JP2011255627A - プラスチックレンズ成型方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】重合硬化反応に伴う体積縮小による成型品周面のテープシワの発生を簡単かつ確実に抑制できる新規なプラスチックレンズ成型方法の提供。
【解決手段】一対のモールド20,20間を粘着テープ10でその周方向に沿って連続的に封止してキャビティCを区画形成した後、前記キャビティCに重合性モノマーを充填し、その後、前記一対のモールド20,20同士を互いに接近する方向に継続的に力を加えた状態で前記キャビティC内に充填した重合性モノマーを重合反応させる。これによって、重合硬化反応に伴う体積縮小をモールド20,20間の距離の変化によって吸収するため、体積縮小による成型品周面のレンズシワの発生を簡単かつ確実に抑制できる。
【選択図】図3
【解決手段】一対のモールド20,20間を粘着テープ10でその周方向に沿って連続的に封止してキャビティCを区画形成した後、前記キャビティCに重合性モノマーを充填し、その後、前記一対のモールド20,20同士を互いに接近する方向に継続的に力を加えた状態で前記キャビティC内に充填した重合性モノマーを重合反応させる。これによって、重合硬化反応に伴う体積縮小をモールド20,20間の距離の変化によって吸収するため、体積縮小による成型品周面のレンズシワの発生を簡単かつ確実に抑制できる。
【選択図】図3
Description
本発明は、高屈折率のプラスチック製メガネレンズや光学用レンズなどのプラスチックレンズを製造する際に用いるプラスチックレンズ成型方法に関する。
従来のプラスチックレンズは、例えば以下の特許文献1や2などに示すように一対のガラスモールド(型)と封止用の粘着テープを用いた注型重合法によって成型されている。
すなわち、従来のプラスチックレンズは、先ず一対のガラスモールドを所定間隔で配置し、封止用の粘着テープによってそのガラスモールド間をその周方向に沿って連続的に封止する。次に、その粘着テープに樹脂注入用のノズルを差し込み、その一対のガラスモールドと封止用の粘着テープによって形成された空間内に樹脂(重合性モノマー)を注入して充填した後、その樹脂を加熱ないし光照射などによって重合硬化することによって製造される。
このような従来のプラスチックレンズの製造方法にあっては、一対のガラスモールド内に注入された樹脂が重合硬化するに際して体積が縮小(収縮)する。そのため、樹脂注入時に比べてガラスモールド間隔が狭まって粘着テープが幅方向(レンズの厚み方向)に押し潰されてしまったり、あるいは粘着テープがガラスモールドの中心方向に引っ張られたりして、粘着テープにシワが発生し、その結果、成型品の周面に粘着テープのシワの跡(レンズシワ)が残ってしまうといった問題がある。
そのため、レンズメーカーなどでは、成型後のレンズ周面にこのようなレンズシワが発生することを見越して予め目標とするレンズの外径よりも大きなレンズを成型しておき、成型後にレンズ側面を研磨してそのレンズシワを除去している。このため、従来のメガネレンズの製造に際しては、面倒な研磨作業が必要となる上に材料が無駄になるといった問題がある。
そこで、例えば以下の特許文献3では、モノマー重合収縮が最も大きいときの温度下で5mm引張ったときの荷重が3kg以下である粘着テープを用いる方法が提案されている。また、以下の特許文献4では、モールドの周面を封止する粘着テープとして基材厚さが125〜200μmの強度の高いものを用いる方法が提案されている。
しかしながら、前記特許文献3に提案されているような方法では、ある程度のシワの発生を抑制することは可能と思われるが十分とはいえない。一方、前記特許文献4に示すような方法では、粘着テープの粘着力が高すぎるとやはりテープシワが発生し、反対に粘着力が低すぎると注入したときに樹脂がテープの隙間から漏れ出してしまうといった不都合がある。
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、重合硬化反応に伴う体積縮小による成型品周面のレンズシワの発生を簡単かつ確実に抑制できる新規なプラスチックレンズ成型方法を提供するものである。
前記課題を解決するために第1の発明は、
一対のモールドを所定の間隔を隔てて位置させた後、その間隔を保持しつつ前記モールド間を粘着テープでその周方向に沿って連続的に封止してキャビティを区画形成する工程と、前記キャビティに重合性モノマーを充填する工程と、前記キャビティ内に充填した重合性モノマーを重合反応させる工程と、を含み、
前記キャビティを区画形成する工程は、前記粘着テープとして、粘着層が前記モールド間に充填された重合性モノマーが重合収縮する温度域で凝集力が低下する粘着剤からなるものを用い、
