JP2011231678A - 作業機械の油圧駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能の再生に伴う作動油の温度上昇を抑えることができる作業機械の油圧駆動装置の提供。
【解決手段】エンジン10の排気口に連設された排気ガス浄化装置17と、この排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期を検出する開始時期検出器21と、この開始時期検出器21で排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期に至ったことが検出されたときに、主油圧ポンプ11に強制的に油圧負荷を与えて、エンジン10の出力を高める制御装置20とを備え、この制御装置20は、開始時期検出器21で排気ガス浄化装置17における開始時期が検出されたときに、ファンモータ25に供給される流量を増量させるように、ファンモータ25と専用油圧ポンプ12との間に配置された流量制御弁27の作動に関連する制御処理を行う増量処理部を含む構成となっている。
【選択図】図2
【解決手段】エンジン10の排気口に連設された排気ガス浄化装置17と、この排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期を検出する開始時期検出器21と、この開始時期検出器21で排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期に至ったことが検出されたときに、主油圧ポンプ11に強制的に油圧負荷を与えて、エンジン10の出力を高める制御装置20とを備え、この制御装置20は、開始時期検出器21で排気ガス浄化装置17における開始時期が検出されたときに、ファンモータ25に供給される流量を増量させるように、ファンモータ25と専用油圧ポンプ12との間に配置された流量制御弁27の作動に関連する制御処理を行う増量処理部を含む構成となっている。
【選択図】図2
Description
本発明は、ホイールローダ等の作業機械に備えられ、エンジンの排気口に連設される排気ガス浄化装置を有する作業機械の油圧駆動装置に関する。
この種の従来技術として、特許文献1に示されるものがある。この特許文献1に示される油圧作業機械の油圧駆動装置は、エンジンと、このエンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプすなわち主油圧ポンプと、この主油圧ポンプから吐出される圧油により作動する油圧アクチュエータとを備えている。また、エンジンの排気口に連設された排気ガス浄化装置と、この排気ガス浄化装置における排気ガスの低下した浄化機能を再生させる開始時期を検出する開始時期検出器、すなわちエンジンの排気ガスの排気抵抗が所定値を超えたか否かを検出する圧力検出器とを備えている。さらに、圧力検出器から成る開始時期検出器によって排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期に至ったことが検出されたときに、主油圧ポンプに強制的に油圧負荷を与えて、エンジンの出力を高める制御処理を行う制御装置を備えている。このような構成を有する従来技術は、上述のようにエンジン出力を高めることによって、排気ガス浄化装置の内部に溜まったPM等を燃焼させ、これにより排気ガス浄化装置の低下した浄化機能を再生させて当初の状態に回復させるようにしている。
ところで上述した特許文献1に示されるような排気ガス浄化装置を備えた作業機械が、ホイールローダ等である場合には、その油圧駆動装置内に通常、エンジンによって駆動される専用油圧ポンプと、作動油を冷却する作動油クーラを含む熱交換器と、この熱交換器を冷却する風を生起させるファンと、専用油圧ポンプから吐出される圧油により作動し、ファンを駆動するファンモータと、専用油圧ポンプからファンモータに供給される圧油の流量を制御する流量制御手段とが備えられている。
また通常、排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能の再生は、エンジンの回転数が低回転数のときに実施されている。しかし、このようにエンジンの回転数が低回転数であると、上述した専用油圧ポンプからファンモータに供給される流量が比較的少なくなり、これに応じてファンモータによって駆動されるファンの回転数が低下して、このファンによって生起される風量が少なくなりやすい。
