JP2011244752A - 魚釣用スピニングリール - Google Patents

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Abstract

【課題】外部からの衝撃や荷重を受けてもベールやベール支持部材等が損傷することがなく、かつベール操作時に操作者に違和感を与えない。
【解決手段】アーム部2およびベール支持部材12Aの対向部位の一方に設けられた円弧状の案内溝15と、他方に設けられ、案内溝15に挿入配置されて当該案内溝15内をベール支持部材12Aの反転操作に連動して移動する移動部材16と、案内溝15の一端側の所定位置に配置され、ベール支持部材12Aを釣糸巻取位置に保持する当接部材と、を備え、当接部材は、付勢手段により移動部材16に向けて付勢されて所定位置に位置決めされており、付勢手段による付勢力F1と、振分け付勢ばね23の付勢力F2との関係がF1>F2であり、当接部材は、外部負荷入力により、移動部材16の押圧力が付勢力F1よりもさらに大きくなった場合に、付勢手段に抗して案内溝15の一端に向けて移動可能に構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、魚釣用スピニングリールに関する。
従来の一般的な魚釣用スピニングリールでは、ハンドルにより回転駆動されるロータにベールが付設されており、このベールを介して繰り出された釣糸の巻き取るように構成されている。
ところで、ベールやベール支持部材は、オシレーティング機構によって往復動するスプールの周りを回転駆動されて、巻き上げた釣糸をスプールに巻回する構成であるため、例えば、魚釣用スピニングリールの保管時や持ち運び時、あるいは実釣時等においても、外部からの衝撃や荷重を受け易い構造であるといえる。このような外部からの衝撃や荷重がベールやベール支持部材に作用すると、ベールとベール支持部との間に設けられるラインローラ部を含めて、各部位や接合箇所等において損傷が生じる虞がある。
そこで、従来では、このような外部からの衝撃や荷重に対してベールとその周辺を保護するようにしたものとして、例えば、超弾性部材によりベールを構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、熱可塑性エラストマー樹脂材料によりベール支持部材を形成して、外部からの衝撃等を吸収するようにした技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、例えば、ベールを巻取位置に戻した際の衝撃を緩和して、衝撃音を抑制するようにしたものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−342130号公報 特開2007−110965号公報 実開平4−129767号公報
前記特許文献1では、ベールを超弾性部材で構成しているので、外部からの衝撃や荷重を受けた際にベールが変形可能であり、この変形によって衝撃や荷重を吸収することができる。しかしながら、その反面、ベールの剛性が不足してしまい、ベール操作時に、操作者に対して違和感を与えるとともに操作し難いという問題がある。
また、前記特許文献2では、ベール支持部材を熱可塑性エラストマー樹脂製としてあるので、外部からの衝撃や荷重に対して、ベール支持部材が変形して衝撃や荷重を吸収することができるが、ベール支持部材の部品精度や温度による形状変化等に対処するために、高精度でベール支持部材を製造することが難しいという問題がある。
また、前記特許文献3では、釣糸巻取位置に移行する際のベール支持部を弾性的に受け止めつつ、移行する際の移動速度を抑えた状態でストッパ機構が作動するようにした構造が開示されているのみであり、釣糸巻取位置に移行した後に、外部からの衝撃や荷重を受けた場合に対する損傷対策がなされているものではない。
本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、外部からの衝撃や荷重を受けた場合にベールやベール支持部材等が損傷することがなく、かつベール操作時に操作者に違和感を与えることのない魚釣用スピニングリールを提供することを課題とする。
