JP2011256862A - 風洞体を備える水平軸型風力発電装置 - Google Patents

風洞体を備える水平軸型風力発電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 水平軸型風力発電装置において、大型の風車には適用が困難であるとされてきたフランジ環付きの風洞体を採用した大型の風力発電装置を提供する。
【解決手段】 水平軸型の風車10をフランジ環23を備える風洞体20によって取り囲む。風洞体20におけるフランジ環23は、風洞本体21の後端開口20Bの周囲に径方向に円環状に突出し、したがって風洞体20の口径が大口径である場合は、特に強風時において巨大な抗力を生じさせることとなる。そこで、フランジ環23を分割構造の多数のセクタフランジ22…の集合体として形成するとともに、各セクタフランジ22を定圧に制御したエアシリンダ等のフランジ駆動部材31を介して起倒自在に支持することによって、所定の安全風速領域を超える強風時においては、各セクタフランジ22が傾倒姿勢となって抗力の増大を抑制する。
【選択図】図2

Description

本発明は、風エネルギーを風車の回転トルクに変換する際の変換効率を改善するための風洞体を備える水平軸型風力発電装置に関する。
風力発電用の風車には、大きく分類して主軸を上下方向に向けて配置する垂直軸型風車と、主軸を水平方向に向けて配置する水平軸型風車とがあるが、事業用途の風力発電装置としては、いわゆるプロペラ型と称する水平軸型風力発電装置が主流を占める。
風力発電は、太陽光発電、水力発電と並んで無尽蔵の自然力から電気エネルギーを取り出す技術手段として有用である。しかし、風力発電に適する安定な風環境に恵まれないわが国においては、風力発電装置の稼働率が低いという問題がある。また、稼働率の問題とは別に、風力発電装置に共通する一般論として、風のエネルギーを風車の回転エネルギーに変換する際の変換効率が40ないし50パーセントという低いレベルに低迷していることも風力発電が重要視されない原因となっている。
わが国における風力発電装置の稼働率をいかにして向上させるかは、風力発電に適するとされる風速領域に加え、その前後に位置付けられるより低風速領域とより高風速領域の風をいかに利用することができるかにかかる問題であるといえる。また、風力発電装置のエネルギー変換効率の低迷問題については、従来、風車の大径化による効率改善対策が採用されているところであるが、風力発電を導入するにしても常に大型の風車を採用することができる設置条件が整うものではない。
この問題に関し、主軸1Aを水平方向にして設置される水平軸型の風車1を取り囲むように集風シュラウド等と称する風制御用の風洞体2を設置することによって、風車1のエネルギー変換効率を改善するとともに、より低風速領域の風を有効に活用することができるようにする技術が知られている(図9参照、下記、特許文献1ないし4参照)。なお、主軸1Aには、ハブ1Hを介して複数枚のブレード1B…が放射方向に取り付けられ、風車1は、ブレード1B…の回転面をほぼ鉛直面に一致させる姿勢で運転される。
集風シュラウド等、その他この種の風洞体2の基本的作用は、風の捕捉効果の増大と、捕捉した風の流速を増す作用である。すなわち、集風シュラウド等は、風車1を取り囲む態様で設置されることから、風上方向Fからの風を取り込む前端開口2Cの口径は風車1の口径より大径であり、風から見た際の風車1の実質的口径を拡大したような風捕捉作用がある。
また、集風シュラウド等の風洞体2の内周面S2の形状は、通常、長さ前半部の内部で口径が絞り込まれ、長さ後半部に向かって口径が拡大する形状に形成され、風車1は、前端開口2C寄りの最も口径が絞られた位置の直後に設置される。風上からの風は、集風シュラウド等の前端開口2Cの前面投影面積相当で捕捉されて風洞体2の内部に突入し、口径が絞られた部分で流速を増して効率よく風車1を駆動し、口径が開拡する長さ後半部で圧力低下しながら後端開口2Dから円滑に大気中に排出される。これが集風シュラウド等の基本的作用である。なお、集風シュラウド等による風車1の効率改善効果は、これを備えない風車に対して、150パーセントないし200パーセントに及ぶとの実験的データが知られている。
このような集風シュラウドには、さらに、効率を改善した改良型が知られている(下記、特許文献1参照)。改良型の集風シュラウドは、風洞体2の後端開口2Dの周囲に円環状に突出するフランジ環2Bを備える(上記図9を用いて説明する。)。フランジ環2Bは、風洞体2の軸に対して径方向を向けて形成されており、したがって、風洞体2の外周面S1に沿って流れる空気流からみたフランジ環2Bは、避けられない障害物である。
風洞体2の外周面S1に沿って後端開口2Dに向かって流れる空気流は、フランジ環2Bによって堰き止められ、フランジ環2Bの風上側、つまり前端開口2C側の気圧を上昇させる。この結果、風上側からの風は、相対的に圧力の低い風洞体2の内部により多く流入することとなる。つまり、フランジ環2Bの存在によって、一つの作用効果として、風洞体2内への風の導入効果が高められることが挙げられる。
一方、フランジ環2Bの背面側では、フランジ環2Bを乗り越えた空気流が直ちに後方に流れ去ることができずに、フランジ環2Bの背面に巻き込むような乱流を形成し、風洞体2の後端開口2D近傍の気圧を低下させる。この結果、風洞体2の内部の空気は、後端開口2D側から牽引されることとなる。つまり、他の作用効果として、フランジ環2Bが作り出す負圧によって風洞体2の内部への風の呼び込み効果及び排出効率が高められること挙げられる。このような、風洞体2の前端開口2C側における空気の導入効率と後端開口2D側における排出効率とがともにフランジ環2Bを設けることによって改善され、結果として風洞体2の内部に設置された風車1の効率を大きく向上させることができる。ただし、フランジ環2Bが風洞体2の外周面S2に沿って流れる空気流を阻止することによる風抗力Pの増大は、避けることができない。
