JP2011503024A - 補体成分を調節するための分子および方法 - Google Patents

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Abstract

C3bエピトープに結合する組成物および組成物を使用する方法が本出願に記載されている。

Description

技術分野
本発明は抗原結合分子、これらの分子により結合されているネオエピトープおよび該分子を使用する方法に関する。
背景
加齢関連黄斑変性症(AMD)は65歳以上のアメリカ人における進行性疾患および失明および盲目の主な原因である。AMDは主に黄斑;読書または運転に必要とされる高視力に関与する網膜の一部に影響する。大多数のAMD患者はドルーゼンと呼ばれる細胞外網膜沈着物の存在により特徴付けられる疾患の早期段階を患う。ドルーゼンは細胞残屑の細胞外網膜沈着物、炎症性メディエーターおよび細胞外マトリックス成分である。AMDの後期は乾燥型または湿潤型として現れ、それらは両方とも失明と関連している。地図状萎縮としても知られている乾燥型AMDは検眼鏡検査において網膜色素上皮(RPE)喪失の局所地域に対応する明白に区別される領域として現れる。湿潤型AMDは脈絡膜の新血管新生と関連し、ブルッフ膜における完全性および網膜における血管成長の喪失を引き起こし、そのような場所ではしばしば出血が起こり得る。この漏出は網膜細胞において永久的損傷を引き起こし、次々に死に、中心視において盲点を創る。
本来のヒト系は補体経路から構成される。補体経路は化膿性細菌感染症に対して防御するために働き、先天および適応免疫を乗り越え;そして、免疫複合体および炎症性損傷の生成物を処分する。該補体は血漿および細胞表面におけるカスケード反応に関与する30個以上のタンパク質系である。補体系およびその補体成分は種々の免疫過程に関与する。例えば、最終複合体または細胞膜傷害複合体(MAC)としても呼ばれる補体C5b−9複合体は膜透過性損傷を誘導することにより細胞死において重要な役割を果たす。
最近の研究により、補体成分C3およびC5がAMDを有する患者におけるドルーゼンの主な構成成分であることが証明されている(Mulling, R.F. et al. (2000) FASEB J 14, 835-46)。これらの存在ならびにドルーゼンを覆うRPE細胞における細胞膜傷害複合体(MAC)C5b−9および他の急性期反応物質タンパク質の存在が、補体活性化およびMACの形成を引き起こすことができるプロセスに関与すると推測されている(Johnson, L et al. (2001) Exp Eye Res 73, 887-896)。したがって、補体成分が単なる先天免疫のメディエーター以上であるという証拠が増加している。
栄養学的介入は乾燥型AMDの湿潤型AMDへの進行を阻害するために指示されている。現在、湿潤型AMDに対してFDAにて承認されている治療は光力学的治療(PDT)、抗VEGFアプタマー、例えば、ペガプタニブ、および抗VEGF抗体、ラニビズマブのみを含む。これらの薬物または治療は一般的にすでに実質的な失明を患った患者に投与される。
現在の処置に取って代わる、または現在の処置を補うためのAMDに対する有効な処置を開発する必要性が残っている。特に、失明の早期検出、予防または回復を提供することができる処置の必要性がある。
要約
本発明は補体成分C3bのエピトープ、C3b結合分子ならびに該分子を製造および使用する方法に関する。本発明はさらにC3bに結合する分子(すなわち、C3b結合分子)、特にヒトC3bエピトープに結合する抗体およびその部分ならびに少なくとも1つの補体タンパク質または副および/または古典的補体経路が介在する細胞活性を調節するものを提供する。
本明細書中における“補体経路”または“補体”なる記載は副補体経路または古典的補体経路のいずれか、または両方を示す。
1つの局面において、レベルを調節される補体成分タンパク質はアナフィラトキシン、因子H、因子P、因子B、C3またはC5転換酵素;C3分解産物、例えば、C3a、C3b、iC3bおよびC3d、C5分解産物、C5aおよびC5b;MACおよび補体副産物のMAC依存生産物である。
他の局面において、本発明の結合分子は補体タンパク質の酵素活性を調節する。いくつかの方法において、調節される酵素活性はC3および/またはC5転換酵素活性、C3のC3aおよびC3bへの変換、C5のC5aおよびC5bへの変換ならびにC5b−9の形成である。
他の局面において、本発明は対象における補体タンパク質生産のレベルを調節する方法を特徴とする。該方法は以下の1つ以上の生物学的活性を調節するC3b結合分子を対象に投与することを含む:(a)C3転換酵素への因子P結合の阻害;(b)C3bへの因子B結合の阻害;(c)C3またはC5転換酵素のタンパク質分解活性の競合または非競合阻害;(d)C3bのC3転換酵素への結合の阻害、それによるC5転換酵素の形成の阻害;(e)C3分解産物、C3a、C3b、iC3bおよびC3dの形成の阻害;(f)C5分解産物、C5aおよびC5bの形成の阻害;(g)MAC形成の阻害、および(h)C6、クラスタリン、ハプトグロビン、Igカッパ鎖、Igラムダ鎖またはIgガンマ鎖を含む補体副産物のMAC依存生産の阻害。いくつかの方法はさらに対象からの尿、血漿、血清、すべての血液または眼の液体における補体タンパク質のレベルを検出することを含む。
したがって、1つの局面において、本発明はC3bネオエピトープ(neo-epitope)に結合する抗原結合部分を含むC3b結合分子であって、ここで、抗原結合部分は以下の表1に挙げられているアミノ酸の群から選択されるネオエピトープに結合する結合分子を提供する。
他の局面において、C3b結合分子はエフェクターリガンドに対する親和性において改変されている。本発明の抗C3b抗体は、FcRγ結合を排除し、エフェクター機能を弱めるために、好ましくは234および235位置にてロイシンからアラニンへの変異を有する。
特に、本発明はC3bネオエピトープに結合する(例えば、特異的に結合する)抗体の抗原結合部分を含む単離されたC3b結合分子であって、ここで、抗原結合部分は以下のC3bネオエピトープのうちいずれかに含まれるか、または以下のうちいずれかと重複しているヒトC3bのネオエピトープに結合する結合分子を提供する:(a)GEDTVQSLTQG(アミノ酸393−403、配列番号:1);(b)DEDIIAEENIVSRSEF(アミノ酸752−767、配列番号:2);(c)IRMNKTVAVRT(アミノ酸936−946、配列番号:3);(d)SDQVPDTESET(アミノ酸968−978、配列番号:4);(e)VAQMTED(アミノ酸987−993、配列番号:5)、(f)FVKRAP(アミノ酸1069−1074、配列番号:6);(g)KDKNRWEDPGKQLYN(アミノ酸1215−1229、配列番号:7);(h)CTRYRGDQDATMS(アミノ酸1389−1401、配列番号:8);(i)GFAPDTDDLKQLANGV(アミノ酸1410−1425、配列番号:9)。
他の局面において、本発明は第2または第3の分子に関連するC3bネオエピトープに結合する(例えば、特異的に結合する)結合分子の抗原結合部分を含む単離されたC3b結合分子を提供する。第2または第3の分子は遊離であるか、またはデュプレックスまたはトリプレックスのごとき複合体として結合していてもよい。このような第2または第3の分子は、C3b、C3bBb、C4b、C4b2a、因子P、因子H、因子Bまたはそれらの部分からなる群から選択され得る。
種々の局面において、抗原結合部分は以下の表1において挙げられている1つ以上のアミノ酸のうちいずれかに含まれるか、または以下の表1において挙げられている1つ以上のアミノ酸のうちいずれかと重複しているヒトC3bのネオエピトープに特異的に結合する。種々の局面において、結合分子は抗体または直鎖もしくは非直鎖エピトープに結合することができる抗体の様態において機能する分子である。1つの局面において、C3b分子が本明細書における表1の1つ以上のネオエピトープを含む非直鎖エピトープに結合するとき、ネオエピトープは、望ましい生物学的機能を実質的に生じるようにネオエピトープの1つ以上の抗原部分と相互作用するために、結合分子に対して構造的に配置されているべきである。直鎖および非直鎖ネオエピトープは以下のいずれかの直鎖エピトープの少なくとも1つの部分を含む:(a)配列番号:4のアミノ酸968−978;および(b)配列番号:2のアミノ酸752−762。他の例において、抗原結合部分は以下のいずれかの直鎖ネオエピトープの少なくとも1つの部分を含むまか、あるいは該1つの部分からなる非直鎖ネオエピトープに結合する:(a)配列番号:3のアミノ酸936−946;および(b)配列番号:8のアミノ酸1389−1401。非直鎖ネオエピトープの任意の組合せは少なくとも1つの補体タンパク質または補体経路が介在する細胞活性を調節するようにこのような結合分子により結合されていてもよい。
他の局面において、C3b結合分子は非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルまたはアカゲザル)のC3bと交差反応する。種々の局面において、抗原結合部分は齧歯動物種(例えば、ネズミC3b、ラットC3b、ウサギC3b)のC3bと交差反応する。
1つの局面において、本方法の結合分子は解離定数(K)1nM以下(例えば、0.01nM、0.1nM、0.25nM、0.5nM)にてC3bに結合する。
他の局面において、C3b結合分子はヒトC3bへの結合に対するKの5−10倍以内のKにて非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルまたはアカゲザル)のC3bネオエピトープに結合する。
1つの態様において、本発明の結合分子はK5nM以下にて、またはヒトC3bへの結合に対するKの100倍以内にてマウスC3bネオエピトープに結合する。
1つの局面において、結合分子はキメラ(例えば、ヒト化)抗体またはヒト抗体である。
他の局面において、結合分子はモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。
C3b結合分子は、例えば、抗体のFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)またはFvフラグメントを含む。
1つの局面において、C3b結合分子はヒト抗体である。
1つの局面において、C3b結合分子は一本鎖Fvを含む。
1つの局面において、C3b結合分子はダイアボディ(例えば、一本鎖ダイアボディまたは2つのポリペプチド鎖を有するダイアボディ)を含む。他の局面において、抗体の抗原結合部分は下記アイソタイプの1つの抗体由来である:IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4。他の局面において、抗体の抗原結合部分はIgAまたはIgEアイソタイプの抗体由来である。
他の局面において、本発明は、動物に投与されたとき、C3bネオエピトープに特異的に結合する抗体を誘導するための組成物を提供する。該組成物は、例えば、本明細書の表1に挙げられている1つ以上のペプチド;5個以下のアミノ酸変化を有するそれらのペプチド;またはそれらのフラグメント(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個のアミノ酸を含むフラグメント)を含む。該組成物は、例えば、C3bネオエピトープまたはそのフラグメントが担体タンパク質に結合することにより、抗原性を高めるように調節することができる。
他の局面において、本発明は細胞におけるMAC生産を減少させる方法を特徴とする。1つの例において、MAC生産または阻害は、例えば、ニワトリ、ウサギまたはヒトからの赤血球の溶血の阻害のごとき標準CH50およびAH50溶血アッセイを使用することにより測定され得る。該アッセイ方法は、本明細書においてさらに提供されるとおり、赤血球をC3b結合分子と接触させ、それにより赤血球のMAC形成を阻害することを含む。
本発明のいくつかの方法において、結合分子は活性化補体系に応答するか、または介在する細胞活性を調節する。いくつかの方法において、調節される細胞活性は細胞溶解である。いくつかの方法はさらに、例えば、溶血アッセイにより細胞活性を検出することを含む。いくつかの方法において、細胞活性は対象からの尿、血漿、血清、すべての血液または眼の液体において検出される。
本発明は、また、本明細書に記載されている1つ以上のC3b結合分子を含む医薬組成物を提供する。1つの態様において、本発明は、以下のC3bエピトープのうちいずれか1つに含まれるか、または以下のC3bネオエピトープのうちいずれか1つと重複しているヒトC3bエピトープに結合するC3b結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。ここで、該C3bネオエピトープの群は以下のものからなる:(a)GEDTVQSLTQG(アミノ酸393−403、配列番号:1);(b)DEDIIAEENIVSRSEF(アミノ酸752−767、配列番号:2);(c)IRMNKTVAVRT(アミノ酸936−946、配列番号:3);(d)SDQVPDTESET(アミノ酸968−978、配列番号:4);(e)VAQMTED(アミノ酸987−993、配列番号:5);(f)FVKRAP(アミノ酸1069−1074、配列番号:6);(g)KDKNRWEDPGKQLYN(アミノ酸1215−1229、配列番号:7);(h)CTRYRGDQDATMS(アミノ酸1389−1401、配列番号:8);(i)GFAPDTDDLKQLANGV(アミノ酸1410−1425、配列番号:9)。
他の態様において、本発明は、以下の直鎖エピトープの各々の少なくとも1つの部分を含むヒトC3bネオエピトープに結合するC3b結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。ここで、該直鎖エピトープは:(a)配列番号:4のアミノ酸968−978;および(b)配列番号:2のアミノ酸752−762である。1つの態様において、C3b結合分子は直鎖C3bネオエピトープに結合する。他の態様において、C3b結合分子は非直鎖C3bネオエピトープに結合する。
他の態様において、本発明は、以下の直鎖エピトープの各々の少なくとも1つの部分を含むか、または該部分からなるヒトC3b非直鎖ネオエピトープに結合するC3b結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。ここで、該直鎖エピトープは:(a)配列番号:3のアミノ酸936−946;および(b)配列番号:8のアミノ酸1389−1401である。
他の局面において、本発明は対象における失明を処置または予防する方法を特徴とする。本明細書において使用される“処置する”または“処置”なる用語は対象における障害または疾患のすべての処置を意味し、障害または疾患に罹患しやすいであろうが、まだ障害または疾患を有すると診断されていない対象における発症から障害または疾患を予防;障害または疾患を抑制、例えば、障害または疾患の発症を阻止;障害または疾患を軽減、例えば、障害または疾患の緩解を誘導;または、疾患または障害により引き起こされる状態を軽減、例えば、疾患または障害の症状を停止または改善することを含むが、これらに限定されない。対象における疾患または障害に関して、本明細書において使用される“予防する”または“予防”なる用語は、発症したことがないとき、疾患または障害を発症しないか、または、すでに障害または疾患の発症が起こっているとき、さらに障害または疾患発症しないことを意味する。該方法は少なくとも1つの補体タンパク質の活性またはレベルまたは補体経路が介在する細胞活性を調節するために有効な量における本明細書に記載されているC3b結合分子を含む医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの方法において、対象は黄斑変性症と関連する状態または障害を有する。他の方法において、対象は黄斑変性症と関連する障害を発症する危険性がある。いくつかの方法において、対象は黄斑変性症関連障害以外の補体関連疾患を有さない。特に、調節される補体タンパク質は対象におけるC3転換酵素またはC5転換酵素活性である。
対象に投与することができる量はMAC、C5a生産またはC3分解産物(例えば、C3a、C3b、iC3b)の形成を阻害するために有効な量である。特に、補体活性化産物(C3aおよび/またはC5aを含むが、これらに限定されない)の濃度を対象の血液において医薬組成物の投与前のベースラインレベルと比較して少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%または75%減少させることができる。
本発明の方法にて処置することができる他の疾患または障害は、加齢関連黄斑障害、ノースカロライナ(North Carolina)黄斑変性、ソースビー眼底変性症、スタルガルト病、パタンジストロフィ、ベスト病、家族性ドルーゼンおよびマラッティアレベンティネース(malattia leventinese)、網膜剥離、脈絡網膜変性、網膜変性、光受容体変性、RPE変性、ムコ多糖症、桿体錐体ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、錐体変性、糸球体腎炎、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、体外循環と関連する免疫および止血系の減少による機能障害、神経障害、多発性硬化症、卒中、ギラン・バレー症候群、外傷性脳損傷、パーキンソン病、不適当なまたは望ましくない補体活性化の障害、血液透析合併症、超急性同種移植片拒絶反応、異種移植片拒絶反応、IL−2治療中のインターロイキン2誘導毒性、炎症性障害、自己免疫性疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、熱傷または凍傷を含むやけど、虚血後再潅流状態、心筋梗塞、バルーン血管形成術、心肺バイパスまたは腎臓バイパスにおけるポストポンプシンドローム、血液透析、腎臓虚血、皮膚腺再構成後の腸間膜動脈再潅流、感染病または敗血症、免疫複合体障害および自己免疫性疾患、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、SLE腎炎、増殖性腎炎、溶血性貧血および重症筋無力症を含むが、これらに限定されない。加えて、他の既知の補体関連疾患は肺疾患および障害、例えば、呼吸困難、喀血、ARDS、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、肺塞栓および梗塞、肺炎、線維形成粉塵疾患、不活性粉塵および無機物(例えば、シリコン、炭塵、ベリリウムおよびアスベスト)、肺線維症、有機粉塵疾患、化学的損傷(刺激性ガスおよび化学物質、例えば、塩素、ホスゲン、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化窒素、アンモニアおよび塩酸による)、煤煙傷害、やけど(例えば、熱傷、凍傷)、喘息、アレルギー、気管支収縮、過敏性肺炎、寄生虫症、グッドパスチャー症候群、肺血管炎、免疫複合体関連炎症、自己免疫性心臓疾患、多発性硬化症、炎症性腸疾患、虚血再灌流障害、バラクワ・サイモン(Barraquer-Simons)症候群、血液透析、全身性狼瘡、エリテマトーデス、乾癬、多発性硬化症、移植、中枢神経系の疾患、例えば、アルツハイマー病および他の神経変性状態、aHUS、類天疱瘡またはII型MPGNである。
本発明の医薬組成物は当分野において既知の経路により、例えば、皮下に、静脈内にまたは硝子体内を含む眼内に投与され得る。
本発明の1つ以上の特徴の詳細は添付の図面および以下の記載において説明する。本発明の他の特徴、対象および利点は記載および図面および特許請求の範囲から明らかである。
詳細な説明
古典的および副補体経路の両方において、本発明者はC3bネオエピトープを認識して結合し、C3および/またはC5転換酵素の生物学的活性およびMACの生成を調節する結合分子を見出した。このような結合分子は古典的および/または副補体経路の異常活性と関連する疾患、例えば、眼疾患、黄斑変性症と関連する状態および本明細書に記載されている非眼疾患の予防および/または処置において使用することができる。
したがって、本発明は補体タンパク質および/または補体経路が介在する細胞活性を調節するC3bネオエピトープ、例えば、ヒト抗体およびそれらのフラグメントに結合する分子を提供する。C3bのネオエピトープならびにこれらのネオエピトープを製造および使用する方法は、また、本明細書において提供される。
本明細書において使用される“ネオエピトープ”または“ネオ抗原”は互換的に使用され、C3のタンパク質分解開裂後のC3b上に存在するタンパク質の抗原部分である。これらのネオエピトープは開裂されていないC3においては利用できない。
“黄斑変性症と関連する状態または障害”なる用語は、網膜黄斑が、例えば、黄斑の細胞の増殖減少、黄斑の細胞(例えば、RPE細胞)の死または再配列の増加、正常生物学的機能の喪失またはこれらの事象の組合せの結果として、機能障害を悪化させる、または機能障害となる、多くのすべての状態を意味する。黄斑変性症は正常黄斑の細胞および/もしくは細胞外マトリックスの組織構造の完全性の喪失ならびに/または黄斑の細胞の機能喪失を引き起こす。黄斑変性症関連障害の例は、AMD、ノースカロライナ黄斑変性、ソースビー眼底変性症、スタルガルト病、パタンジストロフィ、ベスト病、家族性ドルーゼンおよびマラッティアレベンティネース(ラジアル(radial)ドルーゼン)を含む。該用語は、また、黄斑の機能障害および/または変性前または後に起こる黄斑外変化を含む。したがって、“黄斑変性症関連障害”なる用語は、また、黄斑の完全性または機能を変えるか、または損傷する(例えば、RPEまたはブルッフ膜を損傷する)広くすべての状態を含む。例えば、該用語は網膜剥離、脈絡網膜変性、網膜変性、光受容体変性、RPE変性、ムコ多糖症、桿体錐体ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィーおよび錐体変性を含む。
“補体成分”、“補体タンパク質”または“補体成分タンパク質”なる用語は補体系の活性化に関連する分子を意味する。古典的経路構成成分は、例えば、C1q、C1r、C1s、C4、C2、C3、C5、C6、C7、C8、C9およびC5b−9複合体(細胞膜傷害複合体:MAC)を含む。他の経路構成成分は、例えば、因子B、因子D、プロパージン、HおよびIを含む。