すなわち、特許文献1に示される従来技術において、専用油圧ポンプ、作動油クーラを含む熱交換器、ファンモータ、ファン、流量制御手段等を備えること考慮した構成にあっては、排気ガスの浄化機能の再生が行われるときには、主油圧ポンプに強制的に油圧負荷を与えることに伴う作動油の温度上昇と、ファンの風量が少なくなることに伴う作動油に対する冷却機能の低下とが相俟って、当該油圧駆動装置を流れる作動油の温度が上昇しやすく、オーバーヒートを起こす虞がある。このように作動油の温度が極度に高くなると、当該油圧駆動装置に備えられるシール部材が硬化し、これに伴ってシール部材部分から油漏れを生じる懸念がある。
なお昨今、ホイールローダ等の作業機械にあっては、大型の機種と、この大型の機種に比べて型式の小さな例えば中型の機種との双方の製作に際し、組立工数や製作コスト等を考慮して可能な範囲で機器、部品を同一仕様とすることが考えられている。例えば、大型の機種に設けられる大出力のエンジンと同等のエンジンを、中型の機種に設けることが考えられている。この場合、図4に示すように、大型の機種にあっては、エンジン最大出力Aで作業が行われ、中型の機種にあっては、エンジン最大出力Aよりも小さいトルクである使用エンジントルクBで作業が行われるようにエンジントルクが制御されることになる。そして、排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化時の排気温度である浄化安定排気温度Cは、大型の機種に応じた温度となっている。このような状況にあっては、大型の機種では構造上十分なヒートバランスが確保されるように回路構造が設計されているので問題はないが、中型の機種では自身のヒートバランス上、浄化安定排気温度Cがかなり高くなる。このような使用エンジントルクBと浄化安定排気温度Cの関係となることから、大型の機種におけるのと同一仕様のエンジンを中型の機種に設けた場合に、中型の機種にあっては回路構造上、上述した排気ガス浄化装置の浄化機能の再生に際して、作動油の温度がより上昇する傾向となる。したがって、上述した問題点は、このように大型の機種におけるのと同一仕様のエンジンを中型の機種に設けた場合にあっては、特に起こり得る問題点である。
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能の再生に伴う作動油の温度上昇を抑えることができる作業機械の油圧駆動装置を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンにより駆動される主油圧ポンプ及び専用油圧ポンプと、上記主油圧ポンプから吐出される圧油により作動する油圧アクチュエータと、上記エンジンの排気口に連設された排気ガス浄化装置と、この排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期を検出する開始時期検出器と、この開始時期検出器で排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期に至ったことが検出されたときに、上記主油圧ポンプに強制的に油圧負荷を与えて、上記エンジンの出力を高める制御処理を行う制御装置と、作動油を冷却する作動油クーラを含む熱交換器と、この熱交換器を冷却する風を生起させるファンと、上記専用油圧ポンプから吐出される圧油により作動し、上記ファンを駆動するファンモータと、上記専用油圧ポンプから上記ファンモータに供給される圧油の流量を制御する流量制御手段とを備えた作業機械の油圧駆動装置において、上記制御装置は、上記開始時期検出器で上記排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期が検出されたときに、上記ファンモータに供給される圧油の流量をそれまでよりも増量させるように上記流量制御手段の作動に関係する制御処理を行う増量処理部を含むことを特徴としている。
このように構成した本発明は、開始時期検出器によって排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能の再生開始時期が検出されると、制御装置によって主油圧ポンプに強制的に油圧負荷を与えて、エンジンの出力を高める制御処理がなされる。これにより、排ガスの排気温度が高くなって排気ガス浄化装置の内部に溜まったPM等が燃焼し、当初の浄化機能が得られる状態に回復する。また、上述のように開始時期検出器によって排気ガスの浄化機能の再生開始時期が検出されると、制御装置の増量処理部の制御処理により、ファンモータへの流量を制御する流量制御手段は、ファンモータに供給される圧油の流量をそれまでよりも増量させるように作動する。これにより、ファンモータ及びファンの回転数は、それまでに比べて高い回転数となり、ファンによって生起される風量が増加する。したがって、作動油クーラに対する冷却能力が高められ、作動油の温度上昇を抑えることができる。すなわち、本発明は、排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能の再生に伴う作動油の温度上昇を抑えることができる。これによって、高温の作動油による当該油圧駆動装置に備えられるシール部材の硬化を防ぐことができる。
