JP2011513197A - ポリヒドロキシスチルベン化合物の合成方法 - Google Patents

ポリヒドロキシスチルベン化合物の合成方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、Aが水素またはOR‘基を表し、R、R、RおよびR’が、独立に、アルキル基またはアラルキル基を表す、式(II)−(E)または(II)−(Z)の化合物の、アルミニウムハライドおよび三級アミンの存在下での脱保護により、Rが水素またはOH基を表す、式(I)−(E)または(I)−(Z)のスチルベン誘導体を合成するための方法に関する。

Description

本発明の主題は、ポリヒドロキシスチルベン化合物の合成の新規な方法である。
本発明は、より特定すると、レスベラトロールおよびピセタノールの合成方法に関する。
ポリヒドロキシスチルベンは、種々の植物中に見出され、非常に多様な治療特性を示すために特に注目を集めている化合物である。
これらの誘導体としては、次式のレスベラトロール(E−3,5,4’−トリヒドロキシスチルベン)およびピセタノール(E−3,5,3’,4’−テトラヒドロキシスチルベン)がある。
Figure 2011513197
レスベラトロールおよびピセタノールは、酸化的なストレスの有害な効果を抑制したり、遅らせたりすることができる抗酸化作用を示すことで知られているポリフェノールの部類に属する化合物である。
治療の分野では、レスベラトロールは、血小板抗凝集剤、抗炎症薬もしくは血管拡張剤として、または細胞増殖阻害薬として挙げられている。
ポリヒドロキシスチルベンの製造に用いる大部分の経路においては、エーテル誘導体の形態でフェノール官能基の保護が必要である。保護は、最も一般にメチル、メチレン、イソプロピルまたはベンジル基で行われる。ポリヒドロキシスチルベンの合成は、フェノール官能基を脱離させるために最後に脱保護のステップを必要とする。フェノールエーテルの脱保護のステップは、一般にアニソールのような簡単な誘導体の場合は、J. Chem. Soc. (1944年)、330頁(非特許文献1)にあるように、塩化アルミニウムで容易に実施できる。しかし、この反応は、特にスチルベン誘導体の場合は二重結合の存在のために、さらに具体的には分子がエーテル基のような活性化基(いわば、電子供与基)を分子の芳香環上に有する場合は困難である。ルイス酸の最も普通で安価な、臭素水素酸または塩化アルミニウムなどの強い酸を使用すると、こうした脱保護反応の間に分子の分解を顕著に引き起こす。ベンジルエーテルのより特定の場合は水素分解により脱保護が実施されるが、スチルベン誘導体の特定の場合には二重結合の水素化が起こる。
こうした欠点を克服するために、これらのスチルベン誘導体の場合、O−脱メチル化またはO−脱ベンジル化反応において、国際公開第2003/086414号(特許文献1)におけるように三臭化ボロンの使用が一般になされ、またはTetrahedron Lett.、第44巻1号、(2003年)、193-98頁(非特許文献2)におけるように、ヨウ化テトラブチルアンモニウムの存在下で三塩化ボロンを、イソプロピル基の特定の場合、Tetrahedron、第59巻、(2003年)、3315-21頁(非特許文献3)におけるように三塩化ボロンが単独で使用される。しかし、BClは、BBrと同様、工業的に使用するには危険な、高価な試薬である。
J. Org. Chem.、第62巻、2号(1997年)、417-21頁(非特許文献4)におけるヨウ化メチルマグネシウム、またはJ. Agric. Food Chem.、第47巻、10号(1999年)、3974-77頁(非特許文献5)におけるピリジニウム塩酸塩などの他の試薬は、一般にあまり良くない収率のために大量の試薬、および厳しい反応条件(高温)を使用する。
ある著者は、カナダ国特許第1663939号(特許文献2)におけるように、165〜170℃の温度でレスベラトロールを得るためにピリジン中の塩化アルミニウムを試薬および溶媒として用いる。しかし、非常に特別な反応条件に加えて、この溶媒には毒性であり、工業用途では回避される。O−脱ベンジル反応に特定しているが、Akiyamaらの反応においても状況は同じである。この反応では、特にレスベラトロールおよびピセタノールを合成するために、塩化アルミニウムおよびN,N−ジメチルアニリンを試薬として用いており、例えば、J. Med. Chem.、(2003年)、第46巻(16号)、3547頁(非特許文献6)に報告されている。しかし、芳香族アミンは高価であり、毒性が高く、除去が困難であり、工業的にはこの方法を魅力のないものにしている。
国際公開第2003/086414号 カナダ国特許第1663939号 欧州特許第1466884号明細書 米国特許第2004/0015020号明細書
J. Chem. Soc. (1944年)、330頁 Tetrahedron Lett.、第44巻、1号(2003年)、193-98頁 Tetrahedron、第59巻、(2003年)、 3315-21頁 J. Org. Chem.、第62巻、2号(1997年)、417-21頁 J. Agric. Food Chem.、第47巻、10号(1999年)、3974-77頁 J. Med. Chem.、(2003年)、第46巻(16号)、3547頁
