以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る遊技機の適例としてのパチンコ機について説明を行う。
図1は、本発明の一実施形態の遊技機を正面側から見た斜図である。
本実施形態の遊技機10は前面枠12を備え、該前面枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ13を介して開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤30(図2参照)は前面枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。また、前面枠(内枠)12には、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス(透明部材)14を備えたガラス枠15が取り付けられている。
また、ガラス枠15の上部には、内部にランプ及びモータを内蔵した照明装置(ムービングライト)16や払出異常報知用のランプ(LED)17が設けられている。また、ガラス枠15の左右には内部にランプ等を内蔵し装飾や演出のための発光をする枠装飾装置18や、音響(例えば、効果音)を発するスピーカ(上スピーカ)19aが設けられている。さらに、前面枠12の下部にもスピーカ(下スピーカ)19bが設けられている。
また、前面枠12の下部には、図示しない打球発射装置に遊技球を供給する上皿21、遊技機10の裏面側に設けられている球払出装置から払い出された遊技球が流出する上皿球出口22、上皿21が一杯になった状態で払い出された遊技球を貯留する下皿23及び打球発射装置の操作ハンドル24等が設けられている。さらに、上皿21の上縁部には、遊技者からの操作入力を受け付けるための操作スイッチを内蔵した演出ボタン25および該演出ボタン25に隣接してセレクタボタン29が設けられている。さらに、前面枠12下部右側には、前面枠12を開放したり施錠したりするための鍵26が設けられている。
この実施形態の遊技機10においては、遊技者が上記操作ハンドル24を回動操作することによって、打球発射装置が、上皿21から供給される遊技球を遊技盤30前面の遊技領域32に向かって発射する。また、遊技者が演出ボタン25やセレクタボタン29を操作することによって、表示装置41(図2参照)における変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲーム)において、遊技者の操作を介入させた演出等を行わせることができる。さらに、上皿21上方のガラス枠15の前面には、遊技者が隣接する球貸機から球貸しを受ける場合に操作する球貸ボタン27、球貸機のカードユニットからプリペイドカードを排出させるために操作する排出ボタン28、プリペイドカードの残高を表示する残高表示部(図示省略)等が設けられている。
次に、図2を用いて遊技盤30の一例について説明する。図2は、本実施形態の遊技盤30の正面図である。
遊技盤30の表面には、ガイドレール31で囲われた略円形状の遊技領域32が形成されている。遊技領域32は、遊技盤30の四隅に各々設けられた樹脂製のサイドケース33及びガイドレール31に囲繞されて構成される。遊技領域32には、ほぼ中央に表示装置41を備えたセンターケース40が配置されている。表示装置41は、センターケース40に設けられた凹部に、センターケース40の前面より奥まった位置に取り付けられている。即ち、センターケース40は表示装置41の表示領域の周囲を囲い、表示装置41の表示面よりも前方へ突出するように形成されている。さらに、センターケース40の下部、表示装置41の前方には、回転体448および揺動部材446を備え演出用の見せ球が封入され該見せ球を流下させることで演出効果を高めるための回転体電動役物(回転体ユニット)からなる盤演出装置44が設けられている。
表示装置41は、例えば、LCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等の表示画面を有する装置で構成されている。表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には、複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタや演出効果を高める背景画像等が表示される。表示装置41の表示画面においては、識別情報として割り当てられた複数の特別図柄が変動表示(可変表示)されて、特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームが行われる。また、表示画面には遊技の進行に基づく演出のための画像(例えば、大当たり表示画像、ファンファーレ表示画像、エンディング表示画像等)が表示される。
遊技領域32のセンターケース40の左側には、普通図柄始動ゲート(普図始動ゲート)34が設けられている。センターケース40の左下側には、一般入賞口35が配置され、この一般入賞口35には、一般入賞口35に入った遊技球を検出するための入賞口スイッチ35a(図3参照)が配設されている。
また、センターケース40の下方には、特図変動表示ゲームの開始条件を与える始動入賞口36が設けられ、その直下には上部に逆「ハ」の字状に開いて遊技球が流入し易い状態に変換する一対の可動部材37b、37bを備えるとともに内部に第2始動入賞口を有する普通変動入賞装置(普電)37が配設されている。
普通変動入賞装置37の一対の開閉部材37b,37bは、常時は遊技球の直径程度の間隔をおいた閉じた閉状態(遊技者にとって不利な状態)を保持している。ただし、普通変動入賞装置37の上方には、始動入賞口36が設けられているので、閉じた状態では遊技球が入賞できないようになっている。
そして、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、駆動装置としての普電ソレノイド37c(図3参照)によって、逆「ハ」の字状に開いて普通変動入賞装置37に遊技球が流入し易い開状態(遊技者にとって有利な状態)に変化させられるようになっている。
さらに、普通変動入賞装置37の下方には、特図変動表示ゲームの結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)38が配設されている。
特別変動入賞装置38は、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉38cを有しており、補助遊技としての特図変動表示ゲームの結果如何によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態)に変換する。
即ち、特別変動入賞装置38は、例えば、駆動装置としての大入賞口ソレノイド38b(図3参照)により駆動される開閉扉38cによって開閉される大入賞口を備え、特別遊技状態中は、大入賞口を閉じた状態から開いた状態に変換することにより大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせ、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。
なお、大入賞口の内部(入賞領域)には、当該大入賞口に入った遊技球を検出する検出手段としてのカウントスイッチ38a(図3参照)が配設されている。
特別変動入賞装置38の下方には、入賞口などに入賞しなかった遊技球を回収するアウト口39が設けられている。
また、遊技領域32の外側(例えば、遊技盤30の上部)には、特図変動表示ゲームをなす第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲーム及び普図始動ゲート34への入賞をトリガとする普図変動表示ゲームを一箇所で実行する一括表示装置50が設けられている。
一括表示装置50は、7セグメント型の表示器(LEDランプ)等で構成された第1特図変動表示ゲーム用の第1特図変動表示部(特図1表示器)81及び第2特図変動表示ゲーム用の第2特図変動表示部(特図2表示器)82と、LEDランプで構成され普図変動表示ゲーム用の変動表示や各変動表示ゲームの始動記憶数報知用の記憶表示、大当りの発生や時短状態発生、電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態となっているエラーの表示、大当り時のラウンド数を表示する表示部53とが設けられている。
特図1表示器51と特図2表示器52における特図変動表示ゲームは、例えば変動表示ゲームの実行中、即ち、表示装置41において飾り特図変動表示ゲームを行っている間は、中央のセグメントを点滅駆動させて変動中であることを表示する。そして、ゲームの結果が「はずれ」のときは、はずれの結果態様として例えば中央のセグメントを点灯状態にし、ゲームの結果が「当り」のときは、当りの結果態様(特別結果態様)としてはずれの結果態様以外の結果態様(例えば「3」や「7」の数字等)を点灯状態にしてゲーム結果を表示する。
表示部53の普図表示器は、変動中はランプを点滅させて変動中であることを表示する。そして、ゲームの結果が「はずれ」のときは、例えばランプを消灯状態にし、ゲームの結果が「当り」のときはランプを点灯状態にしてゲーム結果を表示する。
表示部53の特図1保留表示器は、特図1表示器51の変動開始条件となる始動入賞口36への入賞球数のうち未消化の球数(始動記憶数=保留数)を4つのランプで表示する。具体的には、保留数が「0」のときは4つのランプを全て消灯状態にし、保留数が「1」のときは1つランプのみを点灯状態にする。また、保留数が「2」のときは2つのランプを点灯状態にし、保留数が「3」のときは3つのランプを点灯状態にし、保留数が「4」のときは4つのランプをすべて点灯状態にする。
表示部53の特図2保留表示器は、特図2表示器52の変動開始条件となる第2始動入賞口(普通変動入賞装置37)の始動記憶数(=保留数)を、特図1保留表示器と同様にして4つのランプで表示する。
表示部53の普図保留表示器は、普図表示器の変動開始条件となる普図始動ゲート34の始動記憶数(=保留数)を2つのランプで表示する。例えば保留数が「0」のときは2つのランプを消灯状態にし、保留数が「1」のときは一方のランプのみを点灯状態にする。また、保留数が「2」のときは2つのランプを点灯状態にし、保留数が「3」のときは一方のランプを点滅、他方のランプを点灯状態にし、保留数が「4」のときは2つのランプを点滅状態にする。
表示部53の第1遊技状態表示器は、例えば通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、大当りが発生している場合にはランプを点灯状態にする。第2遊技状態表示器は、例えば通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、時短状態が発生している場合にはランプを点灯状態にする。
表示部53のエラー表示器は、例えば遊技機10の電源投入時に大当りの確率状態が低確率状態の場合にはランプを消灯状態にし、遊技機10の電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態の場合にはランプを点灯状態にする。
表示部53のラウンド表示部は、例えば、通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、大当りが発生した場合にはその大当りのラウンド数に対応するランプ(2ラウンドor15ラウンド)を点灯状態にする。なお、ラウンド表示部は7セグメント型の表示器で構成してもよい。
