JP2011236471A - 複合電気亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高耐食性複合電気めっき鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。また化成処理下地に用いられたときに、化成処理皮膜の本来の特性を損なわずむしろ補完することの可能な複合電気めっき鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】V、Nb、Ti、Zr、Ceから選ばれる1種以上の元素の酸化物及び/又は水酸化物を金属換算濃度で、合計で0.01〜5質量%、並びに、C:0.01質量%以上がめっき層中に分散し、残部がZn及び不可避不純物から成る複合Znめっき層を有し、前記めっき層中に分散する酸化物及び/又は水酸化物の大きさが1μm以下であることを特徴とする複合電気亜鉛めっき鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車車体、自動車部品、家電製品、建材等として使用できる高耐食性複合亜鉛系電気めっき鋼板及びその製造方法に関する。また、本発明は、耐白錆性等の種々の機能性化成処理の下地として好適に使用できる複合亜鉛系電気めっき鋼板及びその製造方法に関する。
自動車をはじめ、家電製品、建材等の分野では、各種の亜鉛系めっき鋼板が利用されてきた。近年、これらの亜鉛系めっき鋼板に対する機能向上、具体的には良好な耐食性の要望が一段と強くなってきている。
従来は、良好な耐食性を得るために、Zn−Fe合金やZn−Ni合金等のZn系合金めっきの適用、又はそれらにクロメート処理、非クロメート処理、りん酸塩処理、薄膜の有機皮膜処理といった種々の化成処理の複合などの手法が用いられてきた。近年は、資源や環境に配慮し、少ない亜鉛量で良好な耐食性を得ることが望まれている。
特許文献1では、こうした要求に対して、Znめっき皮膜中に防錆作用のある金属酸化物等の微粒子を複合共析させた、いわゆる分散電気めっき鋼板が提案されている。しかし、電気亜鉛めっき鋼板に分散電気めっき手法を適用することで、耐食性は向上するが、加工時にめっき皮膜がパウダー状にはがれるといった問題が生じる。
特許文献2には、上記の問題を解決するため、有機又は無機の極薄膜で表面被覆することによりマイクロカプセル化された微粒子を、分散共析させためっき層を施しためっき鋼板が開示されている。しかし、特に家電製品向けでは、耐白錆性が要求されるが、このめっき鋼板は耐白錆性に劣るという問題がある。耐白錆性改善のための化成処理を施した場合でも、めっき層の微粒子の影響のために均一な化成処理皮膜が形成しにくいので、通常の亜鉛めっき鋼板に化成処理を施したものと比べ耐白錆性が悪くなる。
特許文献3には、腐食抑制有機化合物を吸着させた酸化物粒子、又は、腐食抑制有機化合物を内包したマイクロカプセルを添加しためっき浴でめっきした複合電気めっき皮膜が開示されている。このめっきを施した鋼板は、耐白錆性について、一定の改善効果が認められる。しかし、さらなる耐白錆性の改善のため化成処理を施した場合は、微粒子の影響のために均一な化成処理皮膜が形成しにいので、通常の亜鉛めっき鋼板に化成処理を施したものより耐白錆性が悪くなる。
以上の問題は、酸化物微粒子の分散性にかかわる問題である。すわなち、サブミクロンオーダーの微小粒子を用いても、めっき層中ではミクロンオーダーで凝集、局在化してしまうことによるものである。
通常、電気亜鉛めっき鋼板の製造は、主にコイル状の冷延鋼板を連続通板、連続通電により行われ、装置は大規模でめっき浴の量も多量である。そのため、酸化物微粒子を懸濁させて分散電気めっきする方法では、鋼板表面へ分散粒子を均一に共析させることは非常に困難であり、得られるめっき鋼板も品質において優れたものとは言い難い。
特許文献4では、皮膜中に共析させようとする酸化物を、可溶性塩の形でめっき浴に添加し、めっき時の電極反応によりイオン状態から酸化物を生成させる方法で、微細均一な分散めっきを得る方法が開示されている。しかし、この方法でも、酸化物をめっき層内に均一に分散させることは容易ではない。特に、めっき表層に酸化物が濃縮される傾向があり、干渉色様のムラが発生しやすく、また、化成処理との相性も非常に悪い。
