JP2011250845A - 波面補償付眼底撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 波面収差が補正された状態の眼底画像をスムーズに撮影する。
【解決手段】 被検眼眼底からの反射光を受光して眼底像を撮像する眼底撮像光学系と、眼底撮像光学系の光路中に配置され、入射光の波面を制御して被検眼の波面収差を補償する波面補償デバイスと、被検眼眼底に向けて測定光を投光しその反射光を波面センサにより指標パターン像として受光する波面収差検出光学系と、波面センサ上に設定された波面補償デバイスの補償可能領域と波面センサによる指標パターン像の受光領域とのずれ情報に基づいて、ずれ情報が許容範囲内に収まるように検出光学系と被検眼との位置関係を相対的に調整する位置調整手段と、を備える。
【選択図】 図7

Description

本発明は、被検眼の波面収差を補正した状態で被検眼の眼底像を撮影する波面補償付眼底撮影装置に関する。
波面センサを用いて眼の波面収差を検出し、その検出結果に基づいて波面補償デバイスを制御し、波面補償後の眼底画像を細胞レベルで撮影する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特表2001−507258号公報
ところで、検者は、波面補償デバイスによる補償結果が良好な結果を示すまで、被検眼と装置との位置合わせを細かく調整する必要があった。そして、この調整は、検者及び被検者にとって負担であった。
本発明は、上記問題点を鑑み、波面収差が補正された状態の眼底画像をスムーズに撮影できる波面補償付眼底撮影装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 被検眼眼底からの反射光を受光して眼底像を撮像する眼底撮像光学系と、前記眼底撮像光学系の光路中に配置され、入射光の波面を制御して被検眼の波面収差を補償する波面補償デバイスと、被検眼眼底に向けて測定光を投光しその反射光を波面センサにより指標パターン像として受光する波面収差検出光学系と、前記波面センサ上に設定された前記波面補償デバイスの補償可能領域と前記波面センサによる指標パターン像の受光領域とのずれ情報に基づいて、前記ずれ情報が許容範囲内に収まるように前記検出光学系と被検眼との位置関係を相対的に調整する位置調整手段と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の眼底撮影装置において、前記波面センサ上に設定された前記波面補償デバイスの補償可能領域と前記波面センサによる指標パターン像の受光領域とのずれ情報を検出する検出手段を備え、前記位置調整手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて前記検出光学系と被検眼との位置関係を相対的に調整することを特徴とする。
(3) (2)の眼底撮影装置において、前記位置調整手段は、被検者の顔を支持する顔支持ユニットを前記検出光学系に対して移動させるための駆動部を有し、前記検出手段の検出結果に基づいて駆動部を制御し、前記位置関係を調整することを特徴とする。
(4) (3)の眼底撮影装置において、前記検出手段は、前記指標パターン像の外周の位置情報と前記補償可能領域の外周の位置情報とを比較して前記ずれ情報を検出することを特徴とする。
(5) (4)の眼底撮影装置において、前記波面補償デバイスは、入射光に対する波面補償領域が予め設定されていることを特徴とする。
(6) (1)の眼底撮影装置において、表示手段を備え、前記位置調整手段は、前記表示手段を制御し、前記波面センサによる前記指標パターン像の受光結果と、前記波面センサ上の前記波面補償領域を示すグラフィックと、を表示手段上のある表示領域に表示し、前記ずれ情報として出力することを特徴とする。
(7) (6)の眼底撮影装置において、前記位置調整手段は、前記グラフィックとして前記波面補償領域の外周を示すグラフィックを出力することを特徴とする。
本発明は、上記問題点を鑑み、波面収差が補正された状態の眼底画像をスムーズに撮影できる。
