JP2011236103A - 水素発生材料収容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動が加わっても水素発生材料が漏洩しにくい水素発生材料収容器を提供する。
【解決手段】本発明の水素発生材料収容器は、容器本体1を第1の容器部20と第2の容器部21に分割する積層体と、注水管3と、水素排出管4と、を含む。積層体は、水素発生材料2の通過を阻止するための被覆材6と、被覆材6を容器本体1の内壁1bに固定するための固定材8と、を含む固定材/被覆材多層領域と、被覆材6のみからなる被覆材単独領域とを含み、固定材/被覆材多層領域が被覆材単独領域を囲む形態であり、被覆材単独領域を注水管3が貫通している。被覆材6は、第1の容器部20に面するように配置されており、水素発生材料2の平均粒径をD(μm)としたとき、水素発生材料2と被覆材6との衝突時に被覆材6に加わる圧力が0.15D(Pa)以下である場合、水素発生材料2が第1の容器部20から第2の容器部21に通過するのを阻止可能である。
【選択図】図9

Description

本発明は、水との発熱反応により水素を発生する水素発生材料を収容するための水素発生材料収容器に関する。
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話などのコードレス機器の普及に伴い、その電源である二次電池はますます小型化、高容量化が要望されている。現在、エネルギー密度が高く、小型軽量化が図れる二次電池としてリチウムイオン二次電池が実用化されており、ポータブル電源として需要が増大している。しかし、このリチウム二次電池は、一部のコードレス機器に対して十分な連続使用時間を保証することができない場合がある。
このような状況の中で、上記要望に応え得る電池の一例として、固体高分子型燃料電池が検討されている。電解質に固体高分子電解質、正極活物質に空気中の酸素、負極活物質に燃料を用いる固体高分子型燃料電池は、リチウムイオン二次電池よりも高エネルギー密度化が期待できる電池として注目されている。
燃料電池は、燃料及び酸素の供給さえ行えば、連続的に使用することが可能であり、このような燃料電池に用いる燃料に関しては、水素、メタノールなどが提案され、種々開発が行われているが、高出力が期待できる点で、水素を燃料とする燃料電池が注目されている。
燃料電池の燃料源となる水素を製造する技術としては、100℃以下の低温で化学反応により水素を発生させて燃料として用いる方法が種々提案されている。これらの方法は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、亜鉛など水と反応して水素を発生する金属を水素源とするものである(特許文献1〜5)。
アルミニウムとアルカリまたは酸とを反応させる特許文献1〜3に記載の方法によれば、化学的に簡便に水素が発生するが、アルミニウムに見合う当量のアルカリまたは酸を添加する必要があり、水素源以外の材料の比率が高くなることによるエネルギー密度の減少の問題が生じる。また、反応生成物である酸化物または水酸化物が上記金属の表面に皮膜を形成して、内部の金属と水とが接触できなくなり、酸化反応が上記金属の表面のみで停止するという問題が生じやすい。このため、特許文献3では、アルミニウムの割合を85重量%以下とした水素発生材料が提案されている。しかしながら、特許文献3の技術では、酸化カルシウムをアルミニウムとの総量において15重量%以上添加しなければ水素を発生させることができないばかりか、反応時間とともに水素発生速度が大きく変動し、水素発生反応の効率や安定性の点で大きな問題を生ずることとなる。
一方、機械的に表面皮膜を取り除くことにより上記問題を回避しようとする特許文献4では、表面皮膜を取り除くための機械的設備が必要になるなど装置が大型化するという問題を生じる。また、特許文献5では、上記水酸化物の皮膜を形成しにくくするための触媒としてアルミナを添加して、50℃という低温で水素を発生させている。しかし、アルミニウムだけでは水素が発生せず、一定量の触媒を添加する必要があるため、アルミニウムの含有量が低下するという問題がある。
これらの問題を解決する技術として、特許文献6では、アルミニウム、マグネシウム及びそれらの合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属材料を含む水素発生材料を用いて水素を製造する水素製造方法が開示されている。具体的には、特許文献6に開示されている水素製造方法は、水との発熱反応により水素を発生する水素発生材料を収容した水素発生材料収容器の内部に水を供給する工程と、水と水素発生材料とを水素発生材料収容器内で反応させて水素を発生させる工程とを含む水素の製造方法であって、水を供給する工程において、水の供給量を制御することにより、容器の内部を発熱反応が維持できる温度に保持し、水素発生速度の変動を抑制する。これにより、水素発生反応を安定的に維持することができ、簡便で効率よく、かつ安定的に水素を製造することができる。
また、特許文献7では、さらに効率よく水素を発生させるため、水と反応して水素を発生させる金属材料と、水と反応して発熱する発熱材料であり上記金属材料以外の材料とを含む水素発生材料であって、発熱材料が、金属材料に偏在している水素発生材料を用いた水素発生装置が開示されている。
米国特許第6506360号公報 特許第2566248号公報 特開2004−231466号公報 特開2001−31401号公報 特表2004−505879号公報 特開2006−306700号公報 国際公開第2007/018244号パンフレット
