JP2011259588A - 楔型引留クランプ取付方法及び構造 - Google Patents

楔型引留クランプ取付方法及び構造 Download PDF

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Fumiyoshi Hashimoto
文由 橋本
Eiji Nishida
英司 西田
Mitsuo Inoue
充男 井上
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Abstract

【課題】簡単な構造により弦度のばらつきがなくヒレ付き電線及び螺旋溝付き楔に対応して取り付け可能な楔型引留クランプ取付方法及び構造を提供する。
【解決手段】 支持物の碍子4と電線を引っ張る緊線工具6との間に取付けたクランプ本体12を片持ち支持状態で電線を挿通させて固定する楔型引留クランプ取付方法及び構造であって、この電線がヒレ付き電線2であり緊線工具6で引っ張った後に楔13の取り付け位置をヒレ付き電線2の引っ張りにより調整できない場合に碍子4に連結板14を連結させたコッタ部材17と緊線工具6にクランプ本体12の緊線リンク11を連結させたYコッタ部材20とをお互い引き寄せる伸縮工具30を介在させて取り付ける段階と、当該伸縮工具30によりコッタ部材17とYコッタ部材20とをお互い引き寄せてヒレ付き電線2に対してクランプ本体12を前進させて楔13の取り付け位置を調整する段階と、を備える。
【選択図】 図3

Description

本発明は、楔型引留クランプ取付方法及び構造に係り、より詳細には、電線の緊線作業時に電線をクランプ本体に挿通させて楔により固定させて鉄塔などの支持物に係止させる楔型引留クランプ取付方法及び構造に関する。
本出願人は、鉄塔などの支持物に碍子を介して電線を引き留める楔型引留クランプとして、一対のC形断面対向片を蝶番結合させて開閉するクランプ本体を備え、この一端の連結板を支持物からの碍子に連結し、他端の緊線リンクを緊線作業時の電線に連結させて、クランプ本体が支持物側と電線側との間で引っ張られた状態で電線を通して(抱持して)楔で固定可能にすることで、当該クランプ本体を電線が緊線に近い状態で取り付けでき、電線位置のばらつきや弦度のばらつきを抑えて短時間で取り付けられる楔型引留クランプを既に出願している(下記の特許文献1参照。)。
前述した構造による従来の楔型引留クランプの一実施形態を、図4〜図8を参照して説明する。図4は、従来の楔型引留クランプの一実施形態を示す構成図である。また、図5は、図4に示した楔型引留クランプを用いて電線1を支持物3に引留める途中の状態を示す図である。また、図6は、図5に示したクランプ本体42を片持ち支持にして電線1を通す状態を示す図である。また、図7は、図6に示した電線1に楔43を取り付ける動作を示す動作説明図であって、図7(a)はクランプ本体42に電線1を通した状態を、図7(b)は楔43の取り付け位置を電線1に印Aした状態を、図7(c)は電線1の印A位置に楔43を取り付ける状態を各々示している。また、図8は、図7に示した電線がヒレ付電線2である場合の楔13との関係を示す図である。
図4に示すように、従来の楔型引留クランプの一実施形態は、電線1(図5参照)の緊線作業時に一対のC形断面対向片42aを蝶番42b結合させて開閉する内部に電線1を抱持させるクランプ本体42と、このクランプ本体42とこれに抱持した電線1との上下隙間に圧入させて両者を固定可能な一対の楔43と、クランプ本体42の蝶番42bを中心にした両側部に各々一端が回転自在に支持されて延在して他端が鉄塔などの支持物3の碍子4(図5参照)に係止される一対の連結板44と、を備えている。また、従来の楔型引留クランプは、支持物3(図5参照)へ係止される一対の連結板44端の間に介在して係止ボルト46aを貫通させてナット46bの締結により連結板44と共に一端を固定させて他端を支持物3からの碍子4に連結させるコッタ部材47と、一対の連結板44いずれか片方をコッタ部材47と共に長く延在させた長連結板44a及び延在してない短連結板44bを有してコッタ部材47が碍子4に連結させる途中で当該長連結板44aとコッタ部材47とを貫通してお互いのズレを抑えて一体固定させるコッタピン48と、支持物3へ係止させる連結板44方向と反対方向のクランプ本体42の先端側面に取付けられて支持物3へ電線1を引っ張る緊線工具6(図5参照)に連結させて支持物3と電線1との間にクランプ本体42を取付けるための緊線リンク41と、を備えている。
