JP2006344426A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い発電性能を長期にわたって維持することができる固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】 前記触媒層を、クラックを有しない触媒層(1)(121a、121c)と、クラック(123a、123c)を有する触媒層(2)(122a、122c)とが積層されてなり、かつ、前記触媒層(120a、120c)に含まれるカーボン担体の結晶性がセパレータ(140a、140c)におけるガス流路(141)の入口側から出口側に向かって高くなる固体高分子型燃料電池(150)である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池に関し、より詳細には、固体高分子型燃料電池の触媒層の改良技術に関する。
近年、電源の一つとして燃料電池が注目されている。燃料電池とは、水素やメタノールなどの燃料の酸化により発電する装置をいう。燃料電池の発電効率は非常に高い。また、水素を燃料として用いる燃料電池からの排出物は水であり、地球環境保護の観点からも、非常に有用な電源である。
燃料電池としては、固体高分子型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、リン酸型燃料電池など、各種燃料電池が提案されている。この中では、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動可能であることから、自動車等の移動体用動力源として期待され、開発が進められている。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質型燃料電池、PEFCとも呼ばれ、プロトン伝導性の固体高分子電解質を用いた燃料電池である。PEFCは、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の両側に、発電反応を促進する電極触媒を含む一対の触媒層、すなわち酸素極触媒層および燃料極触媒層が形成された膜電極接合体を有する。さらに、触媒層の外側には、ガス拡散層およびセパレータなどが配置される。セパレータの触媒層側表面には、ガスが流通するガス流路が形成され、発電反応に用いられるガスはガス流路およびガス拡散層などを拡散して触媒層に供給される。また、発電反応に伴い生成した水は、ガス拡散層およびガス流路などを経て、PEFCの外部に排出される。
触媒層には、カーボン担体に触媒粒子が担持されてなる電極触媒の他に、プロトン伝導性の固体高分子電解質が含まれる。従来の触媒層では、固体高分子電解質がバインダーの役割を果たし、電極触媒の凝集体により空孔が形成された多孔質構造を有していた。
かようなPEFCでは、以下のような発電反応が進行する。まず、燃料極側に供給された燃料ガスに含まれる水素は、触媒粒子により酸化され、プロトンおよび電子となる(2H→4H+4e)。次に、生成したプロトンは、燃料極触媒層に含まれる固体高分子電解質、さらに燃料極触媒層と接触している高分子電解質膜を通り、酸素極触媒層に達する。また、燃料極触媒層で生成した電子は、燃料極触媒層を構成しているカーボン担体、さらに燃料極触媒層の高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、セパレータおよび外部回路を通して酸素極触媒層に達する。そして、酸素極触媒層に達したプロトンおよび電子は酸素極側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する(O+4H+4e→2HO)。燃料電池では、上述した発電反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
前記発電反応は、触媒粒子と、固体高分子電解質と、供給されたガスとが接触する三相界面において生じる。従って、三相界面の形成量が高く、高い出力電圧が得られる燃料電池とするためには、触媒層において反応ガスを十分に拡散させるための多孔質構造をできるだけ緻密に作製するのが一般的である。しかしながら、緻密な多孔質構造を有する触媒層では、特に厚み方向のガス拡散性が低下する問題があった。
この問題を解決する技術としては、触媒層面内に、意図的にガス拡散性を向上させるためのクラックを設けて、反応ガスの流通経路を確保する技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−270187号公報
PEFCは、コストとともに電池の寿命が問題となっている。電池の寿命としては、自動車で5000時間、家庭用では4万時間ともいわれ、長期にわたって高い発電性能を維持することが求められている。
しかしながら、上記特許文献1に記載のPEFCでは、触媒層に形成されたクラックによりカーボン担体間の接触が絶たれて電子移動パスが減少し、触媒層の電子移動抵抗が増大する。そのため、PEFCの出力電圧を十分に向上させるのは困難であった。
さらに、上記特許文献1などの従来のPEFCでは、起動停止の繰り返しによってカーボン担体が腐食して触媒層の多孔質構造が破壊される問題があった。カーボン担体の腐食は、触媒層中に存在する水を酸化剤として二酸化炭素を生成する電気化学的な酸化反応(C+2HO→CO+4H+4e)によって生じる。カーボン担体の腐食により多孔質構造が破壊すると触媒層のガス拡散性及び排水性が低下して濃度過電圧が増大し、電池特性が低下する傾向がある。
このように、従来のPEFCでは、カーボン担体の腐食によって十分な耐久性がえられず、長期にわたって高い発電性能を維持することが困難であった。
そこで、本発明が目的とするところは、高い発電性能を長期にわたって維持することができる固体高分子型燃料電池を提供することである。
本発明は、固体高分子電解質膜の両側に一対の触媒層が配置されてなる膜電極接合体が、ガス流路を有するセパレータにより挟持されてなり、
前記触媒層は、カーボン担体に触媒粒子が担持された電極触媒と、固体高分子電解質とを少なくとも含む固体高分子型燃料電池であって、