工業的な観点からみて、上記の解決策はいずれも真に満足できるものではないことを考慮して、出願人である法人は、アルコキシまたはアラルコキシスチルベン誘導体の脱保護に、より特定すると、レスベラトロールおよびピセタノールの合成目的に対して、より適切な方法を探索した。
したがって、本発明の主題は、式(I)−(E)の(E)−スチルベン誘導体または式(I)−(Z)の(Z)−スチルベン誘導体を
Figure 2011513197
(式中、Rは水素またはOH基を表し、
、R、R、R、RおよびRは、独立に、水素、または
−ハロゲン、
−ニトロ基、
−直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基、
−直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルケニル基、
−C〜C10のシクロアルキル基、
−シクロアルキルおよびアルキル基が上記定義の通りであるシクロアルキルアルキル基、
−単環、二環または三環のC〜C14のアリール基、
−C〜C16のアラルキル基、
−C(=O)R10基、
(式中、R10は、直鎖または分枝鎖のC〜Cのアルキル基、C〜C10のシクロアルキル基、シクロアルキルおよびアルキル基が上記定義の通りであるシクロアルキルアルキル基、単環、二環または三環のC〜C14のアリール基、C〜C16のアラルキル基、R11が、水素、直鎖または分枝鎖のC〜Cのアルキル基、C〜C10のシクロアルキル基、シクロアルキルおよびアルキル基が上記定義の通りであるシクロアルキルアルキル基、単環、二環または三環のC〜C14のアリール基またはC〜C16のアラルキル基を表すOR11基、またはR12およびR13が、独立に、水素、直鎖または分枝鎖のC〜Cのアルキル基、C〜C10のシクロアルキル基、シクロアルキルおよびアルキル基が上記定義の通りであるシクロアルキルアルキル基、単環、二環または三環のC〜C14のアリール基またはC〜C16のアラルキル基を表すNR1213を表す)
から選択される置換基であり、
上記のすべてのアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはアラルキル基は、置換または非置換であり)、
式(II)−(E)または(II)−(Z)の化合物の脱保護により合成するための方法であって、
Figure 2011513197
(式中、Aは、水素またはOR’基を表し、R、R、RおよびR’は、独立に、直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基、またはアリール部位上で1つまたは複数のC〜Cのアルコキシ基またはハロゲン基で場合により置換されている、C〜C16のアラルキル基を表す)
前記脱保護が、アルミニウムハライドおよび式NRの三級アミン(式中、R、RおよびRは、独立に、直鎖または分枝鎖のC〜Cのアルキル基を表す)の使用により実施されることを特徴とする方法である。
好ましい態様によれば、本発明はまた、式(I)の(E)−スチルベン誘導体を
Figure 2011513197
(式中、Rは水素またはOH基を表す)
式(II)の化合物の脱保護により合成するための方法であって、
Figure 2011513197
(式中、Aは、水素またはOR’基を表し、R、R、RおよびR’は、独立に、直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基、またはアリール部位上で1つまたは複数のC〜Cのアルコキシ基またはハロゲン基で場合により置換されている、C〜C16のアラルキル基を表す)
前記脱保護が、アルミニウムハライドおよび式NRの三級アミン(式中、R、RおよびRは、独立に、直鎖または分枝鎖のC〜Cのアルキル基を表す)の使用により実施されることを特徴とする方法に関する。
本明細書では、「直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基」という用語は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはヘキシル基を意味すると理解される。
ハロゲン基は、Cl、Br、FまたはIを意味する。
「直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基」という用語は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル基を意味すると理解される。
「直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルケニル基」という用語は、例えば、エテニルもしくはビニル、プロペニルもしくはアリル、1−プロペニル、n−ブテニル、イソブテニル、3−メチルブタ−2−エニル、n−ペンテニルまたはヘキセニル基を意味すると理解される。
