JP2011252568A - 無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

無段変速機の油圧制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】変速速度を極力制限せずに、異常時にベルトが滑ってしまうようになることを抑制することのできる無段変速機の油圧制御装置を提供する。
【解決手段】本発明にかかる油圧制御装置200は、入力ポート217dと、出力ポート217hと、排出ポート217iとを備え、入力ポート217dと出力ポート217hとを連通させて入力ポート217dから入力された作動油を出力ポート217hを通じて無段変速機の第1プーリの油圧室134に供給する状態と、出力ポート217hと排出ポート217iとを連通させて第1プーリの油圧室134内の作動油を排出ポート217iを通じて排出する状態とを切り替え可能な第1制御バルブ217を備えている。この油圧制御装置200にあっては、第1制御バルブ217の排出ポート217iに接続されている油路にオリフィス(第2オリフィス240)が設けられている。
【選択図】図2

Description

この発明は、ベルト式の無段変速機の各プーリにおける作動油の油圧を制御する無段変速機の油圧制御装置に関する。
車両等に搭載される変速機として、内燃機関の駆動力が伝達される第1プーリと、車輪に連結された第2プーリと、これら一対のプーリに巻き掛けられたベルトとを備え、各プーリにおけるベルトの巻き掛け半径を変化させることにより変速比を連続的且つ無段階に変更することのできるベルト式の無段変速機が知られている。
こうしたベルト式の無段変速機にあっては、各プーリに設けられた油圧室内の油圧を変更して各プーリがベルトを挟む力である推力のバランスを変更することにより、各プーリにおけるベルトの巻き掛け半径を変更し、変速比を制御する。
そのため、こうした無段変速機には、各プーリにおける油圧を制御する油圧制御装置が設けられている。油圧制御装置は、電気的な駆動指令に基づいて駆動される複数のソレノイドバルブと、ソレノイドバルブから出力される駆動油圧によって駆動される複数の制御バルブとを備えている。油圧制御装置は、電子制御装置が出力する駆動指令に基づいて制御バルブを駆動し、各プーリの油圧室に作動油を供給したり、作動油を各プーリの油圧室から排出したりすることによって各プーリの油圧室内の油圧を制御する。
ところで、制御バルブや、制御バルブを駆動するための駆動油圧を出力するソレノイドバルブに異常が発生した場合には、各プーリにおける油圧を適切に制御することができなくなってしまう。
例えば、制御バルブや、ソレノイドバルブに異常が発生し、プーリにおける油圧が低下してプーリにおける推力が不足すると、プーリ上でベルトが滑るようになってしまう。
そこで、特許文献1に記載の無段変速機の油圧制御装置にあっては、制御バルブとプーリの油圧室とを接続している油路にオリフィスを設けるようにしている。こうした構成を採用すれば、プーリの油圧室内の作動油の量を制御する制御バルブや、同制御バルブを駆動するソレノイドバルブが故障したときに、プーリの油圧室から作動油が急速に抜けてしまうようになることを抑制することができる。すなわち、制御バルブやソレノイドバルブが故障したときに、プーリにおける推力が急激に低下してベルトが滑ってしまうようになることを抑制することができるようになる。
特開2009‐156414号公報
ところが、上記のようにプーリの油圧室と制御バルブとを接続している油路にオリフィスを設けた場合には、異常が発生していない通常の変速制御中も、そのオリフィスによって油路を流れる作動油の流量が制限されてしまうこととなる。
そのため、例えば、変速比を速やかに小さくするために、一方のプーリの油圧室内の油圧を急速に増大させようとしたときに、そのオリフィスによって作動油の供給速度が制限されてしまう。その結果、そのプーリの油圧室内の作動油の油圧を速やかに増大させることができず、変速速度が制限されてしまうようになる。
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は変速速度を極力制限せずに、異常時にベルトが滑ってしまうようになることを抑制することのできる無段変速機の油圧制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、入力ポートと、出力ポートと、排出ポートとを備え、前記入力ポートと前記出力ポートとを連通させて前記入力ポートから入力された作動油を前記出力ポートを通じて無段変速機のプーリの油圧室に供給する状態と、前記出力ポートと前記排出ポートとを連通させて前記プーリの油圧室内の作動油を前記排出ポートを通じて排出する状態とを切り替え可能な制御バルブを備え、同制御バルブを駆動して前記プーリにおける推力を制御する無段変速機の油圧制御装置であって、前記制御バルブの前記排出ポートに接続されている油路にオリフィスが設けられていることをその要旨とする。
上記構成にあっては、制御バルブの排出ポートに接続されている排出用の油路にオリフィスを設けるようにしている。そのため、制御バルブやこの制御バルブを駆動するためのソレノイドバルブ等が故障してプーリの油圧室内の作動油が一方的に排出されてしまう異常が発生したときに、排出ポートを通じて排出される作動油の排出速度がこのオリフィスによって制限され、油圧室からの作動油の排出が抑制されるようになる。したがって、油圧室内の作動油が一方的に排出されてしまう異常が発生した場合であっても、プーリの推力が急激に低下してしまうことを抑制し、プーリ上でベルトが滑ってしまうことを抑制することができるようになる。
また、変速比の変更に伴ってプーリの油圧室内の油圧を増大させるときには、出力ポートを通じて油圧室に作動油が供給される。そのため、上記請求項1に記載されているように、排出ポートに接続された油路に作動油の排出速度を抑制するためのオリフィスを設ける構成を採用している場合には、そのオリフィスによって油圧室に供給される作動油の供給速度が制限されることはない。
すなわち、上記請求項1に記載の発明によれば、変速速度を極力制限せずに、異常時にベルトが滑ってしまうようになることを抑制することができるようになる。
尚、機関始動直後のように、オイルポンプの駆動が開始された直後には、油圧制御装置内の作動油の油圧が急に立ち上がり、一時的に油圧制御装置各部に高い油圧が作用するようになる。こうした機関始動直後の一時的な油圧の上昇、いわゆるサージ圧の影響による高い油圧が制御バルブを通じてプーリに供給されてしまった場合には、プーリやベルトに過大な負荷が作用するようになり、無段変速機の耐久性が低下してしまう。
そこで、こうしたサージ圧の影響による無段変速機の耐久性の低下を抑制する上では、プーリの油圧室と制御バルブの出力ポートとを接続する油路にオリフィスを設け、サージ圧の影響によって制御バルブを通じてプーリの油圧室に供給される作動油の油圧が急に増大することを抑制することが望ましい。
これに対して、請求項2に記載の発明は、排出ポートに接続された油路に設けられた作動油の排出速度を抑制するためのオリフィスよりも通路断面積の大きなオリフィスを、プーリの油圧室と出力ポートとを接続する油路に設けるようにしている。
こうした構成を採用すれば、通路断面積の大きなオリフィスによってサージ圧の影響によるプーリの油圧室に供給される作動油の油圧の急な増大を抑制することができるようになる。そのため、サージ圧の影響による無段変速機の耐久性の低下を抑制することができるようになる。
尚、プーリの油圧室と出力ポートとを接続する油路に設けるオリフィスは、排出ポートに接続された排出用の油路に設けられた作動油の排出速度を抑制するためのオリフィスよりも通路断面積の大きなものである。そのため、請求項2に記載の発明によっても、作動油の排出速度を抑制するためのオリフィスを制御バルブの出力ポートと油圧室とを接続する油路に設ける従来の構成と比較すれば、変速速度を極力制限せずに、異常時にベルトが滑ってしまうようになることを抑制することができるようになる。
また、制御バルブとして第1プーリの油圧室内の作動油の量を制御する第1制御バルブと、ベルトを介して第1プーリと連結されている第2プーリの油圧室内の作動油の量を制御する第2制御バルブとを備える一方、これら各制御バルブよりも下流側に作動油の供給経路を切り替えるフェールセーフバルブを設け、第1制御バルブを通じて第1プーリの油圧室に適切な量の作動油を供給することができなくなったときに、同フェールセーフバルブを操作して前記第2制御バルブを通じて制御された作動油を第1プーリの油圧室にも供給するように作動油の供給経路を切り替える内燃機関の油圧制御装置にあっては、請求項3に記載されているように、通路断面積の小さなオリフィスを制御バルブの排出ポートに接続された油路に設ける一方、通路断面積の大きなオリフィスを、フェールセーフバルブの出力ポートと第1プーリの油圧室とを接続する油路に設けるようにすればよい。
こうした構成を採用すれば、フェールセーフバルブを備える油圧制御装置にあっても、請求項2に記載の構成を実現することができ、サージ圧の影響によるプーリの油圧室に供給される作動油の油圧の急な増大を抑制することができるようになる。また、通路断面積の大きなオリフィスによって、フェールセーフバルブによる供給経路の切り替えに伴う油圧室内の油圧の急激な変化も抑制することができるようになる。
