JP2011224924A - ポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ乳酸樹脂含有量が40質量%以上で、ブロッキング傾向の高いポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を溶融混練、押出し、水冷、カッティングして、耐ブロッキング性に優れたペレットを製造する。
【解決手段】押出機における押出条件(1)、ストランドの冷却条件(2)、およびカッター装置におけるカッティング条件(3)を、以下の条件とする。
条件(1):ダイより押出されるストランドの表面温度が、ポリ乳酸樹脂の融点:Tm (℃)に対して(Tm−5)℃〜(Tm+80)℃
条件(2):45〜90℃の水に0.5〜12秒間浸漬して、ストランドの表面温度
(Tm−50)℃〜(Tm−10)℃に冷却する。
条件(3):ストランドの表面温度(Tm−100)℃〜(Tm−50)℃でカッティ
ングする。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐ブロッキング性に優れたポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物のペレットを製造する方法に関するものである。
近年、カーボンニュートラルとして、炭酸ガスを吸収、固定する植物資源の有効活用が注目されている。即ち、植生によって、炭酸ガスの吸収を図る一方で、将来枯渇が予想される石油資源の代替を図るというものである。
プラスチックにおいても、従来の石油を基礎原料とするものから、バイオマスを利用したプラスチックが開発され、最近では植物系プラスチックとして、物性と量産化の可能性からポリ乳酸樹脂(PLA)の実用化が期待されている(特許文献1:特開2002−146170号公報)。
ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物からなるペレットは、一般的に、押出機による混練後、押出機のダイからストランド状の溶融物を押出し、水にて冷却後、カッター装置によりカッティングしてペレット化することにより製造されている。
このようにして得られたペレットを成形材料として用いる場合、予め乾燥する必要があるが、従来、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの乾燥には、撹拌機能を有する乾燥機(ポッパードライヤー)が用いられている。
即ち、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレット中のポリ乳酸樹脂は非結晶状態であるため、これを撹拌機能のない乾燥機で80℃以上に加熱乾燥すると、ペレットが乾燥機内でブロッキングして乾燥機から取り出せなくなるため、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの乾燥には撹拌機能を有する乾燥機を用いる必要がある。特に、ポリ乳酸樹脂含有量の多いポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットにあっては、ブロッキングし易い傾向にある。
しかしながら、撹拌機能付き乾燥機は、特殊かつ高価であり、またメンテナンス等も煩雑となることから、工業的には撹拌機能を持たない乾燥機を用いることが好ましい。
この問題に対して、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂に滑剤または滑剤と炭酸カルシウム等の充填剤を添加した組成物をホットカットによりペレット化する方法(特許文献2:特開2004−352844号公報)が提案されている。しかしながら、この場合であっても、得られたペレットを射出成形する場合は、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂を短時間で結晶化させるために、タルク等の結晶核剤を多量に添加する必要があり、このように多量の結晶核剤を配合した場合、さらには他の熱可塑性樹脂を配合した場合には、乾燥工程を行うとペレットのブロッキングを生じてしまう問題があった。
また、ポリ乳酸系樹脂ペレットの製造法として、押出機のダイからストランド状の溶融物を押出し、40℃以下の水で冷却後、カッター装置によりペレット化する方法もある(特許文献3:特開2007−152760号公報)。しかしながら、この方法では40℃以下の水で冷却するため、結晶化速度の低下等の問題があり、さらに、他の熱可塑性樹脂を配合した場合に、乾燥工程でペレットのブロッキングを生じてしまう問題があった。
特開2002−146170号公報 特開2004−352844号公報 特開2007−152760号公報