このような課題を解決する本発明の魚釣用スピニングリールは、リール本体と、前記リール本体に設けられ、ハンドルの巻き取り操作に連動回転するロータとを有し、前記ロータのアーム部に、釣糸案内部を有するベール支持部材を釣糸巻取位置と釣糸放出位置とに反転自在に回動支持するとともに、前記ベール支持部材を前記両位置のそれぞれに振分け付勢ばねにより振分け付勢保持した魚釣用スピニングリールにおいて、前記アーム部およびベール支持部材の対向部位の一方に設けられた円弧状の案内溝と、他方に設けられ、前記案内溝に挿入配置されて当該案内溝内を前記ベール支持部材の反転操作に連動して移動する移動部材と、前記案内溝の一端側の所定位置に配置され、前記移動部材に当接して前記ベール支持部材を釣糸巻取位置に保持する当接部材と、を備え、前記当接部材は、付勢手段により前記移動部材に向けて付勢されて前記所定位置に位置決めされており、前記付勢手段による付勢力をF1、前記振分け付勢ばねによる付勢力をF2とすると、これらの関係がF1>F2であり、前記当接部材は、外部負荷入力により、前記移動部材の押圧力が前記付勢力F1よりもさらに大きくなった場合に、前記付勢手段に抗して前記案内溝の一端に向けて移動可能に構成されていることを特徴とする。
ここで、付勢力F1は、実釣時において、ベールを釣糸放出位置から釣糸巻取位置に手で回動操作した際の(多少の勢いをつけて回動操作した際を含む)、移動部材の当接力(振分け付勢ばねの付勢力)に抗する大きさであり、かつ、外部負荷入力により移動部材の前記当接力よりもさらに大きな押圧力で当接部材が押圧された場合に、その押圧力を受けて移動部材を一端側に向けて移動可能とする大きさに設定されている。
この魚釣用スピニングリールによれば、案内溝の一端側に配置された当接部材は、付勢手段により移動部材に向けて付勢されて所定位置に位置決めされており、付勢手段による付勢力をF1、振分け付勢ばねによる付勢力をF2としたときに、これらの関係がF1>F2であるので、振分け付勢ばねの付勢力F2を受けて釣糸巻取位置に向けて振分けられた移動部材は、当接部材に突き当たるようにして当接し、所定位置に停止して保持される。これによって、ベール支持部材が所定の釣糸巻取位置に保持される。
そして、当接部材は、外部負荷入力により、移動部材の押圧力が前記付勢力F1よりもさらに大きくなった場合(振分け付勢ばねの付勢力F2に外部負荷入力が付加された押圧力が付勢力F1よりも大きくなった場合)に、付勢手段に抗して案内溝の一端に向けて移動可能に構成されているので、次のように作用する。
つまり、外部からの衝撃や荷重がベール支持部材に入力され、この入力の付加により、押圧部材から当接部材に作用する押圧力が付勢力F1よりもさらに大きなものとなると、移動部材が当接部材を押圧して、当接部材が案内溝の一端に向けて移動される。これにより、ベール支持部材が釣糸巻取位置を超えて釣糸放出位置と反対側に向けて回動することとなる。つまり、付勢力F1よりもさらに大きな押圧力を生じるような外部からの衝撃や荷重をベールやベール支持部材が受けた場合にのみ、釣糸巻取位置から釣糸放出位置と反対側にベール支持部材が回動するようになっている。
なお、外部負荷入力がなくなると、付勢力F1によって移動部材が所定位置に戻され、ベール支持部材が釣糸巻取位置に復帰することとなる。
また、本発明では、前記当接部材における前記移動部材との当接部位に、金属製の介設部材が介設されていることを特徴とする。
この魚釣用スピニングリールによれば、移動部材が当接部材に当接して所定位置に保持される際に、移動部材が介設部材に当接することとなり、当接時に金属音を発生する。
また、介設部材の内側に中空部を設けることで、当接時にこの中空部が空気振動用の空間として機能する。
本発明によれば、当接部材は、外部負荷入力により、移動部材の押圧力が付勢力F1よりもさらに大きくなった場合に、付勢手段に抗して案内溝の一端に向けて移動可能に構成されており、ベール支持部材が釣糸巻取位置を超えて釣糸放出位置と反対側に向けて回動するようになっているので、外部からの衝撃や荷重をベール支持部材が受けた場合には、この衝撃や荷重のエネルギを十分に和らげて吸収することができ、ベールやベール支持部材、あるいはロータのアーム部等の耐衝撃性能、耐荷重性能を向上させることが可能となる。これにより、ベールやベール支持部材、あるいはロータのアーム部等に変形や損傷が生じるのを好適に防止することができる。
また、付勢手段による付勢力F1と、振分け付勢ばねによる付勢力F2との関係がF1>F2であるので、通常のベール操作において、釣糸放出位置から釣糸巻取位置にベール支持部材を回動させた場合には、前記関係から移動部材が当接部材に突き当たるように当接して所定位置に好適に停止して保持される。したがって、ベール支持部材が釣糸巻取位置に好適に位置決めされ、ベール操作時において、操作者に対して違和感を与えることもない。