本実施形態の遊技機10では、図示しない発射装置から遊技領域32に向けて遊技球(パチンコ球)が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域32内の各所に配置された障害釘や風車等の方向転換部材によって転動方向を変えながら遊技領域32を流下し、普図始動ゲート34、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37又は特別変動入賞装置38に入賞するか、遊技領域32の最下部に設けられたアウト口39へ流入し遊技領域から排出される。そして、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37又は特別変動入賞装置38に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が、払出制御装置200によって制御される払出ユニットから、前面枠12の上皿21又は下皿23に排出される。
一方、普図始動ゲート34内には、該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するための非接触型のスイッチなどからなるゲートスイッチ34a(図3参照)が設けられており、遊技領域32内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34内を通過すると、ゲートスイッチ34aにより検出されて普図変動表示ゲームが行われる。
また、普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない状態や、普図変動表示ゲームが当って普通変動入賞装置37が開状態に変換されている場合に、普図始動ゲート34を遊技球が通過すると、普図始動記憶数の上限数未満でならば、普図始動記憶数が加算(+1)されて普図始動記憶が1つ記憶されることとなる。この普図始動入賞の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の表示部53に表示される。
また、普図始動記憶情報として、普図変動表示ゲームの当りはずれを決定するための当り判定用乱数値が記憶されるようになっていて、この当り判定用乱数値が判定値と一致した場合に、当該普図変動表示ゲームが当りとなって特定の結果態様(特定結果)が導出されることとなる。
普図変動表示ゲームは、一括表示装置50に設けられた表示部53の普図表示器で実行されるようになっている。普図表示器は、普通識別情報(普図、普通図柄)として点灯状態の場合に当たりを示し、消灯状態の場合にはずれを示すLEDから構成され、このLEDを点滅表示することで普通識別情報の変動表示を行い、所定の変動表示時間の経過後、LEDを点灯又は消灯することで結果を表示するようになっている。
なお、普通識別情報として例えば数字、記号、キャラクタ図柄などを用い、これを所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うように構成しても良い。この普図変動表示ゲームの停止表示が特定結果となれば、普図の当りとなって、普通変動入賞装置37の一対の可動部材37bが所定時間(例えば、0.3秒間)開放される開状態となる。これにより、普通変動入賞装置37の内部の第2始動入賞口へ遊技球が入賞し易くなり、第2特図変動表示ゲームが実行される回数が多くなる。
普図始動ゲート34への通過検出時に抽出した普図乱数値が当たり値であるときには、表示部53の普図表示器に表示される普通図柄が当たり状態で停止し、当たり状態となる。このとき、普通変動入賞装置37は、内蔵されている普電ソレノイド37c(図3参照)が駆動されることにより、可動部材37bが所定の時間(例えば、0.3秒間)だけ開放する状態に変換され、遊技球の入賞が許容される。
始動入賞口36への入賞球及び普通変動入賞装置37への入賞球は、それぞれは内部に設けられた始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出される。始動入賞口36へ入賞した遊技球は第1特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶されるとともに、普通変動入賞装置37へ入賞した遊技球は第2特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶される。
また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図3参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図の始動記憶(始動入賞情報)として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の表示部53に表示されるとともに、センターケース40の表示装置41においても表示される。
遊技制御装置100は、始動入賞口36若しくは普通変動入賞装置37への入賞、又はそれらの始動記憶に基づいて、特図表示器(変動表示装置)81又は82で第1又は第2特図変動表示ゲームを行う。
第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームは、複数の特別図柄(特図、識別情報)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置41にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
そして、特図変動表示ゲームの結果として、特図1表示器51若しくは特図2表示器52の表示態様が特別結果態様となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となる。また、これに対応して表示装置41の表示態様も特別結果態様となる。
表示装置41における飾り特図変動表示ゲームは、例えば前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)が左(第一特別図柄)、右(第二特別図柄)、中(第三特別図柄)の順に変動表示を開始して、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。また、表示装置41では、特図始動記憶数に対応する飾り特別図柄による変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のためにキャラクタの出現など多様な演出表示が行われる。
なお、特図1表示器51、特図2表示器52は、別々の表示器でも良いし同一の表示器でも良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように各特図変動表示ゲームが表示される。また、表示装置41も、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームで別々の表示装置や別々の表示領域を使用するとしても良いし、同一の表示装置や表示領域を使用するとしても良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように飾り特図変動表示ゲームが表示される。また、遊技機10に特図1表示器51、特図2表示器52を備えずに、表示装置41のみで特図変動表示ゲームを実行するようにしても良い。
また、第2特図変動表示ゲームは、第1特図変動表示ゲームよりも優先して実行されるようになっている。即ち、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームの始動記憶がある場合であって、特図変動表示ゲームの実行が可能となった場合は、第2特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
また、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、且つ、始動記憶数が0の状態で、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶されて、始動記憶数が1加算されるととともに、直ちに始動記憶に基づいて、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算される。
一方、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に第1若しくは第2特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶されることになる。そして、始動記憶数が1以上となった状態で、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始される。
なお、以下の説明において、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。
なお、特に限定されるわけではないが、上記始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a、カウントスイッチ38aには、磁気検出用のコイルを備え該コイルに金属が近接すると磁界が変化する現象を利用して遊技球を検出する非接触型の磁気近接センサ(以下、近接スイッチと称する)が使用されている。遊技機10のガラス枠15等に設けられた前枠開放検出スイッチ63や前面枠(遊技枠)12等に設けられた遊技枠開放検出スイッチ64には、機械的な接点を有するマイクロスイッチを用いることができる。
図3は、本実施形態のパチンコ遊技機10の制御システムのブロック図である。
遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU部110と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバなどを有する出力部130、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140などからなる。
上記CPU部110は、アミューズメントチップ(IC)と呼ばれる遊技用マイコン(CPU)111と、入力部120内の近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121からの信号(始動入賞検出信号)を論理反転して遊技用マイコン111に入力させるインバータなどからなる反転回路112と、水晶振動子のような発振子を備え、CPUの動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路(水晶発振器)113などを有する。遊技制御装置100及び該遊技制御装置100によって駆動されるソレノイドやモータなどの電子部品には、電源装置400で生成されたDC32V,DC12V,DC5Vなど所定のレベルの直流電圧が供給されて動作可能にされる。
電源装置400は、24Vの交流電源から上記DC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータやDC32Vの電圧からDC12V,DC5Vなどのより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータなどを有する通常電源部410と、遊技用マイコン111の内部のRAMに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部420と、停電監視回路や初期化スイッチを有し遊技制御装置100に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの制御信号を生成して出力する制御信号生成部430などを備える。
