JP2015142399A - 耐張クランプ - Google Patents

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恵 古川
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恵 古川
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Abstract

【課題】架線における耐張クランプの取付け位置を一切変更することなしに架線の弛度を無段階で調整することができるくさび型クランプを提供する。【解決手段】架線9の周側面上に周設される長管体2と、架線9上の所望の位置に長管体2を固定するくさび3と、長管体2の外周面上に周設される少なくとも1つの第1の短管体4と、長管体2の外周面上にスライド可能に周設される第2の短管体5とを有し、第1の短管体4は長管体2の外周面上に螺設され、長管体2上において第1,2の短管体4,5はそれぞれ、鉄塔16に近い方から第1の短管体4、第2の短管体5の順で配置され、第2の短管体5は、第1の短管体4に係止され、かつ、鉄塔16に固設されるがいし装置12に直接又は間接的に接続されており、長管体2上における第2の短管体5の位置は、第1の短管体4の移動に伴って変更されることを特徴とする耐張クランプ1による。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄塔において架線を引き留めるために用いる耐張クランプに関する。
はじめに、図6乃至図8を参照しながら従来技術に係る耐張クランプ(くさび型クランプ)について説明する。
図6は鉄塔に電線が架設される様子を示す概念図である。また、図7は図6に示す鉄塔を真上から見た平面図である。さらに、図8は従来技術に係るくさび型クランプによる架線の引留め作業の様子を示す概念図である。
図6,7に示すように、架線9(電線)は、鉄塔16に突設されるアーム17にがいし装置12を介してくさび型クランプ18により引き留められている。なお、架線9同士の間には所望間隔を維持するためのスペーサー19が設けられている。
このくさび型クランプ18(従来技術に係る耐張クランプ)は、例えば、図8に示すように金属板をU字状に折り曲げてなるくさびクランプ本体20の内側に添板20aを有し、この添板20aの中空部内にくさび押え21を備え、くさびクランプ本体20の中空部内に架線9を収容した後、架線9とくさび押え21とにより形成される空隙にくさび23を押し込むことで、架線9上の所望の位置にくさび型クランプ18を固定して、このくさび型クランプ18により架線9を引き留めることができるよう構成されている。
従来、鉄塔16に架線9を引き留める際の作業手順としては、がいし装置12を鉄塔16に取付ける際に、予め先端ヨーク(図示せず)に連結板22及びくさびクランプ本体20を取り付けておく。
次に、架線9にカムアロング24を取設し、このカムアロング24とくさび型クランプ18のとの間のくせ直しを十分に行い、架線9をできるだけ直線状にする。
この後、くさび型クランプ18のセンターボルトを一旦外してくさび型クランプ18を分解し、架線9に添板20aを被せて、くさび型クランプ18を再び組み立てる。すなわち、連結板22,添板20a,くさび押え21を組み合わせる。
さらに、架線9の見込み長さを決めてマジックインキなどで架線9にマーキングしておき(図8中の符号Pで示す位置を参照)、くさび型クランプ18の架線9の導出側から9を引っ張って、くさび型クランプ18の導入側先端と先のマーキング位置を一致させてから、くさび23をくさび押え21と架線9の間に押し込んで架線9上にくさび型クランプ18を固定する。
この一連の作業の間、架線9はカムアロング24に掛止される緊線用金車25と、くさび型クランプ18の連結板22に設けられる緊線用引手26に係止される緊線用ワイヤ27により仮支持されている。なお、図8中の緊線用ワイヤ27の端部27aの伸長方向側には、図示しないウインチが設けられており、緊線用ワイヤ27を牽引している。
そして、従来技術に係るくさび型クランプ18を用いて架線9aを引き留める際には、架線の弛度を調整するために、余分な弛みである「見込み」が必要であった。
通常、架線9を鉄塔16に引き留める際には最低でも10cmの見込みが必要である。ところが鉄塔16間の距離が小さい場合は、十分な見込みを確保することができず、くさび型クランプ18を用いて架線9を引き留めることができないケースがあった。
この場合、圧縮型耐張クランプを用いて架線9を引き留めることになるのであるが、圧縮型耐張クランプを用いる場合は、経年使用に伴い発熱事故が発生する恐れがあり、その使用を極力避けたいという実情があった。
このため、鉄塔間の距離が小さくて十分な量の見込みが確保できない場合でも支障なく使用できるくさび型クランプが必要であった。
本願発明と同一の課題を有する先行技術文献については現時点では発見されていないが、関連する分野の先行技術としては以下に示すような文献が開示されている。