水素発生材料収容器は、容器内に水を注入するための注水管と、容器内で水素発生材料と水との反応により発生した水素を容器外へ排出するための水素排出管とを備えているが、この水素発生材料収容器に振動が加わると、容器内に収容されている水素発生材料が注水管や水素排出管を介して容器外へ漏洩する場合がある。特に、水素発生材料の粒径が微小となるに伴い、水素発生材料によって注水管あるいは水素排出管が詰まりやすくなり、この場合、容器内に所望の流量の水を注入できなくなったり、容器外に排出すべき水素が逃げ場所を失って容器の内部圧力が安全基準を超えるほど上昇したりするなどの問題を生ずる。しかし、このような問題に対する対応策について上記特許文献1〜7には何ら提案されていない。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、振動が加わっても水素発生材料の漏洩を防止できる水素発生材料収容器を提供する。
本発明の水素発生材料収容器は、水との反応により水素を発生する水素発生材料を収容するための水素発生材料収容器であって、容器本体と、上記容器本体を密閉する蓋体と、上記容器本体を第1の容器部と第2の容器部に分割する積層体と、上記蓋体に設けられ、上記第1の容器部に水を注水するための注水管と、上記蓋体に設けられ、上記第2の容器部から水素を外部に排出するための水素排出管と、を含み、上記第1の容器部には、水との反応により水素を発生する水素発生材料が収容されており、上記積層体は、上記水素発生材料の通過を阻止するための被覆材と、上記被覆材を上記容器本体の内壁に固定するための固定材と、を含む固定材/被覆材多層領域と、上記水素発生材料の通過を阻止するための被覆材のみからなる被覆材単独領域とを有し、上記固定材/被覆材多層領域が上記被覆材単独領域を囲む形態であり、上記被覆材単独領域を上記注水管が貫通しており、上記被覆材は、上記第1の容器部に面するように配置されており、上記水素発生材料の平均粒径をD(μm)としたとき、上記水素発生材料と上記被覆材との衝突時に上記被覆材に加わる圧力が0.15D(Pa)以下である場合、上記水素発生材料が上記第1の容器部から上記第2の容器部に通過するのを阻止可能であることを特徴とする。
本発明によれば、振動が加わっても水素発生材料の漏洩を防止できる水素発生材料収容器を実現可能である。
本発明の水素発生材料収容器で用いる被覆材に、水素発生材料の粒子が衝突する挙動を説明するための模式図であり、図1Aは水素発生材料粒子が被覆材に衝突する前の様子を示し、図1Bは水素発生材料粒子が被覆材に衝突したときの様子を示している。 水素発生材料の粒子の粒径と、被覆材の衝突面積との関係を示すグラフである。 アルミニウム粒子の粒径と、1Gの振動加速度が加わったアルミニウム粒子と被覆材との衝突時に被覆材に加わる力との関係を示すグラフである。 アルミニウム粒子の粒径と、1Gの振動加速度が加わったアルミニウム粒子と被覆材との衝突時に被覆材に加わる圧力との関係を示すグラフである。 アルミニウム粒子の粒径と、1G〜8Gの振動加速度が加わったアルミニウム粒子と被覆材との衝突時に被覆材に加わる圧力との関係を示すグラフである。 マグネシウム粒子の粒径と、1Gの振動加速度が加わったマグネシウム粒子と被覆材との衝突時に被覆材に加わる力との関係を示すグラフである。 マグネシウム粒子の粒径と、1Gの振動加速度が加わったマグネシウム粒子と被覆材との衝突時に被覆材に加わる圧力との関係を示すグラフである。 マグネシウム粒子の粒径と、1G〜8Gの振動加速度が加わったマグネシウム粒子と被覆材との衝突時に被覆材に加わる圧力との関係を示すグラフである。 本発明の水素発生材料収容器の概略構成の一例を示す断面図である。 本発明の水素発生材料収容器における水素発生材料被覆材及び水素発生材料被覆固定材を示す分解斜視図である。 本発明の水素発生材料収容器における水素排出管被覆材及び水素排出管被覆固定材を示す分解斜視図である。 実施例において被覆材として使用した脱脂綿の光学顕微鏡写真である。 振動試験の条件を説明するためのグラフである。 脱脂綿の目付けが0.194(kg/m2)、0.388(kg/m2)、0.583(kg/m2)の場合の流量分布を示す図である。 脱脂綿の目付けと平均流量径の関係を示す図である。
本発明の水素発生材料収容器は、本発明の第1の水素発生材料収容器は、水との反応により水素を発生する水素発生材料を収容するための水素発生材料収容器であって、容器本体と、上記容器本体を密閉する蓋体と、上記容器本体を第1の容器部と第2の容器部に分割する積層体と、上記蓋体に設けられ、上記第1の容器部に水を注水するための注水管と、上記蓋体に設けられ、上記第2の容器部から水素を外部に排出するための水素排出管と、を含み、上記第1の容器部には、水との反応により水素を発生する水素発生材料が収容されており、上記積層体は、上記水素発生材料の通過を阻止するための被覆材と、上記被覆材を上記容器本体の内壁に固定するための固定材と、を含む固定材/被覆材多層領域と、上記水素発生材料の通過を阻止するための被覆材のみからなる被覆材単独領域とを有し、上記固定材/被覆材多層領域が上記被覆材単独領域を囲む形態であり、上記被覆材単独領域を上記注水管が貫通しており、上記被覆材は、上記第1の容器部に面するように配置されており、上記水素発生材料の平均粒径をD(μm)としたとき、上記水素発生材料と上記被覆材との衝突時に上記被覆材に加わる圧力が0.15D(Pa)以下である場合、上記水素発生材料が上記第1の容器部から上記第2の容器部に通過するのを阻止可能であることを特徴とする。