この実施形態では、電源装置400は、遊技制御装置100と別個に構成されているが、バックアップ電源部420及び制御信号生成部430は、別個の基板上あるいは遊技制御装置100と一体、即ち、主基板上に設けるように構成してもよい。遊技盤30及び遊技制御装置100は機種変更の際に交換の対象となるので、実施例のように、電源装置400若しくは主基板とは別の基板にバックアップ電源部420及び制御信号生成部430を設けることにより、交換の対象から外しコストダウンを図ることができる。
上記バックアップ電源部420は、電解コンデンサのような大容量のコンデンサ1つで構成することができる。バックアップ電源は、遊技制御装置100の遊技用マイコン111(特に内蔵RAM)に供給され、停電中あるいは電源遮断後もRAMに記憶されたデータが保持されるようになっている。制御信号生成部430は、例えば通常電源部410で生成された32Vの電圧を監視してそれが例えば17V以下に下がると停電発生を検出して停電監視信号を変化させるとともに、所定時間後にリセット信号を出力する。また、電源投入時や停電回復時にもその時点から所定時間経過後にリセット信号を出力する。
初期化スイッチ信号は初期化スイッチがオン状態にされたときに生成される信号で、遊技用マイコン111内のRAM111C及び払出制御装置200内のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する。特に限定されるわけではないが初期化スイッチ信号は電源投入時に読み込まれ、停電監視信号は遊技用マイコン111が実行するメインプログラムのメインループの中で繰り返し読み込まれる。リセット信号は強制割込み信号の一種であり、制御システム全体をリセットさせる。
遊技用マイコン111は、遊技を統括的に制御する制御手段を構成している。具体的には、遊技用マイコン111は、CPU(中央処理ユニット:マイクロプロセッサ)111A、読出し専用のROM(リードオンリメモリ)111B及び随時読出し書込み可能なRAM(ランダムアクセスメモリ)111Cを備える。
ROM111Bは、遊技制御のための不変の情報(プログラム、固定データ、各種乱数の判定値等)を不揮発的に記憶し、RAM111Cは、遊技制御時にCPU111Aの作業領域や各種信号や乱数値の記憶領域として利用される。ROM111B又はRAM111Cとして、EEPROMのような電気的に書換え可能な不揮発性メモリを用いてもよい。また、ROM111Bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターンを決定するための変動パターンテーブルを記憶している。
変動パターンテーブルとは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数1〜3をCPU111Aが参照して変動パターンを決定するためのテーブルである。また、変動パターンテーブルには、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターンテーブル、結果が15R当りや2R当りとなる場合に選択される大当り変動パターンテーブル等が含まれる。さらに、これらのパターンテーブルには、後半変動パターンテーブル、前半変動パターンテーブルが含まれている。
また、リーチ(リーチ状態)とは、表示状態が変化可能な表示装置を有し、該表示装置が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機10において、複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態をいう。また、別の表現をすれば、リーチ状態とは、表示装置の変動表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも、特別結果態様となる表示条件からはずれていない表示態様をいう。そして、例えば、特別結果態様が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行う状態(いわゆる全回転リーチ)もリーチ状態に含まれる。また、リーチ状態とは、表示装置の表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、表示結果が導出表示される以前に決定されている複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特別結果態様となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。
よって、例えば、特図変動表示ゲームに対応して表示装置に表示される飾り特図変動表示ゲームが、表示装置における左、中、右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報を変動表示した後、左、右、中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合、左、右の変動表示領域で、特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報)で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。またこの他に、すべての変動表示領域の変動表示を一旦停止した時点で、左、中、右のうち何れか二つの変動表示領域で特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報となった状態、ただし特別結果態様は除く)をリーチ状態とし、このリーチ状態から残りの一つの変動表示領域を変動表示するようにしても良い。
そして、このリーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様が導出される可能性が異なる(信頼度が異なる)リーチ演出として、ノーマルリーチ、スペシャル1リーチ、スペシャル2リーチ、スペシャル3リーチ、プレミアリーチ等が設定されている。なお、信頼度は、リーチなし<ノーマルリーチ<スペシャル1リーチ<スペシャル2リーチ<スペシャル3リーチ<プレミアリーチの順に高くなるようになっている。また、このリーチ状態は、少なくとも特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出される場合(大当りとなる場合)における変動表示態様に含まれるようになっている。即ち、特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されないと判定すると(はずれとなる場合)における変動表示態様に含まれることもある。よって、リーチ状態が発生した状態は、リーチ状態が発生しない場合に比べて大当りとなる可能性の高い状態である。
ここで、CPU111Aは、始動記憶手段としてのRAM111Cに記憶された始動記憶に基づく特図変動表示ゲームにおいてリーチ状態を発生可能なリーチ状態発生手段をなす。
CPU111Aは、ROM111B内の遊技制御用プログラムを実行して、払出制御装置200や演出制御装置300に対する制御信号(コマンド)を生成したりソレノイドや表示装置の駆動信号を生成して出力して遊技機10全体の制御を行う。
また、図示しないが、遊技用マイコン111は、特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数や大当りの図柄を決定するための大当り図柄用乱数、特図変動表示ゲームでの変動パターン(各種リーチやリーチ無しの変動表示における変動表示ゲームの実行時間等を含む)を決定するための変動パターン乱数、普図変動表示ゲームの当たり判定用乱数等を生成するための乱数生成回路と、発振回路113からの発振信号(原クロック信号)に基づいてCPU111Aに対する所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号や乱数生成回路の更新タイミングを与えるクロックを生成するクロックジェネレータを備えている。
また、CPU111Aは、後述する特図ゲーム処理における始動口スイッチ監視処理(ステップA1)や特図普段処理(ステップA9)にて、ROM111Bに記憶されている複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを取得する。具体的には、CPU111Aは、特図変動表示ゲームの遊技結果(大当り或いははずれ)や、現在の遊技状態としての特図変動表示ゲームの確率状態(通常確率状態或いは高確率状態)、現在の遊技状態としての普通変動入賞装置37の動作状態(通常動作状態或いは時短動作状態)、始動記憶数などに基づいて、複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを選択して取得する。
払出制御装置200は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース、出力インタフェース等を備え、遊技制御装置100からの賞球払出し指令(コマンドやデータ)に従って、払出ユニットの払出モータを駆動させ、賞球を払い出させるための制御を行う。また、払出制御装置200は、カードユニットからの貸球要求信号に基づいて払出ユニットの払出モータを駆動させ、貸球を払い出させるための制御を行う。
遊技用マイコン111の入力部120には、始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、普図始動ゲート34内のゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a、カウントスイッチ38aに接続され、これらのスイッチから供給されるハイレベルが11Vでロウレベルが7Vのような負論理の信号が入力され、0V−5Vの正論理の信号に変換するインタフェースチップ(近接I/F)121が設けられている。近接I/F121は、入力の範囲が7V−11Vとされることで、近接スイッチのリード線が不正にショートされたり、スイッチがコネクタから外されたり、リード線が切断されてフローティングになったような異常な状態を検出することができ、異常検知信号を出力するように構成されている。
近接I/F121の出力はすべて第2入力ポート122へ供給されデータバス140を介して遊技用マイコン111に読み込まれるとともに、主基板100から中継基板70を介して図示しない試射試験装置へ供給されるようになっている。また、近接I/F121の出力のうち始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号は、第2入力ポート122の他、反転回路112を介して遊技用マイコン111へ入力されるように構成されている。反転回路112を設けているのは、遊技用マイコン111の信号入力端子が、マイクロスイッチなどからの信号が入力されることを想定し、かつ負論理、即ち、ロウレベル(0V)を有効レベルとして検知するように設計されているためである。
従って、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aとしてマイクロスイッチを使用する場合には、反転回路112を設けずに直接遊技用マイコン111へ検出信号を入力させるように構成することができる。つまり、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aからの負論理の信号を直接遊技用マイコン111へ入力させたい場合には、近接スイッチを使用することはできない。上記のように近接I/F121は、信号のレベル変換機能を有する。このようなレベル変換機能を可能にするため、近接I/F121には、電源装置400から通常のICの動作に必要な例えば5Vのような電圧の他に、12Vの電圧が供給されるようになっている。
