JP2011225817A - 水性接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】常態接着性及び耐水接着性等の接着性に優れ、且つ貯蔵安定性及び作業性に優れた水性接着剤組成物を提供する。
【解決手段】合成樹脂の水分散液(A)と、加水分解性基含有化合物(B)と、を含む水性接着剤組成物であって、前記加水分解性基含有化合物(B)が、一級アミノ基、二級アミノ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基からなる群から選択される1種以上の有機基を有し且つアルコキシ基、アセトキシ基及びオキシム基からなる群から選ばれる1種以上の加水分解性基が直接1〜10個の珪素原子若しくはチタン原子に結合した化合物(a)と、前記有機基と反応し得る有機化合物(b)とを反応させて、その1分子内に該加水分解性基が直接1〜10個の珪素原子若しくはチタン原子に結合した化合物であるようにした。
【選択図】なし

Description

本発明は水性接着剤組成物に関し、特に、貯蔵安定性、常態接着性及び耐水接着性に優れた水性接着剤組成物に関する。
近年、水性接着剤は溶剤型接着剤と比べ、労働安全衛生上の問題、環境問題、省資源に適するなどの種々の利点を有するため、接着剤分野において急速に溶剤型接着剤から水性接着剤に転換される傾向にある。
硬化性重合体の水性エマルジョン化方法として、特許文献1は、加水分解性シリル基を有するラジカル重合性単量体、該単量体と共重合可能な単量体および油溶性ラジカル重合開始剤からなる溶液を、HLBが1.5〜20の界面活性剤およびPH緩衝剤を含有する水性媒体中に乳化分散させる工程(1)と、該工程(1)で得られた水性乳化分散体を、攪拌下の水性媒体中に連続的または間欠的に供給し、該媒体中で前記単量体を重合させる工程(2)からなる硬化性重合体エマルジョンの製造方法を開示している。しかしながら、特許文献1記載の重合体エマルジョンの製造方法においては、使用する水性乳濁液が単量体混合物の粒子径の小さい乳濁液を調製する必要があるため、工業的に重合体エマルジョンを製造するためには、高せん断力を有する特殊な分散装置が必要となったり、操作が煩雑となるという問題があった。
また、特許文献2は、水性接着剤組成物として、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンの1種または2種以上からなる主剤と、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含むイソシアネート化合物からなる硬化剤と、特定のイミド構造を有する化合物とを含む高度耐水性接着剤組成物を開示している。しかしながら、特許文献2記載の接着剤組成物は、2液型であるため混合工程が必要であり、混合不良が発生する等の問題があった。
特開平7−149840号公報 特開2008−174656号公報
本発明は、常態接着性及び耐水接着性等の接着性に優れ、且つ貯蔵安定性及び作業性に優れた水性接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、合成樹脂の水分散液と特定の加水分解性基含有化合物を含有することにより、特に常態接着性や耐水性を有する水性接着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の水性接着剤組成物は、合成樹脂の水分散液(A)と、加水分解性基含有化合物(B)と、を含む水性接着剤組成物であって、前記加水分解性基含有化合物(B)が、一級アミノ基、二級アミノ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基からなる群から選択される1種以上の有機基を有し且つアルコキシ基、アセトキシ基及びオキシム基からなる群から選ばれる1種以上の加水分解性基が直接1〜10個の珪素原子若しくはチタン原子に結合した化合物(a)と、前記有機基と反応し得る有機化合物(b)とを反応させて、その1分子内に該加水分解性基が直接1〜10個の珪素原子若しくはチタン原子に結合した化合物であることを特徴とする。
前記加水分解性基含有化合物(B)は、前記加水分解性基がアルコキシ基であり、該アルコキシ基が直接珪素原子に結合した化合物であることが好適である。
前記化合物(a)が、前記有機基が一級アミノ基及び/又は二級アミノ基である化合物(a−1)及び前記有機基がメルカプト基である化合物(a−2)からなる群から選択される1種以上であり、前記化合物(b)が、α,β−不飽和カルボニル化合物(b−1)、α,β−不飽和ニトリル化合物(b−2)、カーボネート化合物(b−3)、2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子中にイソシアネート基と反応し得る1〜2個の活性水素を有する化合物とを反応させて得たその分子中に2個未満のイソシアネート基を持つ化合物(b−4)、モノイソシアネート化合物(b−5)、エポキシ基を有する化合物(b−6)及びアリル基を有する化合物(b−7)からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
前記分子中にイソシアネート基と反応し得る1〜2個の活性水素を有する化合物が、モノアルコール、モノ一級アミン、モノ二級アミン、モノマロニル化合物、モノカルボン酸及びモノチオールからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
また、前記化合物(a)が前記化合物(a−1)であり且つ前記加水分解性基が直接珪素原子に結合した化合物であり、前記化合物(b)が前記化合物(b−1)であることが好適である。
