JP2011247159A - デュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御及びガスタービンプラント - Google Patents
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Abstract
【解決手段】気体燃料及び液体燃料のいずれか一方の燃料を選択切替えして運転可能なデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御において、一方の燃料から他方の燃料に切替えるにあたり、切替えて使用される側の燃料の流量変動が所定値よりも大きくなった時には切替えレートを遅くし、流量変動が小さくなった時には切替えレートを速くするように、燃料切替えの指令値である気体燃料流量比指令値MFRまたは液体燃料流量比指令値SFRの補正を行う。
【選択図】図1
Description
このように、気体燃料及び液体燃料よりなる2種類の燃料供給系統を備えたデュアル燃料ガスタービンプラントのデュアル燃料供給系統は、たとえば図10に示すように構成されている。
他方の液体燃料は、ストレーナ6、流量計7、燃料ポンプ8、ストレーナ9、流量調節弁(制御兼遮断弁)10及びマニホルド(フローデバイダ)11を経て、デュアル燃料ノズル4から噴射される。噴射圧力の調節は、圧力調節弁12のバイパス制御によって行われ、マニホルド11は、各燃料ノズルの噴射量を均一にする機能を有している。なお、図中の符号13は停止時に燃料供給系統内に残留した液体燃料を排出回収するためのマニホルドドレン弁、14は逆止弁である。
図示の制御信号は、気体燃料側の流量調整弁3を全開から全閉にして気体燃料を止め、液体燃料側の流量調整弁10を全閉から全開して液体燃料に切替えるものである。
一方、液体燃料がデュアル燃料ノズル4から流出するまでの時間遅れは、この間に他方の気体燃料側の燃料供給系統に設置された流量調整弁3が絞られているため、燃料不足によって一時的にガスタービンプラントの出力(ガスタービン出力)を減少させる原因となる。
また、上述した移行期間においては、燃焼効率の低下に伴い、NOx等の環境に悪影響を及ぼすガスが発生するという問題もある。
なお、液体燃料使用モードから気体燃料運転モードに移行する際においても、同様の問題が生じる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、気体燃料及び液体燃料を切替える際に生じる一時的な燃料不足により、ガスタービン出力が低減または不安定になる出力変動を防止または抑制し、滑らかな燃料切替えを可能にしたデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御、そして、デュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御を行うことができるガスタービンプラントを提供することにある。
本発明に係るデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御は、気体燃料及び液体燃料のいずれか一方の燃料を選択切替えして運転可能なデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御において、一方の燃料から他方の燃料に切替えるにあたり、切替えて使用される側の燃料の流量変動が所定値よりも大きくなった時には切替えレートを遅くし、前記流量変動が小さくなった時には切替えレートを速くするように、燃料切替えの指令値である燃料流量比指令値の補正を行うことを特徴とする。
また、上記の発明において、前記補正は、排ガスから求められる計測値の燃焼効率に応じて算出される補正量を加算してなされることが好ましい。
また、上記の発明において、前記補正は、指令信号から求められる燃焼効率に応じて算出される補正量を加算してなされることが好ましい。この場合の前記指令信号は、燃料流量指令信号及び空気流量指令信号から算出される燃空比が好適である。
また、上記の発明において、前記補正は、燃料切替えの指令値である前記燃料流量比指令値の過渡的変化量と、ガスタービン出力のフィードバック信号とガスタービン出力との偏差とに応じて算出される補正量を加算してなされることが好ましい。
また、燃料切替えに要する時間を短縮できるため、燃焼に伴うNOx等の有害ガス発生量を低減することも可能になる。
図4は、複数の燃料を使用可能なデュアル燃料ガスタービンプラント(以下、「ガスタービンプラント」と呼ぶ)GTの概略構成を示すブロック図であり、気体燃料または液体燃料のいずれか一方を選択して燃焼する燃焼器Fと、燃焼器Fから供給された燃焼ガスを膨張させて回転するタービンTと、空気を圧縮する圧縮機Cとを主な構成要素として備え、制御部20により各種の運転制御が行われている。
この場合のパイロットノズル及びメインノズルは、気体燃料及び液体燃料のいずれか一方を選択切替えして燃焼させるデュアル燃料ノズル(以下、「ノズル」と呼ぶ)であり、圧力調節弁2及び流量調節弁3を備えた気体燃料供給系FG及び圧力調節弁12及び流量調節弁10を備えた液体燃料供給系FLに接続されている。
