JP2011241638A - ハイブリッド式作業機の冷却システム - Google Patents

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泰典 太田
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Abstract

【課題】ハイブリッド式作業機に搭載される冷却システムにおいて、簡素な構成および制御で、低温時のエネルギー効率低下を防止する。
【解決手段】冷却回路30に、コントローラ25とポンプ32との間を循環するように、ヒート回路40が並設される。低温時には、開閉弁制御装置50は開閉弁42を開き、ヒート回路40が形成される。ヒート回路40において、コントローラ25を冷却した冷却媒体は、コントローラ25の発熱により加温される。ヒート回路40は管路抵抗が少なく、また冷却媒体加温により、粘性増加に起因するエネルギー効率低下を防止できる。ヒート回路40はヒータのような外部熱源を必要とせず、従来技術におけるヒータ加温に起因するエネルギー効率低下という課題は生じない。
【選択図】図3

Description

本発明は、ハイブリッド式作業機に搭載される電動機器の冷却システムに関する。
油圧作業機の一例であるショベルは、走行体と、この走行体に旋回可能に設けた旋回体と、この旋回体に俯仰動可能に接続されたブーム、アーム、及びバケットを含む多関節型の作業装置(フロント装置)とを備えている。これら走行体、旋回体、及び作業装置は、このショベルに備えられた駆動装置の被駆動部材を構成している。
この駆動装置は、元来、エンジン等の原動機と、この原動機によって駆動される少なくとも1つの油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出された圧油により駆動され、ブーム、アーム、バケットをそれぞれ駆動するブーム油圧シリンダ、アーム油圧シリンダ、バケット油圧シリンダ、走行体を走行させる走行油圧モータ、及び旋回体を走行体に対し旋回させる旋回油圧モータを含む複数の油圧アクチュエータとを有する油圧方式の駆動装置として構成されていた。
一方、自動車の分野では、エンジンで発電機を駆動し、その発電電力を駆動するとともに残りの電力をバッテリに蓄積し、エンジンのパワーが足りない時にバッテリの電力により発電機を電動モータとして駆動しエンジンをアシストする、いわゆるハイブリッド式の駆動装置が提唱されている。この方式により、エンジンは常に効率のよい状態で作動することが可能となり、省エネルギー化及び低排気ガス化を図れるようになっている。
近年、油圧ショベル等の油圧作業機においても、このハイブリッド式が提案されつつあり、例えば、旋回電動モータを有するハイブリッド式の油圧作業機がある。
ところで、旋回電動モータや、電気エネルギーを充放電する蓄電装置や、旋回電動モータの駆動と蓄電装置の充放電とを制御するコントローラなどの電動機器は、発熱を伴う。そのため、ハイブリッド式の油圧作業機にはこれらの電動機器を冷却する冷却システムが搭載されている。冷却システムは冷却回路を備え、冷却回路は冷却媒体を冷却するラジエータと冷却媒体を循環するポンプとを有し、ラジエータによって冷却された冷却媒体をポンプで循環し、その冷却媒体により電動機器を冷却する。
冷却媒体として一般に用いられるLLCは低温時において粘性が増し、冷却回路の管路抵抗が増大する。このため、ポンプ負荷が増大し、エネルギー効率が低下する。このような課題は、ハイブリッド式自動車の冷却システムにおいても発生する。
この課題に対し、特許文献1に記載の冷却システムが提案されている。この従来技術の冷却システムは、季節に関係なく安定した冷却が可能な電気自動車の冷却システムを提供することを目的とし、冷却回路と、複数の切換弁と、ヒータを有するヒート回路とを備え、外気温度に基づいて複数の切換弁の開閉を制御する。低温時には、常温時に冷却回路を形成していた切換弁を閉じ、常温時に閉じていた別の切換弁を開き、ヒート回路を形成する。冷却媒体は外部熱源であるヒータにより加温され、ヒート回路を循環する。これにより、従来技術の冷却システムは、低温時の冷却媒体の粘性増加に起因するエネルギー効率低下を防止できる。
特許3497873号公報