「C〜Cのアルコキシ基」という用語は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシ基を指す。
「C〜C10のシクロアルキル基」という用語は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基を意味すると理解される。
「シクロアルキルアルキル基」という用語は、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロプロピルエチルまたはシクロヘキシルエチル基を意味すると理解される。
「単環、二環または三環のC〜C14のアリール基」という用語は、例えば、フェニル、ナフチル、インデニル、またはアントラセニル基を意味すると理解される。
「C〜C16のアラルキル基」という用語は、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、ナフタレニルメチルまたは1−ナフタレニルエチル基を指すと理解される。
本発明の方法は、R、R、RおよびR’が、独立に、直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基、またはフェニル部位上で1つまたは複数のC〜Cのアルコキシ基で場合により置換されているベンジル基を表す式(II)−(E)または(II)−(Z)の化合物の使用、さらに特に、R、R、RおよびR’が、独立に、メチル基またはベンジル基を表し、R、R、R、R、RおよびRは、上記定義の通りである、式(II)−(E)または(II)−(Z)の化合物の使用に特に適用される。
好ましい態様によれば、本発明の方法は、R、R、RおよびR’が、独立に、直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基、またはフェニル部位上で1つまたは複数のC〜Cのアルコキシ基で場合により置換されているベンジル基を表す、式(II)の化合物の使用、さらに特に、R、R、RおよびR’が、独立に、メチル基またはベンジル基を表す、式(II)の化合物の使用に適用される。
本発明においては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムおよびヨウ化アルミニウムから選択され得る、好ましくは塩化アルミニウムである、アルミニウムハライドを使用する。
本発明の好ましい態様によれば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、およびN,N−ジメチルブチルアミンから選択され得る、好ましくはトリエチルアミンである、三級アミンを使用する。
本発明の方法に使用される、アルミニウムハライド:三級アミンの試薬のモル比は、1:1〜1:4の間、好ましくは、1:1〜1:2の間、さらに特に、1:1.5〜1:1.6の間を変化し得る。
一般に、式(II)−(E)、(II)−(Z)または(II)の化合物中の脱保護されるエーテル基当り、アルミニウムハライドが、1〜10モル当量の間、三級アミンが、1〜20モル当量の間、好ましくは、脱保護されるエーテル基当り、アルミニウムハライドが、1〜4モル当量の間、三級アミンが、1〜6モル当量の間、さらに特定すると、脱保護されるエーテル基当り、アルミニウムハライドが、2〜2.2モル当量の間、三級アミンが、3〜3.5モル当量の間で使用される。
本発明によれば、本発明の方法は、溶媒なしでまたは水酸基を含まないおよび酸素原子を含まない溶媒を使用して用いられ得る。好ましくは、溶媒または溶媒混合物が使用される。より特定すると、本発明に適した溶媒の例として、ハロゲン化脂肪族炭化水素またはハロゲン化もしくは非ハロゲン化芳香族炭化水素を挙げることができる。より特定すると、ハロゲン化脂肪族炭化水素の例として、ジクロロメタンまたは1,2−ジクロロエタンを挙げることができる。
さらに特定すると、ハロゲン化もしくは非ハロゲン化芳香族炭化水素の例として、トルエンまたはクロロベンゼンを挙げることができる。
好ましい溶媒は、トルエンおよびクロロベンゼンであり、特にクロロベンゼンである。
本発明の最初の別の形態によれば、アルミニウムハライドおよび三級アミンの使用に関してなんらの制限もない。アルミニウムハライドおよび三級アミンはいかなる順序で導入してもよい。
本発明の好ましい実施形態によれば、アルミニウムハライドが三級アミンに添加され、次いで式(II)−(E)、(II)−(Z)または(II)の化合物が導入される。
本発明の好ましい他の実施形態によれば、式(II)−(E)、(II)−(Z)または(II)の化合物が三級アミンに添加され、次いでアルミニウムハライドが導入される。
本発明の第2の別の形態によれば、アルミニウムハライド/三級アミン錯体が前もって形成され、式(II)−(E)、(II)−(Z)または(II)の化合物の導入前に場合により単離される。好ましくは、アルミニウムハライドおよび三級アミンは、50〜60℃の間の温度で、1〜4時間、場合によっては、上述したような溶媒中で反応させる。
本発明の方法が実施される温度は、一般には、50〜120℃の間である。好ましくは、80〜100℃の間の温度の範囲が使用される。