また、前記化合物(a)が、前記有機基が(メタ)アクリロイル基である化合物(a−3)であり、前記化合物(b)が、一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を有する化合物(b−8)及びメルカプト基を有する化合物(b−9)からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。なお、本発明において、アクリロイル基とメタクリロイル基をあわせて(メタ)アクリロイル基と称する。
前記化合物(a)が前記化合物(a−3)であり且つ前記加水分解性基が直接珪素原子に結合した化合物であり、前記化合物(b)が前記化合物(b−8)であることが好適である。
また、前記化合物(a)が、前記有機基がエポキシ基である化合物(a−4)であり、前記化合物(b)が、活性水素を含有する化合物(b−10)であることが好適である。前記化合物(a−4)が、前記加水分解性基が直接珪素原子に結合した化合物であり、前記化合物(b−10)がアミノ基含有化合物であることが好ましい。
前記合成樹脂の水分散液(A)の固形分100質量部に対して、前記加水分解性基含有化合物(B)を0.1〜15質量部配合することが好ましい。
本発明の水性接着剤組成物は、貯蔵安定性及び通常条件下での接着力に優れ、且つ常態接着性や耐水接着性、貯蔵後の接着性に優れており、さらに、有機溶剤やフタル酸系可塑剤等を含まないため、シックハウス症候群等の環境問題に懸念が無いという甚大な効果を奏するものである。
本発明の水性接着剤組成物は、用途に制限はなく、例えば、建築用途、工業用途、プライマー、コーティング材等、幅広く使用できる。また、本発明の水性接着剤組成物は、1液型及び2液型のいずれでも使用できる為、作業性に優れている。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明の水性接着剤組成物は、合成樹脂の水分散液(A)と、特定の加水分解性基含有化合物(B)と、を含むものである。
前記合成樹脂の水分散液(A)としては、公知の合成樹脂の水分散液を用いることができるが、アクリル系重合体エマルジョン、ゴム系ラテックスおよび合成樹脂系エマルジョンからなる群より選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
前記アクリル系重合体エマルジョンは特に限定はなく、各種公知のものを使用できる。該アクリル系重合体エマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルを一括仕込み重合法、モノマー逐次添加重合法、乳化モノマー逐次添加重合法、シード重合法などの公知の乳化重合法により容易に製造することが出来る。
使用される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等をあげることができ、これらを単独または2種以上を混合して用いることができる。また、得られるアクリル系重合体エマルジョンに貯蔵安定性を付与するため、前記(メタ)アクリル酸エステルに換えて(メタ)アクリル酸を少量使用してもよい。さらに所望により(メタ)アクリル酸エステル重合体の接着特性を損なわない程度で、たとえば、酢酸ビニル、スチレン等の共重合可能なビニル系単量体を併用してもよい。なお、アクリル系重合体エマルジョンに用いられる乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、部分ケン化ポリビニルアルコール等の各種公知のものを使用でき、その使用量は重合体100質量部に対して0.1〜5質量部程度が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
前記ゴム系ラテックスは特に限定はなく、各種公知のものを使用できる。該ゴム系ラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス等が挙げられる。
前記合成樹脂系エマルジョンは特に限定はなく、各種公知のものを使用できる。該合成樹脂系エマルジョンとしては、例えば、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリウレタン樹脂系エマルジョン等が挙げられる。
本発明で用いられる前記加水分解性基含有化合物(B)は、一級アミノ基、二級アミノ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基からなる群から選択される1種以上の有機基を有し且つアルコキシ基、アセトキシ基及びオキシム基からなる群から選ばれる1種以上の加水分解性基が直接1〜10個の珪素原子若しくはチタン原子に結合した化合物(a)と、前記有機基と反応し得る有機化合物(b)とを反応させて、その1分子内に該加水分解性基が直接1〜10個の珪素原子若しくはチタン原子に結合した化合物である。
前記加水分解性基含有化合物(B)は、前記加水分解性基がアルコキシ基であり、該アルコキシ基が直接珪素原子に結合したアルコキシシラン化合物であることが好適である。
前記加水分解性基含有化合物(B)は、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。前記加水分解性基含有化合物(B)の配合割合は特に限定されないが、合成樹脂の水分散液(A)の固形分100質量部に対して0.1〜15質量部配合することが好ましく、0.5〜10質量部配合することがより好ましい。
