JP2011224609A - ギヤ部材とその歯形成形方法および歯形成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】切削加工が不要で安価に製造できるギヤ部材と、その歯部をコイニング加工によって所望形状に成形できる歯形成形方法ならびに歯形成形装置を提供する。
【解決手段】板状部材である鋼板をプレス抜きして予備成形された加工対象物1の歯部3をコイニング加工する際に、まず歯形成形装置11の基台12上に載置した加工対象物1の歯部3を含む周縁部を外した領域に押え部材14を圧接させ、この加工対象物1を基台12と押え部材14とでチャッキングする。このチャッキング時に、基台12の突条部12aによって加工対象物1の表面に歯部3の列設方向に沿って円弧状に延びる溝部5が刻設される。この溝部5は、コイニングパンチ15の内周縁部15aが当接する箇所に対して僅かに内周側に位置しており、コイニング加工時の塑性流動を抑制する流れ止め部として機能する。
【選択図】図3
【解決手段】板状部材である鋼板をプレス抜きして予備成形された加工対象物1の歯部3をコイニング加工する際に、まず歯形成形装置11の基台12上に載置した加工対象物1の歯部3を含む周縁部を外した領域に押え部材14を圧接させ、この加工対象物1を基台12と押え部材14とでチャッキングする。このチャッキング時に、基台12の突条部12aによって加工対象物1の表面に歯部3の列設方向に沿って円弧状に延びる溝部5が刻設される。この溝部5は、コイニングパンチ15の内周縁部15aが当接する箇所に対して僅かに内周側に位置しており、コイニング加工時の塑性流動を抑制する流れ止め部として機能する。
【選択図】図3
Description
本発明は、鋼板等の塑性を有する板状部材からなるギヤ部材と、そのような板状部材をプレス抜きして予備成形されたギヤ部材の歯部を所望形状に加工するための歯形成形方法および歯形成形装置とに関するものである。
動力伝達手段として各種装置に用いられる鋼板製のギヤ部材は、その歯部に寸法誤差や形状のばらつきがあるとガタつきや異音を発生しやすいため、鋼板をプレス抜きして予備成形した後、これを所望形状に整えるべく切削加工を施すことが多い。しかしながら、多数の歯部を有するギヤ部材に切削加工を施すという製造方法を採用すると、必然的にギヤ部材の製造コストが高くなってしまう。
そこで、ギヤ部材の製造コストを低減するために、ギヤ部材の歯部まで成形できるようにプレス抜き加工の寸法精度を高めることが考えられる。すなわち、プレス抜き時に、加工対象物(鋼板)を保持する押え部材と剪断用の抜きパンチとの間のクリアランスを最小限に設定すれば、寸法精度が極めて高いギヤ部材をプレス抜きすることも原理的には可能なはずである。そして、このようにプレス抜き加工だけでギヤ部材が高い寸法精度で製造できれば、例えば、プレス抜きした鋼板を折曲加工してなる駆動体の一側部に略T字形のギヤ部材が突設されている構成のもの(特許文献1参照)を製造する場合、このギヤ部材も含めて駆動体を一括してプレス抜きすることができるため、駆動体の製造コストを著しく低減できる。しかしながら、前記クリアランスを過度に狭めてプレス抜き加工を行うとギヤ部材の剪断面に2次剪断が起こって欠けが生じやすくなるため、所望形状の歯部をプレス抜き加工だけで成形することは現実には困難であった。
一方、特許文献2には、鋼板をプレス抜きしてギヤ部材用の加工対象物を予備成形した後、コイニングパンチで加圧してV溝を形成することにより、この加工対象物に塑性流動を生じさせて歯部を所望形状に成形するという技術が開示されている。かかる従来技術によれば、プレス抜きされた加工対象物の歯部や歯底に欠けがあっても、これら欠けにコイニング加工で鋼板材料の肉を充填させることが可能である。