また、本発明は、上記発明において、作動油の温度を検出する油温検出器を備え、上記制御装置は、上記油温検出器で検出された作動油の温度が所定温度以下のときに、上記増量処理部における制御処理を無効にする無効処理部を含むことを特徴としている。
このように構成した本発明は、排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能の再生時に、油温検出器によって検出される作動油の温度が所定温度以下であるときには、制御装置の無効処理部における制御処理によって、増量処理部における制御処理が無効とされ、ファンモータに供給される圧油の流量はそれまでと同程度の流量に保持される。したがって、ファンモータ及びファンに対する駆動時の負荷の増加を防ぐことができる。
また、本発明は、上記発明において、上記エンジンの回転数を検出する回転数検出器を備え、上記制御装置は、上記回転数検出器で検出される上記エンジンの回転数が所定回転数以上のときに、上記増量処理部における制御処理を無効にする無効処理部を含むことを特徴としている。
このように構成した本発明は、排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能の再生時に、回転数検出器によって検出されるエンジンの回転数が所定回転数以上であるときには、制御装置の無効処理部における制御処理によって増量処理部における制御処理が無効とされる。このとき、エンジン回転数が低回転数でなく所定回転数以上であることにより、専用油圧ポンプから吐出される流量は比較的多くなってファンモータに供給される圧油の流量が多くなり、ファンモータ及びファンの回転数は高くなって冷却能力が高められる一方、このような状態において生じる不具合であるファンモータ及びファンが回転し過ぎる状態の発生、すなわち過回転の発生を防ぐことができる。
また、本発明は、上記発明において、上記専用油圧ポンプは、固定容量型油圧ポンプから成り、上記流量制御手段は、上記専用油圧ポンプと上記ファンモータとを連絡する管路に介設され、上記制御装置から出力される制御信号に応じて作動する流量制御弁から成ることを特徴としている。
また、本発明は、上記発明において、上記専用油圧ポンプは、可変容量型油圧ポンプから成り、上記流量制御手段は、上記制御装置から出力される制御信号に応じて作動し、上記可変容量型油圧ポンプから成る上記専用油圧ポンプの押しのけ容積を制御するレギュレータから成ることを特徴としている。
本発明は、開始時期検出器によって排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期に至ったことが検出されたときに、主油圧ポンプに強制的に油圧負荷を与えてエンジンの出力を高める制御処理を行う制御装置が、開始時期検出器で上述した開始時期が検出されたときに、ファンモータに供給される圧油の流量をそれまでよりも増量させるように、専用油圧ポンプからファンモータに供給される圧油の流量を制御する流量制御手段の作動に関係する制御処理を行う増量処理部を含む構成にしてある。したがって、排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能の再生時に、ファンモータ及びファンの回転数をそれまでに比べて高い回転数とすることができ、ファンによって生起される風量を増加させ、作動油クーラに対する冷却能力を高めることができる。これによって、排気ガスの浄化機能の再生に伴う作動油の温度上昇を抑えることができ、当該油圧駆動装置に備えられるシール部材の硬化を防ぐことができる。したがって、従来懸念されていた作動油の温度上昇に伴うシール部材の硬化による油漏れを防止でき、信頼性の高い油圧駆動装置を得ることができる。
以下、本発明に係る作業機械の油圧駆動装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る油圧駆動装置が備えられる作業機械の一例として挙げたホイールローダを示す側面図である。