前記化合物(a)は1種のみでもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、前記化合物(b)も1種のみでもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。前記化合物(a)と前記化合物(b)との反応は、1種又は2種以上の化合物(a)及び1種又は2種以上の化合物(b)を、−20℃〜150℃程度の温度で0.5〜1000時間同時又は逐次的に反応させて、1〜10個の前記加水分解性基が直接珪素原子若しくはチタン原子に結合した加水分解性基含有化合物(B)を合成することが好適である。該反応は、有機溶媒等の媒体の存在下行っても良く、1000時間を超えて行っても何ら問題はない。化合物(a)及び化合物(b)の使用割合は、化合物(a)中の前記有機基と、化合物(b)中の前記化合物(a)の前記有機基と反応する有機基とが1個以上反応する範囲とすることが好ましい。また、化合物(b)を過剰に使用して接着剤組成物中に残留させ、可塑剤として作用させても良いが、本発明の接着剤組成物の性能を阻害するほど多く用いることは好ましくない。なお、化合物(b)が、α,β−不飽和カルボニル化合物及びα,β−不飽和ニトリル化合物等の光硬化開始剤等によって重合する化合物の場合は、光硬化開始剤と併用して硬化させるのであれば、化合物(b)を過剰に使用しても問題はない。
前記化合物(a)としては、例えば、前記有機基が一級アミノ及び/又は二級アミノ基である化合物(a−1)、前記有機基がメルカプト基である化合物(a−2)、前記有機基が(メタ)アクリロイル基である化合物(a−3)、及び前記有機基がエポキシ基である化合物(a−4)等が好ましい。
前記有機基が一級アミノ基及び/又は二級アミノ基である化合物(a−1)とは、即ち、前記有機基が1個以上の一級アミノ基である化合物、前記有機基が1個以上の二級アミノ基である化合物、及び前記有機基が1個以上の一級アミノ基及び1個以上の二級アミノ基である化合物からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物である。該化合物(a−1)としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、この他特殊アミノシランである信越化学工業社製、商品名:KBM6063、X−12−896、KBM576、X−12−565、X−12−580、X−12−806、X−12−666、X−12−5263、KBM6123、X−12−577、X−12−575、X−12−563B、X−12−562等のアミノシラン化合物やイソプロポキシトリス[2−(2−アミノエチル)アミノエトキシ]チタン等のアミノ基含有チタン化合物が挙げられ、アミノシラン化合物が好ましい。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記有機基がメルカプト基である化合物(a−2)としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記有機基が(メタ)アクリロイル基である化合物(a−3)としては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記有機基がエポキシ基である化合物(a−4)としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記化合物(b)は、前記化合物(a)中の前記有機基と反応し得る有機化合物であれば特に制限はなく、化合物(a)に応じて適宜選択すればよい。
具体的には、前記化合物(a)として、前記有機基が一級アミノ基及び/又は二級アミノ基である化合物(a−1)及び前記有機基がメルカプト基である化合物(a−2)からなる群から選択される1種以上を用いた場合における好適な化合物(b)としては、例えば、α,β−不飽和カルボニル化合物(b−1)、α,β−不飽和ニトリル化合物(b−2)、カーボネート化合物(b−3)、2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子中にイソシアネート基と反応し得る1〜2個の活性水素を有する化合物とを反応させて得たその分子中に2個未満のイソシアネート基を持つ化合物(b−4)、モノイソシアネート化合物(b−5)、エポキシ基を有する化合物(b−6)及びアリル基を有する化合物(b−7)からなる群から選択される1種以上が挙げられる。前記化合物(a)が化合物(a−1)であり、前記化合物(b)が化合物(b−1)であることが好適である。
前記化合物(a)として、化合物(a−1)及び(a−2)からなる群から選択される1種又は2種以上を用い、前記化合物(b)として、化合物(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)、(b−6)及び(b−7)からなる群から選択される1種又は2種以上を用いる場合、両者を−20℃〜120℃で0.5〜1000時間程度混合反応を行うことが好適である。両者の反応は、室温〜120℃でよいが、必要に応じて冷却してもよい。該反応時における化合物(a−1)及び(a−2)と、化合物(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)、(b−6)及び(b−7)との配合比は、化合物(a−1)及び(a−2)1モル中の活性水素をγ個とし、化合物(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)、(b−6)及び(b−7)の1モル中の(a)の前記有機基と反応する有機基数をδ個とした場合、化合物(a−1)及び(a−2)1モルに対して化合物(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)、(b−6)及び(b−7)を1/δ〜γモルの範囲となるようにすることが好ましい。