請求項4に記載の発明は、無段変速機のプーリの油圧室に供給する作動油の量を制御する増圧用制御バルブと、前記プーリの油圧室から排出する作動油の量を制御する減圧用制御バルブとを備え、これら各制御バルブを駆動して前記増圧用制御バルブの出力ポートを通じて前記プーリの油圧室に供給される作動油の量と、前記プーリの油圧室から前記減圧用制御バルブの排出ポートを通じて排出される作動油の量とを制御することにより、前記プーリにおける推力を制御する無段変速機の油圧制御装置であって、前記減圧用制御バルブの前記排出ポートに接続されている油路にオリフィスが設けられていることをその要旨とする。
上記構成にあっては、減圧用制御バルブの排出ポートに接続されている排出用の油路にオリフィスを設けるようにしている。そのため、減圧用制御バルブやこの減圧用制御バルブを駆動するためのソレノイドバルブ等が故障してプーリの油圧室内の作動油が一方的に排出されてしまう異常が発生したときに、排出ポートを通じて排出される作動油の排出速度がこのオリフィスによって制限され、油圧室からの作動油の排出が抑制されるようになる。したがって、油圧室内の作動油が一方的に排出されてしまう異常が発生した場合であっても、プーリの推力が急激に低下してしまうことを抑制し、プーリ上でベルトが滑ってしまうことを抑制することができるようになる。
また、変速比の変更に伴ってプーリの油圧室内の油圧を増大させるときには、増圧用制御バルブの出力ポートを通じて油圧室に作動油が供給される。そのため、上記請求項4に記載されているように、減圧用制御バルブの排出ポートに接続された油路に作動油の排出速度を抑制するためのオリフィスを設ける構成を採用している場合には、そのオリフィスによって油圧室に供給される作動油の供給速度が制限されることはない。
すなわち、上記請求項4に記載の発明によれば、変速速度を極力制限せずに、異常時にベルトが滑ってしまうようになることを抑制することができるようになる。
尚、機関始動直後のように、オイルポンプの駆動が開始された直後には、油圧制御装置内の作動油の油圧が急に立ち上がり、一時的に油圧制御装置各部に高い油圧が作用するようになる。こうした機関始動直後の一時的な油圧の上昇、いわゆるサージ圧の影響による高い油圧が増圧用制御バルブを通じてプーリに供給されてしまった場合には、プーリやベルトに過大な負荷が作用するようになり、無段変速機の耐久性が低下してしまう。
そこで、こうしたサージ圧の影響による無段変速機の耐久性の低下を抑制する上では、プーリの油圧室と増圧用制御バルブの出力ポートとを接続する油路にオリフィスを設け、サージ圧の影響によって増圧用制御バルブを通じてプーリの油圧室に供給される作動油の油圧が急に増大することを抑制することが望ましい。
これに対して、請求項5に記載の発明は、減圧用制御バルブの排出ポートに接続された油路に設けられた作動油の排出速度を抑制するためのオリフィスよりも通路断面積の大きなオリフィスを、プーリの油圧室と増圧用制御バルブの出力ポートとを接続する油路に設けるようにしている。
こうした構成を採用すれば、通路断面積の大きなオリフィスによってサージ圧の影響によるプーリの油圧室に供給される作動油の油圧の急な増大を抑制することができるようになる。そのため、サージ圧の影響による無段変速機の耐久性の低下を抑制することができるようになる。
尚、プーリの油圧室と増圧用制御バルブの出力ポートとを接続する油路に設けるオリフィスは、減圧用制御バルブの排出ポートに接続された排出用の油路に設けられた作動油の排出速度を抑制するためのオリフィスよりも通路断面積の大きなものである。そのため、請求項5に記載の発明によっても、作動油の排出速度を抑制するためのオリフィスを制御バルブの出力ポートと油圧室とを接続する油路に設ける従来の構成と比較すれば、変速速度を極力制限せずに、異常時にベルトが滑ってしまうようになることを抑制することができるようになる。
この発明の第1の実施形態にかかる油圧制御装置と、同油圧制御装置が接続される無段変速機との関係、並びに同無段変速機の構成を示す模式図。 同実施形態にかかる油圧制御装置の概略構成を示す模式図。 機関始動直後のライン圧の変化を示すグラフ。 第2の実施形態にかかる油圧制御装置の概略構成の一部を示す模式図。
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる無段変速機の油圧制御装置を、車両に搭載される無段変速機100の油圧制御装置200として具体化した第1の実施形態について、図1〜3を参照して説明する。尚、図1は本実施形態にかかる油圧制御装置200と、油圧制御装置200が接続される無段変速機100の関係、並びに無段変速機100の概略構成を示す模式図である。
図1に示されるように無段変速機100におけるトルクコンバータ110の入力軸は内燃機関400の出力軸に接続されている。一方で、同トルクコンバータ110の出力軸は、切替機構120の入力軸に接続されている。
この切替機構120は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であり、フォワードクラッチ121とリバースブレーキ122とを備えている。そして、切替機構120の出力軸は入力側のプーリである第1プーリ130に連結されている。
これにより、フォワードクラッチ121を係合させる一方でリバースブレーキ122を解放しているときには、トルクコンバータ110を介して入力された内燃機関400の駆動力がそのまま第1プーリ130に伝達される状態となる。これに対して、フォワードクラッチ121を解放する一方でリバースブレーキ122を係合させているときには、トルクコンバータ110を介して入力された内燃機関400の駆動力が反転されて逆回転の駆動力として第1プーリ130に伝達される状態となる。
尚、この切替機構120にあっては、フォワードクラッチ121とリバースブレーキ122との双方を解放することにより、内燃機関400と第1プーリ130との間の駆動力の伝達が遮断されるようになっている。
このようにトルクコンバータ110及び切替機構120を介して内燃機関400に連結されている第1プーリ130は、ベルト140によって出力側のプーリである第2プーリ150と連結されている。すなわち、図1の左側下方に示されるように平行に並べられた第1プーリ130と第2プーリ150には、1本のベルト140が巻き掛けられており、このベルト140を介して第1プーリ130と第2プーリ150との間で駆動力が伝達されるようになっている。
第2プーリ150は、図示しない減速ギアを介してディファレンシャルに連結されている。そのため、第2プーリ150の回転は減速ギアを介してディファレンシャルに伝達され、ディファレンシャルを介して左右の駆動輪に伝達されるようになっている。
第1プーリ130は、固定シーブと、可動シーブとを組み合わせることによって構成されており、その内部には図1に破線で示されるように油圧室134が区画形成されている。
また、第2プーリ150も、固定シーブと可動シーブとを組み合わせることによって構成されており、図1に破線で示されるように第2プーリ150にも油圧室154が区画形成されている。
ベルト140は上述したように第1プーリ130と第2プーリ150とに巻き掛けられている。そして、ベルト140は、第1プーリ130における固定シーブと可動シーブとの間に挟み込まれているとともに、第2プーリ150における固定シーブと可動シーブとの間に挟み込まれている。
そのため、第1プーリ130における油圧室134内の油圧Pinを変化させることにより、第1プーリ130における固定シーブと可動シーブとの間隔が変化し、第1プーリ130においてベルト140に作用する推力Wpriが変化するようになる。また、第2プーリ150における油圧室154内の油圧Poutを変化させることにより、第2プーリ150における固定シーブと可動シーブとの間隔が変化し、第2プーリ150においてベルト140に作用する推力Wsecが変化するようになる。
図1に示されるように各プーリ130,150には、ベルト140と接触する部分に勾配が設けられている。そのため、第1プーリ130における推力Wpriを変更するとともに、第2プーリ150における推力Wsecを変更することにより、各プーリ130,150におけるベルト140の巻き掛け半径Rin,Routが変化するようになる。
具体的には、第1プーリ130における油圧Pinを増大させて推力Wpriを増大させるとともに、第2プーリ150における油圧Poutを減少させて推力Wsecを減少させることにより、第1プーリ130におけるベルト140の巻き掛け半径Rinが大きくなり、第2プーリ150におけるベルト140の巻き掛け半径Routが小さくなる。一方で、第1プーリ130における油圧Pinを減少させて推力Wpriを減少させるとともに、第2プーリ150における油圧Poutを増大させて推力Wsecを増大させることにより、第1プーリ130におけるベルト140の巻き掛け半径Rinが小さくなり、第2プーリ150におけるベルト140の巻き掛け半径Routが大きくなる。
無段変速機100にあっては、各プーリ130,150の油圧Pin,Poutを変更することにより、推力Wpri,Wsecを変更して各プーリ130,150におけるベルト140の巻き掛け半径Rin,Routを変更し、変速比γを制御する。
