ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)撮影装置の構成:
(2)水平同期信号の制御:
(3)他の実施形態:
(1)撮影装置の構成:
図1は本発明の一実施形態にかかる撮影装置1には、光学系10、エリアイメージセンサー15、ASIC200、タイミングジェネレーター30、表示部40、CPU50、VRAM51、SD−RAM52、ROM53、RAM54、操作部55が備えられている。CPU50は、VRAM51、SD−RAM52、RAM54を適宜利用してROM53に記録されたプログラムを実行可能であり、当該プログラムによりCPU50は、操作部55に対する操作に応じてエリアイメージセンサー15にて撮影された被写体を示す画像データを生成する機能を実行する。なお、操作部55はシャッターボタンと、モードを切り換えるためのモード切換手段としてのダイヤルスイッチと、絞りとシャッター速度を切り換えるためのダイヤルスイッチと、各種の設定メニューを操作するためのプッシュボタンとを備えており、利用者は当該操作部55に対する操作によって撮影装置1に対して各種の指示を与えることができる。
表示部40は、撮影対象となる被写体を示す画像を表示して利用者に撮影前の被写体の様子および撮影条件等の情報を把握させるEVF(Electronic View Finder)であり、本実施形態にかかる撮影装置1はEVFを備えたミラーレスデジタルカメラである。表示部40は、図示しないインターフェース回路、液晶パネルドライバー41、液晶パネル42、図示しない接眼レンズ等を備えている。本実施形態において液晶パネル42は、画素ごとに3色のカラーフィルターに対応する3つのサブピクセルを備える高温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)であり、画素の位置は直交座標系における座標で規定される。また、一方の座標軸に平行な方向に並ぶ複数の画素によってラインが構成され、複数のラインが他方の座標軸に平行な方向に並ぶように構成されている。本明細書では、ラインに平行な方向を水平方向、ラインに垂直な方向を垂直方向と呼び、液晶パネル42の全画素によって構成される1画面を1フレームと呼ぶ。
液晶パネルドライバー41は、各サブピクセルに電圧を印加して液晶を駆動するための信号を液晶パネル42に対して出力する。液晶パネル42は、図示しないゲートドライバーおよびソースドライバーを備えており、液晶パネルドライバー41から出力される信号に応じてゲートドライバーが各ラインの各画素における表示タイミングを制御し、ソースドライバーが表示タイミングとされているラインの各画素に対して各画素の画像データに対応した電圧を印加することによって表示を行う。すなわち、液晶パネルドライバー41は、液晶パネル42における表示を行うための各種信号、例えば、1フレーム分の表示を行うための期間を規定する垂直同期信号(DVsync)、1ライン分の表示を行うための期間を規定する水平同期信号(DHsync)、各ライン内での画像データの取り込み期間を規定するデータアクティブ信号(DDactive)、各画素の画像データの取り込みタイミング等を規定するデータクロック信号(DDotclock)、各画素の画像データ(Data)を出力するように構成されている。
なお、本実施形態にかかる撮影装置1は、タイミングジェネレーター30を備えており、上述の垂直同期信号DVsync、水平同期信号DHsync、データアクティブ信号DDactive、データクロック信号DDotclockは当該タイミングジェネレーター30によって生成される。すなわち、タイミングジェネレーター30は、クロック信号発生手段から出力される所定周期のクロック信号の変化タイミングに同期して信号レベルが変化する信号を生成する分周回路等を備えた表示制御部30bを備えている。そして、タイミングジェネレーター30は、表示制御部30bの制御により、予め決められたタイミングで信号レベルが変化する垂直同期信号DVsync、データアクティブ信号DDactive、データクロック信号DDotclockを生成する。なお、本実施形態において水平同期信号DHsyncの出力タイミングは可変であり、後述するようにリサイズ処理部20fの処理結果に依存して出力タイミングが決定される。
また、本実施形態における液晶パネル42は、水平方向に1024個、垂直方向に768個の有効画素を備えた画素数がXGAサイズのパネルであり、液晶パネルドライバー41が出力する画像データDataの内容および出力タイミングを調整することによって、任意の位置にDataに対応した階調の表示を行うことができる。本実施形態においては、液晶パネル42の予め決められた被写体像表示領域にエリアイメージセンサー15の出力データに基づいて被写体の画像を表示し、また、当該被写体像表示領域以外の領域に撮影条件等の情報を示す文字を表示する構成となっている。すなわち、液晶パネル42には、被写体の画像とともに撮影条件等の情報を示す文字がOSD(On Screen Display)表示される。なお、液晶パネル42は水平方向および垂直方向に有効画素よりも多数の画素を備えているが、本明細書では簡単のため有効画素以外の画素に関する処理は省略して説明する。
光学系10は、エリアイメージセンサー15に被写体画像を結像させるレンズ11、絞り12、シャッター13およびローパスフィルター14を備える。このうち、レンズ11と絞り12とは図示しない筐体に交換可能に取り付けられる。エリアイメージセンサー15としては、ベイヤー配列されたカラーフィルターと、光量に応じた電荷を光電変換によって画素ごとに蓄積する複数のフォトダイオードとを備えるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の固体撮像素子が用いられる。エリアイメージセンサー15の画素の位置は直交座標系における座標で規定され、一方の座標軸に平行な方向に並ぶ複数の画素によってラインが構成され、複数のラインが他方の座標軸に平行な方向に並ぶように構成されている。本明細書では、ラインに平行な方向を水平方向、ラインに垂直な方向を垂直方向と呼ぶ。エリアイメージセンサー15の全画素によって構成される1画面を1フレームと呼ぶ。
本実施形態においては、エリアイメージセンサー15もタイミングジェネレーター30が出力する各種信号に同期した動作を行う。すなわち、タイミングジェネレーター30は、1フレーム分のフォトダイオードの検出結果を読み出すためのフレーム撮影期間を規定する垂直同期信号(SVsync)、1ライン分のフォトダイオードの検出結果を読み出すための期間を規定する水平同期信号(SHsync)、各画素の画像データの読み出しタイミング等を規定するデータクロック信号(SDotclock)を出力する。エリアイメージセンサー15は、一定の周期で出力される垂直同期信号SVsyncに応じて1フレーム分の出力データの出力を開始し、水平同期信号SHsyncにて規定される期間内にデータクロック信号SDotclockに応じたタイミングでエリアイメージセンサー15の一部の画素に対応するフォトダイオードの検出結果を示す出力データを逐次読み出す。
