JP2009037928A - 電極接続用接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】低い実装温度で、電極間を電極接続用接着剤を介して接続する際に、電極間の接続信頼性を維持した状態で接続することができる低温硬化型の電極接続用接着剤を提供することを目的とする。
【解決手段】エポキシ樹脂を主成分とし、導電性粒子とマイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する電極接続用接着剤2を介して、フレキシブルプリント配線板3の金属電極5と、配線基板1の配線電極4が接続されている。そして、電極接続用接着剤2は、融点が150℃以下の第三級アミンを含有している。
【選択図】図1
【解決手段】エポキシ樹脂を主成分とし、導電性粒子とマイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する電極接続用接着剤2を介して、フレキシブルプリント配線板3の金属電極5と、配線基板1の配線電極4が接続されている。そして、電極接続用接着剤2は、融点が150℃以下の第三級アミンを含有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、電極、回路等を設けた配線板や電子部品等を接着し、かつ電気的に接続するための電極接続用接着剤に関する。
近年の電子機器の小型化、高機能化の流れの中で、構成部品(例えば、液晶製品における電子部品)内の接続端子の微小化が進んでいる。このため、エレクトロニクス実装分野においては、そのような端子間の接続を容易に行える種々の電極接続用接着剤として、フィルム状の接着剤が広く使用されている。例えば、金メッキされた銅電極からなる金属電極が形成されたフレキシブルプリント配線板(FPC)と、ITO電極からなる配線電極が形成されたガラス基板等の配線基板の接合や、ICチップ等の電子部品とリジッド基板(PCB)の接合に使用されている。
この電極接続用接着剤は、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁性の熱硬化性樹脂組成物に導電性粒子を分散させた接着剤であり、接続対象の間に挟まれ、加熱、加圧されて、接続対象を接着する。即ち、加熱、加圧により接着剤中の樹脂が流動し、例えば、フレキシブルプリント配線板の表面に形成された銅電極と、配線基板の表面に形成されたITO電極の隙間を封止すると同時に、導電性粒子の一部が対峙する銅電極とITO電極の間に噛み込まれて電気的接続が達成される。そして、電極接続用接着剤においては、当該電極接続用接着剤の厚み方向に相対峙する、接続された電極間の抵抗(接続抵抗、または導通抵抗)を低くするという導通性能と、電極接続用接着剤の面方向に隣り合う電極間の抵抗(絶縁抵抗)を高くするという絶縁性能が必要とされている。
また、一般に、この電極接続用接着剤においては、電極接続用接着剤の主成分である熱硬化性樹脂の硬化を促進させるための潜在性硬化剤が使用されている。より具体的には、エポキシ樹脂を主成分とし、マイクロカプセル型のイミダゾール系等の潜在性硬化剤、及びニッケル等の導電性粒子を主成分とする電極接続用接着剤が開示されている。そして、このような接着剤を使用することにより、接続抵抗の増大や接着剤の剥離を抑制して、接続信頼性を向上することができると記載されている(例えば、特許文献1参照)
特開2007−113012号公報
しかし、上記従来の電極接続用接着剤に含有されるマイクロカプセル型潜在性硬化剤は、一般に、硬化に高温かつ長時間が必要であるため、低温かつ短時間で硬化が必要な接着剤に使用するのが困難であるという問題があった。より具体的には、このマイクロカプセル型の潜在性硬化剤を含有する接着剤を使用する場合は、まず、加熱により、マイクロカプセル型潜在性硬化剤においてカプセルに内包される硬化剤を溶出させ、次に、溶出した硬化剤をエポキシ樹脂と接触させて反応を開始させる機構であるため、ある程度の温度(160℃以上)が必要であり、また、カプセルに内包される硬化剤自身の反応速度が遅いため、低温(150℃以下)かつ短時間(例えば、10秒以下)で硬化が必要な接着剤に使用するのが困難であった。
また、硬化温度を低下させ、かつ硬化時間を短縮するために、エポキシ樹脂との反応性の高い硬化剤(例えば、脂肪族ポリアミン、ポリアミド等)を使用することも考えられるが、低温での長期間の貯蔵安定性(例えば、室温下において、1ヶ月間の貯蔵安定性)が不十分になるという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、低い温度で、電極接続用接着剤を介して電極間を接続する際に、電極間の接続信頼性を維持した状態で電極間を接続することができる低温硬化型の電極接続用接着剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、エポキシ樹脂を主成分とし、導電性粒子、およびマイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する電極接続用接着剤において、融点が150℃以下の第三級アミンが含有されていることを特徴とする。
同構成によれば、第三級アミンが触媒として作用し、硬化剤とエポキシ樹脂の反応に必要な活性化エネルギーが低下するため、加熱実装時における硬化剤とエポキシ樹脂の反応速度が向上することになる。従って、例えば、フレキシブルプリント配線板の金属電極(例えば、金メッキが施された銅電極)間を、電極接続用接着剤を介して接続する際に、低温(150℃以下)かつ短時間(例えば、10秒間)で電極接続用接着剤を硬化させることが可能になるとともに、高温(160℃以上)実装時と同様の接続信頼性を得ることができる。その結果、低温実装に有用な低温硬化型の電極接続用接着剤を提供することが可能になる。