具体的には、変速比γを小さくするアップシフトの場合には、第1プーリ130の油圧室134の油圧Pinを上昇させて第1プーリ130における推力Wpriを増大させるとともに、第2プーリ150の油圧室154の油圧Poutを低下させて第2プーリ150における推力Wsecを減少させる。これにより、第1プーリ130におけるベルト140の巻き掛け半径Rinが大きくなる一方、第2プーリ150におけるベルト140の巻き掛け半径Routが小さくなり、変速比γが小さくなる。
一方で、変速比γを大きくするダウンシフトの場合には、第1プーリ130の油圧室134の油圧Pinを低下させて第1プーリ130における推力Wpriを減少させるとともに、第2プーリ150の油圧室154の油圧Poutを上昇させて第2プーリ150における推力Wsecを増大させる。これにより、第1プーリ130におけるベルト140の巻き掛け半径Rinが小さくなる一方、第2プーリ150におけるベルト140の巻き掛け半径Routが大きくなり、変速比γが大きくなる。
図1に示されるように、各プーリ130,150の油圧室134,154は、油圧制御装置200と接続されている。油圧制御装置200は、電子制御装置300から出力される駆動指令に基づいて駆動される複数のソレノイドバルブと、このソレノイドバルブから出力される駆動油圧によって駆動される制御バルブを備えた油圧回路である。そして、制御バルブの操作を通じて作動油の油圧を調整して各油圧室134,154に作動油を供給したり、各油圧室134,154から作動油を排出したりすることにより、各油圧室134,154内の油圧Pin,Poutを調整する。
電子制御装置300は、内燃機関400の制御にかかる演算処理や、油圧制御装置200を通じた無段変速機100の制御にかかる演算処理等を実行する中央演算処理装置(CPU)を備えている。また、電子制御装置300は、演算処理のための演算プログラムや演算マップ、そして各種のデータが記憶された読み出し専用メモリ(ROM)、演算の結果を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。
図1に示されるように電子制御装置300には、下記のようなセンサが接続されている。
アクセルポジションセンサ301は運転者によるアクセルペダルの踏み込み量を検出する。エアフロメータ302は内燃機関400に導入される空気の量である吸入空気量GA及び温度を検出する。クランク角センサ303は内燃機関400の出力軸であるクランクシャフトの回転角に基づいて機関回転速度NEを検出する。タービン回転速度センサ304は切替機構120の近傍に設けられてトルクコンバータ110のタービンの回転速度を検出する。第1プーリ回転速度センサ305は第1プーリ130の近傍に設けられて第1プーリ130の回転速度Ninを検出する。第2プーリ回転速度センサ306は第2プーリ150の近傍に設けられて第2プーリ150の回転速度Noutを検出する。車輪速センサ307は各車輪の近傍に設けられて各車輪の回転速度をそれぞれ検出する。
電子制御装置300は、これらの各種センサ301〜307からの出力信号に基づいて、内燃機関400や無段変速機100を統括的に制御する。例えば、第2プーリ回転速度センサ306によって検出される第2プーリ150の回転速度Noutに基づいて車速SPDを算出する。また、アクセルポジションセンサ301によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量及び現在の車速SPDに基づいて要求トルクを算出する。そしてこの要求トルクを実現するように内燃機関400の吸気通路に設けられたスロットルバルブの開度を調整して吸入空気量GAを調整する。
また、電子制御装置300は、こうした吸入空気量GAの調整とあわせて、要求トルクを最も効率的に発生させることのできる変速比γとして目標変速比γtrgを算出し、実際の変速比γを算出された目標変速比γtrgに一致させるように油圧制御装置200を制御する変速制御を実行する。
尚、変速制御にあっては、第1プーリ130の回転速度Ninと第2プーリ150の回転速度Noutとに基づいて現在の変速比γを算出し、変速比γを目標変速比γtrgに近づけるために、第1プーリ130における油圧Pinを変更して推力Wpriを変更する。そして、第1プーリ130における推力Wpriを変更するとともに、ベルト140が各プーリ130,150に対して滑らないように第2プーリ150における油圧Poutを変更して推力Wsecを変更する。
以下、図2を参照して油圧制御装置200の構成を詳しく説明する。尚、図2は本実施形態にかかる油圧制御装置200の概略構成を示す模式図である。
図2の左側に示されるように油圧制御装置200には、オイルポンプ211から吐出された作動油の一部を排出し、油圧Pin,Poutの元圧となるライン圧Plを調整するレギュレータバルブ212が設けられている。尚、レギュレータバルブ212は、オイルポンプ211から吐出された作動油の一部を、ライン圧Plの大きさに基づいて図示しない別のレギュレータバルブに送り出す。こうしてレギュレータバルブ212から別のレギュレータバルブに送り出された作動油は、トルクコンバータ110に油圧Psecとして供給される。
レギュレータバルブ212はこのようにライン圧Plの大きさに基づいてオイルポンプ211から吐出された作動油の一部を排出することにより、ライン圧Plを調整する。
また、油圧制御装置200には、ライン圧Plを更に減圧して、一定のモジュレータ圧Pmを作り出すモジュレータバルブ214が設けられている。モジュレータバルブ214の出力するモジュレータ圧Pmは、第1ソレノイドバルブ215及び第2ソレノイドバルブ216に供給される。
第1ソレノイドバルブ215は、電子制御装置300から出力される駆動指令によって電気的に駆動され、モジュレータ圧Pmを調整して第1制御バルブ217の駆動油圧である第1ソレノイド圧Pslpを作り出す。具体的には、第1ソレノイドバルブ215は電力が供給されたときに閉弁するノーマリーオープン型のリニアソレノイドバルブであり、電子制御装置300から駆動指令として出力される電流の大きさに応じて、電流が小さいときほど、大きな第1ソレノイド圧Pslpを出力する。
一方、第2ソレノイドバルブ216は、電子制御装置300から出力される駆動指令によって電気的に駆動され、モジュレータ圧Pmを調整して第2制御バルブ218の駆動油圧である第2ソレノイド圧Pslsを作り出す。尚、第2ソレノイドバルブ216も第1ソレノイドバルブ215と同様のノーマリーオープン型のリニアソレノイドバルブであり、電子制御装置300から駆動指令として出力される電流の大きさに応じて、電流が小さいときほど、大きな第2ソレノイド圧Pslsを出力する。
第1ソレノイドバルブ215から出力された第1ソレノイド圧Pslpは、第1制御バルブ217に入力される。第1制御バルブ217は、この第1ソレノイド圧Pslpに応じてライン圧Plを調整することにより、第1プーリ130の油圧室134に供給する油圧の大きさを調整し、油圧室134内の油圧Pinを制御する。
尚、第1制御バルブ217は、入力ポート217dと、第1制御圧ポート217eと、第2制御圧ポート217fとを備えており、第1ソレノイド圧Pslpは、第1制御圧ポート217eに入力される。また、入力ポート217dにはライン圧Plが入力される一方、第2制御圧ポート217fにはソレノイドモジュレータ圧Psolmodが入力される。
第1制御バルブ217には、弁体217aが軸方向に変位可能に収容されている。また、第1制御バルブ217の内部には、弁体217aを挟んで対向する位置に第1圧力室217bと第2圧力室217cとが区画形成されている。そして、第1制御圧ポート217eは第1圧力室217bに接続されている一方、第2制御圧ポート217fは第2圧力室217cに接続されている。
これにより、第1制御バルブ217の弁体217aには、第1制御圧ポート217eを通じて第1圧力室217bに供給された第1ソレノイド圧Pslpと、第2制御圧ポート217fを通じて第2圧力室217cに供給されたソレノイドモジュレータ圧Psolmodとが互いに反対方向から作用するようになっている。また、第1圧力室217bには、弁体217aを第2圧力室217c側に付勢する付勢部材としてスプリング217gが圧縮された状態で収容されている。
尚、第2制御圧ポート217fを通じて第2圧力室217cに供給されるソレノイドモジュレータ圧Psolmodは、ライン圧Plを更に減圧することにより一定の水準に調整されている。そのため、第1制御バルブ217の弁体217aに作用する力のバランスは、第1制御圧ポート217eを通じて第1圧力室217bに供給される第1ソレノイド圧Pslpの大きさに応じて変化し、弁体217aはこの力のバランスの変化に応じて軸方向に変位する。
更に、第1制御バルブ217は、後述するフェールセーフバルブ219を介して第1プーリ130の油圧室134と接続される出力ポート217hと、排出用の油路に接続された排出ポート217iと、フィードバックポート217jとを備えている。
第1制御バルブ217は、上述したように弁体217aに作用する力のバランスに応じて同弁体217aが変位するようになっており、第1ソレノイド圧Pslpが高くなり、第1圧力室217b内の圧力が高くなると、弁体217aが第2圧力室217c側に変位するようになっている。これにより、第1制御バルブ217にあっては、第1ソレノイド圧Pslpが高くなったときに、入力ポート217dが開放されて入力ポート217dと出力ポート217hとが連通されるようになっている。