反応時間は反応条件に依存して、特に、温度および成分において変化し得る。反応媒体のHPLCによる分析は、式(II)−(E)、(II)−(Z)または(II)の化合物の消失の確認を可能とする。
式(II)−(E)、(II)−(Z)または(II)の化合物は、既存の技術、例えば、欧州特許第1466884号明細書(特許文献3)、国際公開特許第2003/086414号(特許文献1)、および米国特許第2004/0015020号明細書(特許文献4)などの公知の方法により入手し得る。
以下の例は、制限を加えることなく本発明を例示する。
例1
三口丸底フラスコ中の20mlのクロロベンゼン中へ、56.2g(555.4mmol)のトリエチルアミンを導入する。窒素雰囲気を適用し、反応媒体を0〜5℃に冷却し、45g(337.5mmol)の無水塩化アルミニウムを、30分かけて少量ずつ添加する。媒体を撹拌しながら30分間室温に保ち、次いで60℃にし、この温度を1時間保つ。続いて、20mlのクロロベンゼンに溶解した10g(37mmol)の(E)−3,5,4’−トリメトキシスチルベンを、1時間で加える。混合物を撹拌しながら、60℃に4時間、次いで、80℃に4時間保つ。室温に戻し、静置して分離させ、上層のクロロベンゼン相を回収する。下相に50/50の氷/水混合物100gを徐々に加える。媒体を1時間撹拌を続け、酢酸エチルで数回抽出する。
合一した有機相を水で洗浄し、濃縮して7.6g、すなわち、粗収率90%で(E)−レスベラトロールを得る。粗生成物を60℃でエタノールに溶解し、、水を加えてレスベラトロールを沈殿させ、融点262〜264℃を示す沈殿物6gを得た。
プロトンおよび13CNMRスペクトルは、(E)−レスベラトロールの構造と一致した。
例2
三口丸底フラスコ中の10.37g(56mmol)のトリブチルアミン中へ、4.5g(33.7mmol)の無水塩化アルミニウムを、窒素雰囲気下で、室温で、撹拌しながら導入する。媒体を60℃にし、4時間この値に保つ。次いで、1g(3.7mmol)の(E)−3,5,4’−トリメトキシスチルベンを導入し、反応媒体を80℃にして2時間、100℃にして2時間とする。室温に戻し、次いで、50/50の水/氷混合物10gを加える。撹拌しながら0〜5℃に3時間保ち、10mlのメチルエチルケトンで4〜5回抽出する。合一した有機相を10mlの飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで10mlの水で洗浄する。有機相を濃縮した後、HPLC定量分析(外部標準)により、(E)−レスベラトロールの収率75%を得た。
例3
三口丸底フラスコ中に4mlのクロロベンゼンと6g(59.3mmol)のトリエチルアミンを導入する。窒素雰囲気を適用し、混合物を0〜5℃に冷却し、この温度で、4.9g(36.7mmol)の無水塩化アルミニウムを少量ずつ導入する。媒体を50℃にし、この温度に1時間保つ。次いで、5mlのクロロベンゼンに溶解した2g(4mmol)の(E)−3,5,4’−トリベンジルオキシスチルベンを、この温度で1時間で添加する。4時間、この温度を保ち、次いで、温度を80℃で4時間保つ。混合物を室温に戻し、静置して分離させ、重い相を回収して、20mlの50/50の氷/水混合物上へ注ぐ。媒体を2時間撹拌し続け、酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で、次いで水で洗浄し、次いで、濃縮して、0.93gの粗(E)−レスベラトロールを得る、すなわち、出発物質のトリベンジルレスベラトロールに対して実際的には定量的収率である。
例4
三口丸底フラスコ中に4.5mlのクロロベンゼンと15.7g(155.1mmol;21mol当量)のトリエチルアミンを導入する。窒素雰囲気を適用し、混合物を0〜5℃に冷却し、12.8g(95mmol;13mol当量)の無水塩化アルミニウムを、30分間で添加する。媒体を1時間60℃にする。4.5mlのクロロベンゼンに溶解した2.2g(7.3mmol)のテトラメチルピセタノールを、この温度で1時間で添加する。反応媒体を4時間、この温度に保ち、次いで、80℃で4時間保つ。室温に戻し、静置して分離させ、重い相を回収して、40gの50/50の水/氷混合物上へ連続して滴下し、加水分解させる。混合物をこの温度で、1時間30分、撹拌し続ける。媒体を25mlのメチルエチルケトンで4回抽出し、有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液で、次いで水で洗浄する。1.62gの粗(E)−ピセタノールが、茶色固体の形態で回収される。
生成物を、メタノール/水の5/95混合物から精製し、233〜34℃の融点を示すピセタノールを得る。
プロトンおよび13CNMRスペクトルは、(E)−ピセタノールの構造と一致する。
例5