前記α,β−不飽和カルボニル化合物(b−1)としては、α,β−不飽和カルボキシ化合物、α,β−不飽和ケトン化合物、及びα,β−不飽和アルデヒド化合物等が好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、2−シアノアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、東亞合成(株)製の商品名:アロニックス(登録商標)M−101、M−102、M−110、M−111、M−113、M−117、M−120、M−156、M−5300、M−5400、M−5600、M−5700等の単官能特殊アクリレート、ダイセル化学工業(株)製の商品名:PLACCEL(登録商標)FA−2D等、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、ジエチルフェニルマレイミド等のモノマレイミド化合物、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレインイミド等のヒドロキシ基含有モノマレイミド化合物、無水マレイン酸、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ−n−ブチル等マレイン酸エステル、フマル酸ジエチル等のフマル酸エステルなどが好適な例として挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記α,β−不飽和ニトリル化合物(b−2)としては、ヒドロキシ基を含まないものを使用することが好ましく、例えば、2−シアノアクリレート、2−シアノアクリル酸エチル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記カーボネート化合物(b−3)としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記その分子中に2個未満のイソシアネート基を持つ化合物(b−4)は、2個以上のイソシアネート基を有する化合物(ポリイソシアネート化合物)と、分子中にイソシアネート基と反応し得る1〜2個の活性水素を有する化合物とを反応させることにより得られる。該反応は、−20℃〜150℃程度の温度で0.5〜1000時間行うことが好適である。該反応時におけるポリイソシアネート化合物と、活性水素を有する化合物との配合比は、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基の数をκとした場合、ポリイソシアネート化合物1モルに対して、活性水素を有する化合物を(κ−1)×(0.1〜1.7)モルとすることが好ましい。
前記化合物(b−4)を合成する際に用いられる2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、公知のポリイソシアネート化合物を用いることができる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。ジイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物、芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロパン−1,2−ジイルビスイソシアネート、ブタン−1,2−ジイルビスイソシアネート、ブタン−2,3−ジイルビスイソシアネート、ブタン−1,3−ジイルビスイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−シクロペンタンジイルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(イソシアナトシクロヘキサン)、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイルジイソシアネート、2−メチル−1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はそれらの混合物、1,4−フェニレンビス(エチレン)ジイソシアネート、1,3−若しくは1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン又はそれらの混合物等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジイソシアナトビフェニル、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアネート等が挙げられる。
ジイソシアネート化合物を除くポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族、脂環式ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、3−イソシアネートメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1,3,5−トリ(イソシアネートメチル)ベンゼン等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、ベンゼン−1,3,5−トリイルトリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナト−2−メチルベンゼン等が挙げられる。
前記化合物(b−4)を合成する際に用いられる分子中にイソシアネート基と反応し得る1〜2個の活性水素を有する化合物としては、モノアルコール、モノ一級アミン、モノ二級アミン、モノマロニル化合物、モノカルボン酸及びモノチオールからなる群から選択される1種又は2種以上が好適である。
前記モノアルコールとしては、ROHの一般式で表される化合物の中で,一級アミノ基、二級アミノ基、カルボキシル基、マロニル基若しくはメルカプト基等、ヒドロキシ基以外のイソシアネート基と反応する基を持たないモノアルコールが挙げられる。ジエチレングリコールモノブチルエステル等ポリエステルジオールのモノエステル類、フェノール等の芳香族系化合物を用いてもよい。