そのため、第1ソレノイド圧Pslpが高くなったときには、入力ポート217dを通じて入力された作動油が、出力ポート217hを通じて第1プーリ130の油圧室134に供給されるようになる。尚、図2の右側に示されるように、第1プーリ130の油圧室134に接続された油路には、第1オリフィス230が設けられている。
尚、第1制御バルブ217は、入力される第1ソレノイド圧Pslpが高いときほど第2圧力室217c側への駆動力、すなわち開弁方向への駆動力が大きくなるように構成されている。そのため、第1ソレノイド圧Pslpが高いときほど、入力ポート217dの開度すなわち開口面積が大きくなり、第1制御バルブ217から出力される油圧が高くなって油圧室134内の油圧Pinが高くなる。
また、図2に示されるように油圧室134に供給される油圧の一部は、フィードバックポート217jを通じて弁体217aに作用するようにフィードバックされている。これにより、油圧Pinが高くなり、第1ソレノイド圧Pslpの大きさに対応する油圧に近づくと、フィードバックされた油圧の影響によって弁体217aが第1圧力室217b側に変位する。そして、油圧Pinが第1ソレノイド圧Pslpの大きさに対応する油圧と等しくなったときに、弁体217aによって入力ポート217dが閉塞されるようになっている。
また、油圧Pinが第1ソレノイド圧Pslpの大きさに対応する油圧よりも高くなった場合には、弁体217aが更に第1圧力室217b側に変位し、排出ポート217iが開放されて出力ポート217hと排出ポート217iとが連通されるようになる。これにより、油圧室134内の作動油が出力ポート217h及び排出ポート217iを通じて排出用の油路に排出されるようになり、油圧室134内の油圧Pinが第1ソレノイド圧Pslpの大きさに対応する油圧に調整されるようになっている。
尚、第1制御バルブ217の排出ポート217iと接続されている排出用の油路には、排出ポート217iが開放状態に保持されてしまう異常が発生したときに油圧室134内の作動油が急速に排出されて油圧Pinが急低下し、ベルト140が各プーリ130,150上で滑ってしまうことを防止するために、第2オリフィス240が設けられている。この第2オリフィス240における通路断面積は、第1オリフィス230の通路断面積よりも狭く設定されている。尚、この排出用の油路を通じて排出された作動油は、オイルポンプ211の上流側(吸入側)に戻され、再びオイルポンプ211によって各部に供給されるようになる。
一方で、第2ソレノイドバルブ216から出力された第2ソレノイド圧Pslsは、第2制御バルブ218に入力される。第2制御バルブ218は、この第2ソレノイド圧Pslsに応じてライン圧Plを調整することにより、第2プーリ150の油圧室154に供給する油圧の大きさを調整し、油圧室154内の油圧Poutを制御する。
尚、第2制御バルブ218は、第1制御バルブ217と同様に、入力ポート218dと、第1制御圧ポート218eと、第2制御圧ポート218fとを備えており、第2ソレノイド圧Pslsは、第1制御圧ポート218eに入力される。また、入力ポート218dにはライン圧Plが入力される一方、第2制御圧ポート218fにはソレノイドモジュレータ圧Psolmodが入力される。
第2制御バルブ218には、弁体218aが軸方向に変位可能に収容されている。また、第2制御バルブ218の内部には、弁体218aを挟んで対向する位置に第1圧力室218bと第2圧力室218cとが区画形成されている。そして、第1制御圧ポート218eは第1圧力室218bに接続されている一方、第2制御圧ポート218fは第2圧力室218cに接続されている。
これにより、第2制御バルブ218の弁体218aには、第1制御圧ポート218eを通じて第1圧力室218bに供給された第2ソレノイド圧Pslsと、第2制御圧ポート218fを通じて第2圧力室218cに供給されたソレノイドモジュレータ圧Psolmodとが互いに反対方向から作用するようになっている。また、第1圧力室218bには、弁体218aを第2圧力室218c側に付勢する付勢部材としてスプリング218gが圧縮された状態で収容されている。
尚、第2制御圧ポート218fを通じて第2圧力室218cに供給されるソレノイドモジュレータ圧Psolmodは、第1制御バルブ217の第2圧力室217cに入力されているソレノイドモジュレータ圧Psolmodと同様のものであり、ライン圧Plを更に減圧することにより一定の水準に調整されている。そのため、第2制御バルブ218の弁体218aに作用する力のバランスは、第1制御圧ポート218eを通じて第1圧力室218bに供給される第2ソレノイド圧Pslsの大きさに応じて変化し、弁体218aはこの力のバランスの変化に応じて軸方向に変位する。
第2制御バルブ218は、更に、第2プーリ150の油圧室154と接続された出力ポート218hと、排出用の油路に接続された排出ポート218iと、フィードバックポート218jとを備えている。
第2制御バルブ218は、上述したように弁体218aに作用する力のバランスに応じて同弁体218aが変位するようになっており、第2ソレノイド圧Pslsが高くなり、第1圧力室218b内の圧力が高くなると、弁体218aが第2圧力室218c側に変位するようになっている。これにより、第2制御バルブ218にあっては、第2ソレノイド圧Pslsが高くなったときに、入力ポート218dが開放されて入力ポート218dと出力ポート218hとが連通されるようになっている。
そのため、第2ソレノイド圧Pslsが高くなったときには、入力ポート218dを通じて入力された作動油が、出力ポート218hを通じて第2プーリ150の油圧室154に供給されるようになる。
尚、第2制御バルブ218は、入力される第2ソレノイド圧Pslsが高いときほど第2圧力室218c側への駆動力、すなわち開弁方向への駆動力が大きくなるように構成されている。
そのため、第2ソレノイド圧Pslsが高いときほど、入力ポート218dの開度すなわち開口面積が大きくなり、第2制御バルブ218から出力される油圧が高くなって油圧室154内の油圧Poutが高くなる。尚、図2の右側に示されるように、第2プーリ150の油圧室154に接続された油路には、第3オリフィス250が設けられている。この第3オリフィス250における通路断面積は、第1オリフィス230における通路断面積と等しくなるようにその大きさが設定されている。
また、図2に示されるように油圧室154に供給される油圧の一部は、フィードバックポート218jを通じて弁体218aに作用するようにフィードバックされている。これにより、油圧Poutが高くなり、第2ソレノイド圧Pslsの大きさに対応する油圧に近づくと、フィードバックされた油圧の影響によって弁体218aが第1圧力室218b側に変位する。そして、油圧Poutが第2ソレノイド圧Pslsの大きさに対応する油圧と等しくなったときに、弁体218aによって入力ポート218dが閉塞されるようになっている。
また、油圧Poutが第2ソレノイド圧Pslsの大きさに対応する油圧よりも高くなった場合には、弁体218aが更に第1圧力室218b側に変位し、排出ポート218iが開放されて出力ポート218hと排出ポート218iとが連通されるようになる。これにより、油圧室154内の作動油が出力ポート218h及び排出ポート218iを通じて排出用の油路に排出されるようになり、油圧室154内の油圧Poutが第2ソレノイド圧Pslsの大きさに対応する油圧に調整されるようになっている。
電子制御装置300は、変速制御を通じて第1ソレノイドバルブ215及び第2ソレノイドバルブ216に出力する電流の大きさをそれぞれ変更し、第1ソレノイド圧Pslpと第2ソレノイド圧Pslsを制御する。
これにより、電子制御装置300は、この油圧制御装置200を通じて、各プーリ130,150の油圧室134,154における油圧Pin,Poutを調整し、変速比γを目標変速比γtrgに一致させるように制御する。
ところで、第1制御バルブ217や第1ソレノイドバルブ215に異常が発生した場合には、油圧Pinを適切に制御することができなくなり、油圧Pinが一方的に増大したり、一方的に低下したりしてしまうおそれがある。
例えば、第1制御バルブ217に異物が噛み込む等して弁体217aが排出ポート217iを開放した状態で固着してしまった場合には、油圧室134から作動油が一方的に排出され続けるようになる。また、第1ソレノイドバルブ215が故障して第1ソレノイド圧Pslpが小さな状態に保持されてしまい、第1制御バルブ217の弁体217aが排出ポート217iを開放する位置から動かなくなった場合にも、同様に油圧室134から作動油が一方的に排出され続けるようになる。このように油圧室134から作動油が一方的に排出され続けるようになった場合には、油圧Pinが不足して各プーリ130,150における推力Wpri,Wsecのバランスが崩れ、ベルト140の張力によって第1プーリ130が押し広げられてしまう。その結果、変速比γが一方的に大きくなって機関回転速度NEが上昇してしまう。
また、ベルト140に作用する推力Wpriが不足してプーリ130上でベルト140が滑るようになってしまう。
