JP2011224651A - 浸漬ノズル - Google Patents

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Abstract

【課題】
本体耐火物内部にガス通過経路たる中空室を設置し、かつ、その中空室に接した外周側にZGを配置した浸漬ノズルにおいて、中空室に面した付近のZGの脆弱化を抑制すること。
【解決手段】
内孔1に面するように内孔体2が配置され、さらに内孔体2の外周側に中空室3の外周側壁面のうち、鋳型のパウダーラインに対応するZGで構成されている領域5に、CaO−Al質からなる緻密層7を配置している。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼の連続鋳造に使用するガス吹き込み機能を有する浸漬ノズルに関する。
タンディッシュから鋳型への鋼の注入に浸漬ノズルを使用する連続鋳造工程においては、近年の鋼中へのアルミニウムの添加量の増加等に伴い、浸漬ノズルの内孔壁面に非金属介在物や凝固した鋼などの介在物が付着し、それが成長して浸漬ノズルの内孔を閉塞することが問題となっている。
この対策として、従来の浸漬ノズル20を示す図4において、内孔1に面するように通気性の内孔体2を配置し、その外周側にガス導入ソケット4からのガスの通過経路及びガスの圧力等の均一化を目的とする中空室3を形成し、この中空室3に導入された不活性ガスを内孔体2から内孔1に吹き出して不活性ガスの膜を形成することで、内孔壁面への介在物等の付着を防止する手段が採用されている。
一方、従来の浸漬ノズル20の本体は、アルミナ−グラファイト(AG)材質6で形成し、鋳型内のパウダーラインに接する部分付近には、一般的にパウダーに対する耐食性に優れたZrOと耐熱衝撃性に優れた黒鉛を主成分とする耐火物5(以下単に「ZG」という。)が使用されている。このZGは、その厚みが浸漬ノズルの寿命を左右するので、可能な限り厚くするように、具体的には、前記の中空室から外周側全部をZGとする構造が多く採用されている。
通常、鋳造時間が長くなるのに伴って浸漬ノズル外周面側のZGはモールドパウダーによる溶損や酸化によって消失し、肉厚が小さくなる。そのような外周側の溶損や酸化に加え、ZGが中空室のガスに直接曝される構造では、この中空室面付近のZGの部分的な脆弱化ないし崩壊が生じやすく(図4(b)の符号5ID部分。)、浸漬ノズルの耐用性の低下という重大な問題をも惹き起こす。さらには、ZGの広範囲に亘って組織の崩壊をも惹き起こして、浸漬ノズルの耐用性を低下させることもある。
近年の操業では、多連鋳による鋳造時間の長時間化により、ZGの高耐用化のニーズが高まっており、それに対応するために、当該耐火物にはZrOが86質量%程度以上のZrO含有割合の高いZGが用いられる傾向にある。
この高ZrO含有のZGは、相対的に黒鉛量が少ないために成形時の充填性が悪く、ZrO含有量が約80質量%を超えるとZrO含有量が高くなるほど、またとくに約83質量%付近からは、例えば酸化抵抗性の低下が大きくなる傾向がある(図5参照)。典型的な高いZrO含有量の例を挙げると例えば、ZrOが82質量%程度以下の低ZrO含有のZGでは、見掛け気孔率が14〜18%程度であるのに対し、ZrOが83質量%程度以上90質量%程度までの高ZrO含有のZGでは18〜22%程度の粗い組織になる傾向がある。そして、このようにZGの組織が粗くなると前記中空室の供給ガスは、内孔側への移動だけでなくZG中を通過して浸漬ノズルの外周面方向に移動する割合、すなわち、ZG外周面からのガスの散逸が増加する。
そこで、内孔側へのガス供給量を確保するために、ガスの総量を増加させることになって、溶鋼が冷却されたり、あるいは、内孔壁への介在物の付着量の増大、鋳型内での湯面の変動、さらには、モールドパウダーや介在物等の鋳片内への巻き込み等も生じやすくなって、鋳片品質の低下を来しやすくなるという問題が生じることになる。