ASIC200は、SD−RAM52に予め確保された複数ライン分のラインバッファー52a〜52dとフレームバッファー52eとを利用し、表示部40にて被写体の像を表示するための画像データを生成する処理を行う回路によって構成される画像データ生成部20を備えている。画像データ生成部20は、出力データ取得部と補正情報取得部とを構成する。なお、複数ライン分のラインバッファー52a〜52dとフレームバッファー52eとは画像データ生成部20などに設けられていても良い。表示部40は生成された画像データに基づいて被写体を液晶パネル42に対して表示する。すなわち、利用者は、表示部40をEVFとして利用しながら被写体を確認することが可能である。
また、利用者が操作部55を操作して撮影指示を行った場合には、撮影指示に応じてエリアイメージセンサー15は、垂直同期信号SVsyncに応じて1フレーム分の出力データの出力を開始し、水平同期信号SHsyncにて規定される期間内にデータクロック信号SDotclockに応じたタイミングでエリアイメージセンサー15の全有効画素に対応するフォトダイオードの検出結果を示す出力データを逐次読み出す。そして画像データ生成部20は、SD−RAM52等を利用しJPEG等の形式の画像データを生成して図示しないリムーバブルメモリー等に記録される。すなわち、利用者は、被写体を示す画像データを生成することが可能である。
(2)水平同期信号の制御:
被写体を示す画像データをリムーバブルメモリー等に記録し、印刷すること等を考慮した場合、高品質の画像データを得るためにはエリアイメージセンサー15の画素数が所定数より多いことが望まれる。そこで、本実施形態におけるエリアイメージセンサー15の有効画素数は図2に示すように、水平方向に5400画素、垂直方向に3600画素となっている。エリアイメージセンサー15は水平方向および垂直方向に有効画素よりも多数の画素を備えているが、本明細書では簡単のため有効画素以外の画素に関する処理は省略して説明する。
一方、上述のように、液晶パネル42は水平方向に1024個、垂直方向に768個の画素を備え、被写体像表示領域(図2に示すR1)に被写体の画像を表示する構成となっている。本実施形態においては、エリアイメージセンサー15の縦横比(2:3)を維持したままできるだけ大きく被写体の画像を表示するため、液晶パネル42の上辺および左右の辺に対して上辺及び左右の辺が接する縦横比2:3の矩形領域を被写体の画像を表示する被写体像表示領域R1としている。また、残りの領域が撮影条件等の情報を示す文字を表示する情報表示領域(図2に示す領域)である。従って、液晶パネル42における被写体像表示領域R1は、水平方向に1024個、垂直方向に682個の画素にて構成される。以上のように、本実施形態においては、エリアイメージセンサー15の画素数と液晶パネル42の画素数とは一致していない。
さらに、表示部40における表示は利用者による被写体の確認に利用されるため、エリアイメージセンサー15にて被写体が撮影されたタイミングから表示部40にて当該撮影された被写体の像が表示されるタイミングまでの遅延が利用者によって認識可能な程度の長さであると、EVFで視認した被写体と記録される被写体の像とがずれるなど、極めて使いづらいEVFとなってしまう。従って、表示部40がEVFとして利用される際には、遅延が少ないことが要求される。
そこで、エリアイメージセンサー15にて撮影した画像を人間が視認できない極めて短い遅延にて表示部40に表示させるため、本実施形態においては、エリアイメージセンサー15および画像データ生成部20で各種の処理を行い、表示部40は、この処理の結果生成された画像データを高速に表示させるための構成を備えている。
すなわち、本実施形態にかかるエリアイメージセンサー15は、垂直方向に並ぶラインのうちn個(nは奇数)に1個の割合でフォトダイオードの検出結果を読み出す飛び越し走査を実行可能な回路が設けられている。また、同色のカラーフィルターを介して光電変換を行うフォトダイオードのうち水平方向に並ぶm個(mは自然数)の検出結果を加算してその和をm分の1にして(すなわちm個の検出結果の相加平均を)出力するための加算器が設けられている。本実施形態において、表示部40をEVFとして機能させる際、エリアイメージセンサー15においては、飛び越し走査および加算器による処理を実行することにより、水平方向および垂直方向の画素を間引き、エリアイメージセンサー15が備える画素数よりも少ない画素数の出力データを出力することで、高速に被写体を撮影する構成としている。
すなわち、エリアイメージセンサー15は、表示部40をEVFとして機能させるライブビューモードにおいて、n個に1個の割合で垂直方向のラインを読み出し対象とした読み出しを水平同期信号SHsyncに応じて行う。また、m個のフォトダイオードの検出結果を加算器で加算した結果を出力データとして出力する処理をデータクロック信号SDotclockに応じて行う。図3は、本実施形態においてエリアイメージセンサー15が備える画素数よりも少ない画素数の出力データを出力する方法の一例を示している。同図3において、Rが付された矩形は赤の帯域の光を透過するカラーフィルターに対応するフォトダイオードを示し、Gが付された矩形は緑の帯域の光を透過するカラーフィルターに対応するフォトダイオードを示し、Bが付された矩形は青の帯域の光を透過するカラーフィルターに対応するフォトダイオードを示している。
同図3に示すように、矩形で示す各画素のカラーフィルターがベイヤー配列である場合、各画素に1色のカラーフィルターのみが対応しているため、各画素の色は周囲の画素を利用して補間する必要がある。このため、ラインを間引いて出力データを取得する際に、間引き後に隣接するラインのカラーフィルターが異なる色となるように間引きを行う必要がある。このため、本実施形態においては、nを奇数とし、nラインに1ラインの割合で各ラインのフォトダイオードでの検出値を出力データとして取得すれば、補間によって各画素の色を特定可能な出力データを取得することができる。本実施形態においては、エリアイメージセンサー15の垂直方向のライン数をできるだけ液晶パネル42の被写体像表示領域R1の垂直方向のライン数に近づけるため、5ラインに1ラインの割合で出力データを取得する構成としている。図3においては、5ラインに1ラインの割合で出力データを取得することを左向きの矢印で示しており、この例においては垂直方向のライン数が1/5、すなわち、720となる。