本発明の課題は、ポリ乳酸含有量が40質量%以上で、ブロッキング傾向の高いポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物から、汎用の撹拌機能のない乾燥機での乾燥が可能な耐ブロッキング性に優れたペレットを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を押出機で溶融混練、押出しし、押出されたストランドを水に浸漬して冷却した後カッター装置でペレット化するに当たり、押出機における押出条件(1)、ストランドの冷却条件(2)、およびカッター装置におけるカッティング条件(3)を特定の条件に制御することにより、耐ブロッキング性に優れたペレットを得ることができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] ポリ乳酸樹脂含有量が40質量%以上のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を押出機で溶融混練、押出しし、押出されたストランドを水に浸漬して冷却した後、カッター装置でペレット化することにより該ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物のペレットを製造する方法において、該押出機における押出条件(1)、ストランドの冷却条件(2)、およびカッター装置におけるカッティング条件(3)が、それぞれ次の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
条件(1):押出機ダイより押出されるストランドの表面温度が、ポリ乳酸樹脂の融点
:Tm(℃)に対して(Tm−5)℃〜(Tm+80)℃の範囲とする。
条件(2):ストランドを、45〜90℃の水に0.5〜12秒間浸漬して、ストラン
ドの表面温度を、ポリ乳酸樹脂の融点:Tm(℃)に対して(Tm−50
)℃〜(Tm−10)℃に冷却する。
条件(3):ストランドの表面温度がポリ乳酸の融点:Tm(℃)に対して(Tm−
100)℃〜(Tm−50)℃の条件下でカッティングする。
[2] 該ペレットのサイズが、直径2〜5mmで長さ2〜5mmである[1]に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
[3] 該ペレットは、示差走査熱量測定(DSC)において70〜90℃の範囲に発熱ピークを有さないか、或いは発熱量が2J/g以下である[1]または[2]に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの製造方法によれば、ポリ乳酸含有量が40質量%以上でブロッキング傾向の高いポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物から、耐ブロッキング性に優れたペレットを短時間に効率よく得ることができる。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの製造方法により得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットは、耐ブロッキング性に優れるため、その乾燥の際には、撹拌機能を有する特殊な乾燥機ではなく、撹拌機能のない、安価な汎用の乾燥機を用いて効率的に乾燥することができ、工業的に有利である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物]
本発明において、ペレットの製造に供するポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)は、ポリ乳酸樹脂含有量が40質量%以上のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であり、ポリ乳酸樹脂(a)を必須成分とし、通常、ゴム含有グラフト共重合体(b)、結晶核剤(c)、および加水分解抑制剤(d)を含む。
<ポリ乳酸樹脂(a)>
本発明の樹脂組成物に使用するポリ乳酸樹脂(a)は、乳酸を直接脱水縮重合する方法、或いはラクチドを開環重合する方法等といった、公知の手段で得る事ができる。
ポリ乳酸樹脂にはL体、D体、DL体の3種の光学異性体が存在し、市販されているポリ乳酸樹脂としては、L体の純度が100%に近いものがあるが、本発明で用いるポリ乳酸樹脂(a)は、特にその純度を規定するものではなく、また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の共重合成分を含んだ共重合体でも構わない。
ポリ乳酸樹脂(a)に含まれる他の共重合成分としては、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類などを挙げることができる。このような共重合成分の含有量は、ポリ乳酸樹脂(a)中の全単量体成分中、通常30モル%以下の含有量とするのが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
ポリ乳酸樹脂(a)の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されるものではないが、質量平均分子量としては、通常1万以上、好ましくは5万以上であることが望ましい。ポリ乳酸樹脂(a)の質量平均分子量の上限については特に制限はないが、通常20万以下、好ましくは12万以下である。