そのため、浸漬ノズル本体耐火物の外周側と内孔側間のガスの移動を防止する手段として、浸漬ノズル本体の耐火物内部に遮閉体を設けることによって、浸漬ノズルの外周側から内孔側への酸化性のガス、すなわち、空気の侵入を防止しようとする試みも行われている。
例えば特許文献1には、ノズル内面の成形体とノズル本体の間に炭素を含まない遮閉体を設けた浸漬ノズルが開示されている。この遮閉体の構成材としては、たとえばモリブデン箔、銅箔、ステンレス箔、緻密質モルタルがよいとされている。そして、この遮閉体を設けることによって、ノズル本体内で発生するSiOとCとの反応により生成するSiO、COガスのノズル内面への透過を遮断することが可能で、また、ノズル内面の炭素を含まない成形体との併用により、二次酸化物の生成を防止するとともに介在物の生成及び付着が防止できるとされている。
しかし、この特許文献1に記載の遮閉体を設けるという対策の場合、下記のような欠点がある。
遮閉体に金属箔を使用した場合、金属の熱膨張係数が、モリブデンが0.51×10−6/℃、ステンレスが9〜18×10−6/℃、銅が15〜18×10−6/℃であるのに対して、浸漬ノズル用耐火物の熱膨張係数が、0.3〜0.4×10−6/℃であって、浸漬ノズルを構成する耐火物の熱膨張より大きく、ノズルに熱スポーリングなどによる欠陥が生じやすくなる。
また、遮閉体に緻密質モルタルを使用した場合、施工上の問題からその厚みは少なくとも0.5mm以上、さらにはモルタルが破壊せずに安定した設置状態を維持するためにはさらに数mm程度厚みを大きくすることが必要であり、ZG等の厚さが寿命に影響する耐火物層の肉厚が薄くなる。
また、一般的な緻密質モルタルにはアルミナなどの酸化物骨材が大量に添加されているため、モルタル自体の熱膨張係数は、0.5〜0.7×10−6/℃であって、ノズルを構成する耐火物の熱膨張より大きく、ガス吹き込み機能を有する浸漬ノズルを800℃以上の温度で焼成する必要する場合や実使用時に熱スポーリングなどによる欠陥が生じたり、ノズル本体からの剥離が生じやすくなる。
さらには、緻密質モルタルを使用する方法は、あらかじめ別々に焼成したノズル内面の成形体とノズル本体の接合方法としては有効であるが、モルタル自体の通気性を十分に緻密化することは極めて困難であって、ガスの通過を防止する目的には適していない。
特開平8−155601号公報
本発明の課題は、本体耐火物内部にガス通過経路たる中空室を設置し、かつ、その中空室に接した外周側にZGを配置した浸漬ノズルにおいて、中空室に面した付近のZGの脆弱化を抑制することにある。
本発明は、中空室の外周側の少なくとも一部にZGからなる層を備えた浸漬ノズル、すなわち、中空室のガスにZGが直接曝される構造の浸漬ノズルにおいて、この中空室面付近のZGの部分的な脆弱化ないし崩壊が生じるのは、主として次のようなメカニズムによる知見に基づくものである。
その第1は、本発明の対象の層を設置する部分は、長時間に亘って約1500℃の高温中で高速の供給ガス流に曝されることによって、ZGの部分的な脆弱化が生じる。
その第2は、微量ではあるが、供給ガス中に存在する酸素により、ZG内の結合機能を担う炭素、さらには骨材である黒鉛が酸化されてZGの組織崩壊を生じる。
その第3は、ZG中のZrOと炭素とが高温下で
ZrO(S)+2C(S)→ZrC(S)+2CO(g)
の反応を生じ、これによりZrCを生成し、ZG組織の崩壊を来す。とくに供給ガスが窒素ガスである場合に顕著である。
そして、その第4は、これらの脆弱化ないし消失は、ガスとの接触頻度に影響される。すなわち、ガス流に直接曝されている中空室面の部分で顕著に進行する。
本発明は、このような中空室面付近のZGの部分的な脆弱化ないし崩壊が生じるメカニズムの解明によって、中空室に供給するガスが中空室に面したZGに接触することを小さくし、また中空室に供給するガスがZG内に浸透することを抑制するものである。
