JP2011501156A - 2進および10進の出力を有する絶対位置用磁気エンコーダ - Google Patents
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Abstract
絶対位置用磁気エンコーダは、2進出力に対して構成された第1磁気トラックと、10進出力に対して構成された第2磁気トラックと、上記第1磁気トラックの近傍に位置されて、該第1磁気トラックの磁界を検出する第1磁気センサと、上記第2磁気トラックの近傍に位置されて、該第2磁気トラックの磁界を検出する第2磁気センサとを含む。上記エンコーダは上記2進出力および上記10進出力の内の一方を提供すべく選択的に動作可能である。
【選択図】 図1
【選択図】 図1
Description
関連出願
本出願は、2007年10月22日に出願された米国仮特許出願第60/981,600号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は言及したことにより本明細書中に援用される。
本発明は概略的に、磁極を有する目標物の絶対位置を決定するための磁気センサの使用法に関する。
本出願は、2007年10月22日に出願された米国仮特許出願第60/981,600号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は言及したことにより本明細書中に援用される。
本発明は概略的に、磁極を有する目標物の絶対位置を決定するための磁気センサの使用法に関する。
磁気エンコーダは典型的に、移動物体の位置もしくは移動が機械的システムにおいて制御され得る様に、上記機械的システムにおける上記物体の位置を決定すべく利用される。磁気エンコーダは典型的に、移動物体上に取付けられた目標物であって二重の多重極式磁気トラックを含むという目標物と、夫々の磁気トラックの各磁極の近傍に載置された磁気センサ(たとえばホール効果デバイスの列など)とを含む。夫々の磁気トラックの磁極間隔は典型的に異なることから、夫々のトラック上で上記磁気センサにより検出される信号中には位相差が誘起される。その場合、各磁気センサの夫々の信号間における位相差は、任意の所定時点において、上記目標物の位置、故に可動物体の位置を決定すべく利用される。換言すると、各磁気トラックの一方の(すなわち“測定対象トラック”)の位置は、該測定対象トラックに対する磁気センサにより出力された信号を、他方のトラック(すなわち“基準トラック”)に対する磁気センサにより出力された信号と比較することにより決定され得る。
磁気エンコーダが利用される制御システムに依存し、該エンコーダによる10進出力もしくは2進出力が所望され得る。10進出力が望まれる如き場合、磁気エンコーダは、特定個数のN/S極対(以下、「磁極対」)を有する測定対象トラックと、特定の分解能(すなわち、磁極対毎の「カウント」もしくは「エッジ」)を有する磁気センサとにより構成されることで、測定対象トラックの回転毎のカウントもしくはエッジの総数であって、10、100などで割り切れるという総数がもたらされることで、回転毎の整数のカウント数がもたらされ得る。たとえば、磁気エンコーダが10進出力に対して構成されたときには、多くの場合、測定対象トラックの1,000カウント/回転の分解能が所望される。斯かる分解能は、25個の磁極対の測定対象トラックを有する目標物と、24個の磁極対の基準トラックと、160カウント/磁極対の分解能を有する磁気センサとを配備することにより達成され得る(すなわち、25磁極対×160カウント/磁極対=測定対象トラックの回転毎の4,000個の合計カウント;次に、4で除算することにより、測定対象トラックの1,000カウント/回転の所望分解能が達成される)。
2進出力が所望される如き場合、磁気エンコーダは、特定個数の磁極対を有する測定対象トラックと、特定の分解能を有する磁気センサとにより構成されることで、測定対象トラックの回転毎のカウントもしくはエッジの総数であって、2の因数であるという総数がもたらされることで、回転毎の2進数のカウント数がもたらされ得る。たとえば、磁気エンコーダが2進出力に対して構成されたときには、多くの場合、測定対象トラックの1,024カウント/回転の分解能が所望される。斯かる分解能は、32個の磁極対の測定対象トラックを有する目標物と、31個の磁極対の基準トラックと、磁極対毎に128カウントの分解能を有する磁気センサとを配備することにより達成され得る(すなわち、32磁極対×128カウント/磁極対=測定対象トラックの回転毎の4,096個の合計カウント;次に、4で除算することにより、測定対象トラックの1,024カウント/回転の所望分解能が達成される)。
