JP2011255519A - 断熱内装材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非通気性シート材11と12によって包囲された密閉空間14内に断熱基材13が配され、基材13に貫通孔131が形成され、孔131内に基材13の一面13a側からシート材11が進入し、他面13b側からシート材12が進入し、孔131内でシート材11及び12が接合されて接合部15をなし、その縁部151を少なくとも残すようにして貫通孔152が形成されて締結孔16が形成される。シート材11及び12間に、孔131が形成された基材13を挟み、孔131内でシート材11及び12を面接触させ、面接触された部分を接合して接合部を形成し、接合部に接合部貫通孔を形成する。
【選択図】図1
Description
そして、上記天井内装材のなかでも、開繊された繊維の集合体に換えて、保形性を有する未成形基材(一般的な内装基材)を利用することで、上記発泡シート材を用いなくとも、天井内装材と同様に優れた性能を有する断熱内装材が得られることが分かった。即ち、保形性を有する未成形基材を、フィルムなどの保形性を有しない非通気性のシート材で挟んだ後、真空引きしてなる積層体を、更に成形してなる断熱内装材である。加えて、保形性を有する未成形基材を用いることで、基材に貫通孔を設けることができ、その貫通孔を利用して断熱内装材自体に締結孔を設けることができることが分かった。しかし、上記方法で得られた断熱内装材では、真空引きして得られた積層体を成形する際に、内包された基材の変形に対して、その表面を構成する非通気性のシート材が十分に追従されず、非通気性のシート材にシワを生じ、更には、シワに起因したピンホールの発生により、断熱内装材の内部気密を維持することが困難になるという問題もあることが分かった。
前記断熱基材には、断熱基材貫通孔が形成され、
前記断熱基材貫通孔内に前記断熱基材の一面側から前記第1シート材が進入し、
前記断熱基材貫通孔内に前記断熱基材の前記一面と反対側の他面側から前記第2シート材が進入しており、
前記断熱基材貫通孔内で前記第1シート材及び前記第2シート材が接合されて接合部をなし、
前記接合部には、前記接合部の縁部を少なくとも残すようにして接合部貫通孔が形成されて、本断熱内装材に締結孔が形成されていることを要旨とする。
前記第1シート材及び前記第2シート材の面接触された部分を接合して前記接合部を形成する接合部形成工程と、
前記接合部に前記接合部貫通孔を形成する接合部貫通孔形成工程と、を備えることを要旨とする。
前記第1シート材を、前記所定形状に成形された前記断熱基材の一面の形状に沿った部位を備えた形状に成形する第1シート材成形工程と、
前記第2シート材を、前記所定形状に成形された前記断熱基材の前記一面と反対側の他面の形状に沿った部位を備えた形状に成形する第2シート材成形工程と、を備え、
前記面接触工程では、成形された前記断熱基材を、成形された前記第1シート材及び成形された前記第2シート材により挟みこみ、前記第1シート材及び前記第2シート材によって挟まれてなる空間内を減圧することを要旨とする。
本発明の断熱内装材において、締結孔の内方に向かって突出する突出部が、接合部の少なくとも一部から形成されている場合には、締結孔内に挿通される締結部材に当接させることで、締結部材のガタ抑制及び抜け抑制を行うことができる。
本発明の断熱内装材において、接合部が、第1シート材と第2シート材とが溶着されてなる場合には、優れた気密性を有した気密空間を形成できる。
本発明の断熱内装材の製造方法において、接合部貫通孔形成工程で、接合部の少なくとも一部が突出部として残存するように、接合部貫通孔を形成する場合は、密閉空間の気密をより確実に維持しながら、突出部を形成できる。
本発明の断熱内装材の製造方法において、断熱基材を所定形状に成形する断熱基材成形工程と、第1シート材を、所定形状に成形された断熱基材の一面の形状に沿った部位を備えた形状に成形する第1シート材成形工程と、第2シート材を、所定形状に成形された断熱基材の一面と反対側の他面の形状に沿った部位を備えた形状に成形する第2シート材成形工程と、を備え、面接触工程では、成形された断熱基材を、成形された第1シート材及び成形された第2シート材により挟みこみ、第1シート材及び第2シート材によって挟まれてなる空間内を減圧する場合には、より確実にシート材の局所的なシワ等を生じることを抑制できる。