また、通常のベール操作においては、前記関係から、移動部材が当接部材に突き当たるように当接するので、当接時の復帰音(反転音)にも違和感がない。
また、当接部材における移動部材との当接部位に、金属製の介設部材を介設した構成では、移動部材が介設部材に当接して所定位置(釣糸巻取位置)に保持される際に、金属音を発生するので、ベール支持部材が釣糸巻取位置に位置決めされたことを音により確認することができ、ベール操作時に、手元をいちいち目視確認する必要がなくなる。したがって、使い勝手がよく操作性に優れた魚釣用スピニングリールが得られる。
また、介設部材の内側に中空部を設けることで、当接時にこの中空部が空気振動用の空間として機能するので、当接時に空気振動が励起され、優れた操作音を発する。これにより、ベール支持部材が釣糸巻取位置に位置決めされたことがより一層確認しやすくなり、操作性がより向上する。
本発明の第1実施形態に係る魚釣用スピニングリールの構成を示す一部断面側面図である。 (a)は釣糸巻取位置にある状態のアーム部およびベール支持部材を示す一部断面側面図、(b)は図2(a)の状態における反転復帰機構の説明図である。 (a)は釣糸巻取位置から釣糸放出位置へベール支持部材が回動する途中の状態を示す一部断面側面図、(b)は図3(a)の状態における反転復帰機構の説明図である。である。 (a)は釣糸放出位置にある状態のアーム部およびベール支持部材を示す一部断面側面図、(b)は図4(a)の状態における反転復帰機構の説明図である。 外部からの衝撃や荷重を受けたときの作用説明図である。 本発明の第2実施形態に係る魚釣用スピニングリールにおいて、釣糸巻取位置にある状態のアーム部およびベール支持部材を示す一部断面側面図である。 変形例を示す一部断面側面図である。
以下、本発明に係る魚釣用スピニングリールの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前後」を言うときは、図1に示した方向を基準とする。
図1に示すように、主として、魚釣用スピニングリールは、図示しない釣竿に装着するための脚部1Aが形成されたリール本体1と、リール本体1の前方に回転可能に設けられたロータ2と、このロータ2の回転運動と同期して前後方向移動可能に設けられたスプール3とを有して構成される。
リール本体1には、図示しない軸受を介してハンドル軸4が回転可能に支持されており、その図示しない突出端部には、巻き取り操作されるハンドル5が取り付けられている。ハンドル軸4には、図示しない軸筒が、回り止めされて固定されており、この軸筒には、ロータ2を巻き取り駆動するための内歯が形成されたドライブギヤ6が一体的に形成されている。このドライブギヤ6は、ハンドル軸4と直交する方向に延出するとともに内部に軸方向に延出する空洞部を有する駆動軸筒8のピニオンギヤ8aに噛合している。
駆動軸筒8は、軸受を介して回転可能に支持されており、その空洞部には、ハンドル軸4と直交する方向に延出し、先端側にスプール3を取り付けたスプール軸9が、軸方向に移動可能に挿通され、支持されている。
スプール軸9の後部側は、スプール軸9を前後動させるためのオシレーティング機構10が設けられている。オシレーティング機構10は、リール本体1内に回転可能に支持され、スプール軸9と平行に延出する螺軸(ウォームシャフト)10aと、スプール軸9の後部に回転不能で軸方向移動可能に固定される摺動子10bとを備えている。螺軸10aの前端部には、ピニオンギヤ8aと噛合する連動歯車11が設けられており、前記したハンドル5を回転操作することで、螺軸10aは、ドライブギヤ6、ピニオンギヤ8aおよび連動歯車11を介して回転駆動される。そして、螺軸10aの周面には、軸方向に沿って螺旋状の図示しないカム溝が形成されており、このカム溝に、摺動子10bに収容保持された係合ピン(図示せず)が係合することで、スプール軸9(スプール3)は、ハンドル5の巻き取り操作により前後に往復動されるようになっている。
駆動軸筒8はスプール3側に向けて延出しており、その前端部において、図示しないナットを介してロータ2が取り付けられている。また、駆動軸筒8には、その中間部分に転がり式の図示しない一方向クラッチが取り付けられており、リール本体1の外部に取り付けられた図示しない切換部材を回動操作することで、この一方向クラッチを作動状態と非作動状態とに切り換えるように構成されている。この場合、切換部材を作動状態に切り換えることで、ハンドル5(ロータ2)の逆転方向の回転(釣糸放出方向の回転)が防止されるようになっている。