特許第3621975号公報 特開2006‐144701号公報 特開2002-285948号公報 特開2009‐185806号公報
上記風洞体の後端開口にフランジ環を備える集風シュラウド等は、風車の効率改善において上記のように顕著な効果を奏することが認められているものの、専ら小型の風車用の技術であり、これを大型の風車に適用することは、次のような理由により困難であるとされている。
すなわち、流体を扱う機械装置である風力発電装置は、本格的開発以来の改良の歴史によって極めて流麗で近代的な外観を呈するように洗練されている。しかし、ブレードの基部からの折損事故、タワーの折損事故、タワーの倒壊事故等に示唆されるように、特に大型の風力発電装置は、巨大なモーメント荷重を建築技術、設計技術、機械構造技術や材料強度等の総合力に依存して強引に押さえ込んだ限界的バランス点を追及した構造物であり、このバランスが失われるとすれば、例えばビル建築物等の一般建築物とは異なる大きな事故を惹起する可能性をはらんでいる。換言すれば、外乱荷重に対する安定性マージンが少ない構造物といえる。また、仮に安定性マージンが十分に確保されているとしても、竜巻や台風の到来時等の異常気候時において、予測を超える大きさの未必的な外乱性荷重が負荷される危険に常時さらされていると言える。
効率を追求せざるを得ない大型の風力発電装置における風車の口径は、70メートル級から100メートル級に及ぶ規模となっている。このような大口径の風車にフランジ環付きの風洞体を付属させるとすれば、風車支持構造に極めて大きな外乱荷重要素を付属させる結果となる。これが大型の水平軸型風力発電装置にフランジ環型の風洞体を適用することができない理由である。フランジ環付きの風洞体は、フランジ環の存在によって前面投影面積を小さく抑えることができないという構造必然性があり、特に台風その他の強風時にどのように対処するのかということが問題になるのであり、この問題を解決することが本発明の課題である。
なお、風洞体は、口径に応じた一定の長さを必要とすることから、風洞体を設けることによって風車の側面投影面積も増大することとなる。しかし、水平軸型の風力発電装置における風車は、横風によってはほとんど抗力を生じない形態であり、したがって、横風に対しては例外的に安定性マージンに余裕があるとともに、通常、風車は、ヨー制御によって横風を受けない向きに姿勢制御して運転されることから、側面投影面積の大小に付いては一般的にも問題視されていない。
そこで、本発明の目的は、弱風時には、フランジ環を備えることによって風車に対する効率改善効果の大きい形式の風洞体として利用することができるとともに、従来固定であったフランジ環の姿勢を可変とすることによって、強風時においては、風から見た場合のフランジ環を実質的に消失させることができる風洞体を備える水平軸型風力発電装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の風洞体を備える水平軸型風力発電装置は、水平軸型の風車と、風洞本体と風洞本体の後端開口の周囲に径方向に突出するフランジ環とからなり風車を取り囲む風洞体とを備える水平軸型風力発電装置において、フランジ環を分割構造のセクタフランジの集合体として形成するとともに、各セクタフランジを風洞本体に揺動自在に連結し、風洞本体と各セクタフランジとをフランジ駆動部材によって連結し、フランジ駆動部材を介して各セクタフランジを風速の強弱に応じて起倒動作させることを特徴とする。
本発明の風洞体を備える水平軸型風力発電装置は、水平軸型の風車と風洞体とからなる。また、風洞体は、風洞本体とフランジ環とからなり、フランジ環は風洞本体の後端開口の周囲に径方向に、つまり、風を正面から受ける姿勢に形成されている。風車は風洞本体の内部に設置され、風洞本体の前端開口から導入されて後端開口から排出される空気流によって回転駆動される。
風洞体におけるフランジ環は、一般的にはリング状に連続するように一体構造部材であるが、本発明におけるフランジ環は、セクタフランジの集合からなる分割構造である。また、フランジ環を構成する各セクタフランジは、首振り動作を可能とする機構、例えばヒンジ機構等の任意の連結部材を介して風洞本体に揺動自在に連結されている。また、揺動自在の各セクタフランジは、フランジ駆動部材によって消極的にまたは積極的に駆動される。
上記フランジ駆動部材は、セクタフランジの姿勢を風速に応じて風洞本体の径方向に起立する起立姿勢から風洞本体の軸方向に沿って傾く傾倒姿勢に至る範囲で任意に位置決めすることができる。これは、具体的には、風速が小さい場合にセクタフランジの姿勢を直立姿勢とし、風速が大きい場合にセクタフランジの姿勢を傾倒姿勢とし、その中間も制御範囲であるとの意味である。なお、セクタフランジの姿勢制御範囲については、本発明の趣旨から、径方向や軸方向を基準として概ねの範囲を表現したものであって、厳密に径方向や軸方向に一致する必要はない。
このような揺動自在のフランジ環を備える風洞体においては、セクタフランジが風洞本体の軸方向に沿って傾倒姿勢となった状態、いわばフランジ環が消滅した状態と、径方向に起立してフランジ環を形成した状態とで、風洞体の前面投影面積及び風の抗力係数Cd値を大きく変化させることができる。風洞体が受ける抗力Pは、風洞体の前面投影面積をA(m)、風速をV(m/sec)とするとき、P∝ Cd×A×V2で示される。