具体的には、本発明の浸漬ノズルはタンディッシュから鋳型への溶鋼の流通経路となる内孔と、この内孔に面するように配置された通気性の内孔体と、この内孔体の外周側に形成された中空室と、その中空室の外周側の少なくとも一部にZGからなる層とを備え、前記中空室に導入された不活性ガスを内孔体から内孔に吹き出す浸漬ノズルにおいて、前記ZGからなる層の、中空室に面する部分の少なくとも一部に、受熱により元のZGよりも見掛け気孔率が小さい緻密層を形成させるための耐火性の層を設けたことを基本構成とする。
本発明で緻密質の程度は、JISR 2205に示される測定方法での見掛け気孔率として示される数値により評価する。この見掛け気孔率は耐火物表面の開口気孔体積割合を意味する。
本発明は、中空室のZGの表面付近に緻密質の層を形成することで、このZG面の1500℃の非酸化雰囲気下の熱処理後(操業においては1500℃〜1550℃の溶鋼の通過による授熱に相当する。)における見掛け気孔率を小さくするものである。この見掛け気孔率を小さくすることで、ZG表面及び表面付近の内部におけるガスに曝される部分の面積、とくに、主として結合炭素から構成されるマトリクスのガスに曝される部分の面積を小さくする。これによって、ZGの有効厚さを長期にわたって維持し、ZG表面及びZG表面付近内部でのガスによる組織の脆弱化を小さくすることができる。
ここで、ZGの有効厚さとは、設計した厚さから脆弱化によって損失する厚さを除いた厚さを意味する。
この緻密質の層は、1500℃付近で組織の脆弱化を防止するものでなければならず、前述のように約1500℃付近でこの緻密性を発現するものでなければならない。このためには、本発明の緻密質の層は、CaO成分が40質量%以上60質量%以下、Al成分が40質量%以上60質量%以下からなり、厚さが0.3mm以上1.5mm以下の耐火物である必要がある。
本発明の中空室の外周側の少なくとも一部に、前記のCaO成分とAl成分とからなる層を設置する対象であるZGは、前述のメカニズムによる脆弱化を生じる可能性のあるZGであれば、とくに材質等を限定する必要はない。典型的には、炭素を主たる結合材とするもので、ZrOを約80質量%以上含有するZGが好適である。ZrOを約80質量%以上、とくに脆弱化が大きくなるZrOを約83質量%以上含有するZGは結合に寄与する組織が相対的に少なく、またZrO含有量が大きくなるにしたがってその組織は少なくなり、結合炭素が消失又は劣化した場合にはZG組織全体の脆弱化を生じやすいからである。一般的な対象としてのZGは、ZrOを約80質量%以上約90質量%以下、骨材粒子としての黒鉛又はカーボンブラック等の粒子状炭素が約7質量%以上約17質量%以下、残部がこれら粒子を結合する炭素からなる。
前記の内孔体の外周側に形成された中空室と、その中空室の外周側の少なくとも一部に層として設けられるZGは、外掛けで5質量%程度以下のZrO安定化材としてのCaOやMgO等、金属や炭化物等の非酸化物を含んでもよい。
このZGの組織は、結合材としての炭素によって、層としての構造体が維持されている。この結合材としての炭素は、1500℃の溶鋼温度付近では、酸素によって容易に酸化する。この酸化によって結合機能を損なった部分は組織が脆弱化し、組織中の空隙の増加ないし通気性の増大、強度劣化ないし崩壊等をも生じることがある。
とくに、CaO成分とAl成分とからなる耐火物は、CaO成分40質量%以上60質量%以下、すなわち共存するAl成分が40質量%以上60質量%以下の組成の場合に、1500℃において液相を形成する。このCaO成分とAl成分とからなる層の液相化により、層自体がその表面張力によって内在気孔を放出して緻密化する。さらにこの層の液相部分は、毛管現象及び中空室内のガスの圧力によってZG表面の気孔内に侵入する。その気孔内面のZrO成分が気孔内に侵入した液相成分と反応し、一部がその中に溶解する。CaO成分とAl成分にZrO成分が加わると、この液相の粘性は上昇し、またその割合が増加してくると液相は固化する。この固化によって、CaO成分とAl成分を主成分とする層の液相物の、さらなるZG内部への進行は停止する。
