JP2011512417A - 血管形成の阻害 - Google Patents

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Abstract

血管新生に関連する病態を有する個人における血管形成を阻害するために、機能性ポリペプチドと、リンカーと、IgGの重鎖分子とを含む融合タンパク、および、該融合タンパクをコードするベクターを提供する。具体的には、哺乳類の眼疾患を治療する目的で、IgGの重鎖分子に融合したVEGF受容体を含む融合VEGF拮抗薬をコードするベクターを提供する。
【選択図】図15

Description

本発明は、血管形成を阻害するか、または病的血管新生、例えば喘息、関節炎、癌、および黄斑変性症を治療するのに有用な組成物および方法に関する。
病的血管新生は、滲出型加齢性黄斑変性症(AMD)、増殖性糖尿病網膜症、関節リウマチ、変形性関節症、および喘息のような疾患の主要な要素である。また、腫瘍の増殖と拡散においても重要な役割を果たす。血管新生は、血管新生促進因子と血管新生抑制因子との絶妙なバランスによって調節される。
血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管新生に必要であることが知られている。VEGF拮抗薬によるVEGF活性の阻害または低下は、AMD、関節炎の動物モデル、および各種腫瘍のモデルにおいて血管新生を阻害することが示されている。VEGF活性を阻害または低下させるVEGF拮抗薬としては、VEGFに対する抗体、可溶性受容体、受容体融合タンパク、ペプチド、および小分子が挙げられるが、これらに限らない。
VEGF−R1(Flt−1)とVEGF−R2(KDR)というタンパクは、VEGFに高い親和性で結合することが示されている。Flt−1とKDRの双方とも、その細胞外領域内にIg様ドメインを7個有する。ドメイン2は、VEGFの結合に不可欠であることが示されている。それぞれの完全長の可溶性受容体(ドメイン1〜7)およびドメイン1〜3のIgG Fcへの融合によって、効率的にVEGFを結合させる。しかし、IgG FcのIg様ドメイン2への融合のみでは、VEGFを結合させることはできず、Ig様ドメイン1および2の組み合わせも同様であった(Davis−Smyth, 1996)。このことから、Ig様ドメイン1および3は、ドメイン2と共に、効率的なVEGFの結合に必要であると見られる。
本発明の1つの実施形態によれば、融合タンパクを提供する。この融合タンパクはX−Y−Zという式を有する。Xは、細胞外受容体、抗体可変領域、サイトカイン、ケモカイン、および増殖因子からなる群から選択されるポリペプチドを含む。Yは、5〜25アミノ酸残基のポリペプチドから実質的になる。ZはIgGの重鎖分子のCH3領域である。
本発明の別の実施形態は、X−Y−Zという式のポリペプチドである。Xは、細胞外受容体、抗体可変領域、サイトカイン、ケモカイン、および増殖因子からなる群から選択されるポリペプチドを含む。Yは、5〜25アミノ残基の空間的分離をもたらすリンカー部分から実質的になる。ZはIgGの重鎖分子のCH3領域である。
本発明のさらに別の態様はX−Y−Zという式の融合タンパクである。Xは、細胞外受容体、抗体可変領域、サイトカイン、ケモカイン、および増殖因子からなる群から選択されるポリペプチドを含む。Yは、5〜25アミノ酸残基のポリペプチドから実質的になる。Zは抗体分子のFc部分である。
X−Y−Zという式の融合タンパクも提供する。Xは、細胞外受容体、抗体可変領域、サイトカイン、ケモカイン、および増殖因子からなる群から選択されるポリペプチドを含む。Yは、5〜25アミノ残基の空間的分離をもたらすリンカー部分から実質的になる。Zは抗体分子のFc部分である。
本発明のさらに別の態様は、ポリペプチドXを多量体化する方法である。ポリペプチドYを介して、ポリペプチドXをポリペプチドZに連結させて、ポリペプチドXYZを形成する。Xは、細胞外受容体、抗体可変領域、サイトカイン、ケモカイン、および増殖因子からなる群から選択されるポリペプチドを含む。Yは、5〜25アミノ残基のポリペプチドから実質的になる。Zは、IgGの重鎖分子のCH3領域である。形成されるポリペプチドXYZは、多量体を形成する。
本発明のさらに別の実施形態は、ポリペプチドXを多量体化する方法を提供する。部分Yを介して、ポリペプチドXをポリペプチドZに連結させて、ポリマーXYZを形成する。Xは、細胞外受容体、抗体可変領域、サイトカイン、ケモカイン、および増殖因子からなる群から選択されるポリペプチドを含む。Yは、5〜25アミノ残基の空間的分離をもたらすリンカー部分から実質的になる。ZはIgGの重鎖分子のCH3領域である。このように形成されるポリペプチドXYZは、多量体を形成する。
本発明の1つの実施形態では、核酸分子を提供する。この核酸分子は、VEGF−R1(Flt−1)のIg様ドメイン2と、リンカーと、多量体化ドメインとを含む融合タンパクをコードする。この融合タンパクは、配列番号2、8、21、23、および25からなる群から選択される配列を含む。
本発明の別の実施形態では、融合タンパクを提供する。この融合タンパクは、VEGF−R1(Flt−1)のIg様ドメイン2と、リンカーと、多量体化ドメインとを含む。この融合タンパクは、配列番号2、8、21、23、および25からなる群から選択される配列を含む。
本発明の別の実施形態では、インビトロでの方法を提供する。単離した哺乳類細胞に核酸分子を送達する。この核酸分子は、VEGF−R1(Flt−1)のIg様ドメイン2と、リンカーと、多量体化ドメインとを含む融合タンパクをコードする。この融合タンパクは、配列番号2、8、21、23、および25からなる群から選択される配列を含む。この融合タンパクの発現は、プロモーターによって制御する。融合タンパクを発現する細胞を形成する。
本発明のさらに別の実施形態は、融合タンパクを哺乳類に送達する方法である。この融合タンパクを発現する哺乳類細胞を哺乳類に送達する。この細胞は、この融合タンパクを発現および分泌し、それによって、その融合タンパクを哺乳類に供給する。この融合タンパクは、VEGF−R1(Flt−1)のIg様ドメイン2と、リンカーと、多量体化ドメインとを含む。この融合タンパクは、配列番号2、8、21、23、および25からなる群から選択される配列を含む。
本発明の別の態様は、融合タンパクを哺乳類に供給する方法である。VEGF−R1(Flt−1)のIg様ドメイン2と、リンカーと、多量体化ドメインとを含む融合タンパクを哺乳類に送達する。この融合タンパクは、配列番号2、8、21、23、および25からなる群から選択される配列を含む。この代わりに、前記融合タンパクをコードする核酸構成体を哺乳類に送達することができ、これによって、融合タンパクが哺乳類によって発現される。
本発明の別の態様は、VEGF拮抗薬(本発明の融合タンパクが挙げられるが、これに限らない)によって哺乳類の眼疾患を治療するための改良型の方法である。この改良は、眼疾患を治療するために治療効果のある、減少した量のVEGF拮抗薬を提供することを含む。このVEGF拮抗薬は、タンパク治療もしくは遺伝子治療、またはこれらの組み合わせによって投与してよい。この減少した量は、哺乳類において、少なくとも6カ月間、例えば、少なくとも9カ月間または少なくとも1年間、維持してよい。
本発明のいくつかの実施形態では、この減少した量は、約100pg/ml〜約100μg/ml、1ng/ml〜約95μg/ml、10ng/ml〜約85μg/ml、100ng/ml〜約75μg/ml、約100ng/ml〜約50μg/ml、約1μg/ml〜約25μg/ml、約1μg/ml〜約15μg/ml、約1μg/ml〜約10μg/ml、または約1μg/ml〜約4μg/mlであってよい。
本発明の別の態様は、哺乳類の眼疾患を治療する方法である。この方法は、VEGF拮抗薬をコードする核酸を哺乳類に投与することを含む。いくつかの実施形態では、眼疾患を治療するために、このVEGF拮抗薬を、約100pg/ml〜約100μg/ml、約1ng/ml〜約95μg/ml、約10ng/ml〜約85μg/ml、約100ng/ml〜約75μg/ml、約100ng/ml〜約50μg/ml、約1μg/ml〜約25μg/ml、約1μg/ml〜約15μg/ml、約1μg/ml〜約10μg/ml、または約1μg/ml〜約4μg/mlという治療効果のある量で発現させる。
本発明の別の態様は、哺乳類の眼疾患を治療する方法である。この方法は、VEGF拮抗薬をコードするウイルスベクターを単位投与量当たり約2×10〜約2×1012drpという治療効果のある量で哺乳類に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、治療効果のある量は、単位投与量当たり約2×10〜約2×1011drp、約2×10〜約2×1010drpである。
本発明の別の態様は、哺乳類の眼疾患を治療する方法である。この方法は、可溶性VEGF受容体または変異体を単位投与量当たり約0.1mg〜約50mg、好ましくは約0.1mg〜約5mg、例えば、約0.1mg〜約1mg、約0.1mg〜約0.5mg、および約0.1mg〜約0.25mgという治療効果のある量で哺乳類に投与することを含む。この可溶性VEGF受容体またはその変異体としては、本発明の融合タンパクが挙げられるが、これに限らない。
いくつかの実施形態では、可溶性VEGF受容体はFLT1D29GLYFC(配列番号1もしくは2)、またはD2−9GLY−CH3(配列番号22もしくは23)である。
いくつかの実施形態では、可溶性VEGF受容体の治療効果のある量は、約0.1mg〜約25mg、約0.1mg〜約10mg、約0.5mg〜約5mg、または約0.5mg〜約2.5mgである。可溶性VEGF受容体またはその変異体は、反復投与してよい。
本発明の別の態様は、哺乳類の眼疾患を治療する方法である。この方法は、本発明の融合タンパクのVEGF拮抗薬をコードする核酸を、哺乳類の罹患眼に投与することを含み、眼疾患を治療するために、このVEGF拮抗薬を約100ng/ml〜約75μg/mlという治療効果のある量で発現させる。
本発明の別の態様は、哺乳類の眼疾患を治療する方法である。この方法は、X−Y−Zという式のVEGF拮抗薬をコードする核酸を、哺乳類の罹患眼に送達することを含み、このVEGF拮抗薬を罹患眼の移行上皮細胞内で、約100ng/ml〜約75μg/mlという治療効果のある量で発現させる。
本発明の別の態様は、哺乳類の眼疾患を治療する方法である。この方法は、X−Y−Zという式のVEGF拮抗薬をコードする核酸を、硝子体内注射(例えば硝子体中央部への注射)によって、哺乳類の罹患眼に送達することを含み、このVEGF拮抗薬を約100ng/ml〜約75μg/mlという治療効果のある量で発現させる。
いくつかの実施形態では、VEGF拮抗薬は、約100pg/ml〜約100μg/ml、1ng/ml〜約95μg/ml、10ng/ml〜約85μg/ml、100ng/ml〜約50μg/ml、約1μg/ml〜約25μg/ml、約1μg/ml〜約15μg/ml、約1μg/ml〜約10μg/ml、または約1μg/ml〜約4μg/mlという治療効果のある量で発現させる。
1つの実施形態では、VEGF拮抗薬をコードする核酸はウイルスベクターである。別の実施形態では、このウイルスベクターはAAV、例えばAAV2である。
1つの実施形態では、VEGF拮抗薬を哺乳類内で、少なくとも6カ月間、例えば、少なくとも9カ月間または1年間、発現させる。
本発明の別の態様は、哺乳類の眼疾患を治療する方法である。この方法は、X−Y−Zという式のVEGF拮抗薬を、単位投与量当たり約2×10〜約2×1012drpという治療効果のある量で、哺乳類の罹患眼に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、治療効果のある量は、単位投与量当たり約2×10〜約2×1011drp、または約2×10〜約2×1010drpである。