これに対して油圧制御装置200には、第1プーリ130に供給する作動油の供給経路を切り替えるフェールセーフバルブ219が設けられている。
第1制御バルブ217の出力ポート217hから出力された作動油は、図2の右側下方に示されるようにフェールセーフバルブ219を介して第1プーリ130の油圧室134に供給される。そして、第1プーリ130にあっては、上述したように油圧室134内の油圧Pinに応じて可動シーブが変位し、固定シーブと可動シーブとの間隔が変化する。
一方、第2制御バルブ218の出力ポート218hから出力されて第2プーリ150の油圧室154に供給される作動油は、フェールセーフバルブ219を介さずに直接第2プーリ150の油圧室154に供給される。そして、第2プーリ150にあっては、上述したように油圧室154内の油圧Poutに応じて可動シーブが変位し、固定シーブと可動シーブとの間隔が変化する。
第1制御バルブ217と第1プーリ130との間に設けられているフェールセーフバルブ219には、第1制御バルブ217の出力ポート217hから出力される作動油が導入される第1入力ポート219aと、第2制御バルブ218の出力ポート218hから出力される作動油が導入される第2入力ポート219bとが設けられている。そして、フェールセーフバルブ219は、切り替え用ソレノイドバルブ220から出力される駆動油圧によって駆動される弁体の位置により、第1入力ポート219aと第2入力ポート219bとのいずれか一方を選択的に出力ポート219cに連通するように構成されている。
具体的には、切り替え用ソレノイドバルブ220が「OFF」状態にされ、切り替え用ソレノイドバルブ220から駆動油圧が出力されていないノーマル状態のときには、第1入力ポート219aが出力ポート219cに連通されるようになっている。一方、切り替え用ソレノイドバルブ220が「ON」状態にされ、切り替え用ソレノイドバルブ220から駆動油圧が出力されているフェール状態のときには、第2入力ポート219bが出力ポート219cに連通されるようになっている。すなわち、フェールセーフバルブ219は、第1制御バルブ217を通じて調整された作動油と第2制御バルブ218を通じて調整された作動油のうち、いずれか一方を選択して第1プーリ130に出力するように構成されている。
電子制御装置300は、第1制御バルブ217によって第1プーリ130における油圧Pinを適切に制御することができなくなったときには、切り替え用ソレノイドバルブ220を「ON」状態にする。これにより、第2制御バルブ218によって調整された作動油が第1プーリ130にも供給されるように作動油の供給経路が切り替えられる。これにより、各プーリ130,150の油圧Pin,Poutが等しくされ、変速比γが一方的に大きくなってしまうことを抑制することができるようになる。
ところで、第1制御バルブ217に異常が発生してから第1制御バルブ217によって第1プーリ130における油圧Pinを適切に制御することができなくなったことが判定されてフェールセーフバルブ219によって作動油の供給経路が切り替えられるまでの間は、油圧室134内の作動油が一方的に排出され続けることとなる。
そこで、本実施形態の油圧制御装置200にあっては、フェールセーフバルブ219によって作動油の供給経路が切り替えられるまでの間の作動油の排出速度を制限し、ベルト140の滑りを抑制することができるように、第2オリフィス240の通路断面積を設定するようにしている。
尚、上述したように第1プーリ130の油圧室134に接続されている油路と、第2プーリ150の油圧室154に接続されている油路には、オリフィス230,250がそれぞれ設けられている。これらのオリフィス230,250の通路断面積は、第2オリフィス240の通路断面積よりも大きくされている。
また、本実施形態の油圧制御装置200では、ライン圧Plを必要最小限に保ち、オイルポンプ211の駆動負荷を極力小さくすべく、ライン圧Plのフィードバック調整を行うようにしている。
具体的には、第1プーリ130の油圧室134内の油圧Pinと、第2ソレノイドバルブ216の出力する第2ソレノイド圧Pslsとを、それぞれ還元バルブ213に導入し、ライン圧Plのフィードバック調整を行うようにしている。還元バルブ213は、導入されたこれら油圧Pinと第2ソレノイド圧Pslsとに応じてモジュレータ圧Pmを調整し、ライン圧調整油圧Psrvを作り出す。このライン圧調整油圧Psrvは、上記レギュレータバルブ212に導入され、レギュレータバルブ212におけるライン圧Plの調整に供される。
すなわち、本実施形態の油圧制御装置200にあっては、各プーリ130,150の油圧Pin,Poutの大きさに応じて変化するライン圧調整油圧Psrvに応じてライン圧Plがフィードバック調整されるようになっている。
尚、こうした還元バルブ213によるフィードバック調整を通じて、ライン圧Plは、油圧Pinと油圧Poutのうち、より高い方の圧力よりも若干高くなるように調整されるようになっている。
このように各プーリ130,150に供給している油圧Pin,Poutの大きさに応じてライン圧Plをフィードバック調整するようにすれば、必要以上にライン圧Plが上昇してオイルポンプ211の駆動負荷が過剰に高くなってしまうことを抑制することができる。
以上説明した第1の実施形態によれば、以下の作用効果が得られるようになる。
(1)第1制御バルブ217の排出ポート217iに接続されている排出用の油路に第2オリフィス240を設けるようにしている。そのため、第1プーリ130の油圧室134内の作動油が一方的に排出されてしまう異常が発生したときに、排出ポート217iを通じて排出される作動油の排出速度がこの第2オリフィス240によって制限され、油圧室134からの作動油の排出が抑制されるようになる。
したがって、油圧室134内の作動油が一方的に排出されてしまう異常が発生した場合であっても、第1プーリ130における推力Wpriが急激に低下してしまうことを抑制し、第1プーリ130上でベルト140が滑ってしまうことを抑制することができるようになる。
尚、上記のような異常が発生していない場合、変速制御における変速比γの変更に伴って第1プーリ130の油圧室134内の油圧Pinを増大させるときには、出力ポート217hを通じて油圧室134に作動油が供給される。そのため、排出ポート217iに接続された排出用の油路に設けられている第2オリフィス240によって油圧室134に供給される作動油の供給速度が制限されることはない。
すなわち、上記実施形態の油圧制御装置200によれば、変速速度を極力制限せずに、異常時にベルト140が滑ってしまうようになることを抑制することができる。
(2)機関始動直後のように、オイルポンプ211の駆動が開始された直後には、図3に示されるようにライン圧Plが急に立ち上がり、一時的に油圧制御装置200の各部に高い油圧が作用するようになる。
こうしたサージ圧の影響による高い油圧が各制御バルブ217,218を通じて各プーリ130,150の油圧室134,154に供給されてしまった場合には、各プーリ130,150やベルト140に過大な負荷が作用するようになり、無段変速機100の耐久性が低下してしまう。
尚、こうした機関始動直後の一時的なライン圧Plの上昇、いわゆるサージ圧は、機関始動直後は作動油の温度が低く、その粘性が高いため、油圧制御装置200からの作動油の洩れ量が少ないことや、レギュレータバルブ212が開弁するまでの応答時間が長くなり、ライン圧Plが低下するまでに時間がかかること等に起因して生じるものである。そのため、こうしたサージ圧は、油圧制御装置200や作動油の温度が低いときほど高圧になる傾向にある。
こうしたサージ圧の影響による無段変速機100の耐久性の低下を抑制する上では、各油圧室134,154と制御バルブ217,218の出力ポート217h,218hとを接続する油路にオリフィスを設け、サージ圧の影響によって油圧室134,154に供給される作動油の油圧が急に増大することを抑制することが望ましい。
これに対して、油圧制御装置200にあっては、排出ポート217iに接続された排出用の油路に設けられた作動油の排出速度を抑制するための第2オリフィス240よりも通路断面積の大きなオリフィス(第1オリフィス230、第3オリフィス250)を、油圧室134,154と出力ポート217h、218hとを接続する油路に設けている。
そのため、通路断面積の大きなオリフィス230,250によってサージ圧の影響による油圧室134,154に供給される作動油の油圧の急な増大を抑制することができるようになる。したがって、サージ圧の影響による無段変速機100の耐久性の低下を抑制することができる。
尚、オリフィス230,250の通路断面積は、排出ポート217iに接続された排出用の油路に設けられた作動油の排出速度を抑制するための第2オリフィス240の通路断面積よりも大きくされている。そのため、作動油の排出速度を抑制するためのオリフィスをプーリに作動油を供給するための制御バルブの出力ポートとプーリの油圧室とを接続する油路に設ける従来の構成と比較すれば、変速速度を極力制限せずに、異常時にベルト140が滑ってしまうようになることを抑制することができるようになる。