本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の眼底撮影装置の外観図を示しており、本装置は、基台21の上に顔支持ユニット20と撮影部400が備えられている。なお、本実施形態においては、被検眼の奥行き方向をZ方向(光軸L1方向)、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明する。被検者の顔を顔支持ユニット20には、顎台22がXYZ軸方向の各方向に移動可能に支持された顎台22と、額当て、が設けられている。
また、本装置には、顎台22を被検眼に対してXYZの三次元方向にそれぞれ移動させる電動移動機構(Y軸移動機構34/X軸移動機構36/Z軸移動機構39)が設けられている。
図2(a)は顔支持ユニット20を検者側から見たときの外観図であり、図2(b)は、顎台22のY軸移動機構34を示す概略断面図を示している。
支基26には送りネジ21が立設されており、これに螺合する雌ネジを持つ支柱23が支基26にガイドされてY方向に移動可能に取り付けられている。支柱23の上に顎台22が固定されている。送りネジ21の下方にはギヤ29が設けられており、このギヤ29にY駆動部35(例えば、モーター)側のギヤと噛み合っている。また、支柱26には溝25があり、この溝25と回転止め用のビス24により支柱26が回転するのを防止している。Y駆動部35の回転により送りネジ21が回転し、これによって支柱26と共に顎台22がY軸方向に移動する。支柱23の下方には遮光板27が取り付けられており、支基20側には遮光板27を検知するフォトセンサ28a、28b、28cが設けられている。フォトセンサ28aは、遮光板27を検知することにより、顎台22が下限に下がったことを検知する。また、フォトセンサ28bは、遮光板27を検知することにより、顎台22が初期位置に復帰したことを検知する。また、フォトセンサ28cは、遮光板27を検知することにより、顎台22が上限に上がったことを検知する。
また、X軸移動機構36は、X軸方向に延びる送りネジ37、送りネジ37に連結されたX駆動部(例えば、モーター)38、を備え、筐体内に取り付けられている。そして、送りネジ37は、支基26の下端に形成された雌ネジと嵌め合わされており、X駆動部38の駆動により送りネジ37が回転されると、支柱26がX軸方向に移動される。これにより、顎台22は、X軸方向に移動される。なお、Z軸移動機構39は、X軸移動機構36の下部に配置され、X軸移動機構36と同様な機構により、支基26とX軸移動機構36とを一体的にZ方向に移動させる。
図3は、本実施形態の眼底撮影装置の光学系を示した模式図である。本実施形態の眼底撮影装置は、大別して、被検眼の眼底からの反射光に基づいて被検眼の眼底を撮像する眼底撮像光学系100と、被検眼の波面収差を検出するための波面センサ73を有し、被検眼眼底に測定光を投光し、その反射光を波面センサ73にて指標パターン像として受光する波面収差検出光学系(以下、収差検出光学系と記載する。)110と、被検眼の収差を補正するために眼底撮像光学系100に配置された収差補正ユニット10,72と、眼底撮像光学系100で得られる眼底画像(以下、第1眼底画像と記す)の撮影位置を指定するための眼底の観察画像(以下、第2眼底画像と記す)を得るための第2撮影ユニット200、撮影される被検眼Eの固視微動等による位置ずれの経時変化を検出し、移動位置情報を得るトラッキング用ユニット(位置検出部)300、を備える。ここで、眼底撮像光学系100は、被検眼Eの眼底を高解像度(高分解能)・高倍率で撮影する。また、収差補正ユニットは、被検眼の低次収差(視度:例えば、球面度数)を補正するための視度補正部10と、被検眼の高次収差を補正するための高次収差補正部(波面補償デバイス)72と、に大別される。
眼底撮像光学系100は、被検眼Eに照明光(照明光束)を照射し眼底を2次元的に照明する第1照明光学系100aと、眼底に照射された照明光の反射光(反射光束)を受光して第1眼底画像を得るための第1撮影光学系100bと、収差補正部72と、を備える。眼底撮像光学系100は、例えば、共焦点光学系を用いた走査型レーザ検眼鏡の構成とされる。