なお、分子量の測定はGPC(溶媒THF:テトラヒドロフラン)にて測定することができるが、ポリ乳酸樹脂がペレット状の場合、THFに溶解し難い場合があり、その場合は、クロロホルムに溶解させた後、メタノールを用いてポリマー成分を析出させ、そのポリマー成分を乾燥させたものをTHFに溶解させて可溶分の分子量を測定することができる。また、必要に応じて加温するなどして溶解させることもできる。
本発明で使用するポリ乳酸樹脂(a)は、その融点(Tm)は任意のものを用いることができるが、ゴム含有グラフト共重合体(b)を配合する際のコンパウンド化の容易性から、ポリ乳酸樹脂の融点(Tm)は、160〜180℃の範囲であることが好ましい。
なお、ポリ乳酸の融点(Tm)は、JIS−K7121に準じて示差走査熱量測定(DSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる値である。
本発明の樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂(a)の配合量は、40質量%以上であり、好ましくは40〜95質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%であることが、本発明の目的を達成する観点およびカーボンニュートラルの観点から好ましく、また、耐ブロッキング性においても十分に効果を発現する。
なお、ポリ乳酸樹脂(a)は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
ポリ乳酸樹脂(a)の具体例としては、例えば、市販品のNature Works社製「NATUREWORKS」、中国海生生物材料公司社製「REVODE」などが挙げられ、本発明に使用することができる。
<ゴム含有グラフト共重合体(b)>
本発明で使用するゴム含有グラフト共重合体(b)は、一般にABS、ASA、AES、MBS、SBS等で表現される、ゴム質重合体に硬質重合体がグラフト重合した構造を有するものである。
ゴム含有グラフト共重合体(b)を形成するゴム質重合体としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル/ブタジエン共重合体等のブタジエン系ゴムや、スチレン/イソプレン共重合体等の共役ジエン系ゴム;ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン/プロピレン共重合体等のオレフィン系ゴム;ポリオルガノシロキサン等のシリコン系ゴム等が挙げられ、これらは1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。
また、ゴム質重合体の粒子径は、特に限定されるものではないが、0.1〜1μmが好ましく、0.2〜0.5μmである事がより好ましい。なお、ゴム質重合体の平均粒子径は、グラフト重合前であれば、光学的な方法で測定することができる。また、グラフト重合した後は、染色剤によりゴム質重合体を染色した後に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて平均粒子径を算出することができる。
このようなゴム質重合体にグラフト重合させる硬質重合体には、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体を主成分とする単量体を用いることが好ましい。
ゴム質重合体にグラフト重合させるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。また、芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体はそれぞれ1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
また、ゴム質重合体にグラフト重合させる硬質重合体には、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体以外のその他の共重合可能な単量体を併用することができる。共重合可能な他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等のメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルが挙げられる。マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、また、場合により官能基により変性された単量体を含んでいてもよく、このような単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらは、それぞれ1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いることができる。
なお、単量体の使用比率(質量比)としては、芳香族ビニル系単量体/シアン化ビニル系単量体として80/20〜60/40の範囲で用いることが好ましい。