ロータ2は、スプール3のスカート部3a内に位置する円筒部2aと、一対のアーム部2A,2Bを具備している。各アーム部2A,2Bの前端部には、ベール支持部材12A,12Bが釣糸巻取位置と釣糸放出位置との間で回動自在に支持されており、これらのベール支持部材12A,12B間には、放出状態にある図示しない釣糸をピックアップするためのベール13が配設されている。ベール13は、一方の基端部がベール支持部材12Aに一体的に設けられた釣糸案内部2bに取り付けられており、他方の基端部がベール支持部材12Bの先端部2cに取り付けられている。
スプール3は、スカート部3aと前側フランジ3bとの間に図示しない釣糸が巻回される釣糸巻回胴部3cを備えており、スプール軸9に図示しないドラグ機構を介して摩擦結合され、ノブ3dを回動操作することでスプール3のドラグ力が調節される。
このような構成によって、ハンドル5を巻き取り操作することで、ロータ2がドライブギヤ6およびピニオンギヤ8aを介して回転駆動され、かつスプール3がピニオンギヤ8aおよびオシレーティング機構10を介して前後動され、図示しない釣糸は、釣糸案内部2bを介してスプール3の釣糸巻回胴部3cに均等に巻き付けられる。
ベール支持部材12Aは、図1,図2(a)に示すように、その回動基部121がピン14によって軸支され、アーム部2Aに対して回動可能に設けられている。また、ベール支持部材12Bは、図1に示すように、アーム部2Bに設けられた図示しないピンによって軸支され、アーム部2Bに対して回動可能に設けられている。
そして、ベール支持部材12A,12Bは、アーム部2Aに設けられた付勢機構20によって、釣糸巻取位置(図2(a)参照)または釣糸放出位置(図4(a)参照)に保持されようになっている。
ベール支持部材12Aを支持しているアーム部2Aには、ベール支持部材12Aの回動基部121と対応する部位に、図2(a)に示すように、円弧状の案内溝15が設けられている。案内溝15には、ベール支持部材12A側に設けられた移動部材16が挿入配置されており、この移動部材16は、ベール13を回動操作等した際のベール支持部材12Aの回動に連動して、後記するように、案内溝15内の2つの位置(釣糸巻取位置、釣糸放出位置)の間を移動可能に設けられている。
案内溝15の一端部15aは、他の部分(一端部15a以外の部分)よりも溝幅が大きく形成されており、この溝幅の大きく形成された一端部15aに、付勢手段として機能する金属製の板状のばね部材17が縮設配置されている。ばね部材17は、略U字形状を呈しており、移動部材16に対向する側に配置される腕部17a(当接部材として機能する)が案内溝15の段差部15bに当接して、一端部15a内に配置されている。
本実施形態では、このように段差部15bに当接した状態の腕部17aに移動部材16が当接した状態で、ベール支持部材12Aが釣糸巻取位置に位置決めされるように設定されている。なお、これとは反対側となる案内溝15の他端部15cに移動部材16が当接した状態で、ベール支持部材12Aが釣糸放出位置(図4(a)参照)に位置決めされるようになっている。
付勢機構20は、図2(a)に示すように、有底円筒状の揺動部材21と、振分け部材22と、振分け付勢ばね23とを備えている。揺動部材21は、支軸21aを介してアーム部2Aに揺動可能に取り付けられており、振分け部材22の後端側をスライド自在に保持する。
振分け部材22は、棒状の部材であり、アーム部2A側とベール支持部材12A側とを接続している。振分け部材22の前端22aは、ベール支持部材12A側に折り曲げられて(図1参照)、ベール支持部材12Aの回動基部121(図1参照)に設けられた穴部122に挿入支持されている。一方、振分け部材22の後端側は、前記したように揺動部材21に挿入され、揺動部材21を介してアーム部2Aに支持されている。
振分け付勢ばね23は、前端部が振分け部材22に固着されたばね受部22bに保持されるとともに、後端部が揺動部材21の底部21bに保持されており、これらの間に縮設配置されている。
このような付勢機構20は、前記した揺動部材21、振分け部材22および振分け付勢ばね23が協働して、ベール支持部材12Aを釣糸巻取位置と釣糸放出位置との2つの位置に振分けるようになっている。