上記第1の容器部と上記第2の容器部との間の積層体は、被覆材単独領域において、水素発生材料が第1の容器部から上記第2の容器部に通過するのを阻止する一方、水素の排出に支障をきたさない。これは、水素発生材料を捕捉しても、水素が通過できる程度の隙間が、被覆材単独領域に存在しているためである。また、固定材を用いて被覆材を容器本体の内壁に強固に固定しているため、容器に振動が加わるなどしても、水素発生材料の通過を阻止でき、漏洩を生じさせない。さらに、被覆材単独領域を貫通する注水管から水を注水する構成であるため、水素発生材料に水を注水することができなくなるなどの不都合を生ずることがない。このようにして、本発明では、水素発生材料の漏洩を生じさせず、注水及び水素排出に支障がない水素発生材料収容器を実現した。
本明細書において、水素発生材料が「通過するのを阻止可能」とは、被覆材を通過する水素発生材料粒子が目視で皆無である状態を指す。
水素発生材料粒子としては、主に、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウムといった金属やこれらの金属元素を主体とする合金で構成されており、各種の形状を有する粒子を用いることができる。特に、アルミニウム、マグネシウム及びそれらの合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属材料や、それら材料の水酸化物を用いることが好ましい。さらに好ましくは、上記金属材料が、60μm以下の粒径の粒子を80質量%以上含むものである場合、水との反応性が向上するため好ましい。
上記金属材料は、一般に、表面に安定な酸化皮膜が形成されているため、常温では水と反応しにくく、加熱しても水との反応が進行しない場合もある。しかし、平均粒径を100μm以下にすれば、酸化皮膜による水との反応抑制作用が減少し、常温では水と反応しにくいものの、加熱すれば水との反応が促進され、水素発生反応が持続するようになる。金属材料の平均粒径を50μm以下にすれば、40℃程度の穏和な条件でも水と反応するため、より効率よく水素を発生できる。一方、金属材料の粒径を小さくすれば、水素発生速度を増加できるが、粒径が0.1μmより小さくなると、引火性が高まり取り扱いが困難となるだけでなく、金属材料の充填密度が低下してエネルギー密度が低下しやすくなる。そのため、金属材料の粒径は、0.1μm以上であることが好ましい。
なお、金属材料の平均粒径とは、体積基準の積算分率50%における粒子直径の値であるD50を意味している。平均粒径の測定方法としては、例えば、レーザー回折・散乱法などを用いることができる。具体的には、水などの液相に分散させた測定対象物質にレーザー光を照射することによって検出される散乱強度分布を利用した粒子径分布の測定方法である。レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置としては、例えば、日機装株式会社製の「マイクロトラックHRA(製品名)」などを用いることができる。
また、金属材料は、アトマイズ法により作製された粉末状のものを使用できる。より効率よく水素を発生させるためには、金属材料は、化学的手段または機械的手段により、表面における水との反応性を向上させるための表面処理が施されていることが好ましい。金属材料の表面処理は、例えば、金属材料を溶媒中で機械的に撹拌することにより行う。また、金属材料は、ペレット状または顆粒状に形成されていてもよい。
上述の微小な水素発生材料粒子が収容された水素発生材料収容器に振動が加わると、水素発生材料粒子は、容器内で容易に飛散する。そして、飛散した水素発生材料粒子が、注水管内や水素排出管内に侵入し、水素発生材料粒子によって注水管や水素排出管が部分的あるいは全面的に詰まったりする場合がある。この場合、上述したように、水素発生材料収容容器への水の注入ができなくなったり、水素発生材料収容容器内から水素が排出できなくなったりするなどの問題が生ずる。
上記問題を回避する方法としては、例えば、注水管や水素排出管にフィルタを設け、水素発生材料粒子が注水管内や水素排出管内に侵入することを防ぐ方法が考えられる。しかしながら、この方法では、フィルタ自体が目詰まりを起こしてフィルタを交換する必要が生じたり、振動によってフィルタの設置位置がずれたりするなどの問題が発生する。さらに、フィルタの特性によっては、水素排出管内に排出される水素の流れが停滞しやすくなるという問題が発生する。
そこで、本発明者らは、振動によって生ずる水素発生材料粒子の挙動を、理論及び実験の両面から鋭意検討した結果、水素発生材料の平均粒径と振動との関係から特定される特性を有する被覆材を用いることが望ましいことを見出し、実験でも確認することにより、本発明に至った。以下、本発明にあたっての理論的検討を述べた後、実験による検討を述べる。
まず、本発明者らは、水素発生材料の粒子近傍に被覆材を配置した場合、振動加速度が印加された水素発生材料粒子と被覆材とが衝突したときにどのような力及び圧力が被覆材に加わるかを検討した。図1Aは水素発生材料粒子が被覆材に衝突する前の様子を示し、図1Bは水素発生材料粒子が被覆材に衝突したときの様子を示している。図1A、Bにおいて、11は被覆材、12は水素発生材料粒子である。ここでは、水素発生材料粒子12の形状は球形と仮定した。個々の粒子の中には球形からずれた形状も勿論あるが、粒子表面全体の表面エネルギーを下げるには、単位質量あたりの粒子の表面積が最小となることが望ましく、平均的な粒子として、球形を仮定するのは妥当と考えた。また、水素発生材料粒子12の平均粒径はD(0.1≦D≦60)(μm)とした。
図1Aに示すように、球形形状の水素発生材料粒子12の近傍に被覆材を配置した状態で振動を加えた場合、図1Bに示すように、水素発生材料粒子12は被覆材11に衝突する。被覆材11における水素発生材料粒子12との衝突領域11aの面積(以下、衝突面積という。)S(m2)は、粒径D(μm)の円形と近似でき、下記式(1)で表される。