しかし、特許文献2に開示された従来技術においては、プレス抜きされた加工対象物に対するコイニング加工時に、前記V溝近傍から歯部側へ向かう塑性流動と歯部の逆側へ向かう塑性流動とが同程度に起こるため、歯部側へ向かう塑性流動が不十分になりやすく、その結果、加工対象物の鋼板材料の肉が歯部や歯底の欠けに確実に充填できないという問題があった。また、ギヤ部材の形状が例えば略T字形状のように円形でない場合、コイニング加工時に前記V溝近傍から歯部とは逆側へ向かう塑性流動の応力が相殺されないため、この応力によって加工対象物(ギヤ部材)の歯部とは逆側の形状が変形してしまう虞もあった。
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、切削加工が不要で安価に製造できるギヤ部材を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、ギヤ部材用にプレス抜きされた加工対象物の歯部をコイニング加工によって所望形状に成形できる歯形成形方法を提供することにある。また、本発明の第3の目的は、かかる歯形成形方法に用いて好適な歯形成形装置を提供することにある。
上記の第1の目的を達成するために、本発明は、塑性を有する板状部材をプレス抜き加工して予備成形した加工対象物の歯部にコイニング加工を施すことにより製造されるギヤ部材において、前記歯部が列設されている外縁部の片面で該歯部の歯底よりも内側に、前記コイニング加工でコイニングパンチの内縁部によって段差部が形成されていると共に、前記片面および/または他面で前記段差部に対して内側へずれた位置に、前記コイニング加工に先立つ前記加工対象物のチャッキングによって溝部が刻設されており、これら段差部と溝部がいずれも前記歯部の列設方向に沿って延在しているという構成にした。
このようにコイニングパンチの内縁部によって形成される段差部に対して内側へずれた位置に歯部の列設方向に沿って延びる溝部を有し、この溝部がコイニング加工に先立つチャッキングによって刻設されているギヤ部材は、鋼板等の塑性を有する板状部材をプレス抜きしで予備成形された加工対象物の歯部とその近傍をコイニングパンチで加圧する際に、チャッキング用の押え部材や基台によって位置規制される溝部が塑性流動を抑制する流れ止め部として機能する。つまり、加工対象物はコイニングパンチによって板厚方向に加圧される部分に隣接する内側の部分が、チャッキング時に溝部の深さ分だけ薄肉化されて絞り加工されたような状態になるため、コイニングパンチで加圧された時に歯部と逆側(溝部側)へ向かう塑性流動が抑制され、その分、歯部側へ向かう塑性流動が起こりやすくなる。したがって、寸法精度を高めたプレス抜き加工によって加工対象物の歯部や歯底に2次剪断による欠けが生じても、その後のコイニング加工によって、これら欠けに加工対象物の母材の肉を充填させやすく、それゆえ切削加工を行わなくても歯部を所望形状に成形することが容易である。
上記の第2の目的を達成するために、本発明の歯形成形方法は、塑性を有する板状部材をプレス抜きして列設された歯部を有する加工対象物を予備成形する工程と、前記歯部と略相補形状の歯形押え面を有する規制部材を基台上に載置した前記加工対象物と係合させることによって前記歯部の外側への移動を規制する工程と、前記基台上の前記加工対象物の前記歯部を含む外縁部を外した領域に圧接させた押え部材と該基台とによって前記加工対象物をチャッキングする工程と、前記基台上の前記加工対象物の前記外縁部をコイニングパンチで加圧して前記歯部を成形する工程とを備えていると共に、前記チャッキング工程で前記基台および/または前記押え部材に突設されている突条部が前記加工対象物の表面に前記歯部の列設方向に沿って延びる溝部を刻設するようにした。
