JP2011500703A - 最適化されたher1及びher3多量体を含む組成物、及びそれらの使用 - Google Patents

最適化されたher1及びher3多量体を含む組成物、及びそれらの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、改善された結合親和性を有する、遺伝子操作されたHer3多量体を含む組成物を提供する。かかる多量体は、限定されないが、Her3リガンド結合ドメインが、Her3への結合を増大させるために最適化されている、Her1/Her3ヘテロ二量体を含む。当該組成物はまた、Her1ホモ二量体、Her3ホモ二量体、及びHer1/Her3ヘテロ二量体の混合物を含み得る。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2007年10月16日に出願された米国仮出願第60/980,424号、及び2008年4月8日に出願された米国仮出願第61/043,308号からの優先権の利益を主張し、そしてそれらの両方は完全に本明細書において参照により援用される。
発明の技術分野
本発明は、遺伝子操作されたHer1及びHer3リガンド結合ドメインを含む組成物に関し、そしてかかる組成物の製造方法及び使用方法に関する。
背景
受容体型チロシンキナーゼ(RTK)は、多くのシグナル伝達経路に関与するポリペプチドに含まれる、細胞シグナル分子のファミリーである。RTKは、胚形成、細胞分裂、増殖、分化、遊走及び代謝を含む、種々の細胞過程において役割を果たす。RTKは、リガンドによって活性化され得る。かかる活性化は同様に、続いて起こるシグナル経路の活性化のための要求として、通常、受容体の二量化又はオリゴマー化をもたらす。例えばオートクリン又はパラクリン細胞シグナル経路を引き起こすことによる、例えばセカンドメッセンジャーの活性化によるシグナル経路の活性化は、特定の生物学的効果をもたらす。RTKのためのリガンドは、同族(cognate)受容体と特異的に結合する。RTKの調節不全が、幾つかの癌において見られた。例えば乳癌は、p18−5−HER2の発現増幅に関連し得る。RTKはまた、生理学的及び腫瘍における血管形成を含む、血管形成に関与する調節経路に関わりがある。RTKはまた、細胞増殖、遊走、及び生存の調節に関与する。
疾患関連性RTKのなかに、受容体のHER(ヒトEGFRファミリー、または、ErbB若しくはEGFRとも呼ばれる)ファミリーがある(例えば、Hynes et al.(2005)Nature Reviews Cancer 5:341−354,for a discussion of their role cancerを参照)。クラスI受容体と呼ばれるこれらの受容体は、HER1/EGFR、HER2、HER3、及びHER4を含む。これらの受容体は代替名を有する。HER1は時折EGFR及びErbB1と呼ばれ;HER2は、時折ErbB2及びNEUと呼ばれ;HER3は時折ErbB3と呼ばれ;そしてHER4は時折ErbB4と呼ばれる。これらのファミリーの全てのメンバーは、細胞外リガンド結合領域、単一膜貫通領域、及び細胞質内チロシンキナーゼ含有ドメインを有する。HER1及びHER4のみが、リガンド結合及びキナーゼ活性に関して完全に機能的である。HER3は、キナーゼ活性を損なっており、そして活性化のためのヘテロ二量化パートナーのキナーゼ活性に依存している。
p185(Her2)に関連する癌を標的とするための一つの手法が、ErbB2タンパク質二量体を標的とするペプチドを使用することであった(例えば、Greene at al.,米国特許第6,417,168号を参照)。ErbB2、Erb3、及びErbB4のためのリガンド結合ドメインを含む、種々のタイプのキメラ多量体分子が記述されている。例えば、米国特許第6,696,290号明細書、国際公開第98/02540号を参照。しかし、これらの手法は、Her1及び/又はHer3の発現を有する癌に特異的ではなく、Her1及び/又はHer3の発現の調節不全と関連するより幅広い疾患に影響が及び得ることもない。同様に、Her1の調節不全を有する癌、又はHer3の調節不全を有する癌、又はその2つの組み合わせの癌にとって、既存の技術は、十分な特異性を有さないという問題を克服するために十分ではない。さらに、これらのクラスI受容体のリガンドに対する結合親和性は、受容体並びにその固有の生物学及び構造に依存して変化する。したがって、ErbB2と結合する分子は、Her1又はHer3とは必ずしも結合せず、そしてErbB2リガンドに関する任意の最適化研究は、Her1又はHer3に、それらが異なる生物学的特性及び構造を有する異なる受容体であるため、予想通り適用可能ではないだろう。
この点で、必要とされるものは、Her1及びHer3と改善された親和性で結合することができる組成物である。本明細書に記載された発明は、この目的に対する解決方法を提供し、そして同様に追加の利益を提供する。
本発明は、その同族リガンドとの結合を改善するために最適化されたHer1及び/又はHer3変異体を含む組成物を提供する。したがって一つの態様において、本発明は、その同族リガンドとの結合を改善するために最適化された、Her3由来の細胞外ドメイン(ECD)を含み、Her1 ECDと連結された多量体を提供する。一つの実施形態において、当該最適化は、Y246Aの変異である。別の実施形態において、当該最適化されたHer3は、132番目にリシンを任意に含む。一つの実施形態において、Her3変異体は、K132Eの変異を有する。別の実施形態において、Her3変異体は、Y246変異と共に、132番目にリシンを有する。別の実施形態において、Her3変異体は、Y246A変異無しで、132番目にリシンを有する。別の実施形態において、Her3変異体は切断される(truncated)。別の実施形態において、切断されたHer3変異体はまた、132番目にリシンを有する。
別の態様において、本発明は、その同族リガンドとの結合を改善するために最適化された、Her1由来の細胞外ドメイン(ECD)を含み、Her3 ECDと連結された多量体を提供する。一つの実施形態において、Her1 ECDは、T15S変異を(又はシグナル配列ペプチドを有する残基を含む場合にはT39S変異を)有する。別の実施形態において、Her1 ECDは、T15S及びG564S変異を有する。
本発明はまた、ホモ二量体として互いに関連している、Her1及びHer3変異体の組成物を提供する。一つの実施形態において、Her1ホモ二量体は、T15S及びG564S変異を有して形成される。別の実施形態において、Her3ホモ二量体は、Y246A変異を有して形成される。別の態様において、本発明は、ヘテロ二量体としてHer1 ECDと関連しているHer3変異体の組成物を提供する。幾つかの実施形態において、Her1 ECDはまた、その同族リガンドとの結合を改善するために最適化されている(例えば、T15S、又はT15S/G564S変異)。最適化は、ドメイン4の欠失、T39S(又はシグナル配列無しでのT15S)、S193N/E330D/G588S、及びT39S/G564Sからなる群から選択される。
本発明はさらに、Her1及び/又はHer3成分がリガンド結合を改善するために最適化されている、Her1/Her1ホモ二量体、Her1/Her3ヘテロ二量体、及びHer3/Her3ホモ二量体の混合物を含む組成物を提供する。幾つかの態様において、ホモ二量体又はヘテロ二量体の任意の多量体は、ユニバーサルリンカーのようなリンカーを使用することによってFc受容体と連結する。
本発明はまた、最適化されたHer1変異体及び/又は最適化されたHer3変異体を含む、医薬組成物及び/又は医薬を提供する。本発明はまた、癌細胞増殖を阻害するための医薬の製造における、最適化されたHer1変異体及び/又は最適化されたHer3変異体の使用を提供する。別の実施形態において、最適化されたHer1変異体及び/又は最適化されたHer3変異体は、Her1及び/又はHer3を発現する細胞の異常増殖を処置するための医薬の製造において使用される。
本発明はまた、癌細胞の増殖を阻害するためのかかる組成物の使用方法を提供する。幾つかの実施形態において、癌細胞増殖の阻害は、インビボにおいて治療用組成物として使用される。他の実施形態において、癌細胞増殖の阻害は、インビトロにおいて使用される。さらに別の実施形態において、最適化されたHer1変異体及び/又は最適化されたHer3変異体を含む組成物は、エクスビボ処置のために使用される。
図1は、HERファミリー及びそのリガンドを示す。 図2は、ハーモジュリン(Hermodulin)の命名を要約する表を示す。 図3は、一定のリンカー及びFcを有する幾つかのハーモジュリン分子を示す。 図4は、Her1及びHer3 ECDの最適化のための実験からの結果を示す。 図5は、HFD300及びHFD300.1に関する、そのリガンドへの結合親和性を測定する実験からの結果を示す。 図6は、RB242.1Bに関する結合の結果を示す(命名の一部の「B」は、ユニバーサルリンカーの使用を示す)。 図7は、Her3リン酸化のハーモジュリンホモ二量体による阻害に関して試験する実験の結果を示す。 図8は、ハーモジュリンヘテロ二量体による受容体リン酸化の相対的阻害に関して試験する実験の結果を示す。 図9は、リガンド結合部位の数に関して正規化されたとき、ヘテロ二量体がホモ二量体と比較される、受容体リン酸化の相対的阻害に関して試験する実験の結果を示す。 図10は、対形成がヘテロ二量体の活性に影響し得ることを示す、種々のECD対形成に関する平均倍数改善の結果を示す。 図11は、NRG誘導性MCF7増殖のハーモジュリン阻害に関して試験する実験の結果を示す。 図12は、ハーモジュリンによるNRG誘導性T47D増殖の阻害に関して試験する実験の結果を示す。 図13は、RB200のリガンド結合親和性が、ハイスループットの合理的変異誘発工程を通じて最適化されることを示す。 図14は、ハーモジュリンがリガンド誘導性細胞増殖を阻害し得ることを示す。 図15は、ラットにおけるRB200の薬物動態を示す。正常なラットに、15mg/kgの用量で、静脈内(IV)又は腹腔内(IP)にRB200を単回投与し、血漿試料を種々の時点で回収した。抗HER1及び抗HER3を捕獲抗体として、抗ヒトFc−HRPを検出抗体として使用する、ハーモジュリン特異的ELISAによって、RB200の血漿濃度を分析した。データは一つの時点あたり、2〜3匹のラットの平均±SEMである。薬物動態パラメータを、Sigma Plot 10.0.1を使用して計算した。 図16は、ヌードマウス中におけるRB200及びRB242の血漿濃度を示す。CD−1ヌードマウスに、30mg/kgの用量で、ipで、RB200及びRB242を単回投与し、血漿試料を24時間、及び7日目の時点で回収した。RB200及びRB242の血漿濃度をハーモジュリン特異的ELISAによって決定した。一つの時点あたり4匹のマウスの平均血漿濃度(±SD)のデータをプロットした。 図17は、最適化された二重特異的リガンドトラップRB242.1が、設計された三重変異体であることを示す。RB242.1は、より高いリガンド結合親和性を示し(上部のパネル)、そして増殖因子誘導性HERリン酸化における阻害活性の増大を示し(中央部のパネル)、そして腫瘍細胞増殖における阻害活性の増大を示す(下部のパネル)。KD及びEC50を測定し、そして示唆される元の/中間の形態を超える倍数改善を示す。 図18は、高親和性EGFRリガンド結合が、Fc媒介性EGFR/HER3ヘテロ二量体において抑制されることを示す。125Iリガンド結合は、抗Fcコートされた96ウェルプレート中で、当該表面上に固定化された、所定の精製EGFR/HER3ヘテロ二量体を用いて行われた。125I−TGF−a結合(上部)及び125I−NRG1−β結合(下部)を示す。結果は、3つ組のウェルの平均±SEMである。 図19は、RB242がEGFRリガンドに関して高い親和性を回復したことを示す。リガンド結合は、抗Fcコートされた96ウェルプレート中で、実施例中で詳述された、最適化されたリガンド結合条件を使用して行われた。パネルA及びBは、Eu−EGF及びEu−NRG1−βの飽和結合を示す。パネルC及びDは、Eu−EGFの、非標識化TGF−a又はHB−EGFとの置換を示す。結果は、3つの独立した実験の見本であり、そしてリガンドと結合した受容体の画分へと正規化された。 図20は、培養された腫瘍細胞の増殖阻害において、RB242がRB200よりも強力であることをパネルAで示す。上部パネルは、RB200又はRB242の増加する濃度条件下、3日間、3nMのTGF−a(上部左)又はNRG1−β(上部右)のいずれかで処置された血清飢餓BxPC3膵臓癌細胞を使用した結果を示す。左下部のパネルは、RB200又はRB242の増加する濃度条件下、3日間、3nMのNRG1−βで処置された血清飢餓MCF7細胞からの結果を示す。右下部のパネルは、RB200又はRB242の増加する濃度条件下、5日間、増殖培地(RPMI1640/10%FBS)中におけるH1437NSCLC細胞の増殖を示す。細胞増殖は、標準的な技術を使用して定量化され、そして実施例中において議論された。当該結果は、8個又は16個の複製物における平均±SEMである。BxPC3に関する概算のEC50値を、一番高い定数が100に等しいと設定されている、制限タイプを使用して決定された。パネルBは、RB242が、マウス腫瘍異種移植片モデルにおいて、改善された抗腫瘍活性を有することを示す。ヌードマウスは、実施例に記載された通りに、皮下にH1437NSCLC細胞を用いて移植された。腫瘍量が約100mm3に達したとき、PBSビヒクル(○)、又はRB200(黒塗り下向き三角)、又はRB242(黒塗り上向き三角)のいずれかを用いて、一週間に3回で3週間、1kgあたり12mgで、腹腔内投与でマウスを処置した。各々の処置群あたり9匹のマウスを用いた。データを平均腫瘍量±SEMとして表現した。**は、Bonferroni’s post testを用いた二元分散分析(two way ANOVA)により、P<0.01である。