本発明は、このことを利用して大型の水平軸型風力発電装置にフランジ環を備える風洞体を適用可能とすることができる。そして、本発明の風洞体は、強風時においてはセクタフランジを傾倒姿勢とすることにより、風による抗力Pの累乗的増大を抑えながらフランジ環を有しない風洞体として風車の効率改善に寄与することができるとともに、低風速時においては、傾倒姿勢となったセクタフランジを起立姿勢に復帰させることによって消失したフランジ環を再現し、フランジ環を備える高効率の風洞体として風車の効率を大幅に高めることができる。
さらに、風速がセクタフランジを起立姿勢とする風速と、セクタフランジを傾倒姿勢とする風速との中間の風速領域である場合には、セクタフランジは、起立姿勢と傾倒姿勢との中間の傾斜姿勢に制御され、風洞体に負荷されることとなる風の抗力Pも中間的な値に抑えられる。この場合、フランジ環による風洞体の効率改善効果もその傾斜姿勢の限りにおいて享受することができる。
本発明としては、フランジ駆動部材にエアシリンダ、または、油圧シリンダを採用することができる。
エアシリンダや油圧シリンダは、エア源や油圧源を例えば、風力発電装置の基礎部分に設置してエア配管、油圧配管を介して駆動することができる。このことは、各セクタフランジに対応して高所に設置されたエアシリンダや油圧シリンダに対する直接的な高所作業を要することなく地上レベルからこれらを制御することができることを意味し、例えば、台風の到来予報に際して、各セクタフランジを傾倒姿勢にロックする対応策を採ることも容易である。
本発明において、セクタフランジの姿勢が定圧制御されたエアシリンダ又は油圧シリンダによって制御される場合、例えば、バネ部材のようにたわみ量に従ってバネ力が変化するようなことはなく、セクタフランジが起立姿勢であっても傾倒姿勢であっても中間姿勢であっても、エアシリンダまたは油圧シリンダに設定された作動圧力は一定に維持される。したがって、例えば、乱気流等による外乱性の荷重がセクタフランジに負荷されても、フランジ駆動部材が設定された圧力を限度としてこれを吸収してしまうので、セクタフランジに異常な荷重が加わる事態を防止することができる。
ここで、フランジ駆動部材にエアシリンダを用いる場合と油圧シリンダを用いる場合とでは、これらのアクチュエータを同じく定圧制御する場合においても、エアシリンダを用いる方が風力発電装置においては有利である。自然力を扱う風力発電装置においては、乱気流の発生等の外乱要素を排除することができないことから、作動流体に弾性体である空気を使用し、外乱荷重を即時に吸収することができるエアシリンダの性質が有利に機能する。なお、油圧シリンダを用いる場合で合っても、油圧変動を吸収する高感度のアキュムレータを介して定圧制御することによりエアシリンダと同等の外乱荷重吸収性能を実現することができる。
本発明としては、フランジ駆動部材に引っ張りバネを採用することができる。
フランジ駆動部材は、風洞本体に揺動自在に連結された各セクタフランジと風洞本体とを連結することによって各セクタフランジの姿勢を制御する部材である。例えば、各セクタフランジの起立姿勢が引っ張りバネによって維持されている場合、引っ張りバネの張力を超える抗力が各セクタフランジに生じた場合においては、引っ張りバネが伸張動作をすることによって各セクタフランジを傾倒姿勢とするとともに、抗力の減少または消失によって各セクタフランジを起立姿勢に復帰させることができる。このことは、引っ張りバネのバネレートを適切に設定することによって、何らの駆動源を要することなく、風速の変化に応じて、各セクタフランジがいわば自動的に姿勢を変化させるという安全かつ有利な動作を実現することができる。
本発明としては、フランジ駆動部材に、前記セクタフランジの起立姿勢を設定された所定の風圧に抗して維持する姿勢保持予圧が設定することができる。
フランジ環を構成する各セクタフランジは、予定された所定の風速領域内において起立姿勢を維持するとともに、風速がこの風速領域を上回ることとなった際に傾倒姿勢をとるように作動することが好ましい。したがって、安全である所定の風速領域内において不必要に各セクタフランジが振れることは、好ましいものではない。ここで、フランジ駆動部材に各セクタフランジの姿勢保持予圧を設定することによって、各セクタフランジの不要な振れを抑制することができる。なお、フランジ駆動部材に設定する姿勢保持予圧は、例えば、風洞体の規模や、風洞体が独立の基礎を有するか、あるいは風車の付属物として風車と一体に支持されているのか等、その他、もろもろの条件に配慮して、セクタフランジを起立姿勢としておいても十分に耐えられると見込まれる風速ないし風圧を基準に設定される。
本発明としては、フランジ環を構成するいずれか一のセクタフランジを基準とする奇数位置のセクタフランジ群に対する前記フランジ駆動部材の姿勢保持予圧と、偶数位置のセクタフランジ群に対する前記フランジ駆動部材の姿勢保持予圧との間に差異を設定することができる。
風洞体におけるフランジ環の作用は、風洞本体の後端開口の近傍に負圧領域を形成することである。この際の負圧領域の形成メカニズムは、一種の空気の連行作用による。つまり、突出物であるフランジ環を乗り越えた空気流は、そのまま風下方向に流れ去ろうとする。また、風洞本体の後端開口から排出された空気流も、そのまま風下方向に流れ去ろうとする。これら2系統の空気流は、いずれも空気の粘性によってフランジ環の背面に存在する空気を引き剥がして連行するように機能する。これによってフランジ環の背面に負圧領域が生じ、風洞本体内部への空気の呼び込み効果となって現れる。実際には、フランジ環の背面に空気の巻き込みが生じるが、このことは、空気の連行動作が完全であり得ないことによる結果現象であって、空気の巻き込みによって負圧領域が生じるものではない。そして、負圧領域がこのようなメカニズムによって生じることから、負圧領域を生じさせるためにはフランジ環が連続した円環状である必要はなく、部分的に存在することをもって足りる。