また、低温で実装する際の実装温度(150℃以下)において、触媒として作用する第三級アミンが液状となるため、エポキシ樹脂が硬化剤に接触しやすくなる。その結果、エポキシ樹脂と硬化剤を効率よく反応させることが可能になる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電極接続用接着剤であって、第三級アミンの融点が60℃以下であることを特徴とする。同構成によれば、第三級アミンの融点が、電極接続用接着剤を作製する際の乾燥温度(即ち、60℃)以下であるため、電極接続用接着剤における第三級アミンの分散性が向上することになる。その結果、低温で実装する際に、エポキシ樹脂と硬化剤をより一層効率よく反応させることが可能になる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電極接続用接着剤であって、マイクロカプセル型潜在性硬化剤の全体に対する第三級アミンの配合量が、3重量%以上50重量%未満であることを特徴とする。
同構成によれば、エポキシ樹脂と第三級アミンとの反応が完全に進行してしまうのを回避しつつ、低温で実装する際の、硬化剤とエポキシ樹脂の反応速度の向上効果を十分に発揮させることが可能になる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電極接続用接着剤であって、第三級アミンがイミダゾール化合物であること特徴とする。同構成によれば、第三級アミンの触媒としての作用を、より一層向上させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電極接続用接着剤であって、導電性粒子が、微細な金属粒子が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する金属粉末であることを特徴とする。
同構成によれば、電極接続用接着剤の面方向においては、隣り合う電極間の絶縁を維持して短絡を防止しつつ、電極接続用接着剤の厚み方向においては、多数の配線電極−金属電極を一度に、かつ各々を独立して導電接続して、低抵抗を得ることが可能になる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電極接続用接着剤であって、導電性粒子が、強磁性を有する金属単体、強磁性を有する2種類以上の合金、強磁性を有する金属と他の金属との合金、および強磁性を有する金属を含む複合体のいずれかであることを特徴とする。同構成によれば、金属自体が有する磁性により、磁場を用いて導電性粒子を配向させることが可能になる。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電極接続用接着剤であって、フィルム形状を有することを特徴とする。同構成によれば、電極接続用接着剤の取り扱いが容易になるとともに、例えば、電極接続用接着剤を介して、加熱加圧処理を行うことにより、配線電極と金属電極を接続する際の作業性が向上する。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の電極接続用接着剤であって、導電性粒子の長径方向を、前記フィルム形状を有する接着剤の厚み方向に配向させたことを特徴とする。
同構成によれば、隣り合う電極間の絶縁を維持して短絡を防止しつつ、多数の配線電極−金属電極間を一度に、かつ各々を独立して導電接続することが可能になるという効果が、より一層向上する。
本発明によれば、低温実装に有用な低温硬化型の電極接続用接着剤を提供することが可能になる。
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る電極接続用接着剤により、フレキシブルプリント配線板を実装した配線基板を示す断面図である。本実施形態の電極接続用接着剤を用いたフレキシブルプリント配線板等の配線板の実装方法としては、例えば、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分とする電極接続用接着剤を介して、加熱加圧処理を行うことにより、当該エポキシ樹脂を硬化させ、フレキシブルプリント配線板の金属電極を配線基板の配線電極に接続する。
より具体的には、図1に示すように、ガラス基板やガラスエポキシ基板等の配線基板1上に、絶縁性の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分とし、潜在性硬化剤と、導電性粒子を含有する導電性の電極接続用接着剤2を載置し、当該電極接続用接着剤2を所定の温度に加熱した状態で、配線基板1の方向へ所定の圧力で加圧し、電極接続用接着剤2を配線基板1上に仮接着する。なお、電極接続用接着剤2は、ペースト状で使用することができるが、フィルム形状を有する電極接続用接着剤2も好適に使用できる。次いで、フレキシブルプリント配線板3を下向きにした状態で、配線基板1の表面に形成された配線電極4と、フレキシブルプリント配線板3の表面に形成された金属電極5との位置合わせをしながら、フレキシブルプリント配線板3を電極接続用接着剤2上に載置することにより、配線基板1とフレキシブルプリント配線板3との間に電極接続用接着剤2を介在させる。次いで、電極接続用接着剤2が所定の温度になるように、適切な温度に加熱された圧着部材であるプレスヘッド(不図示)を、フレキシブルプリント配線板3の上方に設置し、当該プレスヘッドを配線基板1の方向に移動させて、電極接続用接着剤2を所定の温度に加熱した状態で、フレキシブルプリント配線板3を介して、当該電極接続用接着剤2を配線基板1の方向へ所定の圧力で加圧することにより、電極接続用接着剤2を加熱溶融させる。なお、上述のごとく、電極接続用接着剤2は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分としているため、当該電極接続用接着剤2は、上述の温度にて加熱をすると、一旦、軟化するが、当該加熱を継続することにより、硬化することになる。そして、予め設定した電極接続用接着剤2の硬化時間が経過すると、電極接続用接着剤2の硬化温度の維持状態、および加圧状態を開放し、冷却を開始することにより、導電性の電極接続用接着剤2を介して、配線電極4と金属電極5を接続し、フレキシブルプリント配線板3を配線基板1上に実装する。
