JP2011505414A - Fviiiペプチドおよび血友病を寛容化することにおけるその使用 - Google Patents

Fviiiペプチドおよび血友病を寛容化することにおけるその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒトFVIIIから誘導可能なコア残基配列を含むペプチドであって、更なる抗原プロセシングを受けることなくMHCクラスII分子に結合することができる前記ペプチドを提供する。また、本発明は、血友病A及び/又は後天性血友病におけるインヒビター抗体の形成を阻止又は抑制するためのそのようなペプチド類の使用に関する。本発明者らは、HLA−DR2結合ペプチドを生じると予測されるFVIIIのいくつかの免疫優性領域を同定した。これらのペプチドのうち、第VIII因子の領域545乃至559及び1788乃至1803は、ヒト第VIII因子に対するHLA−DR2拘束性T細胞反応における免疫優性T細胞エピトープ領域であると考えられる。

Description

本発明は、ペプチドに関する。特に、本発明は第VIII因子(FVIII)から誘導可能なペプチド類に関する。これらのペプチドを用いることによって、例えば、血友病Aの処置及び後天性血友病における第VIII因子インヒビター抗体の形成を低下又は阻止することができる。
血友病
血友病は、血友病A、血友病B(クリスマス病)及びフォン・ビレブランド病を含む一群の遺伝性血液障害に属する。
血友病では、必須凝固因子が部分的又は完全に欠乏しているために血液の凝固能が大幅に低下しており、その結果、出血時間が延長する。血友病Aは第VIII凝固因子の欠乏症であるのに対し、血友病Bは第IX凝固因子の欠乏症である。両疾患とも、X染色体上に欠陥遺伝子が見出されているので、こうした症状はX連鎖性である。血友病Aは血友病Bよりも5倍多く認められる。
血友病は、生涯続く遺伝性遺伝子疾患であり、キャリアである女性及びこの疾患を遺伝で受け継ぐ男性を侵す。新規診断結果の約3分の1は家族既往歴のない場合である。この疾患は世界中でみられ、全ての人種集団で生じている。英国では約6,000人が血友病に罹患している。
血友病患者は、傷害を受けた後、長時間出血する。切り傷、擦り傷などの外傷は通常は大きな問題とならず、ある程度の圧をかけて患部を(例えば、絆創膏で)覆うことにより出血を止めることが可能な場合が多い。
大きな問題となるのは、関節、筋肉及び軟組織内への内出血であり、これは自然発症的に起こり得る。脳内出血などの内出血は、管理が極めて困難であり、致命的となり得る。関節内に繰り返し出血が起こると、急性疼痛を生じ、関節炎及び/又は身体障害をもたらす長期関節損傷の原因となり得る。
血友病に対する処置は、通常、不足している凝固因子の補充によって行われている。軽症又は中等症の血友病では、出血が生じたときに注射が行われればよい(オンデマンド治療)。しかしながら、重症血友病では、血液凝固を促進し、長期関節損傷が生じる可能性をできるだけ小さくするために規則的な予防的注射が行われればよい。
血友病Aに対する凝固因子置換療法の深刻な事態となる恐れのある合併症は、第VIII因子の凝固促進機能を無効にする抗体の形成である。第VIII因子インヒビターは、重症の血友病Aを有する患者の約25%に生じる。先天性血友病A患者が遺伝的にFVIII欠乏性であり得ることから、インヒビターの合成は、出血症状を予防又は処置するために投与された外来蛋白質に対する同種免疫反応である。
CD4+T細胞は、FVIIIに対する免疫反応において中心的な役割を果たしている。FVIIIは、抗原提示細胞(APC:antigen−presenting cell)に取り込まれた後、蛋白質分解によりペプチド断片に分解される(非特許文献1)。その後、これらのペプチドは、MHCクラスII分子と結合してAPCの表面に提示される。次いで、この複合体はFVIIIに特異的なCD4+細胞のT細胞受容体によって認識される。適切な共刺激シグナルの存在下に、この認識により、最終的に、CD4+細胞がB細胞による抗体の合成を誘導する。
インヒビター形成の発生率は、最初は第VIII因子の処置回数とともに増加するが、作用させた日数が50乃至100日に達した後には頭打ちになるように思われる。インヒビターの形成は中等症又は軽症の血友病よりも重症の血友病においてはるかによく起こり、第VIII因子軽鎖内のいくつかの分子欠損、最も明瞭には大きな欠失及びナンセンス突然変異がインヒビター形成の素因となるように思われる。補充因子の濃度、種類(精製か組換えか)などのパラメータ及び処置歴も抗体産生の可能性に影響を及ぼすと考えられる。
インヒビターを有する血友病患者の管理は継続的課題である。脱感作技術を用いた免疫寛容の誘導(ITI:immune tolerance induction)は第VIII因子に対する同種抗体を有する一部の患者において奏功している。この治療的アプローチは、因子置換療法を継続的に受けることを要し、従って長期にわたる方法である。
ITIは奏功しうるけれども、かなりの割合(約30%)の患者がITIに反応しない。インヒビター力価の高い患者は処置に対して極めて反応しにくい。別の重要な要因は、ITI開始時の年齢であり、患者が20歳を超えている場合には奏功率が大きく減少する(非特許文献2)。
ITI療法が奏功しない場合、インヒビターは一般に死ぬまでずっと存続し、また、このような患者は通常高反応者であるため、活性型プロトロンビン複合体濃縮製剤(FEIBA(商標))、組換え活性型FVIIなどのFVIIIバイパス製剤で出血症状を処置することが必要である。しかしながら、このような薬剤の使用は、播種性血管内凝固症候群、急性心筋梗塞、肺動脈塞栓及び血栓症などの有害事象を伴う(非特許文献3)。
ITIに反応しない患者に対しては免疫抑制療法を用いることがある。処置には、非特異的に免疫系を標的にするシクロホスファミド、プレドニゾン、アザチオプリン、シクロスポリンなどの免疫抑制薬の投与が含まれる。こうした処置は全般的な免疫抑制を伴う副作用を示すことがある。
B細胞CD20抗原に対するヒト化モノクロナール抗体であるRituximab(商標)を用いる選択的B細胞枯渇化に新たな関心が集まっている。しかしながら、この薬物で処置した一部の子供において注入反応、血清病及び日和見感染が発生している(非特許文献4)。
後天性血友病
後天性血友病は、百万人ごとに1乃至4人を侵す希な自己免疫疾患である。この疾患では、血友病を持って生まれたのではない該当者が第VIII因子などの凝固因子類のうちの1種に対して抗体を作る。妊娠及び関節リウマチなどの自己免疫疾患並びに癌は後天性血友病を発症するリスクを増大させる可能性があると考えられている。凝固因子置換療法に反応して産生されるFVIIIインヒビターと後天性血友病で産生されるこのインヒビターとでは、そうした産生をもたらす根底にある免疫機構に違いはあるが、これらの臨床症状は類似している。
後天性血友病患者は、獲得インヒビターが重症の出血合併症と関連付けられることが理由の一つであるが、25%に迫る死亡率を示す。獲得自己抗体インヒビターの治療は、生命及び四肢を脅かすことが多い急性出血性合併症を抑制又は予防し、副次的には自己抗体を根絶して正常な凝固を回復させる必要性に主として基づいたものである。
低力価(<5ベセズダ単位)の自己抗体インヒビターと関連付けられる出血は、FVIII濃縮製剤を高用量で投与して効果的に処置することができる場合がある。ブタFVIII濃縮製剤は、かつては後天性血友病関連の出血の重要な一次治療剤と考えられていた。何故なら、これは実験室で注入後FVIII凝固活性レベルを実際に測定する機会を与える唯一の置換療法であったからである。この製品は、ブタパルボウイルスによるブタ血漿プールの汚染のために2004年に市場から撤去された。現在、「バイパス」剤が最もよく用いられているが、血栓形成の潜在的なリスクが存在し、各製品の有効性は約80%に過ぎない。バイパス剤又はFVIII補充が適切な止血をもたらすことができるように一時的にインヒビターの力価を十分低下させるには血漿分離交換法による血漿交換及び体外免疫吸着が必要と考えられる。
