JP2011236065A - 粘土膜、粘土分散液および粘土分散液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 引張り強度が20MPa以上であることを特徴とする粘土膜である。前記粘土膜が少なくとも雲母を含むことが好ましい。前記雲母が層間陽イオンとして少なくともナトリウムイオンあるいはリチウムイオンを含む膨潤性雲母であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
そこで近年、粘土膜は、その耐熱特性やガスバリア性をいかし、ディスプレイや太陽電池のフレキシブルな基板としての利用が注目されている(特許文献1参照)。
スメクタイトに代表される膨潤性の粘土は一般的に、粘土の表面に親水性イオンが存在するために、水中に分散した場合に粘土粒子層間の親水性イオンが容易に水をよびこむことができるために粘土粒子層間に水が入り込む。入り込んだ水がさらに水をよびこむために粒子層間が更に押し広げられて粘土粒子層の剥離が進み、粘土が水中に分散された粘土分散液ができる。有機溶剤に粘土を分散させる場合には、粘土の表面の親水性イオンと有機イオンのイオン交換を行った後、洗浄、乾燥、及び粉砕の工程を経て有機修飾粘土を得る。有機修飾粘土は粘土の表面に有機イオンが存在するために、疎水性となり水には分散しにくく、有機溶剤に分散が可能となる。溶媒が水以外の有機溶剤でも、溶媒に粘土を分散させて粘土粒子層剥離を進めることで、粘土塗料を作製し、該粘土塗料を用いて粘土膜を作製することができた。
作製された粘土膜は、耐熱性、ガスバリア性、柔軟性に優れた膜であるが、引張り強度があまり強くなく、粘土塗料に使用した溶媒と同じ溶媒に浸すと膜が破壊されるものであった。
また、スメクタイト等を主原料とする粘土膜へ添加しても雲母粒子層剥離ができていない大きな塊として膜中に存在するために、引張り強度の低下やガスバリア性の低下をもたらしていた。
また、本発明は高い引張り強度に加え、耐熱性に優れた粘土膜、粘土分散液および粘土分散液の製造方法を提供することを第二の目的とする。
また、本発明によれば、高い引張り強度に加え、耐熱性に優れた粘土膜、粘土分散液および粘土分散液の製造方法を提供することができる。
本発明の粘土膜は粘土(雲母および他の粘土の総量)を主成分として含むことが好ましい。具体的には粘土膜を構成する粘土の重量(固形分量)が50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、90重量%以上であることが特に好ましい。粘土膜を構成する粘土の重量(固形分量)は100重量%であってもよい。
粘土以外の任意成分としては、種々の添加剤を含ませることができる。
本発明の粘土分散液(以下、「分散液」という場合がある)で用いる雲母としては、例えば天然雲母として、金雲母、鉄雲母、タエニオライト、ポリリシオナイト、白雲母、パラゴナイト、トベライト、キノシタライト、マーガライト、イライト、セリサイト、グロコナイト、セラドナイト、合成雲母としては、溶融法やインターカレーション法、水熱法、その他の方法により合成されたフッ素雲母、フッ素金雲母、カリウム四ケイ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムヘクトライト等により選択される1種以上であることが好ましい。中でも、合成の膨潤性雲母であるフッ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムヘクトライトを使用するのが好ましく、単独で使用しても他の雲母、他の粘土と組み合わせて使用しても良い。
雲母の添加量は、全固形物重量中5重量%以上含むことが好ましく、10重量%以上含むことがさらに好ましく、30重量%以上含むことが特に好ましい。5重量%以上であれば、本発明の効果が得られ、それより少ない場合にはあまり効果が得られないので好ましくない。雲母のみの100重量%でも本発明の粘土膜となりえる。