いくつかの実施形態では、第2のVEGF拮抗薬を投与する。第2のVEGF拮抗薬は、IgGの重鎖分子に融合したVEGF受容体を含む融合ポリペプチド、好ましくは、IgGのFcまたはCH3ドメインに融合したVEGF−R1、より好ましくは、FcまたはCH3に融合したVEG−R1のドメイン2であってよい。リンカー、例えば9Glyを用いて、VEGF受容体とIgGドメインとを連結してよい。
第2のVEGF拮抗薬は、VEGF抗体、例えばベバシズマブまたはラニビズマブであってよい。
本発明の別の態様は、哺乳類の眼疾患を治療する方法である。この方法は、X−Y−Zという式のVEGF拮抗薬を哺乳類の罹患眼に投与することを含み、このVEGF拮抗薬は、単位投与量当たり約0.1mg〜約50mgという治療効果のある量である。
いくつかの実施形態では、治療効果のある量は、約0.1mg〜約25mg、約0.1mg〜約10mg、約0.5mg〜約5mg、または約0.5mg〜約2.5mgである。
本発明の別の態様は、眼に対する遺伝子治療を受けている哺乳類の眼の混濁を軽減する方法である。この方法は、空のカプシドをカプシド全体の90%以下含む遺伝子治療用ビリオンを哺乳類に(例えば眼に)投与することを含む。
いくつかの実施形態では、空のカプシドは、カプシド全体の80%以下、70%以下、60%以下、または50%以下である。1つの実施形態では、遺伝子治療用ビリオンは、空のカプシドを実質的に有さない。
1つの実施形態では、ビリオンはAAVビリオン、例えばAAV2ビリオンである。
いくつかの実施形態では、眼疾患は、滲出型加齢性黄斑変性症(滲出型AMD)、黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、未熟児網膜症、および糖尿病網膜症からなる群から選択される。
本発明の上記およびその他の実施形態について、以下でさらに詳細に説明するが、これらの実施形態は、血管増殖と炎症とに関連する疾患を治療するための方法と薬剤を当該技術分野に提供する。この薬剤は、天然形態のタンパクよりも向上した安定性とバイオアベイラビリティとをもたらすことができる。
D2−9Gly−Fcという構成体の9−Glyというリンカーの可変領域である。Karpus and Schultz (1985)の方法による相対的柔軟性の予測値は、9−Glyリンカーを含まないD2−Fcという構成体と比べて、柔軟性が平均よりも大きい(>1)領域として、D2−9Gly−Fcというタンパクのポリグリシン9mer(9−Gly)(aa94〜103)というリンカーを示している。いずれの融合タンパクも、□で示されている同一のアミノ酸配列であるsp、すなわちシグナルペプチド(aa−24〜−1)、Flt−1ドメイン2(aa1〜93)、およびIgGl−Fc残基(244aa)を含む。矢印は、SignalP V2.0というプログラム(Nielsen et al., 1997)を用いて予測した、シグナルペプチダーゼによる切断部位を表している。 D2−9Gly−FcとD2−Fcとの生物活性の比較である。293細胞を飢餓培地(M199+5%FCS)中で増殖させ、CMVプロモーターの制御下で、D2−9Gly−FcとD2−Fcとの発現カセットを含むプラスミドでトランスフェクションした。72時間後に馴化培地(CM)を回収した。HUVECを96ウェルプレート(2E3細胞/ウェル)にて、飢餓培地+VEGF(10ng/mL)中に播種し、24時間後に50μlのCM+VEGF(10ng/mL)を加えた。コントロールのpEGFP(クロンテック。pEGFPは、哺乳類細胞内での蛍光性の向上と発現の上昇のために最適化された、野生型緑色蛍光タンパク(GFP)のレッドシフト変異体を有する)のプラスミドによるトランスフェクション体に由来するCMで、コントロール(+/−VEGF)をインキュベートした。ポジティブコントロールを50ngの組み換えタンパクFlt−1−IgG(R&Dシステムズ)で処理した。HUVECの処置後3日目における増殖について、CellTiter 96(登録商標)AQueous試薬(プロメガ)を用いてアッセイした。データは、それぞれ3連でアッセイした2回の実験のOD490の平均値の平均を表している。 D2−9Gly−FcとD2−Fcとのウエスタンブロット解析である。D2−9Gly−FcとD2−Fcの双方のタンパクのサイズは、還元ゲルでの泳動に比べて非還元ゲルでの泳動時の方が2倍大きいようである。D2−9Gly−FcとD2−Fcを発現するプラスミドを293細胞にトランスフェクションした後、馴化培地から上記のタンパクを充填し、SDS−電気泳動によって分離し、PVDF膜に移した。ヤギ抗ヒト抗IgG1 Fc抗体とウサギ抗ヤギIgG−HRP抗体をプローブとして、このブロットを行った。 9GlyリンカーとVEGF Ex3を含むsFlt−1のハイブリッドタンパクである。D2−9Gly−Ex3/CH3と既に構築済みのタンパクとの構造比較である。3つのすべてのタンパクは、24aaのFlt−1シグナルペプチドと、93aaのFlt−1ドメイン2とからなる、Flt−1ドメイン2の同じアミノ酸配列を含む。D2−9Gly−Ex3/CH3は、9aaの9Glyリンカーと、14aaのVEGF Ex3と、120aaのヒトIgG1の重鎖FcのCH3領域とを含む。 D2−9Gly−Ex3/CH3とD2−9Gly−Fcとの生物活性の比較である。タンパクD2−9Gly−Ex3/CH3では、ドメイン2が9GlyリンカーとVEGF Ex3とを通じてCH3領域に連結しているが、このタンパクは、コントロールタンパクのD2−9Gly−FcとD2−Fcに比べて、VEGF依存性のHUVECの増殖を効率的に阻害もする。50ngの組み換えFlt−1−IgG(R&Dシステムズ)をコントロールとして使用した。 D2−(GlySer)−Fcのタンパク活性をD2−9Gly−FcおよびD2−9Gly−Ex3/CH3と比較したHUVEC増殖アッセイである。 ウエスタンブロットである。(1)D2−9Gly−Fc、(2)D2−(GS)−Fc、および(3)−EGFPというタンパクを発現するプラスミドでトランスフェクションした293細胞の馴化培地(15μlのCM)に由来するタンパク(非還元条件および還元条件)をSDS−電気泳動によって分離し、PVDF膜に移した。ヤギ抗ヒトIgG1 Fc抗体とウサギ抗ヤギIgG−HRP抗体をプローブとして、このブロットを行った。 9GlyリンカーまたはVEGF Ex3がある/ないタンパクの組み合わせである。9Glyリンカーおよび/またはVEGF Ex3があるか、またはない3つの新規なタンパク(D2−9Gly−CH3、D2−CH3、およびD2−Ex3/CH3)の構造比較である。 9Gly、Ex3、およびCH3との組み合わせを有するFlt−1(D2)構成体によるHUVEC増殖アッセイである。D2−Ex3/CH3、D2−9Gly−CH3、およびD2−CH3というタンパクを含む293細胞(5μl)に由来する馴化培地をD2−9Gly−FcおよびD2−9Gly−Ex3/CH3と比較した。 ウエスタンブロットである。(1)D2−9Gly−Fc、(2)D2−9Gly−CH3(52/26kDa)、および(3)D2−CH3(50/25kDa)を発現するプラスミドで293細胞をトランスフェクションした。293細胞の馴化培地(15μlのCM、非還元条件および/または還元条件)に由来するタンパクをSDS−電気泳動によって分離し、PVDF膜に移した。抗ヒトVEGF−R1 HRPコンジュゲート(R&Dシステムズ)をプローブとして、このブロットを行った。 「インビトロでの」VEGF結合アッセイである。D2−9Gly−FcとFlt−1 D(1〜3)のコントロール可溶性受容体の双方を既知濃度(濃度範囲0.29〜150pM)含む293細胞由来の馴化培地を段階希釈し、10pMのVEGFと混合した。続いて、非結合VEGFの量をELISAによって測定した。D2−9Gly−Fcは、他のあらゆる構成体よりも高い親和性でVEGFに結合する。「n」は、独立した実験(トランスフェクションおよび結合アッセイ)の数を表している。 BIAcoreの計器を用いた表面プラズモン共鳴によって、可溶性Flt−1構成体の結合反応速度を測定した。sFlt−1構成体をセンサーチップ上に固定し、VEGF165を0.2〜15nMの濃度範囲で注入した。BIA Evaluationというプログラムを用いてセンサーグラムを得て、速度定数KaおよびKdを割り出し、Kd/Ka=KDという比率から解離定数(KD)を計算した。KDの値が小さいほど、親和性が高いことを意味する。 図13Aは、種々のリンカーを有するFlt−1構成体の発現レベルを示している。図13Bは、種々のリンカーと、IgG1のFcのCH3部分とを有するFlt−1構成体の二量体化または多量体化を示している。非還元条件と還元条件との間の差異は、そのタンパクが多量体化されたことを示す。図13Cは、VEGF存在下でのHUVEC増殖アッセイにおける、馴化培地中に存在する上記Flt−1構成体の阻害生物活性を示している。各構成体は、VEGF不存在下におけるHUVECの増殖レベルに迫る阻害活性を示した。 網膜血管新生(NV)のマウス酵素誘導網膜症(OIR)モデルを用いて、Flt−1構成体の1つをマウスの眼に投与し、血管新生を割り出した。マウスは、過酸素状態に暴露した。処置した眼において血管新生イベントの数を、同じ動物の未処置の眼におけるイベントと比較して割り出した。血管新生イベントが50%超減少した場合には、その動物を「応答動物」とみなした。 in situハイブリダイゼーションアッセイによって、1つの動物群におけるAAV2−sFLT1D29GLYFCの発現のレベルと位置を示している。
本発明者の発見は、ドメイン1および3を有さないFlt−1のIg様ドメイン2が、VEGFに効率的に結合すると共に、VEGF依存性の内皮細胞の増殖を阻害することができるということである。ドメイン2はリンカーを介して多量体化ドメインに共有結合することができる。リンカーは典型的にはポリペプチド鎖である。この鎖の長さは、6、7、9、11、13、15、またはそれ以上のアミノ酸残基分であってよいが、典型的には5〜25残基分である。この長さと側鎖組成に応じて、リンカーは、平均柔軟性よりも高い柔軟性を有してよいが、平均柔軟性よりも高い柔軟性を必ずしも有する必要はない。柔軟性は、当該技術分野において既知のアルゴリズムを用いて計算することができる。多量体化ドメインは、サブユニットの会合を促進して、例えば、二量体、三量体、四量体などを形成する多量体タンパク部分である。VEGFに効率的に結合し、および/または、VEGF依存性の内皮細胞の増殖を阻害するのに適した組み換えタンパクは、配列番号2、8、21、23、および25からなる群から選択する。
