JP2011228505A - 半導体集積回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体集積回路に含まれる静電気保護装置の面積を大きくすることなく、その破壊耐量及び維持電圧を大きくする。
【解決手段】第1導電型である半導体基板1と、半導体基板の上又は上部に形成された第2導電型である第1拡散層3と、第1拡散層の上部に形成され、第1導電型である第2拡散層5と、第2拡散層の上部に形成され、第2導電型である第3拡散層6と、第1拡散層の上部で且つ第2拡散層から間隔をおいて形成された第2導電型である第4拡散層8と、少なくとも第3拡散層の下に、第2拡散層と間隔をおき且つ下端部が第1拡散層の下端部よりも下に位置するように形成された第1導電型の第5拡散層2とを備えている。第3拡散層から第5拡散層までの最短距離と、第5拡散層から第4拡散層までの最短距離及び第1拡散層の下端部から第4拡散層までの最短距離のいずれか短い方の距離との和は、第3拡散層から第4拡散層までの最短距離よりも小さい。
【選択図】図3

Description

本発明は半導体集積回路に関し、特に、静電気保護装置を含む半導体集積回路に関する。
近年、半導体集積回路のプロセスの微細化及び高集積化に伴い、人体及び機械等に帯電する静電気から半導体集積回路を保護する静電気保護装置にも微細化が求められるようになってきている。静電気から半導体集積回路を保護するために、静電気保護装置は半導体集積回路の入出力端子及び電源端子と接続される。静電気保護装置には、バイポーラ型又はMOS型のトランジスタ構造等が用いられている(例えば、特許文献1等を参照。)。
従来のNPNバイポーラトランジスタ構造を用いた静電気保護装置について図21及び図22を参照しながら説明する。
図21に示すように、N型低濃度半導体基板103の上部に、NPNトランジスタのベースとなるP型拡散層105が形成され、形成されたP型拡散層105の上部には、NPNトランジスタのエミッタとなるN型高濃度拡散層106が形成されている。P型拡散層105の上部におけるN型高濃度拡散層106と間隔をおいた領域には、ベースコンタクトとなるP型高濃度拡散層107が形成されている。N型低濃度半導体基板103の上部におけるP型拡散層105から側方に所定の間隔をおいた領域には、N型高濃度拡散層106と同程度の深さを持つコレクタコンタクトとなるN型高濃度拡散層108が形成されている。N型低濃度半導体基板103の上部におけるP型拡散層105とN型高濃度拡散層108との間には選択的シリコン酸化(local oxidation of silicon:LOCOS)膜121が形成されている。N型高濃度拡散層106の上には、エミッタ電極131がオーミック接続され、P型高濃度拡散層107の上には、ベース電極132がオーミック接続され、N型高濃度拡散層108の上には、コレクタ電極133がオーミック接続されている。ベース電極132とエミッタ電極131とはアルミニウム配線等によりショートされ、グランド(GND)等の最低電位に接続されている。コレクタ電極133は半導体集積回路の基板の上に形成されている入出力パッド(PAD)130及び内部回路140にアルミニウム配線等により接続されている。
図22に示すように、前記の構成のNPNトランジスタのコレクタ電極133に入出力PAD130から静電気等によるプラスサージ電荷が印加されると、コレクタとベースとの間にアバランシェブレークダウンによる電流が流れる(コレクタベース間耐圧:BVCBO)。その後、NPNトランジスタが動作する電圧までベース電位は上昇して、NPNトランジスタはバイポーラ動作を始める(トリガ点:トリガ電圧Vt1、トリガ電流It1)。電流が増大すると、N型低濃度半導体基板103におけるN型高濃度拡散層106の下の領域は、不純物濃度が小さいため、N型高濃度拡散層106から注入された電子が過剰となる。また、この過剰な電子を中和させるため、この領域は、P型拡散層105からホールが注入されることにより、ベースとして機能するようになる。このとき、この領域はN型層ではなく中性領域となるため、コレクタ電位はトリガ電圧Vt1からこのときのNPNトランジスタの電流増幅率(hFE)に依存するコレクタとエミッタとの間の維持電圧Vまで低下する。このNPNトランジスタ構造では電流がN型低濃度半導体基板103の表面付近を流れるため、コレクタとエミッタとの間の電流経路が短くなる。すなわちベース幅が小さく、このときのhFEが高いため、トリガ電圧Vt1と比較して、維持電圧Vは大きく低下する。この後、N型高濃度拡散層108に依存したコレクタ抵抗に従い、維持電圧Vから破壊電圧Vt2までコレクタ電位は上昇する。その後、さらに電流が増大すると、電流が集中するN型高濃度拡散層108のベース側の端部における発熱により熱暴走が起こり、破壊に至る(破壊点:破壊電圧Vt2、破壊耐量It2)。