合成の膨潤性雲母であるフッ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムヘクトライトは、主に溶融法あるいはインターカレーション法で作製され、溶融法は原料を1400〜1500℃に加熱溶融し、冷却過程で結晶を析出させる方法であり、インターカレーション法はタルクとケイフッ化アルカリを主原料とし、1200℃以下の比較的低温で焼成する方法である。これらの方法で作製された合成の膨潤性雲母は水酸基が全てフッ素に置換された構造をしているため、他の粘土や天然の雲母が500℃以上の温度域で結晶構造中に存在する水酸基(-OH)の脱水分解を起こすのに対して、合成の膨潤性雲母は結晶構造中に水酸基が存在しないので脱水分解を起こさず熱的により安定である。従って、全固形物重量中の合成の膨潤性雲母の比率が多くなればなるほど高温域、例えば500℃以上の温度領域での熱安定性が高まり、より耐熱性の高い粘土膜を得ることができる。例えば、合成の膨潤性雲母100重量%からなる本発明の粘土膜は、500℃以上の温度域で重量減少を起こさず、非常に良好な耐熱性を有する。
本発明の粘土分散液で用いる雲母以外の粘土(以下、「他の粘土」という場合がある)は、特に限定されず必要に応じて選択できる。例えば天然または合成物からなる粘土を挙げることができる。具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、クリソタイル、リザーダイド、アメサイト、パイロフィライト、タルク、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、スチーブンサイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、2八面体型バーミキュライト、3八面体型バーミキュライト、レピドライト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト及び層状チタン酸からなる群より選択される1種以上であると好ましい。中でも、膨潤性が高く粒子径がナノオーダーで偏平状の形態を示すため自己組織化(self organization)による配向が起こりやすく、また比較的入手が安易であることから、ヘクトライト、スチーブンサイト、サポナイト及びモンモリロナイトを使用するのが特に好ましい。
本発明の粘土分散液は、粘土を溶媒に分散させて、該溶媒を除去することによって得られる粘土膜の引張り強度が20MPa以上となるものであればよい。本発明の粘土分散液を得るためには、従来のホモジナイザーによる分散だけでは粘土粒子層の層剥離が不十分であることから、他の方法を使用する必要がある。本発明の粘土分散液を得る方法としては、例えば、粘土と溶媒の粘土混合液(以下、「混合液」という場合がある)に圧力を加えて、混合液同士を衝突させて、あるいは流路断面積が流路流れ方向に沿って変化する分散ユニットを通過させることによって得られる。これによって、粘土混合液中の粘土粒子の層剥離をいっそう進めることができるとともに、従来分散が困難であった膨潤性に乏しい雲母粒子の層剥離も進めるものである。溶媒としては、水などの極性溶媒、有機溶剤などの極性の低い溶媒、あるいはその混合溶媒を使用することができ、沸点の異なる2種類の溶媒が混合した混合溶媒を使用することがより好ましい。
ここで、粘土混合液とは粘土と溶媒を混合しただけのもの、すなわち粘土粒子の層間剥離を行う前のものである。一方、粘土分散液とは粘土混合液に含まれる粘土粒子の層間剥離を行った後のものをいう。
以下、従来分散が困難であった雲母粒子の層剥離による分散例を主に説明する。なお、下記の方法は雲母粒子以外にも、他の粘土粒子の層剥離も進めることができるものである。