さらに、カラーフィルターがベイヤー配列である場合、水平方向に隣接する画素の色は異なるとともに、1個おきに同色のカラーフィルターが並ぶことになる。このため、水平方向に並ぶ画素について1個おきにm個加算しその和をm分の1にすることで(すなわちm個の検出結果の相加平均を求めることで)実質的に間引き処理を行うことができる。本実施形態においては、加算器による加算を行った場合の画質上の制約等により、mを3と設定している。図3においては、最も下に記したラインのうち、緑色のカラーフィルターを介して光電変換を行うフォトダイオードであって水平方向に並ぶ3個のフォトダイオード検出結果を加算器S1によって加算して1/3にし、赤色のカラーフィルターを介して光電変換を行うフォトダイオードであって水平方向に並ぶ3個のフォトダイオードの検出結果を加算器S2によって加算して1/3にする構成を示している。この例においては水平方向の画素数が1/3、すなわち、1800画素となる。図2には、エリアイメージセンサー15における間引き後のデータサイズを破線の矩形15aによって示している。
以上のように、エリアイメージセンサー15においては、垂直方向のライン数を720ライン、水平方向の画素数を1800画素とすることができる。しかし、このような間引きにおいては、垂直方向においてnが奇数であり、水平方向においてmが自然数である等画質上の制約があるため、間引き後の画素数と液晶パネル42の被写体像表示領域R1の画素数とを一致させることは困難である。また、上述のようにnとmとが異なる場合には縦横比が被写体と液晶パネル42の被写体像とで異なるものになってしまう。
そこで、本実施形態においては、画像データ生成部20において、間引き後の出力データに対してさらにリサイズを行って液晶パネル42の被写体像表示領域R1に表示させるための画像データを生成する構成としている。すなわち、画像データ生成部20は、画素補間部20a、解析部20b、色再現処理部20c、フィルター処理部20d、ガンマ補正部20e、リサイズ処理部20fを備えている。そして、画像データを生成する過程でリサイズ処理部20fによって垂直方向および水平方向の画素数を変更することにより、液晶パネル42の被写体像表示領域R1の画素数と等しい画像データを生成する構成としている。
ラインバッファー52aは、エリアイメージセンサー15から出力される間引き後の出力データを一時記録するバッファーメモリーであり、エリアイメージセンサー15から間引き後の出力データが出力されると画像データ生成部20の処理によって当該出力データがラインバッファー52aに一時記録される。画素補間部20aは、ラインバッファー52aからベイヤー配列において各画素で欠落している2チャネルの色を生成するために必要な画素数のデータを取り込みながら補間処理によって当該2チャネルの色を生成する。この結果、各画素において前記カラーフィルターが透過させる光の帯域に対応する赤、緑、青の3チャネルの出力データが生成される。この時点で、1ライン分の出力データは、1800個の画素で構成され、各画素について赤、緑、青の3チャネルの階調値が対応づけられる。
画素補間部20aにて補間処理が行われた出力データは、フレームバッファー52eに順次記録されていくとともに、解析部20bにも並行して出力される。フレームバッファー52eは、垂直同期信号SVsyncの入力後、ラインごとに順次入力される出力データを720ライン分蓄積していく。すなわち、フレームバッファー52eには、1フレーム分の出力データが記録される。なお、フレームバッファー52eは、VRAMであってもよい。
一方、解析部20bは、ラインごとに順次入力される出力データをラインごとに順次解析する。具体的には、解析部20bは、加算器と除算器とを備えており、以下の処理を行う。まず、解析部20bは、出力データを構成する各画素に対応づけられた階調値をチャネルごとに累積加算していく。解析部20bは、720ラインの分の出力データについて階調値を累積するため、結果として1フレームを構成するすべての画素に対応づけられた階調値をチャネルごとに累積した累積値が得られる。解析部20bは、1フレームにわたって累積された各チャネルの累積値を合計し、当該合計した値をチャネル数(3チャネル)で除算することにより累積値の平均値を算出する。そして、解析部20bは、累積値の平均値を各チャネルの累積値で除算することにより、各チャネルについてのゲイン値GaR,GaG,GaBを算出する。例えば、1フレーム全体において赤みが強い傾向がある場合には、赤のチャネルの累積値が他のチャネルの累積値より大きくなり、赤のチャネルのゲイン値GaRが他のチャネルのゲイン値GaG,GaBよりも小さくなる。すなわち、ゲイン値GaR,GaG,GaBは、フレーム全体において他のチャネルよりも強く表れている色味に対応するチャネルに関して小さくなる性質を有する。ゲイン値GaR,GaG,GaBは、補正情報に相当する。
なお、画素補間部20aにて補間処理が行われた出力データは、フレームバッファー52eと解析部20bとに対して並行して出力されるため、1フレーム分の出力データに基づいてゲイン値GaR,GaG,GaBが得られるタイミングよりも先に、フレームバッファー52eにおける1フレーム分の出力データの記録が終了している。また、ゲイン値GaR,GaG,GaBが得られるタイミングよりも先に、エリアイメージセンサー15から最終の720番目のラインに対応するデータの読み出しが完了しているため、前記垂直同期信号SVsyncを始期とする垂直同期期間(フレーム撮影期間)も終了している。解析部20bは、ゲイン値GaR,GaG,GaBを色再現処理部20cに出力する。
色再現処理部20cは、ゲイン値GaR,GaG,GaBの入力をトリガーとして、フレームバッファー52eに記録された1フレーム分の出力データを1番目のラインから線順次で読み出す。そして、色再現処理部20cは、読み出した1ライン分の出力データを構成する各画素に対応づけられた各チャネルの階調値に各チャネルのゲイン値GaR,GaG,GaBを乗算することにより、ホワイトバランス補正を行う。各画素についての階調値にゲイン値GaR,GaG,GaBを乗算することにより、フレーム全体において他のチャネルよりも強く表れている色味に対応するチャネルの階調値を下方修正することができ、各チャネルに対応する色味のバランスを確保することができる。なお、ホワイトバランス補正の手法として他の手法を採用してもよく、例えば1フレーム分の出力データに基づいて撮影光源を推定し、当該撮影光源に対応するゲイン値GaR,GaG,GaBを得るようにしてもよい。いずれの手法を採るにしても、ホワイトバランス補正においては、被写体像の局所的な色によって全体の色調が決定されないように、1フレーム全体の出力データを解析してゲイン値GaR,GaG,GaBを算出する必要がある。
さらに、色再現処理部20cは、生成されたデータに基づいて3×3の行列演算を行うことによってカラーマッチングのための色変換処理を行う。なお、ゲイン値GaR,GaG,GaBを反映した行列を使用することにより行列演算とホワイトバランス補正を同時に行ってもよい。色変換処理によって静止されたデータはラインバッファー52bに一時記録される。次にフィルター処理部20dは、シャープネス調整やノイズ除去処理などをフィルター処理によって実行する。次にガンマ補正部20eはエリアイメージセンサー15の出力データの階調値が示す色と表示部40で扱う画像データの階調値が示す色との特性差を補償するガンマ補正を実行する。ガンマ補正によって生成されたデータはラインバッファー52cに一時記録される。