前記モノマー重合反応工程は、前記一対のモールド同士を互いに接近する方向に継続的に力を加えた状態で行うことを特徴とするプラスチックレンズ成型方法である。
一対のモールドを所定の間隔を隔てて位置させた後、その間隔を保持しつつ前記モールド間を粘着テープでその周方向に沿って連続的に封止してキャビティを区画形成する工程と、前記キャビティに重合性モノマーを充填する工程と、前記キャビティ内に充填した重合性モノマーを重合反応させる工程と、を含み、
前記キャビティを区画形成する工程は、前記粘着テープとして、粘着層が前記モールド間に充填された重合性モノマーが重合収縮する温度域で凝集力が低下する粘着剤からなるものを用い、
前記モノマー重合反応工程は、前記一対のモールド同士を互いに接近する方向に継続的に力を加えた状態で行うことを特徴とするプラスチックレンズ成型方法である。
また、第2の発明は、
第1の発明において、前記モノマー重合反応工程は、前記一対のモールドを平積み状態に設置し、上方のモールド上に錘を載せて継続的に荷重をかけた状態で行うことを特徴とするプラスチックレンズ成型方法である。
第1の発明において、前記モノマー重合反応工程は、前記一対のモールドを平積み状態に設置し、上方のモールド上に錘を載せて継続的に荷重をかけた状態で行うことを特徴とするプラスチックレンズ成型方法である。
本発明によれば、キャビティに充填された樹脂(重合性モノマー)が重合硬化反応して樹脂の体積が縮小し始めると、それに伴う重合反応熱によって粘着テープの凝集力が低下するため、継続的に加えられた力によって一方または両方のモールドがその粘着テープの粘着層をスライドするようにして互いに接近することができる。
これによって、樹脂注入時には十分な粘着力を発揮してキャビティに樹脂を確実に封止しつつ、重合硬化反応に伴う樹脂の体積縮小時には、モールド同士が接近して樹脂の体積縮小を吸収することで粘着テープが変形したり潰れるのを防止することができる。この結果、成型品(レンズ)周面のレンズシワの発生を容易かつ確実に抑制できる。
次に、本発明の実施の一形態を、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るプラスチックレンズ成型方法のキャビティ成型工程を示す説明図、図2は、このキャビティ成型工程で用いる粘着テープ10の実施の一形態を示す拡大断面図である。
図示するようにこの粘着テープ10は、一対のモールド20,20を所定の間隔を隔ててその周方向に沿って連続的に封止してその間にキャビティCを区画形成するものであり、テープ状の基材(テープ基材)11に、これをモールド20,20側に粘着させるための粘着層12を有する構造となっている。
このテープ基材11は、少なくとも幅方向への耐屈曲性を有する材料から構成されている。具体的には、厚さ50〜100μm程度のポリエチレンテレフタレートを主成分とする材料が最適であるが、その幅方向への耐屈曲性を有する材料であれば、他の材料を用いることもできる。例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、二軸延伸ポリプロピレン、ポリイミド、アラミド、シクロオレフィン、フッ素系樹脂などの樹脂フィルムや、アルミニウム箔と樹脂フィルムをラミネートした複合フィルムや、アルミナや二酸化ケイ素等の金属酸化物薄膜を樹脂フィルム表面に形成したフィルムと樹脂フィルムをラミネートした複合フィルムと、軟質アルミニウム箔などを用いることもできる。
ここで、テープ基材11としてポリエチレンテレフタレートを用いた場合にその厚さを50〜100μmの範囲に限定したのは、50μm未満では、強度が低すぎて後述するように樹脂(重合性モノマー)の膨張・収縮する力に抗しきれずに割れや切断などを招く恐れがあるからである。また、100μmを超えるとテープの剛性が高くなって変形性やモールド20,20への粘着性が低下してしまうおそれがあるからである。
一方、粘着層12は、この粘着テープ10とモールド20,20とで区画形成された空間(キャビティC)に樹脂(重合性モノマー)を注入したときにその樹脂が漏れないようにその隙間を確実に封止できる粘着力を有すると共に、キャビティCに充填された樹脂(重合性モノマー)が重合硬化反応に伴って収縮する温度域になるとその凝集力が大きく低下する性質の粘着剤から構成されている。