そこで、上記発明のように、フランジ環を形成している奇数位置のセクタフランジ群に対するフランジ駆動部材の姿勢保持予圧と、偶数位置のセクタフランジ群に対するフランジ駆動部材の姿勢保持予圧との間に差異を設定しておくことによって、一群のセクタフランジを傾倒姿勢として風洞体全体に加わる抗力を安全範囲にとどめながら、起立姿勢で残る群のセクタフランジによる負圧作用を利用して風洞体の効率を改善するという中間的な動作を可能とすることができる。なお、奇数位置及び偶数位置は、多数のセクタフランジに対する単なる区別用概念であり、これらを入れ替えて認識しても同じことである。
本発明としては、フランジ環を構成する奇数位置のセクタフランジ群と偶数位置のセクタフランジ群とのいずれか一方の群に属する各セクタフランジが、左右の側縁部に左右方向に突出する一対のシールプレートを備えるとともに、全数のセクタフランジがシールプレートを介してオーバラップするようにし、この際、駆動部材に対する姿勢保持予圧は、シールプレートから離れる向きに倒れることができる群に属するセクタフランジについて、他の群に属するセクタフランジに対する姿勢保持予圧に対して相対的に小さく設定することができる。
風洞体におけるフランジ環は、複数のセクタフランジの集合体である。しかも、各セクタフランジは起倒動作をすることができる。各セクタフランジに個別の動作をさせる場合、隣接するセクタフランジ間には、干渉を避けるためのギャップを設定する必要がある。しかし、流体としての粘性が小さい空気は、このギャップから流出し、特に低風速領域において空気の漏出によるフランジ環の効率低下が無視できない。
上記発明は、奇数群または偶数群のいずれかの群に属するセクタフランジの左右の側縁部にシールプレートを取り付け、隣接するセクタフランジをシールプレートを介してオーバラップさせることによって空気の漏出を防止している。したがって、フランジ環を形成しているセクタフランジの中にはシールプレートを備えるものと備えないものが交互に存在する。この場合、重なり合いの順序によって独立して起立姿勢から傾倒姿勢に姿勢変化可能なセクタフランジ群と、隣接するセクタフランジと共でない限り姿勢変化できないセクタフランジの群が生じる。この差異は、姿勢変化がシールプレートに密着する方向であるか、離れる向きであるかの差異によって生じる。そこで、上記発明は、両群のセクタフランジにおいて、シールプレートを破損することなく傾倒姿勢に変化できる群のセクタフランジのフランジ駆動部材の姿勢保持予圧を相対的に弱く設定し、先順位に傾倒姿勢となるようにセクタフランジの姿勢変化を順序付けているのである。
なお、奇数位置および偶数位置の表現に関しては、2枚のセクタフランジを1組として、又は、2枚以上のセクタフランジを1組として計数単位とすることができる。つまり、例えば、2枚を1組として計数する場合には、隣接する2枚のセクタフランジがいずれも奇数位置のセクタフランジであり、または偶数位置のセクタフランジであることがある。
本発明としては、隣接するセクタフランジ間に風洞本体の径方向に向けて支持ポール立設し、各セクタフランジを左右に位置する支持ポールに揺動支点の位置が順次に隣接する各セクタフランジ間において交互に異なるように取り付けるとともに、各セクタフランジをフランジ駆動部材としての引っ張りバネを介して起立姿勢を維持するように付勢してなり、この際の引っ張りバネは、順次に隣接する各セクタフランジにおける揺動支点の上位置と下位置とに交互に異なるように各セクタフランジに連結することができる。
風洞本体に各セクタフランジを揺動自在に取り付ける方法としては、上記各発明におけるように、各セクタフランジを風洞本体に直接取り付けることができる他、本発明のように支持ポールを介して取り付けることもできる。各セクタフランジを支持ポールを介して取り付けることの意義は、各セクタフランジの揺動支点の位置を支持ポールの長さの範囲内で自由に選定することができることである。
そして、このことを利用して互いに隣接するセクタフランジの揺動支点を交互に異なるように設定することができ、さらに、各セクタフランジに対する引っ張りバネの連結位置を各セクタフランジにおける揺動支点の上と下とに交互に変化するように設定することができる。
上記の状態で引っ張りバネによって起立姿勢を維持している各セクタフランジは、強風時において、適切に設定されたバネ張力を上回る風抗力が生じた際において、引っ張りバネの伸張動作によって傾倒姿勢となる向きに揺動することによってフランジ環を有する風洞の欠点を解消するように機能する。この際、順次に隣接する各セクタフランジは、その揺動支点と引っ張りバネの連結位置の関係から、揺動支点を中心に互いに反対向きに回転するように揺動することができる。
隣接するセクタフランジが互いに反対向きに回転するように揺動する結果、多数のセクタフランジの集合体として形成されるフランジ環の特性を一体成形されたフランジ環と同等に高めることができる。すなわち、フランジ環は、円環状であり、気密性の高いフランジ環を構成するための各セクタフランジの理想形状は、分割数に応じた中心角を有する扇形の一部である。このような形状のセクタフランジが揃って同じ方向に揺動するとすれば、互いに干渉することが避けられない。このような干渉を回避するには、隣接するセクタフランジ間に動作確保用の間隙を設定するか、あるいは、各セクタフランジの形状を長方形形または正方形にする方策がある。しかし、このような方策の採用を採用する場合には、隣接するセクタフランジ間の間隙から風が逃げるためにフランジ環を有効に機能させることができないこととなる。この点、本発明のセクタフランジは、交互に異なる方向に回転するように揺動するため、動作確保用の間隙を設定することなく、円滑な揺動動作を実現することができる。