当該ラインバッファー52cに線順次で記録されていくデータはエリアイメージセンサー15において間引きが行われた画素数である。すなわち、垂直方向に720ライン、水平方向に1800画素のデータが線順次で記録されていくことになる。リサイズ処理部20fは当該ラインバッファー52cに記録されていくデータを逐次参照して補間演算処理を行い、画素の間の位置における各チャネルの階調値を特定することによってリサイズを行う。本実施形態において、上述のエリアイメージセンサー15における間引きは垂直方向に1/5,水平方向に1/3であるため、図2の矩形15aにて示すように間引き後のデータの縦横比はエリアイメージセンサー15の出力データの縦横比と異なっている。そこで、リサイズ処理部20fは、まず、ラインバッファー52cに記録されたデータに基づいて水平方向に約57%のサイズに縮小する縮小処理を行う。この結果、水平方向の画素数を1024画素とする。さらに、リサイズ処理部20fは、垂直方向に約95%に縮小する縮小処理を行う。この結果、水平方向に1024画素、垂直方向に682ラインの画像データを生成する。生成された画像データはラインバッファー52dに線順次で記録される。
本実施形態においては、以上の処理によってエリアイメージセンサー15の出力データに基づいて液晶パネル42の被写体像表示領域R1に表示可能な画像データを生成する生成処理を行うが、エリアイメージセンサー15の出力データは垂直方向に720ラインであり、画像データの垂直方向のライン数である682ラインや液晶パネル42の垂直方向のライン数である768ラインとは異なっている。すなわち、1フレーム分の撮影及び表示を行うために必要なライン数が異なっている。
そこで、本実施形態においては、エリアイメージセンサー15の水平同期信号SHsync、垂直同期信号SVsync、データアクティブ信号SDactiveおよびデータクロック信号SDotclockは、エリアイメージセンサー15を駆動するために必要な周期に設定される。すなわち、タイミングジェネレーター30は、エリアイメージセンサー15において上述のような垂直方向の間引きを行って垂直同期信号SVsyncで規定される期間内に1フレーム分のライン数の出力データを取得できるようなタイミングおよび出力回数で水平同期信号SHsyncを出力している。また、タイミングジェネレーター30は、以上のような水平方向の間引きを行って水平同期信号SHsyncで規定される期間内に1ライン分の画素数の出力データを取得できるようなタイミングおよび出力回数でデータクロック信号SDotclockを出力している。
一方、当該エリアイメージセンサー15から線順次に出力される出力データに基づいて遅延期間を最小化して液晶パネル42における表示を行うため、本実施形態においては、液晶パネル42の各ラインに対して表示を行うための画像データが準備された時点で水平同期信号DHsyncが出力されるように構成されている。すなわち、本実施形態において液晶パネル42は、リサイズ処理部20fによる処理が終了したラインの表示を行うことが可能である。そこで、タイミングジェネレーター30は、液晶パネル42の垂直方向のNライン目(Nは自然数)の画像データの生成処理が終了した時点でNライン目の表示を行うための水平同期信号DHsyncを出力する。
具体的には、タイミングジェネレーター30は、進捗情報取得部30aを備えており、当該進捗情報取得部30aは、リサイズ処理部20fから当該リサイズ処理部20fにおける画像データの生成処理が終了したラインを示す進捗情報を取得することが可能である。従って、当該進捗情報によれば、画像データに基づいて液晶パネル42における表示が可能になったラインを特定することが可能である。そこで、タイミングジェネレーター30が、各ラインの画像データの生成処理が終了したタイミングに同期して水平同期信号DHsyncを出力することにより、液晶パネル42において当該画像データの生成処理が終了したラインの表示を開始させる構成とする。この構成によれば、画像データの準備が整う前に各ラインの表示を開始することはなく、各ラインの表示準備が整うと即座に各ラインの表示をすることが可能になる。
なお、液晶パネル42においては、水平同期信号DHsyncの出力タイミングで規定される水平同期期間内に液晶パネル42の各ラインの画素表示を行うことができればよいため、タイミングジェネレーター30は、水平同期信号DHsyncの出力タイミングで規定される水平同期期間が最短となる期間として想定される期間内に1ライン分の画素表示を行うことができるようにデータアクティブ信号DDactiveおよびデータクロック信号DDotclockを出力する。
また、本実施形態においては、エリアイメージセンサー15からの出力データと液晶パネル42での表示とがフレーム単位で整合しなくなることを防止するため、エリアイメージセンサー15の垂直同期信号SVsyncと液晶パネル42の垂直同期信号DVsyncとが同期するように設定されている。すなわち、タイミングジェネレーター30は、エリアイメージセンサー15の垂直同期信号SVsyncを出力したタイミングから一定の遅延時間ΔTVの経過後に表示部40の垂直同期信号DVsyncを出力する。すなわち、J番目のフレームについてのフレーム撮影期間が開始するタイミングから遅延時間ΔTVだけ遅れてJ番目のフレームについての表示が開始する。なお、Jは自然数であり、J=1が撮影開始の最初のフレームを意味する。垂直同期信号SVsyncは一定周期でエリアイメージセンサー15に出力されるため、垂直同期信号SVsyncに対して一定の遅延時間ΔTVだけ遅れた垂直同期信号DVsyncも液晶パネル42に対して一定周期で出力されることとなる。また、垂直同期信号SVsync,DVsyncの周期は互いに同一の長さとなる。従って、同一のフレーム撮影期間に撮影された被写体の像が複数の垂直同期期間に渡って液晶パネル42に表示されることが防止できる。
一方、本実施形態において液晶パネル42の水平同期信号DHsyncで規定される水平同期期間は可変長であるため、水平同期期間が変化しても垂直同期信号SVsync,DVsyncの周期が同一かつ一定である状態を維持するように構成してある。具体的には、タイミングジェネレーター30は、予め決められた基準の期間THに対して水平同期期間を長期化あるいは短期化することによって基準の期間THからの時間変動を相殺することによって、1フレームを表示するための垂直同期期間が一定となるように出力信号を制御している。基準の期間THは、例えば、垂直同期期間内に液晶パネル42の全ライン数について均等な期間で各ラインの表示を行う場合の水平同期期間によって構成される。