さらに、多量体化ドメインおよびリンカーを様々な他のタンパクまたはタンパク部分と共に用いて、多量体化を誘導できることを本発明者は見出した。このようなタンパクは、多量体化した時のみにリガンドまたは受容体に結合するものであっても、多量体化した時に結合親和性が向上するものであってもよい。多量体化に適したタンパクとしては、細胞外受容体(その一部を含む)、抗体可変領域、サイトカイン、ケモカイン、および増殖因子が挙げられる。好適なタンパクとしては、チロシンキナーゼ受容体およびセリンスレオニンキナーゼ受容体が挙げられる。細胞外受容体の具体例としては、EGF受容体、Gタンパク共役受容体、FGF受容体、Fc受容体、T細胞受容体などが挙げられる。抗体可変領域の例としては、Fab、F(ab’)、およびScFvが挙げられる。サイトカインの例としては、GM−CSF、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、IL−23、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、MIP−lα、MIP−1β、TGF−β、TNFα、およびTNF−βが挙げられる。ケモカインの例としては、BCA−1/BLC、BRAK、ケモカインCC−2、CTACK、CXCL−16、ELC、ENA、ENA−70、ENA−74、ENA−78、エオタキシン、エクソダス−2、フラクタルカイン、GCP−2、GRO、GROα(MGSA)、GRO−β、GRO−γ、HCC−1、HCC−4、I−309、IP−10、I−TAC、LAG−1、LD78−β、LEC/NCC−4、LL−37、リンホタクチン、MCP、MCAF(MCP−1)、MCP−2、MCP−3、MCP−4、MDC、MDC、MDC−2、MDC−4、MEC/CCL28、MIG、MIP、MIP−1α、MIP−1β、MIP−1δ、MIP−3/MPIF−1、MIP−3α、MIP−3β、MIP−4(PARC)、MIP−5、NAP−2、PARC、PF−4、RANTES、RANTES−2、SDF−1α、SDF−1β、TARC、およびTECKが挙げられる。増殖因子の例としては、ヒトアンフィレギュリン、ヒト血管新生タンパク、ヒトACE、ヒトアンギオゲニン、ヒトアンギオポイエチン、ヒトアンギオスタチン、ヒトベータセルリン、ヒトBMP、ヒトBMP−13/CDMP−2、ヒトBMP−14/CDMP−1、ヒトBMP−2、ヒトBMP−3、ヒトBMP−4、ヒトBMP−5、ヒトBMP−6、ヒトBMP−7、ヒトBMP−8、ヒトBMP−9、ヒトコロニー刺激因子、ヒトflt3−リガンド、ヒトGCSF、ヒトGM−CSF、ヒトM−CSF、ヒト結合組織増殖因子、ヒトクリプト−1、ヒトクリプティック、ヒトECGF、ヒトEGF、ヒトEG−VEGF、ヒトエリトロポイエチン、ヒトフェチュイン、ヒトFGF、ヒトFGF−1、ヒトFGF−10、ヒトFGF−16、ヒトFGF−17、ヒトFGF−18、ヒトFGF−19、ヒトFGF−2、ヒトFGF−20、ヒトFGF−3、ヒトFGF−4、ヒトFGF−5、ヒトFGF−6、ヒトFGF−7/KGF、ヒトFGF−8、ヒトFGF−9、ヒトFGF−酸性、ヒトFGF−塩基性、ヒトGDF−11、ヒトGDF−15、ヒト成長ホルモン放出因子、ヒトHB−EGF、ヒトヘレグリン、ヒトHGF、ヒトIGF、ヒトIGF−I、ヒトIGF−II、ヒトインヒビン、ヒトKGF、ヒトLCGF、ヒトLIF、種々のヒト増殖因子、ヒトMSP、ヒトミオスタチン、ヒトミオスタチンプロペプチド、ヒト神経成長因子、ヒトオンコスタチンM、ヒトPD−ECGF、ヒトPDGF、ヒトPDGF(AAホモダイマー)、ヒトPDGF(ABホモダイマー)、ヒトPDGF(BBホモダイマー)、ヒトPDGF(CCホモダイマー)、ヒトPIGF、ヒトPIGF、ヒトPIGF−1、ヒトPIGF−2、ヒトSCF、ヒトSMDF、ヒト幹細胞増殖因子、ヒトSCGF−α、ヒトSCGF−β、ヒトトロンボポイエチン、ヒトトランスホーミング増殖因子、ヒトTGF−α、ヒトTGF−β、およびヒトVEGFが挙げられる。
Flt−1受容体タンパクは、7個のIg様ドメインを含む細胞外部分を有する。これらは、ジェンバンク受託番号P17948の残基番号32〜123、151〜214、230〜327、335〜421、428〜553、556〜654、661〜747に位置する(配列番号15も参照されたい)。残基番号1〜26はシグナル配列を含む。Flt−1のタンパクは、ジェンバンク受託番号NM_002019(配列番号14)で示されているDNA配列によってコードされる。
多量体化ドメインは、当該技術分野で既知であるように用いることができる。IgG1またはIgG2λの重鎖のFc部分の配列、例えば、CH3のみ(aa371〜477)、またはCH2ドメインとCH3ドメインの両方(aa247〜477)を用いることができる。Ig分子のFc部分は、パパイン酵素によって抗体分子全体を切断することで得られるものである。他の方法を用いて、これらの部分を得ることもできる。IgG1λの重鎖のタンパク配列については、ジェンバンク受託番号Y14737および配列番号10を参照されたい。他のFc領域、例えば、他のIgGタイプのFc領域、ならびに、IgA、IgM、IgD、またはIgEという抗体のFc領域を用いることができる。また、VEGFの多量体化領域も用いることができる。VEGFをコードするDNA配列は、ジェンバンク受託番号NM_003376および配列番号11に示されている。VEGFのアミノ酸配列は、ジェンバンク受託番号CAC19513および配列番号12に示されている。VEGFエクソン3(VEGF Ex3)によってコードされる、VEGFの多量体化領域(配列番号13)は、VEGFタンパク(配列番号12)のアミノ酸残基75〜88周辺にある。多量体化ドメインは、単量体融合タンパクの少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、または95%を非変性ポリアクリルアミドゲル上に、マルチマーに適した速度で移動させる。糖鎖付加は、ゲル中におけるタンパクの移動に影響を及ぼすことができる。本明細書には特定の配列が示されているが、対立遺伝子多型のような変異体も用いることができる。典型的には、このような変異体は、開示されている配列と、少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の同一性を有することになる。
多量体化は、例えば、本明細書に示されているように、還元および非還元ゲルを用いてアッセイすることができる。また、多量体化は、リガンド/受容体に対するタンパクの結合親和性の向上を検出することによってアッセイすることもできる。これに関しては、BiaCore(登録商標)による表面プラズモン共鳴アッセイを用いることができる。これらのアッセイは、センサーチップ表面に近い水層の屈折率の変化を測定することによって、質量の変化を検出する。当該技術分野において既知のいずれの方法を用いても、多量体化を検出することができる。
本発明によるリンカー部分は、例えば、5〜100アミノ酸残基、5〜75アミノ酸残基、5〜50アミノ酸残基、5〜25アミノ酸残基、5〜20アミノ酸残基、5〜15アミノ酸残基、5〜10アミノ酸残基、5〜9アミノ酸残基からなることができる。有用なリンカーの例としては、gly(配列番号27)、glu(配列番号28)、ser(配列番号29)、glycysprocys(配列番号30)、(glyser)(配列番号31)、SerCysValProLeuMetArgCysGlyGlyCysCysAsn(配列番号32)、ProSerCysValProLeuMetArgCysGlyGlyCysCysAsn(配列番号13)、GlyAspLeuIleTyrArgAsnGlnLys(配列番号26)、およびGlyProSerCysValProLeuMetArgCysGlyGlyCysCysAsn(配列番号34)が挙げられる。用いることができる他のポリペプチドリンカーとしては、5、7、または30残基といった様々な長さのポリグリシンが挙げられる。加えて、Flt−1の他の部分、例えば、Flt−1のドメイン3をリンカーとして用いることができる。配列番号15を参照されたい。また、リンカー部分は、ポリエチレングリコールのような他のポリマーから作製することができる。このようなリンカーは、10〜1000個、10〜500個、10〜250個、10〜100個、または10〜50個のエチレングリコールモノマー単位を有することができる。好適なポリマーは、適切な範囲のアミノ酸残基によって占められる大きさに近い大きさのものでなければならない。典型的な大きさのポリマーは、約10〜25オングストロームの空間をもたらすことになる。
本発明による融合タンパクは、当該技術分野において既知の手段によって作製することができる。このようなタンパクは、合成によって、または作製する部分をつなげることによって作製することができるが、組み換えによる製法を用いることもできる。融合遺伝子配列は、標準的な組み換えDNAツールを用いて作製することができる。この融合遺伝子配列を複製するために、融合遺伝子配列をベクター、例えばウイルスベクターまたはプラスミドベクターに挿入することができる。最終的な受容細胞において機能するプロモーター配列を、融合遺伝子配列の上流に導入することができる。用いるプロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、または抑制性プロモーターであることができる。各タイプの例は、当該技術分野において周知である。ベクターは、当該技術分野において既知のいずれかの手段によって、宿主細胞または哺乳類に導入することができる。用いることができる好適なベクターとしては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、およびプラスミドが挙げられる。ベクターがウイルスベクターであり、そのベクターがパッケージングされている場合、ビリオンを用いて細胞を感染させることができる。裸のDNAを用いる場合には、特定の宿主細胞に適したトランスフェクション手順または形質転換手段を用いることができる。融合遺伝子の送達のために、ポリマー、リポソーム、またはナノ粒子を用いた裸のDNAの調製物を用いることができる。本発明による組み換え構成体で形質転換またはトランスフェクションできる細胞は、当業者にとって利便的であるいずれのものであってもよい。用いてよい代表的な細胞型としては、細菌、酵母、昆虫、および哺乳類細胞が挙げられる。哺乳類細胞の中では、利便的である多くの組織型細胞を選択してよい。用いてよい代表的な細胞は、線維芽細胞、肝実質細胞、内皮細胞、幹細胞、造血細胞、上皮細胞、筋細胞、神経細胞、およびケラチノサイトである。これらの細胞は、インビトロでタンパクを産生するために用いることができるか、または、コードされたタンパクをインビボで産生させるために、ヒトを含む哺乳類に送達することができる。この送達手段は、核酸を哺乳類に送達するもの、ウイルスベクターを哺乳類に送達するもの、および融合タンパクを哺乳類に送達するものに代わるものである。
タンパクまたは核酸の組成物は、緩衝液、水性もしくは親油性担体、殺菌済みまたは非殺菌のビヒクル、発熱性または非発熱性のビヒクルのような担体中に存在することができる。非発熱性のビヒクルは、注射製剤として有用である。製剤は、液体または固形、例えば、凍結乾燥したものであることができる。また、製剤は、エーロゾルとして投与することもできる。組成物は、1つ以上の融合タンパクもしくは1つ以上の核酸、または、融合タンパクと核酸の両方を含んでもよい。組成物中の融合タンパクおよび/または核酸は均質であってよく、その場合には、ホモマルチマータンパクが形成されることになり、あるいは、融合タンパクおよび/または核酸は、組成物中において不均質であってよく、その場合には、ヘテロマルチマータンパクが形成されることになる。ヘテロマルチマーの場合には、典型的に、X部分は融合タンパク間で異なることになるが、Z部分は融合タンパク間で同一になる。
融合タンパクは、当該技術分野において既知のいずれかの手段によって、細胞または哺乳類宿主に供給することができる。タンパクは、細胞または宿主に送達することができる。核酸は、細胞または宿主に投与することができる。形質転換またはトランスフェクションした細胞は、細胞または宿主に投与することができる。後者の場合には、移植拒絶反応を軽減するために、同一の遺伝的背景の細胞が望ましい。