(3)フェールセーフバルブ219によって作動油の供給経路を切り替えたときには、第2制御バルブ218によって調整された作動油が第1プーリの油圧室134にも供給されるようになるため、油圧室134に供給される作動油の油圧と、油圧室154に供給される作動油の油圧とが急に変動することとなる。そのため、各油圧室134,154における油圧Pin,Poutが急激に変化するおそれがある。これに対して、油圧制御装置200にあっては、フェールセーフバルブ219の出力ポート219cと第1プーリ130の油圧室134とを接続する油路に第1オリフィス230を設けるとともに、第2制御バルブ218の出力ポート218hと第2プーリ150の油圧室154とを接続する油路に第3オリフィス250を設けるようにしている。そのため、これらのオリフィス230,250によって、各油圧室134,154に供給される作動油の油圧の急激な変化を抑制し、フェールセーフバルブ219による供給経路の切り替えに伴う油圧室134,154内の油圧Pin,Poutの急激な変化を抑制することができるようになる。
尚、上記第1の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態にあっては、フェールセーフバルブ219の下流側、すなわちフェールセーフバルブ219の出力ポート219cと第1プーリ130の油圧室134とを接続する油路に第1オリフィス230を設ける構成を示した。これに対して、サージ圧の影響による高い油圧が第1プーリ130の油圧室134に供給されてしまうことを抑制する上では、フェールセーフバルブ219の上流側、すなわち第1制御バルブ217の出力ポート217hとフェールセーフバルブ219の入力ポート219aとを接続する油路に第1オリフィス230を設ける構成を採用することもできる。
しかし、こうした構成を採用した場合には、フェールセーフバルブ219による作動油の供給経路の切り替えに伴う油圧室134内の油圧Pinの急激な変動を抑制する効果は得られなくなる。
・上記実施形態にあっては、フェールセーフバルブ219を備える油圧制御装置に本発明の無段変速機の油圧制御装置を適用する構成を示したが、本発明にかかる無段変速機の油圧制御装置は、フェールセーフバルブ219を備えるものに限定的に適用されるものではない。そのため、フェールセーフバルブ219を省略してもよい。その場合には、第1制御バルブ217の出力ポート217hと油圧室134とを油路によって直接接続し、この油路に第1オリフィス230を設けるようにすればよい。
(第2の実施形態)
以下、この発明にかかる無段変速機の油圧制御装置を、車両に搭載される無段変速機100を制御する油圧制御装置200として具体化した第2の実施形態について、図4を参照して説明する。
第1の実施形態にあっては、レギュレータバルブ212によって調整されたライン圧Plを第1制御バルブ217によって調整し、第1制御バルブ217を通じて調整された作動油をフェールセーフバルブ219を介して第1プーリ130の油圧室134に供給することにより、油圧室134内の油圧Pinを制御する油圧制御装置200を示した。これに対して本実施形態の油圧制御装置200は、第1制御バルブ217に替えて増圧用制御バルブ260と減圧用制御バルブ270とを設け、これら増圧用制御バルブ260と減圧用制御バルブ270とを通じて油圧室134内の油圧Pinを制御するようにしている。尚、本実施形態の油圧制御装置200にあっては、フェールセーフバルブ219を省略し、図4に示されるように増圧用制御バルブ260の出力ポート266を、フェールセーフバルブ219を介さずに第1プーリ130の油圧室134に接続するようにしている。
本実施形態は、その他の構成については第1の実施形態と同一であるため、以下、第1の実施形態と同様の部分についてはその説明を割愛し、第1の実施形態と異なる部分について詳しく説明する。
尚、図4は本実施形態の油圧制御装置200における増圧用制御バルブ260及び減圧用制御バルブ270の構成を示す模式図である。
本実施形態にかかる油圧制御装置200は、上述したように増圧用制御バルブ260と減圧用制御バルブ270とを備えている。また、本実施形態の油圧制御装置200は、図4に示されるように第1デューティーソレノイド圧DS1を出力する増圧側ソレノイドバルブ280と、第2デューティーソレノイド圧DS2を出力する減圧側ソレノイドバルブ290とを備えている。
増圧側ソレノイドバルブ280は、電子制御装置300から出力される駆動指令によって電気的に駆動され、モジュレータ圧Pmを調整して第1デューティーソレノイド圧DS1を作り出す。具体的には、増圧側ソレノイドバルブ280は、電子制御装置300によって制御される駆動指令のデューティー比に応じて第1デューティーソレノイド圧DS1の大きさを制御するソレノイドバルブである。
また、減圧側ソレノイドバルブ290も、電子制御装置300によって制御される駆動指令のデューティー比に応じて第2デューティーソレノイド圧DS2の大きさを制御するソレノイドバルブであり、モジュレータ圧Pmを調整して第2デューティーソレノイド圧DS2を作り出す。
図4に示されるように増圧用制御バルブ260は、入力ポート265と、第1制御圧ポート268と、第2制御圧ポート269とを備えている。入力ポート265にはライン圧Plが入力される一方、第1制御圧ポート268は増圧側ソレノイドバルブ280と接続されており、増圧側ソレノイドバルブ280から出力された第1デューティーソレノイド圧DS1は第1制御圧ポート268に入力される。また、第2制御圧ポート269は減圧側ソレノイドバルブ290と接続されており、減圧側ソレノイドバルブ290から出力された第2デューティーソレノイド圧DS2は第2制御圧ポート269に入力される。
増圧用制御バルブ260には、弁体261が軸方向に変位可能に収容されている。また、増圧用制御バルブ260の内部には、弁体261を挟んで対向する位置に第1圧力室262と第2圧力室263とが区画形成されている。そして、第1制御圧ポート268は第1圧力室262に接続されている一方、第2制御圧ポート269は第2圧力室263に接続されている。
これにより、増圧用制御バルブ260の弁体261には、第1制御圧ポート268を通じて第1圧力室262に供給された第1デューティーソレノイド圧DS1と、第2制御圧ポート269を通じて第2圧力室263に供給された第2デューティーソレノイド圧DS2とが互いに反対方向から作用するようになっている。また、第2圧力室263には、弁体261を第1圧力室262側に付勢する付勢部材としてスプリング264が圧縮された状態で収容されている。
そのため、増圧用制御バルブ260の弁体261に作用する力のバランスは、各圧力室262,263に供給されるデューティーソレノイド圧DS1,DS2の大きさに応じて変化し、弁体261は各圧力室262,263内の圧力とこのスプリング264の付勢力とによる力のバランスの変化に応じて軸方向に変位する。
更に、増圧用制御バルブ260は、第1プーリ130の油圧室134に接続される出力ポート266と、減圧用制御バルブ270の接続ポート275に接続される接続ポート267とを備えている。
一方、図4に示されるように減圧用制御バルブ270は、接続ポート275と、第1制御圧ポート278と、第2制御圧ポート279とを備えている。接続ポート275は増圧用制御バルブ260の接続ポート267と接続されている一方、第1制御圧ポート278は減圧側ソレノイドバルブ290と接続されており、減圧側ソレノイドバルブ290から出力された第2デューティーソレノイド圧DS2は第1制御圧ポート278に入力される。また、第2制御圧ポート279は増圧側ソレノイドバルブ280と接続されており、増圧側ソレノイドバルブ280から出力された第1デューティーソレノイド圧DS1は第2制御圧ポート279に入力される。
減圧用制御バルブ270には、弁体271が軸方向に変位可能に収容されている。また、減圧用制御バルブ270の内部には、弁体271を挟んで対向する位置に第1圧力室272と第2圧力室273とが区画形成されている。そして、第1制御圧ポート278は第1圧力室272に接続されている一方、第2制御圧ポート279は第2圧力室273に接続されている。
これにより、減圧用制御バルブ270の弁体271には、第1制御圧ポート278を通じて第1圧力室272に供給された第2デューティーソレノイド圧DS2と、第2制御圧ポート279を通じて第2圧力室273に供給された第1デューティーソレノイド圧DS1とが互いに反対方向から作用するようになっている。また、第2圧力室273には、弁体271を第1圧力室272側に付勢する付勢部材としてスプリング274が圧縮された状態で収容されている。
そのため、減圧用制御バルブ270の弁体271に作用する力のバランスは、各圧力室272,273に供給されるデューティーソレノイド圧DS1,DS2の大きさに応じて変化し、弁体271は各圧力室272,273内の圧力とこのスプリング274の付勢力とによる力のバランスの変化に応じて軸方向に変位する。
更に、減圧用制御バルブ270は、排出用の油路と接続される排出ポート277と、最大変速比保持圧Pγmaxが入力される入力ポート276とを備えている。
尚、最大変速比保持圧Pγmaxは、ライン圧Plを減圧することにより調整された油圧であり、変速比γを最大変速比γmaxに保持することのできる一定の水準の圧力に調整されている。
増圧用制御バルブ260及び減圧用制御バルブ270は、上述したように弁体261,271に作用する力のバランスに応じてその弁体261,271が変位するようになっている。