自己抗体インヒビターの根絶は、以下のような免疫抑制手段に依存している:(1)3乃至6週間で30%乃至50%の有効性を示す副腎皮質ステロイドの投与、(2)細胞毒性及び骨髄抑制化学療法剤、例えばシクロホスファミド、シクロスポリン、2−クロロデオキシアデノシンの使用、(3)免疫グロブリン静注による免疫調節及び(4)リツキシマブによる選択的Bリンパ球の枯渇化。Rituximab(商標)反応者はステロイドの同時使用を必要とすることがあり、再発しても再処置に反応することがある。
従って、血友病Aの処置に伴う同種抗体産生及び後天性血友病における自己抗体産生を低下させる現在利用可能な全ての方法には欠点がある。このため、血友病A及び後天性血友病における抗FVIII抗体の問題に対処する方法の改良が求められている。
本発明者らは、患者をFVIII由来ペプチドで予め寛容化することによってFVIIIインヒビター抗体の形成を阻止することが可能であることを見出した。
Redingほか、Haemophilia(2006年)12(補遺6)30−36 Hayほか、Seminars in Thrombosis and Hemostasis(2005年)32:15−21 Acharya及びDiMichele、Best Practice & Research Clinical Haematology(2006年)19:51−66 DiMichele、J Thromb Haemost(2007年)5:143−50
従って、本発明は、FVIIIに対する寛容を誘導又は回復させることができるFVIIIから誘導可能なペプチドに関する。
本発明者らは、HLA−DR2結合ペプチドを生じると予測されるFVIIIのいくつかの免疫優性領域を同定した(表1)。これらのペプチドのうち、第VIII因子の領域545乃至559及び1788乃至1803は、ヒト第VIII因子に対するHLA−DR2拘束性T細胞反応における免疫優性T細胞エピトープ領域であると考えられる。こうしたペプチドでマウスを処置すると、第VIII因子に対する免疫反応の実質的な抑制がもたらされることが分かった。
第一の態様において、本発明は、以下のコア残基配列:
Figure 2011505414
のうちの一つを含むペプチドであって、
いずれのペプチドも、更なる抗原プロセシングを受けることなくMHCクラスII分子に結合し、第VIII因子特異的T細胞により認識され得るものとするペプチドを提供する。
こうしたペプチドは、例えば、配列
Figure 2011505414
を有することができる。
第二の態様において、本発明は、本発明の第一の態様のペプチドを含む医薬組成物などの組成物を提供する。
この組成物は複数のそのようなペプチドを含むことができる。特に、この組成物はペプチド類
Figure 2011505414
を含むことができる。
この組成物は、これら複数のペプチドが個別、引き続き(subsequent)、連続又は同時投与のために別々に設けられているキットの形にすることができる。
本発明のペプチド又は組成物は第VIII因子インヒビター抗体の形成を抑制、低減又は阻止するのに用いることができる。
また、本発明は、第VIII因子インヒビター抗体の形成を抑制、低減又は阻止するための医薬品の製造におけるそのようなペプチド又は組成物の使用を提供する。
また、本発明は、対象において第VIII因子インヒビター抗体の形成を抑制、低減又は阻止する方法であって、この対象にそのようなペプチド又は組成物を投与する工程を含む方法を提供する。
この対象はFVIII欠乏性であるとすることができる。具体的には、この対象は血友病Aを有していてもよく、第VIII因子置換療法を受けているか、受けようとしていてもよい。
あるいは、この対象は、後天性血友病を有しているか、これに罹患するリスクがあってもよい。
第VIII因子インヒビターは、HLA−DR2を発現している個体においてより高頻度に存在する。従って、本発明の方法により処置される対象はHLA−DR2陽性であるとすることができる。
図1aは、rhFVIII/CFAで初回刺激したFVIII+DR2+マウス由来のリンパ節細胞(LNC:lymph node cell)のリコール反応を示す。FVIIIペプチド1乃至6に対するLNC増殖。図1bは、rhFVIII/CFAで初回刺激したFVIII+DR2+マウス由来のリンパ節細胞(LNC:lymph node cell)のリコール反応を示す。FVIIIペプチド7乃至12に対するLNC増殖。 図1cは、rhFVIII/CFAで初回刺激したFVIII+DR2+マウス由来のリンパ節細胞(LNC:lymph node cell)のリコール反応を示す。FVIIIペプチド1、3及び11に対するLNC増殖。 図2aは、FVIII由来ペプチドに特異的なFVIII+DR2+T細胞ハイブリドーマクローンの代表的な例を示す。図2bは、FVIII由来ペプチドに特異的なFVIII+DR2+T細胞ハイブリドーマクローンの代表的な例を示す。 図3aは、rhFVIII/CFAで初回刺激したFVIII−DR2+マウス由来LNCのリコール反応を示す。図3bは、rhFVIII/CFAで初回刺激したFVIII−DR2+マウス由来LNCのリコール反応を示す。 図3cは、rhFVIII/CFAで初回刺激したFVIII−DR2+マウス由来LNCのリコール反応を示す。 図4は、FVIII由来ペプチドに特異的なFVIII−DR2+T細胞ハイブリドーマクローンの代表的な例を示す。 図4は、FVIII由来ペプチドに特異的なFVIII−DR2+T細胞ハイブリドーマクローンの代表的な例を示す。 a)DNIMV及びb)PRCLTに特異的なFVIII−/−クローンを示す。 rhFVIII/CFAでの初回刺激の前にペプチドで3回i.p.処置したFVIII+DR2+マウスのFVIIIに対するLNCのリコール反応を示す。 図7aは、FVIII由来重複ペプチドに特異的なFVIII−DR2+T細胞ハイブリドーマクローンを用いた、アピトープとして機能可能なペプチドエピトープの範囲の測定結果を示す。元のアミノ酸を0と記す。N末端方向に1アミノ酸シフトを−1、N末端方向に2アミノ酸シフトを−2、などとする。C末端方向に1アミノ酸シフトを+1、などとする。図7bは、FVIII由来重複ペプチドに特異的なFVIII−DR2+T細胞ハイブリドーマクローンを用いた、アピトープとして機能可能なペプチドエピトープの範囲の測定結果を示す。元のアミノ酸を0と記す。N末端方向に1アミノ酸シフトを−1、N末端方向に2アミノ酸シフトを−2、などとする。C末端方向に1アミノ酸シフトを+1、などとする。 図7cは、FVIII由来重複ペプチドに特異的なFVIII−DR2+T細胞ハイブリドーマクローンを用いた、アピトープとして機能可能なペプチドエピトープの範囲の測定結果を示す。元のアミノ酸を0と記す。N末端方向に1アミノ酸シフトを−1、N末端方向に2アミノ酸シフトを−2、などとする。C末端方向に1アミノ酸シフトを+1、などとする。 図7cは、FVIII由来重複ペプチドに特異的なFVIII−DR2+T細胞ハイブリドーマクローンを用いた、アピトープとして機能可能なペプチドエピトープの範囲の測定結果を示す。元のアミノ酸を0と記す。N末端方向に1アミノ酸シフトを−1、N末端方向に2アミノ酸シフトを−2、などとする。C末端方向に1アミノ酸シフトを+1、などとする。 図7cは、FVIII由来重複ペプチドに特異的なFVIII−DR2+T細胞ハイブリドーマクローンを用いた、アピトープとして機能可能なペプチドエピトープの範囲の測定結果を示す。元のアミノ酸を0と記す。N末端方向に1アミノ酸シフトを−1、N末端方向に2アミノ酸シフトを−2、などとする。C末端方向に1アミノ酸シフトを+1、などとする。 FVIII由来ペプチドPRCLT、DNIMV又はこれらの両者の混合物で処置したFVIII−DR2+マウスにおけるFVIIIに反応したリンパ節細胞のIFN−ガンマ産生を示す。
ペプチド
本発明はペプチドに関する。
「ペプチド」という用語は、隣接するアミノ酸のα−アミノ基とカルボキシル基との間で通常ペプチド結合により一方が他方に結合した一連の残基、通常、L−アミノ酸、を意味する通常の意味で用いている。この用語には改変ペプチド及び合成ペプチド類似体を含めている。
