JP2011226516A - 車両用制御装置及び攪拌損失検知装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速機内部における流体の攪拌損失の増大に対して適正に対応することができる車両用制御装置及び攪拌損失検知装置を提供することを目的とする。
【解決手段】動力を発生可能な電動機8と動力を変速して駆動輪3に伝達可能な変速機9とを搭載し流体が電動機8の冷却と変速機9内部の潤滑とを行う車両2に用いられ、電動機8の損失変化と変速機9内部の流体の温度変化とに基づいて、変速機9内部における流体の攪拌損失の増大を抑制する抑制制御を実行することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】動力を発生可能な電動機8と動力を変速して駆動輪3に伝達可能な変速機9とを搭載し流体が電動機8の冷却と変速機9内部の潤滑とを行う車両2に用いられ、電動機8の損失変化と変速機9内部の流体の温度変化とに基づいて、変速機9内部における流体の攪拌損失の増大を抑制する抑制制御を実行することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両用制御装置及び攪拌損失検知装置に関する。
従来の車両用制御装置として、例えば、特許文献1には変速機構部の油温を検出する油温センサを備え、油温センサによって検出された油温が所定の温度領域となったときに、エンジンの出力トルクに制限を加える自動変速機の変速制御装置が開示されている。これにより、この自動変速機の変速制御装置は、例えば、油温が所定の温度領域となったときに、車両の速度を制限しフリクション等を低減することで、油温の低下を促すことができ、油温の上昇を防止することができる。
ところで、上述のような特許文献1に記載されている自動変速機の変速制御装置は、単に油温センサによって検出された油温を監視するものであることから、例えば、変速機内部における油(流体)の攪拌損失が増大した場合に、油温を下げる対処が遅れるおそれがあるなど、適正な対応がとれないことがあった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、変速機内部における流体の攪拌損失の増大に対して適正に対応することができる車両用制御装置及び攪拌損失検知装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用制御装置は、動力を発生可能な電動機と前記動力を変速して駆動輪に伝達可能な変速機とを搭載し流体が前記電動機の冷却と前記変速機内部の潤滑とを行う車両に用いられ、前記電動機の損失変化と前記変速機内部の前記流体の温度変化とに基づいて、前記変速機内部における前記流体の攪拌損失の増大を抑制する抑制制御を実行することを特徴とする。
また、上記車両用制御装置では、前記電動機の損失変化量を前記変速機内部の前記流体の温度変化量で除算した値に相当する判定値が予め設定された所定値以下になった際に前記抑制制御を実行するものとすることができる。
また、上記車両用制御装置では、前記抑制制御として前記変速機への入力回転数を低減する制御を実行するものとすることができる。
また、上記車両用制御装置では、前記抑制制御として前記変速機内部への前記流体の供給圧力を低減する制御を実行するものとすることができる。
また、上記車両用制御装置では、前記抑制制御として前記変速機からの出力回転数を制限する制御を実行するものとすることができる。
また、上記車両用制御装置では、前記変速機への入力回転数を低減する第1抑制制御、前記変速機内部への前記流体の供給圧力を低減する第2抑制制御、前記変速機からの出力回転数を制限する第3抑制制御の順で段階的に前記抑制制御を実行するものとすることができる。
上記目的を達成するために、本発明に係る攪拌損失検知装置は、動力を発生可能な電動機と前記動力を変速して駆動輪に伝達可能な変速機とを搭載し流体が前記電動機の冷却と前記変速機内部の潤滑とを行う車両に用いられ、前記電動機の損失変化と前記変速機内部の前記流体の温度変化とに基づいて前記変速機内部における前記流体の攪拌損失の増大を検知することを特徴とする。
本発明に係る車両用制御装置、攪拌損失検知装置は、電動機の損失変化と変速機内部の流体の温度変化とに基づいて、変速機内部における流体の攪拌損失の増大に対して適正に対応することができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る車両用制御装置及び攪拌損失検知装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係るECUが適用される車両の概略構成を示す模式図、図2は、実施形態に係るECUによる制御の一例を説明するフローチャートである。
図1は、実施形態に係るECUが適用される車両の概略構成を示す模式図、図2は、実施形態に係るECUによる制御の一例を説明するフローチャートである。
本実施形態の車両制御システム1は、図1に示すように、車両2に搭載され、この車両2を制御するためのシステムである。車両2は、駆動輪3を回転駆動して推進するために、走行用動力源(原動機)として、少なくとも電動機としてのモータジェネレータ(以下、特に断りのない限り「モータ」と略記する)8を搭載した車両であり、ここでは、モータ8に加えてさらに内燃機関としてのエンジン6を搭載したいわゆる「ハイブリッド車両」である。
本実施形態の車両制御システム1は、駆動装置4と、車両用制御装置としてのECU5とを備える。車両制御システム1は、動力を発生可能なモータ8と、動力を変速して駆動輪3に伝達可能な変速機9とを搭載し、流体としての作動油がモータ8の冷却と変速機9内部の潤滑とを行う車両2に用いられる。そして、本実施形態の車両制御システム1は、典型的には、ECU5が駆動装置4を制御し、エンジン6を可及的に効率の良い状態で運転する一方、動力やエンジンブレーキ力の過不足をモータ8で補い、さらには減速時にエネルギの回生をおこなうことにより、エンジン6による排気ガスを低減し、同時に燃費の向上を図るように構成されたシステムである。
