーザが規定した領域のいずれかにおいて起動され得る。画像機能40、41、42、および43はまた、ワードプロセッサ、表計算ソフト、写真画像ビューアー、または映像ビューアーなどのアプリケーションを展開させる特定のウィンドウ61(図31)と関連し得る。このようなウィンドウ61は、ディスプレイ22上のウィンドウの位置に関係なく、割り当てられた画像機能を維持する。
ディスプレイ22は、どの画像機能が、またはどの“表示視認モード”が、表示装置におけるどの領域によって実行されているかを選択する制御部(control arrangement)を含む(または、外部制御部と協働する)。表示装置における任意の領域は典型的に、複数の“位相的に接続される”画素を含み、ディスプレイにおける現在のアプリケーションに応じて任意の画像機能を実行するために任意の表示装置領域を制御部が選択し得るように、任意の画像機能を実行することができる。画像機能は同時に実行され、各視差素子と関連する画素の各グループにおいて、どの表示装置画素が、以下に述べるようにどの画像画素に対して表示を行うかを選択する制御部によってのみ、画像機能が選択される。
したがって、図29に示す例では、制御部は表示装置の40に対応する“任意の”第1領域と、第1領域の画素の各グループにおける画素の第1コンビネーションとを選択し、第1視認範囲特性を有する第1表示視認モード(通常モードなど)を提供する。制御部は、表示装置の41、42、43に対応する“任意の”第2、第3、および第4領域と、各表示装置領域の各グループにおける画素の第2、第3および第4コンビネーションとを同時に選択し、互いに異なる視認範囲特性で、かつ第1視認範囲特性とは異なる視認範囲特性を有する第2(3D)、第3(プライベート)および第4(デュアルビュー)表示視認モードを提供する。
図30は、複数画像機能ディスプレイ22上のユーザが規定する領域50を示す。複数画像機能ディスプレイ22は、アプリケーションを展開する、例えば、ワードプロセッサ、表計算ソフト、写真画像ビューアー、または映像ビューアーを展開するウィンドウ60を有する。ユーザが規定する領域50は、例えばマウス、キーボード、またはタッチスクリーンなどの入力装置を介して生成される。予め規定された画像機能40、41、42、43は、ユーザが規定する領域50に属し得、ユーザが規定する領域と空間的に重なるウィンドウ60は、ユーザが規定する領域50と関連する画像機能に影響される。画像機能は、限定するわけではないが、通常モード40、3Dモード41、プライベートモード42、およびデュアルビューモード43であり得る。
図30を参照して、ユーザが規定する画像機能領域50を有する複数機能ディスプレイ22の特定の例について考える。この例では、ユーザが規定する領域50の画像機能はプライベートモード42であり、ユーザが規定する領域50の外側の全ての領域は通常モード40である。画像機能プライベートモード42を有するユーザが規定する領域50と空間的に重なるウィンドウ60内に含まれる情報は、ディスプレイに対して略軸上に位置する人によって視認することができる。しかしながら、ユーザが規定する領域50と空間的に重なるウィンドウ60内に含まれる情報は、ディスプレイに対して略軸外に位置する人によって視認することができない。ユーザが規定する領域50と空間的に重ならないウィンドウ60内に含まれる情報は、ディスプレイに対して軸上に位置する、また、ディスプレイに対して軸外に位置する人によって視認できる。すなわち、ユーザが規定する領域50と空間的に重ならないウィンドウ60のための画像機能は通常モードである。
図31は、ウィンドウ61を有する複数画像機能ディスプレイ22を示す。ウィンドウ61は、ユーザが規定する画像機能40、41、42、43を有する。ウィンドウ61は例えば、ワードプロセッサ、写真ビューアー、ウェブブラウザなどのアプリケーションを含み得る。ウィンドウ61は例えば、写真および/または文字および/または映像情報を含み得る。ウィンドウ61と関連する画像機能は、限定するわけではないが、通常モード40、3Dモード41、プライベートモード42、およびデュアルビューモード43であり得る。ユーザは、例えばマウス、キーボード、またはタッチスクリーンなどの入力装置を介して、ウィンドウ61の画像機能を規定し得る。自動処理は、ウィンドウ61の画像機能を規定し得る。ユーザ処理または自動処理のいずれかによって、ウィンドウ61がディスプレイを横切るように移動し(“ドラッグアンドドロップ”)、ウィンドウ61は、画像機能との関連を維持する。
図31を参照して、ユーザが規定する画像機能を有するウィンドウ61を備える複数機能ディスプレイ22の特定の例を考える。この例では、ウィンドウ61の画像機能はプライベートモード42であり、ウィンドウ61の外側の全領域は通常モード40である。ウィンドウ61内に含まれる情報は、ディスプレイに対して略軸上に位置する人によって視認することができる。ウィンドウ61内に含まれる情報は、ディスプレイに対して略軸外に位置する人によって視認できない。
異なる表示装置領域の任意の選択によって、異なる視認範囲特性を有する異なる視認モードを可能にする機能は、後に説明する実施形態において提供される。
好ましい実施形態を図15に模式的に示すが、これは図3bに詳細を示すように、非制御視差光学素子2およびディスプレイ9を備える。視差光学素子は図7aに基づいて形成され、レンズ素子4のアレイからなり、これによって、レンズ素子間の空間は、不透明物質3で満たされる。代わりとなる視差光学素子のオプションは、図7b、7c、および7dにおいて示される。レンズ素子4は、円柱状集光タイプであり、1次元視差を与える。しかしながらその代わり、レンズ素子4は球状集光タイプであってもよく、2次元視差(例えば図11aおよび図11bに示すようなもの)を与えてもよい。図15における視差光学素子2は、ディスプレイ9における4つの画素のピッチ(ピッチ2)と略同一のピッチ(ピッチ1)を有している。ピッチ2は、画素タイプA、B、C、およびDを含む。各レンズ素子4と関連する画素タイプA、B、C、およびDはグループを形成し、該グループは、レンズ素子4に位置合わせされた第1画素1aと、第1画素1aの両側に位置する第2画素1bおよび第3画素1cと、その第2および第3画素の外側の第4画素1dとを有している。各第4画素は、隣接する画素グループによって共有されている。タイプAの画素1a、タイプBの画素1b、およびタイプDの画素1dは、白色画素であってもよい。タイプAの画素1a、タイプBの画素1b、およびタイプDの画素1dは、カラーのサブ画素であってもよい。レンズ4の頂点は、画素タイプAの略周辺にその中心が位置する。