本発明のペプチドは、化学的方法を用いて作製することができる(Peptide Chemistry、A practical Textbook. Mikos Bodansky、Springer−Verlag社、Berlin)。例えば、ペプチドは、固相技術(Roberge JYほか(1995年)Science 269:202−204)で合成し、樹脂から切断し、調製的高速液体クロマトグラフィー(例えば、Creighton(1983年)Proteins Structures And Molecular Principles、WH Freeman and Co、New York、NY)によって精製することができる。自動合成は、例えば、ABI 43 1 A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer社)を用い、メーカーから提供された使用説明書に従って達成することができる。
あるいは、このペプチドは、組換え法又は第VIII因子からの切断によって作製することができる。ペプチドの組成はアミノ酸分析又は配列決定(例えば、エドマン分解法)によって確認することができる。
実際的には、このペプチドが示し得る種々の他の特性がある。例えば、このペプチドは、インビボでこれを用いることを可能にする濃度で可溶性とすることができる。このペプチドは最大0.5mg/ml、1mg/ml又は5mg/mlの濃度で可溶性とすることができる。
また、このペプチドが治療上有用であるためにインビボで十分安定であることも重要である。このペプチドのインビボでの半減期は少なくとも10分、30分、4時間又は24時間とすることができる。
また、このペプチドはインビボで良好な生物学的利用能を示すこともできる。このペプチドは、インビボにおいて、これが然るべき障害なしに細胞表面のMHC分子に結合することを可能にする高次構造を維持することができる。
コア残基
適応免疫反応では、Tリンパ球は蛋白質抗原の内部エピトープを認識することができる。抗原提示細胞(APC)は蛋白質抗原を取り込み、これを短いペプチド断片に分解する。ペプチドは細胞内の主要組織適合性複合体(MHC:major histocompatability complex)クラスI又はII分子に結合して細胞表面に運ばれ得る。MHC分子との組合せで細胞表面に提示されると、このペプチドはT細胞によって(T細胞受容体(TCR:T cell receptor)を介して)認識され得、この場合、このペプチドはT細胞エピトープとなる。
このように、エピトープとは、MHCクラスI又はII分子のペプチド結合溝に結合し、T細胞によって認識されることが可能である、抗原から誘導可能なペプチドである。
最小エピトープとは、MHCクラスI又はII分子のペプチド結合溝に結合し、T細胞によって認識されることが可能である、エピトープから誘導可能な最短のペプチドである。所与の免疫原性領域において、全てが最小エピトープを含むが、それらのフランキング領域が異なる諸エピトープとして機能する重複ペプチドの「入れ子集合体」を生じることが通常可能である。
同様に、切断ペプチドに対する反応を測定することによって特定のMHC分子:T細胞組合せの最小エピトープを同定することが可能である。例えば、重複ライブラリ内の1乃至15番目の残基を含むペプチドに対して反応が得られる場合、両端において切断された集合体(即ち、1乃至14、1乃至13、1乃至12など及び2乃至15、3乃至15、4乃至15など)を用いて最小エピトープを同定することができる。
本発明はFVIIIの「コア残基」配列を含むペプチドを提供する。こうしたコア残基配列は、各領域の最小エピトープとなるかこれを含むように、HLA−DR2結合アルゴリズムを用いて予測される。
アピトープ
本発明者らはこれまでに、更なる抗原プロセシングを受けることなくMHCクラスI又はII分子に結合してT細胞に提示されるペプチドの性能とインビボで寛容を誘導するペプチドの性能との間に関連があることを明らかにした(WO02/16410)。ペプチドは、更にプロセシング(例えば、トリミング)されなければ長すぎてMHC分子のペプチド結合溝に結合できないか、又は不適切な高次構造で結合するのであれば、インビボで寛容原性とはならないであろう。他方、このペプチドが適切な大きさ及び立体構造であることによりそのままMHCペプチド結合溝に結合してT細胞に提示されるのであれば、このペプチドは寛容誘導に有用であると予測することができる。
従って、ペプチドがインビトロで更なる抗原プロセシングを受けることなくMHCクラスI又はII分子に結合し、T細胞に提示されうるかどうかを調べることによって、ペプチドの寛容原性能を検討することが可能である。
本発明のペプチド類は、更なるプロセシングを受けることなくMHCクラスII分子に結合し、第VIII因子特異的T細胞からの反応を刺激することができるので、アピトープ(抗原プロセシング非依存性エピトープ)である。このようなアピトープは、WO02/16410に記載されているルールに基づいた方法に従ってFVIIIに対する寛容をもたらすと予測することができる。
本発明のペプチドは、更なる抗原プロセシングを受けることなくMHCクラスI又はII分子に結合することができる任意の長さとすることができる。通常、本発明のペプチドはMHCクラスIIに結合することができる。
MHCクラスI分子に結合するペプチドは、普通7乃至13、より普通には8乃至10アミノ酸長である。このペプチドの結合は、ペプチドの主鎖内の諸原子と全てのMHCクラスI分子のペプチド結合溝内のインバリアント部位との接触によって両端で安定化されている。ペプチドのアミノ及びカルボキシ末端と結合する溝の両端にインバリアント部位がある。ペプチドの長さの変動については、ペプチド主鎖内の、多くの場合、必要な柔軟性を与えるプロリン又はグリシン残基におけるよじれによって説明される。
MHCクラスII分子に結合するペプチドは、普通8乃至20アミノ酸長、より普通には10乃至17アミノ酸長であり、さらに長くする(例えば、最大40アミノ酸長)ことも可能である。こうしたペプチドは、(MHCクラスIペプチド結合溝と異なって)両端が開いているMHCクラスIIのペプチド結合溝に沿って伸びた立体構造で横たわる。このペプチドは、主に主鎖の原子をペプチド結合溝に沿って並ぶ保存残基と接触させることによって所定の位置に保持される。
ペプチド配列
本発明の第一の態様は以下のコア残基配列のうちの一つを含むペプチドに関する:
Figure 2011505414
例えば、こうしたペプチドは以下のコア残基配列のうちの一つを含むことができる:
Figure 2011505414
特に、こうしたペプチドは以下のコア残基配列のうちの一つを含むことができる:
Figure 2011505414
このペプチドは、得られるペプチドが更なる抗原プロセシングを受けることなくMHCクラスII分子に結合することができる限り、これらのコア残基配列のうちの一つを、N及び/又はC末端の別のフランキング配列と共に含むことができる。
こうしたN及び/又はC末端のフランキング配列はヒトFVIII中のコア残基配列の両端に隣接する配列から誘導可能なものとすることができる。
例えば、このペプチドは以下の群から選ぶことができる:
Figure 2011505414
一部のFVIII由来ペプチドはアピトープであることが既に知られている(例えば、PRCLTRYYSSFVNME及びDNIMVTFRNQASRPY)。これらのペプチドの他に、同じコア残基配列を共有するが、フランキング残基が一つ以上異なるものがあると考えられる。
これを検証するために、重複ペプチドのパネルを作製することができる。通常、この集合体内のペプチド群は、これらが最小エピトープを含むので、免疫反応を生じさせることができる。これらのペプチドのうち、ペプチドがアピトープとしての挙動も示すかは、抗原プロセシングのない提示系においてMHCクラスIIに結合して適切なT細胞を刺激するこのペプチドの性能を調べることによって検討することができる。
以下の表に示したペプチドは、アピトープの役割を果たすことができるかどうかについて検証することができる:
Figure 2011505414
Figure 2011505414
また、恐らく、上記の表に示した15−マーペプチドよりも僅かに長いか短いペプチドはアピトープの役割を果たし、第VIII因子に対して対象を寛容化することができるであろう。このペプチドは、例えば、10乃至25アミノ酸長、特に、12乃至18アミノ酸長とすることができる。
APIPS
a)(CD28に対する抗体の存在又は非存在下の)固定APC、
b)(CD28に対する抗体の存在又は非存在下の)クラスI又はII MHC分子含有脂質膜及び