特許文献1には「くさび型クランプ」という名称で、架空線を鉄塔に引留め固定する際に使用されるくさび型クランプの改良に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、内面に電線の外表面の突起と具合よく嵌合可能な溝部を有するくさびと、該くさびを電線と共に把持するクランプ本体と、当該クランプ本体を着脱可能に把持する引留金具とからなり、前記引留金具と前記クランプ本体との係合面にはクランプ本体の円周方向に分布する複数の嵌合構造が形成され、当該凸凹嵌合部の位置合わせを変えることでクランプ本体への引留金具の円周方向における取付け位置を適当に選択可能に構成されることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明によれば、突起付き電線に対してもくさび型クランプの最大の特徴であるジャンパー線引出方向の調整や弛度の調整が自在に行い得る。
特許文献2には「架空配線クランプ装置及び架空配線工法」という名称で、光ファイバーケーブルや電線等の架空配線工事の簡素化,能率化を図るための架空配線クランプ装置及びこれを用いた架空配線工法に関するものである。
特許文献2に開示される発明は、一側に小径部,他側に大径部,中間に円錐筒部を有する本体ケースの、前記小径部内周にねじを設け、円錐筒部の周方向には等角度間隔に軸線方向にスリットを設けて、周方向で複数に分割した遊動ブッシングをスリットに沿って移動するように円錐筒部の内側に設け、前記遊動ブッシングの大径側後方にスプリングを装入し、大径部内周にねじを設けてこれに環状盤を螺合して前記スプリングを押え、前記小径部内周のねじに、締付用固定プレートを備えたストッパーケースの一側の細径部外周に設けたねじを螺締して、本体ケースにストッパーケースを結合してなるものである。
上記構成の特許文献2記載の発明によれば、本体ケース内にワンウェイクラッチ機構が設けられているので、ケーブルは一方向に引け、逆戻りはしないので、架空配線工事の施工において、ケーブル自重による戻り及び弛みが防止されると共にケーブルに張力を与えることができる。従って、電柱間の吊り金具の使用本数及び高所作業を大幅に削減できる。
特許文献3には「電線用くさび型クランプ」という名称で、電線をジャンパ線として地側に引き下げるためのくさび型クランプに関し、特に天側ジャンパ線と地線側の連結金具との接触を回避するためのくさび型クランプに関する発明が開示されている。
特許文献3に開示される発明は、碍子装置を介し送電鉄塔に張設された複数の電線をジャンパ線として地側に引き下げるための電線用くさび型クランプであって、前記電線を単一ごとに把持するくさび体と、当該くさび体に、その長手方向に対し所定の角度を持って取り付けされ、把持した電線をその直下領域から側部に向けて案内するジャンパ受金具と、前記碍子装置に連結され、前記くさび体を拘持するクランプ体とで構成されることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献3に開示される発明によれば、天線をジャンパ線として地側に引き下げる際、その真下に位置する地側電線の碍子装置との接触を確実に回避できるようになる。従って、従来より地線側の碍子装置に取り付けていた接触防止用の大掛かりで、且つ、高価な弓形金具は不要となり、その分コストが削減できると共に、碍子装置の機械的強度も向上する。
特許文献4には「引留クランプ補強装置及びこれを装着した引留クランプ」という名称で、架空送電線路の送電線を引き留めて送電鉄塔などと連結するための引留クランプを保護・補強するための引留クランプ補強装置、およびこれを装着した引留クランプに関する発明が開示されている。
特許文献4に記載の引留クランプ補強装置は、引留クランプの全部または一部を被覆する中空環状体からなることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献4に開示される発明によれば、本発明のクランプ補強装置を用いて引留クランプを保護し、補強することにより、引留クランプの劣化良否判定を省略することができるとともに、安価に現状の引留クランプの保持強度を維持できる。その結果、引留クランプを保護するとともに補強でき、万一破断した場合でも送電線の垂下や破断した引留クランプ片の落下などを未然に防止できる。
特許文献5には「引留めクランプ」という名称で、架空送電線を引き留めるのに使われる引留めクランプの改良に関する考案が開示されている。
特許文献5に開示される考案である引留めクランプは、特許文献5中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、電線2を把持する内筒1は長さ方向に2分割され、外周面にテーパーが設けられ、対向する分割面の一部に凸部6及び凹部7が設けられて形成され、内筒1に被せられる外筒7は長さ方向に2分割され、内周面に内筒1の外周面に対応するテーパーが設けられ、分割面対向部8に擦れ違い嵌合を行う凹部9及び凸部10が長さ方向に沿って形成され、かつ広口側の端面に引留端子12,12が固設されてなることを特徴とするものである。
特許文献5に開示される考案によれば、電線を締め付けるのに止めピンや締め付けボルトなどを全く使用しないので構造が極めて簡単であり、電線への取付けが極めて容易である。
特開平1−291619号公報 特開平9−56044号公報 特開2000−299917号公報 特開2007−53834号公報 実公昭49−9995号公報
上述の特許文献1に開示される発明の場合、ジャンパー線の長さや電線の弛度を調整することができるものの、そのためにはクランプ本体3の位置を移動させる必要がある。