“調節”または“調節する”なる用語は本明細書において互換的に使用され、活性または生物学的プロセス(例えば、補体プロセス)の上方調節(すなわち、活性化または刺激(例えば、作動または増強することによる))および下方調節(すなわち、阻害または抑制(例えば、アンタゴナイズ、減少または阻害することによる))両方を意味する。“調節する”はプロセスの上方調節または下方調節両方を表すことを意図する。ある刺激剤により上方調節されるプロセスは刺激剤に対するアンタゴニストにより阻害され得る。逆に、ある調節剤により下方調節されるプロセスは調節剤に対するアゴニストにより阻害され得る。
“補体経路関連分子”、“補体経路分子”および“補体経路関連タンパク質”なる用語は互換的に使用され、補体活性化および活性化補体系により介在されるか、活性化補体系に応答するか、または活性化補体系により引き起こされる下流細胞活性において役割を果たす種々の分子を意味する。それらは補体経路のイニシエーター(すなわち、直接または間接的に補体系の活性化を引き起こす分子)、補体活性化中に生産されるか、または役割を果たす分子(例えば、補体タンパク質/酵素、例えば、C3、C5、C5b−9、因子B、因子D、MASP−1およびMASP−2)、補体受容体または阻害剤(例えば、クラスタリン、ビトロネクチン、CR1またはCD59)および活性化補体系により制御されるか、または引き起こされる分子(例えば、細胞膜傷害複合体−阻害因子、MACIF;例えば、Sugita et al., J Biochem, 106:589-92, 1989、参照)を含む。したがって、本明細書に記載されている補体タンパク質に加えて、補体経路関連分子は、また、例えば、C3/C5転換酵素レギュレーター(RCA)、例えば、補体1型受容体(CR1またはCD35とも呼ばれる)、補体2型受容体(CR2またはCD21とも呼ばれる)、膜補因子タンパク質(MCPまたはCD46)およびC4bBP;MACレギュレーター、例えば、ビトロネクチン、クラスタリン(“SP40、40”とも呼ばれる)、CRP、CD59および相同制限因子(HRF);免疫グロブリン鎖(例えば、Igカッパ、IgラムダまたはIgガンマ);C1阻害剤;および他のタンパク質、例えば、CR3、CR4(CD11 b/18)およびDAF(CD55)を含む。
“補体経路により調節される細胞活性”なる用語はC5b−9傷害複合体、血管透過性変化、平滑筋細胞の収縮および移動、T細胞増殖、免疫接着、樹状細胞、単核細胞、顆粒球および血小板の凝集、食作用、好中球(PMN)およびマクロファージの移動および活性化による細胞損傷を含む。
さらに、補体経路の活性化は補体経路内の副産物により寄与される炎症性応答の増加を引き起こす。補体経路の活性化と関連する障害は腎炎、喘息、再かん流傷害、血液透析、リウマチ性関節炎、全身性狼瘡、乾癬、多発性硬化症、移植、アルツハイマー病、aHUS、II型MPGNまたはすべての他の補体介在疾患を含む。黄斑変性症と関連する障害はAMD、ノースカロライナ黄斑変性、ソースビー眼底変性症、スタルガルト病、パタンジストロフィ、ベスト病、家族性ドルーゼンおよびマラッティアレベンティネース(ラジアルドルーゼン)、機能障害および/または黄斑の変性前または後に起こる黄斑外変化、網膜剥離、脈絡網膜変性、網膜変性、光受容体変性、RPE変性、ムコ多糖症、桿体錐体ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィーおよび錐体変性を含む。
本明細書において使用される“対象”なる用語はヒトまたは非ヒト動物のすべてを含む。
“非ヒト動物”なる用語はすべての非ヒト脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、齧歯動物、ウサギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、トリ、両生類、は虫類などを含む。
本明細書において使用される“抗体”なる用語はインタクトな抗体または抗原結合フラグメント(すなわち、“抗原−結合部分”)またはそれらの一本鎖(すなわち、軽鎖または重鎖)または模倣物に関する。インタクトな抗体はジスルフィドにより相互結合された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。それぞれの重鎖は重鎖可変領域(本明細書においてVと省略する)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。それぞれの軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書においてVと省略する)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は1つのドメインCを含む。VおよびV領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存されている領域により分断されている相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに分類できる。それぞれのVおよびVはアミノ−末端からカルボキシ−末端へ次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4にて配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は免疫グロブリンの、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第一の成分(Clq)を含む宿主組織または因子への結合を介し得る。
本明細書において使用される抗体の“抗原結合部分”または“結合ドメイン”なる用語は、特異的に任意の抗原(例えば、C3b)に結合する能力を保持するインタクトな抗体の1つ以上のフラグメントを意味する。抗体の抗原結合機能はインタクトな抗体のフラグメントにより実施できる。抗体の“抗原結合部分”なる用語内に包含される結合フラグメントの例は、Fabフラグメント、V、V、CおよびCH1ドメインからなる一価フラグメント;F(ab)フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド橋により連結された2つのFabフラグメント(一般的に重鎖および軽鎖から1つ)を含む二価フラグメント;VおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;抗体の単一のアームのVおよびVドメインからなるFvフラグメント;Vドメインからなる単一ドメイン抗体(dAb)フラグメント(Ward et al., 1989 Nature 341:544-546);および単離された相補性決定領域(CDR)を含む。
さらに、Fvフラグメントの2つのドメインVおよびVは別々の遺伝子によりコードされているが、それらは、組換え方法を使用して、VおよびV領域が対になって一価分子を形成する一本のタンパク質鎖として作製可能とする人工ペプチドリンカーにより連結することができる(一本鎖Fv(scFv)としても既知;例えば、Bird et al., 1988 Science 242:423-426;およびHuston et al., 1988 Proc. Natl. Acad. Sci. 85:5879-5883、参照)。このような一本鎖抗体は抗体の1つ以上の“抗原結合部分”を含む。これらの抗体フラグメントは当業者に既知の慣用の技術を使用して得られ、これらのフラグメントはインタクトな抗体と同様の方法にて有用性に関してスクリーニングされる。
抗原結合部分は、また、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v−NARおよびビス−scFvに組み込まれていてもよい(例えば、Hollinger and Hudson, 2005, Nature Biotechnology, 23, 9, 1126-1136、参照)。抗体の抗原結合部分はポリペプチドに基づく骨組、例えば、III型フィブロネクチン(Fn3)にグラフトすることができる(フィブロネクチンポリペプチドモノボディを記載している米国特許第6,703,199号、参照)。
抗原結合部分は相補的軽鎖ポリペプチドと一緒に1対の抗原結合領域を形成する、1対のタンデムFvセグメント(V−CH1−V−CH1)を含む一本鎖分子に組み込まれていてもよい(Zapata et al., 1995 Protein Eng. 8(10):1057-1062;および米国特許第5,641,870号)。
本明細書において使用される“単離されたC3b結合分子”は、C3b以外の抗原に対する抗原特異性を有する分子を実質的に含まない結合分子を意味する(例えば、特異的にC3bに結合する単離された抗体は特異的にC3b、例えば、C3以外の抗原に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、特異的にC3bに結合する単離された結合分子は他の種の他の抗原、例えば、C3b分子に対して交差反応性を有し得る。細胞材料を実質的に含まないとき、単離された結合分子は“精製”されている。
本明細書において使用される“モノクローナル抗体組成物”なる用語は単一分子組成物の抗体分子の調製物を意味する。モノクローナル抗体組成物は特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す。
本明細書において使用される“ヒト抗体”なる用語は、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト起源の配列に由来している可変領域を有する抗体を含むことを意図する。さらに、抗体が定常領域を含むとき、定常領域は、また、このようなヒト配列、例えば、ヒト生殖細胞系列配列または突然変異型のヒト生殖細胞系列配列に由来する。本発明のヒト抗体はヒト配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでランダムまたは部位特異的突然変異またはインビボで体細胞変異により導入された変異)を含み得る。しかしながら、本明細書において使用される“ヒト抗体”なる用語は、別の哺乳動物種、例えば、マウスの生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を含むことを意図しない。
“ヒトモノクローナル抗体”なる用語はフレームワークおよびCDR領域の両方がヒト配列に由来している可変領域を有する単一の結合特異性を示す抗体を意味する。1つの局面において、ヒトモノクローナル抗体は不死化細胞に融合させた遺伝子導入非ヒト動物(例えば、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する遺伝子導入マウス)から得られたB細胞を含むハイブリドーマにより製造される。
本明細書において使用される“組換えヒト抗体”なる用語は、組換え手段により製造、発現、作製または単離されたすべてのヒト抗体、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を遺伝子導入または染色体導入された動物(例えば、マウス)またはそれから製造されたハイブリドーマから単離された抗体;ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞、例えば、トランスフェクトーマから単離された抗体;組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体;およびヒト免疫グロブリン遺伝子配列の全部または一部の他のDNA配列へのスプライシングを含む他の手段により製造、発現、作製または単離された抗体を含む。このような組換えヒト抗体はフレームワークおよびCDR領域がヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来している可変領域を有する。しかしながら、特定の局面において、このような組換えヒト抗体をインビトロ突然変異(または、ヒトIg配列に対して動物遺伝子導入が使用されるとき、インビボ体細胞突然変異)に付すことができ、したがって、組換え抗体のVおよびV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列VおよびV配列に由来し、関連するが、自然にヒトにおいてヒト抗体生殖細胞系列レパートリー内に存在しない配列である。
本明細書において使用される“アイソタイプ”は重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgM、IgE、IgG、例えば、IgG1またはIgG4)を意味する。
“抗原を認識する抗体”および“抗原に対して特異的な抗体”なる用語は“抗原に特異的に結合する抗体”なる用語と互換的に使用される。
本明細書において使用される、“高い親和性”なる用語は、IgG抗体に対する言及のとき、抗体が標的抗原に対して10−9M以下のKを有することを意味する。
本明細書において使用される“C3bに特異的に結合する”C3b結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合部分)は1×10−7M以下のKにてC3bに結合するC3b結合分子を意味することを意図する。好ましい本発明の結合分子は1nM以下(例えば、0.01nM、0.1nM、0.25nM、0.5nM)のKにてC3bネオエピトープに結合する。
抗原と交差反応するC3b結合分子(例えば、抗体)は1×10−6M以下のKにて抗原に結合するC3b結合分子を意味する。特定の態様において、C3b結合分子はヒトに対するKの5−10倍以内のKにて非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル)のC3bネオエピトープに結合する。他の特定の態様において、C3b結合分子はヒトに対して等しいか、または100倍以内のKにてマウスC3bネオエピトープに結合する。
特定の抗原と交差反応しないC3b結合分子(例えば、抗体)は検出可能にその抗原に結合しないか、または1×10−5M以上のKにて結合する、C3b結合分子を意味することを意図する。1つの局面において、抗原と交差反応しないこのような結合分子は標準結合アッセイにおいてこれらのタンパク質に対して本質的に検出できない結合を示す。
C3b結合分子
本発明の結合分子は以下の1つ以上のネオエピトープと少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するC3bのネオエピトープに結合する:
表1
Figure 2011503024
Figure 2011503024
表1のアミノ酸はSwissProtデータベース(www.expasy.org)におけるCO3_HUMANエントリーにおいて説明されているガイドラインにしたがって番号付けされている。
C3b結合分子は表1から選択されるネオエピトープを含む直鎖または非直鎖エピトープに特異的に結合し得る。本発明において包含されるものはC3b生物活性を調節する非直鎖エピトープに結合する結合分子である。
C3b結合分子は、例えば、C3bネオエピトープに結合する抗体(遊離形態または複合体形態のいずれか)およびこのような抗体の抗原結合部分を含むポリペプチドを含む。C3b結合分子は、また、結合部分が抗体由来ではない分子、例えば、免疫グロブリン様フォールドを有するポリペプチド由来C3b結合分子、および抗原結合部分がランダム化、選択化および親和性成熟を介してC3bネオエピトープに結合するように加工されている分子を含む。好ましいC3b結合分子は、抗体もしくはそれらのフラグメントまたは抗体もしくはそれらのフラグメントの結合を模倣するように構築された人工構築物を含む、抗体、それらのフラグメントまたは人工構築物を含む。
本発明は、また、抗体ではないC3b結合分子を特徴とする。このようなC3b結合分子は非抗体ポリペプチド、例えば、以下のいずれかのものなどの免疫グロブリン様(Ig様)フォールド由来アミノ酸配列と少なくとも60%、65%、75%、80%、85%または90%同一のアミノ酸配列を有するC3b結合ドメインを含む:テネイシン、N−カドヘリン、E−カドヘリン、ICAM、タイチン、GCSF−受容体、サイトカイン受容体、グリコシダーゼ阻害剤、抗生物質、色素タンパク質、ミエリン膜接着分子、P0、CD8、CD4、CD2、クラスI MHC、T−細胞抗原受容体、CD1、C2およびVCAM−1のI−setドメイン、ミオシン結合タンパク質CのI−set免疫グロブリンドメイン、ミオシン結合タンパク質HのI−set免疫グロブリンドメイン、テロキンのI−set免疫グロブリンドメイン、NCAM、トウィッチン、ニューログリアン、成長ホルモン受容体、エリスロポエチン受容体、プロラクチン受容体、インターフェロン−ガンマ受容体、β−ガラクトシダーゼ/グルクロニダーゼ、β−グルクロニダーゼ、トランスグルタミナーゼ、T細胞抗原受容体、スーパーオキシド・ジスムターゼ、組織因子ドメイン、シトクロムF、緑色蛍光タンパク質、GroELまたはソーマチン。一般的に、C3b結合ドメインのアミノ酸配列は、免疫グロブリン様フォールドのアミノ酸配列と比較して、C3b結合ドメインが特異的にC3bネオエピトープに結合するように改変される(すなわち、ここで、免疫グロブリン様フォールドは特異的にC3に結合しない)。
C3b結合ドメインのアミノ酸配列はフィブロネクチン、サイトカイン受容体またはカドヘリンの免疫グロブリン様フォールドのアミノ酸配列と少なくとも60%同一(例えば、少なくとも65%、75%、80%、85%または90%同一)である。
C3b結合分子は特異的に結合し、C3bの多くの生物活性の1つ以上を調節する。したがって、本発明はプロパージン、因子H、因子B、因子I、膜補因子および/またはそれらの複合体のC3b結合を阻害するC3b結合分子を特徴とする。C3b結合分子は、また、MACのC3b形成をコントロールと比較して(例えば、C3b結合分子の非存在下における結合と比較して)少なくとも5%、10%、15%、25%または50%阻害する。
本発明のC3b結合分子は副経路におけるC3転換酵素(例えば、二分子複合体C3bBb)へのC3b結合を阻害し、C5転換酵素(例えば、C3bBbC3b、三分子複合体)の形成をブロックする。他の局面において、C3b結合分子は古典的経路におけるC3転換酵素(例えば、二分子複合体C4bC2a)へのC3b結合を阻害し、C5転換酵素(例えば、三分子複合体C3bC4bC2a)の形成をブロックする。これらの生物学的活性は、C3タンパク質開裂を含むフィードバックループ内の競合結合メカニズムにより生産される。したがって、C3b結合分子はC3開裂をコントロールと比較して(例えば、C3b結合分子の非存在下における活性と比較して)少なくとも5%、10%、15%、25%または50%阻害する。
当分野において既知であり、本明細書に記載されている方法論にしたがって決定される1つ以上のC3b生物活性(例えば、補体経路活性化の結果として生化学的、細胞的、生理学的または他の生物学的活性)を阻害するか、または調節するC3b結合分子は、C3b結合分子の非存在下(例えば、無関連の特異性のコントロール分子が存在するとき)と比較して特定の機能特性において統計学的に有意な減少を引き起こすと理解される。C3b生物活性を調節するC3b結合分子は測定パラメーターの少なくとも5%の統計学的に有意な低下を引き起こす。1つの局面において、C3b結合分子は選択された機能特性においてコントロールと比較して少なくとも10%、20%、30%または50%の減少を引き起こし得る。
種々の種のC3bおよび特定のC3bのエピトープに結合する分子の能力を評価するための標準アッセイは、当分野で既知であり、例えば、ELISAおよびウエスタンブロットを含む。C3b結合分子がC3bの特定のエピトープに結合するかどうかの同定にペプチドエピトープ競合アッセイを使用することができる。例えば、C3b結合分子をペプチドの飽和濃度にて興味あるC3bエピトープに対応するペプチドとインキュベートする。プレインキュベートしたC3b結合分子を、例えば、Biacore(登録商標)分析により、固定化C3bへの結合に対して試験する。ペプチドとのプレインキュベーションによるC3b結合の阻害は、C3b結合分子がペプチドエピトープに結合することを示す(例えば、米国特許出願第20070072797号、参照)。結合動態は、また、当分野で既知の標準アッセイ、例えば、Biacore(登録商標)分析により評価することができる。C3bの機能特性に対するC3b結合分子の作用を評価するためのアッセイは以下にさらに詳細に記載されている。
C3b阻害は、例えば;(a)インビトロアッセイにおいて赤血球溶血をブロックする患者血清の能力;(b)血清C3aまたはC5aレベル;(c)血漿、組織および/または他の生物学的構成成分、例えば、眼の物質または構成成分における可溶性MACレベルを測定することにより同定され得る。C3b結合分子の存在下におけるC5a、C3aまたはC5b−9レベルの減少は、C3b結合分子がC3bおよび/またはその生物活性を阻害することを示す。
対象からの種々の生物学的サンプル、例えば、任意の臓器、組織または細胞、ならびに血液、尿または他の体液(例えば、眼の液体)から得られるサンプルは検出のために使用することができる。いくつかの診断方法において、好ましいサンプルは眼の液体である。いくつかの他の方法において、好ましい組織サンプルはすべての血液およびそれ由来の生成物、例えば、血漿および血清である。血液サンプルは、例えば、ガスリーカード(Guthrie card)から得られる血斑から得られる。組織サンプルの他の源は皮膚、髪、尿、唾液、精液、糞便、汗、乳、羊水、肝臓、心臓、筋肉、腎臓および他の臓器である。組織の他の源は対象からの初代細胞から増殖された細胞系である。組織サンプルは、サンプル内の細胞のタンパク質および/または核酸内容物を放出させるために一般的に溶解される。次にこのような粗溶解物からのタンパク質画分を分析前の部分的または完全な精製に付すことができる。