第1照明光学系100aは、眼底を照明するための照明光を出射する光源1(第1光源),照明光(スポット光)を眼底上で2次元的に走査する走査部15を有する。光源1は、被検眼に視認されにくい近赤外域の照明光を出射する。本実施形態では光源1は、波長840nmのSLD(Super Luminescent Diode)光源が用いられる。なお、光源としては、収束性の高い特性を持つスポット光を出射するものであればよく、例えば、半導体レーザ等であってもよい。
はじめに、第1照明光学系100aを説明する。光源1から眼底に到るまでの光路には、レンズ2、ビームスプリッタ3、偏光板4、レンズ5、ビームスプリッタ71、レンズ6、波面補償デバイス72、レンズ7、ビームスプリッタ75が配置される。そしてさらに、レンズ8、走査部15、レンズ9、2次元状に走査される照明光の走査位置を補正するための偏向部400、2枚のプリズムからなる視度補正部10、レンズ11、第2撮影ユニット200等の光路を第1照明光学系と略同軸にするビームスプリッタ90が配置される。なお、ビームスプリッタ3は、本実施形態では、ハーフミラーとされている。
光源1から出射された照明光は、レンズ2により平行光とされた後、ビームスプリッタ3を介し、本実施形態では偏光板4によりS偏光成分のみの光束とされる。偏光板4を経た照明光は、レンズ5により一旦集光し、ビームスプリッタ71を介してレンズ6により平行光束とされ、波面補償デバイス72に入射する。波面補償デバイス72にて反射した照明光は、レンズ7、レンズ8によりリレーされ、走査部15に向かう。
走査部15は、照明光を眼底上で2次元的に走査する構成とされ、ここでは、図示するように、眼底でXY方向に照明光を走査する。本実施形態では、照明光を眼底にて水平方向(X方向)に偏向させ走査するための偏向部材となるレゾナントミラーと、水平方向の走査方向に対して垂直方向(Y方向)に偏向させ走査するための偏向部材となるガルバノミラーと、各ミラーを駆動する駆動部を備える。走査部15を経た照明光は、レンズ9にて再び集光される。偏向部400は、走査部15を経た照明光を水平方向及び垂直方向に対して所定量だけさらに偏向させる役目を持ち、本実施形態では2枚のガルバノミラーにより構成されている。偏向部400を経た照明光は、視度補正部10、レンズ11、ビームスプリッタ90を経て被検眼Eの眼底に集光し、走査部15によって眼底上を2次元的に走査することとなる。なお、視度補正部10は、駆動部10aを有し、一方のプリズムが図示する矢印方向に移動することにより、光路長を変えることができ、視度補正の役目を果たしている。なお、視度補正部10は、駆動部と、駆動部の駆動によって光軸方向に移動可能なレンズからなる構成であってもよい。また、ビームスプリッタ90は、本実施形態ではダイクロイックミラーであり、後述する第2撮影ユニット200、及びトラッキング用ユニット300からの光束を反射させ、光源1及び後述する光源76からの光束を透過させる特性を持つ。なお、光源1及び光源76の出射端と被検眼Eとは共役とされている。このようにして、照明光を眼底に2次元的に照射する第1照明光学系が形成される。
次に、第1撮影光学系100bを説明する。第1撮影光学系100は、第1照明光学系100aにて説明したビームスプリッタ90からビームスプリッタ3までの光路を共通とし、さらにレンズ51、眼底と共役な位置に置かれるピンホール板52、集光レンズ53、受光素子54を含む。なお、本実施形態では、受光素子54はAPD(アバランシェフォトダイオード)が用いられている。
光源1から出射された照明光における眼底からの反射光は、前述した第1照明光学系100aを逆に辿り、偏光板4にてS偏光の光だけ透過された後、ビームスプリッタ3により一部の光束が反射される。この反射光は、レンズ51を介してピンホール板52のピンホールに焦点を結ぶ。ピンホールにて焦点を結んだ反射光は、レンズ53を経て受光素子54に受光される。なお、照明光の一部は角膜上で反射されるが、ピンホール板52により大部分が除去され、角膜反射の画像への悪影響が低減される。このため、受光素子54は、角膜反射の影響を抑えて、眼底からの反射光を受光できる。なお、ビームスプリッタ3は、ホールミラーとされてもよい。この場合、ホールミラーのホールは、角膜反射光を第1撮影光学系100に入射することを抑制する。
