JP2011235915A - 酸素吸収性フィルムの包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸素吸収性フィルムの包装体10は中空管2と、中空管2外周に巻付けられた酸素吸収性フィルム1とを含むフィルム巻取体1Aと、フィルム巻取体1Aを収納して密封する外装袋5とを備えている。中空管2内の空間に、空間内を埋める埋込体3が設けられている。酸素吸収性フィルム1が酸素を吸収して外装袋5内が減圧された場合でも、外装袋5は埋込体3によって中空管2内への移動が規制される。このため外装袋5が、中空管2の端部2aにより破断することはない。
【選択図】図3
Description
このような問題を解決する手段として、例えば、積層フィルムからなり、易酸化物質含有積層フィルム巻取体を包装するための外装袋(特許文献2)が提案されている。フィルムを巻取る場合、枷巻き等特殊な場合を除き、加工の際にシャフトを挿入する必要があり、紙管、プラスチック管、金属管等の中空管を巻芯として用いている。この際、巻芯内の空気中の酸素が酸素吸収性樹脂層または脱酸素剤に吸収されると、外装袋内が高度の減圧状態となって外装袋が巻取体にぴったり貼りついたり、巻芯の両端では外装袋が巻き芯の中空側に強烈に引っ張られて外装袋が伸びた状況になってしまうことがある。この場合は外装袋が伸びてしまい、外装袋の酸素バリア性が低下する恐れがある。特にバリア層の物理的強度が低い蒸着フィルムを外装袋の酸素バリア層として用いた場合は、確実に蒸着膜にクラックが入り、外装袋の酸素バリア性が顕著に低下する。更に、巻芯の端部が巻いた酸素吸収性フィルムの側面より突出していると、巻芯の角によって容易に外装袋の包材が切れてしまう。他方、巻芯の端部が巻いた酸素吸収性フィルムの端面より引っ込んでいると、外装袋が変形するにつれて巻芯近傍の酸素吸収性フィルムの部分が巻芯側に折れ曲がってしまい使い物にならなくなってしまう。通常、巻芯の長さを巻き取る酸素吸収性フィルムの幅より少し長めにして、巻芯の両端が巻いた酸素吸収性フィルムの外に出るようにし、このことにより巻芯近傍の酸素吸収性フィルムが巻芯側に折れ曲がるのを防止している。
本発明は、外装袋内に脱酸素剤が配置されていることを特徴とする酸素吸収性フィルムの包装体である。
本発明は、埋込体はガスバリア性の袋体と、袋体内に充てんされた空気とからなることを特徴とする酸素吸収性フィルムの包装体である。
本発明は、袋体はアルミニウム箔を含む積層体からなることを特徴とする酸素吸収性フィルムの包装体である。
本発明は、埋込体は非通気性の袋体と、袋体内に充てんされた不活性ガスとからなることを特徴とする酸素吸収性フィルムの包装体である。
本発明は、不活性ガスは窒素ガス、二酸化炭素ガス、またはこれらの混合気体からなることを特徴とする酸素吸収性フィルムの包装体である。
本発明は、外装袋はアルミニウム箔を含む積層体からなることを特徴とする酸素吸収性フィルムの包装体である。
図1乃至図3は本発明による酸素吸収性フィルムの包装体の一実施の形態を示す図である。
図1乃至図3に示すように、酸素吸収性フィルムの包装体10は、巻芯(中空管)2と、巻芯2の外周に巻付けられた酸素吸収性フィルム1とを含むフィルム巻取体1Aと、フィルム巻取体1Aを収納し密封するとともに酸素バリア性を有する外装袋5と、巻芯2内の空間に配置され、この空間を埋める埋込体3とを備えている。
このうち、酸素吸収性フィルム1は、酸素を吸収する酸素吸収性樹脂層と、この酸素吸収性樹脂層に積層された基材層およびヒートシール層とを有しているが、酸素吸収性樹脂層のみから構成してもよい。
また埋込体3は巻芯(中空管)2内に埋込まれ、外装袋5内に存在する、酸素吸収性フィルム1や脱酸素材6が吸収可能な酸素の量を減少させる機能を有している。
ところで、フィルム巻取体1Aは、シャフト、コーン等の回転軸(図示せず)が挿入された中空管2に酸素吸収性フィルム1の端部を貼り付けて回転させることにより形成される。中空管2の材質としては、紙、金属、プラスチック等が用いられ、フィルム巻取体1Aの重量、フィルム巻取体1Aに要求されるクリーン度等によりその材質が使い分けられる。