そして、被写体表示領域R1においては、各ラインの画像データの生成処理が終了するまで水平同期信号DHsyncの出力を待機することで水平同期期間が変動し得る状態とする。さらに、撮影条件等の情報を示す文字を表示する液晶パネル42の情報表示領域R2においては、被写体表示領域R1で変動した水平同期期間と基準の期間THとの差分の累計を相殺するように基準の期間THよりも水平同期期間の長さを調整する。
図4はこのように構成されたタイミングジェネレーター30から出力される水平同期信号DHsyncを示しており、データアクティブ信号DDactiveおよびデータクロック信号DDotclock、進捗情報を合わせて示している。なお、本実施形態においてリサイズ処理部20fから出力される進捗情報は、1ライン分の画像データの生成処理を実行している過程においてローレベルの出力が維持され、1ライン分の画像データの生成処理を終了した時点で所定期間ハイレベルとなる1回のパルスによって構成される。
タイミングジェネレーター30が進捗情報取得部30aによって当該進捗情報を取得すると、表示制御部30bの処理により、当該進捗情報のパルスに同期して水平同期信号DHsyncを出力する。このため、仮に、基準の期間TH内に、あるラインの画像データの生成処理が間に合わなかった場合には、生成処理が終了するまで水平同期信号DHsyncが出力されず、水平同期期間TDHは基準の期間THより長くなる。従って、基準の期間TH内に、あるラインの画像データの生成処理が間に合わなかった場合、生成処理が終了するまで液晶パネル42にて当該ラインの表示は開始されない。また、各ラインの画像データの準備が終了する前に表示がなされることはない。逆に、基準の期間TH内に、あるラインの画像データの生成処理が終了した場合には、生成処理が終了した時点で水平同期信号DHsyncが出力され、水平同期期間TDHは基準の期間THより短くなる。すなわち、各ラインの画像データの準備が終了すると遅滞なく表示がなされる。以上のように、本実施形態は、水平同期期間TDHを基準の期間THから変動させて液晶パネル42を駆動するため、液晶パネル42で表示すべき1ライン分の画像データの生成処理が終了するタイミングが一定周期とならない態様に適用して好適である。このような態様は、エリアイメージセンサー15のデータ出力処理や画像データ生成部20による画像データの生成処理の速度がラインごとに相違し得る態様が想定し得る。むろん、撮影条件や撮影に利用するハードウェアに依存して処理速度がラインごとに相違し得る態様に本発明を適用しても良い。例えば、利用者が操作部55を操作することによってエリアイメージセンサー15の垂直同期期間や水平同期期間が変動し、あるいは画像データの生成処理に要する期間が変動する構成に対して本発明を適用することが可能である。さらに、着脱式EVFや着脱式レンズを変更することによってエリアイメージセンサー15の垂直同期期間や水平同期期間が変動し、あるいは画像データの生成処理に要する期間が変動する構成に対して本発明を適用することが可能である。
図5は、遅延時間ΔTVを説明するタイミングチャートである。図5において横軸は時間を示し、各フレームにおける縦軸はライン番号を示す。図5の上段は撮影順序がJ番目のフレームについてタイミングチャートであり、同図下段は(J+1)番目のフレームについてのタイミングチャートである。図5の下部において撮影順序がJ番目と(J+1)番目のフレームについての垂直同期期間(フレーム撮影期間)が示されている。この垂直同期期間は、エリアイメージセンサー15にて最初のライン(間引き後の出力データの最上ライン)の露光と出力データの読み出しを開始してから、最終のライン(間引き後の出力データの最下ライン)の出力データの読み出しが完了するまでの時間に対応する。図5において、各回路要素15,20a,20c〜20f,52eにおいて最初のラインと最終のラインに対応する出力データの処理時間を矢印で模式的に示している。なお、図の簡略化のためラインバッファー52a〜52dによる出力データの保持時間は無視する。
エリアイメージセンサー15から画素補間部20aまでの処理は、パイプライン処理によって行われる。すなわち、図5に示すように画素補間部20aは、エリアイメージセンサー15からJ番目のフレームの最初のラインの出力データの読み出しが完了したタイミングで、J番目のフレームの最初のラインの出力データについての処理を開始する。このタイミングでは、エリアイメージセンサー15からの最終のラインの出力データの読み出しが完了していないため、J番目のフレームの垂直同期期間が終了する前において、最初のラインの出力データについて画素補間部20aが処理を開始することとなる。画素補間部20aによる処理が完了した出力データは、最初のラインから順にフレームバッファー52eに記録され、これと並行して各画素に対応づけられた各チャネルの階調値が解析部20bによって累積されていく。すなわち、解析部20bによる階調値の累積と、フレームバッファー52eにおける出力データの記録は同時に行われる。なお、図5において各ラインについての出力データがフレームバッファー52eに保持される期間をハッチングで示している。解析部20bが最終のラインの最終の画素まで各チャネルの階調値を累積したタイミングで、解析部20bはゲイン値GaR,GaG,GaBを算出することが可能となる。ここで、ゲイン値GaR,GaG,GaBが得られるのは、エリアイメージセンサー15からの最終ラインの出力データの読み出しが終了するよりも後、すなわちJ番目のフレームについての垂直同期期間(フレーム撮影期間)が終了するよりも後となる。
次の色再現処理部20cは、ゲイン値GaR,GaG,GaBが得られたことをトリガーとしてホワイトバランス補正を行う。色再現処理部20c〜ガンマ補正部20eは、フレームバッファー52eに記録された1フレーム分の出力データを最初のラインから線順次で読み出し、パイプライン処理によって線順次で各ラインの出力データを処理する。色再現処理部20c〜ガンマ補正部20eでは、一旦、フレームバッファー52eに記録されていた全ラインについての出力データが、再び、ライン間の時間差を生じさせつつ線順次で処理されていくこととなる。ガンマ補正部20eが最初の数ライン(ライン数はリサイズの倍率や補間に使用する画素の範囲の大きさに依存する。)の処理を完了させた段階で、リサイズ処理部20fが液晶パネル42における被写体表示領域R1の最初のラインに対応する画像データを生成することが可能となる。なお、リサイズ処理部20fによって720ラインから682ラインに減少する。そして、リサイズ処理部20fが被写体表示領域R1の最初のラインに対応する画像データの生成を終了させるタイミングで、タイミングジェネレーター30はJ番目のフレームについての表示を開始させるための垂直同期信号DVsync、および、当該フレームの最初のラインについての水平同期信号DHsyncを出力する。
以上のように、フレームバッファー52eに、一旦、出力データを保持させゲイン値GaR,GaG,GaBが得られるのを待って、色再現処理部20cにてゲイン値GaR,GaG,GaBに基づくホワイトバランス補正を適用するため、ゲイン値GaR,GaG,GaBを取得するために解析したフレームと、ゲイン値GaR,GaG,GaBに基づいて補正するフレームとの同時性を確保することができる。従って、撮影光源の急激な変動に追従した表示が可能となる。