不透明物質3(バリア)の幅と視差光学素子のピッチ(ピッチ1)との比が0%から40%の間で、好ましい値としては約20%であるとき、満足のいく画像形成(imaging)性能が得られることが分かった。レンズ幅に対するバリア幅の比が大きい場合、良好な画像形成能力をもたらす。しかしながら、上記比が大きすぎる場合、バリアが目に付くことから、画像アーティファクトが生じる。このため、バリア幅は、観察者にとって実質的に控えめであるが、十分な画像形成の結果を実現するように選択される必要がある。市松模様状に構成されるバリア(図10b)は、1次元バリア構成(図10a)よりも画像アーティファクトを低減することができる。60μmのバリア幅と、240μmのレンズ幅と、50μmのレンズ高さと、200μmの曲率半径を有するレンズとを用いると、好ましい性能が得られることが分かった。基板6の厚さと等しい距離だけ、レンズの頂点は画素層から離れている。基板6の厚さが30μmから200μmの間で変更されると、満足のいく画像形成性能が得られることが分かった。基板6の厚さが約100μmのとき、好ましい性能が得られることが分かった。一般的に、基板6の厚さによって視差光学素子が図16bのように画素タイプAのための角度依存視認ウィンドウを生成し、これにより、画素タイプAがディスプレイの観察者5によって軸上で実質的に視認可能であり、ディスプレイの観察者5bおよび5cによって軸外で実質的に視認不可能なとき、好ましい画像形成性能が得られることが分かった。
視差光学素子が、図12dに基づくピクセル型ディスプレイに取り付けられるとき、好ましい画像形成性能が得られることが分かった。各グループの個々の画素タイプA、B、C、およびDは、各レンズと協働し、これにより、グループにおける対応する画素は、それぞれ異なる視認領域、または、ディスプレイ9および視差光学素子2(このためこれは、ディスプレイ9と視認ウィンドウとの間に位置する)の前の“ウィンドウ”において視認可能である。角度依存視認領域、または、画素タイプAのウィンドウ5Aは、図16aに模式的に示され、先に詳述した好ましい画像形成状態の詳細に基づく図16bにおいて正確にモデル化されている。画素タイプAは、観察者5によって軸上で視認可能であり、ディスプレイ9の“中心”軸5’の周りで視認可能な画像を実質的に形成する。画素タイプAは、ディスプレイ9において、観察者5bおよび5cによって実質的に軸外で視認可能な画像を形成しない。
角度依存視認領域、または、画素タイプBのウィンドウ5Bは、図17aに模式的に示され、先に詳述した好ましい画像形成状態の詳細に基づく図17bにおいて正確にモデル化されている。画素タイプBは、観察者5によって軸上で視認可能であり、ディスプレイ9の観察者5bによって左の軸外で視認可能な画像を実質的に形成する。画素タイプBは、ディスプレイ9の観察者5cによって実質的に右の軸外で視認可能な画像を形成しない。
角度依存視認領域、または、画素タイプCのウィンドウ5Cは、図18aに模式的に示され、先に詳述した好ましい画像形成状態の詳細に基づく図18bにおいて正確にモデル化されている。画素タイプCは、観察者5によって軸上で視認可能であり、ディスプレイ9の観察者5cによって右の軸外で視認可能である画像を実質的に形成する。
各角度依存視認領域、または、画素タイプDのウィンドウ5Dは、図19aに模式的に示され、先に詳述した好ましい画像形成状態の詳細に基づく図19bにおいて正確にモデル化されている。画素タイプDは、観察者5cによって右の軸外で視認可能であり、ディスプレイ9の観察者5bによって左の軸外で視認可能である画像を実質的に形成する。画素タイプDは、ディスプレイ9の観察者5によって実質的に軸上で視認可能な画像を形成しない。好ましくない画像アーティファクトは、ディスプレイにおける任意の行および/または列において同色を生成するように画素タイプA、B、C、およびDを配列することによって最小化できる。
図16b、図17b、図18b、および図19bから明らかなように、画素タイプA、B、C、およびDは、レンズ素子4と協働し、これにより、視認領域のうちの隣接する視認領域同士が部分的に重なるように視認領域を生成する。
図15に示すような視差光学素子2およびピクセル型ディスプレイ9を使用することによって、複数画像機能が可能となるディスプレイを実現することができる。実際に複数画像機能を実現するために、所定の方法で画像を、ピクセル型ディスプレイに表示することが必要である。より具体的には、異なる画像が所定の方法で空間的に組み合わせられなければならない。ディスプレイモードの選択は、各グループの画素選択によってのみ決定される。図15で概説される実施形態のための画素タイプA、B、C、およびDに画像を表示する方法は、図20a〜20qに示される。図20aによると、同じ画像(顔)を画素タイプA、B、C、およびDに表示することによって、広角度視認パブリックモードが実現される(すなわち、顔が全ての方向から視認可能である)。図20bによると、第1画像(顔)を画素タイプAに表示し、第1画像とは異なる第2画像(花)を画素タイプDに表示し、実質的に黒(黒い四角)の第3画像を画素タイプBおよびCに表示することによって、強いプライバシーモードが実現され、これによって第1画像(顔)は観察者5によって軸上で実質的に視認可能であり、第2画像(花)は観察者5bおよび5cによって軸外で実質的に視認可能である。