鋼板等の塑性を有する板状部材をプレス抜きして予備成形された加工対象物の歯部とその近傍をコイニングパンチで加圧する際には、まず、基台上に載置した加工対象物をチャッキングするが、このチャッキング工程で基台や押え部材の突条部によって加工対象物の表面に歯部の列設方向に沿って延びる溝部を刻設しておけば、この溝部がコイニング加工時の塑性流動を抑制する流れ止め部として機能する。つまり、加工対象物はコイニングパンチによって板厚方向に加圧される部分に隣接する内側の部分が、チャッキング時に溝部の深さ分だけ薄肉化されて絞り加工されたような状態になるため、コイニングパンチで加圧された時に歯部と逆側(溝部側)へ向かう塑性流動が抑制され、その分、歯部側へ向かう塑性流動が起こりやすくなる。したがって、寸法精度を高めたプレス抜き加工によって加工対象物の歯部や歯底に2次剪断による欠けが生じても、上記の歯形成形方法によってコイニング加工を行えば、これら欠けに加工対象物の母材の肉を確実に充填させることができる。すなわち、切削加工を行わなくても加工対象物の歯部がコイニング加工によって所望形状に成形できると共に、コイニング加工時に歯部と逆側へ向かう塑性流動に起因する不所望な変形が起こりにくくなるため、寸法精度の高いギヤ部材を安価に製造できるようになる。なお、溝部の形成位置をコイニングパンチの内縁部が当接する箇所に対して内側へずらしておくことが好ましい。
上記の第3の目的を達成するために、本発明は、塑性を有する板状部材をプレス抜きして列設された歯部を有する加工対象物を予備成形し、この加工対象物の前記歯部を成形するための歯形成形装置において、前記加工対象物が載置される基台と、前記歯部と略相補形状の歯形押え面を有し前記基台上の前記加工対象物と係合する位置に配置されることによって前記歯部の外側への移動を規制する規制部材と、前記基台上の前記加工対象物の前記歯部を含む外縁部を外した領域に圧接し該基台と協働して該加工対象物をチャッキングする押え部材と、前記チャッキング状態で前記加工対象物の前記外縁部を加圧して前記歯部を成形するコイニングパンチとを備えていると共に、前記基台および/または前記押え部材に前記歯形押え面に沿って延びる突条部が突設されており、前記チャッキング時に前記突条部によって前記加工対象物の表面に前記歯部の列設方向に沿って延びる溝部が刻設されるようになした。
鋼板等の塑性を有する板状部材をプレス抜きして予備成形された加工対象物の歯部とその近傍をコイニングパンチで加圧する際には、まず、基台上に載置した加工対象物をチャッキングするが、このチャッキング工程で基台や押え部材の突条部によって加工対象物の表面に歯部の列設方向に沿って延びる溝部を刻設しておけば、この溝部がコイニング加工時の塑性流動を抑制する流れ止め部として機能する。つまり、加工対象物はコイニングパンチによって板厚方向に加圧される部分に隣接する内側の部分が、チャッキング時に溝部の深さ分だけ薄肉化されて絞り加工されたような状態になるため、コイニングパンチで加圧された時に歯部と逆側(溝部側)へ向かう塑性流動が抑制され、その分、歯部側へ向かう塑性流動が起こりやすくなる。したがって、寸法精度を高めたプレス抜き加工によって加工対象物の歯部や歯底に2次剪断による欠けが生じても、上記の歯形成形装置でコイニング加工を行えば、これら欠けに加工対象物の母材の肉を確実に充填させることができる。すなわち、切削加工を行わなくても加工対象物の歯部がコイニング加工によって所望形状に成形できると共に、コイニング加工時に歯部と逆側へ向かう塑性流動に起因する不所望な変形が起こりにくくなるため、寸法精度の高いギヤ部材を安価に製造できるようになる。なお、溝部の形成位置をコイニングパンチの内縁部が当接する箇所に対して内側へずらしておくことが好ましい。
本発明のギヤ部材は、コイニングパンチの内縁部によって形成される段差部に対して内側へずれた位置に、コイニング加工に先立つチャッキング時に刻設されて歯部の列設方向に沿って延びる溝部を有しており、この溝部は、鋼板等の塑性を有する板状部材をプレス抜きして予備成形された加工対象物の歯部とその近傍をコイニングパンチで加圧する際に、塑性流動を抑制する流れ止め部として機能する。つまり、加工対象物はコイニングパンチで加圧された時に歯部と逆側(溝部側)へ向かう塑性流動が抑制されるため、歯部側へ向かう塑性流動が起こりやすくなる。したがって、寸法精度を高めたプレス抜き加工によって加工対象物の歯部や歯底に2次剪断による欠けが生じても、その後のコイニング加工によって、これら欠けに加工対象物の母材の肉が充填させやすく、それゆえ切削加工を行わなくても歯部を所望形状に成形することが容易である。また、コイニング加工時に歯部とは逆側へ向かう塑性流動が抑制されることから、ギヤ部材の形状が円形でない場合でも、該塑性流動に起因する不所望な変形が起こりにくい。その結果、寸法精度の高いギヤ部材を安価に製造できるようになるため、実用的価値の高いギヤ部材を提供できる。