ここで、キャビテーション効果(空洞現象)とは、一般に高速で流れる液体中の圧力の低い部分が気化して、非常に短い時間に蒸気のポケットが生まれ、また非常に短時間でつぶれて消滅する現象のことをいう。この発生したキャビティが崩壊する際に、瞬間的に非常に高い圧力が発生する。このキャビテーション効果の破壊力を雲母粒子の層剥離分散に利用したのが本発明である。
第2の流路素子2における流路11の流路断面積が、第1の流路素子1における導入口10の流路断面積に比べて変化するように設定する。
なお、キャビテ−ション効果発生後の流路断面積に制限はなく、流路断面積がそのままであってもよく、減少させてもよく、さらに増大させてもよい。
圧力を加えられた粘土混合液の軌跡は、導入口より流入した後、分岐することが好ましい。これによって、流速度が急激に低下しキャビテーション効果が発生する。あるいは、流路断面積が流路流れ方向に沿って急激に変化することによって、キャビテーション効果が発生する。このキャビテーション効果発生時に、高い衝撃力が発生し、キャビティ近傍にある雲母粒子の層剥離が進む。例えば、図1および図2においては、圧力を加えられた粘土混合液が導入口10より流入した後、2つの排出口12A、12Bへと排出されるため、粘土混合液あるいは粘土分散液の軌跡が分岐することとなる。粘土混合液あるいは粘土分散液の軌跡の分岐数は適宜変更することができる。
図1および図3においては、圧力を加えられた粘土混合液が導入口10より流入した後、まず第3の流路素子3に衝突することになり、次いで第1の流路素子1あるいは第2の流路素子2に衝突することになる。衝突させる流路素子は適宜変更することができる。
排出口12A、12Bの径は特に制限はないが、導入口10の径と同じであるかそれ以上とし、流路11の径よりも小さくすると、分散液を得やすくなるため好ましい。
第1の流路素子における導入口の個数および第3の流路素子における排出口の個数は制限されず、適宜設定することができる。導入口の個数を増やすことにより一度に処理できる粘土混合液量が増すため好ましい。
なお、図3および図4にも、粘土混合液あるいは粘土分散液の軌跡の例を矢印にて示している。
本発明における分散ユニットを有する分散装置として高圧湿式ジェットミルを挙げることができ、具体的には、「ナノメーカー」(アドバンストナノテクノロジー社製)、「ナノマイザー」(ナノマイザー社製)、「ナノマイザー」(吉田機械興業社製)、「ナノジェットパル」(常光社製)などがある。
一般に雲母は最小単位の雲母粒子層が層間イオンにより結び付けられ、何十、何百、何千、何万層と重なった状態で存在している。
よって、本発明における雲母粒子層剥離とは、四面体シートと八面体シートの複合層が層間物質とともに繰り返し積み重なっている構造において、該層間を押し広げて四面体シートと八面体シートの複合最小単位ごとに剥離することを意味する。
本発明の粘土分散液は、前記分散液の製造方法により効果的に雲母粒子層剥離が進んだ雲母が分散した良好な粘土分散液となる。一般的な分散方法である、ビーズミルのようなメディアによる機械的な衝突力を与えて粒子を分散する方法では、ビーズとの衝突により雲母粒子の層剥離が進む前に雲母が割れてしまい微細化してしまう。また、羽根回転やステーター/ローター回転によるせん断力分散では、雲母粒子層間に充分な力が作用せず、雲母粒子を割ることは少ないが、雲母粒子層剥離もあまり進まず凝集した雲母粒子が多数存在する粘土分散液しか得られず、雲母粒子の特徴である高いアスペクト比を維持することが出来なくなる。高い圧力を加えることにより得られる高流速による高せん断力と高圧力差によるキャビテーション効果で雲母粒子層の剥離を進めることにより、混合液中の雲母粒子が高アスペクト比を維持したまま層剥離が進むと考えられる。この効果により、当該粘土分散液を使用して形成した粘土膜の表面粗さRaは、従来の一般的な分散方法によって得られた粘土分散液を使用して形成した粘土膜の表面粗さRaよりも低く(滑らかに)なり、ガスバリア性も向上する。本発明の粘土膜の算術平均粗さ(表面粗さ)Raは2.00μm以下であることが好ましく、1.80μm以下であることがさらに好ましい。また、本発明の粘土膜の最大高さRzは10.0μm以下であることが好ましく、9.0μm以下であることがさらに好ましい。
