JP2011251853A - 珪素の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】不純物を含む珪素を減圧雰囲気下でプラズマ炎により溶融した後、この溶融珪素に酸化性ガスを吹き付けることで上記不純物を除去することを特徴とする珪素の精製方法。
【効果】本発明によれば、従来の珪素の精製方法に比べ、珪素中の不純物、特に硼素とリンを安価に効率良く除去することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、工業的に生産される珪素(シリコン)の高純度化方法に関し、特に、太陽電池用として有用な珪素の精製方法に関する。
炭酸ガスを排出する化石エネルギーが地球温暖化を促進するとして、化石エネルギーに代替するエネルギーが種々提案され、実用化されている。そのなかでも、太陽光発電は、地球上に遍く分布するエネルギーによって作り出されること、比較的小規模の設備でも可能であること、実用化の歴史が長いことなどから、年々その設備発電量が増加している。
太陽光発電には種々の方法があるが、なかでもシリコンウェハーを使用して電池セルを形成した太陽電池は、最も普及している太陽光発電法である。この太陽電池用シリコンウェハーに使用する珪素の不純物成分の濃度は、半導体用の珪素ほどの低い不純物濃度レベルまでは必要とされない。即ち、半導体用珪素は、不純物を極力低レベルとすることがよいとされ、その必要純度が99.99999999%(10N)とされるのに対し、太陽電池用の珪素には、99.999%(5N)ないし99.9999%(6N)純度が必要とされる。
従来、太陽電池用珪素をこの不純物レベルとするために、その原料には半導体用の99.99999999%(10N)純度品に加え、半導体珪素製造工程中で不純物濃縮や異物付着品として廃棄されるいわゆるオフグレード品を再処理又は精製した珪素が使用されてきた。このように太陽電池用珪素は、半導体用の珪素又はその派生品が原料であることから、その流通量は半導体産業の盛衰の影響を受けてしまい、太陽電池用珪素の需要に対応できないことがしばしば起こる状態となっていた。このため、工業的に十分な製造量を持つ金属珪素の純度を向上させて、太陽電池用の珪素として使用することが検討されてきた。
ところで、金属珪素の主な不純物は、鉄、アルミニウム、カルシウム、チタンなどの金属元素と、ドーパントとして作用する硼素、リンなどの非金属元素である。このうち、金属元素は、珪素との凝固分配係数が非常に小さく、例えば金属珪素中に不純物成分として最も多量に存在することが多い鉄の凝固分配係数は、たかだか8×10-6である。従って、凝固開始時の固体珪素中には鉄濃度が低く、凝固中期から末期にかけて固体珪素中の鉄濃度が徐々に増加することとなる。この凝固偏析現象を利用して所望の鉄濃度の部分を鋳造塊より選択すれば、低鉄濃度の珪素が得られる。鉄以外の不純物金属元素についても同様の方法で低不純物濃度珪素が得られる。
しかし、硼素は、珪素中でドーパント物質として作用するので、太陽電池用の珪素中濃度については濃度制御すべき物質であるにもかかわらず、凝固分配係数が0.8と1に近く、この凝固偏析現象ではほとんど偏析しない。また、同じドーパント物質のリンについても凝固分配係数が0.35と十分小さい数字ではないので、硼素と同様に、凝固偏析現象だけでは偏析による分離精製を十分に達成することはできない。このため、硼素及びリンを凝固偏析以外の方法で除去すべく種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1(特開平04−193706号公報)では、硼素(B)、炭素(C)、リン(P)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)等の不純物元素を含むシリコンを、底部にガス吹き込み羽口を有するシリカを主成分とする容器内で溶融し、この羽口からアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)又はこれらの混合ガスを吹き込むシリコンの精製方法が提案されている。