しかしながら、上記特許文献1に係る従来技術の冷却システムは下記のような課題があった。従来技術の冷却システムは低温時に外部熱源であるヒータを用いて冷却媒体を加温している。この際、ヒータのエネルギーは蓄電装置から供給される。蓄電装置のエネルギーは主に電動モータを駆動するために使用されることを期待されており、それ以外の使用は好ましくない。すなわち、ヒータ加温に起因してエネルギー効率が低下する。
また、従来技術の冷却システムは、このヒータに加えて、複数の切換弁と、これらを制御する制御手段を必須の構成としており、構成が複雑で、かつ制御も複雑である。複雑な構成や制御は、製造コスト増加や故障の原因となる。
本発明の目的は、簡素な構成および制御で、低温時のエネルギー効率低下を防止できるハイブリッド式作業機の冷却システムを提供することにある。
(1)本発明は、上記目的を達成するために、エンジンと、エンジンにより駆動される油圧ポンプと、油圧ポンプからの吐出油により駆動される油圧アクチュエータと、エンジンにより駆動される第1電動機と、第1電動機による発電電力を充電する蓄電装置と、第1電動機および蓄電装置の電力により駆動される第2電動機と、第1電動機および第2電動機の駆動と蓄電装置の充放電を制御するコントローラとを備えたハイブリッド式作業機に搭載され、冷却媒体を冷却するラジエータと冷却媒体を循環するポンプとを有し、前記ラジエータによって冷却された冷却媒体を前記ポンプで循環し、その冷却媒体により前記蓄電装置と前記コントローラと前記第2電動機とを冷却する冷却回路を備えたハイブリッド式作業機の冷却システムにおいて、前記冷却回路に並設された第2管路と、この第2管路上に配設された開閉弁とを有し、この第2管路および開閉弁を介して、コントローラを冷却した冷却媒体を前記ポンプに循環させるヒート回路を備えるものとする。
このように構成した本発明においては、低温時にはヒート回路が形成される。ヒート回路は冷却回路に比べて管路抵抗が少ない。またヒート回路はコントローラの発熱により冷却媒体を加温する。これにより、低温時の冷却媒体粘性増加に起因するエネルギー効率低下を防止できる。
一方、ヒート回路はヒータのような外部熱源を必要とせず、従来技術におけるヒータ加温に起因するエネルギー効率低下という課題は生じない。
これにより、簡素な構成において、低温時のエネルギー効率低下を防止できる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記ポンプは、前記ラジエータと前記コントローラとの間に挿入され、前記第2管路は、前記ポンプ上流と前記コントローラ下流とを接続するものとする。
これにより、ヒート回路が形成される。
(3)上記(1)および(2)において、好ましくは、前記コントローラと前記開閉弁と前記ポンプとをユニット化するものとする。
これにより、配線簡素化、防振支持共有化など、ヒート回路の設計が容易になる。
(4)上記(1)〜(3)において、好ましくは、前記冷却回路は、前記蓄電装置、コントローラ、第2電動機の順に冷却するものとする。
電動機器の中でも特に蓄電装置は高温に曝されると生涯寿命が短くなる傾向がある。この構成により、ラジエータで冷却された直後の最も冷却媒体温度の低い冷却媒体により蓄電装置を冷却することができる。
(5)上記(1)〜(4)において、好ましくは、前記コントローラの下流に設けられ、前記コントローラを冷却した冷却媒体の温度を検出する第1温度センサと、前記蓄電装置の温度を検出する第2温度センサと、前記第2電動機の温度の温度を検出する第3温度センサと、前記第1温度センサの検出温度と前記第2温度センサの検出温度と前記第3温度センサの検出温度とに基づいて、前記開閉弁の切換を制御する開閉弁制御手段とを備えるものとする。
これにより、低温時は、原則として開閉弁が開かれヒート回路が形成される。しかし、低温時であっても、蓄電装置や第2電動機の冷却が必要な場合は、開閉弁が閉じられ冷却回路が形成される。
(6)上記(1)〜(5)において、好ましくは、前記第2電動機の操作信号に基づいて、前記開閉弁の切換を制御する開閉弁制御手段を備えるものとする。
これにより、低温時であっても、第2電動機が操作される場合は、開閉弁が閉じられ冷却回路が形成される。
本発明によれば、ハイブリッド式作業機に搭載される冷却システムにおいて、簡素な構成で、低温時のエネルギー効率低下を防止することができる。