前記触媒層のうちの少なくとも一方は、前記固体高分子電解質膜と接触し、クラックを有しない触媒層(1)と、クラックを有する触媒層(2)とが前記膜電極接合体の厚さ方向に積層されてなり、
前記触媒層(1)および前記触媒層(2)のうちの少なくとも一方は、前記前記カーボン担体の結晶性が前記ガス流路の入口側から出口側に向かって高くなる固体高分子型燃料電池により上記課題を解決する。
本発明の固体高分子型燃料電池おいては、触媒層に含まれる触媒に、反応ガスが効率的に供給される。また、反応ガスを効率的に供給するための手段による、触媒層の電子移動抵抗の増大が最小限に抑制される。さらに、触媒層におけるカーボン担体の腐食が効率的に抑制される。
まず、本発明の固体高分子型燃料電池(単に「PEFC」とも記載する)を図1を用いて説明する。図1は、本発明の固体高分子型燃料電池150の断面模式図である。
膜電極接合体100の中央には、固体高分子電解質膜110が配置される。固体高分子電解質膜110の燃料極側には触媒層120aが配置され、触媒層120aは固体高分子電解質膜110側に配置された、クラックが形成されていない触媒層(1)121aと、セパレータ140a側に配置された、クラック123aが形成された触媒層(2)122aとからなる。一方、固体高分子電解質膜110の酸素極側にも、触媒層120cが配置され、燃料極側と同様に、触媒層120cは、固体高分子電解質膜110側に配置された、クラックが形成されていない触媒層(1)121cと、セパレータ140c側に配置された、クラック123cが形成された触媒層(2)122cとからなる。
固体高分子型燃料電池150は、膜電極接合体100の両側を、さらに二枚のセパレータ140a、140cで挟持された構造を有する。セパレータ140a、140cは、水素を含む燃料ガスまたは酸素を含む酸化剤ガスなどの外部から供給されるガスを触媒層120a、120cに供給させるためのガス流路141を有する。
なお、本願において「膜電極接合体」とは、固体高分子電解質膜、固体高分子電解質膜を挟持する1対の触媒層と、を少なくとも有する積層体を意味する。
本発明の固体高分子型燃料電池においては、少なくとも一方の触媒層が、膜電極接合体の構成要素が積層される方向、すなわち膜電極接合体の厚さ方向に触媒層(1)および触媒層(2)が積層された2以上の層からなる。
触媒層(1)および触媒層(2)からなる触媒層において、セパレータ側に配置された層を触媒層(2)とし、この触媒層(2)が、ガスの供給を促進するためのクラックを有する。一方、高分子電解質膜側に配置された層を触媒層(1)とし、この触媒層(1)は、ガスの供給を促進するためのクラックを有さない。
このように、燃料極側または酸素極側の少なくとも一方の触媒層を、触媒層(1)および触媒層(2)を含む2以上の層からなる積層構造とし、セパレータ側に配置された触媒層(2)には、クラックを設ける。クラックにより、セパレータに設けられたガス流路を通じて供給されたガスの拡散性が向上し、触媒層に配置された触媒粒子へ、効率よくガスが供給される。また、クラックにより、触媒層における電池反応により生成した水が、セパレータ側に効率よく排除されうる。
一方、高分子電解質膜110と接している触媒層(1)には、ガスの供給を促進するためのクラックが形成されない。クラックを有さない触媒層の存在により、電子移動パスが確保され、触媒層の電子移動抵抗の増大が最小限に抑制される。
このように、触媒層を2以上の層からなる積層構造とし、セパレータ側に配置された触媒層(2)によってガス拡散および生成水排出機能の向上を図り、高分子電解質膜側に配置された触媒層(1)によって電子電動機能の確保を図ることにより、触媒層に含まれる触媒粒子に反応ガスが効率的に供給され、かつ、触媒層の電子移動抵抗の増大が最小限に抑制される。
本発明の触媒層では、触媒層(1)および触媒層(2)を含む2以上の層からなる積層構造とし、さらに、触媒粒子の担体として用いられるカーボン担体の結晶性を、前記触媒層(1)および前記触媒層(2)のうちの少なくとも一方においてセパレータのガス流路の入口側から出口側に向かって高くする構成を有する。
電極反応により生成した水分、および、セパレータに設けられたガス流路を通じて供給されたガスに含まれる水分は、触媒層において停留しやすく、触媒層においてガス流路の入口側から出口側に向かって停留する水分量が多くなる。カーボン担体の腐食は、上述した通り、水を酸化剤として進行する。このため、燃料電池の耐久性の低下の要因となるカーボン担体の腐食は、ガス流路の入口側から出口側に向かうにつれて著しく生じる傾向がある。触媒層においてガス流路の入口側のカーボン担体の腐食が少なくても、出口側のカーボン担体の腐食が大きいことに起因して、電池全体の発電性能が低下する傾向がある。
また、結晶性の低いカーボン担体は、比表面積が大きく触媒粒子を高分散担持させることができるのに対して、結晶性の高いカーボン担体は耐食性に優れる。触媒層において、カーボン担体の腐食が生じ難い部位に結晶性の低いカーボン担体を配置するとともに、カーボン担体の腐食が生じ易い固体高分子電解質膜側に結晶性の高いカーボン担体を配置することにより、高い触媒活性を維持しつつ、触媒層におけるカーボン担体の腐食を効率的に抑制することができるのである。
このように、本発明の固体高分子型燃料電池では、触媒層を2以上の層からなる積層構造とし、さらに、カーボン担体の結晶性を触媒層(1)および/または(2)において所定の方向に向かって高くすることにより、触媒層において電子伝導性および触媒活性の確保ならびにガス拡散性の向上と同時に、燃料電池の起動停止サイクルが繰返されることにより発生するカーボン腐食を抑制することが可能となる。従って、本発明によれば、高い発電性能を長期にわたって維持することができる固体高分子型燃料電池を提供することができる。
続いて、本発明のPEFCにおける触媒層が有する構成について説明する。
触媒層は、電極反応を媒介する触媒粒子が配置される部位である。触媒層は、一般的には、カーボン担体に触媒粒子が担持されてなる電極触媒、および、プロトン伝導性の固体高分子電解質を含む。