本実施形態に係る油圧駆動装置が備えられる作業機械は、例えば図示しない大型の機種から成るホイールローダよりも小さな機種から成るホイールローダである。このホイールローダは、図1に示すように、一対の前輪1と、一対の後輪2と、これらの前輪1及び後輪2が取り付けられる車体3と、この車体3上に配置される運転室4とを備えている。また、車体3上の運転室4の後側に配置され、後述のエンジン10、主油圧ポンプ11、及び専用油圧ポンプ12等が収納される機械室5と、車体3の前側位置に上下方向の回動可能に取り付けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置6とを備えている。
図2は、図1に示すホイールローダに備えられる本発明に係る油圧駆動装置の第1実施形態の構成を示す油圧回路図である。
この図2に示す第1実施形態に係る油圧駆動装置は、機械室5に配置されるエンジン10と、このエンジン10によって駆動される主油圧ポンプ11、専用油圧ポンプ12、及びパイロットポンプ13と、このパイロットポンプ13のリリーフ圧力を設定するパイロットリリーフ弁13aとを備えている。上述したエンジン10は、例えば図示しない大型の機種に備えられる大出力のエンジンと同一仕様のエンジンから成っている。したがって上述したように、大型の機種から成るホイールローダが図4に示すエンジン最大トルクAで作業が行われるとすれば、図1に示すホイールローダは、図4に示す使用エンジントルクBで作業が行われるように、エンジントルクが制御されるようになっている。また、上述した専用油圧ポンプ12は、固定容量型の油圧ポンプから成っている。
また、主油圧ポンプ11から吐出される圧油により作動し、例えば作業装置6に含まれる油圧シリンダ等の油圧アクチュエータ14と、主油圧ポンプ11から油圧アクチュエータ14に供給される圧油の流れを制御する方向制御弁15とを備えている。
また、エンジン10の排気口に連設された排気ガス浄化装置17と、この排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期を検出する開始時期検出器21とを備えている。この開始時期検出器21は、例えば排気ガス浄化装置17の内部にPM等が溜まったことによるエンジン10の排気ガスの排気抵抗が、再生の開始時期に相応する所定値以上になったかどうかを検出する差圧センサから成っている。
また、方向制御弁15とタンク16とを連絡する管路30に配置され、閉位置である切換位置18aと開位置である切換位置18bを有する負荷制御弁18と、パイロットポンプ13と負荷制御弁18の制御部とを連絡する管路31に配置され、開位置である切換位置19aと閉位置である切換位置19bを有する制御用電磁弁19とを備えている。また、開始時期検出器21で排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期に至ったことが検出されたときに、制御用電磁弁19を制御して主油圧ポンプ11に強制的に油圧負荷を与えて、エンジン10の出力を高める制御処理を行う制御装置20を備えている。
また、それぞれ機械室5に収納され、熱交換器である作動油クーラ22、ラジエータ23、及びインタクーラ24と、これらの熱交換器を冷却する風を生起させるファン26と、専用油圧ポンプ12から吐出される圧油により作動し、ファン26を駆動するファンモータ25と、専用油圧ポンプ12からファンモータ25に供給される圧油の流量を制御する流量制御手段、例えば専用油圧モータ12とファンモータ25とを連絡する管路32に配置される流量制御弁27と、パイロットポンプ13と流量制御弁27の制御部とを連絡する管路33に配置され、開位置である切換位置28aと閉位置である切換位置28bとを有し、制御装置20によって制御される制御用電磁弁28とを備えている。
上述した流量制御弁27は、中立位置を形成する切換位置27aに保持されたときには、最大開口面積で管路32を連通させるとともに、専用油圧モータ12とタンク16との間を遮断する。また、この流量制御弁27は、ばねの力に抗してスプールを最大ストロークまで作動させたときの切換位置27bに保持されたときには、専用油圧ポンプ12とタンク16とを連通させるとともに、管路32を遮断する。この流量制御弁27は、後述する排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能の再生操作が行われない状態にあるときには、切換位置27aと切換位置27bとの中間の位置に保たれ、最大開口面積よりも小さな所定の開口面積に保持されるようになっている。すなわち、このときの流量制御弁27は、最大開口面積を保持してはいないものの、ファンモータ25及びファン26を予め設定される所定の回転数で回転させて風を生起させ、作動油の冷却が可能となる所定の開口面積に保持されるようになっている。