特開昭54−159342 特開平1−176095 特開2001−254195 特開平1−177393
前記の問題をふまえ、本発明は、薄目付けでありながらも、過酷な腐食環境に耐え、耐白錆性、塗装後の疵部耐食性や端面耐食性等にも十分に優れたコストの安い高耐食性複合電気めっき鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。また、化成処理下地に用いられたときに、化成処理皮膜の本来の特性を損なわず、むしろ補完することの可能な複合電気めっき鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、Znめっき層中に、V等の無機元素と有機錯化剤の分解生成物であるCとを均一に分散させることで、前記の問題点を有効に解決できることを見出した。本は地名は、上記の知見に基づき完成させたものであって、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)V、Nb、Ti、Zr、Ceから選ばれる1種以上の元素の酸化物及び/又は水酸化物を金属換算濃度で、合計で0.01〜5質量%、並びに、C:0.01質量%以上がめっき層中に分散し、残部がZn及び不可避不純物から成る複合Znめっき層を有し、
前記めっき層中に分散する酸化物及び/又は水酸化物の大きさが1μm以下であることを特徴とする複合電気亜鉛めっき鋼板。
(2)前記複合Znめっき層中に、さらに、Fe、Co、Niから選ばれる1種以上の元素を1質量%以下含有することを特徴とする前記(1)の複合電気亜鉛めっき鋼板。
(3)前記複合Znめっき層の付着量が5〜30g/mであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の複合電気亜鉛めっき鋼板。
(4)前記複合Znめっき層を上層めっきとし、下層に亜鉛系めっき層が形成されていることを特徴とする前記(1)又は(2)の複合電気亜鉛めっき鋼板。
(5)前記上層複合Znめっき層の付着量が1〜10g/mであることを特徴とする前記(4)の複合電気亜鉛めっき鋼板。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかの複合電気亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、
鋼板又は亜鉛めっき鋼板を、V、Nb、Ti、Zr、Ceから選ばれる1種以上の元素の可溶性塩、及び、有機錯化剤を添加したZnめっき浴中でカソード電解することを特徴とする複合電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(7)前記Znめっき浴が、さらに、Fe、Co、Niから選ばれる1種以上の元素イオンを含有することを特徴とする前記(6)の複合電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(8)前記有機錯化剤が、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ホスホン酸基から選ばれる2種以上の官能基を分子内に持つことを特徴とする前記(6)又は(7)の複合電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、薄目付けでありながらも、過酷な腐食環境に耐え、耐白錆性、塗装後の疵部耐食性や端面耐食性等にも十分に優れた、コストの安い高耐食性複合電気めっき鋼板が得られる。また、本発明の鋼板を化成処理下地に用いたときには、化成処理皮膜の本来の特性を損なわず、むしろ補完することが可能である。
本発明の複合電気亜鉛めっき層は、V、Nb、Ti、Zr、Ceから選ばれる元素を0.01〜5質量%、及び、C:0.01〜1質量%を含有し、これらの元素がめっき層中に均一に分散していることを特徴とする。
V、Nb、Ti、Zr、Ceは、水溶液からの電解で金属として析出しないことが知られており、その存在形態は、酸化物、水酸化物等の化合物である。
