JP2011233921A - プリント配線基板の接続構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極のファインピッチ化を図ることができ、また、絶縁性と接続信頼性の両立を図ることができるプリント配線基板の接続構造を提供する。
【解決手段】プリント配線基板10,20の接続構造は、第1の基板11に設けられた第1の電極12,13と、第2の基板21に設けられた第2の電極22,23とを、導電性粒子31を含有した接着剤30を介して電気的に接続する。第1の基板11と第2の基板21との間に接着剤層30aが形成され、接着剤層30aにおいて、電極12,13間、及び電極22,23間に、空隙部33が形成され、接着剤30は、電極12,13間、及び電極22,23間において、第1の基板11の表面上の全体及び第2の基板21の表面上の全体に設けられている。また、空隙部33は、電極12,22間及び電極13,23間において、電極12,13,22,23が延びる方向が、同空隙部33の長手方向となるように設けられている。
【選択図】図2
【解決手段】プリント配線基板10,20の接続構造は、第1の基板11に設けられた第1の電極12,13と、第2の基板21に設けられた第2の電極22,23とを、導電性粒子31を含有した接着剤30を介して電気的に接続する。第1の基板11と第2の基板21との間に接着剤層30aが形成され、接着剤層30aにおいて、電極12,13間、及び電極22,23間に、空隙部33が形成され、接着剤30は、電極12,13間、及び電極22,23間において、第1の基板11の表面上の全体及び第2の基板21の表面上の全体に設けられている。また、空隙部33は、電極12,22間及び電極13,23間において、電極12,13,22,23が延びる方向が、同空隙部33の長手方向となるように設けられている。
【選択図】図2
Description
本発明は、2つの基板に互いに隣り合って設けられた電極を、異方導電性を有する接着剤を介して電気的に接続するプリント配線基板の接続構造に関する。
近年、電子機器分野においては、電子機器の高密度化や小型化等に伴い、種々の用途に、プリント配線基板が広く用いられており、接着剤を介して2つのプリント配線基板を接合した配線板接合体が知られている。また、配線板接合体が有するプリント配線基板の接続構造として、異方導電性を有する接着剤(即ち、異方導電性接着剤)を介して2つのプリント配線基板を接続する構造が知られている。
具体的には、例えば、図8に示すように、第1の基板111に互いに隣り合って設けられた複数の第1の電極112,113と、第2の基板121に互いに隣り合って設けられた複数の第2の電極122,123とを、導電性粒子131を含有した異方導電性を有する接着剤130を介して電気的に接続するプリント配線基板の接続構造が知られている。
ところで、近年、電極のファインピッチ化が進んでおり、互いに隣り合って設けられた電極間の絶縁性を向上させる必要があった。電極間の絶縁性を向上させる構造としては、例えば、電極間に凸状絶縁部材を形成する基板の接続構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記特許文献1に記載されるように電極間に凸状絶縁部材を形成した場合には、絶縁性の向上を図ることができるものの、小さな凸状絶縁部材を形成することは難しく、複数の金属電極間の距離を縮めて複数の金属電極のファインピッチ化を図ることができないという問題があった。
また、接着剤に含まれる導電性粒子を減らすことにより、互いに隣り合って設けられた電極間の絶縁性を向上することはできるが、対向して接続されるべき電極(例えば、第1の電極112と第2の電極122)の電気的な接続信頼性が低下してしまうため、絶縁性と接続信頼性の両立を図ることが困難であるという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、電極のファインピッチ化を図ることができ、また、絶縁性と接続信頼性の両立を図ることができるプリント配線基板の接続構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、第1の基板に設けられた複数の第1の電極と、第2の基板に設けられた複数の第2の電極とを、導電性粒子を含有した異方導電性を有する接着剤を介して電気的に接続するプリント配線基板の接続構造であって、複数の第1の電極のうち第1の基板において互いに隣り合う電極を「第1の電極A」と「第1の電極B」とし、複数の第2の電極のうち第2の基板において互いに隣り合う電極を「第2の電極A」と「第2の電極B」としたとき、互いに向かい合う第1の電極A(例えば電極12)と第2の電極A(例えば電極22)との間、及び第1の電極B(例えば電極13)と第2の電極B(例えば電極23)との間に、接着剤を介在させて加熱及び加圧することにより、第1の基板と第2の基板との間に接着剤層が形成され、この接着剤層において、第1の電極Aと第1の電極Bとの間、及び第2の電極Aと第2の電極Bとの間に、空隙部が形成され、接着剤は、第1の電極A及び第1の電極B及び第2の電極A及び第2の電極Bを覆うとともに、さらに、第1の電極Aと第1の電極Bとの間、及び第2の電極Aと第2の電極Bとの間において、第1の基板の表面上の全体及び第2の基板の表面上の全体に設けられて、第1の基板と第2の基板を覆い、空隙部は、互いに向かい合う第1の電極Aと第2の電極Aとの間、及び第1の電極Bと第2の電極Bとの間において、第1の電極A及び第1の電極B及び第2の電極A及び第2の電極Bが延びる方向が、同空隙部の長手方向となるように設けられていることを特徴とする。
同構成によれば、第1の基板と第2の基板との間に形成される接着剤層において、複数の第1の電極の間(第1の電極Aと第1の電極Bとの間)及び複数の第2の電極の間(第2の電極Aと第2の電極Bとの間)に空隙部が形成される。このため、例えば凸状絶縁部材を第1の電極の間や第2の電極の間に設けることなく、第1の電極間及び第2の電極間の絶縁性を向上させることができる。その結果、複数の第1の電極及び第2の電極のファインピッチ化を図ることができる。さらに、接着剤層中に上記のような空隙部が形成されるため、接着剤に含有される導電性粒子は、第1の基板に設けられた第1の電極と、第2の基板に設けられた第2の電極との間に集まり易くなる。従って、第1の電極と第2の電極との電気的な接続信頼性を向上させることができる。その結果、絶縁性と接続信頼性の両立を図ることができる。また、接着剤は、第1の電極と第2の電極を覆うとともに、さらに、第1の電極の間及び第2の電極の間において、第1の基板の表面上の全体及び第2の基板の表面上の全体に設けられて、第1の基板と第2の基板を覆っている。