本発明は、水平軸型の風車にフランジ環を備える風洞体を取り付けて風車の効率を改善するようにしてなる水平軸型風力発電装置において、フランジ環を分割構造のセクタフランジの集合体として形成するとともに、各セクタフランジを風洞本体に起倒自在に連結し、このセクタフランジをフランジ駆動部材を介して風速に応じて姿勢制御可能としたことによって、弱風時には、フランジ環を備える風車の効率改善効果の大きい風洞体として利用することができるとともに、強風時においては、セクタフランジを傾倒姿勢としてフランジ環を実質的に消失させ、Cd値が小さなフランジ環を有しない通常の風洞体として利用することができるので、強風時にフランジ環に発生する風抗力の大きさに起因して従来実現できなかった大型の風洞体を備える水平軸型風力発電装置を提供することが可能である。
また、本発明の風洞体を備える水平軸型風力発電装置は、小口径の風車に適用した場合においても、固定のフランジ環を備えるものに比べて、タワーその他の支持部材の負担を大きく軽減することができるという有意の効果を奏する。
本発明の風洞体を備える水平軸型風力発電装置の一実施の形態を模式的に示す正面図である。 図1に示す水平軸型風力発電装置の縦断面図である。 図1に示す水平軸型風力発電装置の要部の動作説明図である。 図1に示す水平軸型風力発電装置の要部の動作説明図である。 図1に示す水平軸型風力発電装置の動作後の正面図である。 本発明の風洞体を備える水平軸型風力発電装の他の実施の形態を模式的に示す動作説明図である。 上記他の実施の形態に示す水平軸型風力発電装置の要部の正面図である。 風速と発電出力との関係を示す特性図である。 従来の風洞体を備える水平軸型風力発電装置の代表的形態を模式的に示す縦断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る風洞体を備える水平軸型風力発電装置を図面を引用しながら説明する(図1ないし図5)。
本発明の水平軸型風力発電装置は、風車10と風洞体20とからなる(図1)。風車10は、3枚のブレード13…をハブ12を介して主軸11に取り付けてなる一般的な水平軸型風車の構成である。本発明は、大型の風車10に高効率の風洞体20を適用することを目的とすることから風車10の口径規模としては、概ね50メートルを超えるサイズが予定されている。風車10と風洞体20とは、通常同一のヨー制御機構50に搭載され、姿勢変化を共にする。
本発明の主要部は、風車10ではなく起倒自在のフランジ環23を備える風洞体20にある。すなわち、風洞体20は、風洞本体21とフランジ環23とからなり、フランジ環23は多数のセクタフランジ22…の集合体からなる特異な構成である(図1,図2)。
風車10の回転面は垂直方向であり、風洞体20における風洞本体21は風車10の主軸11を中心とし、風車10のブレード13…の先端部が描く軌跡円に沿って風車10を取り囲むように配置される短筒状の構造体である。
風力発電装置は、風力を扱うという共通点から航空機の構造や考え方との共通点が多く、風洞体20における風洞本体21の機械構造は、航空機の翼の構造に類似する。断面視における風洞本体21の外周面21Aは、軸方向について略直線状であり、この部分の形状が風洞体20の機能に及ぼす影響力は、大きくないといえる。一方、風洞本体21の断面視における内周面21Bは、円滑に屈曲するまたは段階的に屈曲する凸面に形成され、風洞本体21の前端開口20Fの口径が内部において絞り込まれるように構成されている。このような、内周面21Bのくびれ形状が風洞体20の特徴である。
風洞本体21の内周面21Bの曲面形状に関しては、基本理論と好ましいとされる概ねの形状が知られているのみで、風車10ごとに理想形状を導くような定説はなく、専ら実証モデルを用いた風洞実験等によって決定されることになる。この点は、本実施の形態においても同様である。ただし、風洞本体21の内周面21Bの形状は、このように難解な面を持ちながらも、現実には、風洞本体21の内部で口径が一旦絞られて後端開口20B側で再び拡大すると言う要件を充足する形状であれば、一応の効果を発揮するというおおらかな一面を併せ持つ。
集合してフランジ環23を形成する多数枚のセクタフランジ22…は、風洞本体21の後端開口20Bの周囲を取り巻く配列で各々独立のヒンジ機構30を介して風洞本体21に揺動自在に連結されている(図3)。ここで、各セクタフランジ22の揺動範囲は、概ね、セクタフランジ22…の起倒動作範囲である。この際の起立姿勢とは、セクタフランジ22が風洞本体21の径方向に向く姿勢をいい、傾倒姿勢とは、セクタフランジ22が、風洞本体21の中心軸20Aの方向に向く姿勢を示す。
各セクタフランジ22…は、風洞本体21の後端開口20Bの周囲に径方向に向けて一体的に形成された環状のフランジを仮定した場合に、このフランジを等角度間隔に分割したような平面形状に形成され、したがって、起立姿勢としたときにおいて円環状のフランジ環23を形成することができる(図1)。ただし、互いに隣接するセクタフランジ22…間には、動作上の干渉を避けるための隙間が設定されている。