本発明のC3b結合分子における処置に適している他の対象は黄斑変性症関連障害以外の既知の補体関連疾患を有さない個体を含む。補体関連疾患または障害は当分野、例えば、米国特許第6,169,068号において公知である。既知の補体関連疾患の例は:神経障害、多発性硬化症、卒中、ギラン・バレー症候群、外傷性脳損傷、パーキンソン病、不適当なまたは望ましくない補体活性化の障害、血液透析合併症、超急性同種移植片拒絶反応、異種移植片拒絶反応、IL−2治療中のインターロイキン2誘導毒性、炎症性障害、自己免疫性疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、熱傷または凍傷を含むやけど、虚血後再潅流状態、心筋梗塞、バルーン血管形成術、心肺バイパスまたは腎臓バイパスにおけるポストポンプシンドローム、血液透析、腎臓虚血、皮膚腺再構成後の腸間膜動脈再潅流、感染病または敗血症、免疫複合体障害および自己免疫性疾患、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、SLE腎炎、増殖性腎炎、溶血性貧血および重症筋無力症を含む。加えて、他の既知の補体関連疾患は肺疾患および障害、例えば、呼吸困難、喀血、ARDS、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、肺塞栓および梗塞、肺炎、線維形成粉塵疾患、不活性粉塵および無機物(例えば、シリコン、炭塵、ベリリウムおよびアスベスト)、肺線維症、有機粉塵疾患、化学的損傷(刺激性ガスおよび化学物質、例えば、塩素、ホスゲン、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化窒素、アンモニアおよび塩酸による)、煤煙傷害、やけど(例えば、熱傷、凍傷)、喘息、アレルギー、気管支収縮、過敏性肺炎、寄生虫症、グッドパスチャー症候群、肺血管炎および免疫複合体関連炎症である。
本発明の治療剤において処置される対象は、また、黄斑変性症と関連する状態を処置する既知の方法、例えば、米国特許第6,218,368号において記載されている抗生物質処置と共に他の治療剤を投与され得る。他の処置において、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリンは免疫応答を抑制することができる薬物である。これらの薬物は細胞毒性薬物、コルチコステロイド、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、特定のT−リンパ球免疫抑制剤およびそれらの抗体またはフラグメントを含む(Physicians' Desk Reference, 53rd edition, Medical Economics Company Inc., Montvale, N.J. (1999)、参照)。免疫抑制性処置は一般的に1週、1月、3月、6月または1年の間隔において続ける。いくつかの患者において、処置は患者の障害にわたって投与される。
抗体
本明細書に記載されている抗C3b抗体はヒトモノクローナル抗体を含む。いくつかの局面において、C3bに結合する抗体の抗原結合部分(例えば、VおよびV鎖)は他の抗C3b結合分子を創造するように“混合および適合”される。このような“混合および適合”された抗体の結合は前記結合アッセイ(例えば、ELISA)を使用して試験することができる。特定のV配列と混合および適合するVを選択するとき、典型的には、Vとの対において置き換えられるVと構造的に類似しているVを選択する。同様に特定の全長重鎖/全長軽鎖対の全長重鎖配列は一般的に構造的に類似している全長重鎖配列と置換すべきである。同様に、特定のV/V対のV配列は構造的に類似しているV配列と置換すべきである。同様に特定の全長重鎖/全長軽鎖対の全長軽鎖配列は構造的に類似している全長軽鎖配列と置換すべきである。この文脈における構造類似の同定は当分野においてよく知られている方法である。
他の局面において、本発明は1つ以上のC3b結合抗体の重鎖および軽鎖のCDRl、CDR2およびCDR3を種々の組合せにおいて含む抗体を提供する。これらの抗体のそれぞれがC3bに結合し、抗原−結合特異性が主としてCDR1、2および3領域により提供され得ることを考慮すると、VのCDR1、2および3配列とVのCDR1、2および3配列は“混合および適合”され得る(すなわち、異なる抗体からのCDRは混合および適合され得る)。このような“混合および適合”された抗体のC3b結合は本明細書に記載されている結合アッセイ(例えば、ELISA)を使用して試験することができる。VのCDR配列が混合および適合されているとき、特定のV配列のCDR1、CDR2および/またはCDR3は構造的に類似しているCDR配列と置換すべきである。同様に、VのCDR配列が混合および適合されているとき、特定のV配列のCDR1、CDR2および/またはCDR3配列は構造的に類似しているCDR配列と置換すべきである。この文脈における構造類似の同定は当分野でよく知られている方法である。
本明細書において使用される、ヒト抗体は、抗体の可変領域または全長鎖が配列源としてヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られるとき、特定の生殖細胞系列配列の“生成物”である、またはそれに“由来”する重鎖または軽鎖可変領域または全長重鎖または軽鎖を含む。このような系の1つにおいて、ヒト抗体はヒト免疫グロブリン遺伝子を有する遺伝子導入マウスにより製造される。遺伝子導入マウスは興味ある抗原(例えば、本明細書に記載されているC3bのネオエピトープ)により免疫化される。あるいは、ヒト抗体は、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーを提供し、興味ある抗原(例えば、本明細書に記載されているC3bまたはC3bネオエピトープ)ライブラリーをスクリーニングすることにより同定される。
ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列の“生成物”である、またはそれに“由来”するヒト抗体はヒト抗体のアミノ酸配列とヒト生殖細胞系列免疫グロブリンのアミノ酸配列を比較して、ヒト抗体の配列と配列において非常に近い(すなわち、同一性%が非常に高い)ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列を選択することによりそれ自体同定することができる。特定のヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列の“生成物”である、またはそれに“由来”するヒト抗体は生殖細胞系列にコードされた配列と比較して、例えば、自然に起こる体細胞変異または人工部位特異的変異によるアミノ酸の違いを含み得る。しかしながら、選択されたヒト抗体は一般的にヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有し、他の種の生殖細胞系列免疫グロブリンアミノ酸配列(例えば、マウス生殖細胞系列配列)と比較したとき、ヒト抗体をヒトとして同定するアミノ酸残基を含む。特定の場合において、ヒト抗体は生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列において少なくとも60%、70%、80%、90%または少なくとも95%、またはさらに少なくとも96%、97%、98%または99%同一であり得る。
2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要のあるギャップ数および各ギャップの長さを考慮して、配列により共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の位置の#/位置の全#×100)。2つの配列間の配列の比較および同一性パーセントの決定はALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE. Meyers and W. Miller (1988 Comput. Appl. Biosci., 4:11-17)のアルゴリズムを使用して、PAM120 weight residue table、ギャップレングスペナルティー12およびギャップペナルティー4を使用して決定される。
一般的に、特定のヒト生殖細胞系列配列由来ヒト抗体のVまたはVはヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とわずか10個のアミノ酸の違いを示す。特定の場合において、ヒト抗体のVまたはVは生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とわずか5つまたはわずか4、3、2または1つのアミノ酸の違いを示し得る。
ラクダ抗体
新世界(New World)メンバー、例えば、ラマ種(Lama paccos、Lama glamaおよびLama vicugna)を含むラクダおよびヒトコブラクダ(Camelus bactrianusおよびCalelus dromaderius)科のメンバーから得られる抗体タンパク質は、サイズ、構造的複雑性およびヒト対象に対する抗原性に対して特徴付けられている。この科の哺乳動物において自然に見られる特定のIgG抗体は軽鎖を欠き、したがって他の動物の抗体において典型的な2つの重鎖および2つの軽鎖を有する4鎖の四次構造とは構造的に異なる。WO94/04678、参照。
HHとして同定された小さい1本の可変ドメインであるラクダ抗体の領域は、標的に対して高い親和性を有する小タンパク質を得るための遺伝子工学により得ることができ、“ラクダナノボディ”として既知の低分子量抗体由来タンパク質が得られる。米国特許第5,759,808号、参照;Stijlemans et al., 2004 J. Biol. Chem. 279: 1256-1261; Dumoulin et al., 2003 Nature 424: 783-788; Pleschberger et al., 2003 Bioconjugate Chem. 14: 440-448; Cortez-Retamozo et al., 2002 Int. J. Cancer 89: 456-62;およびLauwereys. et al., 1998 EMBO J. 17: 3512-3520も参照。ラクダ抗体および抗体フラグメントの加工されたライブラリーは、例えば、Ablynx、Ghent、Belgiumから市販されている。非ヒト起源の他の抗体に関して、ラクダ抗体のアミノ酸配列はヒト配列をより密接に似ている配列を得るために組換え的に改変させることができる、すなわち、ナノボディはヒト化することができる。したがって、ヒトに対するラクダ抗体の本来の低い抗原性をさらに低減することができる。
ラクダナノボディはヒトIgG分子の分子量の約1/10を有し、該タンパク質はわずか数ナノメーターの物理的直径を有する。小さいサイズの1つの結果は、より大きい抗体タンパク質によっては機能的に見えない抗原部位に結合するラクダナノボディの能力であり、すなわち、ラクダナノボディは従来の免疫技術を使用して他の方法では隠れている抗原を検出する試薬、および可能性としては治療剤として有用である。したがって、小さいサイズのさらなる結果は、ラクダナノボディが標的タンパク質の溝または狭い割れ目の特定の部位に結合する結果として阻害することができ、したがって従来の抗体よりも従来の低分子量薬物の機能とより密接に似ている能力で働き得ることである。
さらに、低分子量および緻密化サイズの結果、ラクダナノボディが極めて熱安定性であり、極端なpHおよびタンパク質分解消化に対して安定であり、抗原性が低い。さらなる結果は、ラクダナノボディが循環系から組織へ、血液脳関門を介する場合でも容易に移動し、神経組織に影響する障害を処置することができることである。さらにナノボディは血液脳関門を介する薬物輸送を促進することができる。2004年8月19日公開の米国特許出願第20040161738号、参照。これらの特徴は、ヒトにおける低い抗原性と結合して、大きな治療的可能性を示す。さらに、これらの分子は原核細胞、例えば、大腸菌において完全に発現することができる。
したがって、本発明の1の特徴はC3bに対して高い親和性を有するラクダ抗体またはラクダナノボディである。本明細書におけるある特定の局面において、ラクダ抗体またはナノボディはラクダ動物で自然に製造され、すなわち、C3bまたはそのペプチドフラグメントで免疫化した後、他の抗体に関して本明細書に記載されている技術を使用してラクダにより製造される。あるいは、抗C3bラクダナノボディは、すなわち、例えば、適当に突然変異させたラクダナノボディタンパク質を提示するファージのライブラリーから標的として本明細書に記載されているC3bまたはC3bネオエピトープを使用したパンニング法を使用して選択により加工、すなわち製造される。さらに、加工されたナノボディをレシピエント対象において45分から2週間の半減期を有するように遺伝子工学によりカスタマイズすることができる。
ダイアボディ
ダイアボディは、VおよびVドメインが単一ポリペプチド鎖で発現され、あまりに短すぎるため同じ鎖の2つのドメイン間で対になることができないリンカーにより結合している、二価、二重特異性分子である。VおよびVドメインは別の鎖の相補的ドメインと対を作り、それによって2つの抗原結合部位を創造する(例えば、Holliger et al., 1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448; Poljak et al., 1994 Structure 2:1121-1123、参照)。ダイアボディは同じ細胞内で構造VHA−VLBおよびVHB−VLA(V−V構成)、またはVLA−VHBおよびVLB−VHA(V−V構成)のいずれかを有する2つのポリペプチド鎖を発現させることにより製造することができる。それらのほとんどは細菌において可溶性形態で発現させることができる。
一本鎖ダイアボディ(scDb)は、2つのダイアボディ形成ポリペプチド鎖を約15アミノ酸残基のリンカーと結合させることにより、製造される(Holliger and Winter, 1997 Cancer Immunol. Immunother., 45(3-4):128-30; Wu et al., 1996 Immunotechnology, 2(1):21-36、参照)。scDbは細菌において可溶性かつ活性な単量体型で発現させることができる(Holliger and Winter, 1997 Cancer Immunol. Immunother., 45(34): 128-30; Wu et al., 1996 Immunotechnology, 2(1):21-36; Pluckthun and Pack, 1997 Immunotechnology, 3(2): 83-105; Ridgway et al., 1996 Protein Eng., 9(7):617-21、参照)。
ダイアボディはFcと融合させ、“ジ−ダイアボディ”を製造することができる(Lu et al., 2004 J. Biol. Chem., 279(4):2856-65、参照)。
加工および修飾された抗体
本発明の抗体は、出発抗体から改変された特性を有し得る修飾された抗体を加工するように、出発物質として1つ以上のVおよび/またはV配列を有する抗体を使用して製造することができる。抗体を1つまたは両方の可変領域(すなわち、Vおよび/またはV)内、例えば、1つ以上のCDR領域および/または1つ以上のフレームワーク領域内の1つ以上の残基を修飾することにより加工することができる。さらに、または、あるいは、抗体を、例えば、抗体のエフェクター機能を改変するために、定常領域内の残基を修飾することにより加工することができる。
実施することができる可変領域加工の1つはCDRグラフト法である。抗体は、主として6つの重鎖および軽鎖CDRに存在するアミノ酸残基を介して標的抗原と相互作用する。この理由のため、CDR内のアミノ酸配列はCDR外の配列よりも個々の抗体間でより異なっている。CDR配列がほとんどの抗体−抗原相互作用に関与するため、異なる特性を有する異なる抗体のフレームワーク配列にグラフトされた特定の天然抗体のCDR配列を含む発現ベクターを構築することにより、特定の天然抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現させることが可能である(例えば、Riechmann et al., 1998 Nature 332:323-327; Jones et al., 1986 Nature 321:522-525; Queen et al., 1989 Proc. Natl. Acad。U.S.A. 86:10029-10033、参照;米国特許第5,225,539号および米国特許第5,530,101; 5,585,089; 5,693,762および6,180,370号、参照)。
フレームワーク配列は生殖細胞系列抗体遺伝子配列を含む公開DNAデータベースまたは刊行されている参照文献から得ることができる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系列DNA配列は“VBase”ヒト生殖細胞系列配列データベース(インターネットwww.mrc-cpe.cam.ac.uk/vbaseで利用できる)、ならびにKabat, E. A., et al., 1991 Sequences of Proteins ofImmunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242; Tomlinson et al., 1992 J. Mol. Biol. 227:776-798;およびCox et al., 1994 Eur. J. Immunol. 24:827-836;(これらのそれぞれの内容を出典明示により本明細書に包含させる)において見出すことができる。
のCDR1、2および3の配列およびVのCDR1、2および3の配列をフレームワーク配列が由来する生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子において見出されたものと同一の配列を有するフレームワーク領域にグラフトすることができ、またはCDR配列を生殖細胞系列配列と比較して1つ以上の変異を含むフレームワーク領域にグラフトすることができる。例えば、ある場合において、抗体の抗原結合力を維持または強化するためにフレームワーク領域内の残基を変異させることが有益であることが見出されている(例えば、米国特許第5,530,101;5,585,089;5,693,762および6,180,370号、参照)。
CDRは、また、免疫グロブリンドメイン以外のポリペプチドのフレームワーク領域にグラフトさせることができる。適当な骨組は、局在した表面を形成し、興味ある標的(例えば、C3b抗原)に結合するようにグラフトされた残基を示す、構造的に安定なフレームワークを形成する。例えば、CDRは、フレームワーク領域がフィブロネクチン、アンキリン、リポカリン、ネオカルチノスタチン、シトクロムb、CP1亜鉛フィンガー、PST1、コイルドコイル、LACI−D1、Zドメインまたはテンドラミスト(tendramisat)に基づく骨組上にグラフトすることができる(例えば、Nygren and Uhlen, 1997 Current Opinion in Structural Biology, 7, 463-469、参照)。
別種の可変領域修飾はVおよび/またはVのCDR1、CDR2および/またはCDR3領域のアミノ酸残基の変異であり、それによって“親和性成熟”として既知の興味ある抗体の1つ以上の結合特性(例えば、親和性)を改善する。部位特異的突然変異またはPCR介在突然変異を変異を導入するために実施することができ、抗体結合の作用または興味ある他の機能特性を本明細書に記載されているインビトロまたはインビボアッセイにおいて評価することができる。保存的修飾を導入することができる。変異はアミノ酸の置換、付加または欠失であり得る。さらに、一般的にCDR領域内のわずか1、2、3、4または5つの残基が改変される。
加工された本発明の抗体は、修飾が、例えば、抗体の特性を改善するためにVおよび/またはV内のフレームワーク残基に行われたものを含む。一般的にこのようなフレームワーク修飾は抗体の免疫原性を軽減するために行われる。例えば、1つのアプローチは1つ以上のフレームワーク残基を対応する生殖細胞系列配列へと“復帰変異(backmutate)”させることである。さらに特に、体細胞変異がおこった抗体は抗体が由来する生殖細胞系列配列と異なるフレームワーク残基を含み得る。このような残基は抗体のフレームワーク配列と抗体が由来する生殖細胞系列配列を比較することにより同定することができる。フレームワーク領域配列をそれらの生殖細胞系列の構成へ戻すために、体細胞変異を、例えば、部位特異的突然変異またはPCR介在突然変異により生殖細胞系列配列へ“復帰変異”させることができる。このような“復帰変異”抗体は、また、本発明により包含されることを意図する。
別種のフレームワーク修飾は、T細胞−エピトープを除去し、それによって抗体の潜在的な免疫原性を減少するために、フレームワーク領域内の、さらには1つ以上のCDR領域内の1つ以上の残基の変異を含む。このアプローチは、また、“脱免疫化”として称され、Carr et alによる米国特許公報第20030153043号においてさらに詳細に記載されている。
フレームワークまたはCDR領域内で行われる修飾に加え、またはあるいは、本発明の抗体は、一般的に1つ以上の抗体の機能特性、例えば、血清半減期、補体結合、Fc受容体結合および/または抗原依存細胞傷害性を改変するために、Fc領域内に修飾を含むように加工することができる。さらに、本発明の抗体は、再び1つ以上の抗体の機能特性を改変するために、化学的に修飾させるか(例えば、1つ以上の化学部分を抗体に結合させることができる)、またはそのグリコシル化を改変するために修飾させることができる。
1つの局面において、CH1のヒンジ領域は、ヒンジ領域のシステイン残基の数が改変、例えば、増加または減少されるように修飾される。このアプローチはBodmer et al.による米国特許第5,677,425号においてさらに記載されている。CH1のヒンジ領域のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖および重鎖の組み立てを促進するか、または抗体の安定性を増強または低下させるために改変される。
他の局面において、抗体のFcヒンジ領域を抗体の生体半減期を短縮するために変異させる。さらに特に、1つ以上のアミノ酸変異は、抗体が天然Fc−ヒンジドメインSpA結合と比較して損なわれたブドウ球菌タンパク質A(SpA)結合を有するように、Fc−ヒンジフラグメントのCH2−CH3ドメイン境界領域に導入される。このアプローチはWard et al.による米国特許第6,165,745号においてさらに詳細に記載されている。