特許文献2(特開平05−330815号公報)は、太陽電池等に用いるシリコンを製造する際に、特に不純物として含まれるBを有効に除去する方法として、底部にガス吹き込み羽口を有する容器内でシリコンを溶融状態に保持し、この羽口からAr、水素(H2)あるいはこれらの混合ガスに、窒素(N2)を1容量%以下混合させて吹き込むシリコンの精製方法を開示している。
特許文献3(特開2003−238138号公報)に記載の方法は、二酸化珪素(SiO2)及び酸化カルシウム(CaO)の混合物と珪素との融液に、不活性ガス、水蒸気、一酸化炭素の少なくとも1種類以上のガスを供給することで、不純物が効率良く除去できるとされている。
特許文献4(特表2004−535354号公報)には、中純度のシリコンを製造する方法が開示されており、この方法は以下の工程を含んでいる。即ち、ホウ素含有率が低いシリコンを、サブマージアーク電気炉でのシリカの炭素熱還元によって精錬する工程、酸素又は塩素で液体シリコンを精錬する工程、中性ガスを注入して、10〜100Paの減圧下で精錬されたシリコンを処理する工程、及び分離凝固工程。
しかし、これら特許文献1〜4の技術は、どれも溶融した珪素中にガスを吹き込むなどの大がかりな設備になってしまうという問題点があった。
また、特許文献5(特表2004−537491号公報)には、特に太陽電池セルの製造のためのシリコンを精製する方法が開示されており、高温るつぼを備えた電気炉で、中性雰囲気下で精錬シリコンを再溶融する工程、プラズマ下での精錬を実現するために、高温るつぼを備えた電気炉内に溶融シリコンを移送する工程、アルゴンと、塩素、フッ素、塩化水素(HCl)及びフッ化水素(HF)の少なくとも1種の気体との混合物をプラズマ発生気体として、このプラズマ下で精錬する工程、分離凝固させる鋳造鋳型内へ制御雰囲気下で鋳込みを行う工程等により、硼素やリンの低減を達成し、太陽電池用のセル用の珪素を製造するとされるが、減圧雰囲気での精錬については言及されていない。
特許文献6(特開平05−262512号公報)には、シリコン表面に熱プラズマを照射すると共に、プラズマガスに水蒸気及び塩化水素を添加する技術が提案されているが、雰囲気を減圧にする技術については全く触れられていない。
特許文献7(特開平06−227808号公報)では、金属珪素を非酸化性雰囲気下で溶融し、10Pa以下の減圧雰囲気に保つ技術が開示されているが、加熱の方法や硼素を除去することについては全く開示がない。
特許文献8(特開平04−228414号公報)には、プラズマジェット流の不活性ガスに水蒸気を0.1〜10%添加したガスを、溶融珪素溶湯面に吹き付けることで、特に、ボロン及び炭素を除去する方法が提案されており、処理雰囲気は、SiOとしての珪素のロスを過大にしない1×10-3〜1atmの範囲が望ましいことが開示されている。このプラズマは、一般的なアーク放電によるプラズマであるので、その作動雰囲気圧力には制約があり、上記1×10-3〜1atmの範囲の雰囲気より低い圧力ではプラズマが発生しないか、発生しても不安定となって操業上問題があった。また、特許文献8では、リンの精製については全く想定されていなかった。
特許文献9(特開2007−51047号公報)には、電子ビームを用いて、蒸気圧が珪素より高い不純物を溶融珪素から除去する工程と、蒸気圧が珪素より低いか同程度の不純物と反応し、蒸発可能な化合物を生成させる化合物生成物質をチャンバー内に導入して化合物を生成し、これを蒸発除去する工程を含む技術が開示されている。この技術では、加熱源に電子ビーム、特には冷陰極グロー放電型の電子ビームを使用するとされる。しかし、電子ビームは、高真空雰囲気ではビームのエネルギーがそのまま被加熱物体に印加されるが、低真空度とされる1〜100Paの真空度では、ビーム電子が被加熱物体に衝突する前に雰囲気ガス分子と衝突してしまうので、電子ビームのエネルギーの多くが無駄となり、被加熱物体を加熱するエネルギーはわずかとなるという欠点がある。