本発明の断熱内装材の製造方法において、第1シート材成形工程は、所定形状に成形された断熱基材の一面の形状に沿った部位を備えた型に、第1シート材を吸着させることによって、第1シート材を成形する工程である場合には、第1シート材を、断熱基材の一面の形状に沿った部位を備えた形状に容易に成形できる。
本発明の断熱内装材の製造方法において、第2シート材成形工程は、所定形状に成形された断熱基材の他面の形状に沿った部位を備えた型に、第2シート材を吸着させることによって、第2シート材を成形する工程である場合には、第2シート材を、断熱基材の他面の形状に沿った部位を備えた形状に容易に成形できる。
本発明の断熱内装材の製造方法において、第1シート材成形工程に用いられる型は、第1シート材及び第2シート材の端縁部を溶着するための加熱ヒータを有する場合には、端縁部を溶着するための専用型を用いることなく、第1シート材成形工程に用いられる型より、端縁部の溶着を行うことができる。
本発明の断熱内装材の製造方法において、第2シート材成形工程に用いられる型は、第1シート材及び第2シート材の端縁部を溶着するための加熱ヒータを有する場合には、端縁部を溶着するための専用型を用いることなく、第2シート材成形工程に用いられる型より、端縁部の溶着を行うことができる。
断熱基材13には、断熱基材貫通孔131が形成され、
断熱基材貫通孔131内に断熱基材13の一面13a側から第1シート材11が進入し、
断熱基材貫通孔131内に断熱基材13の一面と反対側の他面13b側から第2シート材12が進入しており、
断熱基材貫通孔131内で第1シート材11及び第2シート材12が接合されて接合部15をなし、
接合部15には、接合部15の縁部151を少なくとも残すようにして接合部貫通孔152が形成されて、本断熱内装材1に締結孔16が形成されていることを特徴とする。
以下、本断熱内装材について図説明する(図1〜図8等参照)。
「断熱内装材(1)」は、第1シート材11、第2シート材12及び断熱基材13を備える。また、この断熱内装材1は、第1シート材11及び第2シート材12によって包囲された密閉空間14を備えており、いわゆる真空断熱構造を有する真空断熱内装材である。
尚、上記ガスバリア層、赤外線反射層、制振層(吸音層)、防護層、溶着層等は、これらの2層以上の機能を1層のみにより備えてもよい。即ち、例えば、ガスバリア能及び赤外線反射能を併せ有するガスバリア層、赤外線反射能及びガスバリア能を併せ有する赤外線反射層等も含まれる。
尚、上記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量、ケン化度及び重合度は特に限定されないが、通常、エチレン含有量は60モル%以下(更には25〜55モル%)、ケン化度は90モル%以上(更には99〜100モル%)である。また、以下で言及するエチレン−ビニルアルコール共重合体についても同様である。
ガスバリア層の厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜50μmとすることができ、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
赤外線反射層としては、上述のように、複合ガスバリア層と同様の構成のものを用いることができる。即ち、金属層とこれを支持する支持層とを備えた複合赤外線反射層を用いることができる。複合赤外線反射層のうち、金属層としては、蒸着金属又は金属箔等を用いることができる。金属層を構成する金属としては、アルミ、銅、鉄、ステンレス、ニッケル、金、銀及びこれらのうちのうちの2種以上を含む合金等が挙げられる。また、複合赤外線反射層のうち、支持層としては、各種樹脂からなる層を用いることができる。支持層を構成する樹脂としては、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
赤外線反射層の厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜50μmとすることができ、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
また、第1シート材11の全体厚さは、特に限定されないが、例えば、30〜2000μmとすることができ、30〜1000μmが好ましく、50〜500μmがより好ましく、50〜100μmが更に好ましい。