図20cによると、第1画像(顔)を画素タイプA、B、およびCに表示し、第2画像(花)を画素タイプDに表示することによって、プライバシーモードが実現され、これによって第1画像(顔)は観察者5によって軸上で実質的に視認可能であり、観察者5bおよび5cによって軸外で視認可能な画像は、第1画像と第2画像とが組合せられたもの(顔と花とを組合せたもの)となる。これによって、軸上の第1画像(顔)についてのプライバシーの度合いが確保される。図20bにおけるプライバシー強度(すなわち、軸上画像を軸外観察者に対してぼかす度合い)は、図20cにおけるプライバシー強度よりも高い。しかしながら、図20cのスキームを実行することによってもたらされる、輝度および解像度の観点からの軸上画像の質は、図20bに示されるスキームを実行することによるものよりも高い。
図20dによると、第1画像(顔)を画素タイプA、B、およびCに表示し、第2画像(顔)を画素タイプDに表示し、第2画像が効果的に第1画像の輝度反転または第1画像の“ネガティブ”となる(すなわち、第1画像において低輝度を有する画素が、第2画像において高輝度を有する画素となる、また逆のケースも起こる)ように所定の方法で輝度値を変更することによって、第2画像を第1画像から導き出す。元の顔の画像(変更していない輝度値)は、観察者5によって軸上で実質的に視認可能であり、観察者5bおよび5cによって軸外で視認可能な画像は、顔の画像と“ネガティブ”な顔の画像とを組合せたものであり、この結果、実質的にコントラストを欠き、解釈の難しい軸外画像が形成される(すなわち、軸外プライバシー機能が実現される)。図20dに示されるスキームを実行する際のプライバシー強度は、図20cに示されるスキームを実行することによって得られるプライバシー強度よりも高い。
図20eによると、第1画像(顔)を画素タイプAおよびBに表示し、実質的に黒(黒い四角)の第2画像を画素タイプCに表示し、第3画像(花)を画素タイプDに表示することによって、図20bのスキームを実行するための、先に述べたような強いプライバシーが、ディスプレイ9の観察者5cが見るように右の軸外で実現され、図20cのスキームを実行するための、先に述べたようなプライバシーは、ディスプレイ9の観察者5bが見るように左の軸外で実現される。図20fによると、第1画像(顔)を画素タイプAおよびCに表示し、実質的に黒(黒い四角)の第2画像を画素タイプBに表示し、第3画像(花)を画素タイプDに表示することによって、図20bのスキームを実行するための、先に述べたような強いプライバシーは、ディスプレイ9の観察者5bが見るように左の軸外で実現され、図20cのスキームを実行するための、先に述べたようなプライバシーは、ディスプレイ9の観察者5cが見るように右の軸外で実現される。
図20gによると、第1画像(顔)を画素タイプAおよびBに表示し、実質的に黒(黒い四角)の第2画像を画素タイプCに表示し、画素タイプAおよびBに表示される画像の‘ネガティブ’(‘ネガティブ’の顔)である第3画像を画素タイプDに表示することによって、図20bのスキームを実行するための、先に述べたような強いプライバシーは、ディスプレイ9の観察者5cが見るように右の軸外で実現され、図20dのスキームを実行するための、先に述べたようなプライバシーは、ディスプレイ9の観察者5bが見るように左の軸外で実現される。
図20hによると、第1画像(顔)を画素タイプAおよびCに表示し、実質的に黒(黒い四角)の第2画像を画素タイプBに表示し、画素タイプAおよびCに表示される画像の‘ネガティブ’(顔)を表示することによって、図20bのスキームを実行するための、先に述べたような強いプライバシーは、ディスプレイ9の観察者5bが見るように左の軸外で実現され、図20dのスキームを実行するための、先に述べたようなプライバシーは、ディスプレイ9の観察者5cが見るように右の軸外で実現される。
図20iによると、実質的に黒(黒い四角)の第1画像を画素タイプAおよびDに表示し、第2画像(顔)を画素タイプBに表示し、第3画像(花)を画素タイプCに表示することによって、デュアルビューディスプレイ9が実現され、これによって、第2画像(顔)は、ディスプレイ9の観察者5bによって左の軸外で実質的に視認可能であり、第3画像(花)は、ディスプレイ9の観察者5cによって右の軸外で実質的に視認可能である。
図20jによると、実質的に黒(黒い四角)の第1画像を画素タイプAに表示し、第2画像(顔)を画素タイプBに表示し、第3画像(花)を画素タイプCに表示し、第4画像(太陽)を画素タイプDに表示することによって、(図20eに示すような)軸外プライバシーを有する(図20iに示すような)デュアルビューディスプレイが実現される。図17b、図18b、図19b、および図20jを参照すると、ディスプレイの左の軸外、〜5から〜30度の角度にて、第2画像(顔)の視認ウィンドウが発生し、ディスプレイの右の軸外、〜5から〜30度の角度にて、第3画像(花)の視認ウィンドウが発生し、軸外、〜30度より大きい全ての角度にて、プライバシーが発生する。
図20kによると、第1画像(太陽)を画素タイプAに表示し、第2画像(顔)を画素タイプBに表示し、第3画像(花)を画素タイプCに表示し、実質的に黒(黒い四角)の第4画像を画素タイプDに表示することによって、軸上プライバシーを有する(図20iに示すような)デュアルビューディスプレイが実現される。図16b、図17b、図18b、図19b、および図20kを参照すると、ディスプレイの左の軸外で、〜30度より大きい角度にて、第2画像(顔)の視認ウィンドウが発生し、ディスプレイの右の軸外で、30度より大きい角度にて、第3画像(花)の視認ウィンドウが発生し、実質的に軸上の観察者は、第1、第2、および第3画像からなる組み合わせ画像を視認する。
図20lによると、実質的な黒(黒い四角)の第1画像を画素タイプAに表示し、第2画像(顔)を画素タイプBに表示し、第3画像(花)を画素タイプCに表示し、第2画像の‘ネガティブ’(‘ネガティブ’の顔)である第4画像を画素タイプDに表示することによって、(図20jに示すように)軸外プライバシーを有するデュアルビューディスプレイが実現される。
図20mによると、実質的に黒(黒い四角)の第1画像を画素タイプAおよびDに表示し、第2画像(人の左目で観察されるボート)を画素タイプBに表示し、第3画像(人の右目で観察されるボート)を画素タイプCに表示することによって、ボートの裸眼立体画像が軸上で視認可能となる。第2および第3画像は、“立体的な画像の対”であり、それぞれの目で視認した場合のボートの画像を示す。
