JP2011258891A - 有機トランジスタ及び有機トランジスタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機トランジスタ10は、基板12上に、ゲート電極14G、ゲート絶縁膜16、ソース電極18S及びドレイン電極18D、及び半導体層20が設けられている。半導体層20における、ソース電極18S及びドレイン電極18Dとの電極間の領域であるチャネル領域20Aは、結晶相とされている。また、半導体層20における、このチャネル領域20A以外の第2の領域20Bは、非結晶相とされている。
【選択図】図1
Description
請求項1に係る発明は、
基板と、
前記基板上に、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、半導体層と、を備え、
前記半導体層における、前記ソース電極と前記ドレイン電極との電極間のチャネル領域及び前記ソース電極及び前記ドレイン電極に重なる領域が少なくとも結晶相であり、該半導体層における該結晶相以外の領域が非結晶相である、有機トランジスタである。
前記半導体層における前記非結晶相の領域が、前記ソース電極及び前記ドレイン電極に重なる領域を含む請求項1に記載の有機トランジスタである。
非結晶の半導体層を形成する工程と、
前記非結晶の半導体層上に、該半導体層の少なくとも一部が露出するように蒸気侵入防止膜を形成する工程と、
前記非結晶の半導体層における前記蒸気侵入防止膜から露出した領域に、前記半導体層に含まれる半導体材料を溶解する溶媒の蒸気を供給することによって、該蒸気を供給された領域及び該領域に連続する領域の少なくとも一部の半導体材料を非結晶相から結晶相へ相転移させる工程と、
を少なくとも有する有機トランジスタの製造方法である。
この場合には、例えば、図3に示すように、基板12上に、ゲート電極14Gと、ゲート絶縁膜16と、半導体層20と、ソース電極18S及びドレイン電極18Dと、がこの順に設けられた構成の有機トランジスタ11Aとすればよい。
この場合には、例えば、図4に示すように、基板12上に、ソース電極18S及びドレイン電極18Dと、半導体層20と、ゲート絶縁膜16と、ゲート電極14Gと、をこの順に設けた構成(スタガ型)の有機トランジスタ11Bとしてもよく、また、ボトム・ゲート構造で且つプラナ型の構成であってもよい。
まず、基板12上に、ゲート電極14G、ゲート絶縁膜16、ソース電極18S及びドレイン電極18D、を形成する(図5(A)参照)。
これらの基板12、ゲート電極14G、ゲート絶縁膜16、ソース電極18S及びドレイン電極18Dの構成材料及びこれらの形成方法としては、従来公知の方法が用いられる。
ゲート絶縁膜16を形成する方法としては、スピンコーティング法、インクジェット法、スプレー法、エレクトロスプレー法等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、結晶性の理由から、TES−ADTを用いることが好ましい。
(A)非結晶の半導体層を形成する工程と、
(B)非結晶の半導体層上に、半導体層の少なくとも一部が露出するように、蒸気侵入防止膜を形成する工程と、
(C)非結晶の半導体層における蒸気侵入防止膜から露出した領域に、半導体層に含まれる半導体材料を溶解する溶媒の蒸気を供給することによって、該蒸気を供給された領域及び該領域に連続する領域の少なくとも一部の半導体材料を非結晶相から結晶相へ相転移させる工程と、
を経ることによって形成される。
この非結晶の半導体層21を形成する方法としては、あくまでも「非結晶」の半導体層21が形成される方法であれば、いかなる方法であってもよく、一例としては、半導体材料を含む塗布液を塗布する方法や、真空蒸着法が挙げられる。
この塗布液に含まれる溶媒としては、半導体材料を溶解する液体を用いればよく、半導体層20の構成材料として選択した半導体材料に応じて選択すればよいが、例えば、トルエン、無機溶媒(硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、二硫化炭素、四塩化炭素、又はエチレンカーボネート等)、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、又はジクロヘキサノン等)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、又はグリセリン等)、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