また、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体以外のその他の共重合可能な単量体は、全単量体成分中30質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
ゴム含有グラフト共重合体(b)中のゴム含有量は好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜60質量%の範囲となるように調整する。この範囲よりもゴム含有量が低い場合には、十分な耐衝撃性が得られず、また、この範囲より多くても耐衝撃強度の向上は望めず、分散性不良や、剛性などの機械的特性の低下を招くおそれがある。
なお、ゴム含有グラフト共重合体(b)のゴム含有量は、赤外分光測定装置を使用することにより測定することができる。
グラフト重合は、公知の乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合により行うことができ、これらの重合方法を組み合わせた方法でもよいが、不純物中に含まれる金属成分を低減するためには、溶液重合、塊状重合が好ましい。
ゴム含有グラフト共重合体(b)は、重合方法や成分組成の異なるゴム含有グラフト共重合体の2種以上を混合して用いても良い。
また、本発明におけるゴム含有グラフト共重合体(b)は、ゴム質重合体にグラフト重合するものであるが、グラフト重合において、ゴム質重合体にグラフト重合しない硬質重合体も生成する。この硬質重合体と同様に耐熱性や流動性、光沢、艶消し、発色性などの特性改良のため他の硬質共重合体を配合しても良く、これらを含めて、ゴム含有グラフト共重合体(b)として用いることができる。
硬質共重合体に用いられる単量体成分としては、先のゴム含有グラフト共重合体で紹介した単量体を共重合したものを用いることができる。具体的には、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、および、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物が好ましく用いられる。
硬質共重合体についても1種を単独で用いても良く、異なる組成、分子量のものを2種以上混合して用いても良い。
なお、ゴム含有グラフト共重合体(b)として用いる成分のアセトン可溶分の質量平均分子量は、50,000〜600,000、特に60,000〜300,000、とりわけ80,000〜250,000の範囲であることが好ましい。
このアセトン可溶分の質量平均分子量が、上記下限よりも低い場合には、得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの耐衝撃性が不足するため、カッティングや輸送などによって、つぶれたりして形状の均一性がなくなったり、粉が発生しやすくなり乾燥工程などで取り扱いに不便を生じたり、また、上記上限を超えた場合にも、カッティングの際に刃が弱くなることもあり、ペレット製造において不便な点が発生しやすくなる。
本発明の樹脂組成物において、ゴム含有グラフト共重合体(b)の配合量は、通常60質量%以下であり、好ましくは5〜60質量%の範囲であり、さらに好ましくは10〜40質量%であることが、本発明の目的を達成する観点およびカーボンニュートラルの観点から好ましい。
<結晶核剤(c)>
本発明で使用する結晶核剤(c)としては、有機核剤および無機核剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。本発明の樹脂組成物中のこれらの結晶核剤(c)の配合量は、ポリ乳酸樹脂(a)とゴム含有グラフト共重合体(b)の合計100質量部に対して、通常1〜30質量部であり、好ましくは2〜20質量部の範囲である。
本発明で使用する有機核剤としては、特に限定するものではなく、安息香酸ナトリウム等のカルボン酸金属塩、フェニルホスホン酸金属塩、ロジン酸金属塩、燐酸エステル金属塩、スルフォン化化合物の金属塩、カルボン酸アミド等の有機化合物が挙げられる。
本発明で使用する無機核剤としては、タルク、スメクタイト、カオリン、マイカ、モンモリロナイト等のケイ酸塩、シリカ、酸化マグネシウム等の無機化合物が挙げられ、分散性の観点から平均粒子径が0.1〜20μmの無機化合物が好ましく、0.1〜10μmのものがより好ましい。無機化合物の中でも、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂の結晶化促進の観点からケイ酸塩が好ましく、タルクがより好ましい。
これらの有機核剤、無機核剤はそれぞれ1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
<加水分解抑制剤(d)>
本発明において、加水分解抑制剤(d)としては、例えば、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、カルボジイミド化合物などから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