このような従来の楔型引留クランプを用いて、鉄塔などの支持物の間に電線を引き留める場合、図5に示すように、所定の支持物3(図5の右側)に碍子4を介して連結したクランプ本体41内に電線1を引留め、この電線1を新たな支持物3(図5の左側)まで引っ張って更なるクランプ本体42に挿通させて楔13により固定する。
ここで、支持物3の碍子4に連結されたクランプ本体42に電線1を通して(挿通させて)引留める場合、図5に示した緊線工具6を用いて取付作業を行う。この緊線工具6は、従来周知の技術であって、電線1を把持するカムロング6cと、このカムロング6cに連結して引き寄せる緊線ワイヤ6aと、この緊線ワイヤ6aを支える金車6bとからなり、当該金車6bの一端側を前述した碍子4に連結したクランプ本体42の緊線リンク41に接続している。そして、図5に示した緊線工具6の緊線ワイヤ6aを、支持物3側で引っ張って、電線1を図5の点線で示した所望の弦度に調節した後、クランプ本体42に挿通させて固定する。
この際、クランプ本体42は、図6に示すように、碍子4と緊線工具6との間で連結された状態で、係止ボルト46a及びナット46bを外すことで長連結板44aだけで片持ち支持の状態になり、短連結板44bが自由になりクランプ本体42を開閉させて内部に電線1を挿通させることができる。そして、再び係止ボルト46a及びナット46bを締結させることで、図5に示した電線1をクランプ本体42内に通す工程が完了する。即ち、図6に示したコッタピン48による位置決めを有することで、係止ボルト46aが容易に抜けて、長連結板44aだけで片持ち支持の状態が維持できる。
このように電線1がクランプ本体42内に挿通されると、図7に示すように、楔43を取り付けてクランプ本体42内に電線1を固定する工程を実行する。
まず、図7(a)に示すように、ランプ本体42内に電線1を通した後、緊線ワイヤ6aを引っ張って、図5の点線で示した所望の弦度に維持されているかを確認する。その後、図7(b)に示すように、電線1を引っ張って、楔43を装着した際に、図5の点線で示した弦度が維持される楔43の取り付け位置を確認し、その位置に図7(b)に示した印Aを付ける。この図7(b)に示した印Aの位置ではクランプ本体42が邪魔であって楔43を取り付けることができないため、図7(c)に示すように、電線1を更に引っ張って(この場合、大きな引張力が必要なため巻き上げ機などを用いて巻き上げて)後方に若干、印Aの位置を移動させる。これにより、図7(c)の点線で示した一対の楔43を取り付けることができ、クランプ本体42に圧入することで電線1を固定できる。その後、緊線工具6を取り外すことで、クランプ本体42により鉄塔などの支持物3に電線1を引留めることができる。
しかしながら、従来の楔型引留クランプでは、図8に示したように、ヒレ2aを有して支持物3に緊線状態に付設した後にも風による振動を防止するヒレ付き電線2を用いる場合があり、この際、楔13に螺旋溝13aを設けて、ヒレ付き電線2のヒレ2aが嵌入するように形成した構造がよく知られている(下記の特許文献2参照。)。
このようなヒレ付き電線2及び螺旋溝13a付き楔13を採用すると、図7(c)に示した印Aの位置に合わせて楔13を取り付ける場合、ヒレ2aと螺旋溝13aとの嵌合位置によって、楔13の取り付け位置が印Aの位置よりズレてしまうという不具合があった。また、図7(c)に示した電線は、図7(a)及び図7(b)に示した状態に比べて、十分に引っ張られた状態のため、この状態から電線(ヒレ付き電線)2を更に引っ張って印Aの位置を調整することは困難であるという不具合があった。
特願2010−126174 特開平8−205369号公報