ここで、遅延時間ΔTVは、タイミングジェネレーター30がエリアイメージセンサー15に対してJ番目のフレームについての撮影を開始させる垂直同期信号SVsyncを出力してから、J番目のフレームについての表示を開始させる垂直同期信号DVsyncを出力するまでの期間である。上述したように、J番目のフレームについてのゲイン値GaR,GaG,GaBが得られたタイミングでは、すでにJ番目のフレームを撮影するための垂直同期期間(フレーム撮影期間)が終了しているため、J番目のフレームの表示を開始させる垂直同期信号DVsyncを出力するタイミングにおいて、すでに(J+1)番目のフレームについての垂直同期期間(フレーム撮影期間)が開始していることとなる。すなわち、J番目のフレームについて撮影を開始してから表示を開始するまでの遅延時間ΔTVが垂直同期期間よりも大きくなる。
遅延時間ΔTVは、現実の被写体に対する被写体像の遅れを意味するため、可能な限り短くするのが望ましい。上述のように、本実施形態では各ラインに対応する画像データの生成処理が終了したことをトリガーとして当該ラインについての表示を開始する。ここで、各フレームの最初のラインに注目すると、各フレームの最初のラインに対応する画像データの生成処理が終了したことをトリガーとして当該ラインについての表示を開始するのと同時に、当該ラインを含むフレームについての表示が開始されることとなる。すなわち、垂直同期期間の遅延時間ΔTVは、J番目のフレームの最初のラインについての出力データの露光と出力データの読み出しをエリアイメージセンサー15にて開始してから、当該J番目のフレームの最初のラインについての画像データの生成処理がリサイズ処理部20fにて終了するまでの期間に相当する。すなわち、本実施形態では、遅延時間ΔTVは、垂直同期期間(フレーム撮影期間)よりも大きくなるものの、J番目のフレームの最初のラインについての画像データの生成処理が終了したことをトリガーとして、J番目のフレームの表示を開始しているため、遅延時間ΔTVを可能な限り短くすることができる。特に本実施形態の遅延時間ΔTVは、垂直同期期間の2倍より小さくなる。従って、現実の被写体に対する被写体像の遅れを目立たなくすることができる。
なお、エリアイメージセンサー15と画素補間部20a〜ガンマ補正部20eがそれぞれ最初のラインについての出力データを処理する時間、および、フレームバッファー52eが最初のラインについての出力データを保持する時間はフレームに拘わらず一定であるため、遅延時間ΔTVは各フレームについて一定となる。
本実施形態では被写体表示領域R1において、リサイズ処理部20fから出力される進捗情報に応じてタイミングジェネレーター30が水平同期期間TDHを調整する。このため、被写体表示領域R1に表示すべき画像データの生成処理の進捗に応じて水平同期信号DHsyncが変動することとなり、液晶パネル42の水平同期信号DHsyncで規定される水平同期期間TDHが一定になるとは限らない。一方、上述のように、本実施形態においては垂直同期信号DVsyncで規定される垂直同期期間が一定であるため、被写体表示領域R1において水平同期期間TDHが変動した場合であっても、液晶パネル42の全ラインの表示が垂直同期期間内に終了するように、タイミングジェネレーター30は情報表示領域R2のラインについての水平同期信号DHsyncの出力タイミングを設定する。
すなわち、撮影条件等の情報を示す文字のデータ(OSDデータと呼ぶ)は、エリアイメージセンサー15の動作によらず予め作成しVRAM51に記録しておくことが可能であるため、OSDデータに基づく表示を行うラインの水平同期期間を短く調整する場合でも、データ読み出しの追い越しを発生させることなく適正な表示を行うことが可能である。そこで、本実施形態においては、エリアイメージセンサー15の出力データに基づく表示を行うための被写体像表示領域R1に属するラインについての水平同期期間の変動を相殺するように、撮影条件等の情報を示す文字を表示する情報表示領域R2における水平同期期間を設定する。
具体的には、タイミングジェネレーター30が水平同期信号DHsyncの出力タイミングを調整することにより、被写体像表示領域R1において変動した水平同期期間TDHと基準の期間THとの差分の総和と情報表示領域R2において調整された水平同期期間T DH2と基準の期間THとの差分の総和とが一致するように水平同期期間T DH2を調整する。ここで、情報表示領域R2において、上述のように水平同期信号DHsyncを調整するための構成としては、種々の構成を採用可能である。例えば、図4に示すように、被写体像表示領域R1にて発生した水平同期期間THに対する差分ΔT1の総和(ΣΔT1)を情報表示領域R2のライン数L2で除した値ΔT2を各ラインで調整すべき期間とする構成等を採用可能である。すなわち、水平同期期間TH−ΔT2が情報表示領域R2における水平同期期間T DH2であるとする構成等を採用可能である。
以上のように、本実施形態においては、液晶パネル42の領域毎に調整された水平同期信号に基づいて各領域にて適切な表示を行わせるために、液晶パネル42の被写体像表示領域R1および情報表示領域R2に相当する部分のライン番号が予め決められている。例えば、図2に示す例においては、1〜682ラインが被写体像表示領域R1、683ライン〜768ラインが情報表示領域R2である。そこで、タイミングジェネレーター30は、1〜682ラインに相当する被写体表示領域R1に対して表示を行う際に、上述の進捗情報に応じたタイミングで水平同期信号DHsyncを出力しつつ、683ライン〜768ラインに相当する情報表示領域R2に対して表示を行う際に、上述の基準の期間THから調整した水平同期期間T DH2となるように水平同期信号DHsyncを出力する。
また、ASIC200は画像データ出力部201を備えており、画像データ出力部201は、液晶パネル42の1〜682ラインの表示を行う際に、ラインバッファー52dに記録された画像データ(Data)を表示部40に対して線順次に出力する。この結果、エリアイメージセンサー15で撮影された被写体の像が被写体像表示領域R1に表示される。また、CPU50は、少なくとも情報表示領域R2での表示を行う以前においてVRAM51に対してOSDデータを記録しておく。そして、画像データ出力部201は、液晶パネル42の683ライン〜768ラインの表示を行う際に、VRAM51に記録されたOSDデータを画像データ(Data)として表示部40に対して線順次に出力する。この結果、撮影条件等の文字が情報表示領域R2に表示される。