これらの加水分解抑制剤(d)の配合量は、ポリ乳酸樹脂(a)とゴム含有グラフト共重合体(b)の合計100質量部に対して、通常1〜10質量部であり、好ましくは2〜5質量部の範囲である。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物には、上記ポリ乳酸樹脂(a)、ゴム含有グラフト共重合体(b)、結晶核剤(c)、加水分解抑制剤(d)の他、更に各種の添加剤やその他の樹脂を配合することができる。この場合、各種添加剤としては、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、安定剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料など)、炭素繊維、ガラス繊維、天然繊維、ポリエステル系繊維、炭酸カルシウムなどの充填剤、難燃剤(ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン化合物など)、ドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、シリコ−ンオイル、カップリング剤などの1種または2種以上が挙げられる。また、その他の樹脂としては、ゴム強化樹脂、AS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された上記樹脂を配合してもよい。
[ポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの製造方法]
本発明においては、上述のような本発明の樹脂組成物を押出機で溶融混練、押出しし、押出されたストランドを水に浸漬して冷却した後、カッター装置でペレット化することによりポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットを製造するに当たり、押出機における押出条件(1)、ストランドの冷却条件(2)およびカッター装置におけるカッティング条件(3)として、それぞれ次の条件を採用する。
条件(1):押出機ダイより押出されるストランドの表面温度が、ポリ乳酸樹脂の融点
:Tm(℃)に対して(Tm−5)℃〜(Tm+80)℃の範囲とする。
条件(2):ストランドを、45〜90℃の水に0.5〜12秒間浸漬して、ストラン
ドの表面温度を、ポリ乳酸樹脂の融点:Tm(℃)に対して(Tm−50
)℃〜(Tm−10)℃に冷却する。
条件(3):ストランドの表面温度がポリ乳酸の融点:Tm(℃)に対して(Tm−
100)℃〜(Tm−50)℃の条件下でカッティングする。
<押出機における押出条件(1)>
条件(1)において、押出機ダイより押出されるストランドの表面温度は、ポリ乳酸樹脂の融点Tm:(℃)に対して(Tm−5)℃〜(Tm+80)℃の範囲であり、好ましくはTm(±0)℃〜(Tm+50)℃の範囲であり、さらに好ましくは(Tm+10)℃〜(Tm+40)℃の範囲である。押出機から押出されるストランドの表面温度がこの範囲であれば、各成分の配合における溶融混合を十分に行うことができ、また、その後ペレット化までの工程で結晶化させ易く、耐ブロッキング性に優れたペレットを得ることができる。
なお、押出機における溶融混練の具体的な方法としては、通常の方法を採用することができ、例えば、二軸押出機の温度設定は、ダイより吐出される樹脂ストランドの表面温度がポリ乳酸樹脂の融点:Tm(℃)に対して(Tm−5)℃〜(Tm+80)℃となるように任意に調整する。ただし、ダイ部はポリ乳酸樹脂の融点:Tm(℃)に対して、(Tm−30)℃〜(Tm+50)℃の範囲に設定することが好ましい。ダイ部の設定温度が、上記範囲よりも低い場合は長時間の運転でダイの閉塞を生じて生産できなくなり、また、上記範囲よりも高い場合はストランドの切断により運転不能となる。
この条件(1)においては、ダイから押出される樹脂ストランドの表面温度を十分に制御することが重要であるが、このストランドの表面温度は非接触表面温度計(例えば、安立計器株式会社製デュアルサーモAR−1701)により測定される。
<ストランドの冷却条件(2)>
条件(2)において、押出されたストランドを、45〜90℃の水に0.5〜12秒間浸漬し、ストランドの表面温度が、ポリ乳酸樹脂の融点:Tm(℃)に対して、(Tm−50)℃〜(Tm−10)℃の範囲となるように冷却する。より好ましくは、50〜70℃の水に1〜7秒間浸漬し、ストランドの表面温度がポリ乳酸樹脂の融点:Tm(℃)に対して、(Tm−40)℃〜(Tm−20)℃の範囲となるように冷却する。
この条件(2)においては、冷却に用いる水の温度と浸漬時間が重要であり、このような条件で冷却することによって、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の溶融混合状態から結晶化へと変化させる起点とさせることができる。
なお、この冷却後のストランドの表面温度は非接触表面温度計(例えば、安立計器株式会社製デュアルサーモAR−1701)により測定することができる。
<カッティング条件(3)>