前記モノ一級アミンとしては、RNHの一般式で表される化合物の中で、ヒドロキシ基、二級アミノ基、カルボキシ基、マロニル基若しくはメルカプト基等、一級アミノ基以外のイソシアネート基と反応する基を持たないモノ一級アミンが挙げられる。3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン等やアニリン、ベンジルアミン等の芳香族
系化合物を用いてもよい。
モノ二級アミンとしては、RNHR′の一般式で表される化合物の中で、ヒドロキシ基、一級アミノ基、カルボキシ基、マロニル基若しくはメルカプト基等、二級アミノ基以外のイソシアネート基と反応する基を持たないモノ二級アミンが挙げられる。N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアリールアミノシラン等やピペリジン等の複素環状化合物を用いてもよい。
モノマロニル化合物としては、RCOCHCOR′の一般式で示される化合物の中で、ヒドロキシ基、一級アミノ基、二級アミノ基、カルボキシ基若しくはメルカプト基等、マロニル基以外のイソシアネート基と反応する基を持たないモノマロニル化合物が挙げられる。マロン酸エステル類、アセチルアセトン等を用いてもよい。
モノカルボン酸としては、RCOOHの一般式で示される化合物の中で、ヒドロキシ基、一級アミノ基、二級アミノ基、マロニル基若しくはメルカプト基等、カルボキシ基以外のイソシアネート基と反応する基を持たないモノカルボン酸化合物が挙げられる。安息香酸等芳香族化合物を用いてもよい。
モノチオールとしては、RSHの一般式で表される化合物の中で、ヒドロキシ基、一級アミノ基、二級アミノ基、カルボキシ基若しくはマロニル基等、メルカプト基以外のイソシアネート基と反応する基を持たないモノチオールが挙げられる。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を用いてもよい。
前記モノイソシアネート化合物(b−5)としては、例えば、エチルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、トシルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、2−メトキシフェニルイソシアネート等のR−NCOの一般式で示される化合物の他、信越化学工業(株)製、商品名:KBE9007等のイソシアネートシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記エポキシ基を有する化合物(b−6)としては、エポキシ基を1個以上含有する化合物を広く使用することができ、特に制限はないが、例えば、メチルフェニルグリシジルエーテル、p−tertブチルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、長鎖脂肪族グリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、クレゾールグリシジルエーテルその他各種アルキルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド等のモノエポキシ化合物、前述した有機基がエポキシ基である化合物(a−4)等が好適に用いられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記アリル基を有する化合物(b−7)としては、アリル基を1個以上含有する化合物を広く使用することができ、特に制限はないが、例えば、アリルアルコール、アリルフェノール、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の1個のアリル基を有する化合物等が好適に用いられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記化合物(a)として、有機基が(メタ)アクリロイル基である化合物(a−3)を用いた場合における好適な化合物(b)としては、一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を有する化合物(b−8)及びメルカプト基を有する化合物(b−9)からなる群から選択される1種以上が挙げられる。前記化合物(a)が化合物(a−3)であり、前記化合物(b)が化合物(b−8)であることが好適である。
前記化合物(a)として、化合物(a−3)を用い、前記化合物(b)として、化合物(b−8)及び(b−9)からなる群から選択される1種又は2種以上を用いる場合、両者を−20℃〜150℃で0.5〜1000時間程度求核付加反応を行うことが好ましい。該反応における化合物(a−3)と、化合物(b−8)及び(b−9)との配合比は、化合物(a−3)1モル中の(メタ)アクリロイル基をε個とし、化合物(b−8)、(b−9)中の活性水素をζ個とした場合、化合物(a−3)1モルに対して化合物(b−8)、(b−9)を1/ζ〜εモルの範囲となるようにすることが好ましい。