c)(CD28に対する抗体の存在又は非存在下の)プレートに結合させた状態の精製天然又は組換えMHC
を含む種々の抗原プロセシング非依存性提示系(APIPS:antigen processing independent presentation system)が知られている。
これらの系は全て抗原をMHC分子との組合せで提示することができるが、抗原をプロセシングすることはできない。これらの全ての系において、このプロセシング機能は存在しないか、無効化されている。これによって、ペプチドが更なる抗原プロセシングを受けることなくMHCクラスI又はII分子に結合してT細胞に提示され得るかどうかを調べることが可能となる。
T細胞の反応を検討するための固定APCの使用については、当該分野では、例えば、ポリペプチド内の最小エピトープを切断ペプチドに対する反応を測定することによって調べる研究(Fairchildほか(1996年)Int.Immunol.8:1035−1043)において公知である。APCは、例えば、ホルムアルデヒド(通常、パラホルムアルデヒド)又はグルタルアルデヒドを用いて固定することができる。
脂質膜(平面膜でもリポソームでもよい)は、人工脂質を用いて調製することができ、又はAPCからの細胞膜/ミクロソーム分画とすることができる。
使用に当たっては、APIPSを組織培養プレートのウェルに加える。次いで、ペプチド抗原を加え、APIPSのMHC部分へのこのペプチドの結合を特定のT細胞株又はクローンの添加によって検出する。T細胞株又はクローンの活性化については、当該分野で周知の方法のいずれかによって、例えば、H−チミジン取り込み又はサイトカイン分泌によって測定することができる。
第VIII因子
本発明のペプチドは第VIII因子から誘導可能なものとすることができる。
第VIII因子は血液凝固の内因性経路に関与するが、第VIII因子は、Ca+2及びリン脂質の存在下に第X因子を活性型Xaに変換する第IXa因子の補因子である。
第VIII因子遺伝子は、選択的スプライスによる2種の転写産物を生じる。転写産物変異体1は、血漿中を循環し、フォンウィルブランド因子と結合して非共有結合複合体を形成する大きな糖蛋白質、イソ型a、をコードしている。この蛋白質は複数の切断事象を起こす。転写産物変異体2は、主として第VIIIc因子のリン脂質結合ドメインからなる推定小蛋白質(イソ型b)をコードしている。この結合ドメインは凝集活性に必須である。
ヒト第VIII因子遺伝子の186,000塩基対の完全な配列は1980年代半ばに解明された(Gitschierほか(1984年)Nature 312、326−330)。同時に、アミノ酸2,351個の完全な配列をコードしているDNAクローンを用いて培養哺乳動物細胞で生物学的に活性な第VIII因子が作製された(Woodほか(1984年)Nature 312:330−337)。ヒト第VIII因子のアミノ酸2,351個の完全な配列を配列番号1として示した。
本発明のペプチドは第VIII因子から誘導可能なものとすることができる。このペプチドは、例えば、第VIII因子の配列からのアミノ酸のある連続した配列で構成することができる。このペプチドは、第VIII因子の配列の切断から取得可能とすることができ、又は取得することができる。
このペプチドは、これが更なる抗原プロセシングを受けることなくMHC分子のペプチド結合溝に結合して関連のあるT細胞に認識される性能を保持する限り、野生型配列に対する付加、置換又は欠失などの突然変異を1種以上有することができる。例えば、このペプチドは、野生型配列と比較した場合、その長さにわたって5、3、2又は1箇所の突然変異を有することができる。
このペプチドの結合活性が維持される限り、残基間の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性の類似性に基づいて意図的なアミノ酸置換を行うことができる。
保存的置換は、例えば、下表に従って行うことができる。2番目のカラムの同じブロック内、好ましくは3番目のカラムの同じ行内のアミノ酸は互いに置換することができる:
Figure 2011505414
また、本発明は、相同的置換(本明細書では、置換及び置換(replacement)はいずれも、既存のアミノ酸残基を別の残基と交換することを意味して用いている)、即ち、塩基性と塩基性、酸性と酸性、極性と極性などの同種置換を行うことができることを包含している。また、非相同的置換、即ち、あるクラスの残基から別のクラスの残基への置換、或いはオルニチン(以下、Zと称する)、ジアミノ酪酸オルニチン(以下、Bと称する)、ノルロイシンオルニチン(以下、Oと称する)、ピリイルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニンおよびフェニルグリシンなどの非天然アミノ酸を含めることを伴う置換を行うこともできる。
また、以下の非天然アミノ酸によって置換(replacement)することもできる:アルファ*およびアルファ−二置換*アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、トリフルオロチロシン、p−Cl−フェニルアラニン、p−Br−フェニルアラニン、p−I−フェニルアラニンなどの中性アミノ酸のハライド誘導体、L−アリル−グリシン、β−アラニン、L−α−アミノ酪酸、L−γ−アミノ酪酸、L−α−アミノイソ酪酸、L−ε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、L−メチオニンスルホン#*、L−ノルロイシン、L−ノルバリン、p−ニトロ−L−フェニルアラニン、L−ヒドロキシプロリン、L−チオプロリン、4−メチル−Phe、ペンタメチル−Phe、などのフェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体、L−Phe(4−アミノ)、L−Tyr(メチル)、L−Phe(4−イソプロピル)、L−Tic(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシル酸)、L−ジアミノプロピオン酸およびL−Phe(4−ベンジル)。(相同的もしくは非相同的置換に関する)上記説明において、記号は上記誘導体が疎水性を有すること、#は上記誘導体が親水性を有すること、#は両親媒性を有することを示すために用いている。
1つ以上のアミノ酸残基がペプトイドの形で存在することを含む別の形の変形形態があり得ることは、当業者により十分了承されよう。不確かとならないように定義しておくが、「ペプトイドの形」とは、α−炭素置換基がα−炭素ではなく残基の窒素原子上にある変種アミノ酸残基という意味で用いている。ペプトイドの形のペプチドを調製する手順については当該分野で周知であり、例えば、Simon RJほか、PNAS(1992年)89(20):9367−9371及びHorwell DC、Trends Biotechnol.(1995年)13(4):132−134に記載されている。
寛容
T細胞エピトープは、自己のものであれ外来性であれ任意の抗原に対する適応免疫反応において中心的な役割を果たしている。過敏性症候群(例えば、アレルギー、自己免疫疾患及び移植片拒絶反応)においてT細胞エピトープが果たしている中心的な役割については実験モデルを使用することによって明らかにされている。炎症性又はアレルギー性疾患は、(T細胞エピトープの構造に基づいた)合成ペプチドをアジュバントとの併用で注射することにより誘導することが可能である。
これに対して、特定の抗原に対する免疫寛容は、可溶型のペプチドエピトープを投与することによって誘導可能であることが分かっている。可溶性ペプチド抗原の投与は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE:experimental autoimmune encephalomyelitis−多発性硬化症(MS:multiple sclerosis)のモデル)(Metzler及びWraith(1993年)Int.Immunol.5:1159−1165、Liu及びWraith(1995年)Int.Immunol.7:1255−1263並びにAnderton及びWraith(1998年)Eur.J.Immunol.28:1251−1261)並びに関節炎、糖尿病及びブドウ膜網膜炎の実験モデル(上記のAnderton及びWraith(1998年)で概説されている)において疾患を抑制する効果的な手段であることが明らかにされている。また、これはEAEにおいて進行中の疾患を処置する手段となることが明らかにされている(上記のAnderton及びWraith(1998年))。