図20nによると、実質的に黒(黒い四角)の第1画像を画素タイプAおよびCに表示し、第2画像(人の右目で観察されるボート)を画素タイプBに表示し、第3画像(左目で観察されるボート)を画素タイプDに表示することによって、ボートの裸眼立体画像が、ディスプレイの左の軸外で視認可能となる。
図20oによると、実質的に黒(黒い四角)の第1画像を画素タイプAおよびBに表示し、第2画像(人の左目で観察されるボート)を画素タイプCに表示し、第3画像(右目で観察されるボート)を画素タイプDに表示することによって、ボートの裸眼立体画像が、ディスプレイの右の軸外で視認可能となる。
図20pによると、実質的に黒(黒い四角)の第1画像を画素タイプAに表示し、第2画像(人の左目で観察されるボート)を画素タイプBに表示し、第3画像(人の右目で観察されるボート)を画素タイプCに表示し、第4画像(太陽)を画素タイプDに表示することによって、ボートの裸眼立体画像が、図20cに示すように軸外プライバシーを有して、軸上に視認可能となる。
図20qによると、実質的に黒(黒い四角)の第1画像を画素タイプAに表示し、第2画像(人の左目で観察されるボート)を画素タイプBに表示し、第3画像(人の右目で観察されるボート)を画素タイプCに表示し、第4画像(‘ネガティブ’のボート)を画素タイプDに表示することによって、ボートの裸眼立体画像は、図20dに示すように軸外プライバシーを有して、軸上で視認可能である。
図2は、ピクセル型ディスプレイ9と、視差光学素子2と、視差光学素子が形成される基板7とからなる複数画像機能ディスプレイ22を示す。目5は、複数画像機能ディスプレイ22の視認側を示す。図3aは、複数画像機能能力を有さず、観察者5に最も近い基板6と、基板6に対向する第2基板6bと、画素1のアレイとからなる従来のピクセル型ディスプレイ9を示す。図3bは、視差光学素子2を加えることによって複数画像機能を可能にするディスプレイ22を実現するために、どのように図3aの従来のディスプレイを変形し得るかを示す。視差光学素子7を、画素1から適切な距離に配置するために、画像パネル基板6を薄くする必要があり得る。複数画像機能ディスプレイ22の厚さおよび重さを低減するために、視差光学素子2が画像ディスプレイ9に取り付けられた後に基板7を薄くし得る。
図4は、ピクセル型ディスプレイ9と、画像ディスプレイ上に直接形成された視差光学素子2とからなる複数画像機能ディスプレイ22を示す。ユーザ5の目は、複数画像機能ディスプレイ22の視認側を示す。図5aは、複数画像機能能力を有さず、観察者5に最も近い基板6と、基板6に対向する第2基板6bと、画素1のアレイとからなる従来のピクセル型ディスプレイを示す。図5bは、視差光学素子2を加えることによって複数画像機能が可能となるディスプレイ22を実現するために、図5aの従来のディスプレイ9をどのように変形し得るかを示す。視差光学素子2を画素1から適切な距離に配置するために、画像パネル基板6を薄くする必要があり得る。第2基板6bには変更を加えないままでもよい。視差光学素子が形成される基板7を省略することにより、図5bに示す複数画像能力を有する表示装置は、図3bに示す表示装置よりも薄く、軽くし得る。
図6aは、複数画像機能能力を有さず、観察者5に最も近い基板6と、基板6に対向する第2基板6bと、画素1のアレイとからなる従来のピクセル型ディスプレイ9を示す。図6bは、視差光学素子2を加えることによって複数画像機能が可能となるディスプレイ22を実現するために、図6aのディスプレイがどのように変形され得るかを示す。視差光学素子2は、基板6と、ディスプレイパネル22の基板6bとの間に配置される。
図7は、基板7上に形成され、図3bまたは6bに示すように複数画像機能を可能にするディスプレイ22を実現するために用いられ得る様々なタイプの視差光学素子2を示す。
図7aは、レンズ素子4のアレイからなる視差光学素子2を示すが、レンズ素子間の空間は、不透明物質3で満たされている。この構成により、視差バリアが形成されるが、この視差バリアにおいて、各視差素子がレンズを備えた開口を有する。図7bは、レンズ素子間に透明領域を有するレンズ素子4のアレイからなる視差光学素子を示す。図7cは、レンズ素子4の最密アレイからなる視差光学素子を示す。図7dは、不透明物質3からなる不透明領域の周期的アレイからなる視差光学素子を示す。
図8は、図5bに示すような複数画像機能が可能となるディスプレイ22を実現するために、ピクセル型ディスプレイ9の基板6上に直接形成され得る様々なタイプの視差光学素子2を示す。図8aは、レンズ素子4のアレイからなる視差光学素子2を示しているが、レンズ素子間の空間は、不透明物質3で満たされている。図8bは、レンズ素子の間に透明領域を有するレンズ素子4のアレイからなる視差光学素子を示す。図8cは、レンズ素子の最密アレイからなる視差光学素子を示す。図8a、図8b、および図8cに示すレンズ素子は、エッチング処理または成形処理を行って基板6に直接形成してもよい。図8dは、不透明物質3からなる不透明領域の周期的アレイからなる視差光学素子を示す。
図9は、図6bに示すように複数画像機能を可能にするディスプレイ22を実現するために、基板6と、ピクセル型ディスプレイ9の基板6bとの間に形成され得る様々なタイプの視差光学素子2を示す。図9aは、レンズ素子4のアレイからなる視差光学素子2を示しているが、レンズ素子間の空間は、不透明物質3で満たされている。図9bは、レンズ素子の間に透明領域を有するレンズ素子4のアレイからなる視差光学素子を示す。図9cは、レンズ素子4の最密アレイからなる視差光学素子を示す。図9dは、不透明物質3からなる不透明領域の周期的アレイからなる視差光学素子を示す。図9(a〜d)の全ての例において、視差光学素子を平坦化し、かつ、所定の量だけ視差光学素子を画素1から離すために、透明平坦化層20が用いられてもよい。平坦化層は、SU-8 2050(MicroChem)を用いて形成されてもよい。
