JP2011227411A - 光ファイバケーブル - Google Patents

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昌義 塚本
Yutaka Hoshino
豊 星野
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Abstract

【課題】セミの産卵管による光ファイバ心線の損傷を防ぎながら、容易に光ファイバ心線を露出させることができる光ファイバケーブル及び光ファイバ心線取り出し工法を提供する。
【解決手段】光ファイバ心線11を樹脂製のシース15で被覆してなる光ファイバケーブル11である。シース15は降伏点時の応力が12MPa以上である高分子材料からなる。シース15には表面から光ファイバ心線11に向かう方向にシーム部16が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバケーブルに関する。
従来、光ファイバ心線と一対のテンションメンバと、さらに支持線とを所定位置に位置決めしながら、一括被覆を施してシースを形成した光ファイバケーブルが種々製造され、使用されている。このような光ファイバケーブルにおいては、シースを引き裂いて光ファイバ心線を取り出しやすいように、シースにV字状のノッチを設けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
これらの光ファイバケーブルが架空布設された場合、経時的に原因不明の特性劣化が発生することがあった。近年になって漸くこの原因が夏季に発生するセミ、特にクマゼミの光ファイバケーブルへの産卵行動に起因することがわかってきた。具体的には、クマゼミが架空に布設された光ファイバケーブルを木の幹や枝と誤って、シースに産卵管を突き刺し、内部に産卵する行動が原因である、というものである。特にノッチ部分は、シース表面から光ファイバ心線までの距離が近いため、このノッチ部分に産卵管が差し込まれると、産卵管で光ファイバが損傷してしまうことがある。
このため、セミの産卵管よりも幅が狭いノッチを光ファイバケーブルに形成することが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。また、セミの産卵管から光ファイバ心線を保護する保護材をシースに埋設することも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2008−90213号公報 特開2006−330606号公報 特開2007−264236号公報 特開2007−72379号公報
しかし、セミの産卵管よりも幅が狭いノッチを設けた場合においても、ノッチに沿って産卵管が挿入されるおそれがある。一方、溝やノッチを設けない場合には、シースを引き裂くのが困難になる。また、保護材をシースに埋設した場合には、特別な工具がなければシースを引き裂くことができない。
本発明の課題は、セミの産卵管による光ファイバ心線の損傷を防ぎながら、容易に光ファイバ心線を露出させることができる光ファイバケーブル、を提供することである。
以上の課題を解決するため、本発明は、光ファイバ心線を樹脂製のシースで被覆してなる光ファイバケーブルであって、前記シースは降伏点時の応力が12MPa以上である高分子材料からなるとともに、前記シースの表面から前記光ファイバ心線に向かう方向にシーム部が設けられていることを特徴とする。
好ましくは、前記高分子材料は0.3%モデュラスが50MPa以上であることを特徴とする。
好ましくは、前記高分子材料は引張強度が5MPa以上20MPa以下である。
好ましくは、前記高分子材料はショアD硬度が30以上62以下である。
好ましくは、前記シースには光ファイバ心線の取り出しを容易にするためのノッチが形成されており、前記シーム部は前記ノッチの先端に設けられている。
好ましくは、前記光ファイバケーブルは、押出口の内周面から内側へ向かって突出する突起を備えた押出口を有する押出ダイスより、前記シースを形成する熱可塑性樹脂を前記光ファイバ心線とともに押し出すことで形成され、前記シーム部は、前記突起により分断された状態で押し出された熱可塑性樹脂の分断部分を熱可塑性樹脂が完全に固化する前に接触させ、完全に融合する前に固化させることで形成される。
