JP6887933B2 - 風力発電装置 - Google Patents
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Description
ところで、マルチロータ式風力発電装置は、出力の増大等の目的から、近年、大型化が進んでいる。風車部を上下方向に並べて設置したマルチロータ式風力発電装置では、大型化するに従い、上段の風車部と、下段の風車部の高度の差がより大きくなる。これに伴い、上段の風車部に導入される風の風速と、下段の風車部に導入される風の風速の差も大きくなる。
本発明の一態様に係る風力発電装置は、タワー部と、ロータ軸と、前記ロータ軸に設けられた翼と、前記ロータ軸の回転力によって発電する発電機とをそれぞれ有する複数の風車部と、前記タワー部と接続され、前記風車部を支持する支持部材と、を備える風力発電装置であって、複数の前記風車部は、第1風車部と、該第1風車部よりも下方に位置する第2風車部とを有し、前記第1風車部のロータ直径は、前記第2風車部のロータ直径よりも短い。
上記構成では、上方に位置する第1風車部のロータ直径が、第2風車部のロータ直径よりも小さい。このように、速度が速い風を受ける第1風車部のロータ直径が第2風車部のロータ直径よりも小さいので、第1風車部のロータ直径を第2風車部のロータ直径に合わせた長さとした構成と比較して、第1風車部に作用するスラスト力が低減する。上方に位置する第1風車部に作用するスラスト力が低減することで、タワー部の基部(すなわち、タワーの下端部)において生じるモーメントが小さくなり、タワー部の基部に作用する荷重が低減する。したがって、タワー部に作用する応力の増大を抑制することができる。また、タワー部に作用する応力の増大を抑制することができるので、タワー部の構造を簡素化し、コスト(COE:Cost of Energy)を低減することができる。
なお、所定の風速とは、風速の高度分布に基づいて決定してもよい。
また、上記構成では、第1風車部の発電機及び第2風車部の発電機が、定格回転数で回転するので、各風車部の発電機の能力を最大限引き出すことができる。
なお、所定の風速とは、風速の高度分布に基づいて決定してもよい。
また、第1風車部と第2風車部とに作用するスラスト力を略同一とすることで、支持構造のメンテナンス時期や寿命を比較的近くすることができるので、よりメンテナンス性を向上させることができる。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る風力発電装置1は、1つのタワー部2と、タワー部2に接続された複数の支持部材3と、各支持部材3に設置された風車部4などを備える。風力発電装置1は、発生した電力を電力系統へ送電するために系統連系されており、陸上又は洋上に設置される。
2つの上段風車部4Aは、水平方向に並んで配置されている。また、上段風車部4Aは、地面から高さh1の位置に設けられ、上段風車部4Aのロータ11Aのロータ直径は、D1に設定されている。
なお、ロータ直径とは、風車部4の翼8がロータ軸7を中心として回転した際の、翼8の外端部の回転軌跡の直径を意味している。図1では、各風車部4の翼8の外端部の回転軌跡を1点鎖線で示している。また、風車部4の高さとは、地表面13から風車部4のハブ9の中心までの最短距離を意味している。
また、上段風車部4Aと下段風車部4Bとは、ロータ11のみが異なっており、その他の装置(ナセル6や発電機等)は、同じ装置が設けられおり、上段風車部4Aと下段風車部4B間で共通化されている。
図2に示すように、一般に、風は地表の凹凸(地表面の粗度)による摩擦で減速するため、地表から離れると(すなわち、高度が上がると)風速が速くなる。このため、本実施形態に係る風力発電装置1では、各風車部4のロータ直径D1,D2を設定する際に考慮する所定の風速は、風速の高度分布に基づいて決定する。
具体的には、下段風車部4Bの高度はh2であるので(図1参照)、高度分布から下段風車部4Bのロータ直径D2は、風速V2に基づいて設定される。また、上段風車部4Aの高度はh1であるので、高度分布から上段風車部4Aのロータ直径D1は、風速V1に基づいて設定される。なお、図2からもわかるように、V1>V2の関係にある。