本発明においては、燃料極側および酸素極側の少なくとも一方に配置された触媒層は、触媒層(1)および触媒層(2)の少なくとも二層が積層されてなる。少なくとも2層からなる触媒層において、クラックを有する触媒層(2)がセパレータ側に配置され、クラックを有さない触媒層(1)が高分子電解質膜側に配置される。
前記触媒層は三層以上の層が積層されていてもよく、このとき、触媒層(2)がセパレータ側の最外層に配置され、触媒層(1)が固体高分子電解質膜側に配置され、前記触媒層(1)および前記触媒層(2)の間にさらに触媒層(3)などの他の層が配置されればよい。前記触媒層(3)としては、例えば、触媒層(1)の空隙率と触媒層(2)の空隙率の間の空隙率を有する触媒層といった構成を有するものなどが挙げられる。
従来一般的なPEFCの触媒層では、電極触媒間の隙間からなり、大きさが直径数nm〜数百nm程度である空孔を有する。この空孔に対して、本発明における「クラック」とは、図1に示すように所定の大きさのひび割れを意味する。従って、前記触媒層(1)は電極触媒間などにより形成される空孔を有し、前記触媒層(2)は前記空孔の他、さらにクラックを有する。このようにクラックが触媒層に存在することにより、供給されたガスを触媒層の面方向および積層方向の双方に効率的に拡散するのを促進させることが可能となる。
前記クラックは、燃料ガスや酸化剤ガスの供給が促進されるのであれば、形状や大きさについては特に限定されない。前記クラックの直径は、好ましくは数十nm〜数十μmであり、より好ましくは数百nm〜数十μmである。なお、クラックの直径とは、クラックが有する空隙部の直径を意味する。このクラックの直径はマイクロスコープ等の観察により測定できる。
前記触媒層(2)の空隙率は、前記触媒層(1)の空隙率の1.5〜3.0倍とするのが好ましく、より好ましくは2.0〜3.0倍とするのがよい。これにより、触媒層のガス拡散性、排水性、発電性能をより向上させることができる。
前記触媒層(1)の空隙率は特に制限されないが、電子伝導性を確保する観点からは、好ましくは10〜60%、より好ましくは20〜50%とするのがよい。
前記触媒層(2)の空隙率は、特に限定されないが、ガスの供給を効果的に促進し、触媒の利用率を大きく低下させないためには、30〜80%、より好ましくは50〜80%程度の空隙率を有しているとよい。
前記触媒層(1)および(2)の空隙率は、SEM写真からの計測及び水銀ポロシメーターを用いることによって測定できる。
本発明では、さらに、前記触媒層(1)および前記触媒層(2)のうちの少なくとも一方においてセパレータのガス供給路のガスの入口側から出口側に向かって、カーボン担体の結晶性を高くする。
本発明では、触媒層(1)および/または(2)に含まれるカーボン担体の結晶性を、触媒層のセパレータのガス供給路のガスの入口側から出口側に向かって高くするが、さらに、触媒層(1)および(2)を有する触媒層のセパレータ側から固体高分子電解質膜側に向かってカーボン担体の結晶性を高くするのが好ましい。これにより、触媒層のカーボン担体の腐食が生じ易い部位に耐食性の高いカーボン担体を配置することができ、よりPEFCの耐久性を向上させることができる。
触媒層に含まれるカーボン担体の結晶性を触媒層のセパレータ側から固体高分子電解質膜側に向かって高くするには、より好ましくは、触媒層(1)に含まれるカーボン担体の結晶性を触媒層(2)に含まれるカーボン担体の結晶性よりも高くするのがよい。これにより、触媒層におけるカーボン担体の結晶性を容易に調整することができる。また、前記触媒層(1)および前記触媒層(2)の間にさらに他の触媒層(3)などが存在することにより、触媒層が三層以上となっている場合には、前記触媒層(2)から前記触媒層(1)に向かってカーボン担体の結晶性が高くなるように触媒層(3)に含まれるカーボン担体の結晶性を調整すればよい。
前記カーボン担体の結晶性は、カーボン担体のグラファイト化により容易に調整することができる。
前記カーボン担体のグラファイト化は、熱処理など、従来一般的に用いられているものであれば特に限定されない。前記熱処理は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。また、熱処理温度、熱処理時間は、用いるカーボン担体の材質によって異なるが、2,000〜3,000℃で、5〜20時間程度行えばよい。
このようにグラファイト化などによりカーボン担体の結晶性が向上するとともに、カーボン担体の比表面積は小さくなり、カーボン担体の比表面積はカーボン担体の結晶性の指標となる。すなわち、本発明の触媒層の好ましい形態としては、触媒層における前記カーボン担体の比表面積が、前記ガス流路の入口側から出口側に向かって、かつ、セパレータ側から固体高分子電解質膜側に向かって小さくなる形態となる。
このとき、カーボン担体の比表面積は、触媒層の前記ガス流路の入口側から出口側に向かって、より好ましくはさらにセパレータ側から固体高分子電解質膜側に向かって、段階的に小さくなってもよく、漸減してもよい。なかでも、触媒層の製造、触媒層におけるカーボン担体の結晶性の制御などが容易であることから、カーボン担体の比表面積は、段階的に小さくなるのがよい。
所定の比表面積を有するカーボン担体は、触媒層(1)および/または触媒層(2)において所定の方向に向かって結晶性が多くなるようにそれぞれ配置される。触媒層(1)および/または触媒層(2)において、各カーボン担体が触媒層において含まれる範囲は、得られるPEFCの耐久性、発電性能などを考慮して適宜決定すればよい。
好ましい一実施形態としては、例えば、膜電極接合体の面方向に向かって触媒層を二以上の領域にわける図2に示す構成が挙げられる。図2は、触媒層120の模式図であり、膜電極接合体の面方向(矢印A)に向かって、触媒層(1)を二つの領域、すなわち入口側触媒層(1−1)121iと出口側触媒層(1−2)121eに別け、これと同様にして、触媒層(2)も入口側触媒層(2−1)122iと出口側触媒層(2−2)122eに別ける。所定の比表面積を有するカーボン担体を、入口側触媒層(1−1)121i、出口側触媒層(1−2)121e、入口側触媒層(2−1)122i、および出口側触媒層(2−2)122eにそれぞれ含ませるのがよい。そして、前記触媒層を固体高分子型燃料電池に組み込む際に、入口側触媒層(1−1、2−1)をセパレータのガス流路入口側に近接するように配置し、出口側触媒層(1−2、2−2)をセパレータのガス流路出口側に近接するように配置すればよい。