図10aは、レンズ素子4、21のアレイおよび不透明物質3からなる視差光学素子が、どのように1次元のみの周期にある構造に形成され得るかを示している。レンズ素子4は、円柱状の集光を実現するために円柱状であってもよい。図10bは、レンズ素子4、21のアレイおよび不透明物質3からなる視差光学素子が、2次元の周期にあり、市松模様の構成をなす構造に、どのように形成され得るかを示す。レンズ素子4は、円柱状または球状であってもよい。不透明物質が同じ領域を覆うために、図10bの市松模様構成は、図10aに示す構成と比べてあまり目に見えず、望ましくない画像アーティファクトも低い。
図11aは、球状レンズ素子4のアレイおよび不透明物質3からなる視差光学素子が、2次元の周期にある構造に、どのように形成され得るかを示す。図11aのレンズ素子は、一点に光の焦点を当てることが可能である。図11bは、球状レンズ素子4のアレイおよび不透明物質3からなる視差光学素子が、2次元の周期にある構造に、どのように形成され得るかを示す。図11bのレンズ素子は、一点に光の焦点を当てることが可能である。
図12は、図3bに示すように複数画像機能を可能にするディスプレイ22を実現するために、ピクセル型ディスプレイ9の基板6に、どのように視差光学素子を取り付け得るかを示す。図12aは、接着剤8または接着剤状物質8bを用いて、どのように視差光学素子を取り付け得るかを示している。レンズアレイが画像機能を果たすために、図12aの接着剤8または接着剤状物質8bは、レンズを備える物質とは実質的に異なる屈折率を有しなくてはならない。視差光学素子2をピクセル型ディスプレイ9に接着すると、物理的に丈夫な光学システムが得られる。レンズの画像パワーを増加するため、図12aの接着層は、空気と置き換えられてもよい。図12b、図12c、図12d、および図12eは、空気23の界面が実質的にレンズを囲むように視差光学素子を基板6に取り付けるにはどうすればよいかを示している。
複数画像機能が可能となるディスプレイ22は、ピクセル型ディスプレイ9の画素配置構成に関係なく、ピクセル型ディスプレイ9から形成され得る。図13a、図13b、図13c、および図13dは、複数画像機能が可能となるディスプレイ22と互換性のある異なる画素配置構成のうちのいくつかを示すが、これは限定的なリストではない。赤、緑、青、および白の画素がそれぞれ、24、25、26、および27に示されている。
図14は、限られた距離に位置する観察者5のために、ピクセル型ディスプレイ9の中心に配置される画素の角度視認機能は、ピクセル型ディスプレイ9の周辺に配置される画素の角度視認機能と異なっていなくてはならない。中心の画素および周辺の画素についての異なる視認機能を促進するために、視差光学素子のピッチは、特定の画素構成のピッチ以下であることが必要である(すなわち、図15、図33、および図39について、ピッチ2≧ピッチ1)。これは、視点補正として知られている。典型的には、αピッチ1=ピッチ2であり、αは1から0.99の数値を取る。
図21を参照すると、使用されるディスプレイのタイプは、例えばガラスからなる基板6および17を有する透過型LCDである。光源は、ディスプレイにおける視差光学素子とは反対の側に配置されるバックライト10である。この場合、画像形成層は、透明電極13に接続されるTFT12を含む、液晶11の薄層である。画像を形成するために、液晶層は、偏光子14の対に挟まれていなければならず、液晶層の各側部および偏光子の内側に配置される補償フィルム15を用いることによって、画質が向上されることがしばしばある。この実施形態では、レンズ4およびバリア3の視差光学素子は、偏光子間に位置し、バックライトから観察者までの光学素子の順番は、偏光子14、補償層15、液晶層11、レンズ4、バリア構成3、補償層15、偏光子14である。
図22を参照すると、透過型LCDが示されているが、レンズ4およびバリア3からなる視差光学素子2は、偏光子対14の外側に配置される。ここでのバックライト10から観察者までの光学素子の順番は、偏光子14、補償層15、液晶層11、補償層15、偏光子14、レンズ4、およびバリア構成3である。偏光子および補償層は、図22aに示すように、液晶層を挟むガラス基板6、17に積層されるタイプであり得る。または、偏光子および補償層が図22bに示すようにガラスプレートと液晶層との間に配置されるように、セル内で変化するものであり得る。または、セル内光学素子(偏光子、補償フィルム)および積層可能光学素子(偏光子、補償フィルム)の任意の組み合わせであってもよい。
図23を参照すると、使用されるディスプレイのタイプは透過型LCDである。この場合、偏光子14は、レンズ4およびバリア3の片側に配置されるが、補償層はどちらも、図23に示すように、レンズおよびバリア構成の片側に位置する。また、補償層15は、ガラス基板の外側か、液晶層11に隣接する場所に位置し得る。偏光子14は、ディスプレイの“外部素子”を形成し、バリア3およびレンズによって形成される視差光学素子が、これらの外部素子の間に配置される。
図24を参照すると、使用されるディスプレイのタイプは透過型LCDであるが、レンズ4およびバリア3からなる視差光学素子2は、バックライトとLCDとの間に配置される。
図25を参照すると、使用されるディスプレイのタイプは反射型LCDである。ここでの光源は、反射板16から反射され、光学システムを介して戻ってくる(液晶層から視差光学素子を介して偏光子へ戻ってくる)前に、前方の偏光子14、追加の補償層15、視差光学素子2を形成するレンズ4およびバリア3、液晶層11を通過する周辺光である。図25では、反射板16は、電極13b上に位置している。反射板16は、電極13aの下に配置されてもよく、基板17の外側表面上に配置されてもよい。
図26を参照すると、使用されるディスプレイのタイプは透過型LCDであるが、ディスプレイの各画素は透過型の部分と反射型の部分との両方を有する。図26は、各画素における透過型領域および反射型領域は、レンズの対称軸に沿って発生する。図26aは、反射型の部分内の装置の断面を示している。図26bは、透過型の部分内の断面を示している。
図27を参照すると、本発明のさらなる実施形態では、画像を形成するために、偏光光学素子を用いないディスプレイが用いられている。図27は、画像形成層18を示しているが、該画像形成層18は、電気泳動層、または有機発光ダイオード(OLED)層、または発光ダイオード(LED)層、またはプラズマディスプレイ層、または電界効果装置(FED)層、または表面導電電子放射(SED)層、またはリンの層であってもよい。