S(m2)=π(D×10-6/2)2=(10-12/4)πD2 ・・・(1)
上記式(1)を用いて各粒径Dに基づいて衝突面積Sを算出した結果を、図2に示す。図2は、水素発生材料粒子12の粒径と、水素発生材料粒子12と被覆材11との衝突面積の関係を示すグラフである。図2において、横軸は、水素発生材料粒子12の粒径(μm)を示し、縦軸は、衝突面積(m2)を示している。
図2から、水素発生材料粒子12と被覆材11との衝突面積Sは、水素発生材料粒子12の粒径に比例していることが分かる。
次に、水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる力の最大値Fmax(N)について求めると、このFmax(N)は、粒径D(μm)の球が振動加速度a(m/s2)で加速した状態で近似でき、下記式(2)で表される。なお、水素発生材料粒子12の密度はρ(kg/m3)とした。
Fmax(N)=(4/3)π(D×10-6/2)3ρa=(10-18/6)πρaD3 ・・・(2)
ここで、重力加速度Gは、下記式(3)で表されるが、例えば、振動加速度a(m/s2)をy(G)とした場合、y(G)の振動加速度が加わった水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる力の最大値Fmax(N)は、上記式(2)、下記式(3)を用いて求めることができ、下記式(4)で表される。
1G=9.8(m/s2) ・・・(3)
Fmax(N)=(9.8×10-18/6)πρyD3 ・・・(4)
例えば、水素発生材料粒子12をアルミニウム粒子(Al粒子)とし、振動加速度を1Gとした場合、1Gの振動加速度が加わったAl粒子が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる力の最大値Fmax(N)を上記式(4)を用いて算出し、算出結果を図3に示した。なお、Al粒子の密度ρは2700(kg/m3)とした。図3は、Al粒子の粒径と、1Gの振動加速度が加わったAl粒子と被覆材11との衝突時に被覆材11に加わる力との関係を示すグラフである。図3において、横軸は、Al粒子の粒径(μm)を示し、縦軸は、1Gの振動加速度がAl粒子に加わった時に被覆材11に加わる力(N)を示している。
図3から、1Gの振動加速度が加わったAl粒子が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる力の最大値Fmaxは、水素発生材料粒子12の粒径に比例していることが分かる。
一方、水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる圧力の最大値Pmax(Pa)は、水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる力の最大値Fmax(N)(上記式(2))を、衝突断面積S(m2)(上記式(1))で割ることにより求めることができ、下記式(5)で表される。
Pmax(Pa)={(10-18/6)πρaD3}/{(10-12/4)πD2}=(2×10-6/3)ρaD ・・・(5)
例えば、振動加速度a(m/s2)をy(G)とした場合、y(G)の振動加速度が加わった水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる圧力の最大値Pmax(Pa)は、上記式(3)を上記式(5)のaに代入することにより求めることができ、下記式(6)で表される。
Pmax(Pa)=(19.6×10-6/3)ρyD ・・・(6)
ここで、例えば、水素発生材料粒子12をAl粒子とし、振動加速度を1Gとした場合、1Gの振動加速度が加わったAl粒子が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる圧力の最大値Pmaxを上記式(6)を用いて算出し、算出結果を図4に示した。図4は、Al粒子の粒径と、1Gの振動加速度が加わったAl粒子と被覆材11との衝突時に被覆材11に加わる圧力との関係を示すグラフである。図4において、横軸は、Al粒子の粒径(μm)を示し、縦軸は、1Gの振動加速度がAl粒子に加わった時に被覆材11に加わる圧力(Pa)を示している。
図4から、1Gの振動加速度が加わったAl粒子が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる圧力の最大値Pmaxは、水素発生材料粒子12の粒径に比例していることが分かる。
さらに、水素発生材料粒子12に印加される振動加速度が1Gの場合だけでなく、2G、3G、4G、5G、6G、7G、8Gの場合についても同様に、被覆材11に加わる圧力の最大値Pmaxを上記式(6)を用いて算出し、算出結果を図5に示した。図5は、Al粒子の粒径と、1〜8Gの振動加速度が加わったAl粒子と被覆材11との衝突時に被覆材11に加わる圧力との関係を示すグラフである。図5において、横軸は、Al粒子の粒径(μm)を示し、縦軸は、振動加速度がAl粒子に加わった時に被覆材11に加わる圧力(Pa)を示している。
図5から、振動加速度が大きくなるにつれ、Al粒子が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる圧力の最大値Pmaxも増加するが、いずれの場合も粒径に比例していることが分かる。