従って、引用文献1に開示される発明は、本願発明のようにクランプ本体を移動させることなくストラップ(本願発明における連結板に相当)の位置を電線の伸長方向に変更できるよう構成されるものではない。
特許文献2に開示される発明においては、懸吊具25bが架空配線クランプ装置16に周設されているので、本願発明における長管体と、くさびと、第2の短管体に相当する技術内容が開示されているとも考えられる。
しかしながら、特許文献2に開示される懸吊具25bは架空配線クランプ装置16上をスライド移動可能に構成されるものではないので、本願発明が有するような独自の効果は発揮し得ない。
特許文献3,5に開示される技術内容はともに、上述の図6乃至図8に示す従来技術に係るくさび型クランプ18に相当する技術内容であり、やはり本願発明が有するような効果は発揮し得ない。
特許文献4にも、本願発明における長管体と、くさびと、第2の短管体に相当する技術内容が開示されているとも考えられる。
しかしながら、特許文献4に開示される発明の場合も、環状体片を架空送電線の伸長方向にスライドさせることができないので、やはり本願発明が有するような独自の効果は発揮し得ない。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、架線における耐張クランプの取付け位置を一切変更することなく架線の弛度を無段階で調整することができる耐張クランプ(くさび型クランプ)を提供することにある。
上記目的を達成するため請求項1記載の発明である耐張クランプは、鉄塔に架線を引き留めるために用いる耐張クランプであって、架線の周側面上に第1の隙間を形成しながら周設される長管体と、この第1の隙間に挿入されて、架線上の所望の位置に長管体を固定するくさびと、長管体の外周面上に周設される少なくとも1つの第1の短管体と、長管体の外周面上に第2の隙間を形成しながらスライド可能に周設される第2の短管体とを有し、第1の短管体は長管体の外周面上に螺設され、長管体上において第1,2の短管体はそれぞれ、鉄塔に近い方から第1の短管体、第2の短管体の順で配置され、第2の短管体は、第1の短管体に係止され、かつ、鉄塔に固設されるがいし装置に直接又は間接的に接続されており、長管体上における第2の短管体の位置は、第1の短管体の移動に伴って変更されることを特徴とするものである。
上記構成の請求項1記載の発明において、長管体は第1の短管体及び第2の短管体を支持するという作用を有する。また、くさびは長管体を架線の所望位置に固定させるという作用を有する。第1の短管体が長管体の外周面上に螺設されることで、長管体の外周面上には突起物が形成されることになる。この場合、突起物である第1の短管体が、第2の短管体が長管体の外周面上をスライド移動する際の障害となり、結果として、長管体上における第2の短管体のスライド移動を規制するという作用を有する。
さらに、第2の短管体は、鉄塔に固設されるがいし装置に直接又は間接的に接続されている。このため、長管体上における第2の短管体の位置が変更されることで、間接的に架線の弛度が変更される。より具体的には、長管体上における第2の短管体の位置が鉄塔に近い程、架線の弛度は大きくなる。
加えて、請求項1記載の発明では、長管体上における第2の短管体の位置が第1の短管体の移動に伴って変更され、かつ、第1の短管体は長管体の周側面上に螺設されていることにより、長管体上における第2の短管体の位置が無段階で変更可能となる。これにより、請求項1記載の耐張クランプにより架線を引き留める際の架線の弛度の調整が無段階で変更可能になる。
また、長管体上において第1,2の短管体のそれぞれを、鉄塔に近い方から第1の短管体、第2の短管体の順で配置することで、第1の短管体による第2の短管体の係止効果を確実に発揮させるという作用を有する。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の耐張クランプであって、くさびは、鉄塔に近い一の端部から他の端部に向かって縮径する中空状のテーパー体を、その伸長方向に沿って等分割してなることを特徴とするものである。
上記構成の発明は請求項1記載の発明と同じ作用に加えて、くさびとして、鉄塔に近い一の端部から他の端部に向かって縮径する中空状のテーパー体を用いることで、第2の短管体のがいし装置との接続部分に作用する引張力を均等にするという作用を有する。
また、くさびとして、中空状のテーパー体をその伸長方向に沿って等分割したものを用いることで、長管体の内周面から架線の周側面までの距離を一定に保ちながら第1の隙間にくさびを挿設可能にするという作用を有する。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の耐張クランプであって、長管体は、円筒体がその伸長方向に沿って等分割された分割片からなり、分割片同士の接合面は、嵌合構造を形成していることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明と同じ作用に加えて、長管体を、円筒体がその伸長方向に沿って等分割された分割片とし、さらに、この分割片同士の接合面に嵌合構造を形成させることで、ボルトやナット等の固定具を用いることなく架線への長管体の取設を可能にするという作用を有する。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の耐張クランプであって、長管体の外周面上に形成されるネジ山は、角ネジ又は台形ネジであることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の耐張クランプと同じ作用に加えて、長管体の外周面上に形成されるネジ山を角ネジ又は台形ネジとすることで、第1の短管体と長管体との接合部分の接触面積が広くなり、第1の短管体と長管体との接合部分における静止摩擦力を増大させるという作用を有する。この結果、第1の短管体による第2の短管体の係止効果を高めるという作用を有する。