この他に、見かけ上のベース幅が大きくなるような構造を用いて、維持電圧を高く保つ、高耐圧素子の保護に適した静電気保護装置が特許文献2等に提示されている。
特開2004−335634号公報 特開2007−242923号公報
従来の静電気保護装置は、電流経路がN型低濃度半導体基板の表面付近に偏り、電流がその表面付近に集中しやすいことから、破壊耐量It2が小さくなるため、保護能力が小さい。破壊耐量It2を大きくするには、相対的に電流密度を減らすために、エミッタ面積を大きく、すなわち保護装置の面積を大きくする必要があり、その結果、チップサイズの増大を招くこととなる。さらに、バイポーラ動作の際のベース幅が狭く、hFEが高いため、維持電圧が低いという問題があり、高耐圧素子の保護には適していない。
本発明は、前記の問題に鑑み、その目的は、静電気保護装置の面積を大きくすることなく破壊耐量が大きく且つ維持電圧が大きい静電気保護装置を含む半導体集積回路を得られるようにすることにある。
以下に説明する半導体の導電型について、第1導電型及び第2導電型は、半導体のP型及びN型のいずれか一方を指す。第1導電型がP型のとき、第2導電型はN型であり、逆に、第1導電型がN型のときは、第2導電型はP型である。
前記の目的を達成するために、本発明は、半導体集積回路に含まれる静電気保護装置を、ベースの下に該ベースと同一の導電型の拡散層が設けられた構成とする。
具体的に、本発明に係る半導体集積回路は、第1導電型である半導体基板と、半導体基板の上又は上部に形成された第2導電型である第1拡散層と、第1拡散層の上部に形成され、第1導電型であり、ベースとなる第2拡散層と、第2拡散層の上部に形成され、第2導電型であり、エミッタとなる第3拡散層と、第1拡散層の上部で且つ第2拡散層から間隔をおいて形成され、上部にコレクタコンタクトとなる第2導電型である第4拡散層と、少なくとも第3拡散層の下に、深さ方向において第2拡散層と間隔をおき且つ下端部が第1拡散層の下端部よりも下に位置するように形成された第1導電型の第5拡散層とを備え、第3拡散層から第5拡散層までの最短距離と、第5拡散層から第4拡散層までの最短距離及び第1拡散層の下端部から第4拡散層までの最短距離のいずれか短い方の距離との和は、第3拡散層から第4拡散層までの最短距離よりも小さい。
本発明に係る半導体集積回路によると、第3拡散層から第5拡散層までの最短距離と、第5拡散層から第4拡散層までの最短距離及び第1拡散層の下端部から第4拡散層までの最短距離のいずれか短い方の距離との和は、第3拡散層から第4拡散層までの最短距離よりも小さいため、電流の縦方向(基板面に垂直な方向)の成分をより増大させることが可能となる。このため、半導体集積回路に含まれる静電気保護装置の破壊に直接に影響する半導体基板の表面付近における電流の横方向(基板面に平行な方向)の成分を抑えることができる。これにより、破壊電流を向上させて、破壊耐量を上げることができる。また、上記の構成ではエミッタの直下の領域に第1導電型の第5拡散層を設けるため、静電気保護装置の面積の増大を招くことがない。さらに、バイポーラ動作の際のベース領域の濃度を上げることとなり、hFEが小さくなることにより、維持電圧も向上させることができ、静電気保護装置のさらなる特性の向上が得られる。
本発明に係る半導体集積回路において、第5拡散層は、第4拡散層の下にも形成され、第4拡散層と接していないことが好ましい。
本発明に係る半導体集積回路において、第5拡散層は、第3拡散層の下と第4拡散層の下とにそれぞれ形成され、形成された第5拡散層同士は、第1拡散層により分離されていてもよい。
本発明に係る半導体集積回路は、第1拡散層の周囲に形成された素子分離領域をさらに備え、第5拡散層は、素子分離領域と接していてもよい。
本発明に係る半導体集積回路において、第4拡散層は、コレクタコンタクトよりも下に、第1拡散層よりも不純物濃度が大きい領域を含むことが好ましい。
本発明に係る半導体集積回路において、第2拡散層の上部には、第3拡散層の側方における第4拡散層と反対側に、第3拡散層と間隔をおくように、ベースコンタクトとなる第6拡散層が形成され、第6拡散層は、第1導電型であり、第2拡散層よりも不純物濃度が大きいことが好ましい。
本発明に係る半導体集積回路において、第2拡散層及び第3拡散層は、最低電位に電気的に接続され、第4拡散層は入出力端子又は電源端子と内部回路とに電気的に接続されていることが好ましい。