このように、従来の楔型引留クランプでは、図8に示したヒレ付き電線2及び螺旋溝13a付き楔13を採用した場合、当該楔13を取付ける図7(c)に示した印Aの位置に合わせた取り付けができない場合があり、この場合、ヒレ付き電線2を引っ張ることもできないため、このヒレ付き電線2の弦度出しが困難になるとともに、取り付け後の電線位置のばらつきや弦度のばらつきが生じるという不具合があった。
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、その目的は、簡単な構造により弦度のばらつきがなく、ヒレ付き電線及び螺旋溝付き楔、さらに径間長が短くて電線を引っ張り込めないときに対応して取り付け可能な楔型引留クランプ取付方法及び構造を提供することにある。
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、
(1):一対のC形断面対向片を蝶番結合させて開閉するクランプ本体の両側部で回転自在に支持させて延在する一対の連結板の遊端を鉄塔などの支持物の碍子に連結させ、このクランプ本体の先端の緊線リンクに電線を把持して引っ張る緊線工具の端部を連結させることで、支持物と電線との間にクランプ本体が取付けられ、このクランプ本体を碍子に連結した一対の連結板いずれか一方を外して片持ち支持の状態でクランプ本体を開閉させて内部に緊線工具で引っ張った電線を挿通させて閉めた上下隙間に楔を圧入させて引き留める楔型引留クランプ取付方法であって、電線がヒレ付き電線であり緊線工具により引っ張った後に楔の螺旋溝にヒレを嵌合させて取り付ける位置をヒレ付き電線の引っ張りにより調整できない場合に碍子に連結板を連結させた連結部と緊線工具にクランプ本体の緊線リンクを連結させた連結部とをお互い接続させて引き寄せることが可能な伸縮工具を介在させて取り付ける段階と、当該伸縮工具により連結部をお互い引き寄せてヒレ付き電線に対してクランプ本体を前進させて楔の螺旋溝への取り付け位置を調整する段階とを備える。
また、本発明の楔型引留クランプ取付構造は、(2):電線の緊線作業時に一対のC形断面対向片を蝶番結合させて開閉する内部に電線を抱持させるクランプ本体と、クランプ本体とこれに抱持した電線との上下隙間に圧入させて両者を固定可能な一対の楔と、クランプ本体の蝶番を中心にした両側部に各々一端が回転自在に支持されて延在して他端が鉄塔などの支持物の碍子に係止される一対の連結板と、支持物へ係止される一対の連結板端の間に介在して係止ボルトを貫通させてナットの締結により連結板と共に一端を固定させて他端を支持物からの碍子に連結させるコッタ部材と、一対の連結板いずれか片方をコッタ部材と共に長く延在させてコッタ部材が碍子に連結させる途中で当該延在した連結板とコッタ部材とを貫通してお互いのズレを抑えて一体固定させるコッタピンと、支持物へ係止させる連結板方向と反対方向のクランプ本体の先端側面に取付けられて支持物へ電線を引っ張る緊線工具に連結させて支持物と電線との間に前記クランプ本体を取付けるための緊線リンクと、を備えた楔型引留クランプにおいて、電線がヒレ付き電線であり楔にヒレを嵌合させる螺旋溝が形成され、コッタ部材には、一対の連結板の間に挟持させて固定した上方に一体に突出して延在する延在部を有して緊線リンク及び緊線工具の連結部に接続させて引き寄せるための転結穴を開口させて設けるとともに、当該緊線リンクと緊線工具との連結部には、緊線工具の一端に接続されて他端側が二股に分かれて延在して緊線リンク及びコッタ部材を各々接続可能なYコッタ部材と、このYコッタ部材とコッタ部材とを接続させた間に介在されてお互いを引き寄せることが可能な伸縮工具と、を備える。
以上、本発明による楔型引留クランプ取付方法及び構造によれば、ヒレ付き電線に対してもクランプ本体を前進させて楔の螺旋溝への取り付け位置を調整でき、ヒレ付き電線の弦度出しが容易になるとともに、取り付け後の電線位置のばらつきや弦度のばらつきが生じることを防止できる。また、電線位置のばらつきや弦度のばらつきを防止できるため、ヒレ付き電線をクランプ本体により鉄塔などの支持物に短時間で取り付けることが可能になり、電線の付設作業が向上する。