従って、第1の基板及び第1の電極と、第2の基板及び第2の電極との接着性を十分に確保することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプリント配線基板の接続構造であって、第1の電極Aの先端が、第2の電極Aと対向するように設けられるとともに、第2の電極Aの先端が、第1の電極Aと対向するように設けられ、第1の電極Bの先端が、第2の電極Bと対向するように設けられるとともに、第2の電極Bの先端が、第1の電極Bと対向するように設けられ、第1の電極Aと第2の電極Aとが重なった部分の長さである第1の電極Aの先端から第2の電極Aの先端までの距離を「距離A」とし、第1の電極Bと第2の電極Bとが重なった部分の長さである、第1の電極Bの先端から第2の電極Bの先端までの距離を「距離B」としたとき、空隙部の長手方向の寸法が、距離A以上かつ距離B以上であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のプリント配線基板の接続構造であって、第1の基板及び第2の基板の厚み方向において対向する第1の電極Aと第2の電極Aとの間及び第1の電極Bと第2の電極Bとの間での任意の箇所を、厚み方向に対して垂直に切断した断面において、厚み方向に直交する面方向において互いに隣り合って設けられた電極の間に存在する接着剤層及び空隙部の全面積をS1とし、上記空隙部の面積をS2とした場合に、全面積に対する空隙部の面積の比(S2/S1)が0.3以上0.9以下であることを特徴とする。なお、「互いに隣り合って設けられた電極の間」とは、面方向における複数の第1の電極の間であり、面方向における複数の第2の電極の間でもある。
同構成によれば、厚み方向に垂直な断面において、互いに隣り合って設けられた電極の間に存在する接着剤層及び空隙部の全面積に対する、接着剤層中の空隙部の面積の比が、0.3以上であるため、面方向において互いに隣り合って設けられた電極の間に占める空隙部の割合が大きく、第1の電極間及び第2の電極間の絶縁性を確実に向上させることができる。また、厚み方向に垂直な断面において、互いに隣り合って設けられた電極の間に存在する接着剤層及び空隙部の全面積に対する、接着剤層中の空隙部の面積の比が、0.9以下であるため、面方向において互いに隣り合って設けられた電極の間に占める接着剤の割合が大きく、第1の基板と第2の基板との接着性を確保することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプリント配線基板の接続構造であって、第1の電極間のピッチ及び第2の電極間のピッチが、10μm以上300μm以下であることを特徴とする。なお、ここでいう「第1の電極間のピッチ」とは、1つの第1の電極の幅と、隣り合う2つの第1の電極の間隔とを足した長さである。同様に「第2の電極間のピッチ」とは、1つの第2の電極の幅と、隣り合う2つの第2の電極の間隔とを足した長さである。
同構成によれば、第1の電極間のピッチ及び第2の電極間のピッチが、300μm以下であるため、複数の第1の電極及び第2の電極のファインピッチ化を行って、プリント配線基板における電極の高密度化を図ることができる。また、第1の電極間のピッチ及び第2の電極間のピッチが、10μm以上であるため、電極の幅や隣り合う2つの電極の間隔を確保することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のプリント配線基板の接続構造であって、第1の電極と第2の電極とを接続する導電性粒子が、微細な金属粒子が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する金属粉末であって、この導電性粒子のアスペクト比が5以上であることを特徴とする。
同構成によれば、導電性粒子が、微細な金属粒子が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する金属粉末であるため、第1の電極間及び第2の電極間の絶縁性を確保しつつ第1の電極と第2の電極とを電気的に接続することを容易に行うことが可能となる。また、導電性粒子のアスペクト比が5以上であるため、導電性粒子間の接触確率が高くなり、その結果、導電性粒子の配合量を増やすことなく、第1の電極と第2の電極との接続信頼性を向上することができる。
本発明によれば、電極のファインピッチ化を図ることができ、また、絶縁性と接続信頼性の両立を図ることができる。また、第1の基板及び第1の電極と、第2の基板及び第2の電極との接着性を十分に確保することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本発明に係るプリント配線基板の接続構造を有する配線板接合体の構成を示す断面図である。また、図2は、配線板接合体1を面方向に対して垂直に切断した断面図であって、図1のA−A断面図である。なお、図中の矢印X,Yは、厚み方向、面方向を示しており、図1及び図4においては、面方向を示す矢印Yは、電極が延設されている方向である。また、本実施形態においては、2つのフレキシブル配線板を接合した配線板接合体を例に挙げて説明する。
図1に示すように、本発明に係る配線板接合体1は、フレキシブル配線板である第1のプリント配線基板10と、フレキシブル配線板である第2のプリント配線基板20とが、異方導電性を有する接着剤30(図2参照)により接着されて接合されている接合体である。異方導電性接着剤である接着剤30を介して、第1のプリント配線基板10と第2のプリント配線基板20とが接合(接続)されることにより、各プリント配線基板10,20が有する複数の電極(図1中の破線参照)が電気的に接続される。以下、各プリント配線基板10,20の構成を具体的に説明する。
図2に示すように、第1のプリント配線基板10は、第1の基板11と、第1の基板11に設けられた複数の第1の電極12,13とを備えており、第1の電極12,13は、面方向Y(即ち、厚み方向Xに直交する方向)において、互いに隣り合って設けられている。同様に、第2のプリント配線基板20は、第2の基板21と、第2の基板21に設けられた複数の第2の電極22,23とを備えており、第2の電極22,23は、面方向Yにおいて、互いに隣り合って設けられている。
そして、第1のプリント配線基板10と第2のプリント配線基板20とが接合された状態においては、第1の電極12と第2の電極22とが厚み方向Xにおいて対向し、第1の電極13と第2の電極23とが厚み方向Xにおいて対向する構成となっている。