前記一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を有する化合物(b−8)としては、一級アミノ基及び二級アミノ基からなる群から選択されるアミノ基を1個以上含有するアミノ基含有化合物を広く使用することができ、特に制限はないが、例えば、前述した有機基が一級アミノ基及び/又は二級アミノ基である化合物(a−1)や、エチルアミン、アリルアミン、イソプロピルアミン、2−エチルヘキシルアミン、2−エチルヘキシルオキシルプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、ステアリルアミン、2−フェニルエチルアミン等のモノ1級アミン化合物、ジイソプロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、2−ピロリドン、各種イミダゾール化合物、ピロリジン、ピペリジン、1−ベンジルピペラジン等の2級アミン化合物、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン等の1級及び2級アミノ基を有する化合物等が好適に用いられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記メルカプト基を有する化合物(b−9)としては、メルカプト基を1個以上含有する化合物を広く使用することができ、特に制限はないが、例えば、前述した有機基がメルカプト基である化合物(a−2)や、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、アリルメルカプタン、フェネチルメルカプタン等が好適に用いられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併用しても良い。
前記化合物(a)として、有機基がエポキシ基である化合物(a−4)を用いた場合における好適な化合物(b)としては、例えば、活性水素を含有する化合物(b−10)等が挙げられる。
前記化合物(a)として、化合物(a−4)を用い、前記化合物(b)として、化合物(b−10)を用いる場合、両者を−20℃〜150℃で0.5〜1000時間程度混合反応させることが好ましい。該反応における化合物(a−4)と、化合物(b−10)との配合比は、化合物(a−4)1モル中のエポキシ基をη個とし、化合物(b−10)中の活性水素をθ個とした場合、化合物(a−4)1モルに対して化合物(b−10)を1/θ〜ηモルの範囲となるようにすることが好ましい。
前記活性水素を含有する化合物(b−10)としては、公知の分子内に1個以上の活性水素を有する化合物を広く使用することができ、特に制限はないが、アミノ基含有化合物が好ましい。前記化合物(b−10)としては、例えば、前記化合物(a−1)において述べたアミノシラン化合物や前記化合物(a−2)において述べたメルカプトシラン化合物等の各種シラン化合物、アリル尿素、前記化合物(b−8)において述べたアミノ基含有化合物等が好適な例として挙げられる。また、シラン化合物と他の化合物との反応生成物等を用いてもよい。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
本発明の水性接着剤組成物における水の含有量は、水性接着剤組成物中の固形分濃度が10〜80質量%となるように調整することが好ましく、固形分濃度が30〜70質量%となるように調整することがより好ましい。
本発明の水性接着剤組成物は、前記成分(A)及び(B)に加えて、必要に応じて、充填剤、安定剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、可塑剤等の各種添加剤を配合してもよい。本発明の水性接着剤組成物は、必要に応じて1液型とすることもできるし、2液型とすることもできるが、特に1液型として好適に用いることができる。
本発明の水性接着剤組成物は常温で硬化することが可能であり、常温硬化型水性接着剤組成物として好適に用いられるが、必要に応じて、適宜、加熱により硬化を促進させてもよい。
充填剤としては、一般に水性接着剤組成物に使用される公知の充填剤を広く使用することができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪砂、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウム、カオリン、クレー、マイカ、ケイソウ土、ガラス、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、カーボンブラック、合成繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、各種ウィスカーなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上が併用されてもよい。また、上記充填剤の平均粒子径は、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは10〜40μmの範囲である。充填剤の平均粒子径を前記範囲とすることにより、接着強度に優れ且つ水性接着剤組成物の粘度の増加やゲル化を抑えることができる。
安定剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどが挙げられる。
分散剤としては、例えば、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩などの無機系分散剤、ポリカルボン酸塩などの高分子分散剤などが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系ノニオン系界面活性剤や、ポリジメチルシロキサンオイル、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド変性の、ジメチルシリコーンまたはジメチルシリコーンエマルジョンなどのシリコーン系消泡剤、鉱物油、アセチレンアルコールなどのアルコール系消泡剤などが挙げられる。