他の局面において、抗体は生体半減期を延長するために修飾される。種々のアプローチが可能である。例えば、米国特許第6,277,375号はインビボで半減期を延長するIgGにおける下記変異:T252L、T254S、T256Fを記載している。あるいは、生体半減期を延長するため、抗体は、Presta et al.による米国特許第5,869,046および6,121,022号に記載されているとおり、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取ったサルベージ受容体結合エピトープを含むように、CH1またはCL領域内で改変され得る。
さらに他の局面において、Fc領域は、抗体のエフェクター機能を改変するために、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置き換えることにより改変される。親和性を改変されたエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1因子であり得る。例えば、1つ以上のアミノ酸は、抗体がエフェクターリガンドに対する改変された親和性を有するが、親抗体の抗原結合力を保持するように、異なるアミノ酸残基で置き換えることができる。典型的なアミノ酸変異は234、235、236、237、252、254、256、297、309、311、315、318、320、322、433および/または434から選択される位置にて起こる。本発明のC3b結合分子は本発明の教示にしたがって製造される、および使用されるコンセンサスFc抗体ドメインを特異的に含む。好ましい抗C3b抗体は234および/または235から選択される位置にてFc変異を含む。このアプローチは両方Winter et al. による米国特許第5,624,821および5,648,260号において詳細に記載されている。
他の局面において、アミノ酸残基から選択される1つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸残基により置き換えて、抗体がC1q結合を改変され、そして/または補体依存性細胞毒性(CDC)を減少または排除されるようにすることができる。このアプローチはIdusogie et al.による米国特許第6,194,551号においてさらに詳細に記載されている。
他の局面において、1つ以上のアミノ酸残基を改変し、それによって抗体が補体を固定する能力を改変する。このアプローチはBodmer et al.によるWO94/29351においてさらに詳細に記載されている。
さらに他の局面において、Fc領域は、抗体が抗体依存細胞傷害性(ADCC)を介在する能力を増強するため、および/または抗体のFcγ受容体に対する親和性を増強するために、1つ以上のアミノ酸を修飾することにより修飾される。このアプローチはPrestaによるWO00/42072においてさらに詳細に記載されている。さらに、ヒトIgG1上のFcγRl、FcγRII、FcγRIIIおよびFcRnに対する結合部位はマッピングされており、改良された結合を有する変異体は記載されている(Shields, R.L. et al., 2001 J. Biol. Chem. 276:6591-6604、参照)。
さらに別の局面において、抗体のグリコシル化は修飾される。例えば、非グリコシル化抗体を作製することができる(すなわち、抗体がグリコシル化を欠いている)。グリコシル化は、例えば、抗体の抗原に対する親和性を増強するために改変することができる。このような炭水化物修飾は、例えば、抗体配列内でグリコシル化の1つ以上の部位を改変することにより達成することができる。例えば、1つ以上のアミノ酸置換は、1つ以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位の排除をもたらし、それによってその部位のグリコシル化を排除することを行うことができる。このようなグリコシル化は抗体の抗原に対する親和性を増強し得る。このようなアプローチはCo et al.による米国特許第5,714,350および6,350,861号においてさらに詳細に記載されている。
さらに、またはあるいは、抗体は改変された型のグリコシル化を有する抗体、例えば、少ない量のフコシル残基を有する低フコシル化抗体または増加したバイセクティングGlcNac構造を有する抗体を製造することができる。このような改変されたグリコシル化パターンは抗体のADCC能力を増強することが証明されている。このような炭水化物修飾は、例えば、改変されたグリコシル化機構を有する宿主細胞において抗体を発現することにより達成することができる。改変されたグリコシル化機構を有する細胞は当分野で報告されており、本発明の組換え抗体を発現する宿主細胞として使用し、それによって改変されたグリコシル化を有する抗体を製造することができる。例えば、Hang et al.によるEP1,176,195は、発現された抗体が低フコシル化を示すような、フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子が機能的に破壊されている細胞系を記載している。PrestaによるPCT出願WO03/035835は、フコースがAsn(297)結合炭水化物に結合する能力を減少させ、また、宿主細胞において発現された抗体の低フコシル化を引き起こす、変異CHO細胞系であるLecl3細胞を記載している(Shields, R.L. et al., 2002 J. Biol. Chem. 277:26733-26740も参照)。Umana et al.によるWO99/54342は、加工された細胞系において発現された抗体が、抗体のADCC活性の増強を引き起こすバイセクティングGlcNac構造の増加を示すように、糖タンパク質修飾グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、ベータ(1,4)−NアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように加工された細胞系を記載している(Umana et al., 1999 Nat. Biotech. 17:176-180も参照)。
本発明により考慮される本明細書の抗体のさらなる修飾はペグ化である。抗体は、例えば、抗体の生体(例えば、血清)半減期を延長するためにペグ化することができる。抗体をペグ化するために、抗体またはそのフラグメントは、一般的にポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体と1つ以上のPEG部分が抗体または抗体フラグメントに結合するようになる条件下で反応させる。ペグ化は反応性PEG分子(または類似の反応性水溶性ポリマー)でのアシル化反応またはアルキル化反応により実施することができる。本明細書において使用される“ポリエチレングリコール”なる用語は、モノ(C1−C10)アルコキシ−またはアリールオキシ−ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール−マレイミドなどの他のタンパク質を誘導体化するために使用されているPEGの全ての形態を包含することを意図する。特定の局面において、ペグ化される抗体は非グリコシル化抗体である。タンパク質をペグ化するための方法は当分野で既知であり、本発明の抗体に適用することができる。例えば、Nishimura et al.によるEP0154316およびIshikawa et al.によるEP0401384、参照。
加えて、ペグ化は非天然アミノ酸の導入により本発明のC3b結合ポリペプチドの任意の部分で達成することができる。特定の非天然アミノ酸はDeiters et al., J Am Chem Soc 125:11782-11783, 2003; Wang and Schultz, Science 301:964-967, 2003; Wang et al., Science 292:498-500, 2001; Zhang et al., Science 303:371-373, 2004またはUS特許第7,083,970号に記載されている技術により導入することができる。簡潔には、いくつかのこれらの発現系は部位特異的突然変異を含み、ナンセンスコドン、例えば、アンバーTAGが本発明のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームに導入される。次にこのような発現ベクターを導入されたナンセンスコドンに対して特異的なtRNAを利用することができる宿主に導入し、一般的に好まれる非天然アミノ酸で満たす。部分が本発明のポリペプチドに結合するために有益である特定の非天然アミノ酸は、アセチレンおよびアジド側鎖を有するものを含む。次にこれらの新規アミノ酸を含むポリペプチドをタンパク質のこれらの選択された部位でペグ化することができる。
抗体を加工する方法
上記のとおり、抗C3b抗体は全長重鎖および/または軽鎖配列、Vおよび/またはV配列またはそれに結合した定常領域を修飾することにより、新規抗C3b抗体を創造するために使用することができる。例えば、抗体の1つ以上のCDR領域は、新規組換え加工された抗C3b抗体を創造するために、既知のフレームワーク領域および/または他のCDRで組換えにより組み合わせることができる。他の型の修飾は前のセクションにおいて記載されているものを含む。加工する方法のための出発物質は1つ以上のVおよび/またはV配列またはそれらの1つ以上のCDR領域である。加工された抗体を創造するため、1つ以上のVおよび/またはV配列またはそれらの1つ以上のCDR領域を有する抗体を実際に作製(すなわち、タンパク質として発現)する必要はない。それどころか、配列に含まれる情報を元の配列に由来する“第二世代”配列を創造するため出発物質として使用し、次に“第二世代”配列をタンパク質として製造および発現させる。
標準分子生物学技術は改変された抗体配列を製造および発現させるために使用することができる。改変された抗体配列によってコードされる抗体は、機能特性が、特異的なC3bへの結合、C3b複合体の形成阻害、C3転換酵素活性化の阻害、C5転換酵素活性化の阻害、MACの形成阻害を含むが、これらに限定されない、抗C3b抗体の機能特性の1つ、一部または全部を保持するものである。改変された抗体の機能特性は当分野で利用できる、および/または本明細書に記載されている標準アッセイ(例えば、ELISA)を使用して評価することができる。
本発明の抗体を加工する方法の1つの局面において、変異は抗C3b抗体コード配列の全体または一部にランダムまたは選択的に導入することができ、得られた修飾された抗C3b抗体は本明細書に記載されている結合活性および/または他の機能特性(例えば、C3またはC5転換酵素活性の阻害、MACの形成阻害、補体経路調節異常の調節)に関してスクリーニングすることができる。変異法は当分野で報告されている。例えば、ShortによるPCT出願WO02/092780は飽和突然変異、合成連結アセンブリまたはその組合せを使用して抗体変異を創造およびスクリーニングする方法を記載している。あるいは、Lazar et al.によるWO03/074679は抗体の物理化学的特性を最適化するためにコンピューター利用スクリーニング方法を使用する方法を記載している。
核酸配列は、生産細胞または生物、一般的に真核細胞、例えば、酵母、例えば、Pichiaの細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはヒト細胞において好ましいコドンを使用してアミノ酸配列をコードするように改変されたとき、“最適化された”と呼ばれる。最適化核酸配列は、“親”配列としても知られている元の出発核酸配列によってコードされるアミノ酸配列と同一またはほぼ同一のアミノ酸配列をコードするように加工される。
非抗体C3b結合分子
さらに、本発明は抗体の機能特性を示すが、他のポリペプチド(例えば、抗体遺伝子によってコードされるか、またはインビボで抗体遺伝子の組換えにより製造されるもの以外のポリペプチド)からフレームワークおよび抗原結合部分に由来するC3b結合分子を提供する。これらの結合分子の抗原結合ドメイン(例えば、C3b結合ドメイン)は指向進化過程を介して製造される。米国特許第7,115,396号、参照。抗体の可変ドメインのフォールド(“免疫グロブリン様”フォールド)と類似している全体的なフォールドを有する分子が適当な骨格タンパク質である。抗原結合分子を得るのに適した骨格タンパク質はフィブロネクチンまたはフィブロネクチンダイマー、テネイシン、N−カドヘリン、E−カドヘリン、ICAM、タイチン、GCSF−受容体、サイトカイン受容体、グリコシダーゼ阻害剤、抗生物質色素タンパク質、ミエリン膜接着分子、P0、CD8、CD4、CD2、クラスI MHC、T−細胞抗原受容体、CD1、C2およびVCAM−1のI−setドメイン、ミオシン結合タンパク質CのI−set免疫グロブリンドメイン、ミオシン結合タンパク質HのI−set免疫グロブリンドメイン、テロキンのI−set免疫グロブリンドメイン、NCAM、トウィッチン、ニューログリアン、成長ホルモン受容体、エリスロポエチン受容体、プロラクチン受容体、インターフェロン−ガンマ受容体、β−ガラクトシダーゼ/グルクロニダーゼ、β−グルクロニダーゼ、トランスグルタミナーゼ、T−細胞抗原受容体、スーパーオキシド・ジスムターゼ、組織因子ドメイン、シトクロムF、緑色蛍光タンパク質、GroELおよびソーマチンを含む。
非抗体結合分子の抗原結合ドメイン(例えば、免疫グロブリン様フォールド)は10kDより小さいまたは7.5kDより大きい分子量(例えば、分子量7.5−10kD)を有することができる。抗原結合ドメインを得るために使用されるタンパク質は天然哺乳動物タンパク質(例えば、ヒトタンパク質)を含み、抗原結合ドメインは得られるタンパク質の免疫グロブリン様フォールドと比較して50%以下(例えば、34%、25%、20%または15%以下)の変異アミノ酸を含む。一般的に免疫グロブリン様フォールドを有するドメインは50−150アミノ酸(例えば、40−60アミノ酸)からなる。
非抗体結合分子を製造するため、抗原結合表面を形成する骨格タンパク質の領域(例えば、位置および構造において抗体可変ドメイン免疫グロブリンフォールドのCDRに類似している領域)における配列がランダム化された、クローンのライブラリーを創造する。ライブラリークローンを興味ある抗原(例えば、C3b)への特異的結合および他の機能(例えば、C3bの生物学的活性の阻害)に対して試験する。選択されたクローンをさらなるランダム化および選択に基づき、抗原に対して高い親和性の誘導体を製造するために使用することができる。
高い親和性結合分子は、例えば、骨組としてフィブロネクチンIIIの10番目のモジュール(10Fn3)を使用して製造される。ライブラリーを残基23−29、52−55および78−87で10FN3の3つのCDR様ループのそれぞれに対して構築する。それぞれのライブラリーを構築するため、それぞれのCDR様領域と重複する配列をコードするDNAセグメントをオリゴヌクレオチド合成によりランダム化する。選択可能な10Fn3ライブラリーを製造するための技術は、米国特許第6,818,418および7,115,396号;Roberts and Szostak, 1997 Proc. Natl. Acad. Sci USA 94:12297;米国特許第6,261,804号;米国特許第6,258,558号;およびSzostak et al.WO98/31700に記載されている。
非抗体結合分子は標的抗原に対する親和性を増加するためにダイマーまたはマルチマーとして製造することができる。例えば、抗原結合ドメインをFc−Fcダイマーを形成する抗体の定常領域(Fc)を有する融合体として発現させる。例えば、米国特許第7,115,396号、参照。
本発明の抗体をコードする核酸分子
本発明の他の局面は本発明のC3b結合分子をコードする核酸分子に関する。核酸は細胞溶解物において細胞全体に存在してもよく、または部分的に精製された、もしくは実質的に純粋な形態であってもよい。核酸は、アルカリ/SDS処理、CsCl結合、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動およびその他当分野で既知の技術を含む標準技術により、他の細胞成分または他の汚染物質、例えば、他の細胞性核酸またはタンパク質から精製されたとき、“単離された”または“実質的に純粋にされた”である。F. Ausubel, et al., ed. 1987 Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New York、参照。本発明の核酸は、例えば、DNAまたはRNAであってもよく、イントロン配列を含んでいても含まなくてもよい。1つの局面において、核酸はcDNA分子である。核酸はベクター、例えば、ファージディスプレイベクターまたは組換えプラスミドベクター中に存在していてもよい。
本発明の核酸は標準分子生物学技術を使用して得ることができる。ハイブリドーマ(例えば、以下にさらに記載しているとおりのヒト免疫グロブリン遺伝子を有する遺伝子導入マウスから製造されたハイブリドーマ)により発現された抗体に関して、ハイブリドーマにより製造された抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAは標準PCR増幅またはcDNAクローニング技術により得ることができる。免疫グロブリン遺伝子ライブラリーから(例えば、ファージディスプレイ技術を使用して)得られた抗体に関して、抗体をコードする核酸はライブラリーのメンバーである種々のファージクローンから回収することができる。
およびVセグメントをコードするDNAフラグメントが得られたとき、これらのDNAフラグメントは、例えば、可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子、Fabフラグメント遺伝子またはscFv遺伝子に変換するために、標準組換えDNA技術によりさらに操作することができる。これらの操作において、VまたはVをコードするDNAフラグメントはさらなるタンパク質、例えば、抗体定常領域もしくはフレキシブルリンカーをコードするさらなるDNA分子またはフラグメントに作動可能に連結されている。この文脈において使用されるとき“作動可能に連結された”なる用語は、2つのDNAフラグメントが、例えば、2つのDNAフラグメントによってコードされるアミノ酸配列がフレーム内に残るように、またはタンパク質が所望のプロモーターのコントロール下で発現されるように機能する方法で連結されることを意味することを意図する。
領域をコードする単離されたDNAはVをコードするDNAを重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3)をコードするさらなるDNA分子に作動可能に連結することにより全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当分野で既知であり(例えば、Kabat et al., 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242、参照)、これらの領域を含むDNAフラグメントは標準PCR増幅により得ることができる。重鎖定常領域はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域であり得る。Fabフラグメント重鎖遺伝子に関して、VをコードするDNAは重鎖CH1定常領域のみをコードするさらなるDNA分子に作動可能に連結され得る。
領域をコードする単離されたDNAはVをコードするDNAを軽鎖定常領域CLをコードするさらなるDNA分子に作動可能に連結することにより全長軽鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当分野で既知であり(例えば、Kabat et al., 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242、参照)、これらの領域を含むDNAフラグメントは標準PCR増幅により得ることができる。軽鎖定常領域はカッパまたはラムダ定常領域であり得る。
scFv遺伝子を創造するため、VおよびVをコードするDNAフラグメントは、フレキシブルリンカーにより連結されたVおよびV領域を有するVおよびV配列が連続する一本鎖タンパク質として発現することができるように、例えば、アミノ酸配列(Gly4−Ser)をコードするフレキシブルリンカーをコードするさらなるフラグメントに作動可能に連結される(例えば、Bird et al., 1988 Science 242:423-426; Huston et al., 1988 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; McCafferty et al., 1990 Nature 348:552-554、参照)。
モノクローナル抗体生成
モノクローナル抗体(mAb)は慣用のモノクローナル抗体方法論を含む種々の技術、例えば、Kohler and Milstein (1975 Nature, 256:495)の標準体細胞ハイブリダイゼーション技術により、またはライブラリーディスプレイ法、例えば、ファージディスプレイ法を使用して製造することができる。
ハイブリドーマを製造するための動物系はマウス系である。マウスにおけるハイブリドーマ製造はよく確立された方法である。免疫化プロトコールおよび免役された融合用脾細胞の単離のための技術は当分野で既知である。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫細胞)および融合方法は、また、既知である。
本発明のキメラまたはヒト化抗体は上記のように製造されたマウスモノクローナル抗体の配列に基づいて製造することができる。重鎖および軽鎖免疫グロブリンをコードするDNAは、標準分子生物学技術を使用して、興味あるマウスハイブリドーマから得ることができ、非マウス(例えば、ヒト)免疫グロブリン配列を含むように加工することができる。例えば、キメラ抗体を創造するために、マウス可変領域は、当分野で既知の方法を使用して、ヒト定常領域に連結することができる(例えば、Cabilly et al.による米国特許第4,816,567号、参照)。ヒト化抗体を創造するために、マウスCDR領域は、当分野で既知の方法を使用して、ヒトフレームワークに挿入することができる。例えば、米国特許第5,225,539号および米国特許第5,530,101;5,585,089;5,693,762および6,180,370号、参照。