冷却システムを搭載する油圧ショベルの外観を示す図である。 ハイブリッド式油圧ショベルの駆動システムを説明する図である。 第1実施形態の冷却システムを説明する図である。 開閉弁制御装置の演算処理内容を示すフローである。 第2実施形態の冷却システムを説明する図である。 第3実施形態の冷却システムを説明する図である。
〈第1実施形態〉
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。
〜構成〜
図1は、本実施形態の冷却システムを搭載する油圧ショベルの外観を示す図である。油圧ショベルは下部走行体100と上部旋回体101とフロント装置102を備えている。下部走行体100は左右のクローラ式走行装置103a,103bを有し、左右の走行モータ104a,104bにより駆動される。上部旋回体101は旋回モータ105により下部走行体100上に旋回可能に搭載され、フロント装置102は上部旋回体101の前部に俯仰可能に取り付けられている。上部旋回体101にはエンジンルーム106、運転室107が備えられ、エンジンルーム106にはエンジン11が配置されている。フロント装置102はブーム111、アーム112、バケット113を有する多関節構造であり、ブーム111はブームシリンダ114の伸縮により、アーム112はアームシリンダ115の伸縮により、バケット113はバケットシリンダ116の伸縮により、各々回動する。
旋回モータ105は、旋回油圧モータ16(図2参照)と旋回電動モータ24(図2参照)とから構成されている。すなわち、本実施形態の油圧ショベルはハイブリット式である。なお、走行モータ104a,104bが走行油圧モータと走行電動モータとから構成されることもある。
図2はハイブリッド式油圧ショベルの駆動システムを説明する図である。駆動システムは、油圧システム10と電動システム20とから構成される。
油圧システム10は、原動機としてのエンジン11と、エンジン11により駆動される油圧ポンプ12と、油圧ポンプ12からの吐出油の方向と流量を制御する方向制御弁ユニット13と、油圧ポンプ12からの吐出油により駆動される複数の油圧アクチュエータ14(アームシリンダ115など)と、油圧アクチュエータ14により駆動され所望の動作を行う複数の被駆動部材15(アーム112など)と、油圧ポンプ12からの吐出油により駆動され上部旋回体101を旋回する旋回油圧モータ16とを有する。
電動システム20は、エンジン11と、エンジン11により駆動され発電する第1電動機22と、第1電動機22による発電電力を充電する蓄電装置23(キャパシタ)と、第1電動機22および蓄電装置23の電力により駆動される第2電動機24(旋回電動モータ)と、第1電動機22および第2電動機24の駆動と蓄電装置23の充放電を制御するコントローラ25とを有する。
蓄電装置23や旋回電動モータ24やコントローラ25などの電動機器は発熱を伴う。このため、ハイブリッド式油圧ショベルにはこれらの電動機器を冷却する冷却システムが搭載されている。
図3は本実施形態の冷却システムを説明する図である。冷却回路30は、冷却媒体を冷却するラジエータ31と、冷却媒体を循環するポンプ32とを有し、ラジエータ31によって冷却された冷却媒体をポンプ32で循環し、この冷却媒体によりキャパシタ23や旋回電動モータ24やコントローラ25などの電動機器を冷却する。冷却回路30は、キャパシタ23、コントローラ25、旋回電動モータ24の順に冷却するように構成されている。
ポンプ32は、ラジエータ31とコントローラ25との間に挿入され、本実施形態では、特に、ラジエータ31の下流に配置されたキャパシタ23とコントローラ25との間に挿入されている。
本実施形態の冷却システムは、冷却回路30に加えてヒート回路40を並設する。ヒート回路40は、冷却回路30に並設された管路(第2管路)41と、この管路41上に配設された開閉弁42と、開閉弁42の切り換えを制御する開閉弁制御装置50とを有し、この管路41および開閉弁42を介して、コントローラ25を冷却した冷却媒体をポンプ32に循環させる。すなわち、管路41がコントローラ25下流とポンプ32上流とを接続し、開閉弁42が開くことにより、ヒート回路40が形成される。言い換えると、コントローラ25とポンプ32との間を循環するように、ヒート回路40が冷却回路30と並設されている。ヒート回路40はコントローラ25の下流の分岐点45において冷却回路30から分岐し、ポンプ32上流の合流点46において冷却回路30と合流する。