なし
しかし、習用の磁気エンコーダを10進出力から2進出力へと再構成するために、目標物は、10進出力を促進する特定個数の磁極対(たとえば25個の磁極対)を有する測定対象トラックを、2進出力を促進する特定個数の磁極対(たとえば32個の磁極対)を有する測定対象トラックと置き換えるべく変更されねばならない。また各磁気センサもまた、10進出力もしくは2進出力を促進する分解能を提供すべく再構成され、または、置換されねばならない。
本発明はひとつの見地において、目標物、または、測定対象トラックもしくは基準トラックのいずれかの変更もしくは置き換えなしで、10進出力および2進出力を行い得る絶対位置用磁気エンコーダを提供する。上記絶対位置用磁気エンコーダは、2進出力に対して構成された第1磁気トラックと、10進出力に対して構成された第2磁気トラックと、上記第1および第2磁気トラックの近傍に配置されて該第1および第2磁気トラックの磁界を検出する夫々の磁気センサとを含む。上記絶対位置用磁気エンコーダはまた、単一個のN/S磁極対を含む第3磁気トラック、および、上記第3磁気トラックの近傍に位置されて、該第3磁気トラックの磁界を検出する複数個のホール効果デバイスも含む。上記エンコーダは、上記2進出力および上記10進出力の内の一方を提供すべく選択的に動作可能である。
別の見地において本発明は、エンコーダの絶対位置を算出する方法であって、2進出力に対して構成された第1磁気トラックを配備する段階と、10進出力に対して構成された第2磁気トラックを配備する段階と、上記第1磁気トラックから第1カウント値を検出する段階と、上記第1カウント値と実質的に同時に、上記第2磁気トラックから第2カウント値を検出する段階と、上記第1および第2カウント値を用いて、上記エンコーダの上記絶対位置を表す第3カウント値を算出する段階とを含む方法を提供する。上記第3カウント値は、上記2進出力および上記10進出力の一方の提供を促進する。
本発明の他の特徴および見地は、以下の詳細な説明および添付図面を考慮することにより明らかとなろう。
本発明の一切の実施例が詳細に説明される前に、本発明はその適用性において、以下の記述中に示された又は添付図面に示された構成要素の構成および配置の詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明は他の実施例が可能であると共に、種々の様式で実用化または実施され得る。また本明細書中で使用される表現および語句は記述を目的としており、限定的と解釈されてはならないことも理解されるべきである。本明細書中における「含む」、「から成る」または「有する」という語句およびそれらの変化形が使用されたときには、その後に列挙される項目およびその均等物ならびに付加的な項目を包含することが意味される。また、別様に特定または限定されなければ、「取付けられた」、「接続された」、「支持された」および「連結された」という語句およびその変化形は広範囲に使用されると共に、直接的および間接的な取付け、接続、支持および連結の両方を包含する。更に、「接続された」および「連結された」という語句は、物理的または機械的な接続または連結に限定されるものでない。
図1を参照すると、絶対位置用磁気エンコーダ10が概略的に示されている。エンコーダ10は、複数個のN/S磁極対18(各ボックスは単一個のN/S磁極対18を表す)を有する第1磁気トラック14と、該第1磁気トラック14の近傍に位置されると共に複数個のN/S磁極対26(各ボックスは単一個のN/S磁極対26を表す)を有する第2磁気トラック22とを含む。夫々のトラック14、22は直線状形態で概略的に示されるが、エンコーダ10は、各トラック14、22の端部が夫々接続されて2つの同心的な円を形成し、トラック22はトラック14内にもしくは該トラックの内側に位置する如く、該トラック14、22が組み付けられる目標ホィール30を含む回転エンコーダ10として構成される。結果として、トラック14、22の夫々の長さは、目標ホィール30上の該トラック14、22の異なる径方向位置の違いにより、異なる。但し、本発明のエンコーダ10は、回転エンコーダ10に関して本明細書において記述されるのと実質的に同様の構造および動作方法を取り入れた線形エンコーダとしても構成され得る。
図1を参照すると、トラック14は、上述の円形配置で構成されたときに2進出力もしくは2を基底とする出力の提供を促進する所定数の磁極対18(以下の表1を参照)を含む一方、トラック22は、上記トラック14と同心的に配置されたときに10進出力もしくは10を基礎とする出力の提供を促進する所定数の磁極対26を含む。エンコーダ10の図示された構成において、トラック14は32個の磁極対18を含み、且つ、トラック22は25個の磁極対26を含む。代替的に、エンコーダ10の他の構成は、64個の磁極対を含むトラック14、および、50個の磁極対を含むトラック22を取り入れ得る。