哺乳類の宿主動物への送達に適した細胞としては、いずれかの器官、腫瘍、または細胞系に由来するいずれかの哺乳類細胞型が挙げられる。例えば、ヒト、マウス、ヤギ、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコ、およびブタの細胞を用いることができる。用いるのに適した細胞のタイプとしては、線維芽細胞、肝実質細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、造血細胞、上皮細胞、筋細胞、神経細胞、および幹細胞が挙げられるが、これらに限らない。
融合タンパクまたは融合タンパクをコードする核酸の送達手段としては、融合タンパクを発現する細胞の送達、融合タンパクの送達、および融合タンパクをコードする核酸の送達が挙げられる。融合タンパク、細胞、または核酸は、例えば、注射、カテーテル法、または内視鏡によって、所望の器官または腫瘍に直接送達することができる。また、これらは、静脈内、気管支内、腫瘍内、髄腔内、筋肉内、眼内、局所、皮下、経皮、または経口送達することができる。効果的に治療できる患者としては、滲出型加齢性黄斑変性症、増殖性糖尿病網膜症、関節リウマチ、変形性関節症、ブドウ膜炎、喘息、および癌を患う患者が挙げられる。この治療は、疾患の症状および/もしくはマーカー、ならびに/または、疾患の重症度を改善することになる。
分泌タンパクをコードする遺伝子治療用ウイルスベクター(例えばAAV2)は、(例えばヒト以外の霊長類において、)硝子体前部または硝子体中央部に送達すると、眼の移行上皮細胞を形質導入する。形質導入した細胞から産生される分泌タンパクは、前眼房で利用可能である。したがって、硝子体内へのウイルス遺伝子の送達によって、眼の最前部の疾患を治療することができる。このような眼の最前部の疾患の例としては、眼乾燥症候群、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、角膜血管新生、角膜移植片拒絶反応が挙げられるが、これらに限らない。分泌タンパクの例としては、sFLT1、IL−10、IL1Ra、IL18bp、可溶性PDL1−Ig、CTLA4−Ig、可溶性TNFR−Ig、可溶性IL−17R、および可溶性IL23Rが挙げられるが、これらに限らない。
核酸は、いずれかの望ましいベクター内で、哺乳類、特にヒトに送達することができる。このベクターとしては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、およびプラスミドベクターを含むウイルスまたは非ウイルスベクターが挙げられる。ウイルスの代表的な型としては、HSV(単純ヘルペスウイルス)、アデノウイルス、AAV(アデノ随伴ウイルス)、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、BIV(ウシ免疫不全ウイルス)、およびMLV(マウス白血病ウイルス)が挙げられる。核酸は、ウイルス粒子、リポソーム、ナノ粒子、およびポリマーとの複合体を含め、十分に効率的な送達レベルをもたらすいずれかの望ましい形態で投与することができる。
タンパク治療と核酸治療の組み合わせを用いることができる。例えば、本発明による融合タンパクを患者に投与することができる。好反応が観察される場合には、長期効果のために、融合タンパクをコードする核酸分子を投与することができる。あるいは、タンパクと核酸を同時に、またはほぼ同時に投与することができる。別の代替法では、リガンドに対する抗体または融合タンパクを投与してから、または投与と同時に、受容体に対する抗体または融合タンパクを投与することができる。別の選択肢では、一方が抗体をコードし、もう一方が融合タンパクをコードする核酸の組み合わせを用いる。本発明のFlt−1構成体(タンパク形態、または核酸形態のいずれか)と組み合わせて用いることができるいくつかの抗体は、ベバシズマブおよびラニビズマブであり、いずれもVEGFに向けられる。ベバシズマブは癌を、ラニビズマブは黄斑変性症を治療するのに特に有用である。
本発明の実践時には、別段の指示がない限り、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来技術を採用し、これらの技術は、当該技術分野の範囲内である。このような技術は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (Sambrook et al., 1989)、Current Protocols In Molecular Biology (F.M. Ausubel et al., eds., 1987)、Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, ed., 1984)、Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed., 1987)、Methods In Enzymology (Academic Press, Inc.)、Handbook Of Experimental Immunology (D.M. Wei & C.C. Blackwell, eds.)、Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. M. Miller & M.P. Calos, eds., 1987)、PCR: The Polymerase Chain Reaction (Mullis et al., eds., 1994)、Current Protocols In Immunology (J.E. Coligan et al., eds., 1991)、Antibodies: A Laboratory Manual (E. Harlow and D. Lane eds. (1988))、およびPCR 2: A Practical Approach (M.J. MacPherson, B.D. Hames and G.R. Taylor eds. (1995))のような文献で十分に説明されている。
本明細書で使用する場合、本発明による「減少した量」のVEGF拮抗薬とは、そのVEGF拮抗薬の(哺乳類内における)局所濃度を指す。局所濃度は、同じ適応症における市販の「基準VEGF拮抗薬」の局所濃度よりも低いときに、減少した量とみなされる。例えば、「減少した量」は、基準VEGF拮抗薬の局所濃度の90%、75%、50%、25%、10%、または5%であってよい。例として、ラニビズマブ(ルセンティス)は、AMDを治療するための抗VEGF抗体の形態をした市販のVEGF拮抗薬である。本発明に従って、VEGF拮抗薬を用いてAMDを治療する場合、そのVEGF拮抗薬の減少した量は、抗体を眼に投与した後におけるラニビズマブの局所濃度よりも低い局所濃度として定義する。眼内におけるラニビズマブの局所濃度は、1回投与後において約100μg/mlと推定される。したがって、本発明に従ってAMDを治療するために用いるVEGF拮抗薬は、減少した量で、すなわち100μg/ml未満、例えば、95μg/ml以下、85μg/ml以下、75μg/ml以下、50μg/ml以下、25μg/ml以下、15μg/ml以下、10μg/ml以下、または5μg/ml以下の局所濃度で供給する。本発明のVEGF拮抗薬がタンパクであるときには、タンパク治療または遺伝子治療のいずれかによって供給してもよい。
本明細書で使用する場合、「基準VEGF拮抗薬」とは、市販のVEGF拮抗薬を指す。基準VEGF拮抗薬は、VEGFのシグナル伝達を拮抗するものであれば、いずれの形態のものであってもよい。例えば、基準VEGF拮抗薬は、融合タンパク、またはVEGF抗体のようなその他のタイプの分子であってよい。
ウイルスベクター粒子(パッケージングしたゲノム)を含むウイルスビリオン(例えば遺伝子治療用ビリオン)のストックまたは調製物は、そのストックに存在するビリオンの少なくとも約50%〜99%またはそれ以上が、パッケージングしたゲノム(すなわちAAVベクター粒子)を持つビリオンである場合、空のカプシドを「実質的に有さない」。好ましくは、このベクター粒子は、ストックに存在するビリオンの少なくとも約75%〜85%、より好ましくは約90%を占め、さらに好ましくは、ストックに存在するビリオンの少なくとも約95重量%、もしくはさらには99重量%以上、またはこれらの範囲の間のいずれかの整数分の割合を占める。つまり、得られるストックの約40%〜約1%以下、好ましくは約25%〜約15%以下、より好ましくは約10%以下、さらに好ましくは約5%〜約1%以下が空のカプシドを含む場合、ストックは空のカプシドを実質的に有さない。空のカプシドを実質的に有さないウイルスビリオンは、例えば米国特許第7,261,544号に記載されているように調製してよく、この特許は参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれる。空のカプシドは、当該技術分野において既知の方法、例えばProgen Capsid Elisaによって測定してよい。
遺伝子送達ビヒクルは、挿入されたポリヌクレオチドを宿主細胞内に運ぶことができるいずれかの分子である。遺伝子送達ビヒクルの例は、リポソーム、生体適合性ポリマー(天然ポリマーおよび合成ポリマーを含む)、リポタンパク、ポリペプチド、多糖類、リポ多糖類、人工ウイルスエンベロープ、金属粒子、細菌、ウイルス(バキュロウイルス、アデノウイルス、およびレトロウイルスなど)、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、
真菌ベクター、ならびに、当該技術分野において一般的に用いられるその他の組み換え用ビヒクルであって、種々の真核生物宿主および原核生物宿主における発現に関して説明がなされており、遺伝子治療および単なるタンパク発現のために用いることができるビヒクルである。
遺伝子送達、遺伝子移入などは、本明細書で使用する場合には、導入のために用いられる方法を問わず、宿主細胞への外因性ポリヌクレオチド(「導入遺伝子」と称する場合もある)の導入を指す用語である。このような方法としては、ベクター媒介性遺伝子移入(例えば、ウイルス感染/トランスフェクション、または、タンパク質に基づくかもしくは脂質に基づく種々の他の遺伝子送達複合体によるもの)のような種々の周知の技術、ならびに、「裸の」ポリヌクレオチドの送達を促す技術(例えば、エレクトロポレーション、「遺伝子銃」送達、およびポリヌクレオチドの導入のために用いられる他の種々の技術)が挙げられる。導入したポリヌクレオチドは、宿主細胞中に安定的または一時的に保持させてよい。安定保持には典型的に、導入したポリヌクレオチドが、宿主細胞と適合する複製起点を含むこと、あるいは、染色体外レプリコン(例えばプラスミド)、または、核もしくはミトコンドリア染色体のような宿主細胞のレプリコンに組み込まれることのいずれかが必要になる。当該分野において既知であると共に、本明細書に記載されているように、多くのベクターが、哺乳類細胞への遺伝子の移入を媒介できることで知られている。
外因性ポリヌクレオチドは、宿主への送達のために、静脈内投与、筋肉内投与、門脈内投与、またはその他の経路による投与を介して、アデノウイルス、部分欠失したアデノウイルス、完全欠失したアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルス、裸のプラスミド、プラスミド/リポソーム複合体などのようなベクターに挿入する。本発明の方法および組成物で用いることができる発現ベクターとしては、例えばウイルスベクターが挙げられる。インビボとエクスビボの双方において、最も頻繁に用いられる遺伝子治療の投与法の1つは、遺伝子の送達のためにウイルスベクターを使用することである。多くの種のウイルスが知られており、多くは、遺伝子治療目的で研究されてきている。最も広く使用されているウイルスベクターとしては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、および、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のようなレンチウイルスを含むレトロウイルスに由来するものが挙げられる。