本発明の請求項1記載の発明によれば、架線に耐張クランプを設置した後に、この耐張クランプの取付け位置を変更することなく、耐張クランプにより引き留められる架線の弛度を無段階で調節することができる。なお、請求項1記載の発明では、長管体が長い程、架線の弛度の調整可能範囲を広くできる。
この結果、請求項1記載の発明を用いることで、鉄塔に架線を引き留める際に、鉄塔間の距離が短いために十分な又は全く見込みを確保できない場合でも、支障なく架線を引き留めることのできるくさび型クランプを提供することができる。
この場合、十分な又は全く見込みを確保できない場合でも圧縮型クランプを使用する必要がないので、圧縮型クランプを使用する場合のような経年使用に伴う発熱事故が発生するリスクを大幅に低減できる。
また、請求項1記載の発明は十分な見込みが確保できる場所でも支障なく使用できる。
よって、請求項1記載の発明によれば、高性能で信頼性が高く、かつ、汎用性の高い新規なくさび型クランプを提供できる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同じ効果に加えて、第2の短管体をがいし装置に接続する際に、がいし装置と第2の短管体の間に介設される連結板と第2の短管体との接続部分に作用する引張力を均等にできる。
この結果、連結板と第2の短管体との接続部分のいずれかに過剰な負荷がかかる恐れがなく、この部分に破損等の不具合が生じるリスクを大幅に低減できる。
従って、請求項2記載の耐張クランプを使用した際に、この耐張クランプ又はそれに連結される部材の耐久性及び耐用性を向上できる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明と同じ効果に加えて、長管体を構成する分割片の接合面を互いに嵌合させながら、架線の伸長方向にスライドさせるだけで、架線に長管体を取設することができる。
この場合、架線に長管体を取設するにあたり、ボルトやナット等の固定具を用いる必要がなくなるので、長管体の外周側面上においてネジ山を形成できる領域を広くできる。これにより、第1の短管体及び第2の短管体の可動範囲が広くなり、結果として、請求項3記載の発明により架線を引き留める際の、架線の弛度の調節可能範囲を広くすることができる。
また、長管体を構成する分割片同士の接合も強固にできる。この場合、架線に取設される長管体の剛性を高めることができるので、請求項3に記載の耐張クランプの耐久性及び耐用性を向上できる。
よって、高性能な耐張クランプを提供することができる。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ効果に加えて、長管体の外周面上に螺設される第1の短管体と長管体の接合力を高めることができる。これにより、第1の短管体による第2の短管体の係止効果が高まる。
この結果、請求項4記載の発明の耐張性が向上し、請求項4記載の発明の耐久性及び耐用性を向上することができる。よって、一層高性能な耐張クランプを提供することができる。
(a)本発明の実施の形態に係る耐張クランプの概念図であり、(b)本発明の実施の形態に係る耐張クランプの軸方向断面図である。 (a)本発明の実施の形態に係る耐張クランプの長管体の装着状態を示す概念図であり、(b)その軸方向断面図((a)のA−A断面図)であり、(c)その軸方向垂直断面図((b)のB−B断面図)である。 (a)本発明の実施の形態に係る耐張クランプのくさびの装着状態を示す概念図であり、(b)その軸方向断面図((a)のA−A断面図)であり、(c)その軸方向垂直断面図((b)のB−B断面図)である。 (a)本発明の実施の形態に係る耐張クランプの第1の短管体の装着状態を示す概念図であり、(b)その軸方向断面図((a)のA−A断面図)であり、(c)その軸方向垂直断面図((b)のB−B断面図)である。 (a)本発明の実施の形態に係る耐張クランプの第2の短管体の装着状態を示す概念図であり、(b)その軸方向断面図((a)のA−A断面図)であり、(c)その軸方向垂直断面図((b)のB−B断面図)である。 鉄塔に電線が架設される様子を示す概念図である。 図6に示す鉄塔を真上から見た平面図である。 従来技術に係るくさび型クランプによる架線の引留め作業の様子を示す概念図である。
本発明の実施の形態に係る耐張クランプについて図1乃至図5を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態に係る耐張クランプ1の概要について図1を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態に係る耐張クランプの概念図であり、(b)は本発明の実施の形態に係る耐張クランプの軸方向断面図である。なお、図6乃至図8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