また、水素発生材料粒子12としてマグネシウム粒子(Mg粒子)を用いた場合も、上記Al粒子の場合と同様に、水素発生材料粒子12との衝突時の被覆材11に加わる力及び圧力について算出し、算出結果を図6から図8に示した。なお、Mg粒子の密度ρは1738(kg/m3)とした。図6は、Mg粒子の粒径と、1Gの振動加速度が加わったMg粒子と被覆材11との衝突時に被覆材11に加わる力との関係を示すグラフである。図6において、横軸は、Mg粒子の粒径(μm)を示し、縦軸は、1Gの振動加速度がMg粒子に加わった時に被覆材11に加わる力(N)を示している。図7は、Mg粒子の粒径と、1Gの振動加速度が加わったMg粒子と被覆材11との衝突時に被覆材に加わる圧力との関係を示すグラフである。図7において、横軸は、Mg粒子の粒径(μm)を示し、縦軸は、1Gの振動加速度がMg粒子に加わった時に被覆材11に加わる圧力(Pa)を示している。図8は、Mg粒子の粒径と、1〜8Gの振動加速度が加わったMg粒子と被覆材11との衝突時に被覆材11に加わる圧力との関係を示すグラフである。図8において、横軸は、Mg粒子の粒径(μm)を示し、縦軸は、振動加速度がMg粒子に加わった時に被覆材11に加わる圧力(Pa)を示している。
図6及び図7から、1Gの振動加速度が加わったMg粒子が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる力の最大値Fmax及び圧力の最大値Pmaxは、Mg粒子の粒径に比例していることが分かる。また、図8から、振動加速度が大きくなるにつれ、Mg粒子が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる圧力の最大値Pmaxも増加するが、いずれの場合も粒径に比例していることが分かる。
本発明者らが水素発生装置の実際の使用状況を調べたところ、水素発生装置は、例えば、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータなどの携帯型小型電子機器で用いられる燃料電池の燃料源として、上記携帯型小型電子機器に搭載される。そして、上記携帯型小型電子機器をユーザが持ち歩くときに発生する振動や、上記携帯型小型電子機器が落下して地面と衝突するときに発生する振動などに伴い、水素発生装置内の水素発生材料収容器に収容されている水素発生材料が、水素発生材料収容器内で様々な方向に様々なスピードで移動し、上述したように、水素発生材料収容器から漏洩する場合がある。そのため、被覆材11としては、平均粒径D(μm)の水素発生材料粒子との衝撃時に被覆材11に加えられる圧力が0.1D(Pa)以下であれば水素発生材料粒子12の通過を阻止可能なものが望ましいと考えられた。
上記のような条件を満たす被覆材11を探索したところ、平均粒径D(μm)の水素発生材料粒子の密度をρ(kg/m3)としたとき、目付けが8.36・10-3ρ1/3/D(kg/m2)以上、8.36・10-1ρ1/3/D(kg/m2)以下の範囲内である被覆材が好ましいことが分かった。さらに好ましくは、目付けが8.36・10-2ρ1/3/D(kg/m2)以上、2.51・10-1ρ1/3/D(kg/m2)以下の範囲内である被覆材である。
ここで、目付けがρ1/3/Dに比例する理由は、次の通りである。水素発生材料粒子の平均粒径Dが小さくなると、粒径が小さな水素発生材料粒子を捕捉するためには被覆材の目付けを大きくする必要があるため、簡易な減少関数として1/Dに目付けが比例することで近似した。一方、水素発生材料の密度ρが大きくなると、これは同じ密度で平均粒径Dが小さくなった場合に相当する。すなわち、水素発生材料の密度ρが、ρ1からρ2>ρ1なるρ2になった場合を考えると、これは同じ密度ρ1を保った場合、水素発生材料の粒径Dが、D1からD2<D1なる関係を満たすD2に変わることに相当する。ここで、質量が等しいことに注意すれば、下記式(7)が成立する。
ρ1(4/3)π(D2/2)3=ρ2(4/3)π(D1/2)3 ・・・(7)
そして、上記式(7)を変形すると、下記式(8)が得られる。
2=(ρ2/ρ11/31 ・・・(8)
上記式(8)から被覆材11の目付けはρ1/3に比例することとなり、先の1/Dに比例することをも考慮することで、目付けがρ1/3/Dに比例するとした。
さらに、本発明者らは、水素発生材料が球形以外の形状である場合についても検討を行った。すなわち、平均粒径D(μm)の球の代わりに、下記式(9)を満足するD_a(μm)、D_b(μm)、D_c(μm)を主軸の長さとする楕円体を検討することとした。
D_a≦D_b≦D_c ・・・(9)
なお、この楕円体の特別な場合として、下記式(10)を満足する場合は、上記の平均粒径D(μm)の球で検討した内容がそのまま適用できる。
D=D_a=D_b=D_c ・・・(10)
上記式(9)を満足するD_a(μm)、D_b(μm)、D_c(μm)を主軸の長さとする楕円体の体積V(m3)は、下記式(11)で表される。
V=(4/3)π(D_a×10-3/2)(D_b×10-3/2)(D_c×10-3/2)=(10-18/6)π・D_a・D_b・D_c ・・・(11)
ここで、水素発生材料の密度をρ(kg/m3)としたとき、上記式(11)を用いると、上記楕円体の水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる力の最大値Fmax(N)は、質量ρVの質点が振動加速度a(m/s2)で加速した状態で近似でき、下記式(12)で表される。
Fmax(N)=ρVa=(10-18/6)πρa・D_a・D_b・D_c ・・・(12)
上述したとおり重力加速度Gは上記式(3)で表され、例えば、振動加速度a(m/s2)をy(G)とした場合、y(G)の振動加速度が加わった水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる力の最大値Fmax(N)は、上記式(3)、上記式(12)を用いて求めることができ、下記式(13)で表される。