上記の水冷後、カッター装置でカッティングを行うに先立ち、ストランドを3〜45℃の外気温度で5〜30秒間保持しながら、ストランド自体の熱を利用して結晶化を進行させ、ストランドの表面温度がポリ乳酸樹脂の融点:Tm(℃)に対して、(Tm−100)℃〜(Tm−50)℃の範囲のときにストランドをカッティングする。このカッティング時のストランドの表面温度は好ましくは、(Tm−90)℃〜(Tm−50)℃の範囲であり、さらに好ましくは(Tm−80)℃〜(Tm−60)℃の範囲である。この温度範囲であれば、カッティング後、ペレット自体の熱で溶着することを防止できるためである。
なお、カッティング時のペレットの表面温度は、ストランドをカッティングして紙袋等に採取しながら、熱電対やアルコール温度計で測定することが出来る。具体的には非接触表面温度計(例えば、安立計器株式会社製デュアルサーモAR−1701)で測定する。
<ペレットのサイズ>
本発明においては、押出されるストランドの直径はストランド自体の熱を利用して結晶化させたペレットを得る目的および生産性の観点から直径2〜5mmであることが好ましく、特に3〜4mmであることが好ましい。ストランドの直径がこの下限よりも小さい場合、樹脂ストランド自体の熱を利用して結晶化させたペレットを得るため、熱量不足となり結晶化が不安定となり、または結晶化が全く進行しなくなる。また、ストランドの直径が上記上限よりも大きい場合、カッター装置に対して過大負荷となり好ましくなく、時には機械停止の状態に到る。
従って、上記のような直径のストランドをカッティングして得られるペレットの直径は好ましくは2〜5mm、より好ましくは3〜4mmである。
本発明においては、このような直径のストランドを長さ2〜5mm、好ましくは3〜4mmにカッティングすることが好ましい。ペレットの長さが上記範囲であると、例えば、射出成形機による製品を加工する際に、スクリューへの食い込み供給がスムースであり好ましい。
<DSCによる発熱>
本発明に従って得られるペレットは、好ましくは、示差走査熱量測定(DSC)において70〜90℃の範囲に発熱ピークを有さないか、或いは発熱量2J/g以下である。
この温度範囲に発熱ピークを有さないペレットは結晶化されているため、乾燥時のブロッキングの問題はない。また、発熱ピークが存在しても、発熱量が2J/g以下であれば、乾燥時のブロッキングの問題は殆どなく、耐ブロッキング性に優れる。この発熱量は、特に0.5J/g以下であることが好ましい。
本発明により製造されたポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットは、耐ブロッキング性に優れるため、これを成形材料として用いる際の乾燥工程において、撹拌機能を有する特殊な乾燥機を用いることなく、撹拌機能のない汎用の乾燥機、例えば熱風乾燥機等を用いて80〜120℃の高温で加熱乾燥を行うことができ、工業的に極めて有利である。
以下に、実施例、比較例および参考例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制限されるものではない。
なお、以下において、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味するものとする。
また、ポリ乳酸樹脂の質量平均分子量は、東ソー(株)製:GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー、溶媒;THF)を用いた標準PS(ポリスチレン)換算法にて測定した値であり、ポリ乳酸樹脂の融点(Tm)は、JIS−K7121に準じて示差走査熱量測定(DSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求めた値である。
[配合成分]
実施例および比較例で用いた樹脂組成物の配合成分は以下の通りである。
<ポリ乳酸樹脂>
ポリ乳酸樹脂(a−1):Nature Works社製「3001D」(L体=98
質量%、質量平均分子量=82,000、融点(Tm)=
170℃)
ポリ乳酸樹脂(a−2):中国海生生物材料公司社製「REVODE110」(L体=
98質量%、質量平均分子量=95,000、融点(Tm)
=165℃)
<ゴム含有グラフト共重合体(b)>
合成例1:ゴム含有グラフト共重合体(b−1−1)の製造
以下の配合にて、乳化重合法によりゴム含有グラフト共重合体を合成した。
〔配合〕
スチレン(ST) 31.5部
アクリロニトリル(AN) 13.5部
ポリブタジエンラテックス 55部(固形分として)
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.05部
クメンハイドロパーオキサイド 0.3部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.1部
結晶ブドウ糖 0.3部
蒸留水 190部