本発明による楔型引留クランプ取付構造の一実施形態を示す構成図。 図1に示した楔型引留クランプを支持物に取り付ける際の状態を示した図。 図1に示した楔型引留クランプ取付構造を用いてヒレ付き電線を引留める取付方法を示す図。 従来の楔型引留クランプの一実施形態を示す構成図。 図4に示した楔型引留クランプを用いて電線を支持物に引留める途中の状態を示す図。 図5に示したクランプ本体を片持ち支持にして電線を通す状態を示す図。 図6に示した電線に楔を取り付ける動作を示す動作説明図。 図7に示した電線がヒレ付電線である場合の楔との関係を示す図。
次に、添付図面を参照して本発明による楔型引留クランプ取付方法及び構造の一実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明による楔型引留クランプ取付構造の一実施形態を示す構成図である。また、図2は、図1に示した楔型引留クランプを支持物に取り付ける際の状態を示した図であり、図2(a)は上面図を、図2(b)は側面図を、各々示している。また、図3は、図1に示した楔型引留クランプ取付構造を用いてヒレ付き電線2を引留める取付方法を示す図であり、図3(a)はクランプ本体12にヒレ付き電線2を通した状態を、図3(b)は伸縮工具6により引き寄せた状態を、図3(c)は楔13を取り付ける状態を、各々示している。尚、図3に示した楔及び電線は、図8に示した螺旋溝13aを有した楔13及びヒレ付き電線2と同一の構成要素であり、同じ構成要素には同一の符号を記載する。
図1に示すように、本発明による楔型引留クランプ取付構造の一実施形態は、図4に示した従来技術と同様の楔型引留クランプ10と、この取り付け作業に用いる伸縮工具30及びYコッタ部材20と、を備えて構成されている。
この楔型引留クランプ10は、一対のC形断面対向片12aを蝶番12b結合させて開閉する内部にヒレ付き電線2(図8参照)を通して抱持させるクランプ本体12と、このクランプ本体12とこれに抱持したヒレ付き電線2の上下隙間に圧入させて両者を固定可能な一対の楔13と、クランプ本体12の蝶番12bを中心にした両側部に各々一端が回転自在に支持されて延在して他端が鉄塔などの支持物3の碍子4(図5参照)に係止される一対の連結板14と、支持物3へ係止される一対の連結板14端の間に介在して係止ボルト16aを貫通させてナット16bの締結により連結板14と共に一端を固定させて他端を支持物3からの碍子4に連結させるコッタ部材17と、一対の連結板14いずれか片方をコッタ部材17と共に長く延在させた長連結板14a及び延在してない短連結板14bを有してコッタ部材17が碍子4に連結させる途中で当該長連結板14aとコッタ部材17とを貫通してお互いのズレを抑えて一体固定させるコッタピン18と、支持物3へ係止させる連結板14方向と反対方向のクランプ本体12の先端側面に取付けられて支持物3へヒレ付き電線2を引っ張る緊線工具6(図3参照)に連結させて支持物3とヒレ付き電線2との間にクランプ本体12を取付けるための緊線リンク11と、を備えている。
また、楔型引留クランプ10は、図4に示した従来技術と異なり、図1に示したコッタ部材17が一対の連結板14の間に挟持させて固定した上方に三角形状に突出して延在する延在部17aを一体に形成し、この延在部17aに、緊線工具6と緊線リンク11とを連結させる連結部であるYコッタ部材20に接続させてお互いに引き寄せるための連結穴17bを開口させて設ける。また、楔13は、図示されていないが、前述したヒレ付き電線2を採用しており、このヒレ付き電線2を上下から一対に挟持した際にヒレ付き電線2のヒレ2aに嵌合させるための螺旋溝13aが形成されている(図8参照)。
また、本発明に楔型引留クランプ取付構造は、上述した構成による楔型引留クランプ10に加えて、Yコッタ部材20と伸縮工具30とを各々備えて構成されている。
このYコッタ部材20は、図1に示したように、緊線リンク11と緊線工具6との間の連結部に介在し、この緊線工具6の一端に接続されて他端側が二股に分かれて延在して緊線リンク11及びコッタ部材17を各々接続可能なようにY字状に延在し、この3方に延在する端部に各々接続するための穴20a、20b、20cが開口されている。