この第1実施形態に係る油圧駆動装置は、上述した制御装置20が、開始時期検出器21で排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期が検出されたときに、ファンモータ25に供給される圧油の流量をそれまでよりも増量させるように流量制御弁27の作動に関連する制御処理を行う増量処理部を含んでいる。
また、例えば作動油クーラ22に、回路を流れる作動油の温度を検出し、検出信号を制御装置20に出力する油温検出器29を設けてあり、制御装置20は、上述した増量処理部に加えて、油温検出器29で検出された作動油の温度が所定温度以下のときに増量処理部における制御処理を無効にする無効処理部を含んでいる。
このように構成した第1実施形態は、作業装置6による作業が行われるときには、制御装置20の制御により制御用電磁弁19が切換位置19aに切り換えられ、パイロットポンプ13のパイロット圧が、管路31、制御用電磁弁19を介して負荷制御弁18の制御部に与えられ、この負荷制御弁18が方向制御弁15とタンク16とを連通させる切換位置18bに切り換えられる。この状態において、エンジン10によって主油圧ポンプ11が駆動すると、主油圧ポンプ11から吐出された圧油が方向制御弁15の切換操作を介して油圧アクチュエータ14に供給され、油圧アクチュエータ14が作動して作業装置6が上下方向に回動し、所望の作業が実施される。
また、エンジン10の排気ガス中のPM等が排気ガス浄化装置17において燃焼され、これによって排気ガスが浄化される。この場合、開始時期検出器21で排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期が検出されず、再生操作が行われていないときには、制御装置20の制御により制御用電磁弁28は、パイロットポンプ13から吐出されるパイロット圧をリリーフ弁13aで設定される最大圧力よりも低い所定圧に減圧するように切り換えられ、この減圧されたパイロット圧が流量制御弁27の制御部に与えられる。
これにより、流量制御弁27は、切換位置27aと切換位置27bの中間の位置である所定の開口面積、すなわち最大開口面積よりも小さな所定の開口面積を保持する位置に保たれる。したがって、専用油圧ポンプ12から吐出される圧油のうちの一部の圧油が管路32を介してファンモータ25に供給され、残りの圧油がタンク16に戻される。これにより、ファンモータ25は予め設定される所定の回転数で回転し、このファンモータ25によってファン26が回転する。このようにして回転するファン26によって生起された風により、作動油クーラ22、ラジエータ23、及びインタクーラ24が冷却される。すなわち、作動油クーラ22を流れる作動油が冷却される。
このような状態にあって、開始時期検出器21で排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期が検出されたとき、制御装置20は、再生操作を実施する制御処理を行う。すなわち、制御装置20によって制御用電磁弁19は閉位置である切換位置19bに保持される。これにより、管路31が遮断され、パイロットポンプ13から負荷制御弁18の制御部にパイロット圧が与えられなくなり、負荷制御弁18はばねの力により閉位置である切換位置18aに切り換えられる。したがって、方向制御弁15とタンク16とを連絡する管路30が遮断され、方向制御弁15と油圧アクチュエータ14を含む油圧回路の回路圧が上昇する。すなわち、主油圧ポンプ11に強制的に油圧負荷が与えられ、エンジン10の出力が高められる。これによりエンジン10の排気ガスの温度が上昇し、排気ガス浄化装置17に溜まったPM等が燃焼し、排気ガス浄化装置17の低下した浄化機能が再生され、当初の状態に回復する。
このような再生操作が実施される間、制御装置20において、油温検出器29で検出される作動油の温度が所定温度以下かどうかの判定が行われる。この判定で、作動油の温度が所定温度以下と判定されたときには、この制御装置20に含まれる無効処理部によって増量処理部における制御処理が無効とされる。これにより、制御装置20による制御用電磁弁28の制御は、それまでと変わることなく保たれる。すなわち、流量制御弁27は、それまでと同様に、切換位置27aと切換位置27bの中間である所定の開口面積を保持する位置に維持され、ファンモータ25及びファン26は上述と同等の回転数で回転する。なお、このように作動油の温度が比較的低い状況にあっては、ファンモータ25及びファン26の回転数を特別に高くしなくても作動油に対する所望の冷却能力を確保することができる。