本発明の歯形成形方法は、鋼板等の塑性を有する板状部材をプレス抜きして予備成形された加工対象物の歯部をコイニング加工する際のチャッキング時に、加工対象物に圧接する基台や押え部材の突条部によって加工対象物の表面に歯部の列設方向に沿って延びる溝部を刻設するというものであるから、この溝部がコイニング加工時の塑性流動を抑制する流れ止め部として機能する。つまり、加工対象物はコイニングパンチで加圧された時に歯部と逆側(溝部側)へ向かう塑性流動が抑制されるため、歯部側へ向かう塑性流動が起こりやすくなる。したがって、寸法精度を高めたプレス抜き加工によって加工対象物の歯部や歯底に2次剪断による欠けが生じても、上記の歯形成形方法によってコイニング加工を行えば、これら欠けに加工対象物の母材の肉を確実に充填させることができる。すなわち、この歯形成形方法によれば、切削加工を行わなくても加工対象物の歯部がコイニング加工によって所望形状に成形できると共に、コイニング加工時に歯部と逆側へ向かう塑性流動に起因する不所望な変形が起こりにくくなるため、寸法精度の高いギヤ部材を安価に製造できるようになる。
本発明の歯形成形装置によれば、鋼板等の塑性を有する板状部材をプレス抜きして予備成形された加工対象物の歯部をコイニング加工する際のチャッキング時に、加工対象物に圧接する基台や押え部材に突設された突条部によって加工対象物の表面に歯部の列設方向に沿って延びる溝部を刻設しておくことにより、この溝部をコイニング加工時の塑性流動を抑制する流れ止め部として機能させることができる。つまり、加工対象物はコイニングパンチで加圧された時に歯部と逆側(溝部側)へ向かう塑性流動が抑制されるため、歯部側へ向かう塑性流動が起こりやすくなる。したがって、寸法精度を高めたプレス抜き加工によって加工対象物の歯部や歯底に2次剪断による欠けが生じても、上記の歯形成形装置でコイニング加工を行えば、これら欠けに加工対象物の母材の肉を確実に充填させることができる。すなわち、この歯形成形装置を用いれば、切削加工を行わなくても加工対象物の歯部がコイニング加工によって所望形状に成形できると共に、コイニング加工時に歯部と逆側へ向かう塑性流動に起因する不所望な変形が起こりにくくなるため、寸法精度の高いギヤ部材を安価に製造できるようになる。
以下、本発明の実施形態例を図面を参照しつつ説明する。まず、図1〜図6を参照して本発明の第1実施形態例について説明すると、本実施形態例では、板状部材である鋼板をプレス抜き加工して加工対象物1を予備成形した後、この加工対象物1の歯部3を含む周縁部に対して歯形成形装置11(図1〜図4参照)を用いてコイニング加工を行うことにより、図5と図6に示すギヤ部材2を製造するようにしている。
ギヤ部材2は、図示せぬ力覚付与型入力装置に組み込まれるものであり、この入力装置において手動操作される操作レバーと連結される駆動体の一側部に、略T字形のギヤ部材2が突設されている。つまり、ギヤ部材2はこの駆動体の一部を構成しており、ギヤ部材2も含めて該駆動体はプレス抜きした鋼板製の加工対象物1を折曲加工して製造される。ギヤ部材2の基端部には図示せぬ支軸が固着される軸孔2aが穿設されており、ギヤ部材2の先端部には多数の歯部3が円弧状に列設されている。これら歯部3は、加工対象物1の歯部3とその近傍に前記コイニング加工を施して成形されたものである。力覚付与型入力装置は、これら歯部3を回転モータの回動軸に固着されたピニオンギヤと噛合させており、前記駆動体が操作レバーに駆動されて軸孔2aを中心に回転するのに伴い、ギヤ部材2が回転モータの回動軸を回転駆動し、該回動軸の回転情報がロータリエンコーダ等の検出手段によって検出されるようになっている。また、この検出手段の出力信号に基づいて回転モータの回動軸が駆動制御されるため、回転モータがギヤ部材2を介して操作レバーに所要の力覚を付与(フィードバック)できるようになっている。