その結果、ZGの中空室側表面は気孔の極めて少ない緻密層によって覆われ、さらにZGの中空室側表面付近はZGの気孔内に浸透した緻密層により、より強固で緻密な層を形成する。そして、ZG表面の気孔に食い込んだ状態のCaO−Al質からなる層はスパイク状となる。
Al成分が60質量%を超え、CaO成分が40質量%未満の場合、及びAl成分が40質量%未満で、CaO成分が60質量%を超える場合には、1500℃では液相を形成しないので、ZG表面に緻密な層を形成することができない。なお、液相を形成しない場合には、その設置時の粉体の硬化物が、高い通気性を維持するので、十分なガスの遮断効果は得られない。
CaO−Al質の層は、前述のように操業中に液相化し、一部がZG表面付近の気孔内に浸透してZG内に移動するので、ZG表面に付着した厚さは減少する。このため、この層の初期厚さが0.3mm未満であると、層の液相化が進行してZGの気孔内に浸透した際に、ZG表面を被覆する状態で残留する層の量が相対的に少なくなる。すなわち、ZG表面に付着した状態の部分の厚さが小さくなり、被覆層が欠損してZG表面が露出する部位が生じやすくなる。また、この厚さが1.5mmを超えると、CaO−Al質の層の軟化を含む液相化以前の、1500℃未満の温度域での、亀裂やZGからの離脱の可能性が高くなる。
この理由は、応力緩和機能が高い黒鉛(炭素)を含むZGと黒鉛(炭素)を含まないCaO−Al質の層との熱膨張に伴う挙動特性が異なることによる。前記層の厚さが1.5mm以下であればこの挙動特性の違いは相互の変形等によって緩和され、前記層の亀裂やZGとの剥離等は生じない。しかし、前記層の厚さが1.5mmを超えると、とくに軟化ないし液相化に至る以前の状態での層の構造体としての強度が増す。すると平面方向の層の膨張代を、層をZG面へ固定することが可能な限界内に止めるのに必要なだけの層の変形能等が小さくなって、前記層がZGから離脱し易くなるからである。
なお、ZGが使用されている領域以外、すなわち、浸漬ノズル本体部を構成するAl−黒鉛質耐火物(AG)の表面付近にもガスの作用による酸化やAGからのガスの散逸は生じるが、この現象はZGに比較すると少なく、操業においてほとんど問題にならない。この理由は、AGの黒鉛(炭素)含有量がZGの2〜4倍程度多いことから、AGの組織がZGより緻密で酸化の影響を受けにくいこと、さらには、ZrCのような耐火物組織の脆弱化の原因となる物質を生成しないこと等による。
本発明によれば、本体耐火物内部にガス通過経路たる中空室を設置し、かつ、その中空室に接した外周側にZGを配置した浸漬ノズルにおいて、ZGの中空室に面した付近の脆弱化又は破壊ないし消失等を抑制することができる。
また、供給ガスがZG中を浸漬ノズル外周側に通過することをも抑制してZG内部の脆弱化を抑制するとともに、供給ガスのZG内通過による浸漬ノズル外部への流出等を抑制することができる。
さらに、本発明の緻密層は、(1)一度溶融状態になってZG組織内に浸透し、(2)ZG表面付近の気孔を埋め、(3)そこで固化するという段階を経るので、ZGと強固に接着して一体化した状態の緻密層を得ることができる。従来技術に示されるような、ZG表面上に単にモルタルその他の耐火物層を設置する、板状若しくはシート状のガス透過性の小さい物質を配置する等の構造の場合には、前記の設置した層や物質等とZGとの間に空隙が生じてそこからガスが漏れたり、層や物質等が剥離又は部分的に破壊する等の問題が生じやすい。このような従来技術に比較して、本発明の緻密層はZGとの間に空隙が生じたり剥離を生じることはほとんどない。
これらの結果、ZGの有効厚さが減少することがないので、浸漬ノズルのZG厚さ(溶損寸法に対する相対的な厚さ)に依存する浸漬ノズル寿命延長に寄与することができる。また、ZG側に流出するガス量が減少することから、供給ガスの損失や過剰なガス通過による浸漬ノズル本体の冷却、浸漬ノズル内孔側への通気量不足、部位ごとの供給不安定等のガスの吐出にかかる操業上の悪影響も抑制できるので、鋼の品質低下の抑制等に寄与することができる。