すなわち、風力発電装置1に対して風が吹いた場合に、風速の高度分布により、上段風車部4Aに導入される風の風速が下段風車部4Bに導入される風の風速より速くなる。
すなわち、各風車部4のロータ直径D1,D2は、上段風車部4Aが風速V1の風を受けた際に、上段風車部4Aの発電機が回転する回転数と、下段風車部4Bが風速V2の風を受けた際に下段風車部4Bの発電機が回転する回転数とが略同一となるように設定されている。
一般に、風車部4が受ける風の風速が速いほど発電機の回転数は上昇し、また、風車部4のロータ直径が大きいほど発電機の回転数は上昇する。したがって、V1>V2の関係にある本実施形態の場合には、D1<D2となる。
上述のように、風は、地表の凹凸による摩擦で減速する。そのため、地表から離れた上空を吹く風は、摩擦の影響が抑制され、速度が速くなる(図2参照)。
本実施形態では、上方に位置する上段風車部4Aのロータ直径D1が、下段風車部4Bのロータ直径D2よりも小さい。このように、速度が速い風を受ける上段風車部4Aのロータ直径D1が下段風車部4Bのロータ直径D2よりも小さいので、上段風車部4A及び下段風車部4Bのロータ直径をともにD2とした構成と比較して、上段風車部4Aに作用するスラスト力が低減する。上方に位置する上段風車部4Aに作用するスラスト力が低減することで、タワー部2の基礎部5において生じるモーメントが小さくなり、タワー部2の基礎部5に作用する荷重が低減する。したがって、タワー部2に作用する応力の増大を抑制することができる。また、タワー部2に作用する応力の増大を抑制することができるので、タワー部2の構造を簡素化し、コスト(COE:Cost of Energy)を低減することができる。
上段の風車部及び下段の風車部のロータ直径を同一とした場合、導入される風の風速の差により、上段の風車部の発電機の回転数と、下段の風車部の発電機の回転数とが異なる。したがって、同一の発電機等を用いた場合、両方の風車部の発電機の回転数を定格回転数とすることができない。仮に、上段の風車部及び下段の風車部のロータ直径を、上段の風車部の発電機の回転数が定格回転数となるように設定した場合、上段の風車部よりも風速の遅い風が導入される下段の風車部の発電機では、定格回転数よりも低い回転数で発電機が回転する。したがって、下段の風車部での発電効率が低下する。また、仮に、上段の風車部及び下段の風車部のロータ直径を、下段の風車部の発電機の回転数が定格回転数となるように設定した場合、下段の風車部よりも風速の速い風が導入される上段の風車部には、定格回転数で回転する風速よりも早い風速の風が導入されることとなる。これにより、下段の風車部では、エネルギーのロスが発生してしまう。
一方、本実施形態では、上段風車部4Aのロータ直径D1と下段風車部4Bのロータ直径D2とを異なる直径として、所定の風速の風を受けた場合に、上段風車部4Aの発電機及び下段風車部4Bの発電機が定格回転数で回転するので、発電効率の低下を抑制しつつ、エネルギーのロスの発生も抑制することができる。
風力発電装置1として、風車部4を4つ備え、それぞれの風車部4の定格出力を4MWとした場合には、例えば、下段風車部4Bの高さh2は略80mとなり、上段風車部4Aの高さh1は略200mとなる。このとき、風速の高度分布(図2参照)から、高度200mでの風速は、高度80mでの風速よりも、略10%程度速くなっている。
これにより、上段風車部4AにクラスIのロータを用いるとともに、下段風車部4BにクラスIIのロータを用いることで、上段風車部4A及び下段風車部4Bの発電機の回転数(すなわち、出力特性)が同一となる。
したがって、このような場合には、上段風車部4A及び下段風車部4Bに対して、規格化されたロータを採用することができる。規格化されたロータを採用することができる場合には、新たにロータの設計等を行う必要がないため、コストを低減することができる。