詳細な説明
本発明は、その同族リガンドとの改善された結合のために最適化された、Her1及び/又はHer3リガンド結合ドメインを含む組成物を提供する。これらの組成物は、複数のHERリガンド(増殖因子)の捕獲を通じて、細胞の活性化を阻害するために有用である。本明細書において使用されるこれらのタイプの組成物は、汎特異的(pan−specific)HERリガンドトラップ(pan−HER)であり得、又は本明細書において「ハーモジュリン(Hermodulin)」とも呼ばれる。
他に示されない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は、当該発明(単数又は複数)が属する技術分野における当業者によって通常理解されるものと同一の意味を有する。本明細書における全ての開示を通じて参照される、全ての特許、特許出願、刊行された出願及び刊行物、GENBANKの配列、ウェブサイト及び他の刊行物は、他に記載のない限り、それら全体で参照により援用される。
一般的説明
本発明の実施は、他に示されない限り、(組み換え技術を含む)分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の従来技術を使用し、そしてそれらは当技術分野の範囲内である。かかる技術は、文献中に、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989.Cold Spring Harbor Press);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987);Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir&C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller&M.P.Calos,eds.,1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、及びShort Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)中に完全に説明されている。
定義
本明細書において使用される、細胞外ドメイン(ECD)は、受容体表面上に生じる、細胞表面受容体の一部であり、そしてリガンド結合部位(単数又は複数)を含む。本明細書における目的のために、ECDへの言及は、別のドメイン(すなわち、膜貫通ドメイン、タンパク質キナーゼドメイン又はその他)と関連する任意の隣接配列をECDポリペプチドが含まない限り、任意のECD含有分子、又はその部分を含む。したがって例えば、ECDポリペプチドは、細胞表面受容体(CSR)の選択的スプライシングがなされたアイソフォームを含み、ここで当該アイソフォームは、ECD含有部分を有するが、同族CSRの任意の他のドメインを欠如しており、そして同様に同族CSRの別のドメイン配列と関連しない、又は整列されない任意の配列を有する。これらの追加的配列は、イントロン融合タンパク質アイソフォーム中で生じるような、イントロンをコードした配列であり得る。通常、当該追加的配列は、CSR ECDポリペプチドのリガンド結合活性及び/又は受容体二量化活性を阻害又は妨害しない。ECDポリペプチドはまた、ハイブリッドECDを含む。
本明細書において使用される、多量化ドメインは、あるポリペプチド分子と、相補的多量化ドメインを含む別のポリペプチド分子との安定な相互作用を促進するアミノ酸配列のことであり、そしてそれは、当該第一のドメインと安定な多量体を形成する、同一の又は異なる多量化ドメインであり得る。一般的にポリペプチドは、多量化ドメインへと直接的に、又は間接的に結合される。例示的な多量化ドメインは、免疫グロブリン配列又はその一部、ロイシンジッパー、疎水性領域、親水性領域、相溶性タンパク質−タンパク質相互作用ドメイン、例えば、限定されないが、PKA及びアンカードメイン(AD)のRサブユニット、2つの分子の間に分子間ジスルフィド結合を形成する遊離のチオール、並びに腔内突起(protuberance−into−cavity)(すなわち、knob into hole)、及び安定な多量体を形成する同一の、又は類似のサイズの補償的空洞(compensatory cavity)を含む。多量体ドメインは、例えば、免疫グロブリン定常領域を含む。免疫グロブリン配列は、免疫グロブリン定常領域、例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4サブタイプ、IgA、IgE、IgD及びIgM由来のFcドメイン又はその一部分であり得る。
最適化されたHer1及び/又はHer3を含む組成物
本発明は,遺伝子操作されていないHer1及び/又はHer3と比較した場合における、改善された結合のために遺伝子操作された(又は最適化された)Her1及び/又はHer3細胞外ドメイン(ECD)を含む組成物を提供する。かかる組成物は、例えば、その同族リガンドへの結合アッセイのための構成要素としての有用性を有する。幾つかの態様において、当該組成物は、Her3 ECDホモ二量体の多量体を含む。Her3 ECDは、以下に、及び図中により詳細に開示されている変異を含み得、そしてそれは、そのリガンドへの結合の改善のために有用である。他の態様において、当該組成物は、Her3及びHer1ヘテロ二量体の多量体を含む。Her3若しくはHer1のいずれか一つ、又はその両方に関して、最適化は、それらのリガンドへの結合親和性を改善するために、又は追加的に、限定されないが、受容体型チロシンキナーゼのリン酸化阻害、動物中におけるバイオアベイラビリティの増大、インビボにおけるより優れた薬物動態、細胞遊走の阻害、腫瘍量の減少、又は腫瘍増殖の停止を含む他の生物学的特性を改善するために使用され得る。さらに別の態様において、当該組成物は、Her1/Her1ホモ二量体(例えば、T15S、G564S変異を有するHER1のホモ二量体)、Her1/Her3ヘテロ二量体、及びHer3/Her3ホモ二量体の混合物を含み、ここでHer3成分は、そのリガンドへの改善された結合のために遺伝子操作されている。図1は、HERファミリー及びそのリガンドを示す。Her1、Her2、及びHer3の調節不全は、癌事例の50%超を占める。実施例は、最適なHer3リガンド結合のために製造されかつ試験された多くの変異体について詳述する。
本発明はまた、多量体(ホモ二量体又はヘテロ二量体のいずれか一方)を形成する、最適化されたHer3及び最適化されたHer1の組み合わせ、並びにHer1/Her1ホモ二量体、Her1/Her3ヘテロ二量体、及びHer3/Her3ホモ二量体の混合物を含むことが理解され得る。
HER1 ECD構造及びドメイン組織
HER1の細胞外部分は、成熟HER1受容体の1〜621番残基を含み、並びにサブドメインI(1〜165番アミノ酸残基)、II(166〜313番アミノ酸残基)、III(314〜481番アミノ酸残基)、及びIV(482〜621番アミノ酸残基)を含む。HER1のI、II、及びIIIドメインは、I型インスリン様増殖因子受容体(IGF−IR、例えばGarret et al.,(2002)Cell,110:763−773)の最初の3つのドメインと構造的及び配列的相同性を有する。IGF−1Rと同様に、Lドメイン(すなわち、ドメインI及びIII)は、各々の末端を一つのへリックス及び一つのジスルフィド結合でキャップされた6つのターンβへリックスの構造を有する。IGF−1Rと比較して、HER1配列は、HER1によるリガンド結合を媒介するために重要な生物化学的構造に寄与するアミノ酸の挿入を含む。これらは、V形可動域(8〜18番残基)を含み、そしてそれはリガンド結合界面の大部分を形成するドメインIの広いβシート上に位置する。ドメインIIIにおいて、対応する領域は、リガンド結合に同様に関与するループ(316〜326番残基)を形成する。ドメインIIIに存在する第三の挿入領域(351〜369番残基)は、ドメインIIIの第二ターン中の追加のループである。このループは、リガンド結合を防止する種々の抗体のためのエピトープである(すなわち、LA22、LA58、及びLA90、例えばWu et al,(1989)J Biol Chem.,264:17469−17475を参照)。さらに、βへリックスソレノイドの第四ターンにおける他のループは、リガンド結合に関与する。
HER1のリガンドであるTGF−αは、一つの受容体分子のLドメインI及びIIIの両方の大きなβシートと相互作用する。同様に、リガンドEGFはまた、HER1のドメインI及びIIIの両方と相互作用し、ここでドメインIIIとのEGFの相互作用は、EGFに対する主要な結合部位で起こると考えられる(Kim et al,(2002)FEBS,269:2323−2329)。架橋試験は、EGFリガンドのN末端及びC末端部位が、HER1受容体のドメインI及びIIIの各々と相互作用することを決定した。成熟完全長HER1に対応する、ドメインIII中のアミノ酸Gly441は、ヒトEGFのArg45との相互作用を通じて、EGFへの結合の媒介に関与する。(成熟HER1ポリペプチドの302〜503番アミノ酸に対応する)202個のアミノ酸の、HER1の40kDa断片は、EGFへのHER1の完全なリガンド結合能力を保持するために十分である。この202個のアミノ酸部分は、ドメインIIIの全て、及びドメインII及びドメインIVの各々の幾つかの残基のみを含む(Kohda et al.,(1993)JBC 268:1976)。
EGFRのドメインIIは、8つのジスルフィド結合したモジュールを含む。ドメインIIは、ドメインI及びIIIの両方と相互作用する。ドメインIIIとの接触は、モジュール6及び7を経由して生じ、一方でモジュール7及び8は、EGFR分子のリガンド・フリー形態におけるヒンジを形成するために機能する柔軟度を有する。大きく、秩序化されたループは、ドメインIIのモジュール5から形成され、そしてリガンド結合部位から離れて直接的に突き出している。このループは、240番〜260番残基(同様に、242番〜259番残基として記載されている)に対応し、そしてアンチパラレルなβリボンを含有する。(二量化アームとも呼ばれる)当該ループは、分子内相互作用を媒介するときに、及び受容体−受容体接触を媒介するために重要である。HER1の不活性又は「連結された」高次構造において、当該ループは、成熟完全長ECDの561番〜569番アミノ酸、及び572番〜585番アミノ酸にそれぞれ対応する、モジュール5及び6中の類似のループ構造間における挿入によって、分子内相互作用に寄与する。