図28a、図28b、および図28cを参照すると、本発明のさらなる実施形態では、逆方向バイアスと、順方向バイアスとのいずれかでのみ作動するディスプレイ、例えばLEDまたはOLEDディスプレイが用いられる。ここではOLEDディスプレイの例を用いて本発明の実施形態の概念を説明する。アノードであり得る電極および電気スイッチ構成の平面図を図28aに示すが、各画素は2つの領域1xおよび1yからなる。電圧V1は、領域1xおよび1yに印加される。1xおよび1yの横幅は同一であってもよいが、領域1yの好ましい横幅は、領域1xの横幅の約2から4倍である。
カソードであり得る電極構成の平面図を図28bに示すが、図28aに示されるような画素領域1xおよび1yはそれぞれ、電極19aおよび電極19bの真下に配置される。電圧V2およびV3は独立して、電極19aおよび電極19bのそれぞれに印加される。
画素領域1xおよび1yを有するディスプレイと、領域1xおよび1yに対して角度依存視認ウィンドウを与えるための視差光学素子の相対的位置付けを表す側面図を、図28cに示す。順方向バイアスで作動されるOLEDディスプレイの場合、同じ電気スイッチ12bを用いて画素領域1xおよび1yの両方を作動することが可能であり、例えば、OLED発光に必要な電流を供給する薄膜トランジスタ(TFT)の構成を用いて作動することが可能である。領域1xおよび1yをオフにするために、ダイオード発光閾値がクロスし、発光が生じるように、V2およびV3はV1とは十分異なるように設定される。
領域1yをオフにするために、ダイオード発光閾値がクロスせず、発光しないように、V3はV1とは十分異なるように設定される。画素領域1xおよび1yが発光している状態から領域1xのみが発光している状態へ変化させることによって、図28cに示すような視差光学素子によって与えられる画像形成機能のため、ディスプレイの視認角度は広域から狭域へ(パブリックからプライベートへ)変化する。このシステムの長所は、同一のデータが画素領域1xおよび1yに印加されるので、領域1xおよび1yの両方を制御するために必要となる電気スイッチは1つだけであるということである。画素領域1xおよび1yと一致するように対向電極19aおよび19bをパターニングし、対向電極19aおよび19bに印加される電圧を独立して制御することによって、TFTデータを画素領域1xまたは1yに表示するか、または両領域に表示するか、またはどの領域にも表示しないかを選択することができる。順方向バイアスが必要となるので、この駆動技術はLEDまたはOLEDディスプレイについて有効であるが、プラス電圧とマイナス電圧との両方に応答するので、(例えば)ネマティックLCDにおいて用いることができない。しかしながら、それらを作動させるための印加電圧のサインに応じて切り替わる双安定または極性LCD(強誘電体またはフレクソエレクトリック)において用いられ得る。
米国特許出願公開第20070146236A1号に記載されている方法は、複数画像機能ディスプレイの輝度を向上させるために用いられ得る。英国特許出願公開第2445982号に記載されている方法は、複数画像機能ディスプレイの画質を向上させるために用いられ得る。
ディスプレイにおける、またはディスプレイを含む機器または装置における他の機能(出力特性など)は、画像表示機能または画像表示モードに基づいて同時に制御され得る。例えば、表示がパブリックモードとプライベートモードとの間で変更されるとき、音声設定のボリュームが変更され得る。
任意の画像表示機能(例えば、パブリックモード)を、ユーザが手動入力の形態で、例えば、タッチスクリーン、専用コントロールボタン、音声認識入力、またはジェスチャー認識入力で、異なる画像表示機能に変更し得る。任意の画像表示機能(例えばパブリックモード)を、所定の自動処理によって異なる画像表示機能(例えばプライベートモード)に変更し得る。
図32を参照すると、3Dタッチボタンアプリケーション70が、データ入力用に実現され得る。軸上ユーザ5に対する3Dモードを可能にする複数画像機能ディスプレイ22は、画像生成器を有する、または、ボタンの画像または3Dの見かけを有するボタンを表示するために画像生成器と協働する。3Dボタン画像の上面は、実質的にディスプレイ72の面より上において、または実質的にディスプレイ72の面において、または実質的にディスプレイ73の面の下において視認されるように構成し得る。例えばマウス、タッチスクリーン、ジェスチャー認識ユニットなどの入力装置を用いて、ユーザはアクションを喚起するために3Dボタンでやり取りを行うことができる。特定の3Dボタンでやり取りを行うと、画像生成器は3Dボタン画像を変更し、知覚される画像の奥行きを変更する。例えば、3Dボタンの先端部が実質的に現れる面が変更される、すなわち、3Dボタンの先端部は、一度やり取りが登録されると実質的に異なる面に現れる。3Dボタンの先端部が実質的に現れる面を変更すると、3Dボタンを用いて行ったやり取りの処理が登録され、情報がうまく入力されたということを示す視覚的確認をユーザに与えることができる。複数画像機能ディスプレイ22に近接検出能力を有するタッチセンサが備えられると、ユーザは複数画像機能ディスプレイ22に物理的に接触せずに3Dボタンを用いてやり取りを行うことができる。これは、複数画像機能ディスプレイ22に、画質を低下させがちな指紋がつかないようにできるという長所を有する。
図33において模式的に概説される実施形態は、図3bに詳解するように、視差光学素子2およびディスプレイ9を備える。視差光学素子は図7aに基づいて形成され、レンズ素子4のアレイを備え、レンズ素子間の空間は不透明物質3で満たされる。代替の視差光学素子を図7b、c、およびdに示す。図33における視差光学素子2は、ディスプレイ9における4つの画素のピッチ(ピッチ2)と略同一のピッチ(ピッチ1)を有する。ピッチ2は、画素タイプE、F、G、およびHのそれぞれの第1〜第4画素を含む。画素タイプE、F、G、およびHは、白色画素であってもよい。画素タイプE、F、G、およびHは、カラーのサブ画素であってもよい。レンズ4の頂点は、画素タイプEおよびFの実質的な周囲を中心として位置する。特に、レンズ4の中心線31を含み、かつ、視差光学素子2に対して略垂直に延びる面30の両側に、タイプEの第1画素とタイプFの第2画素とが配置される。タイプGの第3画素は、面30を基準にして第1画素の両側に配置され、タイプHの第4画素は、面30を基準にして第2画素の両側に配置される。