本発明に係る半導体集積回路において、第1拡散層は、半導体基板の上にエピタキシャル成長されて形成されていてもよい。
本発明に係る半導体集積回路において、第2拡散層と第4拡散層との間には、酸化膜が形成されていることが好ましい。
本発明に係る半導体集積回路において、第3拡散層及び第4拡散層は、第1拡散層よりも不純物濃度が大きいことが好ましい。
本発明に係る半導体集積回路によると、破壊電流が大きく且つ維持電圧が大きい、保護能力のより優れた静電気保護装置を面積を増大させることなく得ることができる。
一般的なNPNトランジスタにより構成される静電気保護装置の電圧電流特性を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る静電気保護装置を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る静電気保護装置を示す図2のIII−III線における断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る静電気保護装置の電圧電流特性を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る静電気保護装置を示す等価回路図である。 本発明の第1の実施形態に係る静電気保護装置がバイポーラ動作をする際の状態を説明するための断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る静電気保護装置がバイポーラ動作を開始した後の電流の経路を説明するための断面図である。 本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る静電気保護装置を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る静電気保護装置を示す図8のIX−IX線における断面図 本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る静電気保護装置を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る静電気保護装置を示す図10のXI−XI線における断面図である。 本発明の第1の実施形態の第3変形例に係る静電気保護装置を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態の第3変形例に係る静電気保護装置を示す図12のXIII−XIII線における断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る静電気保護装置を示す平面図である。 本発明の第2の実施形態に係る静電気保護装置を示す図14におけるXV−XV線における断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る静電気保護装置の電圧電流特性を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る静電気保護装置がバイポーラ動作をする際の状態を説明するための断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る静電気保護装置がバイポーラ動作を開始した後の電流の経路を説明するための断面図である。 本発明の第2の実施形態の一変形例に係る静電気保護装置を示す平面図である。 本発明の第2の実施形態の一変形例に係る静電気保護装置を示す図19のXX−XX線における断面図である。 従来の静電気保護装置を示す断面図である。 従来の静電気保護装置の電圧電流特性を示すグラフである。
ベース及びエミッタ接地のバイポーラトランジスタを用いた一般的な静電気保護装置に求められる特性を図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、コレクタにプラスサ−ジ電荷が印加された際に、コレクタとベースとの間及びベース拡散層のカーバチャ領域においてアバランシェブレークダウンが発生して、電流が流れ始める(コレクタベース間耐圧:BVCBO)。この電流がベース電極に到達するまでの間に存在するベース抵抗を流れることによって、ベース電位が上昇し、バイポーラ動作を始める(トリガ点:トリガ電圧Vt1、トリガ電流It1)。バイポーラ動作を開始すると、コレクタ電位はバイポーラ動作の際の電流増幅率(hFE)に依存する耐圧(コレクタエミッタ間耐圧:維持電圧V)まで低下する。