以下では、気体燃料または液体燃料のいずれか一方から他方へ選択切替えする制御部20の燃料切替え制御について、特に、燃料切替え時の移行期間における燃料切替制御について説明する。
図示の燃料切替制御において、制御部20は、一方の燃料から他方の燃料に切替えるにあたり、切替えられて使用される側の燃料の流量変動が所定値よりも大きくなったときには切替えレートを遅くし、反対に流量変動が小さくなったときには切替えレートを速くする。
一方の補正信号生成部50Mは、気体燃料の切替えレートを補正する気体燃料流量比補正量を算出し、他方の補正信号生成部50Sは、液体燃料の切替えレートを補正する液体燃料流量比補正量を算出する。すなわち、一方の補正信号生成部50Mは、液体燃料から気体燃料に切替える移行期間に用いられて気体燃料流量比補正量を算出し、他方の補正信号生成部50Sは、気体燃料から液体燃料に切替える移行期間に用いられて液体燃料流量比補正量を算出する。
気体燃料制御部30が設定する気体燃料流量比指令値MFR及び液体燃料制御部40が設定する液体燃料流量指令値SFRは、いずれも燃料切替えの切替え指令値としても使用される。
図1に示した制御ブロック図には、一例として液体燃料から気体燃料に切替える場合の移行期間における燃料切替制御が示されているが、逆の燃料切替え(気体燃料から液体燃料に切替える)にも同様に適用可能である。
なお、気体燃料から液体燃料に燃料を切替える場合、液体燃料制御部41が設定する液体燃料流量比指令値SFRは時間と共に上昇(増加)して直線的に大きくなり、気体燃料制御部31が設定する気体燃料流量比指令値MFRは時間と共に下降(減少)して直線的に小さくなる。
また、第1関数器55が備える関数FX1は、たとえば図3(a)に示されるように、ガスタービンプラントGTの出力が低いときは高い調整量を設定し、ガスタービンの出力が高いときは低い調整量を設定して出力する。すなわち、ガスタービンプラントGTの出力が低いときほど、大きな調整量が出力されるように設定されている。
なお、図3(b)には、上述した不完全微分部51の出力S1、第1乗算器54の出力S2及び第2乗算器56の出力S3の一例が示されている。
この結果、加算器32,42では、気体燃料流量比指令値MFR及び液体燃料流量比指令値SFRにそれぞれの補正量が加算されることにより、補正前より大きな気体燃料流量比(補正値)MFR′及び液体燃料流量比(補正値)SFR′が設定される。この後、設定された気体燃料流量比(補正値)MFR′及び液体燃料流量比(補正値)SFR′は、変換レート制限器33,43及びタイムディレー34,44を介することにより、最終的な気体燃料流量指令信号MFR″及び液体燃料流量指令信号SFR″が生成されて流量調節弁3,10に出力され、これらの指令信号に基づいた開度制御が実施される。
このため、燃料切替え時に設定するランプ速度を増し、すなわち、気体燃料制御部31や液体燃料制御部41が設定する気体燃料流量比指令値MFR及び液体燃料流量指令値SFRの傾斜について、時間と共に0%から100%まで上昇(増加)する変化や100%から0%まで下降(減少)する変化の角度を大きく設定し、燃料切替えに要する時間を短縮することも可能になる。
すなわち、気体燃料の燃料供給を開始する時期(流量調節弁3を開き始める時期)については、これまで使用してきた液体燃料側で燃料供給量の低減を開始する時期(流量調節弁10を絞り始める時期)より遅らせることにより、補正信号生成部50M、50Sによる補正をより効果的に行い、ガスタービン出力の低下や不安定化をより確実に防止または抑制することができる。
なお、以下に説明する変形例は、液体燃料流量比指令値SFR側の補正量を算出して加算を行う補正であるが、液体を気体と読み替えればそのまま気体燃料流量指令値MFR側の補正となる。
すなわち、液体燃料制御部40に設けた補正信号生成部50Saは、燃焼効率が低い時は高い補正量を設定し、燃焼効率が高い時は補正量を低く設定するような関数FX4に基づいて処理する第4関数器57を備えている。この第4関数器57には、燃焼状態を表す排ガスから求めた燃焼効率の計測値が入力される。
この液体燃料流量比SFR′は、タイムディレー44を経て最終的な液体燃料流量比指令信号SFR″となり、流量調節弁10の開度制御に用いられる。従って、燃焼効率の低下に伴い、ガスタービン出力が低下することを防止できる。
すなわち、液体燃料制御部40に設けた補正信号生成部50Sbは、燃料流量指令信号及び空気流量指令信号から算出される燃空比が指令信号として使用される。指令信号となる燃空比は、液体燃料流量比指令値及び空気流量指令信号を除算器58に入力することにより算出される。この場合の燃空比は、空燃比の逆数として表され、たとえば以下に示すように、燃料流量を空気流量で除算することで求められる。
燃空比=燃料流量/空気流量
なお、上述した空気流量指令信号の具体例としては、圧縮機Cのインレットガイドベーン(IGV)開度等がある。
第5関数器59で算出された燃焼効率は、第6関数器60に入力される。この第6関数器60は、燃焼効率が低い時は高い補正量を設定し、かつ、燃焼効率が高い時は補正量を低く設定する関数FX6に基づいて処理し、燃焼効率の悪化を補う液体燃料流量比補正量を作成する。