防腐剤としては、例えば、環状窒素系化合物、環状窒素硫黄系化合物などが挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ポリアクリル酸塩、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性ウレタン樹脂、などが挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸系可塑剤以外の可塑剤を用いることが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール類、更にこれらの誘導体として、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類及び、エチレングリコールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテートなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルアセテート類、ジ(2-エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペートなどのアジピン酸誘導体、ジn-ブチルセバケート、ジ(2-エチルヘキシル)セバケートなどのセバシン酸誘導体、クエン酸エステル、グリセリンエステル等が挙げられる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(合成例1)アクリル系重合体の水分散液A1の合成
容器にイオン交換水50質量部、ドデシル硫酸ナトリウム3質量部、アクリル酸3質量部、2−エチルヘキシルアクリレート52質量部、メチルメタクリレート45質量部、10%過硫酸アンモニウム水溶液2質量部を秤量・攪拌し、モノマー乳化液を調整した。撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管及び温度計を備えた4つ口フラスコに、イオン交換水50質量部を仕込み、攪拌しながら内温を75℃に加温し、モノマー乳化液10質量部と10%過硫酸アンモニウム水溶液を0.5質量部添加した。同温で残りのモノマー乳化液を滴下し3時間重合反応を行った。内温を保ちながら1時間後重合反応を行った。後重合反応終了後、室温に冷却し25%アンモニア水溶液を3質量部加えて中和し、粘度1500mPa・s、不揮発分50.7%のアクリル系重合体の水分散液A1を得た。
(合成例2)ポリウレタン樹脂の水分散液A2の合成
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管及び温度計を備えた4つ口フラスコに、分子量2,000のポリエステルポリオール((株)クラレ製、P−2010)100質量部を投入し、窒素気流下110℃にて脱水し、脱水後、60℃まで冷却を行った。その後、2,2−ジメチロールプロピオン酸1.6質量部、イソホロンジイソシアネート(ヒュルス社製、VESTANT IPDI)17.5質量部、アセトン70質量部を順次投入し、70〜90℃にて所定のイソシアネート含量となるまで反応を行った。その後、40℃以下まで冷却し、トリエチルアミン1.2質量部を添加し中和を行いポリウレタンプレポリマー溶液を調整した。
前記調整したポリウレタンプレポリマー溶液を撹拌しながら、蒸留水281質量部を徐々に添加し、乳白色のポリウレタンプレポリマー水分散液を得た、その後、速やかに、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン(日本乳化剤(株)製、アミノアルコールEA)1.5質量部を滴下して、鎖伸長反応させた。なお、この鎖伸長反応では、反応温度を30℃以下に調整した。次いで、常温で1時間撹拌を続けた後、減圧下40〜50℃にてアセトンを除去し、不揮発分30重量%、粘度50mPa・sのポリウレタン樹脂の水分散液A2を得た。
(合成例3〜10)
表1及び表2に示した割合で各配合物質を室温で混合し、80℃で3日間反応させ、加水分解性基含有化合物B1〜B8を得た。
Figure 2011225817
Figure 2011225817
表1及び表2において、各配合物質の詳細は下記の通りである。
KBM903;信越化学工業(株)製、3−アミノプロピルトリメトキシシラン
KBM603;信越化学工業(株)製、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
KBM602;信越化学工業(株)製、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン
MA;メチルアクリレート
2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート
MMA;メチルメタクリレート
KBM803;信越化学工業(株)製、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
KBM503;信越化学工業(株)製、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン
KBM403;信越化学工業(株)製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(実施例1〜11)
表3に示した割合で各配合物質を混合撹拌し、本発明の水性接着剤組成物を調整した。
Figure 2011225817
表3において、各配合物質の配合量は質量部で示され、各配合物質の詳細は下記の通りである。
アクリル系重合体の水分散液A1;合成例1で合成したアクリル系重合体の水分散液A1
ポリウレタン樹脂の水分散液A2;合成例2で合成したポリウレタン樹脂の水分散液A2
SBRラテックス;商品名:旭化成ラテックスSB系L−7430、旭化成ケミカルズ(株)製
加水分解性基含有化合物B1〜B8;合成例3〜10で合成した加水分解性基含有化合物B1〜B8