更に、第1シート材11と第2シート材12とは異なる部材であってもよく、また、連続した一枚のシート材であってもよい。
また、上記植物から得られる繊維(植物性繊維)としては、木材等を解繊して得た繊維、ケナフ等の植物の靭皮から採取した繊維などが挙げられる。
更に、上記樹脂バインダとしては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等を用いることができる。なかでも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
更に、接合部15において、第1シート材11と第2シート材12とが溶着により接合されている場合には、前述のように、第1シート及び/又は第2シートの接合面が溶着層により構成されることで、シート同士が溶着されていてもよく、溶着用部材を介在させてシート同士が溶着されていてもよい。
更に、この締結孔16には、その内方に向かって突出する突出部161が、接合部15の少なくとも一部から形成されていることが好ましい(図2、図5、図6、図17及び図18等参照)。この突出部161は、通常、縁部151と一致しているが、縁部151よりも大きくてもよい。即ち、例えば、図6及び図18に例示されるように、締結孔16内において、第1シート材11と第2シート材12とが接合された状態にある縁部151よりも、更に、締結孔16内方に向かって、第1シート材11と第2シート材12とは接合されていないひれ部162(図6及び図18参照)を備えることができる。これら縁部151及びひれ部162等の突出部161を備えることにより、図7及び図8に例示されるように、縁部151が締結部材32を保持して、締結部材32のガタつきや抜けを防止することができる。
このうち、表皮層(意匠層)は、断熱内装材1の意匠層を構成する。即ち、内装材として配設された場所において、視認される表面をなす層である。このような表皮層は、第1シート材11側に積層されてもよく、第2シート材12側に積層されてもよい。
また、吸音フェルトは、吸音材として、例えば、断熱内装材1の第1シート材11側に、更に積層してもよく、断熱内装材1の第2シート材12側に、更に積層してもよい。また、第1シート材11側が車室内側(意匠面側)、且つ、第2シート材12側が車室外側(裏面側)に配設されるとともに、第1シート材11の車室内側に表皮層が積層された断熱内装材1である場合、吸音フェルトは、表皮層と第1シート材11との間、第2シート材12の車室外側、などに積層できる。
更に、赤外線吸収層としては、上記各シート材を構成する赤外線吸収層をそのまま利用することができる。
本発明の断熱内装材の製造方法は、本発明の断熱内装材1の製造方法であって、第1シート材11及び第2シート材12間に、断熱基材貫通孔131が形成された断熱基材13を挟みつつ、断熱基材貫通孔131内で第1シート材11及び第2シート材12を面接触させる面接触工程PR11と、第1シート材11及び第2シート材12の面接触された部分15’を接合して接合部15を形成する接合部形成工程PR12と、接合部15に接合部貫通孔152を形成する接合部貫通孔形成工程PR13と、を備えることを特徴とする。
上記「面接触工程(PR11)」(図9参照)は、第1シート材11及び第2シート材12間に、断熱基材貫通孔131が形成された断熱基材13を挟みつつ、断熱基材貫通孔131内で第1シート材11及び第2シート材12を面接触させる工程である。
この工程はどのようにして行ってもよいが、例えば、下記(1)及び下記(2)の方法で行うことができる。即ち、(1)断熱基材貫通孔131に対応した凸形状を有する型等を用いて、第1シート材11を断熱基材貫通孔131内へ(一面13a側から他面13b側へ向かって)押圧し、第2シート材12を断熱基材貫通孔131内へ(他面13b側から一面13a側へ向かって)押圧し、断熱基材貫通孔131内で第1シート材11と第2シート材12とを突き合わせて、面接触させる方法。(2)第1シート材11及び第2シート材12によって挟まれてなる空間内を減圧することで、第1シート材11を断熱基材貫通孔131内へ(一面13a側から他面13b側へ向かって)吸引し、第2シート材12を断熱基材貫通孔131内へ(他面13b側から一面13a側へ向かって)吸引し、断熱基材貫通孔131内で第1シート材11と第2シート材12とを面接触させる方法。これらの方法のうち上記(2)の方法が好ましい。上記(2)の方法では、上記(1)の方法におけるような、断熱基材貫通孔131に対応した凸形状を有する型等を要することなく、断熱基材貫通孔131の大きさ及び数に係わらず簡便且つ確実に面接触させることができる。