また、本発明の金属電極5としては、例えば、フレキシブルプリント配線板3の表面に、銅箔等の金属箔を積層し、当該金属箔を、常法により、露光、エッチング、メッキ処理することにより形成された、金メッキが施された銅電極が使用される。また、配線電極4としては、例えば、上述の金メッキが施された銅電極や、配線基板1上に形成されたITO電極が使用される。
本発明に使用される電極接続用接着剤2としては、従来、配線基板1とフレキシブルプリント配線板3の接続に使用されてきた、絶縁性の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分とし、当該樹脂中に導電性粒子が分散されたものが使用できる。例えば、エポキシ樹脂に、ニッケル、銅、銀、金あるいは黒鉛等の導電性粒子の粉末が分散されたものが挙げられる。
なお、使用するエポキシ樹脂の種類は、特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型、F型、S型、AD型、またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合型のエポキシ樹脂や、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を使用することができる。また、高分子量エポキシ樹脂であるフェノキシ樹脂を用いることもできる。
また、電極接続用接着剤2として、図2に示すように、導電性粒子6を含む異方導電性接着剤も使用することができる。より具体的には、当該異方導電性接着剤として、例えば、上述のエポキシ樹脂を主成分とし、当該樹脂中に、微細な金属粒子(例えば、球状の金属微粒子や金属でメッキされた球状の樹脂粒子からなる金属微粒子)が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する、所謂アスペクト比が大きい形状を有する金属粉末により形成された導電性粒子6が分散されたものを使用することができる。なお、ここで言うアスペクト比とは、図3に示す、導電性粒子6の短径(導電性粒子6の断面の長さ)Rと長径(導電性粒子6の長さ)Lの比のことを言う。
このような導電性粒子6を使用することにより、異方導電性接着剤として、電極接続用接着剤2の面方向(厚み方向Xに直交する方向であって、図2の矢印Yの方向)においては、隣り合う電極間の絶縁を維持して短絡を防止しつつ、厚み方向Xにおいては、多数の配線電極4−金属電極5間を、一度にかつ各々を独立して接続し、低抵抗を得ることが可能になる。
また、導電性粒子6のアスペクト比が5以上であることが好ましい。このような導電性粒子6を使用することにより、電極接続用接着剤2として、異方導電性接着剤を使用する場合に、導電性粒子6間の接触確率が高くなる。従って、導電性粒子6の配合量を増やすことなく、配線電極4と金属電極5を電気的に接続することが可能になる。
また、この異方導電性接着剤において、導電性粒子6の長径Lの方向を、フィルム状の異方導電性接着剤を形成する時点で、異方導電性接着剤の厚み方向Xにかけた磁場の中を通過させることにより、当該厚み方向Xに配向させて用いるのが好ましい。このような配向にすることにより、上述の、隣り合う電極間の絶縁を維持して短絡を防止しつつ、多数の配線電極4−金属電極5間を一度に、かつ各々を独立して導電接続することが可能になるという効果が、より一層向上する。
また、本発明に使用される金属粉末は、その一部に強磁性体が含まれるものが良く、強磁性を有する金属単体、強磁性を有する2種類以上の合金、強磁性を有する金属と他の金属との合金、および強磁性を有する金属を含む複合体のいずれかであることが好ましい。これは、強磁性を有する金属を使用することにより、金属自体が有する磁性により、磁場を用いて導電性粒子6を配向させることが可能になるからである。例えば、ニッケル、鉄、コバルトおよびこれらを含む2種類以上の合金等を挙げることができる。
なお、導電性粒子6のアスペクト比は、CCD顕微鏡観察等の方法により直接測定するが、断面が円でない導電性粒子6の場合は、断面の最大長さを短径としてアスペクト比を求める。また、導電性粒子6は、必ずしもまっすぐな形状を有している必要はなく、多少の曲がりや枝分かれがあっても、問題なく使用できる。この場合、導電性粒子6の最大長さを長径としてアスペクト比を求める。
また、本発明に使用される電極接続用接着剤2としては、潜在性硬化剤を含有する接着剤が使用される。この潜在性硬化剤は、低温での貯蔵安定性に優れ、室温では殆ど硬化反応を起こさないが、熱や光等により、速やかに硬化反応を行う硬化剤である。この潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、アミンイミド、ポリアミン系、第三級アミン、アルキル尿素系等のアミン系、ジシアンジアミド系、酸無水物系、フェノール系、および、これらの変性物が例示され、これらは単独または2種以上の混合物として使用できる。