なお、以下で説明するECU5は、車両2の各部を制御する車両用制御装置であると共に攪拌損失検知装置でもある。つまり、ECU5は、攪拌損失検知装置としての機能も有している。すなわち、以下の説明では、ECU5は、攪拌損失検知装置としても兼用されるものとして説明するが、これに限らず、車両用制御装置と攪拌損失検知装置とが別個に構成されていてもよい。
駆動装置4は、上述したようにハイブリッド形式の駆動装置であり、1つのエンジン(ENG)6と、1つのモータ8とを有し、これらにより駆動輪3を回転駆動するものである。より詳細には、駆動装置4は、エンジン(ENG)6と、トルクコンバータ(T/C)7と、モータ(MG)8と、変速機(T/M)9とを含んで構成される。駆動装置4は、エンジン6が発生させる動力とモータ8が発生させる動力とを変速機9で変速して車両2の駆動輪3に伝達可能である。ここでの駆動装置4は、各要素が駆動輪3への動力の伝達経路においてエンジン6、トルクコンバータ7、モータ8、変速機9、駆動輪3の順で設けられている。なお、以下の説明では特に断りのない限り、駆動装置4は、1つのモータ8を備える構成であるものとして説明するが、これに限らず、モータを複数、例えば2つ備える構成であってもよい。また、駆動装置4における各要素の配列は、下記で説明するものに限られない。
エンジン6は、燃料を消費して車両2の駆動輪3に作用させる動力を発生させる動力源であり、変速機9などを介して駆動輪3と連結され駆動輪3に作用させるエンジントルク(機関トルク)を発生させることができる。エンジントルクとは、エンジン6の出力軸であるクランク軸に生じるトルクである。エンジン6は、燃料を燃焼させることにより燃料のエネルギを機械的仕事に変換して出力する熱機関であって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、LPGエンジンなどがその一例である。エンジン6は、燃料の燃焼に伴ってクランク軸に機械的な動力(エンジントルク)を発生させ、この機械的動力をクランク軸から駆動輪3に向けて出力可能である。
トルクコンバータ7は、動力の伝達経路におけるエンジン6と変速機9との間に設けられる流体継手の一種である。トルクコンバータ7は、例えば、ロックアップ機構(不図示)を解放状態とすることで、エンジン6からの動力をコンバータ内部の作動流体、例えば作動油(オイル)を介して変速機9側に伝達することができる。このとき、トルクコンバータ7は、内部の作動流体を介して動力を伝達する際に所定のトルク比でトルクを増幅して変速機9側に伝達する。一方、トルクコンバータ7は、例えば、ロックアップ機構を係合状態とすることで、エンジン6からの動力を内部の作動流体を介さずに変速機9側に伝達することができる。このとき、トルクコンバータ7は、エンジン6からの動力をほぼそのままのトルクで変速機9側に伝達する。
モータ8は、動力の伝達経路においてトルクコンバータ7より駆動輪3側で駆動輪3と連結されこの駆動輪3に作用させるモータトルクを発生可能である。ここでのモータ8は、動力の伝達経路におけるトルクコンバータ7と変速機9との間に設けられる。モータトルクとは、モータ8の出力軸であるロータ軸に生じるトルクである。モータ8は、供給された電力を機械的動力に変換する電動機としての機能と、入力された機械的動力を電力に変換する発電機としての機能とを兼ね備えた回転電機、いわゆるモータジェネレータである。すなわち、モータ8は、電力の供給により駆動し電気エネルギを機械エネルギに変換して出力する力行機能と、機械エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを兼ね備えている。
モータ8は、例えば、回転子であるロータと固定子であるステータとを有する交流同期電動機等で構成されている。モータ8は、インバータ10に電気的に接続され、インバータ10は、バッテリ11に電気的に接続される。インバータ10は、バッテリ11の電力の入出力を制御するものであり、バッテリ11とモータ8との電力の授受を制御する。モータ8は、ロータ軸を介して機械的動力を入出力可能となっている。モータ8は、バッテリ11からインバータ10を介して交流電力の供給を受けて駆動し、ロータが結合されたロータ軸に機械的な動力(モータトルク)を発生させ、この機械的動力をロータ軸から駆動輪3に向けて出力可能である。すなわち、モータ8は、例えば、ステータが電力の供給を受けて回転磁界を発生させ、その回転磁界に引き付けられてロータが回転することでロータ軸にモータトルクを発生させる。また、モータ8は、例えば、ロータ軸が機械的動力を受けて回転することで回生による発電が可能であり、この発電によって生じた電力は、インバータ10を介してバッテリ11に蓄えられる。このとき、モータ8は、ロータに生じる回転抵抗により、ロータの回転を制動(回生制動)することができる。この結果、モータ8は、回生制動時には、電力の回生によりロータ軸に負のモータトルクであるモータ回生トルクを発生させ、結果的に、車両2に制動力を付与することができる。
変速機9は、動力の伝達経路におけるモータ8と駆動輪3との間に設けられ、エンジン6の回転出力又はモータ8の回転出力、あるいは、両方の回転出力を統合し変速して出力可能である。変速機9は、例えば、有段変速機(AT)、無段変速機(CVT)、マルチモードマニュアルトランスミッション(MMT)、シーケンシャルマニュアルトランスミッション(SMT)、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)など種々の公知の自動変速機を用いることができる。変速機9は、入力軸に入力される回転動力を所定の変速比で変速して出力軸に伝達することができ、この出力軸からプロペラ軸12、差動装置13、駆動軸14などを介して駆動輪3に向けて出力することができる。この変速機9は、ECU5によって制御される。