具体的には、第1デューティーソレノイド圧DS1が高くされており、第2デューティーソレノイド圧DS2が低くされているときには、増圧用制御バルブ260にあっては、弁体261が一点鎖線よりも右側に示されるようにスプリング264の付勢力に抗して第2圧力室263側に変位した状態になる。これにより、増圧用制御バルブ260にあっては、入力ポート265と出力ポート266とが連通された状態になる。その結果、入力ポート265を通じて入力された作動油が、出力ポート266を通じて第1プーリの油圧室134に供給されるようになる。
尚、図4の右側に示されるように、出力ポート266と第1プーリ130の油圧室134とを接続する油路には、第1オリフィス230が設けられている。また、第1の実施形態における油圧制御装置200と同様に、本実施形態にかかる油圧制御装置200にあっても、油圧室134内の油圧Pinは、還元バルブ213にも導入さており、ライン圧Plのフィードバック調整に供されるようになっている。
また、増圧用制御バルブ260は、入力される第1デューティーソレノイド圧DS1が第2デューティーソレノイド圧DS2よりも高いときほど第2圧力室263側への駆動力が大きくなるように構成されている。そのため、第1デューティーソレノイド圧DS1が第2デューティーソレノイド圧DS2よりも高いときほど、入力ポート265の開度、すなわち開口面積が大きくなり、油圧室134内の油圧Pinが速やかに増大するようになっている。
また、このように第1デューティーソレノイド圧DS1が高くされており、第2デューティーソレノイド圧DS2が低くされているときには、減圧用制御バルブ270にあっては、一点鎖線よりも左側に示されるように、弁体271が第1圧力室272側に変位した状態になる。これにより、減圧用制御バルブ270にあっては、排出ポート277が弁体217aによって閉塞される一方、入力ポート276と接続ポート275とが連通された状態になる。その結果、入力ポート276から入力された最大変速比保持圧Pγmaxが接続ポート275を通じて増圧用制御バルブ260に向かって出力されるようになる。しかし、このとき、増圧用制御バルブ260にあっては、弁体261によって接続ポート267が閉塞されているため、最大変速比保持圧Pγmaxが増圧用制御バルブ260の内部や、油圧室134に供給されることはない。
一方、第2デューティーソレノイド圧DS2が高くされており、第1デューティーソレノイド圧DS1が低くされているときには、増圧用制御バルブ260にあっては、弁体261が一点鎖線よりも左側に示されるように第1圧力室262側に変位した状態になる。これにより、増圧用制御バルブ260にあっては、入力ポート265が弁体261によって閉塞される一方、出力ポート266と接続ポート267とが連通された状態になる。一方で、減圧用制御バルブ270にあっては、一点鎖線よりも右側に示されるように、弁体271がスプリング274の付勢力に抗して第2圧力室273側に変位した状態になる。これにより、減圧用制御バルブ270にあっては、入力ポート276が弁体271によって閉塞される一方、接続ポート275と排出ポート277とが連通された状態になる。
そのため、第2デューティーソレノイド圧DS2が高くされており、第1デューティーソレノイド圧DS1が低くされているときには、第1プーリの油圧室134内の作動油が増圧用制御バルブ260の出力ポート266及び接続ポート267を通じて減圧用制御バルブ270の接続ポート275に入力されるようになる。そして、接続ポート275を通じて減圧用制御バルブ270に入力された作動油が、排出ポート277を通じて排出用の油路に排出されるようになる。すなわち、このときには、油圧室134内の作動油が、増圧用制御バルブ260及び減圧用制御バルブ270を通じて排出用の油路に排出されるようになる。
また、減圧用制御バルブ270は、入力される第2デューティーソレノイド圧DS2が第1デューティーソレノイド圧DS1よりも高いときほど第2圧力室273側への駆動力が大きくなるように構成されている。そのため、第2デューティーソレノイド圧DS2が第1デューティーソレノイド圧DS1よりも高いときほど、排出ポート277の開度、すなわち開口面積が大きくなり、油圧室134内の油圧Pinが速やかに低下するようになっている。
尚、減圧用制御バルブ270の排出ポート277と接続されている排出用の油路には、故障が発生したときに、油圧室134内の作動油が急速に排出されて油圧Pinが急低下し、ベルト140が各プーリ130,150上で滑ってしまうことを防止するために、第2オリフィス240が設けられている。この第2オリフィス240における通路断面積は、第1オリフィス230の通路断面積よりも狭く設定されている。尚、この排出用の油路を通じて排出された作動油は、オイルポンプ211の上流側(吸入側)に戻され、再びオイルポンプ211によって各部に供給されるようになる。
また、本実施形態の油圧制御装置200にあっては、第1デューティーソレノイド圧DS1と、第2デューティーソレノイド圧DS2とが略等しいとき、例えば、デューティーソレノイド圧DS1,DS2がいずれも出力されていないとき等には、各制御バルブ260,270の弁体261,271が第1圧力室262,272側に変位した状態になる。
この状態にあっては、一点鎖線よりも左側に示されるように、減圧用制御バルブ270にあっては入力ポート276と接続ポート275とが連通され、増圧用制御バルブ260にあっては接続ポート267と出力ポート266とが連通された状態になる。そのため、最大変速比保持圧Pγmaxが減圧用制御バルブ270及び増圧用制御バルブ260を通じて第1プーリの油圧室134に供給されるようになる。これにより、第1プーリ130の油圧室134内の油圧Pinは、変速比γを最大変速比γmaxに保持するために必要な水準に保持されるようになる。
本実施形態にかかる電子制御装置300は、変速制御を通じてデューティー比を制御することにより、増圧側ソレノイドバルブ280と減圧側ソレノイドバルブ290とをそれぞれ制御する。そしてこれにより、第1デューティーソレノイド圧DS1及び第2デューティーソレノイド圧DS2をそれぞれ制御して第1プーリ130の油圧室134における油圧Pinを調整する。
そして、電子制御装置300は、第1の実施形態と同様に、これとあわせて第2ソレノイドバルブ216に出力する電流の大きさを変更し、第2ソレノイド圧Pslsを制御することにより、第2プーリ150の油圧室154における油圧Poutを調整し、変速比γを目標変速比γtrgに一致させるように制御する。
以上説明した第2の実施形態によれば、以下の作用効果が得られるようになる。
(1)減圧用制御バルブ270の排出ポート277に接続されている排出用の油路に第2オリフィス240を設けるようにしている。そのため、第1プーリ130の油圧室134内の作動油が一方的に排出されてしまう異常が発生したときに、排出ポート277を通じて排出される作動油の排出速度がこの第2オリフィス240によって制限され、油圧室134からの作動油の排出が抑制されるようになる。
したがって、油圧室134内の作動油が一方的に排出されてしまう異常が発生した場合であっても、第1プーリ130における推力Wpriが急激に低下してしまうことを抑制し、第1プーリ130上でベルト140が滑ってしまうことを抑制することができるようになる。
尚、上記のような異常が発生していない場合、変速制御における変速比γの変更に伴って第1プーリ130の油圧室134内の油圧Pinを増大させるときには、増圧用制御バルブ260の出力ポート266を通じて油圧室134に作動油が供給される。そのため、減圧用制御バルブ270の排出ポート277に接続された排出用の油路に設けられている第2オリフィス240によって油圧室134に供給される作動油の供給速度が制限されることはない。
すなわち、上記第2の実施形態の油圧制御装置によれば、変速速度を極力制限せずに、異常時にベルト140が滑ってしまうようになることを抑制することができる。
(2)機関始動直後のように、オイルポンプ211の駆動が開始された直後には、図3に示されるようにライン圧Plが急に立ち上がり、一時的に油圧制御装置200の各部に高い油圧が作用するようになる。
こうしたサージ圧の影響による高い油圧が増圧用制御バルブ260を通じて第1プーリ130の油圧室134に供給されてしまった場合には、第1プーリ130やベルト140に過大な負荷が作用するようになり、無段変速機100の耐久性が低下してしまう。
こうしたサージ圧の影響による無段変速機100の耐久性の低下を抑制する上では、油圧室134と増圧用制御バルブ260の出力ポート266とを接続する油路にオリフィスを設け、サージ圧の影響によって増圧用制御バルブ260を通じて油圧室134に供給される作動油の油圧が急に増大することを抑制することが望ましい。
これに対して、上記第2の実施形態の油圧制御装置200にあっては、減圧用制御バルブ270の排出ポート277に接続された排出用の油路に設けられた第2オリフィス240よりも通路断面積の大きな第1オリフィス230を、油圧室134と増圧用制御バルブ260の出力ポート266とを接続する油路に設けるようにしている。
そのため、通路断面積の大きな第1オリフィス230によってサージ圧の影響による第1プーリ130の油圧室134に供給される作動油の油圧の急な増大を抑制することができるようになる。そのため、サージ圧の影響による無段変速機100の耐久性の低下を抑制することができる。
