JP2011228248A - 燃料電池用反応層 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池における水素極の構成を改良することにより、水素極はもとより空気極側の反応層を含めて膜電極接合体の過乾燥や、フラッディングの発生を抑制する。
【解決手段】燃料電池1の水素極10において反応層11と拡散層16との間にキャップ層13が介在され、該キャップ層13は導電性で細孔を有する基材と電解質とを備え、触媒金属微粒子を備えず、反応層11より高い撥水性である。この撥水性を制御する指標としてEW(スルホン酸基1モル当たりの乾燥重量)がある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池用反応層に関する。
燃料電池装置において従来では空気供給系に加湿器を配置し、プロセス空気の湿度を制御することにより、固体電解質膜及び反応層(以下、「膜電極接合体」ということがある)の水分状態を調整していた。しかしながら、昨今の燃料電池に要求される高効率化の観点から、燃料電池装置から加湿器等の補機が除去される傾向にある。その場合、燃料電池の運転環境に応じて膜電極接合体の水分状態を常に適正に維持できないおそれがある。
例えば、燃料電池を低加湿環境で運転すると、膜電極接合体は乾燥状態となってそのプロトン伝導性が低下し、充分な発電特性を発揮できなくなる。他方、燃料電池を高加湿環境で運転すると、いわゆるフラッディングが発生し発電特性の低下をきたす。
これらの現象を回避するため、反応層を二層構造とし、固体電解質膜側の第1の層を高保湿化し、他方、拡散層側の第2の層を低保湿化(高排水、高透気化)することが提案されている(特許文献1参照)。
これにより、低加湿環境化においても第1の層は湿潤状態に保たれ、高加湿環境下に滞留した水分が第2の層から効率よく排出される。
本願発明に関連する技術を紹介する文献として特許文献2及び特許文献3を参照されたい。
特開2004−192950号公報 特開2007−26719号公報 特開2007−123235号公報
従来は、もっぱら空気極側の反応層に着目してその改良がなされ、固体電解質膜が介在されているものの、水に関しては連通状態である水素極側についての検討は手薄であった。
本発明者らは水素極の構成を改良することにより、空気極側の反応層を含めて過乾燥や、フラッディングの発生を抑制できるのではないかと考え、この発明に想到した。
即ち、この発明の第1の局面は次のように規定される。
燃料電池の水素極において反応層と拡散層との間にキャップ層が介在され、該キャップ層は導電性で細孔を有する基材と電解質とを備え、触媒金属微粒子を備えず、前記反応層より高い撥水性である、ことを特徴とする燃料電池の水素極構造。
このように規定されるこの発明の第1の局面の水素極構造によれば、反応層と拡散層との間にキャップ層があるので、燃料電池を低加湿環境で運転するときには、当該キャップ層により反応層から拡散層への水抜けが防止される。他方、高加湿環境においては、多量に滞留する反応層の水がキャップ層を通して一旦拡散層側へ抜けると、キャップ層の撥水性により逆流することが防止される。換言すれば、当該逆流防止効果により、反応層に接するキャップ層の面は湿潤状態になり難く(常にサラサラの状態が維持され)、反応層に滞留する水を効率良く拡散層側へ移動させる。これにより、反応層に滞留する水分が効率良く除去されてフラッディングの発生防止に寄与できる。
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定の水素極構造において、前記キャップ層の基材はカーボンブラック粒子からなり、その平均細孔径が前記反応層の触媒担体であるカーボンブラック粒子のそれより小さい。
このように規定される第2の局面の水素極構造によれば、キャップ層と反応層がカーボンブラック粒子を含むので両者のなじみが好適となる。また、キャップ層のカーボンブラック粒子の平均細孔径を小さくすることにより、反応層の水が蒸発することを防止でき、低加湿時における反応層の過乾燥防止に役立つ。