また、これらの潜在性硬化剤中でも、低温での貯蔵安定性、および速硬化性に優れているとの観点から、イミダゾール系潜在性硬化剤が好ましく使用される。イミダゾール系潜在性硬化剤としては、公知のイミダゾール系潜在性硬化剤を使用することができる。より具体的には、イミダゾール化合物のエポキシ樹脂との付加物が例示される。イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾールが例示される。なお、イミダゾール化合物のエポキシ樹脂に、上述の平均分子量を有するエポキシ樹脂が含有されるものを使用する構成としても良い。
また、特に、これらの潜在性硬化剤を、ポリウレタン系、ポリエステル系等の高分子物質や、ニッケル、銅等の金属薄膜およびケイ酸カルシウム等の無機物で被覆してマイクロカプセル化したものは、長期保存性と速硬化性という矛盾した特性の両立を図ることができるため、好ましい。従って、本実施形態においては、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を使用する構成としている。
電極接続用接着剤の作製方法としては、例えば、エポキシ樹脂、およびマイクロカプセル型潜在性硬化剤を所定の重量比の割合で配合した後、溶媒(例えば、2−エトキシエチルアセタート)に溶解して、分散させた後、三本ロールによる混練を行い、所定の割合で導電性粒子を添加した後、遠心攪拌ミキサーを用いて攪拌することにより導電性粒子を均一に分散し、接着剤用の複合材料を作製する。そして、この複合材料を離型処理したPETフィルム上にドクターナイフを用いて塗布した後、所定の磁束密度の磁場中、所定の乾燥温度(例えば、60℃)で乾燥、固化させることにより作製される。
ここで、マイクロカプセル型潜在性硬化剤は、低温での貯蔵安定性に優れてはいるものの、上述のごとく、硬化に高温かつ長時間が必要であるため、低温かつ短時間で硬化が必要な接着剤に使用するのが困難であるという問題があった。
そこで、本実施形態においては、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を使用するとともに、電極接続用接着剤2に、第三級アミンを含有する構成としている。このような構成により、第三級アミンが触媒として作用し、硬化剤とエポキシ樹脂の反応に必要な活性化エネルギーが低下するため、低温(150℃以下)で実装する際の、硬化剤とエポキシ樹脂の反応速度が向上することになる。従って、配線電極4と金属電極5間を、電極接続用接着剤2を介して接続する際に、低温(150℃以下)かつ短時間(例えば、10秒間)で電極接続用接着剤2を硬化させることが可能になるとともに、高温(160℃以上)実装時と同様の接続信頼性を得ることができる。
使用する第三級アミンの種類は、特に制限はなく、硬化剤とエポキシ樹脂の反応に必要な活性化エネルギーを低下することができるものであれば、どのようなものでも使用できる。例えば、イミダゾール化合物、ベンジルジメチルアミン、およびジメチルアミノメチルフェノール等が挙げられる。このうち、第三級アミンの触媒としての作用を、より一層向上させるとの観点から、イミダゾール化合物を使用することが好ましい。このイミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾールが例示される。また、こられの第三級アミンは、単独で使用しても良く、2種類以上を組合せて使用しても良い。
また、本実施形態においては、使用する第三級アミンの融点が150℃以下のものを使用する構成としている。これは、低温で実装する際の実装温度(150℃以下)において、触媒として作用する第三級アミンが液状となるため、エポキシ樹脂と硬化剤を反応させる際に、エポキシ樹脂と硬化剤の接触確率が高まり、効率よく反応させることが可能になるからである。例えば、実装する際の実装温度が140℃の場合、第三級アミンとして、融点が140℃以下のものを使用する構成とすればよい。
なお、電極接続用接着剤2における第三級アミンの分散性を向上させて、低温で実装する際に、エポキシ樹脂と硬化剤をより一層効率よく反応させるとの観点から、使用する第三級アミンの融点が、電極接続用接着剤2を作製する際の乾燥温度(即ち、60℃)以下のものを使用することが好ましい。
また、電極接続用接着剤2に含有されるマイクロカプセル型潜在性硬化剤の全体に対する第三級アミンの配合量を、3重量%以上50重量%未満とすることが好ましい。これは、第三級アミンの配合量が、3重量%未満の場合は、上述の、低温で実装する際の、硬化剤とエポキシ樹脂の反応速度の向上効果が十分に発揮されない場合があるためである。また、第三級アミンの配合量が、50重量%以上の場合は、第三級アミンもエポキシ樹脂の硬化剤として作用するため、エポキシ樹脂と第三級アミンとの反応が完全に進行してしまう場合があるためである。
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、絶縁性の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分とし、導電性粒子、および潜在性硬化剤を含有する電極接続用接着剤2において、電極接続用接着剤2が、融点が150℃以下の第三級アミンを更に含有する構成としている。従って、第三級アミンの触媒作用により、低温(150℃以下)で実装する際の、硬化剤とエポキシ樹脂の反応速度が向上することになる。従って、低温において、配線電極4と金属電極5間を、電極接続用接着剤2を介して接続して、フレキシブルプリント配線板3を配線基板1上に実装する際に、低温(150℃以下)かつ短時間(10秒以下)で電極接続用接着剤2を硬化させることが可能になるとともに、高温実装時と同様の接続信頼性を得ることができる。その結果、低温実装に有用な低温硬化型の電極接続用接着剤2を提供することが可能になる。