また、制御装置20における上述した作動油の温度が所定温度以下かどうかの判定で、所定温度以下でなく、所定温度よりも高い温度となっていると判定されたときには、この制御装置20の増量処理部における制御処理が実施される。すなわち、制御装置20の制御により管路33が遮断され、制御用電磁弁28は閉位置である切換位置28bとなるように制御される。これにより、パイロットポンプ13のパイロット圧が流量制御弁27の制御部に供給されなくなり、流量制御弁27はばねの力により最大開口面積となるように切換位置27aに切り換えられる。したがって、専用油圧ポンプ12から流量制御弁27、管路32を介してファンモータ25に供給される流量が増加する。これにより、ファンモータ25及びファン26がそれまでに比べて高い回転数で回転し、ファン26によって生起される風量が増加する。したがって、作動油クーラ22等に対する冷却能力が高められ、作動油の温度上昇が抑えられる。
このように構成した第1実施形態によれば、大型の機種よりも小さな機種であって、図示しない大型の機種と同一仕様のエンジン10を備え、排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能の再生時に作動油の温度が上昇しやすい図示1に示すホイールローダであっても、上述したようにファンモータ25及びフアン26の回転数をそれまでよりも高くなるように変化させてファン26の風量を増加させ、作動油の温度上昇を抑えることができる。すなわち、排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能の再生に伴う作動油の温度上昇を抑えることができる。これに伴って、高温の作動油による当該油圧駆動装置に備えられるシール部材の硬化を防ぐことができる。したがって、作動油の温度上昇に伴うシール部材の硬化による油漏れを防止でき、信頼性の高い油圧駆動装置を得ることができる。
また、油温検出器29によって検出される作動油の温度が所定温度以下であるときには、上述したように制御装置20の無効処理部における制御処理によって、増量処理部における制御処理が無効とされ、ファンモータ25に供給される圧油の流量はそれまでと同程度の流量に保持される。このとき、比較的温度が低い作動油に対する所望の冷却能力は維持できる。したがって、ファンモータ25及びファン26に対する駆動時の負荷の増加を抑えることができ、これらのファンモータ25及びファン26の耐久性を向上させることができる。
図3は、図1に示すホイールローダに備えられる本発明に係る油圧駆動装置の第2実施形態の構成を示す油圧回路図である。
この図3に示す第2実施形態に係る油圧駆動装置も、例えば図1に示すホイールローダと同等のホイールローダに備えられるものである。この第2実施形態は、第1実施形態で備えられていた流量制御弁27を備えておらず、専用油圧ポンプ40が可変容量型油圧ポンプから成り、この専用油圧ポンプ40の押しのけ容積を制御するレギュレータ41を備えている。レギュレータ41は管路42を介して制御用電磁弁28に連絡させてあり、制御用電磁弁28で減圧されたパイロットポンプ13のパイロット圧が与えられるようになっている。すなわち、この第2実施形態にあっては、専用油圧ポンプ40からファンモータ25に供給される圧油の流量を制御する流量制御手段が、専用油圧ポンプ40の押しのけ容積を制御するレギュレータ41によって構成されている。このレギュレータ41は、排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能の再生操作が行われないときには、可変容量型油圧ポンプから成る専用油圧ポンプ40の押しのけ容積を、最大押しのけ容積と最小押しのけ容積の中間の所定の押しのけ容積とするように保たれている。
また、この第2実施形態は、第1実施形態に備えられていた油温検出器29は備えていないが、エンジン10の回転数を検出し、検出信号を制御装置20に出力する回転数検出器43を備えている。制御装置20は、回転数検出器43で検出されるエンジン10の回転数が所定回転数以上のときに、この制御装置20に含まれる増量処理部における制御処理を無効にする無効処理部を含んでいる。すなわち、この制御装置20は、第1実施形態におけるのと同等の増量処理部を含むとともに、第1実施形態における油温検出器29に関係する無効処理部に代えて、回転数検出器43に関係する無効処理部を含んでいる。この第2実施形態におけるその他の構成は、第1実施形態と同等である。
このように構成した第2実施形態において、主油圧ポンプ11から吐出される圧油によって作業を行う操作、排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化操作、及び浄化機能を再生する操作については、第1実施形態と同等である。