また、(4)第1シート材11、第2シート材12、及び断熱基材13等を含む全体を減圧できる環境下におき、第1シート材11及び第2シート材12によって挟まれてなる空間内をこの環境下で減圧することで、面接触させることができる。この場合には、減圧環境を維持したまま、各シート材の端縁部18(第1シート材の端縁部118及び第2シート材の端縁部128)を溶着して、シート材の端縁部18の全周を溶着して密閉空間14を形成することができる。
上記減圧では、上記(3)及び上記(4)のいずれの方法を用いるかに係わらず、密閉空間14内の減圧程度は特に限定されず、密閉空間14は、例えば、10〜200Pa、とすることができ、10〜50Paが好ましく、10〜20Paがより好ましい。
上記「接合部形成工程(PR12)」(図10参照)は、第1シート材11及び第2シート材12の面接触された部分15’を接合して接合部15を形成する工程である。この接合部形成工程PR12において、第1シート材11と第2シート材12とは、どのようにして接合してもよいが、第1シート材11と第2シート材12とを溶着により接合することが好ましい。溶着による接合であれば、高い耐久性が得られるとともに、ガスバリア性も長期にわたって維持できる。
更に、この接合工程では、面接触工程PR11で面接触された全面を接合してもよいが、一部のみを溶着してもよい。一部のみを溶着するとは、即ち、例えば、接合部を環状に形成する方法等が挙げられる。環状の接合部を形成する場合には、環状の接合部の平面視内側に、第1シート材11と第2シート材12とが接合されていない領域を有することによる。このような場合であっても、後述する接合部貫通孔形成工程PR13では、縁部151(この場合の縁部151は、環状の接合部)を残し、第1シート材11と第2シート材12とが接合されていない領域を除去して接合部貫通孔152を形成すれば、密閉空間14を形成することができる。
上記「接合部貫通孔形成工程(PR13)」(図11参照)は、接合部15に接合部貫通孔152を形成する工程である。この工程PR13では、どのように接合部貫通孔152を形成してもよい。即ち、例えば、パンチングにより接合部貫通孔152を形成してもよく、加熱ヒータを用いて縁部151を残して、接合部15の他部を溶融させて接合部貫通孔152を形成してもよい。更に、この工程PR13では、前述のように、接合部15の少なくとも一部が突出部161として残存するように、接合部貫通孔152を形成することが好ましい。突出部161については、前述の通りである。
本発明の断熱内装材の製造方法では、上記各工程以外に他の工程を備えることができる。他の工程としては、断熱基材成形工程PR21(図13参照)、第1シート材成形工程PR22(図14参照)及び第2シート材成形工程PR23(図15参照)等が挙げられる。
このうち、断熱基材成形工程PR21は、断熱基材13を所定形状に成形する工程である(図13参照)。本方法において断熱基材成形工程PR21を備える場合には、断熱基材13が予め成形されていることによって、断熱基材13となる成形前の基材(以下、単に「前駆体」ともいう、但し、煩雑なため断熱基材と同じ符号13を用いる)が、第1シート材11及び第2シート材12に挟まれた後に成形される場合に比べて、各シート材にシワを生じることが効果的に抑制できる。
断熱基材13の成形方法は特に限定されず、どのように成形してもよい。即ち、例えば、前駆体(例えば、繊維圧縮物)を加熱成形して賦形することができる。即ち、例えば、断熱基材成形用型(61及び62)外で前駆体を予熱した後に、プレス機(断熱基材成形用上型61及び断熱基材成形用下型62)にセットして加圧して成形することができる。また、加熱を行うことができるプレス型に、前駆体をセットして加圧及び加熱を行って成形することができる。更には、加熱時には乾燥状態で加熱をしてもよいが、蒸気をあてる等の加湿を行うこともできる。