絶対位置用磁気エンコーダ10はまた、トラック14の近傍の磁気センサ34、および、トラック22の近傍の別の磁気センサ38も含んでいる。図示された構成において、センサ34、38の各々はホール・ストリング乗算センサを有するマイクロチップとして構成される。斯かるセンサ34、38は、オハイオ州、カントンのティムケン社(Timken Company)から部品番号MPS160として入手可能である。当業者であれば理解され得る様に、センサ34は特定分解能(すなわち、磁極対18毎の「カウント」もしくは「エッジ」)を以て構成されることで、トラック14の回転毎のカウントもしくはエッジの総数であって、2進出力の提供を促進し、または、単純な2進数(すなわち“2”の整数乗)へ変換されるに適するという総数をもたらし得る。図示された構成においては、トラック14に対して32個の磁極対18を配備すると共に、磁気センサ34を128カウント/磁極対を以て構成することにより(すなわち、32個の磁極対×128カウント/磁極対=トラック14の回転毎の4,096個の合計カウント)、トラック14の1,024カウント/回転の分解能(2進数「10000000000」に等しい10進数)が達成され得る。トラック14の1,024カウント/回転の所望分解能は、トラック14の合計カウント/回転を4で除算することにより達成され得る。
同様に、当業者であれば、センサ38は特定分解能(すなわち、磁極対26毎のカウントもしくはエッジ)を以て構成されることで、トラック22の回転毎のカウントもしくはエッジの総数であって、「10」の整数乗であるという総数をもたらし得ることを理解すべきである。図示された構成においては、トラック22に25個の磁極対26を配備すると共に、磁気センサ38を160カウント/磁極対の分解能で構成することにより(すなわち、25個の磁極対×160カウント/磁極対=トラック22の回転毎の4,000個の合計カウント)、トラック22の1,000カウント/回転(すなわち103)の分解能が達成され得る。トラック22の1,000カウント/回転の所望分解能は、トラック22の合計カウント/回転を4で除算することにより達成され得る。センサ34、38は構造的に類似し得るが、センサ34、38の各々上にDIPスィッチが取付けられることで、センサ38は10進出力(1,000カウント/回転)を促進する分解能へと切替えられ得ると共に、センサ34は2進出力(1,024カウント/回転)を促進する分解能へと切替えられ得る。代替的に、センサ34、38の各々は、ヒューズもしくはメモリ要素の形態の内部スィッチを用いて10進出力もしくは2進出力に対してプログラムされ得る。
依然として図1を参照すると、絶対位置用磁気エンコーダ10は、トラック14、22と同心的な第3磁気トラック42であって、夫々のトラック14、22が上記で論じられた如く円形配置されたときにトラック22の内側に配設されるというトラック42を更に含む。トラック42は、該トラック42の約180°がN極から成り且つ該トラック42の約180°がS極から成る如く、単一個の磁極対46を含む。絶対位置用磁気エンコーダ10はまた、トラック42により発せられた磁界を検出すべく該トラック42の近傍とされた複数個のホール効果デバイスHE1〜HE5(たとえばホール効果センサ)も含んでいる。図示された構成においては、5個のホール効果デバイスHE1〜HE5が利用される。代替的に、トラック14、22の各々における磁極対18、26の個数に依存して、異なる個数のホール効果デバイスが採用され得る。更に、ホール効果デバイスHE1〜HE5に対して、オーストリア、ウンタープレムステーテンのオーストリアミクロシステムズ社(Austriamicrosystems AG)により製造されたAS5040センサの如き回転式磁気位置センサが代用され得る。代替的に、ホール効果デバイスHE1〜HE5の代わりに、磁気抵抗センサ(すなわちMRセンサ)または他の任意の磁界センサが使用され得る。図1に示された如くホール効果デバイスHE1〜HE5は、該ホール効果デバイスHE1〜HE5の全てがトラック42の各磁極の一方の円周方向長さ内に収まり得る如く、相互から離間される。
依然として図1を参照すると、絶対位置用磁気エンコーダ10は、センサ34、38およびホール効果デバイスHE1〜HE5と通信する論理モジュール50も含んでいる。図1においては物理的な(すなわち有線の)接続が概略的に示されているが、センサ34、38およびホール効果デバイスHE1〜HE5が論理モジュール50と通信するのを許容すべく無線通信が採用され得る。