このようにして、第1撮影光学系100bが形成される。第1撮影光学系100bで受光された処理された画像が第1眼底画像となる。なお、第1撮影ユニット100で取得する眼底画像(眼底像)の画角が所定の角度となるように走査部15におけるミラーの振れ角(揺動角度)を定める。ここでは、眼底の所定の範囲を高倍率で観察、撮影する(ここでは、細胞レベルでの観察等をする)ために、画角を1度〜5度程度とする。本実施形態では、1.5度とする。被検眼の視度等にもよるが、第1眼底画像の撮影範囲は、500μm角程度とされる。
次に、第2撮影ユニット200を説明する。第2撮影ユニットは、第1撮影ユニットの画角よりも広画角の眼底画像(第2眼底画像)を取得するためのユニットであり、取得される第2眼底画像は、前述した狭画角の第1眼底画像を得るための位置指定、及び位置確認用の画像として用いられる。このような第2眼底画像を取得するための第2撮影ユニット200は、被検眼Eの眼底画像を観察用として広画角(例えば20度〜60度程度)でリアルタイムに取得できればよい。したがって第2撮影ユニット200は、既存の眼底カメラの観察・撮影光学系や走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)の光学系、及び制御系を用いることができる。
次に、収差検出光学系110について説明する。前述のように、収差検出光学系110は、一部の光学素子を第1照明光学系100aの光路上に持ち、第1照明光学系100aと光路を一部共用している。収差検出光学系110は、波面センサ73、偏光板74、光源76、レンズ77、偏光板78、レンズ79、を含み、第1照明光学系の光路上に置かれるビームスプリッタ71からビームスプリッタ90までの光学部材を共用することにより構成されている。なお、波面センサ73は、例えば、多数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、マイクロレンズアレイを透過した光束を受光させるための二次元撮像素子73a(2次元受光素子)からなる。また、収差検出用光源(第3光源)である光源76は、光源1と異なる赤外域の光を発する光源とされる。本実施形態では光源76は波長780nmのレーザ光を出射するレーザダイオードを用いている。光源76から出射したレーザ光は、レンズ77により平行光束とされ、偏光板78により光源1からの照明光と直交する偏光方向(P偏光)とされ、ビームスプリッタ75により第1照明光学系の光路に導かれる。なお、レンズ7、8の間に眼底共役位置があり、光源76の出射端はこの眼底共役位置と共役な関係とされる。なお、ビームスプリッタ75は、本実施形態ではハーフミラーとされている。偏光板78は、眼底へと照射される第3光源の光を所定の偏光方向とする役割を持ち、波面補償部が備える第1偏光手段の役割を持つ。
ビームスプリッタ75により反射したレーザ光は、第1照明光学系100aの光路を経て被検眼Eの眼底に集光される。眼底で反射されたレーザ光は、第1照明光学系100aの各光学部材を経て波面補償デバイス72にて反射し、ビームスプリッタ71により第1照明光学系100aの光路から外れ、レンズ79、S偏光成分のみを通す偏光板74を経て波面センサ73へと導かれる。偏光板74は、波面補償部に備えられた第2偏光手段であり、眼底へと照射される第3光源の光が持つ偏光方向(P偏光光)を遮断し、この偏光方向に直交する偏光方向(S偏光光)を透過し、波面センサ73へと導光する役割を持つ。なお、ビームスプリッタ71は、光源1の波長の光(840nm)を透過し、収差検出用の光源76の波長の光(780nm)を反射する特性とされる。従って、波面センサ73では、照射したレーザ光の眼底での散乱光のうちS偏光成分を持つ光が検出される。このようにして、角膜や光学素子で反射される光が波面センサ73に検出されることを抑制している。また、走査部15、波面補償デバイス72の反射面、及び波面センサ73のマイクロレンズアレイは、被検眼の瞳と略共役とされる。また、波面センサ73の受光面は被検眼Eの眼底と略共役とされる。波面センサ73には、低次収差及び高次収差を含む波面収差が検出できる素子、例えば、ハルトマンシャック検出器や光強度の変化を検出する波面曲率センサ等を用いる。