雲母の粒子の粒径を見た場合、粒径分布がシャープな分布を有していると考えられる。これは当該粘土分散液を使用して形成した粘土膜の表面粗さRaが、従来の一般的な分散方法によって得られた粘土分散液を使用して形成した粘土膜の表面粗さRaよりも低くなる(滑らかになる)ためである。
一般に雲母は層電荷が大きいために、膨潤性のある膨潤性雲母でも溶媒中で層剥離があまり進まない。しかし、本発明の分散により層剥離が可能となり、最終的に粘土膜となった場合は雲母層同士が再び層間イオンを介して緻密に、高い層電荷による電気的に強固な結びつきによって配向するために、膜の引張り強度およびガスバリア性が向上する。
本発明に用いる雲母、粘土の層間イオンを他の金属イオンや疎水性イオン、有機オニウムイオン等に置き換えることができる。例えば、有機オニウムイオンとして四級アンモニウムイオン、四級ホスホニウムイオン、ピリジニウムイオン及びイミダゾリウムイオン等に層間イオンを交換することで、雲母や粘土が疎水性を有し、それらの雲母や粘土を用いて作製された粘土膜は耐水性を有する粘土膜となる。
本発明の粘土膜は、上記の粘土分散液中に含まれる溶媒を揮発させることにより得ることができる。例えば、前記方法で得られた粘土分散液を、基材へ塗工した後、もしくは容器へ流しこんだ後に、該粘土分散液中の溶媒を除去すればよい。具体的には粘土分散液中の溶媒を種々の固液分離方法、例えば、自然静置乾燥、遠心分離、濾過、真空乾燥、凍結真空乾燥又は加熱蒸発法などで分離し、膜状に形成することにより、高いアスペクト比を有する雲母粒子が緻密に配向し、耐熱性が高く、柔軟性に優れ、ガスバリア性、表面平滑性、高膜強度に優れた膜が得られるものである。
表面が平坦である粘土膜形成に用いる基材は、表面が平坦で粘土乾燥温度での変形が無く、乾燥後の粘土膜の剥離が容易であれば、特に限定はなく必要に応じて選択できる。中でも、比較的安価で利用しやすい、ポリエチレンテレフタレートフィルムやステンレスを基材として使用すると好ましい。また、粘土膜と他の部材との複合した部材を得ることもできる。具体的には、複合したい部材上に本発明の粘土分散液を塗布あるいはディップ等の工程を施して、その後、乾燥により溶媒を除去することにより任意の部材上に粘土膜が形成された複合部材を得ることができる。複合したい部材の形状は特に限定されず、曲面を有する複雑なものでも粘土分散液が入り込めばそこに粘土膜を作製することができ、複合化が可能となる。
得られた粘土膜は、雲母粒子が分散過程で加えられた力によって割れて微細化せずに、雲母粒子層剥離が進み、高アスペクト比を有する状態で溶媒に分散し、且つ雲母粒子層剥離が進まずに凝集した状態の雲母粒子凝集物が少ない塗料から、溶媒が除去されて層剥離した雲母粒子が再び重なり合い膜を形成しているために、引張り強度に優れた膜となる。上記粘土として雲母を使用した場合、引張り強度に加え、表面平滑性やガスバリア性や耐熱性にも優れた膜を得ることができる。
表面平滑性に関しては、粘土分散液中の溶媒が除去されて膜を形成する過程で、本発明の製造方法により雲母粒子層剥離が進み、より一次粒子に近い数nmの厚みと高いアスペクト比を持つ雲母粒子が基材に対して平行に堆積していき、層剥離が進まず凝集した粘土凝集物が少ないために、膜の表面の凹凸が少なく、表面平滑性に優れた粘土膜となる。層剥離が進まず凝集した雲母粒子凝集物の層数は数千層程度の層状構造体であり、本発明の分散液の製造方法によって雲母粒子層剥離を進めることができる。雲母粒子層剥離の程度は、数百層、より好ましくは数十層、更に好ましくは数層程度、特に単層の層状構造体であることが好ましい。