また、第1シート材成形工程PR22(図14参照)は、第1シート材11を、所定形状に成形された断熱基材13の一面13aの形状に沿った部位を備えた形状に成形する工程である。第1シート材成形工程PR22を備えることで、予め、第1シート材11の形状を断熱基材の一面13aの形状に沿うように成形できる。これにより、前述のように減圧を行う場合において、第1シート材11が断熱基材13の一面に対して追従する距離が減り、無理なく第1シート材11を断熱基材13の一面13aの形状に追従させることができ、第1シート材11におけるシワの発生を効果的に抑制できる。
型21が加熱ヒータ211を備えることにより、第1シート材成形工程PR2から、端縁部溶着工程までの工程を、型21を用いて一貫して行うことができる。従って、各工程に特化した個別の型を用いる必要がなく、第1シート材11を型間で移動させる必要がなく、少ない工程数で、より簡便な設備で断熱内装材1の製造を行うことができる。
尚、第1シート材成形工程PR22を、断熱基材成形工程PR21の前に行う場合とは、予め成形される形状が分かっている断熱基材13の一面13aの形状に沿った部位を備えるように第1シート材11を成形することである。
第2シート材成形工程PR23(図15参照)は、第2シート材12を、所定形状に成形された断熱基材13の他面13bの形状に沿った部位を備えた形状に成形する工程である。第2シート材成形工程PR23を備えることで、予め、第2シート材12の形状を断熱基材の他面13bの形状に沿うように成形できる。これにより、前述のように減圧を行う場合において、第2シート材12が断熱基材13の他面に対して追従する距離が減り、無理なく第2シート材12を断熱基材13の他面13bの形状に追従させることができ、第2シート材12におけるシワの発生を効果的に抑制できる。
型22が加熱ヒータ221を備えることにより、第2シート材成形工程PR23から、端縁部溶着工程までの工程を、型22を用いて一貫して行うことができる。従って、各工程に特化した個別の型を用いる必要がなく、第2シート材12を型間で移動させる必要がなく、少ない工程数で、より簡便な設備で断熱内装材1の製造を行うことができる。
更に、第1シート材11の成形を行う型21が加熱ヒータ211を備えるとともに、第2シート材12の成形を行う型22が加熱ヒータ221を備える場合には、第1シート材成形工程PR22から、面接触工程11(減圧工程を含む)、及び端縁部溶着工程までの工程を、これらの型21及び型22を用いて一貫して行うことができ、とりわけ、効率よく断熱内装材1の製造を行うことができる。
尚、第2シート材成形工程PR23を、断熱基材成形工程PR21の前に行う場合とは、予め成形される形状が分かっている断熱基材13の他面13bの形状に沿った部位を備えるように第2シート材12を成形することである。
実施例の断熱内装材の製造方法を行うにあたって、以下の材料を用いた。即ち、
(1)第1シート材11及び第2シート材12
一面側(断熱内装材の外表面側)から他面側(密閉空間14側)に向かって、(1a)15μm厚のナイロンシート、(1b)アルミニウムが蒸着された12μm厚のポリエチレンテレフタレートシート、(1c)アルミニウムが蒸着された12μm厚のエチレン−ビルニアルコール共重合体層(ガスバリア層として機能、商品名「エバール」、株式会社クラレ製)、(1d)50μm厚のポリエチレン樹脂層(溶着層として機能)、を備える複層構造の第1シート材11及び第2シート材12。
(2)断熱基材13
ポリプロピレン繊維とガラス繊維とを含む繊維圧縮物からなる3〜5mm厚の板材。
上記〈1〉で用意した断熱基材13を、温度200℃に予熱した後、冷間プレス型を用いて、ルーフトリムとしてのドーム状であって、貫通孔131を備えた形状に成形した。この成形により、断熱基材13には、断熱基材貫通孔131が形成される。更に、離型した後、不必要な部位を切り取りって除去した。得られた断熱基材13は、第1シート11の端縁部118及び第2シート12の端縁部128の溶着を行うことができるように、これらのシート材よりも小さく形成されている。
冷間プレス型の上型21であって、吸引孔212を有して、吸引吸着できる内部表面を有するともに、この内部表面が上記〈2〉で成形された断熱基材13の一面13aの形状に沿った部位を備えた型の上記内部表面に、上記〈1〉で用意した第1シート材11を、温度150℃に予熱したうえで、吸着させて成形を行った。