この第2実施形態は、開始時期検出器21で排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期が検出されず、再生操作が行われないときには、制御装置20の制御により制御用電磁弁28は、パイロットポンプ13から吐出されるパイロット圧をリリーフ弁13aで設定される最大圧よりも小さな所定圧に減圧するように切り換えられ、この減圧されたパイロット圧がレギュレータ41に与えられる。これにより、レギュレータ11は、可変容量型油圧ポンプである専用油圧ポンプ40の押しのけ容積を、最大押しのけ容積と最小押しのけ容積の中間の所定の押しのけ容積とするように保持される。したがって、専用油圧ポンプ40から吐出される圧油は、上述した所定の押しのけ容積に相応する流量となり、その流量が管路32を介してファンモータ25に供給される。これによりファンモータ25は所定の回転数で回転し、このファンモータ25によってファン26が回転する。このようにして回転するファン26によって生起された風により、作動油クーラ22等が冷却される。すなわち、高温になりがちな作動油が冷却される。
このような構成にあって、開始時期検出器21で排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能を再生する開始時期が検出されたときには、制御装置20における制御処理によって上述したように再生操作が行われる。
このような再生操作が実施される間、制御装置20において、回転数検出器43で検出されるエンジン10の回転数が所定回転数以上かどうかの判定が行われる。この判定で所定回転数以上と判定されたときには、この制御装置20に含まれる無効処理部によって増量処理部における制御処理は無効とされる。これにより、制御装置20による制御用電磁弁28の制御は、それまでと変わることなく保たれる。このとき、エンジン10の回転数が低回転数でなく所定回転数以上であることにより、専用油圧ポンプ40から吐出される流量は比較的多くなってファンモータ25に供給される圧油の流量は多くなり、ファンモータ25及びファン26の回転数は高くなって作動油に対する冷却能力は高められる。
また、制御装置20における上述した所定回転数以上かどうかの判定で、所定回転数以上でなく、所定回転数よりも低い回転数であると判定されたときには、この制御装置20の増量処理部における制御処理が実施される。すなわち、制御装置20の制御により、制御用電磁弁28は閉位置である切換位置28bとなるように制御される。これにより、パイロットポンプ13のパイロット圧がレギュレータ41に供給されなくなり、レギュレータ41は可変容量型油圧ポンプである専用油圧ポンプ40の押しのけ容積が最大押しのけ容積となるように作動する。したがって、専用油圧ポンプ40から吐出される圧油の流量は増加し、その増加した流量が管路32を介してファンモータ25に供給される。これによりファンモータ25及びファン26がそれまでに比べて高い回転数で回転し、ファン26によって生起される風量が増加する。したがって、作動油クーラ22等に対する冷却能力が高められ、作動油の温度上昇が抑えられる。
このように構成される第2実施形態にあっても、第1実施形態におけるのと同様に、排気ガス浄化装置17における排気ガスの浄化機能の再生に伴う作動油の温度上昇を抑えることができ、第1実施形態と同等の作用効果が得られる。
また、この第2実施形態にあっては、上述したように、エンジン10の回転数が所定回転数以上であるときには、ファンモータ25に供給される圧油の流量が多くなりがちで、ファンモータ25及びファン26の回転数は高くなって冷却能力が高められる一方、このような状態において生じる不具合であるファンモータ25及びファン26が回転し過ぎる状態の発生、すなわち過回転の発生を防ぐことができる。これにより、ファンモータ25及びファン26の過回転による損傷を防ぎ、これらのファンモータ25及びファン26の耐久性を向上させることができる。
なお、上記第1実施形態において、油温検出器29を備えず、制御装置20がこの油温検出器29に関連して設けられる無効処理部を含まない構成とすることもできる。
また、上記第1実施形態の構成に加えて、第2実施形態における回転数検出器43と、制御装置20に含まれ、回転数検出器43に関連して設けられる無効処理部とを備えた構成にしてもよい。
また、上記第2実施形態の構成に加えて、第1実施形態における油温検出器29と、制御装置20に含まれ、油温検出器29に関連して設けられる無効処理部とを備えた構成にしてもよい。
6 作業装置