Fmax(N)=(9.8×10-18/6)πρy・D_a・D_b・D_c ・・・(13)
一方、上記楕円体の水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したきの最小の衝突面積Sは、D_aとD_bを主軸の長さとする楕円の面積で近似でき、下記式(14)で与えられる。
S(m2)=π(D_a×10-6/2)(D_b×10-6/2)=(10-12/4)π・D_a・D_b ・・・(14)
さらに、水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる圧力の最大値Pmax(Pa)は、水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11加わる力の最大値Fmax(N)(上記式(12))を、衝突面積S(m2)(上記式(14))で割ることにより求めることができ、下記式(15)で表される。
Pmax(Pa)={(10-18/6)πρa・D_a・D_b・D_c}/{(10-12/4)π・D_a・D_b}=(2×10-6/3)ρaD_c ・・・(15)
例えば、振動加速度a(m/s2)をy(G)とした場合、y(G)の振動加速度が加わった水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる圧力の最大値Pmax(Pa)は、上記式(3)を上記式(15)のaに代入することにより求めることができ、下記式(16)で表される。
Pmax(Pa)=(19.6×10-6/3)ρyD_c ・・・(16)
ここで、楕円体の粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる圧力の最大値Pmax(Pa)を示す上記式(16)と、球形の粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる圧力の最大値Pmax(Pa)を示す上記式(6)とを比較すると、楕円体の主軸の中で最長のD_cを平均粒径とする球の場合と等価であることが分かる。すなわち、水素発生材料粒子12の形状が球ではなく、楕円体である場合は、水素発生材料粒子12が被覆材11に衝突したときに被覆材11に加わる圧力の最大値Pmax(Pa)としては、楕円体の主軸の中で最長のD_cを平均粒径とする球の場合を考えればよい。
被覆材の材質としては、脱脂綿、不織布、織布、ガーゼ、スポンジの中のいずれかを用いることが好ましく、特に、脱脂綿が好ましい。これは、脱脂綿の繊維がα−セルロースからなり、熱安定性及び化学的安定性に優れるのに加え、繊維がランダムな形状で絡み合うため、水素発生材料粒子を捕捉する一方で、適度な空隙があるため、発生した水素を水素排出管から排出するときに障害とはならないという優れた特性を有しているからである。さらに、脱脂綿を構成するセルロース繊維の太さとしては、水素発生材料粒子の平均粒径D(μm)に対して10D(μm)以下であることが好ましい。また、被覆材の吸水力としては、自重の10倍以上、100倍以内が好ましい。脱脂綿の吸水力は、自重の20倍程度である。
上記水素発生材料収容器で用いられる固定材としては、例えば、ポリイミドフィルムに粘着物質が積層されたテープ状のもの、すなわちポリイミドテープを用いることができる。ポリイミドテープの粘着物質としては、シリコーン系粘着材、アクリル系粘着材などが挙げられる。
水素発生材料収容器としては、水素発生材料を収容可能であれば、その材質や形状は特に限定されない。具体的な容器の材質としては、液体及び水素が透過しにくく、かつ120℃程度に加熱しても容器が破損しない材質が好ましく、例えば、アルミニウム、鉄などの金属、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂を用いることができる。また、容器の形状としては、角柱状、円柱状などが採用できる。
以下、本発明の水素発生材料収容器による水素発生材料の漏洩防止効果について実施例を用いて説明する。
(水素発生材料収容器の作製)
図9に示す水素発生材料収容器を作製した。この水素発生材料収容器は、容器本体1と、蓋体5とを備え、容器本体1は蓋体5によって密閉されている。容器本体1は、被覆材6及び固定材8からなる積層体によって第1の容器部20と第2の容器部21に分割されている。被覆材6は、第1の容器部20に面するように配置されており、固定材8により、容器内壁1bに固定されている。また、第1の容器部20には、水素発生材料2を収容した。
蓋体5には、注水管3と水素排出管4が設けられている。蓋体5の容器内側の表面には、被覆材7及び固定材9からなる積層体を設けた。被覆材7は、蓋体5に接するように配置されており、固定材9により、蓋体5に固定されている。
ここで、被覆材6及び固定材8を示す分解斜視図を図10に示す。被覆材6は、円盤状をしている。固定材8は、その底面中央部に孔8bを有する浅い皿のような形状をしており、側壁8aが、図9の容器内壁1bに固定(接着)するときの糊しろ部分となる。これらの部材は、被覆材6の一主面上に、固定材8を矢印方向に積層して用い、これら被覆材6及び固定材8からなる積層体のうち、被覆材単独領域を注水管3が貫通する形態とした。このような形態とすることで、水素発生材料2(図9)の漏洩を防止できる一方で、水素の排出に支障がないようにすることができる。つまり、水素発生材料2(図9)が第1の容器部20(図9)から第2の容器部21(図9)へ移動するのを回避できる一方で、第1の容器部20(図9)で発生した水素を第2の容器部21(図9)に排出できる。