本発明によれば、セミの産卵管による光ファイバ心線の損傷を防ぎながら、容易に光ファイバ心線を露出させることができる光ファイバケーブルを提供することができる。
本発明の実施形態に係る光ファイバケーブル1の長さ方向と垂直な断面図である。 本発明に係る光ファイバケーブル1の降伏点時の応力とセミの産卵行動に伴う産卵傷の深さの関係を示す図である。 本発明に係る光ファイバケーブル1のセミの産卵時のロス変動を調べる方法を示す模式図である。 本発明に係る光ファイバケーブル1の0.3%モデュラスとセミの産卵時のロス変動の関係を示す図である。 押出成形機20の概略的な構成を示す断面図である。 押出ダイス22を出口側から見た正面図である。 スリット17が形成された光ファイバケーブル1の長さ方向と垂直な断面図である。 スリット17およびシーム部16のない光ファイバケーブル1の長さ方向と垂直な断面図である。 本発明の別の実施形態に係る光ファイバケーブル1の長さ方向と垂直な断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る光ファイバケーブル1の長さ方向と垂直な断面図である。図1に示すように、光ファイバケーブル1は、光ファイバ心線11と、2本のテンションメンバ12と、支持線14と、これらを一括被覆するシース15とから概略構成される。光ファイバ心線11及びテンションメンバ12を被覆する部分(本体部2)はインドアケーブルと同様の形状となるように形成されており、支持線14を被覆する部分(支持線部3)との間にくびれた接続部4が形成されている。光ファイバ心線11、テンションメンバ12、及び支持線14は長さ方向を同方向(図1の紙面に垂直方向)としている。
支持線14は光ファイバケーブル1の全体の重量を支持するものであり、例えば亜鉛メッキ鋼線等を用いることができる。
本体部2は、断面形状が角のとれた略長方形状であり、中央に光ファイバ心線11が配置されている。また、光ファイバ心線11に対して本体部2の長尺方向の両側に離間してそれぞれテンションメンバ12が配置されている。
テンションメンバ12は、本体部2に作用する張力を負担する。テンションメンバ12には、例えば鋼線や、繊維強化プラスチック(FRP)等を用いることができる。
シース15は、光ファイバ心線11、テンションメンバ12、及び支持線14を被覆するものであり、例えばノンハロゲンの難燃ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
シース15を形成する高分子材料は、降伏点時の応力が12MPa以上である。
シース15に降伏点時の応力より大きな応力がかけられると塑性領域(弾性領域を超え、変形が元には戻らず残留する領域)に移行し、耐磨耗性が初期状態よりも劣化する。したがって、セミが産卵管をシース15に押し当て、降伏点時以上の応力がかけられた状態では、シース15は産卵管の往復回転運動によって簡単に磨耗してしまう。
一方、シース15を形成する高分子材料として降伏点時の応力が大きいものを用いると、セミの産卵管を押し当てられても弾性領域を保持することができ、初期の摩耗性を保持することができる。これにより、セミの産卵行動等により光ファイバが断線する可能性を低減することができる。
なお、ここでいう降伏点時の応力とは、23℃におけるJIS K7113に規定される「引張降伏強さ」を意味する。
図1に示す光ファイバケーブル1を用いて、降伏点時の応力とセミの産卵行動に伴う傷(以下、産卵傷という)の深さの関係を調べた。
まず、13cm長に切断した光ファイバケーブル1を2本を1組にして、総数40本20組を用意した。1回の実験では1組2本の光ファイバケーブルをクマゼミと共に幅200mm、奥行き200mm、高さ300mmの容器内に放置し、24時間経過後、光ファイバケーブルに残された産卵傷の平均深さを調べた。結果を図2に示す。
図2に示すように、降伏点時の応力が大きいほど産卵傷の平均深さが浅く、降伏点時の応力が12MPa以上の高分子材料を用いれば産卵傷の平均深さを0.3mm以下に抑えることが可能であり、降伏点時の応力が13MPa以上の高分子材料を用いれば産卵傷の平均深さを0.25mm以下に抑えることが可能である。