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第1又は第2の局面に規定の水素極構造において、前記キャップ層は前記反応層より薄い。
キャップ層を厚くするほど、電子抵抗が大きくなる。
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面の水素極構造において、前記キャップ層の基材はカーボンブラック粒子からなり、該キャップ層のカーボン担持量は0.2mg/cm未満であり、該キャップ層の電解質のEW(スルホン酸基1モル当たりの乾燥重量)は前記反応層の電解質のEWより大きい。
このように規定される水素極構造を備えた燃料電池によれば、低加湿環境においても充分な出力が確保され、また高加湿環境においてもその出力が安定する。
なお、反応層を複数の層から構成し、一部の層の電解質のEWをキャップ層の電解質のEWより小さくすることもできる。なお、他の層の電解質のEWもキャップ層のそれと同等若しくはそれ以下とする。複数の層を用いる場合、小さいEWの電解質を備える層は固体電解質膜側に配置することが好ましい。
図1は本発明の一実施の形態を示す燃料電池の断面図である。 図2は細孔の径Dと吸水性若しくは排水性(圧力P)との関係を示す概念図である。 図3は実施例2と比較例3の燃料電池の出力特性を示す図である。
この発明の実施形態の燃料電池1を図1に示す。
この燃料電池1は固体電解質膜2を水素極10と空気極20とで挟んだ構成である。
固体電解質膜2にはプロトン導電性の高分子材料、例えばナフィオン(デュポン社商標名、以下同じ)等のフッ素系ポリマーを用いることができる。
水素極10は反応層11、キャップ層13及び拡散層16を備え、固体電解質膜2へ反応層11、拡散層16の順に積層される。反応層11はカーボンブラック粒子等の導電性の担体に白金等の触媒金属粒子を担持し、電解質でコーティングしたものである。拡散層16はカーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の導電性がありかつガス拡散性能を有する材料から形成される。反応層11の担体として酸化スズやチタン酸化物を用いることもできる。
キャップ層13は導電性かつ多孔質の微粒子からなる基材を電解質で被覆した構成をとる。かかる基材としてカーボンブラック粒子を用いることができる。その他、酸化スズやチタン酸化物の使用も可能である。水を円滑に移動させる見地から、キャップ層の基材の材料を反応層の担体の材料と同一若しくは同種とすることが好ましい。
電解質はプロトンの移動を許容するものであれば任意に選択可能である。
このキャップ層13の撥水性を高める方策として、(1)電解質の親水基を基材と結合させその疎水基を表出させること及び/又は(2)細孔径を小さくすること、が挙げられる。
(1)電解質相の親水基を基材と結合させその疎水基を表出させること
電解質相の表面が疎水性になることによりキャップ層の撥水性が向上する。
電解質相の表面を疎水性にするには次の方策がある。
(1−1) 反応層11の担体に比べてキャップ層13の基材の比表面積を大きくする。
基材としてのカーボンブラック粒子の表面には親水基が存在し、この親水基が電解質の親水基と電子親和力で結合する。その結果、基材を覆う電解質の表面側には疎水基が表出する。このとき、基材の比表面積が大きいと、電解質においてより多くの親水基が基材に結合し、表出する疎水基の割合が多くなる。よって、基材と電解質とからなるキャップ層の撥水性が向上する。
(1−2) 反応層11に比べてキャップ層13の電解質比率(電解質/(基材+電解質)を小さくする。
電解質比率を小さくすることにより、電解質の多くの親水基が基材に結合し表出する疎水基の割合が多くなる。
(1−3) 反応層11の電解質に比べてキャップ層13の電解質のEW(スルホン酸基1モル当たりの乾燥重量)を大きくする。
EWが大きくなると電解質のスルホン酸基(親水基)の密度が小さくなる。大きなEWの電解質(スルホン酸基密度の小さな電解質)を用いることにより電解質相の表面には疎水基が多く存在することとなる。
(2)基材における細孔の径Dと吸水性若しくは排水性(圧力P)との関係を図2及び式1に示す。

P=−4σcosθ/D 式1