また、入力部120には、遊技機10の前面枠12等に設けられた不正検出用の磁気センサスイッチ65及び振動センサスイッチ62からの信号及び上記近接I/F121により変換された始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a、カウントスイッチ38aからの信号を取り込んでデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給する第2入力ポート122が設けられている。第2入力ポート122が保持しているデータは、遊技用マイコン111が第2入力ポート122に割り当てられているアドレスをデコードすることによってイネーブル信号CE1をアサート(有効レベルに変化)することよって、読み出すことができる。後述の他のポートも同様である。
さらに、入力部120には、遊技機10のガラス枠15等に設けられた前枠開放検出スイッチ63及び前面枠(遊技枠)12等に設けられた遊技枠開放検出スイッチ64からの信号及び払出制御装置200からの払出異常を示すステータス信号や払出し前の遊技球の不足を示すシュート球切れスイッチ信号、オーバーフローを示すオーバーフロースイッチ信号を取り込んでデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給する第1入力ポート123が設けられている。オーバーフロースイッチ信号は、下皿23に遊技球が所定量以上貯留されていること(満杯になったこと)を検出したときに出力される信号である。
また、入力部120には、電源装置400からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの信号を遊技用マイコン111等に入力するためのシュミットトリガ回路124が設けられており、シュミットトリガ回路124はこれらの入力信号からノイズを除去する機能を有する。電源装置400からの信号のうち停電監視信号と初期化スイッチ信号は、一旦第1入力ポート123に入力され、データバス140を介して遊技用マイコン111に取り込まれる。つまり、前述の各種スイッチからの信号と同等の信号として扱われる。遊技用マイコン111に設けられている外部からの信号を受ける端子の数には制約があるためである。
一方、シュミットトリガ回路124によりノイズ除去されたリセット信号RSTは、遊技用マイコン111に設けられているリセット端子に直接入力されるとともに、出力部130の各ポートに供給される。また、リセット信号RSTは出力部130を介さずに直接中継基板70に出力することで、試射試験装置へ出力するために中継基板70のポート(図示省略)に保持される試射試験信号をオフするように構成されている。また、リセット信号RSTを中継基板70を介して試射試験装置へ出力可能に構成するようにしてもよい。なお、リセット信号RSTは入力部120の各ポート122,123には供給されない。リセット信号RSTが入る直前に遊技用マイコン111によって出力部130の各ポートに設定されたデータはシステムの誤動作を防止するためリセットする必要があるが、リセット信号RSTが入る直前に入力部120の各ポートから遊技用マイコン111が読み込んだデータは、遊技用マイコン111のリセットによって廃棄されるためである。
出力部130は、データバス140に接続され払出制御装置200へ出力する4ビットのデータ信号とデータの有効/無効を示す制御信号(データストローブ信号)及び演出制御装置300へ出力するデータストローブ信号SSTBを生成する第1出力ポート131と、演出制御装置300へ出力する8ビットのデータ信号を生成する第2出力ポート132とを備える。遊技制御装置100から払出制御装置200及び演出制御装置300へは、パラレル通信でデータが送信される。また、出力部130には、演出制御装置300の側から遊技制御装置100へ信号を入力できないようにするため、即ち、片方向通信を担保するために第1出力ポート131からの上記データストローブ信号SSTB及び第2出力ポート132からの8ビットのデータ信号を出力する単方向のバッファ133が設けられている。なお、第1出力ポート131から払出制御装置200へ出力する信号に対してもバッファを設けるようにしてもよい。
さらに、出力部130には、データバス140に接続され図示しない認定機関の試射試験装置へ変動表示ゲームの特図図柄情報を知らせるデータや大当りの確率状態を示す信号などを中継基板70を介して出力するバッファ134が実装可能に構成されている。このバッファ134は遊技店に設置される実機(量産販売品)としてのパチンコ遊技機の遊技制御装置(主基板)には実装されない部品である。なお、前記近接I/F121から出力される始動口スイッチなど加工の必要のないスイッチの検出信号は、バッファ134を通さずに中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。
一方、磁気センサスイッチ65や振動センサスイッチ62のようにそのままでは試射試験装置へ供給できない検出信号は、一旦遊技用マイコン111に取り込まれて他の信号若しくは情報に加工されて、例えば遊技機が遊技制御できない状態であることを示すエラー信号としてデータバス140からバッファ134、中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。なお、中継基板70には、上記バッファ134から出力された信号を取り込んで試射試験装置へ供給するポートや、バッファを介さないスイッチの検出信号の信号線を中継して伝達するコネクタなどが設けられている。中継基板70上のポートには、遊技用マイコン111から出力されるチップイネーブル信号CEも供給され、該信号CEにより選択制御されたポートの信号が試射試験装置へ供給されるようになっている。
また、出力部130には、データバス140に接続され特別変動入賞装置38を開成させるソレノイド(大入賞口ソレノイド)38bや普通変動入賞装置37の可動部材37bを開成させるソレノイド(普電ソレノイド)37cの開閉データと、一括表示装置50のLEDのカソード端子が接続されているデジット線のオン/オフデータを出力するための第3出力ポート135、一括表示装置50に表示する内容に応じてLEDのアノード端子が接続されているセグメント線のオン/オフデータを出力するための第4出力ポート136、大当り情報など遊技機10に関する情報を外部情報端子71へ出力するための第5出力ポート137が設けられている。外部情報端子71から出力された遊技機10に関する情報は、例えば遊技店に設置された情報収集端末や遊技場内部管理装置(図示省略)に供給される。
さらに、出力部130には、第3出力ポート135から出力される大入賞口ソレノイド38bの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号や普電ソレノイド37cの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号を生成し出力する第1ドライバ(駆動回路)138a、第3出力ポート135から出力される一括表示装置50の電流引き込み側のデジット線のオン/オフ駆動信号を出力する第2ドライバ138b、第4出力ポート136から出力される一括表示装置50の電流供給側のセグメント線のオン/オフ駆動信号を出力する第3ドライバ138c、第5出力ポート137から管理装置等の外部装置へ供給する外部情報信号を外部情報端子71へ出力する第4ドライバ138dが設けられている。
上記第1ドライバ138aには、32Vで動作するソレノイドを駆動できるようにするため、電源電圧としてDC32Vが電源装置400から供給される。また、一括表示装置50のセグメント線を駆動する第3ドライバ138cには、DC12Vが供給される。デジット線を駆動する第2ドライバ138bは、表示データに応じたデジット線を電流で引き抜くためのものであるため、電源電圧は12V又は5Vのいずれであってもよい。12Vを出力する第3ドライバ138cによりセグメント線を介してLEDのアノード端子に電流を流し込み、接地電位を出力する第2ドライバ138bによりカソード端子よりセグメント線を介して電流を引き抜くことで、ダイナミック駆動方式で順次選択されたLEDに電源電圧が流れて点灯される。外部情報信号を外部情報端子71へ出力する第4ドライバ138dは、外部情報信号に12Vのレベルを与えるため、DC12Vが供給される。なお、バッファ134や第3出力ポート135、第1ドライバ138a等は、遊技制御装置100の出力部130、即ち、主基板ではなく、中継基板70側に設けるようにしてもよい。
さらに、出力部130には、外部の検査装置500へ各遊技機の識別コードやプログラムなどの情報を送信するためのフォトカプラ139が設けられている。フォトカプラ139は、遊技用マイコン111が検査装置500との間でシリアル通信によってデータの送受信を行なえるように双方通信可能に構成されている。なお、かかるデータの送受信は、通常の汎用マイクロプロセッサと同様に遊技用マイコン111が有するシリアル通信端子を利用して行なわれるため、入力ポート122,123のようなポートは設けられていない。
次に、図4を用いて、演出制御装置300の構成について説明する。
演出制御装置300は、遊技用マイコン111と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(1stCPU)311と、該1stCPU311の制御下でもっぱら映像制御を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)312と、該2ndCPU312からのコマンドやデータに従って表示装置41への映像表示のための画像処理を行うグラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)313と、各種のメロディや効果音などをスピーカ19a,19bから再生させるため音の出力を制御する音源LSI314を備えている。
上記主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(プログラマブルリードオンリメモリ)からなるプログラムROM321、322がそれぞれ接続され、VDP313にはキャラクタ画像や映像データが記憶された画像ROM323が接続され、音源LSI314には音声データが記憶された音ROM324が接続されている。主制御用マイコン(1stCPU)311は、遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、演出内容を決定して映像制御用マイコン312へ出力映像の内容を指示したり、音源LSI314への再生音の指示、装飾ランプの点灯、モータの駆動制御、演出時間の管理などの処理を実行する。主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312の作業領域を提供するRAMは、それぞれのチップ内部に設けられている。なお、作業領域を提供するRAMはチップの外部に設けるようにしてもよい。
特に限定されるわけではないが、主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312との間、主制御用マイコン(1stCPU)311と音源LSI314との間は、それぞれシリアル方式でデータの送受信が行なわれ、映像制御用マイコン(2ndCPU)312との間、主制御用マイコン(1stCPU)311とVDP313との間は、パラレル方式でデータの送受信が行なわれるように構成されている。パラレル方式でデータを送受信することで、シリアルの場合よりも短時間にコマンドやデータを送信することができる。VDP313には、画像ROM323から読み出されたキャラクタなどの画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM(ビデオRAM)313aや、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラ313b、LVDS(小振幅信号伝送)方式で表示装置41へ送信する映像信号を生成する信号変換回路313cなどが設けられている。