前記触媒層(1)が入口側触媒層(1−1)および出口側触媒層(1−2)の少なくとも二層からなるとき、隣接する層とのカーボン担体の比表面積の差は、好ましくは130〜700m/g、より好ましくは70〜200m/gとするのがよい。
また、前記触媒層(2)が入口側触媒層(2−1)および出口側触媒層(2−2)の少なくとも二層からなるとき、隣接する層とのカーボン担体の比表面積の差は、好ましくは200〜800m/g、より好ましくは300〜500m/gとするのがよい。
各層におけるカーボン担体の比表面積として、具体的には、入口側触媒層(2−1)に含まれるカーボン担体の比表面積を、好ましくは400〜1200m/g、より好ましくは600〜900m/gとし、出口側触媒層(2−2)に含まれるカーボン担体の比表面積を、好ましくは200〜900m/g、より好ましくは250〜350m/gとする。このとき、カーボン担体の結晶性は、入口側触媒層(2−1)よりも出口側触媒層(2−2)の方が小さくなるようにするのがよい。
また、入口側触媒層(1−1)に含まれるカーボン担体の比表面積を、好ましくは200〜900m/g、より好ましくは250〜350m/gとし、出口側触媒層(1−2)に含まれるカーボン担体の比表面積を、好ましくは70〜250m/g、より好ましくは100〜200m/gとする。このとき、カーボン担体の結晶性は、前記入口側触媒層(1−1)よりも前記出口側触媒層(1−2)の方が小さく、前記入口側触媒層(2−1)よりも前記入口側触媒層(1−1)の方が小さく、前記出口側触媒層(2−2)よりも前記出口側触媒層(1−2)の方が小さくするのがよい。
なお、本発明においてカーボン担体の比表面積とは、窒素吸着により測定したBET法により測定した値とする。
触媒層(1)における入口側触媒層(1−1)と出口側触媒層(1−2)との範囲、触媒層(2)における入口側触媒層(2−1)と出口側触媒層(2−2)との範囲は得られる固体高分子型燃料電池の耐久性を考慮して決定すればよい。
入口側触媒層(2−1)は、触媒層(2)の全体に対して、好ましくは30〜60体積%、より好ましくは40〜50体積%とするのがよい。
また、入口側触媒層(1−1)は、触媒層(1)の全体に対して、好ましくは30〜60体積%、より好ましくは40〜50体積%とするのがよい。
上記では、膜電極接合体の面方向に向かって触媒層(1)および(2)を二つの領域に分割したが、さらに、膜電極接合体の面方向に向かって触媒層(1)および/または(2)を3つ以上の領域に分割してもよい。この場合、入口側触媒層(1−1、2−1)および出口側触媒層(1−2、2−2)の間に他の層が配置されればよく、入口側触媒層(1−1、2−1)から出口側触媒層(1−2、2−2)に向かってカーボン担体の比表面積が小さくなるようにすればよい。
セパレータにおけるガス流路の入口側から出口側に向かってカーボン担体の結晶性が大きくなるのは、触媒層(1)および触媒層(2)の少なくとも一方であればよいが、カーボン担体の腐食がより起こり易い触媒層(1)に少なくとも適用されることがより好ましく、最も好ましくは触媒層(1)および触媒層(2)の双方である。これにより、固体高分子型燃料電池の耐久性をより向上させることができる。
本発明の触媒層は、上述したカーボン担体に触媒粒子が担持された電極触媒の他に、固体高分子電解質を少なくとも含む。
前記触媒層において、セパレータ側から固体高分子電解質膜側に向かって固体高分子電解質の含有量が多くなっているのが好ましい。この時、触媒層における固体高分子電解質の含有量は、段階的に多くなってもよく、漸増してもよい。触媒層の製造、および、固体高分子電解質量の制御の容易さからいうと、段階的に多くなっているのがよい。従って、触媒層(1)における固体高分子電解質の含有量が、触媒層(2)における固体高分子電解質の含有量よりも大きくするのが好ましい。
触媒層における固体高分子電解質量が増加すると、プロトン移動抵抗が減少する。このため、固体高分子電解質膜に近接する部位においては、固体高分子電解質の濃度を上昇させることによって、十分なプロトン伝導性が確保される。一方、固体高分子電解質量が多いと、ガス拡散性や排水性は低下する虞がある。このため、セパレータに近接する部位においては、固体高分子電解質の濃度を低下させて、ガス拡散性および排水性を確保するとよい。
触媒層(1)および触媒層(2)における固体高分子電解質の含有量の差は、好ましくは0〜7質量%、より好ましくは0〜3質量%とするのがよい。
具体的には、触媒層(1)における固体高分子電解質の含有量を、触媒層(1)の総重量(触媒粒子+カーボン担体+高分子電解質)に対して、好ましくは27〜32質量%、より好ましくは28〜31質量%とし、触媒層(2)における固体高分子電解質の含有量を、触媒層(2)の総重量(触媒粒子+カーボン担体+高分子電解質)に対して、好ましくは26〜31質量%、より好ましくは27〜30質量%とするのがよい。
前記触媒層(2)の厚さは、触媒層に供給されたガスの拡散性および生成水の排出性を向上させる観点からは、前記触媒層(1)の厚さ以上であるのが好ましい。
より好ましくは、前記触媒層(2)の厚さが、前記触媒層(1)の厚さの1.0〜7.5倍、さらに1.0〜5.0倍、特に1.5〜3.0倍である。このような構成であれば、ガス拡散および生成水の排出の双方が効果的に進行する。電子移動パスは、比較的薄い層であっても十分に確保されるため、前記触媒層(1)の厚さが比較的薄くてもよい。前記触媒層(1)および前記触媒層(2)のそれぞれ厚は、平均膜厚として算出され、例えば、測定される膜を9分割して、9つの領域の各断面からSEM写真を用いて膜厚を測定した際の、平均値として算出される。