特に降伏点時の応力が12MPaより小さい領域では産卵損傷も急激に深くなる傾向が見られることから、降伏点時の応力を12MPa以上とすることで、セミの産卵管が光ファイバ心線に到達する頻度を効果的に低減できる。
なお、高分子材料として熱可塑性樹脂を用いた場合、降伏点時の応力は、結晶ポリオレフィンの配合量を大きくすることによって大きくすることができる。
また、心線取り出し作業性の観点からは、降伏点時の応力が20MPa以下の高分子材料を用いることが好ましい。
また、シース15を形成する高分子材料は、0.3%モデュラスが50MPa以上であることが好ましい。
セミの産卵時において、産卵管が突き刺さったときの力が内部の光ファイバ心線まで作用し、光ファイバ心線が曲げられることによりロス変動が発生する。
このロス変動は、産卵時に一時的に光ファイバ心線の伝送損失が増加するものであるが、変動が大きい(1dBを超える)場合は光瞬断に達する可能性があり、また元の伝送損失に戻らない場合もある。なお、ロス変動が一時的にでも0.2dBを超えると通信障害などの問題が生じることがある。
なお、ここでいう0.3%モデュラスとは、JIS K7113に規定されるものであり、23℃における0.3%伸びたときの引張り弾性率を意味する。
図1に示す光ファイバケーブル1を用いて、0.3%モデュラスとセミの産卵時のロス変動の関係を調べた。
図3に示すように長さ3mの光ファイバケーブル1をクマゼミを収容した幅200mm、奥行き200mm、高さ300mmの容器21内にはわせ、光ファイバケーブルの両端にそれぞれ波長1550nmの光源22と、OE変換器23/デジタルオシロスコープ24を接続し、産卵時に発生するロス変動を調べた。測定間隔は1msecとした。結果を図4に示す。
図4に示すように、高分子材料の0.3%モデュラスが小さいとロス変動は大きくなる。これは、0.3%モデュラスが小さい高分子材料ほど、光ファイバ心線が曲げられやすいためと考えられる。0.3%モデュラスを50MPa以上とすることで、セミの産卵時のロス変動を0.2dB以下に抑えることができ、0.3%モデュラスを90MPa以上とすることで、セミの産卵時のロス変動を0.1dB以下に抑えることができる。
特に0.3%モデュラスが50MPaより小さい領域ではセミの産卵時のロス変動が急激に大きくなることから、0.3%モデュラスを50MPa以上とすることで、セミの産卵時のロス変動を効果的に低減できる。
なお、高分子材料として熱可塑性樹脂を用いた場合、0.3%モデュラスは、たとえば、ベースポリエチレンに配合するポリプロピレンの配合比や難燃材として添加する水酸化マグネシウムの添加量を増加させることによって大きくすることができる。
また、支持線を取り外した状態での固定曲げ配線のしやすさの観点からは、0.3%モデュラスが800MPa以下の高分子材料を用いることが好ましい。
また、シース15を形成する高分子材料は、引張強度が5MPa以上20MPa以下であることが好ましい。
引張強度を20MPa以下とすることで、常温環境下だけでなく−20℃程度の低温環境下においても光ファイバケーブルから光ファイバ心線を容易に取り出すことができ、さらに、引張強度を5MPa以上とすることで、光ファイバケーブルを敷設する際にシースが損傷してしまう等の問題が生じにくい。
なお、ここでいう引張強度とは、23℃におけるJIS K7113に規定される「引張応力」を意味する。
高分子材料として熱可塑性樹脂を用いた場合、引張強度は、たとえば、ベースポリエチレンに配合するポリプロピレンの配合比や難燃材として添加する水酸化マグネシウムの添加量を変化させることによって調整することができる。
また、シース15を形成する高分子材料は、ショアD硬度が30以上62以下であることが好ましい。
ショアD硬度を62以下とすることで、常温環境下だけでなく−20℃程度の低温環境下においても光ファイバケーブルにニッパなどで切り込みを入れたときに亀裂が伝わりにくい。したがって、低温環境下においても良好な支持線の分離作業ができる。さらに、ショアD硬度を30以上とすることで、光ファイバケーブルを敷設する際にシースが損傷してしまう等の問題が生じにくい。