ドメインIIループの欠失は、二量化し、その結果分子間相互作用を促進するときにその重要性を示すHer1 ECDの能力を無効にする。二量化は、ドメインI、II、及びIII間の空間中における第二のHER分子のドメインIIを横切ったループの突き出しによって媒介される。例えば接触は、第二のHER分子におけるドメインIIの凹面における229番〜239番残基、262番〜278番及び282番〜288番残基と共に、二量化アームの244番〜253番残基によってなされる。ドメインII中におけるTyr246は、第二のHER分子中にあるGly264及びCys283残基と水素結合を形成し、そしてTyr246のフェニル環はまた、隣接分子のSer262及びSer282と相互作用する。EGFRのドメインII、及び別のHER分子との間の他のアミノ酸の接触は、Tyr251とPhe263、Gly264、Tyr275、及びArg285;Pro248とPhe230及びAla265;Met253とThr278;並びにTyr251とArg285を含む。さらに、Asn247及びAsn256は、好適な高次構造におけるループを維持するために重要である。ほぼ全てのこれらの残基は、HERファミリーメンバー中で保存されており、そしてHERファミリー受容体間で同様に機能する。さらに、HER3が3つのプロリンを含みつつ、プロリン残基が、HERファミリー受容体のループ中における、243、248、255、及び257番目の任意の一つにおいて生じる。プロリン残基は、ループ高次構造をさらに安定化する。例えばHER1は、248番と257番においてプロリンを含む。
不活性HER1分子の連結におけるドメインIV(モジュール5及び6)の関与に加えて、HER1のドメインIVのモジュール1の少なくとも一部はまた、活性HER1分子の構造的統一性を維持するために必要であるように思われる。例えば、上で言及されたとおり、ドメインIIIの全て、並びにドメインII及びIVの一部を含有するHER1の40kDaのタンパク質分解性断片は、完全なリガンド結合能力を保持している。この分子中に存在するドメインIVの一部は、モジュール1の全てを含む482番〜503番アミノ酸に対応する。成熟HER1分子におけるTrp492に対応するアミノ酸は、ドメインIII中における疎水性ポケットとの相互作用による、HER1分子の安定性を維持する役割を果たす。ドメインI、II及びIIIの全てを含むが、ドメインIVの全てを欠如しているHER1の組み換え分子は、(成熟HER1の1番〜476番アミノ酸に対応する(例えば、Elleman et al,(2001)Biochemistry 40:8930−8939を参照))リガンドと結合することができない。したがって、ドメインIVのモジュール1の少なくとも全て又は一部は、HER1のリガンド結合性能力に必要であると思われる。ドメインIVの残部は、リガンド結合及びシグナリングに使用される。例えば、HER1の正常リガンド結合及びシグナリング特性は、成熟HER1ポリペプチドの521番〜603番残基を欠如するHER1分子に存在する。
HER3 ECD構造及びドメイン組織
HER3の細胞外部分は、成熟HER3受容体の1番〜621番残基を含み、そしてサブドメインI(1番〜166番アミノ酸残基)、II(167番〜311番アミノ酸残基)、III(312番〜480番アミノ酸残基)、及びIV(481番〜621番アミン酸残基)を含む。他のHERファミリー受容体のように、HER3のドメインI、II、及びIIIは、IGF−1Rで重ね合わされ得、そして他のHER受容体のように多くの同一の構造的特徴を示す。例えば、HER3のドメインI及びIIIは、ジスルフィド含有モジュールの延長された反復によって阻害されるβ−へリックス構造を示す。ドメイン間の高い柔軟性が、ドメインIIとIIIとの間に存在し、そしてそれはIGF−IRによって示されない。さらにHER3は、(HER3の242番〜259番アミノ酸に対応する)ドメインII中において特徴的なβ−ヘアピンループ又は二量化アームを示す。β−ヘアピンループは、閉じた又は不活性なHER3構造をもたらすドメインIVにおける保存残基との分子内接触を提供する。この連結相互作用において重要な残基は、Y246とD562及びK583との相互作用、F251とG563との相互作用、並びにQ252とH565との相互作用を含む。リガンドの結合時、高次構造変化は、受容体の二量化を可能とする連結構造由来の二量化アームをさらす、ドメインI及びIIIを再配置する。
他のHERファミリー受容体とは異なり、HER3は、機能的キナーゼドメインを有さない。全てのタンパク質チロシンキナーゼ中で保存されているキナーゼ領域における4つのアミノ酸残基の変化により、HER3キナーゼは機能不全となる。しかし、HER3は、そのカルボキシ末端ドメイン中にチロシン残基を保持しており、そして好適な活性化及びトランスリン酸化における細胞シグナリングを誘導することができる。したがって、HER3のホモ二量体は、直線的なシグナリングを支持することができない。HER3のための好ましい二量化パートナーはHER2である。したがって、本明細書において提供される発明は、この二量化特性の観点において予測され得ない。Her3のためのリガンドは、ニューレグリン−1(NRG−1)及びニューレグリン−2(NRG−2)を含む。
ECD多量体の構成成分及びECD多量体の形成
ECDヘテロ多量体は、リガンドへの結合及び/又は二量化のために、少なくとも2つの異なるECD、又はその一部を含む。本明細書における例示的実施形態において、少なくとも一つの構成成分ECDは、HER3 ECDである。ヘテロ多量体又はホモ多量体におけるECDは、連結され、それにより多量体形態であり、少なくともヘテロ二量体又はホモ二量体形態である。ヘテロ多量体又はホモ多量体を形成するために、ECDの相互作用を可能とする又はもたらす任意の連結が意図される。
ECDポリペプチド
本明細書において提供されるECD多量体の製造における使用のためのECDポリペプチドは、Her3及び/又はHer1のECDの全て又は一部分であり得る。以下においてより詳細に議論される通り、そのリガンド(単数又は複数)への改善された結合を示す、これらのECDポリペプチドの変異体を製造するために、種々の方法が使用され得る。使用されるHer3及び/又はHer1のECDは、完全長であるか、又は切断されたものであり得、そしてまた、対立遺伝子変異体の使用を含む。
ECD多量体の形成
HER ECD多量体を含むECD多量体は、共有結合した、共有結合していない、又は化学的に結合した、受容体ECDの多量体であり得、その結果、二量体、三量体、又はより大きな多量体を形成する。幾つかの例において、多量体は、2つ以上のECDポリペプチドの二量化により形成され得る。2つのECDポリペプチド間における多量化は、自発的であり得るか、又は2つ以上のポリペプチドの強制的な結合により生じ得る。一つの例において、多量体は、異なるECDポリペプチドにおけるシステイン残基間に形成されるジスルフィド結合により連結され得る。別の例において、多量体は、共有結合性又は非共有結合性相互作用を介して、溶解性ポリペプチドと融合したペプチド部分と結合したECDポリペプチドを含み得る。かかるペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサー)、又は多量化を促進する特性を有するペプチドであり得る。さらなる例において、多量体は、化学的連結を通じて、例えば、ヘテロ二官能性リンカーを使用することによって、2つのポリペプチド間で形成され得る。
ペプチドリンカー
ペプチドリンカーは、ポリペプチド多量体、例えば一つの多量化パートナーが、HERファミリー受容体のECDの全部又は一部である多量体を製造するために使用され得る。一つの例において、ペプチドリンカーは、第一のポリペプチドのC末端、及び第二のポリペプチドのN末端と結合され得る。この構造は、少なくとも1個の、好ましくは2個、3個、4個、又はそれ以上の可溶性ポリペプチドが、それらの各々の末端におけるペプチドリンカー経由で互いに連結されるように、複数回繰り返され得る。例えば、多量体ポリペプチドは、Z1−X−Z2配列を有し得、ここでZ1及びZ2は、各々細胞表面ポリペプチドのECDの全部又は一部の配列であり、そしてXは、ペプチドリンカーの配列である。幾つかの例において、Z1及び/又はZ2は、HERファミリー受容体のECDの全部又は一部である。別の例において、Z1及びZ2は同一であるか、又は異なる。別の例において、ポリペプチドは、Z1−X−Z2(−X−Z)nの配列であり、ここで「n」は任意の整数であり、すなわち一般的に1又は2である。
通常、ペプチドリンカーは、溶解性ECDポリペプチドが隣接する溶解性ECDポリペプチドとの結合を形成することを可能とするために十分な長さである。ペプチドリンカーの例は、−Gly−Gly−、GGGGG、GGGGS若しくは(GGGGS)n、SSSSG若しくは(SSSSG)n、GKSSGSGSESKS、GGSTSGSGKSSEGKG、GSTSGSGKSSSEGSGSTKG、GSTSGSGKPGSGEGSTKG、EGKSSGSGSESKEF、又はAlaAlaProAla若しくは(AlaAlaProAla)nを含み、ここでnは1〜6、例えば1、2、3又は4である。好ましい実施形態において、リンカーは、(本明細書において「ユニバーサルリンカー」とも呼ばれ、そしてこのリンカーを有するコンストラクトは、その名前の最後に「B」表示を有する)GGGGGである。
連結部位は、例えば、Huston et al.(1988)PNAS 85:5879−5883,Whitlow et al.(1993)Protein Engineering 6:989−995、及びNewton et al,(1996)Biochemistry 35:545−553に記載されている。他の好適なペプチドリンカーは、米国特許第4,751,180号、及び第4,935,233号明細書に記載されているもののいずれかを含み、そしてそれらは、参照により本明細書に援用される。所望のペプチドリンカーをコードするポリペプチドは、任意の好適な従来技術を使用して、可溶性ECDポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと同一のリーディングフレームの間に及びその中に挿入され得る。一つの例において、融合ポリペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された、HER ECDポリペプチドの全て又は一部であるものを含む、2〜4個の可溶性ECDポリペプチドを有する。
通常、ECDキメラタンパク質の免疫グロブリン部分は、免疫グロブリンポリペプチドの重鎖を、最も一般的には重鎖の定常ドメインを含む。一つの例において、免疫グロブリンポリペプチドキメラタンパク質は、免疫グロブリンポリペプチドのFc領域を含み得る。通常かかる融合は、免疫グロブリンの重鎖定常領域の少なくとも機能的に活性なヒンジ、CH2及びCH3を保持する。別の例示的なFcポリペプチドは、PCT出願公開第93/10151号に説明されており、そして、N末端ヒンジ領域からヒトIgG1抗体のFc領域の天然のC末端へと伸びている一本鎖ポリペプチドである。結合が形成される正確な部位は重要ではない:特定の部位は周知であり、そしてECDポリペプチドの生物学的活性、分泌、又は結合特性を最適化するために選択され得る。例えば、他の例示的なFcポリペプチド配列は、配列中のC109又はP113アミノ酸で開始する(例えば、米国特許出願公開第2006/0024298号明細書参照)。
hIgG1 Fcに加え、他のFc領域はまた、ECDキメラポリペプチド中に含まれ得る。例えば、Fc/FcγR相互作用によって媒介されるエフェクター機能が最小化され得る場合において、補体又はエフェクター細胞をあまり救援しないIgGアイソタイプ、例えばIgG2又はIgG4のFcとの融合が意図される。さらに、Fc融合は、限定されないが、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4ヒトサブクラスを含む)、IgA(IgA1及びIgA2ヒトサブクラスを含む)、IgD、IgE、及びIgM抗体クラスを含む、任意の抗体クラスに属する免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされている免疫グロブリン配列を含み得る。さらにリンカーは、Fcキメラを生じるために、Fcと別のポリペプチドとを共有結合で連結するために使用され得る。