中空管2に回転軸を挿入するため、内径は予め定められており、酸素吸収性フィルム1の巻き取りに用いられる中空管2の内径は、通常76mm(3インチ)〜150mm(6インチ)となっており、場合によっては254mm(10インチ)、またはそれ以上となっている。特に、厚みが大きい酸素吸収性フィルム1や、巻きぐせが付くと困る酸素吸収性フィルム1には大きい内径の中空管2を用いる。
中空管2の材質を変更せず、厚みを増やして強度を向上させる場合、内径は固定したままで肉厚を増加させる。例えば紙製中空管2としては、通常内径76mm、肉厚6mm、外径88mmの紙管が使用される。巻き長さを長くしたり、通常より固く巻いたりするときや、海外へ輸送するため紙管潰れが懸念されるときには、肉厚8mm、外径92mmの紙製中空管2、肉厚10mm、外径96mmの紙製中空管2、または肉厚12mm、外径100mmの紙製中空管2が用いられる。
紙製中空管2は、再生紙や未晒紙をスパイラル巻きして製造されるが、表面平滑性を向上させるため、研磨したり、ニスを塗ったりすることもある。また、紙製中空管2として切断面から紙粉が飛散しないように樹脂を含浸させたものもある。
プラスチック製中空管2としては、排水管として用いられている塩ビ製のものがコスト的に優れているため最も多く用いられている。しかしながら、塩素含有樹脂を嫌う用途では、ポリエチレン、ポリスチレン、ベークライト、FRPあるいはABS樹脂等の中空管2を用いることもある。
金属製中空管2としては、鉄管が最も多く用いられているが、鉄錆を嫌う用途においてはアルミ中空管、またはステンレス中空管が使用される。
いずれにせよ、中空管2の材質は上記のいずれであってもよい。
袋体3a内のガス3bが、大気等、酸素を含むガスの場合は、袋体3aを構成するフィルムとしては、ガスバリア性を有する材質を用いる。袋体3aを構成するフィルムがガスバリア性をもたないと、袋体3a内の酸素が酸素吸収性フィルム1に吸収されてしまい、袋体3aを中空管2内に収納する意味が無くなってしまう。ガスバリア性を有するフィルムとしては、アルミニウム箔、金属酸化物蒸着フィルム、金属蒸着フィルム、塩化ビニリデンコーティングフィルム等、各種コーティングタイプガスバリア性フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール等、通常ガスバリア性フィルムとして用いられているフィルムと、必要に応じて設けられた他の基材フィルムと、ヒートシール性層とを有する積層体を用いることができる。また、ヒートシール性を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムや、ガスバリア性を有する共押出しフィルムを袋体3aとして単体で使用しても構わない。
なお、酸素吸収性フィルム1およびフィルム巻取体1Aを長期に亘って外装袋5内に保管する場合、アルミニウム箔を含む積層体を袋体3aとして用いれば、袋体3a内の酸素が殆ど吸収されないで済む。
袋体3aを構成するフィルムの積層方法は、接着剤を用いるドライラミネーション、溶融押出し樹脂を用いる押出しラミネーションが一般的だが、特に限定する必要は無い。
また、袋体3a内のガス3bが窒素ガス、二酸化炭素等、酸素を含まない不活性ガスの場合、袋体3aを構成するフィルムのガスバリア性が乏しくても、保管中に袋体3aの体積が減少することがない。このためガスバリア性に関係なく、袋体3aを構成するフィルムを選定することができる。ただし袋体3a内に不活性ガス3bを充てんする場合、袋体3aは、少なくとも非通気性をもつ必要がある。
このような外装袋5としては、アルミニウム箔を含む積層体を用いることができる。
なお酸素吸収性フィルム1を保管している間に酸素吸収性フィルム1が吸収する酸素の量をより少なくするため、中空管2内に埋込体3と共に脱酸素剤6を封入してもよい。また本発明では、従来と比較して外装袋内の酸素の量をかなり少なくすることができるため、特に脱酸素剤6を用いなくても良い。
ここで図4に中空管2内に埋込体が配置されていない比較例としての酸素吸収性フィルムの包装体10を示す。