まず、架線9に対する耐張クランプ1の固定構造について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る耐張クランプ1は、架線9の周側面上に第1の隙間14[図1(b)を参照]を形成しながら長管体2が周設され、この第1の隙間14にくさび3を押し込むことによって、架線9上の任意の位置に固定される。
なお、図1(a),(b)では、紙面左側に図示しない鉄塔16(図6,7を参照)が配置されており、長管体2の左側端部が鉄塔16により近い位置に位置している。また、図示しない鉄塔16のアーム17にはがいし装置12が接続され(先の図6,7を参照)、このがいし装置12に連結板11を介して本実施の形態に係る耐張クランプ1が接続されている[図1(b)を参照]。
よって、本実施の形態に係る耐張クランプ1の長管体2には、長管体2を紙面左側に引っ張る力が常時作用していることになる。
従って、本実施の形態に係る耐張クランプ1の長管体2を架線9上に確実に固定するためには、長管体2に作用する引張力に抗う方向にくさび3を押し込む必要がある。つまり、図1(a),(b)に示す場合では、長管体2の紙面左側の端部側の第1の隙間14にくさび3を押し込む必要がある。
また、図1(a),(b)に示すように、本実施の形態に係る耐張クランプ1では、一の端部から他の端部に向かって縮径する中空状のテーパー体を、その伸長方向に沿って2分割してなる分割片3a,3bをくさび3として使用している。
本実施の形態に係る耐張クランプ1では、先の図8に示すような平板体状又は棒状のくさび23を使用することも可能であるが、この場合、くさび23の差し込み位置によっては、本実施の形態に係る耐張クランプ1と連結板11の接続部分(連結具10)に作用する引張力が不均一となり、経年使用に伴い連結具10において大きな負荷がかかる方が破損する等の不具合が生じるリスクがある。
これに対し、図1(a),(b)に示すようなくさび3を用いる場合は、架線9の周側面上に、くさび3による押圧力を均等に作用させることができるので、本実施の形態に係る耐張クランプ1と連結板11の接続部分(連結具10)に作用する力も均等になる。
この場合、本実施の形態に係る耐張クランプ1の耐久性及び耐用性を向上できるので、信頼性の高いくさび型クランプを提供することができる。
なお、くさび3を構成する分割片(例えば、分割片3a,3b)の数を2つに特定する必要は特にないが、くさび3を構成する分割片の数が増えるほど、その取設に手間がかかったり、個々の分割片の押し込み量に差が生じて各分割片による架線9の押圧力が不均一になるという不具合が起こりやすくなるので、くさび3を構成する分割片の数を増やすメリットはあまりないと思われる。
なお、本実施の形態に係る耐張クランプ1では、くさび3の拡径している側の端部が切りっぱなし状態である場合を例に挙げて説明しているが、この部分の形状をくさび3の外周面側に反り返らせたり、あるいは、くさび3の拡径している側の端部の内周面を外周面側に向かって湾曲させた形状としてもよい(図示せず)。
この場合、くさび3の拡径している側の端部から導出される架線9を鉛直下方側に垂下させる際に、くさび3の端部との接触により架線9が損傷するのを防止できる。
次に、本実施の形態に係る耐張クランプ1により架線9を引き留める際に、架線9の弛度が無段階で調整される仕組みについて図1を参照しながら説明する。
図1(a),(b)に示すように、本実施の形態に係る耐張クランプ1では長管体2の外周面上にネジ山2cが形成されており、このネジ山2cが形成される領域に第1の短管体4が螺設されている。
また、長管体2のネジ山2cが形成される領域には、このネジ山2cとの間に第2の隙間15を形成しながら第2の短管体5が、長管体2上を架線9の伸長方向にスライド可能に周設されている。
さらに、第2の短管体5は、先の図6,7に示す鉄塔16のアーム17に接続されるがいし装置12に、連結板11を介して接続されており[図1(b)を参照]、この連結板11と第2の短管体5との連結部分が連結具10である。
このような本実施の形態に係る耐張クランプ1において、第2の短管体5は、がいし装置12に直接又は間接的に接続されているので、第2の短管体5は図示しない紙面左側にある鉄塔16側に常に引っ張られていることになる。
他方、長管体2の外周面上に第1の短管体4が螺設されることで、長管体2の外周面上に突起物が形成されることになる。そして、この突起物(第1の短管体4)が第2の短管体5のストッパーとして機能することで、長管体2上に第2の短管体5が保定される。
また、ストッパーとして機能する第1の短管体4は、長管体2におけるネジ山2cが形成される領域の任意の位置に移動させることができる。そして、上述の通り第2の短管体5は第1の短管体4により係止されるので、結果として、長管体2上における第2の短管体5も、長管体2におけるネジ山2cが形成される領域の任意の位置に移動させることができる。
そして、本実施の形態に係る耐張クランプ1により架線9を鉄塔16に引留める場合は、架線9上における耐張クランプ1の位置が鉄塔16に近い程、架線9の弛度は大きくなる。