なお、ここでいうショアD硬度とは、JIS K7215 タイプDに規定されるものであり、23℃におけるものである。
なお、高分子材料として熱可塑性樹脂を用いた場合、ショアD硬度は、たとえば、ベースポリエチレンに配合するポリプロピレンの配合比を変えることで調整することができる。
シース15には、表面の光ファイバ心線11に最も近い部分から光ファイバ心線11に向かって、シーム部16が設けられている。シーム部16には、シース15に作用する応力が集中する。
シーム部16は、シース15を押出成形する際に、シース15を形成する熱可塑性樹脂が溶融した状態で接触し、完全に融合する前に固化することで形成される。このシーム部16では樹脂が不完全に溶着しており、周辺の均一樹脂と比較して強度が適度に弱い。このため、シース15を引き裂くと低強度のシーム部16に破断面が伝搬する。
シース15を容易に引き裂くことができるように、シーム部16の末端から光ファイバ心線11までのシース15の厚さdは0.6mm以下であることが好ましい。一方、衝撃試験などで機械的な劣化を加えた場合でも光ファイバ心線11が露出しないように、dは0.1mm以上であることが好ましい。
次に、光ファイバケーブル1の製造に用いる押出成形機20について説明する。図5は、押出成形機の概略的な構成を示す断面図である。押出成形機20は、ニップル21と、押出ダイス22とからなる。ニップル21には、光ファイバ心線11、テンションメンバ12、及び支持線14を挿通させる挿通孔23が設けられている。
図6は押出ダイス22を出口側から見た正面図である。図6に示すように、押出ダイス22の押出口24には、シーム部16を形成する部分に、押出口24の内周面から内側へ向かって突出する突起26が設けられている。
次に、光ファイバケーブル1の製造方法について説明する。まず、ニップル21の挿通孔23及び押出ダイス22の押出口24に光ファイバ心線11、テンションメンバ12、及び支持線14を挿通させた状態で、シース15となる溶融した熱可塑性樹脂25をニップル21と押出ダイス22との間に供給する。そして、光ファイバ心線11、テンションメンバ12、及び支持線14をニップル21の挿通孔23側から押出ダイス22の押出口24側へ繰り出しながら熱可塑性樹脂を押し出すことで、光ファイバ心線11、テンションメンバ12、及び支持線14を一括して被覆するシース15が形成される。
このとき、押出ダイス22の押出口24の内周面から内側へ向かって突出する突起26が設けられているので、熱可塑性樹脂は突起26により分断された状態で押出口24より押し出される。
図7に示すように、押し出されたばかりの熱可塑性樹脂の表面には、突起26の部分にスリットが形成される。しかし、熱可塑性樹脂は完全に固化していないため、押し出されるうちにスリット部分の両側面が接触する。熱可塑性樹脂が完全に融合する前に固化した場合には、図1に示すようにシーム部16が形成される。一方、スリット部分の両側面が完全に融合した場合には、図8に示すようにスリット17が完全に消失し、シーム部16は形成されない。このため、シーム部16が確実に形成されるように、押出ダイス22の突起26の形状や熱可塑性樹脂の押出条件を適宜調整する。
なお、図8に示すようにシーム部16が完全に消失してしまう場合は、押出ダイス22の突起26の幅W(図6参照)を広くする、押出時に熱可塑性樹脂にかける圧力を低くする、押出時の熱可塑性樹脂の温度を低くする、製造速度(光ファイバ心線11、テンションメンバ12、及び支持線14の送り速度)を速くする、ニップル21の先端と押出ダイス22の先端との距離L(図5参照)を遠ざける、等によりシーム部16を形成できるようになる。一方、図7に示すようにスリットが形成されてしまう場合は、この反対の調整を行うことで、シーム16を形成できるようになる。
また、図9に示すようにシースにノッチ18が形成され、シーム部16がノッチ18の先端から光ファイバ心線11に向かって形成されてもよい。なお、衝撃特性や側圧特性を劣化させないためには、ノッチ18の深さAは、0.5mm以下であることが好ましい。このように、ノッチ18が形成されていると、シーム部16が形成されている場所が特定し易く、光ファイバ心線の取り出しがより容易となる。