コントローラ25と、ポンプ32と、管路41と、開閉弁42と、開閉弁制御装置50、温度検出センサ51(後述)とは、ヒート回路ユニット60に内包されている。
なお、冷却システムは、電動機器を冷却する冷却回路30と別に、エンジン11を冷却するエンジン冷却回路80を有している。エンジン冷却回路80は冷却媒体を冷却するラジエータ81と、冷却媒体を循環するポンプ82とを有している。
〜制御〜
開閉弁制御装置50は、温度検出センサ51〜53および旋回操作信号検出センサ54から信号を入力し、これらの入力信号に基づいて所定の演算を行ない、演算結果を開閉弁42に出力する。開閉弁42は出力信号に基づき切り換えられる。
温度検出センサ51は、コントローラ25の下流でかつ分岐点45の上流に設けられ、コントローラ25を冷却した冷却媒体の温度を検出する。温度検出センサ52は、キャパシタ23に設けられ、キャパシタ23の温度を検出する。温度検出センサ53は、旋回電動モータ24に設けられ、旋回電動モータ24の温度を検出する。
旋回操作信号検出センサ54は、運転室107内にいるオペレータの旋回操作を検出する。車体コントローラ(図示せず)は、検出信号を入力し、操作方向と操作量を演算し、演算結果を旋回モータ105(例えば旋回電動モータ24)に出力する。
図4は、開閉弁制御装置50の演算処理内容を示すフローである。開閉弁制御装置50は、温度検出センサ51から検出信号を入力し、その検出信号がしめす冷却媒体温度T1が冷却媒体基準温度T1sより高いかどうかを判定する(ステップS110)。冷却媒体基準温度T1sは、冷却媒体の粘性増加に起因する課題が生じない温度の下限値である。開閉弁制御装置50は、冷却媒体温度T1が冷却媒体基準温度T1sより高い(YES)と判定すると、開閉弁42に「閉」信号を出力する(ステップS150)。
ステップS110において、開閉弁制御装置50は冷却媒体温度T1が冷却媒体基準温度T1sより高くない(NO)と判定すると、温度検出センサ52から検出信号を入力し、その検出信号がしめすキャパシタ23の温度T2がキャパシタ冷却基準温度T2sより高いかどうかを判定する(ステップS120)。キャパシタ冷却基準温度T2sは、キャパシタ23の冷却が必要である温度の下限値である。開閉弁制御装置50は、キャパシタ23の温度T2がキャパシタ冷却基準温度T2sより高い(YES)と判定すると、開閉弁42に「閉」信号を出力する(ステップS150)。
ステップS120において、開閉弁制御装置50はキャパシタ23の温度T2がキャパシタ冷却基準温度T2sより高くない(NO)と判定すると、温度検出センサ53から検出信号を入力し、その検出信号がしめす旋回電動モータ24の温度T3が旋回電動モータ冷却基準温度T3sより高いかどうかを判定する(ステップS130)。旋回電動モータ冷却基準温度T3sは、旋回電動モータ24の冷却が必要である温度の下限値である。開閉弁制御装置50は、旋回電動モータ24の温度が旋回電動モータ冷却基準温度T3sより高い(YES)と判定すると、開閉弁42に「閉」信号を出力する(ステップS150)。
ステップS130において、開閉弁制御装置50は旋回電動モータ24の温度T3が旋回電動モータ冷却基準温度T3sより高くない(NO)と判定すると、旋回操作信号検出センサ54から検出信号を入力し、旋回操作信号が入力されたかどうかを判定する(ステップS140)。開閉弁制御装置50は、旋回操作信号が入力された(YES)と判定すると、開閉弁42に「閉」信号を出力する(ステップS150)。
ステップS140において、開閉弁制御装置50は、旋回操作信号が入力されていない(NO)と判定すると、開閉弁42に「開」信号を出力する(ステップS160)。
ステップS150、160において、開閉弁制御装置50は、開閉弁42に開閉信号を出力すると、スタートに戻り、新たな入力を待つ(ステップS170)。
〜動作〜
本実施形態の動作について説明する。
基本動作として冷却回路30の動作について説明する。キャパシタ23、旋回電動モータ24、コントローラ25などの電動機器は発熱を伴うため、故障防止の点から冷却する必要がある。
常温時には、冷却媒体温度T1は冷却媒体基準温度T1sより高い可能性が高く、開閉弁42は閉じられ(S100→S110→S150)、冷却回路30が形成されている。冷却回路30はラジエータ31によって冷却された冷却媒体をポンプ32で循環し、この冷却媒体によりキャパシタ23、コントローラ25、旋回電動モータ24の順に冷却する。