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウムおよびポリブタジエンラテックス(ゲル含有量85質量%、平均粒子径0.3μm)を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままST、AN、t−DMおよびクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得たABSラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥してABSグラフト共重合体(b−1−1)を得た。
合成例2:ゴム含有グラフト共重合体(b−1−2)の製造
合成例1の原料配合において、ゴム質重合体としてエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムラテックス(エチレン:プロピレン=75:25、ゲル含有量60%、平均粒子径0.42μm)70部(固形分として)を用い、単量体としてスチレン(ST)21部とアクリロニトリル(AN)9部を反応させたこと以外は、合成例1と同様にしてグラフト重合を行い、AESグラフト共重合体(b−1−2)を得た。
合成例1,2で製造したゴム含有グラフト共重合体のゴム含有量、単量体の質量組成比率、グラフト率、およびアセトン可溶分の質量平均分子量を測定したところ、以下の通りであった。
ゴム含有グラフト共重合体(b−1−1):ゴム含有量=60.2質量%
AN/ST=30/70
グラフト率=45質量%
質量平均分子量(Mw)=142,000
ゴム含有グラフト共重合体(b−1−2):ゴム含有量=70.4質量%
AN/ST=35/65
グラフト率=42質量%
質量平均分子量(Mw)=34,000
合成例3:硬質共重合体(b−1−3)の製造
以下のように、懸濁重合法により硬質共重合体を合成した。
窒素置換した反応器に水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部、およびt−DM0.5部と、アクリロニトリル(AN)25部、スチレン(ST)25部、およびメタクリル酸メチル(MMA)50部からなる単量体混合物を使用し、スチレンの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間昇温加熱後、120℃に到達させた。更に、120℃で4時間反応した後、重合物を取り出し、硬質共重合体(b−1−3)を得た。
合成例3で製造した硬質共重合体の単量体の質量組成比率、および質量平均分子量(Mw)を測定したところ、以下の通りであった。
硬質共重合体(b−1−3):AN/ST/MMA=23/28/49
質量平均分子量(Mw)=113,000
ゴム含有グラフト共重合体(b−1):(ABS系樹脂)
ゴム含有グラフト共重合体(b−1−1)をゴム含有グラフト共重合体(b−1)とした。
ゴム含有グラフト共重合体(b−2):(AES系樹脂)
ゴム含有グラフト共重合体(b−1−2)と硬質共重合体(b−1−3)を60:40の質量比率で配合してなるゴム含有量42.2質量%のものをゴム含有グラフト共重合体(b−2)とした。
<結晶核剤(c)>
結晶核剤(c−1):竹本油脂(株)社製「LAK−403」
(スルフォン化化合物の金属塩)
結晶核剤(c−2):富士タルク工業(株)社製「TP−A25」
(タルク、平均粒子径=5μm)
<加水分解抑制剤(d)>
加水分解抑制剤(d−1):日清紡(株)社製「カルボジライト HMV−8CA」
(カルボジイミド化合物)
[樹脂組成物の配合割合]
実施例および比較例で採用した各樹脂組成物の上記成分の配合割合を表1に示す。
Figure 2011224924
[実施例1〜13、比較例1〜9、および参考例1〜3]
表1に示した樹脂組成物A〜Gを予めヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、二軸押出機(日本製鋼所製「TEX−30α」)を使用して、ダイ温度:140〜240℃、シリンダー温度:160〜240℃で溶融混練、押出しを行い、表2〜4に示す条件でストランドの押出(条件(1−1),(1−2))し、水冷(条件(2−1)〜(2−3))および空冷(条件(2−4),(2−5))を行って、直径3〜4mmのストランドを得、これを表2〜4に示す条件でカッター装置にてカッティング(条件(3))することにより、表2〜4に示す直径および長さのペレットを作成した。
次に、このようにして得られたペレットの結晶化の有無ないしは発熱量、および耐ブロッキング性を下記の方法で評価した。これらの結果を表2〜4に示す。
[評価方法]
<ペレットの結晶化の有無ないしは発熱量>
示差走査熱量測定(DSC)装置を使用して確認した。
ペレットを細かく切断してアルミニウムパンに15mg秤取り、室温から8℃/分の昇温速度で30℃から200℃まで測定した。その際、70〜90℃の範囲に結晶化の発熱ピークが観測されればペレットは非結晶であり、観測されなければペレットは結晶化されている。尚、発熱ピークが観測されても結晶化の発熱量が2J/g以下であれば、耐ブロッキング性の良好なペレットであったので、本発明品とした。
<耐ブロッキング性>