VDP313から主制御用マイコン311へは表示装置41の映像と前面枠12や遊技盤30に設けられている装飾ランプの点灯を同期させるために垂直同期信号VSYNCが入力される。さらに、VDP313から映像制御用マイコン312へは、VRAMへの描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0〜n及び映像制御用マイコン312からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITが入力される。また、映像制御用マイコン312から主制御用マイコン311へは、映像制御用マイコン312が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが入力される。主制御用マイコン311と音源LSI314との間は、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け(コール)信号CTSと応答(レスポンス)信号RTSが交換される。
なお、映像制御用マイコン(2ndCPU)312には、主制御用マイコン(1stCPU)311よりも高速なつまり高価なCPUが使用されている。主制御用マイコン(1stCPU)311とは別に映像制御用マイコン(2ndCPU)312を設けて処理を分担させることによって、主制御用マイコン(1stCPU)311のみでは実現困難な大画面で動きの速い映像を表示装置41に表示させることが可能となるとともに、映像制御用マイコン(2ndCPU)312と同等な処理能力を有するCPUを2個使用する場合に比べてコストの上昇を抑制することができる。また、CPUを2つ設けることによって、2つのCPUの制御プログラムを別々に並行して開発することが可能となり、これによって新機種の開発期間を短縮することができる。
また、演出制御装置300には、遊技制御装置100から送信されてくるコマンドを受信するインタフェースチップ(コマンドI/F)331が設けられている。このコマンドI/F331を介して、遊技制御装置100から演出制御装置300へ送信された変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を、演出制御指令信号として受信する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111はDC5Vで動作し、演出制御装置300の主制御用マイコン(1stCPU)311はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F331には信号のレベル変換の機能が設けられている。
また、演出制御装置300には、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられているLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42を駆動制御する盤装飾LED制御回路332、前面枠12に設けられているLED(発光ダイオード)を有する枠装飾装置(例えば枠装飾装置18等)を駆動制御する枠装飾LED制御回路333、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられている前記盤演出装置44の駆動源としての回転体用モータ443,揺動部材用モータ444等を駆動制御する盤演出モータ/SOL制御回路334、前面枠12に設けられている枠演出装置(例えば前記ムービングライト16を動作させるモータ等)45を駆動制御する枠演出モータ制御回路335が設けられている。なお、ランプやモータ及びソレノイドなどを駆動制御するこれらの制御回路332〜335は、アドレス/データバス304を介して主制御用マイコン(1stCPU)311と接続されている。
さらに、演出制御装置300には、前面枠12に設けられた演出ボタン25やセレクトボタン29に内蔵されている内蔵スイッチ25aや上記盤演出装置44内の回転体モータ443の初期位置を検出する演出モータスイッチ43a、揺動部材モータ444の位置を検出する位置検出センサ44a、回転体448の凹部(球保持部)に演出用の見せ球が保持されているか否か検出する球保持センサ43bの状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311へ検出信号を入力するスイッチ入力回路336、前面枠12に設けられた上スピーカ19aを駆動するオーディオパワーアンプなどからなるアンプ回路337a、前面枠12に設けられた下スピーカ19bを駆動するアンプ回路337bが設けられている。
電源装置400の通常電源部410は、上記のような構成を有する演出制御装置300やそれによって制御される電子部品に対して所望のレベルの直流電圧を供給するため、モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネルからなる表示装置41を駆動するためのDC12V、コマンドI/F331の電源電圧となるDC5Vの他に、LEDやスピーカを駆動するためのDC18Vやこれらの直流電圧の基準としたり電源モニタランプを点灯させるのに使用するNDC24Vの電圧を生成するように構成されている。さらに、主制御用マイコン(1stCPU)311や映像制御用マイコン(2ndCPU)312として、3.3Vあるいは1.2Vのような低電圧で動作するLSIを使用する場合には、DC5Vに基づいてDC3.3VやDC1.2Vを生成するためのDC−DCコンバータが演出制御装置300に設けられる。なお、DC−DCコンバータは通常電源部410に設けるようにしてもよい。
電源装置400の制御信号生成部430により生成されたリセット信号RSTは、主制御用マイコン311、映像制御用マイコン312、VDP313、音源LSI314、ランプやモータなどを駆動制御する制御回路332〜335、スピーカを駆動するアンプ回路337a、337bに供給され、これらをリセット状態にする。また、この実施例においては、映像制御用マイコン312の有する汎用のポートを利用して、VDP313に対するリセット信号を生成して供給する機能を有するように構成されている。これにより、映像制御用マイコン312とVDP313の動作の連携性を向上させることができる。
次に、これらの制御回路において行われる遊技制御について説明する。
遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111Aでは、普図始動ゲート34に備えられたゲートスイッチ34aからの遊技球の検出信号の入力に基づき、普図の当たり判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当たり外れを判定する処理を行う。そして、表示部53の普図表示器に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する普図変動表示ゲームを表示する処理を行う。この普図変動表示ゲームの結果が当たりの場合は、表示部53の普図表示器に特別の結果態様を表示するとともに、普電ソレノイド37cを動作させ、普通変動入賞装置37の開閉部材37b、37bを所定時間(例えば、0.3秒間)上述のように開放する制御を行う。
なお、普図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、表示部53の普図表示器にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
また、始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動入賞(始動記憶)を記憶し、この始動記憶に基づき、第1特図変動表示ゲームの大当たり判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第1特図変動表示ゲームの当たり外れを判定する処理を行う。
また、普通変動入賞装置37に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動記憶を記憶し、この始動記憶に基づき、第2特図変動表示ゲームの大当たり判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第2特図変動表示ゲームの当たり外れを判定する処理を行う。
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、上記の第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの判定結果を含む制御信号(演出制御コマンド)を、演出制御装置300に出力する。そして、特図1表示器51や特図2表示器52に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。
また、演出制御装置300では、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、表示装置41で特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。
さらに、演出制御装置300は、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、盤演出装置44による演出動作、スピーカ19a,19bからの音の出力、各種LEDの発光を制御する処理等を行う。
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、特図変動表示ゲームの結果が当たりの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52に特別結果態様を表示するとともに、特別遊技状態を発生させる処理を行う。
特別遊技状態を発生させる処理においては、CPU111Aは、例えば、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉扉38cを開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う。
そして、大入賞口に所定個数(例えば、10個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定時間(例えば、25秒又は1秒)が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これを所定ラウンド回数(例えば、15回又は2回)継続する(繰り返す)制御(サイクル遊技)を行う。
また、特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
また、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、特別遊技状態の終了後に、遊技状態として確変状態を発生可能となっている。
この確変状態は、特図変動表示ゲームにて当り結果となる確率が、通常確率状態に比べて高い状態(高確率状態)である。また、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームのどちらの特図変動表示ゲームの結果態様に基づき確変状態となっても、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームの両方が確変状態となる。
また、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、特別遊技状態の終了後に、遊技状態として時短状態を発生可能となっている。