ギヤ部材2の形状について説明すると、図5に示すように、このギヤ部材2の先端側の周縁部の片面には、歯部3の歯底3aよりも内周側に段差部4が形成されている。この段差部4は、加工対象物1の歯部3を含む周縁部を歯形成形装置11のコイニングパンチ15で加圧することによって、該コイニングパンチ15の内周縁部15a(図3参照)で形成されたものであり、歯部3の列設方向に沿って段差部4は円弧状に延びている。また、図6に示すように、ギヤ部材2の他面には歯部3の列設方向に沿って円弧状に延びる溝部5が形成されており、溝部5の形成位置は段差部4に対して僅かに内周側へずれている。この溝部5は、コイニング加工に先立つチャッキング時に歯形成形装置11の基台12の突条部12a(図1参照)によって形成されたものである。
次に、加工対象物1の歯部3を含む周縁部に対するコイニング加工について詳しく説明する。この加工対象物1は前述したように鋼板をプレス抜きして予備成形されたものであるが、所望形状のギヤ部材2を製造するためにプレス抜き加工の寸法精度を高めているため、加工対象物1の歯部3や歯底3aには2次剪断による欠け7(図1参照)が生じやすくなっている。本実施形態例は、こうした欠け7の修復に好適なコイニング加工を行うというものである。
加工対象物1にコイニング加工を施す際には、まず図1と図2に示すように、歯形成形装置11の基台12上に加工対象物1を載置すると共に、加工対象物1の歯部3や歯底3aと係合するように規制部材13を基台12上に固定する。基台12には、歯部3が搭載される領域よりも内周側へ若干ずらした位置に、歯部3の列設方向に沿って円弧状に延びる突条部12aが突設されている。また、規制部材13には、歯部3と略相補形状の歯形押え面13aが設けられており、この歯形押え面13aによって基台12上の加工対象物1は歯部3の外周側への移動が規制されている。なお、図示していないが、基台12上の加工対象物1は前記軸孔2aに相当する孔等も位置規制される。
次に、図3に示すように、基台12上の加工対象物1の歯部3を含む周縁部を外した領域に歯形成形装置11の押え部材14を圧接させることによって、これら基台12と押え部材14とで加工対象物1をチャッキングする。このチャッキングによって加工対象物1は挟圧・拘持されると共に、加工対象物1の下面に基台12の突条部12aが食い込んで円弧状の溝部5が刻設される。また、チャッキング状態の加工対象物1の上面のうち、押え部材14と規制部材13の歯形押え面13aとの間に露出する領域1aの形状は、図5に示すギヤ部材2の段差部4から先端までの平面形状と略同等であり、この領域1aの上方にコイニングパンチ15が配置されている。
次に、図4に示すように、基台12上でチャッキングされている加工対象物1の前記領域1aをコイニングパンチ15で加圧する。これにより、領域1aの下方で加工対象物1の板厚が減じるため、コイニングパンチ15の内周縁部15aによって段差部4が形成されると共に、加工対象物1の塑性流動によって鋼板材料(母材)の肉が主に歯部3側へ移動する。これは、溝部5がコイニング加工時の塑性流動を抑制する流れ止め部として機能するためである。つまり、加工対象物1はコイニングパンチ15によって板厚方向に加圧される部分に隣接する内周側の部分が、チャッキング時に溝部5の深さ分だけ薄肉化されて絞り加工されたような状態になるため、コイニングパンチ15で加圧された時に歯部3とは逆側(溝部5側)へ向かう塑性流動が抑制され、その分、歯部3側へ向かう塑性流動が起こりやすくなる。したがって、寸法精度を高めたプレス抜き加工によって加工対象物1の歯部3や歯底3aに2次剪断による欠け7が生じていても、コイニング加工を行うことによって、加工対象物1の鋼板材料の肉をこれら欠け7に確実に充填させることができる。それゆえ、切削加工を行わなくても、上記のコイニング加工を行えば、所望形状に成形された歯部3を有する鋼板製のギヤ部材2を容易に製造することができる。