100mlの三口丸底フラスコ中の20g(197.6mmol)のトリエチルアミン中へ、5g(18.5mmol)の(E)−3,5,4’−トリメトキシスチルベンを導入する。窒素雰囲気下で、混合物を50℃に加熱し、この温度で、16g(120mmol)の無水塩化アルミニウムを、少量ずつ30分間で添加する。次いで、反応媒体を2時間80℃にして、次いで、2時間100℃にする。約75℃に冷却し、10mlの無水エタノールを徐々に添加し、次いで、この75℃の温度で、50mlの水を30分間で加える。反応媒体を室温に冷却し、3時間保ち、35mlのメチルエチルケトンで1回、30mlのメチルエチルケトンで3回、媒体を抽出する。合一した有機相を30mlの水で洗浄し、次いで30mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液および30mlの水で洗浄する。有機相を濃縮した後、15mlの無水のエタノールを加え、混合物を加熱して還流させる。次いで、なお還流下で、46gの水を約1時間で加える。混合物を室温に冷却し、3時間撹拌する。沈殿物をろ過し、ろ紙上で9gの水/メタノール混合物(重量比で80/20)で洗浄する。
減圧下、40℃で24時間乾燥した後、3.1g、すなわち、収率73.4%で(E)−レスベラトロールが得られる。
HPLCおよびNMR分析は、(E)−レスベラトロールの構造と一致している。
例6
5.6g(55.5mmol)のトリエチルアミンを、4mlの塩化メチレン中に導入する。媒体を0〜5℃に冷却し、4.5g(33.5mmol)の無水塩化アルミニウムを15分間で、少量ずつ、撹拌しながら、窒素雰囲気下で加える。続いて、反応媒体を4時間50℃にする。冷却し、室温で、溶媒と過剰のアミンを濃縮し、形成されたやや発煙するピンクがかった固体、AlCl/トリエチルアミン錯体約8.5gを得る
。固体に2mlのクロロベンゼンを加え、混合物を60℃にする。2mlのクロロベンゼンに溶解した1g(3.7mmmol)の3,5,4’−トリメトキシスチルベンをこの温度で、1時間で添加する。混合物を、60℃に4時間、次いで、80℃に2時間に保つ。反応媒体を室温に戻し、次いで、10gの水/氷(50/50)混合物を加えて加水分解する。温度を0〜5℃に1時間保ち、媒体を酢酸エチルで数回抽出する。有機相を濃縮した後、得られた沈殿物を6mlのクロロベンゼンで洗浄し、減圧下で乾燥して、0.6gの粗(E)−レスベラトロールを得る。

Claims (17)

  1. 式(I)−(E)の(E)−スチルベン誘導体または式(I)−(Z)の(Z)−スチルベン誘導体を、
    Figure 2011513197
    (式中、Rは水素またはOH基を表し、
    、R、R、R、RおよびRは、独立に、水素、または
    −ハロゲン、
    −ニトロ基、
    −直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基、
    −直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルケニル基、
    −C〜C10のシクロアルキル基、
    −シクロアルキルおよびアルキル基が上記定義の通りであるシクロアルキルアルキル基、
    −単環、二環または三環のC〜C14のアリール基、
    −C〜C16のアラルキル基、
    −C(=O)R10基、
    (式中、R10は、直鎖または分枝鎖のC〜Cのアルキル基、C〜C10のシクロアルキル基、シクロアルキルおよびアルキル基が上記定義の通りであるシクロアルキルアルキル基、単環、二環または三環のC〜C14のアリール基、C〜C16のアラルキル基、R11が、水素、直鎖または分枝鎖のC〜Cのアルキル基、C〜C10のシクロアルキル基、シクロアルキルおよびアルキル基が上記定義の通りであるシクロアルキルアルキル基、単環、二環または三環のC〜C14のアリール基またはC〜C16のアラルキル基を表すOR11基、または、R12およびR13が、独立に、水素、直鎖または分枝鎖のC〜Cのアルキル基、C〜C10のシクロアルキル基、シクロアルキルおよびアルキル基が上記定義の通りであるシクロアルキルアルキル基、単環、二環または三環のC〜C14のアリール基またはC〜C16のアラルキル基を表すNR1213を表す)
    から選択される置換基であり、
    上記のすべてのアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはアラルキル基は、置換または非置換であり)、
    式(II)−(E)または(II)−(Z)の化合物の脱保護により合成するための方法であって、
    Figure 2011513197
    (式中、Aは、水素またはOR’基を表し、R、R、RおよびR’は、独立に、直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基、またはアリール部位上で1つまたは複数のC〜Cのアルコキシ基またはハロゲン基で置換されているまたは非置換の、C〜C16のアラルキル基を表す)
    前記脱保護が、アルミニウムハライドおよび式NRの三級アミン(式中、R、RおよびRは、独立に、直鎖または分枝鎖のC〜Cのアルキル基を表す)の使用により実施されることを特徴とする方法。
  2. 式(I)の(E)−スチルベン誘導体を式(II)の化合物の脱保護により、