視差光学素子のピッチ(ピッチ1)に対する不透明物質(バリア)の幅の比が0%から40%の間のとき、好ましい値としては約20%のとき、満足のいく画像形成性能が得られることが分かった。レンズ幅に対するバリア幅の比が大きい場合、良好な画像形成能力を実現させる。しかしながら、当該比が大きすぎる場合、バリアが目に付くことから、画像アーティファクトが生じる。このため、バリア幅は、観察者にとっては実質的に控えめであるが、十分な画像形成の結果を実現するように選択される必要がある。市松模様状に構成されるバリア(図10b)は、1次元バリア構成(図10a)よりも視覚的な画像アーティファクトを低減できる。30μmのバリア幅、120μmのレンズ幅、40μmのレンズ高さ、および65μmの曲率半径を有するレンズを用いると、好ましい性能が得られることが分かった。基板6の厚さと等しい距離だけ、レンズの頂点は画素層から離れている。基板6の厚さが30μmから200μmの間で変更されると、満足のいく画像形成性能が得られることが分かった。基板6の厚さが約75μmのとき、好ましい性能が得られることが分かった。視差光学素子が、図12dに基づくピクセル型ディスプレイに取り付けられると、好ましい画像形成性能が得られることが分かった。
画素タイプEの角度依存視認ウィンドウは図34aに模式的に示され、先に詳述した好ましい画像形成状態の詳細に基づく図34bにおいて正確にモデル化されている。画素タイプEは、観察者5によって軸上で視認可能であり、ディスプレイ9の観察者5bによって左の軸外で視認可能である画像を実質的に形成する。
画素タイプFの角度依存視認ウィンドウは図35aに模式的に示され、先に詳述した好ましい画像形成状態の詳細に基づく図35bにおいて正確にモデル化されている。画素タイプFは、観察者5によって軸上で視認可能であり、ディスプレイ9の観察者5cによって右の軸外で視認可能な画像を実質的に形成する。
画素タイプHの角度依存視認ウィンドウは図36aに模式的に示され、先に詳述した好ましい画像形成状態の詳細に基づく図36bにおいて正確にモデル化されている。画素タイプHは、ディスプレイ9の観察者5cによって右の軸外で視認可能な画像を実質的に形成する。
画素タイプGの角度依存視認ウィンドウは図37aに模式的に示され、先に詳述した好ましい画像形成状態の詳細に基づく図37bにおいて正確にモデル化されている。画素タイプGは、観察者5bによって左の軸外で視認可能な画像を実質的に形成する。任意の行および/または列において同色を表示するように画素タイプE、F、G、およびHを配列することによって、望ましくない画像アーティファクトを最小化できる。
図33で示すように、視差光学素子2およびピクセル型ディスプレイ9を用いることによって、複数画像機能を可能にするディスプレイを実現することができる。実際に複数画像機能を実現するために、所定の方法でピクセル型ディスプレイに画像を表示することが必要である。より具体的には、異なる画像が所定の方法で空間的に組み合せられる必要がある。図33において概説される実施形態のために画素タイプE、F、GおよびHに画像を表示する方法を、図38a〜eに示す。図38aによると、同じ画像(顔)を画素タイプE、F、GおよびHに表示することによって、広角度視認パブリックモードが実現される(すなわち、にこやかな顔が全ての方向から視認可能である)。図38bによると、第1画像(顔)を画素タイプEおよびFに表示し、第1画像と異なる第2画像(花)を画素タイプGおよびHに表示することによって、強いプライバシーモードが実現されるが、第1画像(顔)は観察者5によって軸上で実質的に視認可能であり、第2画像(花)は観察者5bおよび5cによって軸外で実質的に視認可能である。
図38cによると、第1画像(顔)を画素タイプEおよびFに表示し、第2画像(太陽)を画素タイプGに表示し、第3画像(花)を画素タイプHに表示することによって、プライバシーモードが実現されるが、第1画像(顔)は観察者5によって軸上で実質的に視認可能であり、第2画像(太陽)は観察者5bによって左の軸外で視認可能であり、第3画像(花)は観察者5cによって右の軸外で視認可能である。これによって、軸上の第1画像(顔)についてのプライバシーの度合いが確保される。
図38dによると、第1画像(人の左目で観察されるボート)を画像タイプEに表示し、第2画像(人の右目で観察されるボート)を画素タイプFに表示することによって、ボートの裸眼立体画像が軸上で視認可能となる。それぞれの目で見るとき、第1および第2画像は“立体の画像対”であり、ボートの画像を表す。第3画像(花)を画素タイプGおよびHに表示することによって、3Dプライバシーモードが実現されるが、ボートの裸眼立体画像は軸上で視認可能であり、花の画像は軸外で観察される。
図38eによると、第1画像(人の左目で観察されるボート)を画素タイプEに表示し、第2画像(人の右目で観察されるボート)を画素タイプFに表示し、第3画像(ボートの非立体画像)を画素タイプGおよびHに表示することによって、ボートの裸眼立体画像が軸上で視認可能となり、同じボートを示す裸眼立体画像は軸外で視認可能となる。
図39において模式的に概説される実施形態は、図3bで詳述されるように、視差光学素子2およびディスプレイ9を備える。視差光学素子は図7aに基づいて形成され、レンズ素子4のアレイからなり、レンズ素子間の空間は不透明物質3で満たされる。代替の視差光学素子を、図7b、c、およびdに示す。図39における視差光学素子2は、ディスプレイ9における3つの画素のピッチ(ピッチ3)と略同一のピッチ(ピッチ1)とを有する。ピッチ3は、画素タイプJ、K、およびLのそれぞれの第1〜第3画素を含む。画素タイプJ、K、およびLは、白色画素であってもよい。画素タイプJ、K、およびLは、カラーのサブ画素であってもよい。レンズ4の頂点は、画素タイプJおよびKの略周辺にその中心が位置する。特に、タイプJの第1画素とタイプKの第2画素は、面30の両側に配置され、タイプLの第3画素は、面30を基準にして第1および第2画素の両側に配置される。ディスプレイの端部における画素以外の第3画素は、第1〜第3画素の隣接するグループによって共有される。