この時短状態においては、普図変動表示ゲーム及び普通変動入賞装置37を時短動作状態とする制御を行う。具体的には、時短状態においては、上述の普図変動表示ゲームの実行時間が第1の変動表示時間よりも短い第2の変動表示時間となるように制御され(例えば、10秒が1秒)、これにより、単位時間当りの普通変動入賞装置37の開放回数が実質的に多くなるように制御される。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームが当り結果となって普通変動入賞装置37が開放される場合に、開放時間が通常状態の第1開放時間よりも長い第2開放時間となるように制御される(例えば、0.3秒が1.7秒)。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームの1回の当り結果に対して、普通変動入賞装置37の開放回数が1回の第1開放回数ではなく、2回以上の複数回(例えば、3回)の第2開放回数に設定される。
なお、普図変動表示ゲームの実行時間を第2の変動表示時間(例えば、1秒)とする制御と、普通変動入賞装置37の開放態様を開放時間が第2開放時間(例えば、1.7秒)とし、且つ、普図変動表示ゲームの1回の当り結果に対する開放回数が第2開放回数(例えば、3回)とする制御は、何れか一方のみを行っても良いし、両方を行っても良い。
これにより、普通変動入賞装置37に遊技球が入賞し易くなり、第2特図変動表示ゲームの始動が容易となる。
次に、盤演出装置44の具体的な構成およびその動作について説明する。
図5は盤演出装置44を正面側から見た斜視図、図6は盤演出装置44の分解斜視図、図7は組立て状態の盤演出装置44の背面図である。
図5および図6に示すように、盤演出装置44は、前面および後面が開口され演出用の見せ球が循環可能な「凸」形の空間を形成する枠体445と、該枠体445の内側に配置された横に細長い樋状の揺動部材446と、枠体445の後端面に接合され後端開口部を完全に覆い枠体445の後壁を形成するユニットベース447とを備える。図示しないが、枠体445の前端面には前端開口部を完全に覆う透明なプレートが接合され、枠体445の内側に外部と完全に分離された空間を形成するように構成されている。透明なプレートを設ける代わりに、遊技盤前面のガラス基板で枠体445の前端開口部を覆うように構成しても良い。
上記ユニットベース447の中央には、円形の収納凹部447aが形成され、その中心には回転軸447cが前方へ向かって立設され、該回転軸447cには球保持部448a,448bを有する回転体448の中心に設けられた貫通孔448cが挿通され、回転軸447cによって回転体448が回転自在に支承されるようになっている。そして、貫通孔448cを貫通し前方へ突出した回転軸447cの先端に前記揺動部材446の中央の軸穴446aが挿入され、揺動部材446は回転軸447cを中心にしてシーソーのように、左右両端が上下に揺動するように構成されている。また、揺動部材446はその底壁が見せ球の転動面として機能し、その転動面の前後両側には球転動方向に沿って見せ球の半径よりも高い起立壁としての前壁と後壁が設けられ、全体として樋状に形成されている。
つまり、本実施形態の回転体ユニット(盤演出装置44)は、揺動部材に、球が転動可能な転動面が形成され、該転動面の少なくとも前側には球転動方向に沿って球の半径より高い起立壁が形成されていることとなる。従って、回転体とは別の駆動源で回動される揺動部材の転動面上を球が転動するので、回転体の動きとは異なる球の動きが生じることにより、球の動きに対する遊技者の注意を惹きつけて興趣を高めることができる。また、揺動部材の転動方向と並行した側面に球の半径より高い起立壁が形成されているため、揺動部材の転動面上を頻繁に転動する球が回転体ユニット(盤演出装置44)の前面を覆う部材に接触するのを回避して、汚れや傷がつくのを防止することができる。
一方、上記回転体448は左右両方向に回転可能に構成されており、その背面には、前面に取付け用受け部449aが設けられ中心に前記回転軸447cが挿通可能な貫通孔449cが形成されたギヤ449が接合、固定され、回転体448はギヤ449と一体に回転されるようになっている。また、ギヤ449は回転体448に形成されている球保持部448aと448bの背面側のカバーとしても機能するようになっている。これにより、スペース効率を高めている。
つまり、本実施形態の回転体ユニット(盤演出装置44)は、回転体には駆動源(モータ443)よりギヤを介して動力が伝達されており、前記ギヤは、前記回転体に隣接して配置されることで前記球保持部の開口の一部を塞ぐ壁体を兼用するように構成されている。これにより、球保持部に壁を設けなくてよいので、その分部品(回転体)の構造が簡易になるとともに、球保持部に壁を設ける場合に比べて壁の分のスペースを節約できるので、ユニット全体の小型化が可能になる。
また、本実施形態においては、上記球保持部448aと448bは、448aの方が448bよりも大きなサイズとされることにより、大きな径の見せ球を保持できるようにされている。また、回転体448の下端は、見せ球の転動面として機能する枠体446の底壁445bよりも低くなるように高さ位置が設定されている。さらに、ユニットベース447の収納凹部447aの側方には円弧状のガイド孔447bが形成され、このガイド孔447bには前記揺動部材446の底壁側部に後方へ向かって突出するように固定された軸446bが挿入されている。
そして、揺動部材446が揺動する際に軸446bはガイド孔447bに沿って移動するようになっており、ガイド孔447bと軸446bとによって揺動部材446の回動範囲規制手段が構成されている。ユニットベース447の下部には、ギヤ450を介して回転体448を回転させる回転駆動源としての回転体モータ443および揺動部材446の揺動駆動源としての揺動部材用モータ444を収納保持するモータ収納部447d,447eが設けられている。回転体モータ443の軸の先端には、図7に示すように、上記ギヤ449と噛み合ってこれを回転させる駆動ギヤ450が固着されている。
このモータ収納部447dと447eとの間の隙間には、上記回転体448前面の球保持部448a,448b内に見せ球が入っているか否かを検出する球保持センサ43bが配置されている。見せ球はプラスチックなど任意の材料で形成することができるが、見せ球が遊技領域32に発射される遊技球と同様な磁性体である場合には、球保持センサ43bは遊技領域で使用されるのと同様な非接触型の磁気センサで構成することができる。
また、ユニットベース447の側部には、図7に示すように、揺動部材446の水平位置を検出するロータリエンコーダとフォトセンサとからなる位置検出センサ44aが設けられている。さらに、ユニットベース447の前記ガイド孔447bと反対側の側部には、図7に示すように、上記ギヤ449と噛み合って回転されるギヤ451が設けられており、その近傍には該ギヤ451に設けられているマーカー(磁性片や透孔などの位置を示す印)を検知することでギヤ449すなわち回転体448の回転位置を検出するための位置検出センサ44aが設けられている。ギヤ451に設けるマーカーは、使用するセンサの種類に応じて適宜選択することができる。例えば、位置検出センサ43aとして、ギヤ451を挟んで対向配置した発光素子と受光素子からなるフォトセンサを使用する場合には、ギヤ451に設けた透孔をマーカーとし、磁気センサを使用する場合には磁性体片をマーカーとして使用すれば良い。
さらに、揺動部材446の後壁中央上端には、回転体448の球保持部448aまたは448bが真上に来た時に、球保持部448a,448b内の見せ球を揺動部材446の転動面となる底壁上に落下可能にするためのV字状の切欠き446cが形成されている。また、揺動部材446の底壁には、図9に示すように、後壁の延長上に下方へ向かって垂下し回転体の下半分を覆うように半円板状のカバープレート446dが設けられ、該カバープレート446dには枠体445の底壁445b上の見せ球を回転体448前面の球保持部448a,448bへ流入可能にするための逆U字状の切欠き446eが形成されている。従って、カバープレート446dは回転体448前面の球保持部448a,448bへの見せ球の流入を防ぐ開口封鎖部として機能する。
なお、上記揺動部材446の後壁のV字状の切欠き446cの端面には、前方に向かって下り傾斜するテーパが形成され、球保持部448a,448b内の見せ球を揺動部材446の底壁上へ流下し易くしている。また、枠体445の底壁445bの後端には、端面に沿って上記カバープレート446dの厚みおよび幅に対応した細長い切欠き445aが形成されており、枠体445の後端面にユニットベース447を接合した時に、カバープレート446cを挿入可能なスリットが形成されるように構成されている。これにより、組立て状態の盤演出装置44において不要な隙間が生じないようになっている。
ここで、回転体448について、図8を用いて詳しく説明する。図8(A)は回転体448を正面側から見た斜視図、図8(B)は回転体448を後方側から見た斜視図である。図8に示されているように、回転体448前面の球保持部448aの外周側の底壁前端には段差部448dが形成され、一旦球保持部448a内へ見せ球が入ると前方へ移動しにくくなるように構成されている。球保持部448bに関しても同様である。また、図8(B)から分かるように、球保持部448a,448bの内周側の壁は、前方へ向かうほど軸穴448aに近づくように傾斜されている。これにより、回転体448が180度回転して例えば球保持部448aが上方に位置した姿勢になると、内部にある見せ球は球保持部448a,448bの内周側の傾斜した壁に沿って前方へ移動して揺動部材446の転動面上に流下するように構成されている。さらに、回転体448の背面には、図8(B)に示されているように、前記ギヤ449の前面の取付け受け部449aと係合可能な取付けボス部448eが設けられている。
上記のように構成された盤演出装置44は、枠体445の内側の空間が揺動部材446によって、該揺動部材446とほぼ同一の横幅を有する上空間領域と、該上空間よりも左右に球1つ分以上それぞれ広い下空間領域とに分割される。そして、下空間に存在する見せ球は、回転体448がその球保持部448aまたは448bが下方に位置しカバープレート446cの逆U字状の切欠き446eと一致した状態になると、球保持部448aまたは448bに流入する。なお、一方の見せ球の径を、形状の大きな球保持部448aよりも小さく、かつ形状の小さな球保持部448bよりも大きくなるようにした場合には、その径の大きな見せ球は、球保持部448aには入るが448bには入らないようにすることができる。
つまり、本実施形態の回転体ユニット(盤演出装置44)の内部空間は、回転体のほぼ中段位置に横長に配置された揺動部材によって上空間領域と下空間領域とに分割され、前記揺動部材の回動に応じて前記上空間領域から下空間領域へ球の流下が可能であり、前記上空間領域においては、前記回転体が回動されて前記球保持部が前記上空間領域の所定位置に来た際に前記球保持部内の球が前記揺動部材の転動面上へ放出可能とされる一方、前記下空間領域においては、前記回転体カバー部材の開口封鎖部により前記球保持部へ球の流入が不能とされ、前記回転体および前記揺動部材がそれぞれ回動されて前記切欠き部と前記球保持部との位置が一致した場合に前記球保持部へ球の流入が可能とされる。これによって、回転体ユニットは、回転体の球保持部から球が放出される上空間領域と、回転体の球保持部へ球が流入する下空間領域とに分かれているため、上空間領域と下空間領域でそれぞれ球が移動可能であるとともに、揺動部材の回動に応じて上空間領域から下空間領域へ球の流下が可能であるためユニット内における球の移動経路が複雑となり、演出効果が高まる。