この構成によれば、被写体像表示領域R1においては遅延を最小化した状態でエリアイメージセンサー15にて撮影した被写体を表示しつつ、情報表示領域R2において調整した水平同期期間内でOSDデータによる撮影条件等の情報の表示が行われる状態となる。そして、上述のように、被写体像表示領域R1において変動した水平同期期間TDHと基準の期間THとの差分の総和と情報表示領域R2において調整された水平同期期間T DH2と基準の期間THとの差分の総和とが一致するように水平同期期間が制御されるため、垂直同期信号SVsync,DVsyncの周期が同一かつ一定の状態で表示部40による表示を行うことができる。従って、エリアイメージセンサー15にて撮影された被写体が1フレーム期間以上遅れて液晶パネル42に表示されることはなく、また、複数の垂直同期期間に渡って同じ画像が液晶パネル42に表示されることもない。
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、進捗情報に基づいて画像データの生成処理が終了したか否かをラインごとに特定し、当該生成処理が終了したラインを表示する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。
例えば、水平同期期間TDHを基準の期間THよりも長期化する際には、水平同期信号DHsyncのバックポーチを長期化しても良い。この構成は、例えば、図1に示す構成にて、進捗情報取得部30aにおいてリサイズ処理部20fからの進捗情報の出力期間を検出する構成とする。すなわち、N−1ライン目の画像データの生成処理が終了した時点で出力される進捗情報からNライン目の画像データの生成処理が終了した時点で出力される進捗情報までの期間T S(N-1)を検出する。そして、タイミングジェネレーター30は、当該期間T S(N-1)に基づいてNライン目の水平同期信号DHsyncのバックポーチの長さを決定して各種の信号を出力する。
すなわち、タイミングジェネレーター30は、表示制御部30bの処理により、図6に示すように、Nライン目の水平同期信号DHsyncを出力した後、期間T S(N-1)の長さから基準の期間THの長さを減じて得られる期間ΔT1が経過した時点でプリチャージ期間を示す信号DH sync2を出力する。さらに、タイミングジェネレーター30は、表示制御部300bの処理により、当該信号DH sync2を出力した後、所定のプリチャージ期間が経過した時点でDDactiveを出力し、1ライン分の画素数のデータクロック信号DDotclockが出力されるまでDDactiveのレベルを維持した後に所定期間のフロントポーチを設けてN+1ライン目の水平同期信号DHsyncを出力する。ここで、プリチャージ期間の開始時点からフロントポーチの終了時点までの期間は基準の期間THと一致する。従って、Nライン目の水平同期信号DHsyncとN+1ライン目の水平同期信号DHsyncとの間の期間である水平同期期間TDHが基準の期間THとΔT1との和となる。この結果、液晶パネル42にて信号DH sync2に同期してプリチャージや極性反転等を行ってNラインの表示が可能になるとともに、水平同期期間TDHを基準の期間THから変化させることが可能になる。
なお、上述の第1実施形態においては、水平同期信号DHsyncのフロントポーチ期間を変化させていたため、バックポーチ期間は一定の期間とすることができ、通常の規定通りにプリチャージや極性反転等を行う期間を設けることができる。
さらに、上述の実施形態においては、エリアイメージセンサー15の垂直同期信号SVsyncの周期と液晶パネル42の垂直同期信号DVsyncの周期とを一致させるため、液晶パネル42の情報表示領域R2において被写体像表示領域R1よりも短い水平同期期間となるように水平同期信号SHsyncを出力したが、他の手法によって垂直同期信号SVsyncの周期と液晶パネル42の垂直同期信号DVsyncの周期とを一致させても良い。例えば、通常の撮影装置において、エリアイメージセンサー15のライン数は液晶パネル42のライン数よりも多いため、特定の垂直同期期間内に確保すべき水平同期期間が均等であると仮定した場合、エリアイメージセンサー15の水平同期信号SHsyncよりも液晶パネル42の水平同期信号DHsyncの方が短くなる。従って、液晶パネル42の水平同期信号DHsyncを長期化した場合であっても、当該長期化によって液晶パネル42の垂直同期期間を長くする必要が生じることは少ない。なお、水平同期信号DHsyncを長期化することによって液晶パネル42の垂直同期信号DVsyncがエリアイメージセンサー15の垂直同期信号SVsyncより長くなる場合、エリアイメージセンサー15の垂直同期信号SVsyncを長期化して垂直同期信号DVsyncと垂直同期信号SVsyncとを同期させても良い。
さらに、上述の実施形態においては、画像データの生成処理の中のリサイズ処理が終了したか否かをラインごとに示す進捗情報を取得する構成であったが、画像データの生成処理の最終工程がリサイズ処理でない場合でも、最終工程となる処理についての進捗情報を取得するようにすれば良い。また、画像データの生成処理の最終工程の処理時間が無視できるほど高速に処理できたり、一定時間で処理できたりして、最終工程の終了を予測できるのならば、最終工程の前の工程(例えば、処理時間が変動し得る工程)となる処理についての進捗情報を取得するようにすれば良い。さらに、画像データの生成処理において、複数のラインのデータを参照して1ライン分のデータを生成する画像処理工程が含まれる場合に当該工程について進捗情報を取得する構成としても良い。
また、画像データ生成部20において、2以上のラインのデータをラインバッファーに対して記録した後にあるラインのデータの生成が開始可能な画像処理工程においては、最低限必要なライン数のデータの生成処理が終了したか否かを判定し、当該生成処理が終了した時点で次の画像処理工程を開始するようにしてもよい。この構成により、各工程を実行するために必要なデータの準備が整う前に各ラインについての処理を開始することはなく、各ラインのデータが整うと即座に各ラインについて処理を開始することが可能になる。この結果、各画像処理工程を実行する際の待ち時間が最小化される。なお、本実施形態においては、最低限必要なライン数のデータをラインバッファー52a〜52dに一時記録すればよいため、ラインバッファー52a〜52dの容量を最小化することが可能である。