図2(a)において、ベール支持部材12Aは、振分け付勢ばね23の付勢力によって釣糸巻取位置に振分け保持された状態を示しており、この状態において、振分け付勢ばね23は、ベール支持部材12Aに対し、これを図2(a)中ピン14を中心に反時計回り方向X1で回転させるように付勢力を付与している。そして、この釣糸巻取位置から、手動でベール13およびベール支持部材12A,12B(図1参照、以下同じ)を振分け付勢ばね23の付勢力に抗して図2(a)中時計回り方向X2に回動させると、振分け部材22は、ベール支持部材12Aとともに移動しながら、振分け付勢ばね23を圧縮させつつ揺動部材21の支軸21aを中心に揺動する(図3(a)参照)。
その後、付勢機構20のデッドポイント(ピン14の中心と支軸21aの中心とを結んだ図示しない線上に振分け部材22の軸心が重なるポイント)を越える領域までベール支持部材12Aが時計回り方向X2に回動されると、振分け付勢ばね23は、ベール支持部材12Aに対しこれを図中時計回り方向X2に回転させるように(釣糸放出位置へ回動させるように)付勢力を付与するようになる。これにより、ベール支持部材12Aは、この振分け付勢ばね23の付勢力によって、釣糸放出位置に向けて回動され、前記した移動部材16が案内溝15の他端部15cに当接する位置で移動部材16の移動が規制されて、釣糸放出位置に反転保持される。
逆に、釣糸放出位置から、手動でベール支持部材12Aを振分け付勢ばね23の付勢力に抗して回動させ、付勢機構20の前記したデッドポイントを越える領域までベール支持部材12Aを反時計回り方向X1に回動すると、振分け付勢ばね23は、ベール支持部材12Aに対しこれを図中反時計回り方向X1に回転させる方向(釣糸巻取位置へ回動させる方向)で付勢力を付与するようになる。これによって、ベール支持部材12Aは、釣糸巻取位置に向けて回動され、前記した移動部材16がばね部材17の腕部17aに突き当たる位置で回動が停止されて、釣糸巻取位置に復帰保持される。
ここで、案内溝15に設けられたばね部材17の付勢力をF1とし、付勢機構20の振分け付勢ばね23の付勢力をF2とすると、本実施形態では、これらの関係がF1>F2となるように設定されており、ばね部材17の腕部17aは、付勢力F1よりもさらに大きな押圧力(付勢力F2に外部負荷入力の付加された押圧力)で移動部材16により押圧された場合に、付勢力F1に抗して案内溝15の一端に向けて移動可能に構成されている。
つまり、付勢力F1は、実釣時において、ベール13を釣糸放出位置から釣糸巻取位置に手で回動操作した際の(多少の勢いをつけて回動操作した際を含む)、移動部材16の当接力(振分け付勢ばね23の付勢力F2)に抗する大きさを有しており、かつ、付勢力F1よりもさらに大きな押圧力でばね部材17の腕部17aが移動部材16によって押圧された場合に、その押圧力を受けて移動部材16を一端に向けて移動可能とする大きさに設定されている。
具体的に、図5に示すように、ばね部材17の無負荷状態の全長をL1、ばね部材17を案内溝15に装着された状態の全長をL1’、全長差をΔL1、としたときに、全長差ΔL1は、
ΔL1 = L1 − L1’
で求められ、ばね部材17のばね定数をk1とすると、ばね部材17の付勢力F1は、
F1 = k1 × ΔL1
で求められる。
一方、振分け付勢ばね23の無負荷状態の全長をL2、振分け部材22に装着された状態の全長をL2’、全長差をΔL2、としたときに、全長差ΔL2は、
ΔL2 = L2 − L2’
で求められ、振分け付勢ばね23のばね定数をk2とすると、振分け付勢ばね23の付勢力F2は、
F2 = k2 × ΔL2
で求められる。
ここで、付勢力F1よりもさらに大きな押圧力でばね部材17の腕部17aが移動部材16によって押圧された場合とは、外部からの衝撃や荷重がベール13やベール支持部材12Aに入力され、付勢力F2に外部負荷入力を加えてなる押圧力が付勢力F1よりもさらに大きくなって、これが移動部材16を介してばね部材17の腕部17aに作用した場合である。なお、外部からの衝撃や荷重は、実釣時、運搬時あるいは保管時等において、不慮の入力としてベール13やベール支持部材12Aに作用することがある。
なお、外部からの衝撃や荷重が入力された場合の作用については後記する。
アーム部2Aの後端部には、図2(a)(b)に示すように、反転復帰機構30が配設されている。この反転復帰機構30は、ハンドル5(図1参照、以下同じ)の巻取操作に連動してベール支持部材12A,12Bを釣糸放出位置から釣糸巻取位置へ自動復帰させる機構であり、付勢機構20の振分け部材22の後端部22cが当接するようになっており、この当接に連動して作動するようになっている。