以上説明したように本実施形態例では、鋼板をプレス抜きして予備成形された加工対象物1の歯部3とその近傍をコイニング加工する際のチャッキング時に、歯形成形装置11の基台12の突条部12aによって加工対象物1の表面に歯部3の列設方向に沿って円弧状に延びる溝部5を刻設しておき、この溝部5をコイニングパンチ15の内周縁部15aが当接する箇所に対して僅かに内周側に位置させることにより、この溝部5がコイニング加工時に塑性流動を抑制する流れ止め部として機能するようにしてある。すなわち、このような溝部5が加工対象物1に設けてあると、コイニングパンチ15で加圧された時に歯部3と逆側(溝部5側)へ向かう塑性流動が抑制されるため、歯部3側へ向かう塑性流動が起こりやすくなる。それゆえ、寸法精度を高めたプレス抜き加工によって加工対象物1の歯部3や歯底3aに2次剪断による欠け7が生じても、これら欠け7に加工対象物1の鋼板材料の肉を確実に充填させることができる。つまり、本実施形態例によれば、切削加工を行わなくても加工対象物1の歯部3がコイニング加工によって所望形状に成形できると共に、コイニング加工時に歯部3と逆側へ向かう塑性流動に起因する不所望な変形が起こりにくくなっているため、寸法精度の高いギヤ部材2を安価に製造することができる。
しかも本実施形態例の場合、力覚付与型入力装置に組み込まれて操作レバーと連結される駆動体の一部にギヤ部材2が突設されているため、鋼板をプレス抜きして予備成形された加工対象物1をコイニング加工した後に折曲加工することよって、ギヤ部材2も含めて駆動体を極めて安価に製造することが可能である。そして、切削加工が不要であるにも拘らずギヤ部材2の寸法精度が高いことから、このギヤ部材2がガタついたり異音を発生する虞がなく、それゆえ操作レバーを把持するユーザの手指に伝わる感触は良好となる。
なお、上記した第1実施形態例では、歯形成形装置11の基台12に設けた突条部12aによって加工対象物1の片面に溝部5を刻設する場合について説明したが、図7に示す第2実施形態例のように、チャッキング用の押え部材14に設けた突条部14aによって加工対象物1の他面に溝部6を刻設し、この溝部6をコイニング加工時の塑性流動を抑制する流れ止め部として機能させてもよい。ただし、第1実施形態例の溝部5と同様に、この溝部6も歯部3の列設方向に沿って円弧状に延在しており、かつ、コイニングパンチ15の内周縁部15aが当接する箇所に対して溝部6は僅かに内周側に位置している。
このほか、図示していないが、加工対象物1の両面の略対応する箇所に溝部を刻設してもよく、その場合、加工対象物1の片面に前記溝部5と同様の溝部を円弧状に刻設しておき、かつ加工対象物1の他面に前記溝部6と円弧状に刻設しておくことが好ましい。
1 加工対象物
2 ギヤ部材
3 歯部
3a 歯底
4 段差部
5,6 溝部
7 欠け
11 歯形成形装置
12 基台
12a 突条部
13 規制部材
13a 歯形押え面
14 押え部材
14a 突条部
15 コイニングパンチ
2 ギヤ部材
3 歯部
3a 歯底
4 段差部
5,6 溝部
7 欠け
11 歯形成形装置
12 基台
12a 突条部
13 規制部材
13a 歯形押え面
14 押え部材
14a 突条部
15 コイニングパンチ
Claims (5)
- 塑性を有する板状部材をプレス抜き加工して予備成形した加工対象物の歯部にコイニング加工を施すことにより製造されるギヤ部材であって、