特定の局面において、本発明の抗体はヒトモノクローナル抗体である。C3bエピトープに対するこのようなヒトモノクローナル抗体はマウス系よりむしろヒト免疫系部分を有する遺伝子導入されたまたは染色体導入されたマウスを使用して製造することができる。これらの遺伝子導入されたまたは染色体導入されたマウスは各々HuMAbマウスおよびKMマウスと称される、および本明細書において“ヒトIgマウス”と総称されるマウスを含む。
HuMAbマウス(登録商標)(Medarex, Inc.)は、内因性μおよびκ鎖座を不活性化する標的変異とともに、非再配置ヒト重鎖(μおよびγ)およびκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座(miniloci)を含む(例えば、Lonberg et al., 1994 Nature 368(6474): 856 859、参照)。したがって、マウスはマウスIgMまたはκの発現低下を示し、免疫化に応答して、導入されたヒト重鎖および軽鎖導入遺伝子がクラス切り換えと体細胞突然変異を受け、高い親和性ヒトIgGκモノクローナルを製造する(Lonberg, N. et al., 1994 supra; reviewed in Lonberg, N., 1994 Handbook of Experimental Pharmacology 113:49-101; Lonberg, N. and Huszar, D., 1995 Intern. Rev. Immunol.13: 65-93およびHarding, F. and Lonberg, N., 1995 Ann. N. Y. Acad. Sci. 764:536-546)。HuMAbマウスの製造およびその使用およびこのようなマウスが有するゲノム修飾は、さらにTaylor, L. et al., 1992 Nucleic Acids Research 20:6287-6295; Chen, J. et at., 1993 International Immunology 5: 647-656; Tuaillon et al., 1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:3720-3724; Choi et al., 1993 Nature Genetics 4:117-123; Chen, J. et al., 1993 EMBO J. 12: 821-830; Tuaillon et al., 1994 J. Immunol. 152:2912-2920; Taylor, L. et al., 1994 International Immunology 579-591;およびFishwild, D. et al., 1996 Nature Biotechnology 14: 845-851に記載されている(これらの全ての内容を出典明示によりその全体を本明細書の一部とする)。さらに、米国特許第5,545,806;5,569,825;5,625,126;5,633,425;5,789,650;5,877,397;5,661,016;5,814,318;5,874,299;および5,770,429号(全てLonberg and Kay);Surani et al.による米国特許第5,545,807号;PCT出願番号WO92103918、WO93/12227、WO94/25585、WO97113852、WO98/24884およびWO99/45962(全てLonberg and Kay);ならびにKorman et al.によるPCT出願番号WO01/14424、参照。
他の局面において、本発明のヒト抗体は導入遺伝子および導入染色体上にヒト免疫グロブリン配列を有するマウス、例えば、ヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖導入染色体を有するマウスを使用して製造することができる。“KMマウス”として本明細書で称されるこのようなマウスはWO02/43478において詳細に記載されている。
なおさらに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する別の遺伝子導入動物系が当分野で利用可能であり、本発明の抗C3b抗体を製造するために使用することができる。例えば、Xenoマウス(登録商標)(Abgenix, Inc.)と称される別の遺伝子導入系を使用することができる。このようなマウスは、例えば、Kucherlapati et al.による米国特許第5,939,598;6,075,181;6,114,598;6、150,584および6,162,963号に記載されている。
さらに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する別の染色体を導入した動物系が当分野で利用可能であり、本発明の抗C3b抗体を製造するために使用することができる。例えば、“TCマウス”と称されるヒト重鎖導入染色体およびヒト軽鎖導入染色体の両方を含むマウスを使用することができる;このようなマウスはTomizuka et al., 2000 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:722-727に記載されている。さらに、ヒト重鎖および軽鎖導入染色体を有するウシは当分野で報告されており(Kuroiwa et al., 2002 Nature Biotechnology 20:889-894)、本発明の抗C3b抗体を製造するために使用することができる。
本発明のヒトモノクローナル抗体は、また、ヒト免疫グロブリン遺伝子のライブラリーをスクリーニングするためのファージディスプレイ方法を使用して製造することができる。ヒト抗体を単離するためのこのようなファージディスプレイ方法は当分野で確立されている。例えば:Ladner et al.による米国特許第5,223,409;5,403,484;および5,571,698号;Dower et al.による米国特許第5,427,908および5,580,717号;McCafferty et al.による米国特許第5,969,108および6,172,197号;ならびにGriffiths et al.による米国特許第5,885,793;6,521,404;6,544,731;6,555,313;6,582,915および6,593,081号、参照。ライブラリーは全長C3b抗原または特定のC3bネオエピトープへの結合についてスクリーニングされ得る。
本発明のヒトモノクローナル抗体は、ヒト抗体応答が免疫で製造され得るようにヒト免疫細胞を再構成されたSCIDマウスを使用して製造することもできる。このようなマウスは、例えば、Wilson et al.による米国特許第5,476,996および5,698,767号に記載されている。
ヒトIgマウスにおけるヒトモノクローナル抗体の製造
原核細胞(例えば、大腸菌)または真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、HEK293細胞)において発現される精製された組換えヒトC3bは抗原として使用することができる。該タンパク質は担体、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と結合され得る。
C3bネオエピトープに対する完全なヒトモノクローナル抗体はHuMab遺伝子導入マウスのHCo7、HCo12およびHCo17系ならびに遺伝子導入染色体導入マウスのKM系(これらはそれぞれヒト抗体遺伝子を発現する)を使用して製造される。これらのマウス系のそれぞれにおいて、内因性マウスカッパ軽鎖遺伝子はChen et al., 1993 EMBO J.12:811-820に記載されているとおりホモ接合的に分断することができ、内因性マウス重鎖遺伝子はWO01109187の実施例1に記載されているとおりホモ接合的に分断することができる。これらのマウス系のそれぞれは、Fishwild et al., 1996 Nature Biotechnology 14:845-851に記載されているとおりヒトカッパ軽鎖導入遺伝子、KCo5を有する。HCo7系は米国特許第5,545,806;5,625,825;および5,545,807号に記載されているとおりHCo7ヒト重鎖導入遺伝子を有する。HCo12系はWO01/09187の実施例2に記載されているとおりHCo12ヒト重鎖導入遺伝子を有する。HCo17系はHCo17ヒト重鎖導入遺伝子を有する。KNM系はWO02/43478に記載されているとおりSC20導入染色体を含む。
C3bネオエピトープに対する完全なヒトモノクローナル抗体を製造するために、HuMabマウスおよびKMマウスを、精製された組換えC3b、C3bフラグメントまたはそれらのコンジュゲート(例えば、C3b−KLH)を抗原として免疫化する。HuMabマウスの一般的な免疫スキームはLonberg, N. et al., 1994 Nature 368(6474): 856-859; Fishwild, D. et al., 1996 Nature Biotechnology 14:845-851およびWO98/24884に記載されている。マウスは抗原の初回注入時に6−16週齢である。抗原の精製された組換え製造物(5−50μg)を腹腔内、皮下(Sc)または足蹠注射によりHuMabマウスおよびKMマウスを免疫化するために使用する。
遺伝子導入マウスを完全フロイントアジュバントまたはRibiアジュバント中の抗原を腹腔内(IP)、皮下(Sc)または足蹠(FP)のいずれかにより2回免疫化させ、3−21日間後にフロイントの不完全またはRibiアジュバント中の抗原をIP、ScまたはFP免疫化させる(最大11回の免疫化)。免疫応答を眼窩後方採血によりモニタリングする。血漿をELISAによりスクリーニングし、十分な力価の抗C3bヒト免疫グロブリンを有するマウスを融合のために使用する。マウスを屠殺する3日および2日前に抗原を静脈内に追加し、脾臓を取り出す。一般的に、それぞれの抗原に対して10−35回の融合を行う。数ダースのマウスをそれぞれの抗原に対して免疫化する。HCo7、HCo12、HCo17およびKMマウス系の全82匹のマウスをC3b抗原で免疫化する。
C3bネオエピトープと結合した抗体を製造するHuMabまたはKMマウスを選択するため、免疫マウスの血清をFishwild, D. et al., 1996に記載されているELISAにより試験することができる。手短に言えば、マイクロタイタープレートをPBS中1−2μg/mlで精製された組換えC3bでコーティングし、50μl/ウェルを4℃で一晩インキュベートし、次にPBS/Tween(0.05%)中の5%のニワトリ血清を200μl/ウェルでブロッキングする。C3b免疫マウスからの血漿の希釈物をそれぞれのウェルに加え、1−2時間周囲温度でインキュベートする。プレートをPBS/Tweenで洗浄し、次にセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)をコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG Fcポリクローナル抗体と1時間室温でインキュベートする。洗浄後、プレートをABTS基質(Sigma、A−1888、0.22mg/ml)で現像し、分光光度計によりOD 415−495で分析する。抗C3b抗体の最高力価を表した抗マウスの脾細胞を融合のために使用する。融合を行い、ハイブリドーマ上清をELISAにより抗C3b活性に関して試験する。
HuMabマウスおよびKMマウスから単離されたマウス脾細胞を標準プロトコールに基づいてPEGでマウス骨髄腫細胞系に融合させる。次に得られたハイブリドーマを抗原−特異的抗体の生成に関してスクリーニングする。免疫マウスからの脾臓リンパ細胞の単細胞懸濁液を1/4の数のSP2/0非分泌マウス骨髄腫細胞(ATCC、CRL 1581)に50%のPEG(Sigma)で融合させる。細胞を平底マイクロタイタープレート中で約1×10/ウェルで置き、次に約2週間、DMEM(Mediatech、CRL 10013、高グルコース、L−グルタミンおよびピルビン酸ナトリウムを含む)プラス5mMのHEPES、0.055mMの2−メルカプトエタノール、50μg/mlのゲンタマイシンおよび1×HAT(Sigma、CRL P−7185)中で10%のウシ胎児血清、10%のP388D 1(ATCC、CRL TIB−63)馴化培地、3−5%のOrigen(登録商標)(IGEN)を含む選択培地中でインキュベートする。1−2週間後、細胞をHATがHTと置き換えられている培地中で培養する。次に個々のウェルをヒト抗C3bモノクローナルIgG抗体に対してELISAによりスクリーニングする。広範なハイブリドーマ増殖が起こると、通常、培地を10−14日後にモニタリングする。抗体を分泌するハイブリドーマを再播種し、再びスクリーニングし、まだヒトIgG陽性のとき、抗C3bモノクローナル抗体を制限希釈により少なくとも2回サブクローニングする。次に安定なサブクローンをインビトロで培養し、さらなる特徴付けのために組織培養培地中で少量の抗体を得る。
ヒトモノクローナル抗体を製造するハイブリドーマの製造
本発明のヒトモノクローナル抗体を製造するハイブリドーマを製造するため、免疫マウスからの脾細胞および/またはリンパ節細胞を単離し、適当な不死化細胞系、例えば、マウス骨髄腫細胞系に融合することができる。得られたハイブリドーマ抗原−特異的抗体の生成に関してスクリーニングすることができる。例えば、免疫マウスからの脾臓リンパ細胞の単細胞懸濁液を1/6の数のP3X63−Ag8.653非分泌マウス骨髄腫細胞(ATCC、CRL 1580)に50%のPEGで融合させることができる。細胞を平底マイクロタイタープレート中で約2×145で置き、次に20%の胎児クローン血清、18%の“653”馴化培地、5%のOrigen(登録商標)(IGEN)、4mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、5mMのHEPES、0:055mMの2−メルカプトエタノール、50単位/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、50μg/mlのゲンタマイシンおよび1×HAT(Sigma;HATを融合24時間後に加える)を含む選択培地中で2週間インキュベートする。約2週後、細胞をHATがHTと置き換えられている培地中で培養する。次に個々のウェルをヒトモノクローナルIgMおよびIgG抗体に対してELISAによりスクリーニングする。広範なハイブリドーマ増殖が起こると、通常、培地を10−14日後に観察することができる。抗体を分泌するハイブリドーマを再播種し、再びスクリーニングし、まだヒトIgG陽性のとき、モノクローナル抗体を制限希釈により少なくとも2回サブクローニングすることができる。次に安定なサブクローンをインビトロで培養し、特性化のため組織培養培地中で少量の抗体を生成する。
ヒトモノクローナル抗体を精製するため、選択したハイブリドーマをモノクローナル抗体精製のために2リットルのスピナーフラスコ中で増殖させることができる。上清を濾過し、濃縮し、タンパク質A−セファロース(Pharmacia, Piscataway, N.J.)でアフィニティクロマトグラフィーに付すことができる。溶出したIgGをゲル電気泳動および高速液体クロマトグラフィーによりチェックし、純度を確認することができる。バッファー溶液をPBSに交換し、濃度を吸光係数1.43を使用してOD280により測定することができる。モノクローナル抗体をアリコートし、−80℃で保存することができる。
モノクローナル抗体を製造するトランスフェクトーマの製造
本発明の抗体は、また、例えば、当分野で既知である組換えDNA技術および遺伝子トランスフェクション法の組合せを使用して、宿主細胞トランスフェクトーマ中で製造することができる(例えば、Morrison, 1985 Science 229:1202)。
例えば、抗体またはその抗体フラグメントを発現させるため、部分的または全長軽鎖および重鎖をコードするDNAは標準分子生物学技術(例えば、PCR増幅または興味ある抗体を発現するハイブリドーマを使用するcDNAクローニング)により得ることができ、DNAを、遺伝子が転写および翻訳制御配列に作動可能に連結されるように、発現ベクターに挿入することができる。これに関して、“作動可能に連結された”なる用語は、抗体遺伝子が、ベクター内の転写および翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写および翻訳を調節する意図された機能を果たすように、ベクターに連結されることを意味することを意図する。発現ベクターおよび発現制御配列は使用される発現宿主細胞と適合するように選択される。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子を別々のベクターに挿入するか、または、さらに一般的に、両方の遺伝子を同じ発現ベクターに挿入することができる。抗体遺伝子は標準方法(例えば、抗体遺伝子フラグメント上の相補性制限部位およびベクターの連結または制限部位が存在しないとき、平滑末端連結)により発現ベクターに挿入される。本明細書に記載されている抗体の軽鎖および重鎖可変領域は、Vセグメントがベクター内のCHセグメントと作動可能に連結され、そしてVセグメントがベクター内のCHセグメントと作動可能に連結されるように、所望のアイソタイプの重鎖定常および軽鎖定常領域をすでにコードしている発現ベクターに挿入することにより、いずれかの抗体アイソタイプの全長抗体遺伝子を製造するために使用することができる。さらに、またはあるいは、組換え発現ベクターは宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。抗体鎖遺伝子を、シグナルペプチドがインフレームで抗体鎖遺伝子のアミノ末端に連結されるように、ベクターにクローニングすることができる。シグナルペプチドは免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)であり得る。
抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは宿主細胞における抗体鎖遺伝子の発現をコントロールする調節配列を有する。“調節配列”なる用語は抗体鎖遺伝子の転写または翻訳をコントロールするプロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。このような調節配列は、例えば、Goeddel(Gene Expression Technology. 1990 Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA)に記載されている。調節配列の選択を含む発現ベクターのデザインが形質転換された宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの因子に依存し得ることが当業者に理解されよう。哺乳動物宿主細胞発現のための調節配列はサイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))およびパピローマに由来する、哺乳動物細胞における高レベルタンパク質発現を指示するウイルスエレメント、例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサーを含む。あるいは、例えば、ユビキチンプロモーターまたはP−グロビンプロモーターのような非ウイルス調節配列を使用され得る。なおさらに、調節エレメントは、SV40初期プロモーターおよびヒト1型T細胞白血病ウイルスの長い末端反復配列からの配列を含む、異なる源からの配列、例えば、SRaプロモーター系を含む(Takebe et al., 1988 Mol. Cell. Biol. 8:466-472)。
抗体鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターはさらなる配列、例えば、宿主細胞においてベクターの複製を調節する配列(例えば、複製開始点)および選択マーカー遺伝子を有し得る。選択マーカー遺伝子はベクターが挿入されている宿主細胞の選択を容易にする(例えば、すべてAxel et al.による米国特許第4,399,216;4,634,665;および5,179,017号、参照)。例えば、一般的に、選択マーカー遺伝子はベクターが挿入されている宿主細胞上で薬物、例えば、G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートに対する耐性を付与する。選択マーカー遺伝子はジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅とともにdhfr−宿主細胞中で使用するため)およびneo遺伝子(G418を選択するため)を含む。
軽鎖および重鎖の発現のため、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターを標準技術により宿主細胞にトランスフェクトする。“トランスフェクション”なる用語の種々の形態は、外来DNAを原核生物または真核生物宿主細胞に導入するために一般的に使用されている広範な技術、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクションなどを含むことを意図する。原核生物または真核生物宿主細胞のいずれにおいても本発明の抗体を発現させることは理論上可能である。このような真核細胞、特に哺乳動物細胞が原核細胞よりも適当に折りたたまれた免疫学的に活性な抗体をアッセンブルおよび分泌しやすいため、真核細胞、特に哺乳動物宿主細胞における抗体の発現が議論される。抗体遺伝子の原核生物発現は高収率の活性抗体の生成には無効であることが報告されている(Boss and Wood, 1985 Immunology Today 6:12-13)。