図4に示すように外装袋5内が減圧されると、外装袋5が中空管2内に強く引き込まれてしまい、輸送中に中空管2の端部2aで外装袋5が破断したり、外装袋5がフィルム巻取体1Aの角部をつぶしてしまったりする可能性が高く、危険である。また、外装袋5のガスバリア層が伸びてガスバリア性が低下してしまい、外部から外装袋5内に酸素が侵入し続けることがあり、この状態が包装体5の外観から判別できないという問題も有する。
これに対して本発明によれば、外装袋5内が減圧された場合であっても、埋込体3によって外装袋5が中空管2内に進入することを未然に防止することができる。
(埋込体3の製造)
埋込体3はガスバリア性を有する袋体3aと、袋体3a内に充てんされたガス3bとからなる。
ガスバリア性を有する袋体3aを構成する包装材を作製するため、外側から順に、厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムと、厚み15μmの2軸延伸ポリアミドフィルムと、厚み9μmのアルミニウム箔と、厚み40μmの未延伸ポリエチレンフィルムとを接着剤(2液硬化型のウレタン系接着剤層)を介して積層して、2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/2軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/アルミニウム箔(9μm)/接着剤層/未延伸ポリエチレンフィルム(40μm)からなる積層フィルム(積層体)を得た。
上記で得られた袋体3aを構成する積層フィルム2枚(縦380mm×横140mm)をカットした。
次いで、積層フィルムを2枚重ね合わせて、未延伸ポリエチレンフィルムが内面となるように対向させ、シール幅10mmの側部シール部と、底シール部をそれぞれヒートシールし、袋体3aを作製した。
(フィルム巻取体1Aの製造)
7種7層の上吹き空冷インフレーション共押出し製膜機を用いて、表面側からエチレン−α・オレフィン共重合体樹脂層10μm、接着性ポリオレフィン樹脂層5μm、エチレン/メチルアクリレート/メチルシクロヘキセンメチルアクリレートのコポリマーに遷移金属触媒とラジカル系光重合開始剤を添加した樹脂層(酸素吸収性樹脂層)10μm、接着性ポリオレフィン樹脂層5μm、エチレン−α・オレフィン共重合体樹脂層15μm、高密度ポリエチレン樹脂層5μmの層構成からなる総厚50μmの共押出しフィルム(酸素吸収性フィルム)1を製造した。次にこの酸素吸収性フィルム1を幅300mmにスリットしつつ、内径76mm、肉厚8mmの紙製中空管2に1000m巻き取って、フィルム巻取体1Aを作製した。
(外装袋5の製造)
前記のガスバリア性を有する袋体3aを構成する包装材を用いて、縦800mm、横480mm、側部および底部のヒートシール幅10mmの外装袋5を製造した。
(酸素吸収性フィルムの包装体10の製造)
フィルム巻取体1Aを外装袋5内に収納し、大気約1リットルを詰めて密封した袋体3aを含む埋込体3を中空管2内に収納し、更に中空管2内の埋込体3上に使い捨てカイロ(脱酸素剤)6を1つ載せ、可能な限り脱気して外装袋5の開口部をヒートシール幅5mmのインパルスシーラーを用いて密封し、本発明による酸素吸収性フィルム包装体10を製造した。
ガスバリア性を有する袋体3aを構成する包装材を作製するため、外側から順に、厚み12μmのアルミナ蒸着2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムと、厚み15μmの2軸延伸ポリアミドフィルムと、厚み40μmの未延伸ポリエチレンフィルムとを接着剤(2液硬化型のウレタン系接着剤層)を介して積層して、2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/2軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/未延伸ポリエチレンフィルム(40μm)からなる積層フィルム(積層体)を得た。
上記で得られた袋体3aを構成する積層フィルム2枚(縦380mm×横140mm)をカットした。
次いで、積層フィルムを2枚重ね合わせて、未延伸ポリエチレンフィルムが内面となるように対向させ、シール幅10mmの側部シール部と、底シール部をそれぞれヒートシールし、袋体3aを作製した。
(フィルム巻取体1Aの製造)
実施例1と同様にしてフィルム巻取体1Aを製造した。
(外装袋5の製造)