エンコーダ10の動作の間、センサ34はトラック14により発せられる磁界を検出すべく構成され、且つ、センサ38はトラック22により発せられる磁界を検出すべく構成される。トラック22はトラック14よりも少ない磁極対26を含むことから、センサ34は、センサ38により出力される信号と位相が異なる信号を出力する。詳細には、図示された構成において、トラック14、22間の7個の磁極対の差によればトラック14、22に沿い7個の間隔がもたらされ、該間隔の間において、センサ34、38により出力される夫々の信号は位相が異なる(7個の位相シフト間隔を示す図1乃至図7を参照)。(各間隔の終端に向かい僅かにオフセットされた磁極の接合部の故に)各信号は夫々の位相シフト間隔の終端に向けて厳密に同相に戻る様には見えないが、上記で論じられた如くトラック14、22を円形配置に巻回すると、各間隔の終端に向けて、更に明確に画成された位相シフト間隔と、磁極接合部の整合とが許容される。これに加えてセンサ34、38は、夫々の信号を調整することで図1乃至図7に概略的に示された位相シフト間隔よりも更に明確に画成された個別的な位相シフト間隔を提供する信号調整電子機器を含み得る。
(不図示の)コントローラもしくは他のデバイスにより促されたとき、センサ34は、該センサ34が上方に位置する任意の磁極対18のカウントに対応する値を検出する。同様に、センサ38は実質的に同時に、該センサ38が上方に位置する任意の磁極対26のカウントに対応する値を検出する。両方の「カウント」は次に、論理モジュール50に対して出力される。このプロセスの更に詳細な考察は、以下に見られる。
同様に、絶対位置用磁気エンコーダ10の動作の間、トラック42によるホール効果デバイスHE1〜HE5の起動により、センサ34、38によるカウント検出と相関され得る個別的な時間枠が生成されることで、論理モジュール50に対して出力されるカウントは、センサ34、38による検出が行われたトラック14、22の概略的箇所に関連付けられ得る。図8を参照すると、トラック42は円形配置で示され、図1に示されたトラック42の各末端は相互に対して接続される。トラック42が目標ホィール30と共に回転するときに、ホール効果デバイスHE1〜HE5は静止的であると共に、該ホール効果デバイスは、該デバイスHE1〜HE5のひとつが磁極性の変化(すなわちN/S極接合部)を検出する毎に、「on」および「off」状態の間で順次的にスィッチされまたは切替えられる。表2は、デバイスHE1〜HE5が有し得る「on」および「off」状態の組み合わせの全てを示しており、夫々の固有の組み合わせは、当該時間枠もしくは“スライス”の間においてセンサ34、38により検出されたカウントが生じたという目標ホィール30の時間枠もしくは“スライス”を示している。「1」の記述項は「on」状態に対応する一方、「0」の記述項は「off」状態に対応している。
センサ34、38がそれらの夫々のカウント値を検出するのと同時に、論理モジュール50は、その時点においてデバイスHE1〜HE5の特定の状態配列に関連付けられた位置番号を記録する。結果として、センサ34、38により検出されたカウント値は位置1、位置2などに関連付けられ得る一方、該位置番号は、トラック14における選択個数の磁極対18またはトラック22における選択個数の磁極対26に関連付けられ得る。
絶対位置エンコーダ10の第1モードの動作において、トラック22は“測定対象トラック”として機能し、且つ、トラック14は「基準トラック」として機能する。このモードにおいて、トラック22上の任意の箇所における絶対位置はトラック14に関して検出され得ると共に、トラック22の絶対位置、故に、目標ホィール30、および、該目標ホィール30が自身上に取付けられた移動物体の絶対位置の10進出力がエンコーダ10により提供され得る。このモードにおいて論理モジュール50は、160(列)×25(行)×2(レイヤ)に達する積層行列を利用することで、任意の特定時点におけるトラック22の絶対位置を算出する。
上記積層行列は、(たとえばマスタ・エンコーダ10などの)マスタ情報源から測定されて算出もしくはシミュレートされたデータを用いて、または、数個の製造エンコーダ10のサンプリングから解釈された代用データを用いて、エンコーダ10の製造の時点で論理モジュール50内へと事前実装され得る。これによりエンコーダ10は、顧客もしくはエンドユーザが各エンコーダ10を別個に較正する必要なしで、エンコーダ10の製造に使用されたプロセスの許容誤差を考慮して事前実装された積層行列を以て製造され得る。