、又はジエチレングリコールエチルエーテル等)、セロソルブ系溶媒(メリルセロソブル、エチルセロソルブ、又はフェニルセロソルブ等)、脂肪族炭化水素系溶媒(ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、ヘプタン、又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン、又はベンゼン等)、アミド系溶媒(ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、又はアミド等)、ハロゲン化合物系溶媒(モノクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、又は1,2−ジクロロエタン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸メチル、又はギ酸エチル等)、硫黄化合物系溶媒(ジメチルスルホキシド、又はスルホラン等)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル、又はアクリロニトリル等)、有機酸系溶媒(ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、又はトリフルオロ酢酸等)の如く各種有機溶媒、又は、これらを含む混合溶媒などが挙げられるが、これに限るものではない。
具体的には、まず、非結晶の半導体層21における、蒸気侵入防止膜22から露出した領域に、該非結晶の半導体層21を構成する半導体材料を溶解する溶媒の蒸気24を供給する(図6(A)参照)。
この蒸気24は、非結晶の半導体層21を構成する半導体材料を溶解する溶媒による蒸気であればよく、上記(A)工程において非結晶の半導体層21の形成時に用いた塗布液に含まれる溶媒と同じ溶媒であってもよいし、異なる溶媒であってもよい。
これは、非結晶の半導体層21に、半導体材料を溶解する溶媒の蒸気24を供給することによって、供給された溶媒が非結晶の半導体層21内に浸透し、この溶媒の浸透した領域が該溶媒によって膨潤し、溶媒によって膨潤した領域が非結晶相からより安定な結晶相へと相転移するためと考えられる。
詳細には、有機トランジスタ11Aの作製においては、まず、上述した方法を用いて、基板12上に、ゲート電極14G、ゲート絶縁膜16、非結晶の半導体層21、及びソース電極18S及びドレイン電極18Dを順に形成する。
次に、図7(A)に示すように、非結晶の半導体層21上に形成されたソース電極18S及びドレイン電極18Dから露出した領域に、半導体材料の溶媒の蒸気24を供給する。この蒸気24の供給によって、該蒸気24の供給された領域及び該領域に連続する領域の少なくとも一部の半導体材料が非結晶相から結晶相へと相転移する。これによって、ソース電極18Sとドレイン電極18Dとの電極間の領域が結晶相のチャネル領域20Aとされ、該結晶相以外の領域が非結晶相の第2の領域20Bとされた半導体層20が作製される(図7(A)参照)。
一方、本実施の形態の有機トランジスタでは、(A)非結晶の半導体層を形成する工程と、(B)非結晶の半導体層上に、半導体層の少なくとも一部が露出するように、蒸気侵入防止膜を形成する工程と、(C)非結晶の半導体層における蒸気侵入防止膜から露出した領域に、半導体材料を溶解する溶媒の蒸気を供給することによって、該蒸気を供給された領域及び該領域に連続する領域の少なくとも一部の半導体材料を非結晶相から結晶相へ相転移させる工程と、を経ることによって有機トランジスタ10における半導体層20を形成するので、半導体層20のチャネル領域ぎりぎりの領域までが、非活性領域となるように容易に調整される。このため、従来の有機トランジスタに比べて、隣り合う半導体素子10A間の電気的分離が効果的に実現されると考えられる。
図1に示す構成の有機トランジスタを作製した。
まず、厚さ100nmのシリコン熱酸化膜(SiO2)(ゲート絶縁膜)の成膜されたシリコン基板を用意した。この場合、このシリコン基板自体が、ゲート電極として機能する(基板裏面からゲート電極をとる、所謂、バックゲート)。
次に、ゲート絶縁膜上に、EB蒸着(昭和真空製EB蒸着装置)により、メタルマスクを用いて、ソース電極及びドレイン電極を金(Au)にて形成した。これらの電極の厚みは、100nmである。また、これらのソース電極及びドレイン電極の電極間の距離(チャネル幅)は、1000μmとし、チャネル長は、20μmとした。