ノッチ18は、押出ダイス22の押出口24をあらかじめノッチが形成されるように、V字状溝の底部に突起26が形成された形状とするか、熱可塑性樹脂の押出条件を適宜調整することで形成できる。
たとえば、シーム部16が形成され、ノッチ18が完全に消失してしまう場合は、押出ダイス22の突起26の幅W(図6参照)を広くする、押出時に熱可塑性樹脂にかける圧力を低くする、押出時の熱可塑性樹脂の温度を低くする、製造速度(光ファイバ心線11、テンションメンバ12、及び支持線14の送り速度)を速くする、ニップル21の先端と押出ダイス22の先端との距離L(図5参照)を遠ざける、等によりノッチ18を形成できるようになる。
次に、本実施形態の光ファイバケーブル1の本体部2から光ファイバ心線11を露出させる方法について説明する。まず、ニッパを用いてケーブル端末部のシーム部16に沿って、シース15に切り込みを入れる。次に、切り込みからシース15を左右に引き裂く。すると、破断面がシーム部16に沿って伝搬しシース15が裂けるため、内部より光ファイバ心線11を露出させることができる。
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに詳細に説明する。
ベースとなるポリオレフィン材料の種類(密度)や配合する樹脂や難燃材の種類・配合量を調整することで、降伏点時の応力、0.3%モデュラス、引張強度、ショアDを変化させた熱可塑性樹脂を用いてシース15を形成し、図1と同様の光ファイバケーブル1を製造した。これらを用いて、産卵傷の平均深さ、産卵時のロス変動、−20℃環境下での取り出し性、常温下での取り出し性、−20℃環境下での支持線分離性、常温下での支持線分離性を評価した。
光ファイバ心線は直径0.25mmのものを用いた。テンションメンバ12には、直径0.5mmのアラミド繊維強化プラスチック(AFRP)を用いた。また、本体部2の長辺寸法を3.1mm、短辺寸法を2.0mmとした。
支持線14には、直径1.2mmの亜鉛メッキ鋼線を用いた。支持線部3の外径は直径2.0mmとした。
光ファイバ心線11、テンションメンバ12、及び支持線14の繰り出し速度は80m/minとした。
熱可塑性樹脂として、難燃ポリオレフィンを用いた。熱可塑性樹脂の温度は219℃、押し出し圧力は26.4〜26.5MPaとした。
なお、産卵傷の平均深さ、産卵時のロス変動の評価方法は、前述した方法と同様である。また、引張強度の測定は、23℃においてJIS K7113準拠の方法で2号ダンベルを用いて行った。
−20°C環境下での取り出し性、常温下での取り出し性は、光ファイバケーブル1の支持線部3を取り本体部2のみの状態とし、端末よりニッパでシーム部16に10mm切り込みを入れる。その後光ファイバケーブルを手で左右に切り裂いたとき、問題なく切り裂けた場合を○、10mmの切り込みでは裂くのが非常に困難で、切り込みを100mm入れれば裂ける場合を△、切り込みを100mm入れても切り裂けない場合を×とした。
−20℃環境下での支持線分離性、常温下での支持線分離性は、光ファイバケーブル1の連結部9にニッパで切り込みを入れ支持線部3を分離したとき、問題なく支持線部3を分離できたものを○、亀裂が生じるが、本体部2には亀裂が及ばなかったものを△、亀裂が本体部2まで及んだものを×とした。
結果を表1に示す。
Figure 2011227411
表1に示すように、降伏点時の応力が12MPa以上であれば、産卵傷の平均深さが0.3mm以下であり、セミの産卵管が光ファイバ心線に到達する頻度を低減できた。
また、0.3%モデュラスを50MPa以上とすることで、セミの産卵行動によるロス変動を0.2dB以下に抑えることができた。
さらに、引張強度を20MPa以下、常温環境下だけでなく−20℃程度の低温環境下においても光ファイバケーブルから光ファイバ心線を容易に取り出すことができた。
また、ショアD硬度を62以下とすることで、良好な支持線部3の分離性が得られた。
押出ダイス22の突起26の幅W(図6参照)を変えながら光ファイバケーブル1を作成した。
突起26の高さH(図6参照)は0.75mmとした。ニップル21の先端と押出ダイス22の先端との距離L(図5参照)は2mmとした。