10 エンジン
11 主油圧ポンプ
12 専用油圧ポンプ
13 パイロットポンプ
14 油圧アクチュエータ
17 排気ガス浄化装置
18 負荷制御弁
19 制御用電磁弁
20 制御装置(増量処理部)(無効処理部)
21 開始時期検出器
22 作動油クーラ(熱交換器)
25 ファンモータ
26 ファン
27 流量制御弁(流量制御手段)
28 制御用電磁弁
29 油温検出器
40 専用油圧ポンプ
41 レギュレータ(流量制御手段)
43 回転数検出器
10 エンジン
11 主油圧ポンプ
12 専用油圧ポンプ
13 パイロットポンプ
14 油圧アクチュエータ
17 排気ガス浄化装置
18 負荷制御弁
19 制御用電磁弁
20 制御装置(増量処理部)(無効処理部)
21 開始時期検出器
22 作動油クーラ(熱交換器)
25 ファンモータ
26 ファン
27 流量制御弁(流量制御手段)
28 制御用電磁弁
29 油温検出器
40 専用油圧ポンプ
41 レギュレータ(流量制御手段)
43 回転数検出器
Claims (5)
- エンジンと、このエンジンにより駆動される主油圧ポンプ及び専用油圧ポンプと、上記主油圧ポンプから吐出される圧油により作動する油圧アクチュエータと、
上記エンジンの排気口に連設された排気ガス浄化装置と、この排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期を検出する開始時期検出器と、この開始時期検出器で排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期に至ったことが検出されたときに、上記主油圧ポンプに強制的に油圧負荷を与えて、上記エンジンの出力を高める制御処理を行う制御装置と、
作動油を冷却する作動油クーラを含む熱交換器と、この熱交換器を冷却する風を生起させるファンと、上記専用油圧ポンプから吐出される圧油により作動し、上記ファンを駆動するファンモータと、上記専用油圧ポンプから上記ファンモータに供給される圧油の流量を制御する流量制御手段とを備えた作業機械の油圧駆動装置において、
上記制御装置は、上記開始時期検出器で上記排気ガス浄化装置における排気ガスの浄化機能を再生させる開始時期が検出されたときに、上記ファンモータに供給される圧油の流量をそれまでよりも増量させるように上記流量制御手段の作動に関係する制御処理を行う増量処理部を含むことを特徴とする作業機械の油圧駆動装置。 - 請求項1に記載の作業機械の油圧駆動装置において、
作動油の温度を検出する油温検出器を備え、
上記制御装置は、上記油温検出器で検出された作動油の温度が所定温度以下のときに、上記増量処理部における制御処理を無効にする無効処理部を含むことを特徴とする作業機械の油圧駆動装置。 - 請求項1に記載の作業機械の油圧駆動装置において、
上記エンジンの回転数を検出する回転数検出器を備え、
上記制御装置は、上記回転数検出器で検出される上記エンジンの回転数が所定回転数以上のときに、上記増量処理部における制御処理を無効にする無効処理部を含むことを特徴とする作業機械の油圧駆動装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機械の油圧駆動装置において、
上記専用油圧ポンプは、固定容量型油圧ポンプから成り、
上記流量制御手段は、上記専用油圧ポンプと上記ファンモータとを連絡する管路に介設され、上記制御装置から出力される制御信号に応じて作動する流量制御弁から成ることを特徴とする作業機械の油圧駆動装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機械の油圧駆動装置において、
上記専用油圧ポンプは、可変容量型油圧ポンプから成り、
上記流量制御手段は、上記制御装置から出力される制御信号に応じて作動し、上記可変容量型油圧ポンプから成る上記専用油圧ポンプの押しのけ容積を制御するレギュレータから成ることを特徴とする作業機械の油圧駆動装置。
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JP2010102299A JP2011231678A (ja) | 2010-04-27 | 2010-04-27 | 作業機械の油圧駆動装置 |
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- 2010-04-27 JP JP2010102299A patent/JP2011231678A/ja active Pending
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