(1)本実施形態においては、絶縁性の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分とし、導電性粒子、および潜在性硬化剤を含有する電極接続用接着剤2において、電極接続用接着剤2が、融点が150℃以下の第三級アミンを更に含有する構成としている。従って、第三級アミンの触媒作用により、低温(150℃以下)で実装する際の、硬化剤とエポキシ樹脂の反応速度が向上することになる。従って、低温において、配線電極4と金属電極5間を、電極接続用接着剤2を介して接続して、フレキシブルプリント配線板3を配線基板1上に実装する際に、低温(150℃以下)かつ短時間(10秒以下)で電極接続用接着剤2を硬化させることが可能になるとともに、高温実装時と同様の接続信頼性を得ることができる。その結果、低温実装に有用な低温硬化型の電極接続用接着剤2を提供することが可能になる。
(2)また、第三級アミンの融点が150℃以下であるため、低温で実装する際の実装温度(150℃以下)において、触媒として作用する第三級アミンが液状となる。従って、エポキシ樹脂と硬化剤を反応させる際に、エポキシ樹脂が硬化剤に接触しやすくなるため、エポキシ樹脂と硬化剤を効率よく反応させることが可能になる。
(3)本実施形態においては、第三級アミンの融点を60℃以下とする構成としている。従って、第三級アミンの融点が、電極接続用接着剤2を作製する際の乾燥温度(即ち、60℃)以下であるため、電極接続用接着剤2における第三級アミンの分散性を向上させて、エポキシ樹脂と硬化剤をより一層効率よく反応させることが可能になる。
(4)本実施形態においては、マイクロカプセル型潜在性硬化剤の全体に対する第三級アミンの配合量を、3重量%以上50重量%未満とする構成としている。従って、エポキシ樹脂と第三級アミンとの反応が完全に進行してしまうのを回避しつつ、低温で実装する際の、硬化剤とエポキシ樹脂の反応速度の向上効果を十分に発揮することが可能になる。
(5)本実施形態においては、第三級アミンとして、イミダゾール化合物を使用する構成としている。従って、第三級アミンの触媒としての作用を、より一層向上させることができる。
(6)本実施形態においては、導電性粒子6として、微細な金属粒子が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する金属粉末を使用する構成としている。従って、電極接続用接着剤2の面方向Yにおいては、隣り合う電極間の絶縁を維持して短絡を防止しつつ、厚み方向Xにおいては、多数の配線電極4−金属電極5間を、一度にかつ各々を独立して接続し、低抵抗を得ることが可能になる。
(7)本実施形態においては、導電性粒子6を、強磁性を有する金属単体、強磁性を有する2種類以上の合金、強磁性を有する金属と他の金属との合金、および強磁性を有する金属を含む複合体のいずれかにより形成する構成としている。従って、金属自体が有する磁性により、磁場を用いて導電性粒子6を配向させることが可能になる。
(8)本実施形態においては、電極接続用接着剤2がフィルム形状を有する構成としている。従って、電極接続用接着剤2の取り扱いが容易になるとともに、例えば、電極接続用接着剤2を介して、加熱加圧処理を行うことにより、配線電極4と金属電極5を接続する際の作業性が向上する。
(9)本実施形態においては、導電性粒子6の長径方向Lを、フィルム形状を有する電極接続用接着剤2の厚み方向Xに配向させる構成としている。従って、隣り合う電極間の絶縁を維持して短絡を防止しつつ、多数の配線電極4−金属電極5間を一度に、かつ各々を独立して導電接続することが可能になるという効果が、より一層向上する。
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
・上記実施形態においては、電極接続用接着剤2を介して、フレキシブルプリント配線板3の金属電極5を配線基板1の配線電極4に接続する構成としたが、本発明の電極接続用接着剤2を、例えば、ICチップ等の電子部品の突起電極(または、バンプ)と配線基板1の配線電極4との接続に使用する構成としても良い。
・上記実施形態においては、電極接続用接着剤2を介して、フレキシブルプリント配線板3の金属電極5を配線基板1の配線電極4に接続する構成としたが、本発明の電極接続用接着剤2を、例えば、ICチップ等の電子部品の突起電極(または、バンプ)と配線基板1の配線電極4との接続に使用する構成としても良い。
以下に、本発明を実施例、比較例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
(実施例1)
(接着剤の作製)
導電性粒子として、長径Lの分布が3μmから20μm、短径Rの分布が0.2μmから0.3μmである直鎖状ニッケル微粒子を用いた。また、エポキシ樹脂としては、(1)ビスフェノールA型のエポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名JER1256〕、および(2)ナフタレン型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名エピクロンHP4032D〕を使用した。また、マイクロカプセル型潜在性硬化剤としては、(3)マイクロカプセル型イミダゾール系硬化剤〔旭化成エポキシ(株)製、商品名ノバキュアHX3932HP〕を使用し、触媒として、(4)第三級アミン〔四国化成工業(株)製、商品名キュアゾール2MZ−CN、融点:55℃〕を使用し、これら(1)〜(4)を重量比で(1)70/(2)30/(3)60/(4)6の割合で配合した。なお、第三級アミンの融点の測定は、JIS K7122に基づき、熱分析装置(島津製作所(株)製、商品名DSC−60)を使用して、昇温速度10℃/分で行った。