また、波面補償デバイス72は、例えば、液晶空間光変調器とし、反射型のLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を用いるものとしている。そして、波面補償デバイス72は、眼底撮像光学系100の光路中に配置され、入射光の波面を制御して被検眼の波面収差を補償する。なお、波面補償デバイス72は、光源1からの照明光(S偏光光)、照明光の眼底での反射光(S偏光光)、波面収差検出用光の反射光(S偏光成分)等の所定の直線偏光(S偏光)に対して収差を補償することが可能な向きに配置される。これにより、波面補償デバイス72は、入射する光のS偏光成分を変調できる。また、波面補償デバイス72は、その液晶層内の液晶分子の配列方向が入射する反射光の偏光面と略平行であり、さらに、液晶分子が液晶層への印加電圧の変化に応じて回転する所定の面が、波面補償デバイス72に対する眼底からの反射光の入射光軸及び反射光軸と、波面補償デバイス72が持つミラー層の法線と、を含む平面に対して略平行になるように、配置されている。
なお、本実施例においては、波面補償デバイス72は、液晶変調素子とし、反射型のLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を用いるものとしているが、これに限るものではない。反射型の波面補償デバイスであればよい。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の一形態であるデフォーマブルミラーを用いてもよい。また、反射型の波面補償デバイスではなく、眼底からの反射光を透過させて波面収差を補償するような透過型の波面補償デバイスを用いることもできる。
なお、以上の説明では、収差検出用光源として、第1光源とは異なる波長の照明光を出射する光源を用いたが、第1光源を収差検出用光源として用いてもよい。
なお、以上説明した本実施形態では、波面センサ及び波面補償デバイスを被検眼の瞳共役としたが、被検眼の前眼部の所定部位と略共役な位置であればよく、例えば、角膜共役であってもよい。
次に、眼底撮影装置の制御系を説明する。図4は、本実施形態の眼底撮影装置の制御系を示したブロック図である。装置全体の制御を行う制御部80には、光源1、走査部15、受光素子51、波面補償デバイス72、波面センサ73、光源76、第2撮影ユニット200、受光素子251、トラッキング用ユニット300、偏向部400、偏向部410、視度補正部10、Y駆動部35、X駆動部38、Z軸移動機構39の駆動部、が接続される。また、記憶部81、コントロール部82、画像処理部83、モニタ85、が接続される。画像処理部83は受光素子51、第2撮影ユニット200にて受光した信号に基づきモニタ85に画角の異なる被検眼眼底の画像、つまり、第1眼底画像及び第2眼底画像を形成する。記憶部81には種々の設定情報や撮影画像が保存される。なお、モニタ85には、例えば、外部のパ−ソナルコンピューターのモニタや装置に備えられているモニタが考えられる。モニタ85には、所定のフレームレートにて更新される眼底画像(第1眼底画像、及び第2眼底画像)が表示される。フレームレートとしては、例えば、10〜100Hzとされる。このようにして、動画として眼底画像が表示される。本実施形態では、制御部80は、モニタ85の表示制御部80、偏向部400、410の駆動制御部80、光源1、76等の出射制御部80の機能を兼ねる。
なお、波面補償デバイス72を制御する場合、波面センサ73で検出された波面収差に基づいて、波面補償デバイス72が制御され、光源76の反射光のS偏光成分と共に、光源1から出射される照明光とその反射光の高次収差が取り除かれる。このようにして、光源1から出射された照明光とその反射光が持つ収差が取り除かれる。言い換えると、被検眼Eの高次収差が取り除かれた(波面補償された)高解像度の第1眼底画像が得られることとなる。この場合、視度補正部10によって低次収差が補正される。
また、検者が顎台22を電動駆動でXYZの三次元方向へ移動させる時に使用するX方向顎台操作スイッチ47a、Y方向顎台操作スイッチ47b、Z方向顎台操作スイッチ47cがそれぞれ設けられている。
以上のような構成の眼底撮影装置において、その動作を図5に示すフローチャートを用いて説明する。