すなわち、長管体2上における第2の短管体5の位置が鉄塔16に近い程、架線9の弛度は大きくなる。
このように本実施の形態に係る耐張クランプ1によれば、長管体2上における第2の短管体5の位置を変えるだけで、架線9の弛度を無段階で変更することが可能になる。なお、長管体2の長さが長い程、架線9の弛度の調節可能範囲は広くなる。
よって、本実施の形態に係る耐張クランプ1によれば、架線に耐張クランプ1を設置した後に、その設置位置を一切変更することなしに架線9の弛度を無段階で調節することができるという独自の効果を有している。
この場合、鉄塔16に架線9を架設する際に、鉄塔16間の距離が短いために十分な見込みが確保できない場合や、あるいは、見込みを全く確保できない場合でも、本実施の形態に係る耐張クランプ1を用いて支障なく鉄塔16に架線9を引き留めることができる。
また、本実施の形態に係る耐張クランプ1はくさび型クランプであるため、従来の圧縮型クランプのように、経年使用に伴い発熱事故が起こるリスクも低い。
また、本実施の形態に係る耐張クランプ1は、従来公知のくさび型クランプ18(図8を参照)の使用が可能な場所、すなわち、十分な見込みが確保できる場所でも支障なく使用することができる。
よって、本実施の形態に係る耐張クランプ1によれば、高機能でかつ汎用性が高く、しかも信頼性の高いくさび型クランプを提供することができる。
続いて、本実施の形態に係る耐張クランプ1の架線9への取付け手順について図2乃至図5を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態に係る耐張クランプ1を架線9に取設するための最初の工程は、架線9への長管体2の取付け工程である。
図2(a)は本発明の実施の形態に係る耐張クランプの長管体の装着状態を示す概念図であり、(b)はその軸方向断面図((a)のA−A断面図)であり、(c)はその軸方向垂直断面図((b)のB−B断面図)である。なお、図1及び図6乃至図8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施の形態に係る耐張クランプ1においては、図2(a)〜(c)に示すように、長管体2として円筒体をその伸長方向に沿って2分割してなる分割片2a,2bを用いている。また、図2(a),(c)に示すように、この分割片2a,2bの接合面には、これらを一体にした際にその軸方向に対する垂直断面に、くさび形状又はそれに類する形状の、嵌合構造2dが形成されるよう構成されている。そして、分割片2a,2bを、上述のような嵌合構造2dを形成させながら互いに嵌合させることで、ボルトやナットなどの固定具を用いることなく分割片2a,2bを一体に固定することが可能になる。
この場合、分割片2a,2bを一体に固定する固定具を取設するために、長管体2の外周面上にフランジ状の接合片を形成しておく必要性がなくなるので、長管体2の外周面上の広範な領域に第1の短管体4を螺設するためのネジ山2cを形成することができる。
なお、架線9への長管体2の取付けは、分割片2a,2bの中空部13内に架線9を収容するように配設しつつ、例えば図2(a)において、分割片2aを紙面左側から右側に向かって、また、分割片2bを紙面右側から紙面左側に向かって、それぞれスライドさせて嵌合構造2dを形成させればよい。
このような長管体2の外周面上には第1の短管体4が螺設されるため、長管体2の使用時に長管体2の分割片2a,2bが外れてしまうという懸念はほぼないと思われる。しかしながら、万一の場合に備えて長管体2を構成する分割片2a,2bのそれぞれの端部に接合片2e,2eを設けておき、これらの接合片2e,2eを、例えばボルト6、ナット7及びワッシャー8等の固定具を用いて固定しておくことで、長管体2の取設時の外れ防止に関する信頼性を大幅に向上できる。
また、架線9に長管体2を取設した場合、架線9の長管体2の内周面との間には第1の隙間14が形成されている。この第1の隙間14は、先にも述べたようにくさび3を押し込むためのものである。
なお、本実施の形態では長管体2をその伸長方向に沿って2等分する場合を例に挙げて説明しているが、長管体2を構成する分割片(例えば、2a,2b)の数を2に特定する必要は特にない。しかしながら、分割片同士の接合面が増えるほど、長管体2の外周面上に形成されるネジ山2cの連続性が損なわれやすくなるので、長管体2の分割片の数を2を超えて大きくするメリットは特にないと思われる。
次に、架線9上における長管体2の固定手順について図3を参照しながら詳細に説明する。
図3(a)本発明の実施の形態に係る耐張クランプのくさびの装着状態を示す概念図であり、(b)はその軸方向断面図((a)のA−A断面図)であり、(c)はその軸方向垂直断面図((b)のB−B断面図)である。なお、図1,2及び図6乃至図8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
架線9に長管体2を取設した後、くさび3を用いてこの長管体2を架線9の所望の位置に固定する。
より具体的には、架線9と長管体2により形成される第1の隙間14に、くさび3の分割片3a,3bを均等な力で押し込むことで架線9上の所望の位置に長管体2を固定することができる。