この後、コレクタ抵抗に依存して電圧が上昇し、トランジスタの内部における発熱によって熱暴走が起こり、破壊に至る(破壊点:破壊電圧Vt2、破壊耐量It2)。このような動作をする静電気保護装置は、保護される内部回路における内部素子を破壊する電圧Vよりも早く動作する必要があり、Vt1<Vの条件が必須である。さらに、静電気保護装置の動作の際に内部素子の動作電圧の最大値V以下にならないこと、すなわち、V>Vの条件が製品のラッチアップによる破壊を防ぐために必要である。また、優れた保護能力を得るために、前記の電圧の条件の範囲において、破壊耐量It2ができるだけ大きい静電気保護装置が求められる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路に含まれる静電気保護装置について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2において、後に説明するLOCOS膜21及び層間絶縁膜22は省略している。また、後の説明で用いる図8、図10及び図12においても同様に、LOCOS膜21及び層間絶縁膜22は省略している。
図2及び図3に示すように、例えばシリコンからなるP型低濃度半導体基板1の上部に、第1拡散層であるN型低濃度拡散層3が形成され、形成されたN型低濃度拡散層3の上部に、第2拡散層であるベースP型拡散層5が形成されている。また、ベースP型拡散層5の上部には、第3拡散層であるエミッタN型高濃度拡散層6が形成されている。N型低濃度拡散層3の上部におけるベースP型拡散層5から側方に所定の間隔をおいた領域には、第4拡散層であるコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8が形成されている。また、N型低濃度拡散層3におけるエミッタN型高濃度拡散層6の下の領域からコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8の下の領域までを跨ぎ、深さ方向においてベースP型拡散層5と接しないように第5拡散層である埋め込みP型拡散層2が形成されている。ここで、埋め込みP型拡散層2は、この下端部がN型低濃度拡散層3の下端部よりも下に位置するように、すなわち、P型低濃度半導体基板1に接するように形成されている。ベースP型拡散層5の上部におけるエミッタN型高濃度拡散層6と間隔をおいた領域には、第6拡散層であるベースコンタクトP型高濃度拡散層7が形成されている。ベースP型拡散層5とコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8との間には、選択的シリコン酸化(local oxidation of silicon:LOCOS)法によってLOCOS膜21が形成されている。N型低濃度拡散層3の周囲にはP型拡散層4が形成され、形成されたP型拡散層4の上部には、P型高濃度拡散層9が形成され、これらにより接合分離P型層が形成されている。ここで、前記の各拡散層は、それぞれN型不純物又はP型不純物を用いたイオン注入法等により形成される。エミッタN型高濃度拡散層6の上には、エミッタ電極31がオーミック接続され、ベースコンタクトP型高濃度拡散層7の上には、ベース電極32がオーミック接続され、コレクタコンタクトN型高濃度拡散層8の上には、コレクタ電極33がオーミック接続されている。P型低濃度半導体基板1の上には、エミッタ電極31、ベース電極32及びコレクタ電極33のそれぞれの間を埋めるように層間絶縁膜22が形成されている。ベース電極32とエミッタ電極31とは、アルミニウム配線等又は抵抗を介してショートされ、グランド(GND)等の最低電位に接続されている。コレクタ電極33は半導体集積回路の基板の上に形成されている入出力パッド(PAD)30及び内部回路40にアルミニウム配線等により接続されている。
本実施形態に係る静電気保護装置は、エミッタN型高濃度拡散層6から埋め込みP型拡散層2までの距離D1と埋め込みP型拡散層2からコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8までの距離D2との和が、エミッタN型高濃度拡散層6のコレクタ側の端部からコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8のベース側の端部までの距離Lよりも小さいことを特徴としている。ここで、距離D1は、本実施形態に係る静電気保護装置の任意の断面におけるエミッタN型高濃度拡散層6から埋め込みP型拡散層2までの最短距離である。同様に、距離D2は、本実施形態に係る静電気保護装置の任意の断面における埋め込みP型拡散層2からコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8までの最短距離であり、距離Lは、本実施形態に係る静電気保護装置の任意の断面におけるエミッタN型高濃度拡散層6のコレクタ側の端部からコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8のベース側の端部までの最短距離である。ここで、最短距離とは、各領域における任意の点を結ぶ直線又は曲線のうち最も短い直線又は曲線の長さである。