(a)は本発明の浸漬ノズルの一例を示す断面図(イメージ)である。(b)は(a)に示す断面図の中の囲み部Aついて、ZGが溶損した状態を示す拡大断面図(イメージ)である。(c)は(a)に示す断面図の中の囲み部Aついて、ZG部がさらに厚い例におけるZGが溶損した状態を示す拡大断面図(イメージ)である。 本発明の浸漬ノズルの他の例を示す断面図(イメージ)である。 本発明の浸漬ノズルの他の例を示す断面図(イメージ)である。 (a)は従来の浸漬ノズルを示す断面図(イメージ)である。(b)は(a)に示す断面図の中の囲み部Aついて、ZGの中空室側表面付近の脆弱化(又は消失)部分を示す拡大断面図(イメージ)である。 ZrO含有量と耐酸化性の実験例を示す図(イメージ)である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)、図2及び図3は、本発明の浸漬ノズルの一例の断面図を示す。それぞれの図において浸漬ノズル10は、溶鋼の流通経路となる内孔1を有し、この内孔1に面するように内孔体2が配置され、さらに内孔体2の外周側に中空室3が形成されている。中空室3にはガス導入ソケット4が接続されており、ガス導入ソケット4から不活性ガスが中空室3に導入され、導入された不活性ガスが内孔体2から内孔1に吹き出される。このように、内孔体2は不活性ガスを通過させるものであるから、通気性に富む耐火材料によって構成する。
また、浸漬ノズル10の本体部分において、鋳型のパウダーラインに対応する領域5はZrOが80質量%以上のZrO含有のZGで構成され、それ以外の部分6はAG材質で構成されている。このZGは、約83質量%以上90質量%程度までの高ZrO含有の材質の場合に本発明はとくに有効である。
図1(a)の例では、浸漬ノズル10の中空室3の外周側壁面のうち、鋳型のパウダーラインに対応するZGで構成されている領域5の一部の領域に、CaO−Al質からなる緻密層7を配置している。この例は、本発明の緻密層7を、最小限の領域に適用する場合である。この一部の領域は、ZGで構成されている領域5のうち、モールドパウダーにより溶損する領域(図1(b)、(c)にZGの溶損後のイメージを示す。符号5ED。)に対応する領域である。この領域はそれぞれの操業条件等における設計条件事項であって固定的なものではない。このように、溶損によりZGの肉厚が小さくなる領域で中空室3の外周側壁面(ZGの中空室に面した部分)が脆弱化又は消失すると、ZG厚さに依存する場合の浸漬ノズルの寿命に大きな影響を及ぼす。少なくともこの領域5EDに対応する領域に本発明の緻密層7を、最小限の領域に適用すると、本発明の課題の解決が可能となる。
図2の例では、浸漬ノズル10の中空室3の外周側壁面のうち、鋳型のパウダーラインに対応するZGで構成されている領域5の全領域に、CaO−Al質からなる緻密層7を配置している。操業におけるZGの溶損領域の変動や溶損領域近くの領域からもガスが流出する可能性があること等を考慮すると、このようにZGで構成されている領域5の全領域にCaO−Al質からなる緻密層7を配置することが好ましい。なお、この場合には、ZGとAGとの境界付近はZGとAGとが混合した状態、又は境界位置が波打つように構成されることが多いことから、図2に示すように設計上(図示上)のZG領域よりもAG領域を含むように拡大してCaO−Al質からなる緻密層7を配置することがより好ましい。
図3の例では、中空室3の外周側壁面の全領域にCaO−Al質からなる緻密層7を配置している。前述のとおり、AG領域にCaO−Al質からなる緻密層7を配置する必要性は高くはないが、AG領域からの外周側へのガスの流出もZGに比較して小さいもののあるので、より高い精度でガスの流出を抑制し、より安定した操業を行う等ためには、この図3に示すような構造にすることが好ましい。