実施例1と同様にして外装袋5を製造した。
(酸素吸収性フィルムの包装体10の製造)
フィルム巻取体1Aを外装袋5内に収納し、大気約1リットルを詰めて密封した袋体3aを含む埋込体3を中空管2内に収納し、更に中空管2内の埋込体3上に使い捨てカイロ(脱酸素剤)6を1つ載せ、可能な限り脱気して外装袋5の開口部をヒートシール幅5mmのインパルスシーラーを用いて密封し、本発明による酸素吸収性フィルム包装体10を製造した。
ガスバリア性が乏しい袋体3aを構成する包装材として、未延伸ポリエチレンフィルム(60μm)からなるフィルム2枚(縦370mm×横130mm)を用い、このフィルム2枚をカットした。
次いで、当該フィルムを2枚重ね合わせて、シール幅5mmの側部シール部と、底シール部をそれぞれインパルスシーラーでヒートシールし、袋体3aを作製した。
(フィルム巻取体1Aの製造)
実施例1と同様にしてフィルム巻取体1Aを製造した。
(外装袋5の製造)
実施例1と同様にして外装袋5を製造した。
(酸素吸収性フィルムの包装体10の製造)
フィルム巻取体1Aを外装袋5内に収納し、窒素ガス約1リットルを詰めて密封した袋体3aを含む埋込体3を中空管2内に収納し、更に中空管2内の埋込体3上に使い捨てカイロ(脱酸素剤)6を1つ載せ、可能な限り脱気して外装袋5の開口部をヒートシール幅5mmのインパルスシーラーを用いて密封し、本発明による酸素吸収性フィルム包装体10を製造した。
前記実施例1〜3、および、比較例の包装体を室温で1週間保存した後、各酸素吸収性フィルムの包装体10の外観の目視確認を実施した。
その結果、実施例1〜3の酸素吸収性フィルムの包装体はほんの少し減圧になっている程度で、外装袋5には弛みが認められた。
一方、比較例の酸素吸収性フィルムの包装体10は外装袋5が強烈に中空管2内に引き込まれ、外装袋5がフィルム巻取体1Aにぴったり密着しており、些細な衝撃や摩擦で、風船が破裂するように破袋することが容易に想像できた。更に、比較例では、外装袋5が巻取体1Aの角の部分が丸まってしまうほど、巻取体1Aを固く締め付けているため、気温が高い季節には容易にブロッキングしてしまうことも想像できる。
前記実施例1−3、および比較例において、短期間で発明の効果を確認するため、酸素吸収樹脂より酸素吸収速度が大きい脱酸素剤として使い捨てカイロを使用したが、脱酸素剤を用いなくても結果は同様である。
上記のように、本発明によれば酸素吸収性フィルムの包装体10において、外装袋5に加えられる負荷を顕著に軽減させることができる。
なお、本発明による酸素吸収性フィルムの包装体10は、例えば、飲食品、化粧品、医薬品、化学品、その他等の種々の物品の包装に用いるための酸素吸収性フィルムを提供することができる。
1A フィルム巻取体
2 中空管
3 埋込体
3a 袋体
3b ガス
5 外装袋
6 脱酸素剤
10 酸素吸収性フィルムの包装体
Claims (7)
- 中空管からなる巻芯と、巻芯外周に巻付けられた酸素吸収性フィルムとを含むフィルム巻取体と、
フィルム巻取体を収納し密封するとともに酸素バリア性を有する外装袋と、
巻芯内の空間に配置され、当該空間を埋める埋込体と、を備え、外装袋内に存在する、酸素吸収性フィルムが吸収可能な酸素の量を減少させ、外装袋内が減圧されにくくなることを特徴とする酸素吸収性フィルムの包装体。 - 外装袋内に脱酸素剤が配置されていることを特徴とする請求項1記載の酸素吸収性フィルムの包装体。
- 埋込体はガスバリア性の袋体と、袋体内に充てんされた空気とからなることを特徴とする請求項1記載の酸素吸収性フィルムの包装体。
- 袋体はアルミニウム箔を含む積層体からなることを特徴とする請求項3記載の酸素吸収性フィルムの包装体。
- 埋込体は非通気性の袋体と、袋体内に充てんされた不活性ガスとからなることを特徴とする請求項1記載の酸素吸収性フィルムの包装体。
- 不活性ガスは窒素ガス、二酸化炭素ガス、またはこれらの混合気体からなることを特徴とする請求項5記載の酸素吸収性フィルムの包装体。
- 外装袋はアルミニウム箔を含む積層体からなることを特徴とする請求項1記載の酸素吸収性フィルムの包装体。
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