エミッタN型高濃度拡散層6とコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8とは同一の拡散層により兼用でき、ベースコンタクトP型高濃度拡散層7とP型高濃度拡散層9とも同一の拡散層により兼用できる。また、N型低濃度拡散層3は低濃度であればよいため、表面からの形成による濃度分布でなく、均一の濃度のエピタキシャル成長法により形成されてもよく、この場合も同様の動作をする。埋め込みP型拡散層2は、高エネルギー注入法によってその表面から所望の深さに形成できる。また、埋め込みP型拡散層2は、N型低濃度拡散層3がエピタキシャル成長法によって形成されている場合には、エピタキシャル成長法を行う前に、その表面側から拡散することにより容易に形成できる。
以下、本実施形態に係る静電気保護装置における各拡散層等の不純物の濃度のプロファイルを示す。
P型低濃度半導体基板1は1.0×1015/cm程度であり、N型低濃度拡散層3は5.0×1014/cm〜3.0×1016/cm程度であり、ベースP型拡散層5は1.0×1017/cm〜2.0×1018/cm程度である。また、エミッタN型高濃度拡散層6とコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8は5.0×1018/cm〜5.0×1020/cm程度であり、ベースコンタクトP型高濃度拡散層7は1.0×1019/cm〜5.0×1020/cm程度である。P型拡散層4とP型高濃度拡散層9とにより構成されたP型接合分離層は1.0×1016/cm程度以上であればよく、埋め込みP型拡散層2は2.0×1015/cm〜1.0×1017/cm程度である。
以下、第1の実施形態に係る半導体集積回路に含まれる静電気保護装置の動作を図4〜図7を参照しながら説明する。
図4及び図5に示すように、まず、コレクタ電極33に入出力PAD30からプラスサージ電荷が印加されると、コレクタとベースとの間及びベースP型拡散層5のコレクタ側のカーバチャ領域においてアバランシェブレークダウンが起こる(コレクタベース間耐圧:BVCBO)。ブレークダウンの後、そのブレークダウンによる電流がサージ電荷によって増大し、ベース電極32に到達するまでの間に存在する抵抗、すなわち、図5及び図6に示すRb領域を流れることによって、ベース電位がNPNトランジスタのオン電圧まで上昇して、NPNトランジスタがバイポーラ動作を始める(トリガ点:トリガ電圧Vt1、トリガ電流It1)。NPNトランジスタがバイポーラ動作を開始し、サージ電荷により電流が増大すると、N型低濃度拡散層3におけるエミッタN型高濃度拡散層6の下の領域、すなわち、図6に示す領域Aは不純物濃度が小さいため、エミッタN型高濃度拡散層6から注入された電子が過剰となる。この過剰な電子を中和させるため、ベースP型拡散層5からホールが注入されることにより、領域Aはベースのように機能する、ベース伝導度変調又はカーク効果と呼ばれている現象が発生する。このとき、N型低濃度拡散層3における領域AはN型層ではなく中性領域となり、抵抗成分が減少するため、コレクタ電位が低下する。その結果、コレクタ電位はトリガ電圧Vt1からこのときのNPNトランジスタのhFEに依存する値であるコレクタとエミッタとの間の維持電圧Vまで低下する。しかしながら、バイポーラ動作の際に、ベースP型拡散層5におけるエミッタN型高濃度拡散層6の下の領域、領域A及び埋め込みP型拡散層2が全てベースとして機能するため、ベース幅が大きくなり、このときのhFEは小さくなるので、維持電圧Vは高く保たれる。
図7に示すように、この後、電流がさらに増大すると、前記の通り、距離D1と距離D2との和である縦方向(基板面に垂直な方向)の距離が横方向(基板面に平行な方向)の距離Lよりも短いため、縦方向の抵抗成分が横方向よりも低くなるので、ほとんどの電流が縦方向に流れる。このため、N型低濃度拡散層3の表面付近の横方向の電流成分が減少して、電流の集中が避けられることにより、破壊電流が増大して、破壊耐量It2が大きくなる。