本発明の組換え抗体を発現させるための哺乳動物宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)(例えば、Kaufman and Sharp, 1982 Mol. Biol. 159:601-621に記載されているようなDHFR選択可能マーカーと使用されるUrlaub and Chasin, 1980 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載されているdhfr−CHO細胞を含む)NSO骨髄腫細胞、COS細胞およびSP2細胞を含む。特に、NSO骨髄腫細胞の使用に関して、さらなる発現系はWO87/04462、WO89/01036およびEP338,841に示されているGS遺伝子発現系がある。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入するとき、宿主細胞中で抗体の発現または宿主細胞を増殖させる培養培地中へ抗体の分泌を可能にする十分な時間、宿主細胞を培養することにより抗体を製造する。抗体は標準タンパク質精製法を使用して培養培地から回収することができる。
二重特異性分子
他の局面において、本発明は本発明のC3b結合分子(例えば、抗C3b抗体またはそのフラグメント)を含む二重特異性分子を特徴とする。本発明のC3b結合分子は誘導体化されるか、または他の機能分子、例えば、他のペプチドまたはタンパク質(例えば、受容体に対する他の抗体またはリガンド)と結合し、少なくとも2つの異なる結合部位または標的分子に結合する二重特異性分子を製造することができる。実際に、本発明のC3b結合分子は誘導体化されるか、または1つ以上の他の機能分子と結合し、2つ以上の異なる結合部位および/または標的分子に結合する多重特異性分子を製造することができる;このような多重特異性分子は、また、本明細書において使用される“二重特異性分子”なる用語により包含されることを意図する。本発明の二重特異性分子を創造するため、本発明の抗体を(例えば、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合性会合またはその他のものにより)二重特異性分子となるように1つ以上の他の結合分子、例えば、他の抗体、抗体フラグメント、ペプチドまたは結合模倣物に機能的に結合することができる。
したがって、本発明はC3bネオエピトープに対する少なくとも1つの第1の結合特異性および第2の標的エピトープ、例えば、因子B、因子D、プロパージン、因子H、因子IまたはMAC、例えば、C5、C6、C7、C8およびC9の生産に関する補体タンパク質/酵素に対する第2の結合特異性を含む二重特異性分子を含む。
1つの局面において、本発明の二重特異性分子は結合特異性のために少なくとも1つの抗体またはその抗体フラグメント、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fvまたは一本鎖Fvを含む。抗体は、また、軽鎖または重鎖ダイマーまたはそれらのいずれかの最小フラグメント、例えば、FvまたはLadner et al. 米国特許第4,946,778号(この内容を明白に出典明示により包含させる)に記載されている一本鎖構築物であり得る。
本発明の二重特異性分子は当分野で既知の方法を使用して成分結合特異性を結合させることによって製造することができる。例えば、二重特異性分子のそれぞれの結合特異性は、別々に製造され、次に互いに結合させることができる。結合特異性がタンパク質またはペプチドであるとき、種々のカップリング剤または架橋剤を共有結合複合体のために使用することができる。架橋剤の例はタンパク質A、カルボジイミド、N−スクシニミジル−S−アセチル−チオアセテート(SATA)、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、o−フェニレンジマレイミド(oPDM)、N−スクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)およびスルホスクシニミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−l−カルボキシレート(スルホ−SMCC)を含む(例えば、Karpovsky et al., 1984 J. Exp. Med. 160:1686; Liu et al., 1985 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8648、参照)。他の方法はPaulus, 1985 Behring Ins. Mitt. No. 78,118-132; Brennan et al., 1985 Science 229:81-83およびGlennie et al., 1987 J. Immunol. 139: 2367-2375に記載されているものを含む。結合剤はSATAおよびスルホ−SMCCであり、両方ともPierce Chemical Co. (Rockford, IL)から入手できる。
結合特異性が抗体であるとき、それらは2つの重鎖のC末端ヒンジ領域のスルフヒドリル結合により結合させることができる。特定の局面において、ヒンジ領域は結合の前に奇数、例えば、1つのスルフヒドリル残基を含むように修飾される。
あるいは、両方の結合特異性は同じベクターにおいてコードされ、同じ宿主細胞において発現およびアセンブルされる。この方法は、特に、二重特異性分子がmAb×mAb、mAb×Fab、Fab×F(ab’)またはリガンド×Fab融合タンパク質であるとき有用である。本発明の二重特異性分子は1つの一本鎖抗体および結合決定基を含む一本鎖分子または2つの結合決定基を含む一本鎖二重特異性分子であり得る。二重特異性分子は少なくとも2つの一本鎖分子を含み得る。二重特異性分子を製造するための方法は、例えば、米国特許第5,260,203;5,455,030;4,881,175;5,132,405;5,091,513;5,476,786;5,013,653;5,258,498;および5,482,858号に記載されている。
二重特異性分子のこれらの特異性標的への結合は、例えば、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(REA)、FACS分析、バイオアッセイ(例えば、増殖阻害)またはウェスタンブロットアッセイにより確認することができる。これらのアッセイのそれぞれは一般的に興味ある複合体に対して特異的な標識試薬(例えば、抗体)を使用することにより特定の興味あるタンパク質−抗体複合体の存在を検出する。
スクリーニングおよびアッセイ
補体活性化アッセイ
C3b結合分子の機能特性はインビトロおよびインビボにて試験することができる。例えば、結合分子はC3bおよび補体タンパク質、例えば、プロパージン、因子H、因子B、因子I、膜補因子および/またはそれらの複合体の相互作用を阻害する能力に対して試験することができる。さらに結合分子は、Wiesmann, C, et al.(2006). Nature 444, 217-220にしたがってC3および/またはC5転換酵素活性を阻害する能力に対して試験することができる。
種々の方法は補体経路分子の活性および補体系の活性化を測定するために使用することができる(例えば、米国特許第6,087,120号;およびNewell et al., J Lab Clin Med, 100:437-44, 1982、参照)。例えば、補体活性は(i)赤血球の補体介在溶解(溶血)の阻害の測定;(ii)C3またはC5の開裂を阻害する能力の測定;および(iii)古典的および/または副経路介在溶血の阻害によりモニタリングすることができる。
2つの非常に一般的に使用される技術は溶血アッセイ(例えば、Baatrup et al., Ann Rheum Dis, 51:892-7, 1992、参照)および免疫学的アッセイ(例えば、Auda et al., Rheumatol Int, 10:185-9, 1990、参照)である。溶血技術はすべての一連の、またはいずれかの古典的または副経路の機能的能力を測定する。免疫学的技術は特定の補体成分または分解産物のタンパク質濃度を測定する。本発明の方法において補体活性化を検出するか、または補体成分の活性を測定するために使用することができる他のアッセイは、例えば、T細胞増殖アッセイ(Chain et al., J Immunol Methods, 99:221-8, 1987)および遅延型過敏(DTH)アッセイ(Forstrom et al., 1983, Nature 303:627-629; Hallidayet al., 1982, in Assessment of Immune Status by the Leukocyte Adherence Inhibition Test, Academic, New York pp. 1-26; Koppi et al., 1982, Cell. Immunol. 66:394-406;および米国特許第5,843,449号)を含む。
溶血技術において、すべての適当な補体成分は存在し、機能的でなければならない(測定される経路に依存して、必要とされる構成成分は変化し得る)。したがって、溶血技術は補体系の機能的な完全性および欠損の両方をスクリーニングすることができる(例えば、Dijk et al., J Immunol Methods 36: 29-39, 1980; Minh et al., Clin Lab Haematol. 5:23-34 1983;およびTanaka et al., J Immunol 86: 161-170, 1986、参照)。例えば、古典的経路の機能的能力を測定するために、ヘモリシン(ヒツジ赤血球に対するウサギIgG)にて被覆されたヒツジ赤血球(他の種からの赤血球を同様に使用することができる、例えば、ニワトリ赤血球を使用することができる)を標的細胞(感受性細胞)として使用する。これらのAg−Ab複合体は古典的経路を活性化し、構成成分が機能的であり、適当な濃度にて存在するとき、標的細胞の溶解をもたらす。副経路の機能的能力を測定するために、ウサギ赤血球を標的細胞として使用する(例えば、米国特許第6,087,120号、参照)。
溶血補体測定は、全範囲の機能的補体タンパク質を必要とする細胞溶解を誘導する補体の機能に基づくため、例えば、対象の血液における補体タンパク質の欠損および機能的障害を検出するために適用することができる。古典的経路活性化を測定するいわゆるCH50方法および副経路のためのAP50方法は全血清の代わりに特定の単離された補体タンパク質を使用することにより拡張されているが、高希釈試験サンプルは未知の濃度の制限補体成分を含む。この方法により、補体系のより詳細な測定を実施することができ、どの構成成分が欠損しているかを示す。
免疫学的技術は、例えば、補体成分の分解産物を検出するために、種々の補体成分(例えば、C3、C4およびC5)の異なるエピトープに対するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を使用する(例えば、Hugli et al., Immunoassays Clinical Laboratory Techniques 443-460, 1980; Gorski et al., J Immunol Meth 47: 61-73, 1981; Linder et al., J Immunol Meth 47: 49-59, 1981;およびBurger et al., J Immunol 141: 553-558, 1988、参照)。次に、既知の濃度の標識化分解産物と競合する分解産物と抗体の結合を測定することができる。種々のアッセイ、例えば、放射性免疫アッセイ、ELISAおよび放射拡散(radial diffusion)アッセイを補体分解産物を検出するために利用できる。
免疫学的技術は、黄斑変性症関連障害を有するか、または有さない試験対象およびコントロール対象からの血液中における分解産物形成の測定を可能にするために、補体活性化を検出するような高い感度を提供する。したがって、本発明のいくつかの方法において、黄斑変性症と関連する障害の診断は試験対象からの血漿中の補体成分の可溶性分解産物(例えば、C3a、C4a、C5aおよびC5b−9最終複合体)の定量を介する異常補体活性化の測定により得られる。測定は、例えば、Chenoweth et al., N Engl J Med 304: 497-502, 1981;およびBhakdi et al., Biochim Biophys Acta 737: 343-372, 1983において記載されているとおりに実施することができる。好ましくは、インビボにて形成された補体活性化のみを測定する。これは補体系の阻害剤を含む培地中にて対象からの生物学的サンプル(例えば、血清)を回収し、次にサンプル中の補体活性化(例えば、分解産物の定量)を測定することにより成し遂げることができる。
黄斑変性症と関連する障害を有する患者の臨床診断またはモニタリングにおいて、正常対象からの対応する生物学的サンプルにおけるレベルと比較して補体タンパク質の検出は黄斑変性症と関連する障害を有する患者を示す。
インビボ診断またはイメージングはUS2006/0067935において記載されている。簡潔には、これらの方法は一般的に非侵襲的な方法により検出可能であるマーカーまたは標識に作動可能に結合した診断的に有効量のC3b結合分子を患者に投与するか、または導入することを含む。抗体−マーカー複合体は眼内に局在し、補体タンパク質に結合するために十分な時間を許容される。次に、患者を検出可能マーカーを同定するために検出デバイスに暴露し、患者の眼内におけるC3b結合分子の局在の像を形成する。C3b結合分子またはそれらの複合体の存在は抗体−マーカーが眼の構成成分に結合するかどうかを同定することにより検出する。AMD疾患を有さない正常な個体と比較して選択される補体タンパク質またはそれらの組合せにおける増加したレベルの検出は黄斑変性症と関連する障害に罹患しやすいこと、および/または障害の発症を示す。本発明のこれらの局面は、また、眼のイメージング方法ならびに合わせた血管新生診断および処置方法における使用に対して好ましい。
動物モデル
C3b結合分子によるC3b調節を試験するために適当な動物モデルはUS2006/0067935において記載されている。AMDの動物モデルをマウスにおいて発症させると、ヒト状態において見られる病理学的特徴を発症する。Ambati, J et al, (2003) Nat Med 9, 1390-1397。
C3b結合分子の毒性および治療効果は、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療有効な用量)を決定するために、これらの実験動物において標準的な医薬的手順により決定することができる。毒性と治療作用間の用量比は治療係数であり、それはLD50/ED50比として表すことができる。動物試験から得られたデータはヒト用の用量範囲を処方する際に使用することができる。用量は、細胞培養において決定されるとおりのIC50(すなわち、症状の最大半減阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルにおいて製剤化され得る。このような情報はヒトにおいて有用な用量をさらに正確に決定するために使用することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定され得る。
医薬組成物およびその使用
医薬組成物
他の局面において、本発明は、本発明のC3b結合分子(例えば、モノクローナル抗体またはその抗原−結合部分)の1つまたは組合せを含む、薬学的に許容される担体とともに製剤化された組成物、例えば、医薬組成物を提供する。このような組成物は(例えば、2種以上の異なる)結合分子の1つまたは組合せを含み得る。例えば、本発明の医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合するか、または相補的活性を有する抗体または薬物の組合せを含むことができる。
本発明の医薬組成物は、また、組合せ治療、すなわち、他の薬剤と組み合わせて投与することができる。例えば、組合せ治療は抗C3b抗体を少なくとも1つの抗炎症剤と共に含むことができる。組合せ治療において使用することができる治療剤の例は、下記の本発明の薬剤の使用のセクションにおいてより詳細に記載されている。
本明細書において使用される“薬学的に許容される担体”は生理学的に適合するあらゆる全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。担体は(例えば、注射または注入による)非経口投与に適しているべきである。本明細書において使用される“非経口”投与は通常、注射による経腸および局所投与以外の投与方法を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、眼内(硝子体内を含む)、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および注入を含むが、これらに限定されない。投与経路に依存して、C3b結合分子は、本発明の結合分子を不活性にし得る酸および他の天然条件の作用からそれを保護するために送達物質でコーティングまたは送達物質中にて提供され得る。
本発明の医薬化合物は1つ以上の薬学的に許容される塩を含み得る。“薬学的に許容される塩”は所望の親化合物の生物学的活性を保持するが、望ましくない毒性作用を付与しない塩を意味する(例えば、Berge, S.M., et al., 1977 J. Pharm. Sci. 66:1-19、参照)。このような塩の例は酸付加塩および塩基付加塩を含む。酸付加塩は無毒性の無機酸、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸など、ならびに無毒性の有機酸、例えば、脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などに由来するものを含む。塩基付加塩はアルカリ土金属、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、ならびに無毒性の有機アミン、例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどに由来するものを含む。
本発明の医薬組成物は、また、薬学的に許容される抗酸化剤を含み得る。薬学的に許容される抗酸化剤の例は:水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、アルファ−トコフェロールなど;および金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などを含む。
本発明の医薬組成物において使用され得る適当な水性および非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれの適当な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、および注入可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルを含む。適当な流動性は、例えば、コーティング剤、例えば、レシチンの使用、分散物の場合、必要な粒径の維持および界面活性剤の使用により維持することができる。
これらの組成物は、また、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含み得る。微生物存在の防止は上記殺菌手順ならびに種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの包含により確保され得る。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物に包含させることが望ましいこともある。加えて、注射可能な医薬形態の吸収の延長は吸収を遅らせる薬物、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの包含により実現され得る。
薬学的に許容される担体は無菌注射可能溶液または分散液の即時製造調製のための無菌水溶液または分散液および無菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬物の使用は当分野で既知である。慣用の媒体または薬物が活性な化合物と適合しない場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるそれらの使用が考慮される。補助的な活性化合物も組成物に包含することができる。
一般的に、治療組成物は製造および保存の条件下にて無菌および安定でなければならない。本発明のC3b結合分子は、溶液、ミクロエマルション、リポソームまたはその他の高濃度の薬物に適した調整構造物として調剤することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)および適当なそれらの混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング剤、例えば、レシチンの使用、分散物の場合、必要な粒径の維持および界面活性剤の使用により維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトールまたは塩化ナトリウムを組成物中に含むことができる。注射可能な組成物の吸収の延長は組成物中に吸収を遅らせる薬物、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含むことにより実現することができる。
無菌注射可能溶液は適当な溶媒中で必要な量の活性な化合物を上記に挙げられた成分の1つまたは組合せと混合し、必要なとき、次に無菌的精密濾過をすることにより製造することができる。一般的に、分散液は基本的な分散媒および上記に挙げられたものから必要な他の成分を含む無菌ビヒクル中に活性な化合物を配合することにより製造される。無菌注射可能溶液の製造のための無菌粉末の場合、製造方法は、事前に無菌濾過した溶液から活性成分プラス何らかのさらなる所望の成分の粉末が得られる、真空乾燥およびフリーズドドライ(凍結乾燥)である。
単位投与形態を製造するために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は処置される対象および特定の投与経路に依存して変化する。単位投与形態を製造するために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は一般的に治療効果を引き起こす組成物の量である。一般的に、100%のうち、この量は薬学的に許容される担体との組み合わせで活性成分が約0.01%から約99%、約0.1%から約70%または約1%から約30%の範囲である。