(接着剤の作製)
導電性粒子として、長径Lの分布が3μmから20μm、短径Rの分布が0.2μmから0.3μmである直鎖状ニッケル微粒子を用いた。また、エポキシ樹脂としては、(1)ビスフェノールA型のエポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名JER1256〕、および(2)ナフタレン型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名エピクロンHP4032D〕を使用した。また、マイクロカプセル型潜在性硬化剤としては、(3)マイクロカプセル型イミダゾール系硬化剤〔旭化成エポキシ(株)製、商品名ノバキュアHX3932HP〕を使用し、触媒として、(4)第三級アミン〔四国化成工業(株)製、商品名キュアゾール2MZ−CN、融点:55℃〕を使用し、これら(1)〜(4)を重量比で(1)70/(2)30/(3)60/(4)6の割合で配合した。なお、第三級アミンの融点の測定は、JIS K7122に基づき、熱分析装置(島津製作所(株)製、商品名DSC−60)を使用して、昇温速度10℃/分で行った。
これらのエポキシ樹脂、マイクロカプセル型潜在性硬化剤、および第三級アミンを、2−エトキシエチルアセタートに溶解して、分散させた後、三本ロールによる混練を行い、固形分が50重量%である溶液を作製した。この溶液に、固形分の総量(Ni粉末+樹脂)に占める割合で表される金属充填率が、0.2体積%となるように上記Ni粉末を添加した後、遠心攪拌ミキサーを用いて攪拌することによりNi粉末を均一に分散し、接着剤用の複合材料を作製した。次いで、この複合材料を離型処理したPETフィルム上にドクターナイフを用いて塗布した後、磁束密度100mTの磁場中、60℃で30分間、乾燥、固化させることにより、膜中の直鎖状粒子が磁場方向に配向した、厚さ30μmのフィルム形状の異方導電性をもつ電極接続用接着剤を作製した。
(接続信頼性評価)
まず、幅80μm、長さ5mm、高さ18μmの金メッキが施された銅電極が120μm間隔で160個配列されたフレキシブルプリント配線板と、幅80μm、長さ5mm、高さ18μmの金メッキが施された銅電極が120μm間隔で160個配列された配線基板(ガラスクロスエポキシ基板)とを用意した。そして、このフレキシブルプリント配線板と配線基板の間に作製した接着剤を挟み、接着剤が所定の温度(160℃、150℃、および140℃)になるように、適切な温度に加熱されたプレスヘッドをフレキシブルプリント配線板の上方に設置し、当該プレスヘッドを配線基板の方向に移動させて、電極接続用接着剤2を所定の温度(160℃、150℃、および140℃)に加熱しながら、4MPaの圧力で10秒間加圧して接着させて実装し、フレキシブルプリント配線板と配線基板の接合体を得た。次いで、この接合体において、銅電極、および接着剤を介して接続された連続する160個の電極の抵抗値を四端子法により求め、求めた値を160で除することにより、1電極あたりの接続抵抗(以下、「初期接続抵抗」という。)を求めた。そして、この評価を10回繰り返し、初期接続抵抗の平均値を求めた。その結果を表1〜表3に示す。
まず、幅80μm、長さ5mm、高さ18μmの金メッキが施された銅電極が120μm間隔で160個配列されたフレキシブルプリント配線板と、幅80μm、長さ5mm、高さ18μmの金メッキが施された銅電極が120μm間隔で160個配列された配線基板(ガラスクロスエポキシ基板)とを用意した。そして、このフレキシブルプリント配線板と配線基板の間に作製した接着剤を挟み、接着剤が所定の温度(160℃、150℃、および140℃)になるように、適切な温度に加熱されたプレスヘッドをフレキシブルプリント配線板の上方に設置し、当該プレスヘッドを配線基板の方向に移動させて、電極接続用接着剤2を所定の温度(160℃、150℃、および140℃)に加熱しながら、4MPaの圧力で10秒間加圧して接着させて実装し、フレキシブルプリント配線板と配線基板の接合体を得た。次いで、この接合体において、銅電極、および接着剤を介して接続された連続する160個の電極の抵抗値を四端子法により求め、求めた値を160で除することにより、1電極あたりの接続抵抗(以下、「初期接続抵抗」という。)を求めた。そして、この評価を10回繰り返し、初期接続抵抗の平均値を求めた。その結果を表1〜表3に示す。
(耐熱・耐湿評価)
また、耐熱・耐湿試験として、上記の各温度(160℃、150℃、および140℃)にて実装されたフレキシブルプリント配線板と配線基板の接合体を、温度を80℃、湿度を95%に設定した恒温恒湿槽中に1000時間放置した後、接合体を恒温恒湿槽から取り出し、再び、上記と同様にして、接続抵抗(以下、「1000時間後の接続抵抗」という。)の平均値を求めた。その結果を表1〜表3に示す。
また、耐熱・耐湿試験として、上記の各温度(160℃、150℃、および140℃)にて実装されたフレキシブルプリント配線板と配線基板の接合体を、温度を80℃、湿度を95%に設定した恒温恒湿槽中に1000時間放置した後、接合体を恒温恒湿槽から取り出し、再び、上記と同様にして、接続抵抗(以下、「1000時間後の接続抵抗」という。)の平均値を求めた。その結果を表1〜表3に示す。