寛容とは、抗原に対して反応しないことである。自己抗原に対する寛容は免疫系の本質的な特徴であり、これが失われると、自己免疫疾患が生じ得る。適応免疫系は、それ自身の組織内に含まれる自己抗原の自己免疫性攻撃を回避しつつ膨大な種類の病原菌に対して反応する能力を維持しなければならない。これは、未熟なTリンパ球の胸腺におけるアポトーシス細胞死に対する感受性によってかなりの程度まで制御されている(中枢性寛容)。しかしながら、全ての自己抗原が胸腺において検出される訳ではないので、自己反応性胸腺細胞の死は不完全なままである。従って、末梢組織の成熟自己反応性Tリンパ球によって寛容が獲得されるメカニズムも存在する(末梢性寛容)。中枢性及び末梢性寛容のメカニズムについては、Andertonほか(1999年)(Immunological Reviews 169:123−137)に総説されている。
血友病Aでは、患者は第VIII因子の遺伝子に欠陥を有する。このことは、第VIII因子は免疫系によって「自己」抗原として認識されないことを意味している。従って、凝固因子置換療法時に第VIII因子を投与すると、この外来遺伝子に対する同種免疫反応が生じ、FVIIIインヒビター抗体の産生を招く。
本発明のペプチド類は、FVIIIを治療的に投与する場合にこれが免疫反応を誘導せず、FVIIIインヒビターが生じないように、第VIII因子に対する寛容を誘導することができる。
後天性血友病は、第VIII因子に対する寛容が機能しなくなっている自己免疫疾患である。この場合、本発明のペプチド類を投与することによりこの自己蛋白質に対する寛容を回復させ、病因となる免疫反応を抑えることができる。
寛容は、CD4+T細胞の少なくとも一部においてアナジーが誘導されることから生じ、又はこれを特徴とすることができる。T細胞を活性化するためには、ペプチドはT細胞に2つのシグナルを送達することができる「プロフェッショナル」APCと結合する必要がある。第一のシグナル(シグナル1)は、APCの細胞表面のMHC−ペプチド複合体によって送り出され、TCRを介してT細胞に受け取られる。第二のシグナル(シグナル2)は、CD80、CD86などの、APCの表面の共刺激分子によって送り出され、T細胞の表面のCD28によって受け取られる。T細胞は、シグナル2の無い状態でシグナル1を受け取ると、活性化されないばかりか、アナジーの状態になると考えられている。アナジーなT細胞は、その後の抗原投与に対して不応性であり、他の免疫反応を抑制できる場合がある。アナジーなT細胞はT細胞寛容の媒介に関与していると考えられている。
理論にとらわれることを望まないが、MHC分子と共に提示される前にプロセシングを必要としているペプチドは、成熟した抗原提示細胞により処理される必要があるので寛容を誘導しないと、本発明者らは予測する。(マクロファージ、B細胞及び樹状細胞などの)成熟抗原提示細胞は抗原をプロセシングすることができるが、シグナル1及び2の両方をT細胞に送り出すこともでき、その結果、T細胞の活性化がもたらされる。他方、アピトープは未熟APCのクラスIIMHCに結合することができると考えられる。従って、これは共刺激なしにT細胞に提示され、その結果、T細胞のアナジー及び寛容がもたらされると考えられる。
勿論、アピトープは成熟APCの細胞表面においてMHC分子に結合することもできる。しかしながら、免疫系は成熟APCよりも未熟APCをより豊富に含んでいる(樹状細胞の10%未満が活性化されると示唆されている、Summersほか(2001年)Am.J.Pathol.159:285−295)。従って、アピトープに対する初期状態(default position)は、活性化ではなくアナジー/寛容であると考えられる。
FVIIIに対する寛容の誘導は、当該分野で周知の技術によって
(i)FVIII阻害性抗体、
(ii)FVIIIに特異的なCD4+T細胞
(iii)FVIII阻害性抗体を分泌することができるB細胞
のレベルの低下を探索することによってインビボでモニターすることができる。
ペプチド投与によって寛容が誘導されると、抗原特異的CD4+T細胞の増殖能が低下することが分かっている。また、この細胞によるIL−2、IFN−γ及びIL−4の産生は下方制御されるが、IL−10の産生は増加する。ペプチドにより寛容が誘導された状態のマウスにおいてIL−10を中和すると、疾患への罹患性が完全に元に戻ることが分かっている。寛容状態では、IL−10を産生し、免疫調節を媒介する制御性細胞集団が存続することが提唱されている(Burkhartほか(1999年)Int.Immunol.11:1625−1634)。
従って、寛容の誘導は、
(a)CD4+T細胞におけるアナジーの誘導(これはその後のインビトロでのFVIII投与によって検出することができる)
(b)(i)増殖の低下、
(ii)IL−2、IFN−γ及びIL−4産生の下方制御、及び
(iii)IL−10の産生増加
を含むCD4+T細胞集団の変化
を含む種々の方法によってモニターすることもできる。
本明細書に用いている「寛容原性の」という用語は寛容を誘導することができることを意味している。
組成物
また、本発明は、本発明によるペプチドを含む医薬組成物などの組成物に関する。
このペプチドは、複数のペプチド、例えば、本発明の2種、3種、4種、5種又は6種のペプチドを含むことができる。
この組成物のペプチド類は、それぞれ異なる最小エピトープを含むことができる。例えば、これらのペプチドはそれぞれ表1に示したペプチド類からの最小エピトープを含むことができる。
この組成物は、ペプチド類
Figure 2011505414
を含むことができる。
本発明の組成物は予防用又は治療用とすることができる。
この組成物は、予防用に投与する場合、FVIIIに対する免疫反応の発生を低減又は阻止することができる。免疫反応のレベルは、この組成物で処置しなかった場合に患者で得られたであろうレベルより低い。「低減する」という用語は、この組成物で処置しなかった場合に患者で観察されたであろう反応に対して(又は同じ時間枠にわたって未処置の患者で観察された反応に対して)50%、70%、80%又は90%低減などの免疫反応の部分的な低減が観察されることを意味している。「阻止する」という用語は、FVIIIに対する測定可能な免疫反応が認められないことを意味している。
治療用に投与する場合、この組成物は、FVIIIに対して既に進行中の免疫反応を抑制することができる。「抑制する」という用語は、ペプチド処置の前のレベル又は処置がなされなかった場合に同時点で観察されたであろうレベルと比較した場合の進行中の免疫反応のレベルの低下を意味する。
本発明の組成物で処置することにより
(i)FVIII阻害性抗体、
(ii)FVIIIに特異的なCD4+T細胞
(iii)FVIII阻害性抗体を分泌するB細胞
のうちのいずれか又は全てのレベルの低下をもたらすことができる。
これらの要素全ての検出は、ELISA、FACSなどの、当該分野で周知の技術によって実施することができる。
本発明の組成物で処置することにより、FVIIIに特異的なCD4+T細胞においてアナジーを追加的に又は代わりに、もたらすことができる。アナジーは、例えばその後にインビトロでFVIIIを投与することにより検出することができる。
FVIIIに対する全ての免疫反応が病因となる訳ではないことを念頭に置いておくことは重要である。インヒビターを有しない血友病患者(Moreauほか(2000年)Blood 95:p.3435−41)及び健康な献血者の約15%(Algimanほか(1992年)89:p.3795−9)において非阻害性抗FVIII抗体を見出すこともある。
FVIIIインヒビターは、正常血漿中のFVIIIに対する患者の血漿の不活化能を試験するベセズダ凝固アッセイのNijmegenの変法によって検出することができる。ベセズダ単位は、血漿FVIII活性の50%を中和する抗体の量と定義され、0.6BU以上の力価は抗体の存在を示す。