前記歯部が列設されている外縁部の片面で該歯部の歯底よりも内側に、前記コイニング加工でコイニングパンチの内縁部によって段差部が形成されていると共に、前記片面および/または他面で前記段差部に対して内側へずれた位置に、前記コイニング加工に先立つ前記加工対象物のチャッキングによって溝部が刻設されており、これら段差部と溝部がいずれも前記歯部の列設方向に沿って延在していることを特徴とするギヤ部材。 - 塑性を有する板状部材をプレス抜きして列設された歯部を有する加工対象物を予備成形する工程と、前記歯部と略相補形状の歯形押え面を有する規制部材を基台上に載置した前記加工対象物と係合させることによって前記歯部の外側への移動を規制する工程と、前記基台上の前記加工対象物の前記歯部を含む外縁部を外した領域に圧接させた押え部材と該基台とによって前記加工対象物をチャッキングする工程と、前記基台上の前記加工対象物の前記外縁部をコイニングパンチで加圧して前記歯部を成形する工程とを備えていると共に、
前記チャッキング工程で前記基台および/または前記押え部材に突設されている突条部が前記加工対象物の表面に前記歯部の列設方向に沿って延びる溝部を刻設するようにしたことを特徴とする歯形成形方法。 - 請求項2の記載において、前記溝部の形成位置を、前記コイニングパンチの内縁部が当接する箇所に対して内側へずらしたことを特徴とする歯形成形方法。
- 塑性を有する板状部材をプレス抜きして列設された歯部を有する加工対象物を予備成形し、この加工対象物の前記歯部を成形するための歯形成形装置であって、
前記加工対象物が載置される基台と、前記歯部と略相補形状の歯形押え面を有し前記基台上の前記加工対象物と係合する位置に配置されることによって前記歯部の外側への移動を規制する規制部材と、前記基台上の前記加工対象物の前記歯部を含む外縁部を外した領域に圧接し該基台と協働して該加工対象物をチャッキングする押え部材と、前記チャッキング状態で前記加工対象物の前記外縁部を加圧して前記歯部を成形するコイニングパンチとを備えていると共に、
前記基台および/または前記押え部材に前記歯形押え面に沿って延びる突条部が突設されており、前記チャッキング時に前記突条部によって前記加工対象物の表面に前記歯部の列設方向に沿って延びる溝部が刻設されるようになしたことを特徴とする歯形成形装置。 - 請求項4の記載において、前記溝部の形成位置を、前記コイニングパンチの内縁部が当接する箇所に対して内側へずらしたことを特徴とする歯形成形装置。
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JP2010096017A JP2011224609A (ja) | 2010-04-19 | 2010-04-19 | ギヤ部材とその歯形成形方法および歯形成形装置 |
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JP2010096017A JP2011224609A (ja) | 2010-04-19 | 2010-04-19 | ギヤ部材とその歯形成形方法および歯形成形装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101787690B1 (ko) * | 2016-02-21 | 2017-10-30 | 인플러스 주식회사 | 프레스 공정을 이용한 단차 형성 방법 |
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JPH0833926A (ja) * | 1994-07-20 | 1996-02-06 | Ikeda Bussan Co Ltd | 歯部の製造方法 |
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JP2004154795A (ja) * | 2002-11-05 | 2004-06-03 | Toyota Motor Corp | 外歯形部品の成形用金型及び成形方法並びに成形品 |
-
2010
- 2010-04-19 JP JP2010096017A patent/JP2011224609A/ja not_active Withdrawn
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