また、ホワイトバランス補正の同時性よりも表示される被写体の像の遅延抑制が優先して求められる場合もある。例えば、スポーツモードが設定された場合のように高速に動作する被写体の撮影を行う場合には、被写体の像の遅延抑制を優先すべきである。従って、スポーツモードが設定された場合には、画素補間部20aから色再現処理部20cに対して直接出力データが受け渡されるようにし、かつ、色再現処理部20cにおけるホワイトバランス補正を無効化する(例えば、ゲイン値GaR,GaG,GaBをすべて規定値1にする。)のが望ましい。この場合、フレームバッファー52eに1フレーム分の出力データを保持させることなく、画素補間部20aからリサイズ処理部20fまでの工程をすべてパイプライン処理によって行うことができる。従って、図5においてハッチングで示したフレームバッファー52eによる出力データの保持期間だけ遅延時間ΔTVを短縮することができる。図5の例では、遅延時間ΔTVの長さを垂直同期期間よりも短くすることができる。前記実施形態のように、各フレームの最初のラインに対応する画像データの生成処理が終了したことをトリガーとして当該ラインを含むフレームについての表示が開始するようにすれば、ホワイトバランス補正の適用有無によって遅延時間ΔTVが変動した場合であっても柔軟に、遅延時間ΔTVを短縮することができる。また、ホワイトバランス補正の適用有無によって1ライン分の画像データの生成処理が終了するタイミングの周期が変動する場合も考えられるが、水平同期期間TDHが可変であるため柔軟に対応することができる。
また、上述の実施形態において、1フレーム分の出力データを解析する解析部20bのすぐ後段に、ゲイン値GaR,GaG,GaBを適用してホワイトバランス補正を行う色再現処理部20cを配置したが、例えばホワイトバランス補正を行う回路を最終段(リサイズ後)に配置するようにしてもよい。このようにすることにより、色再現処理部20c〜リサイズ処理部20fがゲイン値GaR,GaG,GaBの算出を待つことなく、解析部20bが順次各ラインの出力データを解析するのと並行して各ラインについての出力データをパイプライン処理していくことができる。そして、リサイズ処理部20fがリサイズを行った画像データをフレームバッファーに保持させておき、解析部20bにてゲイン値GaR,GaG,GaBが得られたことをトリガーとして、フレームバッファーから順次各ラインの画像データを読み出しつつ最終工程のホワイトバランス補正を行えばよい。この場合、ゲイン値GaR,GaG,GaBが得られた後、すなわちエリアイメージセンサー15にて最終のラインについての出力データの読み出しが終了した後に行う工程を、ホワイトバランス補正のみとすることができる。従って、遅延時間ΔTVをさらに短縮することができる。
1フレーム分の出力データに基づく補正情報による補正として、ホワイトバランス補正以外の補正を行う場合にも本発明の手法を適用することができる。例えば、フレーム全体の明るさに基づいて補正を行う明るさ補正や、フレーム全体の鮮鋭度に基づいて補正を行うシャープネス等が挙げられる。また、フレーム全体ではなくフレームに対応する画像に含まれる所定オブジェクトに対応する画像情報の統計に基づいて行う補正であっても、所定オブジェクトを検出するためにフレーム全体の出力データを解析する場合もある。例えば、顔検出によって検出された顔領域の色に基づいて補正を行う色調補正を行う場合にも、本発明により解析対象のフレームと補正対象のフレームとの同時性を確保することができる。なお、顔検出を行う場合には、前記実施形態のように1ラインずつ順次解析していくことができないため、1フレーム分の出力データ、または、1フレーム分の出力データを均等に間引いた出力データを記録する解析用のフレームバッファーを、フレームバッファー52eとは別に用意する必要がある。そして、当該解析用のフレームバッファーに記録された出力データを参照して顔検出を行って色調補正を行うための補正情報を取得すればよい。
さらに、上述の実施形態において表示部40は液晶パネルを用いたEVFであったが、表示部40はEVF以外の表示部、例えば、撮影装置1の背面に取り付けられる液晶パネルを用いた表示部であっても良いし、液晶パネル以外の方式を用いたものであっても良い。また、撮影装置1はミラーを備えた一眼レフカメラでも良く、さらにムービーカメラであっても良いし、撮影機能を備えた携帯電話等の装置であっても良い。さらに、上述のエリアイメージセンサー15において、カラーフィルターはベイヤー配列であったが、ベイヤー配列以外の配列で構成されたセンサーを利用した撮影装置に本発明を適用しても良い。さらに、ラインバッファー52dはラインバッファーでも良いが、1フレーム分の画像データを記録するための記録容量を備えるVRAMであってもよい。この構成によれば、表示対象となる画像データに基づく各種処理を行うことが可能になる。さらに、水平同期期間は基準の期間に対して長期化されれば良く、当該基準の期間としては、各種の期間を想定可能である。例えば、エリアイメージセンサー15の水平同期信号SHsyncの周期、画像データの生成周期などを基準の期間としてもよい。さらに、タイミングジェネレーター30から表示部40への各種信号の転送形態は種々の形態を採用可能であり、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)等によって転送しても良い。また、上述の実施形態における方向を逆にしてもよく、例えば水平方向において、左から右に表示しても、右から左に表示しても良い。
さらに、OSDデータは表示部の情報表示領域において表示対象となる所定の情報を示した画像データであれば良く、撮影条件以外の各種情報、例えば、撮影装置1に搭載されたバッテリーの残量を示す情報等を表示対象となる所定の情報とする構成としても良い。さらに、垂直同期信号SVsync,DVsyncの周期が同一かつ一定の状態とするための構成は、上述の構成以外にも種々の構成を採用可能である。例えば、被写体表示領域R1における表示を行った後、情報表示領域R2でOSDデータを表示するために設定可能な最小の期間を情報表示領域R2における水平同期期間とすることによって垂直同期信号DVsyncの出力タイミング以前に液晶パネル42の全ラインの表示を終了し、残余の期間待機した後に規定の出力タイミングで垂直同期信号DVsyncが出力されるように構成してもよい。
さらに、エリアイメージセンサー15が被写体の撮影を行う周期(フレームレート)が可変である場合でも、本発明の手法により解析対象のフレームと、補正を行うフレームとの同時性を確保してもよい。フレームレートは、フレーム撮影期間の逆数を意味する。例えば、フレームレートを通常モードのフレームレートよりも大きくするスポーツ撮影モードや、フレームレートを通常モードのフレームレートよりも小さくする節電モード等を設けてもよい。このようにフレームレートが可変となる場合でも、前記実施形態のように、あるフレームについてのゲイン値GaR,GaG,GaBが得られるまで当該フレームの出力データをフレームバッファー52eに保持することにより、解析対象のフレームと補正を行うフレームとの同時性を確保することができる。また、フレームレートが可変となる場合でも、前記実施形態のように、あるフレームの表示を開始させるためのトリガーを、当該フレームを構成するラインのうち画像データ生成部における生成順序が最初のラインについて画像データの生成が終了すれば、各フレームについて撮影から表示までの遅延時間をできるだけ短くすることができる。さらに、表示部40の液晶パネル42において、被写体像表示領域R1および情報表示領域R2の大きさを変更可能な構成とし、被写体像表示領域R1の大きさに応じてフレームレートを可変となってもよい。