例えば、上段風車部4Aのロータ直径D1及び下段風車部4Bのロータ直径D2は、各々、導入される風の所定の風速に基づいて、上段風車部4Aに作用するスラスト力と、下段風車部4Bに作用するスラスト力とが略同一となるように設定してもよい。
また、上段風車部4Aと下段風車部4Bとに作用するスラスト力を略同一とすることで、支持構造のメンテナンス時期や寿命を比較的近くすることができるので、よりメンテナンス性を向上させることができる。
また、上段風車部4Aのロータ直径D1及び下段風車部4Bのロータ直径D2は、各々、導入される風の所定の風速に基づいて、上段風車部4Aの出力と、下段風車部4Bの出力とが略同一となるように設定されてもよい。
なお、3段以上の風車部4を有する構成とした場合、必ずしも図3で示すように、上段の風車部4ほどロータ直径を小さく設定する必要はない。
2 タワー部
3 支持部材
4 風車部
4A 上段風車部(第1風車部)
4B 下段風車部(第2風車部)
5 基礎部(基部)
6 ナセル
7 ロータ軸
8 翼
9 ハブ
10 接続部
11 ロータ
Claims (3)
- タワー部と、
ロータ軸と、前記ロータ軸に設けられた翼と、前記ロータ軸の回転力によって発電する発電機とをそれぞれ有する複数の風車部と、
前記タワー部と接続され、前記風車部を支持する支持部材と、
を備える風力発電装置であって、
複数の前記風車部は、第1風車部と、該第1風車部よりも下方に位置する第2風車部とを有し、
前記第1風車部のロータ直径は、前記第2風車部のロータ直径よりも小さく、
前記第1風車部のロータ直径及び前記第2風車部のロータ直径は、各々、導入される風の所定の風速に基づいて、前記第1風車部の前記発電機の回転数である第1回転数と、前記第2風車部の前記発電機の回転数である第2回転数とが略同一となるように設定され、
前記第1回転数及び前記第2回転数は定格回転数である風力発電装置。 - タワー部と、
ロータ軸と、前記ロータ軸に設けられた翼と、前記ロータ軸の回転力によって発電する発電機とをそれぞれ有する複数の風車部と、
前記タワー部と接続され、前記風車部を支持する支持部材と、
を備える風力発電装置であって、
複数の前記風車部は、第1風車部と、該第1風車部よりも下方に位置する第2風車部とを有し、
前記第1風車部のロータ直径は、前記第2風車部のロータ直径よりも小さく、
前記第1風車部のロータ直径及び前記第2風車部のロータ直径は、各々、導入される風の所定の風速に基づいて、前記第1風車部に作用するスラスト力と、前記第2風車部に作用するスラスト力とが略同一となるように設定される風力発電装置。 - タワー部と、
ロータ軸と、前記ロータ軸に設けられた翼と、前記ロータ軸の回転力によって発電する発電機とをそれぞれ有する複数の風車部と、
前記タワー部と接続され、前記風車部を支持する支持部材と、
を備える風力発電装置であって、
複数の前記風車部は、第1風車部と、該第1風車部よりも下方に位置する第2風車部とを有し、
前記第1風車部のロータ直径は、前記第2風車部のロータ直径よりも小さく、
前記第1風車部のロータ直径及び前記第2風車部のロータ直径は、各々、導入される風の所定の風速に基づいて、前記第1風車部の周速と、前記第2風車部の周速とが略同一となるように設定される風力発電装置。
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JP2017209848A JP6887933B2 (ja) | 2017-10-30 | 2017-10-30 | 風力発電装置 |
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JP2017209848A Active JP6887933B2 (ja) | 2017-10-30 | 2017-10-30 | 風力発電装置 |
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JP7430859B1 (ja) | 2022-07-27 | 2024-02-14 | 株式会社 セテック | 浮体式洋上風力発電システム |
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