より詳細には、変速機9は、例えば、ケーシング9a内部に変速機構本体部をなす回転要素群(回転体群)9bが収容される。回転要素群9bは、複数の回転体を含んで構成され、例えば、歯車機構等の噛み合い部を含んで構成される。回転要素群9bは、例えば、キャリア、サンギヤ、リングギヤなどの複数の回転要素からなる遊星歯車機構(プラネタリギヤ)や遊星ローラ機構などの差動作用を有する機構を複数組含んで構成される。変速機9は、例えば、エンジン6のクランク軸がトルクコンバータ7を介していずれか1つの回転要素に結合され、モータ8のロータ軸が他の回転要素に結合される。また、変速機9は、例えば、後述する作動油の油圧によって作動するクラッチやブレーキなどの係合要素を含んで構成される。変速機9は、クラッチ、ブレーキが運転状態に応じて適宜作動し係合状態と解放状態とが切り替えられることで、運転状態に応じて、回転要素群9bをなす機構等の作動状態が自動的に変更され、駆動輪3への動力伝達経路が切り替えられ、動力の入出力状態や変速状態が切り替えられる。これにより、変速機9は、多様な動力伝達状態を設定することができ、各種のモードや所定の変速比を設定することができる。そして、変速機9は、入力軸に入力される回転動力を回転要素群9bの作動状態に応じた所定の変速比で変速して出力軸に伝達することができる。
ここで、このような変速機9は、例えば、複数のシフトレンジ(シフトポジション)に対応しており、運転者によるシフトレバーの操作によって複数のシフトレンジから運転者の任意のシフトレンジを選択できるように構成されている。変速機9は、運転者によって選択されたシフトレンジに応じた種々の走行モードで車両2を走行させることができる。運転者によって選択されうるシフトポジションとしては、例えば、いわゆる、パーキング(P)レンジ、リバース(R)レンジ、ニュートラル(N)レンジ、ドライブ(D)レンジ、シーケンシャル(S)レンジなどがある。Pレンジは、変速機9における動力伝達が遮断され変速機9の出力軸がロックされるレンジ、Rレンジは、車両2を後進走行させるためのレンジ、Nレンジは、変速機9における動力伝達が遮断されるレンジ、Dレンジは、ECU5により所定の変速比(変速段)の範囲内にて自動変速制御を実行しつつ車両2を前進走行させるレンジ、Sレンジは、いわゆる運転者による手動変速操作モード(マニュアルモード)を成立させつつ車両2を前進走行させるレンジである。
例えば、変速機9は、Sレンジが選択された状態では、運転者がシフトレバーをさらにアップシフト(+)側又はダウンシフト(−)側に操作することで、これに応じて運転者の任意の変速比(変速段)が選択される。典型的には、変速機9は、Sレンジが選択された状態では、Dレンジが選択された状態と比較して、エンジン回転数を高く維持するように制御される。例えば、変速機9は、Sレンジが選択された状態では、遊星歯車機構などの回転要素のうちの1つにモータ8(あるいは他のモータ)の出力を作用させ他の回転要素のうちの1つの回転をブレーキにより阻止することで回転数比を連続的に変化させることができる状態、いわゆる無段変速状態とすることができる。そして、変速機9は、Sレンジが選択された状態では、例えば、後述のECU5によりモータ8の出力が調整されることで、Dレンジが選択された状態と比較して、同等の車速(駆動力)に対してエンジン回転数、言い換えれば、変速機9への入力回転数が相対的に高くなるように制御される。
なお、変速機9の回転要素群9bは、遊星歯車機構や遊星ローラ機構などの差動作用を有する機構にかえて、例えば、それぞれに所定の変速比が割り当てられた複数の変速段をなす複数の歯車群等を含んで構成されてもよい。この場合、変速機9は、例えば、クラッチ、ブレーキが運転状態に応じて適宜作動し係合状態と解放状態とが切り替えられることで、運転状態に応じて、回転要素群9bをなす複数の変速段のうちの所定の変速段が自動的に選択される。そして、変速機9は、入力軸に入力される回転動力をこの選択された変速段に割り当てられた変速比で変速して出力軸に伝達することができる。
ここで、この駆動装置4は、油圧制御装置15を含んで構成され、この油圧制御装置15から供給される流体としての作動油によってトルクコンバータ7や変速機9などが作動する。油圧制御装置15は、例えば、ECU5により制御される種々の公知の油圧制御回路によって構成される。油圧制御装置15は、この駆動装置4の各部に供給される作動油の流量あるいは油圧を制御する。油圧制御装置15は、複数の油路、オイルリザーバ、オイルポンプ、複数の電磁弁などを含んで構成される。
そして、油圧制御装置15が制御する作動油は、駆動装置4の各部における摺動部を潤滑する潤滑流体(潤滑油)や発熱部を冷却する冷却流体(冷却媒体)としても兼用される。つまり、油圧制御装置15は、駆動装置4の潤滑対象部位や冷却対象部位へ、潤滑流体や冷却流体として作動油を供給する流体供給装置としても機能する。ここでは、油圧制御装置15が制御する作動油は、モータ8の冷却と変速機9内部の潤滑とを行う共通の流体として用いられる。すなわち、油圧制御装置15は、例えば、変速機9のケーシング9a内部に作動油を供給することで、この作動油を、歯車等の噛み合い部を含んで構成される回転要素群9bなどを潤滑する潤滑油として機能させる。また、ここでのモータ8は、例えば、変速機9のケーシング9a内部と連通する空間内に設けられ、これにより、変速機9のケーシング9a内部に貯留された作動油がモータ8を冷却する冷却流体としても機能する。