修飾Fcドメインはまた、ECDポリペプチドとのキメラにおける使用のために、本明細書において意図される。例示的修飾に関しては、例えば、米国特許出願公開第2006/0024298号明細書、及び国際公開第2005/063816号を参照。幾つかの例において、Fc領域は、野生型免疫グロブリン重鎖Fc領域のエフェクター機能よりも変化した(すなわち、より多くの又はより少ない)エフェクター機能を有するものである。抗体のFc領域は、多くのFc受容体と相互作用し、そしてエフェクター機能と呼ばれる多くの重要な機能的能力を付与する。
したがって、修飾Fcドメインは、限定されないが、Fc受容体に対する増加した親和性、又は低い親和性若しくは親和性のないことを含む、変化した親和性を有し得る。例えば、異なるIgGサブクラスは、FcγRに関して異なる親和性を有し、ここでIgG1及びIgG3はIgG2及びIgG4よりも受容体へ実質的に強く結合する。さらに、異なるFcγRは、異なるエフェクター機能を媒介する。FcγRl、FcγRIIa/c、及びFcγRIIIaは、免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞内ドメインを有することによって特徴付けられる活性化を引き起こす免疫複合体の正の調節因子である。しかし、FcγRIIbは、免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を有し、したがって、抑制性である。したがって、受容体に関するFc領域の親和性を変化させることは、Fcドメインによって誘導されるエフェクター機能を調節し得る。
一つの例において、Fc領域は、例えばADCCのようなエフェクター機能をより良く媒介するために、特定のFcγRとの最適化された結合のために修飾される。別の例において、FcγRとの結合を減少させる又は除去する置換を有する種々のFc変異体が既知である。かかる変異タンパク質は、例えば、Fcによって媒介されるエフェクター機能の減少又は排除に関する必要性が存在する場合に有用である。これは通常、標的抗原を産生する細胞を殺さないが、拮抗作用が望ましい場合である。かかるFcの例は、米国特許第5,457,035号明細書に記載されているFc変異タンパク質である。幾つかの場合において、本明細書において提供されるECDポリペプチドFcキメラタンパク質は、補体タンパク質C1qとの結合を向上させるために修飾され得る。更なる例において、FcRnへの結合のために修飾され、それによりECD−Fcキメラポリペプチドの薬物動態を改善するFc領域が利用され得る。FcRnは、新生児のFcRであって、血流へと戻るエンドソーム由来の取り込まれた抗体を再循環する。大きなサイズの完全長分子による腎臓濾過の除外と結びついたこの工程は、1〜3週間の好ましい抗体血清半減期をもたらす。FcRnへのFcの結合はまた、抗体輸送において役割を果たす。FcRnへの結合向上のための、Fcタンパク質における例示的修飾は、T34Q、T34E、M212L、及びM212Fに相当するアミノ酸の修飾を含む。
一般的に、ポリペプチド多量体は、2つの、同一の又は異なるECDポリペプチドの、Fcポリペプチドへの直接的又は間接的な結合によって作られる、2つのキメラタンパク質の二量体である。幾つかの例において、ECD−Fcキメラタンパク質をコードする遺伝子融合は、好適な発現ベクターへと挿入される。結果的なECD−Fcキメラタンパク質は、組み換え発現ベクターを用いて形質転換された宿主細胞中で発現され得、そして抗体分子のように凝集することができ、ここで鎖間ジスルフィド結合は、Fc部位間で形成され、二価のECDポリペプチドを産生する。通常、宿主細胞及び発現系は、好適なアミノ酸のグリコシル化を可能とするために、哺乳動物発現系が使用され得る。
Fc部位を含有する、得られるキメラポリペプチド、及びそれから形成される多量体は、プロテインA又はプロテインGカラムによるアフィニティクロマトグラフィーによって容易に精製され得る。異なるECDキメラポリペプチドをコードする2つの核酸が細胞中に形質転換される場合、Fcドメインを運ぶECDキメラ分子が、ジスルフィド結合したホモ二量体として同様に発現されるため、ヘテロ二量体の形成が生物化学的に達成されなければならない。したがってホモ二量体は、鎖間ジスルフィドの破壊に有利に働くが、鎖内ジスルフィドに影響しない条件下で減少され得る。通常、異なる細胞外部分を有するキメラ単量体は、等モル量で混合され、そして酸化されてホモ及びヘテロ二量体の混合物を形成する。この混合物の成分は、クロマトグラフィー技術によって分離される。代わりに、このタイプのヘテロ二量体の形成は、遺伝子操作によって、及びECDポリペプチドを含むECD融合分子であって、その後hIgGのFc−ドメイン、その後c−jun又はc−fosロイシンジッパーのいずれかとなるものを発現することによって偏らされ得る。ロイシンジッパーは主にヘテロ二量体を形成するため、それらは、所望であるとき、ヘテロ二量体の形成を推進するために使用され得る。Fc領域を含有するECDキメラポリペプチドはまた、金属キレート又は他のエピトープとのタグを含むように遺伝子操作され得る。タグを付けられたドメインは、金属キレートクロマトグラフィー及び/又は抗体による迅速な精製のために使用され得、その後ウェスタンブロット、免疫沈降法、又はバイオアッセイにおける活性減少/阻害の検出を可能とする。
最適化されたHer1及び3 ECDを製造する方法
ECD、その一部、特にリガンド結合及び/若しくは受容体二量化に十分な部分、及び代わりにスプライス部位と、多量化ドメインとの間においてキメラポリペプチドを製造するための、任意の好適な方法が使用され得る。これらの方法は、当業者に既知である。同様に、キメラポリペプチド由来の多量体の形成は、当業者に周知の任意の方法によって達成され得る。留意すべきこととして、多量体は通常、少なくとも一つのHERファミリーメンバー、通常HER1又はHER3由来のECDを含む。
ECDポリペプチドはまた、自動化合成ポリペプチド合成を使用して合成され得る。クローニングされた、及び/又はイン・シリコで作製されたポリペプチド配列は、断片状態で合成され得、その後化学的に連結される。代わりに、キメラ分子が単一のポリペプチドとして合成され得る。ECD融合をコードする核酸分子を含む、ECDをコードする核酸分子は、核酸分子をクローニング及び単離するために、当技術分野において既知である任意の利用可能な方法を使用することで、クローニングされ得るか、又は単離され得る。かかる方法は、核酸のPCR増幅、並びに、核酸ハイブリダイゼーションスクニーニング、抗体系スクリーニング、及び活性系スクリーニングを含む、ライブラリーのスクリーニングを含む。
実施例の部においてさらに説明されるように、Herファミリーのメンバー、例えばHer3は、そのリガンドへの結合能力を最適化するために遺伝子操作され得る。これは、当業者に既知である種々の方法を使用することによって達成され得る。コンピュータ支援プログラムは、変異のために有望な領域を予測するために使用され得る。この後、標準的な分子生物学的技術を使用してアミノ酸変異誘発を行い得、その後リガンド結合スクリーニングを行い、最適化された結合剤を同定し得る。
キメラポリペプチドをコードするDNA、例えば本明細書において提供される任意のものは、発現のために宿主細胞へとトランスフェクトされる。ECD多量体ポリペプチドが所望である幾つかの例において、多量化は、多量化ドメインによって媒介され、その後宿主細胞が、多量体を製造することとなる分離したキメラECD分子をコードするDNAを用いて形質転換され、ここで当該宿主細胞が、多量体の分離した鎖を、所望の様式で集合し得るように最適に選択されている。分離した単量体ポリペプチドの集合は、キメラECDポリペプチド間で、同一か又は相補的である各々の多量化ドメインの相互作用によって促進される。HERファミリー受容体ECD又はその一部が、多量体ポリペプチドのECDドメインの一つ又は両方である場合、多量化ドメインは、対となる多量体分子から離れて、HER分子の二量化アームを向かわせるように選択される。この方向付けは、「バック・トゥ・バック」と呼ばれ、そして二量化アームが、細胞表面上の同族HERとの二量化のために接近可能であることを保証する。
キメラECDポリペプチドを含むECDポリペプチドは、投与及び処置のために必要とされるポリペプチドの必要量及び形態を産生するために好適である任意の生物中において発現され得る。一般的に、異種DNAを発現するために遺伝子操作され得、そして分泌経路を有する任意の細胞種が好適である。発現宿主は、原核生物及び、真核生物、例えばE.コリ(E.coli)、酵母、植物、昆虫細胞、ヒト細胞株及びトランスジェニック動物を含む哺乳動物細胞を含む。発現宿主は、それらのタンパク質産生レベル、及び発現タンパク質に存在する翻訳後修飾のタイプが異なり得る。発現宿主の選択は、これら及び他の要因、例えば制御及び安全性に対する考慮、産生コスト、並びに精製の必要性及び方法に基づいてなされ得る。
限定されないが、最適化、多量化、修飾及び連結を含むこれらのECDポリペプチド多量体の産生はまた、国際公開第2007/146959号に開示されている方法に従って行われ得、そしてそれは全体として参照により具体的に援用される。
精製
ECDポリペプチド多量体を含む、ECDポリペプチド及びキメラECDポリペプチドは、当技術分野において周知の種々の技術を使用して単離され得る。本明細書において提供される単離ポリペプチド又はタンパク質の一つを得るために、当業者は、ポリペプチド及びタンパク質を単離するための既知の方法に容易に従うことができる。これらは、限定されないが、免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、及びイオン交換クロマトグラフィーを含む。イオン交換クロマトグラフィーの例は、陰イオン及び陽イオン交換を含み、そしてDEAEセファロース、DEAEセファデックス、CMセファロース、SPセファロース、又は当業者に既知である任意の他の同様なカラムの使用を含む。幾つかの好ましい実施形態において、タンパク質精製は、プロテインA、Ni−セファロース、ニッケルHis Trap又は抗EGFRアフィボディ(Affibody)・セファロースを使用することによって達成される。
細胞培養培地からの、又は溶解細胞からのECDポリペプチド又はECD多量体の単離は、キメラECDポリペプチドにおけるエピトープタグ、又はECDポリペプチドのいずれかに対する抗体を使用することによって促進され得、その後免疫沈降法、及びSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を使用した分離を通じて単離され得る。代わりに、ポリペプチド特異的抗体をECDポリペプチドへ結合させ、及び/又はその後、当該抗体をプロテイン−A又はプロテイン−Gへ結合させ、そしてカラムからタンパク質を溶出させることにより、ECD多量体を含む、ECDポリペプチド及びキメラECDポリペプチドが単離され得る。ECDポリペプチドの精製はまた、親和性カラム、又はタンパク質と結合する物質を用いて固定化されたビーズを含み得、その後、当該結合剤からのタンパク質の溶出のためのカラムステップが続く。親和性剤の例は、コンカナバリンA−アガロース、ヘパリン−トヨパール(toyopearl)、又はCibacrom blue 3Gaセファロースを含む。タンパク質はまた、例えば、フェニルエーテル、ブチルエーテル、又はプロピルエーテルを使用する疎水性相互作用クロマトグラフィーによって精製され得る。一つ超のカラムが、より高い純度を達成するために使用され得る。
ECD多量体活性を評価又は観察するためのアッセイ
一般的に、ECD多量体は、一つ以上、通常は二つ以上の同族の細胞表面受容体(CSR)又は他の相互作用CSRにおける一つ以上の生物学的活性を調節する。ECD多量体の生物学的活性を評価するために、インビトロ及びインビボにおけるアッセイが使用され得る。HERのECD多量体の生物学的活性を評価するために、例示的なインビトロ及びインビボにおけるアッセイが、本明細書において提供される。RTK活性におけるECD多量体の効果を試験するためのアッセイは、限定されないが、キナーゼアッセイ、ホモ二量化及びヘテロ二量化アッセイ、タンパク質間相互作用アッセイ、構造アッセイ、細胞シグナルアッセイ、及びインビボ・フェノタイピングアッセイを含む。アッセイはまた、生物学的活性が観測され及び/又は測定され得る疾患モデルを含む、動物モデルの使用を含む。かかるアッセイにおけるECD多量体の用量反応曲線が、生物学的活性の調節を評価するために、及び投与のためのECD多量体の治療的に有効な量を決定するために使用され得る。例示的アッセイは、以下に記載される。