従来の化合物分散めっきの場合、めっき層を表面又は断面の元素の分布をEPMA等で観察すると、分散元素や酸素が数μm以上の大きさの塊として局在化していることがわかる。本発明のめっき層中に分散する酸化物及び/又は水酸化物の大きさは、1μm以下の分解能での観察において、1μm以下であり、塊として局在化することなく均一に分散していることが特徴である。
さらに、めっき層中にCが共存しており、Cも1μm以下の分解能において、局在化が見られず均一に分散していることが特徴である。めっき層中のCは、後述するように、めっき浴に添加された有機錯化剤の分解析出物である。めっき層中のC濃度は、添加する有機錯化剤の濃度に依存するので、添加元素の分散状態の指標となる。添加元素を安定して分散させるためには、めっき層中のC濃度を0.01〜1質量%とする必要がある。
V、Nb、Ti、Zr、Ceは、いずれも耐食性向上に効果がある。特に耐食性向上の効果が大きい、V、Ceを用いるのが好ましい。上記元素のめっき層中の濃度が0.01質量%未満では耐食性の改善効果は少ない。濃度が5質量%を超えると、均一に分散させることが困難となり、化成処理下地性が劣化する。これらの観点から、上記元素のめっき層中の濃度は、合計で、0.01質量%以上、5質量%以下とする必要があり、より好ましい範囲は、0.1〜2質量%である。
また、めっき層中のC含有量が0.01質量%未満だと均一分散性が低下し、耐食性や化成処理下地性とも悪化するため、C含有量の下限は0.01質量%とする。C含有量の上限は規定しないが、1質量%を超えてCを含有させるのは困難であることから、実質的な上限は1質量%である。
めっき層の残部はZn及び不可避的不純物である。不可避的不純物として、例えば、O、H、N、Pが挙げられる。これは、本発明の複合亜鉛めっき鋼板は後述のとおり、有機錯化剤をめっき浴に添加して製造されるが、このとき、有機錯化剤が分解して、Cとの化合物に由来するO、H、N、Pが、めっき層中に不可避的に取り込まれることによるものである。
なお、V、Nb、Ti、Zr、及び/又は、Ceがめっき層中で均一に分散すれば、結果として、O、H、N、Pも均一に分散する。
本発明のめっき層は、腐食電位が通常の亜鉛めっきと同程度であるため、傷部や端面などの鉄の露出した部位に対する犠牲防食能は十分にある。さらに、形成されためっき腐食生成物は、V等元素の効果によってち密なバリアを形成するため、より長期に防食が可能である。また、この腐食生成物は、ち密であるため腐食初期においては白錆とは見えない。すなわち、本発明のめっき層は、耐白錆性も良好である。
本発明のめっき層に、Fe、Co、Niから選ばれる元素を共析させると、耐食性はさらに向上する。上記の元素のめっき層中濃度を0.05質量%以上とすると、耐食性向上の効果が顕著となる。特に、Coによる耐食性向上の効果が最も顕著である。上記の元素のめっき層中濃度が1質量%を超えると、コストが悪化するばかりでなく、耐食性も低下する傾向にあることから、濃度の上限は1質量%とした。
本発明のめっきを単層で用いる場合、優れた耐食性を得るためには、めっき層の付着量は、5g/m以上とすることが好ましい。また、生産性、コスト等を考慮すると、めっき層の付着量の上限は30g/mとするが好ましい。めっき層の付着量は、重量法、蛍光X線法など公知の方法で測定できる。
本発明のめっき層は耐白錆性にも優れるため、通常の亜鉛系めっきの上層に本発明の複合めっき層を薄く形成して耐白錆性を向上させることも可能である。この場合は、付着量が1g/m以上あれば十分な効果を発揮し、10g/mを超えると効果が飽和するので、1g/m以上、10g/m以下とすることが好ましい。
上層、下層のめっきは、断面からの元素観察や、高周波グロー放電分光分析(GDS)による表面からの深さ方向分析を用いて、V、Nb、Ti、Zr、Ce等の上層特有の元素の存在によって区別できる。それらの発光強度と、あらかじめ求めた付着量との検量線との照合によって、各層の付着量の算出が可能である。
この場合の下層めっきは純亜鉛めっきに限定するものではなく、Zn−Ni合金めっき、Zn−Fe合金めっき、Zn−Cr合金めっき等の亜鉛系合金めっきであってもかまわないが、下層めっき自体の耐食性(耐白錆性)が優れる場合には、上層めっきによる改善効果は小さい。本発明の分散めっきは、耐白錆性の低い純亜鉛めっきの上層めっきとして適用すると、特に大きな耐白錆制の改善効果が得られる。