得られたペレットを1リッターのステンレス製ビーカーに採取して、それを温風乾燥機を使用して、90℃で5時間乾燥した。乾燥後、ステンレス製ビーカーを逆さにして確認した。ペレットとして固結が見られず簡単に取り出し可能であれば◎(耐ブロッキング性良好)、ペレットとして一見癒着しているように見えるが、ビーカーを軽く振るっただけで取り出し可能であるものを○、ペレット同士が癒着しており、手でほぐす等によりペレット状になるものを△、ペレット同士が癒着し、取り出しが困難であるものを×(耐ブロッキング性不良)とした。
また、上記と同様にして、ステンレス製ビーカーに採取したペレットに、落し蓋と1kgの荷重(合計1.1kg)を加えて耐ブロッキング性について評価した。
Figure 2011224924
Figure 2011224924
Figure 2011224924
表2から明らかなように、本発明の請求項の要件を満たす樹脂組成物A〜Eを溶融混練後、二軸押出機のダイから押出されたストランドを、本発明の条件(1)、条件(2)および条件(3)に全て適合させて製造した実施例1〜13のペレットは結晶化し、耐ブロッキング性の優れたものであった。
なお、結晶化の発熱量が2J/g以下であれば、汎用の撹拌機能のない乾燥機での乾燥が可能な耐ブロッキング性が良好なペレットが得られ、さらに、荷重のある状態では、判定が下がる傾向にあるが、0〜0.5J/gのものは特に良好であり大型乾燥機でもペレットの自重による底部での固結に対しても優れた効果を発揮することが分かる。
一方、表3から明らかなように、この樹脂組成物A〜Eを、本発明の条件(1)、条件(2)および条件(3)のいずれか一つか二つ、或いは全て満たさない条件で製造した比較例1〜9のペレットは非結晶化状態であり、耐ブロッキング性の劣るものであった。
尚、比較例1においてはカッティング直後にペレット同士が癒着する状態になったので製造を中止した。また、比較例8、9については、二軸押出機のダイからストランドが引けないため、次工程へと移送することができなかった。
また、表4から明らかなように、ポリ乳酸樹脂含有量が40質量%未満の樹脂組成物F、Gを用いた参考例1〜3のうち、参考例1は、本発明の条件(1)〜(3)をいずれも満たし、参考例2〜3は、本発明の条件(1)〜(3)のうちの条件(2),(3)を満たさないものであるが、得られたペレットはいずれも耐ブロッキング性の優れたものであった。特に、参考例2および3のペレットは、結晶化の発熱量が2J/g以上を示していることから、非結晶化状態であり結晶化されていない。結晶化されていないにもかかわらず、耐ブロッキング性が良好であるのは、樹脂組成物の成分間の海島構造の逆転であると考えられる。即ち、樹脂F,Gは、ポリ乳酸樹脂含有量が40質量%未満でありポリ乳酸樹脂がペレット表層に無く、樹脂組成物内部に分散しているため、耐ブロッキング性は良好であると考えられる。
以上の結果から、ポリ乳酸樹脂を40質量%以上含有するポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットから、本発明の条件(1)〜(3)を適合させて製造すると、結晶化したペレットを効率よく得ることができ、得られたペレットは耐ブロッキング性に優れており、射出成形等における成形前の乾燥の際に、攪拌機能を有する特殊な乾燥機を使用する必要性のないことが分かる。

Claims (3)

  1. ポリ乳酸樹脂含有量が40質量%以上のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を押出機で溶融混練、押出しし、押出されたストランドを水に浸漬して冷却した後、カッター装置でペレット化することにより該ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物のペレットを製造する方法において、該押出機における押出条件(1)、ストランドの冷却条件(2)、およびカッター装置におけるカッティング条件(3)が、それぞれ次の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
    条件(1):押出機ダイより押出されるストランドの表面温度が、ポリ乳酸樹脂の融点
    :Tm(℃)に対して(Tm−5)℃〜(Tm+80)℃の範囲とする。
    条件(2):ストランドを、45〜90℃の水に0.5〜12秒間浸漬して、ストラン
    ドの表面温度を、ポリ乳酸樹脂の融点:Tm(℃)に対して(Tm−50
    )℃〜(Tm−10)℃に冷却する。
    条件(3):ストランドの表面温度がポリ乳酸の融点:Tm(℃)に対して(Tm−
    100)℃〜(Tm−50)℃の条件下でカッティングする。
  2. 該ペレットのサイズが、直径2〜5mmで長さ2〜5mmである請求項1に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
  3. 該ペレットは、示差走査熱量測定(DSC)において70〜90℃の範囲に発熱ピークを有さないか、或いは発熱量が2J/g以下である請求項1または2に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
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