アデノウイルスは、エンベロープがなく、約36kbのゲノムを持つ核DNAウイルスであり、古典的遺伝学と分子生物学における研究(Hurwitz, M.S., Adenoviruses Virology, 3rd edition, Fields et al., eds., Raven Press, New York, 1996、Hitt, M.M. et al., Adenovirus Vectors, The Development of Human Gene Therapy, Friedman, T. ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York 1999)を通じて詳しい特徴が明らかにされてきた。そのウイルス遺伝子は、2つの時間的部類のウイルスタンパクの産生との関連で、初期転写ユニット(E1〜E4と表される)と後期転写ユニット(L1〜L5と表される)に分類される。これらのイベントを区別するのは、ウイルスDNAの複製である。ヒトアデノウイルスは、赤血球の血球凝集、発癌性、DNAとタンパクのアミノ酸の組成と相同性、および抗原的関連性を含む特性に基づいて、多数の血清型に分類される(約47種類あり、適宜番号が付されると共に、A、B、C、D、E、およびFという6つのグループに分類される)。
組み換えアデノウイルスベクターは、分裂細胞および非分裂細胞の両方に対する向性、潜在的病原性が最小限であること、ベクターストックの調製のために高力価で複製する能力、および大きな挿入物を運ぶ潜在力を含め、遺伝子送達ビヒクルとして使用するためのいくつかの利点を有する(Berkner, K.L., Curr. Top. Micro. Immunol. 158:39−66, 1992、Jolly, D., Cancer Gene Therapy 1:51−64 1994)。偽アデノウイルスベクター(PAV)、および部分欠失したアデノウイルス(「DeAd」という)のように、アデノウイルスの様々な遺伝子配列が欠失したアデノウイルスベクターは、アデノウイルスの特徴のうち、受容細胞への核酸の送達に適したビヒクルにアデノウイルスをならしめる望ましい特徴を利用するように設計されてきている。
特に、「ガットレス(gutless)アデノウイルス」またはミニアデノウイルスベクターとしても知られている偽アデノウイルスベクター(PAV)は、ベクターゲノムの複製およびパッケージングに必要とされる最小限のシス作用ヌクレオチド配列を含む、アデノウイルスゲノム由来のアデノウイルスベクターであり、1つ以上の導入遺伝子を含むことができる(偽アデノウイルスベクター(PAV)およびPAVの製造方法について取り扱っている米国特許第5,882,877号を参照されたい。この特許は参照することにより本明細書に組み込まれる)。PAVは、アデノウイルスの特徴のうち、遺伝子送達に適したビヒクルにアデノウイルスをならしめる望ましい特徴を利用するように設計されてきている。アデノウイルスベクターは一般に、ウイルスの増殖のために必須ではない領域の欠失によって、最大で8kbの大きさの挿入物を保持できるが、最大運搬能は、PAVを含め、ウイルスコーディング配列の大半が欠失した部分を含むアデノウイルスベクターの使用により達成することができる。Gregoryらの米国特許第5,882,877号、Kochanek et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:5731−5736, 1996、Parks et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:13565−13570, 1996、Lieber et al., J. Virol. 70:8944−8960, 1996、Fisher et al., Virology 217:11−22, 1996、米国特許第5,670,488号、1996年10月24日に公開された国際公開第96/33280号、1996年12月19日に公開された国際公開第96/40955号、1997年7月19日に公開された国際公開第97/25446号、1995年11月9日に公開された国際公開第95/29993号、1997年1月3日に公開された国際公開第97/00326号、Morral et al., Hum. Gene Ther. 10:2709−2716, 1998を参照されたい。最大で約36kbの外来核酸を収容することができるこのようなPAVは、ベクターに対する宿主免疫応答の可能性、または複製能を持つウイルスの産生が軽減される一方で、ベクターの運搬能が最適化されるので、有用である。PAVベクターは、複製起点を含む5’逆方向末端反復(ITR)および3’ITRヌクレオチド配列、ならびに、PAVゲノムのパッケージングに必要なシス作用ヌクレオチド配列を含み、適切な調節エレメント、例えば、プロモーター、エンハンサーなどと共に、1つ以上の導入遺伝子を収容することができる。
他に、部分欠失したアデノウイルスベクターは、ウイルス複製に必要とされるアデノウイルスの初期遺伝子の大半がベクターから欠失され、条件的プロモーターの制御下でプロデューサー細胞の染色体内に配置される部分欠失したアデノウイルス(「DeAd」という)ベクターを提供する。プロデューサー細胞内に配置される欠失可能なアデノウイルス遺伝子としては、E1A/E1B、E2、E4(ORF6およびORF6/7のみをプロデューサー細胞内に配置する必要がある)、pIX、およびpIVa2を挙げてよい。E3もベクターから欠失してよいが、ベクター産生に必要ではないので、プロデューサー細胞から削除することができる。通常、主要後期プロモーター(MLP)の制御下にあるアデノウイルス後期遺伝子はベクター内に存在するが、MLPは、条件的プロモーターに置き換えてもよい。
DeAdベクターおよびプロデューサー細胞株での使用に適した条件的プロモーターとしては、細胞毒性または細胞増殖抑制性アデノウイルス遺伝子が細胞に有害なレベルで発現されないように、非誘導状態における基底発現量が低い、ならびに、ベクターの複製と組み立てを支えるのに十分な量のウイルスタンパクが産生されるように、誘導状態における発現レベルが高いといった特徴を有するものが挙げられる。DeAdベクターおよびプロデューサー細胞株での使用に適した好ましい条件的プロモーターとしては、免疫抑制剤FK506およびラパマイシンを基材とする二量体化遺伝子制御系、エクジソン遺伝子制御系、ならびに、テトラサイクリン遺伝子制御系が挙げられる。Abruzzese et al., Hum. Gene Ther. 1999 10:1499−507に記載されているGeneSwitch(登録商標)の技術(テキサス州ウッドランズのバレンティス社)も本発明において有用である場合があり、この文献の開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。部分欠失したアデノウイルス発現系については、国際公開第99/57296号にさらに記載されており、この特許の開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、ゲノムのサイズが4.6kbである一本鎖のヒトDNAパルボウイルスである。AAVゲノムは、repタンパク(Rep76、Rep68、Rep52、およびRep40)をコードするrep遺伝子と、AAVの複製、レスキュー、転写、および組み込みをコードするcap遺伝子という2つの主要な遺伝子を含む一方で、このcapタンパクはAAVウイルス粒子を形成する。AAVの名前は、AAVの増殖感染を可能にするのに、すなわち、宿主細胞におけるAAV自体の複製を可能とするのに必須の遺伝子産物を供給するために、アデノウイルスまたは他のヘルパーウイルス(例えばヘルペスウイルス)に依存することに由来する。ヘルパーウイルスがないと、AAVは、宿主細胞のヘルパーウイルス、通常、アデノウイルスへの重複感染によりレスキューされるまで、プロウイルスとして宿主細胞の染色体に組み込まれる(Muzyczka, Curr. Top. Micor. Immunol 158:97−127, 1992)。
遺伝子移入ベクターとしてのAAVの利点は、そのいくつかの独特の生態特徴に起因する。AAVゲノムの両末端は、逆方向末端反復(ITR)として知られるヌクレオチド配列であり、この配列は、ウイルスの複製、レスキュー、パッケージング、および組込みに必要なシス作用ヌクレオチド配列を含む。トランスのrepタンパクによって媒介されるITRの組み込み機能により、AAVゲノムは、ヘルパーウイルスの不在下で、感染後に、細胞染色体に組み込まれることが可能となる。このウイルスのこの独特な特性は、目的の遺伝子を含む組み換えAAVの細胞ゲノムへの組み込みを可能とするので、遺伝子移入におけるAAVの使用と関連性がある。したがって、遺伝子移入の多くの目的にとって理想的である安定した形質転換は、rAAVベクターの使用によって実現してよい。さらに、AAVの組み込み部位は十分に確立されており、ヒトの19番染色体にあることが突き止められている(Kotin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 87:2211−2215, 1990)。このように組み込み部位を予測可能であることにより、宿主遺伝子を活性化もしくは不活化するか、またはコーディング配列を遮断する場合のある細胞ゲノムへのランダムな挿入イベント(このようなイベントにより、AAVの組み込みのベクターの使用が制限される)の危険性が減少し、rAAVベクターの設計時にこの遺伝子を除去すると、rAAVベクターで観察されてきたように組み込みパターンが変化する場合がある(Ponnazhagan et al., Hum Gene Ther. 8:275−284, 1997)。
遺伝子移入のためにAAVを使用することには、他の利点がある。AAVの宿主域は広い。さらに、レトロウイルスと異なり、AAVは静止細胞と分裂細胞の両方に感染することができる。加えて、AAVはヒト疾患に関連付けられておらず、レトロウイルス由来の遺伝子移入ベクターにより引き起こされてきた多くの問題を未然に防ぐ。
組み換えrAAVベクターの産生への標準的アプローチでは、一連の細胞内イベント、すなわち、AAVのITR配列に隣接する目的導入遺伝子を含むrAAVベクターゲノムで宿主細胞をトランスフェクションすることと、トランスで必要とされるAAVのrepおよびcapタンパクの遺伝子をコードするプラスミドによって宿主細胞をトランスフェクションすることと、トランスフェクションした細胞をヘルパーウイルスに感染させて、トランスで必要とされる非AAVヘルパー機能を供給することとの調整が必要とされてきた(Muzyczka, N., Curr. Top. Micor. Immunol. 158:97−129, 1992)。アデノウイルス(または他のヘルパーウイルス)タンパクは、AAVのrep遺伝子の転写を活性化し、続いて、repタンパクがAAVのcap遺伝子の転写を活性化する。次いで、capタンパクは、ITR配列を利用して、rAAVゲノムをrAAVウイルス粒子中にパッケージングする。したがって、パッケージング効率は、部分的には、十分な量の構造タンパクのアベイラビリティによって、および、rAAVベクターゲノムにおいて必要とされるあらゆるシス作用パッケージ配列のアクセシビリティによって決まる。