1.キナーゼ/リン酸化アッセイ
キナーゼの活性は、直接的に及び間接的に、検出及び/又は測定され得る。例えば、ホスホチロシンは、RTKのリン酸化を検出するために使用され得る。例えば、RTKのチロシンキナーゼ活性の活性化は、RTKのリガンドの存在中で測定され得る。トランスリン酸化は、抗ホスホチロシン抗体によって検出され得る。トランスリン酸化は、ECD多量体の存在下及び不在下において測定及び/又は検出され得、したがって、RTKのトランスリン酸化を調節するためのECD多量体の能力を測定することができる。簡潔に言えば、RTKを発現する細胞は、ECD多量体へと曝露され、そしてリガンドで処理され得る。細胞は溶解され、そしてタンパク質抽出物(全細胞抽出物又は分画抽出物)は、ポリアクリルアミドゲル上にロードされ、電気泳動によって分離され、そして例えばウェスタンブロッティングのために使用される膜へと移される。抗RTK抗体を用いた免疫沈降がまた、ゲル電気泳動及びウェスタンブロッティングを行う前に、RTKタンパク質を分画及び単離するために使用され得る。膜は、リン酸化を検出するために抗ホスホチロシン抗体を用いて検査され得、並びに全RTKタンパク質を検出するために抗RTK抗体を用いて検査され得る。対照細胞、例えばRTKアイソフォームを発現しない細胞、及びリガンドへ曝露されない細胞は、比較のために同一の手順に従い得る。
チロシンリン酸化はまた、例えば質量分析によって直接的に測定され得る。例えば、種々の濃度のECD多量体を用いて無傷細胞を処理することによって、及びRTKの活性化に対する効果を測定することによって、RTKのリン酸化状態に対するECD多量体の効果が測定され得る。RTKは、免疫沈降によって単離され得、そして質量分析用のペプチド断片を産生するためにトリプシン処理され得る。ペプチド質量分析は、タンパク質のチロシンリン酸化の程度を定量的に決定するための十分に確立された方法である:チロシンのリン酸化は、ホスホチロシンを含有するペプチドイオンの質量を増大させ、そしてこのペプチドが質量分析によって非リン酸化ペプチドから容易に分離される。
2.複合体形成/二量化
複合体形成、例えばRTK及びECD多量体の二量化は、検出され得、及び/又は測定され得る。例えば、単離されたポリペプチドは、共に混合され得、ゲル電気泳動及びウェスタンブロッティングがなされる。RTK及び/又はECD多量体はまた、細胞及び細胞抽出物、例えば全細胞抽出物又は分画抽出物へと添加され得、そしてゲル電気泳動及びウェスタンブロッティングがなされ得る。ポリペプチドを認識する抗体は、単量体、二量体及び他の複合体形態の存在を検出するために使用され得る。代わりに、ラベル化されたRTK及び/又はラベル化されたECD多量体は、アッセイ中において検出され得る。かかるアッセイは、ECD多量体の存在下及び不在下において、RTKのホモ二量化、又は2つ以上のRTKのヘテロ二量化を比較するために使用され得る。アッセイはまた、RTKと二量化するECD多量体の能力を評価するために行われ得る。例えば、HER3 ECD多量体は、HER1のヘテロ二量化する能力を評価され得る。
3.リガンド結合
一般的に、RTKは一つ以上のリガンドと結合する。上で議論された通り、図1はHERファミリーのメンバーと結合する幾つかのリガンドを示す。リガンド結合は、受容体の活性を調節し、したがって例えばシグナル伝達系内へのシグナリングを調節する。ECD多量体へのリガンド結合、及びECD多量体の存在下におけるRTKのリガンド結合が測定され得る。例えば、標識化リガンド、例えば放射性標識リガンドが、ECD多量体の存在下又は不在下(対照)、精製された又は部分的に精製されたRTKへ添加され得る。免疫沈降及び放射化性の測定が、ECD多量体の存在下及び不在下における、RTKと結合するリガンドの量を定量化するために使用され得る。ECD多量体はまた、例えば標識化リガンドと共にECD多量体をインキュベートすることによって、及びECD多量体によって結合される標識化リガンド量を決定することによって、例えば野生型又は対応するRTKの優性形態によって結合される量と比較して、リガンド結合を評価され得る。実施例はまた、リガンド結合を検出する他の方法を列挙している。
4.細胞増殖アッセイ
HER受容体は、細胞増殖に関与する。細胞増殖におけるECD多量体の効果が測定され得る。試験されるべき細胞は通常、標的RTK受容体を発現する。例えばリガンドが、RTKを発現する細胞へと添加され得る。ECD多量体は、リガンド添加の前、同時、又は後にかかる細胞へと添加され得、そして細胞増殖における効果が測定され得る。細胞増殖レベルが、アラマーブルー(Alamar Blue)若しくはクリスタルバイオレット(Crystal Violet)、又は他の類似の染料で細胞を標識化し、その後最適密度測定を行うことによって評価され得る。MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド]がまた、細胞増殖を評価するために使用され得る。増殖剤としてのMTTの使用は、淡黄色のMTTのテトラゾリウム環を切断し、そして細胞膜を透過できないために健常細胞中に蓄積する、暗青色のホルマザン結晶を形成する、生細胞におけるミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ酵素の能力に基づく。洗浄剤の添加による細胞の溶解は、結晶の放出及び溶解をもたらす。生存する増殖細胞の数に直接的に比例する呈色は、分光光度法的手段によって定量化され得る。したがって、リガンドの存在下又は不在下において、ECD多量体と共に、選択された細胞のインキュベーションの後に、MTTは細胞へ添加され得、当該細胞が洗浄剤を用いて溶解され得、そして吸光度を570nmで読み取る。代わりに、増殖実験の前に、3H−トリチウムのような放射活性標識を用いて、又はCFSEのような蛍光標識を用いて、細胞があらかじめ標識化され得る。
5.細胞疾患モデルアッセイ
疾患若しくは病気由来の細胞、又は疾患若しくは病気を再現するために調節され得る細胞が、最適化されたHer3多量体の効果を測定及び/又は検出するために使用され得る。最適化されたHer3多量体は、細胞中に添加されるか又は発現され、そしてECD多量体に曝露されていない細胞又はECD多量体を発現していない細胞と比較して、表現型が測定又は検出される。かかるアッセイは、細胞増殖、転移、炎症、血管新生、病原感染、及び骨吸収における効果を含む効果を測定することによって使用され得る。
6.動物モデル
動物モデルが、最適化されたHer1及び/又はHer3多量体の効果を評価するために使用され得る。例えば、癌細胞の増殖、転移、及び侵襲性におけるECD多量体の効果は、癌の動物モデルで測定され得る。ひとつのかかるアッセイにおいて、インビトロで培養した後の癌細胞、例えば卵巣癌細胞がトリプシン処理され、好適なバッファー中に懸濁され、そしてマウスへと(モデルマウス、例えばBalb/cヌードマウスの側腹部及び肩部へと)注射される。マウスは、癌細胞投与の前、同時、又は後のいずれかで、任意の好適な投与経路(すなわち、皮下、静脈内、腹腔内及び他の経路)で同時投与される。腫瘍の成長は、時間をかけて観測される。類似のアッセイが、他の細胞種及び動物モデル、例えば、マウス肺癌(LLC)細胞、及びC57BL/6マウス及びSCIDマウスを用いて行われ得る。腫瘍成長が、ECD多量体を投与されていないマウスと比較され得、或いはECD多量体の各々の同族受容体又は相互作用受容体を欠損しているマウスと比較され得る。
使用方法
本明細書において開示された組成物は、種々の用途を有する。一つの態様において、ハーモジュリン(Hermodulin)は、癌性細胞の増殖を阻害するために使用され得る。実施例及び図において示されるように、本発明のハーモジュリンは、天然のHer1及び/又はHer3リガンドによって誘導された癌性細胞の増殖を、当業者が予測し得ない程度まで阻害する。最適化されたHer1及び/又はHer1を含むハーモジュリンが、それを必要とする個体、例えば癌を患う個体へ有効量投与され得る。癌は、処置される個体のためになる任意のタイプの癌であり得る。本明細書において処置されるべき癌の例は、限定されないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ系腫瘍を含む。かかる癌のさらなる例は、扁平上皮細胞癌(例えば口腔扁平上皮細胞癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)若しくは胃癌(stomach cancer)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頚癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、食道癌、グリオーマ、結腸直腸癌、子宮内膜癌若しくは子宮癌、唾液腺癌、腎癌若しくは腎臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝細胞癌、肛門癌、陰茎癌、及び頭頚部癌を含む。
それを必要とする個体の別の例は、Her1及び/又はHer3を発現する細胞の異常増殖を患う個体である。ハーモジュリンはまた、腫瘍量を減少させるために、及び/又は腫瘍の成長を阻害するために使用され得る。腫瘍は、限定されないが、癌性腫瘍、血液系腫瘍、及び固形腫瘍を含む、複数の種類の腫瘍を含み得る。本発明のハーモジュリンは、細胞増殖及び/又は遊走に関与するものを含み、病理学的炎症応答、非転移性過剰増殖性疾患に関与するもの、例えば眼症状、皮膚症状、平滑筋細胞の増殖及び/又は遊走から生じる症状、例えば、再狭窄、動脈硬化、膀胱、心臓若しくは他の筋肉の筋肉肥厚、子宮内膜症、又は関節リウマチを含む狭窄症を含む他の症状を処置し及び/又は寛解させるために使用され得る。
本明細書において提供されるハーモジュリンを用いて処置され得る他の疾患は、HERファミリー受容体、又はそのリガンドによって媒介される任意の疾患又は障害、限定されないが、攻撃性(agressiveness)、発育遅延、統合失調症、ショック、パーキンソン病、アルツハイマー病、鬱血性心筋症、子癇前症、神経系疾患、及び心不全を含む。ハーモジュリンの組成物が有する機能的及び生物学的効果に基づく他の用途が、利用可能であるということが、当業者に明らかであろう。本明細書において開示された組成物は、他の薬剤との併用で使用され得る。抗ホルモン組成物、心保護剤(cardioprotectant)、抗癌剤、例えば化学療法剤及び増殖阻害剤、並びに本明細書において説明されている他のものを含む併用療法が、ハーモジュリンと共に使用され得る。
ハーモジュリンは、医薬として許容される組成物として製剤化され得る。当該組成物は、有効な生物学的効果のために好適な手順で投与され得る。これは、任意の好適な投与経路(すなわち、皮下、静脈内、腹腔内、経口、皮内、及び他の経路)によってであり得る。他の場合において、医薬組成物はまた、局所的、局部的、又は全身投与用に製剤化され得る。幾つかの実施形態において、医薬組成物は単回投与用に製剤化される。他の実施形態において、最適化されたハーモジュリンの組成物を含むキットは、本発明の範囲内であることが意図される。幾つかの実施形態において、当該キットは、場合により使用説明書と共にパッケージ化される。当該キットは、ハーモジュリンの単一用量、又は複数用量を含み得る。ハーモジュリンは、一つ以上の、以下のものであり得る:最適化Her1/Her1若しくは最適化Her3/Her3のホモ二量体、Her1/Her3の最適化ヘテロ二量体、又はホモ二量体とヘテロ二量体との混合物。
追加のハーモジュリンを同定、スクリーニング及び製造するための方法
本明細書において提供されるECD多量体に加えて、他の候補ハーモジュリンが同定され得る。ハーモジュリンを同定するための方法、及びそのためのスクリーニングアッセイが本明細書において提供される。リガンド結合、及び/又は受容体二量化、及び/又は連結を阻害するために、分子、例えば小分子およびポリペプチドであって、これらの活性に関与する一つ超のファミリーメンバー上の領域と相互作用するものを同定することによって、ECDサブドメインを標的とする分子を同定するように当該方法は設計される。