各セクタフランジ22には、揺動継ぎ手であるヒンジジョイント32とフランジ駆動部材31とトラスアーム35とが付属する(図1ないし図3)。ヒンジジョイント32は、各セクタフランジ22…と風洞本体21とを少なくとも90度程度の動作範囲内で揺動自在に連結する機能を有する。ヒンジジョイント32は、例えば、ドア用のヒンジ金具と同等の構造で足りるが、明確な支点を有さず素材の可撓性を利用する布ヒンジや、動力伝達用の平ベルトの連結に用いられる櫛形ヒンジ等を用いることもできる。
フランジ駆動部材31は、風洞本体21に連結された状態において特定姿勢を有しないこととなる各セクタフランジ22…に特定の姿勢を付与するアクチュエータである(図3)。また、トラスアーム35は、角錐形に構成された細いパイプ材からなり、フランジ駆動部材31の出力をトルクに変換するためのモーメントアームである。
本実施の形態におけるフランジ駆動部材31は、図示しないエアコンプレッサをエア源とするエアシリンダであり、セクタフランジ22…に対応する多数のエアシリンダは、共通のエア源によって駆動される。エアシリンダのシリンダ後端は、専用のブラケットを介して風洞本体21の外周面に連結され、作動ロッドの先端は、各セクタフランジ22…に固定されたトラスアーム35の頂点位置に連結されている。各セクタフランジ22…は、フランジ駆動部材31であるエアシリンダの作動ロッドが後退動作した際に起立姿勢をとり、作動ロッドの前進動作によって傾倒姿勢をとる(図3の2点差線を参照)。
フランジ駆動部材31…には、所定の姿勢保持予圧が設定され、設定された姿勢保持予圧を維持するように定圧制御される。姿勢保持予圧の内容は、各セクタフランジ22…を起立姿勢に維持する向きの駆動力である。すなわち、エアシリンダの作動ロッドを後退させる向きの駆動力である。多数のセクタフランジ22…が起立姿勢をとることにより風洞本体21の後端開口20Bの周囲には、円環状のフランジ環23が形成される(図1、図3)。
風上方向Fに向けてヨー制御された風洞体20において、風上方向Fからの風がフランジ環23に作用し、風洞体20は、フランジ環23を備える風洞体20として効果的に風車10の効率改善に寄与することができる。
ここで、風速が増して各セクタフランジ22…における風抗力が増大し、フランジ駆動部材31に設定された姿勢保持予圧を上回る事態となったとき、各セクタフランジ22…は、いわば一斉に傾倒動作を開始し、風洞体20に設定値以上に風抗力が生じないように機能する。すなわち、各セクタフランジ22…が、傾倒姿勢をとることにより風洞体20の前面投影面積が、最大でフランジ環23を有しない風洞体20と同等程度にまで減少し(図1、図5)、ヨー駆動機構50やその他の支持部材に過大な荷重が加わることを有効に阻止する。そして、このことにより大型の風車10にフランジ環23を備える風洞体20を適用することが可能になる。
このことをより具体的に説明すると、風抗力Pは、風洞体の前面投影面積をA(m)、風速をV(m/sec)とするとき、P∝ Cd×A×Vで示される。この式から、風力発電装置が定格出力に到達する風速12m/secの風抗力Pに対して、風速25m/secの風抗力は4.3P、風速60m/secの風抗力は25P、風速80m/secの風抗力は45倍の45Pにも到達する。
この問題をフランジ環23を備える風洞体20についてみると、フランジ環23を備えるタイプの風洞体20の抗力係数Cd値は、一般的に概ね、Cd=0.6程度と推定される。一方、フランジ環23を備えない風洞体の一般的な抗力係数Cd値は、0.06程度である。つまり、セクタフランジ22…が起立姿勢をとる場合と、傾倒姿勢をとる場合とでは、抗力係数Cd値が10倍も異なる。また、風洞体20の受風面積については、フランジ環23の面積にもよるのであるが、例えば、セクタフランジ22…が起立姿勢の状態と傾倒姿勢の状態とで1/5に変化する場合、風力発電機が定格発電状態に到る風速12m/sec時の風抗力Pに対して、セクタフランジ22…が傾倒姿勢をとる風速80m/sec時の風抗力Pは、45/5/10=0.9倍となる。つまり、風速80m/secの強風が来襲してもセクタフランジ22…を傾倒姿勢とすることによって風抗力Pを定格出力時レベルに抑えることができるのである。
なお、各セクタフランジ22…は、起立姿勢と傾倒姿勢との二者択一動作ではなく、その時々の風速に応じてフランジ駆動部材31に設定された姿勢保持予圧とセクタフランジ22…に生ずる風抗力とがバランスする時点で傾斜姿勢をとるように作動する。また、フランジ環23の効果は、セクタフランジ22…の傾斜姿勢に対応するように残存することになる。
相互に隣接する多数のセクタフランジ22…間に設定された隙間は、各セクタフランジ22…の側縁部に、例えばゴム板等の可撓制素材からなるテープ状ないし帯状のシールプレート24…を付設して塞ぐようにすることができる(図4)。
シールプレート24…の取り付け方としては、多数のセクタフランジ22…の一枚おきに、左右の側縁部に1対のシールプレート24を取り付ける方法がある(図4(A))。この取り付け方においては、シールプレート24,24を備えるセクタフランジ22と備えないセクタフランジ22…とが交互に存在することとなる。なお、本実施の形態における各対のシールプレート24,24は、セクタフランジ22の背面に取り付けられているが、前面(風上方向Fの面)に取り付けてもシールプレート24…による風封じ作用には大差は生じない。
上記のようなシールプレート24…を備えるフランジ環23においては、シールプレート24,24を備えるセクタフランジ22…に対応するフランジ駆動部材31に設定する姿勢保持予圧と、シールプレート24,24を有しないセクタフランジ22…に対応するフランジ駆動部材31に設定する姿勢保持予圧との間に差異を設定することによって、シールプレート24…に無理を強いることのない円滑な起倒動作を実現することができる。