(比較例1)
実施例1の第三級アミンと融点の異なる第三級アミン〔四国化成工業(株)製、商品名キュアゾール2MA−OK、融点:260℃〕を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、異方導電性接着剤を作製し、フレキシブルプリント配線板と配線基板の接合体を得た。その後、上述の実施例1と同一条件により、接続信頼性評価、および耐熱・耐湿評価を行った、以上の結果を表1〜表3に示す。
実施例1の第三級アミンと融点の異なる第三級アミン〔四国化成工業(株)製、商品名キュアゾール2MA−OK、融点:260℃〕を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、異方導電性接着剤を作製し、フレキシブルプリント配線板と配線基板の接合体を得た。その後、上述の実施例1と同一条件により、接続信頼性評価、および耐熱・耐湿評価を行った、以上の結果を表1〜表3に示す。
(比較例2)
第三級アミン〔四国化成工業(株)製、商品名キュアゾール2MZ−CN〕を使用しなかったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、異方導電性接着剤を作製し、フレキシブルプリント配線板と配線基板の接合体を得た。その後、上述の実施例1と同一条件により、接続信頼性評価、および耐熱・耐湿評価を行った、以上の結果を表1〜表3に示す。
第三級アミン〔四国化成工業(株)製、商品名キュアゾール2MZ−CN〕を使用しなかったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、異方導電性接着剤を作製し、フレキシブルプリント配線板と配線基板の接合体を得た。その後、上述の実施例1と同一条件により、接続信頼性評価、および耐熱・耐湿評価を行った、以上の結果を表1〜表3に示す。
(比較例3)
実施例1において使用した、(1)ビスフェノールA型のエポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名JER1256〕、(2)ナフタレン型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名エピクロンHP4032D〕、(3)マイクロカプセル型イミダゾール系硬化剤〔旭化成エポキシ(株)製、商品名ノバキュアHX3932HP〕、および(4)第三級アミン〔四国化成工業(株)製、商品名キュアゾール2MZ−CN、融点:55℃〕の配合割合を、重量比で(1)70/(2)30/(3)60/(4)50に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、異方導電性接着剤を作製し、フレキシブルプリント配線板と配線基板の接合体を得た。しかし、比較例3においては、異方導電性接着剤を作製する際の乾燥処理中に、異方導電性接着剤の硬化が進行してしまったため、上述の実施例1と同一条件により、接続信頼性評価、および耐熱・耐湿評価を行うことができなかった。以上の結果を表1〜表3に示す。
実施例1において使用した、(1)ビスフェノールA型のエポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名JER1256〕、(2)ナフタレン型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名エピクロンHP4032D〕、(3)マイクロカプセル型イミダゾール系硬化剤〔旭化成エポキシ(株)製、商品名ノバキュアHX3932HP〕、および(4)第三級アミン〔四国化成工業(株)製、商品名キュアゾール2MZ−CN、融点:55℃〕の配合割合を、重量比で(1)70/(2)30/(3)60/(4)50に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、異方導電性接着剤を作製し、フレキシブルプリント配線板と配線基板の接合体を得た。しかし、比較例3においては、異方導電性接着剤を作製する際の乾燥処理中に、異方導電性接着剤の硬化が進行してしまったため、上述の実施例1と同一条件により、接続信頼性評価、および耐熱・耐湿評価を行うことができなかった。以上の結果を表1〜表3に示す。
表1〜表3に示すように、実施例1においては、高温(160℃)で実装した場合の初期接触抵抗、および1000時間後の接続抵抗と、低温(150℃、140℃)で実装した場合の初期接触抵抗、および1000時間後の接続抵抗が殆ど変化しておらず、低温で実装を行う際に、高温で実装する際の電極間の接続信頼性を維持した状態で、電極接続用接着剤を硬化させ、電極間を接続できたことが判る。これは、実施例1の電極接続用接着剤においては、融点が、低い実装温度(150℃、140℃)以下(即ち、55℃)の第三級アミンが含有されているため、第三級アミンの触媒作用により、低温(150℃、140℃)で実装する際の、硬化剤とエポキシ樹脂の反応速度が向上したためであると考えられる。
一方、比較例1においては、表1〜表3に示すように、高温(160℃)で実装した場合の初期接触抵抗、および1000時間後の接続抵抗に比し、低温(150℃、140℃)で実装した場合の初期接触抵抗、および1000時間後の接続抵抗が大幅に上昇しており、低温で実装を行う際に、高温で実装する際の電極間の接続信頼性を維持することができなかったことが判る。これは、比較例1の電極接続用接着剤においては、第三級アミンが含有されているものの、この第三級アミンの融点が、低い実装温度(150℃、140℃)よりも高い(即ち、260℃)ため、低温で実装する際の実装温度(150℃、140℃)において、触媒として作用する第三級アミンが液状とならず、エポキシ樹脂と硬化剤を反応させる際に、エポキシ樹脂と硬化剤の接触確率が低下し、反応効率が大幅に低下したためであると考えられる。