なお、本発明で言う粘着剤の凝集力の指標としては、一般的に、貯蔵弾性率、せん断力、保持力などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置を用いて、所定の周波数の条件下で温度を連続的に変化させながら測定、評価する。せん断力は、例えば、幅35mm、長さ35mmの粘着テープの基材側を両面テープを用いてステンレス鋼板に固定した試料を2つ用意し、露出した粘着剤層面同士を重ね合わせ、19.6Nローラーを押し付けて5往復して貼付し、各温度条件下に所定時間放置後、引張り試験機を用いて、JIS Z 0237に準拠し、ステンレス鋼板の一方を固定し、他方を所定の速度で引張ることにより、測定、評価する。保持力は、JIS Z 0237に準拠し、50mm×100mmのステンレス鋼板に、幅25mm、長さ25mmの粘着テープを貼り付け、19.6Nローラーを押し付けて1往復して貼付し、9.8Nの荷重を付加して24時間放置後のズレ量または落下時間を測定、評価する。
具体的には、この粘着層20を構成する粘着剤は、付加反応型のシリコーン粘着剤95〜65質量部と、過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤5〜35質量部と、前記付加反応型のシリコーン粘着剤に有効な架橋剤0.1〜0.2質量部とを主成分とする材料からなっている。
そして、このような成分からなる粘着層20は、後述するように常温付近では十分な粘着力を発揮してモールド30,30内に樹脂を確実に封止しつつ、重合反応に伴う高温時には、凝集力が弱まってテープ基材10の幅方向に作用する力が減少するといった特性を有している。
ここで、付加反応型のシリコーン粘着剤としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR3700、KR3701、X−40−3237−1、X−40−3240、X−40−3291−1、X−40−3229、X−40−3270、X−40−3306や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTSR1512、TSR1516、XR37−B9204や、東レ・ダウコーニング株式会社製のSD4584、SD4585、SD4560、SD4570、SD4600PFC、SD4593などがあげられるが、特にこれらに限定されるものではない。
この付加反応型のシリコーン粘着剤の配合量を95〜65質量部に限定したのは、65質量部未満では、重合中に重合性モノマーの液漏れが発生しプラスチックレンズが欠けるという不都合があるからである。反対に、95質量部を超えると、重合中に重合性モノマーの収縮に追従できずレンズに気泡が混入するという不都合があるからである。
また、過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR100、KR101−10や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のYR3340、YR3286、PSA610−SM、XR37−B6722や、東レ・ダウコーニング株式会社製のSH4280などがあげられるが、特にこれらに限定されるものではない。
この過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤の配合量を5〜35質量部に限定したのは、5質量部未満では、重合中に重合性モノマーの収縮に追従できずレンズに気泡が混入するという不都合があるからである。反対に、35質量部を超えると、重合中に重合性モノマーの液漏れが発生しプラスチックレンズが欠けるという不都合があるからである。
また、付加反応型のシリコーン粘着剤の架橋剤としては、例えば、信越化学工業株式会社製のX−92−122、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のCR50、東レ・ダウコーニング株式会社製のBY24−741などがあげられるが、特にこれらに限定されるものではない。
この架橋剤の配合量を0.1〜0.2質量部に限定したのは、0.1質量部未満では、重合中に50℃以下での保持性が低下し、膨張による液漏れが発生しプラスチックレンズが欠けるという不都合があるからである。反対に、0.2質量部を超えると、重合中に重合性モノマーの収縮に追従できずレンズの中央の厚さ(CT)と端の厚さ(ET)に偏りが出て目標のレンズ厚みにならないという不都合があるからである。
粘着テープの製造方法としては、付加反応型のシリコーン粘着剤および過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤をトルエン、キシレン等の有機溶剤に溶解した粘着剤溶液に、付加反応型のシリコーン粘着剤に有効な架橋剤を添加し、この溶液を基材フィルムに乾燥後の厚さが均一になるように、コンマコーターやリップコーター等で塗工した後、所定温度で乾燥・硬化させる方法が挙げられる。ただし、特にこのような方法に限定されるものではなく、シリコーン系粘着剤層を基材フィルムに形成するために採用されている通常の製造方法はいずれも採用することができる。