かかる治療法は、HER受容体の多重的共発現を有さないHERファミリーの幾つかのメンバーを同時に標的化し得る。
薬理学的に活性な全(pan−)HER治療分子を同定するために使用され得る一つの方法は、リガンド(単数又は複数)とのより高い親和性結合をもたらす,可能な変異を通じて選別するための、コンピュータ支援による最適化技術を使用することである。実施例は、どのようにしてかかるコンピュータ支援最適化技術が使用され得るかについての指針を提供し、そしてコンピュータ支援最適化の使用を用いて作製された最適化Her3の実施例を提供する。例えば、リガンドへの強化された結合を有するHER1、HER2、HER3、又はHER4は、この方法で作製され得、そしてヘテロ二量体、ホモ二量体、及び両方の混合物を製造するための成分として使用され得る。
上で記載された方法で同定されたハーモジュリンが、一つ以上のHER活性を機能的に調節する能力に関して試験され得る。かかる活性は当業者に既知であり、そして本明細書において記載されている。かかるアッセイの例は、リガンド結合、細胞増殖、細胞リン酸化、及び複合化/二量化を含む。したがって、HER分子又はその一部への高い親和性結合に基づく候補として本明細書において同定される任意の候補は、当該候補治療剤が全HER治療特性、すなわちHER活性化に対する阻害特性を有するか否かを決定するためのさらなるスクリーニングアッセイにおいて試験され得る。
以下の実施例は、説明目的のためにのみ含まれ、そして発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1 改善された結合能を有する、遺伝子操作されたHer3
Herファミリー及びそのリガンドを図1に示す。HER1リガンド結合ドメインのコンピュータモデリングを、EGFR−EGF(PDB code IMOX−chain C; Ogiso H et al.Cell(2002)775−787)及びEGFR−TGFa(PDB code 1IVO−chain C,Garrett,T.P.J(2002))の共結晶構造を使用することで行った。コンピュータを用いた再設計、単一アミノ酸変異誘発、ハイスループット・リガンド結合スクリーニングを、及びその後の最適化バインダーの選択を使用することによって、リガンドトラップのHer3部分を結合のために改良した。さらなる実験に関して、発現をスケールアップし、その後幾つかの精製ステップにかけた。
コンピュータによる設計
HER3リガンド結合ドメインのコンピュータ・モデリングを、HER3 ECDの構造情報(PDB code IM6B,Cho 2002,Schwede T,Kopp J,Guex N,and Peitsch MC(2003))を使用して行った。リガンド−受容体相互作用の設計された最適化は、アミノ酸の物理化学的特性及び分類、例えば荷電性、局性、芳香族性などに基づいて行われた。残基の量、表面積、溶媒接近可能性などもまた、考慮された。アミノ酸置換の予測を支援するために、PAM250マトリックスを使用した(W.A Pearson,Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA,in Methods in Enzymology,ed.R.Doolittle(ISBN 0−12−182084−X,Academic Press,San Diego)183(1990)63−98;及び、M.O.Dayhoff,ed.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure,Vol.5)。
実施例2 ハイスループット変異誘発
プルーフ・リーディングDNAポリメラーゼpfu(Invitrogen)を追加した、熱安定性DNAポリメラーゼであるエロンゲース(elongase)によって各々触媒される3連続PCR反応を含む、オーバーラッピングPCRによって、部位特異的変異誘発を行った。HER1:Fc及びHER3:Fc cDNAを、PCR鋳型として使用した。2つの対のプライマーを用いた第一ラウンドのPCRのために設定された条件は、26サイクルに関して、94℃で2分、94℃で45秒、60℃で45秒、68℃で3分であった。第一ラウンドPCRによって生じる、2つのオーバーラッピングPCR断片をゲルで精製し、モル比1:1で混合し、そして第二ラウンドPCRのために使用した。8サイクルに関して、94℃で2分、94℃で45秒、57℃で45秒、68℃で30分の条件を使用して、第二ラウンドPCRは、2つのオーバーラッピングPCR断片をアニールした。第3ラウンドPCRにおいて、第2ラウンドPCRの産物を鋳型として使用した。開始コドンを含む順方向プライマー、及び停止コドンを含む逆方向プライマーの存在下で、PCR増幅を行った。PCR条件は、26サイクルに関して、94℃で2分、94℃で45秒、60℃で45秒、68℃で3分であった。変異を有するPCR産物を、Gateway Systemプラスミド pDONR221(Invitrogen)中にクローニングした。設計された変異を、完全シーケンシングによって確認した。pDONR221における挿入をその後、製造業者の指示書に従って、LR反応によって発現ベクター pcDNA3.2−DEST(Gateway System,Invitrogen)へと移した。
実施例3 タンパク質発現及び精製
リガンド結合スクリーニングに関して、配列を確認したHER1:Fc及びHER3:Fc変異体を、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を使用してHEK293T細胞(ATCC)へと一時的に移した。Fc媒介性HER1/3ヘテロ二量体の発現に関して、HER1:Fc、及びHER3:Fc、又はそれらの変異体をHEK293T細胞へとコトランスフェクトした。無血清条件培地をトランスフェクション後72時間で回収した。HER1:Fc、及びHER3:Fcホモ二量体のレベルを、ヒトHER1又はHER3 ELISA検出キット(R&DSystems)を使用して、製造業者の指示書に従って定量した。Fc媒介性ヘテロ二量体を定量化するために、抗体HER3のコーティングされたELISAプレートを捕獲用に使用し、そしてHER1抗体を検出用に使用した。
HER1/3ヘテロ二量体のスケールアップ発現のために、Pro−CHO5(Lonza,Allendale,NJ)中で維持された対数期CHO−S細胞(Invitrogen)を、8mMのL−グルタミン及び1xHT(Gibco)を添加した、Pro−CHO(Lonza)中、1×106/mLで、Wave Bio−Reactor (GE HealthCare)へと移した。次の日、対応するHER1:Fc及びHER3:Fc cDNAコンストラクトを用いて、細胞をコトランスフェクトした。トランスフェクションは、25kdalの直線状PEI(Polysciences)を12mg/Lで使用することによって達成された。ProCHO5の量は、トランスフェクション後4時間で2倍となった。トランスフェクトされた細胞を、条件培地が採取される以前7日間、Wave Bio−Rector中で維持した。
Fc媒介性HER1/3ヘテロ二量体を、以下の手順を使用して精製した;コトランスフェクトされたCHO−S細胞(Invitrogen)からの条件培地を浄化し、10倍に濃縮し、そしてMabSelect SuReアフィニティ・カラム(GE Healthcare Biosciences AB,Sweden)へとアプライした。カラムを、0.1%(v/v)TX−114を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて高範囲に洗浄し、そしてIgG溶出バッファー(Pierce,Rockville,IL)を用いて溶出された。溶出画分を、1M Tris−HCLを用いて中和し、pH8.0とした。タンパク質含有画分の貯留物をNi−セファロースカラム(GE−Healthcare Biosciences AB,Sweden)へとロードした。25mMのイミダゾールを含有するNi−セファロースバッファーを用いてカラムを洗浄した。結合したタンパク質を、同一バッファー中25〜135nMのイミダゾールのグラジエントで溶出した。ヘテロ二量体のメインピークを、通常80〜125nMのイミダゾールで溶出した。Ni−セファロースカラムからのヘテロ二量体含有画分の貯留物を、PBS中4℃にて完全に透析した。ヘテロ二量体調製物の純度を、分析用逆相HPLCによって決定した。
実施例4 改善されたリガンド結合に関するスクリーニング
Delfia(Perkin Elmer)による、ユーロピウム標識したEGF(Eu−EGF)及びNRG1β(Eu−NRG 1β)の結合のためのスクリーニングを、96ウェル黄色プレート(Perkin Elmer)中で行った。100μlの抗ヒトFc抗体(5ug/mL、Sigma−Aldrich)でウェルを室温(RT)にて一晩コーティングした。コーティングしたプレートを、PBS/0.05%Tween−20(洗浄バッファー,WB)を用いて3回洗浄し、そしてPBS/1%BSAを用いてRTにて2時間ブロッキングした。プレートを、再度WBを用いて3回洗浄した。トランスフェクトされたHEK293T細胞からの条件培地中におけるFc−融合タンパク質を、Delfia結合バッファーを用いて20ng/ウェルの濃度で希釈し、そして各々のウェルへ添加した(100μl/ウェル)。プレートをRTで2時間インキュベートし、その後DELFIA洗浄バッファーで3回洗浄した。当該プレートをその後100μlのEu−EGF(Perkin Elmer)又はEu−NRG1β(PerkinElmerによりカスタムラベル(custom−labeled)されたもの)を用いて、0.5nMの濃度でインキュベートした。当該プレートをRTで2時間インキュベーションした後、0.02% Tween−20を含有する氷冷したDelfia洗浄バッファーを用いて速やかに3回洗浄した。結合したEu−リガンドを定量化するために、130μl/ウェルのDelfia増強(enhancement)溶液を添加し、そして蛍光プレートリーダー(Envision,model 2100,PerkinElmer)で読み取った。
TGFa及びHB−EGF結合に関するスクリーニングを、TGFa及びHB−EGF ELISAキット(R&D System)を使用して行った。1μg/mLの、100μlの抗ヒトFc抗体で、96ウェルプレートをRTにて一晩コーティングした。プレートを洗浄し、そして上記の通りブロッキングした。条件培地中のFc融合タンパク質を、PBS/1%BSAで20ng/ウェルへと希釈し、そしてウェルへ100μl/ウェルにて添加した。プレートを、RTにて2時間インキュベートし、その後WBで3回洗浄した。TGFα及びHB−EGF(R&D Systems)を、PBS/1%BSAを用いて5nMへと希釈し、そして当該プレートへと添加した。当該プレートを、RTにて2時間インキュベートし、その後、氷冷WBを用いて速やかに3回洗浄した。結合されたリガンドを、TGFα又はHB−EGFに対するビオチン化検出抗体を使用して検出した。その後のELISA着色ステップを、製造業者の指示書に従って行った。
条件培地を使用した、固定化HER1/3ヘテロ二量体へのHER1リガンド結合(Eu−EGF、TGFα、及びHB−EGF)のためのスクリーニングの手順は、当該プレートを2μg/mLの抗ヒトHER3抗体(DYC1769)を用いてプレコーティングをすること、及び条件培地からの、100ng/ウェルのFc融合タンパク質を、リガンド結合のために使用することを除いて、上記のEu−EGF、TGFα、及びHB−EGFのためのスクリーニングと同一であった。
246番のチロシンからアラニンへと置換された変異体(Y246A)は、高い親和性を有するとモデリング試験によって予測され、そしてスクリーニングされ、そしてNRG1βと結合することが判明した。先の試験はHer1 ECDを最適化し、HFD120と呼ばれる、T39Sと呼ばれる(又は24残基のシグナル配列を除いてT15Sである)変異体を生じた。種々の変異体の命名を構築し、そして図2及び以下に示す。
Figure 2011500703