    調製するための請求項1に記載の方法であって、
    Figure 2011513197
    (式中、Rは水素またはOH基である)

    Figure 2011513197
    (式中、Aは、水素またはOR’基を表し、R、R、RおよびR’は、独立に、直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基、またはアリール部位上で1つまたは複数のC〜Cのアルコキシ基またはハロゲン基で置換されているまたは非置換の、C〜C16のアラルキル基を表す)
    前記脱保護が、アルミニウムハライドおよび式NRの三級アミン(式中、R、RおよびRは、独立に、直鎖または分枝鎖のC〜Cのアルキル基を表す)の使用により実施されることを特徴とする方法。
  3. 式(II)−(E)または(II)−(Z)中、R、R、RおよびR’が、独立に、直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基、またはフェニル部位上で1つまたは複数のC〜Cのアルコキシ基またはハロゲン基で置換されているまたは非置換のベンジル基を表し、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1において定義の通りであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 式(II)中、R、R、RおよびR’が、独立に、直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cのアルキル基、またはフェニル部位上で1つまたは複数のC〜Cのアルコキシ基またはハロゲン基で置換されているまたは非置換のベンジル基を表すことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  5. 式(II)−(E)、(II)−(Z)または(II)中、R、R、RおよびR’が、独立に、メチル基またはベンジル基を表す、請求項3または4に記載の方法。
  6. アルミニウムハライドが、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、およびヨウ化アルミニウムから選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
  7. アルミニウムハライドが、塩化アルミニウムであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 三級アミンが、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、およびN,N−ジメチルブチルアミンから選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
  9. 三級アミンが、トリエチルアミンであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 三級アミンに対するアルミニウムハライドのモル比が、1:1〜1:2の間で使用されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
  11. 三級アミンに対するアルミニウムハライドのモル比が、1:1.5〜1:1.6の間で使用されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 式(II)−(E)もしくは(II)−(Z)または(II)の化合物中の脱保護されるエーテル基当り、アルミニウムハライドが、1〜10モル当量、三級アミンが、1〜20モル当量で使用されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。
  13. 式(II)−(E)もしくは(II)−(Z)または(II)の化合物中の脱保護されるエーテル基当り、アルミニウムハライドが、1〜4モル当量、三級アミンが、1〜6モル当量で使用されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. アルミニウムハライド/式NRの三級アミン錯体を使用することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一つに記載の方法。
  15. 反応が、溶媒なしまたは1種もしくは複数の溶媒の存在下で実施されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載の方法。
  16. 溶媒がクロロベンゼンまたはトルエンから選択されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. 操作が、50℃〜120℃の間、好ましくは、80℃〜100℃の間の温度で実施されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つに記載の方法。
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