各基板11,21は、柔軟性に優れた樹脂材料が使用できる。即ち、各基板11,21を形成する樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリエステル等の、プリント配線板用として汎用性のある樹脂を使用することができる。また、特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有していることが好ましく、このような樹脂としては、例えば、ポリアミド系の樹脂や、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド系の樹脂が好適に使用される。
また、各電極12,13,22,23は、銅等の金属により形成された金属電極であって、例えば銅箔等の金属箔を、常法によりエッチングして加工することにより形成することができる。また、セミアディティブ法によりめっきにて各電極12,13,22,23を形成することもできる。
本実施形態においては、第1の電極間のピッチP1及び第2の電極間のピッチP2が、例えば10μm以上300μm以下となるように各電極12,13,22,23が形成されている。第1の電極間のピッチP1は、1つの第1の電極(即ち、第1の電極12または第1の電極13)の幅W1と、隣り合う2つの第1の電極12,13の間隔S1とを足した長さである。従って、例えば、各第1の電極12,13の幅W1が、50μmであって、第1の電極12,13の間隔S1が50μmであれば、第1の電極間のピッチP1は、100μmである。同様に、第2の電極間のピッチP2は、1つの第2の電極(即ち、第2の電極22または第2の電極23)の幅W2と、隣り合う2つの第2の電極22,23の間隔S2とを足した長さである。幅W1と幅W2が同じであって間隔S1と間隔S2とが同じとなっているため、第1の電極間のピッチP1と第2の電極間のピッチP2は同じである。
接着剤30は、導電性粒子31を含有した異方導電性を有する異方導電性接着剤であって、エポキシ樹脂、高分子量エポキシ樹脂であるフェノキシ樹脂、硬化剤、及び導電性粒子31を必須成分とする熱硬化性の接着剤である。接着剤30は、第1のプリント配線基板10と第2のプリント配線基板20に接着されている。具体的には、接着剤30は、第1の電極12,13と第2の電極22,23に接着されるとともに、第1の基板11と第2の基板21に接着されている。
接着剤30としては、例えば、絶縁性の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂を主成分とし、ニッケル、銅、銀、金等の導電性粒子31が分散されたものが使用できる。エポキシ樹脂を使用することにより、接着剤30のフィルム形成性、耐熱性、および接着力を向上させることが可能となる。
接着剤30に含有されるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、F型、S型、AD型、またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合型のエポキシ樹脂や、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を使用することができる。また、接着剤30は、上述のエポキシ樹脂のうち、少なくとも1種を含有していればよい。
また、エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の分子量は、接着剤30に要求される性能を考慮して、適宜選択することができる。例えば、高分子量のエポキシ樹脂を使用すると、フィルム形成性が高く、また、接続温度における樹脂の溶融粘度を高くでき、後述の導電性粒子の配向を乱すことなく接続できる効果がある。一方、低分子量のエポキシ樹脂を使用すると、架橋密度が高まって耐熱性が向上するという効果が得られる。また、加熱時に、上述の硬化剤と速やかに反応し、接着性能を高めるという効果が得られる。従って、分子量が15000以上の高分子量エポキシ樹脂と分子量が2000以下の低分子量エポキシ樹脂とを組み合わせて使用することにより、性能のバランスが取れるため、好ましい。なお、高分子量エポキシ樹脂と低分子量エポキシ樹脂の配合量は、適宜、選択することができる。また、ここでいう「平均分子量」とは、THF展開のゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)から求められたポリスチレン換算の重量平均分子量のことをいう。
また、接着剤30は、硬化剤として潜在性硬化剤を含有しており、エポキシ樹脂の硬化を促進させるための硬化剤を含有することにより、高い接着力を得ることができる。潜在性硬化剤は、低温での貯蔵安定性に優れ、室温では殆ど硬化反応を起こさないが、熱や光等により、速やかに硬化反応を行う硬化剤である。このような潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、アミンイミド、ポリアミン系、第3級アミン、アルキル尿素系等のアミン系、ジシアンジアミド系、酸無水物系、フェノール系、および、これらの変性物が例示され、これらは単独または2種以上の混合物として使用できる。
また、これらの潜在性硬化剤中でも、低温での貯蔵安定性、および速硬化性に優れているとの観点から、イミダゾール系潜在性硬化剤が好ましく使用される。イミダゾール系潜在性硬化剤としては、公知のイミダゾール系潜在性硬化剤を使用することができる。より具体的には、イミダゾール化合物のエポキシ樹脂との付加物が例示される。イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−フィニルイミダゾール、2−フィニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾールが挙げられる。
また、特に、これらの潜在性硬化剤を、ポリウレタン系、ポリエステル系等の高分子物質や、ニッケル、銅等の金属薄膜およびケイ酸カルシウム等の無機物で被覆してマイクロカプセル化したものは、長期保存性と速硬化性という矛盾した特性の両立を図ることができるため、好ましい。従って、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が、特に好ましい。
また、異方導電性接着剤である接着剤30には導電性粒子31が分散されており、導電性粒子31は、微細な金属粒子(例えば、球状の金属微粒子や金属でメッキされた球状の樹脂粒子からなる金属微粒子)が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する、所謂アスペクト比が大きい形状を有する金属粉末により形成されている。なお、ここでいうアスペクト比とは、図3に示す、導電性粒子31の短径(導電性粒子31の断面の長さ)Rと長径(導電性粒子31の長さ)Lの比(L/R)のことをいう。また、本実施形態においては、接着剤30に占める導電性粒子31の割合を、0.0001体積%以上0.2体積%以下とした。