具体的には、前記触媒層(2)の厚さは、好ましくは4〜15μm、より好ましくは6〜10μmである。前記触媒層(1)の厚さは、好ましくは2〜7μm、より好ましくは2〜5μmである。前記触媒層(1)の総膜厚をこの範囲にすることで、発電反応に必要な触媒量が確保される。また、電池サイズの増大や電子移動抵抗の増大が抑制される。
前記触媒層(2)と前記触媒層(1)とを有する触媒層の総膜厚は、好ましくは50μm以下である。触媒層全体の厚さが薄すぎると、電極反応に必要な触媒量を十分に確保できなくなる虞、および、電池性能や寿命特性が低下する虞がある。一方、触媒層の厚さが厚すぎると、発電性能が低下する虞がある。したがって、電池性能や寿命特性を考慮して、触媒層の厚みが決定されるべきである。
本発明のPEFCにおいて、触媒層(1)および触媒層(2)を含む2以上の層からなる積層構造とし、さらに、触媒粒子の担体として用いられるカーボン担体の結晶性を、セパレータのガス流路の入口側から出口側に向かって高くする構成を有する上述した触媒層は、燃料極触媒層および酸素極触媒層のうち少なくとも一方に用いられればよい。なかでも、水分の停留が生じてカーボン担体の腐食が生じ易い酸素極触媒層に用いられるのが好ましく、より好ましくは図1に示すように、燃料極触媒層および酸素極触媒層の双方に用いられるのがよい。
本発明のPEFCは、触媒層が、触媒層(1)および触媒層(2)から構成される点を除いては、従来のPEFCにおいて用いられていた材料が、同様に用いられうる。以下に、固体高分子電解質膜、触媒層などの基本構成について、簡単に説明するが、例示する材料や形状に、これらの材料が限定されるわけではなく、従来公知のものが適宜用いられる。
固体高分子電解質膜は、プロトン伝導性を有する高分子膜である。固体高分子電解質膜としては各種の材料が提案されている。例えば、デュポン社製の各種のNafion(デュポン社登録商標)やフレミオンに代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂膜、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベースポリマーとする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜など、一般的に市販されている固体高分子型電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。
前記固体高分子電解質膜の厚さは、得られるMEAの特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μm、特に好ましくは15〜150μmである。製膜時の強度やMEA作動時の耐久性の観点から5μm以上であることが好ましく、MEA作動時の出力特性の観点から300μm以下であることが好ましい。
触媒層は、触媒粒子がカーボン担体に担持されてなる電極触媒と、固体高分子電解質とを少なくとも含む。
前記カーボン担体としては、触媒粒子を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、集電体として十分な電子導電性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであるのが好ましい。具体的には、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。高い比表面積および導電性に優れることからカーボンブラックが好ましく用いられる。
前記カーボン担体の形状は、特に制限されないが、触媒粒子を高分散担持させるには粒子状であるのが望ましい。前記カーボン粒子の平均粒子径は、電極触媒を用いて作製する電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するという観点からは、5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度とするのがよい。
電極触媒に用いられる触媒粒子としては、水素の酸化反応および/または酸素の還元反応に触媒作用を有することが求められ、少なくとも白金を含むものが好ましく用いられる。また、触媒粒子は、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、白金と、その他の金属との合金としてもよい。前記合金として、具体的には、白金と、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、およびアルミニウムなどから選択される少なくとも1種以上の金属との合金などが挙げられる。前記合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金が30〜90原子%、合金化する金属が10〜70原子%とするのがよい。
触媒層には、電極触媒の他に、固体高分子電解質が含まれる。前記固体高分子電解質としては、特に限定されず公知のものを用いることができるが、少なくとも高いプロトン伝導性を有する部材であればよい。具体的には、Nafion(登録商標、デュポン社製)、Flemion(登録商標、旭硝子株式会社製)、Aciplex(登録商標、旭化成株式会社製)などのスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体、などが挙げられる。
本発明のPEFCは、固体高分子電解質膜の両側に、一対の触媒層、すなわち燃料極触媒層および空気極触媒層が配置されてなる膜電極接合体を有するが、さらに、燃料極触媒層および空気極触媒層の外側にガス拡散層(GDL)が配置されてもよい。
GDLに用いられる材料としては、カーボンペーパ、カーボンクロス、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどからなるシート状材料が提案されている。GDLには、電子伝導性、撥水性などの機能も求められる。GDLが優れた電子伝導性を有していると、発電反応により生じた電子の効率的な運搬が達成され、燃料電池の性能が向上する。また、GDLが優れた撥水性を有していると、生成した水が効率的に排出される。