本実施の形態に係る耐張クランプ1は、先にも述べた通り長管体2の外周面上に周設される第2の短管体5(図1を参照)を架線9の伸長方向に沿ってスライド移動させることで、架線9の弛度を無段階に調整することができるので、架線9上における長管体2の固定位置を厳密に調整する必要はない。
その一方で、従来技術に係るくさび型クランプ18を用いて架線9を引き留める場合は、先の図8に示すように、架線9にマーキングするなどして慎重にくさび型クランプ18の取付け位置を決定する必要がある。また、架線9上の所望の位置に正確にくさび型クランプ18を取設するために、架線9の見込みが少なくとも10cmは必要である。
これに対して、本実施の形態に係る耐張クランプ1を用いる場合は、上述のような架線9の特定の位置に耐張クランプ1を正確に固定する作業も、その際に必要な見込みも必要ないので、従来技術に係るくさび型クランプ18を用いる場合に比べて架線9の引留め作業の作業性を大幅に向上できる。
なお、くさび3は、長管体2に作用する引張力に対して抗う方向に押しこむ必要がある。
さらに、長管体2の外周面上への第1の短管体4の取設手順について図4を参照しながら説明する。
図4(a)は本発明の実施の形態に係る耐張クランプの第1の短管体の装着状態を示す概念図であり、(b)はその軸方向断面図((a)のA−A断面図)であり、(c)はその軸方向垂直断面図((b)のB−B断面図)である。なお、図1乃至図3、及び、図6乃至8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4に示すように、長管体2の外周面上に螺設される第1の短管体4は、短い筒体(短管)を、その中空部の伸長方向に沿って2等分してなる分割片4a,4bを、その一の接合面側にヒンジ4dを設けてこれらを一体に連結したものである。
また、第1の短管体4を構成する分割片4a,4bのヒンジ4dが設けられない側の接合面にはそれぞれ接合片4c,4cが延設され、この接合片4c,4cの接合部分を、例えばボルト6,ナット7及びワッシャー8等の固定具により固定可能に構成されている。
このような第1の短管体4は、その分割片4a,4bをヒンジ4dにおける枢軸4eを基軸に回動させて開いてから、その中空部に長管体2を収容した後、分割片4a,4bを閉じて短管状にし、さらに、接合片4c,4cの接合部分を例えばボルト6,ナット7及びワッシャー8等の固定具により固定することで長管体2の外周面上に取設することができる。
なお、第1の短管体4の内周面上には、長管体2の外周面上に形成されるネジ山2cと噛み合う雌ネジが形成されているため、長管体2に第1の短管体4を周設する際には、長管体2上に形成されるネジ山2cと、第1の短管体4の内周面上に形成される雌ネジとをしっかりと噛み合わせる必要がある。
また、本実施の形態では、長管体2の外側面上に三角ネジを形成する場合を例に挙げて説明しているが、ネジ山2cの形状をこの形状に特定する必要は特になく他の形状でもよい。
より具体的には、例えば、長管体2の外側面上及び第1の短管体4の内周面上に形成されるネジ山2c及び雌ネジを、角ネジ又は台形ネジとしてもよい。
この場合、ネジ山2c及び雌ネジが三角ネジである場合に比べて、長管体2と第1の短管体4との接触面積を広くすることができ、第1の短管体4による第2の短管体5の係止効果を高めることができる。
最後に、長管体2の外周面上への第2の短管体5の取設手順について図5を参照しながら説明する。
図5(a)は本発明の実施の形態に係る耐張クランプの第2の短管体の装着状態を示す概念図であり、(b)はその軸方向断面図((a)のA−A断面図)であり、(c)はその軸方向垂直断面図((b)のB−B断面図)である。なお、図1乃至図4、及び、図6乃至8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図5に示すように、長管体2の外周面上に周設される第2の短管体5は、短い筒体(短管)をその中空部の伸長方向に沿って2等分してなる分割片5a,5bにおける一の接合面側に、ヒンジ5dを設けてこれらを一体に連結したものである。
また、第2の短管体5を構成する分割片5a,5bのヒンジ5dが設けられない側の接合面には、それぞれ接合片5c,5cが延設されており、この接合片5c,5cの接合部分は、例えばボルト6,ナット7及びワッシャー8等の固定具により固定可能である。
このような第2の短管体5は、その分割片5a,5bをヒンジ5dにおける枢軸5eを基軸に回動させて開き、その中空部内に長管体2を収容した後、分割片5a,5bを閉じて短管状にし、接合片5c,5cの接合部分を例えばボルト6,ナット7及びワッシャー8等の固定具により固定することで長管体2の外周面上に周設することができる。
第2の短管体5は、長管体2の外周面上に第2の隙間15を形成しながら周設される。すなわち、第2の短管体5は長管体2上にスライド自在に周設される。
本実施の形態では、第1の短管体4及び第2の短管体5を、短い筒体をその中空部の伸長方向に沿って2等分してなる分割片により構成する場合を例に挙げて説明しているが、第1の短管体4及び第2の短管体5を構成する分割片の数は必ずしも2つである必要はない。しかしながら、第1の短管体4及び第2の短管体5を構成する分割片の数が多くなるほど、その強度は低下し、構造も複雑になり、必要な部品の数も増えるので、これらを2つ以上に分割するメリットは特にないと思われる。