また、目標ホィール30およびトラック22を完全に一回転させて上記行列内の各セルを、トラック14の全体に亙るセンサ34からのデータで満たすことにより、エンコーダ10が自己較正され得るか、または、上記行列が自己実装され得る。詳細には、トラック14、22の回転の開始時に、センサ34により検出された第1カウント(すなわち、トラック14の第1磁極対18の第1カウント)は、トラック22の第1磁極対26の第1カウントに対応するセル内へと入力される。次に、センサ34により検出された第2カウントがトラック22の第1磁極対26の第2カウントに対応するセル内へと入力される。トラック22の第1磁極対26の第160番目のカウントに対応するセルが、トラック14からの対応カウントにより満たされた後、上記プロセスは、トラック22の第25番目の磁極対26の第160番目のカウントに対応するセルが満たされるまで、トラック22の第2、第3、第4などの磁極対26に対して反復される。
センサ34により上記行列に対して入力されたデータの全ては、該行列の第1レイヤに入力される(表3を参照)。上記第1レイヤにおける個々のセルがトラック14からのカウント値により実装されるのと同時に、(上述の)論理モジュール50により記録された対応位置番号は、上記行列の第2レイヤにおける各対応セル内に記録される(表4を参照)。
目標ホィール30の完全な一回転の後、上記行列は、上記第1レイヤにおいてはトラック14からのカウント値により、且つ、上記第2レイヤにおいてはトラック14からのカウント値に関連付けられた位置番号により、実装される。すると、その後における任意の時点にて、トラック22の絶対位置は以下の手順を用いて決定され得る。第1に、センサ34、38は夫々のトラック14、22からのカウント値を同時に捕捉し、且つ、これらの値は論理モジュール50に対して出力される。同時に、論理モジュール50は、夫々のトラック14、22から捕捉されたカウント値に関連付けられたトラック42からの位置番号を捕捉する。論理モジュール50は次に、上記行列における特定の列であってセンサ38により検出されたのと同一のカウント値を有するという特定の列を見て、且つ、上記行列におけるその列の上記第1レイヤ中の複数のセルであって、上記行列の上記第2レイヤにおいて該論理モジュール50により捕捉された位置番号と同一の位置番号を有するという複数のセルを検索する。この一群のセルから、論理モジュール50は、トラック14から捕捉されたカウント値を、該一群のセル中に含まれる夫々の値と比較し、且つ、この群における1個のセルであって、トラック14から捕捉されたカウント値と同一であるかもしくは実質的に同一であるカウント値を含むという1個のセルを選択する。
論理モジュール50により選択された上記セルであって、トラック14から捕捉されたカウント値と同一もしくは実質的に同一であるカウント値を含むという上記セルを含む上記特定行(すなわち「第N番目の」行)は、トラック22の第N番目の磁極対26内の何処かである該トラック22の瞬間的位置を表している。次に、トラック22の絶対位置もしくは瞬間的位置は、160カウント/磁極対と、(N−1)磁極対とを乗算し、且つ、トラック22から捕捉されたカウント値を加算することで算出され得る。結果的なカウント値は、トラック22上の絶対位置を表すことから、センサ34、38がトラック14、22からカウント値を捕捉した箇所における目標ホィール30および移動物体の絶対位置を表す。たとえば、以下の表3および表4を参照すると、センサ38により捕捉されたカウントが20であり、且つ、センサ34に捕捉されたカウントが99であり、且つ、論理モジュール50により検出された位置番号が5である、という瞬間におけるトラック22の絶対位置は、(N−1)磁極対×160カウント/磁極対+20カウントとして算出される。結果的な値(すなわち“10進出力”)は、4,000個の合計カウントの内の1個のカウントであって、センサ38によりトラック22上で検出され得るという1個のカウントに相関する。
絶対位置エンコーダ10の第2モードの動作において、トラック14は“測定対象トラック”として機能し且つトラック22は「基準トラック」として機能する。このモードにおいて、トラック14上の任意の箇所における絶対位置はトラック22に関して検出され得ると共に、トラック14の絶対位置、故に、目標ホィール30、および、該目標ホィール30が自身上に取付けられた移動物体の絶対位置の2進出力がエンコーダ10により提供され得る。このモードにおいて論理モジュール50は、128(列)×32(行)×2(レイヤ)に達する積層行列を利用することで、任意の特定時点におけるトラック14の絶対位置を算出する。