高い撥水性を確保するために、GDLを構成する材料を撥水化処理する技術も提案されている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を含む溶液中にカーボンペーパなどのGDLを構成する材料を含浸させ、大気中または窒素などの不活性ガス中で乾燥させる。場合によっては、親水化処理が、GDLを構成する材料に施されてもよい。乾燥後に、カーボンブラック粉末とPTFE等により形成されるカーボン層を配置しても良い。
GDLは、性能を向上させるために各種改良が施されても良い。例えば、カーボン繊維織布シート状材料の表面に、フッ素樹脂とカーボンブラックからなる層を形成することによって、GDLのガス拡散性や対圧縮性の向上が図られても良い(例えば、特開平10−261421号公報、特開平11−273688号公報参照)。
本発明の固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものであれば制限なく用いることができる。セパレータは、酸化剤ガスと燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するためのガス流路を有するのがよい。セパレータの厚さや大きさ、ガス流路の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。セパレータにおけるガス流路の形状としては、蛇行状の他、セパレータの一端から他端に向かって直線状となるものなどが挙げられる。
本発明のPEFCには、上記したものの他にも、必要に応じて種々の部材が設置されうる。例えば、PEFCに供給されたガスの外部へのリークを防ぐガスケットが配置される。
本発明の固体高分子型燃料電池では、固体高分子型燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介して膜電極接合体を複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
本発明の固体高分子型燃料電池の用途としては特に制限されない。本発明の固体高分子型燃料電池は、耐久性に優れることから、起動停止が頻繁に繰返されることにより燃料電池の構成材料の劣化が生じ易い自動車などの車両における駆動用電源として用いられるのがよい。
以下に、本発明のPEFCに用いられる、触媒層(1)および触媒層(2)からなる触媒層の製造方法として好ましい一実施形態を挙げて説明する。
まず、クラックを有しない触媒層(1)を作製するための触媒スラリーを調製する。前記触媒スラリーには、触媒層を構成する材料、例えば、電極触媒、固体高分子電解質などが配合される。前記スラリーに用いられえる溶媒としては、水、および/または、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられる。
前記触媒スラリーは撥水性基材などの所定のシート上に塗布および乾燥させた後に、得られた触媒層(1)を固体高分子電解質膜の表面に転写させてもよいし、固体高分子電解質膜の表面にスラリーを直接塗布してもよい。撥水性基材上に形成された塗膜は、高分子電解質膜上にホットプレスにより転写される。ホットプレスの後、撥水性基材は剥がされる。
触媒層(1)においてクラックの発生を抑制するためには、触媒スラリーを塗布する基材として多孔質なものは用いない方がよい。さらに、前記触媒スラリーを撥水性基材または固体高分子電解質膜上に1回で塗布する厚さを薄くして塗布した後に乾燥させる工程を繰り返し、所望の厚さを有する触媒層を作製するのがよい。
このとき、塗布方法としては特に制限されず、ダイコーター法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレー法など、公知の方法を用いて行うことができる。塗布したスラリーの乾燥は、20〜25℃で、0.5〜2時間程度行えばよい。
次に、クラックを有する触媒層(2)の作製方法としては、上記と同様にして調製した触媒スラリーを、撥水性基材、ガス拡散層に用いられるカーボンペーパなどの基材上に塗布および乾燥させる方法が用いられる。
触媒層(2)においてクラックを発生させるために、前記触媒スラリーを塗布する基材は、多孔質なものを用いるのがよい。具体的には、ガス拡散層に用いられるカーボンペーパなどが好ましく用いられる。このように多孔質な基材を用いることで、触媒スラリーの乾燥状態にバラツキができ、乾燥が速い部位に体積収縮が生じることで乾燥が遅い部位が引っ張られ、クラックが生じるものと考えられる。前記触媒スラリーの乾燥温度は、20〜25℃程度であればよい。
また、塗布した触媒スラリーを乾燥させる際の乾燥温度を調整することによっても、触媒層(2)におけるクラックを発生させることができる。具体的には、撥水性基材、ガス拡散層などの基材上に塗布した触媒スラリーを、70〜100℃程度で加熱乾燥させるのがよい。
さらに、前記触媒スラリーに、ショウノウなどの発泡剤を添加することによっても得られる触媒層(2)にクラックを発生させることができる。
本発明では、触媒層において、セパレータのガス流路の入口側から出口側に向かって、カーボン担体の結晶性を向上させる。かような触媒層を作製するには、触媒インクを調製する際に、結晶性が異なるカーボン担体を含む触媒インクを複数調製し、各触媒インクを塗布する部位を調節する方法などを用いればよい。
以下、本発明について実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲は、以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
1.触媒層インクの調製
カーボン担体(ケッチェンブラック、比表面積約800m/g)上に白金粒子(平均粒子径2.5nm、担持量約47質量%)が担持された電極触媒1に対し、純水2.5重量部、5wt%ナフィオンTM溶液を9重量部、1−プロパノール1重量部を混合し、ホモジナイザーで分散混合させ、触媒層インクAを調製した。