本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路に含まれる静電気保護装置によると、ほとんどの電流が縦方向に流れるため、表面付近の横方向の電流が少なくなり、電流の集中が避けられるため、破壊耐量を大きくすることができる。
第1の実施形態に係る静電気保護装置はエミッタN型高濃度拡散層6の下の領域に埋め込みP型拡散層2が設けられるため、装置の面積の増大を招くことなく、破壊耐量を大きくすることができる。また、バイポーラ動作させた際のベース幅が大きくなるため、維持電圧Vを高く保つこともでき、高耐圧素子の保護としても用いることができるという利点も併せ持っている。
なお、図8及び図9に示すように、埋め込みP型拡散層2は、N型低濃度拡散層3におけるコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8の下の領域には形成されずに、ベースP型拡散層5の下の領域にのみ形成されていてもよい。この場合、距離D2は第1の実施形態に係る静電気保護装置の任意の断面におけるN型低濃度拡散層3の下端部からコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8までの最短距離となり、前記と同様に距離D1と距離D2との和は距離Lよりも小さい。
また、図10及び図11に示すように、埋め込みP型拡散層2は、N型低濃度拡散層3におけるベースP型拡散層5の下の領域とコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8の下の領域との2箇所にそれぞれ形成され、これらはN型低濃度拡散層3により分離されていてもよい。この場合はバイポーラ動作の際のベース領域として、エミッタN型高濃度拡散層6からコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8までの下の領域で且つ埋め込みP型拡散層2が形成されていない領域のP型低濃度半導体基板1の領域もベースとして機能する。
さらに、図12及び図13に示すように、埋め込みP型拡散層2は、ベースP型拡散層5の下の領域とコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8の下の領域を跨ぐように形成され、さらに、P型拡散層4に接するまで延びていても効果は同様である。すなわち、横方向の電流に対し、縦方向の電流を促進する領域に埋め込みP型拡散層2を設けることにより、N型低濃度拡散層3の表面の領域の電流集中を緩和し、破壊耐量It2を上げることができる。
これらの第1の実施形態の変形例に係る静電気保護装置を用いても、前記と同様に、この装置の面積の増大を招くことなく、破壊耐量及び維持電圧を大きくすることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路に含まれる静電気保護装置について、図14及び図15を参照しながら説明する。第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の部材については同一の符号を付け、説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。図14においては、第1の実施形態と同様に、LOCOS膜21及び層間絶縁膜22は省略している。また、後の説明で用いる図19においてもLOCOS膜21及び層間絶縁膜22は省略している。
図14及び図15に示すように、第2の実施形態においては、N型低濃度拡散層3の上部におけるコレクタコンタクトN型高濃度拡散層8の下及び周辺部に、ベースP型拡散層5よりも深い、第4拡散層の一部となるN型高濃度シンク層10が形成されている。N型高濃度シンク層10は、コレクタとベースとの間のアバランシェブレークダウン耐圧以上になる距離だけ埋め込みP型拡散層2から離れて形成されている。
第2の実施形態に係る静電気保護装置は、エミッタN型高濃度拡散層6から埋め込みP型拡散層2までの距離D1と、N型低濃度拡散層3の下端部からN型高濃度シンク層10までの距離D2との和である縦方向の距離は、エミッタN型高濃度拡散層6のコレクタ側端からN型高濃度シンク層10のベース側端までの横方向の距離Lよりも短いことを特徴としている。N型高濃度シンク層10はベースP型拡散層5よりも深く形成されているため、距離D2は第1の実施形態よりも短くなる。ここで、N型高濃度シンク層10はNPNトランジスタのコレクタ抵抗を下げるために用いられる一般的な拡散層である。