先に述べられた如く、上記行列は、算出データにより、代用データを用いることにより、または、目標ホィール30およびトラック14を完全に一回転させ、トラック22上のセンサ38からのデータにより上記行列における各セルを満たすことにより、実装され得る。詳細には、トラック14、22の回転の開始時に、センサ38により検出された第1カウント(すなわち、トラック22の第1磁極対26の第1カウント)は、トラック14の第1磁極対18の第1カウントに対応するセル内へと入力される。次に、センサ38により検出された第2カウントがトラック14の第1磁極対18の第2カウントに対応するセル内へと入力される。トラック14の第1磁極対18の第128番目のカウントに対応するセルが、トラック22からの対応カウントにより満たされた後、上記プロセスは、トラック14の第32番目の磁極対18の第128番目のカウントに対応するセルが満たされるまで、トラック14の第2、第3、第4などの磁極対18に対して反復される。
センサ38により上記行列に対して入力されたデータの全ては、該行列の第1レイヤに入力される(表5を参照)。上記第1レイヤにおける個々のセルがトラック22からのカウント値により実装されるのと同時に、(上述の)論理モジュール50により記録された対応位置番号は、上記行列の第2レイヤにおける各対応セル内に記録される(表6を参照)。
目標ホィール30の完全な一回転の後、上記行列は、上記第1レイヤにおいてはトラック22からのカウント値により、且つ、上記第2レイヤにおいてはトラック22からのカウント値に関連付けられた位置番号により、実装される。すると、その後における任意の時点にて、トラック14の絶対位置は以下の手順を用いて決定され得る。第1に、センサ34、38は夫々のトラック14、22からのカウント値を同時に捕捉し、且つ、これらの値は論理モジュール50に対して出力される。同時に、論理モジュール50は、夫々のトラック14、22から捕捉されたカウント値に関連付けられたトラック42からの位置番号を捕捉する。論理モジュール50は次に、上記行列における特定の列であってセンサ34により検出されたのと同一のカウント値を有するという特定の列を見て、且つ、上記行列におけるその列の上記第1レイヤ中の複数のセルであって、上記行列の上記第2レイヤにおいて該論理モジュール50により捕捉された位置番号と同一の位置番号を有するという複数のセルを検索する。この一群のセルから、論理モジュール50は、トラック22から捕捉されたカウント値を、該一群のセル中に含まれる夫々の値と比較し、且つ、この群における1個のセルであって、トラック22から捕捉されたカウント値と同一であるかもしくは実質的に同一であるカウント値を含むという1個のセルを選択する。
論理モジュール50により選択された上記セルであって、トラック22から捕捉されたカウント値と同一もしくは実質的に同一であるカウント値を含むという上記セルを含む上記特定行(すなわち「第N番目の」行)は、トラック14の第N番目の磁極対18内の何処かである該トラック14の瞬間的位置を表している。次に、トラック14の絶対位置もしくは瞬間的位置は、128カウント/磁極対と、(N−1)磁極対とを乗算し、且つ、トラック14から捕捉されたカウント値を加算することで算出され得る。結果的なカウント値は、トラック14上の絶対位置を表すことから、センサ34、38がトラック14、22からカウント値を捕捉した箇所における目標ホィール30および移動物体の絶対位置を表す。たとえば、以下の表5および表6を参照すると、センサ34により捕捉されたカウントが31であり、且つ、センサ38に捕捉されたカウントが77であり、且つ、論理モジュール50により検出された位置番号が5である、という瞬間におけるトラック14の絶対位置は、(N−1)磁極対×128カウント/磁極対+31カウントとして算出される。結果的な値(すなわち「2進出力」)は、4,096個の合計カウントの内の1個のカウントであって、センサ34によりトラック14上で検出され得るという1個のカウントに相関する。
絶対位置エンコーダ10の第3モードの動作において、トラック14、22の各々は「測定対象トラック」および「基準トラック」として同時に機能することで、センサ34、38の各々がエンコーダ10の絶対位置の10進出力および2進出力を夫々同時に提供することが許容される。換言すると、エンコーダ10の上記第3モードの動作は、2進出力および10進出力を用いてエンコーダ10の絶対位置を記述すべく2倍の回数の計算が行われる如く、上述の第1モードおよび第2モードの動作を組み合わせる。