球保持部448aまたは448bに入った見せ球は、回転体448が180度回転して球保持部448aまたは448bが上方に位置した姿勢になると、前方へ移動してV字状の切欠き446cから揺動部材446上の転動面上に流下し、揺動部材446が揺動されることで左右に転動する。また、揺動部材446上に流下した見せ球は、揺動部材446を大きく揺動させることにより揺動部材446上を左端または右端まで転動して、先端に生じた隙間から下空間へ移動し枠体445の底壁445b上へ流下する。枠体445の底壁445bは中央へ向かって下り傾斜されており、下空間へ移動した見せ球は底壁445bに誘導されて中央へ流下する。上記の動作によって、枠体445内の見せ球は閉ざされた空間内で循環移動することとなる。揺動部材446を揺動させた際に、揺動部材446の先端と枠体445の壁面との間に、大きい方の見せ球の径よりも少し広い隙間が生じるようにガイド孔447bの範囲が設定される。
つまり、本実施形態の回転体ユニット(盤演出装置44)は、ユニット内の上空間領域を形成する回転体ユニットの側壁と揺動部材との間の隙間は球の半径以下とされ、下空間領域を形成する回転体ユニットの側壁と前記揺動部材の端部とは球1つ分以上の間隔を有し、前記揺動部材の側方が前記上空間領域から下空間領域への球の流下部とされ、前記揺動部材の転動面上の球は、前記揺動部材が所定角度以上回動することにより前記上空間領域から前記流下部を通過して前記下空間領域へ移動可能である。
従って、上転動面にある球は揺動部材が所定角度以上回動しなければ下空間領域には移動しないので、演出を実行したいときだけ所望のタイミングで回転体の球保持部へ流入可能である下空間領域へ球を流下させることができ、演出に合わせた球の移動制御を容易かつ確実に行うことができる。また、下空間領域から上空間領域へ球が逆流するのを防止できるとともに、揺動部材の転動面上へ放出した球を比較的長い時間上空間領域に待機させておくことができる。さらに、大小2個の球を回転体ユニット内に封入している場合に、回転体ユニットの側壁と揺動部材との間に小さい方の球のみ通過可能な隙間が生じるように揺動部材の回動角度を調整することで、揺動部材の転動面上へ放出した球のうち小さい方の球を先に下空間領域へ移動させるような演出を行うことができる。
本実施形態の遊技機は、上記のような動作をする盤演出装置44を制御して、回転体448の球保持部448aまたは448bから見せ球を枠体445の上空間に放出させ、さらに上空間内の見せ球を適当なタイミングで下空間へ移動させることにより、遊技機の内部制御状態がどのような状態にあるのかを暗示的に報知するようにしている。また、下空間へ移動した見せ球を回転体448の球保持部448a,448bに回収する際に、球保持部448aまたは448bのいずれに流入させるかで遊技機の内部制御状態を暗示的に報知する演出を行うことも可能である。なお、枠体445内に封入する見せ球は1個でもよいし、2個でもよい。大小複数の見せ球を封入しておくことによって、より複雑な演出を行わせることができる。また、大きさを変える代わりに、色や材質を変えて識別できるように構成しても良い。
上述したように、本実施形態は、遊技球が入賞可能な開状態と、遊技球が入賞不可能な閉状態とに変換可能な変動入賞装置を遊技領域に備え、所定条件の成立に基づき、前記変動入賞装置を開閉動作させる遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる遊技機において、前記遊技領域に、球を保持可能な球保持部を備えた回転体を有する回転体ユニット(盤演出装置44)を備え、前記回転体ユニットは、前記回転体と、前記回転体の前方に揺動可能に配置された揺動部材とを備え、前記回転体と前記揺動部材は、それぞれ異なる駆動源(モータ443,444)により回動可能に構成され、前記揺動部材は、前記回転体の前記球保持部の開口側に配置され球が通過不能な開口封鎖部と、球が通過可能な切欠き部とが形成された回転体カバー部材(カバープレート446d)と、を有し、前記球保持部と前記切欠き部とが重なった場合に球が前記球保持部へ流入可能な流入可能状態となる。
従って、回転体と揺動部材がそれぞれ異なる駆動源により回動可能に構成されているため、回転体と揺動部材が別々に回動されることで球保持部の入口がランダムな場所で流入可能状態となるので、回転体への遊技球の流入タイミングが予測し難くなり、遊技の興趣が高まる。また、回転体の前方に他の駆動源により揺動する揺動部材を設けたので、回転体の回転方向や速度を変化させるなど回転体の動きに制約を与えずに、回転体の球保持部入口と回転体カバー部材の切欠き部との間に球が挟まれてしまう球噛みが発生するのを防止することができる。
以下、上記盤演出装置44を使用した演出の一例について説明する。本実施例では、実行中の変動表示ゲームの停止結果が大当たりを発生する可能性が高いことを演出によって報知するいわゆる予告演出を、上記盤演出装置44を使用して実行する場合について説明する。
図10および図11には、演出制御装置300により予告演出を実行するための制御手順が示されている。このうち、図10は演出制御装置300のメイン処理の中で実行される変動表示遊技(変動表示ゲーム)実行処理、図11は図10の変動表示遊技実行処理の中で実行される回転体予告演出実行処理の詳しい手順を示したものである。なお、図10の変動表示遊技実行処理が実行される前においては、図12(A)または図15(A)に示すように、盤演出装置44では回転体448の球保持部448a、448b内に見せ球が保持されていて前方から見せ球が見えない状態になっているものとする。
変動表示遊技実行処理が開始されると演出制御装置300は、先ず遊技制御装置100から変動開始コマンドを受信したか否か判定する(ステップS11)。ここで、変動開始コマンドを受信していない(ステップS11:No)と判定すると、何もしないで当該変動表示遊技実行処理から抜ける。一方、ステップS11で、変動開始コマンドを受信した(Yes)と判定すると、液晶表示装置41における図柄変動表示を開始する(ステップS12)。それから、当該変動表示遊技は変動中に上記盤演出装置44を使用した回転体予告演出を実行するものであるか否かの判定を行う(ステップS13)。
このステップで、回転体予告演出を実行しない(No)と判定すると次のステップS14をスキップして、ステップS15へ移行し変動停止コマンドを受信しているか否か判定する。このステップS15で変動停止コマンドを受信していない(No)と判定すると、変動停止コマンドを受信するのを待つ。そして、変動停止コマンドを受信した(ステップS15:Yes)と判定すると、図柄変動表示を停止する処理(ステップS16)を行い、当該変動表示遊技実行処理を終了する。一方、ステップS13で、回転体予告演出を実行する遊技である(Yes)と判定すると、回転体予告演出実行処理(ステップS14)を実行する。
回転体予告演出実行処理においては、図11に示すように、先ず回転体448を球保持部内の見せ球を放出可能な位置すなわち球保持部448aが上方に位置する角度まで回動させる(ステップS141)。なお、図5の盤演出装置44による演出においては、内部に封入されている見せ球が1個か2個かによって制御内容が若干異なってくるので、以下、見せ球が1個の場合を第1使用例、2個の場合を第2使用例として説明する。
盤演出装置44の内部に封入されている見せ球が1個である第1使用例の場合には、回転体予告演出実行処理が開始されると、先ずステップS141で、球保持部448aが上方に位置する角度まで回転体448を回動させる。封入されている見せ球が2個である第2使用例の場合には、遊技制御装置100から送られてきたコマンドを参照して球保持部448aまたは448bのどちらの見せ球を放出するか判別し、判別した方の見せ球が排出されるように、回転体448の回転方向を決定してその方向へ回動させる。なお、この回動は、位置検出センサ44aからの信号に基づいて実行される。次に、ステップS142で、揺動部材446を所定の態様で左右に揺動させる。具体的には、揺動部材446を所定の角度範囲内で揺動させて、球保持部448aまたは448bから揺動部材446上へ放出された見せ球を左右に移動させて遊技客の注意を惹きつける。
その後、第2演出段階を実行するタイミングになったか否か判定する(ステップS143)。この判定で、第2演出段階の実行タイミングになっていない場合(ステップS143:No)には、ステップS142へ戻って揺動部材446の揺動を継続する。また、ステップS143で第2演出段階の実行タイミングになったと判定した場合(ステップS143:Yes)には、ステップS144へ移行して、揺動部材446上の見せ球を左または右のいずれの側から下空間へ流下させるかを判定する。なお、変動表示ゲームの結果が大当たりになる場合とならない場合とで、見せ球を流下させる側の確率が異なるようにテーブルを設定しておくことによって、見せ球が揺動部材446の左側から流下したか右側から流下したかによって、変動表示ゲームの結果等に対する遊技客の期待度を異ならせることができる。
上記ステップS144で揺動部材446上の見せ球を右側から下空間へ流下させると判定した場合(ステップS144:Yes)には、揺動部材446の右側が下がるように最大角度まで傾斜させる(ステップS145)。また、ステップS144で揺動部材446上の見せ球を左側から下空間へ流下させると判定した場合(ステップS144:No)には、揺動部材446の左側が下がるように最大角度まで傾斜させる(ステップS146)。これによって、揺動部材446上の見せ球は、所望の側から揺動部材446の下方の空間へ流下させることができる。
続いて、揺動部材446を所定の態様で揺動させるとともに、回転体448を所定の態様で回転させる(ステップS147,S148)。揺動部材446を所定の態様で揺動させるのは、揺動部材446から垂下するカバープレート446dの切欠き446eの位置を左右に揺動させることで、枠体445の底壁445b上を移動する見せ球が回転体448の球保持部448a(または448b)に流入するタイミングを分かりにくくするためである。また、揺動部材446を揺動させることで、カバープレート446dの切欠き446eと回転体448の球保持部の前端との間に見せ球が挟み込まれてしまう球噛みの発生を防止することができる。
なお、盤演出装置44の内部に封入されている見せ球が2個である第2使用例の場合、ステップS148の回転体448の回転制御では、遊技制御装置100から受信した変動開始コマンドに含まれている回転体予告演出のコマンドに基づいて、その回転速度や角度を制御することで見せ球を所望の球保持部へ流入させる制御を行う。見せ球が1個の場合には、変動表示ゲームの結果が大当たりになる場合とならない場合とで、見せ球を球保持部へ流入させる確率が異なるようにテーブルを設定しておくことによって、大小いずれの球保持部へ見せ球が流入したかによって、変動表示ゲームの結果等に対する遊技客の期待度を異ならせることができる。
その後、ステップS149で、球保持センサ43bが球保持部内の見せ球の存在を検出したか否か判定する。ここで、球保持センサ43bが見せ球を検出していない(ステップS149:No)と判定すると、ステップS147へ戻って揺動部材446の揺動と回転体448の回転制御を継続する。一方、球保持センサ43bが見せ球を検出した(ステップS149:Yes)と判定すると、ステップS150へ移行して、例えば球保持部が図12(A)に示すように、カバープレート446dの切欠き446eからずれて前方から見えないような待機位置まで回転体448を回動させて停止する。
次に、盤演出装置44の内部に封入されている見せ球が1個の場合の第1使用例における盤演出装置44の具体的な動作と、封入されている見せ球が2個の場合の第2使用例における盤演出装置44の具体的な動作を、図面を用いて説明する。