式1より接触角θが90°以上(排水性)の場合は細孔径Dが小さいほど排水圧力Pが大きくなる(勿論接触角θが90°未満は論外である。細孔が吸水して閉塞されると酸素の供給障害となる)。よって、反応層11の担体に比べてキャップ層13の基材の細孔径を小さくすることが好ましい。
低加湿環境おいて、高性能を得るためには、拡散層16を流通するガスによる水の持去りを抑制して、反応層11を湿潤状態に保つことが重要である。そこで反応層11と拡散層16との間に触媒を含まずかつ撥水性の高いキャップ層13を設けて、反応層11と拡散層16との間を物理的に隔てる構造とすると、反応層11に含まれる水分は、撥水性を有するキャップ層13ではじかれるので拡散層16側へ拡散し難くなる。換言すれば、撥水性のキャップ層13が反応層11と拡散層16との間の水の連通を遮断する。よって反応層11の湿潤状態が維持され、低湿度環境でも高性能を発揮する。特にキャップ層13の基材の平均細孔径を小さくした場合、反応層11からの水分蒸発を抑制可能となり、反応層11のドライアップをより効果的に抑制できる。
高加湿環境において、燃料電池の性能阻害要因として生成水の過剰(フラッディング)がある。フラッディングが発生すると、その水は電解質膜2を透過して水素極10側まで浸透してくる。従って、水素極10側においてこの過剰な水を効率良く除去できれば、フラッディング予防の一助となる。
ここに、生成水が反応層11において過剰になると、反応層11に圧力(水圧)が発生し、キャップ層13が高撥水性であっても、反応層11の水はこれをなんなく透過する。一方、透過した生成水の逆流防止がキャップ層13の撥水性により担保されるので、キャップ層13を透過した水は拡散層16を介して効率良く除去されることとなる。よって、反応層11に過剰な水が滞留することを防止できる。
以上の作用を確保する見地から、キャップ層13は0.1〜10μm程度の厚さを備えることが好ましい。キャップ層13には触媒を担持させないが、製造工程において反応層11から触媒が拡散することがあり、このような意図しない触媒が存在する場合もキャップ層の定義に含まれるものとする。
また、図1の例では、キャップ層13を反応層11の全面に積層したが、反応層11の一部(好ましくは乾燥しやすい部分)のみに積層してもよい。
空気極20は反応層21及び拡散層26を備える。拡散層26の基本構造は、水素極10のそれと同じである。
この発明では、空気極20の反応層21を、図1に示すように、固体電解質膜2側から、第1の層22、中間層23及び第2の層24を順に積層する構成とした。
第1の層22と第2の層24にはともに担体に触媒金属粒子が担持されている。中間層23には何ら触媒金属粒子が担持されていない。
第1の層22及び第2の層24に担持される触媒金属粒子には白金、白金−コバルト合金等の汎用的なものを採用することができる。第1の層22に担持される金属触媒粒子と第2の層24に担持される金属触媒粒子とは同じものでも、異なるものでもよい。
なお、触媒金属粒子を担持する担体には一般的なカーボンブラック粒子を採用することができるが、酸化スズ、チタン酸化物等を使用することも可能である。
中間層23は触媒を持たないものの、第1の層22及び第2の層24の触媒金属粒子の活性を確保するため、導電性、プロトン移動性及び酸素の拡散性が要求される。そのため、中間層23は導電性かつ多孔質の微粒子からなる基材と電解質とを混練りした構成をとる。かかる基材として既述した触媒金属粒子の担体(カーボンブラック粒子等)を用いることができる。水を円滑に移動させる見地から、中間層の基材の材料を第1及び第2の層の担体の材料と同一若しくは同種とすることが好ましい。
電解質はプロトンの移動を許容するものであれば任意に選択可能である。
中間層23の撥水性を高める方策として、既述の(1)電解質の親水基を基材と結合させその疎水基を表出させること及び/又は(2)細孔径を小さくすること、が挙げられる。
また、中間層23は第1及び第2の層22,24に比べてその膜厚が薄く形成されている。撥水性を有する中間層23を薄くするのは高加湿環境下においてこの中間層23が生成水の移動の過剰な抵抗とならないようにするためである。