ガスバリア性に関しては、膜の表裏を抜けるガスの通り道は雲母の配向により抜け道が迷路のように長くなる迷路効果により高ガスバリア性を発揮する。本発明の製造方法により雲母層剥離が進み、より一次粒子に近い数nmの厚みと高いアスペクト比を持つ雲母が基材に対して平行に且つ緻密に堆積して膜を形成するために、ガスが抜ける通り道がより長く迷路効果が絶大になり、且つ雲母凝集物が少ないために、ガスの大きな抜け道が少なくなるためにガスバリア性に優れた粘土膜となる。
膜の引張り強度に関しては、雲母粒子層剥離が進み、雲母粒子が基材に対して平行に堆積して膜を形成した際、スメクタイト等の粘土に比べて雲母粒子は層電荷が大きい為に、一度層剥離した雲母粒子層が再び雲母粒子層同士が積層する力(電気的な引き合い)やその他相互作用の効果は非常に大きくなるために、粘土膜の引張り強度が高くなる。粘土膜の引張り強度は作業性の点から高い方が好ましい。本発明の粘土膜の引張り強度は、引張り強度は40MPa以上であることが好ましく、60MPa以上であることがさらに好ましい。本発明の粘土膜は引張り強度が20MPa以上であるため、従来の引張り強度が20MPa未満の粘土膜で生じていた問題(例えば、粘土膜を巻き取る場合や粘土膜上に別の層を積層する場合等に、粘土膜自身が破れる等)を改善することができるため、作業性を向上させることができる。
さらに、雲母粒子層間の強固な結合力により、膜となった場合に粘土塗料と同じ溶媒中に膜を浸しても、雲母粒子層間に溶媒があまり入り込まず、雲母粒子層間が剥離されることが少なくなるので、溶媒中でも膜形状を維持することが可能となる。
更には有機薄膜として有機ポリマーを粘土膜に塗布することにより表面に平坦性を持たせることができる。またハードコート層を積層して、ハードコート性を付与することもできる。
更には粘土膜表面に防湿性の膜や層、フィルムを配置することにより、粘土膜の水に対する弱点である加湿下のバリア性能低下を防止することができる。
ただし、本発明の雲母の層剥離効果で雲母のみあるいは他の無機物である粘土を用いた無機物のみの粘土膜でも充分な引張り強度やハンドリング性を有する為に、有機物を添加したものに比べて非常に高い耐熱性を有することができる。
各実施例及び比較例の各物性の測定は以下の方法で行った。なお、各実施例において使用した高圧湿式ジェットミルは、図3および図4に示したような構造を有するものである。
装置名:差圧式ガス透過率測定装置(GTR−30XATS、GTRテック社製)を用い、JIS K 7126のA法(差圧法)に準じて、測定条件40℃/Dryでの酸素の透過係数を求めた。
〔膜強度〕
装置名:テンシロン万能試験機(エー・アンド・デイ社製)を用い、10×150mmに切り出したサンプルを、23℃/50%の環境下に24時間以上放置して、その23℃/50%の環境下でチャック間距離100mm、引張り速度50mm/minの条件で引張り、破断した時の強度を測定し、この操作を3回繰り返し、その3回の平均値を膜強度とした。
〔表面平滑性〕
装置名:接触式表面粗計(サーフコーダーSE1700α、小坂研究所社製)を用い、測定長さ4.0mmの範囲をスキャンスピード0.1mm/secでスキャンし、JIS B 0601−2001に順じて算術平均粗さRaと最大高さRzを求め、この操作を3回繰り返した平均値を表面平滑性のデーターとした。
〔製膜性〕
製膜過程の乾燥時の膜状態を目視で観察した。発泡等の欠点がないものに関して○、発泡等の欠点があるものは×で評価した。
〔TG−DTA〕
膜の耐熱性として、500℃〜1000℃までの高温域での重量減少率をTG-DTA6200、EXSTAR6000ステーション(セイコーインスツルメント社製)を用い、Air雰囲気で、昇温速度5℃/minで測定した。
なお、耐熱性は粘土膜が形成されたものについて測定した。また、雲母を含有していない粘土膜については高い耐熱性を具備していないため、TG−DTAの測定を行わなかった。