接着剤30は、第1の基板11と第2の基板21との間であって、第1の電極12,13と第2の電極22,23との間に介在されて、加熱及び加圧処理されることにより、一旦溶融して硬化する。このようにして、接着剤30により、第1のプリント配線基板10と第2のプリント配線基板20との間に接着剤層30aが形成されている。
以上のように、本発明に係るプリント配線基板10,20の接続構造は、第1の基板11に互いに隣り合って設けられた複数の第1の電極12,13と、第2の基板21に互いに隣り合って設けられた複数の第2の電極22,23とを、導電性粒子31を含有した異方導電性を有する接着剤30を介して電気的に接続する構成である。
ここで、本実施形態においては、互いに向かい合う第1の電極12,13と第2の電極22,23との間に接着剤30を介在させて加熱及び加圧することにより、第1の基板11と第2の基板21との間に接着剤層30aが形成され、この接着剤層30aにおいて、複数の第1の電極12,13の間及び複数の第2の電極22,23の間に空隙部33が形成されている点に特徴がある。このような構成により、従来のごとく凸状絶縁部材(不図示)を第1の電極12,13の間や第2の電極22,23の間に設けることなく、第1の電極12,13間、及び第2の電極22,23間の絶縁性を向上させることができる。
具体的には、第1の電極12,13の間及び第2の電極22,23の間であって、第1の基板11と第2の基板21との間において、接着剤30により形成される接着剤層30aに、内部が空隙部33となっている気泡32が形成されている。空隙部33は、上記加熱及び加圧処理されるより前に接着剤30に含まれている気体から形成される空間ではなく、上記加熱及び加圧処理を行って、第1のプリント配線基板10と第2のプリント配線基板20とを接続する際に、接着剤30の内部に侵入した気体により形成された空間である。従って、気泡32を形成する気体、即ち、空隙部33に含まれる気体は、配線板接合体1の製造条件下により異なり、例えば、空隙部33に含まれる気体は、空気、窒素、希ガス等である。
また、空隙部33は、各電極12,13,22,23が延設された方向に沿って連続的に形成されており、空隙部33は、電極が延設されている方向(図1の矢印Yが示す方向)において延びている。そして、このように電極が延設されている方向に延びている空隙部33は、厚み方向Xに対して垂直に切断した断面において、互いに隣り合って設けられた電極の間の全面積に対して、所定の比率となっている。
具体的には、第1の基板11及び第2の基板21の厚み方向Xにおいて対向する第1の電極12,13と第2の電極22,23の間(図2中の矢印Vにより示す領域)を、厚み方向Xに対して垂直に切断した断面(図4参照)において、面方向において互いに隣り合って設けられた電極の間に存在する接着剤層30a(実線によるハッチング箇所)及び空隙部33の全面積をS1とし、空隙部33の面積をS2とした場合に、全面積に対する空隙部33の面積の比(S2/S1)は、0.3以上0.9以上となっている。なお、ここでいう「面方向において互いに隣り合って設けられた電極の間」とは、第1の電極12,13の間であって、第2の電極22,23の間でもある。
即ち、接着剤層30a及び空隙部33の全面積は、接着剤30により第1の基板11と第2の基板21とが接着される領域であり、かつ、厚み方向Xに直交する面方向において互いに隣り合って設けられた電極の間の全面積である。そして、第1の基板11及び第2の基板21の厚み方向Xにおいて対向する第1の電極12,13と第2の電極22,23の間を、厚み方向Xに対して垂直に切断した断面において、面方向において互いに隣り合って設けられた電極の間の接着剤層30aの面積と空隙部33の面積の比は、7:3〜1:9である。
なお、第1の基板11と第2の基板21との間であって、第1の電極12,13の間及び第2の電極22,23の間において、接着剤層30a中に複数の空隙部33が存在している場合には、上記断面における空隙部33の面積は、複数の空隙部33の総面積である。
また、本実施形態においては、熱硬化性を有する接着剤30は、100℃におけるその溶融粘度が、10Pa・s以上10000Pa・s以下である。このような構成によれば、加熱及び加圧することによって接着剤層30aを形成する際に、接着剤30の内部において気泡32が成長し易く大きな空隙部33が形成され易い。また、空隙部33を形成する気体が接着剤30の内部から逃げにくい。なお、このような効果をより発揮するためには、100℃における接着剤30の溶融粘度は、100Pa・s以上10000Pa・s以下であることが好ましい。また、上記の効果をより一層発揮するためには、1000Pa・s以上10000Pa・s以下であることがさらに好ましい。接着剤30の溶融粘度は、例えば、液状から半固体状物質の粘度を測定することが可能な粘度測定装置であるレオメータ(不図示)を用いて測定することができる。
また、本実施形態においては、100℃における接着剤30の溶融粘度が10Pa・s以上10000Pa・s以下となるように、接着剤30は、エポキシ樹脂として、25℃において粘度が0.1Pa・s以上150Pa・s以下の液体であるエポキシ樹脂を含み、このエポキシ樹脂の含有量が組成物全量に対して30質量%以上50質量%以下となっている。25℃において粘度が0.1Pa・s以上150Pa・s以下の液体であるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂を使用することができる。
また、本実施形態においては、接着剤30は、第1の電極12,13と第2の電極22,23を覆うとともに、さらに、第1の電極12,13の間及び第2の電極22,23の間において、第1の基板11と第2の基板21を覆っている。即ち、第1の基板11、第2の基板、第1の電極12,13、及び第2の電極22,23の表面には空隙部33が形成されていない構成となっている。
また、導電性粒子31のアスペクト比が5以上であることが好ましい。このような導電性粒子31を使用することにより、導電性粒子31間の接触確率が高くなる。従って、第1の電極12と第2の電極22との電気的な接続、及び第1の電極13と第2の電極23との電気的な接続を容易に行うことができる。