反転復帰機構30は、ピン部材31に支持されて、ピン部材31を中心として回動可能に設けられた係合部材32と、係合部材32に設けられたローラ33と、係合部材32の回動を規制する規制部34とを備えている。
係合部材32は、付勢機構20の振分け部材22が当接する当接部32aと、ローラ33が支持される基端部32bとを有しており、ピン部材31を中心としてばね31aによって規制部34に当接する方向に付勢されている。当接部32aには、図3(a)(b)に示すように、手動でベール支持部材12Aを釣糸巻取位置から釣糸放出位置へ回動操作する途中において、付勢機構20の振分け部材22の後端部22cが側方から当接するようになっており、さらなるベール支持部材12Aの釣糸放出位置へ向けた回動操作により、当接部32aは、振分け部材22の後端部22cで押圧されるように構成されている。
係合部材32は、このような押圧によって、ピン部材31を中心として、図3(b)中矢印Y2方向に回動され、釣糸放出位置までベール支持部材12Aが回動操作された状態では、図4(b)に示すように、基端部32bがリール本体1の前端部1aに向けて突出する状態に保持される。これにより、基端部32bのローラ33は、リール本体1の前端部1aに近接配置されるようになっている。
ここで、リール本体1の前端部1aには、ローラ33に対向する位置に突出部1bが設けられている。この突出部1bは、前記のようにリール本体1の前端部1aに向けて突出したローラ33に当接可能であり、このローラ33の当接によって係合部材32を図4中矢印Y1方向に回動させるように機能する。
突出部1bは、ローラ33の移動方向に沿う周方向に高低差を形成した緩やかな湾曲傾斜面1cを有しており、ロータ2が回動操作された際に(釣糸放出位置においてハンドル5が回動操作され、図4(b)中白抜き矢印Kで示す方向にロータ2が回動した際に)、この湾曲傾斜面1c上をローラ33が移動して乗り越えるように構成されている。ローラ33は、この湾曲傾斜面1cに乗り上げるようにして当接可能であり、突出部1bをローラ33が乗り越えることで、係合部材32に対して図4中矢印Y1方向の回動力を付与する。
このような反転復帰機構30では、図4(a)(b)に示すように、釣糸放出位置においてハンドル5が回動操作され、図4(b)中白抜き矢印Kで示す方向にロータ2が回動されると、リール本体1の前端部1aに向けて突出したローラ33が突出部1bに当接して湾曲傾斜面1cに乗り上げ、湾曲傾斜面1c上を移動する過程で、ローラ33がアーム部2A側に押圧される。これにより、係合部材32が図4(b)中矢印Y1方向に回動され、この回動により振分け部材22の後端部22cを押圧して、振分け部材22を前記したデッドポイントに向けて回動させる。
その後、振分け部材22(ベール支持部材12A)がデッドポイントを越える領域まで回動されると、振分け付勢ばね23の付勢力によって、ベール支持部材12Aが図3(a)中矢印X1方向に回動され、ベール支持部材12Aが釣糸巻取位置に復帰する(図2(a)参照)。
なお、係合部材32は、ばね31aで付勢されているので、振分け部材22の回動に追従して図3(b)中矢印Y1方向に回動し、その後、図2(b)に示すように、規制部34に当接して元の位置に復帰する。
なお、図示はしないが、ベール支持部材12B側には、ロータ2に制動力を付与するための機構が設けられており、この機構によってロータ2の不要な回転が防止されて、釣糸ピックアップ位置の変化や釣糸放出操作時のロータ2の回転による誤復帰が解消されるようになっている。
次に、通常のベール支持部材12Aの回動操作、および釣糸巻取位置にベール支持部材12Aが位置決めされている状態において、外部からの衝撃や荷重がベール13やベール支持部材12Aに入力された場合の作用について説明する。
まず、通常のベール13の操作において、釣糸放出位置から釣糸巻取位置にベール支持部材12Aを回動させると、案内溝15内を一端側に向けて移動部材16が移動し、一端側のばね部材17の腕部17aに移動部材16が突き当たるようにして当接する。ばね部材17の付勢力F1は、付勢機構20の振分け付勢ばね23の付勢力F2よりも大きく設定されているので(F1>F2)、移動部材16は、ばね部材17の腕部17aに当接した位置で停止する。これによって、ベール支持部材12Aが釣糸巻取位置に好適に位置決めされることとなる。