検者により、初めに、モニタ85の画面上に表示された図示無き前眼部画像を観察しながら、各顎台操作スイッチ47a〜47cを操作し、顎台22の位置調整を行い、粗くアライメントを行う。また、検者は、被検者が図示無き固視標を固視するように指示する。
顎台22による粗いアライメントが完了し、検者により図示無き測定スイッチが選択されると、制御部80により、視度補正部10を用いて視度補正が行われ、次いで、収差補正に必要な波面検出を行う。
図6は、波面センサ上の指標パターン像と補償可能領域の具体例について説明する図である。図7はモニタ85の画面上に表示された収差補正画面40を示した図である。収差補正画面40には、波面センサ73の二次元撮像素子73aに受光された指標パターン像(本実施例においては、ハルトマン像とし、以下、ハルトマン像と記載する)と、収差補正の補正度合をグラフィック表示した収差補正グラフィック41と、実際に撮影されている眼底の細胞像画像42と、が表示されている。
ハルトマン像(ドットパターン像)31は、波面センサ73上に受光された複数の点像31aの集まりを示す。レンズアレイを通過した眼底反射光は、波面センサ73の二次元撮像素子73aに受光され、ハルトマン像として撮像される。そして、ハルトマン像31は、モニタ85上に表示される。なお、波面センサ73によって点像31aが検出された領域では、収差検出が可能である。
円32は、二次元撮像素子73a上において、波面補償デバイス72によって収差補正可能な領域を仮想的に示したものである。そして、円32に対応するグラフィックが、モニタ85上のハルトマン像に重合されて表示される。円32の中心に位置するマークは、波面センサ73上における補償可能領域の中心位置を示すグラフィックである。
そして、円32の外周、領域、波面センサ73上におけるその位置情報が予め記憶部81に設定されている。これらは、キャリブレーション又はシミュレーションなどにより予め求めておけばよい。なお、波面補償デバイス72において、補償可能領域は、入射光全体の内、ある一部の領域(例えば、瞳孔上における直径4mm領域)の光束に制限される。このため、他の入射光については、受光素子54に向けて反射されるが、波面は補償されない。
ここで、収差補正は、波面センサ73による収差検出結果に基づいて行われる。すなわち、円32の領域内においてハルトマン像31が形成された領域では、波面の状態が検出可能である(図6(b)参照)。一方、円32の領域内において、ハルトマン像31が形成されていない領域Sにおいては、波面の状態が検出されない。ここで、波面データの一部が欠損している場合、波面全体の情報が得られないため、波面補正領域における波面収差が適正に測定されない(図6(a)参照)。よって、図7(a)に示すように、収差補正が実行されても、収差補正グラフィック41に示されるように適正に収差が除去されない。また、細胞像画像42に示されるように撮影が困難となる。
以下に、円32の領域内をハルトマン像31で満たすための処置方法について説明する。制御部80は、波面センサ73上に設定された波面補償デバイス72の補償可能領域(例えば、円32)と波面センサ73による指標パターン像(例えば、ハルトマン像31)の受光領域とのずれ情報を検出する。そして、制御部80は、検出結果に基づいてY軸移動機構34/X軸移動機構36を制御し、そのずれ情報が許容範囲内に収まるように顎台22を移動させる。
具体的に説明すると、初めに、制御部80は、波面センサ73で受光されたハルトマン像31の内で最も外側で受光された点像位置を順に検出していきハルトマン像外周31bの位置情報を検出する。これにより、ハルトマン像31の検出領域が求められる。
次いで、制御部80は、ハルトマン像外周31bの位置情報と円32(収差補正可能領域)の位置情報を比較して、その比較結果に基づいて波面測定領域が収差補正可能領域を許容範囲以上満たしているかを判定する。これにより、眼Eの収差を補正できるか否かが判定される。
より具体的には、制御部80は、ハルトマン像外周31bに囲まれた領域(点線参照)と円32に囲まれた領域を比較する。ここで、制御部80は、円32の成す領域がハルトマン像外周31bの成す領域内に収まっている場合には、十分である(OK)と判定する(図6(b)参照)。また、制御部80は、円32の成す領域が外周31bの成す領域内に収まっていない場合には、不十分である(NG)と判定する(図6(a)参照)。