次に、カーボン担体(ケッチェンブラック)を、窒素ガス雰囲気、1300℃、約8時間で、熱処理したカーボン担体(比表面積約300m/g)上に白金粒子(平均粒子径約3nm、担持量約47質量%)を担持した電極触媒2に対し、純水2.5重量部、5wt%ナフィオンTM溶液を9重量部、1−プロパノール1重量部を混合し、ホモジナイザーで分散混合させ、触媒層インクBを調製した。
次に、カーボン担体(ケッチェンブラック)を、窒素ガス雰囲気、2000℃、約10時間で、熱処理したカーボン担体(比表面積約120m/g)上に白金粒子(平均粒子径約3nm、担持量約47質量%)を担持した電極触媒3に対し、純水2.5重量部、5wt%ナフィオンTM溶液を9重量部、1−プロパノール1重量部を混合し、ホモジナイザーで分散混合させ、触媒層インクCを調製した。
2.酸素極触媒層の作製
上記の通りに調製した触媒層インクA、触媒層インクB、触媒層インクCを用いて酸素極触媒層を形成した。本実施例では酸素極触媒層の構造を二層構造とするため、以下では、触媒層(1)、触媒層(2)を作製した。
まず、触媒層(1)を、厚さ0.08mmのテフロンシート上に、スクリーンプリンターを用いて形成した。触媒インクの塗布面積を全体で50mm×50mmとし、そのうちの50mm×25mmの部分に触媒層インクBを塗布し、残りの50mm×25mmを触媒層インクCに塗布した後、約25℃で約1時間乾燥させた。これにより、クラックが形成されていない触媒層(1)(厚さ約4μm、空隙率約35体積%)を得た。
次に、触媒層(2)を、ガス拡散層として用いるカーボン層(カーボンブラック+PTFE粒子)付きカーボンペーパ(厚さ約300μm、大きさ52mm×63mm)上に、テーブルコーターを用いて形成した。触媒インクの塗布面積を全体で触媒層(1)と同様に50mm×50mmとし、そのうち50mm×25mmの部分に触媒層インクAを塗布し、残りの50mm×25mmの部分に触媒層インクBを塗布した後、約25℃で約1時間乾燥させた。これにより、クラックが形成された触媒層(2)(厚さ約8μm、空隙率約70%)を得た。なお、前記カーボン層上の所定の部分のみ触媒層インク塗布するため、所定の大きさの開口部を有するマスクを用いて触媒インクを塗布した。
3.燃料極触媒層の作製
次に、燃料極触媒層を、厚さ0.08mmのテフロンシート上の50mm×50mmの部分に、スクリーンプリンターを用いて上記調製した触媒層インクAを塗布し、約25℃、約1時間乾燥させた。これにより、クラックが形成されていない燃料極触媒層(厚さ約10μm、空隙率約35%)の厚さを得た。
4.PEFCの作製
触媒層(1)を形成したテフロンシート、および、燃料極触媒層を形成したテフロンシートで、固体高分子電解質膜(NafionTM111、厚さ25μm、大きさ72mm×72mm)を挟みこみ、150℃で10分間ホットプレスすることで、触媒層(1)と燃料極触媒層とを一体化し、さらに、テフロンシートを剥がした後に触媒層1の上に触媒層(2)を配置し(このときに、触媒層(1)における触媒層インクCで塗布された部分と、触媒層(2)における触媒層インクBで塗布された部分が接するようにした)、燃料極触媒層上にカーボン層(カーボンブラック+PTFE粒子)付きカーボンペーパ(厚さ約300μm、大きさ52mm×63mm)を配置し、それらを一体化して膜電極接合体(MEA)を作製した。
膜電極接合体を1対のセパレータで挟持し、PEFCの単セルを作製した。なお、前記セパレータには、サーペンタイン型ガス供給路が設けられており、触媒層(1)における触媒層インクBで塗布された部分と、触媒層(2)における触媒層インクAで塗布された部分とが、ガス供給路の入口側に近接するようにし、触媒層(1)における触媒層インクCで塗布された部分と、触媒層(2)における触媒層インクBで塗布された部分とが、ガス供給路の出口側に近接するようにして、膜電極接合体を1対のセパレータで教示した。
5.評価
上記で作製したPEFCの初期発電特性および耐久性の評価を下記手順に従って行った。
(1)初期発電特性
セル温度:70℃、燃料極:水素(60%RH、利用率67%)、酸化剤極:空気(50%RH、利用率40%)、供給ガスは加圧せずに測定した。この条件下で発電試験を行い、0.2A/cmと、1.0A/cmにおける初期セル電圧を測定した。結果を表1に示す。
(2)耐久性
セル温度、供給ガスの加湿条件は、初期発電特性と同条件とした。発電:3分、停止3分のサイクルを行い、1000サイクル後のセル電圧を測定し、1000サイクル後のセル電圧と初期セル電圧との差で耐久性の比較を行った。
上記発電時の条件は、供給ガス流量は燃料極には260cc/minの純水素を、酸化剤極には1050cc/minの空気を供給した。また、0Aから1A/cmまでの負荷上昇時間を30秒とした。
上記、起動停止のサイクル試験において、停止中のガス条件を以下に示す。燃料電池の発電終了後、電流負荷をOFFにすると同時に、燃料極には100cc/minの無加湿の空気を供給し、酸化剤極はガスの供給をせず、この状態を2分30秒間保持。その後、電流負荷をOFFの状態のまま、燃料極には260cc/minの水素を、酸化剤極には1050cc/minの空気を供給した。結果を表2に示す。
(実施例2)
カーボン担体(Vulcan XC−72、比表面積約270m/g)上に白金粒子(平均粒子径約3nm、担持量約47質量%)を担持した電極触媒8 1重量部、純水2.5重量部、5wt%ナフィオンTM溶液を9重量部、1−プロパノール1重量部を混合し、ホモジナイザーで分散混合させ、触媒層インクB’’を調製した。
次に、カーボン担体(アセチレンブラック、比表面積約100m/g)上に白金粒子(平均粒子径約3nm、担持量約47質量%)を担持した電極触媒10 1重量部、純水2.5重量部、5wt%ナフィオンTM溶液を9重量部、1−プロパノール1重量部を混合し、ホモジナイザーで分散混合させ、触媒層インクC’’を調製した。