なお、導電性粒子31のアスペクト比は、CCD顕微鏡観察等の方法により直接測定するが、断面が円でない導電性粒子31の場合は、断面の最大長さを短径としてアスペクト比を求める。また、導電性粒子31は、必ずしもまっすぐな形状を有している必要はなく、多少の曲がりや枝分かれがあっても、問題なく使用できる。この場合、導電性粒子31の最大長さを長径としてアスペクト比を求める。
また、接着剤30において、導電性粒子31の長径Lの方向を、フィルム状の接着剤30を形成する時点で、接着剤30の厚み方向Xにかけた磁場の中を通過させることにより、フィルム状の接着剤30の厚み方向Xに配向させて用いることが好ましい。このような配向にすることにより、第1の電極12と第2の電極22との電気的な接続、及び第1の電極13と第2の電極23との電気的な接続を一層容易に行うことができる。
次に、図1等に示すプリント配線基板10,20の接続構造を有する配線板接合体1の製造方法、即ちプリント配線基板10,20の接続方法について、図5を参照して説明する。図5(a)及び(b)は、本発明に係るプリント配線基板10,20の接続方法を説明するための断面図である。
まず、図5(a)に示すように、第1の電極12,13が設けられた第1の基板11と、第2の電極22,23が設けられた第2の基板21とを用意し、さらに、接着剤層30aを形成するための接着剤30を用意する。
次いで、第1の電極12,13を有する第1の基板11に、導電性粒子31を含有する接着剤30を載置して、この接着剤30を所定の温度(例えば、200℃)に加熱した状態で第1の基板11の方向へ所定の圧力(例えば、4MPa)で加圧し、接着剤30を第1の基板11上に仮接着する。次に、第1の基板11と第2の基板21とを対向させて、第1の電極12,13と第2の電極22,23の位置合わせを行う。具体的には、厚み方向Xにおいて、第1の電極12と第2の電極22とを対向させるとともに、第1の電極13と第2の電極23とを対向させて、第2の基板21を接着剤30上に載置することにより、第1の基板11と第2の基板21との間に接着剤30を介在させる。即ち、互いに向かい合う第1の電極12と第2の電極22の間、及び第1の電極13と第2の電極23との間に接着剤30を介在させる。
次いで、圧着部材(不図示)を用いて、第2のプリント配線基板20を介して、接着剤30を、第1のプリント配線基板10の方向へ所定の圧力で加圧した状態で、接着剤30を加熱溶融させ、さらに昇温して接着剤30を硬化させることにより接着剤層30aを形成する。即ち、上述のごとく、接着剤30は、熱硬化性樹脂を主成分としているため、加熱すると図6に示すように溶融粘度が低下するが、さらに昇温することにより硬化する。このようにして、接着剤30が溶融した際に、第1の基板11と第2の基板21との間の空間における気体が、溶融した接着剤30の内部に入り込み、硬化した接着剤30により形成される接着剤層30aにおいて空隙部33が形成される。そして、予め設定した接着剤30の硬化時間が経過すると、圧着部材による加熱状態を解除して、図5(b)に示す配線板接合体1が製造される。
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)互いに向かい合う第1の電極12,13と第2の電極22,23との間に接着剤30を介在させて加熱及び加圧することにより、第1の基板11と第2の基板21との間に接着剤層30aが形成され、この接着剤層30aにおいて、複数の第1の電極12,13の間及び複数の第2の電極22,23の間に空隙部33が形成されている。このため、例えば従来のごとく凸状絶縁部材(不図示)を第1の電極12,13の間や第2の電極22,23の間に設けることなく、第1の電極12,13間、及び第2の電極22,23間の絶縁性を向上させることができる。その結果、複数の第1の電極12,13及び第2の電極22,23のファインピッチ化を図ることができる。さらに、接着剤層30a中に上記のような空隙部33が形成されるため、接着剤30に含有される導電性粒子31は、第1の基板11に設けられた第1の電極12,13と、第2の基板21に設けられた第2の電極22,23との間に集まり易くなる。従って、第1の電極12と第2の電極22、及び第1の電極13と第2の電極23との電気的な接続信頼性を向上させることができる。その結果、絶縁性と接続信頼性の両立を図ることができる。
(1)互いに向かい合う第1の電極12,13と第2の電極22,23との間に接着剤30を介在させて加熱及び加圧することにより、第1の基板11と第2の基板21との間に接着剤層30aが形成され、この接着剤層30aにおいて、複数の第1の電極12,13の間及び複数の第2の電極22,23の間に空隙部33が形成されている。このため、例えば従来のごとく凸状絶縁部材(不図示)を第1の電極12,13の間や第2の電極22,23の間に設けることなく、第1の電極12,13間、及び第2の電極22,23間の絶縁性を向上させることができる。その結果、複数の第1の電極12,13及び第2の電極22,23のファインピッチ化を図ることができる。さらに、接着剤層30a中に上記のような空隙部33が形成されるため、接着剤30に含有される導電性粒子31は、第1の基板11に設けられた第1の電極12,13と、第2の基板21に設けられた第2の電極22,23との間に集まり易くなる。従って、第1の電極12と第2の電極22、及び第1の電極13と第2の電極23との電気的な接続信頼性を向上させることができる。その結果、絶縁性と接続信頼性の両立を図ることができる。
(2)厚み方向Xに垂直な断面において、互いに隣り合って設けられた電極の間に存在する接着剤層30a及び空隙部33の全面積に対する、接着剤層30a中の空隙部33の面積の比が0.3以上であるため、面方向Yにおいて互いに隣り合って設けられた電極の間(即ち、第1の電極12,13の間、第2の電極22,23の間)に占める空隙部33の割合が大きく、第1の電極12,13間及び第2の電極22,23間の絶縁性を確実に向上させることができる。また、厚み方向Xに垂直な断面において、互いに隣り合って設けられた電極の間に存在する接着剤層30a及び空隙部33の全面積に対する、接着剤層30a中の空隙部33の面積の比が0.9以下であるため、面方向Yにおいて互いに隣り合って設けられた電極の間に占める接着剤30の割合が大きく、第1の基板11と第2の基板21との接着性を確保することができる。
(3)第1の電極間のピッチP1及び第2の電極間のピッチP2が、300μm以下であるため、複数の第1の電極12,13及び第2の電極22,23のファインピッチ化を行って、各プリント配線基板10,20における電極の高密度化を図ることができる。また、第1の電極間のピッチP1及び第2の電極間のピッチP2が、10μm以上であるため、電極の幅W1,W2や隣り合う2つの電極の間隔S1,S2を確保することができる。