雲母として合成膨潤性雲母(コープケミカル社製、商品名:ソマシフME−100)0.75g、粘土として天然の精製モンモリロナイト(クニミネ工業社製、商品名:クニピアG)14.25gを蒸留水(沸点100℃)213gとDMF(N、N-ジメチルホルムアミド、沸点153℃)72gの混合溶媒中に加え、エースホモジナイザー「AM−001」(株式会社日本精機製作所製)を用い3000rpmの回転数で30分間攪拌を行い粘土混合液を得た。
次に前記粘土混合液を分散させる分散機として、本発明の効果を得る為の分散ユニットを採用した高圧湿式ジェットミル「ナノメーカー」(アドバンストナノテクノロジー社製)を用い、処理圧力100MPaで1回処理を行い、本発明の粘土分散液を得た。
次にこの粘土分散液を、真空乾燥機内で真空に引くことで泡を除去し、PET「エンブレットS50」(ユニチカ社製)上にアプリケーターを用いて膜状に塗工し、強制送風式オーブン中で80℃の温度条件下で1時間乾燥し、その後150℃の温度条件下で1時間乾燥し、PETより剥離して厚さ約40マイクロメートルの本発明の粘土膜を得た。
合成膨潤性雲母(コープケミカル社製、商品名:ソマシフME−100)と天然の精製モンモリロナイト(クニミネ工業社製、商品名:クニピアG)の配合比率を表1記載の比率で用いた以外は実施例1と同様の方法で厚さ約40マイクロメートルの本発明の粘土膜を得た。
実施例1において天然の精製モンモリロナイト(クニミネ工業社製、商品名:クニピアG)のかわりに合成スメクタイト(クニミネ工業社製、商品名:スメクトンSA)を用いた以外は実施例1と同様の方法で厚さ約40マイクロメートルの本発明の粘土膜を得た。
実施例1において天然の精製モンモリロナイト(クニミネ工業社製、商品名:クニピアG)のかわりに合成非膨潤性雲母(トピー工業社製、商品名:PDM−5B)を用いた以外は実施例1と同様の方法で厚さ約40マイクロメートルの本発明の粘土膜を得た。
実施例1において天然の精製モンモリロナイト(クニミネ工業社製、商品名:クニピアG)のかわりに合成膨潤性雲母(トピー工業社製、商品名:NTS−5)を用いた以外は実施例1と同様の方法で厚さ約40マイクロメートルの本発明の粘土膜を得た。
実施例1において合成膨潤性雲母(コープケミカル社製、商品名:ソマシフME−100)のかわりに合成膨潤性雲母(トピー工業社製、商品名:NTS−5)を用いた以外は実施例1と同様の方法で厚さ約40マイクロメートルの本発明の粘土膜を得た。
実施例1においてエースホモジナイザー「AM−001」(株式会社日本精機製作所製)を用い3000rpmの回転数で30分間攪拌した粘土分散液を高い圧力エネルギーを与え、流路途中で2流路に分岐させ、再度合流する部分で粘土混合液同士を斜め衝突させる分散装置である「スターバースト」(スギノマシン社製)で処理した以外は実施例1と同様の方法で厚さ約約40マイクロメートルの本発明の粘土膜を得た。
粘土として天然の精製モンモリロナイト(クニミネ工業社製、商品名:クニピアG)10gを蒸留水1000g中に加え、温度70℃に加熱しながらマグネチックスターラーで攪拌し、膨潤させて粘土混合液を得た。
次に前記粘土混合液を分散させる分散機として、本発明の効果を得る為の分散ユニットを採用した高圧湿式ジェットミル「ナノメーカー」(アドバンストナノテクノロジー社製)を用い、処理圧力50MPaで1回処理を行い、本発明の粘土分散液を得た。
次にこの粘土分散液を、真空乾燥機内で真空に引くことで泡を除去し、PET「エンブレットS50」(ユニチカ社製)上にアプリケーターを用いて膜状に塗工し、強制送風式オーブン中で100℃の温度条件下で1時間乾燥し、その後PETより剥離して厚さ約40マイクロメートルの本発明の粘土膜を得た。
実施例1において溶媒に蒸留水285gのみを用いた以外は実施例1と同様の方法で厚さ約約40マイクロメートルの本発明の粘土膜を得た。