ここで、ばね部材17の付勢力F1は、多少の勢いをつけて釣糸放出位置から釣糸巻取位置にベール支持部材12Aを回動操作した場合に生じる移動部材16の当接力よりも大きく設定されているので、多少の勢いをつけてベール支持部材12Aが回動しても移動部材16は所定位置に好適に停止し、ベール支持部材12Aが釣糸巻取位置に好適に位置決めされることとなる。
釣糸巻取位置に移動部材16が位置決めされている状態において、図5に示すように、ベール13やベール支持部材12Aに対して外部負荷入力として衝撃や荷重が入力されると、その衝撃や荷重F3(F3’)は、ベール支持部材12Aを介して移動部材16に入力され、ばね部材17の腕部17aを一端側に押圧する押圧力として作用する。ここで、腕部17aに作用する押圧力をF4とすると、押圧力F4は、
F4 = F3(またはF3’) + F2
となる。このとき、押圧力F4がばね部材17の付勢力F1よりもさらに大きい場合には、移動部材16がばね部材17の腕部17aを押圧して、ばね部材17が収縮する状態となり、その結果、移動部材16が一端に向けて移動することとなる。つまり、ベール支持部材12Aが釣糸巻取位置を超えて釣糸放出位置と反対側に向けて回動することとなり、この回動によって、外部からの衝撃や荷重F3(F3’)のエネルギが十分に吸収されることとなる。
なお、押圧力F4がばね部材17の付勢力F1と同じかあるいは小さい場合には、移動部材16がばね部材17の腕部17aを押圧することなく、移動部材16は所定位置に保持されたままの状態となって、ベール支持部材12Aが釣糸巻取位置に位置決めされた状態が維持される。
すなわち、外部からの衝撃や荷重F3(F3’)を付加した押圧力F4が、ばね部材17の付勢力F1よりも大きくなって初めて、ばね部材17が収縮し、そのエネルギが吸収されるようになっている。
以上説明した本実施形態の魚釣用スピニングリールによれば、ばね部材17の腕部17aは、その付勢力F1よりもさらに大きな押圧力F4で移動部材16により押圧された場合に、付勢力F1に抗して案内溝15の一端に向けて移動可能に構成され、ベール支持部材12Aが釣糸巻取位置を超えて釣糸放出位置と反対側に向けて回動するようになっているので、外部からの衝撃や荷重をベール支持部材12Aが受けた場合には、この衝撃や荷重のエネルギをこの回動により十分に和らげて吸収することができ、ベール13やベール支持部材12A、あるいはロータ2のアーム部2A等の耐衝撃性能、耐荷重性能を向上させることが可能となる。これにより、ベール13やベール支持部材12A、あるいはロータ2のアーム部2A等に変形や損傷が生じるのを好適に防止することができる。
また、ばね部材17の付勢力F1と、振分け付勢ばね23の付勢力F2との関係が、F1>F2であるので、通常のベール13の操作において、釣糸放出位置から釣糸巻取位置にベール支持部材12A(12B)を回動させた場合には、前記関係から、移動部材16がばね部材17の腕部17aに突き当たるようにして当接して、所定位置に好適に保持されることとなり、ベール支持部材12Aが釣糸巻取位置に好適に位置決めされることとなる。したがって、ベール13の操作時において、操作者に対して違和感を与えることもない。
また、通常のベール13の操作においては、前記関係から、移動部材16がばね部材17の腕部17aに突き当たるように当接するので、当接時の復帰音(反転音)にも違和感がない。
また、ばね部材17は金属製であるので、移動部材16がばね部材17の腕部17aに突き当たる際に、金属音を発生するので、ベール支持部材12A(12B)が釣糸巻取位置に位置決めされたことを音により確認することができ、ベール13の操作時に、手元をいちいち目視確認する必要がなくなる。したがって、使い勝手がよく操作性に優れた魚釣用スピニングリールが得られる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図6に示すように、ばね部材17と移動部材16との間に、金属製の当接部材として機能する介設部材18を介設した点が前記第1実施形態と異なっている。
図6に示すように、介設部材18は、案内溝15の段差部15bに係合する段付き形状を呈しており、ばね部材17の腕部17aに付勢されて、段差部15bに係止されている。この場合、段差部15bに係止された状態で、介設部材18の対向部に移動部材16が突き当てられることで、ベール支持部材12Aが釣糸巻取位置に位置決めされるようになっており、介設部材18を案内溝15内に介設する分、案内溝15の一端15dが溝方向に長く延設されている。これにより、ばね部材17の所望の付勢力F1が介設部材18に付与されるように構成されている。