インヒビターは、一般に、そのレベルが<5BUであれば低力価に、≧5BUであれば高力価に分類される。
血中FVIII阻害性抗体のレベルは、患者が処置を受けなかった場合に観察されたであろう抗体レベルの90%、75%、50%、20%、10%、5%にまで低下させることができる。
血中FVIII阻害性抗体のレベルは、5、4、3、2、1又は0.5BUにまで低下させることができる。
本発明のペプチド類及び組成物は、患者における凝固を助けるのに使用することができる治療的投与のFVIIIの量及び割合を増大させることができる。これは、ある割合のFVIIIをその治療的作用を発揮することから効果的に排除することができるFVIIIインヒビターが低減するためである。本発明のペプチド又は組成物は、利用可能なFVIIIの量を、例えば、10%、25%、50%、75%又は100%増加させることができる。
従って、本発明のペプチド類及び組成物は、患者における凝固を助けるために投与する必要のあるFVIIIの量を低減させることができる。
製剤化
この組成物は溶液又は懸濁液のいずれかの注射剤として調製することができ、注射に先立って液体中の溶液または懸濁液に適した固体形態を調製することもできる。この製剤は乳状にすることもでき、ペプチドはリポソームに封入することができる。有効成分は、医薬用として許容可能であり、この有効成分と適合性の賦形剤と混合することができる。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、デキストロース、グリセロール、エタノールなど及びこれらの組合せである。
さらに、必要に応じて、この組成物は、湿潤剤又は乳化剤及び/又はpH緩衝剤などの補助剤を少量含有することができる。緩衝塩としては、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩が挙げられる。塩酸及び/又はナトリウムハイドリオキシドをpH調製に用いることができる。安定化にはスクロース、トレハロースなどの二糖類を用いることができる。
この組成物が複数のペプチドを含む場合、これらのペプチドの相対比率はほぼ等しいものとすることができる。或いは、例えば、特定のサブセットの自己反応性T細胞に寛容原性反応を集中させるために、又はあるペプチドがその他のペプチドよりも特定のHLA型において効果的に作用することが分かっている場合に、各ペプチドの相対比率を変更することができる。
製剤化後に、この組成物を滅菌容器に入れ、これを密封して低温、例えば4℃で保存することができ、又はこの組成物を凍結乾燥することができる。
この組成物は凍結乾燥(フリーズドライの)粉末として調製するのが好都合である。凍結乾燥によって安定化状態での長期保存が可能となる。凍結乾燥の手順については当該分野で公知であり、例えば、http://www.devicelink.com/ivdt/archive/97/01/006.htmlを参照されたい。凍結乾燥に先だって、一般に、マンニトール、デキストラン、グリシンなどの増量剤が用いられる。
この組成物は、経口、静脈内(水溶性の場合)、筋肉内、皮下、舌下、鼻腔内、皮内もしくは坐剤による経路又は埋め込み(例えば、放出制御分子を使用)などの都合のよいやり方で投与することができる。
この組成物は、鼻腔内、皮下又は皮内経路によって有利に投与すればよい。
本発明のペプチド及び組成物はヒト対象を処置するのに用いることができる。この対象は、血友病A、特に重症の血友病Aを有する者とすることができる。この対象は遺伝的にFVIIIを欠損している者とすることができる。この対象は後天性血友病を有する者とすることができる。この対象は阻害性抗FVIII抗体を有する者とすることができる。
この対象はFVIIIによる凝固剤置換療法を受けているか、受けようとしている者であってもよい。
この対象はFVIII遺伝子による遺伝子療法を受けているか、受けようとしている者であってもよい。
この対象は、阻害性抗FVIII同種抗体又は自己抗体を生じやすい素因と関連付けられるHLAハプロタイプとすることができる。この対象は、HLA−DR2を発現することができる。個体のHLAハプロタイプを判断するための方法は当該分野では周知である。
通常、医師は個々の対象に最も適している実際の投与量を決定することになり、これは特定の患者の年齢、体重及び反応によって様々に異なる。
好ましい実施態様では、複数の用量を濃度を段階的に上げて患者に投与する「用量漸増」プロトコルに従うことができる。このような手法は、例えば、ハチ毒アレルギーに対する免疫療法用途におけるホスホリパーゼA2ペプチドに関して用いられている(Muellerほか(1998年)J.Allergy Clin Immunol.101:p.747−754及びAkdisほか(1998年)J.Clin.Invest.102:p.98−106)。
キット
好都合なことに、組成物が複数のペプチド類を含む場合、これらを混合組成物又はカクテルとして一緒に投与することができる。しかしながら、これらのペプチド類をキットの形で別々に与えて同時、個別、連続又は併用投与することが好ましい状況がある場合がある。
また、このキットは混合及び/又は投与手段(例えば、鼻腔内投与用吸入器又は皮下/皮内投与用注射器及び注射針)を含むこともできる。また、このキットは使用説明書を含むこともできる。
本発明の医薬組成物又はキットは疾患を処置及び/又は予防するために用いることができる。
特に、この組成物/キットは血友病A又は後天性血友病を処置及び/又は予防するために用いることができる。
血友病A
血友病A(古典的血友病)は第VIII因子の欠損に起因する。
血友病Aの推定発症率は男性では10,000人当たり1人であり、一方、血友病Bは男性では40,000人当たり1人の率で発症すると推定される。女性では5,000人当たり約1人が血友病Aの保因者であり、20,000人当たり1人が血友病Bの保因者である。
血友病は、通常、血中の凝固因子のレベルに基づいて3種類、即ち、重症、中等症及び軽症に分類される。重症血友病では、凝固因子は正常値の1%未満である。重症度は何世代にもわたって一貫している傾向がある。
一般に信じられているのとは反対に、小さな傷口及び創傷は血友病患者には通常は脅威ではない。むしろ、最大の危険は関節及び筋肉内に生じることがある突発性出血によってもたらされる。これは、成長の急な年齢期、通常5乃至15歳に最も生じやすい。
関節において特発性出血を繰り返すと、関節炎を生じる恐れがあり、周囲の筋肉が弱くなる。血液の蓄積によって神経への圧迫が生じると、痛み、しびれ及び患部の一時的動作不能が起こる。
血友病Aは、通常、凝固の有効性を測定し、凝固因子のレベルが異常かどうかを調べる血液テストを用いて診断される。
献血された血液から単離された精製凝固因子が1970年代に開発されたことにより血友病患者の長期予後が著しく改善された。軽症乃至中等症の血友病患者はFVIIIによる処置を臨時的に利用するのに対して、重症の血友病患者は定期的で無期限の処置を必要とすると考えられる。
従来、患者は何千もの血漿献血からプールされた第VIII因子濃縮物を投与されていた。このため、ウイルス性の病原体、特にヒト免疫不全ウイルス及び肝炎ウイルスによる汚染という深刻な問題がもたらされた。モノクロナール抗体による精製技術、熱不活化及び殺ウイルス性界面活性剤処置によって血漿由来濃縮物は比較的安全になっている。
今や、組換えDNA技術によってRecombinate(商標)、Kogenate(商標)などの一連の合成製品が供給されている。Kogenateは、ヒト第VIII因子を発現する新生仔ハムスター腎細胞を用いて作製されている。得られた因子は高度に精製され、血漿からのウイルス感染の可能性はいずれも排除されている。
本発明のペプチド又は組成物は第VIII因子置換療法の施行前及び/又は施行中に投与することができる。
血友病Aは遺伝子治療の理想的な疾患標的である。何故なら、i)これが特定の単一遺伝子の突然変異に起因しており、ii)インビボで凝固因子レベルを僅かに上昇させることにより重症の血友病をより軽症のものに変えることができ、iii)現行の置換療法が最適以下と考えられているからである。また、凝固活性の所望レベルを超過しても安全性の範囲は広い。