また、下層の亜鉛めっきの付着量は、通常用いられるも程度のものであれば特に限定するものではない。耐赤錆耐食性まで考慮するなら、多いほど良好であることは言うまでもない。コストや加工性、溶接性等の種々のバランス、及び耐食性の確保を考慮すると、下層の亜鉛めっきの付着量は、5〜40g/mとするのが好ましい。
本発明の複合亜鉛めっき層は耐白錆性に優れるため、化成処理皮膜の下地としても優れた性能を発揮し、耐白錆性等の機能性向上が可能である。また、上述のとおり、めっき層自体の耐白錆性が良好であるため、一般的な亜鉛めっきに比べ、化成処理皮膜の量を減らしても良好な耐白錆性を得ることができる。
また、化成処理皮膜がりん酸亜鉛処理皮膜の場合、耐白錆性が不足するので、りん酸亜鉛処理後に種々のシーリング処理がなされるのが通常であるが、本発明のめっき層の場合、りん酸亜鉛処理皮膜を形成しただけで、シーリング処理無しでも優れた耐白錆性が得られる。
本発明のめっき鋼板は、素地としての鋼板又は亜鉛めっき鋼板に、以下に述べるめっき浴で電気めっきすることで製造する。
本発明に用いるめっき浴は、V、Nb、Ti、Zr、Ceから選ばれる元素の可溶性塩及び有機錯化剤を添加し、さらに、必要に応じてFe、Co、Niから選ばれる元素イオンを含有させたZnめっき浴である。
ベースとなるZnめっき浴は、硫酸亜鉛浴又は塩化亜鉛浴が、安定なめっき層を得るうえで好ましい。めっき浴のpHは、酸性〜中性であれば特に限定されないが、pHが高すぎると、有機錯化剤を多量に添加しても浴の安定性を確保するのが困難となるため、pHは5未満とするのがよい。より好ましくは、pHは1〜4とするのがよい。
硫酸亜鉛浴は、特に限定されないが、硫酸亜鉛(7水和物)が50〜300g/l程度で、必要に応じて鉱酸や支持電解質を添加したものを用いる。塩化亜鉛浴は、特に限定されないが、塩化亜鉛(7水和物)が50〜300g/l程度で、必要に応じて鉱酸や支持電解質を添加したものを用いる。
V、Nb、Ti、Zr、Ceから選ばれる元素の可溶性塩は、水溶性塩に限られるものではなく、溶解度の低い塩であっても、後述の有機錯化剤との共存において溶解するものであれば用いることができる。また、加水分解性の塩であっても、後述の有機錯化剤との共存において溶解するものであれば用いることができる。
具体的には、V塩としては、オキシ硫酸バナジウム、三塩化バナジウム、二塩化酸化バナジウム、三塩化酸化バナジウム等が用いられる。なお、五酸化バナジウム等の5価のバナジウム塩は毒性の点で避けることが望ましい。
Nb塩としては、五塩化ニオブ、ヘキサフルオロニオブ酸アンモニウム等が用いられる。Ti塩としては、硫酸チタン、三塩化チタン、四塩化チタン、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム等が用いられる。Zr塩としては、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム等が用いられる。Ce塩としては、塩化セリウム、酢酸セリウム、硫酸セリウム等が用いられる。これらの塩は、1〜150g/l、好ましくは5〜50g/l程度の濃度で用いられる。
有機錯化剤としては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ホスホン酸基から選ばれる二種以上の官能基を分子内に持つものが望ましく、それ以外では共析量を増加させるのが困難であるとともに、均一性にも問題が生じやすい。好ましい有機錯化剤の具体例としては、グリシン、アラニン、セリン等のアミノカルボン酸、またリンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸等のオキシカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等のホスホン酸類、が挙げられる。以上の有機錯化剤は、1〜200g/l、好ましくは5〜100g/l程度の濃度で用いられる。