まず、半導体材料を含む塗布液を塗布して、非結晶の半導体層を形成した。詳細には、半導体材料として、リエチルシリルエチニルアントラジチオフェン(TES ADT)を用意し、このTES ADTをトルエン溶媒中に2質量%の濃度で溶解した塗布液を用意した。そして、この塗布液を、上記シリコン基板の、上記ソース電極及びドレイン電極の形成された側の面に滴下し、スピンコート塗布することによって、非結晶の半導体層(厚み0.1μm)を形成した。
この蒸気侵入防止膜の形成は、スパッタ装置(アルバック社製)により、メタルマスクを用いて行った。この蒸気侵入防止膜の膜厚は100nmであった。
なお、このトルエンの蒸気は、室温で気化されたトルエン蒸気を用いた。このトルエンの蒸気の供給は、トルエンを加熱することによって得られた蒸気を上記容器内に供給することによって行ってもよい。
上記実施例1において形成した蒸気侵入防止膜において、蒸気侵入防止膜を設けない領域を、厚み方向から見たときに各ゲート電極に対応する領域であって、且つ各組のソース電極とドレイン電極との電極間の領域に対応する領域を含む領域である(1000μm×120μmの領域)とした以外は、実施例1と同じ方法及び条件を用いて複数の半導体素子の形成された本実施例の有機トランジスタ2を作製した。
上記実施例1においては、非結晶の半導体層に供給する溶媒の蒸気として、半導体層の塗布液に用いた溶媒と同じ、トルエンを用いた。本実施例3では、非結晶の半導体層に供給する溶媒の蒸気として1,2−ジクロロエタンを用いた以外は、実施例1と同じ製法及び同じ条件で、有機トランジスタ3を作製した。すなわち、本実施例3においては、非結晶の半導体層の塗布液として用いる溶媒の種類と、非結晶の半導体層に供給する蒸気に用いる溶媒の種類と、を異なるものとした。
まず、厚さ100nmのシリコン熱酸化膜(SiO2)(ゲート絶縁膜)の成膜されたシリコン基板を用意した。この場合、このシリコン基板自体が、ゲート電極として機能する(基板裏面からゲート電極をとる、所謂、バックゲート)。
次に、ゲート絶縁膜上に、EB蒸着(昭和真空製EB蒸着装置)により、メタルマスクを用いて、ソース電極及びドレイン電極を金(Au)にて形成した。これらの電極の厚みは、100nmである。また、これらのソース電極及びドレイン電極の電極間の距離(チャネル幅)は、1000μmとし、チャネル長は、20μmとした。
半導体層の形成は、半導体材料として、TIPS−Pentaceneを用意し、このTIPS−Pentaceneをトルエン溶媒中に2質量%の濃度で溶解した塗布液を用意した。そして、この塗布液を、上記シリコン基板の、上記ソース電極及びドレイン電極の形成された側の面に滴下し、スピンコート塗布することによって、非結晶の半導体層(厚み 0.1μm)を形成した。
これによって、複数の半導体素子の形成された本比較例の比較トランジスタ1を作製した。
作製した有機トランジスタ及び比較トランジスタについて、半導体素子間の電気的な分離状態(クロストークの低減度合い)を評価した。
評価結果を表1に示した。
Claims (5)
- 基板と、
前記基板上に、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、半導体層と、を備え、
前記半導体層における、前記ソース電極と前記ドレイン電極との電極間のチャネル領域及び前記ソース電極及び前記ドレイン電極に重なる領域が少なくとも結晶相であり、該半導体層における該結晶相以外の領域が非結晶相である、有機トランジスタ。 - 前記半導体層における前記非結晶相の領域が、前記ソース電極及び前記ドレイン電極に重なる領域を含む請求項1に記載の有機トランジスタ。
- 非結晶の半導体層を形成する工程と、
前記非結晶の半導体層上に、該半導体層の少なくとも一部が露出するように蒸気侵入防止膜を形成する工程と、
前記非結晶の半導体層における前記蒸気侵入防止膜から露出した領域に、前記半導体層に含まれる半導体材料を溶解する溶媒の蒸気を供給することによって、該蒸気を供給された領域及び該領域に連続する領域の少なくとも一部の半導体材料を非結晶相から結晶相へ相転移させる工程と、
を少なくとも有する有機トランジスタの製造方法。 - 前記蒸気侵入防止膜が、金属膜である請求項3に記載の有機トランジスタの製造方法。
- 前記蒸気侵入防止膜が、ソース電極及びドレイン電極である請求項3または請求項4に記載の有機トランジスタの製造方法。
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