この命名を、本明細書を通じて使用する。最適化されたHer1及び/又はHer3を有するこれらの種々のハーモジュリンは、図3に示されるFc一定のリンカー及びFcへと連結された。
例5 リガンド結合アッセイ
種々のHFDコンストラクトを、限定されないが、I125標識リガンド、DELFIA(ユーロピウム標識リガンド)、表面プラズモン共鳴(Biacore)及び等温カロリメトリーを含む標準的リガンド結合を使用してスクリーニングした。飽和結合に関する例示的手順は、以下の通りである:
Euリガンド飽和結合及び置換
Eu−EGF及びEu−NRG1β飽和結合及びEu−EGF置換は、精製ヘテロ二量体を使用し、そしてリガンド結合のために使用されるヘテロ二量体濃度が、アッセイされるリガンドのKDよりも少なくとも10倍低いことを除いて、上記のEU−EGF結合スクリーニングと同一であった(CELL SURFACE RECEPTORS:A SHORT COURSE ON THEORY AND METHODS,Lee E. Limbird,2004)。Eu−EGFとの飽和結合のために、30ng/ウェルのRB200又は2ng/ウェルのRB242を、抗ヒトFcコーティングプレート上に固定化した。Eu−NRG1βとの飽和結合のために、2ng/ウェルのRB200又はRB242を固定化した。所定の非標識競合剤の増大する濃度の存在下、ウェルへと添加されるEu−EGFを用いて(RB200に関しては50nMの、RB242に関しては5nMの濃度で)置換アッセイを行なった。
125−リガンド飽和結合
125I−EGFを、GE−Healthcareから購入した。TGFα及びHB−EGF(R&D Systems)は、GE−Healthcareによって特注にて標識化された。96ウェルアッセイプレートを、5μg/mLの抗ヒトFc抗体を用いてコーティングした。コーティングしたプレートを、上記の通り洗浄かつブロッキングした。20ng/ウェルへと希釈された条件培地又は精製タンパク質を、抗ヒトFcコーティングウェルへと固定化した。125Iリガンドの増大する濃度を、飽和結合に達するために使用した。結合後、結合された125I−リガンドを用いて洗浄されたウェルを、100μl/ウェルのシンチレーションカクテルOptiPhase「SuperMix」(PerkinElmer,Waltham,MA)を用いて覆い、そしてMicrobeta Trilux(PerkinElmer)で読み取った。
Her3最適化を、NRG1β1(本明細書においてNRGβ1とも呼ばれる)への結合によって決定した。図4は、最適化Her1及びHer3分子に関するオン−オフ速度の測定データを示す。図5は、HFD300及びHFD300.1に対する結合親和性を示す。
RB242.1Bを結合親和性に関して試験し、当該結果(図6)は、リガンド結合におけるHER1とHER3との間の拮抗作用を克服することを示した。HER1リガンドに関するその親和性に関して、RB222.1よりも30倍超高い改善がなされた。
図13は、RB200のリガンド結合親和性が、ハイスループット合理的変異誘発工程を通じて最適化されたことを示す。HER1及びHER3リガンドの両方に関して1nM未満の親和性を有する、最適化ハーモジュリン変異体RB242が同定された。他のHERリガンド、例えばTGF−α及IIBEGFへのRB242の結合を、Eu−EGFに対する競合的結合によって評価した。異なるリガンドへの結合におけるRB242vs.RB200の比較は、多重決定に基づくKd及びBmaxにおける倍数改善として表現される。
図17(上のパネル)はまた、RB242が、改善されたリガンド結合親和性を有することを示す。
例6 ハーモジュリンホモ二量体を用いたRTKリン酸化の阻害
最適化Her3コンストラクトを、それらがHer3のNRG刺激リン酸化を阻害出来るか否かを調べるために試験した。図7は、HER3リン酸化のハーモジュリンホモ二量体阻害に関して試験する実験からの結果を示す。示される通り、HFD320.1は、HFD300よりも42倍の予期しない改善を示した。
実施例7 ハーモジュリンヘテロ二量体によるリン酸化の阻害
ハーモジュリン・ヘテロモジュリン(heteromodulin)の種々のコンストラクトを、リン酸化におけるそれらの効果を決定するために試験した。ホスホチロシンELISAを行った。簡潔に言えば、血清飢餓細胞を、0.1%BSA及び所定の阻害剤を含む、50μl/ウェルDMEMを用いて37℃で30分間前処理した。この後、3nM EGF又は1nM NRG1β1のいずれかを用いて、10分間37℃にて細胞刺激した。その後、細胞を有するプレートを氷上に置き、氷冷したPBSを用いて1回洗浄し、そしてホスファターゼ阻害剤カクテルを含む溶解バッファーを用いて溶解した。プレートシェーカー上にて、20μlのプロテインA−セファロースビーズスラリーを用いて、4℃で一晩のインキュベーションにより細胞溶解物を洗浄した。ビーズをその後除去し、そして上清をホスホチロシンELISAのために使用した。ELISAのためのHER1及びHER3捕獲抗体プレートを、以下の通りに調製した:96ウェルアッセイプレートを、0.4μg/mLの抗ヒトEGFR抗体(#AF231)又は4μg/mLの抗ヒトErbB3 DuoSet IC(#DYC1769)を用いてコーティングした。コーティングされたプレートを、2%ウシ血清アルブミン及び0.05%Tween−20のPBS液を用いて、RTにて2時間ブロッキングした。上で処理された細胞溶解物(75μl)を、コーティングされた個々のウェルへと移し、撹拌しながら4℃にて一晩インキュベートし、その後WBを用いて4回洗浄した。HERタンパク質におけるチロシンリン酸化を、製造業者の指示書に従って希釈された、100μl/ウェルの抗ホスホチロシン−HRP複合体(R&D Systems)の、2%BSA含有PBS液を用いて検出し、そしてRTにて2時間インキュベートした。当該プレートを、WBを用いて4回洗浄し、その後100μl/ウェルのTMB基質を用いて着色させ、その後100μl/ウェルのTMBに対する停止試薬を使用した(いずれもSigma−Aldrich製)。着色時間を、着色されたプレートの最適密度が0.5〜1.0の範囲となるように変化させた。当該プレートを、VERSAmaxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)によって650nMにて読み取った。
図8は、ハーモジュリンヘテロ二量体による受容体リン酸化の相対的阻害を試験する、これらの実験の結果を示す。図8において示されるように、EGFについてのヘテロ二量体間において違いはない。TGF−aに関しては、RB220は最も有効であったが、HB−EGFに関して、ヘテロ二量体間において最小の違いを有する。NRGに関して、RB202.1が最も強力であるが、一方でRB200.1及びRB222.1は、RB200又はRB220よりも効果的である。
リガンド結合部位の数に関して正規化した時、その結果を図9に示し、ここでヘテロ二量体はホモ二量体と比較される。計算がリガンド結合部位の数に関して正規化される時、表はEC50における倍数改善を示す。予想外のことだが、これらの結果は、HFD100と対になったとき、HFD320.1配列がHF300よりも15倍超活性であることを示し、そしてHF120と対となったとき、HF300.1と同等であることを示す。HFD100配列は、二量化パートナーによって影響されないが、HFD120配列活性は、HFD320.1と対になったとき、HFD300と比較して減弱される。HFD300.1は試験されなかった。したがって、当該結果は、種々のECD対に関して、対の組み合わせがヘテロ二量体の活性に影響を及ぼし得ることを示す。図10は、当該対がヘテロ二量体活性に影響し得ることを示す、種々のECD対に関する平均の倍数改善の結果を示す。
図17(真ん中のパネル)は、RB242が、GF依存的HERリン酸化の阻害において、RB200よりも強力であることを示す。
実施例8 NRG誘導性細胞増殖のハーモジュリン阻害
異なる細胞株を、リガンド誘導性増殖におけるハーモジュリンの効果に関して試験するために使用した。細胞増殖試験を無血清培地中で行った。細胞を、96ウェル組織培養プレート(Falcon#35−3075,Becton Dickinson,NJ)に、細胞株に好適であるように、100μl培養培地中、2000〜5000細胞/ウェルで置き、その後一晩(15〜18時間)増殖させた。当該細胞をその後、24時間血清飢餓状態とし、そして所定の阻害剤の増大する濃度下において3日間、3nMのEGF又はNRG1βで処理した。細胞増殖をMTSアッセイにより定量化した。当該プレートをその後、490nmの波長で吸光度を読み取り、そしてそれはウェル中の細胞量と正比例した。
図11は、NRG誘導性MCF7増殖の阻害を試験する実験結果を示し、一方で、図12は、NRG誘導性T47D増殖の阻害を試験する実験結果を示す。NRG誘導性増殖に関して、RB222.1は最もよく作用し、それにHFD320.1及び1:1混合物が続いた。RB200は、MCF7細胞のEGF誘導性増殖を阻害するが、NRG誘導性細胞増殖に関するその効果に関して、それは当該群の中で最も効果がなかった。
図14は、ハーモジュリンがリガンド誘導性細胞増殖を阻害し得ることを示す。RB200又はRB242の増大する量の存在下、BxPC3膵臓癌細胞を、3nMのTGF−α(A)又は3nMのNRG1−β1(B)で3日間処理した。細胞増殖をMTSアッセイによって定量化した。当該データを、TGFα又はNRG1−β1単体で刺激した対照細胞と比較した場合の、細胞増殖のパーセント阻害として表現した。8つの複製試料の平均±SEMである。図17(下のパネル)はまた、RB242.1がGF誘導性細胞増殖の強力な阻害剤であることを示す。
実施例9 ハーモジュリンの薬物動態分析
げっ歯類モデルにおける、最適化Her3を有するものを含む全ハーモジュリンコンストラクトの血漿濃度を、ハーモジュリン特異的ELISAによって分析し、そしてそれは抗HER1(AF231,R&D System)及び抗HER3(AF234,R&D Systems)抗体を捕獲剤(capture)として使用し、HRP複合化抗ヒトFc抗体(Bethyl Laboratories)を無傷体循環(systemic circulation intact)に達する投与量を示すためのリポーターとして使用した。バイオアベイラビリティ、クリアランス率、および血漿半減期をその後計算した。RB200に関して、RB200の絶対的バイオアベイラビリティは、以下の式を使用することによって、マウスに15〜30mg/kgのIP投与後における、体循環中のRB200のアベイラビリティを測定する。:
Figure 2011500703
ここで、AUCは曲線化面積である。この計算から、推定FRB200hは、90%超であると決定された。高いバイオアベイラビリティに加え、RB200はまた、低い分布容積、及びFc融合タンパク質及び他の治療用モノクローナル抗体に関する予測と一致する延長された消失半減期を示す。他のハーモジュリンに関する計算が、バイオアベイラビリティ及び消失半減期を決定するために、同様の方法で行われる。図15及び16は、ラット及びヌードマウス中における種々のハーモジュリンの血漿濃度、並びに計算された薬物動態パラメータを示す。
実施例10 Her1及びHer3の最適化
以下の表は、Her1に関して、及びその同族リガンドへの結合活性が試験された,幾つかの設計された変異を示す。
Figure 2011500703
Figure 2011500703
Figure 2011500703
Her3に関して、試験された幾つかの変異は以下の通りである:
Figure 2011500703
Figure 2011500703
Figure 2011500703
Figure 2011500703
実施例11 最適化HER3:Fcは、最適化EGFRによるリガンド結合を抑制する。