また、伸縮工具30は、図1に示したYコッタ部材20とコッタ部材17とを接続させた間に介在されてお互いを引き寄せることが可能な工具であって、例えば、図1に示したように、棒状でネジ部を形成した軸部材32と、この軸部材32の両端から各々螺合して当該軸部材32の回転によりお互いが近付くように摺動する一対の螺合部材34a、34bと、を備えることで構成できる。要するに、一対の螺合部材34a、34bの両端に、コッタ部材17とYコッタ部材20とを各々取り付けて、軸部材32の中央部を回転させることで、両側から螺合部材34a、34bが近付いてコッタ部材17とYコッタ部材20とを引き寄せることができる。
このように、本実施の形態は、鉄塔などの支持物3の碍子4に連結する連結部であるコッタ部材17と、緊線リンク11と緊線工具6とを連結させる連結部であるYコッタ部材20とを備え、この両連結部であるコッタ部材17とYコッタ部材20との間に伸縮工具30を介在させてお互いに引き寄せることが可能に形成した構造である。
このような構成からなる本発明による楔型引留クランプ取付構造を用いて、楔型引留クランプ10を取り付ける方法を、図2及び図3を参照して説明する。
まず、図2(a)及び(b)に示すように、図1に示した楔型引留クランプ10を楔13を除いた状態で組み立て、この楔型引留クランプ10の緊線リンク11にYコッタ部材20を連結させて、鉄塔などの支持物3に取り付け可能な状態に準備する。そして、この組み立てた片側のコッタ部材17を支持物3の碍子4に、他方側のYコッタ部材20を緊線工具6に、各々連結させ、図5に示した従来技術の取り付け途中の状態に設置する。
その後、図6に示した従来技術と同様に、クランプ本体12を片持ち支持の状態で開閉してヒレ付き電線2を内部に通すとともに、従来技術の図7(a)〜(c)に示したように、緊線ワイヤ6a及びヒレ付き電線2を引っ張って緊線時の弛度に合わせた状態で、楔13を取り付ける所望位置のヒレ付き電線2に印Aを付ける。
ここで、図8示したヒレ付き電線2のヒレ2aと楔13の螺旋溝13aとの嵌合により、ヒレ付き電線2の印A位置に楔13を正確に取り付けることができない場合がある。このような場合に、図1に示した伸縮工具30を用いてクランプ本体12自体の位置を調整する工程を別途実行する。この調整する工程の各段階について、以下、図3を参照して具体的に説明する。
図3(a)に示すように、ヒレ付き電線2を緊線工具6により引っ張った後に、前述した楔13の螺旋溝13aにヒレ付き電線2のヒレ2aを嵌合させて取り付ける位置を、このヒレ付き電線2の引っ張りにより調整できない場合、碍子4に連結板14を連結させた連結部であるコッタ部材17と、緊線工具6にクランプ本体12の緊線リンク11を連結させた連結部であるYコッタ部材20と、をお互い接続させて引き寄せることが可能な伸縮工具30を介在させて取り付ける段階を実行する。
そして、図1に示した矢印方向に伸縮工具30の軸部材32中央を回転させて、当該軸部材32に螺合する一対の螺合部材34a、34bがお互い近づくように摺動させる。その後、緊線ワイヤ6aを一旦ゆるめて、クランプ本体12の緊線リンク11に掛かる延線張力を、図3(b)に示すように、伸縮工具30に移した後、ヒレ付き電線2を引っ張って印Aを付けた楔13の取り付け位置を調整する。
この際、図3(c)に示すように、伸縮工具30によりコッタ部材17とYコッタ部材20との両連結部をお互い引き寄せてヒレ付き電線2に対してクランプ本体12を前進させ、このクランプ本体12の後方に楔13の取り付け位置である印Aを図3に示した距離Bだけ移動させ、楔13の螺旋溝13aへの取り付け位置を調整する段階を実行する。
最後に、この調整された位置で楔13をヒレ付き電線2に取り付けて、その楔13をクランプ本体12に押し込んで固定した後、緊線工具6、Yコッタ部材20、伸縮工具30を外すことで施工完了となる。