上記のように構成される駆動装置4は、エンジン6が発生させた動力をトルクコンバータ7、変速機9などを介して駆動輪3に伝達することができる。また、駆動装置4は、モータ8が発生させた動力を変速機9などを介して駆動輪3に伝達することができる。この結果、車両2は、駆動輪3の路面との接地面に駆動力[N]が生じ、これにより走行することができる。また、駆動装置4は、モータ8による回生制動時には、回生によりロータ軸あるいはこれに一体回転可能に連結された回転軸に負のトルクである回生トルクを発生させることができる。この結果、車両2は、駆動輪3の路面との接地面に制動力[N]が生じ、これにより制動することができる。なお、この車両2は、モータ8などとは別個に油圧式のブレーキ装置(不図示)やステアリング装置(不図示)なども備えている。
ECU5は、エンジン6やモータ8を協調して制御するための制御装置であり、駆動装置4を含む車両2の各部の駆動を制御するものである。ECU5は、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路である。ECU5は、アクセルペダル(不図示)の操作量、例えば、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ16、車両2の走行速度である車速を検出する車速センサ17、変速機9内部の作動油の温度であるT/M油温を検出する油温センサ18、モータ8の温度であるMG温度を検出するMG温度センサ19やエンジン6、モータ8などを含む駆動装置4の各部に設けられた種々のセンサが電気的に接続される。ここで、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)は、運転者が車両2に要求する加速要求操作の操作量に応じた値に相当する。そして、ECU5は、エンジン6の燃料噴射装置、点火装置やスロットル弁装置、インバータ10、バッテリ11、油圧制御装置15などが電気的に接続される。ECU5は、種々のセンサから検出した検出結果に対応した電気信号が入力され、入力された検出結果やバッテリ11の蓄電状態SOCなどの各部の状態に応じて駆動装置4を含む車両2の各部に駆動信号を出力しこれらの駆動を制御する。ECU5は、運転状態に応じて駆動装置4を制御し、エンジン6とモータ8とを併用又は選択使用することで、車両2において様々な車両走行(走行モード)を実現することができる。
ところで、本実施形態の車両制御システム1は、例えば、変速機9内部における作動油の攪拌損失、すなわち、変速機9の回転要素群9bの回転に伴ったケーシング9a内部の作動油(流体)の攪拌損失が増大した場合に、適正に対処しなければ作動油が過熱状態(過剰に過熱された状態)となるおそれがある。
そこで、本実施形態のECU5は、モータ8の損失変化と変速機9内部の作動油の温度変化とに基づいて当該作動油の攪拌損失の増大に対して対応するようにしている。ここでは、ECU5は、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を判定するための内部攪拌判定値に応じて、当該作動油の攪拌損失の増大に対して対応するようにしている。
具体的には、ECU5が用いる内部攪拌判定値は、モータ8の損失変化量と変速機9内部の作動油の温度変化量とに基づいた判定値である。ここでの内部攪拌判定値は、モータ8の損失変化量を変速機9内部の作動油の温度変化量で除算した値に相当する判定値である。ECU5は、モータ8の動作状態に応じて推定されるモータ8の損失としてのモータ損失(推定値)と、油温センサ18が検出した変速機9内部の作動油の温度としてのT/M油温(実測値)とに応じて内部攪拌判定値を算出する。モータ8のモータ損失は、典型的には、入力電力と出力仕事の差として定義される。ECU5は、種々の公知の手法によりモータ損失を算出することができる。ECU5は、例えば、モータ8が出力する実際のモータトルクと、モータ8の実際のモータ回転数(ロータ軸の回転数)とに基づいて、予め記憶しているモータ損失マップ(不図示)からモータ8のモータ損失を算出する。モータトルク、モータ回転数は、駆動装置4の各部に設けられた種々のセンサの検出結果に応じて取得できる。そして、ECU5は、推定したモータ損失と実測したT/M油温とに基づいて、例えば、下記の数式(1)を用いて内部攪拌判定値を算出することができる。
内部攪拌判定値=[モータ損失の変化量の単位時間平均値]/[T/M油温の変化量の単位時間平均値] ・・・ (1)
内部攪拌判定値=[モータ損失の変化量の単位時間平均値]/[T/M油温の変化量の単位時間平均値] ・・・ (1)
上記のような駆動装置4では、例えば、モータ8のモータ損失がほとんど変化せずほぼ一定であるにもかかわらず、T/M油温が増加する場合、変速機9内部における作動油の内部攪拌が相対的に増大し、この内部攪拌が相対的に大きい状態にあると推定することができる。これは、モータ損失による発熱と、変速機9内部における作動油の内部攪拌による発熱と、変速機9内部のT/M油温との関係において、例えば、モータ損失がほぼ一定であるにもかかわらず、T/M油温の上昇が生じるのは、変速機9の回転要素群9bの回転に伴ったケーシング9a内部の作動油(流体)の攪拌損失が増加したからであると推定できるためである。逆に、駆動装置4では、例えば、モータ8のモータ損失が増加した際にこのモータ損失の変化に対してT/M油温も上昇しT/M油温変化量が大きくなった場合、変速機9内部における作動油の内部攪拌が相対的に大きい状態にあると推定できる。このため、上記のようにして算出される内部攪拌判定値が小さくなった場合、変速機9内部における作動油の攪拌損失、すなわち、T/M損失が急変したと推定することができる。この結果、ECU5は、内部攪拌判定値を用いて変速機9内部における作動油の攪拌損失、すなわち、T/M損失の急激な増大を適正に検知することができ、例えば、T/M油温が急激に上昇する前に変速機9内部における作動油の内部攪拌による発熱の進行を早期に検知することができる。