(4)接着剤30は、第1の電極12,13と第2の電極22,23を覆うとともに、さらに、第1の電極12,13の間及び第2の電極22,23の間において、第1の基板11と第2の基板21を覆っている。このため、第1の基板11及び第1の電極12,13と、第2の基板21及び第2の電極22,23との接着性を十分に確保することができる。
(5)接着剤30に占める導電性粒子31の割合が、0.0001体積%以上0.2体積%以下である。このため、導電性粒子31が低濃度となることにより第1の電極12,13間及び第2の電極22,23間の絶縁性を向上することができる。
(6)導電性粒子31が、微細な金属粒子が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する金属粉末であるため、第1の電極12,13間及び第2の電極22,23間の絶縁性を確保しつつ第1の電極12,13と第2の電極22,23とを電気的に接続することを容易に行うことが可能となる。
(7)導電性粒子31のアスペクト比が5以上であるため、導電性粒子31間の接触確率が高くなり、その結果、導電性粒子31の配合量を増やすことなく、第1の電極12,13と第2の電極22,23との接続信頼性を向上することができる。
(8)接着剤30がフィルム形状を有しているため、接着剤30の取り扱いが容易になるとともに、加熱及び加圧して第1の基板11と第2の基板21との間に接着剤層30aを形成する際の作業性が向上する。
(9)導電性粒子31の長径方向を、フィルム形状を有する接着剤30の厚み方向Xに配向させたため、第1の電極12,13間及び第2の電極22,23間の絶縁性を確保しつつ第1の電極12,13と第2の電極22,23とを電気的に接続することを一層容易に行うことが可能となる。
(10)100℃における接着剤30の溶融粘度が、10Pa・s以上10000Pa・s以下である。従って、100℃における接着剤30の溶融粘度が、10000Pa・s以下であるため、加熱及び加圧することによって接着剤層30aを形成する際に、接着剤30の内部において気泡32が成長し易く大きな空隙部33が形成され易い。また、100℃における接着剤30の溶融粘度が、10Pa・s以上であるため、加熱及び加圧することによって接着剤層30aを形成する際に、空隙部33を形成する気体が接着剤30の内部から逃げにくい。従って、第1の電極12,13と第2の電極22,23との間に接着剤30を介在させて加熱及び加圧する際に、接着剤層30a中に空隙部33を容易に形成することが可能となる。
(11)接着剤30は、エポキシ樹脂として、25℃において粘度が0.1Pa・s以上150Pa・s以下の液体であるエポキシ樹脂を含み、このエポキシ樹脂の含有量が接着剤30の組成物全量に対して30質量%以上50質量%以下である。このような構成の接着剤30は、上記(10)に記載した効果を発揮するために好適なものとなる。即ち、上記構成の接着剤30は、接着剤層30a中に空隙部33を容易に形成することができる接着剤30として好適なものとなる。その結果、高温高湿環境下においても第1の電極12,13間及び第2の電極22,23間の絶縁性を良好とすることができる。
(12)本発明に係るプリント配線基板10,20の接続方法においては、第1の基板11と第2の基板21との間に接着剤層30aを形成すると同時に、この接着剤層30aにおいて空隙部33を形成している。即ち、第1の基板11と第2の基板21との間に形成される接着剤層30aにおいて、複数の第1の電極12,13の間及び複数の第2の電極22,23の間に空隙部33が形成される。このため、従来のごとく凸状絶縁部材を第1の電極12,13の間や第2の電極22,23の間に設けることなく、第1の電極12,13間及び第2の電極22,23間の絶縁性を向上させることができる。その結果、複数の第1の電極12,13及び第2の電極22,23のファインピッチ化を図ることができる。さらに、接着剤層30a中に上記のような空隙部33が形成されるため、接着剤30に含有される導電性粒子31は、第1の基板11に設けられた第1の電極12,13と、第2の基板21に設けられた第2の電極22,23との間に集まり易くなる。従って、第1の電極12と第2の電極22、及び第1の電極13と第2の電極23の電気的な接続信頼性を向上させることができる。その結果、絶縁性と接続信頼性の両立を図ることができる。また、接着剤層30aを形成すると同時に接着剤層30aに空隙部33が形成されるため、接着剤層30aに空隙部33を形成するための別工程を不要とすることができる。
(13)本発明に係る異方導電性を有する接着剤30は、(10)に記載した物性や、(11)に記載した組成物を有している。このため、第1の基板11と第2の基板21との間に接着剤層30aを形成すると同時に、この接着剤層30aにおいて複数の第1の電極12,13の間及び複数の第2の電極22,23の間に空隙部33を形成するために好適に使用できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の設計変更をすることが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。例えば、上記実施形態を以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施形態においては、第1のプリント配線基板10は、フレキシブル配線板であったが、リジッド配線板であってもよい。また、同様に、第2のプリント配線基板20がリジッド配線板であってもよい。プリント配線基板としてリジッド配線板を用いる場合は、基板としてガラスエポキシ基板や配線が形成されたガラス基板を使用することができる。
以下に、本発明を実施例、比較例に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
(実施例1)
(接着剤の作製)