具体的には、シールプレート24…を有するセクタフランジ22…群のフランジ駆動部材31の姿勢保持予圧が弱く設定される。ここで、シールプレート24,24を有するセクタフランジ22…を偶数位置のセクタフランジ22…と定めると、フランジ環23に衝突する風速が徐々に強まる場合において、まず、姿勢保持予圧が弱く設定された偶数位置のセクタフランジ22…群が傾倒動作を開始する(図4(B))。つまり、隣接する奇数位置のセクタフランジ22…がシールプレート24…から離れる向きの動作であり、シールプレート24…には何らの力が加わらない。
次いで、残る奇数位置のセクタフランジ22…群が傾倒動作を開始し、先行するセクタフランジ22…に一部重なるように後追い動作をする。このように、フランジ駆動部材31に対する姿勢保持予圧を調節することによって多数のセクタフランジ22…の傾倒動作を整然と順序付け、隣接するセクタフランジ22…の動作上の干渉を回避することができる。
フランジ駆動部材31の姿勢保持予圧の設定の仕方による上記のようなセクタフランジ22…の起倒動作における順序付けは、シールプレート24…を設けないフランジ環においてもセクタフランジ22…間の干渉を回避する意味において有効であり、これによって隣接するセクタフランジ22…間に設定される隙間を最小限にまで狭めることが可能となるからである。
なお、上記実施の形態においては、フランジ駆動部材31としてエアシリンダを採用しているが、前述したように油圧シリンダを用いてエアシリンダと同様にセクタフランジ22…の姿勢を弾性的に制御することも可能である。さらに、例えば、スクリュジヤッキ等のネジ送り機構を用いてセクタフランジ22…を駆動することもできる。この場合には、スクリュジヤッキ等をセクタフランジ22…との間にショックアブソーバ等を介在させることによりセクタフランジ22…に対して穏やかな動作を実現するようにすることが好ましい。
本発明の風洞体を備える水平軸型風力発電装におけるフランジ駆動部材31としては、上記エアシリンダや油圧シリンダの他に、図示しない引っ張りバネを採用することができる。また、この場合における風洞本体21とセクタフランジ22…間における引っ張りバネの取付け態様は、図3において、フランジ駆動部材31として図示されているエアシリンダに替えて適切なバネレートを有する引っ張りバネを取り付けることをもって足りる。なお、この際の引っ張りバネは、複数本を並列使用することもできる。
フランジ駆動部材31として引っ張りバネを採用する場合には、駆動源を要しないという利点のほか、エアシリンダや油圧シリンダを用いる場合に比べて設備コストおよびメンテナンスコストが格段に低廉であるという利点がある。ただし、引っ張りバネは、セクタフランジ22…を駆動する際の速度調節ができないことから、セクタフランジ22…の挙動が不安定である場合には、引っ張りバネに、例えば粘性抵抗式のショックアブソーバを併設することによって、セクタフランジ22…の挙動を安定化することができる。
次いで、風洞本体21に対するセクタフランジ22…の取り付け方の変化例を説明する(図6,図7)。
風洞体20においてフランジ環23を形成する多数枚のセクタフランジ22…は、互いに隣接するセクタフランジ22…間にそれぞれ支持ポール36を立設し、各セクタフランジ22をその左右に位置する支持ポール36,36に揺動支点3P,3Pを介して揺動自在に取り付けた構造とすることができる。各セクタフランジ22は、左右位置の揺動支点3P,3Pを中心に上端縁と下端縁とが反対方向に振れる動作によって揺動することができる。
互いに隣接するセクタフランジ22…に対応する揺動支点3P,3Pは、交互に上下するように規則的に異なる位置に位置決めされている。したがって、隣接するセクタフランジ22…は、交互に異なる高さ位置を中心に揺動する。
上記取付け態様の各セクタフランジ22の姿勢を制御するフランジ駆動部材31には、それぞれ1対の引っ張りバネ3S,3Sが用いられる。各引っ張りバネ3Sは、セクタフランジ22…間に立設された各支持ポール36に対応して風洞本体21の前端開口部20F寄りに立設するバネポスト37と各セクタフランジ22間を所定の張力によって連結する態様で取り付けられる。
多数の支持ポール36…に対応するバネポスト37…の高さは一定であり、その高さは、隣接するセクタフランジ22…に対応して上下に変化する高位置の揺動支点3P,3Pと低位置の揺動支点3P,3Pの中間位置程度に設定されている。各引っ張りバネ3Sの一端は、バネポスト37の頂点寄りに掛止され、各セクタフランジ22との間にほぼ水平姿勢で取り付けられる。すなわち、引っ張りバネ3Sの他端は、順次に隣接するセクタフランジ22…の揺動支点3P,3Pの上側と下側とに交互に連結される。
揺動支点3P,3Pと引っ張りバネ3S,3Sとの上記のような連結関係により、引っ張りバネ3S,3Sの張力によりセクタフランジ22…が揺動する場合の回り込み方向は、側面視において或るセクタフランジ22が時計回りに動作する場合、その隣のセクタフランジ22は、反時計回りに動作する。ただし、フランジ環23の目的からして、各セクタフランジ22の揺動範囲は、図示しないストッパによって起立姿勢から傾倒姿勢にいたるほぼ90度の範囲に規制される。