制御部80は、NGと判定すると、ハルトマン像31の外周31bの成す領域内に円32の成す領域が入るように、X駆動部35、Y駆動部38を駆動させ、顎台22をXY方向に移動させる。これにより、図6(b)に示されるように、ハルトマン像外周31a内に円32が収まり、収差補正可能な状態となる。また、図7(b)に示すように、収差補正グラフィック41に示されるように収差が除去された状態となり、細胞像画像42においても、収差が除去された画像が表示される。
上記のように顎台22の位置が調整された後、制御部80は、波面センサ73の検出結果に基づいて眼Eの波面収差を検出し、その検出結果に基づいて波面補償デバイス72を制御する。以上のようにして波面収差が補償され、所定のトリガ信号が出力されると、眼底の細胞像が動画像又は静止画像として撮影される。
なお、撮影中において、眼Eの固視方向が大きく変化され、被検眼の位置がずれることで、ハルトマン像31の外周31a内から円32が外れる場合がある。そこで、制御部80は、再びハルトマン像31内に円32が収まるように顎台22を移動させる。すなわち、制御部80は、顎台22を用いたトラッキングを行う。
以上のような構成によれば、被検眼の固視方向の変化によって波面補償領域における眼Eの収差情報が取得できなくなっても、顎台22の移動によって測定位置のずれが補正されるので、眼底の微小領域がスムーズに撮影される。
なお、上記判定において、制御部80は、ハルトマン像外周31bの全ての点像位置座標が円32の位置座標より外側又は同位置であり、且つ、ハルトマン像31外周の成す領域が円32外周の成す領域内に入っている場合には、OKと判定するようにしてもよい。また、制御部80は、ハルトマン像31外周の点像の位置座標が円32外周の位置座標より内側である場合には、NGと判定するようにしてもよい。
また、制御部80は、ハルトマン像31の中心座標を算出し、円32の中心座標と一致されるように顎台22を移動させても構わない。
また、補償可能領域と波面センサによる指標パターン像の受光領域とのずれを検出する構成として、前眼部撮像光学系が用いられるようにしてもよい。例えば、前眼部撮像カメラ上に補償可能領域が設定され、前眼部像から画像処理により瞳孔部分が抽出され、補償可能領域の位置情報と瞳孔外周の位置情報とが比較されることにより各領域間のずれが検出されてもよい。
なお、本実施例においては、顔支持ユニットを撮影部400に対して移動させる構成により、撮影部3の大型化・重量化によって撮影部3の移動が困難な場合であっても、眼Eに対する位置あわせができる。この場合、例えば、額あてや頬あてを移動させる駆動機構を設けてもよい。
なお、上記判定において、指標パターン像が補償可能領域を100%満たしていなくてもよく、一定の精度にて波面収差が測定されればよい(例えば、95%の領域)。そして、判定結果にてずれが検出された場合、制御部80は、X駆動部35、Y駆動部38を駆動させ、補償可能領域内におけるある許容範囲(例えば、一定の割合以上)を超えて指標パターン像が受光されるように顎台22を移動させる。
なお、以上の説明において、検出光学系110と被検眼との位置関係が相対的に調整される構成であればよい。例えば、ずれ情報が許容範囲内に収まるように撮影部400を眼Eに対して移動する構成であってもよい。また、検出光学系110の光路中に、測定光束の進行方向を変更する光偏向部を設け、光偏向部の駆動により位置関係が調整されてもよい。
また、以上の説明において、ずれ情報に基づいて位置関係が相対的に調整されればよい。例えば、制御部80は、モニタ40を制御し、波面センサ73による指標パターン像の受光結果(例えば、ハルトマン像31)と、波面センサ73上の波面補償領域を示すグラフィック(例えば、円32、又は円32の中心マーク)と、をモニタ40のある表示領域に表示し、ずれ情報として出力する(例えば、図7参照)。
このようにすれば、検者は、波面補償デバイス72による補償可能領域が波面センサ73上のどの位置に対応するか把握できる。そして、検者は、モニタ40に表示されたずれ情報を確認しながら、顎台操作スイッチ47を操作する。なお、円32のような外周を示すグラフィックにより、検者は、位置合わせをさらに容易に行える。