このように、これまでに金属シリコンから、硼素、リン等の不純物を効率良く除去できる珪素の精製方法は報告されていない。
特開平04−193706号公報 特開平05−330815号公報 特開2003−238138号公報 特表2004−535354号公報 特表2004−537491号公報 特開平05−262512号公報 特開平06−227808号公報 特開平04−228414号公報 特開2007−51047号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、金属珪素中に不純物として含まれる硼素、リン等の含有量を効率良く低減することのできる珪素の精製方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、不純物を含む珪素を減圧雰囲気下でプラズマ炎により加熱・溶融した後、これに酸化性ガスを吹き付けることで、溶融珪素中の不純物、特に硼素が酸化性ガスと反応して形成された酸化物を蒸発除去し、併せて珪素中のリンも蒸発除去できるため、硼素とリンを同時に、効率良く除去できることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記の珪素の精製方法を提供する。
〔1〕 不純物を含む珪素を減圧雰囲気下でプラズマ炎により溶融した後、この溶融珪素に酸化性ガスを吹き付けることで上記不純物を除去することを特徴とする珪素の精製方法。
〔2〕 減圧雰囲気が0.1〜200Paである〔1〕記載の精製方法。
〔3〕 プラズマ炎がホロカソード型プラズマ源から発せられる〔1〕又は〔2〕記載の精製方法。
〔4〕 酸化性ガスの供給をプラズマガスと混合して行う〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の精製方法。
〔5〕 酸化性ガスの濃度が1〜40vol%である〔4〕記載の精製方法。
〔6〕 酸化性ガスが、酸素、オゾン、水蒸気、二酸化炭素、酸化窒素、塩素、塩酸、四塩化炭素及び臭素から選ばれるガスである〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の精製方法。
本発明によれば、従来の珪素の精製方法に比べ、珪素中の不純物、特に硼素とリンを安価に効率良く除去することができる。
以下、本発明に係る珪素の精製方法の一実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明は、下記構成に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更して差し支えない。
図1は、本発明に使用されるホロカソードプラズマ装置の一例を示す概略図である。このホロカソードプラズマ装置は、チャンバー1内に、微細孔(筒状の空洞)を有する導電性耐熱材料製の陰極(ホロカソード)2と、対向する陽極とを備える。陽極としては、通常、溶融物の受器であるるつぼ3、或いは溶融物である珪素10が用いられる。チャンバー1内には、更に、酸化性ガス導入ノズル4,5が設置されており、微細孔(ホロカソード)2及び酸化性ガス導入ノズル4,5には、それぞれガス導入管6が接続されている。
このホロカソードプラズマ装置では、ガス導入管6から微細孔(ホロカソード)2中にアルゴン等のプラズマガスとなるガスを導入しつつ、陰極(ホロカソード)と陽極間に電圧を印加してプラズマを発生させる。プラズマ発生中、ホロカソード2は、プラズマの熱或いは通過電流で赤熱しており、このカソードから熱電子が放出されるが、この熱電子がカソードの細孔を通過するアルゴン等のガスをプラズマ化することでプラズマ炎20が形成される。また、チャンバー1には、真空排気装置7が接続されており、この真空排気装置7にて適度に減圧してから陰極と陽極を接触させてアークを発生させることでプラズマを点火させる。