光ファイバ心線は直径0.25mmのものを用いた。テンションメンバ12には、直径0.5mmのアラミド繊維強化プラスチック(AFRP)を用いた。また、本体部2の長辺寸法を3.1mm、短辺寸法を2.0mmとした。
支持線14には、直径1.2mmの亜鉛メッキ鋼線を用いた。支持線部3の外径は直径2.0mmとした。
光ファイバ心線11、テンションメンバ12、及び支持線14の繰り出し速度は80m/minとした。
熱可塑性樹脂として、難燃ポリオレフィンを用いた。熱可塑性樹脂の温度は219℃、押し出し圧力は26.4〜26.5MPaとした。
結晶ポリオレフィンの配合量を変化させることによって降伏点時の応力が18.4MPaとなるように調整した。また、ベースポリエチレンに配合するポリプロピレンの配合比や難燃材として添加する水酸化マグネシウムの添加量を変化させることによって、0.3%モデュラスが678MPa、引張強度が19.7MPa、ショアD硬度が61となるように調整した。
作成した光ファイバケーブル1、シーム部16の形成、シーム部16又はスリット17部分のシース15の厚さ、引き裂き性、光ファイバ心線11の取り出し性を評価した。また、衝撃試験、側圧試験を行った。各判定条件、および試験条件を以下に示す。また、結果を表1に示す。
〔シーム部の形成〕
試作した光ファイバケーブル1を樹脂で固めた後に長さ方向に垂直な断面で切断し、断面を研磨した後に観察した。シース15内部に熱可塑性樹脂のあわせ面が全く確認できなかったものを×(完全に溶着)、シース15内部に樹脂のあわせ面が確認でき、そのあわせ面は完全に空隙がない状態を○、シース15内部に樹脂のあわせ面に部分的に空隙が存在する場合を×(一部空隙あり)、シース15内部に樹脂のあわせ面が接触しておらずスリット17が確認できるものを×として表記した。
〔ノッチの形成〕
〔シーム部の形成〕を評価したのと同様にして得た光ファイバケーブル1の断面より、ノッチが形成されたか否かを観察した。ノッチが形成されていないものをなし、ノッチが形成されているものをノッチありと表記した。
〔ノッチまたはスリットの深さ〕
〔シーム部の形成〕を評価したのと同様にして得た光ファイバケーブル1の断面より、ノッチまたはスリットの深さA(図9参照)を計測した。
〔シーム部又はスリット部分のシースの厚さ〕
〔シーム部の形成〕を評価したのと同様にして得た光ファイバケーブル1の断面より、シーム部16(又はスリット17)の末端から光ファイバ心線11までのシース15の厚さdを計測した。
〔引き裂き性〕
−20℃の環境下で、光ファイバケーブル1の本体部2の端末より長さ方向に10mmの切り込みをニッパで入れ、切り込みに沿ってシース15を左右に引き裂いたときに、ノッチ付与工具を用いることなく(手で)容易に裂けたものを○、シース15は裂けるが亀裂が光ファイバ心線11に達しないことがあるものを△、ノッチ付与工具を用いないとシース15を裂けないものを×とした。
〔心線取り出し性〕
引き裂き性評価と同様に行い、ノッチ付与工具を用いることなくシース15が容易に裂け光ファイバ心線11を取り出せたものを○、光ファイバ心線11がシース15に埋もれる場合があったものを△、ノッチ付与工具を用いないとシース15を裂けないものを×とした。
〔衝撃試験〕
支持線部3を切り離し本体部2のみとし、打撃面直径20mm、重さ300gのおもりを高さ1mの位置から本体部2の上部に落下させ、n=5の試験の中で1回でも光ファイバ心線11の露出が確認されたものを×、光ファイバ心線11の露出が確認されなかったものを○とした。
〔側圧試験〕
支持線部3を切り離し本体部2のみとし、適度に広い金属平面の上に置き、上から1200N/25mmの側圧荷重を1分印加し、側圧荷重を取り外した後でn=5の試験の中で1回でも光ファイバ心線11の露出が確認されたものを×、光ファイバ心線11の露出が確認されなかったものを○とした。
Figure 2011227411
〔製造例1〜3〕
突起26の幅Wが0.08mmの場合(製造例1)は、突起26の強度が溶融した熱可塑性樹脂から受ける圧力に対して十分ではないため、数m押し出した後に突起26が破損し、光ファイバケーブル1の長尺製造ができなかった。