導電性粒子として、Ni粉末を用いた。具体的には、導電性粒子として、長径Lの分布が3μmから20μm、短径Rの分布が0.1μmから0.3μmである直鎖状ニッケル微粒子を用いた。また、エポキシ樹脂としては、25℃において液体である、(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名jER828EL、25℃における粘度:14Pa・s〕と、(2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名jER807、25℃における粘度:4Pa・s〕と、(3)ナフタレン型エポキシ樹脂〔DIC(株)製、商品名エピクロンHP4032、25℃における粘度:100Pa・s〕を使用した。また、25℃において固体であるエポキシ樹脂である(4)フェノキシ樹脂〔InChem(株)製、商品名PKHH〕を使用し、硬化剤として、(5)イミダゾール系硬化剤〔(株)ADEKA製、商品名アデカハードナーEH−4346S〕を使用した。これら(1)〜(5)を重量比で(1)5/(2)25/(3)5/(4)50/(5)15の割合で配合した。従って、実施例1においては、エポキシ樹脂の含有量は組成物全量に対して35質量%である。そして、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、及び硬化剤を、2−エトキシエチルアセタートに溶解して、分散させた後、三本ロールによる混練を行い、固形分が50重量%である溶液を作製した。この溶液に、固形分の総量(Ni粉末+樹脂)に占める割合で表される金属充填率が、0.2体積%となるように上記Ni粉末を添加した後、遠心攪拌ミキサーを用いて攪拌することによりNi粉末を均一に分散し、接着剤用の複合材料を作製した。次いで、この複合材料を離型処理したPETフィルム上にドクターナイフを用いて塗布した後、磁束密度100mTの磁場中、60℃で50分間、乾燥、固化させることにより、膜中の直鎖状粒子が磁場方向に配向した、厚さ35μmのフィルム形状の異方導電性を有する接着剤を作製した。
(接着剤の作製)
導電性粒子として、Ni粉末を用いた。具体的には、導電性粒子として、長径Lの分布が3μmから20μm、短径Rの分布が0.1μmから0.3μmである直鎖状ニッケル微粒子を用いた。また、エポキシ樹脂としては、25℃において液体である、(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名jER828EL、25℃における粘度:14Pa・s〕と、(2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名jER807、25℃における粘度:4Pa・s〕と、(3)ナフタレン型エポキシ樹脂〔DIC(株)製、商品名エピクロンHP4032、25℃における粘度:100Pa・s〕を使用した。また、25℃において固体であるエポキシ樹脂である(4)フェノキシ樹脂〔InChem(株)製、商品名PKHH〕を使用し、硬化剤として、(5)イミダゾール系硬化剤〔(株)ADEKA製、商品名アデカハードナーEH−4346S〕を使用した。これら(1)〜(5)を重量比で(1)5/(2)25/(3)5/(4)50/(5)15の割合で配合した。従って、実施例1においては、エポキシ樹脂の含有量は組成物全量に対して35質量%である。そして、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、及び硬化剤を、2−エトキシエチルアセタートに溶解して、分散させた後、三本ロールによる混練を行い、固形分が50重量%である溶液を作製した。この溶液に、固形分の総量(Ni粉末+樹脂)に占める割合で表される金属充填率が、0.2体積%となるように上記Ni粉末を添加した後、遠心攪拌ミキサーを用いて攪拌することによりNi粉末を均一に分散し、接着剤用の複合材料を作製した。次いで、この複合材料を離型処理したPETフィルム上にドクターナイフを用いて塗布した後、磁束密度100mTの磁場中、60℃で50分間、乾燥、固化させることにより、膜中の直鎖状粒子が磁場方向に配向した、厚さ35μmのフィルム形状の異方導電性を有する接着剤を作製した。
(溶融粘度の測定)
作製した接着剤の100℃における溶融粘度を、レオメータ〔Reologica Instrument社製、Viscoanalyser VAR100〕を用いて測定した。具体的には、作製した接着剤を直径15mmの平行円板により挟み、1Hzで振動させながら10℃/分の昇温速度で20℃から250℃まで加熱を行って、粘度を測定した。溶融粘度の測定を行った結果、実施例1における接着剤の100℃における溶融粘度は、7000Pa・sであった。
作製した接着剤の100℃における溶融粘度を、レオメータ〔Reologica Instrument社製、Viscoanalyser VAR100〕を用いて測定した。具体的には、作製した接着剤を直径15mmの平行円板により挟み、1Hzで振動させながら10℃/分の昇温速度で20℃から250℃まで加熱を行って、粘度を測定した。溶融粘度の測定を行った結果、実施例1における接着剤の100℃における溶融粘度は、7000Pa・sであった。
(絶縁抵抗の測定)
まず、幅100μm、長さ3mm、高さ18μmの金メッキが施された銅電極が100μm間隔で100個配列されたプリント配線基板であるフレキシブル配線板と、幅100μm、長さ3mm、高さ18μmの金メッキが施された銅電極が100μm間隔で100個配列されたプリント配線基板であるリジッド配線板とを用意した。即ち、電極間のピッチが200μmである、2つのプリント配線基板を用意した。そして、このフレキシブル配線板とリジッド配線板の間に作製した接着剤を挟み、接着剤が所定の温度(200℃)になるように、適切な温度(240℃)に加熱されたプレスヘッドをフレキシブル配線板の上方に設置し、プレスヘッドをリジッド配線板の方向に移動させて、接着剤により形成される接着剤層に空隙部が形成されるよう、接着剤を所定の温度(200℃)に加熱しながら、4MPaの圧力で10秒間加圧して接着させて実装し、接着剤を介して電極間が接着されたフレキシブル配線板とリジッド配線板の接合体を得た。次いで、得られた接合体を温度85℃、湿度85%RHの環境下におき、面方向において隣り合う電極間に15Vの直流電圧を印加し続けて、その抵抗を絶縁抵抗として測定した。その結果を図7に実線で示す。なお、絶縁抵抗の測定は、絶縁抵抗が低下して安定しなくなるまで続けた。
まず、幅100μm、長さ3mm、高さ18μmの金メッキが施された銅電極が100μm間隔で100個配列されたプリント配線基板であるフレキシブル配線板と、幅100μm、長さ3mm、高さ18μmの金メッキが施された銅電極が100μm間隔で100個配列されたプリント配線基板であるリジッド配線板とを用意した。即ち、電極間のピッチが200μmである、2つのプリント配線基板を用意した。そして、このフレキシブル配線板とリジッド配線板の間に作製した接着剤を挟み、接着剤が所定の温度(200℃)になるように、適切な温度(240℃)に加熱されたプレスヘッドをフレキシブル配線板の上方に設置し、プレスヘッドをリジッド配線板の方向に移動させて、接着剤により形成される接着剤層に空隙部が形成されるよう、接着剤を所定の温度(200℃)に加熱しながら、4MPaの圧力で10秒間加圧して接着させて実装し、接着剤を介して電極間が接着されたフレキシブル配線板とリジッド配線板の接合体を得た。次いで、得られた接合体を温度85℃、湿度85%RHの環境下におき、面方向において隣り合う電極間に15Vの直流電圧を印加し続けて、その抵抗を絶縁抵抗として測定した。その結果を図7に実線で示す。なお、絶縁抵抗の測定は、絶縁抵抗が低下して安定しなくなるまで続けた。