なお、モールド20,20は、その形状・材質などは特に限定されるものでないが、一般的には円板状をしたガラス(二酸化ケイ素)製のものや金属製のものが多用される。
また、プラスチックレンズの原料となる樹脂モノマーも特に限定されるものではなく、メガネレンズの場合では、従来公知の材料、例えば超高屈折率(1.65≦Ne)のメガネレンズの場合には、エピスルフィド系樹脂(三井化学株式会社製MR−174、三菱瓦斯化学株式会社製IU−20)やチオウレタン系樹脂(三井化学株式会社製MR−7)のモノマーなどが用いられる。また、高屈折率(1.58≦Ne<1.65)のメガネレンズの場合は、チオウレタン系樹脂(三井化学株式会社製MR−6、三井化学株式会社製MR−8)やポリエステルメタクリレート(株式会社トクヤマ製TS−26)、ポリカーボネート(帝人化成株式会社製Panlite)のモノマーなどが用いられる。また、中屈折率(1.55≦Ne<1.58)のメガネレンズの場合は、ウレタンメタクリレート(株式会社クレハ製K−23)やエポシキメタクリレート(三菱レイヨン株式会社製MCR−50)、ジアリルカーボネート(PPGインダストリーズ社製HIRI)、ジアリルフタレート系樹脂(日油株式会社製NK−55)などのモノマーが用いられる。さらに、低屈折率(Ne<1.55)のメガネレンズの場合は、ウレタン系樹脂(PPGインダストリーズ社製TRIVEX)やウレタンメタクリレート(三菱レイヨン株式会社製MCR−10)、メタクリレート(株式会社クレハ製K−55)、アリルジグリコールカーボネート(PPGインダストリーズ社製CR−39)、ジアリルカーボネート(PPGインダストリーズ社製CR−607)、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリ酸メチル)などのモノマーを用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
次に、このような構成をした粘着テープ10を用いた本発明のプラスチックレンズの成型方法およびその作用・効果を説明する。
先ず、図1に示すように、円板状をした一対のモールド20,20を所定の間隔を隔てて位置させた後、粘着テープ10によってその間隔を保持しつつモールド20,20間をその周方向に沿って連続的に封止する。これによって、図示するようにモールド20,20同士がほぼ平行に連結されると共に、その間に平板状または円筒状の空間(キャビティC)が区画形成される。
そして、このようなキャビティCが形成されたなら、図示するようにこの粘着テープ10の一端を剥がして隙間を開け、その隙間からキャビティCにノズル(図示せず)を差し込み、そのノズルからキャビティC内に樹脂を注入して充填した後、再びその隙間を粘着テープ10で塞ぐ。
その後、前記一対のモールド20,20同士を互いに接近する方向に継続的に力を加えた状態でキャビティC内の樹脂(重合性モノマー)を加熱ないし光照射することによって重合硬化反応させる。
具体的には、図3に示すように一対のモールド20,20を水平なベース40上に平積み状態に設置し、上方のモールド20上に錘30を載せて継続的に荷重をかけた状態で重合硬化反応を行う。
図4は、この重合反応時の樹脂温度と樹脂体積および樹脂温度と粘着テープ10の粘着力・凝集力との関係を示したものである。
図中曲線で示すように、重合反応前の樹脂温度は室温(25℃)程度であるが、加熱ないし光照射などによって樹脂温度が高まると、まず、一旦樹脂が膨張してその体積が増える。
この加熱ないし光照射などによって重合反応が開始すると、その反応熱によって樹脂の温度はさらに上昇すると共に、その体積が徐々に収縮し始める。
そして、温度が60℃〜70℃を超えたあたりから、樹脂の体積が最初の時よりも小さくなり、さらに重合硬化反応が終了した時(ポリマー)に最も低くなる。なお、この重合硬化反応による樹脂の体積収縮率は樹脂の種類などによって異なるが、一般にはモノマー状態の体積の90〜98%程度となるものが多い。
一方、粘着テープ10は、この樹脂の体積が収縮し始める温度(約60℃〜70℃)あたりまでは強固な粘着力を発揮するが、これを超えるとその凝集力が徐々に低下するといった特性を有している。
図5は、この重合硬化反応に伴う樹脂の体積変化および粘着テープ10、モールド20,20の動きを示したものである。