上記有機錯化剤が共析に寄与するメカニズムは定かではないが、該有機錯化剤はV等の金属イオンとZnイオンとの複合錯体イオンを形成している可能性が高く、電気めっき時のカソード反応によって界面近傍のpHが増加することで、V等の金属については複合酸化物又は複合水酸化物として沈殿析出し、Znは金属状態まで還元されて析出し、その結果、均一に分散した複合亜鉛めっきが得られるものと推定される。
めっき層中のCは、この複合めっきの析出時に、V等の金属イオンやZnイオンと解離した有機錯化剤が分解析出した物であり、上述したとおり、EPMA等により、CがV等の金属とともに、めっき層に均一に分散していることが確認できる。このことは、上記の共析メカニズムの推定を裏付けていると考えられる。
本発明においては、めっき浴にFe、Co、Niから選ばれる元素イオンを添加することが好ましい。上記元素がZnめっきの耐食性を向上させることは知られているが、本発明においては、上記元素は、さらに、V等の元素を効率的に析出させる働きをする。
すなわち、これらのイオンは、電気めっきの際に金属状態まで還元されるが、この際の触媒作用によって、V等をより効率的に均一に複合共析できるものと考えられる。その結果、めっき浴中のV等イオン濃度が低い場合でも、耐食性の良好な複合めっき皮膜を得ることが可能となる。なお、耐食性の向上には、Coが最も効果的であった。
Fe、Co、Niイオンの供給源は、硫酸塩、塩化物、炭酸塩等、特に限定されるものではなく、またその添加量は、イオンとして1〜50g/l、好ましくは1〜15g/l程度である。
冷延鋼板を原板として、脱脂、酸洗処理の後、電気めっきを行った。めっき条件は、表1の条件をベースとして、ここに表2に示す種々の可溶性塩、及び表3に示す有機錯化剤を添加して行った。
Figure 2011236471
Figure 2011236471
Figure 2011236471
詳細条件と得られためっき層を表4に示す。各めっき鋼板について以下のような性能評価試験を行った。
Figure 2011236471
めっき付着量及びX元素濃度は、蛍光X線により定量した。めっき層C濃度は、GDSによる深さ方向分析を行い、面積(深さ×強度)を求めて、C濃度既知の試料による検量線と照合して算出した。めっき層が均一かどうかの判定は、めっき層断面のEPMA元素分析(1μm以下の分解能)を行い、1μm以上の塊としての元素局在化がないかどうかで判定した。
また、裸耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)、化成後耐食性、及び、塗装後耐食性について、以下の要領で評価した。
(裸耐食性)
めっき鋼板から70mm×150mmの試験片を切り出した後、エリクセン7mm押し出し加工を行い、この試験片の端面と裏面をシールして5%NaClによる塩水噴霧試験(SST)を行った。白錆、赤錆それぞれの発生時間を観察し以下のように評価した。
(耐白錆性)
◎:白錆発生時間>24時間
○:16時間<白錆発生時間≦24時間
△:8時間<白錆発生時間≦16時間
×:白錆発生時間≦8時間
(耐赤錆性)
◎:赤錆発生時間>48時間
○:30時間<赤錆発生時間≦48時間
△:24時間<赤錆発生時間≦30時間
×:赤錆発生時間≦24時間
(化成後耐食性)
各めっき鋼板にスプレー処理により、りん酸亜鉛皮膜1.5g/mを形成した(シーリング処理は無し)。この化成処理鋼板から70mm×150mmの試験片を切り出した後、エリクセン7mm押し出し加工を行い、この試験片の端面と裏面をシールして5%NaClによる塩水噴霧試験(SST)を行った。白錆発生時間を観察し、以下のように評価した。
◎:白錆発生時間>72時間
○:48時間<白錆発生時間≦72時間
△:24時間<白錆発生時間≦48時間
×:白錆発生時間≦24時間
(塗装後耐食性)
めっき鋼板から70mm×150mmの試験片を切り出した後、未加工の試験片を脱脂剤FC4336(商品名:日本パーカライジング社)で脱脂し、通常の自動車用トリカチオンタイプりん酸亜鉛処理を行った。次いで、U−80(商品名:日本ペイント社)で厚さ20±1μmのカチオン電着塗装を施し、175℃で25分間焼付けた。その後、自動車用アルキッド系塗料の中塗り(40μm)、焼付け、メラミン・ポリエステル系塗料の上塗り(40μm)、焼付けを行って試料を作成した。