N型高濃度シンク層10の不純物濃度のプロファイルは1.0×1018/cm〜1.0×1020/cm程度であり、電流が多く流れても中性状態にはならない濃度である。
以下、第2の実施形態に係る半導体集積回路に含まれる静電気保護装置の動作を図16〜図18を参照しながら説明する。
コレクタ電極33からプラスサージ電荷が印加されると、NPNトランジスタがバイポーラ動作を始める(トリガ点:トリガ電圧Vt1、トリガ電流It1)までは第1の実施形態と同一である。NPNトランジスタがバイポーラ動作を開始し、サージ電荷で電流が増大すると、N型低濃度拡散層3におけるエミッタN型高濃度拡散層6の下の領域、すなわち、図17に示す領域Aは不純物濃度が小さいため、エミッタN型高濃度拡散層6から注入された電子が過剰となる。この過剰な電子を中和させるため、ベースP型拡散層5からホールが注入されることにより、領域Aはベースのように機能する。このとき、N型低濃度拡散層3における領域Aは、N型層ではなく中性領域となり、抵抗成分が減少するため、コレクタ電位が低下する。その結果、コレクタ電位はトリガ電圧Vt1からこのときのNPNトランジスタのhFEに依存する値であるコレクタとエミッタとの間の維持電圧Vまで低下する。第2の実施形態では、バイポーラ動作の際のベースとして、ベースP型拡散層5におけるエミッタN型高濃度拡散層6の下の領域、領域A、埋め込みP型拡散層2及びP型低濃度半導体基板1における埋め込みP型拡散層2の下の領域からN型高濃度シンク層10の下の領域までの領域、すなわち、図17に示す領域Bが全てベースとして動作する。このため、ベース幅が非常に大きくなり、このときのhFEは小さくなるので、維持電圧Vは高く保たれる。
図18に示すように、この後、電流がさらに増大すると、前記の通り、距離D1と距離D2との和である縦方向の距離が横方向の距離Lよりも小さいため、縦方向の抵抗成分が横方向よりも低くなるので、ほとんどの電流が縦方向に流れる。このため、N型低濃度拡散層3の表面付近の横方向の電流成分が減少し、電流の集中が避けられることにより、破壊電流が増大して、破壊耐量It2が大きくなる。
N型高濃度シンク層10はベースP型拡散層5よりも深く形成されているため、第1の実施形態よりも距離D2が短くなり、縦方向に電流が流れることをより促進する構造となっている。N型高濃度シンク層10は大きな電流が流れても、高濃度であるため、中性化することはなく、コレクタ抵抗として動作する。
第2の実施形態に係る半導体集積回路に含まれる静電気保護装置によると、ほとんどの電流が縦方向に流れるため、表面付近の横方向の電流が少なくなり、電流の集中が避けられるため、破壊耐量を大きくすることができる。
第2の実施形態に係る静電気保護装置はエミッタN型高濃度拡散層6の下の領域に埋め込みP型拡散層2が設けられるため、装置の面積の増大を招くことなく、破壊耐量を大きくすることができる。また、バイポーラ動作させた際のベース幅が非常に大きくなるため、維持電圧Vを高く保つこともでき、高耐圧素子の保護としても用いることができるという利点も併せ持っている。
第2の実施形態ではN型高濃度シンク層10がN型低濃度拡散層3の下端部にまで到達していない場合を説明したが、N型高濃度シンク層10はN型低濃度拡散層3の下端部にまで到達する深さでもよい。この場合、距離D2が無くなり、縦方向は距離D1のみとなるため、横方向の距離Lに対し、より短くでき、その分だけ破壊耐量It2を大きくすることができる。すなわち、同一の破壊耐量It2を得るための装置の面積の縮小化が図れる。
なお、図19及び図20に示すように、埋め込みP型拡散層2はN型高濃度シンク層10から所定の距離を空け、且つ、N型高濃度シンク層10と反対側のP型拡散層4と接するように形成されていてもよい。また、N型高濃度シンク層10と埋め込みP型拡散層2との接合耐圧がN型高濃度シンク層10とベースP型拡散層5との耐圧よりも高ければ、埋め込みP型拡散層2はこの両側のP型拡散層4と接するように形成されていてもよい。すなわち、エミッタN型高濃度拡散層6からN型高濃度シンク層10に流れる横方向の電流に対し、縦方向の電流を促進する領域に埋め込みP型拡散層2を設けることによりN型低濃度拡散層3の表面付近における電流集中を緩和し、破壊耐量It2を上げることができる。
これらの第2の実施形態の変形例に係る静電気保護装置を用いても、前記と同様に、この装置の面積の増大を招くことなく、破壊耐量及び維持電圧を大きくすることができる。
なお、本発明の静電気保護装置のバイポーラトランジスタ構造において、ベース及びエミッタを別電極とし、オンオフ動作をさせるバイポーラパワートランジスタとして使用する場合も同様の効果が得られる。