前記得られた水性接着剤組成物に対して、下記試験を行った。結果を表4に示した。
1.接着強度試験
JISK6850「接着剤−剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法」に準拠し、接着強度を測定した。即ち、米栂(5.5×25×100mm)の両面に接着剤を100g/mウェットで塗布し貼り合わせた。常態強度は、試験体を23℃、50%RHで168時間養生した後に50mm/minの引張り速度で試験を行ったものであり、水中浸せき強度は、試験体を23℃、50%RHで168時間養生した後、水に3時間浸せきした後50mm/minの引張り速度で試験を行ったものである。
2.貯蔵安定性試験
接着剤を密閉容器に入れ50℃雰囲気下で1週間置き、貯蔵前からの増粘率を測定した。評価基準は下記の通りである。
○:1.5倍未満、△:1.5以上2.0倍未満、×:2倍以上。
3.貯蔵後性能試験
前記2.貯蔵安定性試験と同様の方法で接着剤を貯蔵した後、該貯蔵後の接着剤に対して、前記1.接着強度試験と同様の試験を行った。
Figure 2011225817
(比較例1〜8)
表5に示した組成に変更した以外は実施例1と同様の方法で水性接着剤組成物を調整し、各試験を行った。結果を表6に示した。なお、比較例2,3及び6は、各配合質を混合直後にゲル物が発生した。
Figure 2011225817
表5において、各配合物質の配合量は質量部で示され、各配合物質の詳細は表1、表2及び表3と同じである。
Figure 2011225817

Claims (10)

  1. 合成樹脂の水分散液(A)と、
    加水分解性基含有化合物(B)と、を含む水性接着剤組成物であって、
    前記加水分解性基含有化合物(B)が、
    一級アミノ基、二級アミノ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基からなる群から選択される1種以上の有機基を有し且つアルコキシ基、アセトキシ基及びオキシム基からなる群から選ばれる1種以上の加水分解性基が直接1〜10個の珪素原子若しくはチタン原子に結合した化合物(a)と、前記有機基と反応し得る有機化合物(b)とを反応させて、その1分子内に該加水分解性基が直接1〜10個の珪素原子若しくはチタン原子に結合した化合物であることを特徴とする水性接着剤組成物。
  2. 前記加水分解性基含有化合物(B)は、前記加水分解性基がアルコキシ基であり、該アルコキシ基が直接珪素原子に結合した化合物であることを特徴とする請求項1記載の水性接着剤組成物。
  3. 前記化合物(a)は、前記有機基が一級アミノ基及び/又は二級アミノ基である化合物(a−1)及び前記有機基がメルカプト基である化合物(a−2)からなる群から選択される1種以上であり、
    前記化合物(b)は、α,β−不飽和カルボニル化合物(b−1)、α,β−不飽和ニトリル化合物(b−2)、カーボネート化合物(b−3)、2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子中にイソシアネート基と反応し得る1〜2個の活性水素を有する化合物とを反応させて得たその分子中に2個未満のイソシアネート基を持つ化合物(b−4)、モノイソシアネート化合物(b−5)、エポキシ基を有する化合物(b−6)及びアリル基を有する化合物(b−7)からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の水性接着剤組成物。
  4. 前記分子中にイソシアネート基と反応し得る1〜2個の活性水素を有する化合物は、モノアルコール、モノ一級アミン、モノ二級アミン、モノマロニル化合物、モノカルボン酸及びモノチオールからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項3記載の水性接着剤組成物。
  5. 前記化合物(a)は、前記化合物(a−1)であり且つ前記加水分解性基が直接珪素原子に結合した化合物であり、
    前記化合物(b)は、前記化合物(b−1)であることを特徴とする請求項3記載の水性接着剤組成物。
  6. 前記化合物(a)は、前記有機基が(メタ)アクリロイル基である化合物(a−3)であり、
    前記化合物(b)は、一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を有する化合物(b−8)及びメルカプト基を有する化合物(b−9)からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の水性接着剤組成物。
  7. 前記化合物(a)は、前記化合物(a−3)であり且つ前記加水分解性基が直接珪素原子に結合した化合物であり、
    前記化合物(b)は、前記化合物(b−8)であることを特徴とする請求項6記載の水性接着剤組成物。
  8. 前記化合物(a)は、前記有機基がエポキシ基である化合物(a−4)であり、
    前記化合物(b)は、活性水素を含有する化合物(b−10)であることを特徴とする
    請求項1又は2記載の水性接着剤組成物。
  9. 前記化合物(a−4)は、前記加水分解性基が直接珪素原子に結合した化合物であり、
    前記化合物(b−10)は、アミノ基含有化合物であることを特徴とする請求項8記載の水性接着剤組成物。
  10. 前記合成樹脂の水分散液(A)の固形分100質量部に対して、前記加水分解性基含有化合物(B)を0.1〜15質量部配合することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の水性接着剤組成物。
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