尚、第1オリフィス230の通路断面積は、減圧用制御バルブ270の排出ポート277に接続された排出用の油路に設けられた作動油の排出速度を抑制するための第2オリフィス240の通路断面積よりも大きくされている。そのため、作動油の排出速度を抑制するためのオリフィスをプーリに作動油を供給するための制御バルブの出力ポートとプーリの油圧室とを接続する油路に設ける従来の構成と比較すれば、変速速度を極力制限せずに、異常時にベルト140が滑ってしまうようになることを抑制することができるようになる。
尚、上記第2の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・第1の実施形態と同様に、フェールセーフバルブ219を設けるようにしてもよい。その場合には、増圧用制御バルブ260と第1プーリ130の油圧室134とを接続する油路にフェールセーフバルブ219を設け、増圧用制御バルブ260の出力ポート266とフェールセーフバルブ219の第1入力ポート219aとを接続するとともに、油圧室134とフェールセーフバルブ219の出力ポート219cとを接続すればよい。
その他、上記各実施形態に共通して変更可能な要素としては次のようなものがある。
・上記各実施形態にあっては、第1プーリ130の油圧室134から作動油が一方的に抜けてしまう異常が発生したときに、推力Wpriが不足してベルト140が滑ってしまうことを抑制するために第2オリフィス240を設ける構成を示した。これに対して、第2プーリ150の油圧室154から作動油が一方的に抜けてしまう異常が発生したときに、推力Wsecが不足してベルト140が滑ってしまうことを抑制するための構成として本発明を適用することもできる。その場合には、第2制御バルブ218の排出ポート218iに接続された排出用の油路に、上記各実施形態における第2オリフィス240と同様のオリフィスを設けるようにすればよい。
・また、第1制御バルブ217の排出ポート217iと接続された排出用の油路または減圧用制御バルブ270の排出ポート277と接続された排出用の油路と、第2制御バルブ218の排出ポート218iと接続された排出用の油路との双方に作動油の排出速度を制限するためのオリフィスを設けるようにしてもよい。
・第1制御バルブの排出ポート217iの下流側、減圧用制御バルブ270の排出ポート277の下流側、第2制御バルブ218の排出ポート218iの下流側にオリフィスを設ければ、油圧室134,154内の油圧Pin,Poutが急激に低下してベルト140が滑ってしまうことを抑制することができるようになる。そのため、第1オリフィス230や、第3オリフィス250は省略することもできる。
・ライン圧Plをフィードバック調整するための構成は適宜変更することができる。例えば、上記各実施形態では、第2ソレノイド圧Pslsを還元バルブ213に導入するようにしていた。そして還元バルブ213では、油圧Pinと第2ソレノイド圧Pslsとに基づいてライン圧調整油圧Psrvを設定し、レギュレータバルブ212に出力するようにしていた。これに対して第2ソレノイド圧Pslsに替えて第2プーリ150の油圧室154に供給されている油圧Poutを還元バルブ213に導入し、油圧Pinと油圧Poutに基づいてライン圧Plをフィードバック調整するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、車両に搭載される無段変速機100を制御する油圧制御装置200として、本発明にかかる無段変速機の油圧制御装置を具体化した構成を例示したが、この発明は、車両に搭載される無段変速機を制御する油圧制御装置に限定的に適用されるものではない。すなわち、車両に搭載される無段変速機以外の無段変速機を制御する油圧制御装置として、本発明を適用することもできる。
・上記各実施形態において例示した無段変速機100や、油圧制御装置200、電子制御装置300の構成は本発明を具現化した構成の一例であり、これらの構成は適宜変更することができる。
すなわち、本発明は、上記各実施形態で例示した構成の無段変速機100や、油圧制御装置200、電子制御装置300に限定的に適用されるものではなく、制御バルブを通じてプーリの油圧を制御してプーリにおける推力を制御する無段変速機の油圧制御装置であれば、本発明を適用することができる。
100…無段変速機、110…トルクコンバータ、120…切替機構、121…フォワードクラッチ、122…リバースブレーキ、130…第1プーリ、134…油圧室、140…ベルト、150…第2プーリ、154…油圧室、200…油圧制御装置、211…オイルポンプ、212…レギュレータバルブ、213…還元バルブ、214…モジュレータバルブ、215…第1ソレノイドバルブ、216…第2ソレノイドバルブ、217…第1制御バルブ、217a…弁体、217b…第1圧力室、217c…第2圧力室、217d…入力ポート、217e…第1制御圧ポート、217f…第2制御圧ポート、217g…スプリング、217h…出力ポート、217i…排出ポート、217j…フィードバックポート、218…第2制御バルブ、218a…弁体、218b…第1圧力室、218c…第2圧力室、218d…入力ポート、218e…第1制御圧ポート、218f…第2制御圧ポート、218g…スプリング、218h…出力ポート、218i…排出ポート、218j…フィードバックポート、219…フェールセーフバルブ、219a…第1入力ポート、219b…第2入力ポート、219c…出力ポート、220…切り替え用ソレノイドバルブ、230…第1オリフィス、240…第2オリフィス、250…第3オリフィス、260…増圧用制御バルブ、261…弁体、262…第1圧力室、263…第2圧力室、264…スプリング、265…入力ポート、266…出力ポート、267…接続ポート、268…第1制御圧ポート、269…第2制御圧ポート、270…減圧用制御バルブ、271…弁体、272…第1圧力室、273…第2圧力室、274…スプリング、275…接続ポート、276…入力ポート、277…排出ポート、278…第1制御圧ポート、279…第2制御圧ポート、280…増圧側ソレノイドバルブ、290…減圧側ソレノイドバルブ、300…電子制御装置、301…アクセルポジションセンサ、302…エアフロメータ、303…クランク角センサ、304…タービン回転速度センサ、305…第1プーリ回転速度センサ、306…第2プーリ回転速度センサ、307…車輪速センサ、400…内燃機関。

Claims (5)

  1. 入力ポートと、出力ポートと、排出ポートとを備え、前記入力ポートと前記出力ポートとを連通させて前記入力ポートから入力された作動油を前記出力ポートを通じて無段変速機のプーリの油圧室に供給する状態と、前記出力ポートと前記排出ポートとを連通させて前記プーリの油圧室内の作動油を前記排出ポートを通じて排出する状態とを切り替え可能な制御バルブを備え、同制御バルブを駆動して前記プーリにおける推力を制御する無段変速機の油圧制御装置であって、
    前記制御バルブの前記排出ポートに接続されている油路にオリフィスが設けられている
    ことを特徴とする無段変速機の油圧制御装置。
  2. 前記プーリの油圧室と前記出力ポートとを接続する油路に、前記オリフィスよりも通路断面積の大きなオリフィスが更に設けられている
    請求項1に記載の無段変速機の油圧制御装置。
  3. 前記制御バルブとして第1プーリの油圧室内の作動油の量を制御する第1制御バルブと、ベルトを介して前記第1プーリと連結されている第2プーリの油圧室内の作動油の量を制御する第2制御バルブとを備えるとともに、作動油の供給経路を切り替えるフェールセーフバルブを備え、前記第1制御バルブを通じて前記第1プーリの油圧室に適切な量の作動油を供給することができなくなったときに、前記フェールセーフバルブを操作して前記第2制御バルブを通じて制御された作動油を前記第1プーリの油圧室にも供給するように作動油の供給経路を切り替える内燃機関の油圧制御装置であって、
    前記通路断面積の大きなオリフィスが、前記フェールセーフバルブの出力ポートと前記第1プーリの油圧室とを接続する油路に設けられている
    請求項2に記載の無段変速機の油圧制御装置。
  4. 無段変速機のプーリの油圧室に供給する作動油の量を制御する増圧用制御バルブと、前記プーリの油圧室から排出する作動油の量を制御する減圧用制御バルブとを備え、
    これら各制御バルブを駆動して前記増圧用制御バルブの出力ポートを通じて前記プーリの油圧室に供給される作動油の量と、前記プーリの油圧室から前記減圧用制御バルブの排出ポートを通じて排出される作動油の量とを制御することにより、前記プーリにおける推力を制御する無段変速機の油圧制御装置であって、
    前記減圧用制御バルブの前記排出ポートに接続されている油路にオリフィスが設けられている
    ことを特徴とする無段変速機の油圧制御装置。
  5. 前記プーリの油圧室と前記増圧用制御バルブの前記出力ポートとを接続する油路に、前記オリフィスよりも通路断面積の大きなオリフィスが更に設けられている
    請求項4に記載の無段変速機の油圧制御装置。
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