EGFRT15S:Fcを、HEK293T細胞中においてHER3Y246A:Fcと共に共発現し、そして生じるヘテロ二量体(RB222)を約95%の均一性になるまで精製した。リガンド結合は、RB222が、元のヘテロ二量体RB200と比較して、125I−NRG1−βに関して改善された親和性を保持することを示した(1.6nM対12.3nMのKd)。しかし、RB222は、EGFRリガンドに対して改善された親和性を保持しなかった。図18に示すように、ヘテロ二量体RB200及びRB222の各々は、125I−NRG1−aに関して見かけ上、Kd>30nMを有した(結合は、100nMの125I−NRG1−aで飽和しなかった)が、EGFRT15S:Fcホモ二量体は、同一のリガンドに対して、約1.0nMのKdを示した。したがって、HER3 ECDは、それらがFc媒介性ヘテロ二量体中に固定されるとき、EGFR ECDの高親和性結合を抑制する。
実施例12 G564S変異は、RB222へのEGFRリガンドの高親和性結合を回復する。
ヘテロ二量体RB222への高親和性EGFRリガンド結合を回復するために、さらなる単一の変異を、RB222サブドメインII/IV連結領域上に集中するRB222のEGFRアームへと導入した。先立った精製無しに条件培地中においてEGFR/HER3ヘテロ二量体へのEGFRリガンド結合に対する効率的なスクリーニング方法が利用された。条件培地中におけるEGFR/HER3:Fcヘテロ二量体及びHER3:Fcホモ二量体は、抗ヒトHER3(ECD特異的)抗体でプレコーティングされた96ウェルプレートの表面上に固定化された。この後、EGFRリガンドを、固定化されたEGFR/HER3:Fcヘテロ二量体へと結合させた。この方法の重要な利点は、ヘテロ二量体及びホモ二量体の混合物を含む条件培地が、混入しているホモ二量体の除去無しに、ヘテロ二量体特異的EGFRリガンド結合に対して直接的にスクリーニングされ得ることである。
10個のヘテロ二量体変異体をコーティングし、そしてこの方法を使用してスクリーニングした。回復された高親和性EGFRリガンド結合を示す、自己抑制性連結のサブドメインIVに位置するG564S変異を有する変異RB242を回収した。RB242をその後、約95%の均一性になるまで精製し、そしてそのリガンド結合親和性をアッセイした。
上で行われた全ての初期リガンド親和性スクリーニングにより、見かけのKd値の獲得及び比較が可能となった。真のKdを決定するために、アッセイされたリガンドに関して、アッセイされた受容体の濃度が、測定されたものよりも少なくとも10倍低い飽和結合を較正するための出発点として、見かけのKdを使用した。この数学的関係に従って結合アッセイを行った時、RB242は、Eu−EGFに対する親和性において、RB200よりも10倍の改善を示し(1.0nM対9.5nMのKd)、そしてEu−NRG1−βに対する親和性において31倍の改善を示した(0.1nM対3.1nMのKd、図19A及びB)。非標識TGF−a又はHB−EGFによって、Eu−EGF結合を置換するために、競合的リガンド結合を行った。これらのリガンド置換アッセイにおいて、RB242は、TGF−aに関する親和性において34倍の改善を示し(0.5nM対17.0nMのKi)、そしてHB−EGFに関する親和性において16倍の改善を示した(1.3nM対20.1nMのKi、図19C及びD)。
精製RB200及びRB242を、EGFR及びHER3リン酸化を阻害する能力に関してアッセイした。RB200又はRB242による、リガンド誘導性EGFRリン酸化の用量依存性阻害が、N87細胞及びMCF7細胞において示された。増大したリガンド結合親和性によって示唆されたように、RB242は、EGF誘導性EGFRリン酸化の阻害において、RB200よりも65倍強力であり(1.8nM対117.3nMのEC50)、そしてTGF−a−誘導性EGFRリン酸化の阻害において10倍より強力であった(19.4nM対199.0nMのEC50)。同様に、RB242は、MCF7細胞中のNRG1−β誘導性HER3リン酸化阻害において、RB200よりも15倍強力であった(1.7nM対25.1nMのEC50)。
実施例13 培養腫瘍細胞の増殖阻害において、RB242は、RB200よりも強力である。
培養単層腫瘍細胞の増殖における、RB200及びRB242の効果を比較した。BxPC3膵臓癌細胞の増殖は、無血清培地中、TGF−a又はNRG1−βによって誘導された。増殖因子誘導性BxPC3増殖は、用量依存的にRB200又はRB242によって阻害された(図20A、上部パネル)。3日間の増殖アッセイにおいて、推定EC50は、TGF−a又はNRG1−β誘導性増殖の阻害に関して、RB242がRB200よりも約5倍強力であることを示した。200%の阻害が、RB242処理BxPC3細胞において見られた。これはおそらく、RB242によって阻害された、無血清条件下におけるBxPC3細胞の増殖に起因する。同様に、血清飢餓MCF7乳癌細胞が、NRG1−βによって増殖するように誘導された;この増殖は、RB200又はRB242によって阻害された(図20A、左下のパネル)。5日間増殖アッセイにおいて、推定のEC50は、RB200よりも7倍強力であることを示した。ヒトH1437NSCLC細胞の増殖を、増殖培地(RPMI1640/10%FBS)中、RB200又はRB242の増大する濃度を用いて分析した。図20A(右下のパネル)に示されるように、5日間増殖アッセイにおいて、RB242は、RB200よりも約5倍強力であった(18.9nM対100.7nMのEC50)。
実施例14 RB242は、ヒト非小細胞肺癌マウスモデルにおいて、改善された抗腫瘍活性を示す。
RB200及びRB242のインビボ有効性は、ヒトH1437NSCLC細胞由来の腫瘍を生じるヌードマウスにおいて比較された。マウス腫瘍異種移植モデルを使用した:H1437非小細胞肺癌(NSCLC)腫瘍異種移植試験を、雌のCD−1nu/nuヌードマウスにおいて行った。有効性試験を、9匹のマウス群において行った。H1437細胞を、RPMI1640/10%FBS中において維持した。細胞を、0.025%EDTAと共に採取し、培養培地を2度洗浄し、滅菌PBS中に再懸濁し、その後100μl中6×106細胞で、マウスへと皮下注射した。キャリパーを使用して腫瘍測定を行い、そして腫瘍量を長さ、幅、及び断面積から計算した。平均腫瘍量が約100mm3に達したときに処置を開始した。RB200又はRB242を、12mg/kg i.p.で150μl、週に3回で3週間、マウスに投与した。OLAW実験動物の人道的管理と使用に関する米国公衆衛生局規範(Public Health Service Policy on Humane Care and use of Laboratory Animals)(1996)の規制ガイドラインに従って(当該規範は、実験動物の管理及び使用に関するガイド中に説明されている)、そしてPalo Alto Medical FoundationのIACUCに従って、実験を行った。マウス腫瘍異種移植実験からの結果を、Bonferroni’s post−testを用いた二元分散分析(two way ANOVA)を使用して分析した。
RB200及びRB242が、インビトロにおいて直接的な抗増殖活性を示すために、このマウス腫瘍モデルを一部で選択した(図20A右下)。H1437細胞を皮下注射し、そして処置開始前に約100mm3まで増殖させた。このモデルにおいて、12mg/kgで投与されたRB200は、確立された腫瘍の増殖阻害傾向を示した(図20B;P>0.05)。同一用量で投与された場合、RB242は、2週間の処置後において、腫瘍増殖の約50%阻害を有する、改善された抗腫瘍活性を示し(P<0.01)、そしてそれは培養された腫瘍細胞における向上された阻害活性と一致する(図20A)。

Claims (31)

  1. Her3由来の細胞外ドメイン(ECD)であって、その同族リガンドへの結合を改善するために最適化された前記細胞外ドメインを含む多量体。
  2. 前記Her3 ECDが、Y246A変異を含む、請求項1に記載の多量体。
  3. 前記Her3 ECDが、132番目においてリシンを含む、請求項1又は2に記載の多量体。
  4. 前記Her3 ECDが、K132E変異体である、請求項1に記載の多量体。
  5. 前記Her3 ECDが切断されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多量体。
  6. Her1由来のECDをさらに含む、請求項1に記載の多量体。
  7. Her1由来の細胞外ドメイン(ECD)であって、その同族リガンドへの結合を改善するために最適化された前記細胞外ドメインを含む多量体。
  8. 前記Her1 ECDがT15S変異を含む、請求項7に記載の多量体。
  9. G564S変異をさらに含む、請求項8に記載の多量体。
  10. Y246A変異を含むHer3 ECDをさらに含む、請求項9に記載の多量体。
  11. 前記Her1 ECDがドメイン4の欠失を含む、請求項7に記載の多量体。
  12. 前記Her1 ECDが、S193N、E330D、及びG588Sからなる群から選択される一つ以上の変異を含む、請求項7に記載の多量体。
  13. Her1ホモ二量体を含む組成物であって、前記Her1が、その同族リガンドへの結合を改善するために最適化されている、前記組成物。
  14. 前記Her1が、T15S、G564S、ドメイン4欠失、S193N、E330D、及びG588Sからなる群から選択される一つ以上の変異を含む、請求項13に記載の組成物。
  15. 前記Her1が、T15S及びG564S変異を含む、請求項13に記載の組成物。
  16. Her3ホモ二量体を含む組成物であって、前記Her3が、その同族リガンドへの結合を改善するために最適化されている、前記組成物。
  17. 前記Her3がY246A変異を含む、請求項16に記載の組成物。
  18. Her3変異体及びHer1変異体のヘテロ二量体を含む組成物であって、前記の両方の変異体が、その同族リガンドへの結合を改善するために最適化されている、前記組成物。
  19. 前記Her1変異体が、T15S、G564S、ドメイン4欠失、S193N、E330D、及びG588Sからなる群から選択される一つ以上の変異を含む、請求項18に記載の組成物。
  20. 前記Her1変異体が、T15S及びG564S変異を含む、請求項18に記載の組成物。
  21. 前記Her3変異体が、Y246A、K132E、及びK132からなる群から選択される一つ以上の変異を含む、請求項18に記載の組成物。
  22. 前記Her3変異体が、Y246A変異を含む、請求項20に記載の組成物。
  23. Her1若しくはHer3、又はそれらの両方と結合したFc受容体をさらに含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物。
  24. Her1/Her1ホモ二量体、Her1/Her3ヘテロ二量体、及びHer3/Her3ホモ二量体の混合物を含む組成物であって、前記Her1及び/又は前記Her3成分が、リガンド結合を改善するために最適化されている、前記組成物。
  25. 前記Her1変異体が、T15S、G564S、ドメイン4欠失、S193N、E330D、及びG588Sからなる群から選択される一つ以上の変異を含み、前記Her3変異体が、Y246A、K132E、及びK132からなる群から選択される一つ以上の変異を含む、請求項24に記載の組成物。
  26. 前記Her1変異体がT15S及びG564S変異を含み、そして前記Her3変異体がY246A変異を含む、請求項24に記載の組成物。
  27. 薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の組成物。
  28. 癌細胞と、Her1変異体及びHer3変異体を含む組成物とを接触させることを含む、前記癌細胞の増殖を阻害する方法であって、前記Her1成分及び/又は前記Her3成分が、リガンド結合を改善するために最適化されている、前記方法。
  29. 前記Her1変異体がT15S及びG564S変異を含み、前記Her3変異体がY246A変異を含む、請求項28に記載の方法。
  30. 癌細胞と、Her1変異体及びHer3変異体を含む組成物とを接触させることを含む、腫瘍量を減少させる方法であって、前記Her1成分及び/又は前記Her3成分が、リガンド結合を改善するために最適化されている、前記方法。
  31. 前記Her1変異体がT15S及びG564S変異を含み、前記Her3変異体がY246A変異を含む、請求項30に記載の方法。
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