レトロウイルスベクターは遺伝子送達のための一般的ツールである(Miller, Nature (1992) 357:455−460)。再配列していない単一コピー遺伝子を、広範な齧歯類、霊長類、およびヒトの体細胞中に送達するレトロウイルスベクターの能力によって、細胞への遺伝子の移入に十分に適したレトロウイルスベクターが作製される。
レトロウイルスは、ウイルスゲノムがRNAであるRNAウイルスである。宿主細胞がレトロウイルスに感染すると、ゲノムRNAはDNA中間体に逆転写され、この中間体は、感染した細胞の染色体DNA中に非常に効率的に組み込まれる。この組み込まれたDNA中間体をプロウイルスと言う。プロウイルスの転写、および感染性ウイルスへの組み立ては、適切なヘルパーウイルスの存在下で、または、混入ヘルパーウイルスの同時産生を伴わずにカプシド形成を可能とする適切な配列を含む細胞株で行われる。カプシド形成のための配列を、適切なベクターとのコトランスフェクションによりもたらす場合には、ヘルパーウイルスは組み換えレトロウイルスの産生に必要ではない。
レトロウイルスゲノムおよびプロウイルスDNAは、2つの長い末端反復(LTR)配列に隣接する3つの遺伝子、すなわち、gag、pol、およびenvを有する。gag遺伝子は、内部構造(マトリックス、カプシド、およびヌクレオカプシド)タンパクをコードし、pol遺伝子は、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)をコードし、env遺伝子は、ウイルスエンベロープの糖タンパクをコードする。5’および3’LTRは、ビリオンRNAの転写およびポリアデニル化を促進する役割を果たす。LTRは、ウイルス複製に必要な他のすべてのシス作用配列を含む。レンチウイルスは、(HIV−1、HIV−2、および/またはSIV中に、)vit、vpr、tat、rev、vpu、nef、およびvpxを含む追加の遺伝子を有する。5’LTRに隣接しているのは、ゲノムの逆転写に必要な配列(tRNAプライマー結合部位)および粒子中へのウイルスRNAの効率的なカプシド形成に必要な配列(Psi部位)である。カプシド形成(または感染性ビリオンへのレトロウイルスRNAのパッケージング)に必要な配列が、ウイルスゲノムから欠損している場合には、ゲノムRNAのカプシド形成を阻害するシス欠損がもたらされる。しかし、得られた突然変異体は依然として、すべてのビリオンタンパクの合成を導くことができる。
レンチウイルスは、共通のレトロウイルス遺伝子gag、pol、およびenvに加えて、調節または構造的機能を有する他の遺伝子を含む複雑なレトロウイルスである。より高い複雑性により、レンチウイルスは、潜伏感染の過程で見られるように、その生活環を調節できる。典型的なレンチウイルスは、AIDSの原因菌であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)である。インビボでは、HIVは、リンパ球およびマクロファージのように、めったに分裂しない最終分化細胞に感染することができる。インビトロでは、HIVは、単球由来マクロファージ(MDM)の初代培養物、ならびに、アフィジコリンまたはガンマ照射による処理によって細胞周期を停止させたHeLa−Cd4またはTリンパ球細胞に感染することができる。細胞の感染は、標的細胞の核膜孔を通じたHIVプレインテグレーション複合体の核内への能動輸送に依存している。これは、複合体中の部分的に重複している多数の分子決定因子と、標的細胞の核内輸送機構との相互作用によって生じる。同定されている決定因子としては、gagマトリックス(MA)タンパク中の機能性核内保留シグナル(NLS)、核親和性のビリオン随伴タンパク、vpr、およびgagMAタンパク中のC−末端ホスホチロシン残基が挙げられる。遺伝子治療でのレトロウイルスの使用については、例えば、米国特許第6,013,516号、および米国特許第5,994,136号に記載されており、これらの特許の開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
DNAを細胞に送達する他の方法では、送達用のウイルスを使用しない。例えば、カチオン性両親媒性化合物を用いて、本発明の核酸を送達することができる。生物活性分子の細胞内送達を促すように設計された化合物は、非極性環境と極性環境の両方(例えば、形質膜、組織液、細胞内区画、および生物活性分子自体の中または上)と相互作用しなければならないので、このような化合物は、典型的に極性ドメインと非極性ドメインの両方を含むように設計される。このようなドメインを両方とも有する化合物は、両親媒性物質と称してよく、(インビトロでの用途か、インビボでの用途かを問わず、)上記のような細胞内送達を促すのに用いられるものとして開示されてきた多くの脂質および合成脂質は、この定義を満たしている。このような両親媒性物質のうち特に重要な部類の1つがカチオン性両親媒性物質である。一般に、カチオン性両親媒性物質は、生理的pHまたはその周辺で正電荷を持つことができる極性基を有し、この特性は、当該技術分野において、例えば、DNAのような負電荷を持つポリヌクレオチドを含む多くの種類の生物活性(治療用)分子と両親媒性物質との相互作用の程度を定義する際に重要であると理解されている。
遺伝子送達のためにカチオン性両親媒性化合物を含む組成物を使用することについては例えば、米国特許第5,049,386号、米国特許第5,279,833号、米国特許第5,650,096号、米国特許第5,747,471号、米国特許第5,767,099号、米国特許第5,910,487号、米国特許第5,719,131号、米国特許第5,840,710号、米国特許第5,783,565号、米国特許第5,925,628号、米国特許第5,912,239号、米国特許第5,942,634号、米国特許第5,948,925号、米国特許第6,022,874号、米国特許第5,994,317号、米国特許第5,861,397号、米国特許第5,952,916号、米国特許第5,948,767号、米国特許第5,939,401号、および米国特許第5,935,936号に記載されており、これらの開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
加えて、本発明の核酸は、「裸のDNA」を用いて送達することができる。トランスフェクション促進タンパク、ウイルス粒子、リポソーム製剤、荷電脂質、およびリン酸カルシウム沈殿剤との結合なしに、プロモーターに機能可能に結合される所望のポリペプチドまたはペプチドをコードする非感染性の非組み込み型DNA配列を送達する方法が、米国特許第5,580,859号、米国特許第5,963,622号、米国特許第5,910,488号に記載されており、これらの開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
ウイルス成分と非ウイルス成分とを兼ね備える遺伝子移入系も報告されている(Cristiano et al., (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11548、Wu et al. (1994) J. Biol. Chem. 269:11542、Wagner et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6099、Yoshimura et al. (1993) J. Biol. Chem. 268:2300、Curiel et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8850、Kupfer et al. (1994) Human Gene Ther. 5:1437、およびGottschalk et al. (1994) Gene Ther. 1:185)。大半のケースでは、アデノウイルスを遺伝子送達系に組み入れて、そのエンドソーム特性を利用してきた。報告されている、ウイルス成分と非ウイルス成分との組み合わせは一般に、アデノウイルスと遺伝子送達複合体との共有結合、または、非結合アデノウイルスとカチオン性脂質−DNA複合体とのコインターナリゼーションのいずれかを伴う。
DNAおよびタンパクを眼に送達するためには、典型的には局所投与を行う。局所投与は、投与する必要のあるDNAの量を制限すると共に、全身性副作用を制限するという利点を有する。多くの考え得る送達形態を用いることができ、その形態としては、遺伝子銃による角膜への局所投与、結膜下注射、前房内注射、点眼による角膜への投与、側頭の角膜輪部を介した前眼房への注射、基質内注射、電気パルスと組み合わせた角膜投与、角膜内注射、網膜下注射、硝子体内注射(例えば、硝子体前部、中央部、または後部注射)、および眼内注射が挙げられるが、これらに限らない。あるいは、細胞をエクスビボでトランスフェクションまたは形質導入し、眼内移植によって送達することができる。Auricchio, Mol. Ther. 6: 490−494, 2002、Bennett, Nature Med. 2: 649−654, 1996、Borras, Experimental Eye Research 76: 643−652, 2003、Chaum, Survey of Ophthalmology 47: 449−469, 2002、Campochiaro, Expert Opinions in Biological Therapy 2: 537−544 (2002)、Lai, Gene Therapy 9: 804−813, 2002、Pleyer, Progress in Retinal and Eye Research, 22: 277−293, 2003を参照されたい。
提案した種々の治療剤および投与の効果は、特定の疾患用の好適な動物モデルで試験することができる。例えば、Smith, Investigative Ophthalmology & Visual Science, 35: 101−111, 1994に記載されているように、マウスの酵素誘導網膜症モデルで、未熟児網膜症を試験することができる。ヒト誘導脈絡膜血管新生(CNV)は、加齢性黄斑変性症のような疾患で生じるので、マウスのレーザー誘導脈絡膜血管新生をモデルとして用いることができる(Tobe, American Journal of Pathology 153: 1641−1646, 1998)。他のCNVモデルは、霊長類、ラット、ミニブタ、およびウサギで開発されてきている。加齢性黄斑変性症のマウスモデルは、遺伝子欠損マウスで開発されてきている。単球化学誘導タンパク−1、またはC−Cケモカイン受容体−2のいずれかを欠損したマウスは、加齢性黄斑変性症の特徴を持つようになる(Ambati, Nature Med. 9: 1390−1397, 2003)。
疾患の予防または治療においては、本発明のVEGF拮抗薬(タンパクまたは遺伝子治療)の適切な用量は、治療する疾患のタイプ、疾患の重篤度およびクール、VEGF拮抗薬の投与が予防目的か治療目的か、治療歴、患者の病歴、およびVEGF拮抗薬に対する反応、ならびに、担当医の判断によって決まることになる。VEGF拮抗薬は、一度にまたは一連の治療を通じて、適切に患者に投与する。併用療法のレジメンでは、本発明の組成物は、治療効果のある量または治療上相乗作用のある量で投与する。本明細書で使用する場合、治療効果のある量は、VEGF拮抗薬と1種類以上の他の治療剤との併用、または本発明の組成物の投与によって、標的の疾患または状態が軽減または抑制される量である。治療上相乗作用のある量は、特定の疾患に関係する状態または症状を相乗的にまたは有意に軽減または除去するのに必要なVEGF拮抗薬と1種類以上の他の治療剤の量である。