プラズマガスは、ホロカソード中を通過した後、チャンバー中に放出されることになるが、ホロカソードは微細な孔(筒状の空洞)を有しており、プラズマはその孔を相当量のガス量で通過するので、細孔内の内圧はプラズマを維持できる圧力である。プラズマガスはチャンバー中に放出されるが、チャンバーの容量と、接続された真空排気装置の能力とのバランスによって、チャンバー内は減圧雰囲気となる。このために安定した熱プラズマが減圧雰囲気においても維持できる。
本発明では、まず精製する金属珪素をチャンバー1内のるつぼ3中に置く。るつぼ3は、溶融珪素10と接触させることや、陽極として電気導通することなどから、耐熱性の導電材料である炭素や、水冷された金属材料などが主に使用される。また、本発明で使用する珪素は、通常、金属珪素と言われている純度98〜99.5%程度の珪素で、主要不純物元素として、鉄、アルミニウム、カルシウム、チタンなどを10〜5,000ppm程度含有し、更に珪素中ではドーパントとなる硼素を2〜20ppm程度、リンを5〜50ppm程度含有する工業的に生産されているものを用いることができる。なお、不純物濃度は、ICP−AES法(高周波プラズマ発光分光分析法)等により測定することができる。
チャンバー1内は、これに接続された真空排気装置7で減圧する。10-6〜10-8Pa程度の十分な減圧状態となったら、陰極と陽極間に電圧を印加し、その状態で両極を接触或いは接近することによりアークが発生する。印加電圧は、5〜50V、特に15〜35Vが好ましい。電圧が低すぎるとプラズマが発生しなかったり、プラズマが不安定となったりする場合があり、高すぎると電極の消耗が早くなる場合がある。
本発明で用いられるホロカソード電極材には、耐熱性、耐食性、化学的安定性等が要求されるが、酸化性ガスの種類に応じてタングステン、モリブデン、タンタル、炭素などの耐熱材料や、イリジウム、ロジウムなどの耐熱性と耐食性、化学的安定性を具備した材料が用いられる。更にはこれらの材料を複合したものやラミネート構造なども選択肢として挙げられる。
また、プラズマガスとしては、主とし単原子ガスであるアルゴンやヘリウムが好ましく、コストの点からアルゴンが通常使用される。
熱プラズマは、ホロカソード陰極と、陽極であるるつぼ或いはその中にセットした珪素間で発生するが、プラズマの発生位置は、陰極に対するるつぼ或いは珪素との位置関係を調整することで移動でき、実際の設備では、るつぼ位置を可変とする構造よりも、陰極を動かせる構造とする方が実用的である。
るつぼ中の珪素は、この熱プラズマにより溶融する。溶融は、プラズマが直接照射されている部分と、その周囲を中心に開始される。溶融開始後は、珪素のサイズ、量と共に、るつぼの特性にも影響される。即ち、るつぼとして水冷銅を使用した場合は、加熱の熱量が水冷銅によって積極的に奪われるために、溶融範囲を広げる場合は、積極的に陰極を移動させてプラズマの照射位置を変化させる必要があるが、カーボンなどの耐熱性材料製のるつぼにて溶解する場合は、水冷銅よりも奪熱が進みにくいので溶解範囲が広くなる傾向にある。
プラズマの照射時間(溶融時間)は、珪素が完全に溶融するよう上記条件下で適宜調整される。
珪素が溶融したら、チャンバー内に酸化性ガスを導入する。酸化性ガスの導入方法は、チャンバー内のノズルから溶融珪素に噴射する方法(図1中の4)や、プラズマガスに噴射する方法(図1中の5)をとることができ、カソード電極に直接酸化性ガスを導入する(図1中の2)こともできる。カソード電極に直接酸化性ガスを導入する方法は、高温のプラズマ炎による加熱と酸化性ガスの供給が同一位置で可能であるとの利点を持つ。
酸化性ガスとしては、酸素、オゾン、水蒸気、二酸化炭素、酸化窒素などの酸素含有ガスで、高温雰囲気で酸素放出体となるものや、塩化水素、塩素、臭素、四塩化炭素などのハロゲン含有ガスで、高温ではハロゲン放出体となるものなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上のガスが使用できる。なかでも酸素ガスと水蒸気ガスは、安価なこと、毒性が無いこと、活性に富んでいることなどから本発明方法の実施には好ましいガスである。