残念なことに、現在に至るまで血友病の治療法としての遺伝子療法の将来性は実現されていない。その主な理由は、凝固因子の長期発現を可能にするのに十分非免疫原性である遺伝子送達系を見出すのが困難であることにある。
本発明のペプチド類は、第VIII因子による遺伝子療法に先立って対象を寛容化し、及び/又は遺伝子療法後の患者におけるFVIIIインヒビターの形成を管理するのにも適していると考えられる。
後天性血友病
後天性血友病は、以前に凝固が正常であった個体におけるFVIIIに対する自己抗体インヒビターの存在を特徴とする。これは、年間の推定発症率が百万人当たり1乃至3人の希な疾患である。獲得自己抗体インヒビターと関連付けられる死亡率は、同種抗体を有する個体における死亡リスクが実質的により低いのに対して25%に達する。
同種抗体インヒビターを有する患者と比較して、後天性血友病は、(1)出血パターンの重症化、(2)高齢集団における発症率の上昇、(3)約50%の症例における、根底にある特定可能な自己免疫疾患、リンパ球増殖性又は固形悪性腫瘍、妊娠及びペニシリン、スルホンアミド類などの特定の抗生物質の使用に関連した発症、並びに(4)通常、患者血漿において2%乃至18%の範囲の残存第VIII因子レベルをもたらす、その自己抗体による標的化凝固因子活性の不完全な中和を示すII型薬物動態パターンをたどるインビトロインヒビター活性、を特徴とする。
本発明のペプチド又は組成物は、後天性血友病を有する患者に対して、又は、例えば、
i)例えば、ペニシリンもしくはスルホンアミド類による処置が迫っていること、
ii)腫瘍もしくは他の悪性疾患が進行していること、
iii)妊娠が間近もしくはその早期であること
のために後天性血友病を発症するリスクがあると考えられる患者に対して、投与することができる。
次に、実施例により本発明をさらに説明するが、これらの実施例は、本発明の実施に当たり当業者の便をはかるのに役立つものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
実施例1
HLA−DR2第VIII因子ペプチドの選択
一連のFDVIII 15マーペプチドを以下の3種のHLA−DR結合アルゴリズムを用いて比較した:
SYFPEITHI(http://www.syfpeithi.de/home.htm)
ProPred(http://www.imtech.res.in/raghava/propred/)及び
及びIEDB(http://www.immuneepitope.org/home.do)。
これらのプログラムのうちの2種以上によってHLA−DR2結合であると予測されるペプチドを選択し、その予測されたコア残基群のフランキング配列を設計した(表1)。
Figure 2011505414
実施例2
第VIII因子免疫化マウスからのHLA−DR2拘束性細胞のペプチドに対する反応の検討
HLA−DR2遺伝子導入マウスをアジュバントと混ぜたヒト第VIII因子で免疫化した。流入領域リンパ節細胞を採集し、表1からの12種のペプチドを種々の濃度で用いてインビトロで再刺激した。その結果を図1に示した。
第VIII因子免疫化マウスからのHLA−DR2拘束性細胞は明らかにペプチドDNIMV(第1アミノ酸 1788)に対して強く反応する。ペプチド類PRCLT(545)及びPPIIA(2161)に対する反応も見られる。
実施例3
HLA−DR2マウスからのT細胞のペプチドに対する反応の検討
先ず、HLA−DR2マウスをアジュバントと混ぜた第VIII因子で免疫化した。免疫マウスからの脾細胞を第VIII因子によりインビトロで再刺激し、得られたリンパ芽球をポリエチレングリコールを用いてBW5147胸腺腫と融合させた。
T細胞ハイブリドーマをHAT培地で選択し、こうしたハイブリドーマをクローニングして第VIII因子に対する反応性について調べた。次いで、これらのハイブリドーマを上記12種の予測ペプチドに対する反応性についてスクリーニングした。スクリーニングした27種のハイブリドーマのうち、11種がDNIMVに、3種がPRCLTに、3種がPPIIAに反応したが、PPIIAに対する反応はより弱く、特異性が低かった。DNIMV及びPRCLTに特異的な2種のハイブリドーマの反応を図2に示した。
実施例4
FVIII−DR2+マウスからのリンパ節細胞のペプチドに対する反応の検討
HLA−DR2遺伝子導入マウスを第VIII因子欠損マウスと交配させてヒトHLAクラスII MHC分子を発現する血友病のモデルを作製した。
このようにして得たFVIII−DR2+動物をアジュバントと混ぜた第VIII因子で免疫化した。流入領域リンパ節を単離し、上記ペプチドパネルに対する反応性を調べた。図3に示したように、こうした細胞はPRCLT及びDNIMVによく反応した。GTLMVに対する反応は弱かったが、RYLRIに対する反応は大きかった。
実施例5
HLA−DR2マウスからのT細胞のペプチドに対する反応の検討
HLA−DR2を発現する第VIII因子欠損マウスをアジュバントと混ぜた第VIII因子で免疫化した。この免疫化マウスからの脾細胞を第VIII因子によりインビトロで再刺激し、得られたリンパ芽球を上述のようにしてBW5147と融合させた。T細胞ハイブリドーマを上記12種の予測ペプチドに対する反応性についてスクリーニングした。さらにこの場合も、ハイブリドーマの大部分はDNIMV及びPRCLTに反応した。第VIII因子に特異的な19種のハイブリドーマのうち、10種がDNIMVに、6種がPRCLTに、1種がPPIIAに、1種がSLYISに、1種がDTLLIに反応した。これらのハイブリドーマによる反応の例を図4に示した。
これらの実験から、2種のペプチドDNIMV(第1アミノ酸 1788番目)及びPRCLT(第1アミノ酸 545)がヒト第VIII因子に対するHLA−DR2拘束性T細胞の反応において免疫優性T細胞エピトープを構成することは明らかである。
実施例6
DNIMV及びPRCLTはアピトープとして挙動する
アピトープであるためには、ペプチドは更なる抗原プロセシング(即ち、トリミング)を受けることなくMHCクラスI又はII分子に結合することができ、T細胞に提示されなければならない。この例では、固定APCにより提示されるペプチドの性能を検討した。
Mgar細胞は新鮮なもの又は1%パラホルムアルデヒドで固定したものとした。20μg/mlのrhFVIII又はペプチドエピトープの存在又は非存在下に100μlのハイブリドーマ細胞を5×10個のMgar細胞と共に一夜培養することによってクローンの抗原特異性を調べた。次いで、上清を採集し、ELISAによりIL−2産生について評価した。rhFVIIIが生きたMgar細胞によって提示されなければならないという事実は、完全な状態の蛋白質が提示されるには抗原プロセシングを受ける必要があることを示している。他方、ペプチド類DNIMV及びPRCLTは生及び固定Mgar細胞のいずれによっても提示され、このことはこれらのペプチドがアピトープとして機能することを示している(図5)。
実施例7
アピトープとして機能することができるペプチドエピトープの範囲の決定
重複ペプチドのパネル(本明細書の原文の36乃至37ページに示した)を調製し、実施例5と同様の方法によりT細胞ハイブリドーマを用いてこれらをスクリーニングすることによって、DNIMV、PRCLT及びその他のペプチドを取り囲む配列内のアピトープとして機能することができるペプチドエピトープの範囲を特定した(図7)。
実施例8
DNIMV及びPRCLTは第VIII因子蛋白質全体に対する寛容を誘導する
HLA−DR2遺伝子導入マウスをアジュバントに混ぜた第VIII因子による免疫化に先だってこれら2種の可溶性ペプチドのいずれか又は対照としてのPBSで処置した。流入領域リンパ節を単離し、マウスの免疫状態を評価するために細胞を第VIII因子蛋白質によりインビトロで再刺激した。図6に示したように、DNIMV又はPRCLTでマウスを処置すると、第VIII因子に対する免疫反応の実質的な抑制がもたらされた。
実施例9
DNIMV及びPRCLTが第VIII因子ノックアウトマウスにおいて寛容を誘導することができるかどうかについての検討
実施例8から、これらの2種のペプチドが内因性第VIII因子を発現するマウスにおいて第VIII因子に対する免疫反応を阻止することができることが分かった。FVIII−DR2+動物でこの実験を繰り返すことによりこれらのペプチドが第VIII因子欠損マウスにおける第VIII因子に対する免疫反応をも阻止するかどうかを明らかにした。