疾患のタイプおよび重篤度に応じて、もたらされる局所濃度が、約100pg/ml〜約100μg/ml、1ng/ml〜約95μg/ml、10ng/ml〜約85μg/ml、100ng/ml〜約75μg/ml、約100ng/ml〜約50μg/ml、約1μg/ml〜約25μg/ml、約1μg/ml〜約15μg/ml、約1μg/ml〜約10μg/ml、または約1μg/ml〜約4μg/mlであるように、VEGF拮抗薬を投与してよい。遺伝子治療によってウイルスビリオンを通じてVEGF拮抗薬を送達する場合には、その投与量は、単位投与量当たり約2×10〜約2×1012、約2×10〜約2×1011drp、または約2×10〜約2×1010drpであってよい。タンパク治療によってVEGF拮抗薬を投与する場合には、その投与量は、単位投与量当たり約0.1mg〜約50mg、約0.1mg〜約25mg、約0.1mg〜約10mg、約0.1mg〜約5mg、約0.1mg〜約4mg、約0.1mg〜約3mg、約0.1mg〜約2.5mg、約0.1mg〜約2mg、約0.1mg〜約1.5mg、約0.1mg〜約1mg、約0.1mg〜約0.75mg、約0.1mg〜約0.5mg、約0.1mg〜約0.25mg、約0.25mg〜約5mg、約0.5mg〜約5mg、約1mg〜約5mg、約1.5mg〜約5mg、約2mg〜約5mg、約2.5mg〜約5mg、約0.5mg〜約5mg、または約0.5mg〜約2.5mgであってよい。
本発明のVEGF拮抗薬は、単回投与しても反復投与してもよい。数日間またはそれ以上の期間にわたって反復投与するためには、状態に応じて、疾患の症状が所望どおり抑制されるようになるまで、治療を維持する。本発明の療法の経過は、従来の技術およびアッセイによってモニタリングする。
動物または患者が、VEGF拮抗薬に対する免疫応答を示した場合には、必要に応じて、例えば入手可能な免疫抑制剤を用いることによって、その免疫応答(炎症、および/または、混濁もしくは抗体)を軽減しようと試みてよい。本発明のいくつかの実施形態に従って遺伝子治療を用いる場合には、空のウイルスカプシドの数を減らすと、免疫応答を軽減する助けとなる。いくつかの実施形態によれば、ウイルスベクターに対する免疫応答の軽減は、VEGF拮抗薬(例えばD29GLYFC)の発現を増やす助けとなるので、VEGF拮抗薬の治療効能が増大する。
本発明を実施するための現時点での好ましい態様を含め、具体例と関連付けて本発明を説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定められている本発明の趣旨および範囲内である上記の系および技術の多くの変形形態および変更形態が存在することは当業者には明らかであろう。本明細書に開示されている参照文献は全て、参照することにより明示的に組み込まれる。
実施例1
ポリグリシン9mer(9Gly)リンカーを含む第1の構成体D2−9Gly−Fcと、9Glyリンカー以外は同じ配列を有する第2の構成体D2−Fcという2つの構成体を生成した(図1)。
配列解析プログラムMacVector 6.5.1(コネチカット州ニューヘブンのIBI)のProtein Analysis Toolboxを用いて、D2−9Gly−FcとD2−Fcというタンパクのアミノ酸配列を解析した。D2−9Gly−Fc中のポリグリシン9merリンカーは、Karpus and Schultz (1985) Naturwiss, 72: 212−213の柔軟性予測法によって、平均柔軟性よりも高い柔軟性を有する領域として同定された。このような領域は、D2−Fcの配列では検出されなかった(図1)。
実施例2
柔軟なポリグリシン9merリンカーによってIgG1のFc領域に連結されたFlt−1 Flt−1の単離Ig様ドメイン2(D2−9Gly−Fc)を試験した。融合タンパクのD2−9Gly−Fcは、VEGFに効率的に結合できると共に、VEGF依存性ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)の増殖を阻害することができる(図2参照)。対照的に、Flt−1のIg様ドメイン2が、IgG1の重鎖(Fc)に直接結合して、D2−Fcを形成しているときには、最小限のVEGFの結合しか観察されなかった(図2参照)。IgG1のFcを介した二量体化と、柔軟なリンカーの挿入はいずれも、Flt−1のドメイン2へのVEGFの結合を促進するようである。D2−9Gly−FcとD2−Fcの双方に二量体形態が存在することをウエスタンブロット解析によって確認した(図3参照)。
実施例3
AAVベクター(0.0005mLの体積中1×10〜1×10個の粒子)の硝子体内注射を、新生児(P0)または生後1日(P1)のC57BL/6マウスに施す。P7の仔と、この仔らを養育中の雌親を5日間過酸素状態に暴露することによって、網膜血管新生(NV)をC57BL/6マウスで誘発させる。これらの仔をP12で通常の大気に戻し、P17(NVピーク時)で安楽死させる(Smith LEH, Weslowski E, McLellan A, Kostyk SK, D’Amato R, Sullivan and D’Amore PA. Oxygen−Induced Retinopathy in the Mouse. Invest Opth Vis Sci. 1994;35:l0l−l11)。眼全体をパラフィンで包埋し、5ミクロン間隔で連続的に横断面を作製する。100ミクロン毎に切断した断面内の内境界膜の内側の内皮細胞核の数を計数することによって、NVの程度を割り出す。
抗血管形成剤をコードするAAVベクターで処理した動物のコホートを、無関連な導入遺伝子をコードするベクター、または導入遺伝子をコードしないベクターで処理したコホートと比較する。処理した各眼内の内皮細胞核の平均数を、動物の未処理の各僚眼と比較する。
実施例4
D2−9Gly−Ex3/CH3の生成
Flt−1のドメイン2は、VEGF165の結合に不可欠であることが示されている。しかし、Flt−1のドメイン2単独ではVEGF Aに結合できないことが示された(Davis−Smyth et al., 1996.)。VEGF Aは、二量体として存在するときに、酸性残基(成熟タンパクのアミノ酸63〜67)を通じてFlt−1に結合し、受容体のリガンド誘導性の二量体化の考え得るメカニズムを可能にする(Keyt et al., 1996)。
したがって、Flt−1のドメイン2のVEGF Aへの結合を回復する方策として、Flt−1のドメイン2の二量体化を利用した。IgGの重鎖の断片との融合をタンパクの二量体化に用いることができる(Davis−Smyth et al., 1996)。この実施例では、VEGF A(配列番号12)のアミノ酸75〜88(すなわち、PSCVPLMRCGGCCN、配列番号13)が、ハイブリッドタンパクのsFlt−1の生物活性を上昇させることを示す。
まず、D2−9Gly−Fc、D2−Fc、およびD2−9Gly−Ex3/CH3という3つのハイブリッドタンパクを作製した(図4)。3つのハイブリッドタンパクはすべて、D2−9Gly−Fcと同じ、Flt−1のドメインD2を含む。VEGFへの結合は、ポリグリシン9mer(9Gly)リンカーを含まないD2−Fcでは観察されなかった。第3のタンパク、D2−9Gly−Ex3/CH3は、ポリグリシン9mer(9Gly)リンカーと、VEGFの多量体化ドメイン(aa PSCVPLMRCGGCCN、配列番号13、VEGF Ex3)を含むが、ヒトIgG1の重鎖FcのCH3領域(配列番号10のaa371〜477)も含む。
タンパクD2−Fcは、HUVEC増殖アッセイにおいて効率的な阻害活性を示さず(図5)、VEGF165に効率的に結合しないことが暗に示された。しかし、9GlyリンカーとVEGF165の二量体化領域(Ex3)の両方を介してCH3領域に融合した、Flt−1のドメイン2を含む第3のハイブリッドタンパクD2−9Gly−Ex3/CH3は、VEGF依存性HUVEC増殖アッセイにおいて阻害活性を示した(図5)。これは、このハイブリッドタンパクがVEGF165に効率的に結合することを暗に示している。
実施例5
Flt−1 D2構成体内でのリンカー(GlySer)の利用
タンパクの特徴の向上のために、いくつかのポリグリシンリンカーの利用についてすでに報告がなされている(Mouz et al., 1996、Qiu et al., 1998)。次の構成体用に、我々は、別の型のリンカーである15mer(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)3(Huston et al., 1988)を用いた。D2−(GlySer)−Fcタンパクを生成した。このタンパクは、Flt−1ドメイン2、(GlySer)リンカー、およびヒトIgG1の重鎖のFc領域を含む。
D2−(GlySer)−FcをHUVEC増殖アッセイでさらに特徴付けた。HUVEC増殖の阻害性によって測定した場合の、D2−(GlySer)−Fcの生物活性は、D2−9Gly−FcおよびD2−9Gly−Ex3/CH3の生物活性と同様であった(図6)。
ウエスタンブロットを用いて、D2−(GlySer)−Fcの構成体をさらに特徴付け、D2−9Gly−Fcと比較した(図9)。いずれの構成体も、主に二量体形態で存在し、還元サンプルの分離後にモノマー形態を検出した。
実施例6
9GlyまたはVEGF Ex3のFlt−1(D2)構成体における役割
9GlyリンカーまたはVEGF二量体化配列Ex3の、可溶性受容体VEGFの結合に対する役割を調べる目的で、D2−9Gly−CH3、D2−CH3、およびD2−Ex3/CH3という3種類の別の構成体を生成した(図8)。3つの構成体をすべて生成し、上記の構成体と同様に、CMVプロモーターの制御下に置いた。これらのVEGF遮断活性をHUVEC増殖アッセイで評価した(図9)。
IgG1のCH3領域を含むタンパクのHUVEC増殖アッセイでは、D2−9Gly−CH3(Ex3なし)、およびタンパクD2−Ex3/CH3(9Glyリンカーなし)が、親タンパクD2−9Gly−Ex3/CH3と比較して、同様のVEGF遮断効力を有していたことが示されている。しかし、タンパクD2−CH3は、これらすべての中で最も弱いVEGF阻害剤であるようであった(図9)。
トランスフェクションした293細胞由来の馴化培地のFlt−1のELISAデータは、D2−9Gly−Ex3/CH3、D2−9Gly−CH3、およびD2−Ex3/CH3、ならびにD2−CH3においては、同様のFlt−1レベル(70〜90ng/ml)を示し、最も活性が低い形態のD2−CH3においては、やや高いレベル(約150ng/ml)を示している。構成体D2−9Gly−CH3およびD2−CH3のウエスタンブロット(図10)は、非還元条件での二量体形態の存在を示している。
実施例7
すべての構成体の中でD2−9Gly−FcがVEGFとの結合性が最も高い
VEGF結合アッセイによって、無細胞系における本発明の可溶性VEGF受容体の相対的なVEGF結合親和性を比較できるようになる。
簡潔に言えば、既知濃度の可溶性受容体(0.29〜150pMの濃度範囲)を含む馴化培地を段階希釈し、10pMのVEGFと混合した。続いて、非結合VEGFの量をELISAによって測定した。D2−9Gly−Fcは、0.001〜約0.2pMの受容体濃度において、他のどの構成体よりも高い親和性でVEGFと結合する。D2−CH3は、VEGFに対する結合親和性が最も低い(図11)。
実施例8
ゲノム成分AAV2−sFLT1D29GLYFCは、2つのAAV2 ITRと、sFLT1D29GLYFCの発現カセットとからなる。sFLT1D29GLYFCの発現を促すために、ハイブリッドニワトリβ−アクチンプロモーターを使用し、このプロモーターは、CMV IEエンハンサー、ニワトリβ−アクチンプロモーター、および、一部がβアクチン転写産物に属する、エクソン1の94bpの断片からなる。ハイブリッドニワトリβ−アクチン/ウサギβ−グロビンのイントロンもCBAプロモーターの一部であり、多くの潜在性転写因子結合部位を含む。SV40ウイルスゲノムからポリアデニル化領域を得る。