低温時におけるヒート回路40の動作について説明する。低温時においては冷却媒体の粘性が増す。ところで、旋回電動モータ24内を流れる冷却回路30の管路は管路長を長くし接触面積を広くし冷却効果を高めており、管路長が長くなると、管路抵抗によるエネルギー損失は無視できない。このような冷却回路30において、粘性が増した冷却媒体が流れると、管路抵抗が更に増大するため、ポンプ負荷が増大し、エネルギー効率が低下する。そのため、冷却媒体の粘性増加に起因する課題が生じない温度になるまで、冷却媒体を加温する必要がある。
低温時には、冷却媒体温度T1は冷却媒体基準温度T1sより、キャパシタ23の温度T2はキャパシタ冷却基準温度T2sより、旋回電動モータ24の温度T3は旋回電動モータ冷却基準温度T3sより、各々高くない可能性が高い。この状態で、旋回操作がされなければ、開閉弁42が開かれ(S100→S110→S120→S130→S140→S160)、ヒート回路40が形成される(正確には冷却回路30に加えてヒート回路40が並設される)。
ヒート回路40は、管路41および開閉弁42を介して、コントローラ25を冷却した冷却媒体をポンプ32との間で循環する。ヒート回路40はキャパシタ23や旋回電動モータ24を経由しないため、冷却回路30に比べて管路抵抗が小さく、粘性増加に起因するエネルギー効率低下を軽減できる。
なお、ヒート回路40は冷却回路30に比べて管路抵抗が小さいため、分岐点45では、大部分の冷却媒体(例えば95%)がヒート回路40に流入し、残りの少量の冷却媒体(例えば5%)が冷却回路30に流入する。したがって、冷却回路30は実質的に作動せず、冷却媒体の粘性増加に起因する課題はほとんど生じない。
エンジン11が起動すると、コントローラ25も起動し、電動システムの制御をおこなうため、コントローラ25は常に発熱している。ヒート回路40においても冷却媒体はコントローラ25を冷却し、冷却媒体はコントローラ25の発熱により加温される。
冷却媒体が加温され、冷却媒体温度T1が冷却媒体基準温度T1sより高くなると、開閉弁42は再び閉じられ(S160→S170→S100→S110→S150)、冷却回路30が形成される(正確には冷却回路30とヒート回路40との並設から冷却回路30のみとなる)。これにより、低温時の冷却媒体の粘性増加に起因するエネルギー効率低下を防止できる。
ところで上記の通り、ヒート回路40が作動すると、冷却回路30を循環する冷却媒体は少量であり、冷却回路30は実質的に作動しない。しかし、諸事情により、キャパシタ23または旋回電動モータ24の冷却の必要がある場合もある。以下、第1〜3ケースに例示して説明する。
第1ケースについて説明する。例えば、故障によりキャパシタ23が異常発熱する場合もある。このときはエネルギー効率よりもキャパシタ23冷却が優先される。低温時にヒート回路40が形成されていても、キャパシタ23の温度T2はキャパシタ冷却基準温度T2sより高いと、開閉弁42は再び閉じられ(S160→S170→S100→S110→S120→S150)、冷却回路30が形成され、キャパシタ23を冷却することができる。
第2ケースについて説明する。油圧ショベルが使用され暫く休止した後、再び使用される場合、低温により冷却媒体温度T1は冷却媒体基準温度T1sより高くないが、前回使用の余熱により旋回電動モータ24の温度T3が旋回電動モータ冷却基準温度T3sより高い可能性もある。このときはエネルギー効率よりも旋回電動モータ24冷却が優先される。冷却媒体温度T1は冷却媒体基準温度T1sより、キャパシタ23の温度T2はキャパシタ冷却基準温度T2sより、各々高くないが、旋回電動モータ24の温度T3が旋回電動モータ冷却基準温度T3sより高いと、開閉弁42は閉じられ(S100→S110→S120→S130→S150)、冷却回路30が形成され、旋回電動モータ24を冷却することができる。
第3ケースについて説明する。低温時に油圧ショベルが使用される場合、使用前に暖機運転されるのが一般的である。このとき、上述のように、ヒート回路40が形成され、冷却媒体は加温され、暫くすると常温時と同様な状態となる。しかし、エンジン11起動後直ぐに暖機運転されないで、旋回操作を含む作業に使用される場合もあり、旋回電動モータ24は急激な発熱を伴う可能性もある。このときはエネルギー効率よりも旋回電動モータ24冷却が優先される。冷却媒体温度T1は冷却媒体基準温度T1sより、キャパシタ23の温度T2はキャパシタ冷却基準温度T2sより、旋回電動モータ24の温度T3は旋回電動モータ冷却基準温度T3sより、各々高くないが、旋回操作がされると、開閉弁42は閉じられ(S100→S110→S120→S130→S140→S150)、冷却回路30が形成され、旋回電動モータ24を冷却することができる。