本発明の付加的な特徴としては、センサ34、38からのデータ速度に基づく10μs毎のトラック位置に対する更新;位置のSSIおよびSPI出力;位置出力のパルス幅変調;ユーザプログラム可能である位置の出力電圧、位置の電流レベル、または、位置のパルス幅変調;2極〜100極のモータ構成に対する0.1°より良好に正確であるプログラム可能な通信信号;任意の2進もしくは10進の分解能における直角位相の出力;DIPスィッチを以てまたはプログラミング・インタフェースにより現場設定可能なセンサ34、38;が挙げられる。
位置出力のパルス幅変調は、所定範囲(たとえば、約10%のデューティ・サイクルと約90%のデューティ・サイクルとの間)のパルス幅である位置的情報の送信を含み得る。診断情報、警報情報およびデジタル・データ情報の如き付加的な情報は、約10%のデューティ・サイクル〜約90%のデューティ・サイクルの通常的な位置の範囲外のパルス幅を生成することで送信され得る。この付加的な情報は、特定の状況が生じたとき、または、定期的に、または、外部的な要求時にのみ、送信され得る。
エンコーダ10は自然数の2進出力、10進出力、または両方を生成し得ることから、該エンコーダ10は、2進の角度的位置、10進の角度的位置、または、両方に基づく多様な信号を生成し得る。斯かる信号としては、エンコーダ10からの2進もしくは10進の角度読取値に基づく、習用のU、V、W通信信号、基準パルス、または、任意の組み合わせのデジタル出力が挙げられる。これらの信号は2進もしくは10進の読取値から導出されたエンコーダ10における算出の結果であり得るか、または、該信号は、エンコーダ10による角度読取値に基づき個々の出力ラインを投入もしくは切断する論理回路を含む検索テーブルからとされ得る。この技術は、広範囲な2極から100極以上のモータに対する通信信号、ならびに、実質的に任意の設定の分解能による直角位相もしくは2進出力を生成する上で有用であり得る。この技術によれば、エンコーダ10のトラック14、22の一回転の全体に亙り、完全にユーザ設定可能であるパルス幅変調、アナログ的な電圧もしくは電流、または、2進出力もしくは10進出力の進展が許容される。
本発明の種々の特徴は、以下の請求項に示される。
HE1〜HE5 ホール効果デバイス
10 絶対位置用磁気エンコーダ/回転エンコーダ
14 第1磁気トラック
18 N/S磁極対
22 第2磁気トラック
26 N/S磁極対
30 目標ホィール
34 磁気センサ
38 磁気センサ
42 第3磁気トラック
46 単一個の磁極対
50 論理モジュール
10 絶対位置用磁気エンコーダ/回転エンコーダ
14 第1磁気トラック
18 N/S磁極対
22 第2磁気トラック
26 N/S磁極対
30 目標ホィール
34 磁気センサ
38 磁気センサ
42 第3磁気トラック
46 単一個の磁極対
50 論理モジュール
Claims (23)
- 2進出力に対して構成された第1磁気トラックと、
10進出力に対して構成された第2磁気トラックと、
上記第1磁気トラックの近傍に位置されて、該第1磁気トラックの磁界を検出する第1磁気センサと、
上記第2磁気トラックの近傍に位置されて、該第2磁気トラックの磁界を検出する第2磁気センサと、を備え、
当該エンコーダは上記2進出力および上記10進出力の内の一方を提供すべく選択的に動作可能である、
絶対位置用磁気エンコーダ。 - 単一個のN/S磁極対を含む第3磁気トラックと、
上記第3磁気トラックの近傍に位置されて、該第3磁気トラックの磁界を検出する複数個のホール効果デバイスとを更に備えて成る、請求項1記載の絶対位置用磁気エンコーダ。 - 前記単一の磁極対はN極およびS極を含み、且つ、
前記複数個のホール効果デバイスは、上記N極および上記S極の一方の円周方向長さ内に収まる、請求項2記載の絶対位置用磁気エンコーダ。 - 前記複数個のホール効果デバイスは、前記N極の円周方向長さおよび前記S極の円周方向長さ内に収まる、請求項3記載の絶対位置用磁気エンコーダ。
- 前記第1、第2および第3磁気トラックを支持する目標ホィールを更に備えて成る、請求項2記載の絶対位置用磁気エンコーダ。
- 前記第1および第2磁気センサおよび前記複数個のホール効果デバイスと通信する論理モジュールを更に備えて成る、請求項2記載の絶対位置用磁気エンコーダ。
- 前記論理モジュールは、前記第1および第2磁気センサの一方の出力を第1行列レイヤに記録すべく構成され、且つ、
上記論理モジュールは、前記複数個のホール効果デバイスの出力を、上記第1行列レイヤと同一の個数の行および列を有する第2行列レイヤに記録すべく構成される、請求項6記載の絶対位置用磁気エンコーダ。 - 前記第1磁気トラックは前記2進出力の提供を促進する第1の個数のN/S磁極対を含み、且つ、
前記第2磁気トラックは前記10進出力の提供を促進する第2の個数のN/S磁極対を含む、請求項1記載の絶対位置用磁気エンコーダ。 - 前記第1の個数のN/S磁極対は、32個およびその整数倍個の一方である個数のN/S磁極対を含み、且つ、