ここで、使用される引っ張りバネ3Sのバネレートは、多数枚のセクタフランジ22…が起立姿勢となってフランジ環23を形成した際における風速領域が安全であると見込まれる領域内では、風圧に抗してセクタフランジ22…の起立姿勢を維持し、風速が安全領域を超える場合に風圧に抗しきれずに、伸張動作によってセクタフランジ22…が傾倒姿勢に変化するのを消極的に許容することができるバネレートに設定される。したがって、引っ張りバネ3Sのバネレートは、固定的なものではなく、水平軸型風力発電装置の設置される地域の環境条件に応じて個々に選定される。フランジ駆動部材31としての引っ張りバネ3S,3Sの採用は、このような水平軸型風力発電装置ごとの個別的要望事案に低コストで簡易に対応することができる。なお、引っ張りバネ3Sに代えて、上述したエアシリンダや油圧シリンダを使用することも可能である。
この図6,図7の例においては、引っ張りバネ3Sのバネレートを適切に設定することによって、何らの駆動源を要することなく、風速の変化に応じて、各セクタフランジ22の姿勢を変化させることができる。そして、上記セクタフランジ22の回転を交互に回転の向きを変えるべく取り付けた軸(揺動支点)3Pの配置は、また大きな意味を有している。すなわち、風洞体は、円周状の形状をしていることから、実際にセクタフランジ22も最外周の方が内側の週よりも広がった形状(若干であるが扇型)になっている。このことから、仮に回転方向が同一の場合には、セクタフランジ22が水平になったときには、隣り合わせのセクタフランジがお互いに干渉する関係にあるが、このように回転位置を交互にずらし、回転方向を変えることでこの問題も解消することができる。
ところで、風速(符号Vで示す)と発電出力(符号Pで示す)との関係は、図8の特性曲線に示すごとく、出力P1は風速Vの3乗に比例する特性がある(P1∝V^3)。それと同時に、風から受ける物体の抵抗力(符号Rとする)は風速Vの2乗で上昇している(R∝V^2)。そして、風車はその規模のコスト特性が一番合理的になるように、その定格出力P2が定められている。このことから、本来はこの風胴体(集風シュラウド)は風の特性を改善する目的であり、定格風速以下では有効に働くことが期待されている。しかしながら、定格風速P2以上ではこの効果は不要になるばかりでなく、むしろ設備的には多大な風からの抗力を得てマイナスの作用をすることが考えられる。この点、本実施形態の風胴体のセクタフランジ22を、上記引っ張りバネ3Sで操作するので、上記定格風速P2を境にして、集風の機能を無くすることができる。
10 風車、
20 風洞体、
20F 前端開口、
20B 後端開口、
21 風洞本体、
22 セクタフランジ、
23 フランジ環、
24 シールプレート、
30 ヒンジ機構、
31 フランジ駆動部材、
36 支持ポール、
3P 揺動支点、
3S 引っ張りバネ

Claims (7)

  1. 水平軸型の風車と、風洞本体と該風洞本体の後端開口の周囲に径方向に突出するフランジ環とからなり前記風車を取り囲む風洞体とを備える水平軸型風力発電装置において、
    前記フランジ環を分割構造のセクタフランジの集合体として形成するとともに、各セクタフランジを前記風洞本体に揺動自在に連結し、前記風洞本体と各セクタフランジとをフランジ駆動部材によって連結し、該フランジ駆動部材を介して各セクタフランジを風速の強弱に応じて起倒動作させることを特徴とする風洞体を備える水平軸型風力発電装置。
  2. 前記フランジ駆動部材が、エアシリンダ、または、油圧シリンダであることを特徴とする請求項1に記載の風洞体を備える水平軸型風力発電装置。
  3. 前記フランジ駆動部材が、引っ張りバネであることを特徴とする請求項1に記載の風洞体を備える水平軸型風力発電装置。
  4. 前記フランジ駆動部材に、前記セクタフランジの起立姿勢を設定された所定の風圧に抗して維持する姿勢保持予圧が設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の風洞体を備える水平軸型風力発電装置。
  5. 前記フランジ環を構成するいずれか一のセクタフランジを基準とする奇数位置のセクタフランジ群に対する前記フランジ駆動部材の姿勢保持予圧と、偶数位置のセクタフランジ群に対する前記フランジ駆動部材の姿勢保持予圧との間に差異が設定されていることを特徴とする請求項4に記載の風洞体を備える水平軸型風力発電装置。
  6. 奇数位置のセクタフランジ群と偶数位置のセクタフランジ群とのいずれか一方の群に属する各セクタフランジが、左右の側縁部に左右方向に突出する一対のシールプレートを備えるとともに、前記フランジ環を形成する全数のセクタフランジが前記シールプレートを介してオーバラップし、
    前記フランジ駆動部材の姿勢保持予圧は、前記シールプレートから離れる向きに倒れることができる群に属するセクタフランジについて、他の群に属するセクタフランジに対する姿勢保持予圧に対して相対的に小さく設定されていることを特徴とする請求項5に記載の風洞体を備える水平軸型風力発電装置。
  7. 隣接する前記セクタフランジ間に前記風洞本体の径方向に向けて支持ポールを立設し、前記各セクタフランジを左右に位置する前記支持ポールに揺動支点の位置が順次に隣接する各セクタフランジ間において交互に異なるように取り付けるとともに、各セクタフランジを前記フランジ駆動部材としての引っ張りバネを介して起立姿勢を維持するように付勢してなり、
    前記引っ張りバネは、順次に隣接するセクタフランジの前記揺動支点の上位置と下位置とに交互に異なるように前記各セクタフランジに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の風洞体を備える水平軸型風力発電装置。

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