低加湿環境おいて、高性能を得るためには、拡散層を流通するガスによる生成水の持去りを抑制して、固体電解質膜、及び、発電に寄与する固体電解質膜近傍の反応層を、湿潤状態に保つことが重要である。そこで、固体電解質膜に近い第1の層22とガス流路に近い第2の層24との間に、触媒を含まずかつ撥水性の高い中間層23を設けて、第1の22層と第2の層24の間を物理的に隔てる構造とすると、第1の層22の生成水は、撥水性を有する中間層23ではじかれるので第2の層24へ拡散し難くなる。換言すれば、撥水性の中間層23が第1の層22と第2の層24との間の水の連通を遮断するので、第2の層24の乾燥は進むがその影響が第1の層22に及ばない。よって電解質膜2と第1の層22の湿潤状態が維持され、低湿度環境でも高性能を発揮する。特に中間層23の基材の細孔を小さくした場合、第1の層22側からの水分蒸発を抑制可能となり、第1の層22が過乾燥することをより効果的に抑制できる。
他方、高加湿環境において高性能を得るためには、生成水による細孔の閉塞を防止して、反応層全体で発電させることが重要となる。第1の層22での生成水が過剰となると、第1の層22において圧力(水圧)がかかり、中間層23が高撥水性であっても、加圧された生成水はこれをなんなく透過する。一方、透過した生成水の逆流防止が中間層23の撥水性により担保されるので、結果として、中間層23を透過した水は第2の層24を介して効率良く除去されることとなる。よって、第1の層22におけるフラッディングの発生を防止できる。
以上の作用を確保する見地から、中間層23は0.1〜10μm程度の厚さを備えることが好ましい。中間層23には触媒を担持させないが、製造工程において第1の層22や第2の層24から触媒が拡散することがあり、このような意図しない触媒が存在する場合も中間層の定義に含まれるものとする。
第1の層22は第2の層24に比べて保湿性が高く設定されている。
各層の保湿性の制御は、基材、電解質及び触媒の各特性を制御することにより行える。
例えば、カーボンブラック粒子からなる基材の空隙率を高くすることにより保湿性が小さくなる。同様に、担体の撥水性を高めることにより保湿性が小さくなる。
電解質の配合割合を多くすることにより保湿性は高くなる。なお、電解質のEW(スルホン酸基1モル当たりの乾燥重量)を高くすることにより保湿性が低下する。
また、触媒金属の担持密度を高くする事によって、反応層が薄くなり、生成水の発生密度が高まり、乾燥を防止することもできる。
更には親水性の触媒を採用することにより保湿性を高く維持できる。親水性の触媒としてPtCo触媒を挙げることができる。また、PtCo触媒を含めて汎用的な触媒を酸処理することにより、その親水性を向上可能である。
上記を考慮して、即ち、基材、電解質、触媒担持密度及び触媒の少なくとも1つの特性を変えることにより、第1の層22の保湿性を第2の層24の保湿性より高くすることができる。
上記において、中間層23の撥水性を第1の層22及び/又は第2の層24と同程度としてもよい。かかる中間層23により、中間層23のないものに比べて、第1の層22と第2の層24との水遮断効果が得られるからである。その場合、保湿性を第1の層22<中間層23<第2の層24とすることが好ましい。
更には、中間層23を更に三層構造として、その中心となる層の吸水性(保湿性)を高めてもよい。これにより、中間層23による第1の層22と第2の層24との間の水遮断効果が向上し、特に低加湿環境下において第1の層22が第2の層24へ拡散することを効率的に防止できる。
第1の例では、中間層23を第1の層22と第2の層24の界面の全面に形成したが、当該界面へ部分的に形成するものとしてもよい。
以下、この発明の実施例について説明する。
(実施例1)
実施例の水素極10側の反応層11は次の様にして形成される。
先ずは、反応層11及びキャップ層13のペーストを準備する。
反応層11のペーストは、担体としてケッチェンブラックEC600JD(ケッチェン・ブラック・インターナショナル(株)の商標名、以下同じ)にPtを触媒として60w%担持させた触媒を用いる。電解質にはナフィオンの5w%溶液を用い、カーボン担体と電解質との重量比は1:1とした。
キャップ層13のペーストは、基材としてカーボンブラック粒子を用い、これをナフィオンの5%溶液に分散させる。基材と電解質との重量比は1:1とした。