以上、本発明による楔型引留クランプ取付方法及び構造の実施の形態を詳細に説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、図1に示した伸縮工具は、軸部材と螺合部材とからなる工具に限定されるものでなくコッタ部材17とYコッタ部材20とを引き寄せ可能な工具であればよく、油圧や空気圧などにより自動的に引き寄せる工具でも良い。
2 ヒレ付き電線
3 支持物
4 碍子
6 緊線工具
10 楔型引留クランプ
11 緊線リンク
12 クランプ本体
12a 断面対向片
12b 蝶番
13 楔
14 連結板
14a 長連結板
14b 短連結板
16a 係止ボルト
16b ナット
17 コッタ部材
17a 延在部
17b 連結穴
18 コッタピン
20 Yコッタ部材
20a、b、c 穴
30 伸縮工具
32 軸部材
34a、b 螺合部材

Claims (2)

  1. 一対のC形断面対向片を蝶番結合させて開閉するクランプ本体の両側部で回転自在に支持させて延在する一対の連結板の遊端を鉄塔などの支持物の碍子に連結させ、このクランプ本体の先端の緊線リンクに前記電線を把持して引っ張る緊線工具の端部を連結させることで、前記支持物と電線との間に前記クランプ本体が取付けられ、このクランプ本体を碍子に連結した前記一対の連結板いずれか一方を外して片持ち支持の状態で前記クランプ本体を開閉させて内部に前記緊線工具で引っ張った前記電線を挿通させて閉めた上下隙間に楔を圧入させて引き留める楔型引留クランプ取付方法において、
    前記電線がヒレ付き電線であり前記緊線工具により引っ張った後に前記楔の螺旋溝にヒレを嵌合させて取り付ける位置を前記ヒレ付き電線の引っ張りにより調整できない場合、前記碍子に前記連結板を連結させた連結部と、前記緊線工具に前記クランプ本体の緊線リンクを連結させた連結部と、をお互い接続させて引き寄せることが可能な伸縮工具を介在させて取り付ける段階と、
    当該伸縮工具により前記連結部をお互い引き寄せて前記ヒレ付き電線に対して前記クランプ本体を前進させて前記楔の螺旋溝への取り付け位置を調整する段階と、
    を備えた楔型引留クランプ取付方法。
  2. 電線の緊線作業時に一対のC形断面対向片を蝶番結合させて開閉する内部に前記電線を抱持させるクランプ本体と、
    前記クランプ本体とこれに抱持した電線との上下隙間に圧入させて両者を固定可能な一対の楔と、
    前記クランプ本体の蝶番を中心にした両側部に各々一端が回転自在に支持されて延在して他端が鉄塔などの支持物の碍子に係止される一対の連結板と、
    前記支持物へ係止される前記一対の連結板端の間に介在して係止ボルトを貫通させてナットの締結により前記連結板と共に一端を固定させて他端を前記支持物からの碍子に連結させるコッタ部材と、
    前記一対の連結板いずれか片方を前記コッタ部材と共に長く延在させて前記コッタ部材が碍子に連結させる途中で当該延在した連結板とコッタ部材とを貫通してお互いのズレを抑えて一体固定させるコッタピンと、
    前記支持物へ係止させる前記連結板方向と反対方向の前記クランプ本体の先端側面に取付けられて、前記支持物へ前記電線を引っ張る緊線工具に連結させて前記支持物と電線との間に前記クランプ本体を取付けるための緊線リンクと、
    を備えた楔型引留クランプにおいて、
    前記電線がヒレ付き電線であり前記楔に前記ヒレを嵌合させる螺旋溝が形成され、前記コッタ部材には、前記一対の連結板の間に挟持させて固定した上方に一体に突出して延在する延在部を有して前記緊線リンク及び緊線工具の連結部に接続させて引き寄せるための転結穴を開口させて設けるとともに、当該緊線リンクと前記緊線工具との連結部には、前記緊線工具の一端に接続されて他端側が二股に分かれて延在して前記緊線リンク及びコッタ部材を各々接続可能なYコッタ部材と、このYコッタ部材とコッタ部材とを接続させた間に介在されてお互いを引き寄せることが可能な伸縮工具と、を備えたことを特徴とする楔型引留クランプ取付構造。
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