視差光学素子のピッチ(ピッチ1)に対する不透明物質(バリア)の幅の比が0%から40%の間のとき、好ましい値としては約20%のとき、満足のいく画像形成性能が得られることが分かった。レンズ幅に対するバリア幅の比が大きい場合、良好な画像形成能力を実現させる。しかしながら、当該比が大きすぎると、バリアが目に付くことから、画像アーティファクトが生じる。このため、バリア幅は観察者にとって実質的に控えめではあるが、十分な画像形成の結果を実現するように選択される必要がある。市松模様状に構成されるバリア(図10b)は、1次元バリア構成(図10a)よりも視認可能な画像アーティファクトを低減できる。35μmのバリア幅、113μmのレンズ幅、30μmのレンズ高さ、および39μmの曲率半径を有するレンズを用いることによって、好ましい性能が得られることが分かった。基板6の厚さと等しい距離だけ、レンズの頂点は画素層から離れている。基板6の厚さを30μmから200μmの間で変更すると、満足のいく画像形成性能が得られることが分かった。基板6の厚さが約75μmのとき、好ましい性能が得られることが分かった。視差光学素子が、図12dに基づくピクセル型ディスプレイに取り付けられると、好ましい画像形成性能が得られることが分かった。
画素タイプJの角度依存視認ウィンドウは図40aに模式的に示され、先に詳述した好ましい画像形成状態の詳細に基づく図40bにおいて正確にモデル化されている。画素タイプJは、観察者5によって軸上で視認可能であり、ディスプレイ9の観察者5bによって左の軸外で視認可能である画像を実質的に形成する。
画像タイプKの角度依存視認ウィンドウは図41aに模式的に示され、先に詳述した好ましい画像形成状態の詳細に基づく図41bにおいて正確にモデル化されている。画素タイプKは、観察者5によって軸上で視認可能であり、ディスプレイ9の観察者5cによって右の軸外で視認可能な画像を実質的に形成する。
画素タイプLの角度依存視認ウィンドウは図42aに模式的に示され、先に詳述した好ましい画像形成状態の詳細に基づく図42bにおいて正確にモデル化されている。画素タイプLは、観察者5cによって右の軸外で視認可能であって、ディスプレイ9の観察者5bによって左の軸外で視認可能な画像を実質的に形成する。
図39に示すように視差光学素子2およびピクセル型ディスプレイ9を用いると、複数画像機能を可能にするディスプレイが実現される。複数画像機能を実際に実現するために、所定の方法で画像をピクセル型ディスプレイに表示する必要がある。より具体的には、異なる画像が所定の方法で空間的に組み合わせられなければならない。図29において概説される実施形態のための画像タイプJ、K、およびLに画像を表示する方法を、図43a〜dに示す。
図43aによると、同じ画像(にこやかな顔)を画像タイプJ、K、およびLに表示することによって、広角度視認パブリックモードが実現される(すなわち、にこやかな顔が全ての方向から視認可能である)。
図43bによると、第1画像(顔)を画素タイプJおよびKに表示し、第1画像と異なる第2画像(花)を画素タイプLに表示することによって、強いプライバシーモードが実現されるが、第1画像(顔)は、観察者5によって軸上で実質的に視認可能であり、第2画像(花)は、観察者5bによって左の軸外で実質的に視認可能であり、観察者5cによって右の軸外で視認可能である。
図43cによると、第1画像(人の左目で観察されるボート)を画素タイプJに表示し、第2画像(人の右目で観察されるボート)を画素タイプKに表示することによって、ボートの裸眼立体画像が軸上で視認可能となる。第1および第2画像は“立体の画像対”であり、それぞれの目でみるときにボートの画像を示す。第3画像(花)を画素タイプLに表示することによって、3Dプライバシーモードが実現されるが、ボートの裸眼立体画像は軸上で視認可能であり、花の画像は軸外で観察される。
図43dによると、第1画像(人の左目で観察されるボード)を画素タイプJに表示し、第2画像(人の右目で観察されるボート)を画素タイプKに表示し、第3画像(ボートの非立体画像)を画素タイプLに表示することによって、ボートの裸眼立体画像が軸上で視認可能となり、同じボートを示す非裸眼立体画像が軸外で視認可能となる。
図15、図17、図18、および図20mを参照すると、裸眼立体3Dモードを実現することが可能であり、3D画像は観察者5によって軸上で知覚され、2D画像は観察者5bおよび5cによって軸外で知覚される。図33、図34、図35、図38d、および図38eを参照すると、裸眼立体3Dモードを実現することが可能であるが、3D画像が観察者5によって軸上で知覚され、2D画像が観察者5bおよび5cによって軸外で知覚される。図39、図40、図41、図43c、および図43dを参照すると、裸眼立体3Dモードを実現することが可能であり、3D画像が観察者5によって軸上で知覚され、2D画像が観察者5bおよび5cによって軸外で知覚される。上記のものと同様に、裸眼立体3Dディスプレイシステムは、3D画像用の単一の視認位置を有し、他の全ての視認位置は2D画像を実現するが、ユーザが決して“逆3D画像”を経験することがないという長所を有している。逆3D画像とは、右目で左目画像が見られたり、その逆の現象が起こったりするように、左目画像と右目画像とが逆転した状態のものをいう。逆3D画像は、非トラッキング裸眼立体3Dディスプレイに共通する問題であり、ユーザが自分の頭を、正しい3D視認位置から横方向に、感知し得るほどの距離だけ動かすと発生する。3D画像と逆3D画像との間の画像のブレは不快なものであり、ユーザの気を逸らしてしまう。
本発明をこのように説明してきたが、同一の方法を他の方法に変更してもよいことは明らかである。このような変更は、本発明の精神と範囲から逸脱するものと見なされるべきではなく、当業者にとって自明である全ての変形は、以下の請求項の範囲内に含まれることを意図するものである。