実施例1においてエースホモジナイザー「AM−001」(株式会社日本精機製作所製)を用い3000rpmの回転数で30分間攪拌した粘土分散液を高圧湿式ジェットミル「ナノメーカー」(アドバンストナノテクノロジー社製)で処理せずに、この粘土分散液を真空乾燥機内で真空に引くことで泡を除去し、PET「エンブレットS50」(ユニチカ社製)上にアプリケーターを用いて膜状に塗工し、強制送風式オーブン中で80℃の温度条件下で1時間乾燥し、その後150℃の温度条件下で1時間乾燥し、PETより剥離して厚さ約40マイクロメートルの粘土膜を得た。
合成膨潤性雲母(コープケミカル社製、商品名:ソマシフME−100)15gを蒸留水(沸点100℃)213gとDMF(沸点153℃)72gの混合溶媒中に加え、エースホモジナイザー「AM−001」(株式会社日本精機製作所製)を用い3000rpmの回転数で30分間攪拌した粘土分散液を高圧湿式ジェットミル「ナノメーカー」(アドバンストナノテクノロジー社製)で処理せずに、この粘土分散液を真空乾燥機内で真空に引くことで泡を除去し、PET「エンブレットS50」(ユニチカ社製)上にアプリケーターを用いて膜状に塗工し、強制送風式オーブン中で80℃の温度条件下で1時間乾燥し、その後150℃の温度条件下で1時間乾燥し、PETより剥離して厚さ約40マイクロメートルの粘土膜を得た。
表1に実施例および比較例で得られた粘土膜の各評価を行った結果を示す。
粘土膜を構成する粘土として雲母を使用した実施例1〜9の粘土膜は、粘土分散液中の雲母粒子が割れて微細化されずに雲母粒子層剥離が進んだ為に、高いアスペクト比を維持しつつ、層剥離が進まずに凝集した状態のままの粗大雲母粒子が少なくなったために、従来の分散液の製造方法で作製した粘土膜に比べて(実施例3に対して比較例2、実施例4に対して比較例3)、表面平滑性、ガスバリア性に優れ、高い引張り強度を有する膜となった。粘土膜の引張り強度および耐熱性は、粘土膜中の雲母量を増大させるにつれて向上した。
また、沸点の異なる2種類以上の混合溶媒を使用することによって、乾燥時に発泡することのない外観欠点のない良好な膜を得ることができた(実施例3に対して比較例1)。なお、乾燥時に発泡を生じた実施例10および比較例1の粘土膜は、表面形状の測定が困難であることから測定を行わなかった。
加えて、雲母のみでの膜化が可能となり、合成膨潤性雲母のみの粘土膜は雲母が結晶構造中に水酸基を有しておらず、500℃以上での耐熱性が他の粘土を混合した場合に比べて良好な高耐熱性を有する粘土膜を得ることが可能となった(実施例4)。
2 第2の流路素子
3 第3の流路素子
4 第4の流路素子
5 第5の流路素子
10 導入口
11 流路
12A、12B 排出口
13 液吐出口
20 分散ユニット
Claims (7)
- 引張り強度が20MPa以上であることを特徴とする粘土膜。
- 前記粘土膜が少なくとも雲母を含むことを特徴とする請求項1に記載の粘土膜。
- 前記雲母が層間陽イオンとして少なくともナトリウムイオンあるいはリチウムイオンを含む膨潤性雲母であることを特徴とする請求項1または2記載の粘土膜。
- 粘土を溶媒に分散させて、該溶媒を除去することによって得られる粘土膜の引張り強度が20MPa以上であることを特徴とする粘土分散液。
- 粘土と溶媒を含む粘土混合液に圧力を加えて、流路断面積が流路流れ方向に沿って変化する分散ユニットを通過させることによって得られることを特徴とする請求項4記載の粘土分散液。
- 前記溶媒が沸点の異なる2種類以上の混合溶媒であることを特徴とする請求項4または5に記載の粘土分散液。
- 粘土と沸点の異なる2種類以上の溶媒を含む粘土混合液に圧力を加えて、流路断面積が流路流れ方向に沿って変化する分散ユニットを通過させることを特徴とする粘土分散液の製造方法。
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