本実施形態のECU5は、モータ8の損失変化と変速機9内部の作動油の温度変化とに基づいて、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を抑制する抑制制御を実行する。ここではECU5は、上記の内部攪拌判定値が予め設定された所定値以下になった際に、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を抑制する抑制制御を実行する。より詳細には、ECU5は、内部攪拌判定値に応じて変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を検知する。すなわち、ECU5は、内部攪拌判定値が予め設定される所定値以下になった際に、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を検知し、検知した作動油の攪拌損失の増大に対する対処として、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を抑制する抑制制御を実行する。ここで内部攪拌判定値に対して設定される所定値は、作動油が過熱状態となることを抑制するべく、実験等に応じて予め設定しECU5の記憶部に記憶しておけばよい。
この結果、ECU5は、T/M油温が急激に上昇する前に、上記のように内部攪拌判定値に応じて変速機9内部における作動油の攪拌損失の急激な増大を適正に検知することができ、例えば、単純にT/M油温のみを監視するような場合と比較して、T/M油温の上昇傾向、言い換えれば、作動油の過熱の可能性(傾向)を早期に検知することができる。これにより、ECU5は、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を抑制する抑制制御の実行などによって、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大に対して早期に適正な対応をとることができ、例えば、作動油の温度上昇を抑制する対処が遅れることを抑制することができ、作動油が過熱状態となることを未然に防止することができる。
ここで、ECU5は、上記のようにモータ8の損失変化と変速機9内部の作動油の温度変化とに基づいた内部攪拌判定値を用いて変速機9内部における作動油の攪拌損失の急激な増大の有無を検知する場合、単純にT/M油温のみを監視するような場合と比較して、作動油の内部攪拌による発熱の進行具合などに応じて作動油の状態を複数段階に切り分けることもできる。そして、ECU5は、これに応じて抑制制御などの対応の内容を段階的に切り替えることができ、これにより、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大に対して、状況に応じたより適正な対応をとることができる。
本実施形態のECU5は、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を抑制する抑制制御として、制御内容の異なる複数種類の抑制制御を実行可能であり、例えば、運転者が要求する動力性能に対して影響の少ない抑制制御から段階的に実行する。これにより、ECU5は、運転者が要求する動力性能の制限の最小化を図ることができる。
ここでは、ECU5は、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を抑制する抑制制御として、制御内容が相互に異なる第1抑制制御と第2抑制制御と第3抑制制御とを実行可能である。ECU5は、内部攪拌判定値が予め設定された所定値以下になった際には、第1抑制制御、第2抑制制御、第3抑制制御の順で段階的に抑制制御を実行する。
第1抑制制御は、変速機9への入力回転数を低減する抑制制御である。ECU5は、内部攪拌判定値が予め設定された所定値以下になった際には、抑制制御として、まず、変速機9への入力回転数を低減する制御であるこの第1抑制制御を実行する。
ECU5は、第1抑制制御を実行する場合、現時点での駆動力を保持しつつ変速機9への入力回転数が低減するように変速機9などを制御する。ECU5は、内部攪拌判定値が予め設定された所定値以下になる前と、所定値以下になった後との相対的な関係において、内部攪拌判定値が所定値以下になった後の変速機9への入力回転数が相対的に低くなるように変速機9などを制御し、場合によってはエンジン6やモータ8などの出力を制御する。
例えば、ECU5は、上述したように、選択可能なシフトレンジとしてSレンジが含まれており、車両2の走行中にSレンジが選択されているような場合には、Sリジェクト制御を実行することで、エンジン回転数、言い換えれば、変速機9への入力回転数を低減する第1抑制制御を実行することができる。ここで、Sリジェクト制御とは、モータ8の出力や変速機9を制御して、Sレンジが選択されている状態からDレンジが選択されている状態に相当する状態に強制的に切り替え移行する制御である。ECU5は、第1抑制制御としてSリジェクト制御を実行することで、例えば、エンジン回転数、言い換えれば、変速機9への入力回転数に関して、実質的にアップシフト(変速比を相対的に小さくする変速)とほぼ同様の作用を得ることができ、すなわち、エンジン回転数を低減し、変速機9への入力回転数を低減することができる。
ECU5は、抑制制御としてこの第1抑制制御を実行することで、変速機9への入力回転数が相対的に高回転である状態で変速機9内部における作動油の攪拌が継続することを抑制することができる。これにより、ECU5は、変速機9内部における作動油の攪拌量を抑制し、攪拌損失の増大を抑制することができ、作動油の温度上昇を抑制することができる。
なお、ECU5は、変速機9を制御し、変速比を相対的に小さくする変速であるアップシフトを強制的に実行することで、エンジン回転数を低減し、変速機9への入力回転数を低減する第1抑制制御を実行してもよい。
第2抑制制御は、変速機9内部への作動油の供給圧力を低減する抑制制御である。ECU5は、内部攪拌判定値が予め設定された所定値以下になった際には、抑制制御として、第1抑制制御の次に、変速機9内部への作動油の供給圧力を低減する制御であるこの第2抑制制御を実行する。ECU5は、典型的には、油温センサ18が検出するT/M油温が実際に上昇し始めて予め設定される第1所定油温以上となった際に第2抑制制御を実行する。