投与レジメンは所望の最適応答(例えば、治療応答)を提供するために調節される。例えば、単回ボーラスで投与してもよく、経時的に数回の分割投与で投与してもよく、または治療状況の緊急性により指示されるとき、比例的に用量を減少または増加してもよい。とりわけ、投与の容易性および投与量の均一性のため、非経口組成物を投与単位形態で調剤することが有利である。本明細書において使用される投与単位形態は処置される対象に対する単位用量として適した物理的に別個の単位を意味し;それぞれの単位は必要な医薬担体と一緒に所望の治療効果を引き起こすように計算されたあらかじめ決められた量のC3b結合分子を含む。本発明の投与単位形態の仕様は活性な化合物の独自の特徴と達成すべき特定の治療効果、および各個体における治療感受性に関して、このような結合分子を調剤する技術に固有の限界により規定され、かつ直接的に依存する。
該抗体の投与に関して、用量は約0.0001から100mg/kg、さらに通常0.01から5mg/kg宿主体重の範囲である。例えば、用量は0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重または10mg/kg体重または1−10mg/kgの範囲内であり得る。典型的な処置レジメンは1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1月に1回、3月に1回または3から6月に1回の投与を必要とする。
本発明のC3b抗体に対する投与レジメンは1mg/kg体重または3mg/kg体重にて、以下の投与スケジュールのいずれかを使用して投与される抗体の静脈内投与を含む:4週間ごとに6回、次に3月ごとに投与;3週間ごとに投与;3mg/kg体重を1回投与し、次に1mg/kg体重を3週間ごとに投与。
C3b結合分子の好ましい投与形路は眼に対する局所適用である。眼の組成物は一般的に、1から4滴の滅菌溶液または懸濁液、または、同量の軟膏、ゲルまたは他の固体もしくは半固体組成物を1日に1から4回、罹患している眼の表面に適用することにより、罹患している眼に投与される。製剤は、また、外科手術中に罹患している眼に適用される潅流溶液として製剤化され得る。
C3b結合分子は静脈内、腹腔内または硝子体内注射のために適応された医薬組成物として慣用の手段にしたがって製剤化され得る。C3b結合分子を静脈内注射により投与する。高量静脈内免疫グロブリン(IVIG)ならびにF(ab)2−IVIGおよび不適切なヒトモノクローナル抗体でさえ全て、C3aおよびC5aに結合し、これらの機能を妨げることができる。Basta M. et al. F(ab)'2-mediated neutralization of C3a and C5a anaphylatoxins: a novel effector function of immunoglobulins. Nature Medicine 2003; 9:431-8。C3b結合分子を含む組成物は眼への硝子体内注射のために適応され得る。一般的に、注射のための組成物は滅菌等張水性バッファー中の溶液である。必要なとき、C3b結合分子は、また、可溶化剤および注射部位において痛みを軽減するための局所麻酔、例えば、リグノカインを含み得る。一般的に、複数の成分は別々に、または、例えば、密封されている容器、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサッシェ(sachette)中の凍結乾燥された粉末または水非含有濃縮物として、単位投与形態において一緒に混合されて提供される。組成物を注入により投与されるとき、滅菌医薬グレード水または塩水を含む注入ボトルにて解決することができる。組成物を注射により投与されるとき、注射用滅菌水または塩水のアンプルが、成分を投与前に混合することができるように提供され得る。
1つの態様において、成人患者における新生血管(湿潤型)加齢黄斑変性症の処置のための適当な用量は0.5ミリグラム(0.05ミリリットル)であり、月(約28日)1回罹患している眼へ硝子体内に注射される。適当な麻酔および広範囲の殺菌剤を結合分子注射前に投与する。月1回の注射が実行可能でないとき、処置は、最初に4回注射後、3月に1回の注射に減らし得る。他の態様において、新生血管黄斑変性症の処置のための抗体の有効量は硝子体内に月1回0.3ミリグラムである。
いくつかの方法において、異なる結合特異性を有する2つ以上の結合分子(例えば、モノクローナル抗体)を同時に投与され、この場合、投与されるそれぞれの抗体の用量は指示される範囲内である。C3b結合分子を通常、複数回投与する。各投与間の間隔は、例えば、毎週、毎月、3月ごとまたは1年ごとであり得る。間隔は、また、患者のC3bネオエピトープに対する結合分子の血中レベルを測定することにより示されるように不定期であり得る。いくつかの方法において、用量は約1−1000μg/ml、いくつかの方法において、約25−300μg/mlのC3b結合分子の血漿濃度を達成するように調節される。
あるいは、C3b結合分子を持続放出製剤として投与することができ、この場合、投与頻度は少なくてよい。用量および頻度は患者におけるC3b結合分子の半減期に依存して変化する。一般的に、ヒト抗体が最も長い半減期を示し、ヒト化抗体、キメラ抗体および非ヒト抗体が続く。用量および投与頻度は処置が予防的または治療的であるかどうかに依存して変化し得る。予防的適用において、比較的低用量を比較的低頻度で長期間投与する。ある患者は残りの生涯、処置を受け続ける。治療的適用において、ときどき、比較的高用量を比較的短間隔で、疾患の進行を遅らせるかもしくは停止させるまで、または患者が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで必要である。その後、患者は予防レジメンで投与され得る。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、患者に毒性がなく、特定の患者、組成物および投与経路に対して所望の治療応答を達成するために有効な量の活性成分に変化させることができる。選択された用量レベルは使用される本発明の特定の組成物またはそのエステル、塩またはアミドの活性、投与の経路、投与の時間、使用される特定の化合物の排泄速度、処置の期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、健康状態および病歴ならびに医薬分野で既知の因子を含む種々の薬物動態因子に依存する。
本発明のC3b結合分子の“治療有効量”は疾患症状の重症度における減少(例えば、C3および/またはC5転換酵素活性における減少)、疾患無症状期間の頻度および持続時間の増加または疾患苦痛による消耗または無力感の予防をもたらすことができる。
本発明の結合分子は、1つ以上の当分野で既知の種々の方法を使用して、1つ以上の投与経路により投与することができる。投与様式および/または投与経路は所望の結果に依存して変化することが、当業者に理解される。本発明のC3b結合分子の投与形路は、例えば、注射または注入による、静脈内、眼内、硝子体内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄または他の非経口経路の投与を含む。
あるいは、本発明のC3b結合分子は、非経口経路、例えば、局所、上皮または粘膜経路の投与、例えば、鼻腔内、経口的、舌下的または局所的により投与することができる。
活性な化合物は、インプラント、経皮パッチおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤のように、化合物を迅速な放出に対して保護する担体とともに製造することができる。生分解性、生体適合性ポリマー、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸を使用することができる。このような製剤の製造のための多数の方法は特許されているか、または一般的に当業者に既知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978、参照。
治療組成物は当分野で既知の医療デバイスで投与することができる。例えば、1つの局面において、本発明の治療組成物は無針皮下注射デバイス、例えば、米国特許第5,399,163;5,383,851;5,312,335;5,064,413;4,941,880;4,790,824または4,596,556号に示されているデバイスで投与することができる。本発明において有用な既知のインプラントおよびモジュールの例は:コントロールされた速度で薬物を分配するためのインプラント可能な微小注入ポンプを示す米国特許第4,487,603号;皮膚を介する薬物を投与するための治療デバイスを示す米国特許第4,486,194号;正確な注入速度で薬物を送達するための薬物注入ポンプを示す米国特許第4,447,233号;連続的薬物送達のための流量可変のインプラント可能な注入装置を示す米国特許第4,447,224号;複数チャンバーコンパートメントを有する浸透圧薬物送達系を示す米国特許第4,439,196号;および浸透圧薬物送達系を示す米国特許第4,475,196号を含む。これらの特許は出典明示により本明細書に包含される。他のこのような多数のインプラント、送達系およびモジュールは当業者に既知である。
特定の局面において、本発明のC3b結合分子をインビボで適切な分布を確実にするため製剤化することができる。例えば、血液脳関門(“BBB”)または血液網膜関門(“BRB”)は多数の高親水性化合物を排除する。本発明の治療化合物がBBBまたはBRBを(所望により)通過することを確実にするため、それらは、例えば、リポソーム中で製剤化することができる。リポソームを製造する方法に関して、例えば、米国特許第4,522,811;5,374,548;および5,399,331号、参照。リポソームは特定の細胞または臓器に選択的に輸送される1以上の部分を含み得、したがって標的薬物送達を強化する(例えば、V.V. Ranade, 1989 J. Cline Pharmacol. 29:685、参照)。典型的な標的とする部分は葉酸またはビオチン(例えば、Low et al.による米国特許第5,416,016号、参照);マンノシド(Umezawa et al., 1988 Biochem. Biophys. Res. Commun. 153:1038);抗体(P.G. Bloeman et al., 1995 FEBS Lett. 357:140; M. Owais et al., 1995 Antimicrob. Agents Chernother. 39:180);界面活性剤タンパク質A受容体(Briscoe et al., 1995 Am. J. Physiol.1233:134);p120(Schreier et al., 1994 J. Biol. Chem. 269:9090)を含む;K. Keinanen; M.L. Laukkanen, 1994 FEBSLett. 346:123; J.J. Killion; I.J. Fidler, 1994 Immunomethods 4:273も参照。
使用および方法
本明細書に記載されているC3b結合分子はインビトロおよびインビボにおける診断および治療的有用性を有する。例えば、これらの分子は、例えば、インビトロまたはインビボにて培養下における細胞に、あるいは、例えば、インビボにて対象における細胞に投与して、種々の障害を処置、予防または診断することができる。C3b結合分子は特に、約10%の場合において新生血管形成と関連する状態であるAMD(湿潤型AMD)、炎症および失明を有するか、または危険性があるヒト患者を処置するために適当である。C3b結合分子は、また、腎炎、喘息、再かん流傷害、血液透析、リウマチ性関節炎、全身性狼瘡、乾癬、多発性硬化症、移植、アルツハイマー病、aHUS、II型MPGNまたはすべての他の補体介在疾患のような疾患または障害を有するヒト患者を処置するために適当である。
C3b結合分子がさらなる薬剤と共に投与されるとき、2つは連続して順番にまたは同時に投与することができる。いくつかの局面において、C3b結合分子は第2の薬剤(例えば、ベルテポルフィン)と共に治療を受けている対象にも投与される。他の局面において、結合分子は外科的処置と組み合わせて投与される。
C3b結合分子との組合せ処置のために適当な薬剤は補体成分の活性を調節することができる当分野において既知の薬剤を含む(例えば、米国特許第5,808,109号、参照)。他の薬剤は補体介在活性を減少させることが報告されている。このような薬剤はアミノ酸(Takada, Y. et al. Immunology 1978, 34, 509);亜リン酸エステル(Becker, L. Biochem. Biophy. Acta 1967, 147, 289);ポリアニオン物質(Conrow, R. B. et al. J. Med. Chem. 1980, 23, 242);スルホニルフルオリド(Hansch, C.; Yoshimoto, M. J. Med. Chem. 1974, 17, 1160、これらの文献を本明細書に引用する);ポリヌクレオチド(DeClercq, P. F. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 1975, 67, 255);ピマル酸(Glovsky, M. M. et al. J. Immunol. 1969, 102, 1);ポルフィン(Lapidus, M. and Tomasco, J. Immunopharmacol. 1981, 3, 137);いくつかの抗炎症剤(Burge, J. J. et al. J. Immunol. 1978, 120, 1625);フェノール(Muller-Eberhard, H. J. 1978, in Molecular Basis of Biological Degradative Processes, Berlin, R. D. et al., eds. Academic Press, New York, p. 65);およびベンズアミジン(Vogt, W. et al Immunology 1979, 36, 138)を含む。これらのいくつかの薬剤はプロテアーゼおよびエステラーゼの一般的な阻害により機能する。他のものは補体経路におけるいずれかの特定の中間段階に特異的ではなく、むしろ、2つ以上の補体活性化を阻害する。後者の化合物の例はC1、C4およびC5利用をブロックするベンズアミジンを含む(例えば、Vogt et al. Immunol. 1979, 36, 138、参照)。
補体成分の活性を阻害することができる当分野で既知のさらなる薬剤はスタキボトリスからの真菌代謝物であるK−76を含む(Corey et al., J. Amer. Chem. Soc. 104: 5551, 1982)。K−76およびK−76 COOHは両方とも、主にC5段階における補体を阻害する(Hong et al., J. Immunol. 122: 2418, 1979; Miyazaki et al., Microbiol. Immunol. 24: 1091, 1980)、および、正常ヒト補体からの化学走化性因子の生成を防止する(Bumpers et al., Lab. Clinc. Med. 102: 421, 1983)ことが見出されている。高濃度のK−76またはK−76 COOHにおいて、C2、C3、C6、C7およびC9とそれぞれの前中間物質のいくつかの反応の阻害が示されている。K−76またはK−76 COOHは、また、補体のC3bインアクチベーター系を阻害することが報告されている(Hong et al., J. Immunol. 127: 104-108, 1981)。本発明の方法を実施するための他の適当な薬剤はグリセオフルビン(Weinberg, in Principles of Medicinal Chemistry, 2d Ed., Foye, W. O., ed., Lea & Febiger, Philadelphia, Pa., p. 813, 1981)、イソパナリン(isopannarin)(Djura et al., Aust. J. Chem.36: 1057, 1983)およびSiphonodictyon coralli-phagumの代謝物(Sullivan et al., Tetrahedron 37: 979, 1981)を含む。
組合せ治療レジメンは相加的であるか、あるいは相乗的な結果(例えば、2つの薬剤の組合せ使用に対して予期される以上の補体経路活性における減少)を引き起こし得る。いくつかの局面において、C3b結合分子および抗血管形成剤、例えば、抗VEGFとの組合せ治療は相乗的結果(例えば、C3b生物活性における相乗的減少)を引き起こす。
また、本発明の組成物および使用するための指示書からなるキットは本発明の範囲内にある。該キットはさらに少なくとも1つのさらなる試薬または1つ以上のさらなる本発明の抗体(例えば、第一の抗体と異なるC3bネオエピトープに結合する相補的活性を有する抗体)を含み得る。一般的に、キットはキットの内容の意図した使用を示したラベルを含む。ラベルなる用語は、キット上またはキットとともに供給されるか、他の方法でキットに付随する書類、または記録材料を含む。
本発明は完全に記載されており、以下の実施例および特許請求の範囲によりさらに説明されるが、これらは説明のためであり、さらなる限定を意図しない。当業者は慣用の実験、本明細書に記載されている特定の手順に対する多くの等価なもののみを使用して確認するか、または確かめることができる。このような等価なものは本発明の範囲および特許請求の範囲内である。本出願に引用されている発行特許および公開特許出願を含む全ての刊行物の内容は出典明示により本明細書に包含される。
実施例
実施例A ファージディスプレイによるヒト抗体の作製
C3bに対する抗体の作製のために、MorphoSys HuCAL GOLD(登録商標)ファージディスプレイライブラリーによる選択を実施する。HuCAL GOLD(登録商標)は、全6個のCDRが多様であるHuCAL(登録商標)概念に基づくFabライブラリーであり、Fabフラグメントをファージ表面に結合させるためにCysDisplayTM技術を使用する(Knappik et al., 2000 J.Mol. Biol. 296:57-86; Krebs et al., 2001 J Immunol. Methods 254:67-84; Rauchenberger et al., 2003 J Biol Chem. 278(40):38194-38205; WO 01/05950, Loehning, 2001)。
ファージミドレスキュー、ファージ増幅および精製
HuCAL GOLD(登録商標)ライブラリーを34μg/mlのクロラムフェニコールおよび1%のグルコース(2×YT−CG)を含む2×YT培地中にて増幅させる。0.5のOD600nmにてVCSM13ヘルパーファージの感染後(37℃30分、振とうなし;250rpmにて37℃30分、振とう)、細胞をスピンダウンし(4120g;5分;4℃)、2×YT/34μg/mlのクロラムフェニコール/50μg/mlのカナマイシン/0.25mMのIPTGに再懸濁し、22℃にて一晩増殖させる。ファージを上清から2回PEG沈殿し、PBS/20%のグリセロールに再懸濁し、−80℃にて保存する。
2回のパニングラウンド間のファージ増幅を下記のとおりに実施する:対数期の大腸菌TG1細胞を溶出ファージに感染させ、LB−寒天を補った1%のグルコースおよび34μg/mlのクロラムフェニコール(LB−CGプレート)に置く。30℃にて一晩インキュベーション後、TG1コロニーを寒天プレートから掻き取り、0.5のOD600nmに達するまで2×YT−CGを植菌するために使用し、VCSM13ヘルパーファージを上記のとおりに感染のために加える。
HuCAL GOLD(登録商標)によるパニング
C3bネオエピトープを認識する抗体の選択のために、2つの異なるパニング戦略を適用する。要約すると、HuCAL GOLD(登録商標)ファージ抗体を、VHマスター遺伝子の異なる組合せを含む4つのプールに分類する(プール1:VH1/5λκ、プール2:VH3λκ、プール3:VH2/4/6λκ、プール4:VH1−6λκ)。これらのプールを、sulfolinkアガロースビーズに直接結合したヒトC3b上およびスルフヒドリル結合プレートに直接被覆したC3b上の両方において、個々に3回、固相パニングに付し、さらに、ビオチン化C3b抗原上において、3回溶液パニングに付す。
1回目のパニング変形はC3bネオエピトープに対する固相パニングであり:スルフヒドリル−Bindプレート(Corning)上の2つのウェルを300μlの5μg/mlのC3b−それぞれ4℃でo/nにて被覆する。被覆ウェルを350μlのPBSにて2回洗浄し、マイクロタイタープレート振とう機において室温にて2時間、350μlの5%のMPBSでブロックする。それぞれのパニングのために、約1013のHuCAL GOLD(登録商標)ファージ抗体を室温にて2時間、等しい量のPBST/5%のMPにてブロックする。ブロッキング後、被覆ウェルを350μlのPBSにて2回洗浄する。300μlのあらかじめブロックしたHuCAL GOLD(登録商標)ファージ−抗体をそれぞれの被覆ウェルに加え、振とう機において室温にて2時間インキュベートする。洗浄は350μlのPBS/0.05%のTweenを5回加え、次にPBSにてさらに4回洗浄することにより実施する。プレートからのファージの溶出をウェルあたり10mMのトリス/HCl pH8中の300μlの20mMのDTTにて10分間実施する。DTTファージ溶出物を14mlの大腸菌TG1に加え、これを2×YT培地中で37℃にて0.6−0.8のOD600に増殖させ、ファージ感染のための振とうなしに37℃で45分間、50mlプラスチックチューブにおいてインキュベートする。5000rpmにて10分間遠心分離後、細菌ペレットを500μlの2×YT培地にそれぞれ再懸濁し、2×YT−CG寒天プレートに置き、30℃にて一晩インキュベートする。次にコロニーをプレートから掻き取り、上記のとおりファージをレスキューおよび増殖させた。直接被覆したC3b抗原上における2回目および3回目の固相パニングを1回目のプロトコールにしたがって実施するが、洗浄工程のストリンジェンシーは高める。