酸化性ガスの量は、プラズマガスの量と真空排気装置の能力との相互関係に、硼素やリンの除去能力の設定状態で決定するものである。また、硼素やリンの除去が効率的に実施できることなどのために、チャンバー内のガス流の方向や線速を制御する方法として、酸化性ガスを窒素、アルゴン等の不活性ガスと混合供給してもよい。
カソード陰極に直接酸化性ガスを導入する際は、プラズマガスに混合する酸化性ガスの濃度が高いとプラズマが消滅してしまうことがあるので、その濃度は1〜40vol%、特に5〜15vol%であることが好ましい。
チャンバー内圧は、これに導入されるガスと、真空排気装置への排気ガスとのバランスで決定される減圧度となるが、本方法による熱プラズマが安定して効率良く発生する0.1〜200Pa、特に5〜150Paになるように調節するのがよい。チャンバー内圧が200Paより高いと、ホロカソードプラズマは立ち消えてしまう場合があり、0.1より低いとプラズマではなくアーク放電が支配的となるものの、硼素除去に関与する酸化性ガスの供給量を十分取れなくなり、硼素とリンの除去が達成できなくなるおそれがある。
珪素中の硼素は、酸化性ガスにより酸化される。この酸化物は、珪素溶融温度(1,410℃)での蒸気圧が高いことから硼素は酸化物として蒸発除去されると推測できる。一方、珪素中のリンは、酸化性ガスで蒸発が促進されるような化合物を形成することはないが、リン単体としての蒸気圧は珪素に比較して十分高く、リンの蒸気圧が大気圧になる温度は黒リンで453℃といわれているほどである。従って、珪素が溶融することだけで、溶融珪素中のリンの濃度は徐々に低減するが、本発明においては、溶融雰囲気の圧力が0.1〜200Paと減圧雰囲気であるので、リンの除去速度は大気圧よりも速くなる。
本発明で用いるホロカソードプラズマは、それ自体の温度が数千〜数万℃程度の高温であり、そのプラズマ炎と直接接触する部分の溶融珪素も部分的に高温状態(1,800〜2,200℃程度)となる。これが通常の抵抗加熱や誘導加熱によって溶融している珪素(通常、1,500〜1,700℃程度)と最も異なる点であり、本発明においては、硼素もリンも蒸発除去できるので、この高温部分が存在することで、硼素とリンの除去が高効率で有効に作用する。
本発明によれば、減圧酸化雰囲気で溶融した珪素中の硼素とリンは、溶融時間の経過と共に徐々に除去され、所望の濃度に低下してから溶解処理を終了する。溶融は、溶融初期から終了までをバッチ処理として同じるつぼ内で一度に処理してもよいし、るつぼを2つ以上用意して多段のるつぼとして、精製の進行に従って溶融珪素を順次移動して精製効率を上げるなど、種々の精製方法をとることができる。
本発明においては、硼素とリンの除去は、それぞれ異なる技術要素によって除去するが、この除去のタイミングは、硼素の除去とリンの除去が同時に起こるものであるものの、珪素中の硼素及びリンの濃度や除去条件に関係する真空度、酸化性ガス濃度、溶融温度などに依存してその除去速度は必ずしも硼素除去とリン除去は等速ではない。従って、除去対象物質が主に硼素であるか、リンであるか、その両方であるかによって適宜除去条件を変更するのがよい。
本発明によれば、金属珪素中の不純物、特に硼素とリンを低減した精製珪素を得ることができるが、本発明の精製方法を実施する前又は実施後得られる金属珪素に、一方向凝固等の公知の精製方法を行うことで、硼素、リン以外の金属不純物等を除去し、太陽電池、スパッタリングターゲット材、二次電池活物質、熱電材料用珪素、セラミック原料、ガラス原料など高純度が要求される珪素材料用として好適な金属珪素を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例において、不純物濃度の測定は、ICP−AES法((株)Perkin Elmer製)により行った。