また、被覆材7及び固定材9を示す分解斜視図を図11に示す。これらの部材は、蓋体5の容器内側の表面上に被覆材7を配置して、矢印方向に固定材9を積層して用いる。固定材9には、水素排出管4の排出口の位置に対応した箇所に、水素排出管4の管径と略等しい孔9aが設けられており、被覆材7と固定材9とを積層すると、孔9aの箇所だけ、被覆材7が露出する形態となる。つまり、水素排出管4の排出口は、被覆材7のみによって覆われた状態となる。このように、水素排出管4の排出口を被覆材7のみで覆うことにより、もし第2の容器部21に水素発生材料が漏洩していたとしても、水素の排出に支障をきたさずに水素排出管4内への侵入(漏洩)を回避できる。
本実施例では、容器本体1は、ポリエチレン製のものを用い、蓋体5は、シリコンゴム製のものを用いた。第1の容器部20には、水素発生材料2として、平均粒径6μmのアルミニウム粒子を収容した。被覆材6としては、α−セルロースの繊維径が10〜25μm程度で、目付けが0.194kg/m2の脱脂綿を用い、固定材8としてはポリイミドテープを用いた。被覆材6及び固定材8からなる積層体の直径は28mmであり、固定材8の孔8b(被覆材単独領域)の直径が20mmであった。被覆材7としては、被覆材6と同様、α−セルロースの繊維径が10〜25μm程度で、目付けが0.194kg/m2の脱脂綿を用い、固定材9としてはポリイミドテープを用いた。図12に、使用した脱脂綿の光学顕微鏡写真を示す。
(振動試験)
上記のようにして作製した水素発生材料収容器に対して、振動試験装置(振研製“G−0.1940L”)を用いて振動試験を行った。図13は、振動試験の条件を説明するための図である。図13において、横軸は、時刻(分)を示し、縦軸は、振動周波数(Hz)を示している。振動試験における振動波形は、図13に示すように、最小振動周波数7Hzから最大振動周波数200Hzまで対数掃引を行った後、7Hzに戻る15分の正弦波形とした。振動試験装置のテーブルに、上記水素発生材料収容器を図9の向きで固定し、鉛直方向に振動を与えた。振動試験時間は3時間とした。周波数の対数掃引では、7〜18Hzの周波数範囲において、振動加速度を1Gに制御した。その後、18〜50Hzの周波数範囲では、振幅を0.8mmに制御した。50〜200Hzの周波数範囲では、振動加速度を6Gに制御した。
上記振動試験を15分周期で3時間行った後、水素発生材料の漏洩を確認したところ、アルミニウム粒子の漏洩は見られなかった。ここでいう漏洩とは、アルミニウム粒子が、第1の容器部20から第2の容器部21に通過する現象だけでなく、被覆材7および固定材9からなる積層体を通過して水素排出管4内に侵入する現象、注水管3の注入口内に侵入する現象も含まれる。
また、上記振動試験では、アルミウム粒子に対して、1Gから6Gまでの振動加速度を加えたので、上記式(6)から、被覆材に加わった圧力としては0.018D(Pa)から0.141D(Pa)の圧力が加わったことになるが、本実施例の水素発生材料収容器の場合、漏洩が発生しない状態を保つことができた。
比較のため、被覆材6および被覆材7として、上記と同じ脱脂綿を0.194kg/m2の目付けで用い、固定材8及び固定材9を省略した形態で、上記と同じ振動試験を行ったところ、Al粒子の漏洩が生じた。つまり、固定材8及び固定材9を用いることによって被覆材6及び被覆材7を強固に固定したことにしたことが、漏洩を遮断できた原因の一つと考えられる。
(脱脂綿)
次に、上記で用いた脱脂綿の性質をさらに詳細に調べた。試料として、上記と同じ脱脂綿で、目付けが0.194kg/m2、0.388kg/m2、0.583kg/m2の3種類の脱脂綿を用意し、評価装置としてのAutomated Capillary Flow Porometer(Porous Materials,Inc.社製“CFP−1500AEX”、)を用いて測定を行った。同装置は、試料が濡れた状態WETと、乾いた状態DRYのそれぞれで、圧縮気体を流量制御しながら流して圧力を測定することで、試料の多孔状態を調べることができる。測定にあたっては表面張力が明確になっている液体を含浸剤として用いて試料に含浸する必要があるが、含浸剤としては、表面張力が15.6mN/mである1,1,2,3,3,3−hexafluoropropene(Porous Materials Inc.社製、商品名“Galwick”)を用いた。
試料が濡れた状態WETと、乾いた状態DRYのそれぞれで圧縮気体を流量制御しながら試料に流し、測定した圧力と流量との関係から、孔径と流量分布の関係を得た。図14に、脱脂綿の目付けが0.194kg/m2、0.388kg/m2、0.583kg/m2の場合の流量分布を示す。図14において、横軸は、孔径(μm)を示し、縦軸は、流量分布(%流量/Δ(孔径))を示す。
ここで、流量分布の単位「%流量/Δ(孔径)」について説明する。「Δ(孔径)」は、隣接する2つの測定データに対応した孔径の差分値を示している。「%流量」は、隣接する2つの測定データに対応した孔径の間に、測定試料を通過する流体の相対的な流量を示している。例えば、D1<D2を満たす孔径D1以上から孔径D2未満の間で、測定試料を通過する流体の相対的な流量を、「%流量」は示している。よって、もし孔径D1以上から孔径D2未満の間の大きさの孔が相対的に多く分布していれば、対応する「%流量」は大きくなる。逆に、孔径D1以上から孔径D2未満の間の大きさの孔がほとんど存在していなければ、流体はほとんど通過できず、「%流量」は小さくなる。今回の測定では、孔径D1以上から孔径D2の間隔が変化したため、「%流量/Δ(孔径)」のように、「%流量」を「Δ(孔径)」で割った数値を用いた。例えば、D1<D2を満たす孔径D1以上から孔径D2であれば、Δ=D2−D1である。このように流量分布を表すことで、各測定データの孔径に対応する流体の通過しやすさを定量化できる。従って、縦軸の流量分布(%流量/Δ(孔径))が大きな数値であるほど、流体は通過しやすいので、その孔径の孔は相対的に多く分布していると考えられる。