冷間プレス型の下型22であって、吸引孔212を有して、吸引吸着できる内部表面を有するともに、この内部表面が上記〈2〉で成形された断熱基材13の他面13bの形状に沿った部位を備えた型の上記内部表面に、上記〈1〉で用意した第2シート材12を、温度150℃に予熱したうえで、吸着させて成形を行った。
この面接触工程PR11では、まず、上記〈4〉で成形された状態にある第2シート材12のうえに、第2シート材12の端縁部128が露出されるように、上記〈2〉で成形された断熱基材13を載置した。
その後、予備溶着工程を行った。予備溶着工程では、面接触に際した減圧に必要な吸引口181を残して第1シート材11の端縁部118と、第2シート材12の端縁部128と、を溶着してシート材によって包囲された空間(密閉空間ではない)を形成した。この溶着に際しては、幅5mmの端縁部の溶着を行わず、吸引口181を残して溶着を行った(図16参照)。更に、この溶着は、上記上型21の端縁部に装着された加熱ヒータ211及び上記下型22の端縁部に装着された加熱ヒータ221を用いて行い、各端縁部118及び128を、温度170℃に加熱した状態で上下型21と22とを型締めして行った。
次いで、予備溶着工程で残存させた吸引口181から、第1シート材11及び第2シート材12によって包囲された空間から吸引を行い、第1シート材11及び第2シート材12によって包囲された空間の圧力を20Paまで減圧することで、断熱基材貫通孔131内で第1シート材11と第2シート材12とを面接触させた。
上記〈5〉で、第1シート材11及び第2シート材12によって包囲された空間が減圧された状態において、上記吸引口181を、上記上型21の端縁部に装着された加熱ヒータ211及び上記下型22の端縁部に装着された加熱ヒータ221を用いて溶着し、第1シート材11の端縁部118及び第2シート材12の端縁部128の全周を溶着して、端縁部18を形成することにより、密閉空間14を形成して断熱内装材1を得た。尚、この溶着においても、各端縁部118及び128を、温度170℃に加熱した状態で上下型21と22とを型締めして行った。
上記〈6〉で離型され一体物、即ち、第1シート材11と第2シート材12とで包囲されて気密に保たれた密閉空間14内に断熱基材貫通孔131を有する断熱基材13が配置されるとともに、断熱基材貫通孔131内に第1シート材11及び第2シート材12の各々一部が引き込まれて孔内で面接触された状態の一体物1’に対して、接合部形成工程PR12を施した。即ち、上記断熱基材貫通孔131内に第1シート材11及び第2シート材12の各々一部が引き込まれて孔内で面接触された部位15’を、第1シート材11側の加熱ヒータ(接合部用加熱ヒータ)231、及び、第2シート材12側の加熱ヒータ(接合部用加熱ヒータ)232により、挟み込んで溶着した。この溶着においても、温度170℃に加熱した状態で型締めして溶着を行った。
上記〈7〉で得られた接合部15が形成された一体物1’の接合部15を、縁部151を残して、直径6mmのパンチを用いて穿孔して、接合部貫通孔152(開口径6mmの円形)を形成し、締結孔16を完成させるとともに、本発明の断熱内装材1を得た。
以上より、本実施例の断熱内装材の製造方法では、断熱基材成形工程PR21、第1シート材成形工程PR22及び第2シート材成形工程PR23を備えることにより、シート材11及び12を、予め断熱基材13の各面13a及び13bに対応した形状に成形できる。そして、予め断熱基材13の各面13a及び13bに対応した形状に成形されたシート材11及び12により、断熱基材13を挟み込むために、面接触工程PR11において、断熱基材13が有する、断熱基材貫通孔131及びその周辺において、各シート材11及び12が要する追従量が減り、断熱基材13の各面13a及び13bに対して各シート材11及び12を十分に追従させながら、断熱基材貫通孔131内に第1シート材11及び第2シート材を引き込んで面接触させることができる。この結果、上記面接触を得ながら、シート材11及び12にシワを生じることを抑制できる。
更に、第2シート材成形工程PR23に用いられる型22に、端縁部18を溶着するための加熱ヒータ221を有するために、第2シート材成形工程PR23、面接触工程PR11及び端縁部溶着工程の各工程を同じ型22を用いて行うことができ、効率よく断熱内装材を製造できる。