2回目のパニング変形はビオチン化ヒトC3b抗原に対する溶液パニングであり:溶液パニングのために、Dynaビーズ M−280(Dynal)に結合したビオチン化C3b抗原を使用して、下記のプロトコールを適用する:1.5mlエッペンドルフチューブをPBSにおいて1:1希釈した1.5mlの2×Chemiblockerにて4℃で一晩ブロックする。200μlのストレプトアビジン被覆磁気Dynaビーズ M−280(Dynal)を200μlのPBSにて1回洗浄し、200μlの1×Chemiblocker(1×PBSにて希釈した)に再懸濁する。ビーズのブロッキングをあらかじめブロックしたチューブにて4℃で一晩実施する。それぞれのパニングに対して500μlのPBSにおいて希釈したファージを500μlの2×Chemiblocker/0.1%のTweenと室温にて1時間で混合する(ローター)。ファージのプレ吸着を2回実施する:50μlのブロック化ストレプトアビジン磁気ビーズをブロック化ファージに加え、室温にて30分間ローターでインキュベートする。磁気デバイス(Dynal MPC−E)によるビーズの分離後、ファージ上清(〜1ml)を新しいブロック化チューブに移し、プレ吸着を50μlのブロックビーズにて30分間繰り返した。次に、200nMのビオチン化C3bを新しいブロック化1.5mlチューブ中のブロック化ファージに加え、室温にて1時間ローターでインキュベートする。100μlのブロック化ストレプトアビジン磁気ビーズをそれぞれのパニングファージプールに加え、室温にて10分間ローターでインキュベートする。ビオチン化C3bに結合したファージを磁気ビーズに固定し、磁気粒子分離機(Dynal MPC−E)にて回収する。次にビーズをローターを使用してPBS/0.05%のTweenにて7回洗浄し、次にPBSにてさらに3回洗浄する。Dynabeadからのファージの溶出は10mMのTris/HCl pH8中の300μlの20mMのDTTをそれぞれのチューブに10分加えることにより実施する。Dynabeadを磁気粒子分離機により除去し、上清を0.6−0.8のOD600nmまで増殖させた14mlの大腸菌 TG−1培養物に加える。次にビーズを200μlのPBSにて1回、さらに除去されたファージと共に洗浄し、PBSを14mlの大腸菌 TG−1培養物に加える。ファージ感染のために、培養物を37℃にて45分振とうなしに50mlプラスチックチューブにおいてインキュベートする。5000rpmにて10分遠心分離後、細菌ペレットを500μlの2×YT培地にそれぞれ再懸濁し、2×YT−CG寒天プレートに置き、30℃にて一晩インキュベートする。次にコロニーをプレートから掻き取り、上記のとおりファージをレスキューおよび増幅させた。
ビオチン化C3b抗原上の2回目および3回目の溶液パニングを1回目のプロトコールにしたがって実施するが、洗浄工程のストリンジェンシーは高める。
可溶性Fabフラグメントのサブクローニングおよび発現
選択されたHuCAL GOLD(登録商標)ファージミドのFabコード挿入物を発現ベクターpMORPH(登録商標)X9_Fab_FHにサブクローニングし、迅速なおよび効率のよい可溶性Fabの発現を促進する。この目的のために、選択されたクローンのプラスミドDNAをXbaIおよびEcoRIにて消化し、それによってFabコード挿入物(ompA−VLCLおよびphoA−Fd)を取り出し、XbaI/EcoRI−消化発現ベクターpMORPH(登録商標)X9_Fab_FHにクローニングする。このベクターから発現されるFabは検出および精製両方のために2つのC−末端タグ(FLAGTMおよび6×His、各々)を有する。
大腸菌におけるHuCAL GOLD(登録商標)Fab抗体のマイクロ発現
pMORPH(登録商標)X9_Fab_FH発現ベクターへ選択されたFabのサブクローニング後に得られたクロラムフェニコール耐性単一コロニーをウェルあたり100μlの2×YT−CG培地を含む滅菌96ウェルマイクロタイタープレートのウェルに播種するために使用し、37℃にて一晩増殖させる。5μlのそれぞれの大腸菌TG−1培養物をウェルあたり34μg/mlのクロラムフェニコールおよび0.1%のグルコースを補った100μlの2×YT培地にてあらかじめ満たした新鮮な滅菌96ウェルマイクロタイタープレートに移す。マイクロタイタープレートを培養物が〜0.5のOD600nmを有し、わずかに混濁するまで(〜2−4時間)、マイクロプレート振とう機において400rpmにて振とうして30℃にてインキュベートする。
これらの発現プレートに、34μg/mlのクロラムフェニコールおよび3mMのIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を補った20μlの2×YT培地をウェルごとに加え(最終濃度0.5mMのIPTG)、マイクロタイタープレートをガス透過性テープにて密閉し、プレートを400rpmにて振とうして30℃にて一晩インキュベートする。
全細胞溶解物(BEL抽出物)の生産:発現プレートのそれぞれのウェルに、40μlのBELバッファー(2×BBS/EDTA:24.7g/lのホウ酸、18.7gのNaCl/l、1.49gのEDTA/l、pH8.0)を2.5mg/mlのリゾチームを含むように加え、マイクロタイタープレート振とう機(400rpm)において22℃にて1時間インキュベートする。BEL抽出物をELISAまたはBioVeris M−series(登録商標)384分析器による結合アッセイのために使用する。
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)技術
PBS中の5μg/mlのヒト組換えC3b抗原を384ウェルMaxisorpプレート(Nunc−Immunoplate)上に4℃にて一晩で被覆する。被覆後、ウェルをPBS/0.05%Tween(PBS−T)にて1回およびPBSにて2回洗浄する。次にウェルを2%のBSAを有するPBS−Tで室温にて2時間ブロックする。同時に、15μlのBEL抽出物および2%のBSAを有する15μlのPBS−Tを室温にて2時間インキュベートする。ブロック化MaxisorpプレートをPBS−Tにて3回洗浄し、10μlのブロック化BEL抽出物をウェルに加え、室温にて1時間インキュベートする。一次Fab抗体の検出のために、下記の二次抗体を適用する:アルカリホスファターゼ(AP)−結合AffiniPure F(ab’)フラグメント、ヤギ抗ヒト、−抗マウスもしくは−抗ヒツジIgG(Jackson Immuno Research)。AP結合体の検出のために、AttoPhos(Roche)のような蛍光基質を製造者の指示にしたがって使用する。すべてのインキュベーション工程間、マイクロタイタープレートのウェルをPBS−Tにて3回、二次抗体との最終インキュベーション後に3回洗浄する。蛍光はTECAN Spectrafluorプレートリーダーにおいて測定することができる。
大腸菌におけるHuCAL GOLD(登録商標)Fab抗体の発現および精製
TG−1細胞におけるpMORPH(登録商標)X9_Fab_FHによってコードされるFabフラグメントの発現を34μg/mlのクロラムフェニコールを補った750mlの2×YT培地を使用して振とう機フラスコ培養において実施する。培養物をOD600nmが0.5に達するまで30℃にて振とうする。発現を30℃にて20時間、0.75mMのIPTGの添加により誘導する。細胞をリゾチームを使用して破壊し、FabフラグメントをNi−NTAクロマトグラフィー(Qiagen, Hilden, Germany)により単離する。タンパク質濃度をUV−分光光度法(Krebs et al. J Immunol Methods 254, 67-84 (2001))により測定することができる。
実施例B LCDR3およびHCDR2カセットの平行交換により選択された抗C3bネオエピトープFabの親和性成熟
親和性成熟のためのFabライブラリーの生成
同定された抗C3b抗体の親和性および阻害活性を増加するために、Fabクローンを親和性成熟に付す。この目的のために、CDR領域をトリヌクレオチド特異的変異を使用してカセット変異により最適化する(Virnekas et al. Nucleic Acids Res 22, 5600-5607, 1994)。
以下のパラグラフは成熟ライブラリーのクローニングおよびFab最適化のために使用することができるプロトコールを簡潔に記載している。発現ベクターpMORPH(登録商標)X9_Fab_FHからのFabフラグメントをファージミドベクターpMORPH(登録商標)25にクローニングする(米国特許第6,753,136号)。2つの異なる戦略を平行に適用して、親Fabの親和性および有効性の両方を最適化する。
ファージ抗体Fabライブラリーは、6つの選択された成熟候補物(“親”クローン)のLCDR3は個々の軽鎖CDR3配列のレパートリーにより置き換えられて製造される。平行して、それぞれの親クローンのHCDR2領域は個々の重鎖CDR2配列のレパートリーにより置き換える。親和性成熟ライブラリーは標準クローニング方法および種々のクローンのエレクトロコンピテント大腸菌TOP10F細胞(Invitrogen)への形質転換により製造される。Fab存在ファージは実施例1において記載されているとおりに製造される。それぞれのライブラリーに対応する成熟プールは次の選択プロセス中に構築し、別々に保持する。
成熟パニング戦略
4つの抗体プールを使用するパニングをそれぞれ上記のとおりに溶液中のC3bについて3ラウンド行う。ビオチン化C3bに対して溶液パニングにおいて実施する。選択ストリンジェンシーは、パニングラウンドからパニングラウンドへのビオチン化抗原の減少、洗浄工程の延長およびオフ速度(off-rate)選択のための非ビオチン化抗原の添加により増加される。
細菌溶解物におけるC3b結合Fabの検出のための電気化学ルミネセンス(BioVeris)ベース結合分析
大腸菌溶解物(BEL抽出物)における最適化されたFab抗体のC3bへの結合をBioVeris M−SERIES(登録商標)384分析器(BioVeris, Europe, Witney, Oxforfshire, UK)にて分析する。BEL抽出物をBioVerisスクリーニングにおいて使用するためにアッセイバッファー(PBS/0.05%Tween20/0.5%BSA)に希釈する。ビオチン化C3bをストレプトアビジン被覆常磁性ビーズに結合させ、抗ヒト(Fab)’(Dianova)をBV−tagTM(BioVeris Europe, Witney, Oxfordshire, UK)を使用してルテニウム標識した。この二次抗体を、BioVeris M−SERIES(登録商標)384分析器における測定前に、C3b結合ビーズに加える。BioVerisスクリーニングからのヒット物の配列分析をFabクローンを同定するために実施する。選択されたFab抗体をIgG1フォーマットにサブクローニングする。
溶液平衡滴定(SET)を使用するピコモル親和性の測定
測定のために、Fabのモノマー画分(分析SECにより分析された少なくとも90%モノマー含有;Superdex75, Amersham Pharmacia)を使用する。溶液における電気化学発光(ECL)ベース親和性測定およびデータ評価は本質的にHaenel et al., 2005に記載されているとおりに実施することができる。一定量のFabを溶液の異なる濃度(連続3回希釈)のC3bにて平衡にする。常磁性ビーズ(M-280 Streptavidin, Dynal)に結合したビオチン化C3bおよびBV−tagTM(BioVeris Europe, Witney, Oxfordshire, UK)標識抗ヒト(Fab)’(Dianova)を加え、混合物を30分インキュベートする。次に、非結合Fabの濃度をM−SERIES(登録商標)384分析器(BioVeris Europe)を使用してECL検出を介して定量する。
溶液中の他の種(例えば、チンパンジーまたはカニクイザル)のC3bに対する親和性測定をヒトC3bをチンパンジーまたはカニクイザルC3bと置き換えて、上記の実質的にとおりに行う。遊離Fabの検出のために、常磁性ビーズに結合したビオチン化C3bを使用する。親和性をHaenel et al. (2005 Anal Biochem 339, 182-184)にしたがって計算する。
実施例C 溶血アッセイによる補体タンパク質の検出
房水および硝子体の試料は加齢黄斑変性症を有する患者から得られる。患者は基礎疾患に対して外科手術を受け、試料は眼内外科手術の開始時に得られる。サンプル(100−200μlの房水および200から300μlの硝子体)を不希釈で得て、即座に使用するか、または−80℃にて保存する。
房水および硝子体サンプルは正常ヒト患者から得られ、正常ヒト血清と37℃にて2時間インキュベートする。混合物を、標準CH50およびAH50溶血アッセイを使用して、古典的および副補体経路の阻害に対してアッセイする。これらのアッセイにおいて、正常ヒト血清は正常健康対象から得られ、補体の源として使用し、−80℃にてアリコートにおいて保存する。正常ヒト血清は、また、当分野において慣用に使用されるマイクロ遠心分離およびゲル濾過カラム後に得られる画分にて処理される。房水および硝子体における全補体活性も測定する。
CH50アッセイ
CH50アッセイはKabat, EA. et al Experimental Immunochemistry 1961. pp. 133-239に記載されている。正常ヒト血清を補体の源として使用し、−80℃にてアリコートにおいて保存する。また、房水および硝子体単独における全補体活性を、標的細胞としてヒツジ赤血球(SRBC)(他の種からの赤血球、例えば、ニワトリ赤血球を使用することができる)を利用して、決定した。懸濁液含有SRBC/mlをGVB2+バッファー(Ca2+およびMg2+を有するゼラチン/ベロナール緩衝塩水)、pH7.35において製造する。溶血素(ウサギ抗ヒツジ抗血清)をSRBCを感受性にするために最適希釈を測定するために滴定する。希釈された溶血素を等量のSRBCと混合し、全体を37℃にて15分インキュベートする。これは抗体被覆赤血球(EA)となる。EAを正常ヒト血清の連続2倍希釈物または正常ヒト血清および試験サンプルの混合物の同様の希釈物と37℃にて1時間インキュベートする。試験サンプルは非分画房水/硝子体、濾液および保存物(マイクロ濃縮後に得られた、サイズ排除カラム後に得られた)として定義される。GVB2+バッファーとインキュベートした正常ヒト血清をコントロールとして使用する。バックグラウンドコントロールをEAをバッファー単独(血清を加えていない)とインキュベートすることにより得、全溶解物(100%溶血)を蒸留水をEAに加えることにより測定する。反応を1.2mlの氷冷0.15MのNaClを使用して停止し、混合物を回転させ、非溶解細胞をペレットにし、上清の光学濃度を分光光度法にて測定する(412nm)。溶血のパーセントを100%溶解コントロールと比較して決定する。
補体活性をアッセイ混合物中の50%の細胞を溶解するために必要な血清希釈物を測定ことにより定量する。この結果は、血清の希釈率の逆数として、CH50単位/mlで示される。
AH50アッセイ
AH50アッセイを副経路の活性化によりヒト血清によって非感作ウサギ赤血球(Erab)の溶解に依存するKabat, et alに記載されている標準方法を使用して実施する。カルシウム依存古典的経路の活性化をアッセイバッファーへのカルシウムキレート剤エチレングリコールテトラ酢酸(EGTA)の添加により防止し、両方の経路のために必要であるマグネシウムをバッファーに加える。ウサギRBCの細胞懸濁液をGVB−Mg2+−EGTAバッファーにおいて製造する。正常ヒト血清の連続1.5倍希釈物または正常ヒト血清および試験サンプルの混合物の同様の希釈物をGVB−Mg2+−EGTAバッファーにおいて製造し、100μlのそれぞれの血清希釈物を50μlの標準化Erabに加える。GVB−Mg2+−EGTAバッファーにてインキュベートされた正常ヒト血清をコントロールとして使用する。次に混合物を、懸濁液中に細胞を維持するために、振とう水浴中において60分37℃にてインキュベートし、1.2mlの氷冷NaCl(0.15M)を使用して、反応を停止する。チューブを1250gで4℃にて10分回転させ、細胞をペレットにし、上清の光学濃度を分光光度法にて測定する(412nm)。全溶解コントロールチューブにおいて、100μlの蒸留水を50μlのErab懸濁液に加え、溶血のパーセントを100%溶解コントロールと比較して決定する。補体活性をアッセイ混合物中の50%の細胞を溶解するために必要な血清希釈物を測定ことにより定量する。この結果は、血清の希釈率の逆数として、AH50単位/mlで示される。

Claims (33)

  1. C3bネオエピトープに結合する抗原結合部分を含む単離された結合分子。
  2. 特異的にC3bエピトープに結合する抗原結合部分を含む単離されたC3b結合分子であって、抗原結合部分が以下のうちの1つに含まれるか、または以下のうちの1つと重複しているヒトC3bのエピトープに結合するものであるC3b結合分子:
    (a)配列番号:1のアミノ酸GEDTVQSLTQG;
    (b)配列番号:2のアミノ酸DEDIIAEENIVSRSEF;
    (c)配列番号:3のアミノ酸IRMNKTVAVRT;
    (d)配列番号:4のアミノ酸SDQVPDTESET;
    (e)配列番号:5のアミノ酸VAQMTED;
    (f)配列番号:6のアミノ酸FVKRAP;
    (g)配列番号:7のアミノ酸KDKNRWEDPGKQLYN;
    (h)配列番号:8のアミノ酸CTRYRGDQDATMS;または
    (i)配列番号:9のアミノ酸GFAPDTDDLKQLANGV。
  3. 抗原結合部分が非ヒト霊長類のC3b抗原と交差反応する、請求項1または2に記載のC3b結合分子。
  4. 抗原結合部分が齧歯動物種のC3b抗原と交差反応する、請求項1−3のいずれかに記載のC3b結合分子。
  5. 抗原結合部分が直鎖エピトープに結合する、請求項1−4のいずれかに記載のC3b結合分子。
  6. 抗原結合部分が非直鎖エピトープに結合する、請求項1−4のいずれかに記載のC3b結合分子。
  7. 抗原結合部分が1nM以下のKにてヒトC3b抗原に結合する、請求項1−6のいずれかに記載のC3b結合分子。
  8. 抗原結合部分が5nM以下のKにて非ヒト霊長類のC3b抗原に結合する、請求項1−6のいずれかに記載のC3b結合分子。
  9. 抗原結合部分がヒト抗体の抗原結合部分である、請求項1−8のいずれかに記載のC3b結合分子。
  10. 抗体がヒトまたはヒト化抗体である、請求項1に記載のC3b結合分子。
  11. 抗原結合部分がモノクローナル抗体の抗原結合部分である、請求項1−10のいずれかに記載のC3b結合分子。
  12. 抗原結合部分がポリクローナル抗体の抗原結合部分である、請求項1に記載のC3b結合分子。
  13. C3b結合分子がキメラ抗体である、請求項1に記載のC3b結合分子。
  14. C3b結合分子が抗体のFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)またはFvフラグメントを含む、請求項1に記載のC3b結合分子。
  15. C3b結合分子が一本鎖Fvを含む、請求項1に記載のC3b結合分子。
  16. C3b結合分子がダイアボディを含む、請求項1または2に記載のC3b結合分子。
  17. 抗原結合部分が下記アイソタイプのいずれか:IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の抗体由来である、請求項1−16のいずれかに記載のC3b結合分子。
  18. 抗原結合部分が下記アイソタイプのいずれか:IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の抗体由来であり、Fc配列が通常配列と比較してエフェクター機能を調節するか、またはFc受容体への結合を改変するために改変された、請求項1−17のいずれかに記載のC3b結合分子。
  19. Fc配列がアミノ酸残基234または235にて改変された、請求項18に記載のC3b結合分子。
  20. C3b結合分子が細胞におけるMAC生産を阻害する、上記いずれかの請求項に記載のC3b結合分子。
  21. C3b結合分子が転換酵素へのC3b結合を阻害する、上記いずれかの請求項に記載のC3b結合分子。
  22. C3b結合分子がC3またはC5転換酵素へのC3結合を阻害する、請求項21に記載のC3b結合分子。
  23. C3b結合分子がC3またはC5転換酵素のタンパク質分解活性を阻害する、請求項1−22のいずれかに記載のC3b結合分子。
  24. C3b結合分子が、C3b抗原が存在する条件下にて細胞またはプロパージンと接触させたとき、C3b結合分子の非存在下における阻害と比較して、細胞または表面における:(i)C3またはC5転換酵素;または(ii)C5aまたはMAC;または(iii)C3aまたはiC3bまたはC3bの生成を減少させる、請求項1−23のいずれかに記載のC3b結合分子。
  25. 上記いずれかの請求項に記載のC3b結合分子を含む医薬組成物。
  26. (細胞)におけるMAC合成を阻害する方法であって、細胞またはプロパージンをC3b結合分子と接触させることを含む方法。
  27. 表1から選択されるアミノ酸と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列からなるペプチド。
  28. 対象におけるC3b活性を調節する方法であって、補体系が介在する細胞活性を調節するC3b結合分子を対象に投与することを含む方法。
  29. 有効量の請求項25の組成物を対象に投与することを含む、処置を必要とする対象における眼疾患を処置する方法。
  30. 対象のMACレベルを組成物の投与前の対象におけるMACレベルと比較して少なくとも5%減少させる、請求項28に記載の方法。
  31. 対象が第2の薬剤における治療も受けている、請求項28に記載の方法。
  32. 対象がAMDを有するか、または、AMDの危険性がある、請求項28に記載の方法。
  33. 対象が乾燥型AMDを示すか、または湿潤型AMDの危険性がある、請求項32に記載の方法。
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