実施例10
DNIMV及びPRCLTの併用が第VIII因子ノックアウトマウスにおいて寛容を誘導することができるかどうかについての検討
実施例9において第VIII因子欠損マウスにおける第VIII因子に対する免疫反応を単独で低下させることが示された2種のペプチドを併用した。図8に示したように、DNIMV及びPRCLTの両者でマウスを処置すると、IFN−ガンマ産生の減少によって示されるように、第VIII因子に対する免疫反応の実質的な抑制がもたらされた。IFN−ガンマは、マウスにおいて抗体を中和するのに必要とされる主要なクラススイッチリンホカインである。示された効果はいずれかのペプチドを単独で用いて観察される効果よりも大きかった。
方法
(i)rhFVIIIで初回刺激したDR2+マウスのリコール反応
HLA−DR2+マウスMHCクラスIIヌルマウスを、尾の基部への皮下注射により、400μgの加熱死菌M.tuberculosis H37Raを補充した完全フロイントアジュバントに乳化した40μgのrhFVIIIで免疫化した。10日後、マウスを屠殺し、流入領域リンパ節を切除した。単一細胞浮遊液を調製し、96ウェル平底プレートにおいてウェル当たり4乃至5×10個のリンパ球を、示した濃度のペプチド又は対照抗原と共に72時間インキュベートした後、さらに16時間0.5μCi/ウェルのトリチウム標識チミジンでパルスした。次いで、プレートを凍結した後、細胞をガラスフィルターマット上に採取し、放射能取込量を液体シンチレーションβ−カウンターを用いて測定した。
(ii)DR2+マウスから得られたT細胞ハイブリドーマのFVIIIペプチド特異性
HLA−DR2+マウスMHCクラスIIヌルマウスを上記のようにして免疫化した。10日目に流入領域リンパ節を切除し、20μg/mlのrhFVIIIの存在下の24ウェルプレートにおいて2.5×10個/mlのリンパ球を1ml/ウェル3日間培養した。この刺激の後に、リンパ球を回収し、洗浄して、Nelsonほか(1980年)PNAS 77(5):p.2866の報告と同様にしてポリエチレングリコールを用い、TCRαβBW融合パートナー細胞と1個のリンパ球に対して4個のBW細胞の割合で融合させた。融合細胞を注意深く洗浄した後、平底96ウェルプレートで2日間平板培養し、次いで、HAT培地を加えてT細胞ハイブリドーマを選択した。細胞の増殖をモニターし、約10日後に融合を実施し、個々のクローンを選択してHAT培地中24ウェルプレートに移した。クローンは、少なくとも2週間HAT培地に維持した後、HT培地、次いで完全培地に移した。クローンの抗原特異性について、20μg/mlのrhFVIIIの存在又は非存在下に100μlのハイブリドーマ細胞を5×10Mgar細胞と共に一夜培養することによって調べた。次いで、上清を採集してELISAによりIL−2産生について評価し、rhFVIIIに反応してIL−2を産生するクローンをFVIII特異性に関して陽性であるとみなした。予測されるFVIIIペプチド類のレパートリーを検討するために、FVIII特異的クローンについて上記12種のペプチドのそれぞれ20μg/mlと一夜インキュベーションした後、IL−2産生を再度調べた。
(iii)rhFVIIIで初回刺激したFVIII−/−マウスのリコール反応
マウスがFVIII欠損、HLA−DR2+及びマウスMHCクラスIIヌルである以外は(i)の場合と同じ方法に従った。
(iv)FVIII−/−マウスから得られたT細胞ハイブリドーマのFVIIIペプチド特異性
マウスがFVIII欠損及びHLA−DR2+である以外は(ii)の場合と同じ方法に従った。
(v)免疫優性FVIIIペプチドでの前処置によるDR2+マウスにおけるFVIII特異的反応の寛容化
HLA−DR2+マウスMHCクラスIIヌルマウスをPBSに溶かした100μgのDNIMV、PRCLTもしくはPPIIA又は等量のPBS単独で3回処置した。ペプチドは、各投与の間隔を3乃至4日として腹腔内投与した。最後の投与の後、(i)の場合のように、マウスを完全フロインドアジュバントに乳化したrhFVIIIで初回刺激した。10日後、流入領域リンパ節を回収し、次いで、リンパ球をrhFVIII又は各寛容化ペプチド及び対照抗原と共にインビトロで72時間培養した後、(i)の場合のようにトリチウム標識チミジンを加えた。
(vi)免疫優性FVIIIペプチド類を併用した前処置によるDR2+マウスにおけるFVIII特異的反応の寛容化
HLA−DR2+マウスMHCクラスIIヌルマウスをPBSに溶かしたDNIMV、PRCLTもしくはDNIMV及びPRCLTの両者の組合せ又は等量のPBS単独で3回処置した。ペプチドは8日間にわたって腹腔内投与した。最後の投与の後、(i)の場合のように、マウスを完全フロインドアジュバントに乳化したrhFVIIIで初回刺激した。10日後、流入領域リンパ節を回収し、次いで、リンパ球をrhFVIIIを用いてインビトロで再刺激した。次いで、上清を採集してIFN−ガンマを測定した。
上記明細書に記載した刊行物は全て、引用により本明細書に組み込まれている。本発明の範囲および精神を逸脱することなく、開示した本発明の方法および系の種々の変更および改変を行うことができることは、当業者には明瞭に理解されよう。本発明については特定の好ましい実施態様に関して説明したが、本発明の特許請求の範囲がこのような実施態様に不当に限定されるべきではないことは理解されよう。それどころか、フローサイトメトリーを用いる細胞研究もしくはその関連分野の当業者には自明である、発明実施のために開示した実施態様の種々の変更は、以下の特許請求の範囲に含まれるものである。
Figure 2011505414
Figure 2011505414
Figure 2011505414

Claims (13)

  1. 以下のコア残基配列:
    Figure 2011505414
    のうちの一つを含むペプチドであって、
    該ペプチドは、更なる抗原プロセシングを受けることなくMHCクラスII分子に結合し、第VIII因子特異的T細胞により認識され得る、ペプチド。
  2. 以下のコア残基配列:
    Figure 2011505414
    のうちの一つを含む請求項1に記載のペプチド。
  3. 以下のコア残基配列:
    Figure 2011505414
    のうちの一つを含む請求項2に記載のペプチド。
  4. 配列
    Figure 2011505414
    を有する請求項3に記載のペプチド。
  5. 配列
    Figure 2011505414
    を有する請求項3に記載のペプチド。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の複数のペプチド類を含む組成物。
  7. インビボにおいて第VIII因子インヒビター抗体の産生を抑制もしくは阻止するのに使用するための請求項1乃至5のいずれかに記載のペプチド又は請求項6に記載の組成物。
  8. インビボにおいて第VIII因子インヒビター抗体の産生を抑制もしくは阻止するための医薬品の製造における請求項1乃至5のいずれかに記載のペプチド又は請求項6に記載の組成物の使用。
  9. 対象において第VIII因子インヒビター抗体の産生を抑制又は阻止するための方法であって、該対象に請求項1乃至5のいずれかに記載のペプチド又は請求項6に記載の組成物を投与する工程を含む方法。
  10. 対象において血友病を処置するための方法であって、該対象に請求項1乃至5のいずれかに記載のペプチド又は請求項6に記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
  11. 前記対象が血友病Aを有し、第VIII因子置換療法を受けているか、受けようとしている、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記対象が後天性血友病を有しているか、これに罹患するリスクがある、請求項9又は10に記載の方法。
  13. 前記対象がHLA−DR2である、請求項9〜12に記載の方法。
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