従って、図9に例示されるように、型21を上型として、型22を下型として、1つのプレス機の上下型として用いることで、特に効率よく断熱内装材を製造できる。
11;第1シート材、115;接合部(接合縁部)、118;端縁部、
12;第2シート材、125;接合部(接合縁部)、128;端縁部、
13;断熱基材、13a;断熱基材の一面、13b;断熱基材の他面、131;断熱基材貫通孔、
14;密閉空間、
15;接合部、15’;面接触部、151;縁部、152;接合部貫通孔、
16;締結孔、161;突出部、162;ひれ部、
17;表皮層、
18;端縁部、181;吸引口、
21;第1シート材成形型、211;加熱ヒータ(端縁部用)、212;吸引孔、
22;第2シート材成形型、221;加熱ヒータ(端縁部用)、222;吸引孔、
231;加熱ヒータ(接合部用)、232;加熱ヒータ(接合部用)、
3;ルーフパネル、31;締結部、32;締結部材、
4;内装材、
61;断熱基材成形用上型、62;断熱基材成形用下型。
Claims (10)
- 非通気性の第1シート材及び非通気性の第2シート材によって包囲された密閉空間内に断熱基材が配されてなる断熱内装材であって、
前記断熱基材には、断熱基材貫通孔が形成され、
前記断熱基材貫通孔内に前記断熱基材の一面側から前記第1シート材が進入し、
前記断熱基材貫通孔内に前記断熱基材の前記一面と反対側の他面側から前記第2シート材が進入しており、
前記断熱基材貫通孔内で前記第1シート材及び前記第2シート材が接合されて接合部をなし、
前記接合部には、前記接合部の縁部を少なくとも残すようにして接合部貫通孔が形成されて、本断熱内装材に締結孔が形成されていることを特徴とする断熱内装材。 - 前記締結孔の内方に向かって突出する突出部が、前記接合部の少なくとも一部から形成されている請求項1に記載の断熱内装材。
- 前記接合部は、前記第1シート材と前記第2シート材とが溶着されてなる請求項1又は2に記載の断熱内装材。
- 請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の断熱内装材の製造方法であって、
前記第1シート材及び前記第2シート材間に、前記断熱基材貫通孔が形成された前記断熱基材を挟みつつ、前記断熱基材貫通孔内で前記第1シート材及び前記第2シート材を面接触させる面接触工程と、
前記第1シート材及び前記第2シート材の面接触された部分を接合して前記接合部を形成する接合部形成工程と、
前記接合部に前記接合部貫通孔を形成する接合部貫通孔形成工程と、を備えることを特徴とする断熱内装材の製造方法。 - 前記接合部貫通孔形成工程では、前記接合部の少なくとも一部が前記突出部として残存するように、前記接合部貫通孔を形成する請求項4に記載の断熱内装材の製造方法。
- 前記断熱基材を所定形状に成形する断熱基材成形工程と、
前記第1シート材を、前記所定形状に成形された前記断熱基材の一面の形状に沿った部位を備えた形状に成形する第1シート材成形工程と、
前記第2シート材を、前記所定形状に成形された前記断熱基材の前記一面と反対側の他面の形状に沿った部位を備えた形状に成形する第2シート材成形工程と、を備え、
前記面接触工程では、成形された前記断熱基材を、成形された前記第1シート材及び成形された前記第2シート材により挟みこみ、前記第1シート材及び前記第2シート材によって挟まれてなる空間内を減圧する請求項4又は5に記載の断熱内装材の製造方法。 - 前記第1シート材成形工程は、前記所定形状に成形された前記断熱基材の一面の形状に沿った部位を備えた型に、前記第1シート材を吸着させることによって、前記第1シート材を成形する工程である請求項6に記載の断熱内装材の製造方法。
- 前記第2シート材成形工程は、前記所定形状に成形された前記断熱基材の他面の形状に沿った部位を備えた型に、前記第2シート材を吸着させることによって、前記第2シート材を成形する工程である請求項6又は7に記載の断熱内装材の製造方法。
- 前記第1シート材成形工程に用いられる前記型は、前記第1シート材及び前記第2シート材の端縁部を溶着するための加熱ヒータを有する請求項7に記載の断熱内装材の製造方法。
- 前記第2シート材成形工程に用いられる前記型は、前記第1シート材及び前記第2シート材の端縁部を溶着するための加熱ヒータを有する請求項8に記載の断熱内装材の製造方法。
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