AG材質の見掛け気孔率は、ZGよりはるかに小さいので、図1〜図3に示すように、中空室3の外周側壁面のうち少なくともZGの一部又は全部の領域にCaO−Al質からなる緻密層7を配置しておけば、ZG面へのガスの作用及びZG組織内へのガスの浸透と作用を抑制することができる。
図1〜図3では、内孔体2を浸漬ノズル10の吐出孔8の途中まで配置したが、吐出孔8の下端部分まで配置してもよい。また、中空室3は内孔体2の外周側の全体に形成してもよい
図1〜図3に示す浸漬ノズルは、以下の工程により製造できる。
(1)内孔体となる耐火物成形体の外周に、800℃以下の温度で消失するパラフィン等のワックス、紙、プラスチック等有機物層を配置する第1の工程
(2)有機物層の外周に、CaO−Al質からなる緻密層7となる層を形成する第2の工程
(3)得られた構造体を、静圧成形用の型枠内にセットする第3の工程、
(4)その構造体とその外側の型枠との間に、浸漬ノズル本体を構成する原料であるはい土を充填し、構造体とともに静圧成形する第4の工程
(5)静圧成形された成形体を800℃以上の温度で焼成することにより、前記有機物層の部分に中空室を形成するとともに、この中空室の外周側壁面のうち、少なくとも鋳型のパウダーラインに対応する領域にCaO−Al質からなる緻密層7を形成する第5の工程
上記第2の工程での緻密層7の基になる耐火物の層は、CaO、Al成分からなる0.044mm以下程度の微粉の耐火原料と結合剤とを混合したスリップ状はい土を、塗布するか、吹き付けるか、表面に有機物層を配置した内孔体となる耐火物成形体をスリップ状はい土中に浸漬する等の方法で形成することができる。
具体的には、アルミナセメント、電融法又は焼結法により製造されたアルミナ微粉原料粒子及びCaO源としての微粉原料粒子を本発明の成分構成になるような割合で調整し、この混合物に水を加えてスリップ状とし、これを前記の有機物層の外周に塗布する。このスリップの硬化後、脱水を目的とした乾燥工程を加えてもよい。アルミナセメントを用いることで、層に自硬性を付与することができ、厚みの管理を含め、安定した製造を行うことができる。
実施例A
この実施例は、ZrOの含有量が86質量%、黒鉛を含む炭素含有量が10質量%で、見掛け気孔率が22.7%のZGに対し、CaO−Al質からなる緻密層を形成し、緻密化の効果を調査したものである。
表1に、本発明の実施例を、緻密層の組成、厚さ、見掛け気孔率、脆弱層と酸化層を指数として、比較例とともに示す。なお、比較例及び実施例の脆弱層及び酸化層は、それぞれの最大厚さを、比較例1の最大厚さを100とする指数で表示している。
表1に示す「厚さ」とは、前記の焼成前の緻密層の厚さのことである。なお、CaO−Al質からなる緻密層の構成材料は、粒子サイズ0.044mm以下の粒子サイズのアルミナ、炭酸カルシウム等のCaO系粉末、アルミナセメントとの混合物とし、これらをスリップ状にしたものを刷毛塗り法により調製した。
実施例の各試料は、前記ZGを40×40×40mmの寸法に成形し、その面に表1に示すCaO−Al質からなる緻密層の構成材料を0.7mmの厚さで全面に層を形成するように塗布し、乾燥処理をした。その後、1500℃の窒素雰囲気中及び1500℃の酸化雰囲気(空気)中の各々の条件で焼成したものである。
比較例は、CaO−Al質からなる緻密層を形成しない試料、CaOとAlの割合が本発明の範囲外にあるものを作製した。
これらの1500℃の窒素雰囲気処理後の各試料について見掛け気孔率の測定を行い、試料を切断した断面につき脆弱層の有無、程度を目視観察した。また1500℃の酸化雰囲気処理後の各試料について試料を切断した断面につき酸化層の有無、程度を目視観察した。その結果を表1に示す。
Figure 2011224651
この結果、CaO−Al質からなる緻密層を形成していない比較例1は、気孔率が22.0%で、ZrC生成等によると思われる脆弱層及び酸化層が観られた。