第1使用例においては、演出制御開始前にあっては図12(A)に示すように、回転体448の球保持部448a内に見せ球が保持されていて前方から見せ球が見えない状態になっている。次に、図11の変動表示遊技実行処理が開始されると、図12(B)に示すように、球保持部448aが上方へ位置するように回転体448が回動される。すると、揺動部材446の後壁にはV字状の切欠き446cが形成されているとともに、回転体448の球保持部448aの内周側の壁面が前方へ向かって下り傾斜するように形成されているため、図18(B)に示すように、球保持部448a内の見せ球が自重で揺動部材446上へ放出される。なお、このとき揺動部材446は水平な姿勢に維持されている。
その後、図13(A)に示すように、揺動部材446が揺動されると転動面である底壁が傾斜して揺動部材446上の見せ球が移動するが、第1演出段階では揺動部材446は最大傾斜まで回動されない。そのため、揺動部材446の端部と枠体445の壁面との間に充分な隙間が生じないので、揺動部材446上の見せ球が下方の空間へ流下することはない。その後、第2演出段階の実行タイミングになると、図13(B)に示すように、揺動部材446が最大傾斜まで回動されて揺動部材446の端部(図では右側)と枠体445の壁面との間に球1つ分以上の隙間が生じるため、揺動部材446上の見せ球が枠体445の下方の空間へ流下される。
そして、回転体448の回転および揺動部材446の揺動が開始され、球保持部448aとカバープレート446dの切欠き446eとが一致したタイミングで、図14に示すように、枠体445の底壁445b上の見せ球が球保持部448aへ流入することとなるのであるが、回転体448および揺動部材446が別々に回動されるため、流入するタイミングが分かりにくくなる。また、図19(B)に示すように、回転体448の球保持部448aの外周側の壁面が前端に段差部448dが設けられているため、球保持部448a内の見せ球が枠体445の底壁445b上へ戻りにくくすることができる。
第2使用例においては、演出制御開始前にあっては図15(A)に示すように、回転体448の球保持部448a,448b内にそれぞれ大きい見せ球B1と小さい見せ球B2が保持されていて前方から見せ球が見えない状態になっている。次に、図11の変動表示遊技実行処理が開始されると、回転体448が回動される。このとき、球保持部448a,448bのどちらの球保持部内の見せ球を放出したいかによって回転方向が選択される。なお、球保持部448a,448bのどちらから見せ球が放出されるかによって、期待度を異ならせることができる。
例えば球保持部448a内の見せ球B1を放出したい場合は図15(B)に示すように、回転体448は時計回り方向に回転され、球保持部448b内の見せ球B2を放出したい場合は回転体448は反時計回り方向に回転される(図示省略)。この際、他方の球保持部はカバープレート446dの切欠き446eの後方を移動することとなるが、回転体448の下端が枠体446の底壁445bよりも低くなるように高さ位置が設定されているため、球保持部内に保持されている見せ球は、底壁445bの後端によって前方への移動が阻止されるようになっている。
続いて、例えば図16(A)に示すように、球保持部448aが上方へ位置するように回転体448が回動されたとすると、揺動部材446の後壁にはV字状の切欠き446cが形成されているとともに、図18(B)に示すように、回転体448の球保持部448aの内周側の壁面が前方へ向かって下り傾斜するように形成されているため、球保持部448a内の見せ球が自重で揺動部材446上へ放出される。なお、このとき揺動部材446は水平な姿勢に維持されている。
その後、図16(B)に示すように、揺動部材446が揺動されると傾斜して揺動部材446上の見せ球が移動するが、揺動部材446は最大傾斜まで回動されないため、揺動部材446の端部と枠体445の壁面との間に充分な隙間が生じないので、揺動部材446上の見せ球が下方の空間へ流下することはない。その後、第2演出段階の実行タイミングになると、図17(A)に示すように、揺動部材446が最大傾斜まで回動されて揺動部材446の端部(図では左側)と枠体445の壁面との間に充分な隙間が生じるため、揺動部材446上の見せ球が枠体445の下方の空間へ流下される。この際、揺動部材446の左右どちらから見せ球が流下するかによって、期待度を変化させることができる。
そして、回転体448の回転および揺動部材446の揺動が開始され、球保持部448aとカバープレート446dの切欠き446eとが一致したタイミングで、図17(B)に示すように、枠体445の底壁445b上の見せ球が球保持部448aへ流入することとなるのであるが、回転体448および揺動部材446が別々に回動されるため、流入するタイミングが分かりにくくなる。また、図19(B)に示すように、回転体448の球保持部448aの外周側の壁面が前端に段差部448dが設けられているため、球保持部448a内の見せ球が枠体445の底壁445b上へ戻りにくくすることができる。なお、第1使用例とは異なり、第2使用例においては見せ球が流入する球保持部は決まっているため、球保持部へ見せ球を流入させる過程は予告演出の内容に含まれない。
次に、前記実施例の盤演出装置44の第3の使用例について説明する。第3の使用例は、枠体445内に封入された大小2つの見せ球を、一回の変動表示ゲーム中に2つとも放出させるものである。具体的には、先ず小さい方の見せ球を放出させて遊技者に若干期待感を持たせた後、さらに大きい方の見せ球を放出させることで、期待感を上昇させるような演出を行うことができる。
この第3の使用例と前記第2の使用例を織り交ぜたような演出を行うことで、遊技の興趣をさらに高めることができる。なお、この第3の使用例を実行し放出した2つの見せ球を球保持部448a,448bへ回収する場合には、先ず小さな見せ球を球保持部448b内へ回収するように回転体448の回転方向を決定するのがよい。これにより、サイズの大きな方の球保持部448a内へ小さな見せ球が流入して、大きな見せ球を回収することができなくなってしまうのを回避することができる。
次に、前記実施例の盤演出装置44の第4の使用例について説明する。第4の使用例は、枠体445内に封入された見せ球を、複数回の変動表示ゲームに渡った演出中に順次放出させるものである。封入される見せ球は大小2つであるが、一連の演出で放出するのはいずれか一方とする。
具体的には、始動入賞の保留記憶情報の先読みを行い、先読み演出を実行すると判定した場合は、予告対象となる変動表示ゲームの開始前に回転体448から揺動部材446上へ見せ球を放出させて第1段階の予告演出を行う。この際、小さな見せ球を放出するか大きい方の見せ球を放出させるかで遊技者の期待度を異ならせる。その後、予告対象の変動表示ゲームが開始したなら、揺動部材446上に放出されている見せ球を左右いずれかの流下部より枠体445の下方空間へ流下させる。このとき、どちらの経路から見せ球が流下したかで、期待度を異ならせる演出を行うことができる。
次に、上記実施例の盤演出装置44の電源投入時の動作(初期動作確認)について説明する。
図20には、本実施例の盤演出装置44の電源投入時の動作が示されている。本実施例の盤演出装置44は、電源が投入されると例えば図20(A)に示すように球保持部448a,448bに2つの封入球(見せ球)B1,B2がそれぞれ保持された状態(初期状態)から、モータを駆動して回転体448を左右いずれかの方向へ一回転させる。回転体448を一回転させると球保持部448a,448b内の封入球B1,B2はそれぞれ球保持部から揺動部材446へ放出される。このとき封入球B1,B2の順序はどちらが先でも構わない。
その後、揺動部材446を大きく揺動させて上空間から下空間へ封入球B1,B2を流下させる。また、回転体448を回転させて、図20(B)に示すように球保持部448bを最も低い位置に移動させる。なお、回転体448の角度位置は演出モータスイッチ(モータ位置センサ)43aからの信号によって知ることができる。すると、小さな封入球B2が先に切欠き446eに到達していれば、球B2が回転体カバープレート446dの切欠き446eより球保持部448b内へ流入して保持される。一方、大きい封入球B1が先に切欠き446eに到達していれば、封入球B1は球保持部448b内へ流入できず流下管442内に残留する。
そこで、次に回転体448を反時計回り(左回り)方向へ回転させて、図20(C)に示すように球保持部448aを最も低い位置に移動させる。すると、下空間内の大きな封入球B1が球保持部448a内へ流入する。その後、回転体448を反時計回り(左回り)方向へ回転させて、図20(D)に示すように再度球保持部448bを最も低い位置に移動させる。すると、封入球B2が後から切欠き446eに到達した場合であっても、下空間内の封入球B2が球保持部448b内へ流入して保持される。
上記のようにして、2つの封入球B1,B2を回転体448の球保持部448a,448b内に回収した後に、回転体448を反時計回り(左回り)方向へ回転させて図20(A)に示すような初期状態に戻す。このように、上記実施形態の盤演出装置(回転体ユニット)44を備えた遊技機において、上記のような電源投入時動作で封入球が回転体の球保持部に収納される初期状態に戻った状態で電源を遮断することで、搬送中に演出用の封入球が盤演出装置内を移動して暴れて部品が損傷するのを防止することが出来る。
さらに、上記のような電源投入時の動作がなされている間は、例えば盤装飾装置42の赤色ランプを点灯させ、電源投入時動作が終了すると盤装飾装置42の青色ランプを点灯させる。このような表示を行うことによって、工場出荷時の点検において、電源を投入してから盤装飾装置42のランプが赤色から青色へ変化するのを待ってから電源をオフすることで、盤演出装置44を、確実に2つの封入球B1,B2を回転体448の球保持部448a,448bに保持させた初期状態に設定することができる。また、盤装飾装置42のランプが赤、青、黄の3色を有する場合には、電源投入直後は赤色を点灯し、盤演出装置44の動作中は黄色を点灯し、動作終了後に青色を点灯させることによって誤って動作中に電源が遮断されて初期状態に戻らなくなるのを回避することができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、回転体ユニットの枠体445の側壁と揺動部材446の端部との隙間が、上空間側と下空間側とで異なるように枠体445を階段状に形成しているが、段差はなくても良い。また、枠体445の側壁と揺動部材446の端部との隙間から見せ球を流下させる代わりに、揺動部材446の端部に近い部位の底壁に見せ球が通過可能な大きさの開口を形成するとともに、その内側に外側に向かって高くなるようなスロープを形成し、小さな揺動では見せ球はスロープを越えられず、大きな揺動になるとスロープを越えるように設定しても良い。
さらに、前記実施形態では、球保持部を有する回転体を備え見せ球を使用した演出を行う回転体ユニットとして、閉鎖された空間に封入された見せ球を循環させて演出を行うように構成された盤演出装置44について説明したが、本発明に係る回転体ユニットは、遊技領域を流下する遊技球が飛び込んで回転体の球保持部に流入するか否かを演出として見せるように構成された電動役物装置にも適用することができる。
なお、本発明の遊技機は、前記実施の形態に示されるようなパチンコ遊技機に限られるものではなく、例えば、その他のパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機などの遊技球を使用する全ての遊技機に適用可能である。また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。