このような魚釣用スピニングリールによれば、第1実施形態で説明した作用効果の他に、金属製の介設部材18を介設した構成であるので、移動部材16が介設部材18に突き当たるようにして当接する際に、金属音を発生するので、ベール支持部材12Aが釣糸巻取位置に位置決めされたことを音により確認することができ、ベール13の操作時に、手元をいちいち目視確認する必要がなくなる。したがって、使い勝手がよく操作性に優れた魚釣用スピニングリールが得られる。
図7は変形例を示す一部断面側面図であり、介設部材18の内側には、中空部18aが形成されている。
中空部18aは、介設部材18内に密閉して形成してもよいし、外部と連通するように形成(孔やスリットとして形成)してもよい。外部と連通するように中空部18aを形成した場合には、介設部材18の形成が簡単である。また、中空部18aの形状や数は任意に設定することができる。
この変形例によれば、介設部材18の内側に中空部18aを設けることで、当接時にこの中空部18aが空気振動用の空間として機能するので、移動部材16の当接時に空気振動が励起され、優れた操作音を発する。これにより、ベール支持部材12A(12B)が釣糸巻取位置に位置決めされたことがより一層確認しやすくなり、操作性がより向上する。
また、前記実施形態では、付勢力F1は、ばね部材17(板ばね)の弾性復元力によって発生させているが、本発明はこれに限られることはなく、コイルスプリングや皿ばね、ゴムなどの弾性体を用いて発生させてもよい。
また、前記実施形態では、アーム部2Aに案内溝15を設け、ベール支持部材12Aに移動部材16を設けたが、これに限られることはなく、これとは逆に、アーム部2Aに移動部材16を設け、ベール支持部材12Aに案内溝15を設けてもよい。
また、ベール支持部材12B側に、案内溝15やベール支持部材12Aに設けた移動部材16を設けてもよく、ベール支持部材12B側のみでも、ベール支持部材12A側とベール支持部材12B側の両方に設けてもよい。
1 リール本体
2 ロータ
2A アーム部
2B アーム部
12A ベール支持部材
12B ベール支持部材
13 ベール
15 案内溝
16 移動部材
17 ばね部材(付勢手段)
17a 腕部
18 介設部材
18a 中空部
20 付勢機構
23 振分け付勢ばね
30 反転復帰機構
F1 付勢力(ばね部材)
F2 付勢力(振分け付勢ばね)

Claims (3)

  1. リール本体と、前記リール本体に設けられ、ハンドルの巻き取り操作に連動回転するロータとを有し、前記ロータのアーム部に、釣糸案内部を有するベール支持部材を釣糸巻取位置と釣糸放出位置とに反転自在に回動支持するとともに、前記ベール支持部材を前記両位置のそれぞれに振分け付勢ばねにより振分け付勢保持した魚釣用スピニングリールにおいて、
    前記アーム部およびベール支持部材の対向部位の一方に設けられた円弧状の案内溝と、
    他方に設けられ、前記案内溝に挿入配置されて当該案内溝内を前記ベール支持部材の反転操作に連動して移動する移動部材と、
    前記案内溝の一端側の所定位置に配置され、前記移動部材に当接して前記ベール支持部材を釣糸巻取位置に保持する当接部材と、
    を備え、
    前記当接部材は、付勢手段により前記移動部材に向けて付勢されて前記所定位置に位置決めされており、
    前記付勢手段による付勢力をF1、前記振分け付勢ばねによる付勢力をF2とすると、これらの関係がF1>F2であり、
    前記当接部材は、外部負荷入力により、前記移動部材の押圧力が前記付勢力F1よりもさらに大きくなった場合に、前記付勢手段に抗して前記案内溝の一端に向けて移動可能に構成されていることを特徴とする魚釣用スピニングリール。
  2. 前記当接部材における前記移動部材との当接部位には、金属製の介設部材が介設されていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
  3. 前記介設部材は、内側に中空部を有していることを特徴とする請求項2に記載の魚釣用スピニングリール。
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