まず同図(a)に示すように、キャビティC内に適量の樹脂を充填した直後は、粘着テープ10は元の形状を保っていると共に、モールド20,20の間隔も一定の距離を保っている。この状態で加熱ないし光照射などによって樹脂が一時的に熱膨張すると、同図(b)に示すようにキャビティCの内圧が高まって樹脂がモールド20,20からはみ出すように径方向に膨張する。
このとき、樹脂の膨張によって一時的に粘着テープ10がモールド20,20の径方向に膨らむように押し出されることになるが、前述したようにこの粘着テープ10は所定温度までは強固な粘着力を発揮しているため、粘着テープ10がモールド20,20から簡単に剥がれたりすることはない。したがってこの熱膨張に対しては、粘着テープ10が膨らむように変形することにより、樹脂の体積膨張を許容しつつ樹脂をキャビティC内に確実に封止できる。
次に、このようにして重合硬化反応が始まって暫く経つと、同図(c)に示すように熱膨張していた樹脂が反対に収縮方向に転じてキャビティC内に収まるように変形してくる。
このとき、粘着テープ10はこの動きに追従して元の形状に戻ってくるが、さらに重合が進行すると、その樹脂の体積が元の体積を下回るように収縮してくると共に、その重合反応熱によって粘着テープ10の凝集力も一気に低下してくる。
すると、同図(d)に示すように、錘30が載せられた上方のモールド20をその粘着テープ10が支えきれなくなり、そのモールド20が粘着テープ10の粘着層12を滑るようにしてキャビティC内に落ち込むように移動する。この結果、テープ基材11には樹脂収縮による無理な力が掛からなくなるため、テープ基材11が変形したり潰れたりするのを防止することができる。
このように本発明のプラスチックレンズの成型方法は、粘着テープ10として重合性モノマーが重合収縮する温度域で凝集力が低下するものを用いると共に、これら一対のモールド20,20同士を互いに接近する方向に継続的に力を加えた状態で重合反応を行うようにしたことから、樹脂注入時には十分な粘着力を発揮してキャビティCに樹脂を確実に封止しつつ、重合硬化反応に伴う樹脂の体積縮小時には、モールド20,20同士が接近することで樹脂の体積収縮を吸収し、粘着テープ10が潰れるのを防止することができる。この結果、成型品(レンズ)周面のレンズシワの発生を容易かつ確実に抑制できる。
なお、本実施の形態では、一対のモールド20,20同士を互いに接近する方向に継続的に力を加える構成として、図3に示すように一対のモールド20,20を水平なベース40上に平積み状態に設置し、上方のモールド20上に錘30を載せる構成を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、錘30の代わりにコイルバネのようなものを用いたり、あるいはモールド20,20の外側からバネはさみのようなもので挟持するような構成であっても良い。
10…粘着テープ
11…テープ基材
12…粘着層
20…モールド
30…錘
40…ベース
C…キャビティ
11…テープ基材
12…粘着層
20…モールド
30…錘
40…ベース
C…キャビティ
Claims (2)
- 一対のモールドを所定の間隔を隔てて位置させた後、その間隔を保持しつつ前記モールド間を粘着テープでその周方向に沿って連続的に封止してキャビティを区画形成する工程と、前記キャビティに重合性モノマーを充填する工程と、前記キャビティ内に充填した重合性モノマーを重合反応させる工程と、を含み、
前記キャビティを区画形成する工程は、前記粘着テープとして、粘着層が、前記モールド間に充填された重合性モノマーが重合収縮する温度域で凝集力が低下する粘着剤からなるものを用い、
前記モノマー重合反応工程は、前記一対のモールド同士を互いに接近する方向に継続的に力を加えた状態で行うことを特徴とするプラスチックレンズ成型方法。 - 請求項1に記載のプラスチックレンズ成型方法において、
前記モノマー重合反応工程は、前記一対のモールドを平積み状態に設置し、上方のモールド上に錘を載せて継続的に荷重をかけた状態で行うことを特徴とするプラスチックレンズ成型方法。
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Date | Code | Title | Description |
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A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20120507 |
|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20130903 |