図14から、大まかな傾向として、目付けが大きくなるにつれて、孔径が小さくなっていく傾向が分かる。具体的には、目付けが0.194kg/m2の脱脂綿の場合は、孔径がおおよそ5μmから30μm程度の範囲で分布していたものが、目付けが0.388kg/m2の脱脂綿となると、おおよそ2μmから25μm程度の範囲になり、さらに目付けが0.583kg/m2の脱脂綿の場合は、おおよそ1μmから20μm程度の範囲となった。
さらに、ハーフドライ法として知られる手法に従い、DRYの測定データを用いて、各圧力での流量を1/2としたHALF DRYのデータを算出し、これと、WETの測定データとの交点から平均流量径を求めた。図15に、目付けと平均流量径の関係を示す。図15において、横軸は、目付け(kg/m2)を示し、縦軸は、平均流量径(μm)を示している。平均流量径は、試料の平均孔径と近似的に見なすことができる。
図15からも、目付けが大きくなるにつれて、孔径が小さくなっていく傾向が確認された。但し、孔径の変化率の絶対値は、目付けが大きくなるにつれて小さくなることが分かる。これは目付けを大きくしたとしても、ある程度以上に平均流量径が小さくはならないことを意味する。このような脱脂綿の性質は、アルミニウムに水を加えて発生した水素を遮蔽せずに済むことにつながる。
また、図15からは、脱脂綿の平均流量径は、目付けが0.194kg/m2の場合で14.9μm、目付けが0.388kg/m2の場合で10.4μm、目付けが0.583kg/m2の場合で9.1μmとなり、いずれもアルミニウムの平均粒径6μmよりも大きいが、振動試験を行っても脱脂綿のα−セルロースにアルミニウム粒子が捕捉され、実質上、アルミニウムの漏洩は発生しなかった。すなわち、本発明によれば、水素発生材料の平均粒径よりも大きな平均孔径であるにもかかわらず、実用的な振動条件でも、水素発生材料を漏洩しないで済む水素発生材料収容器を提供することができた。
本発明の水素発生材料収容器は、振動加速度が印加された水素発生材料の漏洩を抑制可能な容器として利用可能である。
1 水素発生材料収容器
1a 容器外壁
1b 容器内壁
2 水素発生材料
3 注水管
4 水素排出管
5 蓋体
6 被覆材
7 被覆材
8 固定材
8a 側壁
8b 孔
9 固定材
9a 孔
11 被覆材
11a 衝突面積
12 水素発生材料粒子
20 第1の容器部
21 第2の容器部

Claims (8)

  1. 水との反応により水素を発生する水素発生材料を収容するための水素発生材料収容器であって、
    容器本体と、
    前記容器本体を密閉する蓋体と、
    前記容器本体を第1の容器部と第2の容器部に分割する積層体と、
    前記蓋体に設けられ、前記第1の容器部に水を注水するための注水管と、
    前記蓋体に設けられ、前記第2の容器部から水素を外部に排出するための水素排出管と、を含み、
    前記第1の容器部には、水との反応により水素を発生する水素発生材料が収容されており、
    前記積層体は、前記水素発生材料の通過を阻止するための被覆材と、前記被覆材を前記容器本体の内壁に固定するための固定材と、を含む固定材/被覆材多層領域と、前記水素発生材料の通過を阻止するための被覆材のみからなる被覆材単独領域とを有し、前記固定材/被覆材多層領域が前記被覆材単独領域を囲む形態であり、前記被覆材単独領域を前記注水管が貫通しており、
    前記被覆材は、前記第1の容器部に面するように配置されており、前記水素発生材料の平均粒径をD(μm)としたとき、前記水素発生材料と前記被覆材との衝突時に前記被覆材に加わる圧力が0.15D(Pa)以下である場合、前記水素発生材料が前記第1の容器部から前記第2の容器部に通過するのを阻止可能であることを特徴とする水素発生材料収容器。
  2. 前記水素発生材料の密度をρ(kg/m3)としたとき、前記被覆材の目付けは、8.36・10-3ρ1/3/D(kg/m2)以上、8.36・10-1ρ1/3/D(kg/m2)以下の範囲内である請求項1に記載の水素発生材料収容器。
  3. 前記被覆材の目付けは、8.36・10-2ρ1/3/D(kg/m2)以上、2.51・10-1ρ1/3/D(kg/m2)以下の範囲内である請求項2に記載の水素発生材料収容器。
  4. 前記被覆材は、目付け0.1kg/m2以上、0.6kg/m2以下の脱脂綿である請求項1に記載の水素発生材料収容器。
  5. 前記被覆材は、前記水素発生材料の平均粒径をD(μm)としたとき、10D(μm)以下の繊維径の繊維を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素発生材料収容器。
  6. 前記被覆材の吸水力が、前記被覆材の自重の10倍以上、100倍以内である請求項1〜5のいずれか1項に記載の水素発生材料収容器。
  7. 前記水素排出管の排出口に、水素発生材料の通過を阻止するための第2の被覆材を設けた請求項1〜6のいずれか1項に記載の水素発生材料収容器。
  8. 前記水素発生材料は、アルミニウム、マグネシウム及びそれらの合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属材料を用いる請求項1〜7のいずれか1項に記載の水素発生材料収容器。
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