触媒インクBに代わって触媒インクB’’を用い、触媒インクCに代わって触媒インクC’’を用いた以外は、実施例1と同様にしてPEFCを作製し、これを評価した。結果を表1および表2に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして調製した触媒層インクAを、厚さ0.08mmのテフロンシート上の50mm×50mmの部分に、スクリーンプリンターを用いて塗布して約25℃、約1時間乾燥させ、この塗布および乾燥工程を6回繰り返すことにより、クラックが形成されていない触媒層(厚さ12μm、空隙率約35%)を得た。
上記の通りにして触媒層が形成されたテフロンシートを二枚用いて触媒層が内側となるようにして、固体高分子電解質膜(NafionTM111、厚さ25μm、大きさ72mm×72mm)を挟みこみ、150℃で10分間ホットプレスすることで、触媒層と固体高分子電解質膜とを一体化し、これをさらにカーボン層(カーボンブラック+PTFE粒子)付きカーボンペーパ(厚さ約300μm、大きさ52mm×63mm)二枚用いて挟持して膜電極接合体を作製した。
前記膜電極接合体を用いて実施例1と同様にしてPEFCを作製し、これを評価した。結果を表1および表2に示す。
(比較例2)
実施例1と同様にして調製した触媒層インクAを、カーボン層(カーボンブラック+PTFE粒子)付きカーボンペーパ(厚さ約300μm、大きさ52mm×63mm)上の50mm×50mmの部分に、スクリーンプリンターを用いて塗布して40℃で10分間、60℃で20分間乾燥させ、この塗布および乾燥工程を6〜8回繰り返すことにより、クラックが形成された触媒層(厚さ12μm、空隙率約35%)を形成した。
上記の通りにして触媒層が形成されたカーボンペーパを二枚用いて触媒層が内側となるようにして、固体高分子電解質膜(NafionTM111、厚さ25μm、大きさ72mm×72mm)を挟みこみ、150℃で10分間ホットプレスすることで、触媒層と固体高分子電解質膜とを一体化して膜電極接合体を作製した。
前記膜電極接合体を用いて実施例1と同様にしてPEFCを作製し、これを評価した。結果を表1および表2に示す。
Figure 2006344426
Figure 2006344426
本発明の固体高分子型燃料電池の断面模式図を示す。 本発明の固体高分子型燃料電池に用いられる触媒層の模式図を示す。
符号の説明
100…膜電極接合体、
110…高分子電解質膜、
120、120aおよび120c…触媒層、
121aおよび121c…触媒層(2)、
122aおよび122c…触媒層(1)、
121i…入口側触媒層(1−1)、
121e…出口側触媒層(1−2)、
122i…入口側触媒層(2−1)、
122e…出口側触媒層(2−2)、
123aおよび123c…クラック、
140aおよび140c…セパレータ、
141…ガス供給路、
150…固体高分子型燃料電池。

Claims (10)

  1. 固体高分子電解質膜の両側に一対の触媒層が配置されてなる膜電極接合体が、ガス流路を有するセパレータにより挟持されてなり、
    前記触媒層は、カーボン担体に触媒粒子が担持された電極触媒と、固体高分子電解質とを少なくとも含む固体高分子型燃料電池であって、
    前記触媒層のうちの少なくとも一方は、前記固体高分子電解質膜と接触しかつクラックを有しない触媒層(1)と、クラックを有する触媒層(2)とが前記膜電極接合体の厚さ方向に積層されてなり、
    前記触媒層(1)および前記触媒層(2)のうちの少なくとも一方は、前記前記カーボン担体の結晶性が前記ガス流路の入口側から出口側に向かって高くなる固体高分子型燃料電池。
  2. 前記触媒層(2)の空隙率が、前記触媒層(1)の空隙率の1.5〜3.0倍である請求項1記載の固体高分子型燃料電池。
  3. 前記触媒層に含まれる前記カーボン担体の結晶性が、さらに、前記セパレータ側から前記固体高分子電解質膜側に向かって高くなる請求項1または2記載の固体高分子型燃料電池。
  4. 前記カーボン担体の結晶性は、前記カーボン担体のグラファイト化により調整する請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  5. 前記触媒層(2)は、入口側触媒層(2−1)および出口側触媒層(2−2)が前記膜電極接合体の面方向に配置されてなり、
    前記入口側触媒層(2−1)に含まれる前記カーボン担体の比表面積が400〜1200m/gであり、前記出口側触媒層(2−2)に含まれる前記カーボン担体の比表面積が200〜900m/gであり、
    前記カーボン担体の比表面積は前記入口側触媒層(2−1)よりも前記出口側触媒層(2−2)の方が小さい請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  6. 前記触媒層(1)は、入口側触媒層(1−1)および出口側触媒層(1−2)が前記膜電極接合体の面方向に配置されてなり、
    前記入口側触媒層(1−1)に含まれる前記カーボン担体の比表面積が200〜900m/gであり、前記出口側触媒層(1−2)に含まれる前記カーボン担体の比表面積が70〜250m/gであり、
    前記カーボン担体の比表面積は、前記入口側触媒層(1−1)よりも前記出口側触媒層(1−2)の方が小さく、前記入口側触媒層(2−1)よりも前記入口側触媒層(1−1)の方が小さく、前記出口側触媒層(2−2)よりも前記出口側触媒層(1−2)の方が小さい請求項5に記載の固体高分子型燃料電池。
  7. 前記触媒層に含まれる固体高分子電解質の含有量が、前記セパレータ側から前記固体高分子電解質膜側に向かって高くなる請求項1〜6のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  8. 前記触媒層(2)の厚さは、前記触媒層(1)の厚さ以上である請求項1〜7のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  9. 前記触媒層(2)の厚さは、前記触媒層(1)の厚さに対して1.5〜3.0倍である請求項1〜8のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池を搭載する自動車。
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