キャップ層13の基材は反応層11の担体に比べてその細孔の平均開口径(平均細孔径)が小さい。この点からキャップ層13は反応層11に比べて高い撥水性を備える。更には、このキャップ層13は反応層11に比べて比表面積が大きく、他方、カーボンブラック粒子と電解質との配合比が両者において同一に維持されているので、この点からもキャップ層13は反応層11に比べて高い撥水性を備える。
空気極20側の反応層21は次の様にして形成される。
第1の層22のペーストは、担体としてケッチェンブラックEC600JD(ケッチェン・ブラック・インターナショナル(株)の商標名、以下同じ)にPtCo合金を触媒として50w%担持させた触媒を用いる。なお、PtとCoはモル比で1:3としている。電解質にはナフィオンの5w%溶液を用い、カーボン担体と電解質との重量比は1:1とした。
中間層23のペーストは、基材としてカーボンブラック粒子を用い、これをナフィオンの5%溶液に分散させる。基材と電解質との重量比は1:1とした。
第2の層24のペーストはケッチェンブラックEC600JDにPt触媒を60w%担持させた触媒を用いる。なお、電解質にはナフィオンの5w%溶液を用い、カーボン担体と電解質との重量比は1:0.8とした。
上記において、第1の層22と第2の層24とを比べると、第1の層22の触媒は第2の層24の触媒より保湿性が高い。また、基材に対する電解質の配合割合は第1の層22が第2の層24より大きい。
中間層23の担体は第1及び第2の層22,24の担体に比べてその細孔の平均開口径が小さい。この点から中間層23は第1及び第2の層22,24に比べて高い撥水性を備える。更には、この中間層23は第1及び第2の層22、24に比べて比表面積が大きく、他方、担体と電解質との配合比が第1及び第2の層22,24並びに中間層23において同一に維持されているので、この点からも中間層23は第1及び第2の層22,24に比べて高い撥水性を備える。
第2の層24のペーストから順に拡散層26の表面へ積層し、かつ乾燥して図1に示す反応層21を構成する。
水素極10側においても同様にして拡散層16の表面へ反応層11を積層する。
水素極10と空気極20の各反応層11、21を電解質膜2へ貼り合わせて、図1の燃料電池1を構成する。
各層の保湿性の制御には担体の空隙率を調整することが適している。
空隙率を高くしその保湿性を小さくするには、ペーストを水又はアルコールで薄めて拡散層へ塗布すること、電解質/担体の比率を小さくすること等が挙げられる。
(実施例2)
比較的に大きなEW(スルホン酸基1モル当たりの乾燥重量)を有する第1の電解質としてDE2021(デュポン社製)の20%溶液を準備する。
比較的に小さいEWを有する第2の電解質としてDE2020(デュポン社製)の20%溶液を準備する。
EWが大きくなるほど疎水性が高くなり、EWが小さくなるほど親水性(保水性)が向上することは既述の通りである。
この実施例では、キャップ層13の基材としてカーボンブラック粒子を用い、これを20%の第1の電解質溶液に分散させてキャップ層用ペーストとした。基材と電解質との重量比は1:1とした。
反応層11は、担体としてケッチェンブラックEC600JD(ケッチェン・ブラック・インターナショナル(株)の商標名、以下同じ)にPtを触媒として60w%担持させた触媒を用いる。0.1mg/cmの白金触媒微粒子とともに、EWの小さい第2の電解質溶液(20%)に分散させて反応層用ペーストとした。
拡散層16に、既述のキャップ層用ペーストと反応層用ペーストとを順次積層し、これを固体電解質膜2へ接合する。
空気極の構成は第1の実施例と同一の構成である。
(実施例3)
この実施例では、第2実施例の反応層を2層構造としたものである。
即ち、第1の電解質の20%溶液へカーボンブラック粒子及び0.05mg/cmの白金触媒微粒子を分散させた第1の反応層用ペーストと、第2の電解質の20%溶液へカーボンブラック粒子及び0.05mg/cmの白金触媒微粒子を分散させた第2の反応層用ペーストを準備し、拡散層の表面にキャップ層用ペースト、第1の反応層用ペースト及び第2の反応層用ペースを順に積層し、それを固体電解質膜へ接合した。