試験物質AAV2−sFLT1D29GLYFCをポリプロピレンバイアルに入ったストック凍結液として、AAV2ビヒクルコントロール、0.014%のTween(登録商標)20(ロット番号NBR15045−108)を含むリン酸緩衝生理食塩水を、予め調合した水溶液として調製した。試験物質とビヒクル物質の溶液を調製して、所望の投与量体積での意図どおりの投与量を実現するのに適切な濃度の投与溶液を生成した。
カニクイサルの眼に硝子体内投与したところ、AAV2−sFLT1D29GLYFC(50μlの投与量体積中2×10、2×10、および2×1010)によって、房水および硝子体液中で測定した場合に、sFLT1D29GLYFCが用量依存的に発現し、それらのレベルが、AAVベクターの投与から少なくとも1年間維持されたことが明らかになった。
我々は、ヒト以外の霊長類(NHP)でレーザー−CNV実験を実施し、sFLT1D29GLYFCが、このHNPモデルにおいて脈絡膜血管新生を阻害するのに非常に有効であることが示された。この実験の1セットでは、硝子体の前部/中央部に注射した2×10および2×10のベクター粒子によって、用量依存的な発現を得られたが、この実験セットでは効能は観察されなかった。2×1010のsFLT1D29GLYFCを硝子体中央部に注射(硝子体中央部への注射)したところ、注射した眼でsFLT1D29GLYFCが発現し(例えば、移行上皮細胞および網膜神経節細胞がmRNAの発現を示した)、111ng/ml、277ng/ml、885ng/ml、967ng/ml、1,057ng/ml、および1,584ng/mlという治療効果のある濃度が房水中で測定された。硝子体液中でのレベルは、房水中のレベルよりも約3倍高かった。これらの濃度は、レーザー誘導性脈絡膜血管新生(CNV)を阻害するのに有効であった。図15は、2×1010のsFLT1D29GLYFCを投与された別のグループの動物における発現場所を示している。
高投与量のグループでは、軽度から中程度の硝子体の混濁が観察され、混濁は、大半の動物において時間の経過と共に消散した。導入遺伝子に対するT細胞応答は検出されなかったが、一部の動物では、AAVに対するT細胞応答が観察された。コントロールのAAV2ビリオンを投与された動物も高投与量で混濁を示したことから、この混濁の原因は、導入遺伝子のsFltではなく、ウイルスカプシドであることがうかがえる。硝子体の混濁をスコアリングし、Nussenblattらが開発した系(1985, Opthalmology 92: 467)と比較した。小柱網および虹彩角膜角中のリンパ球もしくは形質細胞、硝子体中の炎症細胞、または、網膜における血管周囲のリンパ球からなる炎症性変化が、一部の動物(AAV2−sFLT1D29GLYFC、またはコントロールビリオンのいずれかを投与された動物)で硝子体の混濁と共に観察された。組織の破壊または再構築は観察されなかった。最も持続性の高い炎症を示した動物は、導入遺伝子の発現が最も低かった。
別の動物グループでは、房水または血清において既存のAAV力価を有した動物はいなかった。血清、房水、および硝子体液のsFLT01タンパクの有無、ならびに、sFLT01およびベクターAAV2に対する抗体について評価した。ビヒクルコントロールグループ内の一部の動物を含め、何匹かの動物で、このアッセイを用いたこの調査の全期間にわたって、間欠的かつ一貫性のない陽性反応が観察された。血清ではsFLT01に対する抗体は見出されなかった。血清中でAAV2に対する力価を有していた動物で、用量依存性および時間依存性の増加が見られた。房水での力価が最も高い動物は、発現量が最も少なく、房水での力価が最も低い動物は、発現量が最も低く、房水での力価が最も高い動物は、発現量が最も高かった。
一部の動物の追加的な臨床症状、質的な食物消費、身体検査結果)、体重、眼科検査結果、蛍光眼底血管造影写真、網膜電図、眼圧測定値の変化について評価した。殺処分後、その動物の全身剖検を行い、組織を回収、保存した。コントロールおよび高投与量のサルから採った組織を処理して、顕微鏡で調べた。網膜の電気的活動に対する影響は観察されなかった。
一部の動物に対して、AAV2−sFLT1D29GLYFC(2×10、2×10、および2×1010の投与量)の後、ルセンティスを11週間投与したところ、副作用は観察されなかった。
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Claims (46)

  1. 哺乳類の眼疾患を治療する方法であって、該哺乳類の罹患眼に、VEGF拮抗薬をコードするウイルスベクターを約2×10〜約2×1010drpという治療効果のある量で投与することを含む方法。
  2. 前記ウイルスベクターがAAVベクターである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記AAVベクターがAAV2である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記VEGF拮抗薬が、IgGの重鎖分子に融合したVEGF受容体を含む融合ポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記VEGF受容体がVEGF−R1(FLT−1)を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記VEGF受容体が、VEGF−R1のIgG様ドメイン2(FLT−1D2)を含む、請求項4に記載の方法。
  7. 前記IgGの重鎖分子が、該重鎖のFc部分を含む、請求項4に記載の方法。
  8. 前記IgGの重鎖分子が、該重鎖のCH3部分を含む、請求項4に記載の方法。
  9. 前記VEGF受容体が、アミノ酸リンカーを通じて、前記IgGの重鎖分子に融合している、請求項4に記載の方法。
  10. 前記アミノ酸リンカーが9Glyリンカーである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記融合ポリペプチドが、FLT−1D2−9GLY−FC、またはFLT−1D2−9GLY−CH3である、請求項4に記載の方法。
  12. 前記罹患眼に前記VEGFを硝子体内注射によって投与する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記罹患眼に前記VEGF拮抗薬を硝子体中央部への注射によって投与する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記罹患眼の移行上皮細胞中で、前記VEGF拮抗薬を発現させる、請求項1に記載の方法。
  15. 前記罹患眼の中で、前記VEGF拮抗薬を少なくとも6カ月間発現させる、請求項1に記載の方法。
  16. 前記罹患眼の中で、前記VEGF拮抗薬を少なくとも1年間発現させる、請求項15に記載の方法。
  17. 前記眼疾患が、滲出型加齢性黄斑変性症(滲出型AMD)、黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、未熟児網膜症、および糖尿病網膜症からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  18. 第2のVEGF拮抗薬を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  19. 前記第2のVEGF拮抗薬が、IgGの重鎖分子に融合したVEGF受容体を含む融合ポリペプチドである、請求項18に記載の方法。
  20. 前記タンパクがVEGF抗体である、請求項18に記載の方法。
  21. 前記VEGF抗体がベバシズマブまたはラニビズマブである、請求項20に記載の方法。
  22. 哺乳類の眼疾患を治療する方法であって、該哺乳類の疾患する眼に、VEGF拮抗薬をコードする核酸を投与することを含み、該眼疾患を治療するために、該VEGF拮抗薬を、約100ng/ml〜約1,500ng/mlという治療効果のある量で発現させる方法。
  23. 前記ウイルスベクターがAAVベクターである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記AAVベクターがAAV2である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記VEGF拮抗薬が、IgGの重鎖分子に融合したVEGF受容体を含む融合ポリペプチドである、請求項22に記載の方法。
  26. 前記VEGF受容体がVEGF−R1(FLT−1)を含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記VEGF受容体が、VEGF−R1のIgG様ドメイン2(FLT−1D2)を含む、請求項25に記載の方法。
  28. 前記IgGの重鎖分子が、該重鎖のFc部分を含む、請求項25に記載の方法。
  29. 前記IgGの重鎖分子が、該重鎖のCH3部分を含む、請求項25に記載の方法。
  30. 前記VEGF受容体が、アミノ酸リンカーを通じて、前記IgGの重鎖分子に融合している、請求項25の方法。
  31. 前記アミノ酸リンカーが9Glyリンカーである、請求項30の方法。
  32. 前記融合ポリペプチドが、FLT−1D2−9GLY−FC、またはFLT−1D2−9GLY−CH3である、請求項25の方法。
  33. 前記罹患眼に前記VEGFを硝子体内注射によって投与する、請求項22に記載の方法。
  34. 前記罹患眼に前記VEGF拮抗薬を硝子体中央部への注射によって投与する、請求項33に記載の方法。
  35. 前記罹患眼の移行上皮細胞中で、前記VEGF拮抗薬を発現させる、請求項22に記載の方法。
  36. 前記罹患眼の中で、前記VEGF拮抗薬を少なくとも6カ月間発現させる、請求項22に記載の方法。
  37. 前記罹患眼の中で、前記VEGF拮抗薬を少なくとも1年間発現させる、請求項36に記載の方法。
  38. 前記眼疾患が、滲出型加齢性黄斑変性症(滲出型AMD)、黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、未熟児網膜症、および糖尿病網膜症からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
  39. 第2のVEGF拮抗薬を投与することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  40. 前記第2のVEGF拮抗薬が、IgGの重鎖分子に融合したVEGF受容体を含む融合ポリペプチドである、請求項39に記載の方法。
  41. 前記タンパクがVEGF抗体である、請求項39に記載の方法。
  42. 前記VEGF抗体がベバシズマブまたはラニビズマブである、請求項41に記載の方法。
  43. 眼のためのAAV遺伝子治療を受けている哺乳類の眼の混濁を軽減する方法であって、空のカプシドをカプシド全体の90%以下含む遺伝子治療用AAVビリオンを該哺乳類に投与することを含む方法。
  44. 前記遺伝子治療用AAVビリオンが、空のカプシドをカプシド全体の80%以下、70%以下、60%以下、または50%以下含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記遺伝子治療用AAVビリオンが空のカプシドを実質的に有さない、請求項44に記載の方法。
  46. 前記AAVがAAV2である、請求項43の方法。
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