前記第2の個数のN/S磁極対は、25個およびその整数倍個の一方である個数のN/S磁極対を含む、請求項8記載の絶対位置用磁気エンコーダ。 - 前記第1および第2磁気センサの少なくとも一方はホール・ストリング乗算センサを有するマイクロチップを含む、請求項1記載の絶対位置用磁気エンコーダ。
- エンコーダの絶対位置を算出する方法であって、
2進出力に対して構成された第1磁気トラックを配備する段階と、
10進出力に対して構成された第2磁気トラックを配備する段階と、
上記第1磁気トラックから第1カウント値を検出する段階と、
上記第1カウント値と実質的に同時に、上記第2磁気トラックから第2カウント値を検出する段階と、
上記第1および第2カウント値を用いて、上記エンコーダの上記絶対位置を表す第3カウント値であって、上記2進出力および上記10進出力の一方の提供を促進するという第3カウント値を算出する段階とを備えて成る、
方法。 - 単一個のN/S磁極対を含む第3磁気トラックを配備する段階と、
上記単一個の磁極対のN極とS極との間の磁極性の変化を検出する段階とを更に備えて成る、請求項11記載の方法。 - 当該方法は、前記第3磁気トラックの近傍に複数個のホール効果デバイスを位置決めする段階を更に備え、
前記単一個の磁極対の前記N極と前記S極との間の磁極性の変化を検出する前記段階は、上記ホール効果デバイスの各々により上記N極と上記S極との間の接合部を検出する段階を含む、請求項12記載の方法。 - 前記第1および第2磁気トラックの一方における磁極対の個数と等しい個数の行と、上記第1および第2の磁気トラックの上記一方の近傍に位置決めされた磁気センサの分解能に等しい個数の列とを有する行列を生成する段階と、
上記第1および第2磁気トラックの他方から検出された前記カウント値を行列中に記録する段階とを更に備えて成る、請求項13記載の方法。 - 前記行列を生成する前記段階は、前記第1および第2磁気トラックの前記他方から検出された前記カウント値が記録される第1行列レイヤを生成する段階を含み、且つ、
上記行列を生成する上記段階は、前記ホール効果デバイスの前記出力が記録される第2行列レイヤを生成する段階を含む、請求項14記載の方法。 - 前記第2行列レイヤを生成する前記段階は、
前記各ホール効果デバイスの一連のon/off状態を位置番号に関連付ける段階と、
上記位置番号を上記第2行列レイヤに記録する段階とを含む、請求項15記載の方法。 - 前記第1および第2行列レイヤを生成する前記段階は、前記第1行列レイヤと等しい個数の行および等しい個数の列を以て前記第2行列レイヤを生成する段階を含む、請求項15記載の方法。
- 前記第1磁気トラックを、円形配置にて、目標ホィールに対して結合する段階と、
前記第2磁気トラックを、円形配置にて且つ上記第1磁気トラックと同心的に、上記目標ホィールに対して結合する段階とを更に備えて成る、請求項11記載の方法。 - 前記第1磁気トラックを配備する前記段階は、前記2進出力の提供を促進する第1の個数のN/S磁極対を配備する段階を含み、且つ、
前記第2磁気トラックを配備する前記段階は、前記10進出力の提供を促進する第2の個数のN/S磁極対を配備する段階を含む、請求項11記載の方法。 - 前記第1の個数のN/S磁極対を配備する前記段階は、32個およびその整数倍個の一方である個数のN/S磁極対を配備する段階を含み、且つ、
前記第2の個数のN/S磁極対を配備する前記段階は、25個およびその整数倍個の一方である個数のN/S磁極対を配備する段階を含む、請求項19記載の方法。 - 前記エンコーダの前記絶対位置の前記2進出力および前記10進出力を実質的に同時に提供する段階を更に備えて成る、請求項11記載の方法。
- 前記エンコーダの前記絶対位置の前記2進出力および前記10進出力の前記一方を、約10%のデューティ・サイクルと約90%のデューティ・サイクルとの間である範囲のパルス幅に亙りパルス幅変調する段階を更に備えて成り、
上記エンコーダの上記絶対位置の上記2進出力および上記10進出力の上記一方を約10%のデューティ・サイクルと約90%のデューティ・サイクルとの間であるパルス幅の範囲外にパルス幅変調すると、診断情報、警報情報およびデジタル・データ情報の内の少なくともひとつが提供される、請求項11記載の方法。 - 前記エンコーダの前記絶対位置の前記2進出力および前記10進出力の前記一方に基づき、U、V、W通信信号および基準パルスの内の少なくともひとつを提供する段階を更に備えて成る、請求項11記載の方法。
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