また、比較例2においては、表1〜表3に示すように、高温(160℃)で実装した場合の初期接触抵抗、および1000時間後の接続抵抗に比し、低温(150℃、140℃)で実装した場合の初期接触抵抗、および1000時間後の接続抵抗が上昇(特に、1000時間後の接続抵抗が大幅に上昇)しており、比較例1の場合と同様に、低温で実装を行う際に、高温で実装する際の電極間の接続信頼性を維持することができなかったことが判る。これは、比較例2の電極接続用接着剤においては、融点が、低い実装温度(150℃、140℃)以下の第三級アミンが含有されていないためであると考えられる。
なお、比較例3においては、上述のごとく、乾燥処理中に異方導電性接着剤の硬化が進行してしまったため、上述の実施例1と同一条件により、接続信頼性評価、および耐熱・耐湿評価を行うことができなかった。これは、比較例3の電極接続用接着剤においては、融点が、低い実装温度(150℃、140℃)以下の第三級アミンが含有されているものの、マイクロカプセル型潜在性硬化剤の全体に対する第三級アミンの配合量が83重量%であるため、異方導電性接着剤を作製する際に、第三級アミンもエポキシ樹脂の硬化剤として作用し、エポキシ樹脂と第三級アミンとの反応が進行してしまったためであると考えられる。
本発明の活用例としては、電極、回路等を設けた配線板や電子部品等を接着し、かつ電気的に接続するための電極接続用接着剤が挙げられる。
1…配線基板、2…電極接続用接着剤、3…フレキシブルプリント配線板、4…配線電極(金メッキが施された銅電極)、5…金属電極(金メッキが施された銅電極)、6…導電性粒子、L…導電性粒子の長径、R…導電性粒子の短径、X…フィルム形状を有する電極接続用接着剤の厚み方向、Y…フィルム形状を有する電極接続用接着剤の面方向
Claims (8)
- エポキシ樹脂を主成分とし、導電性粒子、およびマイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する電極接続用接着剤において、
融点が150℃以下の第三級アミンが含有されていることを特徴とする電極接続用接着剤。 - 前記第三級アミンの融点が60℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の電極接続用接着剤。
- 前記マイクロカプセル型潜在性硬化剤の全体に対する前記第三級アミンの配合量が、3重量%以上50重量%未満であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極接続用接着剤。
- 前記第三級アミンがイミダゾール化合物であること特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電極接続用接着剤。
- 前記導電性粒子が、微細な金属粒子が多数、直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する金属粉末であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電極接続用接着剤。
- 前記導電性粒子が、強磁性を有する金属単体、強磁性を有する2種類以上の合金、強磁性を有する金属と他の金属との合金、および強磁性を有する金属を含む複合体のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電極接続用接着剤。
- フィルム形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電極接続用接着剤。
- 前記導電性粒子の長径方向を、前記フィルム形状を有する接着剤の厚み方向に配向させたことを特徴とする請求項7に記載の電極接続用接着剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007202217A JP2009037928A (ja) | 2007-08-02 | 2007-08-02 | 電極接続用接着剤 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010125965A1 (ja) * | 2009-04-28 | 2010-11-04 | 日立化成工業株式会社 | 回路接続材料、これを用いたフィルム状回路接続材料、回路部材の接続構造及び回路部材の接続方法 |
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JP2012017375A (ja) * | 2010-07-07 | 2012-01-26 | Sumitomo Electric Ind Ltd | フィルム状導電性接着剤 |
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-
2007
- 2007-08-02 JP JP2007202217A patent/JP2009037928A/ja active Pending
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CN102396113A (zh) * | 2009-04-28 | 2012-03-28 | 日立化成工业株式会社 | 电路连接材料、使用该材料的膜状电路连接材料、电路部件的连接结构以及电路部件的连接方法 |
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