なお、本実施の形態に係る耐張クランプ1では、長管体2,第1の短管体4,第2の短管体5のそれぞれの分割片を、ボルト6、ナット7及びワッシャー8からなる固定具を用いて固定する場合を例に挙げて説明しているが、長管体2,第1の短管体4,第2の短管体5のそれぞれをしっかりと固定しておくことができるのであれば、上述した以外の固定方法や固定構造により長管体2,第1の短管体4,第2の短管体5を固定してもよい。
また、先にも述べた通り、本実施の形態の耐張クランプ1では、図5(b)に示すように、第2の短管体5は、連結具10及び連結板11を介してがいし装置12に接続されているので、第2の短管体5には常に紙面左手方向に引っ張る力が作用している。
このため、長管体2の外周面上に第2の短管体5を確実に係止するためには、第1の短管体4を第2の短管体5に作用する引張力に抗うように配置しておく必要がある。
すなわち、長管体2の外周面上に第1の短管体4及び第2の短管体5を取設する際は、鉄塔16に近い側から順に第1の短管体4、第2の短管体5の順で配設する必要がある。
また、本実施の形態に係る耐張クランプ1を、鉄塔16間の距離の大きい場合の引き留め用の耐張クランプ1として用いる場合は、第1の短管体4に大きな引張力が作用するため、1つの第1の短管体4のみでは十分に第2の短管体5に作用する引張力を支えきれない可能性もある。この場合、2つ以上の第1の短管体4を直列に配置することで、長管体2と第1の短管体4との間の摩擦力を増大させて、第1の短管体4による第2の短管体5の係止効果を高めることができる。もちろん、第1の短管体4は2つ以上設けてもよい。
なお、長管体2の外周面上に複数の第1の短管体4を設ける場合でも、第1の短管体4を第2の短管体5よりも鉄塔16に近い側に配設する必要があることは言うまでもない。
さらに、本実施の形態に係る耐張クランプ1では、第2の短管体5の可動範囲が大きい程、本実施の形態に係る耐張クランプ1により引き留められる架線9の弛度の調整可能範囲が広くなる。
このことは、架線9に取設される長管体2の長さが長い程、本実施の形態に係る耐張クランプ1により引き留められる架線9の弛度の調整可能範囲が広くなることを意味している。
また、本実施の形態に係る耐張クランプ1を構成する長管体2,くさび3,第1の短管体4及び第2の短管体5のそれぞれを構成する材質には、強度が高くて十分な剛性を有し、かつ、耐候性及び耐食性に優れた合金を用いることが望ましい。
以上説明したように本発明は、架線における耐張クランプの取付け位置を一切変更することなく架線の弛度を無段階で調整することができる耐張クランプ(くさび型クランプ)であり、配電設備に関する技術分野において利用可能である。
1…耐張クランプ 2…長管体 2a,2b…分割片 2c…ネジ山 2d…嵌合構造 2e…接合片 3…くさび 3a,3b…分割片 4…第1の短管体 4a,4b…分割片 4c…接合片 4d…ヒンジ 4e…枢軸 5…第2の短管体 5a,5b…分割片 5c…接合片 5d…ヒンジ 5e…枢軸 6…ボルト 7…ナット 8…ワッシャー 9…架線 10…連結具 11…連結板 12…がいし装置 13…中空部 14…第1の隙間 15…第2の隙間 16…鉄塔 17…アーム 18…くさび型クランプ 19…スペーサー 20…くさびクランプ本体 20a…添板 21…くさび押え 22…連結板 23…くさび 24…カムアロング 25…緊線用金車 26…緊線用引手 27…緊線用ワイヤ 27a…端部

Claims (4)

  1. 鉄塔に架線を引き留めるために用いる耐張クランプであって、
    前記架線の周側面上に第1の隙間を形成しながら周設される長管体と、
    前記第1の隙間に挿入されて、前記架線上の所望の位置に前記長管体を固定するくさびと、
    前記長管体の外周面上に周設される少なくとも1つの第1の短管体と、
    前記長管体の外周面上に第2の隙間を形成しながらスライド可能に周設される第2の短管体とを有し、
    前記第1の短管体は前記長管体の外周面上に螺設され、
    前記長管体上において前記第1,2の短管体はそれぞれ、前記鉄塔に近い方から前記第1の短管体、前記第2の短管体の順で配置され、
    前記第2の短管体は、前記第1の短管体に係止され、かつ、前記鉄塔に固設されるがいし装置に直接又は間接的に接続されており、
    前記長管体上における前記第2の短管体の位置は、前記第1の短管体の移動に伴って変更されることを特徴とする耐張クランプ。
  2. 前記くさびは、前記鉄塔に近い一の端部から他の端部に向かって縮径する中空状のテーパー体を、その伸長方向に沿って等分割してなることを特徴とする請求項1に記載の耐張クランプ。
  3. 前記長管体は、円筒体がその伸長方向に沿って等分割された分割片からなり、
    前記分割片同士の接合面は、嵌合構造を形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐張クランプ。
  4. 前記長管体の前記外周面上に形成されるネジ山は、角ネジ又は台形ネジであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の耐張クランプ。
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