[実施例1]
ホロカソードプラズマ発生装置のチャンバー内にある水冷された銅製の容器中に、硼素を10ppm、リンを20ppm含有する金属珪素20gを入れ、チャンバーを真空脱排気装置にて0.1Pa以下まで脱気した。チャンバー内のホロカソード電極と銅製容器間に直流40Vの電位差をつけ、両者を接近させるとアークが発生したので直ぐにホロカソードにアルゴンを100cc/min通気しながら両電極の距離を遠ざけながら電極を珪素上方に移動することで電極と珪素間にプラズマが発生し、そのプラズマ炎によって珪素が溶解し始めた。この状態で電極を移動させることで珪素を全面溶解させた。このときのチャンバー内圧は10Paだった。
ホロカソードに導入しているアルゴンに水蒸気15cc/minを添加しながらプラズマの照射を30分継続した。チャンバー内圧は変動したものの最終的には8Paであった。プラズマ照射終了後、この珪素を分析したところ、硼素濃度は0.8ppmで、リン濃度は1.2ppmに低下していた。
[実施例2]
実施例1の装置で、酸化性ガス導入ノズルを別個に設け、そのノズルの向きはプラズマ炎と溶融シリコンが接触する部位に向かっている様にした。実施例1と同様に珪素を溶融したが、プラズマガスは50cc/minとした。
酸化性ガス導入ノズルよりアルゴン50cc/minと水蒸気50cc/minの混合ガスを導入し、ノズルの方向を調節してプラズマ炎と溶融珪素との接触位置にこの酸化性ガスが当たる様にした状態で30分溶融を継続した。チャンバー内圧は最終的に12Paであつた。
プラズマ照射後、この珪素を分析したところ、硼素濃度は1.2ppmで、リン濃度は1.8ppmであり、酸化性ガスをホロカソードに導入する方法の方が硼素とリンの除去には効果的であるこがわかった。
[実施例3]
実施例1の装置・方法でプラズマを発生させ、珪素を溶融した。ホロカソードにはアルゴン10cc/minと水蒸気2cc/minを導入し、酸化雰囲気のプラズマ炎として30分間の溶解を行った。チャンバーの圧力は0.8Paであった。
プラズマ照射終了後、この珪素を分析したところ、硼素濃度は5ppmで、リン濃度は0.8ppmに低下しており、除去条件の選択で除去する元素を選択できることがわかった。
[比較例1]
実施例1の装置・方法でプラズマを発生させ、珪素を溶解した。珪素が全量溶解したところでホロカソードにプラズマガスであるアルゴン100cc/minだけを導入した。チャンバーの圧力は9Paであった。
この溶解を30分間継続したのちに通電を終了した。溶解した珪素を分析したところ、硼素濃度は11ppm、リン濃度は1.0ppmとなり、リンの除去は達成されたが硼素の除去は確認できなかった。
本発明で用いるホロカソードプラズマ装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 チャンバー
2 ホロカソード
3 るつぼ
4 酸化性ガス導入ノズル
5 酸化性ガス導入ノズル
6 ガス導入管
7 真空排気装置
10 溶融珪素
20 プラズマ炎

Claims (6)

  1. 不純物を含む珪素を減圧雰囲気下でプラズマ炎により溶融した後、この溶融珪素に酸化性ガスを吹き付けることで上記不純物を除去することを特徴とする珪素の精製方法。
  2. 減圧雰囲気が0.1〜200Paである請求項1又は2記載の精製方法。
  3. プラズマ炎がホロカソード型プラズマ源から発せられる請求項1又は2記載の精製方法。
  4. 酸化性ガスの供給をプラズマガスと混合して行う請求項1乃至3のいずれか1項記載の精製方法。
  5. 酸化性ガスの濃度が1〜40vol%である請求項4記載の精製方法。
  6. 酸化性ガスが、酸素、オゾン、水蒸気、二酸化炭素、酸化窒素、塩素、塩酸、四塩化炭素及び臭素から選ばれるガスである請求項1乃至5のいずれか1項記載の精製方法。
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