(比較例1)
接着剤を作製するにあたり、ナフタレン型エポキシ樹脂を使用せずに、実施例1における(1)、(2)、(4)、(5)を重量比で(1)6/(2)17/(4)67/(5)10の割合で配合して、エポキシ樹脂の含有量を組成物全量に対して23質量%としたこと以外は、上述の実施例1と同様にして接着剤を作製した。また、上述の実施例1と同一条件により溶融粘度の測定を行った結果、比較例1における接着剤の100℃における溶融粘度は、15000Pa・sであった。また、上述の実施例1と同様にして接合体を得て、上述の実施例1と同一条件により絶縁抵抗を測定した。その結果を図7に二点鎖線で示す。
接着剤を作製するにあたり、ナフタレン型エポキシ樹脂を使用せずに、実施例1における(1)、(2)、(4)、(5)を重量比で(1)6/(2)17/(4)67/(5)10の割合で配合して、エポキシ樹脂の含有量を組成物全量に対して23質量%としたこと以外は、上述の実施例1と同様にして接着剤を作製した。また、上述の実施例1と同一条件により溶融粘度の測定を行った結果、比較例1における接着剤の100℃における溶融粘度は、15000Pa・sであった。また、上述の実施例1と同様にして接合体を得て、上述の実施例1と同一条件により絶縁抵抗を測定した。その結果を図7に二点鎖線で示す。
図7に示すように、実施例1においては、15Vの直流電圧を500時間印加し続けても、絶縁抵抗が大きく低下することはなく、高温高湿環境下においても互いに隣り合って設けられた電極間の絶縁性が良好であることが判る。一方、比較例1においては、図7に示すように、15Vの直流電圧を印加し続けて300時間を経過した後、絶縁抵抗が大きく低下して不安定になった。
本発明の活用例としては、2つの各基板に互いに隣り合って設けられた複数の電極を、異方導電性を有する接着剤を介して電気的に接続するプリント配線基板の接続構造を有した配線板接合体が挙げられる。
X…厚み方向、Y…面方向、1…配線板接合体、10…第1のプリント配線基板、11…第1の基板、12,13…第1の電極、20…第2のプリント配線基板、21…第2の基板、22,23…第2の電極、30…接着剤、30a…接着剤層、31…導電性粒子、32…気泡、33…空隙部。
Claims (5)
- 第1の基板に互いに隣り合って設けられた複数の第1の電極と、第2の基板に互いに隣り合って設けられた複数の第2の電極とを、導電性粒子を含有した異方導電性を有する接着剤を介して電気的に接続するプリント配線基板の接続構造であって、
複数の前記第1の電極のうち前記第1の基板において互いに隣り合う電極を「第1の電極A」と「第1の電極B」とし、複数の前記第2の電極のうち前記第2の基板において互いに隣り合う電極を「第2の電極A」と「第2の電極B」としたとき、
互いに向かい合う第1の電極Aと第2の電極Aとの間、及び第1の電極Bと第2の電極Bとの間に、前記接着剤を介在させて加熱及び加圧することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との間に接着剤層が形成され、
前記接着剤層において、第1の電極Aと第1の電極Bとの間、及び第2の電極Aと第2の電極Bとの間に、空隙部が形成され、
前記接着剤は、第1の電極A及び第1の電極B及び第2の電極A及び第2の電極Bを覆うとともに、さらに、第1の電極Aと第1の電極Bとの間、及び第2の電極Aと第2の電極Bとの間において、前記第1の基板の表面上の全体及び前記第2の基板の表面上の全体に設けられて、前記第1の基板と前記第2の基板を覆い、
前記空隙部は、互いに向かい合う第1の電極Aと第2の電極Aとの間、及び第1の電極Bと第2の電極Bとの間において、第1の電極A及び第1の電極B及び第2の電極A及び第2の電極Bが延びる方向が、同空隙部の長手方向となるように設けられている
ことを特徴とするプリント配線基板の接続構造。 - 第1の電極Aの先端が、第2の電極Aと対向するように設けられるとともに、第2の電極Aの先端が、第1の電極Aと対向するように設けられ、
第1の電極Bの先端が、第2の電極Bと対向するように設けられるとともに、第2の電極Bの先端が、第1の電極Bと対向するように設けられ、
第1の電極Aと第2の電極Aとが重なった部分の長さである第1の電極Aの先端から第2の電極Aの先端までの距離を「距離A」とし、第1の電極Bと第2の電極Bとが重なった部分の長さである、第1の電極Bの先端から第2の電極Bの先端までの距離を「距離B」としたとき、
前記空隙部の長手方向の寸法が、距離A以上かつ距離B以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板の接続構造。 - 前記第1の基板及び前記第2の基板の厚み方向において対向する第1の電極Aと第2の電極Aとの間及び第1の電極Bと第2の電極Bとの間での任意の箇所を、前記厚み方向に対して垂直に切断した断面において、前記厚み方向に直交する面方向において互いに隣り合って設けられた電極の間に存在する前記接着剤層及び前記空隙部の全面積をS1とし、前記空隙部の面積をS2とした場合に、前記全面積に対する前記空隙部の面積の比(S2/S1)が0.3以上0.9以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプリント配線基板の接続構造。
- 前記第1の電極間のピッチ及び前記第2の電極間のピッチが、10μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプリント配線基板の接続構造。
- 前記第1の電極と前記第2の電極とを接続する前記導電性粒子が、微細な金属粒子が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する金属粉末であって、この導電性粒子のアスペクト比が5以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のプリント配線基板の接続構造。
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JP2007173477A (ja) * | 2005-12-21 | 2007-07-05 | Sumitomo Electric Ind Ltd | フレキシブルプリント配線板 |
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