突起26の幅Wが0.13mm以下の場合(製造例2、3)、突起26によって二つに分けられた熱可塑性樹脂の距離が近いため、突起26により二つに分けられた樹脂が押出ダイス22を通過した直後に完全に溶着してしまいシーム部16を形成することはできなかった(図8に示す状態)。光ファイバ心線11の周辺のシース15は均一な状態の樹脂で構成されているため、衝撃試験、側圧試験後に光ファイバ心線11が露出するようなことはなかった。しかし、シース15を引き裂くためのきっかけがないため、ノッチ付与工具なしではシース15を引き裂くことができず、光ファイバ心線11を取り出すことができなかった。
〔製造例4〜9〕
突起26の幅Wが0.15〜0.58mmの場合(製造例4〜9)、突起26によって二つに分けられた熱可塑性樹脂が、突起26により二つに分けられた樹脂が押出ダイス22を通過した直後に部分的に溶着し細い線状痕(シーム部16)を形成した(図1に示す状態)。
さらに製造例8、9においてはノッチ18が形成された。
シーム部16の末端から光ファイバ心線11までのシース15の厚さdは、0.1〜0.6mmであった。
ノッチ付与工具なしでシース15を引き裂くことができ、容易に光ファイバ心線11を取り出すことができた。
衝撃試験、側圧試験後に光ファイバ心線11が露出するようなことはなかった。
〔製造例10〜13〕
突起の幅Wを0.65mmとした場合(製造例10)、突起26によって二つに分けられた熱可塑性樹脂の距離が完全に接触せず、シーム部16の一部に空隙が形成された。
突起の幅Wを0.72mm以上とした場合(製造例11〜13)、突起26によって二つに分けられた熱可塑性樹脂の距離が全く接触せず、スリット17が形成された(図7に示す状態)。
空隙が存在するシーム部16(製造例10)、またはスリット17(製造例11〜13)はちょうど光ファイバ心線11の上下方向に位置するため、衝撃を加えるとシース15が変形・損傷し、光ファイバ心線11が露出した。また、製造例12、13では、側圧試験によりシース15が変形・損傷し、光ファイバ心線11が露出した。さらに、製造例13では、スリット17の幅が広すぎるため、シース15を引き裂いても破断面から光ファイバ心線11が露出しなかった。
1 光ファイバケーブル
2 本体部
3 支持線部
4 接続部
11 光ファイバ心線
12 テンションメンバ
14 支持線
15 シース
16 シーム部
17 スリット
18 ノッチ

Claims (6)

  1. 光ファイバ心線を樹脂製のシースで被覆してなる光ファイバケーブルであって、前記シースは降伏点時の応力が12MPa以上である高分子材料からなるとともに、前記シースの表面から前記光ファイバ心線に向かう方向にシーム部が設けられていることを特徴とする光ファイバケーブル。
  2. 前記高分子材料は0.3%モデュラスが50MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル。
  3. 前記高分子材料は引張強度が5MPa以上20MPa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバケーブル。
  4. 前記高分子材料はショアD硬度が30以上62以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ファイバケーブル。
  5. 前記シースには光ファイバ心線の取り出しを容易にするためのノッチが形成されており、前記シーム部は前記ノッチの先端に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光ファイバケーブル。
  6. 前記光ファイバケーブルは、押出口の内周面から内側へ向かって突出する突起を備えた押出口を有する押出ダイスより、前記シースを形成する熱可塑性樹脂を前記光ファイバ心線とともに押し出すことで形成され、
    前記シーム部は、前記突起により分断された状態で押し出された熱可塑性樹脂の分断部分を熱可塑性樹脂が完全に固化する前に接触させ、
    完全に融合する前に固化させることで形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ファイバケーブル。
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