他の比較例及び実施例については、この比較例1に対して相対的に評価を行った。
CaO成分が60質量%、Al成分が40質量%の実施例1、CaO成分が50質量%、Al成分が50質量%の実施例2、CaO成分が40質量%、Al成分が60質量%の実施例3ではいずれも気孔率の大幅な低下が確認できた。中でも実施例2が最も良好な気孔率の低減効果を示した。
脆弱層及び酸化層は、気孔率の程度とほぼ同様な傾向を示しており、実施例2が最も良好な結果であった。
これに対し、CaO成分とAl成分が本発明の範囲にない、CaO成分が65質量%、Al成分が35質量%の比較例2と、CaO成分が35質量%、Al成分が65質量%の比較例3とは、いずれも気孔率が僅かに低下し、脆弱層及び酸化層の或る程度の改善は観られたものの、顕著な効果を得ることはできなかった。
なお、この比較例2及び比較例3の結果は、CaO−Al質からなる層が溶融状態に至らずに緻密な層にはならなかったことが原因と考えられる。したがって、比較例2及び比較例3のCaO−Al質からなる層自体の気孔率、脆弱層及び酸化層は、気孔率が高いものの単にこの層によって雰囲気ガスが直接ZGに接触することが少なくなった効果であると考えられる。
これらの結果は、CaO成分とAl成分との割合とその液相化との関係にほぼ一致している。すなわち、液相の割合は、比較例2及び比較例3はゼロ、実施例1は約33%、実施例2はほぼ100%、実施例3では約48%である。
実施例B
この実施例では、CaO−Al質からなる緻密層の厚さの影響を調査した。
試料の作製及び試験方法は前記の実施例Aに準じており、塗布時に厚さを調整することで層としての厚さを変化させた。
なお、CaO成分とAl成分の割合は、前記実施例2を基礎とし、実施例1と実施例3の割合でもそれぞれ上下限の厚みでの確認を行った。
表2にこの結果を示す。
Figure 2011224651
この結果、層の厚さが0.3mmから1.5mmで良好な結果が得られた。
これに対し、厚さが0.2mmの比較例4では、剥離や亀裂は観られないものの、ZGが露出した部分が観られた。厚さ2.0mmの比較例5では、層自体がZGから離脱している部分や亀裂が観られた。
1 内孔
2 内孔体
3 中空室
4 ガス導入ソケット
5 ZG材質
ID 中空室側表面付近の脆弱化又は消失したZG材質部分
ED モールドパウダーにより溶損したZG材質の領域(浸漬ノズル縦軸方向)
6 AG材質
7 緻密層
8 吐出孔
10 本発明の浸漬ノズル
20 従来の浸漬ノズル

Claims (2)

  1. タンディッシュから鋳型への溶鋼の流通経路となる内孔と、この内孔に面するように配置された通気性の内孔体と、この内孔体の外周側に形成された中空室と、その中空室の外周側の少なくとも一部にZrO及び炭素を含有する耐火物からなる層とを備え、前記中空室に導入された不活性ガスを内孔体から内孔に吹き出す浸漬ノズルにおいて、
    前記ZrO及び炭素を含有する耐火物からなる層の、前記中空室に面する部分の少なくとも一部に、CaO成分が40質量%以上60質量%以下、Al成分が40質量%以上60質量%以下からなる、厚さが0.3mm以上1.5mm以下である耐火物の層を設けた浸漬ノズル。
  2. 前記ZrO及び炭素を含有する耐火物のZrO含有割合は、80質量%以上90質量%以下である請求項1に記載の浸漬ノズル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102584301A (zh) * 2012-03-09 2012-07-18 西安建筑科技大学 一种氧化锆质定径水口制备方法
KR101379167B1 (ko) 2012-03-12 2014-03-28 주식회사 포스코 침지노즐및 이를 이용한 연속 주조 방법

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