〜効果〜
本実施形態の第1効果について説明する。低温時において、ヒート回路40が形成される。ヒート回路40は管路抵抗が少なく、また冷却媒体を加温することにより、冷却媒体粘性増加に起因するエネルギー効率低下を防止できる。このときヒート回路40は、コントローラ25の発熱を用いて冷却媒体を加温している。すなわち、ヒート回路40は、従来技術で必須であったヒータのような外部熱源を必要とせず、従来技術におけるヒータ加温に起因するエネルギー効率低下という課題は生じない。また、ヒート回路40の構成およびヒート回路40の制御も従来技術に比べて簡素である。これにより、本実施形態の冷却システムは、簡素な構成において、低温時のエネルギー効率低下を防止でき、製造コスト削減や信頼性向上という更なる効果が得られる。
本実施形態の第2効果について説明する。第1効果で述べたように、低温時はエネルギー効率の観点からヒート回路40が作動し、冷却回路30は実質的に作動しないが、諸事情により、キャパシタ23または旋回電動モータ24の冷却の必要がある場合もある。この場合、開閉弁制御装置50は、開閉弁42に「閉」信号を出力し、冷却回路30が形成される。これにより、エネルギー効率よりもキャパシタ23の冷却または旋回電動モータ24の冷却を優先することができる。
本実施形態の第3効果について説明する。コントローラ25と、ポンプ32と、管路41と、開閉弁42と、開閉弁制御装置50と、温度検出センサ51は、ヒート回路ユニット60に内包されている。これにより、開閉弁42の制御がヒート回路ユニット60内でできるため配線の簡素化が図れ、また防振支持の共有化が図れるなど、ヒート回路40の設計が容易になる。
本実施形態の第4効果について説明する。電動機器の中でも特にキャパシタ23は高温に曝されると生涯寿命が短くなる傾向がある。冷却回路30は、キャパシタ23、コントローラ25、旋回電動モータ24の順に冷却するように構成されている。これにより、ラジエータ31で冷却された直後の最も冷却媒体温度の低い冷却媒体によりキャパシタ23を冷却することができる。
〈その他の実施形態〉
本発明は第1実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内において、種々の変形が可能である。本発明の本質は、コントローラ25とポンプ32との間を循環するように、ヒート回路40を冷却回路30に並設したことにある。以下、その他の実施形態を説明する。
〜第2実施形態〜
図5は第2実施形態の冷却システムを説明する図である。第1実施形態のヒート回路40は、管路41および開閉弁42を介して、コントローラ25を冷却した冷却媒体をポンプ32に循環させるように構成され、ポンプ32は、ラジエータ31の下流に配置されたキャパシタ23とコントローラ25との間に挿入されているのに対し、第2実施形態のヒート回路40Aは、管路41および開閉弁42を介して、キャパシタ23とコントローラ25とを冷却した冷却媒体をポンプ32に循環させるように構成され、ポンプ32は、ラジエータ31とコントローラ25の上流に配置されたキャパシタ23との間に挿入されている(結果的にポンプは、ラジエータ31とコントローラ25との間に挿入されている)。
本実施形態においても、ヒート回路40Aが並設されていることにより、第1実施形態の第1〜4の効果が得られる。さらに以下に説明するように、本実施形態特有の構成により、本実施形態特有の効果が得られる。
本実施形態においては、ヒート回路40Aは、キャパシタ23とコントローラ25の発熱を用いて冷却媒体を加温している。これにより、第1実施形形態と比較して、冷却媒体は更に加温され、より確実に低温時のエネルギー効率低下を防止できる。
本実施形態においては、冷却媒体はヒート回路40A形成時にもキャパシタ23を経由し、キャパシタ23を冷却する。これにより、第1実施形形態の温度検出センサ52および開閉弁制御装置50のステップS120の処理が不要となり、更に簡素な構成と更に簡素な制御とすることができる。