ここでは、ECU5は、さらにT/M油温、T/M油温変化量、モータ温度、要求駆動力などが所定の条件を満たした場合に、第2抑制制御を実行する。ECU5は、例えば、T/M油温が第1所定油温以上であること、T/M油温変化量が予め設定される所定変化量以上であること及び要求駆動力が予め設定される所定駆動力以下であることの3つの条件を満たした場合、又は、T/M油温が第1所定油温以上であること、MG温度が予め設定される所定MG温度以上であること及び要求駆動力が予め設定される所定駆動力以下であることの3つの条件を満たした場合に第2抑制制御を実行する。ECU5は、油温センサ18による検出結果に応じてT/M油温、T/M油温変化量を取得することができる。要求駆動力は、運転者が車両2に要求する駆動力であり、種々の公知の手法によって算出することができる。ECU5は、アクセル開度センサ16、車速センサ17による検出結果に応じてアクセル開度、車速を取得し、取得したアクセル開度、車速に応じて要求駆動力を算出することができる。ECU5は、MG温度センサ19による検出結果に応じてモータ8のMG温度を取得することができる。T/M油温に対して設定される第1所定油温、T/M油温変化量に対して設定される所定変化量、要求駆動力に対して設定される所定駆動力、MG温度に対して設定される所定MG温度は、それぞれ、作動油が過熱状態となることを抑制するべく、実験等に応じて予め設定しECU5の記憶部に記憶しておけばよい。
なおここで、要求駆動力が予め設定される所定駆動力以下であることを条件としているのは、要求駆動力が相対的に大きい場合は変速機9にて伝達される動力(トルク)が相対的に大きくなることから、このような場合に変速機9内部への作動油の供給圧力を低減し潤滑対象部位への作動油の供給量を低減することがふさわしくないためである。また、所定MG温度は、駆動装置4に走行用動力源としてモータ8のようなモータが複数個用いられている場合には、各モータに対してそれぞれ個別に設定される。そして、ECU5は、それぞれのモータごとに個別にMG温度が所定MG温度以上であるか否かを判定すればよく、例えば、すべてのモータに関し、MG温度が所定MG温度以上であると判定された場合に第2抑制制御を実行する。
ECU5は、第2抑制制御を実行する場合、変速機9内部への作動油の供給圧力が低減するように油圧制御装置15などを制御する。ECU5は、T/M油温、T/M油温変化量、モータ温度、要求駆動力などが上記所定の条件を満たす前と、満たした後との相対的な関係において、満たした後の変速機9内部への作動油の供給圧力が相対的に低くなるように油圧制御装置15などを制御する。
例えば、ECU5は、油圧制御装置15が油圧制御系の元圧であるライン圧または潤滑対象部位への潤滑圧のレベルを複数段階に切り替えることができるものである場合には、潤滑切替制御を実行することで、変速機9内部への作動油の供給圧力を低減する第2抑制制御を実行することができる。ここで、潤滑切替制御とは、油圧制御装置15を制御して、ライン圧または潤滑圧のレベルを相対的に高いHiレベルから相対的に低いLoレベルへ強制的に切り替える制御である。
ECU5は、抑制制御としてこの第2抑制制御を実行することで、変速機9内部の回転要素群9bなどへの作動油の供給油量を低減することができ、回転要素群9bなどによって攪拌される攪拌油量を低減できる。これにより、ECU5は、変速機9内部における作動油の攪拌量をさらに抑制し、攪拌損失の増大をさらに抑制することができ、作動油の温度上昇をさらに抑制することができる。
第3抑制制御は、変速機9からの出力回転数を制限する抑制制御である。ECU5は、内部攪拌判定値が予め設定された所定値以下になった際には、最終的に、抑制制御として、変速機9からの出力回転数を制限する制御であるこの第3抑制制御を実行する。ECU5は、典型的には、油温センサ18が検出するT/M油温がさらに上昇し第1所定油温より高い温度として予め設定される第2所定油温を超えた際に第3抑制制御を実行する。
ECU5は、第3抑制制御を実行する場合、変速機9からの出力回転数を制限するように変速機9を制御する。ECU5は、T/M油温が第2所定油温を超えた後の変速機9からの出力回転数が所定の回転数以下になるように制限する。ECU5は、例えば、車速制限制御を実行することで、変速機9からの出力回転数を制限する第3抑制制御を実行することができる。ここで、車速制限制御とは、車両2の最高車速を強制的に制限する制御である。ECU5は、例えば、変速機9を制御してNレンジが選択されている状態に相当する状態に強制的に切り替え移行することで、変速機9における動力伝達を遮断して駆動輪3で作用する駆動力を制限し、これにより、最高車速を所定の車速以下に制限することで、変速機9からの出力回転数を制限する第3抑制制御を実行することができる。
ECU5は、抑制制御としてこの第3抑制制御を実行することで、相対的に高車速であり変速機9からの出力回転数が相対的に高回転である状態で変速機9内部における作動油の攪拌が継続することを抑制することができる。これにより、ECU5は、変速機9内部における作動油の攪拌量を確実に抑制し、攪拌損失の増大を確実に抑制することができ、作動油の温度上昇を確実に抑制することができる。また、ECU5は、例えば、車両2の車速を低下させることでフリクション等を低減できるので、発熱量を抑制しT/M油温を低下させることができる。
なお、ECU5は、エンジン6やモータ8の出力を制限し、駆動輪3に作用する駆動力を制限して最高車速を所定の車速以下に制限することで、変速機9からの出力回転数を制限する第3抑制制御を実行するようにしてもよい。