なお、以上の説明においては、眼底撮像光学系100として、被検眼眼底と略共役な位置に配置された共焦点開口を介して被検眼眼底で反射した光束を受光して被検眼眼底の共焦点正面画像を撮影する共焦点光学系(SLO光学系)を用いるものとしたが、これに限るものではない(例えば、特表2001−507258号公報参照)。
例えば、被検眼眼底で反射した光束を二次元撮像素子により受光して被検眼の眼底正面画像を撮影する眼底カメラ光学系であってもよい。また、被検眼眼底で反射した光束と参照光による干渉光を受光して被検眼の断層画像を撮影する光干渉光学系(OCT光学系)であってもよい。
本実施形態の眼底撮影装置の外観図である。 本実施形態の顔支持ユニットの移動機構を示す図である。 本実施形態の眼底撮影装置の光学系を示した模式図である。 本実施形態の眼底撮影装置の制御系を示したブロック図である。 本装置における動作を示すフローチャートである。 モニタの画面上に表示された収差補正画面を示す図である。 ハルトマン像外周内に収差補正可能領域が収まっており、収差補正可能な状態を示す図である。
10 視度補正部
15 走査部
20 顔支持ユニット
22 顎台
34 Y軸方向移動機構
36 X軸方向移動機構
39 Z軸方向移動機構
40 収差補正画面
47 顎台操作スイッチ
72 波面補償デバイス
73 波面センサ
76 光源
80 制御部
85 モニタ
100 眼底撮像光学系
200 第2撮影ユニット
300 トラッキング用ユニット
400、410 偏向部
500 前眼部撮像光学系

Claims (7)

  1. 被検眼眼底からの反射光を受光して眼底像を撮像する眼底撮像光学系と、
    前記眼底撮像光学系の光路中に配置され、入射光の波面を制御して被検眼の波面収差を補償する波面補償デバイスと、
    被検眼眼底に向けて測定光を投光しその反射光を波面センサにより指標パターン像として受光する波面収差検出光学系と、
    前記波面センサ上に設定された前記波面補償デバイスの補償可能領域と前記波面センサによる指標パターン像の受光領域とのずれ情報に基づいて、前記ずれ情報が許容範囲内に収まるように前記検出光学系と被検眼との位置関係を相対的に調整する位置調整手段と、
    を備えることを特徴とする波面補償付眼底撮影装置。
  2. 請求項1の眼底撮影装置において、
    前記波面センサ上に設定された前記波面補償デバイスの補償可能領域と前記波面センサによる指標パターン像の受光領域とのずれ情報を検出する検出手段を備え、
    前記位置調整手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて前記検出光学系と被検眼との位置関係を相対的に調整することを特徴とする波面補償付眼底撮影装置。
  3. 請求項2の眼底撮影装置において、
    前記位置調整手段は、被検者の顔を支持する顔支持ユニットを前記検出光学系に対して移動させるための駆動部を有し、
    前記検出手段の検出結果に基づいて駆動部を制御し、前記位置関係を調整することを特徴とする波面補償付眼底撮影装置。
  4. 請求項3の眼底撮影装置において、
    前記検出手段は、前記指標パターン像の外周の位置情報と前記補償可能領域の外周の位置情報とを比較して前記ずれ情報を検出することを特徴とする波面補償付眼底撮影装置。
  5. 請求項4の眼底撮影装置において、
    前記波面補償デバイスは、入射光に対する波面補償領域が予め設定されていることを特徴とする波面補償付眼底撮影装置。
  6. 請求項1の眼底撮影装置において、
    表示手段を備え、
    前記位置調整手段は、前記表示手段を制御し、前記波面センサによる前記指標パターン像の受光結果と、前記波面センサ上の前記波面補償領域を示すグラフィックと、を表示手段上のある表示領域に表示し、前記ずれ情報として出力することを特徴とする波面補償付眼底撮影装置。
  7. 請求項6の眼底撮影装置において、
    前記位置調整手段は、前記グラフィックとして前記波面補償領域の外周を示すグラフィックを出力することを特徴とする波面補償付眼底撮影装置。
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