従って、第2変形例の補正制御は、上述した第1変形例と同様の作用効果を得ることができる。しかも、第2変形例では、燃空比から算出した燃焼効率を使用するので、排ガスから求めた計測値を使用する場合と比較して補正に要する時間を短縮し、実状に応じて瞬時の補正を行うことができる。
すなわち、液体燃料制御部40に設けた補正信号生成部50Scは、実際のガスタービン出力とガスタービン出力設定との偏差を算出する減算器61と、減算器61で算出した偏差に応じて補正量を設定する関数FX7を設けた第7関数器61とを備えている。
すなわち、液体燃料制御部40に設けた補正信号生成部50Sdは、実際のガスタービン出力とガスタービン出力設定との偏差を算出する減算器61と、減算器61の出力をPID制御するPID制御器62とを採用している。換言すれば、第4変形例の場合、第3変形例の第7関数器61に代えてPID制御器62を採用したものである。
すなわち、液体燃料制御部40に設けた補正信号生成部50Seは、上述した第4変形例を図1の実施形態に追加し、PID制御器62で算出した液体燃料流量比補正量を第2乗算器56に入力し、第1乗算器54の出力と乗算して最終的な液体燃料流量比補正量を加算器42に出力する。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
4 デュアル燃料ノズル
20 制御部
30 気体燃料制御部
40 液体燃料制御部
50M,50S,50Sa〜50Se 補正信号生成部
GT デュアル燃料ガスタービンプラント
F 燃焼器
T タービン
C 圧縮機
Claims (9)
- 気体燃料及び液体燃料のいずれか一方の燃料を選択切替えして運転可能なデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御において、
一方の燃料から他方の燃料に切替えるにあたり、切替えて使用される側の燃料の流量変動が所定値よりも大きくなった時には切替えレートを遅くし、前記流量変動が小さくなった時には切替えレートを速くするように、燃料切替えの指令値である燃料流量比指令値の補正を行うことを特徴とするデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御。 - 前記燃料流量比指令値の補正は、前記燃料流量比指令値の過渡的変化量に応じて算出される補正量を加算してなされることを特徴とする請求項1に記載のデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御。
- 前記補正は、排ガスから求められる計測値の燃焼効率に応じて算出される補正量を加算してなされることを特徴とする請求項1に記載のデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御。
- 前記補正は、指令信号から求められる燃焼効率に応じて算出される補正量を加算してなされることを特徴とする請求項1に記載のデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御。
- 前記指令信号は、燃料流量指令信号及び空気流量指令信号から算出される燃空比であることを特徴とする請求項4に記載のデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御。
- 前記補正は、ガスタービン出力のフィードバック信号とガスタービン出力設定との偏差に応じて算出される補正量を加算してなされることを特徴とする請求項1に記載のデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御。
- 前記補正は、燃料切替えの指令値である前記燃料流量比指令値の過渡的変化量と、ガスタービン出力のフィードバック信号とガスタービン出力との偏差とに応じて算出される補正量を加算してなされることを特徴とする請求項1に記載のデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御。
- 前記切替えられて使用される側の燃料供給開始時期より他方の燃料供給低減開始時期を遅らせることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御。
- 空気を導入して圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される空気により気体燃料及び液体燃料のいずれか一方の燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するデュアル燃料焚きの燃焼器と、前記燃焼器から燃焼ガスの供給を受けるタービンとを具備し、
前記燃焼器の燃料ノズルに燃料を供給するデュアル燃料供給系が、請求項1から8のいずれかに記載のデュアル燃料ガスタービンプラントの燃料切替制御を行う制御部を備えていることを特徴とするガスタービンプラント。
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