(比較例1)
この比較例1は、実施例において反応層にキャップ層と同じ第1の電解質(高いEW)を使用したものである。
(比較例2)
この比較例2は比較例1において、キャップ層におけるカーボン担持量を増大させたものである。比較例2のキャップ層のカーボン担持量は0.2mg/cmである。
(比較例3)
この比較例3は実施例3においてキャップ層を省略したものである。
(比較例4)
この比較例4は実施例3においてキャップ層のカーボン担持量を増大させたものである。
(比較例5)
この比較例5は実施例2においてキャップ層を省略したものである。
(比較例6)
この比較例6は実施例2においてキャップ層のカーボン担持量を増大させたものである。
実施例1及び2及び比較例1〜6を表1にまとめた。
上記の各実施例及び比較例の燃料電池へ無加湿状態で水素と空気を供給し、1.6A/cmの定電流で発電させたときの電圧と発電可能温度を表2に示す。
実施例2と比較例3の燃料電池へ加湿状態で水素と空気を供給し、1.6A/cmの定電流で発電させたときの電圧の時間変化を図3に示す。
なお、加湿条件は、水素側及び空気側ともに、加湿バブラ温度60℃で100kPaであった。
表2の結果から、キャップ層のカーボン担持量が0.2mg/cm以上になると、乾燥運転条件下において、充分な電圧を得られないことがわかる。このようにキャップ層においてカーボンブラックの配合量が多くなると、キャップ層の排水機能が強くなりすぎて、たとえ反応層に低EW(即ち保水性の高い)電解質を用いたとしても、反応層に保持されるべき水分がキャップ層に吸い取られてさらに拡散層へ放出され、その結果反応層の水分が不足してしまうためと考えられる。
また、図3の結果から、キャップ層の電解質に比べて反応層の電解質のEWを小さくすると、高加湿環境下においても出力電圧が安定することが確認できた。
実施例2はEWによりキャップ層と反応層の保水性(疎水性)を制御しているが、既述のように、基材の比表面積、電解質比率、基材の細孔径制御によっても同様な効果を得ることが可能である。
本発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。
1 燃料電池
2 固体電解質膜
10 水素極
11 反応層
13 キャップ層
16 拡散層
20 空気極
21 反応層
22 第1の層
23 中間層
24 第2の層

Claims (6)

  1. 燃料電池の水素極において反応層と拡散層との間にキャップ層が介在され、該キャップ層は導電性で細孔を有する基材と電解質とを備え、触媒金属微粒子を備えず、前記反応層より高い撥水性である、ことを特徴とする燃料電池の水素極構造。
  2. 前記キャップ層の基材はカーボンブラック粒子からなり、その平均細孔径が前記反応層の触媒担体であるカーボンブラック粒子のそれより小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の水素極構造。
  3. 前記キャップ層は前記反応層より薄い、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水素極構造。
  4. 前記キャップ層の基材はカーボンブラック粒子からなり、該キャップ層のカーボン担持量は0.2mg/cm未満であり、該キャップ層の電解質のEW(スルホン酸基1モル当たりの乾燥重量)は前記反応層の電解質のEWより大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の水素極構造。
  5. 前記反応層は前記キャップ層の電解質と同じEWを有する電解質を含む第1の層と、前記キャップ層の電解質より小さいEWを有する電解質を含む第2の層とからなる、ことを特徴とする請求項4に記載の水素極構造。
  6. 空気極と請求項1〜5のいずれかに記載の前記水素極構造を備える水素極とで固体電解質膜を挟持する、ことを特徴とする燃料電池。
JP2010194318A 2010-03-31 2010-08-31 燃料電池用反応層 Pending JP2011228248A (ja)

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