次に、図2のフローチャートを参照して、本実施形態に係るECU5による制御の一例を説明する。なお、これらの制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
まず、ECU5は、T/M損失の急変を検知したか否か、すなわち、攪拌状態であるか否かを判定する(ST1)。ECU5は、例えば、現在のモータ損失(推定値)と現在のT/M油温(実測値)とに基づいて、上記の数式(1)を用いて内部攪拌判定値を算出し、この内部攪拌判定値が予め設定された所定値以下であるか否かに基づいてT/M損失の急変を検知したか否かを判定する。
ECU5は、T/M損失の急変を検知したと判定した場合(ST1:Yes)、第1抑制制御としてSリジェクト制御を実行しSリジェクト状態で車両2を走行させる(ST2)。
次に、ECU5は、現在のT/M油温が規定値X1以上であるか否かを判定する(ST3)。この規定値X1は、T/M油温に対して予め設定される第1所定油温に相当する。
ECU5は、現在のT/M油温が規定値X1以上であると判定した場合(ST3:Yes)、現在のT/M油温変化量が規定値Y以上であるか否かを判定する(ST4)。この規定値Yは、T/M油温変化量に対して予め設定される所定変化量に相当する。
ECU5は、現在のT/M油温変化量が規定値Y以上であると判定した場合(ST4:Yes)、現在の要求駆動力が規定値Z以下であるか否かを判定する(ST5)。この規定値Zは、要求駆動力に対して予め設定される所定駆動力に相当する。
ECU5は、現在の要求駆動力が規定値Z以下であると判定した場合(ST5:Yes)、第2抑制制御として潤滑切替制御を実行しライン圧または潤滑圧のレベルをHiレベルから低いLoレベルへ切り替えた状態で車両2を走行させる(ST6)。
次に、ECU5は、現在のT/M油温が規定値X2を超えたか否かを判定する(ST7)。この規定値X2は、T/M油温に対して予め設定される第2所定油温に相当し、規定値X1より大きな値である。
ECU5は、現在のT/M油温が規定値X2を超えたと判定した場合(ST7:Yes)、第3抑制制御として車速制限制御を実行し最高車速を所定の車速以下に制限した状態で車両2を走行させる(ST8)。
次に、ECU5は、現在のT/M油温が規定値X2未満であるか否かを判定する(ST9)。
ECU5は、現在のT/M油温が規定値X2未満であると判定した場合(ST9:Yes)、最高車速を所定の車速以下に制限した状態を解除し(ST10)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。ECU5は、現在のT/M油温が規定値X2以上であると判定した場合(ST9:No)、ST8に戻って以降の処理を繰り返し実行する。
ECU5は、ST4にて現在のT/M油温変化量が規定値Y未満であると判定した場合(ST4:No)、又は、ST5にて現在の要求駆動力が規定値Zより大きいと判定した場合(ST5:No)、現在のMG温度が規定値α以上であるか否かを判定する(ST11)。この規定値αは、MG温度に対して予め設定される所定MG温度に相当する。ECU5は、走行用動力源としてのモータが複数ある場合には、各モータに対してこのST11の判定を行う。
ECU5は、現在のMG温度が規定値α以上であると判定した場合(ST11:Yes)、現在の要求駆動力が規定値Z以下であるか否かを判定する(ST12)。
ECU5は、現在の要求駆動力が規定値Z以下であると判定した場合(ST12:Yes)、上述のST6に移行する。
ECU5は、ST3にて現在のT/M油温が規定値X1未満であると判定した場合(ST3:No)、ST7にて現在のT/M油温が規定値X2以下であると判定した場合(ST7:No)、ST11にて現在のMG温度が規定値α未満であると判定した場合(ST11:No)、あるいは、ST12にて現在の要求駆動力が規定値Zより大きいと判定した場合(ST12:No)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
ECU5は、ST1にて、T/M損失の急変を検知していないと判定した場合(ST1:No)、抑制制御を実行せず、車両2を通常走行させ、あるいは通常走行を継続して(ST13)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
この結果、ECU5は、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大に対する適正な対応と動力性能の制限最小化との両立を図ることができ、すなわち、作動油の過熱抑制と動力性能の制限最小化との両立を図ることができる。
以上で説明した実施形態に係るECU5によれば、動力を発生可能なモータ8と動力を変速して駆動輪3に伝達可能な変速機9とを搭載し作動油がモータ8の冷却と変速機9内部の潤滑とを行う車両2に用いられ、モータ8の損失変化と変速機9内部の作動油の温度変化とに基づいて、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を抑制する抑制制御を実行する。ここでは、ECU5は、モータ8の損失変化量を変速機9内部の作動油の温度変化量で除算した値に相当する内部攪拌判定値に応じて変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を検知する。すなわち、ECU5は、モータ8の損失変化量を変速機9内部の作動油の温度変化量で除算した値に相当する内部攪拌判定値が予め設定された所定値以下になった際に抑制制御を実行する。したがって、ECU5は、モータ8の損失変化と変速機9内部の作動油の温度変化とに基づいて、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大に対して適正に対応することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両用制御装置及び攪拌損失検知装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上で説明したECU5は、モータ8の損失変化量を変速機9内部の作動油の温度変化量で除算した値に相当する内部攪拌判定値に応じて変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を検知し、抑制制御を実行するものとして説明したがこれに限らない。