キャパシタ23と、コントローラ25と、ポンプ32と、管路41と、開閉弁42と、開閉弁制御装置50と、温度検出センサ51は、ヒート回路ユニット60Aに内包されている。これにより、更なる配線の簡素化、防振支持の共有化が図れ、ヒート回路40Aの設計が更に容易になる。
〜第3実施形態〜
図6は第3実施形態の冷却システムを説明する図である。第1実施形態のポンプ32は、合流点46とコントローラ25との間に挿入されているのに対し、第2実施形態のポンプ32は、コントローラ25と分岐点45との間に挿入されている。すなわち、コントローラ25とポンプ32との配置を入れ替えたものである。
ヒート回路40Bは、ヒート回路40と同様に、管路41および開閉弁42を介して、コントローラ25を冷却した冷却媒体をポンプ32により循環させるように構成されて、並設されている。これにより、第1実施形態の第1〜4の効果が得られる。
10 油圧システム
11 エンジン
12 油圧ポンプ
13 方向制御弁ユニット
14 油圧アクチュエータ
15 被駆動部材
16 旋回油圧モータ
20 電動システム
22 第1電動機
23 蓄電装置(キャパシタ)
24 第2電動機(旋回電動モータ)
25 コントローラ
30 冷却回路
31 ラジエータ
32 ポンプ
40 ヒート回路
41 管路(第2管路)
42 開閉弁
45 分岐点
46 合流点
50 開閉弁制御装置
51〜53 温度検出センサ
54 旋回操作信号検出センサ
60 ヒート回路ユニット
80 エンジン冷却回路
81 ラジエータ
82 ポンプ
100 下部走行体
101 上部旋回体
102 フロント装置
103a,103b クローラ式走行装置
104a,104b 走行モータ
105 旋回モータ
106 エンジンルーム
107 運転室
111 ブーム
112 アーム
113 バケット
114 ブームシリンダ
115 アームシリンダ
116 バケットシリンダ

Claims (6)

  1. エンジンと、エンジンにより駆動される油圧ポンプと、油圧ポンプからの吐出油により駆動される油圧アクチュエータと、エンジンにより駆動される第1電動機と、第1電動機による発電電力を充電する蓄電装置と、第1電動機および蓄電装置の電力により駆動される第2電動機と、第1電動機および第2電動機の駆動と蓄電装置の充放電を制御するコントローラとを備えたハイブリッド式作業機に搭載され、
    冷却媒体を冷却するラジエータと冷却媒体を循環するポンプとを有し、前記ラジエータによって冷却された冷却媒体を前記ポンプで循環し、その冷却媒体により前記蓄電装置と前記コントローラと前記第2電動機とを冷却する冷却回路を備えたハイブリッド式作業機の冷却システムにおいて、
    前記冷却回路に並設された第2管路と、この第2管路上に配設された開閉弁とを有し、この第2管路および開閉弁を介して、コントローラを冷却した冷却媒体を前記ポンプに循環させるヒート回路を備える
    ことを特徴とするハイブリッド式作業機の冷却システム。
  2. 前記ポンプは、前記ラジエータと前記コントローラとの間に挿入され、
    前記第2管路は、前記ポンプ上流と前記コントローラ下流とを接続する
    ことを特徴とする前記請求項1記載のハイブリッド式作業機の冷却システム。
  3. 前記コントローラと前記開閉弁と前記ポンプとをユニット化する
    ことを特徴とする前記請求項1および2記載のハイブリッド式作業機の冷却システム。
  4. 前記冷却回路は、前記蓄電装置、コントローラ、第2電動機の順に冷却する
    ことを特徴とする請求項1乃至3記載のハイブリッド式作業機の冷却システム。
  5. 前記コントローラの下流に設けられ、前記コントローラを冷却した冷却媒体の温度を検出する第1温度センサと、
    前記蓄電装置の温度を検出する第2温度センサと、
    前記第2電動機の温度の温度を検出する第3温度センサと、
    前記第1温度センサの検出温度と前記第2温度センサの検出温度と前記第3温度センサの検出温度とに基づいて、前記開閉弁の切換を制御する開閉弁制御手段とを備える
    ことを特徴とする請求項1乃至4記載のハイブリッド式作業機の冷却システム。
  6. 前記第2電動機の操作信号に基づいて、前記開閉弁の切換を制御する開閉弁制御手段を備える
    ことを特徴とする請求項1乃至5記載のハイブリッド式作業機の冷却システム。
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