次いで、この試料の評価面(塗装面)側にカッターナイフで鋼板素地に達するクロスカットを入れ、下記のサイクル設定の複合腐食試験を行った。
塩水噴霧(5%NaCl、35℃、7時間)→乾燥(50℃、2時間)→湿潤(RH85%、50℃、15時間)
疵部耐食性は、上記の腐食サイクル試験を30サイクル実施後、クロスカット部のブリスター度合いを、以下のように区分して評価した。
◎: ブリスター幅<0.5mm、
○: 0.5mm≦ブリスター幅<1.0mm、
△: 1.0mm≦ブリスター幅<2.0mm、
×: 2.0mm≦ブリスター幅
試験結果を表5に示す。表5の結果から分かるように、発明例では良好な性能を示した。
Figure 2011236471
実施例1と同様に、冷延鋼板を原板として、脱脂、酸洗処理の後、電気めっきを行った。めっき条件は、表1の条件をベースとして、Co、Ni、Feイオンを添加した。Co、Ni、Feイオンは、ベース条件Aでは硫酸塩、Bでは塩化物で添加した。ここに表2に示す種々の可溶性塩、及び表3に示す有機錯化剤を添加して行った。詳細条件と得られためっき層を表6に示す。
Figure 2011236471
各めっき鋼板について以下の性能評価試験を行った。
(裸耐食性)
試験は実施例1と全く同様に行ったが、評価基準はより厳しくし、以下のように評価した。
(耐白錆性)
◎:白錆発生時間>48時間
○:24時間<白錆発生時間≦48時間
△:8時間<白錆発生時間≦24時間
×:白錆発生時間≦8時間
(耐赤錆性)
◎:赤錆発生時間>72時間
○:48時間<赤錆発生時間≦72時間
△:24時間<赤錆発生時間≦48時間
×:赤錆発生時間≦24時間
(化成後耐食性)
実施例1と全く同様に評価した。
(塗装後耐食性)
試験は実施例1とほぼ同様に行ったが、より厳しく、腐食サイクル試験を45サイクル実施した。試験実施後に、実施例1と同様の基準で評価した。
試験結果を表7に示す。なお、Co、Ni、Feイオンの効果を示すため、前記元素を含まない、先の発明例3のサンプルを用いた結果も併せて示す。表7の結果から分かるように、発明例では良好な性能を示した。
Figure 2011236471
原板として、冷延鋼板ではなく電気亜鉛めっき鋼板(Zn:20g/m)を用いて、さらに電気めっきを行った。めっき条件は、先の例と同様であり、詳細条件と得られためっき層(上層のみ)を表8に示す。
Figure 2011236471
各めっき鋼板について、実施例2と全く同様に、性能評価試験を行った。試験結果を表9に示す。表9の結果から分かるように、発明例では良好な性能を示した。
Figure 2011236471
実施例3の発明例35〜45及び比較例8〜9の各サンプルに、水溶性有機処理液(アクリルオレフィン樹脂100重量部+コロイダルシリカ35重量部)を塗布して150℃で乾燥した後、膜厚0.5μの有機薄膜処理を行い、発明例46〜56及び比較例10〜11のサンプルを調整した。各サンプルについて以下の性能評価試験を行った。
(裸耐食性)
試験は実施例1〜3と全く同様に行ったが、評価基準はより厳しくし、以下のように評価した。
(耐白錆性)
◎:白錆発生時間>72時間
○:48時間<白錆発生時間≦72時間
△:24時間<白錆発生時間≦48時間
×:白錆発生時間≦24時間
(耐赤錆性)
◎:赤錆発生時間>300時間
○:240時間<赤錆発生時間≦300時間
△:120時間<赤錆発生時間≦240時間
×:赤錆発生時間≦120時間
(塗料密着性)
めっき鋼板から70mm×150mmの試験片を切り出した後、メラミンアルキッド塗料をスプレー塗布、焼付け(180℃20分)して20μmの塗装を施した。一日放置後、カッターで1mm間隔の碁盤目疵を入れテープ剥離して剥離状況を評価した(一次密着)。また、沸騰水30分浸漬取り出し後、すぐにカッターで1mm間隔の碁盤目疵を入れテープ剥離して剥離状況を評価した(二次密着)。一次、二次とも剥離面積率から下記の基準で評価した。
◎:剥離皆無
○:剥離面積≦3%
△:3%<剥離面積≦10%
×:10%<剥離面積
試験結果を表10に示す。表10の結果から分かるように、本発明例では良好な性能を示した。