ECU5は、内部攪拌判定値を用いずに、単にモータ8の損失変化と変速機9内部の作動油の温度変化とに基づいて変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を検知し、あるいは、抑制制御を実行する構成であってもよい。例えば、ECU5は、変速機9内部の攪拌により作動油中に多量の空気が含まれてモータ8の発熱部の冷却性能が低下するような場合などを想定して、モータ8の損失変化量が小さいことを前提とした上で、変速機9内部の作動油の温度変化を監視し、作動油の温度が上昇したと判定した場合に、変速機9内部における作動油の攪拌損失の増大を検知し、あるいは、抑制制御を実行する構成であってもよい。
以上で説明した車両2は、ハイブリッド車両であるものとして説明したがこれに限らない。ECU5が適用される車両2は、モータ8を搭載する一方、エンジン6を搭載しない車両、いわゆるEV車両(電気自動車)であってもよい。
以上の説明では、ECU5は、第1抑制制御、第2抑制制御、第3抑制制御の順で段階的に抑制制御を実行するものとして説明したが、必ずしもこの順番でなくてもよく、また、全部を実行しなくてもよい。すなわち、ECU5は、第1抑制制御、第2抑制制御、あるいは、第3抑制制御のうちの少なくとも1つを実行すればよい。
以上のように本発明に係る車両用制御装置及び攪拌損失検知装置は、電動機と変速機とを搭載し流体が電動機の冷却と変速機内部の潤滑とを行う種々の車両に用いられる車両用制御装置及び攪拌損失検知装置に適用して好適である。
1 車両制御システム
2 車両
3 駆動輪
4 駆動装置
5 ECU(車両用制御装置、攪拌損失検知装置)
6 エンジン
7 トルクコンバータ
8 モータ(電動機)
9 変速機
9a ケーシング
9b 回転要素群
2 車両
3 駆動輪
4 駆動装置
5 ECU(車両用制御装置、攪拌損失検知装置)
6 エンジン
7 トルクコンバータ
8 モータ(電動機)
9 変速機
9a ケーシング
9b 回転要素群
Claims (7)
- 動力を発生可能な電動機と前記動力を変速して駆動輪に伝達可能な変速機とを搭載し流体が前記電動機の冷却と前記変速機内部の潤滑とを行う車両に用いられ、前記電動機の損失変化と前記変速機内部の前記流体の温度変化とに基づいて、前記変速機内部における前記流体の攪拌損失の増大を抑制する抑制制御を実行することを特徴とする、
車両用制御装置。 - 前記電動機の損失変化量を前記変速機内部の前記流体の温度変化量で除算した値に相当する判定値が予め設定された所定値以下になった際に前記抑制制御を実行する、
請求項1に記載の車両用制御装置。 - 前記抑制制御として前記変速機への入力回転数を低減する制御を実行する、
請求項1又は請求項2に記載の車両用制御装置。 - 前記抑制制御として前記変速機内部への前記流体の供給圧力を低減する制御を実行する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用制御装置。 - 前記抑制制御として前記変速機からの出力回転数を制限する制御を実行する、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両用制御装置。 - 前記変速機への入力回転数を低減する第1抑制制御、前記変速機内部への前記流体の供給圧力を低減する第2抑制制御、前記変速機からの出力回転数を制限する第3抑制制御の順で段階的に前記抑制制御を実行する、
請求項1又は請求項2に記載の車両用制御装置。 - 動力を発生可能な電動機と前記動力を変速して駆動輪に伝達可能な変速機とを搭載し流体が前記電動機の冷却と前記変速機内部の潤滑とを行う車両に用いられ、前記電動機の損失変化と前記変速機内部の前記流体の温度変化とに基づいて前記変速機内部における前記流体の攪拌損失の増大を検知することを特徴とする、
攪拌損失検知装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010095087A JP2011226516A (ja) | 2010-04-16 | 2010-04-16 | 車両用制御装置及び攪拌損失検知装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
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ID=45042092
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JP2010095087A Withdrawn JP2011226516A (ja) | 2010-04-16 | 2010-04-16 | 車両用制御装置及び攪拌損失検知装置 |
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JP (1) | JP2011226516A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016142306A (ja) * | 2015-01-30 | 2016-08-08 | ダイハツ工業株式会社 | 車両用制御装置 |
-
2010
- 2010-04-16 JP JP2010095087A patent/JP2011226516A/ja not_active Withdrawn
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