また、以上において、N型及びP型をそれぞれ逆にしても静電気保護装置として用いることができ、本発明の目的を達成することができる。
本発明に係る半導体集積回路は、破壊電流が大きく且つ維持電圧が大きい、より優れた保護能力を有する静電気保護装置を得るために面積を増大させることがなく、特に、静電気保護装置を含む半導体集積回路等に有用である。
1 P型低濃度半導体基板
2 埋め込みP型拡散層(第5拡散層)
3 N型低濃度拡散層(第1拡散層)
4 P型拡散層
5 ベースP型拡散層(第2拡散層)
6 エミッタN型高濃度拡散層(第3拡散層)
7 ベースコンタクトP型高濃度拡散層(第6拡散層)
8 コレクタコンタクトN型高濃度拡散層(第4拡散層)
9 P型高濃度拡散層
10 N型高濃度シンク層(第4拡散層)
21 LOCOS膜
22 層間絶縁膜
30 入出力PAD
31 エミッタ電極
32 ベース電極
33 コレクタ電極
40 内部回路

Claims (10)

  1. 第1導電型である半導体基板と、
    前記半導体基板の上又は上部に形成された第2導電型である第1拡散層と、
    前記第1拡散層の上部に形成され、第1導電型であり、ベースとなる第2拡散層と、
    前記第2拡散層の上部に形成され、第2導電型であり、エミッタとなる第3拡散層と、
    前記第1拡散層の上部で且つ前記第2拡散層から間隔をおいて形成されたコレクタコンタクトとなる第2導電型である第4拡散層と、
    少なくとも前記第3拡散層の下に、深さ方向において前記第2拡散層と間隔をおき且つ下端部が前記第1拡散層の下端部よりも下に位置するように形成された第1導電型の第5拡散層とを備え、
    前記第3拡散層から前記第5拡散層までの最短距離と、前記第5拡散層から前記第4拡散層までの最短距離及び前記第1拡散層の下端部から前記第4拡散層までの最短距離のいずれか短い方の距離との和は、前記第3拡散層から前記第4拡散層までの最短距離よりも小さいことを特徴とする半導体集積回路。
  2. 前記第5拡散層は、前記第4拡散層の下にも形成され、前記第4拡散層と接していないことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
  3. 前記第5拡散層は、前記第3拡散層の下と前記第4拡散層の下とにそれぞれ形成され、形成された前記第5拡散層同士は、前記第1拡散層により分離されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体集積回路。
  4. 前記第1拡散層の周囲に形成された素子分離領域をさらに備え、
    前記第5拡散層は、前記素子分離領域と接していることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路。
  5. 前記第4拡散層は、前記コレクタコンタクトよりも下に、前記第1拡散層よりも不純物濃度が大きい領域を含むことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路。
  6. 前記第2拡散層の上部には、前記第3拡散層の側方における前記第4拡散層と反対側に、前記第3拡散層と間隔をおくように、ベースコンタクトとなる第6拡散層が形成され、
    前記第6拡散層は、第1導電型であり、前記第2拡散層よりも不純物濃度が大きいことを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路。
  7. 前記第2拡散層及び第3拡散層は、最低電位に電気的に接続され、前記第4拡散層は入出力端子又は電源端子と内部回路とに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路。
  8. 前記第1拡散層は、前記半導体基板の上にエピタキシャル成長されて形成されていることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路。
  9. 前記第2拡散層と前記第4拡散層との間には、酸化膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路。
  10. 前記第3拡散層及び第4拡散層は、前記第1拡散層よりも不純物濃度が大きいことを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路。
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