Figure 2011236471
原板として、冷延鋼板ではなく、種々のZn付着量の電気亜鉛めっき鋼板、又は、電気Zn−Ni合金めっき鋼板(Zn−Ni付着量:10g/m、Ni含有率10%)を用いて、さらに上層電気めっきを行った。
上層めっき条件は、ベースA条件にオキシ硫酸バナジウム25g/l、クエン酸アンモニウム10g/l添加した浴で、付着量3g/mのV及びCの均一含有めっき(V:1.1質量%、C:0.4質量%)を行った。
さらに、実施例4と同様に、水溶性有機処理液(アクリルオレフィン樹脂100重量部+コロイダルシリカ35重量部)を塗布した後150℃で乾燥して、種々の膜厚の有機薄膜処理を行った。評価サンプルを表11に示す。なお、発明例60では有機薄膜処理は行わなかった。
Figure 2011236471
各めっき鋼板について、実施例4と同一の評価方法、評価基準で評価を行った。試験結果を表12に示す。表12の結果から分かるように、本発明例では良好な性能を示した。
Figure 2011236471
本発明によって、薄目付けでありながらも、過酷な腐食環境に耐え、耐白錆性、塗装後の疵部耐食性や端面耐食性等にも十分に優れたコストの安い高耐食性複合電気めっき鋼板、及び、その製造方法が得られる。本発明の鋼板を化成処理下地に用いたときには、化成処理皮膜の本来の特性を損なわずむしろ補完することが可能である。このように、従来の表面処理鋼板を凌駕する非常に優れた性能が得られるので、自動車、家電製品、建材等の性能向上に大きく寄与できるなど、産業上の利用可能性は大きい。

Claims (8)

  1. V、Nb、Ti、Zr、Ceから選ばれる1種以上の元素の酸化物及び/又は水酸化物を金属換算濃度で、合計で0.01〜5質量%、並びに、C:0.01質量%以上がめっき層中に分散し、残部がZn及び不可避的不純物から成る複合Znめっき層を有し、
    前記めっき層中に分散する酸化物及び/又は水酸化物の大きさが1μm以下であることを特徴とする複合電気亜鉛めっき鋼板。
  2. 前記複合Znめっき層中に、さらに、Fe、Co、Niから選ばれる1種以上の元素を1質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の複合電気亜鉛めっき鋼板。
  3. 前記複合Znめっき層の付着量が5〜30g/mであることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合電気亜鉛めっき鋼板。
  4. 前記複合Znめっき層を上層めっきとし、下層に亜鉛系めっき層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合電気亜鉛めっき鋼板。
  5. 前記上層複合Znめっき層の付着量が1〜10g/mであることを特徴とする請求項4に記載の複合電気亜鉛めっき鋼板。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合電気亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、
    鋼板又は亜鉛めっき鋼板を、V、Nb、Ti、Zr、Ceから選ばれる1種以上の元素の可溶性塩、及び、有機錯化剤を添加したZnめっき浴中でカソード電解することを特徴とする複合電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  7. 前記Znめっき浴が、さらに、Fe、Co、Niから選ばれる1種以上の元素イオンを含有することを特徴とする請求項6に記載の複合電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  8. 前記有機錯化剤が、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ホスホン酸基から選ばれる2種以上の官能基を分子内に持つことを特徴とする請求項6又は7に記載の複合電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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